1: 2015/02/25(水) 23:38:16.53 ID:r+yghMIq.net
ほのママ「なに言ってるのよ。あなたに継がせられるわけないでしょ」

穂乃果「もしかして雪穂が継ぐの?」

ほのママ「あの娘はもっとないわよ」

穂乃果「そうだよねぇ~。って、そうじゃなくて」

穂乃果「なんで!?老舗だよ。ずぅ~~っと続けてきたんだよ」

ほのママ「そうね」

穂乃果「これからもずっ~~~っと続けていくんだよね」

ほのママ「もちろんよ。お父さん、生涯現役を貫くつもりだもの」

穂乃果「………っ、もしかしてお父さんの代でお店を閉めちゃうの?」

ほのママ「するわけないでしょ」

ほのママ「『穂むら』の看板は、お父さんの代で終わらせないわよ」

3: 2015/02/25(水) 23:39:34.51 ID:r+yghMIq.net
穂乃果「じゃあ誰が継ぐの?」

ほのママ「そりゃ、穂乃果か雪穂が婿を入れてくれれば、一番なんだけどねぇ」チラッ

穂乃果「私、まだ高校3年生だよ。そんな人いないよ。雪穂も、たぶん」

ほのママ「やっぱりねぇ」

穂乃果「穂乃果がいるよっ。ほのまん作れるよ。接客だってできるよ」

ほのママ「店の手伝いをしてるだけでしょ」

穂乃果「看板娘にもなれるよ。最近、穂乃果がお店にいるとお客さん増えたよね」

ほのママ「穂乃果目当てのお客さんが、ね? ラブライブの後から特に」

穂乃果「みんな美味しいって言ってくれてるよ。」

ほのママ「穂乃果のファンだから、でしょ」

5: 2015/02/25(水) 23:41:24.12 ID:r+yghMIq.net
穂乃果「うぅ~、お母さん、なにが言いたいの?」

ほのママ「分かっているでしょ」

穂乃果「分からないっ!」

穂乃果「穂乃果しか、いないよ!」

ほのママ「だから?」 スッ

穂乃果「さっきから言ってるでしょ。だから、あっ……っそれ!」









進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組





1 和菓子職人見習い(穂むら専属)


2 和菓子屋経営補佐(穂むら専属)


3 和菓子屋レジ打ち(穂むら専属)

8: 2015/02/25(水) 23:43:12.75 ID:r+yghMIq.net
ほのママ「担任の先生から連絡があったわ。3年生になって最初の進路希望がこれでいいんですか?ご家族で一度話し合って下さいって」


穂乃果「いいじゃん。穂乃果は『穂むら』を継ぐんだから」

ほのママ「だいたい、本当に和菓子屋さんになりたいの?」

穂乃果「なりたいよ!なるったらなる!」

穂乃果「『穂むら』がなくなっちゃうのは嫌だもん」

ほのママ「なら他から継いでくれる弟子を取ろうかしら?」


穂乃果「!?」


ほのママ「これなら『穂むら』も続くわね」

穂乃果「名前だけだよ。そんなの穂むらであっても『穂むら』じゃないよ」

穂乃果「お母さんは、そんなに穂乃果が継ぐのは嫌なんだ」

11: 2015/02/25(水) 23:44:12.36 ID:r+yghMIq.net
ほのママ「別に、和菓子屋さんになりたいなら、いいわよ」

穂乃果「なら!」

ほのママ「『穂むら』とは関係ない和菓子屋さんでも、なりたいならね」

穂乃果「……」

ほのママ「3年生になってから、急によく手伝うようになったとは思ってたけど」

ほのママ「和菓子屋を選ぶなんて、私はてっきり、「お母さん」」

穂乃果「もう、ミューズは解散したんだよ。」

穂乃果「『穂むら』を閉店になんてさせない。今度は『穂むら』を守るんだよ」

ほのママ(今度は、ねぇ。)

13: 2015/02/25(水) 23:45:45.85 ID:r+yghMIq.net
次の日 放課後 生徒会室




穂乃果「っていうことがあったんだけど、酷いと思わない?ことりちゃん」書類カキカキ

ことり「あはは、穂乃果ちゃん。先週の進路希望、そんな風に書いたんだ」書類パラパラ

穂乃果「だって『穂むら』がなくなっちゃうなんて、ありえないよ」

ことり「きっと穂乃果ちゃんのお母さんは、穂乃果ちゃんがやりたいことをやってほしいんじゃないかな」

穂乃果「だーかーらー、『穂むら』を継ぐのが穂乃果のやりたいことなんだってば~」

穂乃果「なのに、穂乃果には相応しくないなんて」

ことり「そこまで、言ってないと思うけどな」


穂乃果「ことりちゃんは、なんて書いたの?進路希望」

ことり「え、えーっと、服飾系の学校、かな」


穂乃果「やっぱり、ことりちゃんはデザイナー志望なんだ」

15: 2015/02/25(水) 23:48:29.59 ID:r+yghMIq.net
ことり「…」

穂乃果「ことりちゃん?」


ことり「穂乃果ちゃんだから、ちゃんと言うねっ。海未ちゃんにも後で言うつもりだけど」



ことり「ことりね、留学、すると思う」



穂乃果「えっ、うそ、りゅう…がく…?いつ?」

ことり「でもでも、ずっとじゃないよっ。夏休みの間だけ、3週間くらい」

ことり「前に、断っちゃったところから。もしよかったらホームステイにって」


穂乃果「そのあとは…?」


ことり「今は、日本の学校を考えてるよっ。でも、向こうにいる間に作品を作るの」

ことり「それも沢山。そこでもし認められちゃったら、誘いが来るかもって、お母さんが」

穂乃果「離れ離れになっちゃうの!?そんなの嫌だよ」

ことり「ことりだって、穂乃果ちゃんや海未ちゃんと離れ離れになるのは嫌だよ」ウルッ

18: 2015/02/25(水) 23:51:10.64 ID:r+yghMIq.net
ことり「ミューズに入る前はね、ただただ可愛い服が好きってだけだったの」

ことり「でも、ミューズで衣装作りしているうちに、もっともっと作りたいって思うようになって」

ことり「ラブライブに優勝して、いろんなグループの衣装を見て、ことりに足りないものを沢山みつけて」

ことり「優勝したあと、もっともっと勉強したいって思いが日に日に強くなっていって」

ことり「気がついたら、ことりからお母さんにもう一度チャンスをもらえないかってお願いしてたんだ」



穂乃果「…」


ことり「まだ決まったわけじゃないよ。穂乃果ちゃん」


穂乃果「うん」

ことり「ミューズがなかったら、自分から言い出すなんて、考えも付かなかったと思う」

穂乃果「やり遂げたいんだね。ことりちゃんは」


ことり「うん!」

穂乃果「応援するよ!ファイトだよっ!離れてもいつまでも一緒だよ!」

ことり「うん!」




穂乃果「穂乃果も頑張って『穂むら』を継いでみせるから!」

ことり「うん!?!?」

22: 2015/02/25(水) 23:55:09.94 ID:r+yghMIq.net
ことり「穂乃果ちゃん、それは「すみません。遅くなりました」」

穂乃果「あっ、海未ちゃん」

海未「穂乃果、ことり。すみませんでした。弓道部の練習が長引いてしまって」

海未「生徒会もこの春が一番大変なのに仕事を押し付けてしまって」

ことり「そんなことないよっ。海未ちゃん」

穂乃果「そうだよ、海未ちゃん。弓道部は来月インターハイ予選でしょ。」

穂乃果「生徒会は穂乃果たちに任せて」書類サッサッ

海未「だから心配なんです。ほら、こことそこ、間違っていますよ」書類サラサラサラサラー

穂乃果「ううっ」

海未「だいたい穂乃果は3年生になってから少し弛んでいます。」

穂乃果「えぇー?、毎朝、階段ダッシュしてるよ。海未ちゃんだってアイドル研究部の朝練来て、知ってるでしょー」

海未「体重の話ではありません!生徒会活動です」

海未「もうすぐ新入生歓迎会があります。その後は体育祭、入学希望者のためのオープンハイスクール、来期の生徒会選挙準備etc」

ことり「それにアイドル研究部の活動も、ねっ」

海未「今年は受験生なんですから、ひとつひとつ段取りよくこなしていく必要があります」


穂乃果「……じゅ、呪、嫌、所為?」


海未「ええ。」


ことり「あ、あのっ、海未ちゃん、そのことで、話があるんだけど」

24: 2015/02/25(水) 23:59:21.68 ID:r+yghMIq.net
海未「なるほど、ことりは進学といっても留学ですか」


ことり「ごめんなさい」


海未「何を謝っているのですか。自分で決められたじゃないですか。応援していますよ、ことり」

ことり「海未ちゃん!ありがとう!」



海未「さぁ、残っている仕事を終わらせてアイドル研究部にも行きま「ちょーっと待って」」



穂乃果「えっ!?えっ?海未ちゃん、進学するの?」


海未「はい、進学希望ですよ」


穂乃果「家元は?継ぐんじゃないの?」


海未「はい、家元も継ぎますよ」


穂乃果「卒業したら、日舞の稽古が厳しくなるって言ってたよ?」

穂乃果「合コンもミスコンも花の女子大生ライフどころじゃないって」

海未「合コンも行きませんし、ミスコンなんて破廉恥です」

海未「確かに2年生のころは家元を継ぐとしか言ってませんでしたね。免許皆伝なんて、まだまだ先が見えません」

穂乃果「ほらやっぱり」

27: 2015/02/26(木) 00:05:01.00 ID:DTrG8xdd.net
海未「ですが、その、進学を希望したのはですね。.穂乃果、ことり、笑わないでくれますか?」


穂乃果「うん」

ことり「話して、海未ちゃん」


海未「実は、ミューズとして、歌詞を作っているうちに、次第に歌詞作りに没頭する自分がいまして」


穂乃果「まさか、作詞家希望!?」


海未「違います!そういうのではありません」


ことり「ん~、ことりはいいと思うなぁ。海未ちゃんの歌詞だいすきだもん」


海未「ありがとうございます」


海未「今までは、思いついたフレーズや中学の頃に書き溜めていた詩を参考に歌詞をつくっていました」

海未「そして、ラブライブで優勝して、たくさんのファンのみなさんに思いを伝えて、考えたんです」

海未「どうすれば、もっともっと自分の思いを表現できるのか、と。」

海未「そして他の方が作った詩も、何を伝えたかったんだろう、と」

海未「考えてみたくなりました。自分の気持ちも、誰かの気持ちも」

海未「もっと、もっと、詩について深めていきたいと思ったんです。」

29: 2015/02/26(木) 00:10:40.58 ID:DTrG8xdd.net
海未「先日、母に正直に自分の考えを伝えたんです。」

海未母「先人たちの考えを汲み取るのも今に生きる私たちの務め。自ら、高みへと進んでいけるのなら、進学を許します」

海未「っと。そういってくれたんです。」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「もちろん、日舞を続けます。進学は表現力のを高めるためだとはっきりといわれました」

海未「絶対にダメだと思っていた私にとってみれば、この上のない返事でした」


海未「1年前は、自分が進んでいく既に道は決まっているようで、どこを進んでいるのかわかりませんでした」


海未「ですが今は、うっすらと光が見えた気がするんです。ほんとうに、淡い光ですが」


海未「これもミューズがあったからだと思います」


ことり「ことりも同じだよ、海未ちゃん」


海未「おかげで、弓道もスクールアイドルも生徒会も受験勉強もやっていける気がします」


穂乃果「じゃあ、海未ちゃんの進路希望は」


海未「はい、国立大学の文学部志望ですよ」


穂乃果「そう、なんだ。うん、ううんフルフルッ そうだよね。海未ちゃんも応援するよ。みんな夢に向かってファイトだよ」


海未「穂乃果?」


ことり「実はね、海未ちゃん」

30: 2015/02/26(木) 00:16:59.37 ID:DTrG8xdd.net
海未「はぁ~~~~。まさか、穂乃果の進路希望がそんなことになっていようとは」


穂乃果「海未ちゃんまで、酷いこと言うの」


穂乃果「誰が何と言おうとも『穂むら』は穂乃果が守ってみせるよ」


海未「穂乃果のお母様は言いたいことはですね。きっと」


海未「いえ、やっぱり止めておきます」


海未「私も少し前までは、家元を継ぐいうこと以外、何も見えていなかったのですから」


海未「穂乃果に偉そうなことは言えませんし、穂乃果が考えることだと思います」


海未「ですが、ひとつだけ、言わせてもらいます」


穂乃果「!?」ビクッ


海未「もう3年生の4月ですよ」

海未「仮にも音乃木坂の生徒会長が、進路希望調査票に、こんなお粗末な書き方がありますか!」

35: 2015/02/26(木) 00:35:41.19 ID:DTrG8xdd.net
海未「だいだい、1の和菓子職人見習い(穂むら専属)って、どうせほむまん作るってことしか考えてませんね」


穂乃果「あ、あげまんも作るよっ」



海未「2の和菓子屋経営補佐(穂むら専属)というのは?」

穂乃果「砂糖とか小豆とか買ってきたり、ホールを手伝ったり、包装したり」

海未「小間使いですね」

ことり「一生、見習いか補佐で終わっちゃいそうだよ」



海未「極めつけは、レジ打ち。なんですかこれは!?」

海未「進路希望はパートのおばちゃんですか!」


穂乃果「えぇ!?穂乃果、レジ打ちは得意中の得意だよ。スクールアイドル1のレジスターマイスターだよ」


穂乃果「ぜったい海未ちゃんにも負けないよ」


海未「むっ、いいでしょう。では、やってみましょうか」

海未「スクールアイドル1のレジスターマイスターの座をかけてレジ打ちで勝負です!!」


ことり(あれ?生徒会は?アイドル研究部は?)

36: 2015/02/26(木) 00:38:06.63 ID:DTrG8xdd.net
『穂むら』 カウンターにて




ジャラジャラジャラッ チーーーーンッ




穂乃果「そんな、海未ちゃんに負けるなんて」ガクッ


海未「ローソンと和菓子屋では、顧客の回転率が違います」フフン


ことり(海未ちゃん。ミューズに弓道、生徒会、日舞にアルバイトまで、どこでなにやってたんだろう)


ことり「穂乃果ちゃん、お釣り間違ってたよ。レジの勘定も合ってないよ」




穂乃果「」プシュー




海未「これでは希望通りになっても、看板倒れいいとこです」

42: 2015/02/26(木) 00:48:32.00 ID:DTrG8xdd.net
ことり「この進路希望調査票、もうすこし具体的に考えてみたらどうかな?」


海未「ええ、せめて自分がどうなりたいのか、もっと真剣に考えてください」


穂乃果「うん」


穂乃果(どうなりたいのかって、『穂むら』を守れる穂乃果になりたいよ)


穂乃果(『穂むら』を守れる穂乃果になるためにはって、どうすればいいんだろう?)


穂乃果(知らないことが多すぎるよ)


穂乃果(はっ!でもこれって、もっともっと知りたいってことだよね)


穂乃果(ことりちゃんや海未ちゃんの時と同じだっ!)



穂乃果「わかったよ。よぉーし、見えてきた。もっと真剣に考えて、お母さんと話してみるね」



ことり(だいじょうぶかなぁ)

海未(絵里にでも相談に乗ってもらいましょうか)

44: 2015/02/26(木) 00:54:14.02 ID:DTrG8xdd.net
その日の夜 高坂家


穂乃果「おかーさーん。穂乃果、進路希望調査を書き直したよ」


穂乃果「穂乃果、進学する!!」


ほのママ「!!そう!見せてごらんなさい」


穂乃果「はい」スッ



進路希望調査票 


高坂 穂乃果 3年○組

1 私立ほのパパ料理専門学校 (『穂むら』職人永続契約書付)


2 国立△△大学経営学部 (目指せ『穂むら』の社長、海未ちゃんと同じとこ。偏差値70くらい?)


3 駅前留学 (海外に『穂むら』2号店を、ことりちゃんがいる国)


ビリビリビリッ


穂乃果「えぇぇぇー」

ほのママ「明日、もう一回聞くわ」

92: 2015/03/04(水) 18:23:39.65 ID:mvqL6/NG.net
次の日 昼休み  部室

凛「自分がやりたい」

花陽「こと?」

穂乃果「うん。2人には、あるのかなーって」

凛「今日の穂乃果ちゃんは真面目モードだにゃー」

穂乃果「穂乃果だって少しは考えてるよ。」

穂乃果「なのに先生もお母さんも海未ちゃんまで、ちゃんと考えなさいって」

花陽「わ、わたしは、あんまり真剣に、考えたことなかったかも…」

凛「凛は、やりたいことならあるよ」

穂乃果「!?」

凛「凛はねー、かよちんと真姫ちゃんと3人でラブライブ優勝するにゃーー」


穂乃果「目指せっ、音乃木坂2連覇ぁー」


凛・穂乃果「おぉー」


花陽「それなら、わ、私もアイドル研究部部長として、皆を引っ張っていきたいです」

93: 2015/03/04(水) 18:25:19.35 ID:mvqL6/NG.net
花陽「今年は、雪穂ちゃんや亜里沙ちゃんも入部してくると思う、から」

穂乃果「雪穂が言ってたよ。入部届けはまだ出せないの?って」

穂乃果「新入生歓迎会が終わってから受理って言ってるのに聞かなくてさぁ」

花陽「沢山の入部希望が集まるように、新歓でのライブは絶対成功させます!」

穂乃果「うぅ、ライブ参加できなくてごめんなさい」

穂乃果「そうだ!やっぱり今からでもライブの時間を放課後にしてもらうよう理事長に頼んでみようか」

凛「穂乃果ちゃん、そのことは、もうみんなで話し合って決まったよ?」

花陽「新歓の後の講堂は、演劇部に取られちゃったから、理事長から特別に新入生歓迎会の部活紹介中にライブをさせてくれるって」

凛「穂乃果ちゃんたちは生徒会での進行があるでしょー」

花陽「さらに海未ちゃんは弓道部での部活紹介と重なっちゃうし」

凛「凛たちに任せるにゃー」

花陽「が、頑張りますっ」

穂乃果「2人とも頼もしいよー」グスン

94: 2015/03/04(水) 18:26:31.26 ID:mvqL6/NG.net
凛「凛ね、ミューズに入ってアイドル活動続けて変われた気がするんだー」

穂乃果「凛ちゃんは」

花陽「可愛いもんね」

凛「~~!?」

凛「えっと、だからもっともっとスクールアイドル続けて、凛たちがいるってことを皆に知って欲しいなって」

穂乃果「凛ちゃんの一番やりたいことなんだね」


凛「かよちんもそのためにも勉強しているって、凛知ってるよー」


花陽「凛ちゃん!?」

穂乃果「べ、べん…きょう…?花陽ちゃんも?」

花陽「去年、穂乃果ちゃんと一緒にダイエットして、気がついたの。アイドルを頑張るだけじゃダメなんだって」

花陽「好きなことでも我慢しなきゃいけない時は我慢する。ちゃんと自己管理できなきゃって」

凛「だから、かよちんはねー、栄養のこととかー、どんな食事メニューを続けていくとかー、真姫ちゃんから色々な本を借りて考えてるにゃー」

花陽「今までは海未ちゃんや絵里ちゃんがやってくれてたから…」

花陽「その、まだ、栄養学の本とか見ながらですけど、だんだん興味でてきて」

花陽「入部してくる後輩にもきちんと教えてあげたいし」

穂乃果「花陽ちゃんえらい!」

95: 2015/03/04(水) 18:27:59.51 ID:mvqL6/NG.net
穂乃果(そうだよね…雪穂や亜里沙ちゃんも入ってくるんだ)


穂乃果(合宿なんて、このままだときっと…



脳内合宿 西木野別荘

花陽「今日の晩ごはんをみんなで作りたいと思います 」

凛「凛はラーメン!」フクロラーメンガサゴソ

真姫「メイドに作らせとけばいいでしょ」カミノケクルクル

雪穂「私、ダイエット中なので、いいです」

亜里沙「わたし、飲み物買ってきましたー」

雪穂「亜里沙、それ、おでん缶…」

亜里沙「ハァラショー」

花陽「ご飯は炊けてます。ご飯だけで大丈夫です!!」




……うん)



穂乃果「みんなの体調管理は花陽ちゃんに任せたよ」


花陽「はい。頑張ります!」

96: 2015/03/04(水) 18:30:03.00 ID:mvqL6/NG.net
凛「それで、穂乃果ちゃんは?」

穂乃果「うぅ、今は進路希望をちゃんと完成させます…」

凛「やりたいことは、何かにゃー」

穂乃果「穂乃果は『穂むら』を継ぐことだよー」

花陽「も、もう、ちゃんと決まっているんだ。すごいです」










凛「老舗を継ぐなんてすごいにゃー。それで?継いで、どうするの?」










穂乃果「……えっ?」





凛「へ?」

花陽「ん?」

98: 2015/03/04(水) 18:32:06.45 ID:mvqL6/NG.net
穂乃果「べ、別に、毎日、和菓子作ってー、お客さんに出してー、ありがとうございましたーって」

凛「職人を目指すのかにゃー?」

穂乃果「穂乃果がやって『穂むら』が、ずっと続くならいいかなって」



花陽「…」

凛「…」



穂乃果「でも、お母さんが『穂むら』以外の和菓子職人なら目指していいって、変なこと言うんだよ」

凛「穂乃果ちゃんは、『穂むら』じゃななきゃダメなの?」

穂乃果「だって『穂むら』の為に職人になるんだよ。他のお店だったら意味ないじゃん。」ブゥー

凛「職人は諦めちゃうのかにゃー?」

穂乃果「そしたら、ホールに回ってお客様をバシバシ捌くよ。レジ打ちも」

99: 2015/03/04(水) 18:34:50.17 ID:mvqL6/NG.net
花陽「お店を継ぐことが穂乃果ちゃんの一番なんだね」

穂乃果「『穂むら』がなくなっちゃうなんて嫌だもん。『穂むら』は穂乃果が守るんだよ」




凛「なんだか廃校の時と似てるにゃー」

穂乃果「…」




花陽「り、凛ちゃん…」


花陽「そ、そうだ、穂乃果ちゃん。他にやりたいことってないのかな?」

穂乃果「花陽ちゃんまで、継ぐのはダメって言うの?」

花陽「そ、そうじゃなくて。進路希望って、せっかく、第2、3希望ってあるんだもん」

花陽「1番は『穂むら』を継ぐってまとめておいて、2番目に穂乃果ちゃんがやりたいことを書くの」

穂乃果「えぇー、ことりちゃんが具体的にしようって言ってたのと逆になっちゃうよー」

100: 2015/03/04(水) 18:36:01.01 ID:mvqL6/NG.net
花陽「私も凛ちゃんもまだ2年生だから、よく分かってないかもだけど、そういう決め方もあるんじゃないかって」

凛「おぉー、かよちんグッドアイデアだにゃー」

穂乃果「むぅ」



花陽「例えば、例えばだよ。








2番目に











アイドルを続ける











ってどうかな?」

101: 2015/03/04(水) 18:39:21.50 ID:mvqL6/NG.net
穂乃果「…………」

穂乃果「スクールアイドルなら今年も続けてくよ」

穂乃果「ミューズは解散しちゃって、海未ちゃんもことりちゃんも忙しくなっちゃったけど、スクールアイドルは続けるよ」

花陽「そ、そうなんだけど、そうじゃなくて…」

花陽「わ、私ね、去年の春に、穂乃果ちゃんたちのファーストライブを見てから、ずっとずっと思っていたことがあるの」



花陽「穂乃果ちゃんは、あのステージでの穂乃果ちゃんはすっごくキラキラしてるって」




花陽「私もそうなりたいなって思ってミューズに入ったの」

花陽「その思いもミューズで叶ったよ。]

花陽「でもね?それ以上に、ずっとあの時の穂乃果ちゃんが消えないよ」




花陽「きっと、穂乃果ちゃんは、あのステージみたいに、これから先もずっとずっとキラキラしてるんだろうなぁ、って」

102: 2015/03/04(水) 18:41:02.21 ID:mvqL6/NG.net
花陽「私の勝手な思い込みで、自信なくて、怒らないで聞いて欲しいんだけど」






花陽「穂乃果ちゃんは、卒業しても、誰とであっても、何処へ行っても」

花陽「ずっとずっと、アイドルしてるんじゃないかって」







穂乃果「そんな、にこちゃんじゃあるまいし」

花陽「その、進路のことなんて、私が言うことでさえもなくて…、でも…」






凛「穂乃果ちゃんはアイドルずっと続けたいんじゃないかにゃー?」






穂乃果「…」

104: 2015/03/04(水) 18:42:14.59 ID:mvqL6/NG.net
♪~シギョウノチャイム~♪




穂乃果「もう行くね」


トビラ、バタンッ!



穂乃果「……」





穂乃果「ははっ、穂乃果はね。『穂むら』の娘なんだよ」





穂乃果「穂乃果しか、いないよ」





下書き?
進路希望調査票

高坂 穂乃果 3年○組

1 『穂むら』を継ぐよ(職人でもホールでも、継ぐったら継ぐ!)

2 アイドルを続ける?(スクールアイドルってことじゃないよね花陽ちゃん)

136: 2015/03/12(木) 20:51:18.95 ID:XBfLl6gl.net
その日の放課後  音楽室



真姫「で、どうしてここにいるのよ?」

穂乃果「べっつに~、真姫ちゃんの歌が聴きたいな~って」

真姫「そう」


ピアノ♪チャララー♪


穂乃果「すごい、すごーい。真姫ちゃん上手だね」

真姫「大袈裟ね。ほら、次は穂乃果も歌いなさいよ」

穂乃果「うん」



ピアノ♪チャラララー♪



穂乃果「ふぅ。よし、もう一曲いこう」

真姫「いかないわよ」

穂乃果「えぇ、せっかくのってきたのに~」ブゥー

真姫「それより、生徒会長がこんなところで油売ってていいの?」

穂乃果「うぅ」

真姫「新入生歓迎会、来週でしょ?」

真姫「今頃、海未とことりが探してるわよ」

穂乃果「も、もうちょっとだけ」


真姫「…」

穂乃果「…」

真姫「仕方ないわね」


ピアノ♪チャラチャラチャラー♪

137: 2015/03/12(木) 20:54:55.28 ID:XBfLl6gl.net
穂乃果「歌うとやっぱり気持ちいいねー」

真姫「そうね」


真姫「花陽と凛から聞いたわ。進路のこと」


穂乃果「!?」

真姫「たぶん、私のところにも来るんじゃないかって。花陽が」

穂乃果「えへへ、お見通しだったか」

真姫「私は、穂乃果がなにを選んでも、別にどーでもいいけど」

穂乃果「そんな、真姫ちゃんひどいっ」

穂乃果「穂乃果の一生がかかってるかもしれないんだよ。もっと真剣に聞いてくれてもいーじゃん」

真姫「それでも、普通、下級生に進路の相談になんか来ないわよ!?」

穂乃果「あっ、そっか。卒業生に聞けばいいんだ。絵里ちゃんとか希ちゃんとか絵里ちゃんとか」

真姫「にこちゃんが抜けてるわよ。」

穂乃果「明日、土曜日だもんね。よし、早速絵里ちゃんと希ちゃんと絵里ちゃんにメールだ」

穂乃果「あ、し、た、会、え、な、い、か、なっと」メールポチポチ

真姫「そういえば、さっき、にこちゃんからメールきてたわよ」

138: 2015/03/12(木) 20:57:19.50 ID:XBfLl6gl.net
メール


『毎日毎日夏休みみたいで暇ねぇ』

『お昼、なににしようかしら』

『真姫ちゃんテレビ付けて!?あのアイドルが交際発覚ですって。○○も終わったわね?』

『たいへん!雨が降ってきたわ。真希ちゃんちの洗濯物は大丈夫?にこは今ぜんぶ片付けたところにこ』

『夕方は韓流ドラマが増えたわねぇ。真姫ちゃん××ってドラマの3話録画してない?そこだけ見逃しちゃって』

『夕飯なににしようかしら』





真姫「やっぱりなんでもないわ」

穂乃果「?」

140: 2015/03/12(木) 21:01:52.60 ID:XBfLl6gl.net
真姫「とにかく、悩んでいる時くらい、先輩のアドバイスでももらって考えなさいよ」

穂乃果「真姫ちゃん、つーめーたーいー」

穂乃果「そういう真姫ちゃんだって、考えてるの?やりたいこととか?進路とか?」

真姫「私は、医者になるわ。私の家のこと知ってるでしょ」キッパリ

穂乃果「お医者さんかぁー、真姫ちゃんやっぱりすごいね」

真姫「とーぜんよ。医学部に進学して、医者になって、最終的には」



真姫「病院を継ぐことになると思うわ」

穂乃果「!」



真姫「まあ、私しかいないし」

穂乃果「!!」



真姫「って…どうしたの穂乃果!?」

142: 2015/03/12(木) 21:07:44.35 ID:XBfLl6gl.net
スタスタッピトッ


穂乃果「まきちゃん」ダキッ

真姫「ヴェぇぇぇ、近いわよ」アセアセ

穂乃果「えへへへぇ~、まきちゃん、まきちゃん、まきちゃん」グイグイ

真姫「ちょ、ちょっと」

穂乃果「そうだよね。そうなんだよね。そういうこともあるんだよね」グイグイ

真姫「ちょっと、離れなさいよ、もう!」ハァハァ

穂乃果「えぇぇぇ真姫ちゃんいーけーずー」

真姫「もぅ、まったく、一体どうしたのよ」

穂乃果「せっかく穂乃果と真姫ちゃんは一緒だなーって思ってたハグしたのにぃ」

真姫「一緒ってどういうことよ?」

穂乃果「病院を継ぐんでしょ。穂乃果も『穂むら』を継ぐんだよ」

真姫「そう」

穂乃果「うん。一緒だね」






真姫「悪いけど、一緒にしないでくれる?」

143: 2015/03/12(木) 21:12:09.63 ID:XBfLl6gl.net
真姫「私はね、医者になって病院を継ぐけど、もうひとつやりたいことがあるの」

穂乃果「?」

真姫「音楽よ。それもずっと続けていきたいの」

穂乃果「おぉ~、真姫ちゃんならきっと出来るよ」

真姫「簡単に言わないで。趣味で続けるって意味じゃないのよ」

穂乃果「それって、プロってこと」

真姫「そうよ」



真姫「でも、どっちも出来るなんて、そんな虫のいいことないわよ」

真姫「って、きっと、一年前の、ミューズに入る前の、私なら言うわね」



穂乃果「え」



真姫「こないだの夜のことよ。パパとママったら珍しく酔っ払って、私のライブの映像を見ようって」

真姫「私は恥ずかしいから嫌だって言ったのよ」

真姫「でもママがいつの間にか撮ってたラブライブ決勝の映像を流して」

穂乃果「ほうほう」

144: 2015/03/12(木) 21:14:32.74 ID:XBfLl6gl.net
真姫「恥ずかしくて穴があったら入りたかったわ」

穂乃果「えぇ、真姫ちゃん可愛いからいいじゃん」

真姫「そうね。パパも言ってたわ」

穂乃果(…)

真姫「でも本人がいる前よ。家族にライブの映像見られるって、恥ずかしいわよ」

穂乃果(穂乃果のお父さんは泣きっぱなしだったけどね)




真姫「それで、パパったら見終わった後に、変なこと言うのよ」

真姫パパ「この曲、真姫が作ったのか?」

真姫「……そうだけど」

真姫パパ「スクールアイドルは楽しいか」

真姫「楽しくないなら、やってないわよ」

真姫パパ「そうか」

真姫「なによ」

真姫パパ「いや、そうだな」









真姫パパ「ライブステージのある病院もいいかもな」







.

146: 2015/03/12(木) 21:19:50.70 ID:XBfLl6gl.net
真姫「って、酔っ払って言うのよ?」

真姫「ママも私も大笑いしたわ。そんな病院聞いたことがないって」

真姫「そしたらママが」




真姫ママ「あなた、せめてコンサートのある病院に留めておきなさい」

真姫パパ「それもそうだな。真姫にはそっちの方がいいか」




真姫「それから改築するにはいつするとか、月に何回演奏会をやるとか、グイグイお酒が進んで、パパとママが盛り上がっちゃって」



真姫「少し期待しちゃった」





穂乃果(真姫ちゃんの頑張る姿が、2人を変えたんだよきっと)

穂乃果(よかったね。真姫ちゃん)









真姫「もちろん、次の朝には2人共きれいさっぱり忘れてたけどね」




穂乃果「えっ」





.

148: 2015/03/12(木) 21:25:52.37 ID:XBfLl6gl.net
穂乃果「まさか真姫ちゃんのやりたいことって西木野病院を改築するの?」

真姫「しないわよ」

真姫「パパもママも趣味で続けるって意味での冗談だったはずよ」

穂乃果「なら演奏会だけでもっ!」

真姫「さっきも言ったけど、趣味の範疇で音楽を続けるなんて考えてないわ」

真姫「例え、本当に病院で演奏会ができてもね」

穂乃果「…」

真姫「でも、パパとママが話していたのを聞いて気づいたの」

真姫「私って、医者を選ぶしかないって思ってたわ。それしかないって」



真姫「でも、パパの、本当にくだらない冗談みたいな言葉でも、夢を見ちゃうんだなって」

真姫「真に受けちゃうんだなって」



真姫「そう考えたら、音楽か医者かって悩んでた事自体、すごく馬鹿らしくなって」

真姫「簡単なことなんだって」






真姫「趣味じゃなくて、両方やっていく考え方もあるんじゃないかって」





穂乃果「りょう…ほう!?」



真姫「そうよ。同時は、無理かもしれないけどね」

穂乃果「それってものすっごく大変なことだよね」

149: 2015/03/12(木) 21:30:51.00 ID:XBfLl6gl.net
真姫「今、無理だって思った?」

真姫「でも、私たち9人で、ミューズは無理だと思ったことを実現したのよ」

真姫「私一人の夢くらい、私が叶えてみせるわ」

真姫「病院を持つ親の娘だから、跡取りだから、私しかいない」

穂乃果「それは、穂乃果も」

真姫「でも、だからこそ、私は、私のやりたいことをやってやるの」

真姫「その中に、音楽も病院もスクールアイドルも入ってる」

真姫「パパとママの望みも私が叶えてあげたい」

真姫「私のやりたいことも私が叶えてやるのよ」

真姫「誰にも無理だなんて言わせないわ」

穂乃果「すごいね。真姫ちゃんは」

真姫「とーぜんでしょ」









真姫「ひとまず目指すは、美少女医学生ピアニスト真姫ちゃんよ」






真姫「医学生でたどり着かなかったら、その次、美人女医ピアニスト真姫ちゃんよ」







.

151: 2015/03/12(木) 21:34:48.75 ID:XBfLl6gl.net
穂乃果「真姫ちゃんならきっとできるよ」

真姫「穂乃果にだってきっとできるわ」

穂乃果「そうかな?」

真姫「そうよ」




真姫「大体、一年前に、穂乃果がここで言ったのよ」

真姫「『ねぇ腕立て伏せ、できる?』って」

穂乃果「そんなの言ったっけ?」

真姫「『そのまま笑ってみて』って」

穂乃果「よく覚えてるね」

真姫「あれ、結構キツかったわ。でも今は」






真姫「今は、両方、できるようになったわ」







穂乃果「そうだね」

真姫「ミューズに誘ってくれたから、できるようになったのよ」




真姫「今度は医者やりながら音楽やるだけよ」




真姫「穂乃果は?」

穂乃果「穂乃果は…」






.

153: 2015/03/12(木) 21:41:09.36 ID:XBfLl6gl.net
.





穂乃果「…わかんないや」
真姫「そう。それでいいんじゃない」






真姫「ところで、もう一度言うけど、生徒会長がこんなところで油売ってていいの?」

穂乃果「うん。もうちょっと」

真姫「そう。安心したわ」

穂乃果「?」

真姫「扉の前にいる、アイドルがしちゃいけない顔をしてる海未を放っておいてもいいんだって思って」

穂乃果「ええっ~~~、真姫ちゃん。それは早く言っ 「見つけましたよ。ほーのーかーぁぁぁ」」

穂乃果「ひぇぇ、海未ちゃん」

海未「今日は新歓のリハーサルを通しでやるといったでしょう。先生方も講堂に集まってますよ」ガシッ

穂乃果「真姫ちゃんた~す~け~て~ぇぇぇぇ」




真姫「さて、私も部活にいこうかしら」サッ

154: 2015/03/12(木) 21:45:55.02 ID:XBfLl6gl.net
放課後 講堂 新歓リハーサル



先生「はーい、理事長の挨拶が終わったら、高坂さん入れ替わりで壇上に入って」


穂乃果(壇上に立つのもすっかり慣れちゃったなぁ)テクテク

穂乃果(ここに立つのも始めはすっごく緊張したんだよね)

穂乃果(もう、ファーストライブから一年が経つんだなぁ)

穂乃果(色々なことがあったっけ)

穂乃果(廃校を阻止した。講堂も満員にできた。ラブライブにも優勝した。)


穂乃果「みんながいたから、叶えていけたんだ」


先生「高坂さーん、何か言ったー?もう壇上から引いていいわよー」



穂乃果(海未ちゃんやことりちゃんはミューズを通して、やりたいことを見つけてた)


穂乃果(凛ちゃんや花陽ちゃんもミューズがあったから、スクールアイドルをもっともっと楽しんでる)


穂乃果(真姫ちゃんはミューズにいたから、自分の夢を叶えられるって気づいた)


穂乃果(みんなミューズがあったから、新しく進んでいけたんだ)


先生「高坂さーん、降りなさーい」





.

155: 2015/03/12(木) 21:52:30.59 ID:XBfLl6gl.net
穂乃果(穂乃果は…?)

穂乃果(『穂むら』がなくなっちゃうのは嫌だ)

穂乃果(お母さんは、素っ気ないこと言うけど)

穂乃果(私が何とかしなくっちゃって、どうしても思っちゃうよ)

穂乃果(もし、穂乃果が何とかしなくてもいいってなったら)


穂乃果(穂乃果のやりたいこと────)












穂乃果(『────────届けたい。今、私達がここにいる。この想いを!』)








穂乃果(届けたよ。沢山の人に)

穂乃果(この壇上で、あの時思ったことは本当に本心で、それはラブライブで叶った)

穂乃果(穂乃果はアイドルがやりたいこと?)

穂乃果(うーん。なんか、分かんないや)











穂乃果(穂乃果の夢は、どこにいっちゃったんだろう)





.

156: 2015/03/12(木) 21:55:43.19 ID:XBfLl6gl.net
.




その日の夜 穂乃果のへや



ほのママ「ほのかー、進路のこと、少しは考えたのー?」トビラ、ガチャッ

雪穂「おねーちゃんなら、お風呂に入ってるよー」

ほのママ「まったくあの娘ったらまだ入ってるのねぇ

ほのママ「ん?これ」ピラッ








進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組




1 アイドル







ほのママ「!!!!」


ほのママ(あの娘、やっぱり)








ほのママ「ん!?」






.

157: 2015/03/12(木) 21:59:15.95 ID:XBfLl6gl.net
.



進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組

1 アイドル(『穂むら』のホールにステージ作って、雪穂とユニット組んで、和菓子を作って、売って、歌って、踊れるアイドル。届けたい。この和菓子を!これがホントのお茶の間アイd────)





ビリビリビリッ





ほのママ「ゆきほー」

雪穂「なーにー」

ほのママ「あなた、この店、継ぐ気ある?」

雪穂「えぇー、あるわけないじゃーん」

雪穂「わたし、、ぜったいスクールアイドルで有名になって、お金持ちでイケメンの芸能人と結婚するんだー」

ほのママ「そう」

雪穂「なに?文句ある?」

ほのママ「いいえ、安心したわ」

228: 2015/04/02(木) 01:04:41.78 ID:syQ2SnnO.net
次の日  土曜日 都内大学カフェテラスにて



希「おーい穂乃果ちゃーん。こっちこっち」ノシ


穂乃果「希ちゃーん、久しぶり~」ノシ


希「すまんなー。大学まで来てもらって」


穂乃果「ううん。大学って初めて来たけど、広いね~。それに校舎もたくさんあって、おっきいね~」キョロキョロ


希「ふふ、そう言ってもらえるとウチも嬉しいんよ」


希「うち、 1 限と 3 限の講義を取っててな。空いてるのが今の 2 限とお昼休みしかないから、学校で、なんて」


穂乃果「昨日、穂乃果から言い出したんだもん。会いたいなって。それに、大学に一度は来て見たかったんだ」キョロキョロ


希「どうやら、今日の話にも関わってきそうやな」


穂乃果「………うん」

229: 2015/04/02(木) 01:07:15.43 ID:syQ2SnnO.net
希「真面目モードやね。ふんふん、穂乃果ちゃんの用件て」


希「ずばり、進路の話やろ?」


穂乃果「っ! 希ちゃん、すごーい。どうして分かったの?」


希「ふふ、カードがうちにそう告げたんや」ドヤァ


希(あれ?適当言ったのに、ほんまやったん)


穂乃果「実は、穂乃果、今ね、進路のことで悩んでて」


希「穂乃果ちゃんも 3 年生。そろそろ、悩んでておかしくないよ?」


穂乃果「そうかな?」


希「そうだよ。うちでいいなら、話を聞くよ」ニコ


希(この感じ、久しぶりやね。大学入って一年生になって、先輩風吹かすこともなくなって)


希(ここは先輩として適切なアドバイスをするところやな)


希(特に、進路のことは、聞いておきたいんよ)


穂乃果「今日は、希ちゃんにお願いしたいことがあって」


希「可愛い後輩のため、この東條希に、何でも言って」


穂乃果「ありがとう、希ちゃん。あのね」









穂乃果「穂乃果の将来を、占ってください!」


希「はい?」

232: 2015/04/02(木) 01:10:05.18 ID:syQ2SnnO.net
.




これまでの経緯カクカクシカジカ




希「なるほどなー。自分が何をやりたいのか、分からなくなった、と」


穂乃果「うん。『穂むら』を継ごうって思ってたのに、お母さんはダメって言うし」


穂乃果「海未ちゃんやことりちゃんは、もう少し考えたらって」


希「そこで、ウチのカードの出番ってわけやな」


穂乃果「えへへ、希ちゃんなら、穂乃果の未来も分かるかな~って」


希「穂乃果ちゃん、分かっているとは思うけど、そういうのは自分でちゃんと考えるものだよ」


穂乃果「うぅ、分かっているんだけど」シュン


希「もっとも、穂乃果ちゃんの将来の相手を占ったりするなら、面白そうやけど」


穂乃果「それは、ちょっと今日はやめておこうよ~」


希(占いに頼るほど、穂乃果ちゃん、堪えてるんかな。よし)


希「ええよ。穂乃果ちゃん。将来、穂乃果ちゃんが何をしているのか占ってあげる」


穂乃果「ほんと!やった」

233: 2015/04/02(木) 01:12:38.09 ID:syQ2SnnO.net
希「ただし!」


希「あのな、穂乃果ちゃん。二つ、言っておくことがあるんよ」


穂乃果「? え、なんだろう?ふたつ?」


希「まず、うちの占いな。別に、穂乃果ちゃんの将来が分かるわけではないんよ?」


穂乃果「えぇー、嘘だぁー。希ちゃん」


穂乃果「いっつも『カードがうちに告げたんよ』ドヤァとか言って穂乃果たちの先手とってるじゃん」


希「………」


穂乃果「ミューズが9人になるのも知ってたじゃん!」


希「………」


穂乃果「もっと早く、例えばファーストライブが終わった直後『絵里ち、うちを入れて4人や!』の時とか」


穂乃果「にこちゃんが入る前に『にこっち、うちをいれて7人や!にこっちも、さあ』とかのタイミングでもよかったのに」


希「………」


穂乃果「あえて、ミューズの由来になる『9人や!!!』のタイミングを待ってたのって、カードが告げたからなんでしょ?」


希「」


穂乃果「さっきだって、穂乃果が進路のことで会いに来たって、カードが告げたって言ってたじゃん」


希「穂乃果ちゃん、ほんま、やめてくれる?ごめんなさい」ワシワシ


穂乃果「は、はーい」ブルブル

235: 2015/04/02(木) 01:15:33.87 ID:syQ2SnnO.net
.


希「一つ目の話に戻るで」


希「占いってな、占った結果を本人がどれだけ信じれるかだと思うんよ」


穂乃果「信じる?」


希「ミューズの時もそう。確かに、うちは、なかなか一歩を踏み出せない少女たちが集まって、何かをやり遂げるってカードで占ってた」


穂乃果「ほら、やっぱり」


希「でもな、それは、信じてたからなんよ」


希「ミューズが出来るって信じて、待っとった。信じることが出来た」


穂乃果「………」


希「穂乃果ちゃん、このカード束から一枚引いて」スッ


穂乃果「うーん、じゃあ、これかな」ヒョイ


希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、ガテン系になってバリバリ鉄骨を担いでるようやね」


穂乃果「えぇぇー、希ちゃん、いくらなんでも、嘘だぁー」


希「ほな、もう一回引いとく?」スッ


穂乃果「これだ!」ヒョイ


希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、日雇いイベント設営の常連、意識高い系バイトリーダーのようやね」


穂乃果「えぇぇぇ、なんかありそうで怖い。もう一回!」




.

236: 2015/04/02(木) 01:20:56.14 ID:syQ2SnnO.net
希「ええで」スッ


穂乃果「次こそ」ヒョイ


希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、美人で女医でピアニストのようやね」


穂乃果「って、真姫ちゃんの将来を引いちゃった。まだまだ」


希「いってみよー」スッ


穂乃果「これで、どうだ」ヒョイ


希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、進学して、証券会社で働く、キャリアウーマンのようやね。株をばしばし売るで」


穂乃果「カブ?畑仕事はやらないよ。もう一回」


希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、アイドルデビューして、みんなを笑顔にさせてるようやね」













穂乃果「っ! え!?」







,

237: 2015/04/02(木) 01:22:18.99 ID:syQ2SnnO.net
.





希「あれ?もしかして、信じた?」


穂乃果「ちがう、今のなし。もう一回」


希「てっきり、それは、にこちゃんでしょ!ってツッコミ待ちやったのに」


希「これがラストやで」スッ


穂乃果「うーん、これ」ヒョイ










希「はーい、穂乃果ちゃんの将来は、実家の『穂むら』を継ぐことのようやね」


穂乃果「ほんと!」












希「嘘、やで」






.

238: 2015/04/02(木) 01:24:52.88 ID:syQ2SnnO.net
.


穂乃果「希ちゃん、ひどいよ。穂乃果をからかってるんだ」ウルッ


希「今までのはリハーサル。次が、本番」


希「これで、穂乃果ちゃんの将来が、決まるで」スッ


穂乃果「将来が、決まる!」ゴクッ


穂乃果「見えた!!これだ!!」ヒョイ


希「はーい、穂乃果ちゃん。今、どんな結果だったら、信じたん?」


穂乃果「………え?」


穂乃果「え、えっっっと、分かんない、かな」アセアセ


希「嘘は言ってないようやけど、何も浮かばないってことでもないんじゃないん?」


穂乃果「」


希(ちょっといじりすぎたかな)


穂乃果「希ちゃん、いじわるだ~」


希「でも、ちょっとは、あるんじゃないの?」


穂乃果「………あのね、頭によぎったのは」


希「よぎったのは?」



.

239: 2015/04/02(木) 01:27:38.46 ID:syQ2SnnO.net
.


穂乃果「『穂むら』を継げればいいなって」


穂乃果「そうすることで、お母さんもお父さんも雪穂もみんなも笑顔でいればいいなって」


希「ええと思うよ。穂乃果ちゃんらしいと思う」


穂乃果「雪穂は、店継ぎたくないって言ってるし、お父さんやお母さんもお店は残したいって思ってる。だから、穂乃果が」


希「だから、穂乃果ちゃんが継ぐ?」


穂乃果「継げば、お父さんもお母さんも雪穂も、困らない、と思う」


希「穂乃果ちゃんが困っとるやん。今まさに」


穂乃果「困ってる、のかなぁ」


希「うちには、困ってるようにみえる。だから、相談にきたんだよね」


穂乃果「穂乃果って、『穂むら』の娘だからお店を継ぐって思ってるだけなのかな」


希「穂乃果ちゃんは、本当にそう思ってん?」


穂乃果「なんか、違う、気がする」


穂乃果「それだけじゃ、ない気がする。なにか分からないけど」


希「ほな、それを信じてみればいいやん」


穂乃果「うん」



.

240: 2015/04/02(木) 01:30:50.65 ID:syQ2SnnO.net
.



希「ふふ、まるで、昔の、誰かさんを見とるようやね」


穂乃果「誰かさん?」


希「そ、昔の、な。もっとも今は、うちにも、もう見えんくらい、誰かさんは先に進んでるんよ」





希「ふふ、最初に、ふたつ、言っておくことがあるって言ったやん?」


穂乃果「そうだったね。もう一つは?」


希「ふふ、うちもな、穂乃果ちゃんと同じってこと」


穂乃果「希ちゃんが、同じ?」


希「さっき言った誰かさんって、あくまで『昔』のこと」












希「もし『今』で言うなら、それはきっと、今の、わたしのこと」







.

241: 2015/04/02(木) 01:33:07.97 ID:syQ2SnnO.net
.


穂乃果「どういうこと?」


希「穂乃果ちゃん、やりたいことが分からなくて、焦ってるやろ?」


穂乃果「!」


希「周りのみんなは、自分の知らぬ間に、見つけてて、自分も早く決めなきゃって」


穂乃果「!!」


希「不安で仕方ないやろ」


穂乃果「そんなこと、ある、かも」


穂乃果「幼馴染だった海未ちゃんやことりちゃんは、ちゃんと進路希望が決まってて」


穂乃果「花陽ちゃんや凛ちゃんも、少しづつ、先のことを考え出して」


穂乃果「真姫ちゃんに至っては、進路の先、将来まで見据えてる」


希「いつの間にか、追い越されて、置いていかれて、そんなん?」


穂乃果「! どうして、分かるの?」


穂乃果「希ちゃんは、すごいね。そうやって、穂乃果のことも、みんなのことも、全部、知ってるんだ」


.

242: 2015/04/02(木) 01:35:45.04 ID:syQ2SnnO.net
.


希「うちは、なんにも知らんよ。でも、今の穂乃果ちゃんの気持ち、少しは分かる」


希「もっかい言うけど、穂乃果ちゃんと、同じ、だから、かな」


希「うちな、実は、進路希望調査票、ものすっっっっごく適当に、書いたんよ」


穂乃果「えぇぇぇぇぇーーーー、希ちゃんが!?」


穂乃果「だって、希ちゃん。進学してるじゃん。大学、志望校どおり受かったって聞いてるよ」


希「そりゃ、志望校どおりは当たり前なんよ」


穂乃果「へ?」


希「なんせ、進路希望は、受かる大学リストを書いたんよ」


穂乃果「受かる、大学りすと?」


希「志望校1,2,3とあるやん」


希「1に合格判定C校、2に合格判定B校、3も合格判定B校」


希「ポイントは、秋ごろに、1の志望校でB判定まで取れたらならそのまま」


希「けど1がC判定のままやったら、2か3を繰り上げて、周りに堅実さをアピールってとこなんよ」


希「チャレンジ精神は立派やけど、受験はギャンブルではないからね」


穂乃果「」


希「あれ?あれれ?おーい、穂乃果ちゃーん」ノシノシ

243: 2015/04/02(木) 01:38:52.96 ID:syQ2SnnO.net
穂乃果「えーっと、それが、穂乃果と、同じ?」


希「いやいや、穂乃果ちゃん、進路のことで真面目に悩んでるって、うちと全然違うよ」


希「ただな、うち、進路で、自分が何をやりたいのかって、分からなかったんよ」


穂乃果「希ちゃんが?」


希「うん」





希「うちの高校生活は、ミューズなんよ」


希「絵里ちと出会って始まって、絵里ちを支えてあげなきゃって、それが自分の役目だって、一緒にいるようになって」


希「にこっちが頑張っているの知って、花陽ちゃんや凛ちゃんが新しい一歩を踏み出せなくて、真姫ちゃんが悩みながら演奏してるのを知って」


希「穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりちゃんが動き出して」


希「ミューズを支えるのが、自分の役目なんだって、そう思ってきた」


希「ミューズで、9人で、ラブライブを優勝することが、うちの夢だったんよ」


希「そんで、優勝した。愛してる」


穂乃果「ばんざーい」バッ


希「ミューズが解散して、やり切った~~~~ って気持ちで溢れて。そんでな」


希「その後は、何をやりたいのかって。自分の役目ってなんなん?って」


希「そしたらな。何も、残ってなかったんよ」


穂乃果「……」

244: 2015/04/02(木) 01:40:55.72 ID:syQ2SnnO.net
.


希「穂乃果ちゃんに偉そうに言ったやん?占いで将来はわからんよって」


希「それはな、自分の将来を占ってみたからなんよ。」


希「けれど、将来なんて見えなかった」


希「にこっちは、アイドル志望で、オーディション受け続けとる」


希「絵里ちも、ここよりすっごい頭いい大学いって、前に進んでる」


希「今は言えないけど、やりたいことが出来たって言ってたんよ」





希「見つからないのは、わたし、だけ」





穂乃果「穂乃果だって、そうだよ」


希「ふふ、ミューズがやり遂げると占いで知っても、ウチは信じて待つだけだったんよ」


希「待つだけだったん」


希「進路希望って不思議やね]


希「希望してないのに、いつの間にか、進む路があって、何となくでも、進めてしまう」


希「止まって、待っとっても、勝手に進まされて、今度は自分が誰の何の役目かなんて、見えないんよ」


希「穂乃果ちゃんは、こんな先輩になったら、あかんよ」


希「先輩からの、アドバイスなんよ」


穂乃果「……」

245: 2015/04/02(木) 01:45:26.90 ID:syQ2SnnO.net
.



♪~~~ヨレイノチャイム~~~♪



希「もうお昼休みも終わりやね。ここは、うちのおごり、や」


希「午後は、絵里ちのとこに会いに行くんやろ?」


穂乃果「うん」


希「そうそう、この雑誌。ここ見てみて」ホイ


穂乃果「ファッション雑誌?」キョトン


希「そうそう、ここな。この67ページ右下。絵里ち、載っとるで」


穂乃果「へー、絵里ちゃん、すごーい」


希「……」


穂乃果「……」


穂乃果「って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、なんで?なんで?絵里ちゃんが載ってるの?」


希「さあ、読モってやつなんよ。でも、絵里ちが自分からやってみたらしいんよ。来月号にも載るで」


穂乃果「イミワカンナイ」


希「ほんと、なにを考えてるんやろ?うちに分かることなんて、なーんにもないよ?」


希「ほな、またな。穂乃果ちゃん」テクテク




.

246: 2015/04/02(木) 01:48:49.95 ID:syQ2SnnO.net
.



穂乃果「……」




ガタッ




穂乃果「希ちゃぁぁぁーん」



希「」クルッ



希「なーにー、穂乃果ちゃん」ニコ



穂乃果「穂乃果、自分でも占いでも、将来の事とかまだ分からないままだけど」



穂乃果「ひとつだけ、希ちゃんのことなら、分かるよ」



希「……」





.

247: 2015/04/02(木) 01:49:29.54 ID:syQ2SnnO.net
.



穂乃果「穂乃果は、一度だって、希ちゃんがミューズを支える役目だなんて、思ったことないよ」


希「!」


穂乃果「みんなだって、きっと思ったことなんてないはずだよ」




穂乃果「絵里ちゃんだって、希ちゃんが絵里ちゃんを支える役目だなんて、絶対思ってない」









穂乃果「友達だからだよ!!」







希「!!」



穂乃果「友達だから、一緒にいたんだって、助け合ってたんだって、思ってるはずだよ」




穂乃果「だから、役目がなくなったなんて、考えてほしくない」




穂乃果「そんなの、やだ」





.

248: 2015/04/02(木) 01:53:59.52 ID:syQ2SnnO.net
.



希「……」


希「ふふ、まったく、どっちが相談にきたんやろね」




希「はぁぁぁぁー、ほんまに、うち、不甲斐ないわー」


希「ミューズの月と太陽と呼ばれたうちらが、今は、自分の進む道も照らせんなんてな」


穂乃果「そんな風に呼ばれたことないと思う、けど……」


穂乃果「でも、照らしてみたいね」


希「うん。それはもう、みんなが目を瞑るくらいにピッカピッカに照らさんとね」ニヒヒ






希「穂乃果ちゃぁーん、わたし、この大学で必ずやりたいこと見つけるよ。見つけてみせる!」ノシ



希「うちか穂乃果ちゃんか、どっちが先に自分の道を照らせるか競争しよっ!」



穂乃果「うん」




希「ファイトやで!」グッ


穂乃果「ファイトだよ!!」グッ




.

249: 2015/04/02(木) 01:57:12.98 ID:syQ2SnnO.net
.







進路希望調査票



高坂 穂乃果 3 年○組



1 あい、せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ、せいっ! せいっ! せいっ! すたっだぁー(希ちゃんと一緒に、よ~いドンッ!!)










.

377: 2015/06/04(木) 01:11:57.89 ID:WUI0U0f2.net
同日 駅のホーム



穂乃香「さて、次は絵里ちゃんに会うから、このホームで乗り継ぎを待ってっと」


穂乃香「電車が来るのはあと10分後か~」


穂乃香「絵里ちゃん、読モとか、ほんとなにやってるのかな~」


??「はぁ~~~~~」


穂乃香(ん?何だろう、後ろのベンチで俯いてるスーツの女の人…女の子?)


穂乃香(あの娘も電車を待ってるんだよね?)


??「あぁ~~~~もうっ」


穂乃香(な~んか見たことあるような。顔は、下向いてて分かんないや)


穂乃香(よく見ると、黒髪で、ロングで、ストレートで…)


穂乃香(でも、スーツ着てるし就活生?OL?おまけに穂乃香より背が低いや)


??「よし、決めたわ!!!」バッ


??「」クイッ


穂乃香(あ、顔が見えっ)


??「」メガテン

穂乃香「」メガテン




穂乃香「にこ、ちゃん?」

にこ「げっ、穂乃香」



.

378: 2015/06/04(木) 01:12:57.43 ID:WUI0U0f2.net
穂乃香「あ、ひどーい。げっ、って、酷いよ。にこちゃん」


にこ「にこ?誰のことかしら~?にこ、わかんな~い」ニコッ


穂乃香「やっぱり、にこちゃん」


にこ「ひ、人違いじゃないかしら~?」


穂乃果「にっこ、にっこ」


にこ「にぃー♪」


穂乃香「あなたのハートに」


にこ「にこにこにー♪」


穂乃香「笑顔届ける」


にこ「矢澤にこにこー♪」


穂乃香「にこにーって覚えて」


にこ「ラブにこ♪」ニコッ




穂乃香「ごめんなさい。やっぱり人違いでしたー」




にこ「そ、そう」ヘー

穂乃香「はい。本当にすみませんでした」ペコリ


にこ「」
穂乃香「」


にこ「だぁぁぁぁ、ぬぁんで、穂乃香がここにいるのよ」

379: 2015/06/04(木) 01:14:33.80 ID:WUI0U0f2.net
穂乃香「さっきまで希ちゃんの大学まで行ってね、これから絵里ちゃんの所に向かうところ」


にこ「希に、絵里?もしや、金属バットでお礼参りじゃ」


穂乃香「進路相談だよ、もう。ちょっと穂乃香悩んでて」



これまでの経緯カクカクシカジカ



にこ「ふーん。それで、卒業生に。なによ、わたしだけ仲間はずれってわけ?」


穂乃香「え、だって、にこちゃん、ニートでしょ?さすがに進路相談は…」


にこ「んなわけないでしょー!?アイドル志望よ。アイドル志望!」


穂乃香「うそうそ、さっき会った希ちゃんが、にこちゃんのことスゴいって言ってたよ」


穂乃香「アイドルのオーディション受け続けて、前に進んでるって」


にこ「えっ? へっ、へー、そ、そうなの~。って、ちょっと待って、希が?私をスゴい?」


穂乃香「うん。やりたいことに向かってるなぁ~って」


にこ「はっ、どーせ、希のことだから、それに比べてウチは~、とか」


にこ「くっだらないことで悩んでんでしょ?」


穂乃香「なんで、わかるの?」


にこ「なによ、図星?」



穂乃香「スピリチュアルだ。スピリチュアルガールが目の前にいるよっ」




.

380: 2015/06/04(木) 01:15:44.29 ID:WUI0U0f2.net
.


にこ「他人にちょっかい出すのは得意なくせに、自分にちょっかい出せないじゃない。希は」


穂乃香「…… やっぱり、にこちゃんだね。人違いじゃなかった」



にこ「言っとくけど、あんたもよ。穂乃香」


穂乃香「うぅ」


にこ「自分のこととなると、体重さえも気にしないんだから」


穂乃香「あの時は反省してます」


にこ「にしても、わたしから見れば、穂乃果はやりたいことしかやってない様に見えるのに」


にこ「当の本人は、やりたいことが分からないなんて、こっちはやりたくないこともやってんのに嫌な話ね」


穂乃果「えっと頭の中が、こんがらがってきたよ」


にこ「ま、いいわよ」


にこ「わたしから穂乃果に言ってあげられるのは、やりたいことやりなさいってだけよ」


穂乃果「それはなんだろうなーって」


にこ「さあ?」


穂乃果「軽っ!せっかく相談してるのに軽いよ、にこちゃん」


にこ「どーうーせー、ニート?の、にこ、にはー?相談する気がなかったんでしょー?」


穂乃果「ごめんなさい」


にこ「よろしい」




.

384: 2015/06/04(木) 01:18:41.00 ID:WUI0U0f2.net
2バンホームデンシャガマイリマス~♪


にこ「わたし、反対側だから」


穂乃果「じゃあ、もうちょっとにこちゃんと話していこうかな」


にこ「そう」




穂乃果「でも、やりたいことやりなさいって、流石、にこちゃんだね」


にこ「……」


穂乃果「そうだよ。いっつもアイドルアイドルって言って、ほんとにその道を目指しているんだもん」


にこ「……」


穂乃果「そういえば、にこちゃんは何でここに?」


にこ「それは」


穂乃果「あ、ひょっとしてオーディション?」


にこ「っ!そ、そ、そーねー。オーディションといえば、そ、そ、そーかしら」アセアセ


穂乃果「やっぱりスゴいな~にこちゃんは」


にこ「それじゃ、わたしはこれで、逆のホームから乗るから」


穂乃果「え、まだ電車来てないよ。髪おろしてるのも、オーディション用なの?」


にこ「え?ええ。まー、まあね」

385: 2015/06/04(木) 01:20:22.97 ID:WUI0U0f2.net
.



穂乃果「わぁー、本気だね。最初、にこちゃんって分からなかったよ。スーツも着てるし」


にこ「す、スーツ?そうか、わたし今スーツだった」ボソボソ


穂乃果「穂乃果知らなかったよ。アイドルのオーディションって言っても、スーツ着用なんだね」


にこ「あ、アイドルでも礼節はわきまえなさいよ。平服って書いてあっても、す、スーツよ」


穂乃果「そうだったんだ。ところで、なんてアイドルのオーディションなの?」







にこ「…………じむ、のオーディションよ」






穂乃果「へー、JIMかあー。聞いたことないなー。新しいグループ?ジャパニーズ、アイドル、マスター?」


にこ「事務よ、事務」


穂乃果「ジム?ひょっとして、スポーツジムとかおっきな複合施設のマスコットガール決める的なオーディション?」


にこ「だーかーらー、データ入力したり、電話とったり、お茶出したりする、事務職よ。事務」


穂乃果「やだなー、にこちゃん。それじゃあ、オーディションじゃなくて就職面接じゃん」


にこ「そのとおりよ。って、途中から分かっててやってるでしょ穂乃果!」



穂乃果「ぶぅー、さっきの仕返しだよ」

386: 2015/06/04(木) 01:22:05.39 ID:WUI0U0f2.net
.


にこ「はいはい、そうよ。短期の事務の面接受けてきたの。ついでに、その場で即採用決まったわよ」


穂乃果「そ、そんな。昨日まで真姫ちゃんに、ニートメール送ってた、にこちゃんがOL?」


にこ「ママのツテで、紹介採用って感じだけどね」


にこ「このまま職が定まらないままより、どんな形であれ働いておきなさいって、ママがね。ま、正論よね」


穂乃果「にこちゃんが、事務」


にこ「炎上…じゃなくてアイドル活動で培ったPCスキルと、やや礼儀正しい清楚アイドルのキャラ付けで乗り切ったわ」


にこ「まだわからないけど、問題なければ、そのまま短期じゃなく正規採用もありうるって」


穂乃果「そっか、就職おめでとう。にこちゃん」


にこ「ありがと」


穂乃果「あれ?でも、最初に会った時、落ち込んでたよね」!?!?


にこ「わたしはアイドルがやりたいの」


穂乃果「そっか。そうだよね」






.

387: 2015/06/04(木) 01:24:25.61 ID:WUI0U0f2.net
.




にこ「アイドル志望は変わらないわ。オーディションも受ける。その時間が少し無くなるだけよ」


穂乃果「それで、落ち込んでたの?」


にこ「そう見えた?」


穂乃果「え?えーっと、わかんないよ」


にこ「アイドルになりたいってのは、本気。ずっと前からの夢だもの。間違いないわ」


にこ「さっきまで悩んでたのは、別の理由」


穂乃果「別の、理由って?」


にこ「このままね。就職していくのも悪くないなぁって」


にこ「ふと考えてしまう自分がいることに、わたし自身が落ち込んでんの」


穂乃果「うーんと??にこちゃんはアイドルがやりたいことで、でも今は、やりたいこと以外の事務をやるってこと?」


にこ「それでもいいって理由をずっと探しちゃってた自分がいて、なにやってんのよって思ってたのよ」




穂乃果「???」






にこ「ああ、もう。なんでわたしが、悩みを打ち明けてんのよ」


にこ「穂乃果が『穂むら』を継ぐって言ってんのと、大して変わらないって言ってんのよ」






.

388: 2015/06/04(木) 01:26:15.09 ID:WUI0U0f2.net
.



穂乃果「ええぇっ!?なんで今度は、いきなり穂乃果の話になるの?」


にこ「だって穂乃果、和菓子が特別好きだとか、お菓子作りが特別好きだとか、そんなんじゃないでしょ?」


穂乃果「そうなのかな。でも、みんなでお餅ついたり、食べたりするのは好きだよ」


にこ「みんなで、ね。なら、とっくにやりたいことが見つかってるはずじゃない。」




穂乃果「……」





にこ「誰になに言われても、自分のやりたいことをやるんだーって、穂乃果なら突っ走れるはずよ」


穂乃果「……にこちゃんは、どうなのさ」





にこ「わたしの場合、アイドルよ。わたしのことだけ考えれば、間違いなくアイドルだわ」


穂乃果「にこちゃんのことだけ?」


にこ「わたしの家、正直言ってあんまり裕福じゃないし、こころもここあも虎太郎もこれから学費かかんの」


にこ「みんな大学まで通わせてあげたいし、長女がいつまでも無職でいるわけいかないし、ママにも楽させてあげたいし」


にこ「アイドルはわたしの夢よ。でも、家族を支えてあげたいのも、わたしの夢」

389: 2015/06/04(木) 01:29:17.31 ID:WUI0U0f2.net
.


穂乃果「にこちゃんの家族は、そんなこと」


にこ「家のみんなは、誰もそんなことこ望んでませーんって、言うでしょうけどね」


にこ「わたしがそうしたいの。あの子たちを守ってあげたいの」


にこ「仕事自体は、やりたいことじゃなくても、やっていける」


にこ「お給料もらって、あの子達を養って、アイドルのおかっけやるのも、いいかなって」


にこ「全宇宙とは程遠いけど、あの子たちのアイドルでいられるなら、いいかなって」


にこ「そうやって、さっきまで、アイドルの夢を諦める理由を探してた。」






にこ「あんたと一緒よ。穂乃果」






穂乃果「穂乃果と?」


穂乃果「別に、穂乃果は雪穂のために、継ぐわけじゃないよ。お父さんのためでも、お母さんのためでもないよ」


にこ「じゃあ、誰のためよ?」


穂乃果「穂乃果のためだよ。『穂むら』がなくなっちゃうのは嫌だもん」


にこ「『穂むら』が好きなのね」


穂乃果「うん」

390: 2015/06/04(木) 01:31:24.83 ID:WUI0U0f2.net
.


にこ「でも、穂乃果が継ぐ必要はないじゃない」


穂乃果「だって雪穂は継ぐ気ないし、お父さんだってずっと先だけど、辞める日が来るし、穂乃果は『穂むら』の娘だし」


にこ「よーするに、『穂むら』が大切で、自分しか『穂むら』を守れないって思うから、継ぎたいんでしょ?」


穂乃果「うん」


にこ「継げれば、和菓子作りでも、経営でも、たとえ穂乃果がやりたくない仕事になったとしても、やろうとしてる」


穂乃果「そう、かも」


にこ「そうやって、自分のやらなきゃいけないことを周りから引っ張ってきて、自分のやりたいことにしてる」


穂乃果「……」


にこ「穂乃果のおばさまに、そこんとこ見透かされてんじゃないの?」


穂乃果「……にこちゃんだって、アイドル諦めたら、きっとみんな気づくよ?」


にこ「だーかーらー、さっき、『決めた!!!!』って決意したの」


穂乃果「なにを?」






にこ「ちょっとアイドルデビューしようと思って」






穂乃果「え?」





.

391: 2015/06/04(木) 01:34:14.99 ID:WUI0U0f2.net
.




にこ「だいたい、前々からアイドル業界には疑問を抱いていたのよ」


にこ「わざわざ芸能プロダクション入って、デビューして、CD売って、握手して、露出は激しくなるばかり」


にこ「地下アイドルやらライブアイドルなんてあったけど、最近はやっぱり握手券の波に飲まれちゃったし」


にこ「でも、この時代、スクールアイドルならPVとライブで有名になったように、CDや握手券の商法じゃない、本当にファンを笑顔にさせるアイドルがきっとあるわ」


にこ「各地でライブやって、PVで宣伝して、会いにいけるアイドルじゃなくて、こっちから会いに行くアイドル」


にこ「現場のライブだけの、その場のパフォーマンスで笑顔にさせるアイドルが必要なのよ」


にこ「だから、自分でデビューするわ!!」


穂乃果「仕事は?」


にこ「もちろん、続けるわよ」


穂乃果「ほんとにやっていけるの?」


にこ「もがいて、這いつくばって、ダメなら諦めるわ」


にこ「さっきまで、家族にアイドルを諦める理由を探してた」


にこ「でも、わたしがアイドルを諦めなきゃいけない理由なんてないわ」


にこ「だって、アイドルが好きだから」


にこ「アイドルになって、あの子達もママも養える、スーパーアイドルになればいいんだから」





.

392: 2015/06/04(木) 01:36:08.40 ID:WUI0U0f2.net
.



穂乃果「そっか、アイドルが好きなにこちゃんなら、きっとアイドルになれるよ」


にこ「……」


穂乃果「……」


にこ「穂乃果が、にこのことどれだけ買いかぶってるかしらないけど]


にこ「わたしは学生の時、一度、諦めてんのよ」


穂乃果「でも、ミューズで」


にこ「そう。あの日、部室の電気つけようとしたら、あんたたちが勝手に居座って、部長部長って呼ばれて」


にこ「ミューズに巻き込まれて、もう一回、夢を追いかけてみようって思えたわ」


穂乃果「それは、にこちゃんがアイドルを続けたいって分かったからだよ」


にこ「ええ、だから、わたしも分かるのよ。今でも、みんなアイドルを続けたいって気持ちが少しでもあることを」


にこ「あんたもよ、穂乃果」


穂乃果「……」







にこ「だから、今度は、にこが巻き込んであげる」


にこ「わたしと一緒にアイドルデビューしましょう」







.

393: 2015/06/04(木) 01:39:48.74 ID:WUI0U0f2.net
.


穂乃果「って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、なんでそうなるのー」


にこ「だって、穂乃果はこの先、やりたいことないんでしょ?アイドルは続けたいって気持ちが少しはある」


穂乃果「少しだよ。ほんのすこーし。つぶ餡の粒より小さいくらいからも」


にこ「少しあれば十分よ。1粒あれば、わたしが一万粒にしてみせるわ」


穂乃果「『穂むら』だって」


にこ「ここ数年で継ぐわけじゃないでしょ。3年間アイドルして、そこから和菓子修行。ほら完璧じゃない」


穂乃果「さっきよりもさらに、軽っ!軽すぎるよっ!穂乃果、真面目に考えてるのに」


にこ「自分のやりたいことを、他の誰かが茶々入れてきたからって、迷うようじゃ、続かないわよ」


穂乃果「学生だし、スクールアイドル」


にこ「スクールアイドルがアイドルデビューしちゃいけない決まりないわ」


にこ「私達より年下でプロのアイドルグループだっているじゃない」


穂乃果「ご、強引だぁ~」


にこ「あんたは、考えるより動いたほうが上手くいくのよ」


にこ「大丈夫。わたしと穂乃果のユニットならぜったいファンが出来るはずよ」


穂乃果「にこちゃん、仕事は続けるってさっき」


にこ「両立させるわよ。家事して、仕事して、アイドルやるわ」


にこ「だから穂乃果も、学生やって、『穂むら』手伝って、アイドルやりなさい」

394: 2015/06/04(木) 01:41:34.59 ID:WUI0U0f2.net
.



穂乃果「ほ、穂乃果の意思は?」


にこ「はいはい、じゃあ、穂乃果が、『穂むら』を継ぐって、おばさまをきちんと説得できたら、無理強いしないわよ」


穂乃果「う……」


にこ「他人にちょっかい出されて、諦めるのつまんないでしょ」


にこ「自分の事なら、自分でちょっかい出して、自分で決めんのよ」




3バンホームニデンシャガマイリマス~♪




にこ「あ、先にわたしの電車が来たわね」



にこ「じゃあ、穂乃果、デビュー用のサイトの雛形つくっておくから、明日の日曜、プロフ写真取るわよ」



にこ「時間、あけときなさいよ~」ノシ






穂乃果「」ボーゼン






.

395: 2015/06/04(木) 01:43:17.63 ID:WUI0U0f2.net
.




ケータイprprprpr



穂乃果「……はい」



絵里「ちょっと、穂乃果?今どこにいるの?待ち合わせの時間…過ぎてるわよ」



穂乃果「絵里ちゃぁん」



絵里「穂乃果…?」






穂乃果「どぉぉしたらいいかーわかんなぁいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」









進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組





1 ほっの、ほっの、ほー♪(これ、にこちゃんと一緒にやらなきゃいけないよね、きっと。ユニット名もサイトで告知して、1日一回投票とかかな)










.

954: 2016/03/09(水) 21:59:02.91 ID:4OBdJiaW.net
その日の夕方 絵里の大学近くの公園のベンチにて







絵里「紅茶でよかったかしら」ハイ


穂乃果「ありがと、絵里ちゃん」ゴクゴク




絵里「……落ち着いた?」


穂乃果「うーん」

絵里「?」

穂乃果「絵里ちゃんのおごりで飲む紅茶は、おいしーなーって」




絵里「……帰っていいかしら」




穂乃果「うそうそ、落ち着きました。元気でたよ」ガッツポーズ




絵里「130円……ね」

穂乃果「奢りじゃないの!?」








.

955: 2016/03/09(水) 22:00:58.47 ID:4OBdJiaW.net
絵里「それで……何かあったんでしょう?」


穂乃果「うーんと、どこから話したらいいのかな~」


穂乃果「穂乃果にもよく分からなくなってきちゃった」


絵里「なら、最初から……ね?」


穂乃果「うん!」





今までの経緯カクカクシカジカ






絵里「……なるほどね」


絵里「実は、海未から穂乃果の話を聞いて上げて欲しいって相談されてたの」


穂乃果「海未ちゃんに!?」


絵里「昨日、穂乃果からメールをもらうちょっと前にね」


絵里「別に隠すようなことじゃないから、話すけど、私が言ったってことは、海未に伝えちゃダメよ」


穂乃果「もちろん」


絵里「海未もことりも、穂乃果のことを心配してるのよ」



穂乃果「よし、明日は2人にもランチパック買ってあげよう」

956: 2016/03/09(水) 22:03:36.56 ID:4OBdJiaW.net
絵里「それにしても、にこが自分でデビューね」


絵里「…… そうよね。そういう方法もあったのよね」


絵里「私、難しく考えすぎてたかしら?」


穂乃果「へ?どういうこと?」


絵里「ううん、大した話じゃないわ。こっちの話」


穂乃果「?」


絵里「それよりも、いいんじゃない。やってみれば? にことアイドルデビュー」


穂乃果「ううぅ、絵里ちゃんも軽い。軽すぎるよ!」


穂乃果「穂乃果はこ~~んなにも真剣に悩んでいるのに!」


絵里「穂乃果は、悩んでいるの?」


穂乃果「悩んでいるよ。困っているんだよ。どうしたらいいか分かんないよ」


絵里「だって、内心では、穂乃果も面白そうっては思っているんでしょ?」


穂乃果「うぅ、…………うん」


絵里「アイドルするの、好きでしょう?」


穂乃果「うん」


絵里「なら決まりじゃない」

957: 2016/03/09(水) 22:05:31.46 ID:4OBdJiaW.net
穂乃果「全く決まらないよ。『穂むら』は?穂乃果が継ぐしかないんだよ」


絵里「すぐに『穂むら』がなくなるわけではないでしょ」


穂乃果「でも」


絵里「別に?私は、反対してないわよ。穂むらも継いで、アイドルもする」





絵里「穂乃果がやってみたいことをやってみればいいのよ」





穂乃果「やってみればいいって言うけどさ~、お母さんはダメだって」



絵里「だから…… 諦めるの?」



穂乃果「そんなことないよ」


絵里「なら、どうしてもダメな時は、アイドルになるの?」


穂乃果「それも、なんか違うと思う」


穂乃果「穂乃果のやりたいことってなんだろう?」


絵里「そうね。ちゃんと分かっているじゃない」




.

958: 2016/03/09(水) 22:07:48.65 ID:4OBdJiaW.net
絵里「穂乃果がなにを悩んでいるのか」


穂乃果「なにを……?」















絵里「穂乃果は、いつも決めたら一直線って感じで進んでいくもの」


絵里「同時に、みんなのことを一番よく見て、答えを出すのも穂乃果だと思うの」















.

959: 2016/03/09(水) 22:09:18.32 ID:4OBdJiaW.net
穂乃果「?」


絵里「だから穂乃果はおばさまが言ったことも、きちんと汲み取ろうとしちゃうのね」



穂乃果「どういう、こと?」



絵里「自分ができることで、みんなが納得できる答えを探そうとしちゃうのよ」




穂乃果「??」



絵里「我は強いけど、ワガママじゃないってことかしら? なんか言ってて、私も分からなくなってきたかも」フフ



穂乃果「???」



絵里「おばさまがダメってことに反対して、自分を押し通すのではなくて、受け入れて、それでもなんとか自分が穂むらを継ごうって
考える」



絵里「でもその方法も分からない。おばさまがなんでダメって言うのかも分からない。だから悩んでしまうのよ」




穂乃果「それは、やっぱり諦められないから」




絵里「それよ。本当にやりたいことって、そういうことなのよ」




穂乃果「…」エッ

960: 2016/03/09(水) 22:10:23.76 ID:4OBdJiaW.net
絵里「ふふ、なんだか思い出してきちゃった」


絵里「私も当時はこんな感じだったのかなって」


穂乃果「それって、もしかして」


絵里「ええ、そうよ。ミューズに入る前の私。生徒会長として廃校をなんとかしようって思っていた私」


絵里「やりたいことに目を背けて、結局動けなかった私」


絵里「馬鹿よね。廃校を阻止するには私しかいないって思ってたんだから」




穂乃果「私しか……いない…かぁ」ハハ




絵里「時々ね、もっと早くミューズでスクールアイドルしてたらって思うことがあるの」


絵里「もっと早くやりたいことに気づいていれば、ってね」


穂乃果「絵里ちゃん……」


絵里「でも、いつからか、いえ、卒業してからかしら」


絵里「生徒会として廃校阻止の活動をしてよかったと思うようになったの」



穂乃果「?ううん、そうだよ。みんなで、廃校を阻止したんだから」


絵里「ふふ、そうね。『みんな』で、ね」


穂乃果「?」

962: 2016/03/09(水) 22:11:55.33 ID:4OBdJiaW.net
絵里「もしも、もしもよ?もっと早くミューズに入って廃校を阻止できていたなら」


絵里「私は、『みんな』でって言っても、私は、ファンの『みんな』ってことだと勘違いしてたわね」


穂乃果「え~っと、違うの?」


絵里「たぶん、穂乃果は言わずとも分かっているから、改めて考えると戸惑うだけじゃないかしら」


絵里「あの時、穂乃果は知らないでしょうけど、生徒会でオープンスクールを企画した時に、ミューズにライブをお願いしようって役員の娘がいってくれたの」


穂乃果「へ?生徒会の方からっ!」


絵里「他にも制服が可愛いとか、アルパカを紹介しようとか」


穂乃果「なんか、既視感が」ハハッ


絵里「生徒会長として、とか、伝統を重んじなければ、とか、穂乃果たちへの対抗心なんかもあって、あの時は分からなかったけど」


絵里「生徒ひとりひとりが、みんな音乃木坂のことを考えてくれているんだなって、今になって分かるわ」


絵里「卒業式の時に、穂乃果に伝えたこと覚えているかしら」



絵里「みんなに助けられてばかりだったって」



穂乃果「穂乃果もそうだよ。今も、現在進行中で」


絵里「そんな『みんな』がいたから、廃校を阻止できたんだって」


穂乃果「うん。そうだね」

963: 2016/03/09(水) 22:13:22.90 ID:4OBdJiaW.net
絵里「それに気づけただけでも、生徒会長でよかった」



絵里「あの時、生徒会として廃校阻止の活動をやって良かったって思うのよ」


絵里「だから、今なら、理事長にだって言えるわ。あの時、学生の本分を忘れて、意地になって、廃校阻止に拘ったのは無駄じゃありませんって」


穂乃果「な、なんか正当化しているような~」


絵里「なにか言ったからしら?」ニッコリ


穂乃果「いいえなにも」


絵里「と、とにかく!やれることで無駄だったことはないのよ」オホンッ


絵里「やれることはやっておく。やりたいことがあったら、まずやってみるのよ」






絵里「私がミューズに入る時、希の言葉を今度は穂乃果に送るわ」


絵里「やりたいからやってみる。本当にやりたいことってそんな感じで始まるものなのよ」







穂乃果「そっか。希ちゃんの誰かさんって絵里ちゃんのことだったんだ」


絵里「?なんの話?」


穂乃果「いえいえ、こっちの話」

964: 2016/03/09(水) 22:15:42.24 ID:4OBdJiaW.net
絵里「私は、今、大学でやりたいことをやれるだけやっているつもりよ」


絵里「勉強もするし、バレエもまた始めようと思っているのよ」


穂乃果「そうなんだ…って、そぉ~~~だよっ。絵里ちゃん、雑誌に出てた!」


穂乃果「あれ!なにあれ!ファッション誌に出てたよ!!」


絵里「え?なんでそのことって… 希ぃ~~~、内緒にしておいてってあれだけ…」


穂乃果「モデル、だよね。だよね!来月号にも出るんでしょ?絶対買うよ!」


絵里「そんなことまで。まぁ、ちょっと興味あって。誘われたから、やってみようかな、って」


穂乃果「……怪しい」ジー


絵里「……」


絵里「はぁ~、誰にも言わないって…… 約束できる」




穂乃果「で き ま す 」グッ




絵里「今ほど、穂乃果を信用できない時はないわね」



穂乃果「ええ~、絵里ちゃんひどーい」




.

965: 2016/03/09(水) 22:18:40.67 ID:4OBdJiaW.net
絵里「まぁ、いいわ。夢は言葉にしないと叶わないともいうものね」


絵里「雑誌のモデルはね。ちょっと芸能関係と繋がりが保てればなぁ~って、甘い期待があったのよ」チョコヨリモネ


穂乃果「芸能? なんだか、如何わしい話になってきたよ」


絵里「なってないわよ」


絵里「それで、私の通っている大学って教育関係との繋がりが、かなり強いところなのよ。」


穂乃果「教育? なんだか難しい話になってきたよ」


絵里「なってないわよ。もう」


穂乃果「それが、なんでモデルになるの?」


絵里「さっき、にこがデビューするって話の時、そういう方法もあったって言ったでしょ?」


穂乃果「そういえば」


絵里「私、スクールアイドルがあって、ラブライブがあったからこそ、廃校は阻止できたと思っているの」


穂乃果「そうだね」


絵里「だから、もし、自分では解決できないような悩みを抱えている娘がいたら、チャンスを残してあげたいなって」






.

966: 2016/03/09(水) 22:20:50.11 ID:4OBdJiaW.net
.


穂乃果「チャンス?」












絵里「――――― た  す  け  て  ―――――」















絵里「――って願いを叶えてあげられるチャンスを、よ」










.

967: 2016/03/09(水) 22:22:26.20 ID:4OBdJiaW.net
穂乃果「絵里ちゃんのやりたいことって、もしかして」

絵里「そう、ラブライブに、携われる事ができたらいいなって」

穂乃果「どうすれば、出来るのかな?」

絵里「分からないわ。ふふ、ホントにね」

絵里「でも、いろんな方面に詳しくないって思ってね。だから勉強も頑張って、ちょっとモデルも噛じってみたり」

絵里「私がこれからやることすべてが、ラブライブに繋がっていくと信じてやってみるしかないわね」フフ

穂乃果「…… ねぇ、……絵里ちゃんの大学に入れれば、穂乃果にも出来るかな」



絵里「ほら、穂乃果、今、やりたいことが一つ増えたでしょ?」



穂乃果「うぅ、でも、穂乃果も目指してみたい」

穂乃果「でも、『穂むら』が…」

絵里「本当にやりたいことなんて、これからいくらでも増えてくるのよ」

絵里「でも、足踏みしてたら見つからない。始まりもしないものよ」

絵里「まずは、穂乃果のおばさまに、正直に今の自分が本当にやりたいことを全部、伝えてみなさい」

絵里「今日の夜、どうせ話すんでしょ?」

穂乃果「うん」

穂乃果「穂乃果はね、『穂むら』を守りたいよ。ずっとず~~っと残しておきたい」

穂乃果「穂乃果は『穂むら』が好きなんだよ』

穂乃果「それだけじゃダメなのかな」

絵里「いいと思うわよ」

穂乃果「でも、お母さんは…」

968: 2016/03/09(水) 22:23:50.03 ID:4OBdJiaW.net
.


絵里「いい機会だから、教えてあげる」


絵里「穂乃果にね、ずっとずっと感謝していることがあるの」


穂乃果「へ?穂乃果に?」


絵里「ええ。亜里沙がね、ミューズに入りたいと行った時」


絵里「ミューズをね、解散すると決めてくれたことよ」


穂乃果「あれは、みんなで決めたことだから」


絵里「そうじゃなくて、メンバー全員がそれぞれ考えて、同じ答えを出したでしょ?」


穂乃果「うん」


絵里「今夜、おばさまと話す前にもう一度、思い返してみて」












絵里「ねぇ、穂乃果。どうしてミューズを解散させたの?」












.

969: 2016/03/09(水) 22:26:28.63 ID:4OBdJiaW.net
.






進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組




1 すきなことすぅぅ~~~きぃなぁことでぇ~、がんばれぇ~~るならぁぁ~~
(沢山ありすぎて困っちゃうよ。『穂むら』も、アイドルも、ラブライブも、みんなも。ううん、みんながいたから、好きになれたんだ)

2


3






.

970: 2016/03/09(水) 22:27:24.16 ID:4OBdJiaW.net
.

その夜 穂乃果の家 居間にて




ほのママ「あら、あなた。どうしたの?正座なんかしちゃって」


ほのパパ「……」トナリニユビサシ


ほのママ「隣に座れって?」


ほのパパ「……」ウンウン


ほのママ「はいはい。なんなのよ、もう」スッ


ほのパパ「……」フスマ、ジー


穂乃果「あっ、お母さん。いたいた。探してたんだよ」フスマ、ガラッ


ほのママ「穂乃果? ……は、はーん、なるほど、私たちに話が」


穂乃果「あるよ!」


ほのママ「進路希望調査票できたの?見せてみなさい」


穂乃果「それなんだけど~」モジモジ


ほのママ「なによ。よそよそしいわね」




穂乃果「…… はい、これ」




.

971: 2016/03/09(水) 22:28:41.78 ID:4OBdJiaW.net
.




進路希望調査票


高坂 穂乃果 3年○組





1


2


3





.

972: 2016/03/09(水) 22:30:56.64 ID:4OBdJiaW.net
.


ほのママ「って何よこれ?白紙じゃない」

ほのパパ「……」ジー



穂乃果「何からやっていいか分からなくなっちゃって」ユビツンツン


ほのママ「はぁ~~、もういいわ。なんか破る気も失せちゃったわ」


ほのママ「我が娘ながら、そこまでとはね。いいわ、穂乃果。あなたとりあえず進学しておきなさい」


ほのママ「そうすれば、アイドルだって続けられるでしょ?」


穂乃果「そうじゃないっ。そうじゃないんだよ。お母さん」


穂乃果「これが白紙なのはね。穂乃果が一番最初にお母さんとお父さんに聞かなかったから書けなかったんだよ」


ほのママ「なにをよ?」


ほのパパ「?!?!?」!?!?


穂乃果「穂乃果はね…… わたしは、『穂むら』が好きなんだよ」


ほのママ「知ってるわよ。だから『穂むら』が無くなるようなことはしないわよ」


ほのパパ「……」コクコク


穂乃果「わたし、ミューズを解散させる時、思ったんだ。9人揃ってのミューズだったんだって」


穂乃果「9人だからこその、ミューズだったんだって」ウルッ


穂乃果「そのまま続けて、他の誰かが入ってきても、それは、ミューズじゃないんだって」


ほのママ「そう」

973: 2016/03/09(水) 22:32:42.30 ID:4OBdJiaW.net
.


穂乃果「考えた。今までで、いっちばん考えたよ。きっと、『穂むら』のことも同じなんだって」


穂乃果「だから、分かったんだ」


穂乃果「もう一度言うね。わたし、『穂むら』が好きなんだ」


ほのパパ「……」


穂乃果「お母さんとお父さんが作ってきた『穂むら』が好きなんだよ」


ほのママ「……」


穂乃果「わたしが、生まれた時から今まで過ごしてきた『穂むら』が好きなんだ」


穂乃果「わたしが継ぎたいのは、わたしが大好きな『穂むら』なんだって」






穂乃果「だから、わたしが好きな『穂むら』とお父さんとお母さんが思っている『穂むら』が一緒だったらいいな」


穂乃果「もしも、もしもだよ?本当に一緒だったら、他の誰でもない穂乃果が『穂むら』を継ぎたいな」






穂乃果「同じ味とか伝統とか格式とか、他の誰かでも継げるような『穂むら』だって考えてるなら」







穂乃果「わたしの想っている『穂むら』と違うなら、わたし、『穂むら』を継ぎたくない」



穂乃果「ううん。わたし、継がない」




.

974: 2016/03/09(水) 22:34:18.71 ID:4OBdJiaW.net
.


穂乃果「最初の一歩、一番大事なことを聞くのを忘れてたんだ」




















穂乃果「お母さん、お父さん、『穂むら』を、どんなお店にしたかったの?」






















.

975: 2016/03/09(水) 22:36:01.97 ID:4OBdJiaW.net
ほのパパ「……」ジーン プルプルッ))

ほのママ「そんなこと。今更言う必要ないでしょ?」

穂乃果「……」


ほのパパ「……」エッ?ソウナノ?


穂乃果「そうかな。大事なことだと思うけど」


ほのママ「そうよ。ほんと、生意気な口きくようになったわね。誰に似たのかしら?」


ほのパパ「……」ジーーー


ほのママ「はい?」


ほのパパ「……」フルフルッ)))))


ほのママ「パパと継いできたこの『穂むら』、最初は、2人だけで始まって、お客様が増えていって」


ほのママ「そこに穂乃果が加わって、気づけば雪穂が生まれて、大きくなって、今も続いているんだから」


ほのママ「穂乃果が見てきた『穂むら』と私達が作ってきた『穂むら』が違うはずないでしょ?」


穂乃果「うん。本当だね」


ほのママ「穂乃果の『穂むら』には、当然、私達がいるんでしょうね?」


穂乃果「当たり前だよ!これからも不束者ですがよろしくお願いします」ミツオリペコリッ


ほのママ「そう。分かったわ」


穂乃果「だから穂乃果の『穂むら』にするね」






ほのママ「…… ダメよ♪」




.

976: 2016/03/09(水) 22:39:19.67 ID:4OBdJiaW.net
.



穂乃果「って、ええぇ~~~。いま、そのまま継ぐ流れだったじゃん!なんで?なーんでだよっ!」




ほのママ「穂乃果の気持ちは十分伝わったわよ。うん」


ほのパパ「……」ナミダ ダッーーー


ほのママ「でも、なーんかお茶を濁されたようなきがするのよねぇ」



穂乃果「……」ギクッ



ほのママ「だいたい、そこまではっきり考えてるなら、白紙じゃなくて、『穂むら』を継ぐって書きなさいよ」


ほのママ「書けないの?」


穂乃果「『穂むら』を継ぎたいのは本当だよ?」


穂乃果「……実は、他にもやってみたいことが次々と出てきちゃって……」アハハ


穂乃果「部活も、生徒会も全力でやりたいし、アイドルも、その先も……」テヘペロ


ほのママ「その先?」


穂乃果「今はまだ内緒なの!」


ほのママ「まぁいいわ。月曜日に、先生に相談してみなさい。穂乃果がやってみたいこと全部、やってみる進路はどうすればいいかって」


ほのママ「たぶん、十中八九、進学を勧められるでしょうけど、ねぇ?」


ほのママ「やりたいように、やってみなさい!」



穂乃果「っ!……うん」グッ

ほのパパ「……」グッ

977: 2016/03/09(水) 22:41:20.47 ID:4OBdJiaW.net
その夜



ケータイprrrrr


穂乃果「もしもし海未ちゃん?」


海未「どうしたんですか?こんな時間に」


穂乃果「あのね、さっきことりちゃんにも話したんだけどね、やっぱり新入生歓迎会のライブ出ようよ!」


海未「やっぱり、そういうと思ってましたよ」


穂乃果「うんうん、驚くのも無理は無いって、えぇぇぇ~!?なんで分かったの」


海未「なんとなくですが、直前になって、穂乃果はそう言うだろうって、ことりと話していたんですよ」


穂乃果「お見通しだったか~」テヘヘ


海未「でも、振付を覚えて、花陽たちとも合わせなくてはなりません」


穂乃果「うん」


海未「明日は、朝から特訓ですよ!!」


穂乃果「望むところだよ!!」


海未「その意気です。それでこそ穂乃果です。ことりにも伝えておきます」


穂乃果「うん。それじゃあ、またあした」ピッ


穂乃果「さて、もうひとつ電話っと」

978: 2016/03/09(水) 22:47:38.53 ID:4OBdJiaW.net
ケータイprrrrr



穂乃果「もしもし、にこちゃん?」


にこ「そろそろ、かかってくると思ってたわ」


穂乃果「にこちゃんも、お見通しだったか~」テヘヘ


にこ「いいわよ。先に私一人で宇宙No.1アイドルになっておくわよ」


穂乃果「にこちゃん、穂乃果、諦めてないからね」


にこ「あったりまえでしょっ!もっとも~?追いつけないくらい高いステージに居ると思うけどね」


穂乃果「望むところだよ!!」


にこ「そう、じゃあ頑張んなさいよ。穂乃果、それとわたし!!」




穂乃果「でも、デビューするってスゴいと思う。これで、ミューズから絵里ちゃんとにこちゃんの2人が芸能人かー」




にこ「……ちょっとまちなさいよ、ぬぁんですってぇ~?絵里が?」



穂乃果「あ、やば、えー、えーっと、ファッション誌のモデルに~」アハハ


にこ「こーしちゃいられないわ、絵里に問い詰めてやるわ!」ピッ


穂乃果「にこちゃん?あれ?にこちゃーん?もしもーし」ツーツーツー


穂乃果「ま、いいか」テヘッ





.

979: 2016/03/09(水) 22:49:42.46 ID:4OBdJiaW.net
.
穂乃果「よし、おかーさーん。明日から、また朝練やるから早く起こしてねー?」

















ほのママ「何を言っているのよ。穂乃果?明日の仕込みは、朝の4時からよ?」













穂乃果「…………へ??????」ナニヲイッテイルノ?オカーサン


ほのママ「朝練の前に仕込みを終わらせなきゃ、仕込みを覚えないでしょ?」トーゼン


穂乃果「え?」


ほのママ「それに、まだ宿題も終わってないでしょ?」


ほのママ「まず間違いなく、受験生になるんだから、これから毎晩、受験勉強なさい。チェックするわよ」


穂乃果「なんで!?」

980: 2016/03/09(水) 22:58:00.62 ID:4OBdJiaW.net
ほのママ「当たり前でしょ?やりたいこと、全部やるんでしょ?」

ほのママ「部活も、生徒会も、『穂むら』も、アイドルも、その先も。全部やるって言ったわよね?」

穂乃果「……」イイマシタ

ほのママ「言っておくけど、手を抜くような人に『穂むら』を継がせないわよ」

穂乃果「……」ソーデスネ

ほのママ「これから、ビシバシッ、いくから覚悟しときなさい」

穂乃果「……」デスヨネー

ほのママ「仕込みも毎朝4時よ。それから朝練。昼は学校、夕方は部活、ご飯前に『穂むら』、夜中は受験勉強!!」

ほのママ「全部よ!全部。やり遂げなさい!最後まで!!」

穂乃果「…………」汗ダラダラ

ほのママ「ほら、ファイトでしょ!」グッ

穂乃果「ふ、ふぁ、ファイト!?、だよ?」汗ダラダラダラダラダラダラ



穂乃果「自分で選んだから、渡っているけど、言わずにはいられないよっ!」






穂乃果「えっ?えぇ~~!? 穂乃果って、『穂むら』を継げばいいんじゃなかったの~~」








穂乃果「」ヤリトゲルヨサイゴマデ

おしまい

981: 2016/03/09(水) 23:01:09.15 ID:4OBdJiaW.net
長い間、保守ありがとうございました。
スタダの歌詞を間違えたのは、一番のミスなので、校正したものは、いずれ渋に上げるつもりです。
映画とかシンガー関わらせるか迷ったけど、最初の通りでいきました。ぶれぶれに変わっているけど。
最後にもう一度、保守ありがとうございました。

985: 2016/03/09(水) 23:06:25.80 ID:sFJogyJ0.net

できれば後日談も見てみたいな

986: 2016/03/09(水) 23:08:41.55 ID:dcg6UZZ0.net

よかった

引用元: 穂乃果「えっ? えぇ~~!? 穂乃果って、『穂むら』を継ぐんじゃないの?」