1: 2015/02/19(木) 17:11:08.55 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「この日のためにどれだけ努力してきたか…」

アナウンス「6年生男子はスタート地点に集合してください」

ぼく「勉強もできず友達もいない僕だが、走ることだけは好きだった。」

3: 2015/02/19(木) 17:11:48.24 ID:Jt1JZj5R0.net
運動クラブには所属していない。50mなどの短距離は遅い。しかし彼の力は長距離で発揮される。
彼は年に一度の校内マラソン大会で優勝し、ヒーローになるため涙ぐましい努力を続けてきた。
放課後は毎日走り込み。コースを事前に調べ戦略を練った。

7: 2015/02/19(木) 17:17:03.72 ID:Jt1JZj5R0.net
そして…

アナウンス「5年生男子の部の優勝は、ぼく君です。おめでとう。」

他の生徒「えっあいつが?すげぇじゃん」

ぼく「ついにやったぞぉぉぉ!運動部連中を差し置いて僕が一番だぁ!!」

・・・

ぼく「あれから1年、今回は2連覇がかかるわけだ。ノーマークだった去年と違って期待が大きい。しかしそれを乗り越えてこそ最強の称号を得られるのだ」

9: 2015/02/19(木) 17:24:23.24 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「6年生のコースは去年の5年生コースよりも若干長い。しかし僕はこのコースを一年かけて研究し100回以上走っている。抜かりはない。」

ぼく「まぁライバルは5組の吉田だろう。サッカー部で神童と言われ身体能力が段違いだ。」

ぼく「しかし僕はお前と違って走ることだけに全てを捧げてきた。ボール蹴りにかまけてる奴には負けん。」

13: 2015/02/19(木) 17:30:15.90 ID:Jt1JZj5R0.net
女子「キャー吉田くんガンバって~」

ぼく「ふん、ビXチどもめが。余裕があったら吉田をゴール直前で抜いて奴らを絶望させてやるのもいいな…」

ぼく「いかん、マラソンは己との戦いなのだ。邪心に囚われてはいかん。」

先生「はーい並んでー」

14: 2015/02/19(木) 17:34:52.45 ID:Jt1JZj5R0.net
男子「ワイワイガヤガヤ」

ぼく「ふん、ヴァカな奴めが。スタート地点で我先にと前にポジショニングをとりたがる…所詮は小学生よ。」

ぼく「こういうのはスマートに後ろからスタートすればいいんだよ。優勝はしたい、しかし必氏さを回りに悟られてはいけないのだ。」

18: 2015/02/19(木) 17:38:43.92 ID:Jt1JZj5R0.net
先生「よーい」

ピストル「パーン」

ぼく「さぁ、落ち着いて行こう。長い戦いが始まる。」

ドドドドドドドド

ぼく「なっ!?一人物凄いロケットスタートをかました奴がいるぞ?」

ぼく「50m走かよ!あいつは確か…転校生の松本!」

松本「うぉーーーーーー」

19: 2015/02/19(木) 17:43:37.26 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「ぶっ…はははは…あっーはっはっはっ!あいつ馬鹿だ!!馬鹿だろ!あんなペースじゃすぐ息切れだろ!」

松本「うぉーーーー」

ぼく「そういやあいつ普段から馬鹿っぽかったよな。モノホンの馬鹿だったな。マラソンはペース配分なんだよ。頭のスポーツなんだ。」

ぼく「そのまま力果てて後からスタートした女子にも抜かれてしまえ。アハハハハハハ」

20: 2015/02/19(木) 17:48:06.80 ID:Jt1JZj5R0.net
彼の学校は丘の上にある。スタートし学校を出ると長い下り坂が延々と続いているのだ。

ぼく「どいつもこいつもこの下り坂はビュンビュン飛ばすねぇ。しかし、僕は下り坂こそ押さえて走る。折り返しまでは4分の力でいい。」

ぼく「行きはスイスイ進める下り坂。しかし帰りは地獄のマウンテン。奴らはそれが頭に入ってないのか?餓鬼どもめ。」

21: 2015/02/19(木) 17:51:35.66 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「おや、松本の奴まだ先頭を走ってるな。意外と体力がある…」

ぼく「もしや単なる馬鹿ではなく戦術として大逃げを狙ってるのか?」

ぼく「いや、焦ることはない。大逃げが上手く決まらないことは競馬で実証済みではないか…僕は僕のペースを守るだけさ。」

23: 2015/02/19(木) 17:55:24.81 ID:Jt1JZj5R0.net
折り返し地点通過

ぼく「さて、ギアを上げていくとしようか。」

ゴゴゴゴゴゴゴ

ぼく「ここまで体力を温存している分、羽が生えたように足が軽いぞ。」

ゴゴゴゴゴゴゴ

ぼく「ふはははは。どんどん抜いていくぞ。これよ!この快感よ!他の奴らはもう体力をあらかた使ってしまってるんだ。だからこそ出来るこのごぼう抜き!!ふはははは」

ぼく「僕は今、風と一体化している。風に乗っている。どこまでもいける!飛んでいる。ふぉわーー」

26: 2015/02/19(木) 18:00:31.15 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「さて、後は前に5人程か。ゴールまでは後少し。しかし焦る必要はない。」

例の地獄のマウンテンがお前らを阻むのだ。

足取りは重くなる。地面に足が吸い付くような地獄の坂が学校まで続く。

ぼく「案の定上位集団がペースダウンしてきたぞ!この坂道が最大の勝負所…何度もシュミレーションしてきたんだ!」

27: 2015/02/19(木) 18:08:53.35 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「3位まで上がったぞ。あと前には…吉田!」

吉田「はあはあ…」

ぼく「おやおや、どうしたんですかぁー?サッカー部の神童様よぉ。」

ぼく「まさか運動部に入ってない僕に抜かれちゃったりしないよねぇー」

ぼく「ほいじゃお先ぃ~!」

ぼく「ふはははは…あいつは僕に抜かれた事実を一生背負って生きていくんだな。将来何度もなく思い出して悔しがるんだろうな。最高だ!」

ぼく「あと前には…松本…ただひとり」

29: 2015/02/19(木) 18:16:47.36 ID:Jt1JZj5R0.net
松本「うぉーーーーーー」

ぼく「松本よ、お前は本当によくやったよ。大健闘だ。ロケットスタートの後もペースを殆ど落とさずゴール目前まできた。」

ぼく「でも流石のお前も地獄の坂道には足をとられたんだな。坂道がなかった僕はヤバかっただろう。」

ぼく「満身創痍だろう。もうボロボロなんだろう。気力だけで走っている状態。お前も優勝を狙って日々トレーニングを積んできたんだろう。」

ぼく「でもな、ごめんな。僕はまだ少しだけ余力があるんだよ。つまり後一度だけスパートをかけれるということだ。」

ぼく「それでお前を抜く。スタートからずっと首位で最後の最後に僕に抜かれるんだ。悔しいだろう。しかしそれがお前の運命だ。主役になるのはこの僕なんだよ。」

30: 2015/02/19(木) 18:22:27.11 ID:Jt1JZj5R0.net
運動場では既に走り終わった他の学年の生徒が集まっている。大観衆の前でゴールテープを切る。それは学校人生最大の誉れである。

ぼく「さぁ見せてやるよ。僕の最後のスパートを…」

ぼく「はぁぁぁぁぁぁぁぁぐぉぉぉわぁぁぁぁー」

パパパパパパパ

ぼく「僕の体を閃光が包んでいる。まばゆい光の中で僕は優雅に加速する。栄光へ、最高の名誉へ」

ぼく「ラストスパァァーーーーット!」

31: 2015/02/19(木) 18:24:29.08 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「・・・」

松本「・・・」

ぼく「・・・」

ぼく「何故だ。」

ぼく「何故差が縮まらない?」

ぼく「何故なんだ!あと150mしかないぞ!」

33: 2015/02/19(木) 18:31:26.84 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「もしや、あいつもスパートをかけてるのか?」

ぼく「あれだけスタートから飛ばしてどこにそんな力が残っているんだ!?」

ぼく「あ、あいつは…天才…?」

ぼく「僕の努力ではどうにもない…天才」

松本「ふふっ」

ぼく「振り返って笑いやがった。…負けたよ。僕の一年間の努力はお前の前座に過ぎなかったんだな。」

34: 2015/02/19(木) 18:36:44.88 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「涙が出てきやがるぜ。2位なんて最下位と一緒だ。」

ゴール

ぼく「負けた。負けたんだ。僕が…うわぁぁぁぁぁえーーーーん」

アナウンス「6年生男子は3組の、ぼく君でした」
生徒たち「ぱちぱちぱち すげぇ2連覇だ!」

ぼく「えっ?」

35: 2015/02/19(木) 18:38:56.76 ID:Jt1JZj5R0.net
ぼく「ま、松本だろ1位は?」

先生「えっ?松本くんなら先週また転校していったぞ。」

ぼく「じゃあ僕と一緒に走ってたのは…」

37: 2015/02/19(木) 18:51:23.23 ID:+Y2UGr6I0.net
終わりか

38: 2015/02/19(木) 18:53:48.41 ID:gDIRU3Il0.net
え……ホラーなの?

39: 2015/02/19(木) 19:01:35.48 ID:+RgDBk3gM.net
松本こっわ

引用元: ぼく「ついに、マラソン大会の日がやってきた。」