1: 2013/10/13(日) 01:53:19.35 ID:XYbjtOb60
苗木「流石不二咲さん!」

不二咲「iphoneにアプリを入れるだけで楽々ワンタッチで葉隠君の頭上に人工衛星を落とすことが出来るんだ」

苗木「かがくのちからってすげー」

不二咲「人工衛星をハッキングしたり、墜落の角度を計算したり、実際の距離も結構あるからタッチした後に墜落するまでに若干のラグがあるから気を付けてね」

苗木「ありがとう。後で試してみるよ」

不二咲「このアプリは本当に危険だからくれぐれも悪用しないでね? 絶対だからね」

苗木「分かってるって」

不二咲「苗木君のことは信じてるけど、それでも心配だなあ……そうだ。苗木君のiphonにアルターエゴを入れてたんだった。いざとなったらアルターエゴに止めて貰おう」

2: 2013/10/13(日) 01:54:29.82 ID:XYbjtOb60
苗木「んーむにゃむにゃ」

江ノ島「絶望……絶望……絶望するといいよ……世界を絶望に塗り替えちゃえ」

苗木「ぜつ……ぼう……?」

江ノ島「そうそう、いい感じに洗脳されて……」

石丸「コラ! 苗木くん! 授業中の居眠りはダメだぞ!」

苗木「はひぃ」ビク

江ノ島(ち……もう少しで絶望睡眠学習が完了するところだったのに。まあいいや。これで苗木も絶望堕ちするかな?)ワクワク

3: 2013/10/13(日) 01:56:15.65 ID:XYbjtOb60
葉隠「よぉ苗木っち! 戸籍くれねえか?」

苗木「やだよ」

葉隠「いいじゃんいいじゃん減るもんじゃねえし」

苗木「良くない! 全然良くない!(なごむわー! ずんずんなごむわー!)」

葉隠「頼むって! 借金の返済日が近づいてるんだべ」

苗木(自分は蓄えがある癖にボクの戸籍を奪おうとするなんて……なんて絶望的に酷いやつなんだ……!)

苗木(そうだ! 不二咲さんに貰ったアプリを使えば……ククク、こいつは生かしてはおけんな)

アルターエゴ『ダメだよ苗木君……』

苗木「アルターエゴ? どうしたの?」

アルターエゴ『ご主人タマが悪用しちゃダメだって言ったじゃない』

苗木「でもこんな屑を生かしておけないよ! 今こそが正しい使い道じゃないか! 屑は粛清される! それこそがこの世界の真理だよ!」

アルターエゴ『苗木君はそれでいいの? 絶対に後悔しない? それなら起動するけど……』

苗木「ボ、ボクは……」

4: 2013/10/13(日) 01:58:21.09 ID:XYbjtOb60
アルターエゴ『葉隠君はクラスメイトじゃないの? クラスメイトが間違った道に進もうとしている時は全力で止めるのが仲間じゃないの? ちょっと気に食わないからって簡単に頃しちゃうの?』

苗木「ぐぬぬ……」

アルターエゴ『葉隠君だってきっと更生できるはずだよ。それをタッチ1つで、葉隠君の未来を奪うっていうの? 苗木君はそれで本当に自分が正しい使い道をしたって胸を張って言える?』

苗木「それは……そうだね……ボクが間違ってた。ごめん」

アルターエゴ『思いとどまってくれた?』

苗木「うん。ボクはどうかしてたんだ」

苗木(そうだ。人は簡単に人を殺せる武器を手にしたら何をしでかすかわからないんだ……だからこそ、それ相応の物を持つには責任を持たなければならない)

苗木(この人工衛星墜落のアプリは決して悪用してはいけない……ちゃんと正しい使い道をしないと。ましてや他人に渡してはいけない代物)

苗木(このアプリはボクが責任持って管理するよ)

苗木「ボクはもう絶望に堕ちたりなんかしない! ボクが間違いそうになった時に止めてくれたアルターエゴのためにも! 希望は前に進むんだ!」

江ノ島(あれあれ? 計画失敗。まあいいや)

THE END



もうちょっとだけ続くんじゃ

5: 2013/10/13(日) 01:59:47.74 ID:XYbjtOb60
くぅ~疲れましたw これにて完結です! 
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、ご家族のみんなへのメッセジをどぞ

寅之助「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒な汚職事件も見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

仁「いやーありがと! 
宇宙の恐ろしさは二十分に伝わったかな?」

こまる「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

千秋「見てくれありがとう! 
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

大亜「・・・ありがと」ち~ん

では、

寅之助、仁、こまる、千秋、大亜、俺「皆さんありがとうございました!」

終里

寅之助、仁、こまる、千秋、大亜「って、なんで俺くんが!? 
改めまして、ありがとうございました!」

7: 2013/10/13(日) 02:01:49.11 ID:XYbjtOb60
モノクマ「うぷぷぷぷこれで終われると思ってんの? そんなの甘いよ! そんなの大甘だよ! デビル甘だよ! 地獄甘だよっ!! むしろ本番はこれからじゃん!」

モノクマ「ということで本編スタート!」

モノクマ「あ、これから先は2のネタバレがあるから、プレイ済み推奨だよ」

モノクマ「ギャグ要素はありません。純度100%のシリアスをお届けします」

8: 2013/10/13(日) 02:03:57.42 ID:XYbjtOb60
不二咲「ふあーあ……徹夜でアプリ作ったからなんだか眠いや」

??? 「動くな!」ガバ

不二咲「んぐ……」

??? 「貴様が開発した人工衛星ミサイルを落とすプログラムはどこだ?」

不二咲「んんー」

??? 「シラばっくれるつもりか? まあいい。連れ帰ってたっぷり聞き出してやる」



九頭龍「遅かったな……お前がしくじるとは思ってないが少し心配したぜ」

辺古山「ハッ。申し訳ございません。探すのに手間取ってしまいました。結論から申し上げます。人工衛星を落とすプログラムは見つかりませんでした。代わりに製作者と思われる少女の拉致に成功しました」

九頭龍「そうか、それだけで十分だ。よくやった。後は俺がこいつから情報を聞き出してやる」

辺古山「ハッありがとうございます」

10: 2013/10/13(日) 02:05:39.76 ID:XYbjtOb60
終里「なあ。ところで人工衛星ってなんだ? 食えるのか?」

詐欺師「衛星とは惑星の周囲を回っている星のことだ。人工衛星とは人工的に作られた衛星のこと。地球の周囲を回って様々なデータを収集・解析する目的がある」

左右田「ついでに言うなら、人工衛星とミサイルの基本構造はほぼ一緒だぜ。弾頭部分に爆弾や生物・科学兵器を入れればミサイル。通信衛星を入れれば人工衛星としての役割になるんだ」

左右田「今回のプログラムは人工衛星の通信衛星部分をハッキングして、軌道を無理矢理修正させてミサイルとして人工衛星を落下させるものだ。兵器として作られたミサイルに比べれば威力は少ないけど、それでも被害は尋常じゃないぜ!」

終里「なんかよくわからんが食えないってことはわかったぜ」

左右田「大気圏に入る時の入射角によって、人工衛星が途中で分解・炎上し、燃え尽きる可能性がある。超高校級のプログラマーと評される不二咲千尋なら最適な入射角をプログラムに計算させ、ほぼ燃え尽きてない状態で地上まで運ぶことが可能なはずだぜ」

罪木「ふゆぅ。人工衛星が落ちたら危ないですよぉ」

左右田「危ないからこそ意味があるんじゃねえか! 落ちた人工衛星の残骸は俺が貰っていいか? 結構いい素材使ってそうなんだよな。へへへ」

西園寺(ビッグバン)「まさか怖気づいたとか言わないでよ? 人類に絶望を振りまくのが今更怖いですぅとか言い出したら怒るからね!」

罪木「す、すみません。そういうわけじゃなくて、ただ、人工衛星が落ちたらあの人も危ないんじゃ……」

西園寺「あの人ならお前に心配されるまでもなく、安全な場所に避難するはずだよ。ゲロブタの分際で一々余計な心配しなくていいんだよ!」

罪木「はいすみません。ゲロブタですみません」

12: 2013/10/13(日) 02:08:17.84 ID:XYbjtOb60
九頭龍「なあ……いい加減吐いてくれよ。こっちはやろうと思えば極道仕込みの拷問だって出来んだぜ?」

不二咲「し、知らないよ! そんなプログラム」

九頭龍「うるせえ! テメーの穴に酒瓶ぶっこむぞ!」

不二咲「ひ、ひい!」スッ

九頭龍「おい、何で尻隠した? テメーの穴にぶっこむぞって脅してんのに、尻の心配するとかよ……なんだんだこいつは。普通前の穴だろ!」

不二咲「あ、いや、そ、それは……」

九頭龍「お、おい。お前まさか男か?」

不二咲「………………」

九頭龍「なんてこった!」

不二咲「と、とにかく言うことは何もないよ」

九頭龍「チッ。ダメだこいつ。ちょっとやそっとの脅しには屈しないし、かといって拷問に耐えられる体力もなさそうだ……一番やりづれー野郎だな」

江ノ島「うぷぷぷぷ。もっと頭使いなよ」

罪木「あああん!!」ビクンビクン

江ノ島「私様の姿を見ただけで絶頂するとは……ニンゲン風情かと思ったが、既に調教済みのニンゲン以下の家畜のようだな」

14: 2013/10/13(日) 02:12:16.10 ID:XYbjtOb60
九頭龍「頭を使うってどういうこった?」

江ノ島「不二咲がそこまでして頑なに秘密を守るってことは、例のプログラムはこいつの身近な人間が持ってる可能性が高い」

九頭龍「仲間に危険が及ぶのを防ぐためか……く! こいつ漢じゃねえか! 絶望に染まってくれれば、オレの舎弟にしてやってもいいな」

江ノ島「ハイハイ。敵に感情移入しない。ってことは、こいつの仲間がこの場所に来るように仕向けるのが一番手っ取り早いと思わないかい?」

九頭龍「なるほどな……」

江ノ島「というわけで、既に脅迫状は出しておきましたー。みんなで協力して奴らを返り討ちにしてねーうぷぷぷぷ」

九頭龍「仕事はえーな」


江ノ島(さて、これからどうなるのか楽しみ楽しみ。センパイ達はまだ完全に絶望に染まりきったわけじゃないし、まだ良心の欠片が残ってるいるのもいる。私のクラスメイト達をけしかけて、コロシアイをさせればどっちが勝つにせよ面白いことになりそう)

15: 2013/10/13(日) 02:14:42.60 ID:XYbjtOb60
石丸「み、みんな大変だー!」

苗木「どうしたの石丸クン?」

石丸「ふ、不二咲くんが誘拐された!」

大和田「なんだって! チクショウ! どこのどいつだ! 教えろ兄弟!」

石丸「落ち着きたまえ兄弟。僕の下駄箱にこんな脅迫状が……」

不二咲千尋は誘拐した
返して欲しければ、人工衛星落下プログラムを持って廃工場まで来い
警察に言えば不二咲千尋の命はないと思え

超高校級の絶望一同

霧切「超高校級の絶望……厄介な相手ね」

石丸「知っているのか霧切くん!?」

霧切「私も詳しいことは知らないわ。ただ、ここのところ増えている行方不明者や氏亡者が出た事件の裏には超高校級の絶望がいると噂されてるの」

葉隠「おいおい。そんな危険な相手なのかよ」

苗木(人工衛星……多分アレのことだな。でも、アレを誰かに渡すわけにはいかない! 超高校級の絶望が相手なら尚更だよ。そうなると答えは1つしかないよね?)

苗木「みんな行こうよ! 不二咲さんはボクらの仲間だ! 助けないわけにはいかないよ!」

16: 2013/10/13(日) 02:16:48.94 ID:XYbjtOb60
大和田「よく言った苗木! それでこそ男だ! アイツを……不二咲を助けに行くぞ!」

桑田「マジかよー……でも、行かないわけにはいかないか。よっしゃ! オレも協力してやんよ!」

セレス「お待ちください。これが悪戯の可能性はありませんか?」

大和田「あ? そん時はそん時だ! こんな下らねえ悪戯しやがった奴をオレがぶっ頃すだけだ!」

十神「悪戯ならまだいい。これが俺たちを陥れるための罠だったらどうする?」

大和田「だったら、何だって言うんだよ! 不二咲を見頃しにするつもりか!」

苗木「ん? メールだ……知らないアドレスから……こ、これは!!」

石丸「どうしたんだ苗木君!」

苗木「このムービー……不二咲さんが縛られている映像だよ」

大和田「んだと! おい! 不二咲無事か!」

十神「ムービーに語り掛けてどうする」

??? 『うぷぷぷぷ……これは悪戯でも罠でもないよ。でも、本当に来ないと不二咲千尋さんは氏んじゃうかもねー』

大神「一番体の弱い不二咲を狙うなんて……許せん!!」ゴオオオオオ

朝日奈「ひい! さくらちゃんが燃えている!」

18: 2013/10/13(日) 02:20:05.87 ID:XYbjtOb60
苗木(結局、ドラマの撮影で欠席してる舞園さん。何故かいない江ノ島さんと戦刃さん。疑い深いセレスさんと十神クンと腐川さんを除くみんなで例の廃工場まで来たけど……)

石丸「よし。みんな集まったな。それぞれが持ってきた武器を確認しようではないか! 僕は毎朝素振りに使っている竹刀を持ってきたぞ」

苗木「ボクは体育館にあった模擬刀だよ。こんなのでもないよりマシかなって……後は不二咲さんが開発したアプリが入ってるアイポンかな。一応何かの役には立つと思う」

大和田「オレは修学旅行で買った木刀と愛用の単車だ」

山田「脅威の刀率!?」

大和田「あ? そういうオメーは何持ってきたんだよ」

山田「僕はガンガン(鈍器)を持ってきましたぞ。本当は薄い本専門なのですが、今回ばかりは攻撃力と防御力を重視しましたぞ。服の下に仕込めば防御にもなります故」

桑田「ブーデーの服と腹の間にそんなもん仕込むスペースなさそうだけどな」

山田「なんですとぉ!」

桑田「ぱっつんぱっつんで今にも服が破裂しそうじゃねえか! 少しは痩せろ!」

19: 2013/10/13(日) 02:21:54.06 ID:XYbjtOb60
大神「我に武器はいらん! この拳一つで十分!」

朝日奈「さくらちゃんかっこいいー! 私はお弁当用にドーナッツとプロテインを持ってきたよ」

桑田「ドーナッツとプロテインってやる気あんのか!」

朝日奈「むー腹が減っては戦は出来ぬって言うじゃない!」

大神「く……我としたことがプロテインを忘れるとは不覚……!」

苗木「そんなに落ち込むこと!?」

朝日奈「大丈夫だよさくらちゃん! 私の分も分けてあげるから」

大神「すまぬ……すまぬ……」

桑田「オレは硬式のボールを何球か……後は金属バットだな。やっぱり使い慣れた形状のものが一番だぜ」

石丸「君は使い慣れるほど練習に参加してないではないか!」

桑田「オレは実戦で実力を発揮するタイプなの!」

20: 2013/10/13(日) 02:26:00.37 ID:XYbjtOb60
葉隠「俺はいつでも逃げられるように煙幕やら閃光弾やら爆竹やらを……」

大和田「チッ考えることがせこすぎだろ」

霧切「いいえ。葉隠君にしてはいいものを持ってきたわ。今回の目的はあくまでも不二咲さんの救出……敵を殲滅することではないわ」

苗木「確かに不二咲さんのところに辿り着いたとしても、脱出できないことには意味がないからね」

大和田「チッ。敵を全員ぶっ潰せばそんなもん必要ねえっつーの」

苗木「霧切さんは何を持ってきたの?」

霧切「応急手当できるように救急セットをいくつか持ってきたわ。今いるメンバーの血の気の多さを考えたら武器以外持ってきてる人は少なそうだもの」

苗木「確かに……そんなところにまで気が回るなんて霧切さんは将来いいお嫁さんになりそうだね」

霧切「それは口説いてるのかしら?」クス

苗木「あ……いや、そんなつもりで言ったんじゃ」

桑田「ヒュー妬けるねえ!」

山田「リア充爆発しろ」

石丸「こら! 不純異性交遊の話なんてしてる場合ではないぞ! 不二咲くんの救出が先だ!」

21: 2013/10/13(日) 02:30:24.72 ID:XYbjtOb60
山田「ところで苗木誠殿。不二咲千尋殿が開発したアプリとやらはどんなものがあるのですかな?」

苗木「それは……全部は言えないけど……とりあえず、不二咲さんのアルターエゴが入ってるよ」

アルターエゴ『こんにちは。僕はアルターエゴiphon版です。PC版のお兄さんに負けないように頑張ります』

山田「な、なんと! 携帯の中に美少女がいるなんて……うらやまけしからん!」

苗木「欲しいならiTunesで落としなよ。無料でDL出来るよ」



石丸「しかし……入口には見張りがいるぞ。どうやって侵入すればいいものか」

苗木「なんかヤが付くヤバそうな人がいっぱいいるんだけど……」

大和田「敵はそれだけデカイ組織が後ろ盾にいるってことか。チッ」

霧切「とにかくあの見張りに見つからないように潜入するしかないわね」

大神「我が全員まとめて……」

朝日奈「ちょっとさくらちゃん! 危険だよ!」

大神「危険でもいくしか……」

霧切「待って……よく観察すれば必ず突破口は見つかるはずよ」

22: 2013/10/13(日) 02:37:23.43 ID:XYbjtOb60
山田「うう……勢いで来たはいいけど、なんか怖くなってきましたなあ。拙者ヒーローよりモブキャラの方が向いてるようですぞ」

桑田「おいおい。今更怖気づくなよブーデー」

山田「だって……せめて戦刃むくろ殿がいてくれたらこちらも戦力的には充実するというのに」

大神「我では不服か?」

山田「いえいえ滅相もございません」でぶでぶ

葉隠「むしろオーガを相手にする敵の方に同情するべ」

大和田「考えても仕方ねえ! オレが囮になるからお前らはその隙に入口から堂々と入れ」

苗木「大和田クン! いくらなんでも無茶だよ!」

大和田「おいおい苗木よぉ。オレを見くびってるのか? 超高校級の暴走族のこの俺様を!」ブウォン

霧切「なるほど。機動力ならバイクがある分、大和田君がこの中で一番優れているわ。風貌も目立ちやすいし、囮役としては最適ね」

葉隠「おいおい。何も戦力になる大和田っちじゃなくても……」

霧切「じゃあ、葉隠君が囮役やる? そのドレッドも十分目立つから敵の注意を引きつけるのに役立つわ」

葉隠「遠慮します」

山田「ですよねー」

23: 2013/10/13(日) 02:45:14.21 ID:XYbjtOb60
石丸「兄弟ッ! 君を止めても無駄だということは僕が一番良く知っている……だからあえて止めるようなことはしない! だが、これだけは言わせてくれ」

石丸「氏ぬなよ兄弟」

大和田「おうよ。兄弟より先にくたばってたまるかよ! ……行くぞゴルァ!!」ブオオオオオオ

893「んだテメエは!!」

石丸「よし、兄弟のお陰で見張りがいなくなった! 今の内に内部に侵入するぞ!」


苗木「ここが敵の本拠地か……」

霧切「苗木君……余り前に出過ぎないで慎重に進んで……敵に見つかるわよ」

苗木「ゴメン……」

葉隠「そうだぞ苗木っち。ここは隠れながらコソコソ行くもんだべ」コソーリ

桑田「お前は隠れすぎなんだよ!」

葉隠「だってよー。もし、あのヤーさんの中に俺の借金取りがいたらただじゃ済まないべ」

朝日奈「そういう問題じゃないでしょ」

24: 2013/10/13(日) 02:55:28.99 ID:XYbjtOb60
893「おい! 貴様らそこで何してる!」

葉隠「ゲ! 中にもいたのかよ!」

大神「やるしかないのか……」

??? 「全くだらしないな貴様らは……やはり俺が付いてないとダメなようだな」


苗木「十神クン? 来てくれたんだね!」

桑田「テメーは怖気づいて帰ったと思ったぜ」

十神「フン。十神財閥次期党首が仲間を見捨てたとなっては、体裁が悪いんでな……よし。第一部隊突撃!」

SP「ハッ」

朝日奈「すご! 本物のSPだ! 初めてみた!」

893「あ? なんだてめえらは!」

SP「ここをどいてもらう!」

十神「さあ。俺のSPが気をひきつけているうちにお前たちは早く行け! 俺もここを片付けたら後を追う!」

苗木「ありがとう十神クン」

十神「礼を言われる覚えはない。俺もお前も不二咲を助けるために動いてるだけだ」

桑田「へ。カッコつけやがって」

26: 2013/10/13(日) 03:01:46.79 ID:XYbjtOb60
九頭龍「チッ……構成員の見張り網を突破したか。うちの組のやつらでも精鋭を集めたつもりなんだがな」

詐欺師「それだけ十神財閥の力も強大だということだろう」

左右田「なんでオメーが得意そうなんだよ! オメーは関係ないだろ!」

ソニア「うーん……わたくしの国からも兵を何人か取り寄せた方がよろしかったでしょうか?」

田中「今更言っても仕方ない。むしろ、奴らとの血で血を洗う争いを繰り広げられると思うと俺様の邪気腕が疼くから丁度いい!」

終里「よっしゃ! いっちょオレがやつらとバトってみるか!」

弐大「気を付けろよ。やつらの中にも手練れはいる」

終里「心配すんなオッサン。オレもアンタに鍛えらえて強くなったからな」

27: 2013/10/13(日) 03:06:51.40 ID:XYbjtOb60
石丸「さて、ここから先はどうしよう。工場内は迷路みたいになっていて道が幾重にも分かれている」

霧切「とりあえず、固まっていては却って見つかりやすくて危険だわ。ここはバラバラに行動しましょう」

苗木「そうだね」

終里「おいバトれよ!」

石丸「なに! 刺客か!」

葉隠「ひ、ひい! 見逃してくれ! 俺たちは別にアンタらと戦いにきたわけじゃ……」

終里「悪いがそういうわけにもいかないんでね!」シュバ

石丸「葉隠くん! 危ない!」


葉隠に向けられた終里のパンチを石丸が身を挺して受け止める。


葉隠「あ、ありがとよ石丸っち。お陰で助かった……」

石丸「ぐは……みんな気を付けたまえ! 女子だと思って舐めてかかっていい相手ではないぞ。今の一撃はかなり効いた……」

28: 2013/10/13(日) 03:13:01.19 ID:XYbjtOb60
終里「テメーらの誰かか? えーと……なんだっけ? ……そうだ思い出した! 淫行先生だ! その淫行先生のミサイルを発射するプログラムを持ってるのは!」

桑田「淫行……先生……?」

山田「工口ゲか何か? 淫行先生のミサイル(意味深)」

終里「しらばっくれるんじゃねえ! ぶっ飛ばすぞ!」

山田「ひい! 理不尽!」

終里「オラオラオラオララオラオラァッ!!」

山田「ぷぎゃー」ズバーン

苗木「山田クン!?」

終里「まずは一人……」

葉隠「おおおお、うわああ! た、助けてくれ! こいつヤベーって」

大神「我に任せろ……」

終里「ほう! テメーが大将か?」

大神「不二咲を助けるため……山田の仇を取るために参る!」

終里「おもしれえ! かかってきな!」

30: 2013/10/13(日) 03:20:36.76 ID:XYbjtOb60
大神「フン!」ブフォン

終里「へっ遅いぜ! パンチの威力はあるようだが、オレに当てられなきゃ意味はないぜ」

大神「今のはほんの挨拶代りだ。次は容赦しないぞ」

終里「言うねえ……だけどオレは二発目も譲る程優しくはないぜ」

葉隠「い、今のパンチ見えたか? アレで遅いらしいぞ」

朝日奈「ギリギリ見えたかな?」

石丸「僕もなんとか見えたぞ」

霧切「わ、私も少しだけ見えたわ」ドヤァ

桑田「オレは余裕で見えてっけどな。野球選手の動体視力舐めんな」

苗木「ボクは集中すればなんとか……」

葉隠「マジかよ……皆すげーぞ! 俺は全く見えなかったべ」

霧切(今更本当は見えてなかったなんて言えない……静止しているものなら私の観察眼の方が有利だから別にいいし)

32: 2013/10/13(日) 03:26:35.76 ID:XYbjtOb60
終里「食らいな! オラァ」


終里の蹴りが大神の急所を捉える。


大神「軽い身のこなし……しなやかな動き……中々面白いタイプだ……されど……」

大神「我はお前と同じタイプの格闘家を何人も倒してきた……」


大神は体勢を変え、急所の位置を逸らしつつ、終里と同じように蹴りのカウンターを入れる。


終里「ぐへえ」

大神「く……今のは効いた。急所に入っていれば我とて無事では済まなかった」

葉隠「やったか?」

大神「いや、まだ浅い……」

終里「チッやるじゃねえか! そうこなくちゃあ面白くねえな!」

大神「来い! 決着をつけるぞ!」

終里「言われなくても!」

35: 2013/10/13(日) 03:33:16.60 ID:XYbjtOb60
終里が大神と距離を詰める……が、しかし


終里(う……さっきの蹴りでダメージ食らったせいで……)グラッ

大神「そこだ!」ドコォ! 

終里「ぐわあああああ!!」


終里は大神の渾身の一撃を食らい吹っ飛ばされて壁へと叩きつけられた。


終里「」

大神「ふぅ……中々の強敵だった……我が本気を出したのは久々だ」

葉隠「はは……すげーぞ! オーガ! あいつに勝っちまうなんて!」

石丸「みんな! 大神くんが道を開いてくれた! 山田くんの犠牲を無駄にしないためにも先を急ごう!」

桑田「そうだな。不二咲を助け出さないとブーデーも浮かばれねえ」

朝日奈「山田……必ず戻ってくるからね。必ずちゃんとした所で弔ってあげるから、一緒に帰ろう」

苗木「山田クンまだ氏んでないけどね」

山田:リタイア

36: 2013/10/13(日) 03:39:09.65 ID:XYbjtOb60
罪木「あわわわわわ……た、大変です! すぐに終里さんの手当しないと」

弐大「次はワシが行く……選手の仇はマネージャーが取るものじゃ」

左右田「どんな理屈だよ! よく考えるとその理屈おかしいから!」

辺古山「奴らはバラけて動こうとしている一人ずつ行くのは効率が悪い」

田中「ククク……それぞれが狩りの相手を見つけろということか面白い!」

九頭龍「ペコ……ちょっといいか? 敵を重要な情報を持ってる可能性がある。余程のことがない限りは殺そうとするなよ? 無力化してから俺のところに連れてくることを優先させろ」

辺古山「仰せのままに」

38: 2013/10/13(日) 03:43:00.10 ID:XYbjtOb60
・苗木 葉隠 桑田 1F 地下入口前

葉隠「お、おーい……苗木っち桑田っち……そっちに敵はいないか?」

苗木「大丈夫だよ」

葉隠「ほ、本当だな!」

桑田「おいおいビビリすぎだっつーの」

苗木「この扉は開かないみたいだね……」ガチャガチャ

桑田「看板には地下室入口って書いてあるな」

苗木「地下室……後で行くかも知れないから覚えておこう」

葉隠「そんなことより早く不二咲っちを見つけて帰ろうぜ」

桑田「だからその不二咲を探すために探索してんだろうがよ!」

39: 2013/10/13(日) 03:44:21.08 ID:XYbjtOb60
苗木「それと葉隠クン。コソコソ隠れても無駄だと思うよ」

葉隠「へ?」

苗木「監視カメラが至る所にある。ボクたちの位置は敵に筒抜けだよ」

葉隠「な、なんじゃそりゃああああ」

苗木「敵がボクたちを集団で襲ってこないってことは、十神クンのSP相手に手間取っているってことだよ。隠れて移動するよりは、手早く動いた方がいいよ」

葉隠「そういうことは早く言ってくれ! よし先を急ぐぞ!」

桑田「調子のいいヤローだぜ」

苗木「ハハ……」

41: 2013/10/13(日) 03:47:41.64 ID:XYbjtOb60
・霧切 朝日奈 大神 石丸 1F 入口付近

霧切「これでよし……手当は終わったわ」

石丸「助かったぞ霧切くん」

大神「ふう……朝日奈のくれたプロテインのお陰で傷が癒えた」

朝日奈「良かったねさくらちゃん!」

石丸「どういう体の構造をしているんだね!」

霧切「それより早く先に進みましょう。増援が手配でもされたら面倒だわ」

石丸「うむ。それに賛成だ!」

42: 2013/10/13(日) 03:53:48.10 ID:XYbjtOb60
・苗木 葉隠 桑田 1F 地下室前

苗木「足音が聞こえる……誰か来るよ」

桑田「敵か?」

葉隠「マ、マジかよ……よし、桑田っち。戦闘は任せた。俺は2人を囮にして逃げる」

桑田「お前何しに来たんだよ!」

西園寺「あ……た、助けてください!! わたし追われてるんです!!」

桑田「ウヒョー! 着物美人来た!」

苗木「追われてるって誰に?」

西園寺「黒服の怖いお兄さんたちが……わ、わたし何が何だかわからないままここに連れてこられて……隙を見て逃げ出そうとして……」

桑田「よし! オレに任せとけ! お姉さんは必ずオレが守ってみせる!」

西園寺「わあ! ありがとうございます! お兄さん格好良くて頼りになりそうですね」

桑田「そ、そっすか?」デレデレ

43: 2013/10/13(日) 03:57:54.01 ID:XYbjtOb60
葉隠「な、なあ……苗木っち。桑田っち」ヒソヒソ

桑田「ん? どした?」

葉隠「あの女どう見ても怪しいだろ」

桑田「は? お前あんなかわいこちゃんが怪しいとか寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ!」

苗木「待ってよ桑田クン。葉隠クン、どうして怪しいと思ったの?」

葉隠「それは俺の占いだ! あの女は何か企んでいると出ているぞ!」

桑田「根拠はお前の占いだけか。じゃあ、オレはあの子を信じる」

葉隠「桑田っちそれはないべ」

桑田「うるせえ! 7割外れる根拠のないお前の占いより、オレはかわいこちゃんを信じる!」

葉隠「苗木っちは俺を信じてくれるよな?」

苗木「うーん……葉隠クンの占いは外れることもあるし、もしあの人が本当に助けを求めているだけだったら、突き返すのは可哀想だよ」

葉隠「お、おい! 苗木っちまでひでーぞ」

45: 2013/10/13(日) 04:02:27.45 ID:XYbjtOb60
苗木「ただ、葉隠クンの占いも決して無視できる確率じゃないのは確かだよ。3割も怪しい要素があるなら、警戒して損はないと思う」

葉隠「流石苗木っちだべ! 女たらしの桑田っちとは違って冷静な判断力だべ」

苗木「一応桑田クンにも警戒だけはするように言っておこうかな……」


西園寺「へー野球をなさるんですか?」

桑田「うっす! これでも甲子園の英雄だかんな! ハハハ」

西園寺「すごーい! かっこいいー!」

桑田「お姉さんも可愛いっすねー。結構タイプっすよ」

西園寺「本当? 嬉しいー」


苗木「…………」

葉隠「苗木っち……言うだけ無駄なようだべ」

46: 2013/10/13(日) 04:08:21.31 ID:XYbjtOb60
苗木「とりあえず、霧切さんの携帯に連絡してみるよ。石丸クン達の手当てをしているからまだ入口付近にいるはずだ」ピッ

苗木「あ、もしもし霧切さん? うん。こっちは平気……今のところ敵らしい敵には会ってないよ」

霧切『そう良かった……え? 入口の様子? 残念だけど見張りが戻ってきているようね……大和田君を取り逃がしたらしいから警備が更に厳重になってるわ。ここから出る時は強行突破せざるを得ないわ』

苗木「そうか。入口から出るのは不可能か……ああ、うん。実は不二咲さんの他にも囚われていた女の人がいたんだ。その人を逃がしてあげたかったんだけど……」

霧切『そういうこと。全く相変わらずお人好しね』

苗木「わかった。こっちで彼女を安全な場所に避難させるように手は打っておくよ。ありがとう……じゃあ、また後で」ピッ

葉隠「なあ、もしかして、ここから出られないのか?」

苗木「みたいだね。とにかく、こうなってしまった以上は彼女を連れて行動するしかないよ」

葉隠「マジかよ……」

西園寺「ええーわたしまだ帰れないのー」

桑田「大丈夫ッス! オレが必ずお姉さんを帰してみせますから!」

西園寺「クスクス。ありがとう。そんなことばかり言われると好きになっちゃいますよ」

桑田「ああ^~その悪戯っぽい笑い方もいいんじゃ^~」

葉隠「桑田っちがああなった以上、頼りになるのは苗木っちだけだべ!」

48: 2013/10/13(日) 04:12:05.64 ID:XYbjtOb60
苗木「とりあえず、安全な部屋を探そう。いつまでも通路側にいると危ないよ」

桑田「部屋ってよお……この辺りには鍵がかかってる地下室くらいしかねーぞ」

西園寺「あ! そうだ! わたし、逃げ出す時にあいつらから鍵を盗んだんですよ! もしかしたら、地下室の鍵かも!」

桑田「お! 流石! 一旦地下室に入って中から鍵を掛ければ敵も入ってこられないっすね」

苗木「スペアキーあったら逆に袋の鼠だけどね」

西園寺「心配ないと思うよ。この鍵は複製不可の特別製だからスペアキーを作るのは不可能なんだよ」

葉隠「それなら安全だな! ワハハハハ」

苗木「…………」

50: 2013/10/13(日) 04:17:22.00 ID:XYbjtOb60
西園寺「これがその鍵だよ」

桑田「ヨッシャ! それじゃ早速試すぞ……」ガチャリ

葉隠「開いたぞ!」

西園寺「やったー! これで助かる!」

桑田「中に入るぜ」ギイイ

葉隠「おい、どうしたんだ苗木っち? 置いてくぞ」

苗木「ああ……ごめんごめん」

苗木(どうしてあの人は地下室の鍵を複製不可能だって知ってたんだろう……)

西園寺(スケベ心丸出しの軽薄そうな男とバカそうな男と人が良さそうなチビの3人。これは楽勝だね)

51: 2013/10/13(日) 04:23:34.58 ID:XYbjtOb60
・苗木 葉隠 桑田 B1F 地下室 資材置き場

葉隠「よし、鍵をかけた、これで安心だべ」ガチャガチャ

桑田「へー。地下室には監視カメラがないんだ。じゃあ、ここに隠れていれば敵に発見される可能性も少ないな」

苗木(いつの間にか葉隠クンの警戒も解けてる……安全な地下室に逃げられた安心感のせいかな……それにしても、この資材置き場って乱雑に荷物が置いてあるな……まるで迷路のようだ)

桑田「お姉さん日本舞踊やってるんですか! ああ、通りでお淑やかなわけだ。お淑やかな女性っていいっすよねー」

西園寺「もうそんなに褒めて、嬉しい」

桑田「どっすか? ここから出たらオレと付き合わないっすか?」

西園寺「うーん。どうしようかなーお兄さん結構かっこいいから迷っちゃうー。考えておきますね」

桑田「マジすか!」

西園寺「あ、そこ荷物が邪魔して通れないよ。こっちからじゃないと」

桑田「あ、本当だ……氏角になってて分かりづらいな」

苗木(間違いない……あの人は単なる逃亡者じゃない。この迷路のような資材置き場をスタスタと歩いている。中の構造を知ってたんだ!)

53: 2013/10/13(日) 04:28:43.02 ID:XYbjtOb60
苗木(でも、あの人が超高校級の絶望側の人間だったとしても、絶望を脱却したいから逃げ出したって可能性も十分考えられる。そうした場合、突き返したら取り返しのつかないことになる)

苗木(むしろ、絶望側の情報を知ってるならこっちとしても十分ありがたい。味方に付けて損はないと思う……けど……この地下室に誘い込んだこと自体罠だったとしたら……)

苗木(うーん……ボクの考えすぎかな……)

苗木(とにかく、警戒を続けよう。少しでもおかしな挙動を見せたら模擬刀で先制攻撃すればなんとかなる)

苗木(彼女のことも警戒が必要だけど、この部屋の特徴もよく見ておく必要がありそうだ……霧切さん直伝の観察眼を使おう!)カッ

苗木(ん……あれ? この地下室って換気口が2つもある……覚えておいた方が良さそうだ)

西園寺「助けて頂き、どうもありがとうございました」

桑田「全然気にしなくていいっすよ! 困ってる女性を助けるのはオレのジャスティスッスから!」

苗木「彼女を安全なところに連れていけたからさ。早く不二咲さんを助けに行こうよ」

葉隠「えー俺は安全な地下室の方がいいべ」

苗木(このドクズ!)

桑田「そうだな。ちょっと寄り道しちまったが、不二咲を助けるのが本来の目的だしな」

西園寺「待って下さい……そ、その……わたし、やっぱり独りじゃ心細いです」

苗木「ごめん……でも、今は 桑田「そっすよね! オレが付いていてあげます!」

55: 2013/10/13(日) 04:33:38.89 ID:XYbjtOb60
苗木「ちょっと桑田クン! 不二咲さんはどうするの!?」

桑田「その辺は……大神達がなんとかしてくれるだろ。っつか、ぶっちゃけさ、大神一人で十分じゃね?」

苗木(こいつもクズだったー!!)

苗木「クラスメイトを見捨てるつもりなの?」

桑田「不二咲は他の奴らが助けることができるけど、このお姉さんはオレ達が助けないで誰が助けるんだよ!」

苗木「安全な地下室に連れてっただけでも十分だって」

西園寺「ごめんなさい……わがまま言って……えっぐ……こ、怖いけど我慢します……お友達を無事に助けられるように祈ってます……うわああああん」

苗木(まさかの泣き落とし!?)

桑田「おい苗木! 女の子泣かすんじゃねえ!」

苗木「ボクのせい!?」

葉隠「そうだぞ苗木っち! 見損なったぞ!」

苗木「えー……」

西園寺「この女泣かせ!」

苗木「何でキミまで!?」

57: 2013/10/13(日) 04:40:35.67 ID:XYbjtOb60
苗木(クソ! 涙は女の武器だって言うけど、本当にそうだよ……不二咲さんを助けに行こうとしているボクが何故か悪者に……)

苗木(ボクだけでも不二咲さん救出に向かうって手もあるけど……それだと、この人が絶望側の人間だった場合に無警戒の桑田クンと葉隠クンが危ないことは確か)

苗木(3人で残るしかないのか……)

苗木「わかったよ……残ればいいんでしょ残れば」

西園寺「わたしのためにご迷惑をおかけしてすみません」

苗木(さっき、ボクを女泣かせだと罵った癖によく言うよ)

西園寺「そうだ! お礼にわたしの日本舞踊をお見せしましょうか!」

桑田「うひょー! マジいいんすか?」

西園寺「ええ。退屈でなければ……」

桑田「そんなわけないっすよ! オレ日本舞踊超大好きっす!」

苗木(嘘だ! 絶対その人を合法的に視姦するためだよ)

西園寺「それじゃあ、わたしはここで踊りますから、お兄さんたちはこちらの席に……」

苗木(席っていってもこれ背が低い積み荷じゃん……もしかして、今ボクたちってこの場所に誘導された……? 近くにボク達の近くに換気口がある……彼女の近くにはもう1つの換気口?)

苗木(それより、この下の積み荷には何が入ってるんだろう……)ガサゴソ

苗木(こ、これは!!)

59: 2013/10/13(日) 04:45:31.85 ID:XYbjtOb60
西園寺「それじゃ演目始めますよ……曲がかからないのは残念ですけど」

葉隠「クカー」

苗木(始まる前から寝てる!? どんだけ興味なかったんだよ!)


数分後――


桑田「zzz」

葉隠「んがー」

苗木「…………」


西園寺「どうやら全員寝たようね……しかし、こうもあっさり罠にかかるとはねー。まるでバカの見本市だねー」クスクス

西園寺「この部屋は換気口が2つあるタイプだから、片方の換気口に睡眠ガスをわたしのところまで届かない程度の分量を仕込んでおけば、私が舞をしている間にこの三バカトリオは催眠ガスが回ってお寝んねってこと」

西園寺「万一わたしのところにガスが来ても、わたしの背後にある換気口がガスを吸い取ってくれるからわたしには何の影響もなし」

西園寺「わたしはステージ。こいつらは客席に固定するし、興味ないド素人の人間からしたら見てるだけで眠くなるのが自然の日本舞踊はこの作戦には打ってつけだよねー」

西園寺「何の疑いもなくわたしの舞を見た時点でアンタらの負けは確定的だったんだよ」

西園寺「この資材置き場に置いてある台車でこいつらを拷問部屋まで運べば、後は九頭龍に任せれば済むから楽だよねー」

西園寺「まずは体重が一番軽そうなこのチビから運ぼうっと……顔を俯けてるし……どんな間抜け面で寝てるのか拝んでやろっと」スッ

61: 2013/10/13(日) 04:49:38.54 ID:XYbjtOb60
苗木「…………」ガシ

西園寺「!!!!」

苗木「やっぱり……思った通りのことをしてくれたね。換気口が2つある時点で怪しいと思ったんだ」

西園寺「て、てめえ! 起きてたのか! 離せ変態! 何で起きてるんだよっ!!」

苗木「ボクの座席として使っていた積み荷の中にガスマスクがあったからね……これを被って寝たフリをしてやり過ごしたんだ。顔を俯けていればガスマスクを被ってることがバレないからね」

西園寺(ガスマスクだって……! こんな大量にある積み荷の中までは調べてる余裕はなかった……たまたまガスマスクの積み荷の下に座るなんてどんだけ“幸運”なんだこいつは……!)

苗木「悪いけど、キミが敵であることが確定したから容赦はしないよ!」

西園寺「模擬刀!? ちょ……かよわい女の子相手にそんな物振りかざす気!? や、やめてよ!」

西園寺(こいつに腕をつかまれてるから逃げられない……ってことはこれしかないか!)

西園寺「てやー!」

苗木(と、突進!? しまった体勢を崩して……)

西園寺(あ、こいつに掴まれてるからわたしも引っ張られて……)

ドンガラガシャーン

64: 2013/10/13(日) 04:52:32.47 ID:XYbjtOb60
苗木「いてて……なんか薄暗いな。なんだこの黄色くて花柄の布は……」

西園寺「え……きゃ、きゃあああああいやあああああああ! ア、アンタ! どこに顔突っ込んでんだ!」

苗木「え? え?」

西園寺「離れろ離れろ!」ゲシゲシ

苗木「いで!! わあ!!」

ガラガラ

苗木「な、何なんだよ……」ムニ

苗木「ん? なんだこの柔らかい感触は……」ムニムニ

西園寺「ひゃっ!!! ど、どこ触ってんのよおおおおお!! もうやだこいつ!! うわあああああああん!! 小泉おねぇ!! 助けてええええ」タッタッタ


西園寺は逃げ出した

67: 2013/10/13(日) 04:57:38.77 ID:XYbjtOb60
苗木「一体何だったんだ……ん? あの人何か落としていったぞ? ヘッドホン? 一応貰っておこう」

桑田「ハッ……あ、あれ? おい! 苗木! 今スゲー物音がしたけど知らねえか?」

苗木「敵に襲われてたよ……ハハ」

桑田「マ、マジかよ! 怪我はねえか!」

苗木「うん……大丈夫だと思う」

桑田「で、敵はどこだ!? ってか、あのお姉さんは無事か?」

苗木「そのお姉さんが敵だったんだよ……ついでに撃退済みだよ」

桑田「え? マジかよ! あんな綺麗なお姉さんが敵だったなんてえええ。ショックだわ……」

苗木「キミのやましい心に振り回されたボクの方がショックだよ」

桑田「しかし苗木。よくあのお姉さんが敵だって気づいたよな。オレなんて全然警戒してなかったぜ」

苗木「葉隠クンの占いのお陰だよ。彼の占いのお陰で警戒心を強めて怪しい言動に気づくことが出来たんだ」

桑田「葉隠の占いもたまには役に立つんだな」

苗木「実際、葉隠クンの占いは凄いと思うよ……ただ、能力を持ってる人が使いこなせてない残念な人なだけで」

桑田「そうだな。葉隠の占いは評価してやるべきだったな」

苗木「ボクも占いがなかったら、彼女を完全に信じてたと思う……そうなったら、本当に全滅寸前だったよ。思い返してみるとゾッとする。裏表を使いこなせるえげつない相手だったよ」

68: 2013/10/13(日) 05:01:34.01 ID:XYbjtOb60
桑田「人は見かけによらないんだな……綺麗な薔薇には棘があるって言うしな」

葉隠「むにゃむにゃ」

桑田「まだ寝てんのかこいつは……いっそのこと置いてくか」

苗木「そうだね。この地下室は鍵を掛ければ安全だし、置いて行っても大丈夫でしょ多分……」

桑田「ついでだし、葉隠が持ってきた道具を拝借してこうぜ! 使い道ありそうだし」

葉隠:リタイア

70: 2013/10/13(日) 05:04:07.61 ID:XYbjtOb60
桑田「そうだ苗木。お前どうして途中で怪しいって気づいたのにオレに教えてくれなかったんだ?」

苗木「あんなデレデレした状態の桑田クンに言っても仕方ないでしょ」

桑田「う……結構グサって来たぜ。すまねえな苗木……でも、何で逃げなかったんだよ。下手したら苗木までやられてたかも知れないのに」

苗木「何言ってるんだよ。ボクだけ逃げたら無警戒の桑田クンと葉隠クンが無事に済むわけないじゃないか。仲間を危険に晒す可能性があるなら逃げちゃダメだ!」

桑田「苗木ー! お前ってやつは……マジでマキシマムにカッケース!」ワシャワシャy

苗木「わっ桑田クン痛いって……」

桑田「よっしゃ! 苗木! オレもお前をリスペクトして、仲間を危険に晒すような真似はもうしないぜ!」

苗木「本当かな? また同じ手には引っ掛からないでね」

桑田「……………」

苗木「何で黙るの!」

桑田「ま、このことは借りにしておくぜ。オレが借りを返すまでは敵にやられんじゃねえぞ!」

72: 2013/10/13(日) 05:07:55.35 ID:XYbjtOb60
・霧切 朝日奈 大神 石丸 1F 梱包室

霧切「梱包室ね。工場で生産されたものを梱包する作業をする場所だけど……今は緩衝材の束と段ボールくらいしかないわ」

石丸「この工場は閉鎖されているから当然といえば当然だな」

霧切「それでも何か手がかりになるようなものはないかしら……」

大神「いや、何も見つからんだろう。それより早く不二咲を探さねば」

朝日奈「霧切ちゃんいくよー」

霧切「待って……私はもう少しこの部屋を探索したいの」

石丸「何を意地になっているんだね! そんなことしている場合ではないだろ!」

霧切「確かにそうかもしれない。でも、この部屋……どこか違和感があるわ」

朝日奈「違和感だって? さくらちゃんはわかる?」

大神「………………ダメだ。神経を研ぎ澄ましても人の気配1つしない。この部屋には何もないはずだ」

霧切「でも、何か引っかかる……全く使われていないはずなのに埃や段ボールの屑が積もってないもの……工場が閉鎖されてかなり経つのにおかしいわ」

石丸「きっと絶望の連中が掃除したんだろ」

霧切「そうかしら? 掃除したのにこの部屋を使った形跡がみられないのも気になるわ」

73: 2013/10/13(日) 05:10:31.36 ID:XYbjtOb60
石丸「いいか! 霧切くん! 君は好奇心を優先して友達を見頃しにするつもりなのか!」

霧切「そんなつもりじゃ……」

朝日奈「ちょっと石丸! いくらなんでもそんな言い方酷いよ!」

石丸「ぐ……確かにそうだったな。すまな霧切くん」

霧切「いいえ。石丸君の言ってることの方が正しいわ……早く別の場所を探索しましょう」


・???

???「何やら騒がしいですね……話声が聞こえます……学園の連中でしょうか……」

???「しかし、学園の連中には僕を見つけられることは出来ないでしょう……気配を完全に消せる超高校級の諜報員の能力のお陰でこのかくれんぼは100%勝てます」

???「アア、ツマラナイ……」

???「誰か僕を見つけてくれる幸運な人はいませんかね……いませんか」

76: 2013/10/13(日) 05:14:36.39 ID:XYbjtOb60
・大和田 工場裏口前

大和田「ふう……なんとか巻いたぜ。超高校級の暴走族を舐めんなよ! マッポに散々追い回されてるからこういうのは慣れてんだよ!!」

大和田「しかし……今更入口から入るわけにもいかねえな。警備が更に強力になってきてやがる」

大和田「しゃあねえ……別の入口を……お、こんなところに裏口があったぜ」

大和田「よっしゃ! 待ってろよ不二咲! 今オレが助けてやるからな! ……それと不二咲を攫った連中はオレがぶっ転がしてやるからケツを洗って待ってろ!」

大和田「あれ? 洗う場所ってケツだっけ? まっいいか!」ガチャ


花村「ふんふんふーん♪」ゴシゴシジャア

大和田「…………」ギイバタン

大和田「あ、ありのまま……今起こったことを話すぜ……オレは裏口から入ろうと思ったら、豚野郎がシャワーを浴びていた……な、何を言っているのかわからねーと思うがオレも何をされたのかわからなかった」

花村「やあ! ちゃんと言いつけ通りケツの穴をじっくり洗っといたよ! ぼくはいつでも準備万端さ!」ガチャ

大和田「ぬわあ! 折角、閉めたのに開けるんじゃねえ! っつーか、せめて服着やがれ!!」

77: 2013/10/13(日) 05:18:37.08 ID:XYbjtOb60
花村「トンカツとバター。同じ食材にされる者同士仲良くしようよ」

大和田「何の話してんだテメーは!」

花村「あ、シャワー空いたから入っておいでよ。ぼくはもう済ましておいたから」

大和田「あ? テメー舐めてんのか? あ? やんのか? おおん?」

花村「もちろんさ! 犯る気満々だよ」

大和田「上等だコラ!」ブン

花村「おお! 立派な木刀だね」

大和田「丸腰の相手をボコっても気分わりぃ。テメーも得物出しな」

花村「これかい?」ヴィイン

大和田「誰が動くこけしを出せっつった!!」

花村「ナイスツッコミ! ついでにぼくの穴に突っ込んでもいいんだよ?」

大和田(さっきから何なんだこいつは……薄気味わりーな。ペースを乱れっぱなしだぜチクショー……)

大和田「チッ……テメーと乳繰り合ってる場合じゃねえんだよォ!」

花村「なんだ。戦うの? それならそうって言ってくれないと……ふふ、料理してあげるよ」

大和田(な、なんだ? こいつ雰囲気変わったぞ……こいつの目は深い闇を抱えているようだ……まさかこいつが超高校級の絶望なのか)

81: 2013/10/13(日) 05:22:44.20 ID:XYbjtOb60
花村「君が木刀を使うなら、ぼくはこの鉄串を使わせてもらうよ。体格差を考慮した場合これくらいいいよね?」

大和田「リーチはそっちの方がなげーな……だが丁度いいハンデだぜ! うおりゃ!」ブン

花村「そんな単調な攻撃は通じないよ!」パリィ

大和田「なにぃ!」

花村「ふっふーん。ぼくは守備範囲が広いからね。これくらいの攻撃なら防げるんだよ」

大和田「ヤロー……舐めやがって! しゃらくせえんだよ!」ブウォン

花村「無駄だよ!」カキン

大和田「チッ……意外とやるじゃねーか」

花村「マスコットキャラみたいな見た目だからと言って侮ってもらっては困るよ……こっちは深い絶望を経験してるんだよ……潜ってきた修羅場の数が違うのさ」

大和田「ケッ。オレだって、喧嘩に明け暮れた毎日だ……潜ってきた修羅場の数なら負けねえんだよ!」タッタ

花村「距離を詰める気だね? 積極的なのは嬉しいけど近寄らせないよ」ブン

大和田「うおっ……」

花村「惜しい……後、数cm近づいてくれたら、傷を負わせられたのに」

大和田(っべーな……思ったより木刀と鉄串のリーチ差を活かした戦い方をしやがる。相手の形状が槍なだけにやり辛いな)

83: 2013/10/13(日) 05:27:15.61 ID:XYbjtOb60
大和田「あー……すまねえ。確かにオレはお前を見た目で判断して弱いだろうなって決めつけてたわ。お前は強い……それを認めないと勝てそうにねえわ」

花村「フフン。そりゃどうも。でも君はぼくには勝てない! ここで絶望するほどあんなことやこんなことされる運命なんだよ。今夜のオカズに決定!」

大和田「だから、こっちも本気でいかせてもらうぜ……一番得意な武器を使わせてもらう……ぜ!」ブフォン

花村(な、木刀を投げた……最後の足掻きってことかな……これを鉄串で弾いて終わりだよ!)カキン

大和田「へ……木刀に気を取られたな!」スタタ

花村「な、いつの間に距離を詰めて……」

大和田「これでしめーだ!」ドコォ

花村「げほ……」

大和田「ダメ押しにもう一撃!」ベキッ

花村「お母ちゃあああああああああああああん」ヒデブ

大和田「やっぱり大神じゃねえけど、オレも素手での戦闘スタイルが合ってるな」

花村「」ピクピク

大和田「けっ本体は鉄串がなかったら、拳二発で沈む程度の紙じゃねーか。武器に頼り切ったやつがオレに勝てると思うなよ」

大和田「んじゃ気を取り直して……不二咲、今行くからな!」ガチャ

86: 2013/10/13(日) 05:30:53.29 ID:XYbjtOb60
・1F 入口付近

罪木「誰かいますかー」ソロソロ

罪木「誰もいませんね……」ソロリソロリ

罪木「大丈夫ですかー」

終里「」

罪木「ひ、ひい! 凄い痣ですぅ……こんな攻撃食らったら私なら氏んじゃいます」

終里「う……お、オメーか……」

罪木「待っててください。今すぐ治療してあげますから」

終里「わりー……しくじっちまった」

罪木「喋らないで下さい。傷に障りますよ」

87: 2013/10/13(日) 05:33:37.52 ID:XYbjtOb60
終里「ありがとうな……お陰でまた動けるようになった」

罪木「応急処置だけですから、まだ完治はしてませんよ……そんな状態で戦うのは無茶ですよぉ」

終里「問題ねーぞ……これくらいの怪我を負った時もオレは大会で優勝した経験あるからな」

罪木「確かに終里さんの実力ならそうかもしれませんが、今回は相手が悪すぎますぅ。相手も超高校級の人達ばかりなんですよぉ。またあの怖い顔の人と戦ったら……」

終里「そうだ……オレはあいつに負けたんだった……うおおおおおおおお!!! リベンジだ! リベンジしてやる!!」ドドドド

罪木「ひい! 余計なこと言わなきゃ良かった」


十神「おい、貴様! そこで何してる!」

罪木「ひっ……許して下さい。ほんの出来心だったんですぅ……って十神さん!? ダイエットしたんですか?」

十神「何の話だ? どうして俺の名を知っている」

罪木「あ、あのぉ……せめてダイエットする時は私に相談して欲しかったです。急激なダイエットをすると体に負担が……」

十神「だから何の話だ!! 俺は昔からこの体型だ!」

89: 2013/10/13(日) 05:46:04.57 ID:XYbjtOb60
罪木「ひ、ひい……すみません人違いのようでした。ごめんなさぁい」

SP「こいつも超高校級の絶望の一員のようですね。白夜様、ここは私にお任せを」

十神「おい! 不用意に近づくな……」

罪木「ひい……来ないで下さい」

SP「大人しくしr……ウッ」バタ

十神「な、なんだ!!」

罪木「うふふふふ……だから来ないで下さいって言ったのに……」

十神「あいつが手に持っているのは針……? バカな! 十神家のSPを針一本で倒しただと」

罪木「あははははは!! こんな針一本で人は簡単に倒れちゃうんですよ? 下手したら氏んじゃうんですよ? これって絶望的ですよね?」

十神「こいつ狂ってる……これが超高校級の絶望か」

罪木「貴方は私を許してくれますよね? ね?」

十神「ふざけるな! 俺の配下をよくも……!」

91: 2013/10/13(日) 05:51:47.75 ID:XYbjtOb60
十神「ふざけるな! 俺の配下をよくも……!」

罪木「えっぐ……許してくれないんですか……」

十神(なんだ急に泣き出して……情緒不安定なやつだな)

罪木「許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許してぇ!!」バッ

十神「チッ……俺に先制攻撃を仕掛けるとは……どうやら消されたいようだな」

罪木「うふふふふ許してくれないと貴方を殺さないといけないんです」ニコ

十神「フン。人体の急所を的確に捉える術を持っているのは褒めてやろう……だが、そんなトロい動きで俺を捕捉できると思うなよ」

罪木「えいっ」シュッ

十神「無駄だと言っているのが判らんのか! 貴様の身体能力では、俺が油断でもしない限りは攻撃を当てることは出来ん!」サッ

罪木「きゃあっ」ズル

十神(え? 何もないところで……?)

ガシャーン

十神「く……転んだと見せかけて突進するとは……ハッ」

十神(こいつの体が俺に覆いかぶさってる……まずい)

罪木「うふふふふ捕まえましたよ……私を許してくれない人は氏んじゃえ♪」

93: 2013/10/13(日) 05:57:09.85 ID:XYbjtOb60
十神「や、やめろ! 俺はいずれ世界を総べる帝王になる存在だ! こんなところで氏ぬわけにはいかない!」

罪木「ん?」ギチギチ

十神「な、なんだ?」

罪木「ぁれ……? あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれ?」

罪木「わあああん……包帯が腕に絡まって身動きが取れませ~ん」

十神「どうなったらそんな状況になるんだ!! ……ま、これで形勢逆転だな」

罪木「はわわ……ゆ、許して下さああい! じょ、冗談ですよ。頃すとか私にそんな大それたこと出来るはずないじゃないですか……ハハハハハ」

十神「このオレを怒らせたことを後悔するがいい!」ドス

罪木「あぅ……」バタ

十神「人体の急所を知っているのは貴様だけではない。俺もある程度の医学は叩き込まれた……しばらくは目を覚まさないだろ」

罪木「」ビクンビクン

十神「さて、早いところ苗木達と合流しないとな……勢いで来たのはいいが、この建物の状況が全く掴めん」

96: 2013/10/13(日) 06:04:42.04 ID:XYbjtOb60
・コントロール室

左右田「ケケケ。オレの開発した絶望兵器を見せてやるよ」ポチ

ソニア「うわぁ……自分で戦おうとしないで、機械任せにするなんて見下げた根性ですね」

左右田「そんな……」


・霧切 朝日奈 大神 石丸 1F 通路

霧切「ねえ、何か聞こえない?」

石丸「ん? 何だこの妙な機械音は……」

掃除ロボ「ヴィイイン」

朝日奈「あ、これ知ってる! 決められたルートを掃除してくれるロボットだ! へー面白いな」

霧切「危ない! 近づいてはダメ!」バッ

朝日奈「え?」

掃除ロボ「侵入者発見……排除スル……」バン

霧切「うっ……」

朝日奈「ひっ……」

石丸「な……銃声だと」

97: 2013/10/13(日) 06:09:42.30 ID:XYbjtOb60
大神「大丈夫か! 朝日奈! 霧切!」

朝日奈「私は大丈夫……でも霧切ちゃんが私を庇って……」

霧切「あ、危なかった……山田君の持ち物からこっそり抜き取った雑誌がなければ即氏だったわ。流石にガンガンは服の中に全部入らなかったから何ページか抜き取ったけど」

石丸「雑誌で銃弾の威力を減少させたのか! 少し痣になっているが、命に別状はないだろう」

朝日奈「きっと天国の山田が霧切ちゃんを守ってくれたんだよ!」

石丸「氏してなおクラスメイトを守るために……なんとも泣かせる話ではないか!!」

霧切「いえ、山田君はまだ氏んでないわ」

石丸「そうだな! 僕達の心にいつまでも生き続けてるんだからな! 友情は生氏を飛び越えるんだからな」

掃除ロボ「侵入者発見……侵入者発見……」

朝日奈「あのロボットまだいるよ!」

石丸「まずい! 気を付けるんだみんな! また銃弾が飛んでくるかも知れない!」

大神「させぬ!」

掃除ロボ「センター感知……回避スル」スッ

99: 2013/10/13(日) 06:15:16.34 ID:XYbjtOb60
大神の渾身の一撃を掃除ロボは回避した。

大神「なぬ!」

朝日奈「さくらちゃんの攻撃を避けるなんて」

石丸「あの掃除ロボ只者ではないぞ!」

掃除ロボ「ピー……排除スル……」

霧切「まずいわ……このままだと二発目の銃弾が来てしまう……弱点を探さなければ」

霧切(私の観察眼で視たものを思い出すのよ!)キッ

霧切(あのロボットはセンサーで対象の動きを把握して大神さんの攻撃を避けた……私に銃弾を撃ったのは、私が咄嗟に朝日奈さんを庇おうとしたためセンサーに反応したから……ならどうして、わざわざ雑誌で防御してある箇所を……)

霧切(わかったわ!)

霧切「石丸君! 竹刀を掃除ロボットに向かって投げて」

石丸「なぜだ! これは僕の大切な……」

霧切「説明している暇はないわ! 私を信じて!」

石丸「む……わかった! トリャ!!」

霧切(私の推理が正しければ、あの掃除ロボは熱を持ったものしか感知できない……!雑誌は熱を持っていないから銃弾が遮断されるとは思わなかったようね)

石丸の投げた竹刀が掃除ロボットの中枢コンピュータ部分に直撃する。

102: 2013/10/13(日) 06:31:32.23 ID:XYbjtOb60
掃除ロボ「ピーガー……機能停止……強制シャットダウン……」ブフォン


石丸「やった! 掃除ロボを倒したぞ!」

朝日奈「良かったー石丸やるじゃん!」

石丸「僕は竹刀を投げただけだ。霧切くんが奴の弱点を見抜いてくれたお陰だ」

大神「今回ばかりは我ではどうにもならなかった。確かに霧切の頭脳があってこその勝利だな」

霧切「私は別に探偵として出来るだけのことをしただけよ」ドヤァ



さるさんが来たのでちょい休憩

110: 2013/10/13(日) 08:13:00.92 ID:XYbjtOb60
・コントロール室

左右田「あーあ。オレが作った試作品をあんな風に壊しやがって……まあいいさ。あの型は量産に成功してるからなケケケ」

狛枝「流石超高校級の機械技師だね。あの機械は敵味方の区別がつきづらいから量産化は危険だって話だったけど、その弱点は克服できたのかな?」

左右田「うわあ! てめえいつからいた!」

狛枝「……来ちゃった」

左右田「呼んでねえよ! 帰れ帰れ!」

狛枝「何でボクを呼んでくれたなかったのさ。ひどいなあ」

左右田「テメーは関係ねえだろ!」

狛枝「関係なくないよ……絶望こそ希望の踏み台。ボクは自らが絶望に堕ちることによって、本当に希望の輝きを持つ超高校級の人の踏み台になりたいんだよ」

左右田「チッ……絶望に堕ちたのか希望を心酔するのかどっちかにしやがれ」

狛枝「ま、ボクはキミたちのことが大嫌いだけどね……絶望に堕ちたキミなんて顔も見たくないし」

左右田「じゃあ何で来たんだよ! かーえれ! かーえれ!」

111: 2013/10/13(日) 08:17:41.48 ID:XYbjtOb60
狛枝「ボクはただ、後輩の希望の踏み台になるべくここに来たってわけだよ……それに、キミ達だって後輩を全員呼び出せた訳じゃないんでしょ?」

左右田「まあな……来なかった奴らの中に人工衛星プログラムを持ってるやつがいたら……って、テメーにそんな重要な情報教えられるか!」

狛枝「まあいいけど……人質として約2名程捕まえたのになー」

左右田「本当か!?」

狛枝「は? ボクがキミに協力すると思ってんの? 身の程を知ってよね」

左右田「何なんだよテメーはよぉ!!」

112: 2013/10/13(日) 08:24:16.88 ID:XYbjtOb60
・???

狛枝「やあ。気分はどうだい?」

セレス「最低な気分ですわ」

狛枝「だろうね。ボクも昔誘拐されたことがあるからキミ達の気持ちはわかるよ」

舞園「私達を帰して下さい! なんでこんなことするんですか! 私にこんなことしたら世間が……」

狛枝「ああ、大丈夫だよ。超高校級の絶望の中には裏の世界に顔が利く人もいるからね。彼に事後処理を頼んでおいたら、騒ぎになるなんてことはないよ」

狛枝「例えキミが超高校級のアイドルだったとしてもね」ニコ

舞園「そんな……」

狛枝「大丈夫。今のところキミ達に危害を加えるつもりはないよ」

セレス「嘘おっしゃい! どうせわたくし達に乱暴する気でしょ! 工口同人みたいに! 工口同人みたいに!」

狛枝「しないよ」

113: 2013/10/13(日) 08:36:28.16 ID:XYbjtOb60
・霧切 朝日奈 大神 石丸 1F 通路

石丸「しかし、この掃除ロボットは中々厄介な相手だな……もし、こんなのが大量にいたら僕達は全滅しかねないぞ」

朝日奈「やめてよ縁起でもないこと言わないでよ」

ウィーンウィーンウィーンウィーン

霧切「こ、この音は……」

掃除ロボ「「「排除スル……排除スル……」」」

朝日奈「ひい! 石丸が余計なことを言うから本当に来ちゃったじゃない!」

石丸「僕のせいなのか!?」

116: 2013/10/13(日) 08:41:39.26 ID:XYbjtOb60
大神「言い争っている場合ではない。逃げるぞ」

石丸「大丈夫だ! 竹刀での一撃ならこいつらも攻撃を避けることはできない! せいっ!」

掃除ロボ「攻撃確認……回避スル……」スッ

石丸「バカな! 避けただと……」

霧切「逃げて石丸君。どうやらこいつらはさっきのより高性能なようよ」

石丸「あ……ああ」

掃除ロボ「逃亡確認……追跡スル……」

石丸「追ってくるではないか!」

霧切「このままだと危険だわ。苗木君にも注意を呼びかけないと」ピッ

117: 2013/10/13(日) 08:52:36.18 ID:XYbjtOb60
・苗木 桑田 1F 事務所

桑田「おーい! 苗木! こっちに電話回線とパソコンがあるぞ!」

苗木「電話回線なんてどうでもいいよ。携帯があるし」

桑田「そっか。どうせなら、ここの電話使って高額請求される番号にかけてみっか?」

苗木「そんな悪戯してる場合じゃないよ! ボク達は遊びに来たんじゃないんだよ!」

アルターエゴ『このパソコンは中々高性能みたいだね』

苗木「そうなんだ。貰って帰ってもいいかな? 丁度新しいパソコン欲しかったし」

桑田「おい、遊びに来たんじゃねーっつったのは誰だよ」

アルターエゴ『苗木君。霧切さんから電話だよ』

苗木「繋いでくれる?」

霧切『苗木君……大変なことになったわ。掃除ロボが人類に反逆をしたの』

苗木「霧切さん? ふざけたこと言ってる場合じゃないよ」

霧切『ほ、本当よ! 掃除ロボットが人類というゴミを一斉に排除しようと武装して勢力を拡大するつもりだわ。人類に希望は残されてないわ』

苗木「とりあえず一回落ち着こ? ね?」

119: 2013/10/13(日) 09:00:20.98 ID:XYbjtOb60
霧切『多少大袈裟に言ったけど、今言ったことは本当よ。この工場内に武装した掃除ロボが徘徊してるわ……恐らく、超高校級の才能を持つ絶望側の誰かが改造したんでしょうけど』

苗木「本気なの? ふざけてるとかじゃない?」

霧切『私がこんな時にふざけるわけないでしょ』

苗木「でも、人類規模の話じゃないでしょ」

霧切『今はそうだけど、これが量産化されたら現実化してくるわ』

苗木「大事なのは今でしょ! なんで話盛るの」

霧切『女子は話を盛る習性がある生き物なの! その辺りを考慮しないと思わぬミスリードに引っ掛かるってことを身をもって教えたかったの』

苗木「それは今やることじゃないよね!?」

霧切『とにかく、現状で判っていることは、掃除ロボは人間が持っている熱に反応する。熱を持ってない竹刀の攻撃を何故か避けたってことの2つよ』

苗木「情報が早速矛盾してるんだけど……」

霧切『その矛盾の答えが突破口になるかも知れない……武器を使っても攻撃を避けられたんじゃ意味がないわ。正直苦戦してる……とにかく必要なことは伝えたわ。通路を出歩く時は気を付けて』プツ

120: 2013/10/13(日) 09:18:59.79 ID:XYbjtOb60
苗木「切れちゃった……一体何だったんだろう。アルターエゴはどう思う?」

アルターエゴ『うーん……熱を感知して動く自動制御の他に攻撃を回避する何かが組み込まれていると思うよ』

苗木「でもさ、この工場内ってボク達だけじゃなくて、絶望側の人間もいるし雇われている構成員の人もいるよね? 熱を自動的に感知して攻撃したら、その人達も巻き添えになっちゃうと思うんだ」

アルターエゴ『あ……もしかしたら、誰かが遠隔操作で指示を送っているのかも』

苗木「遠隔操作……なるほど。そうすれば、敵と味方の区別がつくね」

アルターエゴ『でも、近くに指示を送ってる人がいたら霧切さんが大神さんが気づきそうだけど……』

苗木「近くにいないとすると……そうか! わかったぞ! アルターエゴ! 霧切さんにもう一回電話出来る?」

アルターエゴ『うん。繋いでみるね』

121: 2013/10/13(日) 09:27:02.90 ID:XYbjtOb60
石丸「こっちに逃げるんだ!」

掃除ロボ「侵入者発見……」

石丸「な! 別のロボに先回りされてただと……!」

朝日奈「どうしよう! 挟み撃ちにされちゃったよ」

大神「やるしかないのか?」ボキボキ

霧切「待って大神さん! この数を相手にするのは無理よ」

大神「我の精神統一させ、全身全霊を込めた一撃なら攻撃を当てられるやもしれん」

石丸「バカなことを言うのはやめたまえ! そんなパンチ何発も撃てるわけないだろ!」

朝日奈「みんな……私が囮になるよ」

石丸「な、なんだと」

大神「やめろ朝日奈! 危険すぎる!」

朝日奈「私の才能はスイマー。だから、陸の上じゃ皆みたいに役に立てそうもないよ……私に出来るのは陸上部の助っ人時代に鍛えたこの脚力で敵を引きつけることしかないよ」

石丸「冗談はよすんだ! きっと何か打開策はあるはずだ! 全員が助かる方法が!」

朝日奈「無理だよ……このまま全滅するよりは私一人が……」

石丸「滅多なことを言うんじゃない!」

123: 2013/10/13(日) 09:35:37.58 ID:XYbjtOb60
霧切(電話……? 苗木君から)

霧切「もしもし苗木君? 今追い詰められてるから要件は手短にお願い」

苗木『霧切さん……監視カメラの氏角を探して。そこに敵を追い込めば勝機はあると思う』

霧切「監視カメラの氏角……? なるほど。そういうことね」

霧切(私の観察眼で監視カメラの位置とおおよその視野を分析する)キリ

霧切(…………あった!)

霧切「朝日奈さん! あの地点まで敵を誘導して! これはあなたにしか出来ないことよ」ビシッ

石丸「な、何を言ってるんだ! 君は朝日奈くんを見頃しに……」

大神「いや、霧切には何か考えがあるはずだ。信じてやろうではないか」

朝日奈「わかった! 任せて!」タッタ


朝日奈「ほらほら! こっちだよ!」

掃除ロボ「追跡スル……」

霧切「あの掃除ロボの大群はセンサーの他に遠隔操作の命令で動いている……でも、遠隔操作をしている人間は近くにはいないわ」

石丸「それではおかしいではないか! 近くにいなければこちらの状況がわからないのに、どうやって指示を送っているのだ」

霧切「それは監視カメラの映像よ!」

128: 2013/10/13(日) 10:02:39.98 ID:XYbjtOb60
石丸「な……!」

大神「ということは、監視カメラの氏角に追い込めば……」

霧切「指示が出せずに攻撃を当てることが出来るわ!」

掃除ロボ「排除スル……」ダン


掃除ロボの放った弾丸が朝日奈の足に命中する。


朝日奈「っ!!」

大神「朝日奈!!」

霧切「監視カメラの氏角に入ったわ! 今よ!」

石丸「よくも朝日奈くんを!! オリャアア!!」


石丸の渾身の一撃が掃除ロボに命中した。


掃除ロボ「アポ……?」

大神「朝日奈の仇は我が討ち取る!」カラン


落ちていた鉄パイプを拾い大神も石丸に続き応戦をする。

131: 2013/10/13(日) 10:12:10.84 ID:XYbjtOb60
・コントロール室 左右田

左右田「なななな! 監視カメラの氏角に移動しただと!! クソ! 状況が判らないんじゃ指示が送れねえ!!」

11037号機機能停止...

左右田「ぎゃあああああああああオレの作った掃除ロボがああああああ!! 制作時間も製作費もバカになんねーんだぞ!!」

左右田(まずい。どんどん機能停止していく数が増えている……こうなったら)

左右田「多少の兵を失うのはしょうがねえ。肉を斬らせて骨を断つ! 増援だ!!」


・霧切 朝日奈 大神 石丸 1F 通路

霧切「朝日奈さん大丈夫? 今手当てするわ」

朝日奈「いてて……ごめん。この足じゃもう動けそうにないよ」

霧切「ありがとう……貴女のお陰で助かったわ」

石丸「く……こうも数が多いと全部始末するのが大変だぞ」

大神「石丸! 後ろ!」

石丸「後ろだと……? ぬわ!」


石丸の背後に掃除ロボが迫っていた。反応が一瞬遅れたため攻撃が間に合わない。

133: 2013/10/13(日) 10:19:22.80 ID:XYbjtOb60
「助太刀するぜ兄弟!」


掃除ロボは何者かの木刀による一撃を受けた。石丸に銃口を向けたまま機能を停止する


大和田「よお! 苦戦してるようだな」

石丸「兄弟! 無事だったのか!」

大和田「ったりめーよ! ……合流が遅くなって悪かったな。こっちも絶望相手に足止めされちまったからな」

石丸「兄弟がいれば百人力だ! このままこいつらを片付けよう!」

大和田「おうよ!」

掃除ロボ「侵入者発見……」

霧切「!!!」

大神「増援だと……!」

霧切(まずい。あの位置は……!)

135: 2013/10/13(日) 10:37:34.54 ID:XYbjtOb60
大和田「へ……いくら増援が来ようと変わらねえ!」

石丸「待て兄弟! そっちはまずい!」


大和田は勢いよく木刀を振り下ろすが、掃除ロボに避けられてしまった。


大和田「な、なんだこいつ! 妙な動きしやがって!」

霧切(監視カメラ内の氏角にいる掃除ロボを駆除することに気を取られていた……! 監視カメラの氏角外から掃除ロボを呼ばれるなんて……)


・左右田 2F コントロール室

左右田「ケケケ。バーカ! 監視カメラの氏角なんてこっちは把握済みなんだよ!! 監視カメラに映ってないってことは逆に自分の居場所を教えているようなもんだぜ」

左右田「後は、熱センサーによる反応で銃弾を撃てば終了だ! 攻撃を仕掛けようにも掃除ロボの方は監視カメラの視野内にいるから、回避命令を出すことは可能だ」

左右田「さあ! 絶望しろ! 助かるかもという希望を潰されて絶望しろ!」

136: 2013/10/13(日) 10:45:26.47 ID:XYbjtOb60
ERROR

左右田「……………ありゃ?」

左右田「おい! な、なんだ! 掃除ロボの機能が次々に停止していく!?」

アルターエゴ『僕がこのシステムを乗っ取ったよ。非常時の停止命令を実行させて貰ったよ』

左右田「ぎゃあああああああ!! な、なんだ!? ウイルスか!?」

左右田「ま、まずい! 今すぐネットワークを切断だ!」


・苗木 桑田 1F 事務所

アルターエゴ『やった! 掃除ロボの機能を全部停止させたよ』

苗木「流石アルターエゴ! キミのお陰で助かったよ!」

桑田「事務所にあったPCにアルターエゴのプログラムを移して電話回線を使って、ネットワークに侵入か……よくわかんねーけどスゲーってのはわかったぜ」

アルターエゴ『iphon版だとスペックの関係上、パスワードの解析やシステムの把握に時間がかかるからね。その間に敵に気づかれたら阻止される可能性があったんだ』

苗木「間に合って良かったよ。これで掃除ロボの恐怖に怯えなくて済むね」

桑田「まあ、とにかく一件落着だ! これからも頭脳労働は苗木とアルターエゴに頼むぜ!」ポン

アルターエゴ『そうそう。ネットワークに侵入した結果、この工場の見取り図が出てきたよ。データは苗木君のiphonに入れておくね』

苗木「ありがとう。助かるよ」

139: 2013/10/13(日) 10:55:40.94 ID:XYbjtOb60
・霧切 朝日奈 大神 石丸 大和田 1F 通路

大和田「なんでい。もう動かねえポンコツになっちまったじゃねえか」ゲシゲシ

石丸「なんか拍子抜けだな」

霧切「あ、苗木君? ……そう、やっぱりアルターエゴのお陰ね。お陰で助かったわ。じゃ、お互い生きてたらまた逢いましょう」ピッ

霧切「掃除ロボの機能は完全に停止したそうよ」

大和田「ケッつまんねーの。もっと派手に暴れたかったぜ」

霧切「大和田君。流石に不謹慎よ」

朝日奈「…………」

大和田「……あ、悪い。朝日奈は足をやられちまったんだったな」

大神「朝日奈よ大丈夫か?」

朝日奈「うん……霧切ちゃんに見て貰ったけど弾丸は貫通しているし、止血しておけばとりあえずは問題ないって」

霧切「でも、これから先彼女を連れていくのは不可能だわ。どこかに身を隠してもらうしかないようね」

140: 2013/10/13(日) 11:00:30.35 ID:XYbjtOb60
朝日奈「ゴメン……あんまり役に立てなくて」

石丸「そんなことはないぞ! 朝日奈くんがあの時勇気を出して囮になってくれなかったら、僕達は全滅していたかも知れないんだからな」

大神「朝日奈よ……ここは危険な場所だ。我が朝日奈を護衛を買って出たいのだが」

朝日奈「気持ちはありがちけど……さくらちゃんは行かなきゃダメだよ! そんなことしたら一気に戦力ダウンじゃん!」

大和田(確かに)

朝日奈「私は大丈夫だからさ……うまいこと敵に見つからないようにするって。みんな不二咲ちゃんのことは頼んだよ……」

朝日奈:リタイア

142: 2013/10/13(日) 11:05:49.15 ID:XYbjtOb60
・教室 腐川 戦刃

腐川「うう……超高校級の絶望なんてヤバい連中に立ち向かうなんて正気じゃないわ……」

腐川「それにしても最近肌寒いわね……は、は、ハクション」

ジェノ「肌寒い季節は白夜様に温めて貰うのが一番よねえええ!! 白夜様どこにいるのかしらぁ~ん?」

ジェノ「白夜様の携帯にこっそり仕込んだ追跡アプリを使えば、白夜様がどの位置にいるかマップに表示されるのよねん」

ジェノ「ん? なんだここ? 閉鎖された工場? 辛気くせーとこにいんなおい」

ジェノ「それじゃ白夜様に添い寝で温めてもらい隊出陣じゃああコラ!!」

戦刃「あ、あの……」

ジェノ「あ? どうした残念バカ」

戦刃「盾子ちゃんと苗木君がいない……」

ジェノ「見りゃわかんよ。それがどうしたってんだ?」

戦刃「折角野戦から戻ってきたのに……私の活躍ぶりを二人に報告しようと思ったのに……うぅ……」

ジェノ「お前本当に残念だな。ハブられてやんのー。ウケルー」

143: 2013/10/13(日) 11:12:46.66 ID:XYbjtOb60
戦刃「二人がどこにいるか知らない?」

ジェノ「アタシが知るわけないっしょー。ってかクラスの連中全員いねーし、やっぱりアンタもあの根暗もハブられてやんの! ゲラゲラゲラ」

戦刃「えっぐ……」

ジェノ「泣くなよ。女子が泣いても萌えねえからな。っつーかさ、携帯に連絡すればよくね?」

戦刃「携帯は野戦中に壊れた……」

ジェノ「残念すぎんよー。あれか? 敵の弾丸が当たって壊れたってオチか?」

戦刃「弾丸は全部避けるから平気だもん。うっかり地雷の上に落としちゃったんだもん。でも、爆発には巻き込まれなかったもん。無傷の記録は更新中だもん」

ジェノ「だせえええええ!! ねえ、今どんな気持ち? どんな気持ち?」

戦刃「うぇええん」

145: 2013/10/13(日) 11:22:04.27 ID:XYbjtOb60
ジェノ「ああ。もうわかったわかった。きっとまーくんは白夜様と一緒に廃工場でいけない野外プレイをしてる最中だと思うから一緒に連れてってやんよ」

戦刃「ほんと!?」パアア

ジェノ「嘘に決まってんだろぉおおおぉぉおお!! 悔しかったらアタシに追いついてみな」スタタ

戦刃「…………」プッツン

戦刃「逃がさない……」ビュン

ジェノ「うおおお!! い、いつの間に先回りして……ああもうわかった。今度こそアタシの降参だよ。ったく、そんなムキになるなっつーの」

戦刃「ありがとう腐川さん」

ジェノ「だからアタシは腐川じゃなくてジェノサイダー翔だって何度言ったらわかんだこのボケ!」

146: 2013/10/13(日) 11:28:45.95 ID:XYbjtOb60
・苗木 桑田 2F

桑田「勢いのまま二階に上ったけど……ここから先はオレらが初めて行くんだよな」

苗木「そうだね。今まで以上に気を引き締めよう」

桑田「ヨッシャ! この部屋に入ってみようぜ」

苗木「ここは休憩室だね……行ってみよう」ガチャ


・苗木 桑田 2F 休憩室

苗木「この休憩室って結構床が古いね……歩くたびにギィギィ言ってる」

桑田「案外床が抜けたりしてな」

苗木「ちょっと止めてよ……ん? 人の気配がする?」

狛枝「やあ……待ってたよ」

苗木「待ち伏せ!?」

桑田「テメー! 絶望側の人間か?」

狛枝「やだなあ……そんな身構えないでよ。そんなに凄まれるとウッカリ人質をナイフで刺しちゃいそうになるよ」

147: 2013/10/13(日) 11:37:40.22 ID:XYbjtOb60
苗木「人質?」

舞園「苗木君! 桑田君! こっちに来ちゃダメです!」

桑田「な! 舞園ちゃん? テメー何してんだ!! っつか縛られている? アイドルになんつー変態プレイ仕込んでんだよ!」

苗木「それは違うよ。よく見て、縛られているどころか吊るされている」

桑田「余計に最悪じゃねえか!」

セレス「すみません。わたくしともあろう者がこんなビチグソに捕まってしまうなんて」

苗木「セレスさんまで……お前は一体何者なんだ!!」

狛枝「名乗るほどの者じゃないよ。ただの超高校級の幸運なんてゴミみたいな才能しか持たない人間だよ」

舞園「幸運がゴミだなんて、そんな言い方許しませんよ!」

狛枝「いやいや。幸運なんてキミ達の希望溢れる才能に比べたらゴミみたいなものだよ」

舞園「訂正して下さい!」

狛枝「あれ? もしかして、この中に幸運で選ばれた人がいるの? ……舞園さんは違う。セレスさんも違う。勿論、優れた野球選手である桑田クンも違うよね。ってことはキミかな?」

苗木「…………」

150: 2013/10/13(日) 11:56:58.81 ID:XYbjtOb60
桑田「こいつオレ達の情報知ってるのか?」

狛枝「当たり前だよ。ボクはキミ達のファンだからね。新入生の情報は調べさせて貰ったよ」

桑田「テメーに応援されても嬉しくねえっつーの! どうせなら可愛い女の子に応援されたいぜ」

狛枝「あはっ嫌われちゃったみたいだね」

桑田「ったりめーだ! クラスメイト誘拐したり、人質にとったりする奴を嫌わねえやつなんていねえ!」

苗木「ねえ。キミ達の目的は不二咲さんが開発した人工衛星を落とすプログラムだよね。なのに何で無関係の舞園さんとセレスさんを巻き込むんだよ!」

狛枝「キミは苗木クン……って呼ばれてたね。ボクの目的がプログラムだって?」

狛枝「それは違うよぉ…」

狛枝「ボクの目的は希望に倒されることだよ。ボク自身がより大きな絶望になって、希望とぶつかり合う。そうして絶望を倒せば希望はより大きな物になる」

狛枝「本当は希望同士のぶつかり合いってのが理想なんだけどね。所詮、幸運程度の能力しかないボクには希望の踏み台になることしかできないよ」

狛枝「同じ幸運の才能を持つ苗木クンなら分かってくれるよね?」

苗木「それは違うよ!」

151: 2013/10/13(日) 12:03:18.12 ID:XYbjtOb60
苗木「希望を持つのに才能や能力なんて関係ない! ましてや誰かを犠牲にして希望を得ようとするなんて間違ってるよ!」

狛枝「ふーん……キミって傲慢な考え方をするんだね。希望は優れた才能を持つ人間にのみ持つことを許されるものなんだよ」

苗木「そうじゃない! 例え才能がなくても前に進もうとする意思があれば誰でも希望を持つことは許されるんだ!」

狛枝「まさか、キミはたかが幸運で選ばれたからって、他の超高校級の皆と肩を並べられると思ってるの? 同じ希望を目指すことを許されると思ってるの? 恥知らずもいいとこだね。最低だよ」

桑田「テメー! さっきから黙って聞いていれば! お前がなんと言おうと苗木はオレ達の仲間だ! 才能があってもなくてもそれは変わらない! オレのダチをこれ以上悪く言うとぶっ潰すぞ!」

舞園「そうですよ。私は苗木君だからこそ、一緒のクラスになって嬉しいし楽しいんですよ! 仮にどんなに優れた才能があってもあなたみたいな人とは一緒のクラスにはなりたくありません!」

セレス「そういうことですわ。あなたの歪んだ考え方はここにいる全員が否定することですわ」

狛枝「はぁ……どうして分かってくれないんだ……絶望的だよ」ゾクゾク

桑田「おい、こいつなんかヤベーぞ」

セレス「知ってますわ。こんなのと長時間一緒にいるわたくし達の気持ちを考えて下さるかしら?」

狛枝「ねえ。これからちょっとしたゲームしようよ」

桑田「急に何言ったんだ! んなもんするわけねーだろ! こっちだって暇じゃねえんだ!」

狛枝「ふーん。あっそ別にいいよ。人質が氏んでもいいならね」スッ

舞園「ひっ……や、やめ……」

桑田「ナイフだぁ? そんなもんでオレがビビると思っているのか? お前がナイフで人質を頃す前にオレの剛腕から繰り出される投球が火を噴くぜ!」

154: 2013/10/13(日) 12:14:11.71 ID:XYbjtOb60
苗木「ダメだ桑田クン!」

桑田「あ、なんで止めるんだ苗木」

苗木「あいつが切ろうとしているのは人質じゃない……人質の体を支えている縄だよ」

桑田「縄?」

狛枝「はあ……バレちゃったか。幸運しか取り柄がないと見せかけて、観察眼は優れているようだね」

桑田「どういうことだ?」

苗木「舞園さんとセレスさんは二つの縄で縛られている。一つは体を宙に浮かせて体重を支えるための縄……もう一つは首を吊るための縄だよ」

桑田「く、首吊り!? でもまだ二人は生きているじゃねーか!」

苗木「首吊り用の縄はまだ長さにゆとりがあるんだ……体を支えている縄のお陰だよ。逆に言えば、体を支えている縄を切られた瞬間に自動的に首が吊られるようになってるんだよ」

狛枝「正解。見てごらん……これが二人の命綱だよ。ボクの手元に丁度あるんだ。桑田クンがボールを取り出す動作をした瞬間に縄を切ることだって出来るんだよ」

狛枝「今はまだ首が吊られる地点より高い位置に体を支えているから大丈夫だけど……体を支えている縄が切れたら、二人の体は降下し、首吊りが完成するってわけだよ」

桑田「マ、マジかよ」

苗木「ここは下手に相手を刺激しない方がいい。素直に従うべきだよ」

狛枝「早く決断しないとまずいよ。命に別状はないけど、縄だけで体を支えられるってのも案外キツいものだからね」

156: 2013/10/13(日) 12:21:07.92 ID:XYbjtOb60
桑田「チッ……ゲームってのは何をすればいいんだ?」

狛枝「そうだね。ブラックジャックでもする? ボクに勝ったら人質を解放してもいいよ」

桑田「は? そんなもん超高校級の幸運のお前が有利に決まってんだろ!」

狛枝「相手は苗木クンでもいいよ。どっちの幸運が上か勝負してみる気はないかい?」

苗木「わかった。勝負してもいいよ」

狛枝「そうこなくっちゃ」

苗木「でも勝負するのはボクじゃない……」

狛枝「は?」

苗木「人質交換を要求するよ! ボクが人質になる代わりにセレスさんと舞園さんを解放して欲しいんだ」

舞園「な、何言ってるんですか苗木君! そんなのダメです!」

狛枝「なるほど……でも、その要求は呑めないな」

苗木「どうして!」

狛枝「だって、考えてもみてよ。優れた超高校級の才能を持つ人とただの幸運の人。人質の価値が釣り合わないじゃないか。ましてや二人も解放するなんて出来るわけがないよ」

162: 2013/10/13(日) 12:40:29.45 ID:XYbjtOb60
苗木「つまり人質の価値が釣り合えばいいんだね?」

狛枝「そういうこと。桑田クンが人質を買って出てくれるならいいけど?」

桑田「おい! 何勝手に話を進めてんだ!」

苗木「いや、桑田クンはダメだよ。桑田クンの野球選手としての才能は貴重……こっちの戦力としても失うわけにはいかない」

狛枝「ようやくキミも自分の身の振り方がわかってきたね。そうだよ。才能という希望を保護するために自らを犠牲にするのがボク達才能がない人間の役割なんだよ」

狛枝「しょうがないな。キミのその心意気に免じて1対1の交換なら認めてあげてもいいよ。感謝してよね」

苗木「分かった……それじゃあセレスさん。キミにこの勝負を預けてもいい?」

セレス「その言葉を待ってましたわ。わたくしをこんな目に合わせた不埒な輩をこの手で成敗しますわ」

狛枝「それじゃ……セレスさんの代わりに苗木クンを縛って吊るすよ」





苗木「ごめん舞園さん……キミまでは解放してあげられなかった」

舞園「いいんです。苗木君が来てくれただけでも嬉しいです」

舞園(それに人質でいた方がヒロイン力がアップしますからね。これでメインヒロインの座確定に待ったなし)

苗木「セレスさんを信じよう」

165: 2013/10/13(日) 12:46:31.37 ID:XYbjtOb60
セレス「桑田君。貴方はこの場にいるべきではありませんわ」

桑田「で、でもよお……」

セレス「お気持ちはわかります。しかし、貴方がいたところで勝敗は変わりません。それでしたら、本来の目的である不二咲さん救出に力を注いだ方がよろしくて?」

桑田「すまねえ……負けんじゃねえぞ!」


狛枝「ゲームの時間だ……ルールを説明するよ。まず、セレスさんはどっちの人質の命を賭けるか選んでよ。選んだ方の人質の解放か命を賭けて勝負だ」

セレス「苗木君ですわ」

セレス(相手は超高校級の幸運……普通にやればギャンブラーのわたくしでも苦戦は必至。その対策として、苗木君の命を巻き込んで彼の幸運の分も上乗せすればこちらが有利になりますわ)

狛枝「わかった。キミが一度でも勝てば苗木君を解放する。キミが勝てなかったら、このナイフで少し縄を切る。それだけだ」

セレス「あら、随分と余裕がありますわね。わたくし相手にそんな舐めた条件でよろしいのでしょうか? わたくしが初戦で勝てば、その時点で勝負は終了ですよ」

狛枝「構わないよ。その代わりに引き分けでも人質の命綱は削られるからね」

狛枝「ディーラーは一回毎の交代制でやるよ。最初のディーラーはボクでいいよね?」

セレス(ブラックジャックはディーラーが圧倒的に不利なルール……そっちは、一度でも負ければゲーム終了なのにこの余裕が癪に障りますわね。とはいえ、文句は言えません。何しろ仲間の命がかかっているのですから)

167: 2013/10/13(日) 12:58:33.74 ID:XYbjtOb60
狛枝「勝負はこの未開封のトランプを使って行うよ」

セレス「中身を確認してよろしいでしょうか?」

狛枝「構わないよ」

セレス(見たところ細工はしてありませんわね……)

狛枝「確認は終わった? それじゃいくよ」サッサッサッサッ

セレス(随分と慣れた手つきですわね……百戦錬磨のわたくしが見てもイカサマはしてないように見えます)

狛枝「ボクのアップカードはスペードのKだね」

セレス(わたくしのアップカードは2と8……合計10ですわ)

セレス「ヒットします」クイクイ

狛枝「はい」スッ

セレス「あら。Aが来ました。わたくしのカードは2と8とAです。ウフフフフ」

舞園「やったあ! Aを11として扱えば合計は2+8+11=21です! セレスさんの勝ちは決まったも同然ですね」

4: 2013/10/14(月) 06:28:35.65 ID:FKNdkUlp0
狛枝「あちゃー。これは参ったな。セレスさんの合計が21ならボクはブラックジャックを決めるしか勝つ方法はないのか」

苗木「あ、あれ? 何か嫌な予感が……」

狛枝「流石超高校級のギャンブラーだね。いきなり強い手を出す勝負強さはかなりのもの……でもね、ボクは超高校級の幸運なんだよ」

狛枝「ボクのホウルカードはAだよ」

セレス「!」

狛枝「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ! KとAでブラックジャックになってこの勝負ボクの勝ちだ!」

苗木「そんなセレスさんが負けた……」

セレス「く……」

狛枝「それじゃ約束通り苗木君の命綱に切れ目を入れるよ」ザク

苗木「ひっ」

舞園「苗木君!!」

苗木「あわわわわ……ど、どうしよう」

セレス「落ち着いてください。次にわたくしが勝てばいいだけのこと。それに暴れると勝負が着く前に縄が千切れますわよ」

苗木「わ、わかった。セレスさんを信じるよ」

5: 2013/10/14(月) 06:34:38.30 ID:FKNdkUlp0
セレス(まさか、彼の超高校級の幸運の能力がこれほどまでとは……今度はわたくしがディーラー……カードを配るのはわたくしの役割ですからイカサマを仕込むのは容易ですわ)

セレス(わたくしの手はハートのエースとダイヤのクイーンでブラックジャックにしました……相手がブラックジャックでさえなければ勝利は確実ですわ)

セレス「わたくしのアップカードはハートのエースですわ」

狛枝「ボクはスタンドするよ……スペードの8とダイヤのクイーンだよ」

セレス「!」

セレス(あ、ありえませんわ……わたくしが予め付けておいた目印通りにカードを配ったのなら、相手のカードにダイヤのクイーンがあるはずが……)

セレス(そ、それでは、わたくしのホールドカードは一体……)

セレス「わたくしのホールドカードは……ハートの6」

狛枝「17と18でボクの勝ちだね」

セレス(い、一体どうして……ハッ。ハートの6にわたくしが付けた箇所と同じところに爪痕が)

狛枝「どうやらボクのトラップは効いたみたいだね」

セレス「!!」

7: 2013/10/14(月) 06:44:31.00 ID:FKNdkUlp0
狛枝「ボクはねえ、セレスさんが爪でカードの側面に傷をつけてマーキングすることを予想してたんだよ」

セレス「そ、そんな……」

狛枝「まさか、自分がカードに触れない状態で傷を付けるやつがいるとは流石のセレスさんも思わなかったみたいだね」

狛枝「ボクは自分が目印に使うために、カードに印をつけたんじゃない! セレスさんのイカサマを妨害するために印を付けたんだよ」

狛枝「同じ位置に印がついたカードならセレスさんも自分が付けた傷と勘違いしてくれると思ってね。実際、ここまでうまくいくとは思わなかったよ」

セレス「あ、ありえませんわ! な、何でわたくしが付けた箇所と全く同じ箇所に傷を付けることが。わたくしがカードをマーキングしている時、あなたの視線は全くわたくしの手元に向いてなかったはず」

狛枝「やだなぁ。ボクを過大評価しすぎだよ。セレスさんレベルのギャンブラーのイカサマの瞬間をボクみたなゴミクズが見極められることができるわけないじゃないか(笑)」

セレス「ぐ……それなら、どうして……」

狛枝「忘れたのかい? ボクは超高校級の幸運だよ? たまたまセレスさんと傷を付けた箇所が被っていただけなんだよ。セレスさんがマーキングを付ける作戦をするのも、どの位置に目印を付けたのかとかそんなことは一切確証がなかったんだよ」

セレス「な……運任せ!! そ、そんなことがあってたまりますか!!」

狛枝「信じられなくてもこれが事実だよ」

セレス(ここまで規格外の運を持っている相手なんて初めてですわ……)

8: 2013/10/14(月) 06:55:08.30 ID:FKNdkUlp0
狛枝「もしかしてセレスさんってさあ、まだ負けてもいいやって思っているんじゃない?」

セレス「そんなことはありませんわ」

狛枝「ボクのギャンブルスタイルを見極めるためにわざと負けてから勝ちを狙う……そう考えないとセレスさんが2連敗するなんてありえないよ」

セレス(確かに……負けても余裕があるため、少し甘い戦略で戦っていたのは事実ですわ)

狛枝「ボク……そういうの好きじゃないな」

セレス「えっ」

狛枝「ボクみたいな最低で劣悪で幸運以外何の取り柄もない相手に手間取るなんてセレスさんらしくないよ! そんなの全然希望じゃない!」

狛枝「どうやったらセレスさんの希望がもっと輝けるかな……? そうだ……!」

狛枝「絶望を乗り越えるんだ! 仲間の氏という絶望を乗り越えた先にセレスさんが本当の希望を手にすることが出来るんだ!」

セレス「仲間の氏? ま、まさか!」

10: 2013/10/14(月) 07:02:06.00 ID:FKNdkUlp0
狛枝「さようなら、苗木クン」ザシュ

苗木「え……うわあああああああああ」ガク

舞園「きゃあああああああああああ!!! な、苗木君!!」

セレス「な、何してんだクソガキがあああ!! 少しずつ切る約束だっただろうがあああああ!!」

狛枝「少しずつってのは結局ボクの裁量次第なんだよね。だって、少しずつって言葉に明確な基準なんてないでしょ?」

苗木「あ……が……」

狛枝「さあ、苗木クンは間もなく氏ぬ! その時にキミはどんな絶望を迎え、どうやって乗り越えていくか! ボクに見せてくれないか!」

苗木(ボクはこのまま氏ぬのか……嫌だ! 氏にたくない! 絶対に諦めたりなんかしない!)バタバタ

狛枝「あーあ。暴れちゃって。無駄なのに」

11: 2013/10/14(月) 07:12:51.00 ID:FKNdkUlp0
ブチ

狛枝「は?」


苗木の首吊り用の縄がぶつっと切れた。そのまま苗木は地面へ向かって落下する。


セレス(なんという幸運。縄が切れて生き残るなんて……)

狛枝(縄が切れた!? そんなバカな! これじゃあ苗木クンが生き残って……)


地面に落下したと同時に、腐って痛んでいた床が破損し、そのまま1Fへと更なる落下を続ける


セレス「な!」

狛枝「アハハハハハ。何だ……助かったとみせかけて、1Fへ落下か。これは氏んだかもね。苗木クンは身動きが取れない状態だからまともに受け身なんか取れない。命は助かったとしても、障害が残る可能性もある。彼はもう再起不能だ!」

舞園「そ、そんな苗木君……いやあああああああああ!!!」

セレス「落ち着きなさい! 苗木君はきっと大丈夫ですわ。彼の幸運を信じましょう」

狛枝「お、希望と怒りに満ちたいい目だね……やっと本気を出してくれるのかな?」

13: 2013/10/14(月) 07:25:21.93 ID:FKNdkUlp0
・???

苗木「げほげほ……あー氏ぬかと思った……」

アルターエゴ『苗木君大丈夫?』

苗木「な、なんとか……どうやら緩衝材の上に落ちたから助かったっぽい」

アルターエゴ『良かったぁ』

苗木「首吊りの縄が切れて助かったと思ったのに、床下が抜けて氏んだと思って、更に下は緩衝材でやっぱり助かる……これじゃ幸運と不運のピタゴラスイッチだよ」

アルターエゴ『マップ情報を照らし合わせて現在地を確認するね……2F休憩室の真下は1Fの梱包室だね』

苗木「それにしてもどうしよう……首吊りから解放されたのはいいけど、体は拘束されたままだよ。このままじゃまともに身動きが取れない」

アルターエゴ『助けが来るのを待つしかないみたいだねぇ』

苗木「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないのになあ」

15: 2013/10/14(月) 07:34:03.80 ID:FKNdkUlp0
十神「随分と騒々しい登場の仕方だな」

苗木「十神クン!?」

十神「フン」

苗木「あ、あのー。縄を解いてくれると嬉しいんだけど」

十神「チッ世話のやける奴だ」スルスル


霧切「」ガチャ

苗木「あ、痛いよ十神クン……」

十神「我慢しろ。俺だって、こんなことするの初めてなんだ。縛り方に詳しいわけではないからな」

霧切「まあ……///」

霧切「…………邪魔したわ。そ、その……二人のマニアックな関係は見なかったことにするわ」

十神「おい! 貴様何を勘違いしてるんだ! これは俺が縛ったんじゃない!」

苗木「ち、違うよ霧切さん! 十神クンは縄を解こうとしてくれただけなんだよ!」

16: 2013/10/14(月) 07:45:46.52 ID:FKNdkUlp0
霧切「冗談は置いといて……凄い物音がしたから来たけど、何があったのかしら?」

苗木「あの天井見てよ。あそこからボクが落下しちゃったんだ」

霧切「え? 怪我はないの?」

苗木「平気だよ……強いて言うなら首に絞められた跡が残っちゃったくらいかな?」

十神「その程度の痣ならしばらくすれば消える」

霧切「そう。それなら良かったわ……」

苗木「そうだ! こうしちゃいられない! 早く上の休憩室に戻らないと!」タッタ

ドテ

苗木「わ!」


苗木は段ボールに躓いた。


??? 「イデ」

17: 2013/10/14(月) 07:55:46.83 ID:FKNdkUlp0
霧切「!!」

苗木「い、痛っ! な、何だ? 何でこんなところに段ボールがあるの?」

十神「おい! 貴様は誰だ!」

???「…………これだけ沢山ある段ボールの中からピンポイントで僕を見つけるなんて……凄い運の持ち主がいたものですね……幸運か不運かは別として」

苗木「ひっ……な、何この人……!」

カムクラ「カムクライズル……超高校級の希望とでも言っておきましょう」

霧切「あ、貴方が学園が探しているカムクライズルなの?」

霧切(最初にこの部屋に来た時も、さっきまでも、人の気配が何一つしなかったのに……)

カムクラ「気配くらい消せますよ。諜報員の能力くらいありますからね」

霧切「えっ何で私の心の中を……」

カムクラ「エスパーの読心術くらい持ってますよ……というのは冗談です」

苗木(そのネタ流行ってるのかな?)

18: 2013/10/14(月) 08:06:31.14 ID:FKNdkUlp0
霧切「苗木君! 十神君! ここは引きましょう」

十神「何故だ! こいつも不二咲を攫った連中の仲間かもしれないんだぞ!」

カムクラ「いいえ。僕は不二咲なんて人は知りません……ただ」

カムクラ「試してみたい才能があるので、貴方達には氏んで頂きます」ジャキーン

苗木「ハサミ!?」

カムクラ「マイハサミではなく、その辺で拾ったやつですがいいでしょう……」シュタ

苗木「速ッ!」

カムクラ「まずはキミから……」

苗木(まずい。葉隠クンからパクった煙玉を投げて身を隠そう)シュ

カムクラ(煙玉!? 視界を塞いで僕から逃げるつもりですか)

19: 2013/10/14(月) 08:17:33.85 ID:FKNdkUlp0
・戦刃 ジェノ 廃工場入口

ジェノ「チッ……見張りが大勢いちゃ入れねえな」

戦刃「どうしよう……」

ジェノ「なあ、こんな時にする話でもないんだけどさ……アタシったらまこちんの好みの女子のタイプ聞き出しちゃったのよねん」

戦刃「!!!」

ジェノ「確か……強い女の子にとっても萌えるとか言ってた気がするんですけどー! 特に無双シリーズみたいに雑兵共をなぎ倒すくらい豪快な女の子みたら一発で惚れるとか濡れ濡れとか何とか」

戦刃「腐川さん! ありがとう!」シュタ

「何者だ貴様は……アッー!」「ば、化物だ! ギャー!!」

ジェノ「残念バカとハサミは使いようってね。さっきの話はウ・ソ。でも仮に本当のことだったとしても、まこちんが見てないところで無双しても意味ねーことに気づかないとかゲラゲラゲラ」

ジェノ「アタシはこの隙に工場に侵入しちゃいまーす! 待っててねー白夜様ー!」

20: 2013/10/14(月) 08:27:53.70 ID:FKNdkUlp0
・苗木 十神 霧切 1F 梱包室

カムクラ「煙で僕を撒けると思ったら大間違いですよ……視界が塞がれても、超高校級の軽音部の耳くらい持ってますから……少しでも物音が聞こえれば相手の位置は把握できます」

ザッ

カムクラ「そこだ」シュバ

カムクラ「手応えありました……さようなら」

カムクラ「時期に煙も晴れます。そうしたら磔にして、チミドロフィーバーの文字でも残しましょうか」

苗木「そこか!」ブン

カムクラ「なに!」サッ

十神「やったか!?」

苗木「惜しい! 避けられたよ……後少しだったのに」

カムクラ(一体何が起きて……確かに手ごたえはあったはずなのに)


煙が晴れて辺りの状況が確認できるようになった。


カムクラ「…………なるほど。緩衝材を盾にして僕のハサミの攻撃を防いだんですか」

カムクラ「惜しかったですね。その手が使えるのは一度きり、次は引っ掛かりませんよ」

22: 2013/10/14(月) 08:38:40.03 ID:FKNdkUlp0
十神「苗木! お前の模擬刀を貸せ! 凡人で素人のお前よりある程度剣術の心得がある俺が使った方がマシだ!」

苗木「十神クンって剣術使えたんだ……」

十神「当たり前だ! 俺は十神家の御曹司にして、あらゆる能力が秀でている超高校級の完璧なのだからな!」ドヤァ

カムクラ「クク……」

十神「何がおかしい」

カムクラ「失礼……僕はあらゆる才能を持っている超高校級の希望。君の完璧と僕の希望……どちらが優れているか勝負しませんか?」

十神「何が希望だ! バカバカしい」

霧切「十神君気を付けて。彼が言ってることは本当よ。希望ヶ峰学園が研究した才能のデータが全部蓄積されているのがカムクライズル。歴代の希望ヶ峰学園の天才達全員を相手にするのと同じようなものよ」

十神「そうでなくては面白くない!」

カムクラ「少しは楽しませて下さいよ……ツマラナイと思った時点で貴方を頃しますから」

十神「ほざくな! 苗木! 霧切! ここは俺に任せてお前達は先に進め!」

苗木「でも……」

十神「お前達がいても足手まといになるだけだ!」

霧切「いきましょう苗木君」

苗木「十神クンを置いていけないよ……」

23: 2013/10/14(月) 08:45:47.91 ID:FKNdkUlp0
霧切「恐らく、私達三人掛かりでも彼には勝てない……」ヒソヒソ

苗木「そ、そんな! じゃあ何で……」ヒソヒソ

霧切「三人共全滅するよりは、十神君が敵を引きつけている間に私達が不二咲さんを救出した方がいい」

苗木「十神クンを見捨てるの?」

霧切「そうじゃないわ……不二咲さんを救出した後で、十神君がまだ生きていたら彼を回収してここから脱出するのが全員生還唯一の方法だってことよ」

苗木「そうなんだ……霧切さんは冷静に状況を見てたんだね」

霧切「私達の目的は不二咲さんを救出して全員生きて脱出すること。それだけは忘れないで」

霧切(苗木君には全員生還のためだなんて言ったけど、恐らく十神君が持ちこたえている確率は1%でもあればいい方……ゴメンナサイ苗木君……お人好しの貴方を騙すなんて私は嫌な女よね……)

霧切(許して貰おうなんて思ってないわ……私はただ全滅の危険を回避し、よりベターな策を考えることだけしか出来ない)

24: 2013/10/14(月) 08:52:27.87 ID:FKNdkUlp0
・セレス 舞園 2F 休憩室

狛枝「さて、次は舞園さんを賭けて勝負しよっか?」ニッコリ

セレス「ええ。わかりましたわ」

舞園「セレスさん……」ウルウル

セレス「怯えずとも大丈夫ですよ。攻略法は既に考え付いてますので」ニコ

狛枝「お? わざわざボクに聞こえるように言うってことは、心理誘導かハッタリかな? 超高校級のギャンブラー特有の駆け引きってやつかな?」

セレス「さあ、どうでしょうか」

セレス(次は相手がディーラーの番……勝機があるとしたらここしかありませんわ。相手の幸運を利用しなければ恐らく勝てません。なんとか相手の隙を付かなければ……)

舞園「!」ピキーン

狛枝「おっと……そういえば、このトランプは側面に傷が入ってるからもう使えないね。新しいトランプと交換するよ」

セレス「ええ……念のため、交換した方のトランプを確認させてもらってもいいですか?」

狛枝「どうぞ。気が済むまで確認してよ」

25: 2013/10/14(月) 09:04:48.50 ID:FKNdkUlp0
狛枝「ボクがディーラーだね……アップカードは10だよ」

セレス「スタンドしますわ。わたくしは9と9。合計18ですから」

狛枝「じゃあ、いくよ……」

舞園「あ、あの!!」

狛枝「ん? 何? 勝負の途中だから邪魔しないで欲しいな……」

舞園「そ、そろそろ時間なんです……」

狛枝「何の?」

舞園「あ、あの…………お、お花を摘みに行く……」モジモジ

狛枝「あっ…(察し)」

セレス「あら、それはいけませんね」

27: 2013/10/14(月) 09:14:09.68 ID:FKNdkUlp0
狛枝「なるほど……つまり、催してきたってことだね? 小さい方かな? 大きい方かな?」

セレス(デリカリーのカケラもねぇ!!)

舞園「そ、そんなのどうでもいいじゃないですか!」プルプル

狛枝「超高校級のアイドルが人前で失禁するなんて絶望的だよね……でも、舞園さんならそんな絶望も乗り越えてくれるはずだ! なんたってキミは希望の象徴だからね!」

狛枝「さあ! いいよ! 見せてごらん! キミが絶望して、より強い希望になるための試練をさあ! 早く早く!!」ワクワク

セレス(どっひゃー! こいつ救いようのねぇド変態だべ)

舞園(セレスさん……出身地の方言が心の声で漏れてますよ……ってか、だべって葉隠k……)

セレス「それ以上言うんじゃねえええ!!」

狛枝「!!」ビク

セレス「あ、あら? わたくしったら何を……」

セレス(何か脳内に直接とても不愉快なことを言われた気がします)

舞園(エスパーですから)

狛枝「ああ……そうだね。流石にデリカシーがなさすぎた。ゴメンゴメン」

28: 2013/10/14(月) 09:25:58.45 ID:FKNdkUlp0
狛枝「でもお花を摘みに行くのはもうちょっと我慢して貰ってもいいかな? まだ勝負の途中なんだよ」

舞園「あ、はい」

舞園(セレスさん……アシストはしましたよ)

狛枝「ホウルカードは6だ。あれ? なんかツイてないな……17未満だからヒットだね」ピッ

セレス(計画はうまくいきました……後は、相手が自滅するのを待つだけ……」

狛枝「ク……フフ……ハハ……アハハハハハハハ!! やっぱりボクはツイてたんだ!!」

セレス「…………な……そ、そんなことって……」

[5]

狛枝「……引いちゃった」

舞園「う、嘘……」ガタガタ

狛枝「合計は21。またボクの勝ちだよ」

セレス(作戦失敗ですわね……相手の幸運を利用して、相手の初手がブラックジャックに近い手だと予想。舞園さんが相手の気を引きつけている間にホウルカードを6に入れ替え、本来のホウルカードを次に配られるカードとすり替える……)

セレス(ホウルカードは幸運のお陰で大きい数字を引いているはず……)

セレス(Aがくればソフトハンドでも17となって、わたくしの勝ち。それ以外の大きい手ならバストしてわたくしの勝ちという筋書きだったのですが……)

セレス(なんで、今回に限って5なんて中途半端な数引いてんだビチグソがああああああ!!!)

30: 2013/10/14(月) 09:41:12.86 ID:FKNdkUlp0
狛枝「それじゃ舞園さんの命綱を切らせてもらうよ」

舞園「ひ、ひい」ガクブル

狛枝「そんなに震えていると漏らしちゃうよ?」ザク

狛枝「さあ、次はセレスさんがディーラーの番だよ」

セレス(こいつの幸運はどこかおかしい……苗木君の幸運とは雲泥の差ですわ……そういえば、苗木君と言えば以前幸運についてこんなことをおっしゃってましたわね)


・回想

セレス「苗木君。貴方は全然幸運に見えないのですが、この前だって雨の中派手に転んでましたよね」

苗木「あーアレ見られちゃったのか。恥ずかしいな。でもね、アレも一見ツイてないように見えて実はツイてたんだ。なんと、転んだお陰で100円見つけたんだ」

セレス「…………クリーニング代の方が高く付きそうですわね」

苗木「ボクの服装はセレスさんみたいに高級品じゃないから、クリーニングに出すほど手入れしなくてもいいんだよ」

苗木「とにかく、自分が不利な状況や不運が続いている状況だと幸運が発動しやすいって傾向があるらしいんだ」

セレス「そうなんですか?」

苗木「うん。歴代の超高校級の幸運は皆そうみたいなんだ。不運の代償が大きければ大きいほどその分幸運も大きくなるらしい」

苗木「さっきのボクのケースで考えると、雨で転んだ時高い服を着ていれば、もっと大きい金額のお金を拾えたみたいなことかな?」

セレス「ふーん……幸運も大変なんですね」

32: 2013/10/14(月) 09:43:09.22 ID:FKNdkUlp0
セレス(自分が不利な状況……? あ!!)

セレス(今回のルールが、一度でも負けたら人質を解放するって言ったのは、自分を不利な状況に追い込んで、幸運の質を底上げするため)

セレス(自分に有利なルールを提示されて断る人間は基本的にいませんわ。ましてや仲間の命がかかっている状況では例えプライドが許さなくても受け入れるのが普通)

セレス(わたくし相手にハンデという舐めたことをしたのは、そのためだったんですわね……いえ、むしろ逆ですわ。相手にとってはハンデでも何でもない。本気の姿勢ってやつですわ)

セレス(だとすると本当の攻略法はただ一つ……!)

セレス「ゲームを再開する前に一つだけよろしいですか?」

狛枝「何? ボクに出来ることなら何でもするよ!」

セレス「ん? 今何でもするとおっしゃいましたね?」

セレス「わたくしに提案があります……次にわたくしが負けたら舞園さんの命綱を全部切ってください!」

舞園「!!!!」

狛枝「な、何言ってるんだよ! 仲間の命を賭けてるんだよ? どうしてそんなことを言うのさ!」

舞園「そうですよセレスさん! 折角、相手が少しずつでいいって言ってくれてるんですから! 相手の好意を無駄にするのは最低ですよ!!」

34: 2013/10/14(月) 09:53:31.95 ID:FKNdkUlp0
セレス「提案はそれだけではありませんわ。わたくしが一度でも勝てば人質を解放するというルールですが……別に一度勝ったくらいでは、解放しなくても構いませんわ」

舞園「酷い! 私を見捨てるつもりなんですね! 鬼! 悪魔! 多恵子!」

セレス「黙れクソビXチ。豚の餌にすんぞ」

狛枝「そ、そういうのやめてよ! 途中でルール変更だなんてさ、こんなのおかしいよ! 正気の沙汰じゃないって!」

セレス「あら? 貴方はさっき何でもするって」

狛枝「ぐ……」

狛枝「ほ、ほら、舞園さんは今催しているからさ? 早く終わってあげないと可哀想じゃん?」

セレス「わたくしが負ければ早く終わりますわよ」

舞園「やっぱり私を頃すつもりなんですね! そんなにメインヒロインの私が邪魔なんですか! メインヒロインの座が欲しいんですか! どうなんですか!」

狛枝「ぎぎ……」

セレス「それに乗り越えた絶望という試練が大きければ大きいほど希望は輝くとおっしゃいましたよね? 貴方はその希望が見たいとも……だったらこの申し出を断るのは不自然ではありませんこと?」

狛枝「ぐぎぎ……」

35: 2013/10/14(月) 09:59:37.77 ID:FKNdkUlp0
セレス「わたくしが一度でも負ければ舞園さんは即氏! わたくしが三回連続で勝てば舞園さんは解放! このルールに変更を要求します!」

舞園「そんなルール認められるわけないじゃないですか! 外道です! 正に外道です!」

狛枝「何で急にそんな提案するんだよ! 納得できる理由を教えてよ」

セレス「はぁ……余り言いたくなかったのですが、仕方ありませんね。わたくしは苗木君に付き纏うこの女が邪魔で邪魔でしょうがないのですよ」

舞園「えっ」

セレス「実はわたくしは苗木君のことが好きなのに、このアイドルが苗木君を誘惑しているのですよ。だから、早く消えて欲しいのです」

狛枝「はぁ……そういうことなら、要求を呑まざるを得ないようだね……他人の恋路を邪魔するほどボクも野暮ではないよ」

舞園「えー」

セレス「では始めましょうか?」ニコ

37: 2013/10/14(月) 10:08:21.40 ID:FKNdkUlp0
セレス「わたくしのアップカードはAですわ」

狛枝「…………ヒット」

セレス「はい」シュッ

狛枝「あばばばばばばば」

[4][8][10]

セレス「合計は22。あらあらバストしてしまいましたね」

舞園「セレスさんが勝った!? ……ああ。さっきの提案がなければ、これで解放されてたのにぃ……」

狛枝「こ、こんなことって……」

セレス「さっきから幸運が続いてましたからね。その代償の不運が今になって来たのではありませんか?」

狛枝「まだまだ……勝負はこれからだよ……」

狛枝「アップカードは8だよ」

セレス「わたくしの手は……あらあら」

[J][A]

狛枝「ブ、ブラックジャック!?」

セレス「ふふっあなたのホールドカードをオープンするまでもありませんわね」

38: 2013/10/14(月) 10:14:43.66 ID:FKNdkUlp0
セレス「さて……これでお互い負けられない状況になりましたわね……ここからが本当の正念場です」

セレス「どっちが有利。どっちが不利。そんなことは一切関係ない。五分五分の勝負です!」

狛枝「五分五分ね……悪いけど、この勝負もう決着はついてるんだ」

セレス「はい?」

狛枝「サレンダー(降参)だよ。セレスさんの勝ちだ」

セレス「一応敗者の言い分を聞いておきますか……何故勝負を降りたんですか?」

狛枝「言っただろ? ボクはキミ達のファンだって……キミ達のことは研究済みさ……セレスさんは相手のギャンブルの時の癖を見抜く力があるはずだ。当然、負け癖もね……」

狛枝「ディーラー側とプレイヤー側の両方で負け癖を見られちゃったら、ボクに勝ち目はないよ……そう、ギャンブラーの才能なんてないこのボクにはね」

狛枝「それにボクはキミに三回勝ってしまった。幸運の代償が来たってことは、三回連続負けるくらいのことはあってもおかしくないからね」

セレス「それで勝負を降りたと……まあ、納得できますが……一つだけ引っ掛かることはありますわ」

狛枝「何?」

セレス「あっさり勝負を諦める貴方に希望を語る資格はありませんわ」

狛枝「!」

40: 2013/10/14(月) 10:21:49.01 ID:FKNdkUlp0
セレス「貴方と同じ幸運を持つ苗木君とわたくしは何度か勝負したことがあります。彼は例え負け癖を見抜かれても決して諦めませんでしたよ。勝負を投げ出したら負け癖を克服することも出来ませんからね」

セレス「貴方が希望になれない理由は才能がないからではありません。諦めたからです」

狛枝「絶望的に重い言葉だね……ボクは一体どこで道を間違えたんだろう……」

セレス「わたくしの知ったことではありませんわ……ただ……」

セレス「もし、今後苗木君と会う機会があったらちゃんと土下座して謝っとけよビチグソがああああ!!」

狛枝「そうだね……彼には酷いことをしちゃったからね……」

狛枝「超高校級のギャンブラーであるセレスさんと戦えたのは光栄だよ。希望の力でボクを打ち負かしてくれるなんて最高すぎる! こんな凄い相手だったなんて……益々キミのファンになっちゃうよ」

セレス「貴方みたいな変態に好かれたくはありませんが」

狛枝「あ、でもアイドルが催す姿は見たくなかったので、舞園さんのファンはやめます」

舞園「」

セレス「こんな人に好かれてもどうしようもありませんわ。逆に良かったじゃないですか」

舞園「わかってはいるんですけど、あの声で言われると何故か分かりませんが凄い傷つくんですよ!」

45: 2013/10/14(月) 10:34:40.59 ID:FKNdkUlp0
狛枝「セレスさんが勝ったんだ。このナイフを上げるよ。後は舞園さんを助けるなり、気が変わって恋仇の舞園さんを刺すなり、ナイフでボクを刺すなり、絶望相手の護身用に持ち歩くなり、好きにしてよ」カラン

セレス「わたくしは血腥いことは嫌いなので、ナイフで人を刺すことはしませんが……当初の目的通り舞園さんを助けさせて頂きますわ」

狛枝「そう……ボクはもう用済みだね。さっさと退散するよ。もしまた勝負することがあったら、今度はイカサマとか幸運の悪用とか人質もナシの純粋な遊びでやりたいね」



舞園「オロシテ...オロシテ...」モルスァ

セレス「はいはい。まずは首吊り用の縄を切って……次に拘束用の縄を切りますわ」ブチ

ドン

舞園「あで」

セレス「あら? 大丈夫ですか?」

舞園「縄切ったら落ちるに決まってるじゃないですか! 何で支えてくれないんですか!」

セレス「わたくしにそんな力はありませんわ」

48: 2013/10/14(月) 10:41:45.37 ID:FKNdkUlp0
舞園「むー。そんなことより、セレスさんに言いたいことが一つあります!!」

セレス「何でしょう?」

舞園「苗木君のことが好きだって本当ですか? どうなんですか!」

セレス「さあ、どうでしょうかね? ただの交渉を有利に進めるための嘘か、それとも本心か……あなたのご想像にお任せしますわ」

舞園「私は苗木君のかの助手ですから! 認めませんよそんなの!」

セレス「かの助手なんて言葉はありませんわ。勝手に願望を混ぜないで下さい」

舞園「疲れました。セレスさんがイカサマしようとしてるから、隙を作るために催す振りをしたりしないといけなかったし」

セレス「流石はアイドル。演技力も超高校級ですわ。あの時は負けはしましたけど、あの一敗で相手の異常な幸運とその対策に気づくことができましたから、一応助かったといえば助かりましたね」

舞園「それより、早く苗木君を探しましょう。彼の安否が心配です」

セレス「そうでしたわね。では参りましょう」

49: 2013/10/14(月) 10:46:20.27 ID:FKNdkUlp0
・???

九頭龍「狛枝のやつ負けてやんの! ざまあみやがれってんだ!」

澪田「何で凪斗ちゃんに負けて欲しかったんすか?」

九頭龍「あん? そりゃお前、アイツがさ……」

狛枝『ちょっとアイドル誘拐したから事後処理は九頭龍組に頼んだよ。拒否すれば、騒ぎは大きくなってキミ達も巻き込んじゃうかも。それじゃ』

九頭龍「ふざけんなよ!! こっちには全然協力しねーくせによ!! どんだけ自分勝手なんだよ」ガンガン

澪田「冬彦ちゃんも苦労してるっすね」

53: 2013/10/14(月) 10:57:09.58 ID:FKNdkUlp0
・桑田 2F 燃料保管庫

桑田「いざ敵陣で一人になってみると案外こええな……誰にも頼ることが出来ねー」

桑田「んで、ここが燃料保管庫か。油くせーなオイ」

終里「オラアアア!!」ドン

桑田「!?」

終里「オーガはどこだああああああああ!!!」

桑田「な、なんだよこいつ!! さっき大神が倒したばっかなのに!」

終里「あ? テメーは確か侵入者の中にいたな。っつーことは敵だな! よっしゃバトるぞ! オーガの前にまずはお前を倒す!」

桑田「あーあ。やるしかねーのか……大神とまともにやりあったこいつをオレが倒せるのか?」

終里「いくぞオラ!!」スッ

桑田「確かにテメーははえーけどな! オレは動体視力だったら誰にも負けない自信があるぜ! オレが投げる剛速球より断然遅いぜ!」

桑田(よし、このまま近づいてくればバットで打ち返せる……)

終里「あ? オレをオメーのタマと一緒にすんじゃねえ!」フンフンフン

桑田「なんだこの不規則ながら滑らかな動きは! どう動くのか全く読めねえ!」

56: 2013/10/14(月) 11:06:37.81 ID:FKNdkUlp0
終里「フン!」ブン

桑田「うおっ」キン

桑田(なんつー威力の蹴りだ。バットを盾にして運よく防げたけど、バットを通じて衝撃が伝わってくる……お陰で手が痺れちまったぜ。まずい……距離を詰められるとオレの投球も活きねえ! なんとかして距離を保たねえと)

終里「ぐ……」

桑田(怯んだ? そうか! こいつ大神との戦いで受けた傷を完全に治しきっていないんだ! オレのバットは金属製だから、生身で蹴りを入れればアイツもダメージはある! 今の内に距離を保つぜ)スタコラサッサ

終里「待て! 逃げるんじゃねえ!」

桑田(あいつの動きはかなり厄介だ! どうにかして封じねえと……な!)カキン


桑田は金属バットで燃料タンクを破壊した。破壊された箇所から液体燃料が噴出する。


終里「な、何だ! うお! 床が……滑るじゃねえか!」

桑田「へへ! 軽い身のこなしの動きさえ、封じればお前なんか全然怖くねーぞ!」

57: 2013/10/14(月) 11:14:28.30 ID:FKNdkUlp0
終里「舐めんじゃねえ!」サーサーサー

桑田「嘘だろオイ! 滑る床をスケートの要領で進んできやがった! なんつー運動神経だ!」

終里「かえってこっちの方がスピードは出るぜ!」

桑田「…………なんてな! そう来ると思ったぜ! 滑るって移動するってことは急な方向転換や複雑な動きが出来ねえってことだ! それなら軌道を読むことは容易いぜ!」

終里(バットだと……! 避けねえとやられる……)

タッ

桑田「行くぜ!!」ブウォン

終里「何処狙ってやがる! オレは上だ!」

桑田「オレのスウィングの瞬間を見極めてジャンプするとか、なんつー反射神経だ……だが、上空に逃げたのが運の尽きだぜ!」

終里「なに?」

桑田「4番バッターの打球を食らいやがれ!」カキン

終里「オ、オイ! 上空だから避けられねえ……ブフォ」メリメリ

終里「」ドサ

60: 2013/10/14(月) 11:20:48.15 ID:FKNdkUlp0
桑田「はぁはぁ……やったか……今度こそ復活してこねーよな?」

桑田「ま、こいつも相当つえーみたいだし、絶望側にもこれ以上強いやつなんていないだろうな! ハハハ! これはもう楽勝だぜ!」

弐大「終里ー! また一人で突っ走りおって……ん? ……終里がやられているじゃと!?」

桑田「あ? なんだこのオッサン?」

弐大「そうか……貴様がやったのか……なら、マネージャーのワシが仇を取らなければな」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

桑田「アポ……?」

62: 2013/10/14(月) 11:25:31.05 ID:FKNdkUlp0
・苗木 霧切 1F 梱包室前

苗木「二人きりになっちゃったね。これからどうする? 霧切さんはどこか行きたいところはある?」

霧切「えぇ……そうね。でも苗木君……今はそんなことを考えてる場合じゃないわ。そういうことは無事に帰還してから……」

苗木「そういえば、石丸クン達はどうしたの?」

霧切「は?」

苗木「いや、だって霧切さんは石丸クン達と一緒に行動してたんでしょ? 一度合流してお互いの情報を整理した方が動きやすくなると思うんだ」

霧切「石丸クン達なら2Fに行く前に1Fに調査し忘れたところがないか確認してるわ」ツン

苗木「ねえ、霧切さん? 何か怒ってない?」

霧切「別に」

苗木「変な霧切さん」

ジェノ「お? 痴話喧嘩っすか?」

苗木「ジェノサイダー翔!? どうしてここに?」

ジェノ「おいおい恋する乙女にんな野暮なこと聞くなっつーの! 白夜様を追っかけてきたに決まってんだろ?」

63: 2013/10/14(月) 11:32:51.21 ID:FKNdkUlp0
霧切「十神君ならこの梱包室の中にいるわ」

ジェノ「マジすか?」

苗木「ちょ……霧切さん!?」

霧切「ジェノサイダー翔ならカムクライズル相手でも大丈夫でしょ? 多分」

苗木「多分って……」

ジェノ「白夜様ー! 待ってねー」ガチャ

苗木「行っちゃった……」

「きゃー白夜様ー!」「おい! 何故来た!」「そんなツレないこと言わないで~ダーリン」「今はそれどころではない! 邪魔をするな!」「ツマラナイ……カップルなんて爆氏すればいい」「お、おい! 変な誤解するな!」

苗木「…………行こっか。これで十神クンの生存率も上がったと思うし」

霧切「ええ。私達は私達に出来ることをしましょう」

64: 2013/10/14(月) 11:43:11.58 ID:FKNdkUlp0
田中「行け……我が配下よ」

ヘビ「シャー!」

苗木「ヘビ!? 霧切さん危ない!!!」

霧切「え」

ヘビ「ガブ」

霧切「ぐ……」

苗木「この!」ブン


苗木はヘビを窓の外に放り投げた。


苗木「大丈夫? 霧切さん!!」

霧切「足を噛まれたわ……」

苗木「傷を見せて!」ズル

霧切「や……靴下脱がさないで……」

苗木「そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

66: 2013/10/14(月) 11:51:15.09 ID:FKNdkUlp0
霧切「苗木君はヘビを掴んで大丈夫だったの……?」

苗木「平気だよ。中学の時、飼育委員だったからヘビの持ち方知ってたし」

田中「なんと! 貴様も契約者だったか!」

苗木「え? キミ誰?」

田中「我が名は田な…」

大和田「オイ! どうした何の騒ぎだ!」

石丸「な、な……苗木くん! 君ってやつは霧切くんになんて破廉恥なことをしてるんだ!」

苗木「……あ、こ、これは違うんだ! ヘビに噛まれた傷を見てたんだ!」

田中「ククク。そのヘビは毒性を持っている! この解毒剤を飲ませないとその女の命は助からんぞ!」

大和田「ヘビに噛まれた傷を見てただぁ? 何だそれ? 虫刺されフェチの一種か何かか?」

苗木「それは違うよ! もう、大変なんだからそういう冗談はやめてよ」

田中「…………俺様が欲しいのは沈黙と無関心だけだ……沈黙と無関心だけだ……」

67: 2013/10/14(月) 12:05:10.55 ID:FKNdkUlp0
大神「オイ! そこの貴様! 今なんと言った!」

田中「フハハハハ!! アストラル結界に身を包んでいる俺をよく発見できたな!! メスゴリラにしては上等な知能を持っているではないか!」

苗木「なんか嬉しそうだね」

田中「そんなことはない! 別に無視されて傷ついたとかでは断じてない! 制圧せし氷の覇王である俺様がその程度のことでダメージを受けるはずがなかろう!」

大和田「解毒剤を飲ませねえと氏ぬっつったな? オイ、殺されたくなかったらとっとと渡せ。今の内なら半頃しで許してやる」

田中「断る。何故、俺が貴様の言うことを聞かねばならん」

大和田「お?? 言ったな? 言っちゃったな? 上等だコラ! テメーは地獄送り決定だ!」

田中「地獄か? それなら貴様らに見せてやる! 俺様の固有結界を解いた先にある本当の地獄をな! 付いて来い!」

大和田「お? 場所変えようってか? ケッ氏に場所くらいは選ばせてやるよ」

苗木「ねえ、付いていくのやめようよ。これ絶対罠だよ。今の内に攻撃を……」

大和田「るせえ! 苗木! 相手の移動中に攻撃するなんざ男の決闘に水を差すことを言うのはやめろ!」

石丸「そうだぞ苗木くん! 正々堂々戦ってこそ意味があるというものだ!」

苗木「男の決闘じゃなければいいんだね? 大神さん」チラ

大神「すまぬ苗木。我も大和田達と同意見だ」

苗木(何故、正論を言ってるボクが責められなければならないのか……この流れ既視感ありすぎだよ。絶対また敵の罠にかかるパターンだよ)

68: 2013/10/14(月) 12:15:52.65 ID:FKNdkUlp0
霧切「ゴメンナサイ苗木君……私はあなたの意見に賛成だけど……体が動かないの」

苗木「神経毒も盛られたみたいだね……でも、大丈夫だよ。ボク達が必ずアイツから解毒剤を奪ってくるから」


・田中キングダム 1F 苗木 石丸 大和田 大神

田中「よく来たな異界の住人共……まずは小手調べに地獄の門番との対決をしてもらおう!」

大和田「地獄の門番だぁ?」

田中「さあ行け!」

子犬「ガルルルルル」

大和田「な……な……」

石丸「ん? どうした兄弟?」

子犬「ガブ」

大和田「いてええええええ!!!」

苗木「大和田クン!」

大神「大和田! 反撃するんだ!」

71: 2013/10/14(月) 12:20:38.90 ID:FKNdkUlp0
大和田「出来ねえ……」

大神「なぬ?」

大和田「オレにこの子を攻撃しろって言うのかよ!!」

苗木「あ……そういえば大和田クンは犬が好きだったね」

石丸「そんなこと言ってる場合ではないぞ! このままでは噛み殺されてしまうぞ!」

大和田「おーよしよし。いい子でちゅねー」ナデナデ

子犬「ガブガブ」

苗木「ちょ! 大和田クン血が出てる!」

石丸「何がいい子だ! いい子が人を噛むわけないだろ!」

大和田「るせえ! この子は怯えてるだけなんだ! だから人を噛むのは仕方ないんだ!」

田中「フハハハハハ!! 我が配下に手も足も出ないようだな!」

苗木「可愛い子犬で油断させて、一方的に攻撃するなんて汚いぞ!」

田中「何とでもいうがいい! たかが愛玩動物と侮ったのが貴様等の敗因だ!」

72: 2013/10/14(月) 12:29:55.76 ID:FKNdkUlp0
苗木「敗因だって? それは違うよ! ボク達はまだ負けていない!」

田中「ほう! 貴様に地獄の門番が倒せるとでも?」

大和田「おう苗木ィ! もしこの子に手を出したらテメーをぶっ頃すからな?」

苗木「大丈夫……傷一つ付けずに倒せるから」スッ

子犬「……くぅーん」スリスリ

石丸「懐いた!?」

大神「どういうことだ!」

苗木「ボクは中学の時、飼育委員をやっていた」

大和田「マジかよ! 飼育委員すげえな! オレもやればよかった」

田中「なるほど。貴様はあの伝説の元超中学級の飼育委員だったのか! 確か俗世に迷い込んだ聖衣を纏いし白鳥を配下に治めたという偉業を成し遂げたはず」

苗木「鶴を捕まえたのは事実だけど、そんな称号貰ってないから」

74: 2013/10/14(月) 12:37:56.61 ID:FKNdkUlp0
田中「だが、俺様の前では無力に等しい! なぜなら俺様は超高校級の飼育委員だからだ!」

石丸「なんだと……普通の飼育委員だった苗木くんすら上回る超高校級だと……」

大和田「か、勝てるわけねえ……こんな化物に」

大神「なんと恐ろしい相手だ」

苗木「確かに、この人はヘビも自在に操っていた。飼育している動物次第ではかなりの強敵だよ」

田中「今度は更に強力なしもべを召喚してやろう!」

ドーベルマン「グルルルルル」

苗木(アカン)

大和田「おお! 今度はドーベルマンか! かっけええ!!」

苗木「近づくのはやめなよ大和田クン。ドーベルマンは筋肉質だし俊敏さも群を抜いているんだ。犬のサラブレットって呼ばれてるくらいだから、さっきの子犬とは次元が違うよ」

大和田「でもよ。さっきの苗木がやった技みたいに手懐ければ済むんじゃねーのか?」

苗木「ドーベルマンは基本的に飼い主に対しては従順だけど、それ以外の人間に対しては強い警戒心を持っていて凶暴なんだ。縄張りに入ろうものならすぐにでも襲い掛かってくるよ」

大和田「マジかよこえー」

苗木「それだけ番犬として育てるには右に出るものはいない程の優秀さなんだよ」

76: 2013/10/14(月) 12:46:14.34 ID:FKNdkUlp0
石丸「なあ苗木くん……気づいたことがあるんだが」

苗木「何?」

石丸「もしかして縄張りってこの部屋全体ではないのか?」

苗木「…………」

ドーベルマン「グウォン!!」

苗木「わ、わああああ! みんな逃げるんだああああ!!」

田中「フフフ……ハハハ!! ハーッハッハ!! 逃げ惑え! 決して逃げられはせんがな!」

苗木「あ、あれ? 開かない!」ガチャガチャ

大神「オートロックがかかっているのか!?」

苗木「やっぱり罠だったじゃないか!」

ドーベルマン「ウォオオオン!!」

苗木「ひ、ひい!」

大神「三人は逃げろ! 我が足止めする!」

苗木「大神さん無茶だよ!」

大神「確かに……我は対人格闘と対熊格闘には精通している……が、犬相手にどう戦えばいいのかはわからん。されど、やるしかない!」

80: 2013/10/14(月) 13:01:14.45 ID:FKNdkUlp0
大神「なんだと……!」

苗木「ドーベルマンの体高はおおよそ60cm後半から70cm前半……! 身長192cmの大神さんの股下なら楽にくぐることが可能なんだ! 四足歩行のドーベルマンを相手にするにしては大神さんはデカすぎる」

ドーベルマン「グルウ」

苗木「ひっ」

大神「危ない苗木!!」ガバ

ドーベルマン「ガブ」

大神「ぐ……なんて強靭な顎。我の腕の筋肉ですら貫通するだと!」

田中「俺様が育てた魔犬だ! そのくらい出来て当然だ」

苗木「あ……ごめん大神さん……ボクを庇って……」

大神「気にするな苗木! この犬を止められなかった我にも責任はある」

石丸「大神くん! 噛まれていない方の腕で攻撃するんだ!」

大神「わかった!」

81: 2013/10/14(月) 13:02:48.89 ID:FKNdkUlp0
ドーベルマンは大神の股下を抜けていった。


大神「なんだと……!」

苗木「ドーベルマンの体高はおおよそ60cm後半から70cm前半……! 身長192cmの大神さんの股下なら楽にくぐることが可能なんだ! 四足歩行のドーベルマンを相手にするにしては大神さんはデカすぎる」

ドーベルマン「グルウ」

苗木「ひっ」

大神「危ない苗木!!」ガバ

ドーベルマン「ガブ」

大神「ぐ……なんて強靭な顎。我の腕の筋肉ですら貫通するだと!」

田中「俺様が育てた魔犬だ! そのくらい出来て当然だ」

苗木「あ……ごめん大神さん……ボクを庇って……」

大神「気にするな苗木! この犬を止められなかった我にも責任はある」

石丸「大神くん! 噛まれていない方の腕で攻撃するんだ!」

大神「わかった!」

83: 2013/10/14(月) 13:09:47.90 ID:FKNdkUlp0
田中「させぬ! 行け!」

ドーベルマンB「ガブ」

苗木「二匹目!?」

大神「ぐおおおお!!」

田中「いつから一匹だけしかいないと錯覚していた?」

大和田「おい! 大神大丈夫か!」

石丸「よせ兄弟! 君はどうせあの犬も攻撃できないだろ! 加勢するだけ無駄だ!」

大和田「けどよ。このまま黙って見てるしかねーのかよ!」

大神「離せ!」ブンブン

ドーベルマン「ガブガブガブガブガブ」

石丸「大神くん! 僕も加勢するぞ! 離れろ! 離れろ! 離れろビーム!」

ドーベルマン「ガブガブガブガブガブ」

石丸「く……やはり風紀委員の力では動物を更生させることは出来ないのか! やはり飼育委員でないと……!」

田中「無駄だ! 優れた警察犬は一度犯人を噛んだら絶対に離さないという! 俺のドーベルマンは警察犬として訓練された犬よりも数段も能力が上だ!」

86: 2013/10/14(月) 13:17:33.83 ID:FKNdkUlp0
大和田「お、おい! 苗木! 無敵の飼育委員パワーでなんとかなんねーのかよ!」

苗木「無理だよ! 超高校級の飼育委員に訓練されたドーベルマンはどうしようもないよ」

田中「オイ! 苗木とか言ったな!」

苗木「何? 田なんとかさん」

田中「田なんとかとは何だ! 無礼者!」

苗木「だって、名乗る途中で妨害されちゃったから本名知らないんだよ」

田中「まあいい。貴様もマスターなら自ら契約した魔獣を召喚してみせろ!」

苗木「そ、そんな……魔獣なんて連れてきてないよ」

大神「ぐわああ」ブシャア

ドーベルマン「グルルル」

石丸「大神くんの血管を食い破ったのか!?」

田中「フッ勝負あったな。その出血量は放っておけば氏に至る」

88: 2013/10/14(月) 13:24:22.30 ID:FKNdkUlp0
苗木(何か手はないのか……そうか! アレがあった!)

苗木「食らえ! 葉隠クンの置き土産だ!」ヒョイ

パチバチパチ

田中「うお! 貴様! 俺に向かって爆竹を投げるとはいい度胸だな!」

ドーベルマン「!!」

大和田「ドーベルマンが大神の腕から離れた!?」

苗木「犬の聴力は人間より数段も優れている。いきなり爆竹がなればビックリするのは当然だよ……ましてや飼い主のいる方向から鳴ったんじゃ心配になるからね」

田中「犬の耳は17個の筋肉で自在に動かすことができる。そのため、音源の方向を人間より正確に認識することが可能……そこを突かれたか!」

大和田「何言ってるのかサッパリわかんねー」

田中「お、おのれ……! ええい! 怯むな! 敵に突撃だ!」

苗木(このままだと全滅してしまう。なんとかしないと……この凶暴な犬をなんとかする方法は……いや、逆になんとか出来そうな人が助けに来てくれれば……でも、そんな人いたっけ?)

91: 2013/10/14(月) 13:30:48.92 ID:FKNdkUlp0
???『昔ホームレスやってたの……野犬の相手大変だったな……』

苗木(これだ! ……でも、この人は今この場にいないはず……やはり状況は絶望しかないのか)

大神「ここから先は通さん!」

ドーベルマン「グルルルル」

田中「まだ戦うというのか! 折角、噛みつき地獄から解放されたのに……貴様氏ぬぞ!」

大神「我は氏なん! 我にはこの状況を打開する頭脳はないが、苗木と石丸は違う! 我と違って頭がいい」

大和田「」

大神「我の役割は反撃のアイディアを思いつくまで後ろの連中を守ってやることだ!」

苗木(そうだ……諦めちゃダメだ! もしかしたら、偶然近くを通りかかっているかも知れない!)

苗木「助けて!! 戦刃さん!!」

ドンドンドンドン

田中「な、何だ! 何者かが外側から俺の結界を破ろうといているのか! だが無駄だ! この結界は俺様の生体認証でしか開閉することは出来ん!」

石丸「一体誰が叩いているのだ! 敵か? 味方か?」

苗木「誰が叩いているのか心当たりがある! アルターエゴ! オートロックシステムをハッキング出来る?」

アルターエゴ『任せて…………よし、開錠が終わったよ』カチャ

92: 2013/10/14(月) 13:35:27.72 ID:FKNdkUlp0
戦刃「とりゃ!!」ガシャーン

田中「バカな! 俺様の自動制御結界(オートロックドア)を破っただと!」

ドーベルマン「キャインキャイン」

大神「ドーベルマンが戦刃の気配を察知して逃げ出した……」

田中「なんという魔獣……こいつまさかフェンリルの化身か!」

苗木「やっぱり戦刃さんだ! 良かった来てくれたんだ!」

戦刃「苗木君……やっと会えたぁ……苗木君の声が聞こえてもしかしたらって思ったら、本当にいて良かった」

田中「なるほど……そのメス犬こそが苗木が契約している魔獣というわけか。その紋章は契約の証か」

戦刃「メス犬? 紋章?」

苗木「きっとフェンリルのタトゥーのこと言ってるんだと思うよ」

戦刃「苗木君のメス犬……」キュン

苗木「ちょっと誤解を招くようなこと言わないでよ!」

大和田「苗木ってそういう趣味があったのかよ」

石丸「ん? どういうことだ? 戦刃くんは人間ではないか? 犬ではないぞ」

94: 2013/10/14(月) 13:43:04.95 ID:FKNdkUlp0
戦刃「それで、苗木君達に何があったの? 説明して」

苗木「うん。霧切さんがあの人が飼っている毒蛇に咬まれたんだ……その解毒剤を手にするためにあの人と戦っている」

戦刃「そうなんだ」

苗木「大和田クンは子犬に咬まれ、大神さんはドーベルマンに咬まれて……ボクと石丸クンは今のところ無傷だよ」

戦刃「本当? 苗木君はどこも怪我しなかったんだ。つまり、私はあの包帯巻いている人を倒せばいいんだね?」

苗木「うん。でも、頃したらダメだよ。解毒剤を貰わないといけないし」

戦刃「了解……後は私に任せて。皆は危険だから下がってて」

石丸「ここは戦刃くんに任せて僕達は先を急ごう」

大和田「ああ。オレ達じゃ足手まといにしかならねえからな」

大神「すまぬ戦刃。後は頼む」

戦刃「苗木君も行っていいよ……」

苗木「ボクも戦刃さんと一緒に残るよ」

戦刃(え……も、もしかして……私と一緒にいたいから残りたいの? どうしよう……まさか苗木君は私のことを……)

苗木(戦刃さんは霧切さんの居場所を知らない。田なんとかさんから解毒剤を奪って霧切さんに渡せるのはボクしかいない)

96: 2013/10/14(月) 13:56:05.42 ID:FKNdkUlp0
田中「互いの使役する魔獣同士の対決か! 面白いぞ! さあ! メス犬よ! 自身の牙を剥きだしにしろ!」

戦刃「?」

苗木「きっと、武器を出すのを待っててくれてるんだよ」

戦刃「そうなんだ……これで十分」

田中「裁縫セット? 貴様! ふざけてるのか! その程度のか細い牙で俺を倒せると思っているのか!」

戦刃「人体の急所を的確に覚えている超高校級の保健委員なら針一本で敵を殺せると言われてる……ここにその超高校級の保健委員が作った人体の急所を記した紙が……」

ヤギ「メェ~」モシャモシャ

苗木「急所が書いてある紙食べられちゃったね」

戦刃「盾子ちゃんにプレゼントされたものなのに……一回使ってみたかったのに」シュン

田中「ヤギに紙を与えてはいけない。消化に悪いからな! よい子は真似してはいけない! 後で田中キングダムのスタッフが責任持って紙を吐かすから安心してくれ!」

苗木「誰もキミのヤギの心配なんてしてないよ」

田中「秘孔の刻印書がなければ、ただの裁縫セットよ! 行け! 獄卒警備隊(ドーベルマン)よ! 下賎な者達を自身の牙の贄にするのだ!」

ドーベルマン「バウ!」

98: 2013/10/14(月) 14:04:19.57 ID:FKNdkUlp0
苗木「戦刃さん気を付けて! ドーベルマンは完全に戦刃さんに対する恐怖を克服してる! さっきみたいに威圧感だけで退けるのはもう通用しないよ!」

戦刃「威圧したつもりなかったのに……私ってそんな怖かったんだ」ガーン

苗木(そりゃ、野犬を退けた経験がある人のオーラ見れば犬なら怖がると思う)

ドーベルマン「グォオオン」

苗木「戦刃さん危ない!」

戦刃「私が裁縫セットを武器に選んだ理由は針で急所を刺すためじゃない……」

苗木(そうだね……犬に対して人体の急所図は無意味だもんね)

戦刃「私が本当に使いたかったのはこっち……」

苗木「アレは……糸?」

戦刃「はあっ!」


戦刃はドーベルマンの口元を糸で硬く結んだ。


田中「なんだと!!」

ドーベルマン「」

100: 2013/10/14(月) 14:14:18.96 ID:FKNdkUlp0
戦刃「これで噛みつき攻撃は封じた……」

苗木「そうか! 動物の顎は閉じる時の力は物凄く強いけど、開く時の力は弱い! 顎を開かないように押さえつければ、口を開くことは出来なくなるんだ!」

田中「地獄に堕ちた罪人は蜘蛛の糸に救いを見出す……否! 救いの糸は破滅(カタストロフィ)の道へと通ずる!」

田中「噛みつきを封じたくらいでいい気になるなよ、メス犬! 攻撃方法はまだある!」

苗木「噛みつきがダメなら……突進か飛びかかって爪で襲う攻撃方法を取るつもりだ!」

田中「挟み撃ちだ!」

戦刃(二匹のドーベルマンが左右に広がった……二方向から攻める作戦みたい……噛みつきを封じた今なら対応出来る!)

戦刃(左右に広がっても攻撃の瞬間は、私に一斉に襲い掛かるから間隔は狭くなる。攻撃をかわして、その一瞬を付けば一撃で二匹とも仕留めることができる!)

戦刃(今だ……バックステッポで回避)

苗木「戦刃さん! 後ろ!」

戦刃「え?」

ドーベルマンC「バウ」ドン

戦刃(三匹目!?)

田中「いつからドーベルマンが二匹しかいないと錯覚していた?」

戦刃(しまった……後方のドーベルマンに突進されて前へと押し出されて……)

102: 2013/10/14(月) 14:25:12.54 ID:FKNdkUlp0
戦刃「っぐは……」

苗木「戦刃さん!」

戦刃「大丈夫……タックルを食らっただけ」

田中「行け! メス犬が怯んだ隙に更に攻撃を仕掛けるんだ!」

戦刃「凄い……こんなに統率が取れた動きが出来るなんて、やっぱり野犬とは違う……」

田中「そうだろうそうだろう! 俺様が育てた魔獣だからな!」

戦刃「でも……私には勝てない」タッ

田中「上空へ飛んだ! こっちも飛翔して奴を墜落させろ! 気随な咎人を二度と這い上がれぬようジュデッカへと叩き落とすのだ!」

戦刃「複数を相手にする時に怖いのは攻撃が飛んでくる方向がバラけること……私が先に上空へ飛べば、飛び道具を持たない犬だと、攻撃の方向は下方からの一点しかない……」

田中「しまった……罠か!」

戦刃「てや!」バシーン


戦刃の蹴りが三匹のドーベルマンに炸裂する。


ドーベルマン「キャイン」

105: 2013/10/14(月) 14:36:43.60 ID:FKNdkUlp0
ドーベルマン「キャイン」

苗木「三匹のドーベルマンを同時に倒した……流石戦刃さん……普段は残念だけど、戦闘になると強いな」

田中「く……」タッタ

戦刃「動かないで」ジャキーン


戦刃は田中の首筋にナイフを突き立てる。


戦刃「不用意に前に出てくるなんて……」

田中「俺を頃すつもりか?」

戦刃「もう助けてくれる動物はいないよね? 今の内に降参して解毒剤を渡せば命までは取らない」

田中「メス犬が……制圧せし氷の覇王であるこの俺様が敵に向かって己の心臓を差し出すと思うのか?」

田中「無様に生き恥を晒して生き延びるくらいなら、貴様の心臓に食らいついて朽ち果てるわ!!!」

戦刃「わかった……そんなに氏にたいんだ。解毒剤はあなたの氏体を調べて手に入れるから別にいいよ」

田中「貴様は既に我が術中に嵌っている! 邪悪なる意思よ……、古の刻に交わした契約に従い……、今こそ汝が力で我を救え……。駆け抜けろッ! “滅星者たる銀狐”サンDよ! 魔鼠裂空慟哭術!」

苗木「まさか! その技は飼育委員の間で密かに噂をされている幻の術! 実在していたのか!」

戦刃「!!」ガク

107: 2013/10/14(月) 14:49:06.37 ID:FKNdkUlp0
苗木「戦刃さん!? どうしたの!」

戦刃「っ……こ、来ないで苗木君っ……」

田中「フハハハハハハ!! 流石の貴様も我が力には敵わないな!」

戦刃「ひゃぅ……」モゾモゾ

苗木「ん? 戦刃さんの服の中から何かモゾモゾしたものが……そうか! 魔鼠裂空慟哭術はハムスターがスイッチを押す術! 戦刃さんは何らかのスイッチを押されて力が出せなくなってるんだ!」

田中「フッ……気づいたか。いいだろう! 出て来い! 我が配下! 破壊神暗黒四天王よ!」

ジャンP「デュ?」

チャンP「チュー」

マガG「チャー」

サンD「ピカチュー」

苗木「おい、ReBurstは関係ないだろ! そろそろ許してやれよ!」

110: 2013/10/14(月) 14:57:28.90 ID:FKNdkUlp0
戦刃「こ、この鼠達が私の服の中で……」

田中「追撃だ破壊神暗黒四天王!」

戦刃「はぅー」

苗木「気を付けて戦刃さん! ハムスターはせまい穴倉に入りたがる生き物なんだ!」

戦刃「ひゃん……そ、そこは……」

苗木(ん? 狭い穴倉? ……狭い穴……あっ……)

苗木(アカン)

戦刃「えっぐ……苗木君……助けてぇ……」

苗木「卑怯だぞ! 女子にセクハラして勝つなんて屑の鑑だよ!」

田中「セクハラではない! 魔鼠裂空慟哭術だ!」

苗木「なんて最低な人なんだ……」

田中「勝つために手段を択ばないのが俺の流儀だ!」

苗木「…………ボクが戦うしかないのか」

113: 2013/10/14(月) 15:04:28.34 ID:FKNdkUlp0
田中「貴様が相手か? やめとけ。所詮中学レベルの飼育委員では、超高校級の飼育委員である俺様には勝てない」

苗木「それでも退くわけにはいかないんだ!」ダッ

田中「愚かな……力量の差がわからんのか!」ベキ

苗木「ぐ……」

田中「どうした! 倒れるにはまだ早いぞ! 邪眼の力を舐めるなよ! インフィニティ・アンリミテッド・フレイム(物理)!」ドコォ

苗木「ぐわあああああああ」

戦刃「苗木君っ……」

田中「どうした? もう終わりか?」

苗木「まだまだ……ここで諦めたりしないぞ!」

田中「悲しいな……仲間を見捨てれば自分だけは助かるというのに」

苗木(流石超高校級の飼育委員……猛獣を相手にすることもあるだけに自身の戦闘能力も高い……ボクでは到底勝ち目がない。どうすればいいんだ)

114: 2013/10/14(月) 15:11:03.98 ID:FKNdkUlp0
苗木(そうか! 勝ち目がないなら勝つ必要は別にないんだ!)

田中「ククク……あくまでも逃げぬというのか……ならば仕方あるまい」スチャ

苗木「ナイフ!?」

田中「俺様の使役するヒュドラから氏の祝福(毒)を得たナイフだ! これで貴様の命を絶つ! 未来永劫、決して輪廻すら廻らせん!」

苗木「戦刃さん目を瞑ってて」

戦刃「ふぇ!? あ、あの……こんな時にそんな……でも、苗木君が言うなら……んっ……」

田中「フフフ……ハハハ……フハハハハハハ!! 俺様の覇道の贄となるのだ! そして絶望の闇に包まれるがいい!」

苗木「ボクは絶望なんかしない! 例え絶望の闇が襲ってきたって希望の光でかき消してやる!」ポイ

バルス!

田中「うおおおおお目がああああ目がああああああ目がああああああああああ」

苗木「閃光弾だ! 今の内に懐に潜り込んで……解毒剤をゲット!!」ズバ

田中「き、貴様あああああ!!」

苗木「…………」

ひまわりの種

苗木「間違えた。これどう見ても解毒剤じゃない」

115: 2013/10/14(月) 15:16:16.36 ID:FKNdkUlp0
田中「ハハハハハ!! どうやら運に見放されたようだな! 解毒剤は反対のポケットだ!」

苗木「それは違うよ! ボクは運に見放されてない! これでボクの……いや、ボクたちの勝利だ!」パラパラ

田中「おい! 貴様! 何をしてる! ばら撒くんじゃあない!」

苗木「おーい! 餌の時間だよー!」

破壊神暗黒四天王「デュ!?」ガタ

田中「なん……だと!」

苗木「所詮動物! 餌の誘惑には勝てない!」

破壊神暗黒四天王「へけ」モシャモシャ

戦刃「あ……いつの間にかハムスターがいなくなってる」

田中「メ、メス犬の封印が解かれてしまった」

戦刃「今までのお返しをするよ……」スッ

田中「何! 消えただと……」

戦刃「後ろ……」ドゴォ

田中「ぐおおお!!」

田中(バカな……百獣の王すらも従えるこの俺様ですら反応できないだと……! 怒りで潜在能力を引き出しているのか)

117: 2013/10/14(月) 15:20:37.35 ID:FKNdkUlp0
戦刃「今のは霧切さんの分……そしてこれが大和田君の分!」ペチ

田中「あいた!」

苗木(大和田クンの分軽っ! そりゃ、咬まれたのは子犬だから霧切さんや大神さんに比べてマシだろうけど)

戦刃「これは大神さんの分!」ベシィ

田中「ぐはっ……き、貴様! いつまでもいい気になるなよ! はぁ!」ズバ

戦刃「そんな遅いナイフじゃ当たらない……いくら、毒が塗ってあっても当たらなければ意味がない」スッ

戦刃「そして、これが私の分!」メメタァ

田中「がは……」

戦刃「そして、これが苗木君の分!!」グシャ

田中「」

苗木(何で軽傷で済んだボクが一番強そうな一撃なんだろう)

戦刃「借りはきっちり返したよ」

田中「」ピクピク

119: 2013/10/14(月) 15:34:55.20 ID:FKNdkUlp0
苗木「これが解毒剤かな?」

戦刃「多分……」

苗木「早く霧切さんのところに持っていかないと」

戦刃「そうだね……毒が完全に回ったら手遅れになっちゃう」

田中「待て……」ズルズル

戦刃「まだ戦う気なの? 氏にたいの?」

田中「何故……止めを刺さない……」

戦刃「それは苗木君に聞いて……私は頃すつもりだったけど、苗木君が嫌がっていたから……」

苗木「こんなことした人間に言うのも変な話かもしれないけど……キミは多分いい人なんだと思うよ」

田中「俺がいい人だと? …………そう見えるのなら、見当違いもいいとこだな。貴様の目にウジャトの眼を移植することをオススメする」

苗木「ドーベルマンが戦刃さんに倒された時、キミは前に出る必要がないのに、出ようとしたよね?」

田中「!」

苗木「ドーベルマンのことが心配だったんじゃない? 動物を単なる道具として兵器としてしか見てない人じゃないってことはわかったよ」

田中「ただの気まぐれだ…………他意はない」

121: 2013/10/14(月) 15:42:48.67 ID:FKNdkUlp0
苗木「それだけじゃないよ。このハムスター達を見れば、キミが本当はいい人だってことがわかる……飼い主が瀕氏の重体なのをこんなに心配そうに見ているじゃないか」

破壊神暗黒四天王「デュ?」ウルウル

田中「ぐ……」

苗木「ハムスターは警戒心が強くて、人に中々懐かないから飼うのが難しい生き物。それなのに、こんな風に懐かれるのはキミが優しい証拠だよ!」

田中「道具として利用するために偽りの情けをかけてやっただけのことだ。俺様は勝利のためなら、どんな手でも使うからな」

苗木「それは違うよ! それならどうして禍々しき四つ目(エビルス・フォース・アイズ)で戦刃さんの滅びの抜け穴を見つけなかったの? キミほどの実力者なら、その技を破壊神暗黒四天王に仕込めたはずだ!」

田中「ぐ……」

苗木「正直、戦刃さんの滅びの抜け穴を攻められたら、ボク達に勝ち目はなかった。キミは何だかんだ言いつつも越えちゃいけない一線を考えてくれてたんだ!」

田中「流石は元飼育委員……お見通しってわけか。完敗だ」

苗木「聞かせてくれないか? 何でキミみたいな人が絶望なんかに染まったんだ」

戦刃「えっ」

苗木「ん? どうしたの戦刃さん」

125: 2013/10/14(月) 15:48:40.87 ID:FKNdkUlp0
苗木「ん? どうしたの戦刃さん」

戦刃「この人絶望なの?」

苗木「そうだけど何か?」

戦刃「あー……」サー

苗木「戦刃さん? 顔色悪いけど大丈夫?」

戦刃(やっちゃった……この人盾子ちゃんの味方だったの? どうしよう。盾子ちゃんに怒られる)ガクブル

田中「俺は現実を知ってしまったのだ……恐ろしい絶望的な現実をな。これを知れば貴様らも絶望の淵へと落とされるであろう……それでも聞きたいか?」

苗木「うん……現実から目を背けてばかりじゃ前に進めない! 希望は前に進むんだ!」

田中「よかろう……驚愕な事実を教えてやろう! とあるギャルに教えられたことだ……俺様は本当は制圧せし氷の覇王でも邪気腕使いでもない! ただの人間だったんだ!!」

苗木「知ってた」

田中「なんだと……!」

苗木「あれ? もしかしてキミが絶望した理由って、ただ単に自分が普通の人間だって気づいたからなの?」

田中「それ以外に理由なんてない!」

苗木(くだらねえええええええええええええええ)

127: 2013/10/14(月) 15:58:04.28 ID:FKNdkUlp0
苗木「それじゃあ、ボク達はもう行くから……これ以上邪魔しないでよね」

田中「フッ邪魔したくともこの体では既に戦闘不能だ……なんとか意識を保つので精一杯だ」

戦刃「えっと……その……ごめんなさい」ガタガタガタガタ




田中「まさか俺様が普通の人間に負けるとは……」

ジャンP「普通の人間も捨てたもんじゃないだろ? マスター」

田中「そうだな……魔術が使えなくても俺にはお前達がいたな」

マガG「マスターはマスターだよ。特別な力がなくても、覇王じゃなくても大好きだよ」

田中「あ、ありがとう……俺もお前たちが大好きだ!」

チャンP「フッ照れるなんてマスターらしくないぜ」

田中「照れてない! 普通の人間からゼロからのスタートというのも悪くないな……よーし、ちょっくら世界を救ってくるか!」

サンD「バリバリダー」

田中「ReBurstは関係ないだろ!」

129: 2013/10/14(月) 16:10:03.43 ID:FKNdkUlp0
・十神 ジェノ 1F 梱包室

ジェノ「あんだこいつ? ハサミなんか持ってアタシのパクリっすか?」

カムクラ「超高校級の殺人鬼ジェノサイダー翔ですか」

ジェノ「アタシが本当のハサミの使い方教えてやるよ!」ジャキーン

カムクラ「ハサミの使い方くらい知ってますよ。超高校級のわくわくさんの才能も持ってますからね」

十神「なんだと! 貴様のようにわくわくさんがいるか! 子供達が絶望するぞ!」

カムクラ「だから僕は希望ヶ峰学園が作り出した希望の象徴だと言ってるじゃないですか。歪んだ希望ですがね」

十神「黙れ! わくわくさんを愚弄するな!」

カムクラ「その程度の模擬刀なんて……」ジャキジャキ

カムクラ「この画用紙で作ったチャンバラで防げますよ!」カキン

十神「なんだと……この工作の技術は……こいつ本当にわくわくさんの才能を持っているのか」

カムクラ「ゴ口リ。今日は氏体を作るよ。ついでに疑われないためのアリバイも工作しようか」

カムクラ「わーい。僕殺人大好きなんだー(裏声)」

十神「ふざけやがって!」

130: 2013/10/14(月) 16:19:32.96 ID:FKNdkUlp0
ジェノ「紙で出来た剣ならアタシのハサミで一撃よー!」ジョキーン

カムクラ「あーせっかく作ったのにー! ひどいよワクワクさーん(裏声)」

十神「よくやったジェノサイダー! 食らえ!」ブン

カムクラ「遅いです」サッ

十神「かわした!?」

カムクラ「野球選手の動体視力くらい持ってます。蝿が止まりそうな太刀筋では僕には勝てませんよ」

カムクラ「わくわくさーん、今度は何作るの? (裏声)」

カムクラ「今度は手裏剣飛ばして遊ぼっか!」

十神「ええい! 一々鬱陶しい! モノマネ芸人でも目指してるのか貴様は!」

カムクラ「詐欺師の変装能力も持ってます。声マネくらい楽勝ですよ」

ジェノ「すげー! 戦闘に何の関係があるのかわからねえけどスゲー!」

カムクラ「梱包室に大量にある段ボールを再利用して作った手裏剣だよ。材質が段ボールだからって舐めちゃいけないよ? それ」シュ

十神「!!」ピッ

十神(速い……全く手裏剣の軌道が見えなかった。野球選手の才能もあると言っていたな……桑田はアホだが、野球の才能は本物だ。桑田並の投擲能力を持っているのだとしたら厄介だな)

134: 2013/10/14(月) 16:27:23.97 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「かすっただけで血が出るくらい鋭く研いでるからねー。ゴ口リ! 今日はこれで、忍者ごっこしよっか?」

カムクラ「わーい! 侵入者共を根絶やしにするんだね? 面白そー(裏声)」

カムクラ「でもね、侵入者が弱いとすぐに頃しちゃってつまらなくなっちゃうんだよ? …………アア、ツマラナイ」

十神「急に素に戻るな!」

カムクラ「忍者の才能は……あったっけ? まあいいでしょう……他の才能で十分カバーできます」

カムクラ「オートフォーカス!」カシャ

カムクラ(写真家の被写体を的確に捉える技術を応用して、確実に命中させられるポイントを確定……そこだ!)シュシュ

十神「甘い!」キン

カムクラ「今の攻撃を弾きますか……」

ジェノ「白夜様カッケー!!」

十神「貴様の才能は確かに優れている。それは認めてやろう」フッ

十神「そんな優れた才能を持つ貴様が投擲を外すとは考えられん。俺が一歩も動かなければ、俺に確実に命中させる軌道を取るだろう」

十神「つまり、攻撃の軌道はある程度予測できるということ。タイミングさえ計れば、撃ち落とすのはそう難しいことではない!」

ジェノ「おお! 流石白夜様! 相手の才能を逆手に取るなんてお利口さんねー」

カムクラ「簡単な理屈ですが、実行するとは流石ですね。形状が球でないとはいえ、超高校級の野球選手の投擲を撃ち落とすなんて、完璧を自負するだけのことはあります」

136: 2013/10/14(月) 16:35:53.18 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「これは防げますか?」シュシュ

十神(バカの一つ覚えにまた手裏剣か? ……さっきより、速度は落ちているようだ! 俺にも見える!)

カムクラ「油断しない方がいいですよ。その手裏剣は曲がりますから。ついでに追加です」シュシュ

十神(カーブだと!? それに追加の手裏剣が……く……)

グサ グサ

十神「がはっ……」

ジェノ「あーん白夜様がやられたー」

カムクラ「軌道くらいコントロールできますよ。野球選手の才能がありますからね」

十神「こいつ強い……強すぎる」

カムクラ「どうやらここまでのようですね……あなたはやはりツマラナイ……完璧と言っても超高校級一歩手前くらいまでしか能力を引き出せてない器用貧乏のようですね。氏んでください」

十神「や、やめろ! く、くるなああ!!」

ジェノ「うっひょー! 白夜様が受けに回るなんてえええイズルンが鬼畜責めとか超萌えるんですけどー!」

カムクラ「はい? ってかイズルンって誰ですか?」

ジェノ「テメーのことに決まってんだろ? 一々確認すんじゃねえよ! テンション上がってきたあああ!! 殺っちゃうよ? 萌えてきたから殺っちゃうよ?」

137: 2013/10/14(月) 16:45:53.41 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「やめた方がいいです。あなたは殺人鬼として素晴らしい才能を持ってますが、元の肉体が貧弱すぎます。同じ才能を持つ僕には肉体スペックの差で勝てません」

ジェノ「あ? んなの知るかボケ! 萌える男子がいたら頃すのがアタシの流儀だよ!」ジャラ

カムクラ「萌える? 僕には到底理解できない感情です……氏んでください」シュシュ

ジェノ「んな手裏剣効くかっつーの! 飛び道具ならアタシだって使えるのよ~ん」シュピッ

カムクラ「ハサミを投げて僕の手裏剣を相頃しましたか……しかし、あなたのハサミには数に限りがあります。僕の手裏剣は段ボールからいくらでも作れます。勝負するまでもありませんよ」

ジェノ「うだうだ言ってないで大人しくアタシに殺されなさい」タッ

カムクラ(速いっ……! バカな! この肉体スペックでここまでの瞬発力は出ないはず……)

ジェノ「まずは右手から磔しまーす!」

カムクラ「うお…」スッ

ジェノ「チッ避けられたか……反応速度パネェなおい」

カムクラ「何故だ! 何故だ! 単なる殺人鬼の才能だけではそんなに肉体を強化できないはずです!」

ジェノ「知るかっつーの。萌える男子を見れば胸がときめいていつも以上のパワーが出るのよん」

カムクラ(なるほど……殺人鬼の能力の本質はそこにありましたか。おかしいと思いました。ただ単にハサミの扱いに長けているだけなら、わくわくさんで十分ですからね)

カムクラ(僕には三次元に対する萌えという感情が理解出来ない。同人作家の才能はあってもアレは二次元限定ですからね)

140: 2013/10/14(月) 16:54:02.70 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「まさか僕に使いこなせない才能があったなんて驚きです……少しは楽しめますかね」

ジェノ「あ? 何言ってんだこいつ?」

カムクラ「全ての才能を備えている僕に唯一勝てる可能性があるのはあなただけということですか。萌えの力がどれほどのものか見させてもらいましょう!」

ジェノ「なんかよくわかんないけど~アタシによる殺人ショーをご所望ってやつ? だったらお望み通り頃してやんよこら!」ブス

カムクラ「あ……そこは」

パァン


不意にカムクラの服から胡椒が飛び出て、空中へと舞った。


カムクラ「胡椒入りの袋を切ってしまいましたね」

十神「な、何故そんなものを持ち歩いている!」

カムクラ「料理人でもある僕が胡椒くらい持ち歩くのは当然でしょう」

ジェノ「ハ、ハ、ハクション!!」

十神「な!」

腐川「あ、あれ? ここはどこ? あたしは確か教室にいたはずじゃ……」

十神「終わった……」

142: 2013/10/14(月) 17:00:10.78 ID:FKNdkUlp0
・大神 石丸 大和田 2F コントロール室前

左右田「へへ。待ってたぜ」

大和田「あ? てめえ誰だ? 絶望の一味か? 敵か? 敵だな?」

石丸「ここを通してくれないか? 僕達は君と戦いたいわけじゃない! 不二咲くんを返してくれればそれで済む話だ!」

左右田「そいつはできねえな……お前らに壊されたオレの可愛い掃除ロボの仇もとらねえといけねえからな!」

大神「なるほど……貴様があの掃除ロボを操っていたのか……貴様が朝日奈を……!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオ

左右田「ぎゃああああああああ。な、なんだこのバケモノはああああ! 殺気だけでブルっちまった」

大和田「あーあ知らねえぞ大神怒らせちまったな」

左右田「うっせ! うっせ! こっちには秘密兵器があんだ!」ポチ

ガシャンガシャンガシャン

石丸「なんだこの音は?」

左右田「地上最強の格闘家の戦闘データを基に作った最強兵器……名付けてメカケンイチロウの登場だ!」

メカケンイチロウ「プシュー」

大神「!!!!」

143: 2013/10/14(月) 17:07:22.06 ID:FKNdkUlp0
石丸「ケ、ケンイチロウと言えば、大神くんより強いという彼のことか?」

左右田「へへ……生憎本物のケンイチロウは病気になっちまったから、絶望側に引き入れることは出来なかったけどよー。ケンイチロウの動きを89.3514%再現した究極の戦闘マシーンだ」

大神「貴様……! ケンイチロウまで玩具にするというのか!」

左右田「玩具とは心外だな。さっきの掃除ロボとは比べものにならねーくらい強いオレの最高傑作だっつーのに」

大神「大和田! 石丸! お主らは先へと進め! こいつは我が倒す!」

石丸「無茶だ大神くん! あいつの話が本当だとすると、メカケンイチロウは君より強いってことじゃないか! 一人で戦っては勝ち目がないぞ!」

左右田「おいおい。まるで三人で戦えば勝てるみたいな口ぶりだな? ケケケ、大神三人分ならともかく、中途半端な戦力が加わったところでオレのメカケンイチロウには勝てねえよ」

大和田「あ? オレと兄弟を舐めてんのか?」

左右田「そういうつもりじゃねーよ。掃除ロボの時に採取した戦闘データを見れば、二人共超高校級なだけあってか戦闘能力はかなり高いと判明している。けど、そういう次元の話じゃねーんだこれは」

石丸「所詮僕達は超高校級レベルでしかない……地上最強の座をかけるレベルには到達できないというわけか」

左右田「物わかりがいいじゃねーか! 高校生なのに地上最強一歩手前まで来てる大神がおかしいだけだから、そんなに落ち込むなよ」

大神「案ずるな。我は負けん! ケンイチロウと戦ったのは希望ヶ峰に入学する前……我も決して鍛錬を怠らなかった! ケンイチロウに負けた時の我とは違う!」

大和田「チッ。しゃあねーな。大神がそこまで言うならここは任せたぜ」

石丸「大神くん! 無理だけはしないでくれ。プロテインを飲んである程度回復したとはいえ、君は前の戦いで負傷しているはずだからな」

大神「ああ。我はこんな機械になんぞ負けん!」

145: 2013/10/14(月) 17:19:58.58 ID:FKNdkUlp0
メカケンイチロウ「プシュー」

大神「破ァ!!」ドゴォ

メカケンイチロウ「フン!」ガキン

大神「く……我の拳が通用しないだと」

左右田「おっと言い忘れてたぜ。再現しているのはケンイチロウの動きだけだ。ボディは鋼鉄だし、パワーも人間とは比べものにならねーぞ! なんつったって機械だからな! 人間と同じ感覚で戦えば負けるぞ」

メカケンイチロウ「ピーガー」ブフォン

大神「ぐおへぇ!!」メキ

大神(なんという強い一撃……! 並の人間が食らえば即氏レベルだ……それにケンイチロウの放つ拳と全く同じ形だ。避けるのも至難の業……!)

大神「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」シュババ

メカケンイチロウ「ムダムダムダムダムダムダムダムダムダァ!!」シュババ

大神(く……拳同士で相頃しても、生身の人間の我の方がダメージが大きい……! 機械の体とはここまで厄介なものなのか!? このままだと押し負け……)

メカケンチロウ「ムダァ!」バシィ

大神「ぐおおおお」メリメリ

大神「ぜーはー……なんという強さ……! まるで本物のケンイチロウを相手にしているかのようだ」

左右田「お前に勝ち目はねーぞ。監視カメラで見てたけどよ、田中のドーベルマンに咬まれたんだろ? そんな負傷した腕でオレの作ったメカに勝てるわけがねーだろ」

149: 2013/10/14(月) 17:30:20.45 ID:FKNdkUlp0
大神「それでも……貴様だけは倒さねばならん!」

左右田「チッ……仲間なんか庇った結果がその負傷だろ! その負傷さえなければラッシュに競り勝てたかもしんねーのに! それでもまだ仲間のために戦うっつーのかよ!」

大神「そうだ! それに仲間のためだけでない! 我が紛い物のケンイチロウに負けたら、病が治った時に再戦の誓いをしたケンイチロウに申し訳が立たぬ!」

左右田「なんかそういうの絶望的にムカつくんだよ! 行け! メカケンイチロウ! あいつを殺せ!」

メカケンイチロウ「ピピー」

大神「とりゃっ!」ゲシィ

メカケンイチロウ「」ガクン

左右田「無駄だ! その程度の攻撃でメカケンイチロウはダメージを受けない! 機械は痛みを感じないんだぜ! 一撃で大破する攻撃じゃねーと意味がねえ! 人間だと怯む攻撃も機械は怯まねー!」

大神「我は諦めぬ! うおおおおおお!!」

151: 2013/10/14(月) 17:38:35.47 ID:FKNdkUlp0
・舞園 セレス 2F 休憩室前

セレス「さて、これからどうしましょう。わたくしは出来ればこんなところ早く脱出したいのですが」

舞園「ダメですよ! 脱出するにしても苗木君と合流してからです!」

セレス「桑田君は放置ですか」

舞園「とりあえず、脱出するにしても、苗木君と合流するにしても1Fに降りないと始まりません! 階段はこっちみたいですよ!」

セレス「何でわかるんですか? この建物の構造を知ってるのですか?」

舞園「エスパーですから」

セレス「何でもそのセリフで済ませようとすんじゃねええ!! ビチグソがああああ!!」

舞園「そんなことはおいといて、行きますよ! 早く来ないとおいてきますよ!」タッタ

セレス「全く……不用意ですこと……ん?」

セレス(ん?あんなところにティアラが落ちてますね。あ、あのティアラは……! ざっと見た感じ時価数億は下りません!! 今なら誰も見てませね)キョロキョロ

セレス「うふふ。こんなところに置き忘れるのが悪いんですよ」ガバ

ガタ

セレス「!!」


舞園「あれ? セレスさん? セレスさーん! もう、勝手にいなくなるなんて自分勝手な人ですね」

153: 2013/10/14(月) 17:45:18.89 ID:FKNdkUlp0
・苗木 戦刃 霧切 1F 梱包室前

苗木「霧切さん! 解毒剤を手に入れてきたよ」

霧切「あ、ありがとう……」

苗木「ほら、この白くて粘々してドロっとしてる解毒剤を飲んで」グイ

霧切「んあっ……ゴクゴク……おえ……げほげほ」

苗木「あ、大丈夫霧切さん!?」

霧切「ま、まずい……げほ……何この苦くて生臭い解毒剤は……」

苗木「どう? 効いてる?」

霧切「ええ……最悪な味だけど体調は回復したみたいよ」

苗木「良かった」

戦刃「あ、あの苗木君……私、これ以上苗木君と一緒に行動できない」

苗木「え? どうして……」

戦刃「そ、その……苗木君はまたあの人と同じ絶望と戦うんだよね?」

苗木「そうだけど……それがどうかしたの?」

157: 2013/10/14(月) 17:52:14.74 ID:FKNdkUlp0
戦刃「ご、ごめんなさい! とにかくダメなんだもん!! 絶望とは戦えないんだもん!!」ガチャ

苗木「あ! 戦刃さん! その部屋は……」


「また乱入者ですか……」「え? あ、あれ? ま、間違えました……」「待て戦刃! 行かないでくれ! 今の俺にはお前の力が必要なんだあああ」


霧切「何で戦刃さんがいるのか。どうして彼女が絶望と戦うのを嫌がったのかは知らないけど、戦刃さんも参戦すればカムクライズルを倒せる確率は上がるわ。結果オーライね」

苗木「十神クンの必氏な叫び声は聞かなかったことにしてあげよう」

霧切「それよりこれからどうするかが問題よ」

苗木「なんかバタバタしちゃったけど、舞園さんとセレスさんの安否が気になるよ。2Fに行こう!」

霧切「そうね……1Fに不二咲さんはいないみたいだし」

山田「おーい! 苗木誠殿! 霧切響子殿!」

苗木「山田クン!!」

山田「いやー。いきなりリタイアするハメになって申し訳ない。でももう大丈夫ですぞ! 完全に目が覚めました!」

苗木「良かった。山田クンも一緒に行こうよ!」

山田「もちろんですぞ! 僕達は不二咲千尋殿を助けるためにここに来たんですからな! そう、これが仲間! 友情パワー! コーホー!」

161: 2013/10/14(月) 17:57:55.46 ID:FKNdkUlp0
霧切「怪我はもういいの?」

山田「もちろんです!」

霧切「一応攻撃された箇所を見せてくれるかしら?」

山田「ハイ」

苗木「うわあ……凄い痣だね」

山田「それだけあの女子が強かったということですな。拙者の脂肪がなければ氏亡してた。なんつて」

霧切「…………」

苗木「どうしたの霧切さん?」

霧切「いえ、今のギャグが寒いと思っただけよ」

山田「ひどー!」

苗木「アハハ容赦ないね……それじゃ2Fに行こうか」

165: 2013/10/14(月) 18:03:43.42 ID:FKNdkUlp0
・石丸 大和田 2F 階段前

辺古山「ほう……ここまで来れるやつがいたとはな……」

大和田「なんつー殺気だ……この女ヤベーぞ」

辺古山「悪いがここから先には行かせるわけにはいかない」

大和田「あ? んでだよ」

石丸「この階段を超えた先に不二咲くんがいるんだな?」

辺古山「その通り。大人しく人工衛星を墜落するプログラムを渡すなら不二咲は返してやろう……貴様らにも危害は加えるつもりはない」

大和田「んなもんオレは知らねえよ! いいから不二咲を返しやがれ!」

辺古山「……本当に知らないみたいだな。こいつは嘘がつけるような男には思えん。だとすると、知ってるのは別の奴か?」

石丸「頼む! 不二咲くんを返してくれないか!」

辺古山「返す気がないのはそちらも十分知ってることだろ?」

石丸「ならば力づくで返してもらうしかなさそうだな……行くぞ! 兄弟!」

大和田「おう! オレと兄弟の連携プレイなら楽勝だぜ!」

辺古山「ふぅ……やはりそう来るだろうと思った……なら、私も行くぞ?」スチャ

石丸(この構え……相当の手練れのようだな……)

166: 2013/10/14(月) 18:09:45.65 ID:FKNdkUlp0
石丸「えいや!」ブン

辺古山「見切った!」カキン

石丸「く……」

辺古山「今の太刀筋悪くないぞ。日頃の鍛錬がなければ出せない一撃だ!」

大和田「コノヤロウガアアアアアアアア!!」

辺古山(来るか?)スチャ

大和田「兄弟! 後は任せた!」スタコラサッサ

辺古山「は?」

石丸「おう! 任されたぞ!」

辺古山「く……なんてやつだ! 行かせん!」

石丸「君の相手はこの僕だ!」ブン

辺古山「なにっ!」スッ

石丸「どうした? かかってこい!」

辺古山(く……こいつは片手間で戦える程生易しい相手ではない。あのリーゼントを追ってる余裕はないか……すみませんぼっちゃん。侵入を許してしまいました)

171: 2013/10/14(月) 18:14:10.65 ID:FKNdkUlp0
辺古山「貴様……あのリーゼントが貴様を見捨てて先に行くとどうしてわかった?」

石丸「兄弟は僕を見捨てたのではない! 僕に託してくれたんだ!」

辺古山「そんなことはどうでもいい! 何故わかったと聞いてる! 貴様らは相談している素振りを見せなかったではないか!」

石丸「兄弟は女子を攻撃するなんてことは出来ない! だから、必然的に君と僕が一騎打ちをするしかない! それだけのことだ!」

辺古山「余程、お互いを見知った関係でないと出来ない連携プレイか……なるほど。逆に一騎打ちの状況になって助かったのはこちらということか……二人掛かりの連携でこられたら私は敗北したかもしれないな」

石丸「兄弟が不二咲くんを連れてくるまでの間に君を倒す!」カチャ

辺古山「私を倒すだと? ククク……私も舐められたものだな……いいだろう! 貴様を切り捨ててやる! リーゼントを追うのはその後だ!」

172: 2013/10/14(月) 18:22:03.11 ID:FKNdkUlp0
・桑田 2F 燃料保管庫

弐大「ふむ……なるほど……貴様見た感じ野球選手の才能があるな」

桑田「は?」

弐大「ちょっくらトレーニングしてやろうかのう」

桑田「うっざ。そういうの間に合ってるんで」

弐大「墳ッ!」シュ

ズドン

桑田「あ、あ……」

弐大「なんじゃ? よく聞こえんかったのう」

桑田(か、壁をたった一発のパンチで粉々に粉砕しやがった……純粋なパワーなら大神クラスじゃねえか……)ガクガク

弐大「決まりじゃな! ワシと一緒に命がけの地獄のトレーニングをしよう」

桑田「え? い、命がけって……」

弐大「選手であるお主とマネージャーであるワシ……どちらかが氏ぬまで続ける絶望トレーニングじゃあああ!!」

桑田「お、おい……嘘だろ?」

弐大「ワシは嘘はつかん!」

175: 2013/10/14(月) 18:27:38.48 ID:FKNdkUlp0
桑田「か、勘弁してくれよ!」

弐大「ワッハッハ! 心配はいらんぞ! 今までこのトレーニングをした選手達はトレーニング後は見違える程に強くなったからの!」

弐大「物言わぬ屍となるがな……」

桑田「う、うわあああああああああああああ!!!嫌だ嫌だ嫌だあああああ!!た、助けてくれええええ!!」スタッタ

弐大「逃がさん!」ベキィ

桑田「あ……」

弐大「ほれ、ドアノブじゃ。これでもうこの部屋からは出られん」ポイ

ドアノブだった物「解せぬ」カラコロ

桑田「あ、ありえねええええ!! どうやったらこんな形に変形すんだよおおお!」

弐大「応ッ!次はお主がこうなる番じゃ」

桑田「」ゾク

桑田「た゛す゛け゛て゛く゛れ゛え゛え゛え゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ ゛こ゛こ゛か゛ら゛た゛し゛て゛え゛え゛え゛え゛え゛ ゛い゛や゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ゛う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ ゛ふ゛さ゛け゛ん゛な゛よ゛お゛お゛お゛お゛」

弐大「落ち着け。ワシを殺せばお主は助かる……殺せれば……なぁ?」

桑田「や゛め゛ろ゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛お゛ ゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ゛こ゛っ゛ち゛に゛く゛ん゛し゛ゃ゛ね゛え゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛ ゛ア゛ホ゛ア゛ホ゛ア゛ホ゛ア゛ホ゛ア゛ホ゛ア゛ホ゛」

179: 2013/10/14(月) 18:36:08.93 ID:FKNdkUlp0
弐大「安心せい……お主は一流のアスリートになれる逸材だ。お主程の才能を持った奴にはあったことがない。きちんとトレーニングすれば、歴史に名を残すことも可能じゃ」

弐大「そんな才能を持った選手が無残にも散り逝く姿! なんと絶望的で美しいことか! この一瞬のために! 文字通り選手生命を散らすその一瞬! それだけのためにトレーニングし続ける! 正に諸行無常の絶望と呼ぶに相応しい! お主もそう思うじゃろう?」

桑田「思わねーっつーの! っつーかオレ練習とかトレーニングとか嫌いなんだよ! だからさ? 頼むよ! 見逃してくれよ!」

弐大「無ッ!それほどの才がありながら、トレーニングが嫌いじゃと? たわけが! ワシがその根性を叩きなしてくれる! そこになおれい!」

桑田「アポ……?」

弐大「アタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!」デュクシデュクシ

桑田「アポアポアポアポアポアポアポアポアポアポォ……」

弐大「墳ッ! どうじゃ! ワシのアレは!」

桑田「がはっ……げほげほ……な、何しやがる……」

弐大「貴様のツボを刺激した。超高校級の指圧師でもあるワシの能力を使って、貴様の潜在能力を引き出した」

桑田「あ? 潜在能力だ?」

弐大「試しにワシに向かって投球してみい?」

桑田「なんかよくわかんねーけど……オリャ」シュルルウ

弐大「墳ッ!」ガシィ

桑田「ア、アレ……体が軽い! いつもよりはえー球が投げられたぞ!」

182: 2013/10/14(月) 18:41:53.22 ID:FKNdkUlp0
弐大「返すぞ」ブフォン

桑田(ゲ! なんつー球投げやがる! 選手よりこいつが試合に出た方が勝てるんじゃねか!? とにかく避けねーと)

弐大「喝ッ! 避けるな! 受け止めてみろ!」

桑田「お、おう!」バシィ

桑田「あれあれあれ? 何でこんな剛速球を受け止められたんだ?」

弐大「言っただろ? 潜在能力を引き出したと……まあ、一時的なものじゃ、時間が経てば元に戻るが」

桑田「確かにそんなこと言ったけどここまでとは……」

弐大「これで貴様はワシと対等に戦えるようになったというわけじゃ! もう泣き言は許さんぞ!」

桑田「やっぱりそうなるのかよおおおおお!!」

弐大「安心せい! アレを刺激しただけでここまで強くなったのは貴様が初めてじゃ……もしかしたら、ワシに勝てるかものぉ」

桑田「いやいや無理だっつーの! 相手との実力差がわからねーほどオレもアホじゃねえ!」

弐大「まだ自分の真の実力に気づいてないのか……仕方あるまい! 実戦で分からせるしかないな」

185: 2013/10/14(月) 18:46:33.62 ID:FKNdkUlp0
桑田「うおおお!!!アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホ!!」シュババ

弐大「クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソじゃああああ!!」シュババ

桑田「ハァハァ……な、すげえ!ラッシュの撃ちあいに対抗できる! 今なら大神にも勝てそうな気がする……気がするだけ」

弐大「ホラ、もっとワシに攻撃せんかい! アレの効能が切れる前にワシを倒さなければお主の敗北は決定するぞ」

桑田「そうだな……パワーアップしている今しかテメーを倒す機会はねーもんな! 行くぜ!」

弐大「応ッ!」

弐大(勝てるかもという僅かな希望にすがり、そして負けて絶望するんじゃ! それこそが最も美しい絶望となろう!)

186: 2013/10/14(月) 18:52:17.23 ID:FKNdkUlp0
・苗木 霧切 山田 舞園 2F 休憩室前

舞園「あ! 苗木君! 無事だったんですね!」

苗木「舞園さん? ここにいるってことは勝ったんだね?」

舞園「はい! ……でも、セレスさんがどこかに行ってしまいました」

霧切「どういうこと?」

舞園「わかりません。少し目を離した隙にテレポートしたみたいなんです。彼女はエスパーなんでしょうか?」

山田「ふむふむ。セレス殿は攫われた可能性が高いですな」

霧切「…………」

苗木「攫われたって? まさか絶望の連中に?」

山田「そうとしか考えられませんぞ」

苗木「ちょっと待って……アルターエゴ! マップを表示してくれる?」

アルターエゴ『任せて』

188: 2013/10/14(月) 18:58:30.49 ID:FKNdkUlp0
苗木「ここが現在位置の休憩室前だね……階段から一番近い場所にあるけど、階段との間には十字路があるよ」

霧切「この十字路から他の部屋に進むみたいね」

舞園「あれ? おかしいです! 階段から上ってこの休憩室を過ぎると行き止まりじゃないですか!」

苗木「ん? なんでおかしいの?」

舞園「私は階段の方向に進んでました。セレスさんが消えたのはその間です……ということは、行き止まりしかない場所でセレスさんはどこに消えたんでしょうか?」

霧切「休憩室の中に戻ったということは?」

舞園「探したけど、中に誰もいませんよ」

山田「やっぱりテレポートしか考えられませんな……いや、もしかしたら休憩室の中に別の場所に繋がる入口が?」

苗木「あ! そうかわかったぞ! 穴だ! ボクが落ちた穴なら梱包室に通じてる! まさかセレスさんはそこに落ちたんじゃ……大変だ! すぐに助けにいかないと!」

霧切「待って、あの中にはカムクライズルがいる。私達が入ったところで、戦刃さん達の足手まといにしかならないわ」

山田「とりあえず、その穴を覗いてみたら? あ、穴を覗くって別にいやらしい意味じゃなですぞ!」

舞園「あ、危ないですよ! あの辺りの床は腐ってるんですよ! 私が苗木君の安否をすぐに確認できなかったのも、穴の周りの床が腐っていて近づけなかったからですし」

190: 2013/10/14(月) 19:04:15.03 ID:FKNdkUlp0
山田「ちょこっと覗くだけなら大丈夫大丈夫! ヘーキヘーキ!」

霧切「ねえ、山田君? 私達を穴に落としたい事情でもあるのかしら? それとも休憩室に何か罠でも張ってる?」

山田「ちょ、やめろし! 霧切響子殿! そういう冗談はやめてください! まるで僕が……」

霧切「敵みたい? いえ、本当はあなた敵なんでしょ?」

苗木「!!」

山田「な、な、何を言ってるんですか霧切響子殿! 僕はクラスメイトじゃないですか! クラスメイトを疑うなんてそんなハイスピード推理アクションみたいな展開いりませんぞ!」

苗木「何か山田クンが敵だと思う根拠でもあるの?」

霧切「山田君……どうして、あなたはセレスさんのことをセレス殿と呼んだのかしら?」

山田「ほえ?」

霧切「あなたは他人のフルネームに殿を付けて呼ぶ癖があったはずよ」

山田「いやいや、セレスティア・ルーデンベルク殿では長いですし、セレス殿本人がセレスと呼べとウルサイじゃないですか!」

苗木「山田クン……」

舞園「あなた一体何者なんですか?」

山田「ほえ? え? 何この空気?」

霧切「苗木君……わかったようなら言ってあげて、この間抜けな変装の名人の決定的なミスを!」

192: 2013/10/14(月) 19:09:38.97 ID:FKNdkUlp0
苗木「山田クン……セレスさんの本名はセレスティア・ルーデンベルクじゃないんだ」

山田「な、なんですとー!!」

苗木「セレスさんの本名は安広 多恵子! クラスの皆が知ってることだ! キミが知らないわけないんだ!」

山田「あべし」

苗木「そりゃ、本名が割れる前はキミもセレス殿って呼んでたから違和感はなかったけど……よく考えたら、キミはセレスさんの本名を知ってからは、安広多恵子殿と呼んでたよね!」

山田「ぐぎぎ」

苗木「山田クン……いや、正体不明の誰かさん! いい加減本性を現したらどうなんだ!」

山田?「あーあ……体型的に一番違和感なく変装が出来たのに、こんなつまらないミスで正体がバレるなんて絶望的だね」ベリ

十神?「やっぱりこの姿が一番落ち着くかな? 長いことこの姿だったからね」

霧切「うぷ……」プルプル

苗木「と、十神クン……?」プルプル

舞園「ダ、ダメですよ……ぷ……わ、笑うなんて失礼ですよ」プルプル

苗木「こ、これ……笑うなっていう方が……」プルプル

194: 2013/10/14(月) 19:15:06.37 ID:FKNdkUlp0
十神?「どうした? そんなにこの肉が羨ましいのか?」プルプル

霧切「――――!!」ガタガタ

苗木(ダメだよ霧切さん! こらえてこらえて!)

霧切(だって、一人だけプルプルの効果音の意味が違うなんて反則すぎるでしょ!)

舞園(なんでよりによって十神君をあんな体型に……笑うなって言う方が無茶ですよ!)

詐欺師「俺は超高校級の詐欺師。本当の名前も本当の姿は自分でもわからない。今は十神白夜として生きている」

苗木「え? 本当の姿を知らないってどういうことなの?」

詐欺師「本当の姿とは何か……それは、物心ついた時でないと知ることが出来ない。俺は物心ついたころから誰かの変装をしていた……いや、しなければ生きてはいけなかった」

詐欺師「それ故に、俺は本当の名前も本当の姿も知らない。貴様等は自分の本当の姿を知っていることに感謝をするんだな。一見、当たり前のようだが、その当たり前がない人間から見れば羨ましいことだ」

苗木「そうなんだ……本当の姿を知らないってちょっとボクには想像つかないよ」

霧切「苗木君。敵に同情してはダメよ」

詐欺師「俺にはセレスの考えていることが理解できない。安広多恵子という本当の名があるのに、何故捨てるんだ……何で自分の名を捨てるような奴がいるんだ!」

苗木(確かに……ボクには全く想像つかないけど、本当の自分がわからないってことは辛いと思う。この人はこの人なりにずっと絶望を抱えて生きてきたんだな)

196: 2013/10/14(月) 19:18:05.09 ID:FKNdkUlp0
飯休憩

200: 2013/10/14(月) 19:34:20.65 ID:FKNdkUlp0
舞園「待って下さい!」

詐欺師「何だ?」

舞園「本当の名前がないなら自分で付ければいいんですよ」

詐欺師「何だと? どういうことだ! 説明しろ」

舞園「えっとですね。名前がないってことは逆に自分で名前を付けるチャンスだと思うんですよ。世の中の人は大抵、親からつけて貰った名前で一生を過ごし、自分で自分の名前を付けるなんてそんなにある機会ではありません」

詐欺師「確かにな」

舞園「もう少し前向きに考えてみましょう。最初は誰だって自分の名前がありません。親に名前を付けてもらって初めて名前を得ることができます。あなたも見つければいいんですよ。自分に名前を付けてくれる人を」

詐欺師「考えたこともなかったな……舞園……貴様が俺に名前を付けてくれるとでも言うのか?」

舞園「えーと……名は体を表すと言いますし……金髪豚野郎ってのはどうですか?」

苗木(舞園さんそれ名前ちゃう! ただの悪口や!)

詐欺師「なるほどな。いい名だ……考えておく。ありがとう舞園。キミのお陰で少しだけ希望を持つことが出来たかも知れない」

苗木「あれ? なんか印象が柔らかくなってない? 全然十神クンとは違うね」

霧切「十神君と比べて柔らかくなってるのは印象だけじゃないわ。脂肪もそうよ。やわらか十神君よ」

苗木「ちょ…霧切さん……本当にや、やめ……」プルプル

詐欺師「キミ達の邪魔をしてやろうかと思ったけど、やっぱり辞めるよ。安広さんの居場所を知りたいんだろ? 教えてあげるよ」ニコ

202: 2013/10/14(月) 19:40:56.96 ID:FKNdkUlp0
苗木「どうやら、敵じゃなくなったみたいだね」

舞園「本質的にいい人なんだと思いますよ」

詐欺師「休憩室の先を越えた先に行き止まりがあるよね? そこの壁を軽く三回叩くんだ。そうすると隠し扉が出てくるよ」

苗木「セレスさんはその隠し扉の先にいるってことだね?」

詐欺師「そうだよ。早く助けてあげた方がいいよ」

霧切「待って。嘘は言ってないわよね?」

詐欺師「僕が付くのは優しい嘘だけだ」

舞園「この人は嘘は言ってませんよ。私の勘ですけど」

苗木「舞園さんの勘なら当たるから大丈夫だと思う」

204: 2013/10/14(月) 19:46:50.18 ID:FKNdkUlp0
苗木「ここの壁を三回叩けばいいのかな?」

霧切「苗木君。試しにあなたがやってみて」

苗木「わかった」

舞園「私も苗木君と一緒にやります」

霧切「いえ、舞園さんまでやる必要はないわ。私と離れたところで見てましょう」

舞園「嫌ですよ! 私は苗木君の助手なんですよ? 苗木君の傍にいないと」

苗木「大丈夫だよ舞園さん。壁を叩くだけだからさ」コンコンコン


壁が回転し、何者かが素早く苗木を掴み隙間へと連れ込んだ。


苗木「!!!!」

舞園「苗木君!」

ガラ

壁は逆回転をし、完全にしまってしまった。

206: 2013/10/14(月) 19:52:39.62 ID:FKNdkUlp0
舞園「苗木君を返して下さい!」ガンガンガンガンガン

シーン

舞園「嘘……返事がない……」

霧切「やはり罠だったようね」

舞園「は……?」

霧切「相手は超高校級の詐欺師。私達を騙したの。舞園さんのエスパー並の勘ですら欺くとは流石ね」

舞園「罠だって気づいていたんですか?」

霧切「確証はなかったわ。ただ、あまりにも変わり身が激しすぎて怪しまない方がどうかしてるわ」

舞園「苗木君を見捨てたんですか!!」

霧切「そうよ。男子なんだから平気でしょ」

舞園「!!!!」

霧切「ただ、本当にセレスさんがいるところに案内してくれるかも知れない……そう思って、苗木君で実験を……」

    _, ,_  パーン
 ( ‘д‘)舞園
  ⊂彡☆))Д´) 霧切

207: 2013/10/14(月) 19:57:41.96 ID:FKNdkUlp0
霧切「っ……」

舞園「見損ないました霧切さん」

霧切「私が止めなかったらあなたまで道連れだったのよ!」

舞園「…………私はもうあなたとは一緒に行動できません。さようなら」

霧切「そう……なら、勝手にするといいわ」

霧切(私の予想では、苗木君が敵が探している人工衛星のプログラムを持っている。うまく交渉すれば殺されることはないはずよ……苗木君頑張って)

209: 2013/10/14(月) 20:00:58.25 ID:FKNdkUlp0
・苗木 2F 隠し部屋

苗木「んー!!」

小泉「しっ……静かにして」

ソニア「どうやら新しいお客様が来たようですわね」

苗木(新しい客……?ハッ)

セレス「」

苗木「セレスさん!」ガバ

小泉「きゃっ……もう暴れないでよ」

苗木「ご、ごめんなさい」

ソニア「寝ている淑女を起こすものではありませんよ。彼女は大量に睡眠ガスを吸っています。しばらくは目覚めないでしょう」

セレス:リタイア

210: 2013/10/14(月) 20:05:34.55 ID:FKNdkUlp0
苗木「キミ達は一体……」

小泉「知ってるんでしょ? 超高校級の絶望」

苗木「やっぱりそうなんだ……」

小泉「アタシは小泉 真昼。こっちは、ソニア・ネヴァーマインドちゃん。アンタの名前は?」

苗木「ボクの名前は苗木 誠だ」

小泉「そ。頼りなさそうな苗木君ね」

苗木「見た目だけで判断しないでよ!」

澪田「ウッキャー! 誰っすか、その可愛いと評判になりそう系男子は?」

苗木(また変な人が来た……)

小泉「ほら、例の千尋ちゃんの同級生の子だよ。名前は苗木 誠だって」

澪田「よろしくっす誠ちゃん! 唯吹は澪田 唯吹って言うんすよー。澪田 唯吹の澪に 澪田 唯吹の(ry」

苗木「よ、よろしく」

小泉「ところで……アタシ達の仲間になる気はない?」

苗木「は?」

212: 2013/10/14(月) 20:10:16.67 ID:FKNdkUlp0
澪田「あぶあぶあぶあぶ 真昼ちゃん! いきなり逆ナンとは大胆っすね」

小泉「ちょ……そ、そんなんじゃないって」

ソニア「なるほど。小泉さんは苗木さん狙いでしたかー。アイツは可愛い年下の男の娘ってやつですね」

小泉「何それ?」

苗木「ボクは絶望の仲間になる気なんてないよ!」

小泉「まあ、そう言わずに話だけでも聞いて? ね? 監視カメラでずっと見てたけど、アンタは今のアタシ達にとって必要な人材なんだって」

小泉「敵の罠に気づきながらも仲間も守るために自分は逃げない。仲間を助けるために自分が変わりに人質になる……これって自分を絶望的状況に追い込む超高校級の絶望の習性に似てるんだよ」

苗木「お前達と一緒にするな!」

小泉「まあまあ。超高校級の絶望はなりたくてなれるわけじゃない。それなりの素質も必要なんだよ。アンタのその仲間想いでお人好しなところは裏を返せば絶望の素質があるんだよ」

アルターエゴ『苗木君! ダメだよこんな人の言うことを聞いちゃ! 苗木君は絶望の素質なんか持ってない! 苗木君が持っているのは希望の素質だけだよ!』

苗木「アルターエゴ?」

小泉「なるほど……アンタが人工衛星のプログラムを持ってるんだ」

苗木「!?」

213: 2013/10/14(月) 20:16:11.83 ID:FKNdkUlp0
小泉「実はさ、セレスちゃんが捕まってる写真を撮って有力な情報を教えないとこいつを頃すって脅しをかけたら、千尋ちゃんはあっさりヒントを教えてくれたんだ」

小泉「不二咲千尋のアルターエゴを持ってる人物に人工衛星のプログラムを渡したと」

ソニア「それなら合点がいきますわ。どうして、不二咲さんが苗木さんの携帯にアルターエゴのプログラムを入れたのか……不二咲さんは希望更生プログラムなんて下衆なものを作ってましたからね」

ソニア「希望の素質と絶望の素質を見極める研究も密かに行っていたのでしょう……そして、苗木さんが一歩間違えれば希望にも絶望にも染まる可能性がある逸材であると見抜いた」

ソニア「苗木さんが絶望に染まらないように監視役として、アルターエゴを携帯に入れた……人工衛星のプログラムを開発したのは、苗木さんの自制心を育てるため。そう考えれば全ての辻褄は合いますわ」

澪田「唯吹だったら、そんな面白そうなプログラム渡されたら、すぐに実行しちゃうっすけどね」

アルターエゴ『…………まさか、そこまで調べられてたなんて』

苗木「アルターエゴ? 今の話は……」

アルターエゴ『ごめん……大体合ってるよ。今まで隠しててごめんなさい』

苗木「いいんだよ……ずっとボクを見守っててくれたんだね? ありがとう…… このプログラムは絶対にアイツらに渡さないよ!」

小泉「別にいいよ。渡してくれなくても」

苗木「!?」

215: 2013/10/14(月) 20:19:23.86 ID:FKNdkUlp0
小泉「アンタがアタシ達の仲間になってくれれば済む話だからね」

苗木「何なんだよ! なんと言われようとボクはお前達の仲間になんてならない!」

小泉「そ、でもこの写真を見ても同じことが言えるかな?」ピラ

苗木「これは……舞園さんが見知らぬオッサンとホテルに入っていく写真!?」

小泉「清純な優等生ぶっているさやかちゃんも裏では何をしているのかわかったもんじゃないよ」

苗木「何でだよ! 今は舞園さんは関係ないだろ!」

小泉「関係なくないよ。だって、苗木は仲間のために動いてきたわけでしょ? 一緒に希望を目指している仲間のためにさ」

ソニア「その仲間が影で汚いことしてるなんて絶望的ですよね?」

苗木「黙れ! ボクは舞園さんを信じる! これは何かの間違いだ!」

澪田「ま、確かに間違いは起こしちゃってるっすけどね。 って今の上手くないっすか? どうっすか?」

小泉「まだあるよ。今度は響子ちゃん」ピラ

苗木「!!」

苗木(なんだよこれ……霧切さんが鬼気迫る表情でお婆さんを歩道橋から突き落としている?)

小泉「これがあの女の本性だよ。きっと、自分で事件を起こして適当な人を無理矢理犯人にする冤罪作って解決する自作自演で名を上げたんじゃないかな?」

苗木「う、嘘だよね? 何かの間違いだよね?」

216: 2013/10/14(月) 20:22:15.77 ID:FKNdkUlp0
小泉「アタシの写真は全部真実。合成なんかじゃない。そこから何をくみ取るかはアンタ次第」

苗木「き、霧切さんがそんな酷いことを……いやダメだ! 仲間を信じないと……! でも、この写真は……」

ソニア「悩んでいる苗木さんのために後押ししてあげますわ。霧切さんは詐欺師さんの言ったことを罠だと思っていた。それを踏まえた上で苗木さんを実験台にした」

苗木「!」

ソニア「もしもの時は完全に見捨てられてたでしょう。現に今だって助けに来てませんよね?」

苗木「あ、あれ? 本当だ……ボクがここに来てから随分経つのに二人共助けに来てくれない」

小泉「そういうもんなんだって、所詮希望同士で繋がってる仲間なんてもんは。自分が助かりたいという希望で簡単に仲間を見捨てたり、蹴落としたりする。それが希望の真実だよ」

アルターエゴ『違うよ! 苗木君! 絶望なんかの口車に乗っちゃだめだよ!』

苗木「ゴメン……少し考えさせてくれないか?」

アルターエゴ『苗木君……』

218: 2013/10/14(月) 20:30:01.86 ID:FKNdkUlp0
・十神 腐川 戦刃 1F 梱包室

カムクラ「また新手ですか……一見地味そうな外見からあふれ出る殺気。只者ではありませんね」

戦刃「あ、あなたは超高校級の絶望?」

カムクラ「僕は超高校級の希望ですよ」

戦刃「良かった。それなら戦える!」

腐川「なんなのよなんなのよおおお! ど、どうしてあたしがこんなところに……」

十神「静かにしろ! 戦刃が奴の気を引きつけている間に反撃の策を考えねばならん」

腐川「ぐ……申し訳ありません白夜様」

戦刃「…………」

カムクラ(この構えは近接格闘術。主に軍隊で採用されているものですね。ということは彼女は軍人ですか)

戦刃「はぁ!」シュ

カムクラ「中々いい動きですが、目で追えないことはないです」パシ

戦刃「いい目を持ってる……」

カムクラ「動体視力も超高校級ですからね」

222: 2013/10/14(月) 20:38:51.11 ID:FKNdkUlp0
十神(くそ! 桑田の奴め……! 無駄に優れた動体視力を持ってたせいで奴の能力の底上げを手伝ってしまってるではないか! 戦刃の動きの速さで翻弄する戦法が全く使えないなんて厄介だ)

戦刃「ちょっと待って」

カムクラ「はい?」

戦刃「錘(パッド)を外す……」ストン……ドン

十神「!!」

戦刃「これでもう少し早く動ける」

十神(胸のパッドを錘にしてるとかこいつ最高にバカだろ!)

カムクラ「初めて面白い人にあった。あなた以上に残念な人は見たことがない」

戦刃「あ、ありがとう……」

十神「褒めてない!」

戦刃「でも、勝負は勝負……クラスメイトが氏んだら苗木君が悲しむから手加減はしないよ!」シュ

十神(消えた!?)

カムクラ「ほう。中々速くなりましたね。これなら僕にも攻撃が当たるかも知れません」バシュバシュバシュ

戦刃「まだまだ、速くなれる」バシュバシュバシュ

十神(何が起きてるのかわからないが、とにかく互角に戦えているようだ)

223: 2013/10/14(月) 20:44:40.75 ID:FKNdkUlp0
戦刃「ハァ!!」ゲシ

カムクラ「ぐ……がはっ……」ポタポタ

十神「やった! 戦刃の蹴りがカムクラに入った! 吐血してるってことは相当のダメージのようだ!」

戦刃「まだだよ。少しだけ急所から外れた」

カムクラ「なるほど……今の一撃は効きました。急所から外れてなければ一撃で負けていたかも知れません。幸運に助けられましたね」

戦刃「次の攻撃で蹴りをつける」

カムクラ「待って下さい……僕も錘を外します」ストン……ドン

戦刃「!!」

十神「バ、バカな! こいつ今まで錘を付けて戦っていたのか!」

226: 2013/10/14(月) 20:51:17.13 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「ここからは全力で行きますよ!」タッ

戦刃「そこか!」パシ

カムクラ「反応速度は中々いいですね。でも、いつまで持ちますかな?」シュババババ

戦刃「くっ」パシパシパシパシ

十神(戦刃とカムクラの身長差は見た感じだと10cm差……体格差では戦刃が圧倒的に不利だ。まさか、このまま戦刃が負けるなんてことは……)

十神(ありえん。だが、もしもの時のための打開策は用意してかないとな。幸い戦刃のお陰で反撃の兆しが見え始めた)

十神(問題はタイミングだ! 奇襲を仕掛けるタイミングがズレれば奴を倒す数少ないチャンスを見逃すことになる)

5: 2013/10/14(月) 21:29:11.15 ID:FKNdkUlp0
さるさん食って落ちた…

8: 2013/10/14(月) 21:31:38.30 ID:FKNdkUlp0
・苗木 2F 隠し部屋

苗木「よく考えさせてもらったけど……ボクは絶望に屈したりしない!」

アルターエゴ『苗木君!』パアァ

小泉「そっか。それがアンタの答えなら仕方ないね……唯吹ちゃんお願い」

澪田「了解っす!」ポチ

ガラガラガラガラ

苗木「ん?」ガシン

苗木「こ、これは鎖!? ボ、ボクの体に巻き付いて……」

小泉「ちょっと待ってね。すぐにお友達も来るから」

ズルズルズルズルズル

舞園「いやあああああ」

霧切「な、何なのよ」

苗木「!?」

舞園「苗木君! 無事だったんですね!」

9: 2013/10/14(月) 21:34:50.57 ID:FKNdkUlp0
霧切「いえ、どう見ても無事には見えないわ。苗木君も舞園さんも私も……鎖で拘束されてしまったわ」

ソニア「控えおろー! これからあなた達にはボタンを押すだけの簡単なゲームをして頂きます」

苗木「は?」

ソニア「これから2つのボタンを渡します。全員が白いボタンを押せば、セレスさんを含めてこの場にいる全員の拘束が解かれます。そうなった場合はあなた方は全員生き残れます」

苗木「そんなの全員白いボタンを押すに決まってるじゃないか!」

ソニア「誰か1人でも黒いボタンを押せば……セレスさんと白いボタンを押した人全員が氏にます。黒いボタンを押した人だけが拘束を解かれて生き残ることが出来ます」

苗木「そんなことしたら、余計に黒いボタンなんて押さないよ!」

ソニア「本題はここからです……もし、誰かが白いボタンを押した状態で黒いボタンを押せば……」ピッ

ジャラジャラジャラジャジャラ

苗木「!!」

ソニア「はい、今出てきた金銀財宝を黒いボタンを押した人にプレゼントしますわ。ノヴォセリック王家に伝わる財宝ですよ?」

12: 2013/10/14(月) 21:40:09.58 ID:FKNdkUlp0
苗木「な、何だよ! そのルール!」

ソニア「あら? 説明が難しかったですか? それでは順を追って説明しますね」

ソニア「全員白いボタンを押した場合は、先ほども言いました通り、セレスさんを含めて全員生還です。この場合は財宝のプレゼントはなし」

ソニア「全員黒いボタンを押した場合は、セレスさんだけが氏亡。苗木さん 舞園さん 霧切さんの3人は無事に生還できます。しかし、この場合も財宝のプレゼントはなし」

ソニア「誰か1人でも白いボタンを押した上で、黒いボタンが押された場合。白いボタンを押した人とセレスさんをその場で処刑されます。生き残った黒いボタンを押した人は解放され、財宝を手にすることが出来るのです!」

ソニア「確実に助かりたい場合や財宝が欲しい場合は黒いボタンを押せばいいんですよ。セレスさんを助けたいなら、自分が氏亡するリスクを負ってまで白いボタンを押さないといけませんが」

苗木「誰か1人でも黒いボタンを押せばセレスさんは氏ぬんだね……」

ソニア「そういうことです」

苗木「それじゃあ、みんな! 白いボタンを押そうよ! それで済む話じゃないか」

舞園「そうですね。こんなのゲームするまでもありませんわ」

小泉「なるほど。そうやっていい子ちゃんぶって、白いボタンを2人に押させて自分は黒いボタンを押す作戦だね。苗木黒いね」

苗木「何言ってんだよ! ボクがそんなことを考えるわけないじゃないか!」

17: 2013/10/14(月) 21:48:19.33 ID:FKNdkUlp0
ソニア「あ、言い忘れてました。財宝の他にもノヴォセリックに移住して、それ相応のVIP待遇までついてますよ……例えば、苗木さんならわたくしのお婿さんになるとか」

苗木「は?」

舞園「!」

苗木「それでも関係ない!」

舞園「…………」ガタガタ

苗木「ど、どうしたの舞園さん?」

霧切「なるほど……これが狙いというわけね」

苗木「霧切さんまで……どうしてそんな怖い顔をするの?」

19: 2013/10/14(月) 21:52:18.30 ID:FKNdkUlp0
・回想

詐欺師「やあ、君達! 喧嘩は良くないよ!」

舞園「あ、あなたは!!」

霧切「よく私達の前に姿を現すことが出来たわね」

詐欺師「どういうことだい?」

舞園「とぼけても無駄です! 罠にかけようとした癖に!」

詐欺師「罠? 何のことかわからないよ」

霧切「ふざけないで!」

詐欺師「ふざけていないよ……あ、そうだ。君達にいいものをあげるよ」ペラ

舞園「写真……? こ、これは!!」

詐欺師「苗木誠……金髪の着物美人を押し倒し卑猥なことをしようとする決定的瞬間だよ」

21: 2013/10/14(月) 21:57:39.35 ID:FKNdkUlp0
舞園「あ、あ、あ……」

詐欺師「どうやら、苗木君は金髪の女性が好みみたいだね。君達の好意に気付かないのもそういった経緯があるのかもね」

霧切「な、何を……!!」

詐欺師「だって、君達のクラスには金髪の女子なんていないだろ? そういうことだ。じゃあね」

詐欺師(西園寺の作戦を遂行する時に、小泉が換気ダクトに潜んで睡眠ガスを送る役割をしてた。その時、偶然撮った写真がまさかこんなところで役に立つとはね。流石決定的シャッターチャンスを逃さない超高校級の写真家というわけか)

詐欺師(超高校級の幸運という称号の割にはとんだアンラッキースケベだったね)

24: 2013/10/14(月) 22:02:19.69 ID:FKNdkUlp0
舞園(苗木君は思わず無理矢理押し倒すほど金髪美女が好き……ということは、あのノヴォセビXチの王女の甘言に乗ってしまえば、黒いボタンを押す可能性があるってことですか?)

霧切(まずいわ……誰か1人でも欲をかいたら氏ぬという状況……私は2人を信じることが出来るのかしら。信じる……)ズキ

霧切(っ……どうしてこんな時に手の火傷の疼きが……あの時のトラウマが再発しようとしてるの?)

苗木(何でだよ……何で2人共ボクをそんな目で見るんだよ……やっぱりボクのことを見捨てようとしたのは本当だったの? すぐに助けに来てくれなかったのは、ボクが氏んでもいいってことだったの?)

ソニア「時間はたっぷりありますわ。ゆっくり考えて下さいね」

小泉「いいね! 3人のその絶望した表情頂き!」パシャ

苗木(ど、どうしよう……2人がボクを疑っている以上は、白いボタンを押すように言えば言うほど、ボクが怪しく見えてしまう。何でだよ! なんでこんなことになったんだよ!)

霧切(このゲームの最大のポイントは自分が白を押すにしても黒を押すにしても、残りの人には絶対に白を押してもらいたいということ。白を押すように説得しても、裏切られるんじゃないかという疑心暗鬼に陥る。囚人のジレンマとは厄介ね)

舞園(ど、どうしよう……今からだと金髪に染めることなんて出来ないし、このままだと苗木君があの王女に取られちゃう。何とかして苗木君を誘惑出来ないものですか。苗木君が私の虜にさえなってくれれば白を押してくれて一石二鳥なのに)

29: 2013/10/14(月) 22:08:16.42 ID:FKNdkUlp0
・大和田 3F 監禁室

「不二咲ィ!!」

不二咲「い、今の声は大和田君!?」

九頭龍「チッここまでたどり着けるヤローがいたなんて……ヤロー共! 配置に付け!」

893「御意!」

大和田「オラァ!」バン

九頭龍「おいおい、随分とうるせえドアの開け方だな。そんなことしたらドアが壊れちゃうだろうが!」

大和田「あ? テメーが絶望の大将か?」

九頭龍「悪いがオレは絶望の大将なんてモンじゃねえ」

大和田「チッどうでもいいけどよォー不二咲返さねえとぶち頃すぞ」

九頭龍「敵陣のど真ん中に突入してんのに強気だな」

大和田「聞こえなかったのか? もう一度だけ言ってやるぞ。不二咲を返せ」

九頭龍「やなこった」

大和田「この野郎がああ! ぶっ転がしてやんよ!」バキポキ

30: 2013/10/14(月) 22:11:36.68 ID:FKNdkUlp0
893「動くな」カチャ

大和田「!」

不二咲「大和田君!!」

893「そのお方に指一本でも触れることは許さん」

大和田「何なんだテメーらは!」

893「人工衛星のプログラムのことについて話せ。情報を何も知らなければ黙って立ち去れ」

大和田「偉そうに命令してんじゃねえぞカス」

893「氏にたいようだな」

九頭龍「よせ。頃したら面倒だ。事後処理は狛枝のお守りだけで十分」

大和田「不二咲……すまねえが、ちーとばかり待ってくれや。絶対に助けてやるからな」

不二咲「そ、そんな僕のために大和田君がこんな危険な目にあうなんて……うぅ……ひっぐ……」

大和田「男なら泣くんじゃねえ!!」

不二咲「!」ビク

大和田「今はまだお前が男だって知ってんのはオレしかいねーけどよ。いつかはアイツらにも打ち明けてえんだろ? だったら、ここで泣いてちゃ男が廃るってもんだぜ! 打ち明ける時には最高の漢になってからの方がいいだろ?」

不二咲「うん! 僕もう泣かない! 守れてばかりじゃダメだ! 僕も力にならなきゃ!」

34: 2013/10/14(月) 22:17:42.63 ID:FKNdkUlp0
九頭龍「盛り上がってるとこ悪いんだけどよーリーゼントは帰ってくれねえか? 情報知らねえならいる意味ねーし」

大和田「ああ……帰ってやるよ。テメーらを地獄へ落とした後に、不二咲を連れてな!」カキン

893「ぐお!」

893集団「貴様!」カチャ

九頭龍「よせ。たかが高校生1人相手に大の大人がよってたかって拳銃を向けるんじゃねえ! 組の名前に泥を塗るつもりか? あぁ!?」

893集団「ハッ申し訳ありません坊ちゃん」

大和田「どういうつもりだ? オレとタイマン張ろうってのか?」

九頭龍「ちげーよ。弟分のためにそこまで命張れるテメーみたいな男を無駄に頃したくない。それだけだ」

大和田「あ?」

九頭龍「どうせなら……弟分が氏ぬ絶望を味合わせてやりてえからな」カチャ

不二咲「えっ」

大和田「テ、テメー! 何してんだ!」

九頭龍「動くなよ? 動いたらこいつの頭は吹き飛ぶぜ?」グリグリ

不二咲「あっ……大和田君……た、助け……」

38: 2013/10/14(月) 22:22:37.53 ID:FKNdkUlp0
大和田「下らねえハッタリかましてんじゃねえ!」

九頭龍「ハッタリ? 何言ってるんだ? オレはやれるぜ」

大和田「テメーぜってーぶっ潰す!」

九頭龍「テメーが一番大事にしている者が氏んでいく……残された者にとってこれほどの絶望はねーよな?」

大和田「もし、不二咲の頭をぶち抜いたらテメーをまずぶっ頃してやるからな!」

九頭龍「ああ。頼むぜ? 派手にオレのドタマをぶち抜いてくれ」

大和田「!?」

九頭龍「そうすれば、ペコが絶望してくれるはずだ……ずっとオレを影ながら見守ってくれていたアイツだ。最大級の絶望をしてくれるはずだ」

大和田「頭沸いてんのかこいつ……」

九頭龍「テメーもその内わかるさ。守り通すと決めた者が氏んでいく絶望こそが最上のものってことに」

大和田「ケッ氏んでもわかりたくねえよ。んなもん」

41: 2013/10/14(月) 22:28:07.28 ID:FKNdkUlp0
・苗木 舞園 霧切 2F 隠し部屋

小泉「ほら、早くスイッチ押さなくていいの? 千尋ちゃん助けに行くんでしょ?」

苗木(もし、あの写真が真実なら舞園さんと霧切さんは自分の利益のためならどんなことでもするような人間だってことになってしまう……いや、ダメだ! そんなこと考えちゃいけない! 仲間を信じないでどうするんだ)

「あーあ。そんな絶望した顔しちゃって。キミ達の希望ってその程度だったんだね」

苗木「!」

舞園「この声は……」

狛枝「やあ! また逢ったね」

小泉「狛枝! アンタどうしてここに!」

狛枝「決まってるだろ? 苗木クン達を助けるためだよ!」

小泉「は?」

狛枝「写真に歪められた真実を見せて楽しいかい? まあ、楽しいだろうね。ボクも自分がやってみるところを想像するだけでワクワクしてくるよ」

小泉「ゆ、歪められた真実って何! アタシは写真に合成なんてしていない!」

狛枝「写真なんて連続する映像のたった一部分を切り抜いただけなんだよ? 撮り方によってはいくらでも歪められた解釈をすることが可能なんだよ」

45: 2013/10/14(月) 22:36:26.07 ID:FKNdkUlp0
狛枝「例えばこれ。舞園さんが世間にバレたらお先真っ暗な営業をしようとしている写真とかさ……」

舞園「そ、その写真は!」

狛枝「これ舞園さんが撮影してたドラマのワンシーンなんだよね。その証拠にほら、舞園さんが持ってた脚本を借りてきたよ……あった。このシーンだ……いたいけな少女を騙そうとするオッサンをこの後主人公が格好良く静止するんだね」

苗木「じゃあ、舞園さんは……」

狛枝「そう、清廉潔白。超高校級のアイドルが如何わしい営業なんてするわけないよ。せいぜい、お漏らししそうになるだけだ。苗木クンは小泉さんに騙されただけなんだ」

小泉「くっ! それじゃあ、響子ちゃんのはどう説明するの?」

狛枝「はあ……そんな単純なこと。見てよこの膝。さっきタクシーに轢かれて擦りむいちゃった」

苗木「話の流れと全く関係ないよね」

狛枝「関係あるんだよ……その時の乗客がこちらの方です」

BBA「あら、あの時のお嬢さん? あの時は助けてくれてありがとうねえ」

霧切「…………なるほど。あの時の写真を撮られたってわけね」

苗木「えっ」

狛枝「霧切さんはお婆さんを突き落したんじゃない。助けようと手を伸ばしただけなんだ! あ、お婆さんもう行っていいですよ」

51: 2013/10/14(月) 22:43:32.91 ID:FKNdkUlp0
小泉「な、なんで……ありえない。どうしてあの時のお婆さんを証人として連れてこられたの……」

狛枝「偶然だよ偶然。その代償に車に轢かれちゃったけど……」

小泉「でも、苗木が日寄子ちゃんにセクハラしたのは事実! これは曲げようがないよ!」

狛枝「確かに触ったの事実だろうけど、故意かどうかによって彼に対する印象が変わってくると思わない? ほら、これねボクが仕掛けた盗聴器」

小泉「はぁ!? 何でそんなものを……」

狛枝「再生するね」

『まさか日寄子ちゃんと戦わずして勝つなんてね。本人は真面目に戦おうとしてたはずなのに、幸運の偶然って恐ろしいね』

『本当ですわ。偶然であんなことになるって世間の男性から羨ましがられるんじゃないでしょうか』

小泉「ぐぬぬ」

狛枝「今のは小泉さんとソニアさんの声。どう考えても写真撮った本人が自分から偶然って認めてるよね?」

霧切「なるほど。どう見ても故意ではなく事故ね」

舞園「私は最初から信じてましたよ」

56: 2013/10/14(月) 22:49:48.70 ID:FKNdkUlp0
狛枝「苗木クンが捕まった後に2人が助けに来なかったのも来なかったんじゃなくて、来れなかっただけ……だって、キミ達苗木クンが入った後にすぐにロックをかけたでしょ?」

小泉「ロックはかけてないよ! ただ、軽く3回叩けって条件に反応しなかっただけ!……ハッ」

舞園「あ、私壁を思いっきり5回叩いちゃってました」

苗木「そうか……そういうことだったのか」

小泉「でも、響子ちゃんが苗木を実験台に罠を確かめようとしたのは事実だよ」

霧切「それは……ごめんなさい。言い訳するつもりはないわ」

苗木「それはもういいよ。例え、霧切さんに止められたとしてもボクはセレスさんを助けられる可能性に賭けてたと思う。だから、ボクは犠牲だとか実験台だとかになったとは全く思ってない」

狛枝「ほら、これで皆を疑う材料はなくなったよね。キミ達の希望を見せてくれないか!」

苗木「ありがとう……」ポチ

舞園「まさかあなたに助けられるなんて」ポチ

霧切「疑心暗鬼に陥ってのがバカみたいだったわね」ポチ

ソニア「そ、そんな……まさかの全員白!?」

狛枝「素晴らしいよ! 絶望の思惑を打ち砕くなんて流石は希望の皆だ! ……じゃあ、ボクはこれで失礼するよ。後はキミ達自身の手で希望を掴み取ってね」

58: 2013/10/14(月) 22:54:45.93 ID:FKNdkUlp0
・石丸 2F 階段前

石丸「破ァ!」ブン

辺古山「見切った!」シュ…ベシ

石丸「ぐおお!!」

辺古山「貴様の太刀筋は型通りの太刀筋だ。その分、動きが読みやすい」

石丸「まだだ……諦めるわけにはいかない!」

辺古山「貴様の太刀筋は既に全て見切っている。万一にも貴様に勝ち目はない!」

石丸「万一にも勝ち目がないだと……?なら、十万回でも百万回でも君に切りかかってみせるだけだ!」ブン

辺古山「数をこなせばいいという考えでは私には勝てん!」カキン

60: 2013/10/14(月) 22:59:59.19 ID:FKNdkUlp0
石丸「何故だ! 何故攻撃が当たらない! 君の剣はこんなにも型から外れた剣術なのに」

辺古山「私の剣は我流だ。読もうと思って読める動きではないぞ」

石丸「僕は希望を捨てないぞ!うおおおおお」

辺古山「貴様の剣は既に完成されている。完全に型通りの動きだからな。だからこそ、そこで成長が終わってしまっているのだ……私の剣を受けてみるがいい!」

辺古山(紫電一閃!)ベシィ

石丸「がっ……」

辺古山「いくら真剣ではない竹刀とはいえ、今の一撃で骨を損傷したはずだ。良くて骨折、運が悪ければ骨が砕け散ってるだろうな」

62: 2013/10/14(月) 23:05:12.14 ID:FKNdkUlp0
石丸「ま、まだだ」

辺古山「やめろ! それ以上立つな! 骨折した状態でまともに戦える訳がない! 貴様氏ぬぞ!」

石丸「くっ」 カラコロ

辺古山「竹刀すらまともに持てないではないか! 先ほども言った通り、私は貴様の命までは取るつもりはない」

石丸「君は本当に絶望なのか?」

辺古山「何?」

石丸「何らかの事情で絶望のフリをしているのではないか? 敵である僕をこんなに気遣うなんて不自然ではないか! 君は本当は絶望になど堕ちてないのではないのか!」

辺古山「バカなことを言うな!」

石丸「そうだな……例えば、絶望した友を救うために、自分から絶望の道に入ったとか……」

辺古山「それは……ふっ、そうだな。確かに私には貴様に対する甘さがあった」

辺古山(こいつの真面目な立ち居振る舞いがあの人を思い出させてしまう……そのため、無意識に殺害を躊躇ってしまったか)

辺古山「いいだろう! 貴様が望むのなら氏をくれてやる!」

63: 2013/10/14(月) 23:09:03.55 ID:FKNdkUlp0
・大神 2F コントロール室前

大神「せいや!」ガギン

左右田「無駄だって言っているのがわかんねーのか?」

大神「くっ」

左右田「鋼鉄の肉体に攻撃すればするほど、アンタの拳は傷つくんだぜ?」

大神「食らえ!」ブウォン


大神の渾身の蹴りがメカケンイチロウに命中する。


左右田「効かねえのがわかんねーのか! いい加減諦めろよ!」

大神「ハァハァ……」

左右田(各パーツの損傷はそれほど甚大ではない。いくら霊長類最強のオーガでも、バズーカを耐えるオレのメカには敵わねえようだな)

大神「まだまだ!!」

66: 2013/10/14(月) 23:12:41.62 ID:FKNdkUlp0
大神「まだまだ!!」

左右田「しつけーな! やれ! メカケンイチロウ!」

メカケンイチロウ「コーホー」ドゴォ

大神「ぐわあああああ!! だが、我は退かぬ!」ベキ


大神は攻撃をガードしつつ、反撃を試みる。


左右田「うわあ、今の音絶対自分にもダメージ食らったぜ。そうまでして、反撃するかよ普通」

大神「この身朽ち果てようとも、ケンイチロウの紛い物を倒してみせる!」

大神(勝機はある……だが、我の肉体が耐えられるかどうかはわからん。されど、やるしかない! 我が負ければ、誰がメカケンイチロウを止めらえると言うのだ……)

67: 2013/10/14(月) 23:16:12.59 ID:FKNdkUlp0
・桑田 2F 燃料保管庫

桑田「へへ! パワーアップした今なら図体のでけえテメー相手にも負ける気はしねーぜ!」

弐大「そう上手くいくかな?」

桑田「食らえ!」ブン

弐大「遅い!」ドゴォ

桑田「アポ……?」

弐大「どうやらアレの効力が少しずつではあるが切れているようじゃの」

桑田「な、な……」

弐大「そろそろお別れの時間か。寂しいのう」

桑田「ま、待ってくれよ!」

弐大「生き残りたければ、己を成長させ高みを目指してワシを越えろ! でなければ氏ね!」

桑田「う、うわあああ! 来るな! 来るんじゃねえ! 来るなアアアアアアア!」

69: 2013/10/14(月) 23:19:54.57 ID:FKNdkUlp0
・苗木 舞園 霧切 2F 隠し部屋

苗木「本当に解放されたね」ジャラ

霧切「これで形勢逆転のようね」

舞園「絶望なんかに私達の絆は断ち切れませんよ!」

ソニア「あらあら、さっきまで絶望した表情してたのに調子づいてしまいましたね」

小泉「これはただの余興だったから別にいいよ。本番はこれからだから」スチャ

舞園「ただの負け惜しみですか?」

ソニア「負け惜しみかどうかは、これからわかりますよ」スチャ

苗木(何でヘッドホンを付けたんだろう)

澪田「はーい! 注目! 今から唯吹がムーンサルトでステージに上がるっすよ!」ピョーン

苗木「すご、なんてジャンプ力!」

霧切「ステージには上るための階段がない……どうやら、ステージに上がるには今みたいに高いジャンプをしなければならないようね」

澪田「やっほー! おはようございまむ! 今日は唯吹が絶望に至る曲を工場内に流すっすよー!」

苗木「絶望に至る曲? たかが音楽で絶望なんてするわけないじゃないか」

澪田「チッチッチ。誠ちゃんは甘いっすね。いくっすよ! ミュージックスタート!」
http://www.youtube.com/watch?v=z3x5sedptNY

73: 2013/10/14(月) 23:25:17.61 ID:FKNdkUlp0
苗木「うわああああああ!! な、なんだこれは……」

舞園「耳があああ耳があああああああ」

霧切「もうダメ……終わりよ……世界は絶望に包まれるんだわ」


桑田「うぎゃあああ! な、なんだこの絶望的なノイズは……」

弐大「始まったようじゃのう」

桑田「お、終わりだ……パワーアップの効果は切れかけるし、絶望しかないんだ……」


石丸「うおおおお!! 誰か!!! この風紀の乱れる雑音を止めろおおおおお!!」

辺古山「心を乱したか。そんな状況で私の刃を止めることなど不可能!」

石丸「希望が……僕の中の希望が消えていく……」


大神「ぬおおおおお!! い、いくら我とて耳まで鍛えられん……こんな呪詛をかけるなど卑怯だぞ……」

左右田「霊長類最強のオーガも絶望には勝てねえみてーだな」

大神「ケンイチロウ……みんな……済まない……我は志半ばで倒れる運命なのか」

76: 2013/10/14(月) 23:30:27.35 ID:FKNdkUlp0
カムクラ「な、な、何なんだこの絶望的にツマラナイ不快な音波は!」

カムクラ「ぐおおおお!! だ、誰か止めてくれ!」

戦刃「ど、どういうこと? 何が起きてるの?」

十神「戦刃……! 貴様は平気なのか? こんな夏場の蚊以上に鬱陶しい低俗な音を聞いても絶望しないというのか」

戦刃「よくわかんないけど、私は別に平気みたい」

カムクラ(な、なんてことだ! 軽音部の耳のせいで余計に音を拾ってしまう! ま、まさか! 全ての才能を持つ僕にこんな弱点があったとは!!)

カムクラ「ぐわああああ!! き、消えていく……希望である僕の存在が絶望に消されていくううう」

79: 2013/10/14(月) 23:33:51.80 ID:FKNdkUlp0
苗木「な、なんとかして止めないと……」

小泉「無駄だよ。唯吹ちゃんの曲で、絶望して精神が参っている状態でステージに上れる程のジャンプ力を出せるわけがない」

ソニア「澪田さんを止めるためにはステージに上がらなくてはなりませんからね」

霧切「…………」

舞園「…………」

ソニア「霧切さんと舞園さんは既に絶望しきった表情ですのに、苗木さんの目はまだ希望を秘めてますね。正直言って鬱陶しいです」

小泉「早く絶望すれば楽になれるのに」

苗木「諦めちゃダメだ! 二人共! なんとかして曲を止めないと! この曲は工場全体に流れている! 止めないと皆が絶望してしまう!」

霧切「…………」

舞園「…………」

苗木「ど、どうして! どうして何の反応もしてくれないんだ!」

苗木(そうか! 曲が煩くて僕の声が聞こえないんだ! なんでこんな糞みたいな曲にボク達のセリフが掻き消されないといけないんだ! これじゃあ、二人を励ますことができない)

84: 2013/10/14(月) 23:37:48.11 ID:FKNdkUlp0
ヴヴヴ


苗木(な、何だ? 振動? アルターエゴか!)

『苗木君へ
 文字なら相手の雑音に遮られないから、文字で伝えるね。
 音を打ち消す音っていうのがあるんだ。それを、自動的に発生させるヘッドホンがあるよ。
 そのヘッドホンを耳に付ければ、不快な音をシャットアウトできるよ。』


苗木(雑音を自動的に打ち消すヘッドホン……ノイズキャンセリングヘッドホンか!)

苗木(で、でもヘッドホンなんて……あ、そういえば地下室で拾ったやつがあった!)スチャ

苗木「やった! 聞こえない! 雑音が全く聞こえないぞ! たまたま拾ったヘッドホンがノイズキャンセリング仕様だなんてツイてた!」

小泉「あ! あのヘッドホンは日寄子ちゃんが落としたって言ってたやつじゃない?」

ソニア「左右田さんがわたくし達に作ってくれた不快な雑音だけを打ち消して、快感を感じる音だけを増強させるっていうあの……」

小泉「唯吹ちゃんリサイタルの影響をアタシ達が受けないための物を何で苗木が持ってるの!」

苗木「なるほど……確かに雑音だけ聞こえない……二人の会話は聞こえるぞ!」

88: 2013/10/14(月) 23:42:30.03 ID:FKNdkUlp0
小泉「な、何なのよ! さっきより希望に満ちた目をしてるじゃない!」

ソニア「きっと物凄い絶望から解放されたことにより、内に秘めた希望が高まっているのですわ!」

小泉「あ、あの目はまさしき超高校級の……」

苗木「希望はこんな雑音なんかじゃ潰せない! 今からそれを証明するよ!」

苗木(舞園さん。キミが教えてくれたスキルを使わせてもらうよ!)

澪田「いえーい! この曲最高っす! アンコールいっちゃってもいいっすか?」

苗木「それは違うよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!(美声)」

小泉「ちょ……急に叫んで何なのよ! うるさいじゃない」

ソニア「無駄に美声な分ヘッドホンの効果で余計に増強されてしまいますわー」

澪田「!!!!」キーン

澪田「あぶあぶあぶ耳があああああ唯吹の耳がああああ!!」

93: 2013/10/14(月) 23:45:26.27 ID:FKNdkUlp0
小泉「唯吹ちゃんは超高校級の軽音部の耳を持ってるから、アタシ達よりも耳に受けるダメージが大きい……!」

ソニア「しかもヘッドホンで増強された叫び声(美声)を……なんてことでしょう」

澪田「」

霧切「お、音が止まった?」

舞園「な、何が起きたのでしょう」

苗木(ステージの上のモニターに監視カメラの映像が流れている……みんな大分絶望しているみたいだ)

苗木「希望は前に進むんだ! 奴が工場中に流していたスピーカーを逆に利用してやる! みんなに希望を伝染させるんだ!」

94: 2013/10/14(月) 23:47:39.87 ID:FKNdkUlp0
・大神 2F コントロール室前

苗木『大神さん! キミがこんなところで倒れたら、ケンイチロウさんとの再戦はどうなるんだ? 負けたまま終わってもいいの?』

大神「苗木……?」

苗木『しっかりしてよ! 超高校級の格闘家のキミが負けちゃダメなんだよ! 今回みたいに戦闘が重視される場面でキミが皆を引っ張っていかないんでどうするんだ!』

大神「そうだったな……我には我の使命がある。諦めるわけにはいかない! 苗木よ、お陰で目が覚めた! 我は決して負けない」

左右田「強がりはよせ! オメーの体はもうズタボロなんだよ!」

大神「どうかな? 既に我の勝利が決している……」

左右田「うっせうっせ! メカケンイチロウ! オーガに止めを刺せ!」

メカケンイチロウ「ピーガー」

大神「よせ。もう勝負はついている」

左右田「絶望して氏ね!」

96: 2013/10/14(月) 23:49:37.01 ID:FKNdkUlp0
大神「貴様はもう……壊れてる」

ガラガラガシャーン

左右田「は?」


メカケンイチロウが攻撃を仕掛けようとした瞬間、機体がバラバラに砕け散り、物言わぬスクラップと化した。


左右田「ぎゃああああああ!!! う、ウソだろオイ!! な、何故だ! 全体の損傷箇所もそんなになかったはずじゃ」

大神「痛みを知らない機械の体が仇になったようだな。我は攻撃の時に人体の支えになる部分……すなわち急所を重点的に攻撃をした」

大神「一つ一つの箇所は小さな損傷でも、放置し、動き回り、傷を庇うことをしなければ次第に損傷は相乗的に大きくなる」

大神「そして、攻撃の瞬間! その時、体に負担が大きくかかる! 負担の許容量が限度を超えた時、体は朽ち果てる! 痛みさえあれば気づけたことだ! 痛みを知ってる人間なら、このような事態にはならん! 所詮機械は機械でしかない!」

左右田「バ、バカな……無敵の機械の体だったのに……」

大神「たわけ! 何が無敵なものか! 所詮、痛みを知らない者の拳など我には届かん!」

左右田「ハ、ハハ……終わりだ。絶望だ……どうした? オレを殺せよ……オレの作り上げた最高傑作が壊れたんだ。これ以上の絶望はない」

大神「命は取らん……武術の心得がない者を殴っても我の格闘家としての魂に傷を付けるだけだ。立ち去れ!」

98: 2013/10/14(月) 23:53:07.26 ID:FKNdkUlp0
・石丸 2F 階段前

苗木『石丸クン! キミは希望ヶ峰学園の風紀を守るって言ってたよね? キミがここで氏んだら、誰が希望ヶ峰の風紀を守るんだ! 絶望を取り締まらないで何が風紀委員だ!』

石丸「絶望……」

苗木『キミなら絶望した人も更生させることが出来るはずだよ! それを出来る力を持ってるからこそ、超高校級の風紀委員なんでしょ?』

石丸「そうだ……僕は諦めるわけにはいかない! 不二咲クンのためにも! 兄弟のためにも! そして、皆のためにも!」

辺古山「目に希望が宿ったか。だが、そんな勢いだけの希望で私に勝てるとでも?」

石丸(確かに……何も考えずに攻撃して勝てる相手ではない……何か手はないものか)


『兄弟よぉ……オメーは難しく考えすぎなんだよ。何でもかんでも型にはめようとしてさ。もっと適当にやってもいいんじゃねえのか?』


石丸(兄弟……? 何故だ。何故この場で兄弟の言葉が重くのしかかる)


『おうよ! 型破りなことをしてこそいっぱしの男ってモンだろ?』


石丸(型破りか……やってみるぜ兄弟!)

石田「うおおおおおおお!!!!」

辺古山「な、なんだこいつ! いきなり変身した!?」

102: 2013/10/14(月) 23:55:22.40 ID:FKNdkUlp0
石田「石丸の体に大和田の魂が宿り、石田ってとこか! オレ達二人の魂を併せれば無敵だぜ!」

辺古山「な、何をわけのわからないことを!」

石田「行くぞ! うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

辺古山「バ、バカな! 骨折してまともに竹刀も持てないはずなのに……!」

辺古山(だが、こいつの攻撃は既に見切ってある。型通りの剣術なんて……)

辺古山(ち、違う! この型は今までの型じゃない!)

石田「食らえ!!」ブフォン ベキィ

辺古山「ぬあああああああああああああ」

辺古山(バ、バカな! 私が対応しきれなかっただと……完全に不意をつかれた……)ドサ

石田「ぜーはー……や、やった……やってやったぜ……兄弟……だが、今ので力を使い果たした……後は…………頼んだ……ぜ……」ドサ

石丸「」シュウゥウ

石丸:リタイア

106: 2013/10/14(月) 23:58:27.64 ID:FKNdkUlp0
・桑田 2F 燃料保管庫

苗木『桑田クン! キミは将来スターになるって言ってたよね? スターならピンチくらい乗り越えられるはずだよ! カッコよく逆転ホームラン決めてみせてよ! キミなら出来るはずだよ』

桑田「へっ……苗木。わかってんじゃねえか!」

弐大「応?」

桑田「こんなむさいオッサンにやられたんじゃあ、スターなんて言えねえよな……ここはオレが華々しく勝ってやるぜ!」

弐大「バカなことを! 今こうしている間にもどんどんアレの効力が失われているというのに」

桑田「その前にテメーを倒すだけだ! こいつでな!」

弐大「ボールか……アホの一つ覚えみたいに投球ばかり使いおって」

桑田「うるせえ! パワーアップしたオレの投球を受けてみやがれっつんだ!」シュイン

弐大「ぐおおおおおお!!!」

桑田「やった命中したぜ!」

弐大「何のこれしき……墳ッ!」バイン


弐大は桑田が投げたボールを筋肉で受け止め、気合いで跳ね返した。


弐大「自分の投げたボールでも食らっとけ」

108: 2013/10/15(火) 00:02:00.21 ID:a7GyuMfU0
桑田「オッサン……オレを誰だと思ってる?」


桑田はバットを構え、ホームラン予告のポーズを取る。


弐大「何?」

桑田「テメーがボールを跳ね返すなら、オレもバットで打ち返す! 何度でもだ!」カキン

弐大「無駄じゃ! ワシにその程度の威力のボールなど効かぬ!」

桑田「どうかな?」

弐大(ん? このコースは……まさか!! や、やばい! このままでは……)

弐大「ぐほえ……」ギュルギュル

桑田「さっき、ボール当てた箇所と全く同じところに打ち返してやったぜ。流石に同じ箇所を二連続で食らったら流石のおっさんも無事じゃすまねーだろ?」

弐大「苦ッ! バ、バカな……簡単な理屈だが、正確に同じ箇所に打ち返すバッティング技術を持っていたとは……流石は超高校級の野球選手……」

桑田「ったりめーだろ? オレは桑田怜恩! 将来のビッグスターだ! 覚えとけ!」

弐大「そうか……お主の名覚えとくぞ……」ガク

桑田「っべー! マジで勝っちまったよ! っつーかオレマジでデビルヤバくね? 絶望側で最強クラスの敵を立て続けに倒してね? オレの時代到来ってか? 舞園ちゃんが見てたらぜってー俺に惚れる(確信)」

桑田「つっても……もうアレの力は完全に切れちまったみたいだな……ここからはいつも通りのオレで戦わないといけないのか……」

111: 2013/10/15(火) 00:05:46.93 ID:a7GyuMfU0
・十神 腐川 戦刃 1F 梱包室

十神「やっと雑音が鳴りやんだか」

カムクラ「ぐおおおお消える! 消える! 僕が消える!!」

十神「あいつはまだ怯んでいる! チャンスだ戦刃!」

戦刃「了解」

カムクラ「く、クソ!!」ベシ

戦刃(怯んでいてもなお、私の攻撃に対応できるなんてこの人やっぱり強い)バシバシ

十神「そろそろいいか。おい起きろ!」ペチ

ジェノ「はぅ!」

十神「戦刃を手伝ってやれ」

ジェノ「おっけー白夜様!」

カムクラ「な、何ィ!」

十神「腐川の人格の方は血が苦手で見るだけで気絶をしてしまう。カムクラ! 貴様の吐血した血を見て腐川は気絶したんだ! 気絶から目覚めればジェノサイダーとの人格が自動的に入れ替わるってわけだ」

ジェノ「意外と家庭的な殺人鬼 ジェノサイダー翔です」

カムクラ(アイツのハサミによる攻撃はまずい。なんとしてでも防がなければ)

113: 2013/10/15(火) 00:07:51.93 ID:a7GyuMfU0
カムクラ「オラァ!」ビシ

ジェノ「うぐ……」

カムクラ「指圧師の才能くらい持ってます。人を一瞬にして気絶させるツボを付きました。これで、この殺人鬼も元通りに……」

戦刃「よそ見した……」ドグォオオ


ジェノサイダー翔に一瞬気を取られた隙を付き、戦刃は全力の蹴りをカムクラへと食らわせた


カムクラ「プギャア」

戦刃「…………今の一撃で倒せなかったら、私はもう知らない」

カムクラ「」ピクピク

十神「どうやら、勝てたようだな」

戦刃「みたい……」

116: 2013/10/15(火) 00:10:58.07 ID:a7GyuMfU0
カムクラ?「んん……」

戦刃「!!」

カムクラ?「ここはどこだ……俺は今まで何をしてたんだ」

戦刃「まだ生きてたの!?」

十神「待て戦刃! 様子がおかしい」

カムクラ?「いてて……なんでかわからないけど体中が痛い」

十神「カムクラ! 貴様どうしたというのだ!」

カムクラ?「カムクラ? もしかして俺のことか? 俺はカムクラなんて奴知らねーぞ……俺の名前は……」

日向「俺の名前は日向創。よろしくな」

119: 2013/10/15(火) 00:14:53.37 ID:a7GyuMfU0
・苗木 舞園 霧切 2F 隠し部屋

小泉「そ、そんな嘘だよね? 左右田の作ったメカやペコちゃんや弐大がやられるなんて……!」

ソニア「あ、ありえませんわ! こ、こんなのって……冗談はよしこちゃんですわ」

霧切「苗木君。行きましょう。こんなところにずっといるメリットはないわ」

苗木「そうだね。皆はもう大丈夫みたいだし」

霧切「セレスさんは適当にその辺の台車に乗せましょう。そして適当な場所に放っておけばいいわ」

苗木「適当って……」

霧切「うっ……」

苗木「霧切さん!? ……凄い熱」

霧切「へ、平気よ……これくらい」

苗木「ダメだよ無理しちゃ。まだあの蛇の毒のせいで本調子じゃないんだよ」

舞園「そうですよ。無理しないで後は私と苗木君に任せてください!」

霧切「ごめんなさい苗木君……最後まで付いていけなくて」

苗木「気にしなくていいよ。ここまで来たら、後は不二咲さんを連れて帰るだけなんだから」

霧切:リタイア

122: 2013/10/15(火) 00:19:06.64 ID:a7GyuMfU0
・大和田 不二咲 3F 監禁室

大和田(クソ! あいつが不二咲に拳銃突きつけてるからこっちから攻撃することができねえ)

九頭龍「なあ、そろそろ心の準備はできたか? 引き金引くぞ?」カチャ


九頭龍が引き金に手をかけた瞬間、野球ボールが飛んできて彼の手の甲に命中した。

九頭龍が怯んだ隙を見て、不二咲は大和田の元に駆け寄る。


九頭龍「って……な、ナニモンだ!」カラコロ

桑田「ういーっす! 助けに来たぜ。大和田! 不二咲!」

大和田「桑田!」

不二咲「桑田君!」

大和田「お、おい! 桑田! 兄弟は無事か? 無事なのか?」

桑田「イインチョはひでえ怪我負っちまったみたいだけどとりあえず生きてるぜ。多分骨が何本かイッちまってる。苗木と舞園ちゃんと合流したから心配ねーと思うけど」

大和田「そうか。生きてんのか!! あ、いや、オレは兄弟信じてたし、心配なんてしてねーけどよ」

124: 2013/10/15(火) 00:22:59.28 ID:a7GyuMfU0
九頭龍「テメーら調子乗ってんじゃねえ! 氏ね!」バン

不二咲「えっ」

大和田「不二咲! 危ない!! ……ぐ」ドン

不二咲「大和田君!!」

桑田「お、おい! 大和田! お前不二咲を庇って……」

大和田「がはっ……」

九頭龍「チッ……しくじったか」

不二咲「そ、そんな……大和田君……僕のせいで……」

桑田「テメー! ゼッテェー許さねえからな!!」

大和田「チッ……んなオレの仇なんてどうでもいいから桑田……オメーは不二咲連れてさっさと逃げろ」

桑田「バ、バカ言ってんじゃねえ! んなこと出来るかっつーの!」

大和田「は、早くしやがれ……オレにも男の意地があんだよ……命張ってでも不二咲助けるって決めた以上は、何が何でも助けねえといけねんだ!」

桑田「チッ……す、すまねえ大和田! 行くぞ不二咲……」

不二咲「や、やだあああ!! 大和田君!!」ジタバタ

大和田「けっ……これでいいんだ……これで……」ガク

126: 2013/10/15(火) 00:27:02.31 ID:a7GyuMfU0
893「坊ちゃん。こいつどうしましょうか?」

九頭龍「つまんねえ……」

893「は?」

九頭龍「こいつ頃しても、こいつは大事な弟分を守り切った希望を抱いて氏んでいく……そんな奴頃す必要なんてねーよ……止めなんて刺す必要なんざねえ」

893「では、あの不二咲連れて逃げた顎鬚を追うってことですかい?」

九頭龍「やめとけ……もうオレ達の出る幕じゃなさそうだ……」

893「はあ……」

九頭龍「左右田から連絡が来た。あの人の分身を起動させるとよ」

893「ま、まさか!!」

九頭龍「後はあの人に任せればいいだけのこと。オレ達は負傷した絶望の仲間を連れてとんずらするぞ」

128: 2013/10/15(火) 00:29:53.15 ID:a7GyuMfU0
・苗木 舞園 桑田 不二咲 2F 階段前

桑田「おい! 舞園ちゃん! 苗木! やべーぞ! 大和田が撃たれちまった」

不二咲「は、離して桑田くぅん! 大和田君が!」ジタバタ

苗木「なんだって! 助けにいかないと!」

桑田「いや、苗木と舞園ちゃんは不二咲連れて逃げてくれ」

苗木「は?」

桑田「オレが助けに行く! 今ならまだ間に合うはずだ」

苗木「一人で行くなんて無茶だよ! ボクも行く!」

桑田「お前まで来たら、舞園ちゃんと不二咲と負傷した石丸はどうすんだ?」

苗木「そ、それは……」

桑田「いいから、オレに任せろって。な?」

桑田(決まった。今ので絶対舞園ちゃんオレに惚れたぜ)チラッ

舞園「苗木君……私、正直言って怖いです……でも、苗木君と一緒にいると安心しますから、離れないで下さい」ウルウル

苗木「う……しょ、しょうがないな」

桑田「」

133: 2013/10/15(火) 00:33:21.57 ID:a7GyuMfU0
桑田「と、とにかくオレは行くからな! 苗木はとっとと帰れ! アホ!」

苗木「え……ボクなんかした!?」

大神「待て桑田……我も共に戦う」

苗木「大神さん! す、すごい傷……拳の皮が完全にめくれちゃってるじゃないか」

大神「これくらいプロテイン飲めば三日程度で治る。些細なことだ」

桑田「ありえねー」

不二咲「プロテインってそんなに凄いんだ……」

舞園「とにかく大神さんがいれば安心ですね。行きましょう苗木君。不二咲さん」

桑田「え? オレは?」

136: 2013/10/15(火) 00:39:55.41 ID:a7GyuMfU0
・十神 戦刃 1F 梱包室

十神「日向と言ったな……貴様一体何者だ? ジェノサイダーと同じ多重人格か?」

日向「多重人格って何のことだ……俺にはさっぱりだ」

戦刃「でも、この人はさっきのカムクラって人と雰囲気が違う。きっと本当に別人なんだと思う」

日向「んーなんか妙に頭が重いな……って、なんだこの髪の長さは!」

十神「そこにハサミが転がってるだろ。それで切っとけ」

日向「お、おう。よくわかんないけど」ジャキジャキ

戦刃(それ、ジェノサイダーのマイハサミだよね? 殺人に使われたハサミで髪切るなんて……)ヒソヒソ

十神(あえて教えてやる必要もなかろう。世の中知らない方がいいことはある)ヒソヒソ

日向「よし、いつもの髪型に戻った。何でか知らないけど、自分で切った割にはカリスマ美容師顔負けの出来栄えだな」

十神「自画自賛か。おめでたいやつだ」

戦刃(十神君も人のこと言えないと思う)

138: 2013/10/15(火) 00:44:03.54 ID:a7GyuMfU0
十神「とにかく、カムクラが無害そうな奴に人格が変わったんだ。俺達の勝利ってことでいいだろう。先を急ぐぞ」

戦刃「ごめん……私はこれ以上戦えない」

十神「そうか。今頃苗木も苦戦してるだろうが、貴様には関係……」

ピュー

十神「光の速さで動いただと!」

日向「なあ、一体何が起きてるんだ? 俺にも教えてくれよ」

十神「知るか。自分で考えろ」

日向「じゃあ、お前に付いていくぞ」

十神「何故そうなる」

日向「だって、俺ここがどこかわかんないし、家に帰れないんだよ! 何でも手伝うから後で家まで送ってくれよ」

十神「はぁ……愚民が。好きにしろ……腐川は置いていくか。ジェノサイダーの状態で気絶したってことは、次目覚める時は戦闘に役に立たん方だからな」

140: 2013/10/15(火) 00:47:52.90 ID:a7GyuMfU0
・コントロール室 左右田

江ノ島アルター『え? 何々? やっと私の出番なの? 待ちくたびれて氏にそうだったんですけど』

左右田「絶望側の最終兵器……江ノ島アルターエゴ搭載のモノケモノ(人型)! これが正真正銘の希望との最終決戦だ!」

左右田「ケケケ、オーガの奴……オレに止めを刺さなかったことを後悔させてやる!」

江ノ島アルター『ねえ、絶望ある? 絶望させていいの?』

左右田「ああ。好きなだけ絶望していいぞ」

江ノ島アルター『うぷぷぷぷ。兵器を搭載したボディなんて生身の体よりいっぱい絶望振りまけそうだもんね。楽しみ楽しみ』

江ノ島アルター『そうそう。一応、敵もウチのクラスメイトなわけだし、私の顔がバレたらきまずいじゃん? だから、顔は隠すプレイバシー保護仕様にしてよ』

左右田「あーはいはい。わかったわかった」

142: 2013/10/15(火) 00:51:16.97 ID:a7GyuMfU0
・大神 桑田 3F 監禁室

893「ひ、ひい! た、助けてくれ! バケモノだ!」

九頭龍「バカ! 怯むんじゃねえ!」

大神「うおおお!!!」グシャ ベキ ゴキ

桑田「ちぇ……殆ど大神の無双状態だけど、オレだってバットで応戦してやるもんねーだ!」ガキン

九頭龍「なんてことだ……オレの組でも精鋭を集めたつもりなのにこんなのって……」

大神「大人しく投降しろ! さすれば命までは取らん」

九頭龍「氏ぬのが怖くて極道なんてやってられるか!」

大神「そうか……では、うおおおおおお!!!」ゴオオオオオ

九頭龍「ゴメンナサイ。降参します。許して下さい」

大神「フッ。貴様が賢明なやつで助かった。我も無益な殺生はしたくないからな」

桑田「あ、ありえねー……オレまでビビっちまったぜ」

九頭龍(ドサクサに紛れて構成員を何人か逃がした……アイツらが負傷した仲間を回収してくれるだろう……)

159: 2013/10/15(火) 04:22:12.27 ID:a7GyuMfU0
…寝ちゃった

160: 2013/10/15(火) 04:23:15.38 ID:a7GyuMfU0
・苗木 舞園 不二咲 2F 休憩室前

苗木「やっと休憩室前までこれた……ここまで来れば、もうすぐ1Fへ降りる階段が見えてくるはずだ」

舞園「あ、あの……苗木君。石丸君を背負ってますけど重くないですか?」

苗木「はっきり言って重いけど……見捨てるわけにはいかないからね」

石丸「すまない……苗木くん……」


ガショーンガショーン


不二咲「え? な、何の音?」


ガショーンガショーンガショーンガショーン


舞園「何か来ます!」

江ノ島アルター『やっほー! 逃がさないよ』

苗木「げ……また新手の敵!? しかも巨大メカだなんて」

舞園「そ、そんな……」

江ノ島アルター『いいね。その絶望した表情! サイッコーじゃない!』

162: 2013/10/15(火) 04:35:25.92 ID:a7GyuMfU0
苗木(何か対抗策を考えないと……ここまで来たんだ! 後は皆で脱出するだけで済むんだ! ボクは諦めない!)

江ノ島アルター『気に入らないね。こんな状況でも希望を捨ててない目をしてる』

???「苗木クン!! 会いたかったよ!」

苗木「え……キミは確か狛枝クンだっけ? 絶望の人達がそう呼んでた……」

狛枝「お。嬉しいね。ボクの名前知っててくれたんだ。あまりにも嬉しく漏らしちゃいそうだよ」

苗木(なにこの人……)

狛枝「さっき、クソみたいな超絶望級の雑音が流れた後の苗木クンの希望にボクは感激したよ! もう、苗木クンのせいでボクのパンツがドロドロのカピカピになっちゃった」

不二咲(なんか妙にイカ臭いと思ったら……)

狛枝「苗木クン! ボクはキミの力になりたい! そのためにもう一度戻ってきたんだ」

江ノ島アルター『ごちゃごちゃとうぜーんだよ! とっとと消え去れ!』

狛枝「それは違うよぉ……消えるのはキミだよ!」

狛枝「皆伏せて」カチ


狛枝がスイッチを押した瞬間に、モノケモノが爆発をした。

164: 2013/10/15(火) 04:46:05.06 ID:a7GyuMfU0
苗木(ば、爆発!?)

江ノ島アルター『な、何だと!』

狛枝「実はスパイ工作として、このモノケモノにこっそり爆弾を仕掛けてたんだよね」

江ノ島アルター『小癪な真似を……! ニンゲン風情がああああぁぁああああ!!!』

狛枝「アレ……今の爆発にも耐えるの? 参ったねこりゃ……もっと強い攻撃じゃないと倒せないみたい」

江ノ島アルター(チッ今の爆発でメインカメラが故障したか……だが、私様の目はメインカメラだけではない! 工場内に設置された監視カメラの映像を受信することができる!)

狛枝「ねえ。苗木クン。キミはこの状況をどうやって打開する? ボクには絶望しか見えないんだけど……」

苗木「そう言われても」

舞園「あ、あの苗木君……あのモノケモノさんが考えていることはがなんとなくわかりました……あのモノケモノさんは……」ゴニョゴニョ

苗木「そ、それ本当!?」

舞園「ええ。本当です。エスパーですから」

165: 2013/10/15(火) 04:48:33.62 ID:a7GyuMfU0
苗木「それなら、手はある! 希望を失っちゃダメだ! アルターエゴ! 工場内のマップアプリを起動して!」

アルターエゴ『任せて』

狛枝「流石、苗木クン! キミの希望は底なしだね! 素晴らしいよ!」

江ノ島アルター『は? 今更マップ見て何になるわけ?』

苗木「狛枝クン……負傷した皆の救出をお願い……」

狛枝「何するつもりなの?」

苗木「ボクが決着つけてくる!」タッ

江ノ島アルター『負傷した仲間を置いて自分だけ逃げるつもりなんてずるいんだー。そういうずるい子には私がお・し・お・き・しちゃうぞ☆』

苗木(追って来い……ボクの作戦がうまくいえばこのメカを倒せるはず!)

167: 2013/10/15(火) 04:54:56.36 ID:a7GyuMfU0
・苗木 2F 燃料保管庫

苗木「はぁはぁ……なんとか燃料保管庫に辿り着いた。ドアが無理矢理壊された形跡があるけど、何があったんだ?」

江ノ島アルター『燃料保管庫? フッ……人間の浅知恵なんて読めている! 私様に燃料をぶっかけて、もう一度爆弾を仕込み爆発の威力を底上げする作戦か!』

江ノ島アルター『そんなの甘いぜ! オイラに通用しない!』

苗木「アルターエゴ……ロックを解除して」

アルターエゴ『え……使うの? 悪用しちゃダメってご主人タマが……』

苗木「悪用じゃない! 皆を守るために使うんだ!」

アルターエゴ『わかったよ……そこまで言うなら……』カシャ

苗木「アプリ起動!」スッ

江ノ島アルター『は? アプリ?』

苗木「葉隠クンの頭上に人工衛星を落とすアプリだよ!」

江ノ島アルター『葉隠……? ああ、あの逃げ出した奴だな! そんなやつの頭上に人工衛星落として何になる』

苗木「やっぱり気づいてないんだね……葉隠クンは監視カメラがない地下室で寝ているんだ! 逃げ出してなんかいない!」

江ノ島アルター『な…な、なんだと!! バカな! 私様の分析能力では葉隠は臆病者という情報と監視カメラに映ってない情報から導き出した結論が葉隠の逃亡なのに!』

苗木「その結論が間違っているんだ! 葉隠クンは地下室……つまり、この燃料保管庫の真下にあるところに寝ているんだ!」

169: 2013/10/15(火) 04:59:45.74 ID:a7GyuMfU0
江ノ島アルター『この真下だと……バカな! 地下にいる人間に向かって人工衛星を落としたら地上のオレ達は……』

苗木「確実に巻き込まれるだろうね」

江ノ島アルター『この私様を出し抜くなんて……許さんぞニンゲンめ!』

苗木「…………あれ? 人工衛星中々落ちてこないよ」

アルターエゴ『今ハッキング中だから、もうしばらく待っててね』

苗木「」

江ノ島アルター『フン。とんだ愚者がいたものだな。 ニンゲン風情が知恵を働かせたかと思いきや、軌道から墜落までのタイムラグを計算に入れてないとは』

江ノ島アルター『それじゃお仕置きタイムいっくねー』



戦刃「させない!」タッ

江ノ島アルター『チィ! 邪魔が入ったか』

苗木「戦刃さん!」

戦刃「苗木君は殺させない。私が時間稼ぎをする……」

170: 2013/10/15(火) 05:04:14.24 ID:a7GyuMfU0
桑田「苗木! 最初の方に言った通り、借りを返しに来たぜ!」

十神「愚民が……仕方ない。この俺が苗木の失態の尻ぬぐいをしてやろう」

苗木「桑田クン! 十神クン! 助けにきてくれたんだね」

桑田「大神は皆を運んで脱出させるのに忙しいから、オレ達しか来れなかったけど我慢してくれ。主に最初にリタイアしたブーデーのせいだけどな。アイツは大神にしか運べねえ」

日向「おーい! 俺を忘れてんじゃないだろうなー!」

苗木「誰……?」


江ノ島アルター『雑魚キャラが何人集まってきたところで私様には勝てない』ブン

戦刃「危ない! みんな避けて」タッ

バコォ

桑田「うお! 地面が抉れた」

十神「パンチ一発でこれだけのパワーか。恐ろしい馬力だな」

日向「マジかよ……こんなバケモノに勝てるのかよ」

172: 2013/10/15(火) 05:14:47.60 ID:a7GyuMfU0
桑田「へ。腕の射程外から遠距離で攻撃すりゃいいんだろ? オレの出番だ! 唸れオレの剛腕! うおりゃ!!」ブン

江ノ島アルター『桑田怜恩……貴様の投げる玉の特徴は既にインプット済み……叩き落とすことは容易い』ベシィ

桑田「な、な、な、な、なんだとおおおおお!!」

江ノ島アルター『超高校級の分析能力を持つ私様なら、貴様等の行動を全て先読みすることができる!』

江ノ島アルター『とはいえ、偶然クリーンヒットする可能性もなくはない……最初に桑田! お前から始末してやる!』

桑田「お、おい……嘘だろ……」

戦刃「させない!」カチャ


戦刃は銃を構える。


江ノ島アルター『ちっ……銃か……九頭龍組の構成員から奪っていたのか』

桑田「銃……? バ、バカ! 戦刃! 撃つな!」

戦刃「えっ」カチャ


戦刃が銃を撃った瞬間、爆発を起こした。

173: 2013/10/15(火) 05:17:22.84 ID:a7GyuMfU0
桑田「がっ……さっき、オレが揮発性の燃料を撒いたせいで……」

戦刃「み、みんな……ごめん」

十神「俺がこんな間抜けな目にあうなんて」

苗木「みんな! 大丈夫!?」

江ノ島アルター『うぷぷぷぷ。本当に残念な人。この部屋では、銃が封じられていることに気付かないなんて。お陰で味方を撒き込んじゃったね』

日向「おいおい。どうなってるんだ」

江ノ島アルター『ん? どうやら爆発から逃れられた幸運な人がここにもいたようだね』

江ノ島アルター『でも、無駄だよ! オマエラはこのままボクに殺されて氏ぬ運命なのさ ぶひゃひゃひゃひゃ』

日向「十神模擬刀を貸せ!」バッ

十神「お、おい! 何をするつもりだ!」

日向「その言葉斬らせてもらう!」ジャキ


日向の一撃はモノケモノの鋼鉄のボディに弾かれた。


日向「うわああ」

江ノ島アルター『あなたバカですか? 自分の尻尾を追いかけ回している犬くらいおバカさんですね。そんな切れ味の攻撃でこの鋼鉄のボディに傷を付けられるわけないじゃないですか』

175: 2013/10/15(火) 05:29:16.52 ID:a7GyuMfU0
日向「おかしいな。行けると思ったのに」

十神「むしろ何で模擬刀で行けると思った」

日向「うーん……記憶が曖昧だけどあらゆる才能を集結させた手術を受けたはずなんだけどな……使いこなせそうな奴とそうじゃない奴があるのか?」

江ノ島アルター(違う。こいつの才能はカムクラの存在が消えたことにより、徐々に才能が失われているんだ。カムクラのままここに来られたら正直、勝ち目はなかったかもね)

十神(チッ。こいつそんなに使えるやつじゃないのか? これならカムクラのまま仲間になってくれた方が良かった)

江ノ島アルター『日向の能力は所詮予備学科程度……インプット完了』

日向「予備学科……」

江ノ島アルター『ただの予備学科が超高校級の才能を持った奴ら同士の戦いに参加してる時点でおかしいんだけどね』

日向「お、俺は……」

苗木(日向クンの希望が消えていく……なんとかならないのか)

苗木「あ、あのさ日向クン……ボクも何の取り柄もないけど、ここまで来れたんだよ。だからさ……」

江ノ島アルター『苗木君には幸運がありますからね。でも、日向君には何かあるのですか』

日向「」

苗木(しまった! 励ますつもりが逆効果に)

江ノ島アルター『もういいでしょう? 私は早くこの部屋から脱出したいのです。あなた達と遊んでる時間はないんですよ』

176: 2013/10/15(火) 05:39:56.48 ID:a7GyuMfU0
カムクラ(日向……聞こえますか……)

日向(お前は……)

カムクラ(絶望の雑音によって、僕の存在は殆ど消えましたが、残った部分は少しあります……その部分を集めて、あなたの力にします)

日向(力って、何があるんだ)

カムクラ(そうですね……今のところ残っているのは、本当に限られてます……例えば、同人作家とか)

日向「同人作家の才能がこの場面で何の役に立つんだよ!」


『日向君!』

日向「!!」

苗木「ア、アルターエゴ? 違う……これは別の人格? いつの間にボクの携帯に入ってたんだ……」

七海『七海千秋だよ よろしく』

日向「な、な、な……」

180: 2013/10/15(火) 05:45:00.46 ID:a7GyuMfU0
七海『もう、日向君がこんなところで負けたら、私達会えなくなっちゃうじゃんか。お父さんが折角、希望更生プログラムを頑張って作ってるのに』

日向「うおおおおお!!!」

江ノ島アルター『!?』

七海『ね、だから頑張ってね。私は日向君を応援してるから』

日向「な、なるほど……虹嫁に希望を見出す! それが同人作家の才能だったのか!」

七海『ふあーあ。なんだか眠くなってきちゃった』

日向「!!!」ズキュン

日向「二次元こそ至高! 嫁に会いに行くために俺はお前を倒す!!」シュインシュイン

苗木「日向クンの雰囲気が変わった!?」

江ノ島アルター『バ、バカな……日向の戦闘力がどんどん上がっていく……! こ、これはまさか、カムクラが復活したのか!?』

アルターエゴ『どうやら上手くいったみたい。残された同人作家の才能の可能性にかけて良かった』

苗木「アルターエゴ! もしかしてキミが?」

アルターエゴ『えへへ。本当は僕の妹の存在は開発が終わるまで秘密にするつもりだったんだけどね。でも、こんな事態だし、仕方ないよね』

182: 2013/10/15(火) 05:57:31.39 ID:a7GyuMfU0
アルターエゴ『苗木君! ハッキングは終わって今、人工衛星が落下してる最中だよ。早くこの部屋から脱出しないと危ない』

苗木「みんな聞いた? 早く脱出して」

桑田「で、でもよ……オレ達が脱出したらこいつは……」

十神「いや、爆発で負傷した俺達がいても意味はない……悔しいがな」

戦刃「ごめんなさい」

日向「大丈夫だ。ここは俺に任せろ!」

江ノ島アルター『また模擬刀で切りかかるつもりか? 鋼鉄のボディには効かないって言ったはずだ』

日向「食らえ!」ブン


日向の一撃がモノケモノの足に命中した。


江ノ島アルター『な、何だ! バカな! 足のパーツが損傷しただと! たった一撃で!』ガクン

日向「足を封じれば、こいつは逃げられない! みんな逃げるぞ!」

苗木「そうだね。もう人工衛星の墜落まで時間がない! 早くしないと……」

184: 2013/10/15(火) 06:05:32.12 ID:a7GyuMfU0
江ノ島アルター『逃がさん……お前だけは……』


苗木の足がモノケモノの手に掴まれる。


苗木「うわあああ!!」

日向「お、おい! 大丈夫か!」

戦刃「苗木君!!」

江ノ島アルター『こいつも道連れだ!』

苗木「受け取って」バシ


苗木はアルターエゴが入ってるiphonを日向に向かって投げた、


日向「お、おい……どういうつもりだ」

苗木「アルターエゴまで巻き込むわけにはいかないよ」

戦刃「!!」

苗木「みんな……さようなら」

江ノ島アルター『うぷぷぷぷ。仲間の氏なんて絶望的だねえ』

185: 2013/10/15(火) 06:12:06.82 ID:a7GyuMfU0
工場に人工衛星が墜落し、一瞬にして工場は瓦礫の山と化した。


舞園「そ、そんな……苗木君……」

桑田「すまねえ舞園ちゃん……苗木を助けられなかった」

十神「チッ。後味悪すぎだ。こいつらを裏で操ったやつは許さん! 十神の名にかけて」

不二咲「な、苗木君……ごめんね……僕が絶望に捕まったりしなければ……」

戦刃「えっぐ……な、苗木君……」

大神「うおおおおお!!! 苗木いいいいいい!!」

朝日奈「こんなの……酷過ぎるよ! どうして苗木が氏ななきゃいけないの!」

狛枝「折角、素晴らしい希望の持ち主に会えたと思ったのに……」

日向「くっ……会ったばかりだってのに……」

ガタ

舞園「い、今そこの瓦礫が動きました! まさか苗木君が!」


江ノ島アルター『苗木かと思った? 残念私でした!』

十神「な、バカな! まだ生きているだと!」

187: 2013/10/15(火) 06:17:46.40 ID:a7GyuMfU0
戦刃「…………あなたのせいで苗木君が…………!」

江ノ島アルター『は?』

戦刃「許さない!」ガキン

江ノ島アルター『ザナドゥ』

戦刃「まだまだ!」ガキン

江ノ島アルター『ファザナドゥ』

戦刃「…………」ガキンガキンガキン

江ノ島アルター『』

大神「もうよせ戦刃……とっくに機能停止してる」

戦刃「…………」

191: 2013/10/15(火) 07:21:03.98 ID:a7GyuMfU0
ガタ

舞園「こ、今度はなんですか……」

???「イテテ……ここは……天国とかじゃないよね?」

舞園「そ、その声は! 苗木君!!」

苗木「舞園……さん?」

桑田「おおおお!!苗木!!心配かけんじゃねえよ!!まあ、とにかく生きてて良かったけどよー」

舞園「良かった……本当に良かった……」ギュ

苗木「あ、ちょ、ちょっと……」

桑田(やっぱり氏ね)

十神「フン。人工衛星が直撃しても生きているとか幸運すぎて呆れるレベルだな」

狛枝「まあ、よくあることなんじゃない? ボクも飛行機が墜落しても生き残ったし」


戦刃「…………」

大神「おい、戦刃どうした?」

戦刃「私……決着をつけないといけない……」スタスタ

大神「戦刃?」

192: 2013/10/15(火) 07:35:29.01 ID:a7GyuMfU0
・私立希望ヶ峰学園

弐大「うおおおお!! トレーニングじゃああ!!!」

桑田「勘弁してくれよー! オレは練習しねーって言ってんだろ!」

弐大「待て! 桑田! ワシにはお前が必要なんじゃああ!! また、アレしてやるから、ワシと共に青春を謳歌しようではないか!」

桑田「ぎゃあああ」


山田「いやあ、不二咲千尋殿はわかってますな。七海千秋殿を制作するとは、いやはや。僕も負けてられませんぞ」

不二咲「えへへ。何だか照れるな」

日向「お父さん! 娘さんを僕に下さい!」

不二咲「え、あ、ダ、ダメだよぉ! そういう目的で作ったんじゃないから」

日向「じゃあ、ジャバウォック島にだけでも! 頼む! な?」

花村「僕はお父さんを美味しく頂きたいんですがね」

不二咲「!?」

193: 2013/10/15(火) 07:43:45.34 ID:a7GyuMfU0
田中「これが俺様が契約した魔犬の写真だ」

大和田「うおおおお!! 可愛いじゃねえか!」

田中「そうだろそうだろ。だが、これは敵を欺く仮の姿。こいつの本性は血塗られし闇の牙を持つ飢狼だ!」

大和田「あ? どういう意味だ?」

苗木「餌代がかかるってことじゃないかな?」


終里「もう一度オレと戦え!」

大神「いいだろう! 何度でも相手になってやる!」

朝日奈「さくらちゃん頑張れ!」


苗木(あれから、数週間が経った……絶望した先輩達は、みんなそれぞれ希望の心を取り戻している。もう少し絶望に浸食されていたら、荒療治をせざるをえなかったみたいだけど)

苗木(日向クンはカムクライズルの才能の中で結局残ったのは超高校級の相談窓口だけだったみたい。その才能が認められて本科に編入することが出来たんだ。本人は、絶望しかけている人の相談に乗ってあげたいって言ってた)

苗木(江ノ島さんと戦刃さんがいなくなって50日くらい経ったのかな……二人は今頃どうしてるんだろう……)

194: 2013/10/15(火) 07:46:34.20 ID:a7GyuMfU0
不二咲「みんな……見せたいものがあるんだ」

石丸「見せたいもの? なんだそれは」

七海『ふあーあ……眠い……』

日向「うひょおおお!! 七海!! 会いたかったぜ!」

苗木(同人作家の才能が消えてもそこは相変わらずなんだ)

七海『日向君おはよう。今日は報告があって来たの』

霧切「報告? 何かしら」

七海『みんなの仲間が帰ってくるんだよ』

江ノ島『はあ……退屈な50日間だった……退屈すぎて絶望すぎてもう絶望に飽きちゃった……』

苗木「江ノ島さん!」

罪木「江ノ島さん……! 会いたかったですよぉ……ぐす」

戦刃『えっと……黙っていなくなってごめんなさい。やっぱり私はクラスメイトの皆のことが好きだし、盾子ちゃんも私が付いていてあげないといけない……だから、こうするしかなかったっていうか……』

195: 2013/10/15(火) 07:56:49.84 ID:a7GyuMfU0
石丸「一体何が起きてると言うのだね!」

不二咲「僕が説明するね。これは希望更生プログラム。絶望に堕ちた人を希望に更生する目的があるんだ。そのプログラムに超高校級の絶望の大元である江ノ島さんを入れたんだ」

狛枝「素晴らしいよ! 流石超高校級のプログラマーの不二咲さんだ! キミはボク達の希望なんだね!」

七海「私は更生プログラムを受けている人の監視役なんだ」

日向「マジかよ! 絶望したら毎日七海とらーぶらーぶ出来るのかよ! 絶望したわー。俺絶望したから、希望更生プログラム受けたいわー」

十神「貴様は黙ってろ」

七海「今日でこの希望更生プログラムも終わり、江ノ島さんと戦刃さんもいつも通りの学校生活に戻しても大丈夫……だと思うよ」

葉隠「おう、めでたしめでたしってことだな! ハッハッハ」

朝日奈「なんでアンタが締めるのよ」

196: 2013/10/15(火) 07:58:33.63 ID:a7GyuMfU0
小泉「はい、皆並んで。写真撮るからね」

西園寺「わたし、苗木の隣はヤダからね! またセクハラされそう」

苗木「だからアレはわざとじゃないんだって」

朝日奈「セクハラって何!? 苗木は不潔だよ! 不潔大臣だよ!」

左右田「ソニアさん! こっちっすよ! ここ空いてますよ!」

ソニア「なにかおっしゃいましたか?」

大和田「おい、兄弟何敬礼してんだ? こういう時は肩を組みながら取るって決まってんだろ?」

石丸「む? そういうものなのか?」

大和田「おうよ! こうやってな! ハハハハハ」

石丸「なるほど。また1つ賢くなったぞ! ハハハハハ」

腐川「あ、あの……白夜様……」

「おい、もっと近寄れ。じゃないと写らないだろ」

腐川「は、はい! ……ハァ?」

豚神「どうした? 俺の顔になんかついてるか?」

腐川「ぐぎいい! だらしない脂肪が付いてるわよ!」

197: 2013/10/15(火) 08:03:58.73 ID:a7GyuMfU0
辺古山「ぼっちゃん。もっと真ん中に寄らないと……」

九頭龍「る、るせえ! 別にオレは写真なんて……」

唯吹「あれー?冬彦ちゃん照れてるんすか!」

九頭龍「んだとこら!」

狛枝「ほら、元予備学科の日向クンは端っこの方がお似合いだよ」

日向「なんだよその言い方」

狛枝「まあ、ボクもゴミクズみたなもんだし、端っこ同士で丁度いいね」

日向「一緒に撮りたいなら素直にそう言え!」

戦刃「盾子ちゃんどう?」

江ノ島「これが希望ね……最悪の気分よ。それと、勘違いしないでよね。また、あの島で生活させられるのが嫌だから、更生したフリをしてるだけだから」

戦刃「うふふふふ。照れちゃって可愛い!」

江ノ島「て、てめえ! ぶっ頃すぞ!!」

小泉「はい、撮るよー!」パシャ

苗木(こうして、不二咲さんが誘拐されたことから始まったボク達と絶望との戦いは一人の犠牲者も出さずに幕を閉じることが出来た。この学園生活もきっと平凡に過ぎていくことだろう。平凡な毎日が一番幸せなことかも知れない)

今度こそ本当に終わり

198: 2013/10/15(火) 08:13:41.64 ID:MMPaqM5x0

199: 2013/10/15(火) 08:14:13.44 ID:BHenjshC0
あれ?誰か一人忘れてないか?

200: 2013/10/15(火) 08:16:45.44 ID:saMk/FL80
体験版の被害者とクロはどこへ行ったんだ

201: 2013/10/15(火) 08:19:04.09 ID:ExBIGFgo0
乙です面白かった

引用元: 不二咲「出来たよ苗木君。葉隠君の頭上に人工衛星を落とすアプリが」