1: 2012/08/24(金) 21:50:39.11 ID:x7VuLX5UO
バルクホルン「むむむ」

ハルトマン「ンッン~♪」

バルクホルン「ハルトマン! お前、いい加減にしろ!」

ハルトマン「……はぁ、今度は何だよ?」

バルクホルン「いつまでこのゴミを散らかしておくつもりだ! 」

バルクホルン「毎晩虫の這いずり回るおぞましい音を聞きながら眠るのが、私にとってどれだけ苦痛か分かるか!?」

ハルトマン「潔癖症だなぁ」

バルクホルン「お前がおかしいんだ! いいか、今週末までにこの荷物を……半分とは言わん、3分の1にしろッ!」

ハルトマン「はいはい、暇だったらね」

バルクホルン「今すぐ取りかかれッ!」


4: 2012/08/24(金) 21:55:22.64 ID:x7VuLX5UO
―週末―

バルクホルン「ぐぬぬ……」

ハルトマン「ンッン~♪」

バルクホルン「ハルトマン、私との約束は覚えているよな? 週末までに部屋を片付けると(震え声)」

ハルトマン「あーあれね」

ハルトマン「刹那で忘れちゃった」

バルクホルン「オッラァァ!」

ドグシャア

ハルトマン「うわっ」

バルクホルン「いいか……日没まで待ってやる。それまでに少しでも綺麗にしておくんだ……部屋を追い出されたくなかったらなッ!」

8: 2012/08/24(金) 22:02:18.40 ID:x7VuLX5UO
―夜―

バルクホルン「結局朝から一度も部屋に戻らなかったが、少しは反省して片付けたか?」

ガチャッ

バルクホルン(明かりが点いていない……)

バルクホルン(いや、夕方くらいまでは片付けていたんだよな? そうだろう?)

カチッ

ゴチャゴチャ

ハルトマン「Zzz」

バルクホルン「」プッツ--z__ン

バルクホルン「分かった。よく分かったよ。つまりお前はそんなやつだったんだな。気づかない私が愚かだった」

バルクホルン「清掃業者に連絡しないとな」

12: 2012/08/24(金) 22:08:39.07 ID:x7VuLX5UO
―数日後―

ハルトマン「じゃ、行ってくるね」

ミーナ「ええ。ご家族によろしく伝えてちょうだい」

シャーリー「しかし、アイツは見送りにも来ないのか?」

ハルトマン「なんか、ちょっと前から凄い機嫌悪いんだよね。帰ってくるまでに治ってるかな」

エイラ「ハルトマンが何かやらかしたんじゃないのカ?」

ハルトマン「うーん……どうだろ?」

ジリリリリ

ハルトマン「おっと、もう行かなきゃ。じゃあね、みんな! 一週間くらいで帰ってくるからねー!」

ミーナ「本当に、気をつけてね?」

15: 2012/08/24(金) 22:13:53.77 ID:x7VuLX5UO
―翌朝―

ブロロロロ

番兵「止まれ! それ以上の進入は許可が必要だ。身分証明出来るものと通行証を……」

業者「えーと、確かにこちらからご依頼を頂いたんですが」

業者「ゲルトルート・バルクホルンさんはいらっしゃいますか?」

バルクホルン「おお……! 待ちわびたぞ! こっちだ、車両ごと入れてくれ」

番兵「大尉?」

業者「じゃ、ご苦労さまです」

バルクホルン「ふふふ……」

19: 2012/08/24(金) 22:22:45.49 ID:x7VuLX5UO
バルクホルン「さあ、この部屋だ」

業者「なるほど……」

バルクホルン「一部屋を二人で分けているんだがな、もう一人が片付け方を知らない奴で……」

バルクホルン「と、そんなことはどうでもいい。この柵の向こう全部、服や本や家具は残して持ってってくれ」

業者「はあ、私どもは構いませんが、いいんですか?」

バルクホルン「なに?」

業者「いや、たまにこういうケースもあるんですが……」

業者「お客様の中には『持っていったものを返してくれ』とおっしゃられる方もいらっしゃいまして」

バルクホルン「ふん、このゴミ山に捨てるのが惜しいものなどあってたまるか。問題ない」

業者「よろしいのですか?」

バルクホルン「くどい!」

20: 2012/08/24(金) 22:23:31.69 ID:23ML5lLO0
勲章とかも全部床に落ちてるんだよな

24: 2012/08/24(金) 22:32:46.02 ID:x7VuLX5UO
―数時間後―

シャーリー「な、なんだこれ! 廊下が塞がれてるぞ!?」

エイラ「バルクホルン、なにしてんだヨ!?」

バルクホルン「ええい、もう少しだから待ってろ! やっと床が見えてきたんだ」

シャーリー「床?」ヒョイッ

バルクホルン「ふふん、やはり業者に頼んで正解だな。ハルトマンが帰省したのも好都合だった」

エイラ「こんなに溜め込んでたのカ……」

バルクホルン「ああ。だがこれで随分広くなるぞ!」

シャーリー「おいおい……勝手にこんなにしちまって平気か?」

バルクホルン「……はあ、お前もか」

28: 2012/08/24(金) 22:39:36.13 ID:x7VuLX5UO
バルクホルン「こんなガラクタのどこに思い入れがあると言うんだ? 大体、大切な物なら放り出しておくな!」

シャーリー「私に言われても……」

エイラ「虚脱状態にならないカ? モノに囲まれてないと不安がる人間ているだロ」

バルクホルン「アイツがそんな繊細な人間か?」

エイラ「うーん」

バルクホルン「とにかく! 夜までには引き上げる予定だから、片付けに専念させてくれ!」

エイラ「へいへい」

30: 2012/08/24(金) 22:52:58.81 ID:x7VuLX5UO
―夜―

業者「こんなところですね」

バルクホルン「うむ、そうだな。ご苦労だった! ちょっと待ってくれ、料金は……」

業者「ああ、それなんですが……何点かこちらで買い取りになりますので、予めお伝えした料金より若干お安くなります」

バルクホルン「そうなのか?」

業者「例えばこちらの未開封の模型ですとか、こんな金属の塊でも価値はありますよ」

バルクホルン「ほう」

バルクホルン「だがこれは君たちが私から受け取る正当な料金だ。それくらい私は満足したんだ、ぜひ支払わせてくれ」

業者「ありがたいお言葉です」

バルクホルン「また宜しく頼む」

バルクホルン(そうならないことを祈るが)

業者「またのご贔屓を」

33: 2012/08/24(金) 23:02:48.85 ID:x7VuLX5UO
バルクホルン「いやあ、まさかこんなに広い部屋だったとは! 長らく忘れていた!」

バルクホルン「ハルトマンめ、きっと目を丸くするぞ。『トゥルーデが片付けてくれたの? ありがとう!』なんてな」

バルクホルン「……考えてみれば、綺麗になればこの柵も必要ないのか。引き渡せば良かったな」

バルクホルン「……あと5、6日か。どうせなら、徹底的にやってやる。ベッドからズボンから洗濯して、床はワックスを……」

34: 2012/08/24(金) 23:04:01.23 ID:diiCkssSO
お姉ちゃん

38: 2012/08/24(金) 23:09:40.52 ID:x7VuLX5UO
―しばらく後―

ハルトマン「たっだいまー」

バルクホルン「おお、やっと帰ってきたか」

ハルトマン「あれ?」

バルクホルン「ど、どうした」

バルクホルン(雰囲気だけで気付いたのか?)

ハルトマン「トゥルーデ、なんかご機嫌だね。一週間前はずっとムッツリしてたのに」

バルクホルン「いや、これはだな……まあとにかく、部屋に行こう! 疲れただろう? 荷物を持ってやる」

ハルトマン「なんか、ちょっと怖いなぁ……何か隠してるの?」

バルクホルン「ふふふ」ニッコリ

42: 2012/08/24(金) 23:16:36.39 ID:x7VuLX5UO
バルクホルン「ちょっと待ってろ」

ハルトマン「?」

バルクホルン「……よし、いいぞ。開けてみろ!」

ハルトマン「もー、何企んで……」

ガチャッ

ガラーン

バルクホルン「あはははは、どうだハルトマン? 驚いただろ! お前がいつまで経っても片付けないからな」

バルクホルン「業者に頼んで、ほとんど持っていって貰ったぞ! ベッドもふかふかだ!」

ハルトマン「」

ハルトマン「」

ハルトマン「トゥルーデ」

バルクホルン「ん?」

45: 2012/08/24(金) 23:23:34.76 ID:x7VuLX5UO
ハルトマン「」バッ

バルクホルン「!?」

ハルトマン「……無い」ガサガサ

ハルトマン「ない」ゴソゴソ

ハルトマン「ない、ない、ないないないない」グチャグチャ

バルクホルン「な……おいッ! 貴様、片付けたそばから散らかすつもりかァッ!」

ハルトマン「……」

バルクホルン「はあ……いいか、ズボンはこの段、靴下はここ、制服はクローゼットに……」

ハルトマン「トゥルーデ」

バルクホルン「何だ!」

50: 2012/08/24(金) 23:27:15.50 ID:x7VuLX5UO
ハルトマン「」バッ

バルクホルン「……お、おい、何も頭を下げなくても」

ハルトマン「ごめんね。ずっと散らかしてて、ごめんね」

バルクホルン「ん……まあ、これからしっかりするなら、今までのことは水に流そう」

バルクホルン「だから頭を上げてくれ。私が私のためにやったことでもあるんだ」

ハルトマン「うん……綺麗にする。もう散らかさないよ、トゥルーデ」

バルクホルン「ふふ、そういう素直なところはお前の長所だな」

ハルトマン「」ニッコリ

63: 2012/08/24(金) 23:39:34.39 ID:x7VuLX5UO
それからと言うもの、ハルトマンはまるで人が変わったように、模範的な態度をとるようになった。

朝はきっかり6時に起床、時には私を起こしてくれることもある。
訓練にもちゃんと参加している。宮藤やリーネたちは多少戸惑っていたようだが……じきに慣れるだろう。

もちろん戦闘面でも今まで以上の成果を上げるようになった。
能力、技術、道具、仲間……そのいずれにも頼りきらず、しかし手放さない。理想も理想、ハルトマンが文句無しの『史上最高のウィッチ』と呼ばれるようになるまで、時間はかからなかった。



ただ一つ、少しばかり困ったことがある。

67: 2012/08/24(金) 23:45:56.94 ID:x7VuLX5UO
ハルトマン「」ドサッ

ハルトマン「」ドサッ

ガチャッ

バルクホルン「ふう。風呂が空いたぞ、ハルトマン」

ハルトマン「うん」

バルクホルン「……それは何だ? 本か?」

ハルトマン「うん」

ハルトマン「明日は燃えるゴミの日だから」

バルクホルン「は?」

68: 2012/08/24(金) 23:49:26.22 ID:x7VuLX5UO
ハルトマン「これがあると邪魔でしょ」

ハルトマン「捨てなきゃ」ドサッ

ハルトマン「捨てなきゃ」ドサッ

バルクホルン「……別に、それくらいは置いてあっていいんじゃないか? その棚に収まらないわけではないし」

ハルトマン「」ビクッ

ハルトマン「そう、そうだよね。ごめんねトゥルーデ、捨てようとしてごめんね。ごめんなさい」ガサガサ

バルクホルン「……?」

69: 2012/08/24(金) 23:49:56.24 ID:eWVoWKEy0
エーリカちゃん・・・

71: 2012/08/24(金) 23:52:10.13 ID:e6vtVVls0
エーリカがもうだめだ

73: 2012/08/24(金) 23:55:49.13 ID:x7VuLX5UO
―数日後―

バルクホルン「なあ、ハルトマン」

ハルトマン「……」ボーッ

バルクホルン「ハルトマン」

ハルトマン「あっ!」ビクッ

バルクホルン「わっ」

ハルトマン「…みませ……ゆ…して…くだ……」ブツブツ

バルクホルン「おい、ハルトマン?」

ハルトマン「……なに?」

バルクホルン「来週、一緒に街に行かないか?」

ハルトマン「なんで?」

77: 2012/08/25(土) 00:03:58.40 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「最近、全く外に出ていないだろ。私も久しぶりに羽を伸ばしたくてな」

ハルトマン「……」

ハルトマン「うん」

バルクホルン「よし。来週の土曜日でいいか?」

ハルトマン「うん」

バルクホルン「じゃあ、私が少佐に伝えておくからな」

ハルトマン「うん」

ハルトマン「わかった」

80: 2012/08/25(土) 00:10:23.14 ID:h6ZwGpWtO
―更に翌週―

ハルトマン「行こっか」

バルクホルン「うむ。しかし、お前またその服か? 昨日か一昨日あたりも着てなかったか、それを」

ハルトマン「うん」

バルクホルン「うん、って……」

ハルトマン「あ……きっ、着替えたほうが、いいかな?」

バルクホルン「お前がそれでいいなら、私は構わないが」

ハルトマン「……そう」

ハルトマン「じゃあ、行こっか」

バルクホルン「……」

85: 2012/08/25(土) 00:17:12.18 ID:h6ZwGpWtO
―ロンドン―

バルクホルン「さて、まずはどこに行こうか?」

ハルトマン「どこでもいいよ、トゥルーデの行きたいとこで」

バルクホルン「む……そ、そうだ、腹は減ってないか? いい感じの喫茶店があるぞ」

ハルトマン「朝ごはん食べてきたじゃん。トゥルーデったら」

バルクホルン「は、はは、そうだったな……」

バルクホルン「……なら、服でも見に行くか?」

ハルトマン「服……? わかった、いいよ」

バルクホルン「シャーリーやリーネたちからおすすめの店を聞いてきたんだ。そこを回ってみよう」

ハルトマン「うん」

87: 2012/08/25(土) 00:21:54.56 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「ここだ。いわゆる隠れ家的な店だな……」

バルクホルン「行くぞ、ハルトマン」

ハルトマン「トゥルーデ」

バルクホルン「ん?」

ハルトマン「私、待ってる」

バルクホルン「な……何を言い出すんだ? 今日は日差しも強いし、こんな中で待ってるなんて」

ハルトマン「」ビクッ

ハルトマン「う、あ、わ、分かった! 行くよ、行くから……ごめんなさい……」

バルクホルン「……」

91: 2012/08/25(土) 00:28:53.93 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「これなんかどうだ?」

ハルトマン「ん……」

バルクホルン「似合うじゃないか」

ハルトマン「……」

バルクホルン「……苦手か、こういう店は?」

ハルトマン「……ううん、大丈夫」

バルクホルン「そうか……どうする、会計するか?」

ハルトマン「だから、私はいら――あ」

ハルトマン「か、買った方がいい? ね、トゥルーデ? 買わなきゃダメかな?」

バルクホルン「……」

バルクホルン「分かった。買わなくていいから、ちょっと場所を変えよう」

バルクホルン「行くぞ」ギュッ

ハルトマン「うん……」

97: 2012/08/25(土) 00:39:12.29 ID:h6ZwGpWtO
―ロンドン郊外―

バルクホルン「ここなら私たちの会話を聞く人間もいまい」

ハルトマン「……」

バルクホルン「なあ、ハルトマン」

ハルトマン「な、なに?」

バルクホルン「私は……お前に何かしたか? 教えてくれ、お前が変わってしまった理由を」

ハルトマン「え」

バルクホルン「今にして思えば、お前の様子がおかしかったのは、お前がカールスラントから帰った直後から……」

バルクホルン「もっと言えば、部屋を見てからだ。奇麗さっぱり片付けられた部屋を見て、お前は……」

バルクホルン「頼む、ハルトマン。私はもっと、お前の笑顔が見たいんだ。私に怯えて、顔色ばかりうかがって……そんなの、お前らしくないじゃないか!」

110: 2012/08/25(土) 00:47:58.59 ID:h6ZwGpWtO
ハルトマン「……」

バルクホルン「……ハルトマン…」

ハルトマン「……うう」

バルクホルン「!!」

ハルトマン「とぅ、トゥルーデが、捨てちゃったんだ。私の大事なもの、ゴミだって、言って」ウルウル

バルクホルン「大事なもの……? ああッ!」

『こんな金属の塊でも価値は――』

バルクホルン「あの勲章……! まさか本物だとは」

ハルトマン「違うよォーッ!! そんな勲章なんて、くだらないもんじゃないッ!」

バルクホルン「……皇帝陛下に賜ったものを、くだらないとは」

ハルトマン「くだらないよ! あんなものより、もっと大事なものが、私の部屋にはたくさんあったんだッ! それを……」

ハルトマン「トゥルーデが捨てちゃったんだよぉ……うわあああーん!」ポロポロ

116: 2012/08/25(土) 00:58:38.86 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「わ、私は……」

ハルトマン「母様やウルスラが送ってくれた手紙も、私が初めて自分のお給料で買ったコートも、501のみんなで撮った写真も!」

ハルトマン「全部、全部、全部! トゥルーデは『ゴミ』だって!」

バルクホルン「し、知らなかったんだ……そんな……」

ハルトマン「いいよね、トゥルーデは! 基地に帰れば、たくさん思い出が残ってるんだ! でも、もう私には……」

ハルトマン「なんにも……うええーん……」

バルクホルン「……」ハアーハアー

118: 2012/08/25(土) 01:00:37.80 ID:spc/ANiaP
なんでお姉ちゃん興奮してんの

126: 2012/08/25(土) 01:07:54.41 ID:JkOAJILJO
お姉ちゃん

127: 2012/08/25(土) 01:08:03.13 ID:oUS8iGWm0
これはまあ興奮するわな

128: 2012/08/25(土) 01:08:12.93 ID:h6ZwGpWtO
興奮じゃねーよ! 焦ってんだよ!



バルクホルン「……ハルトマン…私は……どうしたら償えるんだ?」

ハルトマン「ぐすっ……」

ハルトマン「……償う、だって?」

バルクホルン「すまなかった。お前の思い出を壊したことも、お前の心に負担をかけていたことも、100%私が悪い」

バルクホルン「本当に、どれだけ謝っても足りないし、取り返せないものだというのは分かってる。だから」

ハルトマン「分かってるならッ! 『償う』なんて言わないでよ! 出来もしないくせに、そんなのッ!」

バルクホルン「!」

ハルトマン「ああ……本当に償うって言うならさぁ……元通りにしてよ。全部、私がカールスラントに帰る前にしてみせて」

バルクホルン「……」

バルクホルン「分かった。それで、少しでもお前の心が休まるなら」

ダッ!

ハルトマン「!」

132: 2012/08/25(土) 01:17:14.92 ID:h6ZwGpWtO
――

ギィィ

「いらっしゃ……」

バルクホルン「はーっ、はーっ」

業者「あ……あんたは、この前の…」

バルクホルン「ぜえ、あの時の、はあ、荷物……残っているか?」

業者「え?」

ドンッ

業者「ひっ」

バルクホルン「お前たちが私から回収した荷物は……残っているかと聞いているんだッ!」

業者「あ、ああ……あれですか……」

バルクホルン「早くしろッ!」

業者「まあ、落ち着いて……」

業者「>>135」

1.こんなこともあろうかと、そっくりそのまま取っておきましたよ
2.申し訳ありませんが、私どもにはあまり余裕がありませんでね……

158: 2012/08/25(土) 01:27:59.54 ID:h6ZwGpWtO
もう1でいいよね



業者「こんなこともあろうかと、そっくりそのまま取っておきましたよ」

バルクホルン「!!」

業者「何度も何度もおんなじ事を尋ねてくるお客様があまりにも多いので、2週間だけ取り置くようにしてあるのです」

業者「危なかったですね。明日の今頃は、全部処理場に送られてましたよ」

バルクホルン「…あ…ああ……」

バルクホルン「あった……あったぞ、ハルトマン……」

バルクホルン「…ううっ……良かった……本当に……」

169: 2012/08/25(土) 01:33:50.35 ID:h6ZwGpWtO
――

ハルトマン「!」

ハルトマン「早かったね。どうだったの?」

バルクホルン「……帰ろう、ハルトマン」

ハルトマン「え? 待ってよ、私は『見つかったのか』って聞いてるんだけど」

バルクホルン「ああ」

ハルトマン「へえ、じゃあ見せて」

バルクホルン「だから帰るんだ。私たちの基地に」

ハルトマン「ッ! 触るなよ!」

バルクホルン「……」

174: 2012/08/25(土) 01:38:21.21 ID:h6ZwGpWtO
―基地―

ハルトマン「……開けて。分かってると思うけど、私は『元通り』にしてって言ったんだよ」

ハルトマン「手紙一枚欠けてたって、それは元通りなんかじゃない」

バルクホルン「……無論だ」

ハルトマン「……」

バルクホルン「開けるぞ」

ギィィ

ハルトマン「――」

ハルトマン「こ……これはッ!」

177: 2012/08/25(土) 01:44:15.47 ID:h6ZwGpWtO
グッチャア

バルクホルン「……はあ、はあ…」

ハルトマン「ああ……これが私の、私とトゥルーデの、思い出の部屋だ」

ハルトマン「これは母様の手紙、こっちはウルスラの、これは……」

ハルトマン「初めてトゥルーデから貰った、クリスマスカード」

バルクホルン「!!」

ハルトマン「みんなで撮った写真も、ちゃんとある……」

ハルトマン「……うええ、良かったよぉ……」

バルクホルン「……まだだ」

ハルトマン「?」

184: 2012/08/25(土) 01:54:12.16 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「大事なものを……忘れていた」

ハルトマン「え……?」

バルクホルン「それは……お、お前だ! ハルトマン!」

ハルトマン「ええっ!?」

バルクホルン「私は……お前を迎えることで頭が一杯で、これを忘れていたよ」

バルクホルン「これがなきゃ、到底元通りとは言えない……大きな失態だ」

バルクホルン「その……今更なんだが……受け取ってくれないか」

ハルトマン「う、うん。何?」

192: 2012/08/25(土) 02:04:40.83 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「んん……えふっえふっ! い、いいな、いくぞ! お……」

バルクホルン「――おかえり、ハルトマン!」

ハルトマン「……!」

バルクホルン「こ、これで元通りだ!」

バルクホルン「……でも、やっぱり勝手に部屋を掃除――うわッ!?」

ハルトマン「トゥルーデ! ただいま、トゥルーデ!」

バルクホルン「は、離れろ! さっきは触るなとか言っておいて……」

ハルトマン「えー? そんなの忘れちゃったよ!」

バルクホルン「やめ、こらぁ! どこ触って……ひっ!?」

ハルトマン「久しぶりだし、いいかなーって」

199: 2012/08/25(土) 02:11:13.94 ID:h6ZwGpWtO
バルクホルン「あうう、やめろぉ……ハルトマン……」

ハルトマン「あっ、そうだ。この中に確か割りと最近拾ったやつが……あったあった」ヴィィィィン

バルクホルン「えっ」

ハルトマン「前使って洗ってないからちょっと汚れてるけど、気持ちよさは保証するよ」

バルクホルン「ちょっと待て、いろいろおかし――うああ!?」

ハルトマン「にしし」

バルクホルン「は……ハルトマン……」グッタリ

ハルトマン「……ね、私、大好きだよ。トゥルーデのこと」

ハルトマン「だから、これからもずっとずっとずーっと」

ハルトマン「私の面倒、見てくれるよね!」



おわり

200: 2012/08/25(土) 02:12:07.50 ID:h6ZwGpWtO
なんかグダってごめん
おやすみ

201: 2012/08/25(土) 02:12:38.46 ID:IBv/9bGI0
おつ

209: 2012/08/25(土) 02:21:24.05 ID:geRdZ6Y70

まあトゥルーデは悪くないよね

27: 2012/08/24(金) 22:37:03.57 ID:GM35ztac0
上にコレクションについての話がありましたけど
私は夫のコレクションを捨ててしまって後悔した立場でした
鉄道模型でしたけど

かなり古い模型がまさに大量(線路も敷いてて一部屋使っていた)という感じでした
結婚2年目ぐらいから「こんなにあるんだから売り払ってよ」と夫に言い続けたのですが
毎回全然行動してくれずに言葉を濁す夫にキレてしまい
留守中に業者を呼んで引き取ってもらえるものは引き取ってもらいました

帰ってきた夫は「売り払ったお金は好きにしていい」「今まで迷惑かけててごめん」と謝ってくれました
残っていた模型も全部処分してくれたのですごく嬉しかったです

でもその後夫は蔵書をはじめ自分のもの全てを捨て始めてしまいました
会社で着るスーツとワイシャツや下着以外は服すらまともに持たなくなり
今では夫のものは全部含めても衣装ケース二つに納まるだけになってしまって

あまりにも行きすぎていて心配になり色々なものを買っていいと言うのですが
夫は服などの消耗品以外絶対に買わなくなってしまい
かえって私が苦しくなってしまいました

これだけ夫のものがないと夫がふらっといなくなってしまいそうですごく恐いのです
こういう場合ってどうしたらいいんでしょう

70: 2012/08/24(金) 23:51:36.66 ID:0v6KhPa10
夫のコレクション捨てたら生気が抜けて心配
とかいうコピペ思い出した

引用元: バルクホルン「私たちの部屋を無断で片付けたらマズイことになった」