671: 2019/01/18(金) 21:55:43.60 ID:8D1Pl6mso

672: 2019/01/18(金) 21:58:21.62 ID:8D1Pl6mso
楓「お断りしたんですけど……」

武内P「……はあ」

楓「先方が、どうしても……と」

武内P「……そう、ですか」


楓「本当に、困っているんです」


武内P「高垣さん」

武内P「私も、突然その様な話をされて困っています」

673: 2019/01/18(金) 22:00:55.27 ID:8D1Pl6mso
楓「私は、アイドルですから……」

武内P「……あの」

楓「誰かお相手が居るなら話は別、と言われても……」

武内P「……高垣さん?」


楓「本当に、困っているんです」


武内P「高垣さん」

武内P「急に来て話を始められても、困ります」

674: 2019/01/18(金) 22:04:12.09 ID:8D1Pl6mso
楓「ファンの方と、一緒に階段を登っていきたいんです」

武内P「……ですから、ですね」

楓「ファンの方と、一緒に……笑顔で」

武内P「……高垣さん」


楓「すぅ……どうしたら、良いのかしら」

楓「……」

楓「あっ、間違えちゃった」

楓「はぁ……どうしたら、良いのかしら」


武内P「……」

675: 2019/01/18(金) 22:08:32.39 ID:8D1Pl6mso
楓「結婚なんて、まだ考えてなくて……」

武内P「……」


武内P「……」

…ガチャッ


楓「!?」

ツカツカツカツカ!

楓「!」

バタンッ!


楓「……!」ムスッ!


武内P「……」

676: 2019/01/18(金) 22:12:19.36 ID:8D1Pl6mso
楓「……!……!」

ぐいぐいっ!

武内P「……」

…とすんっ


楓「……!?」


武内P「…………」

武内P「……飲みも」


楓「ホットコーヒーで、ホッと一息、ですね」


武内P「……そうですね」

677: 2019/01/18(金) 22:15:22.22 ID:8D1Pl6mso
楓「はぁ……どうしたら、良いのかしら」

武内P「あの、私に言われましても……」

楓「はぁ……どうしたら、良いのかしら」

武内P「……」


武内P「……わかりました」

武内P「お話を詳しく聞かせてください」


楓「えっ?」パチクリ!

楓「すみません……声に、出ていましたか?」


武内P「……」

武内P「はい」

678: 2019/01/18(金) 22:21:59.89 ID:8D1Pl6mso
武内P「どうしても、断れないのでしょうか?」

楓「一度、会ってみるだけでも、って……」

武内P「……成る程」


武内P「それならば、ですね」

武内P「一度、お会いしてみるだけでも」

武内P「それで、お相手の方は納得されるのです、よね?」


楓「?」パチクリ!

楓「~?」キョトン


武内P「いえ、あの……」

武内P「首を傾げるような事を言ったでしょうか……?」

679: 2019/01/18(金) 22:24:29.90 ID:8D1Pl6mso
楓「私は、アイドルですから……」

武内P「……あの」

楓「誰かお相手が居るなら話は別、と言われても……」

武内P「……高垣さん」


楓「本当に、困っているんです」


武内P「高垣さん」

武内P「貴女は、私に何を言わせようとしているのですか?」

680: 2019/01/18(金) 22:31:10.86 ID:8D1Pl6mso
楓「本当に、困っているんです」

武内P「いえ、ですから……一度会っt」

楓「……!」

バシバシ!

武内P「……」


楓「誰かお相手の方が居るなら話は別……」

楓「はぁ……どうしたら、良いのかしら」


武内P「……」

681: 2019/01/18(金) 22:38:29.70 ID:8D1Pl6mso
武内P「……高垣さん」

楓「えっ?」

武内P「えっ?」

楓「そんな……」


楓「――私に出来る事なら、何でも……だなんて」

楓「ふふっ! 強力な、協力者ですね♪」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「が、そんな発言は一切していません」

682: 2019/01/18(金) 22:46:21.12 ID:8D1Pl6mso
prrrr!prrrr!

楓「……」

武内P「あの……電話が、鳴っていますが」

楓「……少し、失礼します」

武内P「はい」


楓「……」

ガチャッ…バタンッ


武内P「……」

683: 2019/01/18(金) 22:51:27.12 ID:8D1Pl6mso
  ・  ・  ・

…ガチャッ

楓「あの……すみません」


武内P「? はい」

武内P「電話は……まだ、繋がっているのですか?」


楓「……」

スッ…


武内P「? 私に……代われ、と?」

684: 2019/01/18(金) 22:56:25.24 ID:8D1Pl6mso
楓「……」

武内P「それは構いませんが、お相手は……?」

楓「……」

武内P「……?」


武内P「――お電話変わりました」


楓「父です」


武内P「……」

武内P「……!?」

685: 2019/01/18(金) 23:01:55.76 ID:8D1Pl6mso
楓「私は、アイドルですから」

武内P「……!?」

楓「お相手が居るなら話は別、と言われて……」

武内P「も……もしもし……!」


楓「……ふふっ!」

楓「つい、嘘をついちゃって……うふふっ!」


武内P「っ……!?」

686: 2019/01/18(金) 23:06:39.78 ID:8D1Pl6mso
武内P「はい……はい……」

武内P「いっ、いえ! 決して、その様な事は!」

武内P「……はい……はい、勿論です」


楓「よろしく、お願いします」ペコリ


武内P「……!?」

武内P「……!……!」カワッテクダサイ! カワッテクダサイ!


楓「電話に出んわ」


武内P「……!」

687: 2019/01/18(金) 23:10:15.55 ID:8D1Pl6mso
武内P「えっ? 高垣さんをどう思っているか……ですか?」

武内P「そう……ですね」


楓「……」


武内P「……とても素晴らしいアイドルだ、と」

武内P「そう……思います」

武内P「はい……ええ、はい……」

武内P「……ぐ、具体的に……ですか?」


楓「……」

688: 2019/01/18(金) 23:15:51.58 ID:8D1Pl6mso
武内P「そう……ですね……」


楓「……」


武内P「やはり……元モデルなだけはある――」

武内P「――ルックスと、スタイルです」

武内P「神秘的と評されるルックス」

武内P「ステージでの動きが映える、少し高めの身長」

武内P「足がとても細いので、ダンスは少し苦手なようですが……」

武内P「はい……そちらも、とても頑張っていらっしゃる、と」

武内P「……そう、思います」


楓「……」

689: 2019/01/18(金) 23:21:10.85 ID:8D1Pl6mso
武内P「性格……ですか?」


楓「……」


武内P「そう、ですね……」

武内P「お仕事を……ファンの方をとても大切にされています」

武内P「その姿勢は、後輩のアイドル達の手本になっているかと」

武内P「……はい」

武内P「私の担当するアイドルも、彼女には本当にお世話になりました」

武内P「ああ、いえ……必要な事だ、と」

武内P「……そう、思ったので」


楓「……」

690: 2019/01/18(金) 23:29:02.39 ID:8D1Pl6mso
武内P「子供っぽい所……ええ、そうですね」


楓「……」


武内P「しかし、それもまた魅力の一つです」

武内P「……はい、ダジャレも、また」

武内P「それが、彼女を神秘的なだけで終わらせない――」

武内P「――親しみやすさがあるアイドルにしている、と」

武内P「……そう、思います」

武内P「美しい歌声を奏でる、世界に一つだけの楽器だけではない」

武内P「そう、ですね……お茶目さを感じます」


楓「……」

691: 2019/01/18(金) 23:35:26.44 ID:8D1Pl6mso
武内P「一番魅力的だと思うのは……」


楓「……」


武内P「笑顔です」

武内P「夜空に浮かぶ星々の様に」

武内P「優しく恵みをもたらす太陽の様に」

武内P「輝く、笑顔です」


楓「……」


武内P「……えっ?」

武内P「は、はい……少々、お待ち下さい……」

スッ…


楓「……」

692: 2019/01/18(金) 23:48:49.40 ID:8D1Pl6mso
  ・  ・  ・

楓「――先日は、ご迷惑をおかけしました」ペコリ


武内P「……」

武内P「はい」


楓「お陰様で、お見合いはお断りする事が出来ました」

楓「父が……仲人の方と、先方に話をつけてくれて」


武内P「それは……」

武内P「おめでとうございます、で……良いのでしょうか」

693: 2019/01/18(金) 23:54:55.58 ID:8D1Pl6mso
楓「けれど……本当に、困っているんです」

武内P「えっ?」

楓「はぁ……どうしたら、良いのかしら」

武内P「あの……何か、問題でも?」


楓「父が……貴方を連れて来い、って」

楓「そう言って、聞かなくて」


武内P「……」

武内P「……!?」サーッ…!

694: 2019/01/19(土) 00:05:16.53 ID:BK6jiYxNo
楓「一度、会ってゆっくり話がしたいそうなんです」

武内P「あ、あの……高垣さん!?」

楓「はい?」キョトン


武内P「誤解を……解かれて、いないのですか!?」


楓「……」


武内P「……!?」


楓「あっ、豪快な誤解」


武内P「ダジャレで! ダジャレで、誤魔化さないでください!」

695: 2019/01/19(土) 00:19:30.19 ID:BK6jiYxNo
武内P「あの……! 連絡をお願い出来ますか!?」

楓「直接でないと、話すつもりは無い……って」

武内P「で、では! 高垣さんから!」

楓「私が話そうとしても、拗ねちゃってて……」

武内P「わ、わかりました……!」


武内P「スケジュールを調整し、お伺いします……!」


楓「えっ?」パチクリ!


武内P「ですので、高垣さんも……」

楓「……」

武内P「あの……高垣さん?」

楓「……」



楓「挨拶、ですか?」


武内P「違います!」




おわり

引用元: 武内P「笑顔です……変身ッ!」