1: 2017/02/17(金) 21:41:02.65 ID:B8hDc9Jn0

はじめに

・新世紀エヴァンゲリヲンのTVアニメ版沿いに進行していきます。
尚、旧劇場版、新劇場版、鋼鉄のガールフレンド、2ndインプレッションの要素が含まれる場合があります。

・このスレは工口やグロ主体ではありません。
しかしながら、それらの要素が含まれる「かも」しれないのでこちらに立て直すことに致しました。

・展開に関するレスは配慮していただくと助かります。SS初心者なので反応はなんでも嬉しいです。

・アスカは旧です。ヤンデレ化。
特定の機関、人物に対してのアンチはないつもりですが、それでもいいと思う方のみ暇つぶしにお読みください。

2: 2017/02/17(金) 21:45:49.74 ID:B8hDc9Jn0
- ネルフ 本部 -

リツコ「テストスタート」

マヤ「ハーモニスク正常値。A10神経接続への干渉、ありません」

リツコ「続けて」

マヤ「深度をさげます。――……0.1、0.2、0番1番、ともに汚染区域に隣接。限界です」

リツコ「……ふぅ」

マヤ「やっぱり、まだまだ、ですか?」

リツコ「エヴァとのシンクロやハーモニスクが安定しているからといって楽観視はできないわよ」

リツコ『……シンジくん、レイ、上がっていいわよ』

シンジ&レイ『はい』

3: 2017/02/17(金) 21:48:49.49 ID:B8hDc9Jn0
- ネルフ本部 第三通路 自販機前 -

シンジ「(今日の晩御飯は何にしようかなぁ)」

◯◯「やぁ、君が碇シンジくん、かな?」

シンジ「え? えっと……そうですけど」

◯◯「――失礼。自己紹介がまだだったね。俺は加地。加地リョウジ。気軽に加地とでも呼んでくれ」

シンジ「は、はぁ」

加地「すこし、話がしたいんだが今は時間あるかな?」

シンジ「話、ですか?」

加地「そう、少し改まった話でね。もう少し静かな所に移動してくれるとありがたいんだが――」

シンジ「(なんだろう……)……それは、大丈夫ですけど」

加地「悪いな。それじゃ移動しようか。おっと、コーヒーでいいかい?」

シンジ「はい」

加地「付き合わせるついでに俺からおごらせてもらうよ」

4: 2017/02/17(金) 21:50:22.81 ID:B8hDc9Jn0
- ネルフ 本部 郊外 スイカ畑 -

加地「ここなら、心配ない」

シンジ「あの、話っていったい?」

加地「シンジくんは生き物を飼ったことがあるかい?」

シンジ「……?」

加地「生き物はいいぞー。育てると色んなことが見えてくるしわかってくる」

シンジ「……そうですね」

加地「悪い。話を逸らすのは癖でね。ここにキミを呼んだのは父上について話たかったからだ」

シンジ「父さん?」

加地「……あぁ。シンジくんはお父さんについてどこまで知ってる?」

シンジ「……父さんのことはあまり知りません」

加地「親子なのに、なぜだい?」

シンジ「……あまり、会わなかったから」

加地「シンジくんは、養父に育てられたんだったね?」

5: 2017/02/17(金) 21:52:27.41 ID:B8hDc9Jn0
シンジ「はい、そうですけど、あの、いったい……」

加地「キミのお父さんはある重大な隠し事をしている」

シンジ「隠し事、ですか?」

加地「あぁ。できれば、その隠し事を暴くために俺に協力してほしいんだ」

シンジ「協力?」

加地「そうだ。約束してくれるなら俺も君の味方になろう。約束するよ」

シンジ「……あの、ちょっと、意味が……」

加地「すまないな。詳しくは言えない。言ってしまえば君は協力を拒めなくなる。だから、嫌なら断ってくれてもいい」

シンジ「(拒めなくなるってどういうことなんだろう)」

加地「突然のことで驚きもあると思う。返事はすぐにとは言わないが、どうする?」

シンジ「………………」

加地「………………」

シンジ「……………どうして、父のことを知りたいんですか?」

6: 2017/02/17(金) 21:54:29.29 ID:B8hDc9Jn0
加地「俺は昔からアトランティスの海底都市とかUMAとかには目がなくてね。どうしても興味がつきないんだ」

シンジ「父さんは、それと同じってことですか?」

加地「……少なくとも俺にとっては、ということにしておこうか。シンジくんもお父さんについて知らないことばかりなんだろう?」

シンジ「………………はい」

加地「興味だけで首をつっこむにはすこしこわいかな?」

シンジ「よく、わかりません」

加地「……そうか」

シンジ「あの、返事は、すこし待ってもらえませんか?」

加地「かまわないよ。近々、会うことにもなるだろうね」

シンジ「えーと、ネルフの職員、なんですよね?」

加地「いや、俺はフリーターみたいなもんさ」

シンジ「……?」

加地「セカンドチルドレンと一緒に会うことになる」

シンジ「……セカンド、チルドレン」

加地「かわいい女の子だぞ? それじゃ、今度は船上で会おう、それまでに答えを決めておいてくれ」

シンジ「あ、あの……っ!」

シンジ「行っちゃった……なんだったんだろう……加地、さんか……」

7: 2017/02/17(金) 21:56:38.51 ID:B8hDc9Jn0
- ミサト宅 -

ミサト「ぷはぁ~~っ! くぅ~~っ! やっぱコレよねー!」

シンジ「……あの、ミサトさん」

ミサト「どしたの~? シンちゃん」

シンジ「ネルフってフリーターでも入れるんですか?」

ミサト「ふりーたぁー?」

シンジ「はい、あの、ちょっと気になることがあって」

ミサト「フリーターって僕アルバイトォのフリーターってことでいいのかしら」

シンジ「たぶん」

ミサト「シンジくんも知ってると思うけど、ネルフ本部に入るためには専用のゲートがあるわよね?」

シンジ「はい」

ミサト「通るにはIDカードが必要になる、ここまで言えばわかるかしらん?」

シンジ「……(じゃあ、あの人は?)」

ミサト「……シンちゃん、もしかして気になる女の子でもできた?」

シンジ「なっ⁉︎ ち、違いますよ!」

ミサト「むふふ~照れちゃってぇ~! 隠さなくてもお姉さんは大丈夫よ?」

シンジ「ほ、ほんとに違うんですって!」

ミサト「まぁまぁ、いいからいいから。そうねぇ、IDが必要になったらリツコにでも言いなさい。見学ならできるから」

シンジ「だから違うって言ってるでしょ! 僕は加地さんって人がいたから!」

ミサト「…………」

シンジ「あの、ミサトさん、えびチュ、こぼれ」

ミサト「シンジくん、あんた、今、なんて言ったの?」

シンジ「え? あの、だから、僕は女の子じゃなくて」

ミサト「……フルネーム、聞いた?」

シンジ「……あ、はい。えっと、加地リョウジって言ってました」

ミサト「か、かかかかかか、かぁじぃ~~っ⁉︎」バンッ

シンジ「ひっ⁉︎ ミサトさん! 首が締まる!」

ミサト「ホント⁉︎ 本当に加持リョウジだって言ってたのね⁉︎」グイッ

シンジ「いただだっ! はい! たしかに加地だって言ってました!」

ミサト「…………」

シンジ「………(やっと離してくれた)……あの、ミサトさん?」

ミサト「…………あ、悪夢だわ」

8: 2017/02/17(金) 21:59:32.49 ID:B8hDc9Jn0
- 翌日 ネルフ本部 ラボ -

リツコ「――加持くんが?」

ミサト「そうなのよ、昨日、シンジくんから聞いたんだけど」

リツコ「まさか。彼は今、ドイツでセカンドチルドレンに帯同しているはずよ。ありえないわ」

ミサト「…………同姓同名って可能性は?」

リツコ「MAGIのデータベースにそんな名前はないわよ」

ミサト「ちょっち、キナくさくなってきたわね」

リツコ「気にしすぎじゃない?」

ミサト「そうかしら? シンジくんは加持と面識はないはずだし……名前を知ってるのはどう考えてもおかしいわよ」

リツコ「……サードチルドレンの警護レベルをあげる?」

ミサト「いえ、しばらくは様子を見ましょう」

リツコ「そう。そういえばセカンドチルドレンと二号機の引き渡し期日、迫ってきてるわよ」

ミサト「いつ?」

リツコ「明後日。護衛には米艦隊がつくらしいわ」

ミサト「はぁ~。またやっかみがあるのね」

リツコ「仕事よ。セカンドチルドレンは喜んぶんじゃないかしら」

ミサト「あの子は当然と思っていそうだけど」

リツコ「シンジくんも連れていってあげたら?」

ミサト「ん?」

リツコ「たまには息抜き、させてあげてもいいでしょう?」

ミサト「いっがぁ~い! リツコからシンジくんを気にかけるなんて」

リツコ「ヤシマ作戦ではそれなりの戦果をあげたから。それだけよ」

ミサト「……そうね。それもいいかもしれないわね」

リツコ「…………」

9: 2017/02/17(金) 22:02:06.18 ID:B8hDc9Jn0
- ネルフ本部 ??? -

冬月「君の息子に接触したようだが?」

ゲンドウ「心配ない。鈴はつけてある」

冬月「ふむ。しかし『加地』と名乗ったそうだが、いいのかね?」

ゲンドウ「……あぁ」

冬月「鳴らない鈴に意味はないのではないか?」

ゲンドウ「それならば鈴を変えればいいだけだ」

冬月「しかし、いずれ加地と加持が別人だと君の息子にわかるぞ」

ゲンドウ「……全てはシナリオ通りだ、冬月」

冬月「…………」

10: 2017/02/17(金) 22:03:53.39 ID:B8hDc9Jn0
- ミサト宅 -

ミサト「――と、いうわけでぇ、明後日にちょっとした旅行に行くわよん」

シンジ「は、はぁ」

ミサト「セカンドチルドレンは、女の子よ? どう? 嬉しい?」

シンジ「…………(あの人の言ったことは本当だったんだ)」

ミサト「……シンちゃん?」

シンジ「あっ、いえ、あの、はい。わかりました」

ミサト「……そう? お友達も連れていってかまわないわよ」

シンジ「え? でも、いいんですか? 機密とか」

ミサト「そこは私の権限でなんとかしましょう。シンジくんは日頃から頑張ってくれてるんだもの。それぐらいしてもバチは当たらないわ」

シンジ「……あ…ありがとうございます。ミサトさん」

ミサト「いつかも言ったけど、あなたは、みんなに誇れる立派なことをやってるのよ? もっと胸をはりなさい」

シンジ「……本当に僕でいいのかなって思うんです」

ミサト「…………」

シンジ「誰かに言われて乗ってるだけだし、こわいんです」

ミサト「シンジくん――……」

シンジ「ご、ごめんなさい」

ミサト「……あなたの気持ちがどうであれ、あなたのおかげで結果私たちは生きていられる。今はそれだけを考えなさい。……ね?」

シンジ「……はい」

11: 2017/02/17(金) 23:21:10.08 ID:B8hDc9Jn0
- アスカ 夢の中 -

看護婦「偉いのね、アスカちゃん、いいのよ、我慢しなくても」

アスカ「いいの、私は泣かない、私は自分で考えるの」

アスカ父「何がいいのかな?」

アスカ「――いいの。私はなんでもできる。もう子供じゃないの」

アスカ父「どうして新しいママからのプレゼントを捨てたりしたんだ?」

アスカ「私のことはほっといて!」

義理母「アスカちゃん……」

アスカ「いや! いやっ! 嫌! みんな大っ嫌い!」

キョウコ「アスカちゃん――」

アスカ「ママッ! いなくならないで! 私のママをやめないで!」

キョウコ「アスカ――」

アスカ「その手にあるのは違うわ! 私はママの人形じゃない! ねぇっ! お願いだからこっちを見て!」

キョウコ「一緒に氏んでちょうだい」

アスカ「いやっ! ママッ! ママをやめないで!」

キョウコ「氏になさい」

アスカ「いや! もういやぁっ!!!!!」

キョウコ「しね。しね」


アスカ「嫌ぁぁああっ!!!」

12: 2017/02/17(金) 23:22:35.81 ID:B8hDc9Jn0
- オーバーザレインボー 艦内 -

アスカ「…………」

加持「どうした? 嫌な夢でも見たのか?」

アスカ「……なんでもない」

加持「そうか」

アスカ「……ねぇ、加持さん」

加持「ん?」

アスカ「……抱いて」

加持「こりゃまたなんとも魅力的な誘惑だな」

アスカ「――どうして⁉︎ 私はもう子供じゃない!」

加持「…………」

アスカ「胸だってもうこんなにあるのよ! ねぇ!」

加持「……アスカは、まだ子供さ」

アスカ「…………っ」

加持「……明後日、ミサトが受け取りにくるそうだ」

アスカ「…………」

加持「サードチルドレンも連れてくるそうだぞ」

アスカ「……興味ない」

加持「男だって話だが――」

アスカ「ガキになんて興味ない!」

加持「……しかし、彼は初めてのシンクロで40%を超えていたそうだぞ」

アスカ「――――うそぉっ⁉︎」

13: 2017/02/17(金) 23:30:49.50 ID:B8hDc9Jn0
- オーバーザレインボー 当日 -

ケンスケ「まさにゴージャス! さすがは国連軍が誇る正規空母、"OVER THE RAINBOW"!

ミサト「よくこんな老朽艦が浮いてられるものねぇ」

ケンスケ「すげぇ~っ! これがミニッツ級航空母艦! しびれるゥ~~っ!! おおーっ、空母が5、戦艦4、大艦隊だ!」

シンジ「ケンスケ、あまり身を乗り出すと危ないよ」

ケンスケ「いかりっ! いや! 碇先生! 誘ってくれてありがとな! ほんっと持つべきものは友達だよ!」

シンジ「あはは」

トウジ「ワシにはさっぱり良さがわからんわ」

ケンスケ「この良さがわからないだってぇ⁉︎ ……あっ! あっちのはアイオワ級母艦! アーレイバークレー母艦も!!」

トウジ「…………はぁ」

ケンスケ「おぉーっ! 凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄すぎるーっ! トウジも男だったら涙を流すべき状況だね! これは!」

トウジ「さよか」

ミサト「ふふっ、連れてきた甲斐があったわ」



アスカ「――――ヘロォ~ゥ、ミサトっ!」

14: 2017/02/17(金) 23:33:00.49 ID:B8hDc9Jn0
ミサト「――アスカ、久しぶりね」

アスカ「……で? サードチルドレンはどこ?」

ケンスケ「お、おい。誰だよあのかわいい子」

トウジ「ほんまや、シンジ、知らんのか?」

シンジ「…………(たぶん、あの子が……)」

ミサト「ここにいるわよ」

アスカ「ふぅ~~~~ん」


トウジ&ケンスケ&シンジ「……………」


アスカ「あんたね! サードチルドレンは!」

トウジ「わ、ワシ?」

ケンスケ「――ぷっ」

アスカ「なによ? 違うの?」

ミサト「……アスカ、シンちゃんは、こっちよ」

アスカ「え、えぇ~~っ⁉︎ こんなにさえないやつぅ⁉︎」

15: 2017/02/17(金) 23:35:53.26 ID:B8hDc9Jn0
アスカ「………………?」

シンジ「………………」

アスカ「………………」

シンジ「………………」


トウジ「なんや? あの二人。見つめあってるで」

ケンスケ「二人の世界かぁ? いやぁ~んな感じ」

アスカ「………っ⁉︎ ち、ちがうわよ!」

シンジ「……(この子が、セカンドチルドレン)」

アスカ「……(さえないと思ったのになに? この感じ?)」


シンジ&アスカ「(……懐かしい?)」


加持「――二人とも気に入ったようでなによりじゃないか」

ミサト「………………そ、そそその声は……っ⁉︎」

加持「よっ、久しぶりだな。葛城」

17: 2017/02/17(金) 23:40:39.66 ID:B8hDc9Jn0
ミサト「な、なななんであんたがここにいるのよー⁉︎」

加持「アスカの随伴でね。1日ほど一緒の旅路になるな」

シンジ「…………」

加持「――よろしく、碇シンジくん」

シンジ「え? えっと……」

ミサト「シンジくん。前に言ってた加持リョウジってこの人?」

シンジ「………(この人『も』加地? カジリョウジ?)」

ミサト「――シンジくん?」

シンジ「すみません。えっと――」

加持「俺たちは初対面さ。そうだろう? シンジくん」

シンジ「……はい」

ミサト「――そう(初対面? だったらシンジくんに名乗った加持は誰? 警護レベル、真剣に考えた方がいいかもしれないわね)」

加持「……とりあえず、長旅お疲れさん。立ち話もなんだし、移動しないか?」

ミサト「え、えぇ…」

加持「アスカもシンジくんとじっくり話たいのはわかるが、彼は逃げないぞ?」

アスカ「……ち、ちがっ! もー! 加持さぁん!」ギュウ

トウジ「な、なんやあいつ。ワシらとあの加持っていう人への対応が全然ちゃうやないか」

シンジ「…………」

ケンスケ「あれは同性から嫌われるタイプと見た」

加持「さ、じゃあいこうか。狭い艦内だがコーヒーぐらいはだすよ」

19: 2017/02/17(金) 23:46:12.62 ID:B8hDc9Jn0
- 数十分後 オーバーザレインボー デッキ -

加持「よう、遅かったじゃないか」

シンジ「どういうことなんですか?」

加持「すまない。いろいろと疑問はつきないだろうが先に答えを聞かせてくれないか?」

シンジ「でも、あなたとあの時の人は――」

加持「似ても似つかない別人、と言いたいんだろう?」

シンジ「……はい」

加持「それに答えるにも色々とたてこんでいてね。協力するのなら、という条件つきで解消することはできるが――」

シンジ「意味が、言ってることの意味がわかりません」

加持「そうだろうね」

シンジ「こんなので協力しろって言われてもできるわけないじゃないですか」

加持「ふっ。以前に会った俺は影武者みたいなもんさ」

シンジ「影武者?」

加持「代役、でもいいかな。とにかく、君と俺とのパイプ役をかねてもらっている。カジリョウジと名乗ったのは俺と君が合わずとも違和感がないようにしてもらった」

シンジ「こっちの方が違和感がありますよ。そんなことのために?」

加持「それが必要だったからだよ。わざわざ口調を真似てもらったんだが、気がついたかな?」

シンジ「……どうでもいいよ、そんなの」

加持「気を悪くしてしまったのならすまない。ちなみに俺との会話は葛城……君にとってはミサトに言わないでくれると助かる」

シンジ「僕、まだ協力するとは言ってませんよ」

加持「協力する、しないにかかわらずだよ。できれば、ということだが」

シンジ「…………」

加持「そんなに葛城を慕っているのかい?」

シンジ「…………怪しい人よりは」

加持「ははっ、こりゃ一本とられたな。たしかに。違いない」

20: 2017/02/17(金) 23:48:56.54 ID:B8hDc9Jn0
シンジ「協力は、できません」

加持「そうか」

シンジ「…………それだけですか?」

加持「意思は自由なものさ。誰のものでもない、キミだけのものだ」

シンジ「(なんなんだよ、この人)」

加持「さて、あまり時間がない。アスカのこと、よろしく頼むよ」

シンジ「……アスカを?」

加持「あれでいてなかなかに脆い子でね」

シンジ「約束は、できませんよ」

加持「それならそれでかまわないさ。ほら、コーヒー」

シンジ「…………」

加持「(そろそろか……)」

加持「シンジくん。君はこれから色々とやっかいなことに巻き込まれるだろう。だが、それは君のせいじゃない。……いいね?」

シンジ「……?」

加持「これだけは忘れないでくれ。トリガーはキミじゃない。初号機のコアだということを」

シンジ「なにを言って――」


『緊急入電。正体不明の物体接近。総員、戦闘配置。これは訓練ではない。繰り返す――』


シンジ「………っ⁉︎ ……なんだ⁉︎」

21: 2017/02/17(金) 23:52:52.32 ID:B8hDc9Jn0


――――タタタタッ


アスカ「――はぁっ、はぁっ、こ、こんなところにいたの、サードチルドレン」

シンジ「あ、君は……」

アスカ「いいから来なさい!」グイッ

シンジ「うわぁ⁉︎ ちょっと! なんなんだよ! いたたた! 耳ひっぱ!」

アスカ「い・い・か・らぁっ! 黙ってついてくんのよ!」グイグイッ

シンジ「いだだ! わかったから離して――!」

アスカ「……ふんっ!」




加持「(シンジくん、君の未来に幸せがあることを祈っている)」

22: 2017/02/17(金) 23:56:01.61 ID:B8hDc9Jn0
- エヴァ弐号機 エントリープラグ内 -

アスカ「……LCL Füllung。Anfang der Bewegung。Anfang des Nervenanschlusses。Auslösung von Linkskleidung. Synchro-start」

シンジ「え? なに?」

アスカ「チッ、不純物が多い……。あんた、なにやってんのよ。ドイツ語で言って、ほら」

シンジ「あ、あぁ~。えーっと、ぐ、グーデンボーゲン?」

アスカ「…………」

シンジ「…………ば、バームクーヘン?」

アスカ「あんたドイツ語もできないのぉ⁉︎ これだからガキは嫌いよ!」

シンジ「で、できるわけないじゃないかぁ! 僕は日本人だよ!」

アスカ「はぁ……。エントリープラグ起動。言語は日本語で」

シンジ「だいたいなんで僕がこんなところにいなきゃらないんだよ」

アスカ「この私様の初陣を特等席で見せてやるって言ってんのよ? 感謝しなさい」

シンジ「……別に僕は見たいなんて」モゴモゴ

アスカ「なに?」

シンジ「なんでもない」

アスカ「あんた、ちょおっと良い成績だからって調子にのってるんじゃないの?」

シンジ「そ、そんなわけないだろ⁉︎」

アスカ「フンッ! どーだか! 見てなさい……(行くわよ、私の弐号機)」

23: 2017/02/17(金) 23:58:58.62 ID:B8hDc9Jn0
- 戦闘後 エヴァ弐号機 エントリープラグ内 -


ミサト『シンジくん、アスカ、今引き上げるからちょっち待ってねー』


シンジ「……ふぅ~」

アスカ「…………」

シンジ「(はやくプラグスーツ脱ぎたいなぁ)」

アスカ「……どうして、さっき邪魔したの?」

シンジ「ん?」

アスカ「開けって念じてる時、私の手を掴んだでしょ」

シンジ「あぁ、それはだって二人で乗ってるから――」

アスカ「なんで邪魔すんのよっ!!!」ガンッ

シンジ「いだぁ!」

アスカ「私ひとりでもどうにかできたのに!」

シンジ「しかたないじゃないか! あの時はああするしかなかったんだから!」

アスカ「だからそれが必要ないって言ってんの!」

シンジ「だったらどうにかしてみせてから言ってよ!」

アスカ「――ぬぁんですってぇっ⁉︎ 私の弐号機なのよ! あんたはただの見学なんだからぁっ!」

24: 2017/02/18(土) 00:03:14.18 ID:xddyXNiy0
シンジ「僕はアスカを守ってあげたんだからいいだろ⁉︎」

アスカ「――守る⁉︎ あんたが⁉︎ この私を⁉︎ あんた何様よ!」バタバタ

シンジ「結果倒せたんだしもういいじゃないか! 暴れるなって!」

アスカ「勝手に名前で呼んだ罰よ! あぁ~~んもう! なんでこいつと一緒にいなくちゃなんないのよ!」

シンジ「アスカが僕を乗せたんだろ⁉︎ ジタバタしたってなにも解決しないよ!」

アスカ「えっらそーに! あぁ~ん! 無敵のシンジさまぁ~! はんっ! そんなの期待してんでしょ! このスケベっ!」

シンジ「このっ――! そんなの期待するわけないだろ! 僕にだって選ぶ権利ぐらいあるよ!」

アスカ「私のどこが気にいらないっていうのよ! バカバカバカ! バカシンジっ!!」

25: 2017/02/18(土) 00:07:27.99 ID:xddyXNiy0
- エヴァ弐号機 引き上げ後 -

シンジ&アスカ「…………ふんっ!」

ミサト「ど、どしたの? あの子たち」

ケンスケ「さぁ? でもたいして気にするほどでもないんじゃないっすかぁ~?」

トウジ「……シンジがあんなに感情的になるのはめずらしいのー」

ケンスケ「たしかに。碇って一歩引いてる感じがするんだよなぁ~」

ミサト「……あなた達の前でもそうなの?」

トウジ「まぁ、たまーにですけど」

ケンスケ「うんうん」

ミサト「ふぅ~ん」

トウジ「それよりミサトさん、あの帰った人はいいんですか?」

ミサト「――加持………っ! あの野郎、今度会ったらただじゃ!」

トウジ「…………」

ケンスケ「こっちもこっちで――」


トウジ&ケンスケ「いやぁ~んな感じ」

26: 2017/02/18(土) 00:12:53.42 ID:xddyXNiy0
- 3日後 ネルフ本部 ラボ -

リツコ「……ふぅ」

加持「ため息をついてるのかな」

リツコ「……加持くん、終わったの?」

加持「あぁ、振られてしまったけどね」

リツコ「……そ」

加持「リッちゃんにも迷惑かけたな」

リツコ「アルバイトもほどほどにね。じゃないと火傷じゃすまなくなる」

加持「肝に命じておくよ。碇司令の様子は?」

リツコ「変わらないわよ、シンジくんについてもいつも通り」

加持「難儀だな。だが、まだ気がつかれてはまずい」

リツコ「いつまで誤魔化せるかしらね」

加持「さぁな。まだ今は大丈夫、それだけさ」

リツコ「ミサトにも言わなくていいの?」

加持「葛城に言ったら先走りそうなんでね」

リツコ「そうね。人は皆、様々な体験をしながら生きている。……ミサトも複雑ですもの」

加持「……今夜の予定はどうかな?」

リツコ「うふふ。でもだめよ。……こわぁ~いお姉さんが見てるから」

27: 2017/02/18(土) 00:14:52.91 ID:xddyXNiy0
ミサト「――で? なんであんたまだここにいんの?」

加持「出向命令さ。また三人でつるめるな。大学の時みたいに」

ミサト「…………はぁ」

リツコ「ミサトもまんざらでもないんでしょ? 素直になったらいいのに」

ミサト「そ、そんなわけないでしょ⁉︎」

加持「こいつのそんなとこもいいのさ」

ミサト「ちょ⁉︎」

リツコ「あら、さすがは加持くんね」

ミサト「あ、あんたたち――!」

加持「それはそうと葛城。アスカの住まいの手続きは進んでるのか?」

ミサト「……まだよ! マンションに住むと思うんだけど」

加持「おいおい、遅くないか?」

リツコ「シンジくんと一緒に引き取ったら?」

ミサト「……ってことはウチぃ?」

リツコ「家族ごっこはもう飽きたの?」

ミサト「そんなことは……ないけど」

加持「いいんじゃないか。エヴァのパイロット同士」

ミサト「でも、あの二人大丈夫なのかしら?」

リツコ「合わなければ分ければいいだけよ」

ミサト「う、う~ん」

28: 2017/02/18(土) 00:16:43.23 ID:xddyXNiy0
- 2日後 ミサト宅 -

シンジ「な、なんだよ、これ……」

アスカ「あら? あんた帰ってきたの」

シンジ「あ、アスカ。これはいったい……」

アスカ「あんた、お払い箱よ」

シンジ「……お……おはらい……」

アスカ「あんたの部屋の荷物、そこのダンボールにまとめといたから」

シンジ「えぇ⁉︎」

アスカ「それにしても日本人ってなんでこんなに警戒心がないのかしら」

シンジ「……………」

アスカ「見てよ、このふすま。扉に鍵もかけられないのよ? 信じられないわ――」

ミサト「――日本人の信条は慎ましさと奥ゆかさだからよ」

アスカ「うわぁ⁉︎ み、ミサト……いつから………」

29: 2017/02/18(土) 00:17:58.30 ID:xddyXNiy0
ミサト「――シンジくんとアスカにはこれから一緒に生活をしてもらいます」


シンジ&アスカ「えぇ~~~~⁉︎」


アスカ「なんで私がこんなやつと!」

シンジ「み、ミサトさん! 無理ですよそんなの!」

アスカ「男女七歳にして同衾せずって言うでしょ⁉︎」

ミサト「……変なところで日本人なのね」

アスカ「とにかく! 私は嫌よ! だったら出てくわ!」

ミサト「あなたの住まいはもうここに登録されてるの。どうしてもって言うのなら通路しかないけど」

アスカ「そ、そんなぁ!」

シンジ「あの、なんでなんですか」

ミサト「ん~? 特に理由なんかないわよん。エヴァのパイロット同士、仲良くしなきゃ……ね?」

シンジ「…………………………」

アスカ「…………………………」

シンジ&アスカ「はぁ」

30: 2017/02/18(土) 00:20:36.50 ID:xddyXNiy0
ミサト「それと、突然で悪いんだけど、今夜はどうしても抜けられない仕事があるのよ」

アスカ「い、いきなりぃ?」

ミサト「だから、今夜はシンちゃんと二人で夕食食べちゃいなさい」

アスカ「ちょっと! 初日から二人きりって襲われたらどうするのよ!」

ミサト「…………襲うの? シンちゃん」

シンジ「…………いえ」

アスカ「なによ! 私に魅力がないってーの⁉︎」

シンジ「なんなんだよ!」

ミサト「あぁーはいはい。わかったから、それじゃ、戸締りはしっかりするのよ」

31: 2017/02/18(土) 00:22:15.38 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 1時間後 -

シンジ「アスカぁ、夕飯できたよー」

アスカ「…………」

シンジ「麦茶でいい?」

アスカ「……いい」

シンジ「なにがよかったからわからなかったからシチューにしたけど、大丈夫?」

アスカ「…………」

シンジ「…………(はぁ)」

アスカ「…………」パクっモグモグ

シンジ「いただきます」

アスカ「………まぁまぁね」

シンジ「ん?」

アスカ「味のこと言ってんのよ! でもシチューぐらい誰でも作れるんだから調子に乗るんじゃないわよ!」

シンジ「あ、あぁ。なんだそんなことか」

アスカ「特別に! 名前で呼ぶことを許可してやるわ!」

シンジ「今までだって名前で――」

アスカ「あんたが勝手に呼んでただけでしょ⁉︎」

シンジ「……わかったよ。ありがとう、アスカ」

アスカ「…………ふんっ!」

33: 2017/02/18(土) 00:24:51.72 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 食後 -

シンジ「ミサトさん、今日は遅いのかな」

アスカ「あんたっていつも家事してんの?」

シンジ「ん? うん。そうだよ、だってミサトさんやらないから」

アスカ「信じらんない。草食系ってやつ?」

シンジ「どうなんだろう? 自分ではよくわからないや」

アスカ「世も末ね……」

シンジ「アスカは料理しないの?」

アスカ「エヴァのパイロットなんだからしなくていいでしょ」

シンジ「そうなのかな」

アスカ「あんたねぇ、私たちの仕事は使徒を倒すことなのよ? あんた、なんのためにエヴァに乗ってるの?」

シンジ「――正直、よくわからないんだ。人のため、とかじゃないし、言われたから乗ってるだけで」

アスカ「…………あ、あんた、そんな理由でエヴァに乗ってるの?」

シンジ「うん。アスカはなんのために乗ってるの?」

アスカ「決まってるわ! 私は人に褒めてほしいからよ! 自分で自分を褒めてあげたい!」

シンジ「へぇー。なんかすごいね」

アスカ「そうよ! だからプライドをもって私はエヴァに乗ってるの!」

シンジ「プライドかぁ。でも、疲れないの?」

アスカ「…………え?」

シンジ「だって、頑張ってるってことは無理してるってことだよね?」

アスカ「そ、そうよ?」

シンジ「アスカは褒められたいから――でも、そうか、褒められるならいいんだ」

アスカ「ま、まぁそういうこと――」

シンジ「――息がつまったりはしないのかなぁ」

アスカ「…………っ⁉︎」

シンジ「……ん? どしたの?」

アスカ「あんたに、あんたなんかに! なにがわかるってーの!」

34: 2017/02/18(土) 00:25:50.68 ID:xddyXNiy0
>>32
どうもです
落ち着いたらそうしようと思います

35: 2017/02/18(土) 00:27:02.70 ID:xddyXNiy0
シンジ「うわぁ⁉︎ いきなりなんだよ!」

アスカ「うるさい! うるさいうるさいうるさい!」バンッ

シンジ「…………なんなんだよ」

アスカ「……………」

シンジ「……………」

アスカ「…………もう寝る」

シンジ「え? あの、風呂は?」

アスカ「…………いい」

シンジ「そ、そう」




ペンペン「クェー」

36: 2017/02/18(土) 00:29:19.67 ID:xddyXNiy0
- 深夜 シンジの部屋 -

シンジ「(アスカか、あの子も悪い人じゃないのかな)」

シンジ「(使徒。倒すべき敵。どこからきて、どこに行こうとしてるんだろ…………)」


――ガラガラ


シンジ「(……ん?)」


ドサッ


シンジ「ぇ…………っ⁉︎ ぁ、ぁ、あ」

アスカ「……………………」スヤァ

シンジ「え、ちょ」

アスカ「……………………」

シンジ「(め、目の前に)」

アスカ「……………………」

シンジ「……………………」

アスカ「……………………」

シンジ「……………………(く、唇……)」

アスカ「ん………」

シンジ「…………っ」

アスカ「………ま…………ママぁ……ママぁ……」

37: 2017/02/18(土) 00:30:37.98 ID:xddyXNiy0
シンジ「――っ!」

アスカ「………………」

シンジ「(あ、あぶなかった!)」

アスカ「………………」

シンジ「泣いてる。寂しいのかな……」

アスカ「………………」

シンジ「なんだよ。自分の方が子供じゃないか」

アスカ「………………」

シンジ「……はぁ。しかたない、起こすか」

アスカ「………………」

シンジ「ねぇ、アスカ、起きてよ。風邪引くよ」

アスカ「………ん」

シンジ「アスカ、アスカってば」

アスカ「…………う、うぅん」

38: 2017/02/18(土) 00:33:32.64 ID:xddyXNiy0
シンジ「起きてよ、アスカ」

アスカ「…………ん?」

シンジ「はぁ、やっと起きた。自分の部屋に帰りなよ」

アスカ「…………え? あ?」

シンジ「…………起きた?」

アスカ「…………⁉︎ あ、あああんた!なんで私の部屋に! フンッ!」ガンッ

シンジ「いだぁ! け、蹴ることないだろ!」

アスカ「草食系だと思ってたらよくもやってくれたわね! あんたなんかいられなくしてやる!」

シンジ「よく見ろよ! ここ僕の部屋だろ!」

アスカ「私に興奮して、あんたが私を連れこんだんでしょ⁉︎」

シンジ「そんなことしないよ!」

アスカ「信じられないわ!」

シンジ「ママって言ってたから起こしてあげたのになんだよ!」

アスカ「――っ!? あんた今なんて言ったの!!」

シンジ「自分の方が寂しいんじゃないか!」

アスカ「人の寝言を聞いてたの⁉︎ さいってーね!」

シンジ「聞きたくて聞いたわけじゃないよ!」

39: 2017/02/18(土) 00:35:41.85 ID:xddyXNiy0
アスカ「…………」

シンジ「…………」

アスカ「…………だめね、やっぱりミサトに言って部屋変えてもらいましょ」

シンジ「…………」

アスカ「あんたとは一緒には――」

シンジ「――僕は、母さんの記憶があまりないんだ」

アスカ「…………え?」

シンジ「小さい頃に氏んだらしくて、父さんもほとんど話てくれない」

アスカ「…………」

シンジ「生きていたとしても、どんな顔をすればいいかわからないから、きっと他人事みたいに考えてるんだと思う」

アスカ「あんたのお父さんって碇司令よね」

シンジ「うん。父さんは僕に興味なんかなくて、先生のところで育ったんだ」

アスカ「…………」

シンジ「いちおう、養父ってことになってるけど、久しぶりに会ったら、いきなりエヴァに乗れって言われて」

40: 2017/02/18(土) 00:38:27.27 ID:xddyXNiy0
シンジ「そう考えると、僕は父さんに興味をもってもらいたくて、認められるためにエヴァに乗ってるのかもしれない」

アスカ「…………」

シンジ「でも、誰かの役にたってたら、とも思う」

アスカ「……あっそ」

シンジ「アスカは、家族はやっぱり――」

アスカ「ドイツにいるわよ。……けど、嫌いなわけじゃないのよ? ただ、ちょっと疲れるっていうか」

シンジ「本当のお母さんは?」

アスカ「――っ!」

シンジ「あ、ごめん」

アスカ「あんた、何が悪いかわかってて謝ってんでしょうね⁉︎」

シンジ「……うん。きっと僕のデリカシーがなかったたからだと思う」

アスカ「…………」

シンジ「僕も母さんがいない、記憶にはないけど、いないのは同じだから」

アスカ「…………」

シンジ「だから、ごめん」

アスカ「…………ふん」

41: 2017/02/18(土) 00:43:31.76 ID:xddyXNiy0
- 翌日 朝 ミサト宅 -

ミサト「うぅ~、あだまいだぁ~」

アスカ「うっ……。酒くさっ」

シンジ「ミサトさん、水飲みます?」

ミサト「ありがとうシンちゃぁ~ん」

アスカ「昨日は仕事じゃなかったの」ジトー

ミサト「仕事もしてたわよぉ~」

シンジ「アスカ、ミルクでいい?」

アスカ「……(私、こいつに本当の母親がいないこと言った? それも寝言なの?)」

シンジ「目玉焼きはきちんと焼く?」

アスカ「……そうね」

シンジ「わかった」

ミサト「………(とりあえず、安心かしらね)」

42: 2017/02/18(土) 00:46:32.04 ID:xddyXNiy0
- ネルフ 本部 ??? -

加持「いやはや、危険な賭けでしたよ」

ゲンドウ「………賭けは勝ってこそ意味がある」

加持「ご子息についてはよろしいので?」

ゲンドウ「問題ない」

加持「葛城一尉が少し勘繰っているようですが――」

冬月「君のもう1人の加地については、我々で処理しある」

加持「助かります」

冬月「しかし、本当に顔合わせが必要だったのかね? 私にはそうは思えんが」

加持「楔は打ってこそ意味があります。後々にね」

ゲンドウ「積荷はどうなった?」

加持「こちらです。特殊ベークラフトで保存されてますが――生きてます」

ゲンドウ「君には借りができたな」

加持「気にすることありませんよ。どうせ返すつもりもないんでしょ?」

冬月「………ご苦労だった。もうさがっていい」

43: 2017/02/18(土) 00:49:52.80 ID:xddyXNiy0
- 第三東京市立第壱中学校 2-A -

先生「あ~、それでは、みなさんに転校生を紹介します。アスカくん、前へ」

アスカ「惣流・アスカ・ラングレーです! よろしくお願いします!」


男子生徒「「「うおぉお~~! かわいいぃ~~」」」


トウジ「だ、誰や、あ、あいつは」

ケンスケ「別人みたいに愛嬌ふりまいてるよ」

シンジ「猫かぶっちゃってるねぇ」

先生「席は、そうですね、洞木さんの隣でいいですかね」

ヒカリ「はい!」

44: 2017/02/18(土) 00:52:28.02 ID:xddyXNiy0
- 昼休み 教室 -

アスカ「あなたがファーストチルドレン?」

レイ「…………」

アスカ「私、セカンドチルドレン。弐号機のパイロット、惣流・アスカ・ラングレーよ。よろしく、仲良くしましょ?」

レイ「………命令があれば、そうするわ」

アスカ「な、なによこいつ! ふんっ!」

トウジ「うはぁ~あれは完全に牛乳と油やなぁ」

ケンスケ「それを言うなら水と油だろ。にしても、あんなに対照的な2人もめずらしいねぇ~」

シンジ「………………」

ケンスケ「碇はどっちがタイプなんだい? やっぱり綾波?」

シンジ「えっ?」

トウジ「センセだとどっちでもイケるで」

シンジ「いや、僕はそんなんじゃ」

ケンスケ「まぁまぁ。タイプぐらいいいじゃないか」

トウジ「せやせや! ビシっと男らしく言うたらんかい!」

シンジ「…………う~ん」

ヒカリ「すずはらぁっ! また馬鹿なこと言ってるでしょ⁉︎」

トウジ「なんや委員長! 男同士の会話にはいってくな!」

45: 2017/02/18(土) 00:54:47.02 ID:xddyXNiy0
シンジ「(アスカも悪い人じゃないし、綾波も仲良くなれるといいな………よしっ)」

トウジ「センセ、どこ行くねん?」

ケンスケ「おっ?」


スタスタッ


シンジ「――綾波、ちょっといいかな」

レイ「…………?」

シンジ「さっきの、アスカ、その、悪い人じゃないよ」

レイ「……………」

シンジ「仲良くしても、大丈夫だと、思う」

レイ「……………」

シンジ「……………」

レイ「………碇くんは、仲良くしたいの?」

シンジ「ん? えっと、どうだろう」



トウジ「なんや、シンジ仲を取り持つつもりかいな」コショコショ

ケンスケ「やめたほうがいいと思うけどな~」コショコショ

トウジ「おっ! アスカがじっと見て立ち上がった!」

ケンスケ「こりゃ、修羅場かぁ~?」

46: 2017/02/18(土) 00:56:23.15 ID:xddyXNiy0
アスカ「――バカシンジっ! あんたなに余計なことしてんのよ!」

シンジ「あ。アスカ」

レイ「………………」

アスカ「私はファーストと別に仲良くなりたいなんて望んでないわ!」

シンジ「え? でもさっき――」

アスカ「気が変わったの! これ以上余計なことしないで!」

シンジ「わ、わかったよ」

レイ「……………碇くんは悪くないわ」

アスカ「っ! なによ、あんたまともに口を聞いたと思えばシンジ?」

レイ「……………」

アスカ「はん! また黙っちゃって! もしかしてあんた、シンジのことが好きなの?」

シンジ「あ、あの――」

アスカ「――あんたは黙ってて!」

シンジ「はい」

レイ「………………」

アスカ「あんた、碇司令のお気に入りなんですってね?」

レイ「………………」

アスカ「黙ってちゃなにもわからないでしょう⁉︎ なんとか言いなさいよ!」

レイ「………………かわいそうな人」

アスカ「――――――っ!!!!」


バチンッ!


トウジ&ケンスケ「………あちゃあ~~~」

47: 2017/02/18(土) 01:05:39.39 ID:xddyXNiy0
トウジ「もろにいったであのビンタは」コショコショ

ケンスケ「綾波もムキになっちゃって」コショコショ



シンジ「あの、えっと、だ、大丈夫? 綾波」

レイ「…………………」

アスカ「………………もういいっ!」


ドンッ

ダダダダダッ


シンジ「あ、アスカ⁉︎」

レイ「………………」

シンジ「あ、えーと、その」

ヒカリ「碇くん! なにやってんの! 追いかけて!」

シンジ「え? ぼ、ぼくが?」

ヒカリ「女の子が傷ついてるのよ⁉︎ ほっとくつもり⁉︎」

シンジ「わ、わかったよ!」

レイ「………………」

48: 2017/02/18(土) 01:08:20.48 ID:xddyXNiy0
- 屋上 -

シンジ「………はぁっ、はぁっ、アスカ、足、はやいんだね――」

アスカ「うるさい! 私のことはほっといてよ!」

シンジ「……………」

アスカ「あんたもファーストの方がいいんでしょ⁉︎ さっさといなくなって!」

シンジ「……………」

アスカ「一人になりたいのよ! きらい! 嫌い! みんな大っ嫌い!」

シンジ「あの……これ、ハンカチ」

アスカ「……………っ!」

シンジ「…………」

アスカ「…………」

シンジ「………すこし、落ち着いた?」

アスカ「…………」

シンジ「僕たちはエヴァのパイロットだから、仲良くできたらいい、そう思っただけだよ。余計なことしたみたいでごめん」

アスカ「…………」

シンジ「アスカも、その、話てみたら悪い人じゃなかったから」

アスカ「………なにそれ、だからファーストにあんなこと言ったの?」

シンジ「うん」

アスカ「…………」

シンジ「アスカは初対面だし、綾波も、話てみたら悪い人じゃないよ」

アスカ「…………」

シンジ「も、もちろんアスカも」

アスカ「…………」

49: 2017/02/18(土) 01:12:31.81 ID:xddyXNiy0
シンジ「あんまり、みんな大嫌いとか悲しいこと言うなよ」

アスカ「私はこれまで一人で生きてきたわ」

シンジ「すごいね。アスカは」


アスカ「そうよ! 私はなんでもできる!」
アスカ『だから! ママをやめないで!』


シンジ「……僕には無理だ」


アスカ「あんたには無理でも私はやらなくちゃいけないの!」
アスカ『なんでもやるから! 私のことを殺さないで!』


シンジ「だけど疲れたら、僕も助けるよ」


アスカ「必要ない!」
アスカ『――やめて! 私の中に入ってこないで!」


シンジ「だけど、一人じゃ限界もあると思うから」


アスカ「もうやめて! どっか行きなさいよ!」
アスカ『私の心の中にはいってこないで!』


シンジ「こういうとき――どうしたらいいかわからないんだ」


アスカ「ひっ! ち、近寄らないで!」
アスカ『私の心にあゆみよらないで!』


シンジ「……泣いたっていいんだよ、アスカ」


アスカ「――――――――っ!!」

50: 2017/02/18(土) 01:14:10.92 ID:xddyXNiy0
アスカ「……………ぅぐっ…………ぅ………うぐっ…………」ポロポロ

シンジ「僕たちは、ここにいていいんだ」


アスカ「――うああああぁっ!」



シンジ「大丈夫、大丈夫だよ。アスカ」



――――
―――
――

51: 2017/02/18(土) 01:15:59.74 ID:xddyXNiy0
アスカ「…………」鼻ズビビー

シンジ「(ハンカチはそういう使い方じゃないんだけどなぁ)」

アスカ「……………ぁりがと」

シンジ「ん?」

アスカ「私、いままでなにしてたんだろ」

シンジ「………………」

アスカ「あんたと暮らしはじめて二日でこんなことになっちゃってるなんて」

シンジ「あー、うん、そうだね」

アスカ「私はこれまで大人の人が好きだったのに、あんたといるとよくわからないわ」

シンジ「そうなの?」

アスカ「このワタクシ様よ? 同年代なんてみんなサルみたいなもんだったし」

シンジ「……(黙ってればかわいいけどなぁ)」

アスカ「大人達には困った笑顔向けられるばかりだった」

シンジ「加持さんって人?」

アスカ「………まぁ、いろいろ」

シンジ「そっか」

アスカ「ねぇ、あんた、どこかで会ったことある?」

シンジ「いや? ないと思う……けど(でも、アスカも感じてたのか?)」

アスカ「そう、なら気のせいね」

シンジ「う、うん」

アスカ「……あんた、私のこと守ってくれるの?」

52: 2017/02/18(土) 01:17:30.95 ID:xddyXNiy0
シンジ「守るってなにから?」

アスカ「……あんたバカァ? 女の子を守るっていったらわかるでしょ?」

シンジ「……えーと、使徒?」

アスカ「ほんとにバカね……。いろんなことからよ」

シンジ「う~~~~ん」

アスカ「…………………」ジーッ

シンジ「できる範囲なら、守るよ」

アスカ「40点」

シンジ「えぇ⁉︎」

アスカ「ハッキリ言い切りなさいよ。男らしくないわねぇ~」

シンジ「わ、わかったよ。守るよ」

アスカ「本当に?」

シンジ「うん」

アスカ「本当に本当に本当に?」

シンジ「う、うん」

53: 2017/02/18(土) 01:19:10.19 ID:xddyXNiy0
アスカ「……そ。それなら私もあんたを守ってあげる」

シンジ「えっ?」

アスカ「約束破ったら承知しないからね!」

シンジ「わかったってば、しつこいなぁ、なんなんだよもう……」

アスカ「話は終わり! さ、もう昼休み終わっちゃうから戻りましょ!」

シンジ「あ! ちょ! ちょっと待ってよ! アスカぁ!」

54: 2017/02/18(土) 01:20:05.19 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

シンジ「アスカ、そっちに皿並べてくれる?」

アスカ「わかったわ」

ミサト「………………」

シンジ「それと、箸も」

アスカ「もう持ってるわよ、ミサト、邪魔」

ミサト「………………」

アスカ「まだ焼けないの?」

シンジ「うん、もうちょっとかな」

アスカ「私、わりとハンバーグ好きなのよ」

シンジ「そうなの? なら、丁度よかったね」

ミサト「………………」

アスカ「あんた、いつもいつ買い出ししてるの?」

シンジ「特に決まってない。学校の帰りとか」

アスカ「そ。なら今度からは私もついていってあげる」

ミサト「ちょお~~~~っとストップ」

シンジ&アスカ「……………?」

ミサト「シンちゃん? アスカ? ちょっちそこに座りなさい」

シンジ「なんですか? ミサトさん今忙しいんですけど」

アスカ「そうよ、ミサトもちょっとは自分のことしなさい。シンジばっかりさせてないで」

ミサト「……………いいから、座りなさい」

55: 2017/02/18(土) 01:22:06.82 ID:xddyXNiy0
ミサト「…………これはどういうこと?」

シンジ&ミサト「……………?」

ミサト「(本人達に自覚なしか……)」

シンジ「あの、ミサトさん――」

ミサト「シンちゃん、ちょっと部屋で音楽でも聴いてきてくれない?」

アスカ「ちょっとミサト、なんでシンジを邪険にするのよ」

シンジ「あ、えっと」

ミサト「邪険になんてしてないわよ。ね? お願い、シンちゃん」

シンジ「………わかりました」

アスカ「シンジはいかなくていいわよ。ミサトがどっかいけばいいのに」

ミサト「……………」

シンジ「いや、うん、ちょっと音楽聴いてきます」

ミサト「……ありがと」

56: 2017/02/18(土) 01:25:20.51 ID:xddyXNiy0
アスカ「それで? なに?」

ミサト「……(聞きたいのはこっちの方よ)」

アスカ「はやくしてくれる? シンジが部屋で待ってるし」

ミサト「アスカ、シンちゃんとなにかあった?」

アスカ「……あぁ。なんだそんなこと」

ミサト「そんなことって」

アスカ「別に。ちょっと目をかけてやろうと思っただけ」

ミサト「そ、それにしたって距離が近づきすぎじゃないかしらん?」

アスカ「ミサトには関係ないでしょ? エヴァのパイロットの管轄義務はそこまで含まれてるの?」

ミサト「そこまではないけど…………昨日の今日よ?」

アスカ「私たちはなにもやましいことなんかしてないわ」

ミサト「や、やましいことって?」

アスカ「不潔。なにか今変なこと考えたでしょ?」

ミサト「……………」

アスカ「……………」

ミサト「と、とにかく! すこし離れなさい!」

アスカ「いやよ」

ミサト「いやって……」

アスカ「絶対にいや」

57: 2017/02/18(土) 01:28:14.53 ID:xddyXNiy0
ミサト「(これはちょぉっちマズイわね……)」

アスカ「あぁ、それと私の部屋、引越しの荷物がまだ片付いてないのよね。だからシンジの部屋で寝るから」

ミサト「えぇ⁉︎」

アスカ「シンジにはまだ言ってないけど、後から言うわ」

ミサト「だ、だぁめよ! なにかあったらどうするつもり⁉︎」

アスカ「昨日は家をあけてたじゃない」

ミサト「そ、それは……」

アスカ「大丈夫よ。あいつヘタレだから」

ミサト「そ、そうは言ってもシンジくんもお年頃なのよ⁉︎」

アスカ「いざとなったら私の方が強いわよ」

ミサト「(こ、この子、本気なの?)」

アスカ「もういい? シンジのハンバーグはやく食べたいんだけど」

ミサト「だめよ! 認められません! 部屋が片付いてないんだったら私の部屋で寝なさい!」

アスカ「ミサトの部屋ぁ? あの状態で?」

ミサト「ぐ、ぐぬぅ……シンジくんを呼んできて」

58: 2017/02/18(土) 01:29:42.61 ID:xddyXNiy0
シンジ「――えぇ⁉︎ アスカが僕の部屋で⁉︎」

ミサト「シンちゃんは、もちろん嫌よね?(……お願いシンジくん! 断って!)」

アスカ「………………」

シンジ「ほ、本気なの? アスカ」

アスカ「なによ、嫌なの?」

シンジ「い、嫌ってわけじゃあ……」

アスカ「ならいいんじゃない」

ミサト「ちょっちそれは強引すぎない?」

アスカ「…………うざい」

ミサト「ちょ、ちょっとアスカ」

アスカ「私達はエヴァのパイロットなのよ! 普通にしててなにが悪いのよ!!」

ミサト「…………落ち着きなさい」

アスカ「ミサトのは越権行為よ!」

シンジ「あ、あの」

アスカ「シンジだってパイロットなんだしなにも起きるはずない! それともそんなに信用できないわけ⁉︎」

ミサト「……………」

アスカ「……………」

ミサト「…………わかったわ、ただし、荷物は近日中に片付けること。いいわね?」

アスカ「…………ふん」

59: 2017/02/18(土) 01:31:31.43 ID:xddyXNiy0
- 深夜 シンジ部屋 -

シンジ「(結局、ミサトさんは部屋に仕切りのカーテンをつけることで妥協した)」

シンジ「(けど、これってマズイんじゃないのかなぁ)」

アスカ「…………シンジ? もう寝た?」

シンジ「…………ん? ど、どしたの?」

アスカ「なんだか、眠れないの」

シンジ「へ、へぇ、そうなんだ」

アスカ「そっち、行っていい?」

シンジ「ぇ、ええ⁉︎」

アスカ「だめなの?」

シンジ「あー、えーっと」

アスカ「ん……………」ゴソゴソ

60: 2017/02/18(土) 01:34:09.01 ID:xddyXNiy0
シンジ「(ち、近い、数十センチ近くにアスカの顔が……)」

アスカ「なによ、あんた、もしかして緊張してるの?」

シンジ「す、するわけないだろ!」

アスカ「……ふふ、うそつくのが下手ね」

シンジ「……………」

アスカ「今日は、ありがと」

シンジ「あ………」

アスカ「なんか、色々とふっきれた気分だわ」

シンジ「もしかして、それを言うために?」

アスカ「それもあったけど、部屋が片付いてないのはほんとよ」

シンジ「(やっぱり、悪い人じゃないんだ)」

アスカ「……シンジ、シャンプーなに使ってるの?」

シンジ「スーパーのやつだよ」

アスカ「もっと良いのつかったら?」

シンジ「うーん、あんまり興味ないから」

アスカ「でも、悪い匂いじゃないわね……」スンスン

シンジ「うわ、ちょ、ちょっ(嗅がれてる⁉︎)」

アスカ「……うん、良い匂い」

シンジ「あ、あの、アスカ――」

アスカ「………………」

シンジ「アスカ……?」

アスカ「………………」スヤァ

シンジ「ね、寝ちゃったのか……」

61: 2017/02/18(土) 01:36:32.90 ID:xddyXNiy0
- 翌日 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

シンジ「……………」

トウジ「なんや、センセ、えらいクマやのー」

シンジ「うん、ちょっとね」

ケンスケ「夜更かしでもしたのかぁ?」

シンジ「(ほとんど寝られなかった)」

トウジ「……しっかし、昨日はどうなることかと思ったでー」

ケンスケ「ほんとほんと。アスカが戻ってきたときにはケロってしてたけどさぁ」

シンジ「なんでもなくてよかったよ」

アスカ「――シンジっ!」

トウジ&ケンスケ「うわぁ!」

アスカ「なによ、レディに対していきなり驚くとは失礼ね」

トウジ「いきなり現れるな!」

シンジ「どしたの? アスカ」

アスカ「お昼一緒に食べましょ!」

シンジ「えーと、洞木さんはいいの?」

アスカ「ヒカリなら平気よ。ちゃんと言ってあるから」

シンジ「あー、うん。わかった」

アスカ「それじゃ移動しましょ! 屋上でもいい?」

トウジ「……………」

ケンスケ「……………」

シンジ「アスカにまかせるよ」

アスカ「殊勝な心がけね、あ、これシンジが作ってくれたお弁当なんだけど――」

トウジ「まてまてまてまてまてぇいっ!」

シンジ&アスカ「……?」

トウジ「お前らどうなっとんねん!」

ケンスケ「こ、これはひょっとして……」

62: 2017/02/18(土) 01:39:04.56 ID:xddyXNiy0
トウジ「シンジ! お前は今ワシらと一緒に食べようとしてたんちゃうんか!」

シンジ「あ、それは、そうだね」

アスカ「…………」

トウジ「ワシらとそこの女とどっちとんねん!」

シンジ「えぇ? いや、あの」

アスカ「…………チッ、バッカみたい、行きましょ。シンジ」

ケンスケ「いかりぃ~。一人で抜けがけする気かぁ~」

アスカ「……あぁ~んもう、うっさい! だいたいねぇ、あんた達も食べたいんなら誰かを誘えばいいじゃない!」

トウジ「ぬぐっ」

アスカ「自分じゃなんにもできないくせにシンジの足ひっぱるんじゃないわよ」

トウジ「な、なんやとぉ⁉︎」

アスカ「なによ⁉︎」

ケンスケ「お、おい、トウジ」

トウジ「…………………」

アスカ「……………ふん」

シンジ「あの、アスカ」

アスカ「シンジ! 行くの⁉︎ 行かないの⁉︎」

シンジ「――トウジ、ごめん」

トウジ「……………」

63: 2017/02/18(土) 01:41:21.91 ID:xddyXNiy0
- 屋上 -

アスカ「さ、食べましょ」

シンジ「――あの、アスカ」

アスカ「なに?」

シンジ「さっきのトウジのことなんだけど……」

アスカ「あぁ。それがなに?」

シンジ「あの、ちょっと言いすぎじゃないかなって」

アスカ「………………」

シンジ「悪気があるわけじゃないんだ。ただ、先に約束してたから」

アスカ「………わかったわ。後で謝っとく」

シンジ「えっ? いいの?」

アスカ「友情ってやつなんでしょ? 男のは気持ちよくないけど、悪かったわよ」

シンジ「アスカ……ありがとう」

アスカ「ん。食べましょ」モグモグ

シンジ「いただきます。………そういえば洞木さんと仲良くなったんだね」

アスカ「……昨日の借りもあったしね。面倒見がいいから悪い子じゃないみたい」

シンジ「(あぁ、クラスの女子からなにか聞いたのかな)」

アスカ「シンジ、聞きたいことがあるんだけどいい?」

64: 2017/02/18(土) 01:42:13.53 ID:xddyXNiy0
シンジ「ん? なに?」

アスカ「あんた、ファーストとどういう関係なの?」

シンジ「綾波? えーと、エヴァのパイロット仲間、かな」

アスカ「ふぅ~ん」

シンジ「アスカも仲良くなれると思うよ」

アスカ「私は別にいいかな。なんか興味なくなったし」

シンジ「興味って…………」

アスカ「ねぇ、シンジ。私があんたを守ってあげるからファーストとあんまり話さないで」

シンジ「えぇ?」

アスカ「私思うのよね。人間関係ってあまり多様性必要ないって」

シンジ「…………」

アスカ「一人の親友には何人の友達が束になってもかなわないじゃない? それなのに何人も仲良くなろうとする?」

シンジ「…………」

アスカ「何人も何人も、友達100人なんて言っても薄くなるだけよ。そんなの不毛だわ」

シンジ「…………」

アスカ「だから心を許せる人は大切なのよ」

シンジ「………アスカは僕に心を許してるの?」

アスカ「まだあんまり。でも許そうとはしてるわよ?」

シンジ「そうなんだ」

アスカ「うん」

シンジ「…………アスカは僕が綾波と話するのが嫌なの?」

アスカ「う~ん、なんかザワザワすんのよね」

シンジ「そっか。…………うん。わかった」

アスカ「ほんとっ⁉︎」

65: 2017/02/18(土) 01:44:10.98 ID:xddyXNiy0
シンジ「うわ⁉︎ ちょ! 顔近い!」

アスカ「……あ、だってそう言うとは思わなかったから」

シンジ「エヴァに関することは無理だけど――」

アスカ「うんっ! それでもいい! ありがとうシンジ!」

シンジ「(うーん、よかったのかな………)」

アスカ「あ、それとあんたが朝使ってたマグカップ、お揃いのがほしいんだけどどこで買ったの?」

シンジ「え? あれは、たしかミサトさんが選んでくれたやつで――」

アスカ「ミサトがぁ?」

シンジ「うん。こっちに来た時、荷物ほとんどなかったから」

アスカ「……………ふぅ~ん」

66: 2017/02/18(土) 01:46:18.44 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「別にかまわないんじゃなくて?」

ミサト「もし間違いがあったらどーすんのよ……」

リツコ「避妊さえしてくれればかまわないわよ」

ミサト「え? そうなの?」

リツコ「エヴァはA10神経で接続しているし、良い結果が得られるかもしれないわね」

ミサト「もし、(子供)できちゃった場合は――」

リツコ「……クビじゃ済まないわね。間違いなく」

ミサト「どぉすんのよぉ⁉︎」

リツコ「気が早すぎるんじゃない? まだあの子達が開通したわけじゃないでしょう?」

ミサト「う~」

リツコ「………………」

ミサト「しかし、最近は中学生でここまでマセてんのねぇ~」

リツコ「あら、アスカは元々背伸びをしているし、エヴァのパイロット同士という吊り橋効果を考えれば不思議ではないわよ?」

ミサト「……………家に帰るのが億劫だわ」

67: 2017/02/18(土) 01:51:51.45 ID:xddyXNiy0
リツコ「……あまり態度に出さないほうがいいかもしれないわね」

ミサト「どういうこと?」

リツコ「ミサトにとっては所轄問題でしょうけど、子供達にとっては当人同士の問題でしかない、ということよ」

ミサト「…………」

リツコ「特にアスカは過敏よ? そんなんじゃ、簡単に勘づかれるわよ」

ミサト「…………はぁ」

68: 2017/02/18(土) 01:53:10.26 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

ガラガラ
ガチャーンッ


アスカ「――――いったぁ~~~」

シンジ「ど、どしたの⁉︎ アスカ!」

アスカ「……指切っちゃった」

シンジ「大丈夫? 今絆創膏持ってくるから」

アスカ「……あっ。シンジのマグカップ――」

シンジ「これを落としたんだ?」

アスカ「割れちゃった」

シンジ「うん。でもいいよ、また買えばいいから。破片があるかもしれないから動かないでね」

アスカ「うん――」

69: 2017/02/18(土) 01:54:59.11 ID:xddyXNiy0
- 1時間後 ミサト宅 -

ミサト「たっだいまぁ~!」

アスカ「ねぇ、シンジ。シンジってこういうのが好きなの?」

シンジ「うーん、あんまり」

アスカ「でも、クラスの男子はみんなかわいいって言ってるじゃない」

シンジ「僕はあんまり好きじゃないかな」

アスカ「この子は?」

ミサト「……ただいまぁ~」

シンジ「うーん」

アスカ「はっきりしないわねぇ~」

シンジ「あんまりテレビのアイドルとか見ないから」

ミサト「………………」

シンジ「ん? あ、おかえりなさい、ミサトさん」

アスカ「あら? いたの。ミサト」

ミサト「あんたたち! テレビ見てないでこっち座りなさい!」

70: 2017/02/18(土) 01:58:24.46 ID:xddyXNiy0
シンジ「………………」

アスカ「………………」

ミサト「………………」

シンジ「……………え、えと」

ミサト「シンちゃん?」

シンジ「は、はい!」

ミサト「ソファーでテレビを見るのはいいけど。距離が近すぎないかしら?」

シンジ「す、すみません」

アスカ「………………」

ミサト「アスカは部屋の片付け進んでるの?」

シンジ「あ、あの。今日は僕が手伝いをお願いしてて――」

ミサト「どうなの? アスカ」

アスカ「やってるわよ!」

ミサト「…………はぁ。シンちゃんは今日は私の部屋で寝なさい」

アスカ「――――っ⁉︎」

シンジ「み、ミサトさんの部屋でですか?」

ミサト「アスカはシンジくんの部屋で寝ること。いいわね?」

シンジ「でも、ミサトさんは?」

ミサト「私はソファーで寝るわ」

アスカ「…………………はん」

ミサト「……………アスカ?」

アスカ「……なによ? 結局、ミサトも保身なのね?」

ミサト「私はあなた達を保護しています」

アスカ「保護ぉ? 勝手に住まい決めておいて。仲良くやってたら勝手に仕切るのが? なにかあって責任問題になるのがこわいんでしょ?」

ミサト「あなた達は適切な距離感を保てなくなってるわ」

アスカ「まだ三日じゃない! 様子見しないでなにを焦ってるのよ!」

71: 2017/02/18(土) 02:01:29.06 ID:xddyXNiy0
ミサト「………仲良くやるのは否定しないわ。でも、あなた達は男と女なのよ?」

アスカ「不潔。なんにでもそんな風にしか考えられないのね」

シンジ「あ、アスカ――」

アスカ「あぁ~~あ。やだな。こんな大人になんかなりたくない」

ミサト「……………これは命令よ。現時刻をもって一緒に寝るのを禁じます」

アスカ「――っ!!」

ミサト「シンジくんも。いいわね?」

シンジ「……………」

アスカ「――ふざけるんじゃないわよ! やってらんないわ!」

シンジ「あ、あの。ミサトさん」

ミサト「……………」

アスカ「……わかったわよ。私は自分の部屋で寝る。だからシンジも自分の部屋で寝て」

ミサト「ほんとなのね……?」

アスカ「――職権乱用されちゃお手上げよ!!」

72: 2017/02/18(土) 02:04:33.30 ID:xddyXNiy0
- 深夜 シンジ部屋 -

シンジ「……………」スヤァ

アスカ「シンジ、シンジ」

シンジ「……………ん? あすか?」

アスカ「シッ、声下げて話して」

シンジ「今何時……って夜中の3時じゃないか」

アスカ「ミサトもようやく寝たみたい」

シンジ「あぁ………寝るまで待ってたの?」

アスカ「あんたムカつかないの? 勝手な言い草で行動を制限されちゃってさ」

シンジ「うん、でも、一緒に寝るのはまずいよ」

アスカ「どうして? やましいことなにもしてないじゃない」

シンジ「(僕が我慢してるだけなんだけどなぁ)」

アスカ「ミサト、加持さんとうまくいってないのかしら?」

シンジ「加持さんってミサトさんとなにかあるの?」

アスカ「あんたバカァ? あの二人デキてんのよ」

シンジ「えっ? そうだったの?」

アスカ「うまくいってるならあっちで勝手にすればいいのに――」

シンジ「でも船のデッキでアスカも加持さんに抱きついてたじゃないか」

アスカ「――あっ。それは、その」

シンジ「アスカは、いいの?」

アスカ「いいの。シンジ、今、嫌な気分になってる?」

シンジ「ん? んー」

アスカ「……加持さんのことはもういいの。他の大人にも抱きついたりするのやめる」

シンジ「そうなんだ」

アスカ「ごめんね?」

シンジ「いや、僕は…………」

73: 2017/02/18(土) 02:08:16.61 ID:xddyXNiy0
アスカ「明日、エントリープラグのテスト日よね」

シンジ「あぁ、そうだったね」

アスカ「私、エヴァに関しては誰にも負けたくない」

シンジ「うん」

アスカ「シンジならいいかなって思うけど、やっぱり、弐号機は私の全てだから」

シンジ「それならそれでいいよ」

アスカ「…………いいの?」

シンジ「うん。大切ならいいんじゃないかな」

アスカ「ありがと。なんかちょっとシンジって加持さんに似てる」

シンジ「そうかな?」

アスカ「うん、いると安心するし」

シンジ「そっか」

アスカ「ねぇ、シンジ。昨日、誰かの役に立ちたいって言ってたじゃない?」

シンジ「…………うん」

アスカ「それならもう役に立ってるのよ。私達はエヴァに乗ってるだけで役にたってる」

シンジ「…………そうだね」

アスカ「パレードしたっていいぐらいよ?」

シンジ「はじめて乗った時、僕はわけがわからなくて、トウジの妹を傷つけちゃったらしいんだ」

74: 2017/02/18(土) 02:10:00.81 ID:xddyXNiy0
アスカ「……………」

シンジ「乗りたくて乗ってるわけじゃないのに、なんでトウジから殴られなきゃいけないんだろうって思った」

アスカ「………殴られたの?」

シンジ「うん、でもそれはいいんだ。トウジもエヴァの大変さを知って僕にワイを殴れって言ってきたし」

アスカ「……………」

シンジ「あれがなかったら、きっと今も、他人のことなんか考えずにエヴァに乗っていたと思う」

アスカ「……………」

シンジ「アスカは僕とは違う。プライドを持って乗ってるんだろ。エヴァの一番はアスカがふさわしいと思うよ」

アスカ「ありがと」

シンジ「…………うん」

アスカ「今日はもう部屋に帰る」

シンジ「わかったよ」

アスカ「おやすみ、シンジ」

シンジ「――おやすみ、アスカ」

75: 2017/02/18(土) 02:11:56.89 ID:xddyXNiy0
- 翌日 第三新東京市立第壱中学生 昼休み -

ヒカリ「アスカ、今日は碇くんとご飯食べなくていいの?」

アスカ「うん、一緒に食べましょ。ヒカリ」

ヒカリ「――えへへ、なんだか嬉しいな」

アスカ「……………」モグモグ

ヒカリ「……………」

アスカ「……………」

ヒカリ「…………あの、アスカ」

アスカ「なぁに?」

ヒカリ「碇くんばっかり見てない?」

アスカ「違うわよ、まぁ多少は気にかけてやってるけど?」

ヒカリ「でも、碇くん達の方――」

アスカ「たまたまシンジが私の見てるところにいるだけ」

ヒカリ「そ、そうなんだ」

アスカ「………………」

ヒカリ「碇くんってわりと人気あるよね」

アスカ「…………どういうこと?」

ヒカリ「ひっ⁉︎ あ、アスカ。ちょっとこわい」

アスカ「……ごめんごめん。それで?」

ヒカリ「他のクラスでも碇くんって結構人気あったりするよ。エヴァのパイロットだし」

アスカ「……ふぅ~ん」

ヒカリ「碇くんは鈴原たちと喋ってるから気がついてないみたいだけど……あ、ほら」

アスカ「…………」

ヒカリ「あの子も話しかけるタイミングいつも伺ってるみたいだけど、鈴原達が邪魔で話しかけられないみたい」

アスカ「知らなかったわ……」

ヒカリ「アスカは碇くんしか見てないでしょ?」

アスカ「そ、そんなことっ!」

ヒカリ「ない?」

アスカ「ないわ!」

76: 2017/02/18(土) 02:14:41.73 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「(今も碇くんのこと見ながら話してるのに……)」

アスカ「だいたいあんなののどこがいいのよ。そりゃエヴァのパイロットっていうのはステータスだろうけど」

ヒカリ「うーん」

アスカ「ちょぉっとは、ほんのちょぉっとは頼りになるかな、なんて思う時もあるわよ? けど、それはエヴァに乗ってる時だけだし」

ヒカリ「…………」

アスカ「だから、あんなのに話しかける子が不幸にならないよう、私からあいつのダメなとこ言いまくってやるわ」

ヒカリ「…………そうだね、碇くんってダメダメだよね」モグモグ

アスカ「――ヒカリ。今なんつったの?」

ヒカリ「私もあの人のどこがいいのかわかんない。かっこわるいし――」

アスカ「――やめて」

ヒカリ「…………アスカ、やっぱり怒るんじゃない」

アスカ「えっ?」

ヒカリ「なんで止めようとするの?」

アスカ「え? え~それはその~」

77: 2017/02/18(土) 02:17:19.19 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「ずっと碇くんのこと見てるよね? ううん、目で追ってる」

アスカ「うっ」

ヒカリ「碇くんは今日はなにしてた?」

アスカ「…………今日?」

ヒカリ「うん」

アスカ「えっと、朝一緒に登校してから、ホームルーム前にトイレに行ってたわね。でもあんまり時間かからなかったから、たぶん小だったみたい。
それで、教室に帰ってきたら鈴原達と少し話して授業の準備。パソコン立ち上げてたんだけど調子悪かったのかな? ……なんだか顔しかめてたから。
そのあとは授業を受けて四回、窓の外を見てた。授業中によそ見しちゃだめよね。でもたまーに横顔もいいかな、なんて。
なにか気になることあるのかなって思って私も窓の外を見たんだけど、なにもなかったわ。
それからまたトイレに行って、今度は少し時間かかってたから大だったのかも。そのあと体育だったでしょ?
男子はグラウンドで走っててシンジは中間ぐらい。ほんとなんにでも中間ぐらいよね。

それから――――ヒカリ? どうしたの?」

ヒカリ「………………」

78: 2017/02/18(土) 02:20:01.02 ID:xddyXNiy0
アスカ「ひ、ヒカリ? 箸が落ちてるわよ?」

ヒカリ「あ、アスカ。碇くんは見られてること気がついてる?」

アスカ「え? 気がついてないわよ。夢にも思ってないんじゃない?」

ヒカリ「そ、そう。それならよかった」

アスカ「…………ヒカリって私の友達よね?」

ヒカリ「えっ? う、うん」

アスカ「まだ日は浅いけど、私と仲良くしてくれる?」

ヒカリ「も、もちろんよ」

アスカ「ちょっと声をさげてほしいんだけど…………絶対に大声あげないでね?」

ヒカリ「う、うん。わかった」

アスカ「実は――ネルフの意向でシンジと私、一緒に住んでるの」コショコショ

ヒカリ「え、えぇえええぇ!?」

アスカ「――声が大きい! みんなこっち見てるじゃない!」

ヒカリ「ご、ごめんなさい。でも、大丈夫なの?」

アスカ「なにが?」

ヒカリ「だって碇くんだって男の子だよね……」

アスカ「はぁ……。ヒカリまでそんなこと言うのね。大丈夫よ。あいつヘタレだし」

ヒカリ「アスカがそう言うなら……」

アスカ「うん、私も誰かに話聞いてほしかったの」

ヒカリ「話?――ちょっと待ってお茶飲ませて」

アスカ「――どうやってシンジと一緒に寝られるかなって」

ヒカリ「――ぶふぅっっっ!!」

79: 2017/02/18(土) 02:21:32.63 ID:xddyXNiy0
アスカ「きゃあ⁉︎ ちょっとヒカリ汚いっ!」

ヒカリ「ご、ごごめんなさ――アスカ! 碇くんと寝るの⁉︎」

アスカ「シンジと一緒に寝るとぐっすり眠れたのよ」

ヒカリ「…………え? ってことはもう寝たの⁉︎」

アスカ「一晩だけだけど……ヒカリ、大丈夫?」

ヒカリ「………………い、碇くんは、その、大丈夫だった?」

アスカ「最初は戸惑ってたけど、受け入れてくれたみたい」

ヒカリ「………その、なにもなくて寝るだけなんだよね?」

アスカ「そうよ?」

ヒカリ「そ、そっかぁ」

アスカ「ヒカリ、顔真っ赤だけど………」

ヒカリ「なんでアスカは真顔で話せるの⁉︎」

80: 2017/02/18(土) 02:24:34.61 ID:xddyXNiy0
アスカ「そんなにおかしい?」

ヒカリ「おかしいわよ!」

アスカ「そうなのかな……そうかも」

ヒカリ「例えば、誰でもいいけど相田くんとかと一緒に寝たいと思う?」

アスカ「むしずがはしるわね」

ヒカリ「鈴原がそばで寝てたらどうする?」

アスカ「ぶちのめした挙句、屋上から突き落とすわ」

ヒカリ「碇くんは?」

アスカ「…………んー、まぁ、シンジだしいいかな」

ヒカリ「アスカって碇くんのことが好きなんだね」

アスカ「……なんでそうなるの?」

ヒカリ「………………」

アスカ「ひ、ヒカリ? こめかみがひくついてるわよ?」

81: 2017/02/18(土) 02:28:22.41 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「……落ち着くから一緒に寝たいんだったよね?」

アスカ「うん」

ヒカリ「碇くんが受け入れてくれるなら、大丈夫なんじゃない?」

アスカ「それがそうもいかなくて、ネルフの管理人がいるんだけどその女が邪魔なのよ」

ヒカリ「え?」

アスカ「そう、あんまりにもムカつくから刺し頃してやろうかと思ったけど。氏体の処理方法に良いアイディアが浮かばなかったからやめたの」

ヒカリ「…………」

アスカ「なにかいい方法ないかしらぁ、昨日はシンジの服を持ってきて寝たんだけど、あれはたまらなかった……じゃなかった、イマイチだったのよね」

ヒカリ「ふ、ふく………」

アスカ「そう、シンジの服って結構いい匂いするのよ。私も昨日知ったんだけど。シンジがシャワー浴びてる時に脱衣所で歯磨きしてたら目に入って、部屋に持って帰っちゃった」

ヒカリ「…………」

アスカ「ずーーーーーっと匂い嗅いでたらなんだかふわふわしちゃったけど」

ヒカリ「あ、アスカって服かぐのが趣味なの?」

アスカ「ううん。シンジのがはじめて」

82: 2017/02/18(土) 02:30:30.37 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「…………ど、どうしよう」

アスカ「ヒカリ? どしたの?」

ヒカリ「………アスカの心配してたけど……碇くんのほうが危ないかも……」

アスカ「シンジがぁ? 大丈夫よ。私が守ってあげるって約束したし」

ヒカリ「……やっぱり、自覚ないんだよね」

アスカ「ヒカリ? なに言って――」

ヒカリ「大丈夫! 私は応援するよ!」

アスカ「あ、ありがとう?」

ヒカリ「碇くんにもなにも言わな………ううん、なにも言えないから安心して!」

アスカ「そ、そう?」

ヒカリ「あの、だから、他の子になにかしちゃだめだよ?」

アスカ「私が? 誰に?」

ヒカリ「――碇くんが告白されたらどうする?」


アスカ「――――…………」バキィッ


ヒカリ「ひぃ⁉︎ 箸が折れっ⁉︎」

アスカ「――誰が告白するの?」

ヒカリ「しないしないしないしないっ! 誰も告白しない!」

83: 2017/02/18(土) 02:34:21.78 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 -

マヤ「LCL電荷」

オペレーター「パルス送信。リスト、ヒトサンゴーマルまでオールクリア」

リツコ「レイ、シンジくん、アスカ。いつも通り、リラックスして」

ミサト「……………」

リツコ「テストスタート」

マヤ「ハーモニスク正常値。深度さげます。0.1、0.2、0.3………」

リツコ「……………」

マヤ「0番、シンクロ率50.3%。1番、シンクロ率53.4%。共に精神汚染ギリギリです。………2番にはかなりの余裕があります」

リツコ「あと0コンマ3さげてみて」

マヤ「了解。…………これはっ! す、すごいです! シンクロ率72.3%! 過去最高です!」

リツコ「……………」

ミサト「どういうこと?」

リツコ「見たままよ」

ミサト「アスカのドイツでのデータは?」

リツコ「平均して50%未満といったところかしらね」

ミサト「かなりの上昇率ね……理由として考えられることは? 赤木博士」

リツコ「第一に、アスカの精神状態がとても安定していることが考えられるわね」

ミサト「…………」

リツコ「エヴァとのシンクロは精神汚染とのせめぎ合いでもあるわ。より深く、高いシンクロ率をだすためには多幸感、すなわち心身共に健康であることが重要なのよ」

ミサト「…………シンジくんと一緒に住んでるから?」

リツコ「可能性としてはありえるわね。ただし、断定はできない。さらに検証するためには二人を引き離すことになるけど」

ミサト「うーん」

リツコ「科学者としては実験に賛同したいところだけど、あまりオススメはできないわ。とりかえしがつかなくなる可能性もある」

ミサト「…………ふぅ」

リツコ「どうするの? 作戦本部長さん」

84: 2017/02/18(土) 02:38:36.80 ID:xddyXNiy0
- ネルフ 第三通路 自販機前 -

アスカ「ふんふふ~んっ♪」

シンジ「ご機嫌だね、アスカ」

アスカ「あったりまえよ! なんてったって、この私がシンクロ率70%を叩きだしたんだから!」

レイ「……………」

アスカ「まぁ、私がちょっと本気になればこの程度お茶の子さいさいなんだけど!」

シンジ「あはは」

アスカ「シンジはいいとして、あんたは残念ねぇ~」

レイ「……………」

シンジ「あ、アスカ」

アスカ「……なんとか言ったらどうなの?」

レイ「……………別に」

アスカ「はぁ。あんたってほんと変わった子よね」

レイ「…………………」

アスカ「シカトしてるの? 優等生みたいになんでもはいはい聞く子は私なんか相手にする気ないのかしら~?」

レイ「……………シンクロ率が高いと、そんなに嬉しい? なぜ?」

アスカ「嬉しいに決まってるじゃない! みんなが褒めてくれる! ミサトだってバツの悪そうな顔してたわ!」

レイ「…………あなたは人に褒められるために、エヴァに乗ってるの?」

アスカ「――っ! 悪いっ⁉︎」

レイ「…………………」

アスカ「…………………」

シンジ「……二人とも、やめなよ」

アスカ「………はんっ。あんた、人形みたい」

レイ「……………私は人形じゃない」

85: 2017/02/18(土) 02:45:57.48 ID:xddyXNiy0
加持「――とりこみ中かな?」

アスカ「あっ! かじさぁ……ごほん……加持さん、どうしたの?」

加持「やれやれ、別れた男を目の前にしているみたいな反応じゃないか」

アスカ「シ、シンジの前で変なことっ――」

シンジ「……………」

加持「すこし、シンジくんと話がしたくてね」

アスカ「シンジとぉ?」

レイ「………………」

シンジ「……わかりました」

加持「すまないな。アスカ、シンジくんを借りてもいいかい?」

アスカ「え? えーと、その~」

シンジ「アスカは先に帰ってなよ」

アスカ「……いや!」

シンジ「すこし、遅くなるかもしれないよ」

アスカ「加持さん、遅くなるの?」

加持「いや、そんなに手間はとらせないさ」

アスカ「なら、待ってる」

シンジ「……わかったよ、それじゃ行きましょうか。加持さん」

加持「ああ――」

86: 2017/02/18(土) 13:42:28.28 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 男子ロッカールーム -

加持「アスカのシンクロ率を聞いた時は驚いたよ。うまく暮らしてるみたいじゃないか」

シンジ「そんな、僕とアスカは別に」

加持「これからもアスカのサポートを続けてやってくれ」

シンジ「…………はい。大事な友達ですから」

加持「友達……ね」

シンジ「……?」

加持「ドイツでの暮らしぶり、アスカからなにか聞いたかい?」

シンジ「いえ、まだ、家族がいることだけ」

加持「…………そうか」

シンジ「加持さんはアスカとずっと一緒に暮らしていたんですか?」

加持「いや、日本に来るまでの三年間だけだ」

シンジ「……………」

加持「シンジくんと違い、彼女は幼い頃からエヴァ弐号機のパイロットとして選ばれてから英才教育を受けてきた」

シンジ「……………」

加持「あの歳で大学を卒業してるってこと、知ってたかい?」

シンジ「え、えぇ⁉︎ アスカってそんなに頭いいんですか⁉︎」

87: 2017/02/18(土) 13:43:10.60 ID:xddyXNiy0
加持「もともとの物覚えの良さもあったんだろうが、努力の賜物だろうね」

シンジ「し、知らなかった」

加持「シンジくん。――アスカは愛情に飢えている」

シンジ「…………」

加持「まだ中学生の君には荷が重いかもしれないが、支えてやってくれ」

シンジ「…………加持さんは支えてあげないんですか?」

加持「ふっ。俺じゃダメなのさ。俺は大人の中で唯一アスカを女扱いしただけだからな」

シンジ「……………」

加持「難儀なことに、トラウマもかかえていてね」

シンジ「……………」

加持「そのトラウマを取り除くには、アスカ自身ときちんと向き合う異性が必要なのさ」

シンジ「……………」

加持「シンジくんさえよければ、アスカと向き合ってやってくれ。そうすれば、おのずとアスカからシンジくんに全てをさらけだすだろう」

シンジ「………………ずるいや、そんなの」

加持「君にはいつも謝ってばかりだが、すまないな」

88: 2017/02/18(土) 13:43:45.03 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

アスカ「…………」もぐもぐ

シンジ「…………」

アスカ「……だめ。我慢できない。どうかしたの?」

シンジ「…………ん?」

アスカ「帰ってからずっと変よ、あんた」

シンジ「あぁ……そうかな」

アスカ「加持さんとなにかあったの?」

シンジ「……………」

アスカ「加持さんは、悪い人じゃないと思うけど……なにか言われたの?」

シンジ「そうじゃないんだ」

アスカ「………?」

89: 2017/02/18(土) 13:44:47.54 ID:xddyXNiy0
シンジ「アスカは、加持さんのことが好きだったの?」

アスカ「えっ⁉︎ なに、いきなり」

シンジ「…………」

アスカ「あ、あんた………もしかして、ヤキモチ妬いてるの?」

シンジ「なんでそうなるんだよ!」ズッコケ

アスカ「だっていきなりそんなこと聞くなんておかしいじゃない!」

シンジ「……………」

アスカ「し、シンジ? そんなに嫌だった?」

シンジ「僕は、別に」

アスカ「うそ! ずぅぇ~ったい変!」

シンジ「………はぁ」

アスカ「そ、その、加持さんのことはそりゃあ前はちょっと、ううん、かなりいいかなって思った時も…………あるけど」

シンジ「……………」

アスカ「でも! それはもう過去の話よ! 今は別になんともない!」

シンジ「……………」

アスカ「シンジ? ……なんとか言いなさいよ!」

シンジ「ごちそうさま」

アスカ「ぁ………」

シンジ「僕、ちょっとコンビニに行ってくるよ」

アスカ「………………」

90: 2017/02/18(土) 13:51:11.58 ID:xddyXNiy0
ミサト「ただいまぁ~………あら? 電気ついてない? シンちゃぁ~ん? アスカぁ~? いないの~?」


電気パチッ


ミサト「――――………………いぃっっっっ⁉︎」

アスカ「……………」

ミサト「あ、アスカ……あんた、電気もつけないでなにやってるの………?」

アスカ「……………」

ミサト「ちょ、ちょっと?」

アスカ「……………」

ミサト「し、シンジくんは?」

アスカ「……………ない」

ミサト「はい?」

アスカ「いないって言ってんのっ!!!!!」バンッ

91: 2017/02/18(土) 13:52:34.34 ID:xddyXNiy0
- 近くの公園 -

シンジ「はぁ、なにやってんだろ」

加持『アスカを、支えてやってくれ』

シンジ「ふぅ。僕は…………」



レイ「――………碇くん?」



シンジ「……綾波?」

レイ「………………」

シンジ「こんなところで、どうしたの?」

レイ「…………いま、帰りだから」

シンジ「あぁ、そっか。この公園、通り道なんだね」

レイ「…………碇くんは、どうして?」

シンジ「僕は、なんとなく、帰りたくなくて」

レイ「………………そう」

シンジ「うん」


レイ「…………うち、くる?」

92: 2017/02/18(土) 13:53:57.47 ID:xddyXNiy0
- アスカ 部屋 -

アスカ「なによなによなによっ! なんなのよ!」ドカンッ

アスカ「(昔のことなんかどうだっていいじゃない!)」

アスカ「(私だって、シンジにそんなのいても……。うーん、嫌かも?)」

アスカ「(待って。落ち着くのよ、アスカ。私、シンジが嫌なことしたのかな?)」

アスカ「(シンジが他の女と腕を組む……嫌。シンジが他の女に抱きつく……嫌。でも、私にとって加持さんはシンジにとってのミサトみたいな……そう、保護者?)」

アスカ「(加持さんは私のことを女の子、お姫様扱いしてくれた。だから良かった。好きだと思ってた)」

アスカ「(シンジがミサトに抱きついてたら………? 不潔。嫌。信じらんない)」

アスカ「(私、シンジにそういうこと見せつけてた………?)」

93: 2017/02/18(土) 13:56:56.02 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 リビング -

ミサト「ペンペン~。いつからこの家はこうなってしまったのかしらね~。毎日密度が濃すぎると思うのよ」

ペンペン「クエ~」


ドタドタドタドタッ!


アスカ「ミサトッッッ!!!!」

ミサト「は、はい⁉︎」

アスカ「シンジは⁉︎ どこ⁉︎」

ミサト「さ、さぁ~?」

アスカ「保安部でもなんでもいいからはやく連絡取りなさいよ!!! 私気づいてるんだからね!!警護についてるの!!!」

ミサト「――っ⁉︎」

アスカ「シンジになにかあったらどうするつもり⁉︎」

ミサト「ちょっと、落ち着きなさい」

アスカ「チッ、押し問答にかまってる暇なんてないのよ! 私、探しに行ってくる!」

ミサト「アスカ⁉︎ ちょ! 待ちなさい!」


ダダダダダッ ガチャン バタンッ!


ミサト「………はぁ」

94: 2017/02/18(土) 13:58:54.12 ID:xddyXNiy0
- 近くの公園 -

シンジ「――綾波のうち?」

レイ「…………」コクリ

シンジ「あぁ、うん。でも、悪いよ」

レイ「……………いい」

シンジ「うーん」



アスカ「――――シンジッ!!」



シンジ「あ、アスカ?」

レイ「……………」

アスカ「はぁっはぁっ……(ファーストがなんでこんなところに! でも今は……)……シンジ、私が悪かったわ。謝る。ごめん」

シンジ「……………」

アスカ「ごめん。加持さんとはもう本当になんでもないの。そう、気がついたから」

シンジ「…………アスカが謝ることないよ」

アスカ「……………」

シンジ「僕は、すこし、反抗してたのかもしれない」

アスカ「えっ?」

シンジ「(そう、誰かに押しつけられるのが嫌だったんだ。そうされなくてもアスカは友達なのに)」

アスカ「……私から加持さんに文句いってくる!」

シンジ「えぇ⁉︎ いいよ! やめてよ!」

アスカ「だって、シンジ、なにか言われたんでしょ?」

シンジ「加持さんは、アスカのこと心配してた」

アスカ「――え? え、そうなの?」

シンジ「うん。だから、悪い人じゃないんだと思う」

アスカ「……そう。…………あの、一緒に帰ってくれる?」

シンジ「…………そうだね。……綾波も、ありがとう」

レイ「……………もういいの?」

シンジ「うん。僕になにができるかわからないけど」

レイ「……………そう」

アスカ「し、シンジ? ファーストとなにしてたの?」

95: 2017/02/18(土) 14:00:39.99 ID:xddyXNiy0
シンジ「綾波は僕のこと心配してくれてたんだ」

レイ「………………」

アスカ「………………」

レイ「……………嫌になったら、言って」

アスカ「――なっなぁんですって~⁉︎」

シンジ「あ、ありがとう」

アスカ「ふ、ファースト! あんた………っ!!」

シンジ「あ、アスカ! 帰ろう! 綾波も、また学校で!」

レイ「………………」

96: 2017/02/18(土) 14:02:03.21 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 -

アスカ「ねぇ、シンジ。ソファーもっとそっちつめてよ」

シンジ「これ以上、向こうにいけないんだけど」

アスカ「それじゃ私が寝転がれないじゃなぁ~い」

シンジ「……………」

アスカ「よいしょっと。う~いい感じ。膝枕ってわりといいのね」

シンジ「足、痺れそう……」

アスカ「そんぐらい我慢しなさいよ。……私の髪さわれるんだから役得でしょ?」

シンジ「え? 触っていいの?」

アスカ「…………触りたいの?」






ミサト「……………帰ってきてからずっとあの調子」

ペンペン「クエ~」

ミサト「歳をとるってこういうことなのかしらねぇ~~」

97: 2017/02/18(土) 14:03:56.08 ID:xddyXNiy0
- 翌日 第三新東京市立第壱中学校 昼休み -

アスカ「――それでさぁ、シンジってば加持さんにヤキモチ妬いたらしくて、帰ってから様子おかしかったのよね。ずっと変だとは思ってたけど。
でも、私も悪いことしたなって気がつくことができて、謝ったの。そしたらシンジも許してくれて――ヒカリ、聞いてる?」

ヒカリ「……うん」

アスカ「それで、今日の朝なんだけど、私の好きなおかずお弁当にいれてくれて。これ見て? すごくない?
同年代でこんなやつなかなかいないと思うのよね。だめだめ。そんなに見たってあげないからね。これは私のなんだから」

ヒカリ「……うん、あのアスカ」

アスカ「シンジったらさぁ………ん? なに?」

ヒカリ「も、もう、碇くんの話はいいかなー」

アスカ「そう? でもかわいいとこあんのよねあいつ。なんていうか小動物? 無害っぽいしだから気が休まるのかしら――」

ヒカリ「あ、アスカ!」

アスカ「えっ?」

ヒカリ「もう! 碇くんの話は! いいから!」

アスカ「う、うん。わかった」

98: 2017/02/18(土) 14:05:16.38 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「………………」もぐもぐ

アスカ「………………」もぐもぐ

ヒカリ「………………」もぐもぐ

アスカ「………………」もぐもぐ

ヒカリ「………………はぁ。アスカ、いいよ。碇くんの話して」

アスカ「えっ? だってさっき――」

ヒカリ「碇くんの話しないと何も喋らないじゃないっ!!」

アスカ「そ、そんなことないわよ」

ヒカリ「ふぅ。碇くんとは一緒に、その、寝れたの?」

99: 2017/02/18(土) 14:06:31.92 ID:xddyXNiy0
アスカ「んーん。それはまだ」

ヒカリ「だから今日は眠そうなんだ」

アスカ「うん、一晩中起きてたから」

ヒカリ「……えっ。アスカってもしかして不眠症?」

アスカ「ううん。一晩中、シンジの顔ながめてたの」

ヒカリ「――――えっ?」

アスカ「…………」もぐもぐ

ヒカリ「アスカ。お願い、私の聞き間違いよね? ずっと起きて碇くんの顔見てたの?」

アスカ「そうよ?」

ヒカリ「その間、碇くんは?」

アスカ「寝てたわ」

ヒカリ「明かりもつけずに一晩中?」

アスカ「目が慣れてくるとけっこう見えるのよ?」

ヒカリ「あ、アスカっ! しっかりして!」

100: 2017/02/18(土) 14:07:38.44 ID:xddyXNiy0
アスカ「ど、どうしたのよ? ヒカリ」

ヒカリ「碇くんはどこにもいかないよ!」

アスカ「なによ、突然。どっか行っても捕まえるわ」

ヒカリ「そういう意味じゃなくて……!」

アスカ「じゃあどういう意味?」

ヒカリ「もしかして、碇くんに、依存、しだしてるんじゃ……⁉︎」

アスカ「……?」

ヒカリ「どうしよう、碇くんに伝えた方がいいのかな………でも…………」

アスカ「ヒカリ、さっきからブツブツ言ってどうしたの?」

ヒカリ「いくらなんでも早すぎるわよ!」バンッ

アスカ「うわぁ⁉︎ な、なにが?」

101: 2017/02/18(土) 14:08:38.51 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「アスカ。お願い。真剣に聞いて」

アスカ「う、うん」

ヒカリ「私たちまだ日が浅い友達だけど……ううん、碇くんとなにがあったかわからないけど」

アスカ「そうね?」

ヒカリ「アスカの、その、まっすぐなところは凄く良いとこだと思うの」

アスカ「ありがと」もぐもぐ

ヒカリ「碇くんと、一度話合った方がいいんじゃないかなぁ?」

アスカ「………なにを?」

ヒカリ「……(しっかりするのよヒカリ! くじけちゃだめ! でもどうしたら伝わるの!)」

アスカ「――ぷっ!」

ヒカリ「あ、アスカ?」

アスカ「ヒカリって本当に良い子なのね。みんなから委員長って言われてるのがわかるわ」

ヒカリ「あ……」

アスカ「うん、私達、親友になれそうな気がする」

ヒカリ「えっ?」

アスカ「これからもよろしくね! ヒーッカリ!」

ヒカリ「う、うん!」

103: 2017/02/18(土) 14:10:15.44 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「そ、それでね、アスカ――」



女生徒「あの、碇くん」

シンジ「ん、えーと」

女生徒「あの、放課後、体育館裏まで来てくれませんか………待ってますから……!」

トウジ「な、なんやぁ?」

ケンスケ「ひゅ~。やるもんだなぁ~」

シンジ「あの……! 行っちゃった」

トウジ「センセ、今のはもしかして告白なんちゃいまっか?」

シンジ「えぇ⁉︎」



ヒカリ「さっきの子って、いつも話しかけるのを伺ってた――――」

アスカ「――――………」

105: 2017/02/18(土) 14:14:20.56 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「す、鈴原ぁっ! あんたちょっと黙りなさいよっ!」


トウジ「なんや委員長! 昼休みぐらい好きに騒いだってええやろがいっ!」

ケンスケ「まぁまぁ」


ヒカリ「――あ、アスカ? 」

アスカ「……どしたの? ヒカリ」

ヒカリ「あ、あれ? なんでもない?」

アスカ「さっきの子。大丈夫かな?」

ヒカリ「……え? うん。もう教室に帰ったみたいだけど」

アスカ「そうじゃなくて、シンジにフラれちゃうでしょ?」

ヒカリ「ん?」

アスカ「なぁに?」

ヒカリ「碇くんがフるかはまだわからないんじゃない?」

106: 2017/02/18(土) 14:15:40.70 ID:xddyXNiy0
アスカ「だって、シンジには私がいるでしょ?」

ヒカリ「……あのね、アスカ。碇くんとアスカはお友達なんだよね?」

アスカ「あったりまえじゃない!」

ヒカリ「碇くんと付き合ってるわけじゃないんだよね?」

アスカ「なぁっ⁉︎ な、なななななんで私がバカシンジと⁉︎」

ヒカリ「(…………これって………ひょっとして………)」

107: 2017/02/18(土) 14:17:24.40 ID:xddyXNiy0
- 放課後 体育館裏 -

ケンスケ「ほら! こっちだよこっち!」

トウジ「ほほ~、こんなええスポットがあったとはのー」

ケンスケ「(本当は隠し撮りのスポットなんだけどさぁ)」

ヒカリ「アスカ、こっちこっち」

アスカ「……はぁ。私は別に」

トウジ「しっかし、委員長から覗きを提案してくるとは………おぬしも悪やのう」

ヒカリ「ち、違うわよっ! これはアスカのためで――」

トウジ「はぁ? なんや、それ?」

ヒカリ「(アスカはきっと好きってことを認められてない――だから、認めさせればいいのよ)」

ケンスケ「シッ! 誰かきた!」

108: 2017/02/18(土) 14:19:14.22 ID:xddyXNiy0
シンジ「………………」



ケンスケ「先にシンジかー」

トウジ「なんや、えらいソワソワしてないか? ――いだだだだだだっ!」

アスカ「………っ!」ギリギリッ

トウジ「ちょ! おまっ! 指が肩に! どんな握力――」

ヒカリ「鈴原! 静かに我慢して!」

トウジ「ぬ、ぐぐぐ…………」

ケンスケ「おっ、あっちから誰かくる」

109: 2017/02/18(土) 14:22:13.25 ID:xddyXNiy0
女生徒「……ぇ……あ………」

シンジ「――……」



ヒカリ「~~っ! 全然声が聞こえないじゃない!」

ケンスケ「(しかたないだろ~隠し撮りスポットなんだから)」

アスカ「…………」ギリギリッ

トウジ「いっ⁉︎ ほ、骨がミシミシいうとる!」

ヒカリ「これじゃアスカが自覚できないじゃない!」

ケンスケ「……なぁるほど。そういうことかあ」

トウジ「ちょ、誰かこいつを止め……っ!」

ヒカリ「相田くん、わかったの?」

ケンスケ「まぁ、なんとなく」

ヒカリ「っ! あっ!碇くんの胸に飛び込んだっ――」



女生徒「……っ!」

シンジ「…………………」



アスカ「――――このっ!」

トウジ「あっ! いっ⁉︎ 」ゴキン

ヒカリ「あ、アスカ⁉︎ ちょ。ちょっとまって!」

ケンスケ「お、おい! トウジ! しっかりしろ!」

トウジ「……………」

ケンスケ「あ、泡ふいて………」

ヒカリ「だめ! 相田くん! アスカ止めて!」

ケンスケ「わあぁ⁉︎」



アスカ「――ちょっと! なにやってんのよっ!!!」

110: 2017/02/18(土) 14:23:41.99 ID:xddyXNiy0
シンジ「あ、アスカ?」

女生徒「えっ……あの……その……」

アスカ「はやく離れなさいよっ!」

女生徒「………ご、ごめんなさいっ!」


タタタタッ


ケンスケ「いてて……」

ヒカリ「もう! 覗かせるだけのはずだったのに!」

ケンスケ「あの女生徒はどっか行っちゃったのかぁ」

ヒカリ「私たちも碇くんの前に行かないと――!」

111: 2017/02/18(土) 14:25:46.43 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「――い、碇くん!」

シンジ「洞木さん、ケンスケまで?」

ケンスケ「よ、よぅ……」

アスカ「………………」

ヒカリ「あのっ! ごめんなさい! こんなつもりじゃなかったの!」

シンジ「え、えーと」

ケンスケ「……………はぁ」

シンジ「とりあえず、落ち着いてよ」

ヒカリ「どうしよう! 私、碇くんに言うべきだったのに!」

アスカ「ヒカリ……」

ケンスケ「(こりゃパニックになっちゃってるなぁ)」

シンジ「アスカ」

アスカ「なによ?」

シンジ「とりあえず、洞木さんを落ち着かせよう」

アスカ「……そうね。ほら、ヒカリ、大丈夫よ」

112: 2017/02/18(土) 14:27:36.87 ID:xddyXNiy0
――――
―――


ヒカリ「……ごめんなさい、取り乱しちゃって」

ケンスケ「(委員長はまじめだからなぁ)」

アスカ「……ん。もう平気?」

ヒカリ「……うん」

シンジ「ケンスケ、トウジは?」

ケンスケ「あっちで伸びてる」

シンジ「……やっぱり、いたんだ」

ケンスケ「なぁ、碇。………ごめんな?」

シンジ「……うん、まぁ、なんて言ったらいいか」

113: 2017/02/18(土) 14:29:52.91 ID:xddyXNiy0
ケンスケ「さっきの子は、フったんだろ?」

シンジ「うん……」

ヒカリ「…………あ、あの。碇くん」

シンジ「…………?」

ヒカリ「今回のこと、私がアスカたちを誘ったの」

シンジ「洞木さんが?」

ヒカリ「ごめんなさい――」

シンジ「えっと」

アスカ「ヒカリ……私が出て行ったから……」

ヒカリ「ううん。やっぱり良くなかったのよ」

ケンスケ「碇! 頼む! この地獄を早く終わらせてくれ!」コショコショ

シンジ「………はぁ。洞木さん、アスカ、ケンスケ。わかった。もういいよ」

ヒカリ「ほ、ほんと――?」

シンジ「きっと何か理由があったんだろうから」

アスカ「…………シンジ」

ケンスケ「よしっ! これでもう終わりっ!」

ヒカリ「(碇くんに今言わなくちゃ――)」




ウーーーッ
『緊急警報、緊急警報、市民の皆さんは速やかに避難してください――』




シンジ「――アスカ!」

アスカ「使徒ぉ⁉︎」

114: 2017/02/18(土) 14:32:07.93 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 発令所 -

シゲル「警戒中の巡洋艦、「はるな」より入電、「ワレ、キイハントウオキニテ、キョダイナセンコウブッタイヲハッケン。データオクル」」

マコト「受信データを照合……波長パターン青、使徒と確認!」

冬月「総員、第一種戦闘配置」




ミサト「……先の戦闘によって第3新東京市の迎撃システムは、大きなダメージを受け、現在までの復旧率は26%。実戦における稼働率はゼロといっていいわ」

ミサト「したがって今回は、上陸直前の目標を水際で一気に叩く!」

ミサト「初号機ならびに弐号機は、交互に目標に対し波状攻撃、近接戦闘で行くわよ」

シンジ&アスカ「了解!」

115: 2017/02/18(土) 14:34:21.77 ID:xddyXNiy0
- 初号機 弐号機 プラグ内通信 -

アスカ「シンジ。あんたは私が守ってあげるから後方で支援」

シンジ「えぇ⁉︎ 交互に近接なんじゃ?」

アスカ「怪我したらどうすんのよ! 私は日本でのデビュー戦なんだし……まぁ見てなさいって」

シンジ「命令違反はまずいよ! 僕独房に入ったことあるんだ!」

アスカ「……あんたがぁ?」

シンジ「その、二体目の使徒で………」

アスカ「……あんたも逆らうことあんのね」

シンジ「うん、まぁ」

アスカ「ファーストまではいかないけど、あんたも優等生だと思ってたわ」

116: 2017/02/18(土) 14:39:19.30 ID:xddyXNiy0
第7使徒イスラフェル「……………」ググッ

シンジ「……くるよ!」

アスカ「チッ、通信中にしゃらくさいわねぇ!」

ザンザンッ ビュンッ

アスカ「どぉうりゃあぁ~~~~」ズパーン


第7使徒イスラフェル「」


シンジ「え? 終わった? ――お見事」

アスカ「ま、シンクロ率70%の私にかかれば当然よね。戦いは、常に無駄なく美しくよ」



シンジ「(なんだ? なにか違和感が………)」
アスカ「(これで、終わり、じゃないような……)」

第7使徒イスラフェル「…………」ギュルギュル

シンジ「――アスカぁッッ!!! まだ!」
アスカ「シンジぃッッ!!!」


ミサト「分裂⁉︎ ぬぁんてインチキッ!」

117: 2017/02/18(土) 14:42:09.13 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 モニター室 -

マヤ「本日午前10時58分15秒、2体に分離した目標甲の攻撃を受けた初号機は、駿河湾沖合い2キロの海上に水没」

マヤ「同20秒、弐号機は目標乙の攻撃により活動停止。この状況に対するE計画責任者、赤木リツコ博士からのコメント……」

リツコ『無様ね』

マヤ「……午前11時3分をもって、ネルフは作戦の遂行を断念、国連第2方面軍に指揮権を譲渡」

冬月「まったく恥をかかせおって!」

マヤ「同05分、N2爆雷により目標を攻撃」

冬月「また地図を書き直さなきゃならんな」

マヤ「構成物質の28%を焼却に成功」

アスカ「……………」

シンジ「……………」

冬月「再度侵攻は時間の問題だな」

加持「ま、建て直しの時間が稼げただけでも、儲けもんっすよ」

118: 2017/02/18(土) 14:45:06.66 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 ミサト デスク -

リツコ「関係各省からの抗議文と被害報告書。で、これがUNからの請求書、広報部からの苦情もあるわよ」

ミサト「ふ~……」

リツコ「ちゃんと目を通しておいてね」

ミサト「……読まなくても分かってるわよ、喧嘩をするならここでやれ、って言うんでしょう?」

リツコ「ご明察」

ミサト「はいはい。いわれなくったって、使徒が片付けばここでやるわよ」

リツコ「副司令官はカンカンよ。今度恥かかせたら左遷ね、間違いなく」

ミサト「碇司令が留守だったのは不幸中の幸いだったけどさぁ」

リツコ「いたら即刻クビよ。この書類の山を見ることもなく、ね」

ミサト「……で、私の首がつながるアイディア、持ってきてくれたんでしょ?」

リツコ「一つだけね」

ミサト「さっすが赤木リツコ博士、持つべきものは心優しき旧友ね~」

リツコ「残念ながら、旧友のピンチを救うのは私じゃないわ」

リツコ「このアイディアは加持くんよ」

ミサト「――加持の?」

119: 2017/02/18(土) 14:46:16.63 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 第三通路 自販機前 -

シンジ「(あの瞬間、なにかデジャヴみたいな――)」

アスカ「(ううん、なにか、もっとはっきりした――)」



シンジ&アスカ「(――なんだろう?)」



加持「二人とも、残念だったな」

シンジ「…………」

アスカ「…………」

加持「――どうした?」

シンジ「あ、いえ……なんでも」

アスカ「ミサトは?」

加持「大人は片付けがあるものさ」

アスカ「……そ」

加持「おそらく、2日は缶詰めだろうな」

アスカ「え? それって……」

加持「俺が二人の監督を頼まれてるんだが、あいにく、暇じゃなくてね。口裏を合わせてくれるかい?」

シンジ「え? でも――」

アスカ「――合わせる! 加持さんはうちにいたことにすればいいのね!」

120: 2017/02/18(土) 14:48:11.44 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

シンジ「あ、あの…………アスカ」

アスカ「ん~?」

シンジ「あの、ソファーでテレビ見るのはいいんだけど……ちょっとひっつきすぎなんじゃ」

アスカ「そぅ? 前に膝枕してたじゃない?」

シンジ「今日は僕が座って、あ、アスカがピッタリくっついてるじゃないかぁ!」

アスカ「…………だめ?」

シンジ「まずいよ! 胸あたってるよ!」

アスカ「当ててるって言ったら……?」

シンジ「………………」ゴクリッ

アスカ「いやらしい顔してるわよ……?」

シンジ「テレビ、見ないの?」

アスカ「シンジの顔見てる」

シンジ「(だめだ、だめだ、流されちゃだめだ!)」

121: 2017/02/18(土) 14:49:03.70 ID:xddyXNiy0
シンジ「そうだ! 風呂はいらなきゃ!」

アスカ「え~」

シンジ「あ、アスカもLCLの匂いついてるよね?」

アスカ「シャワーで洗い流すじゃない」

シンジ「あ……そうだった」

アスカ「でも、いいわよ。はいりたいんでしょ?」

シンジ「う、うん」

アスカ「……そ。なら入ってきなさい」

122: 2017/02/18(土) 14:51:01.00 ID:xddyXNiy0
- シンジ 風呂の中 -

シンジ「(……なにか、すごい危機を感じる)」

シンジ「(はぁ……どう接したらいいのかな)」

シンジ「(アスカと向き合うには……)」

シンジ「(とりあえず、上がったら普通にしよう)」ザパァン

123: 2017/02/18(土) 14:52:16.41 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 リビング -

シンジ「…………あれ? アスカ?」

シンジ「(いない、寝たのかな)」



ゴンッ!



シンジ「――痛っ!」

アスカ「……………」

シンジ「(頭、殴られ)………あ……(意識が)……アスカ」ドサァ

アスカ「……………」

124: 2017/02/18(土) 14:53:22.17 ID:xddyXNiy0
アスカ「シンジ、やっと二人になれたね。今日はあんたが告白されるからびっくりしたわ。あんた、押しに弱そうだから抱きつかれた時は思わず止めに入っちゃった。
だいたいあの子――あの女もムカつくのよね。私たちみたいにエヴァパイロットじゃないのに勘違いしちゃってさぁ。
ありえなくない? 普通告白する? しないわよ。きっとあの女はシンジを騙そうとしてたんだわ。だから私が守ってあげたの」

シンジ「………」

アスカ「ヒカリも色々心配してくれて良い子なんだけどイラっとしちゃった。あぁ~あ。せっかく親友になれると思ったのに。……でも、シンジがいればいい。私にはシンジがいればいいの。
とりあえず、あの女の自宅を今度エヴァで出撃したときにさりげなくふんずけとくわ」

シンジ「…………」

アスカ「加持さんのこと、本当にごめんね。でも私はもうシンジだけだから。シンジしかいないから。だから、もっと私を見て」

アスカ『私だけを見て』

125: 2017/02/18(土) 14:55:06.13 ID:xddyXNiy0
- 翌日 ミサト宅 アスカ部屋 -

シンジ「――……う……うぅん」

シンジ「(この天井は……部屋の……昨日はたしか……)」

ギシッ ギシッ

シンジ「(……なんだよこれ⁉︎ なんなんだよこれっ⁉︎)」

シンジ「(ベットに縛りつけられてる! 手足が動かせない……っ! それに口もガムテープで……喋れない!)」



アスカ「…………シンジ。起きた?」



シンジ「ふごふご……んんぅーっ⁉︎」

アスカ「昨日はごめんね? 痛かった?」

アスカ「今日は学校は行かなくていいみたいだから、ずっと一緒にいましょ。本当は、ずっとこうしていたいけど、ミサトにバレたら一緒に住めなくなるし」

シンジ「(アスカ……! これほどいてよ!)」

アスカ「暴れちゃいけないから、縛ったの。一応、口も。でも安心して。今日一日シンジのことはなんでも私がやってあげる。もちろんトイレも。なにも汚くなんかないよ」

シンジ「(どこ見てるんだよ……アスカ……あれは? 古い………人形? なんだ?)」

アスカ「ずっと、ずっと、ずっとずっとずっとズット。こうなる日を待ち望んでたのかもしれないわ。――だって! 私はこれまでで一番幸せを感じてる!」

アスカ「エヴァと比べたら……まだわからないけど、でも、きっとこのままいけば………!」

126: 2017/02/18(土) 14:57:18.17 ID:xddyXNiy0
シンジ「(アスカ………それは人形だよ!)」

アスカ「――私は、私は、よくわからなくなっちゃったの」

アスカ「どうしたらいいのか……ママは……私を見てくれない」

シンジ「(……! ママ?)」

アスカ「どうしたらママは私を見てくれたの? わからないのよ! シンジ! ねぇ! どうしたらママは私だけを見てくれたの⁉︎」

シンジ「(もしかして………アスカのトラウマって………! うっ!)」

ギュゥー ギリギリ

シンジ「(アスカッ……! 首を締めてきてる……!)」

アスカ「お願いだから私だけを見て! もうどこにも行かないで!」

シンジ「(い……息がッ……!)」

127: 2017/02/18(土) 14:58:52.20 ID:xddyXNiy0
アスカ「――…………ッ⁉︎ ご、ごめん! シンジ!」

シンジ「げほっげほっ! ……ふーふー……」

アスカ「私……ママと同じこと……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

アスカ「息が苦しいの? ガムテープはがした方がいい?」

シンジ「ふーっふーっ」コクコク

アスカ「………でも、騒いだりしない?」

シンジ「…………」コクリ

アスカ「わかった……。首赤くなってる。ごめん。今はがすね」

128: 2017/02/18(土) 15:01:50.72 ID:xddyXNiy0
シンジ「あ、アスカ……」

アスカ「…………」

シンジ「(ここは何て言うべきか、間違えちゃいけない気がする……でも、どうしたら……)」

アスカ「…………」

シンジ「その人形は?」

アスカ「――――ッ」ビクッ

シンジ「どうしても知りたいんだ。もしかしてお母さんに関係あることなの?」

アスカ「…………うん」

シンジ「(向き合わないと……! 逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……!)」

シンジ「………アスカ。お腹すいてない?」

アスカ「――――えっ?」

シンジ「お腹すいてるなら、なにか作るよ」

アスカ「縛ってるのをほどいてほしいの?」

シンジ「そうじゃないんだ。アスカが心配なだけで」

アスカ「うそっ! いきなりこんな状態で私の心配なんかするはずないっ!」

129: 2017/02/18(土) 15:04:04.16 ID:xddyXNiy0
シンジ「……心配なんだ。アスカのことが」

アスカ「あんたバカァ⁉︎ 大バカよ! 私のこと嫌わないとおかしいじゃない!」

シンジ「(やっぱり、アスカはきっと揺れてるんだ。おかしいことがわかるってことは……)」

アスカ「シンジ! あんたまさか私を騙そうとしてるの⁉︎」

シンジ「(だけど、振り幅が大きい。不安になると信じられなくなって、疑って、傷つけようとする)」

アスカ「………もう私………」

シンジ「アスカ。本当なんだ。本当に心配してる」

シンジ「(だから、アスカには、気持ちで話すんだっ!)」

アスカ「嘘よ! だってまだ一週間もたってないじゃない! それなのに、こんなの信じられない!」

シンジ「……僕も、そう思う。だけど、ほっとけないのは本当だから」

アスカ「シンジ……私、あんたにはじめて会った時、懐かしいって思ったの。ねぇ、あんた、なんなの?」

シンジ「――それは僕にもわからない。けど、今は、そんなことよりもアスカのことが心配なんだ」

アスカ「…………」

シンジ「信じてほしいんだ。アスカ」

アスカ「…………」

シンジ「僕はどこにもいかないよ。お母さんと何があったのかも、話せるときに話してくれたらいい。アスカが話やすい時に」

アスカ「………ぅっ……うっ……」

シンジ「焦らなくていいんだ。だって僕たちはまだ子供なんだから」

アスカ「シ、シンジィ………」ポロポロ



加持『そうしてれば、アスカから全てをさらけだすだろう』



シンジ「これからの時間も、これまでのアスカのことも、ゆっくり解決していけばいいんだよ。アスカ」

130: 2017/02/18(土) 15:06:43.47 ID:xddyXNiy0
――――
―――


アスカ「シンジ、縛ってたところ、痛くない?」

シンジ「うん」

アスカ「本当? 頭も、病院行かなくて平気?」

シンジ「血はでてないし、大丈夫だよ」

アスカ「な、なんでもするから。なにかあったら言うのよ?」

シンジ「大丈夫だよ、アスカ」

アスカ「あの、シンジ……」

シンジ「ん?」

アスカ「私、少し頭冷やしてくる。ヒカリにも、告白した子にも、なんだか悪いことしちゃったから」

シンジ「え? けど、今日は学校行ってないからあんまり出歩かない方がいいんじゃ」

アスカ「少し、考えたいの」

シンジ「………そっか」

アスカ「体調大丈夫よね? い、いなくならないわよね?」

シンジ「うん……」

アスカ「わかった。それじゃぁ……」

シンジ「――いってらっしゃい」

131: 2017/02/18(土) 15:12:12.18 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 ラボ -

加持「よっ」

リツコ「あら、あの子達はもういいの?」

加持「俺の出る幕じゃないさ。多少余計な口出しはしてしまったみたいだがね」

リツコ「終わりよければすべてよし、とも言うわよ? それにシンジくんは理想的な成長をしているといえるんじゃないかしら?」

加持「…………」

リツコ「あの子、加持くん以上の女たらしになるかもしれないわね」

加持「ふっ。たしかに、シンジくんの働きぶりには感心させられるよ……アスカのトラウマは克服できそうじゃないか?」

リツコ「……四歳にして母親が首吊り自殺をしている現場を目撃するのは並大抵のことではない」

加持「深層心理にすりこまれているのは厄介だな」

リツコ「未来は不確定だけど、条件付きならば、はやい段階で――とは言えるんじゃないかしらね」

加持「フォースの選定に間に合えばいいんだが――」

リツコ「(おそらく、あの子たちの立場が逆転することになる)」

加持「マルドゥック機関には介入できないかい?」

リツコ「口出しすれば、碇司令が黙ってないわよ」

加持「……ふぅ~」

リツコ「加持くん、あまり根を詰めすぎると氏ぬわよ。これは友人としての忠告」

加持「ご忠告痛みいるよ。しかし、俺はなんでも自分で確かめないと気が済まないタチでね」

リツコ「(やるつもりなのね、介入)」

加持「それじゃリッちゃん、また今度」

132: 2017/02/18(土) 15:14:46.50 ID:xddyXNiy0
- 第三新東京都市 繁華街 -

アスカ「(はぁ。今さらになって凄い自己嫌悪だわ……)」

アスカ「(冷静になってみると、痛いやつよね。私って)」

アスカ「(碇シンジ……。もうすぐ一週間だけど……普通に考えたらここまで心の距離が近づくなんてありえない)」

アスカ「(違う。そうじゃない。私から心を開くなんてありえないのよ………だけど――――)」


アスカ「(――――惹きつけられる)」


アスカ「(これまでの人生で、加持さんだって、ううん、出会ってきた中でこんなことなかった)」

アスカ「(シンジ………懐かしいことと関係があるの?)」


カップル男「なぁなぁ、あの子かわいいな?」
カップル女「どこ見てるの! 信じられない!」


アスカ「(……はん。バッカみたい。昼間からイチャつくとか。しかも男も薄っぺらいし、あんなのならシンジのほうがよっぽど………)」

アスカ「(――いつから? 屋上で私を守るって言ってくれた時から、ずっとシンジのこと見てた)」

アスカ「(………もしかして、はじめて会った時から?)」

アスカ「………はぁ」

133: 2017/02/18(土) 15:16:20.91 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 -

ミサト「シンジくーん? アスカー? いるー?」

シンジ「――あれ? ミサトさん? 明日まで泊まりこみで仕事じゃなかったんですか?」

ミサト「えへへ、日向くんにお願いして切り上げてきちゃった」

シンジ「(昨日じゃなくてよかった)……はぁ、いいんですか?」

ミサト「まぁまぁ。それよりアスカは? ちょっと二人に話があるのよ」

シンジ「アスカなら今出てますよ」

ミサト「ん~そっかぁ~。帰りは遅くなるのかしら? あんまり時間がないのよねぇ~」

シンジ「今日はすこし、時間を与えてあげてください。僕でできることならしますから」

ミサト「……なんかあったの?」

シンジ「いえ、仲直りしただけです」

ミサト「ふぅん。時間……必要なのね?」

シンジ「……はい」

ミサト「……わかったわ。今回の話は二人の協力が不可欠だし……どーんと! のんびりして待ちましょうか!」

134: 2017/02/18(土) 15:17:17.65 ID:xddyXNiy0
- 第三新東京都市立第壱中学校 放課後 校舎前 -

ヒカリ「…………」テクテク

アスカ「ヒカリっ! ヒカリっ!」

ヒカリ「………? ――アスカ?」

アスカ「ずっと待ってたのよ。よかった」

ヒカリ「待ってたってここで?」

アスカ「うん、昨日のこと謝ろうと思って」

ヒカリ「ううん。もういいの」

アスカ「昨日の、あの子は……」

ヒカリ「あの子には、私から謝っておいたから大丈夫よ。私のせいなんだし」

アスカ「…………」

ヒカリ「…………」

アスカ&ヒカリ「…………あの」

アスカ「……あ」

ヒカリ「……えへへ。ねぇ、よかったら、うちに遊びにこない?」

135: 2017/02/18(土) 15:18:39.77 ID:xddyXNiy0
- 洞木宅 -

ヒカリ「もうすぐしたらご飯だけど、アスカも食べてく?」

アスカ「うぅん。そこまでしてもらっちゃ悪いし、いいわ。シンジも待ってるだろうし」

ヒカリ「――ふふ」

アスカ「なによ?」

ヒカリ「本当にアスカは碇くんのことが好きなんだなぁって」

アスカ「ヒカリ、前もそれ言ってたわよね」

ヒカリ「うん、だってそうなんだもん」

アスカ「……はぁ。シンジのことは、たしかに、うん、これまでにないぐらいの人だとは気がついたわよ」

ヒカリ「――ほんとっ⁉︎」

アスカ「……私がこれほどまでに気になるなんて、悔しいけど、認めざるをえないわ」

ヒカリ「アスカ、前に碇くんのこと「気にかけてやってる」って言ってたのってやっぱり認めたくなかったから?」

アスカ「……ん。そうなのかも。私からいくのは大人の余裕のある人ばかりだったから」

ヒカリ「…………」

アスカ「受け入れてくれるっていう安心感がないとだめなのよ。だから大人を求めてたのかもしれないわ」

ヒカリ「うんうん。年上ってそういうところあるよね」

136: 2017/02/18(土) 15:22:12.13 ID:xddyXNiy0
アスカ「だけど、大人はみんな私のことエヴァのパイロットとしてしか見てくれなかった。私のことを見てくれたのは加持さんだけ」

ヒカリ「…………」

アスカ「………そう思ってた。加持さんは私のことを女の子として扱ってたけど、子供としても扱っていた。そのことに薄々と勘づいていたけど見ないように、気がつかないふりをしてた」

ヒカリ「…………」

アスカ「加持さんしかいなかったから。シンジは、シンジは違う。私と対等に、エヴァのパイロットとしても、子供同士としても向き合ってくれた。見ないふりをしなくてもいいの」

ヒカリ「………なんだか、ずるいな」

アスカ「えっ?」

ヒカリ「恋愛って、自分と向き合ったり、人と向き合わなきゃできないことだから、アスカが大人に見える」

アスカ「そうかしら……」

ヒカリ「うらやましいよ。昨日はまったくそんなとこ見せなかったのに。気がつくことができたじゃない」

アスカ「…………うん。でも、ヒカリもそういうことわかってるってことじゃないの?」

ヒカリ「私は、少女漫画の影響だから……えへへ」

アスカ「…………ふふ」

ヒカリ「アスカも見たいなら言ってね? 少女漫画うちにたくさんあるから」

137: 2017/02/18(土) 15:25:03.32 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「……でも、よかった」

アスカ「ん?」

ヒカリ「アスカ、このままだとなにしでかすかわからない感じだったから」

アスカ「――――あー、うん」

ヒカリ「……?」

アスカ「ヒカリ、引かないで聞いてくれる?」

ヒカリ「もう夜中見てたとか言われても引かないわよ」お茶グビグビ

アスカ「――シンジを監禁したの」

ヒカリ「ぶふぅっっっ!!」

アスカ「うわぁっ⁉︎」

138: 2017/02/18(土) 15:27:14.34 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「あ、アスカァ⁉︎」

アスカ「も、もう大丈夫。解放してあるから」

ヒカリ「解放って――碇くんは大丈夫なの⁉︎」

アスカ「う、うん。なんともないっていつも通りしてくれてる」

ヒカリ「…………」

アスカ「さ、さすがにやりすぎたとは思ってるわよ」

ヒカリ「………すごいね」

アスカ「………うん。でもあいつバカだから。凄いと思ってないんだろうけど」

ヒカリ「…………碇くんってね、転校してきた時、孤立してたのよ」

アスカ「そうなの?」

ヒカリ「うん。エヴァのパイロットっていうこともあったけど、昼休みは一人でいることが多かった。だから、そんな人とは思わなかったな」

アスカ「鈴原から殴られたことあるって聞いたことあるわ」

ヒカリ「……鈴原は妹さんが巻き込まれたから」

アスカ「でも、それは事故よ。シンジがそんなことしたくてするわけない」

ヒカリ「……うん。私たちにはできないこと、碇くんやアスカたちはしてる」

アスカ「………」

ヒカリ「みんな感謝してるのよ。口にださないだけで。だから、鈴原のことあんまり悪く言わないであげて」

アスカ「……わかった」

ヒカリ「あのね、アスカ」

アスカ「うん?」

ヒカリ「ちょっと耳かしてくれる?」

アスカ「はぁ? だってここには誰も……まぁいいわ、なに?」

ヒカリ「実は、私――」コショコショ

アスカ「――――――よりによって、すずはらぁっっっっ⁉︎」

139: 2017/02/18(土) 15:29:20.60 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 夜 -

アスカ「すぅー……はぁーっ。よしっ!」

ガチャ

アスカ「シンジ! ただい――」

ミサト「お帰りなさ~い!」

アスカ「――ミ、ミサトっ? なんで玄関に」

ミサト「待ってたわよん」

アスカ「仕事は?」

ミサト「まぁまぁ。いいからいいから。それじゃ、はじめましょーか!」

アスカ「なにを?」

ミサト「今度の作戦準備。ほら、シンちゃんはリビングで待ってるからさっさと行って」



ミサト「――第7使徒の弱点は1つ! 分離中のコアに対する二点同時の荷重攻撃、これしかないわ」

シンジ「……荷重攻撃?」

ミサト「つまり、エヴァ2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。――そのためには2人の協調、完璧なユニゾンが必要なの」

アスカ「ユニゾンってそんな無茶な……」

ミサト「そ・こ・で、無茶を可能にする方法。二人の完璧なユニゾンをマスターするため、この曲に合わせた攻撃パターンを覚え込むのよ」

アスカ「…………」

シンジ「…………」

ミサト「使徒は現在自己修復中。既に2日ロスしたから第2波は4日後、時間がないわ。頼むわね」

140: 2017/02/18(土) 15:31:09.63 ID:xddyXNiy0
- 翌日 ミサト宅 アスカ部屋 -

アスカ「な、なによこれぇ~~~⁉︎」

ミサト「あら? 気に入らなかった?」

アスカ「こんなダサいTシャツを私に着ろってゆーの⁉︎ しかも下はスパッツゥ⁉︎」

ミサト「シンちゃんとペアルックよん?」

アスカ「――ほ、ほんと?」

ミサト「もちろん、シンちゃんは今自分の部屋で着替えてるから」

アスカ「は、はん。ま、まぁ。しかたないわね!」

ミサト「アスカ、あんた素直になったりつんつんしたり忙しいのね」

アスカ「どういう意味よっ⁉︎」

ミサト「ご覧の通り見たままの意味よ、さ、ちゃっちゃと着替えちゃいなさい」

アスカ「む、ムカつく……っ!」

141: 2017/02/18(土) 15:49:48.37 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 リビング -

ミサト「さて、それじゃ今日から本格的に特訓スタートよ! はりきって――どうしたの? 二人とも」

シンジ「(こ、この服は……予想以上に)」
アスカ「(恥ずかしい……っ!)」

ミサト「ちょっと、大丈夫?」

アスカ「な、なんでもないわ! 続けて」

ミサト「……まずは、リズムを覚えるところから。曲に合わせてゲーム感覚でやってもらいます」

シンジ「ゲーム……ですか?」

ミサト「シンちゃんはゲームセンターとかいかない? ネルフスタッフがダンスゲームみたいに作ってくれたのよ」

アスカ「ふぅ~ん」

ミサト「まずは、合わせてみましょうか」

シンジ「はい」

ミサト「それじゃ! ミュージックスタートォゥ!」

142: 2017/02/18(土) 15:51:25.75 ID:xddyXNiy0
- 3日後 ミサト宅 玄関前

トウジ「しかし、シンジの奴どないしたんやろなぁ」テクテク

ケンスケ「学校を休んで、もう三日だもんなぁ~」テクテク

トウジ「この間の出撃となにか関係あるんやろか?」テクテク

ケンスケ「さぁ~?」テクテク

トウジ「あれ? あそこにおるんは、委員長やんか」テクテク

ヒカリ「す、鈴原、相田くん」テクテク

トウジ「なんで委員長がここにおるんや?」テクテク

ヒカリ「私はアスカのプリント渡しに。あなたたちこそどうしてここに?」テクテク

ケンスケ「碇のプリント渡しに」テクテク


ヒカリ「そうなんだ」ピタッ

トウジ「……なんでここで止まるんや?」ピタッ
ケンスケ「……なんでここで止まるんだ?」ピタッ


ヒカリ「え? えーと、その………(二人はアスカと碇くんが一緒に住んでるって知らないの……?)」

トウジ「……ケンスケ、ほれ、チャイム」

ケンスケ「あ、あぁ……」



ピンポーン



シンジ&アスカ「はぁ~~~い」



トウジ「…………おまっ⁉︎ まままままままぁっ⁉︎」

ケンスケ「……………いやぁ~んな感じ」

ヒカリ「……………はぁ」

143: 2017/02/18(土) 15:52:54.79 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 リビング -

トウジ「――それならそうとはよう言うてくれればよかったのに」

アスカ「…………学校でいいふらしたら承知しないからね」

トウジ「するか! シンジもいい迷惑やろ!」

アスカ「なにが迷惑なのよ⁉︎ いいふらしなさいよ!」

トウジ「どっちやねん!」

ヒカリ「……それでユニゾンはうまくいってるんですか?」

ミサト「それが――」

ケンスケ「うまくいってないんすか?」

ミサト「うまくいっちゃったのよね……」

アスカ「またその話?」

ミサト「だぁってこんなに合うとは思わなかったんだもの! 時間があまりまくっちゃってさぁ」

アスカ「昼間からビール飲めていいじゃない……」

ヒカリ「(……アスカ、うまくできてるんだね)」

トウジ「なぁなぁ、シンジの部屋はどこや?」

シンジ「それなら、あっち――」

ケンスケ「碇! 今日は俺たちからプレゼントがぁ⁉︎」

アスカ「なに? これ」ヒョイ

144: 2017/02/18(土) 15:54:16.14 ID:xddyXNiy0
トウジ「そ、そそそそそれはぁ⁉︎」

ケンスケ「と、トウジ! 緊急事態だ! 取り返せ!」

トウジ「よしきた――! ぐへぇ⁉︎」バキッ

アスカ「――フンッ。エリート育ち舐めんじゃないわよ」

ヒカリ「アスカ、それなんなの?」

アスカ「ちょっと待って……なんか……ケースみたいな………⁉︎」

ヒカリ「――ど、どうしたの? アスカ」

アスカ「ヒカリも見てみたら?」

ヒカリ「うん…………こ、これは⁉︎」

ケンスケ「…………碇、部屋に行かせてくれ」

シンジ「部屋なら、そこまっすぐいって左手だよ」

ヒカリ「ちょっと鈴原と相田くん!! アンタたちっ!! そこ座りなさいよっ!!!」

ミサト「(思春期と言ったら、どうせ工口絡みね……)」

145: 2017/02/18(土) 15:56:04.38 ID:xddyXNiy0
――――
―――


ヒカリ「わかった⁉︎ 碇くんはあんた達とは違うんだからね!!」

トウジ&ケンスケ「…………はい」

アスカ「………サル」

トウジ「ぐっ⁉︎ ゴミを見るような目で……!」

アスカ「ゴミに失礼ね」

ケンスケ「………はぁ」

シンジ「あ、あの………そろそろ」

トウジ「シンジだって溜まるもの溜まってしょうがないに決まっとるやろがいっ!」

ヒカリ「す、鈴原ぁっ⁉︎」

トウジ「見てみいや! 家に帰ればミサトさん! ……とゴリラ女がおるんやで!」

アスカ「――誰がゴリラですってぇ⁉︎」

トウジ「シャラップッ! ミサトさんのこんなあられもない姿を見たシンジがワシはあわれであわれで……」

ミサト「あはは」

アスカ「遺言はそれだけ?」

146: 2017/02/18(土) 15:57:42.73 ID:xddyXNiy0
トウジ「センセも男ならわかるよなぁ⁉︎」

シンジ「いや、えーと」

アスカ「…………」

ヒカリ「…………」

ミサト「(さぁ、シンちゃん。どう切り抜けるのかしら)」

シンジ「うーん、まぁ、少しはあるよ」

トウジ「ほら見て――ぐっ」バキッ

アスカ「シンジッ! 私とミサトどっち⁉︎」

シンジ「あー。んー………」

ヒカリ「ちょ、ちょっとアスカ」

アスカ「……………」

ミサト「(身を乗り出しちゃってまぁ)」

シンジ「アスカ、かな」

アスカ「ほんとっ?」

シンジ「うん」ポリポリ

アスカ「じゃあ部屋行きましょ!」

シンジ&ヒカリ&ケンスケ&ミサト「えぇっ⁉︎」

アスカ「……なによ?」

147: 2017/02/18(土) 15:59:34.18 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「アスカっ! ぜんぜん変わってないじゃない!」

アスカ「私は何事も焦らないようにしただけよ。シンジはいなくならない。それはわかったわ。だけど、そういうことに興味もあるし――」

ミサト「それはちょぉっとストップ!」

ヒカリ「はじめては大切なんだからもっと雰囲気とかあるじゃない!」

アスカ「シンジと私の邪魔する気……?」

ケンスケ「…………いかりぃ。感想はきかせてくれよなぁ」

シンジ「そ、それははやすぎるよ!」

アスカ「シンジなら嫌じゃないし私のことでしょ!」

ヒカリ「アスカはまだ気持ちに気がついたばかりじゃない!」

シンジ「え? 気持ちって?」

アスカ「――ヒカリっ⁉︎」

ヒカリ「え? ――うそ⁉︎ 碇くんまだ知らないの⁉︎」

148: 2017/02/18(土) 16:00:52.02 ID:xddyXNiy0
アスカ「その、シンジは――」

ケンスケ「(普通、ここまであからさまなら気がつくけどなぁ)」

シンジ「アスカ、ゆっくりでいいよ」

アスカ「…………う」

ヒカリ「(知らないんだわ。アスカがもう受け入れてること……碇くんはアスカを待ってるつもりなのね……でも、待って。碇くんの気持ちは?」

トウジ「いつつ~」

ヒカリ「(碇くんがアスカを友達だと思ってるだけだとしたら……? きゃーっ! なんか少女漫画っぽい!)」

アスカ「………ヒカリ?」

ヒカリ「――え? な、なに?」

アスカ「鈴原はいいの?」

ヒカリ「え⁉︎ あ、アスカぁっ⁉︎」

トウジ「…………なんや?」

アスカ「ふん……お返しよ」

ミサト「とにかく、これで戦闘準備は万端ってことで」

149: 2017/02/18(土) 16:08:42.06 ID:xddyXNiy0
- 作戦決行日当日 発令所-

第7使徒イスラフェル「……………」ズシンズシン

シゲル「――目標は、強羅絶対防衛線を突破!」

ミサト「……おいでなすったわね、今度は抜かりないわよ」

ミサト「音楽スタートと同時に、A.T.フィールドを展開。後は作戦通りに。2人とも、いいわね?」


シンジ&アスカ「了解!」


シゲル「――目標は、山間部に侵入!」


アスカ「準備はいい? 最初からフル稼動、最大戦速で行くわよ」

シンジ「分かってるよ。62秒でケリをつける」

アスカ「(こういう時は、かっこいいのよね……)」


シゲル「――目標、ゼロ地点に到達します!」

ミサト「外電源、パージ」

マヤ「了解」

ミサト「期待してるわよぉ。発進っ!」

150: 2017/02/18(土) 16:10:46.20 ID:xddyXNiy0
- 作戦決行から1日後 第壱中学校 屋上 -

シンジ「アスカはネルフだし、なんだか、久しぶりに一人の気がするや」

シンジ「(短い期間に色々とあったけど……)」

シンジ「(アスカは、トラウマを話てくれるようになってはじめてきちんと向き合うことになるのかな)」

シンジ「(今は、アスカはきっと勘違いしてるだけなんだ……)」



〇〇「どいて、どいてぇ~~~~!!」

シンジ「――えっ?」


ドカンッ


〇〇「……………いたたぁ~~。………ねぇ⁉︎ ちょっと大丈夫⁉︎」

シンジ「……………」

〇〇「あっちゃぁ~~。こりゃ完全にオチちゃってるじゃん!」


ピリリリリ
――ピッ

〇〇「――Hello? あぁ。なんだ加持くんか。こちらマリ。予測地点から5kmも離れてるよぉ~」

マリ「うん………うん………ゲンドウくんには気がつかれてないのね……了解」

マリ「――あぁ~~まった! それと、1人処理お願い。中学校の屋上でのびてるから」

ピッ

マリ「さぁてと――」

151: 2017/02/18(土) 16:13:53.78 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 ラボ -

リツコ「――月経ね」

アスカ「……女だからってなんでこんな思いしなくちゃならないのよ。生理なんかなくなればいいのに」

リツコ「人という種を残すため。痛み止め、飲んどく?」

アスカ「……ちょうだい」

リツコ「3日もすれば痛みはだいぶなくなると思うわよ。その間はプラグテストもしなくて大丈夫」

アスカ「……………」

リツコ「シンジくんとの生活は慣れた?」

アスカ「……えぇ。問題ないわ」

リツコ「ミサトからかなり親密な関係だと聞いたけれど」

アスカ「ミサトってそんなことまで話すの……」

リツコ「一応、私はパイロットのカウンセリングも仕事なの。アスカにとってシンジくんはどんな存在?」

アスカ「…………」

リツコ「報告させたくはないんだけど?」

アスカ「…………っ! プライベートはないの⁉︎」

リツコ「あなたの精神面に問題がなければ聞きはしないわ」

アスカ「…………」

リツコ「ふぅ。キョウコ博士についてなんだけど――」

アスカ「――やめてっ!! わかった! 言うわよ!」

152: 2017/02/18(土) 16:15:21.33 ID:xddyXNiy0
リツコ「それで?」

アスカ「…………シンジは、私にとって大切な人よ」

リツコ「具体的には?」

アスカ「そ、それは……」

リツコ「異性として見ている、ということ。かしらね」

アスカ「…………」

リツコ「沈黙は肯定とするわよ」

アスカ「…………」

リツコ「必要なことだから聞くけど――」

アスカ「…………」

リツコ「――シンジくんが氏んだらどうするつもり?」

アスカ「――っ⁉︎ シンジは氏なないわっ! 私が守るものっ!」

リツコ「なぜそう言いきれるの? 彼もエヴァパイロットなのよ? 常に危険は隣り合わせにある」

アスカ「そんなことないっ! 絶対に氏なせない! シンジが氏んでほしいの⁉︎」

153: 2017/02/18(土) 16:16:56.89 ID:xddyXNiy0
リツコ「論点のすり替えね。誰も彼に氏んでほしいなんて言ってないわよ?」

アスカ「………っ!」

リツコ「ただし、私達にはいつでも代替え案が必要だとは言っておくわ。人が生き残るためにはね」

アスカ「使い捨ての駒にするつもりっ⁉︎」

リツコ「――いいえ。そうできるほどあなた達パイロットに価値がないわけではない。エヴァパイロットを選ぶのはそう簡単ではないのよ」

アスカ「……………」

リツコ「あなた、加持くんはもういいの?」

アスカ「……………」

リツコ「恋愛はロジックではないわ。しかし、簡単に乗り換えるのはシンジくんに不誠実だと言えるのではないかしら?」

アスカ「――――っ⁉︎ 違うわ! 加持さんは私が勘違いしてただけよ! シンジみたいに本当に見てくれてたわけじゃなかった!」

リツコ「加持くんになにを求めようとしていたの?」

アスカ「…………」

リツコ「大人の余裕、かしらね?」

アスカ「くっ………」

リツコ「人は分析をしていても、その分析が間違っているか正解かどうかなんてわからないものよ。自分で判断している」

アスカ「な、なにが言いたいのよ⁉︎」

154: 2017/02/18(土) 16:19:33.93 ID:xddyXNiy0
リツコ「あなたは周囲から認められなければいけないという強迫観念に囚われているんじゃない?」

アスカ「…………」

リツコ「そう考えれば、加持くんへ……大人達への強い憧れも一種の自立性と見えなくもないわね」

アスカ「…………」

リツコ「シンジくんに依存しすぎるのはやめなさい」

アスカ「――っ! な、なんでそんなこと言われなくちゃならないのよ!」

リツコ「正常な判断ができなくなる。危険だからよ」

アスカ「私はシンジに依存なんかしてないっ! 対等に向き合ってるだけよっ!」

リツコ「……………」

アスカ「こんなカウンセリング意味ない! 不快なだけだわ!」

リツコ「パイロットとして機能しなくなれば、シンジくんにしろあなたにしろ、どうなるかわからない?」

アスカ「今はうまくできてるじゃない! シンクロ率だって私は70%なのよ⁉︎」

155: 2017/02/18(土) 16:20:33.69 ID:xddyXNiy0
リツコ「…………今はそれでいいかもしれないわね」

アスカ「そうよ! 嫌なことがあっても乗り越えて見せるわ!」

リツコ「失うものが大きすぎるほど失った時に辛いわよ。失った時に、それがわかるわ」

アスカ「わかってるわよ! ママみたいになるのはもうたくさんっ!」

リツコ「…………そう」

アスカ「――もう帰るわよ」

リツコ「またカウンセリングが必要になった時はいつでもいらっしゃい」

アスカ「よくも……っ! 二度とくるわけないでしょ⁉︎」

リツコ「(――いいえ。あなたは来るわ。必ずね)」

アスカ「……………ふんっ!!」

156: 2017/02/18(土) 16:21:48.31 ID:xddyXNiy0
- 第三新東京都市 繁華街 -

加持「のびてるのがシンジくんだと聞いた時は驚いたぞ」

マリ「……あぁ。彼がネルフのワンコくん?」

加持「なんだあ? 知らなかったのか?」

マリ「にゃはは。資料では見たけどあんまり興味なかったから気がつかなかった」

加持「……はぁ」

マリ「それより、ゲンドウくんは本当に気がついてないの?」

加持「おそらく、ね。泳がされてるだけかもしれないが」

マリ「可能性は?」

加持「五分五分といったところかな。分の悪い賭けかもしれないが」

マリ「ふぅ~ん。あぁ~ぁ。大人たちを巻き込むのは気後れしちゃうな」

加持「……よく言うよ」

マリ「それで? シナリオは?」

加持「ゼーレと碇司令のシナリオはいずれ剥離するのは確定済みさ」

マリ「それじゃ、『こっち』のシナリオは?」

加持「…………なんとも言えないね」

マリ「頼りないなぁ~」

157: 2017/02/18(土) 16:23:32.93 ID:xddyXNiy0
加持「ま、なんとかなるさ。命ある限りは」

マリ「ふふん。そっちの方が頼り甲斐あるかも」

加持「そいつはどーも。……マルドゥックにはこのまま?」

マリ「……それしかないっしょ~?」

加持「……愚問だな」

マリ「よいしょっと。さぁーて、それじゃはじめますか」

加持「わかってるだろうが、派手にやるなよ?」

マリ「だぁいじょーぶ! どんな物語にも種明かしは必要なのだよ!」

加持「……ふっ。違いない。その時が来ればだけどな」

マリ「それじゃ、また!」

加持「あぁ」





マリ「しっあわせわぁ~♪ 歩いてこない♪ だぁから歩いてゆくんだ!よっと!」

158: 2017/02/18(土) 16:25:05.78 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

シンジ「アスカぁ。今夜は炒め物でいい?」

アスカ「うん」

シンジ「……どうかした?」

アスカ「え? な、なんで?」

シンジ「落ちこんでるように見えたから」

アスカ「な、なんでもない! 私は元気よ!」

シンジ「……そっか」

アスカ「…………」

シンジ「(えーと、あれ? コショウきれてたかな……?)」

アスカ「…………」

シンジ「(後でミサトさんに電話して買ってきてもらおうかな?)」

アスカ「…………ねぇ、シンジ」

シンジ「ん? どしたの?」

アスカ「――もしも、もしもなんだけど、私たちってエヴァパイロットじゃなくても仲良くなれたかな?」

159: 2017/02/18(土) 16:27:15.45 ID:xddyXNiy0
シンジ「…………」

アスカ「…………」

シンジ「…………どうだろう」

アスカ「そ、そうよね。わからないわよね」

シンジ「うん……。だけど、僕はアスカと仲良くなれて嬉しいよ」

アスカ「…………うん」

シンジ「エヴァパイロットであることに嫌な気持ちしかなかったけど、アスカには助けてもらってるから」

アスカ「…………うん」

シンジ「今はパイロットだからわからないけど、そうじゃなくても他のことで仲良くなってたんじゃないかな」

アスカ「……そ、そう?」

シンジ「うん。わからないから仲良くならなかったかも、じゃなくて、仲良くなってた未来もあるはずだから」

アスカ「…………シンジ」

シンジ「………アスカ? どしたの?」

アスカ「…………」

シンジ「…………」

アスカ「エヴァパイロット……やめてもいいかもね」

160: 2017/02/18(土) 16:28:04.08 ID:xddyXNiy0
シンジ「アスカ……?」

アスカ「……ううん。なんでもない!」

シンジ「……?」

アスカ「シンジ! 私料理覚えるわ!」

シンジ「えぇ⁉︎」

アスカ「……そこってそんなに驚くこと?」

シンジ「え、でも、アスカ。包丁握ったことある?」

アスカ「ない、けど」

シンジ「…………そうなんだ。じゃあまずは包丁の扱い方からだね」

アスカ「教えてくれる?」

シンジ「もちろん――」

アスカ「――シンジは、絶対に氏なせない」ボソッ

シンジ「……え?」

アスカ「なんでもないの! さぁ! やるわよ!」

161: 2017/02/18(土) 16:42:17.09 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 ??? -

キール「我々にはないシナリオがあるようだが?」

ゲンドウ「……問題ありません。とるにたらない出来事です」

委員会01「しかし、弐号機の艦隊戦はなんとかならなかったのかね。あの遭遇戦で、米艦隊は戦力の1/3を失ったよ」

委員会04「失ったのは君の国の艦隊だろう。気にすることでもない」

委員会03「左様。この程度で済んだのは、むしろ幸いと言える」

委員会02「碇君。本当に問題はないんだろうな?」

ゲンドウ「……はい。ネズミはいずれ罠にかかり自滅します」

委員会01「この場所での虚偽の発言は氏に値するよ?」

ゲンドウ「……わかっております。皆様方には結果をもって成果を」

キール「よろしい。碇……余計な考えはおこすなよ?」

ゲンドウ「はい。全ては……ゼーレのシナリオ通りに」



冬月「……通信終了か。老人達はあの男、加持と言ったか。やつを疑っているようだな」

ゲンドウ「…………ああ」

冬月「ゼーレに対するスケープゴートにするつもりか」

ゲンドウ「……時期がくれば処理する。それまでは好きにさせておけばいい」

冬月「我々のシナリオの障害になりえはしないだろうな」

ゲンドウ「マルドゥックに介入したのは把握してある。なにも問題はない」

冬月「今のうちにダミーを急がせるか?」

ゲンドウ「今はまだ、待つだけでいい。何も焦る必要はない」

162: 2017/02/18(土) 16:45:19.19 ID:xddyXNiy0
- 翌日 第三新東京都市第壱中学校 昼休み -

ケンスケ「いよいよ来週は修学旅行だぁ~!」

トウジ「いやっほーう!」

ケンスケ「なぁ、どこからまわろうか?」

トウジ「そら決まっとるやろ! 沖縄ゆうたら首里城や!」

シンジ「うん、いいね」

ケンスケ「首里城か~! カメラで撮ろうかな~」






ヒカリ「――鈴原たち、すごくはしゃいでるね」

アスカ「……そうね」

ヒカリ「アスカ、悩み事?」

アスカ「……ううん。でも、なんだか頭から離れないことってない?」

ヒカリ「……? 水着のこととか?」

アスカ「…………」ガクッ

ヒカリ「ど、どうしたの?」

アスカ「なんでも。……そうね。いい加減切り替えなくちゃ。私らしくないわね」

ヒカリ「アスカ。悩み事があるなら、聞くよ?」

アスカ「……ありがと。――それはそうと、鈴原とは進んでるのぉ?」

ヒカリ「えぇ⁉︎」

アスカ「どうなの?」

163: 2017/02/18(土) 16:47:55.87 ID:xddyXNiy0
ヒカリ「………その、まだ、なにも」

アスカ「はぁ? 少女漫画知識はどうしたのよ?」

ヒカリ「あ、あれはっ! 漫画だから……実際にできるわけじゃ……」

アスカ「……はぁ。私の時はすぐお節介するくせに」

ヒカリ「う、うぅ……」

アスカ「――いいわ。それじゃちょっと、私がお節介してあげる!」

ヒカリ「え⁉︎ アスカッ⁉︎」

アスカ「いくわよ、ヒカリ」グイッ



アスカ「…………」スタスタ
ヒカリ「(ちょっ、ちょっとアスカァッ!)」



トウジ「それと――なんや? ゴリラ女やないか」

アスカ「いい度胸ね。でも殴るのは話を聞いてからにしてあげる」

シンジ「……?」

アスカ「鈴原。あんたいっつも購買パンよね? なんで?」

トウジ「はぁ?」

アスカ「答えるか氏ぬかどっちかにしなさい」

トウジ「簡単に[ピーーー]るか! ……ワシは妹の見舞いがあるからな。弁当を作る時間がないんや」

アスカ「ふぅ~ん。購買パンって飽きるわよね?」

164: 2017/02/18(土) 16:48:53.86 ID:xddyXNiy0
トウジ「あぁ、まぁ。そやなー」

ケンスケ「トウジはいつも同じパンだもんなー」

アスカ「……ですってよ? ヒカリ」

ヒカリ「え、えぇ⁉︎ ここで私っ⁉︎」

トウジ「……はぁ? 委員長? 」

ヒカリ「――あ、あの!」

トウジ「……?」

ヒカリ「わ、私! 妹とお姉ちゃんのお弁当作ってるんだけど!」

トウジ「はぁ……それはえらいなぁ」

ヒカリ「い、いつも、作りすぎて、あまっちゃうんだ」

トウジ「………はぁ、そら大変やなぁ」

ケンスケ「…………」

シンジ「…………」

ヒカリ「だ、だから、食べてくれる人を、探してるんだけど」

165: 2017/02/18(土) 16:49:42.11 ID:xddyXNiy0
トウジ「…………はぁ?」

アスカ「(――ぐっ! この鈍感!)」

ヒカリ「あ、あの……だから、その………」

ケンスケ「それなら、トウジがぴったりだなぁ~。碇もそう思うだろ?」

シンジ「……うん、そうだね」

トウジ「………ワシが?」

シンジ「うん、だってトウジ、パンに飽きてるんだろ?」

アスカ「(ナイスよ! シンジ! 相田!)」

トウジ「…………そうなるな」

ヒカリ「……………」

トウジ「…………それなら、委員長。ワシ、食べてもええんやろか?」

ヒカリ「――うんっ!」

ケンスケ「なぁ」コショコショ

シンジ「うん?」

ケンスケ「俺に春はいつくるのかなぁ~」

166: 2017/02/18(土) 16:51:01.31 ID:xddyXNiy0
シンジ「……ケンスケって自分のこと僕って言ってなかった?」コショコショ

ケンスケ「雰囲気だろ! ていうか、ツッコむとこそこかよ!」コショコショ

アスカ「……よかったわね。ヒカリ」

ヒカリ「…………べ、べつに。鈴原に作るのはついでだから」

トウジ「そらえろうすんません」

ヒカリ「――ち、ちがうの! ちがわなくて! あ、アスカぁっ!」

アスカ「はいはい、わかったわよ」

ヒカリ「もう! ……でも私、料理できるなんて言ってた?」コショコショ

アスカ「いいえ」

ヒカリ「じゃ、じゃあどうして?」

アスカ「だって委員長ですもの。できて当たり前じゃない」

ヒカリ「…………」

167: 2017/02/18(土) 16:52:16.66 ID:xddyXNiy0
- 第三新東京都市 繁華街 デパート -

アスカ「ねぇねぇ、シンジ! こんなのはどうかな~?」

シンジ「あ、え、えと。その。いいんじゃないかな」

アスカ「……もう。ちゃんと見てくれてる?」

シンジ「だ、だってここ、女性の水着売り場じゃないかぁ」

アスカ「……恥ずかしい?」

シンジ「う……。みんな僕たちのこと、その、カップルだって思ってるよ」

アスカ「それでもかまわないけど?」

シンジ「……………」

アスカ「シンジももうちょっとな部分があるのよね。でも私たち子供だからしかたないけど」

シンジ「…………うぅ」

アスカ「シンジ? まわりはまわりよ? なんとでも思わせておけばいいのよ。どうせ会うこともないんだし」

168: 2017/02/18(土) 16:53:10.23 ID:xddyXNiy0
シンジ「た、たしかに、会うことはないんだろうけど……」

アスカ「でしょ? 他人は他人。みんなそうやって生きてるのよ――あ、ほらほらっ! これは⁉︎ どう⁉︎」

シンジ「ちょ、ちょっと面積が少なすぎるんじゃないかな」

アスカ「えぇ~~。かわいいのに。シンジ。私がこんなの着て他の男に見られるのヤダ?」

シンジ「…………えぇと、どうかな」

アスカ「はい! そこも! そういう時はちゃんと嫌だって答えてくれなくちゃ!」

シンジ「あ、そうなんだ」

アスカ「そうよ? 私から指摘させたんじゃ、言わせてるってことになるでしょう?」

シンジ「……うん。そうだね」

アスカ「シンジもゆっくりいきましょ」

シンジ「……ありがとう。アスカ」

アスカ「いいのよ。それじゃこれは――⁉︎」

169: 2017/02/18(土) 19:25:24.66 ID:xddyXNiy0
- 夜 ミサト宅 -

ミサト「ぷはぁ~~~っ! くぅ~~! なんだかこの声あげるのも久しぶりな気がするわ~!」

アスカ「ミサトは家にいる時、基本的に飲んでたでしょ」

ミサト「気にしなくていいのよん」

アスカ「……?」

シンジ「ミサトさん、来週、修学旅行なんですけど。知ってますよね?」

ミサト「あぁ~。えっと沖縄だったかしら?」

アスカ「そうよ! まさか、行くな、なんて言うんじゃないでしょうね~?」

ミサト「う~ん。そのまさか」

アスカ「ふっ、ふざけるんじゃないわよ!!」

ミサト「仕方ないじゃなぁ~い。エヴァがいつでも発進できるようにパイロットは必要なんだもの」

シンジ「……でも、僕たちの修学旅行ですよ?」

ミサト「私としても行かせてあげたいのが心情なんだけど、これも仕事なのよ」

170: 2017/02/18(土) 19:26:06.91 ID:xddyXNiy0
アスカ「なんでもかんでもエヴァエヴァエヴァエヴァって!!」

ミサト「…………」

シンジ「アスカ……」

アスカ「私たちに人権はないの⁉︎」

ミサト「……申し訳ないと、思ってるわ」

アスカ「口ではなんとでも言えるわよっ!」

ミサト「……そんなに楽しみにしてたのね。ごめんなさい」

アスカ「私が欲しいのは謝罪じゃないわ! 許可よ!」

ミサト「…………」

アスカ「あぁ、もう! せっかく気分転換できると思ったのに!! なんなのよ!!!」

171: 2017/02/18(土) 19:26:36.48 ID:xddyXNiy0
ミサト「…………謝ることしかできない。ごめん」

アスカ「…………」

シンジ「…………」

アスカ「…………大人ってゴミね」

シンジ「アスカ……言いすぎだよ」

アスカ「シンジだってそう思うでしょう⁉︎ ずるいわよこんなの!」

ミサト「……厳しい言い方をするようだけど、あなた達の住まいやその他の待遇は、エヴァパイロットだからってこと忘れないで」

シンジ「――っ! み、ミサトさんっ!」

ミサト「シンジくんも。よく聞きなさい。あなた達は人類を守れる力がある。………そしてその義務も責務もある」

アスカ「…………」

ミサト「甘ったれたことばかり言ってちゃだめなのよ」

アスカ「…………ゴミに申し訳なかったわ。クズね」

ミサト「なんとでも言っていいわ。だけど、修学旅行は、ごめんなさい」

シンジ「……………」

172: 2017/02/18(土) 19:27:05.16 ID:xddyXNiy0
アスカ「………ミサトとは一緒にいたくない」

ミサト「…………」

アスカ「…………シンジ、部屋いきましょ」

ミサト「…………二人で部屋に行くの?」

アスカ「そうよ! 悪い⁉︎ 文句あんなら言ってみなさいよ!!!」

ミサト「いえ……ないわ」

アスカ「……行きましょ、シンジ」

シンジ「…………」

173: 2017/02/18(土) 19:27:40.25 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 アスカ部屋 -

アスカ「…………」

シンジ「…………」

アスカ「…………あぁ~ぁ。シンジが選んでくれた水着きたかったなぁ」

シンジ「……また、機会はあるよ」

アスカ「シンジはムカつかないの?」

シンジ「しかたないことなのかなって思うから」

アスカ「ふぅん。やっぱりシンジは優等生なんじゃない? 本当に命令違反で独房に入ったの?」

シンジ「それは、本当だよ。……ごめん。やっぱり腹は立ってるのかもしれない」

アスカ「……シンジって、少し内罰的よね」

シンジ「そうかな?」

アスカ「シンジっていうか、日本人? なんでも自分が悪いんだ、しかたないことなんだぁって思いこもうとしてるでしょ?」

シンジ「……そう……かもしれない」

174: 2017/02/18(土) 19:28:25.94 ID:xddyXNiy0
アスカ「ムカつくことがあったら言い返していいのよ。だって私達はエヴァパイロットなんだもの。モチベーション管理ってもんがあるでしょーが」

シンジ「……うん」

アスカ「…………シンジ、もうちょっと男らしかったらいいのに」ボソッ

シンジ「……そうだね」

アスカ「――あっ……聞こえてた? ごめん。今のは私が悪かったわ」

シンジ「いや、いいんだ。男らしくないのは事実だから」

アスカ「だから、そういうとこがぁ……ごめん。イライラしてるみたい」

シンジ「……僕も男らしくなりたいと思ってるんだ。だけど、これまでこうやって生きてきたから、なかなかすぐにはできなくて」

アスカ「……うん」

シンジ「でも、いつかは、男らしくなってみせるよ」

アスカ「シンジなら、できるよ」

シンジ「ありがとう、アスカ」

アスカ「ううん。私こそ感謝してるの。してもしきれないぐらい」

シンジ「……約束したの覚えてる?」

アスカ「――私のこと?」

シンジ「そう。アスカのこと守るって言ったの」

アスカ「うん。あれがあったから私は変わるきっかけを手に入れた。もちろん、覚えてるわよ」

シンジ「――アスカのことは、守ってみせるよ」

アスカ「シンジ……」

シンジ「水着はのことは――……そうだ」

アスカ「……?」

シンジ「アスカ。なんとかなるかもしれないよ?」

アスカ「……え?」

175: 2017/02/18(土) 19:29:50.77 ID:xddyXNiy0
- ミサト宅 リビング -

ミサト「…………」

シンジ「――――あの、ミサトさん」
アスカ「…………」

ミサト「……シンジくん?」

シンジ「修学旅行の件は――」

ミサト「――ごめんなさい。行かせられないわ」

シンジ「……最後まで聞いてください。ネルフにプールありませんか?」

ミサト「……プール?」

シンジ「はい。実は、僕たち、修学旅行の準備で水着を買ったんです。それで待機するにも、少し遊べたらいいなって」

ミサト「プール、ね」

シンジ「どうですか?」

アスカ「…………」

ミサト「なるほど。それなら、協力できるかも、いえ、協力させてもらうことができるかもしれないわ」

アスカ「……ふん、当たり前よ」

シンジ「……よかった」

ミサト「もちろん、貸し切りで準備させてもらうわ。期待してて」

176: 2017/02/18(土) 19:30:33.33 ID:xddyXNiy0
- 修学旅行日 ネルフ本部 プール -

レイ「……………」

アスカ「……なんでファーストまでいるのよ」

シンジ「綾波だってパイロットなんだから、いてもいいんだよ」

アスカ「私はシンジと二人がよかったのに!」

レイ「…………」

シンジ「あ、その、アスカはお土産頼んだの?」

アスカ「もっちろんよ! ヒカリが買ってきてくれるって!」

シンジ「……そっか。綾波も、修学旅行に行けなくて残念だったね」

レイ「…………別に」

アスカ「~~~っ! ほんっとーに愛想がないわねぇ! シンジが提案しなかったらプールもないのよ⁉︎」

レイ「…………碇くんが、言ったの?」

シンジ「……まぁ、そういうことになるかな」

レイ「…………そう」

アスカ「はぁ……。シンジ、こんな人形ほっといてむこうで遊びましょ」

レイ「…………」

アスカ「私のスキューバー仕込みのバックスクロールエントリー見せてあげる!」

シンジ「わかったよ」

177: 2017/02/18(土) 19:31:38.73 ID:xddyXNiy0
――――
―――

アスカ「――ぷはぁっ!」

シンジ「はぁっはぁっ」

アスカ「シンジ、大丈夫?」

シンジ「ちょ、ちょっと休ませて」

アスカ「もうちょっと体鍛えた方がいいわよ?」

シンジ「はぁっはぁっ……。そ、そうだね」

アスカ「………ねぇ、シンジ。なにか忘れてない?」

シンジ「ふぅ…………。……えーと……」

アスカ「ヒントはあげないわよ。前に教えてあげたから」

シンジ「……? ………あっ! ……アスカ。水着、似合ってるよ」

アスカ「正解! まぁ、本当は一目見たら言わなくちゃだめなんだけど、指摘させなかったから及第点をあげるわ」

シンジ「…………気がきかなかったね」

アスカ「次はもっとうまくできるように期待してるわ!」

レイ「……………」スィー

アスカ「……うわぁ⁉︎」

シンジ「あ、綾波?」

レイ「……………」

アスカ「な、なによ。邪魔しにでもきたの?」

レイ「……………ここ、レーンだから」

アスカ「…………あぁ、そう」

178: 2017/02/18(土) 19:32:31.21 ID:xddyXNiy0
- ネルフ本部 男子ロッカールーム -

シンジ「(えぇ~と、タオルは…………)」

〇〇「――……そのまま、ロッカーを見たまま話して」

シンジ「――えっ?」

〇〇「――こっち向くなッ!!」

シンジ「えっ! あっ、はい!」

〇〇「……ふふん。よろしい。素直なワンコは好きだよ?」

シンジ「――だ、誰?」

〇〇「名前ってそんなに重要かにゃ?」

シンジ「……自己紹介をするのは、当たり前だと、思います、けど」

〇〇「にゃるほど。たしかにそれはそーかも。……じゃあ1つだけ約束。私のこと誰にも言わない?」

シンジ「……?」

〇〇「簡単なこと♪ それができるならはれてキミは私の名前ゲットー♪ ってね!」

シンジ「…………」

〇〇「さぁーて、どうする? もうあまり時間はないよー?」

シンジ「……わかり、ました。……誰にも言いません」

〇〇「ふぅん。どーしよっかなー。信用があるわけじゃないし」

シンジ「え? でも、いま」

〇〇「キミは選択をした。でも、私にも選択権があるのよ♪」

シンジ「…………それで?」

〇〇「ふふん。まぁ、ごーかく点をあげましょう! 私はマリ。真希波・マリ・イラストリアス。長いから省略してマリって呼んでね」

シンジ「マリ、さん。僕は――」

マリ「あぁ、いいのいいの。君のことは知ってるから。姫のボーイフレンドだよね?」

シンジ「(姫……?)」

179: 2017/02/18(土) 19:38:31.29 ID:xddyXNiy0
マリ「お楽しみ中のところもうしわけないにゃー」

シンジ「あの……いったい?」

マリ「今日は顔合わせに来たのだ。ワンコくんにとっては声だけだけど」

シンジ「…………は、はぁ?」

マリ「うんうんっ。これから色々とキミは大変な思いをするからねぇ~。それを思うと泣いてしまいそうだよ」

シンジ「……………」

マリ「あ? 信じてない? 私の言うことは信じたほーがいいよ~?」

シンジ「…………(す、すごいマイペースな人だな)」

マリ「戸惑っちゃってるかにゃ? まぁどう思おうが、勝手だけど」

シンジ「…………」

マリ「さぁて、それじゃ私は行こうかな。名前、忘れないでね?」

シンジ「…………えーと」

マリ「あと、姫にもよろしく、じゃなかった。誰にも言わないでね? それじゃまた今度ー!」

シンジ「……………」

シンジ「…………あの、マリさん?」

シンジ「………振り向いてもいいんですか?」



アスカ「――……シンジ、なにやってるの?」



シンジ「うわぁ⁉︎」

アスカ「…………どうしたのよ?」

シンジ「アスカ! ここ男子ロッカーだよ!」

アスカ「私達の貸し切りだし、シンジがなかなか戻ってこないからきちゃった」

シンジ「…………そ、そうなんだ」

アスカ「…………シンジ、なんかひとり言いってたの?」

シンジ「……いや、なんでもない」

183: 2017/02/19(日) 17:01:20.97 ID:qixoa+vO0
- ネルフ本部 発令所 -

オペレーター「警戒レベル移行します。浅間山の観測データは、可及的速やかにバルタザールからメルキオールへ、ペーストしてください」

冬月「――……これではよく分からんな」

シゲル「しかし、浅間山地震研究所の報告通り、この影は気になります」

冬月「もちろん、無視はできん」

リツコ「――マヤ。MAGIの判断は?」

マヤ「フィフティーフィフティーです」

冬月「ふぅむ。現地へは誰が行っている?」

シゲル「報告のあったヒトヒトマル時に出発して、すでに、葛城一尉が到着しています」

冬月「……忙しくなるかもしれんな。パイロットは?」

リツコ「待機させております」

冬月「よろしい。では、葛城一尉からの報告を待つこととする」

184: 2017/02/19(日) 17:08:47.98 ID:qixoa+vO0
- 浅間山 山頂 地震研究所 -

所員「も、もう限界ですっ!」

ミサト「……いえ、後500、お願いします」

アナウンス『深度1200、耐圧隔壁に亀裂発生』

所員「葛城さん! か、勘弁してくだ――」

ミサト「――壊れたらうちで弁償します。日向くん、後200」

マコト「っ! モニターに反応!」

ミサト「……解析開始」


ピピピ


アナウンス『――観測機圧壊、爆発しました』

所員「…………あ………あぁ…………」

ミサト「どう? 解析は?」

マコト「ぎりぎりで間に合いましたね。パターン青です」

ミサト「………ビンゴ。使徒だわ」

185: 2017/02/19(日) 17:25:53.46 ID:qixoa+vO0
- 2時間後 浅間山 山頂 地震研究所 -

ミサト「――A.17の発令ぃ⁉︎」

リツコ「碇司令の指示よ」

ミサト「それって……生け捕りにするってことじゃない……」

リツコ「現資産の凍結。すなわち、そういうことになるわね」

ミサト「わけのわからないモノを生け捕りって……大丈夫なの?」

リツコ「使徒は休眠状態にあるわ。で、あるならば生態系を解明するサンプルとして理由は充分よ」

ミサト「…………」

リツコ「ミサト、あなたの個人的な復讐の為に必要な試みを潰すことはできない」

ミサト「………わかってるわ」

リツコ「…………」

ミサト「…………了解。エヴァは?」

リツコ「戦略自衛隊が空輸中。――そろそろ着く頃じゃないかしらね」

186: 2017/02/19(日) 17:37:44.23 ID:qixoa+vO0
- 空輸中 エヴァ初号機 弐号機 プラグ内通信 -

アスカ「結局、使徒がきたのね」

シンジ「そうだね……」

アスカ「……はぁ。なんで毎回待ちの姿勢ばっかりなのよ。こっちから攻めてしまえばいいのに」

シンジ「…………」

アスカ「シンジ? なに考えてるの?」

シンジ「今回の使徒、なんか……気をつけた方がいい気がする」

アスカ「……?」

シンジ「作戦はまだわからないけど、僕が先行してもいいかな?」

アスカ「――だめよっ! それはだめ!」

シンジ「アスカの活躍を邪魔しようってわけじゃ――」

アスカ「違うのっ! シンジを守れなくなる!」

シンジ「…………アスカ?」

アスカ「――っ! と、とにかく私が先行! いいっ⁉︎ わかったら返事は⁉︎」

シンジ「…………わかったよ」

187: 2017/02/19(日) 17:59:17.78 ID:qixoa+vO0
- 30分後 浅間山 山頂 地震研究所 -

ミサト「今回の作戦内容は使徒の捕獲よ」

アスカ「捕獲ぅ?」

ミサト「できうる限り原型をとどめ、生きたまま回収すること。……赤木博士、お願い」

リツコ「作戦は浅間山、頭部より開始してマグマの中で行われます」

シンジ「マグマの中って、エヴァはフィードバッグがあるのに大丈夫なんですか?」

リツコ「安心して。暑さに耐えられるように対局地用装備を用意してあるわ」

レイ「…………」

リツコ「ただし、潜るのは1人のみ。他のエヴァは万が一に備えて待機してもらうことになるけどね」

アスカ「…………」

リツコ「……パイロットは、シンジくん。あなたにお願いできるかしら?」

シンジ「わかり――」
アスカ「私がでるわっ!」

リツコ「あなたは待機をお願いしたいのだけど?」

アスカ「シンジじゃ不安でしょ? 私の方がシンクロ率が高いし、作戦成功率は高いわよ」

リツコ「…………シンジくんのシンクロ率でもなにも問題はありません。アスカはサポートをお願い」

アスカ「…………私がサポートにまわる明確な理由がなければ、どっちでもかまわないでしょ? それとも理由があるの?」

リツコ「…………」

アスカ「…………」

リツコ「…………今回に限り、作戦の変更を許可します。次があるとは思わないことね」

アスカ「そっちこそ。次はちゃんと理由まで用意しておきなさい。詰めが甘いのよ」

シンジ「あ、アスカ……」

リツコ「この前の話、覚えてるわよね?」

アスカ「その台詞、そっくりそのままお返ししてやるわ」

188: 2017/02/19(日) 18:10:35.83 ID:qixoa+vO0
- 浅間山 山頂 地震研究所 ロビー -

ミサト「……アスカとなにかあったの?」

リツコ「いいえ」

ミサト「そう? そんな風には見えなかったけど」

リツコ「……弐号機と初号機の会話ログ、回収させてもらうわよ」

ミサト「それはかまわないけど。でも空輸中はエヴァの電源もろくにないし、たいした会話してないと思うわよ」

リツコ「予備を使い切ってあるのはどうにも腑に落ちないからよ」

ミサト「…………ふぅん」

リツコ「なにか問題があれば提出するわ」

ミサト「……わかったわ」

リツコ「ミサト」

ミサト「……?」

リツコ「あの子たち、そろそろ一度考えた方がいいかもしれないわね」

ミサト「…………」

189: 2017/02/19(日) 18:33:02.10 ID:qixoa+vO0
- 浅間山 山頂 弐号機前 -

アスカ「あ、あたしの弐号機がぁ! いやぁー! 何よ、これぇ!」

リツコ「あなたが言い出したことでしょ? 耐熱・耐圧・耐核防護服。局地戦用のD型装備よ」

アスカ「こんなのダルマじゃない! ネルフの技術力でなんとかしてよぉー!」

リツコ「……プラグスーツの右手首を押してみて」

アスカ「……?」カチッ


モコモコモコッ


アスカ「いっ⁉︎ いやぁあぁああっ!」

シンジ「……うわぁ、風船みたいだ」

アスカ「し、シンジぃ! たすけてぇ~~!」

リツコ「ご覧の通り、プラグスーツも耐熱仕様になってるわ」

アスカ「こんなのただの[ピザ]みたいじゃなぁい!」

リツコ「全てあなたが言い出したことよ」

アスカ「ぐ、ぐぬぬっ」

シンジ「アスカ、やっぱり代わろうか?」

アスカ「い、いや! 私がでる!」

レイ「…………私がでます」

アスカ「……ふ、ファースト?」

リツコ「レイの零号機は装備が規格外なのよ」

レイ「…………それなら、私が弐号機で」

アスカ「――っ⁉︎ あんた何言い出してんのよ!」

レイ「…………シンクロできれば問題ないわ」

アスカ「悪いけど! あんたには私の弐号機に触れてほしくないの!」

レイ「…………」

リツコ「あまり時間的な猶予はない。問題ないのならはやく弐号機に搭乗してちょうだい」

190: 2017/02/19(日) 19:24:26.19 ID:qixoa+vO0
- マグマ内 弐号機 プラグ通信 -

アスカ「現在、深度170、沈降速度20。各部問題なし。視界は……ゼロ。何にも分かんないわ。CTモニターに切り替えます」

アスカ「(これでも透明度120か)」

マヤ『深度、400、450、500、550、600、650、900、950、1000、1020、安全深度、オーバー』

マヤ『深度1300、目標予測地点です』

ミサト『聞こえたわよねーアスカ、何か見える?』

アスカ「反応なし。……いないわよ?」

リツコ『思ったより対流が早いようね』

マコト『目標の移動速度に誤差が生じています』

ミサト『再計算、急いで。作戦続行。再度沈降、よろしく』

アスカ「…………了解」

マヤ『深度、1350、1400』

オペレーター『第2循環パイプに亀裂発生』

アスカ「……っ!」ミシミシ バコンッ

オペレーター『弐号機。プラグナイフ消失』

アスカ「あっ……!」

マヤ『深度、1480、限界深度、オーバー! 危険です!』

ミサト『……アスカ? 目標とまだ接触していないわ。続けて』

アスカ「…………」

ミサト『近くにいい温泉があるわ。終わったら行きましょ。もう少しがんばって』

マヤ『限界深度、プラス120。も、もうこれ以上は……!』

アスカ「――――…………いたっ!」

191: 2017/02/19(日) 19:33:43.28 ID:qixoa+vO0
第8使徒サンダルフォン「…………」

アスカ「なに? あれ……繭?」

リツコ『まだ孵化してないのよ。つまり、まだ卵の状態』

アスカ「だから捕獲ってわけね。――……ちょ、ちょっとまって? 動いてない?」

ミサト『……え? なんで――』

オペレーター『マグマ内で異常な膨張を感知!』

ミサト『――まさかっ⁉︎』

リツコ『ありえないわっ! 計算よりも全然はやい!』

アスカ「ど、どうするのよ? こんなの聞いてないわよっ!」

第8使徒サンダルフォン「…………!」ググッ

マヤ『――使徒! 完全に覚醒しました!』

ミサト『まずいっ! 日向くん! アスカを引き上げて! 大至急!』

アスカ「プラグナイフもなにもないわよ――きゃあ⁉︎」ドカンッ

第8使徒サンダルフォン「………!」

192: 2017/02/19(日) 19:44:18.31 ID:qixoa+vO0
ミサト『初号機っ! プラグナイフ投げて!』

マヤ『――待ってください! 初号機! 既にマグマ内部へ潜水!』

リツコ『なんですって⁉︎ 装備をなにもつけていないのよ⁉︎』

アスカ「――シンジィッ⁉︎」

ミサト『どうなってるの! 初号機と回線繋いで!』

シゲル「初号機! 回線遮断! こちらからの信号受け付けません!」

アスカ「ちょっと! ミサト! ――きゃああっ⁉︎」ドカンッ

第8使徒サンダルフォン「…………」シュルシュル

アスカ「――このっ! スルメがぁ!」

ガキンッ

第8使徒サンダルフォン「…………!」ヒョイ

アスカ「はやいっ!」

第8使徒サンダルフォン「…………」スイーッ

アスカ「チッ…………ミサト! どうなってるのよ! シンジはどうしちゃったのよ! 回線をこっちにもまわして!」

ミサト『つながらないのよっ! シンジくんがそっちに向かってるのはたしかよ!」

アスカ「なんですってぇ⁉︎ 装備は⁉︎ 今でサウナみたいなのに! 氏ぬわよっ!!」

ミサト『アスカ! ちょっと黙って!』

アスカ「どういうことなのよ! あんた達の仕事しっかりやりなさいよっ!!!」

193: 2017/02/19(日) 19:52:19.13 ID:qixoa+vO0
リツコ『マヤ! 初号機の位置は⁉︎』

マヤ『震度1000! 尚も降下中! パルス異常! プラグ内の温度がみるみる上昇しています!』

ミサト『シンジくん! 氏ぬ気っ⁉︎』

マコト『――生体反応グラフがっ! プラグ内温度上昇! とても生身で耐えられる温度ではありませんっ!』

リツコ『だめっ! それ以上の深度は火傷じゃすまなくなるっ!』

アスカ「ちょっとあんたたち! 慌てまくってんじゃないわよ! LCL濃度を――ぐっ!!」ドゴン

第8使徒サンダルフォン「…………」

マヤ『弐号機! 3番ケーブル断線!』

ミサト『厄介ごと起こるならひとつにしてよっ!』

194: 2017/02/19(日) 20:06:06.63 ID:qixoa+vO0
マヤ『初号機! 装甲板が第7まで融解! まもなく弐号機と邂逅します!」


ミサト『………潜行速度がはやすぎる! まさかっ!』

リツコ『――マグマの中を泳いでる⁉︎』


アスカ「…………シンジ」

マコト『初号機! 生体反応に異常! こ、これはっ――』

第8使徒サンダルフォン「…………!?」

マヤ『初号機! 使徒と会敵! そんなっ⁉︎ シンクロ率! 上昇しています!』

初号機「――――…………」

アスカ「…………もういいよぉ、シンジ。逃げて」

第8使徒サンダルフォン「…………!」

リツコ『まさかっ!本来なら動けるはずないのよ!』

シゲル『プログナイフ! 展開!』

初号機「…………ヴゥ」ガキンッ

アスカ「………うぐ………ぅぐ………な、なんでここまですんのよぉ」

ミサト『使徒は弐号機を追っているわ! 今のうちにはやく引き上げて!』

マコト『し、しかし初号機は……⁉︎』

ミサト『弐号機が上がればついてくるっ! 弐号機を救うことが先決なのよ!』

マコト『り、了解!』

195: 2017/02/19(日) 20:24:51.30 ID:qixoa+vO0
シンジ「――……アスカ、熱膨張だ」

アスカ「……………え? し、シンジ? 回線? だ、大丈夫なの⁉︎」

シンジ「うぐぅぅうぅぅッッッッ! もう持ちそうにない! はやくッッ!」

第8使徒サンダルフォン「………!」

アスカ「まって! えーとえーとえーとえーとえーとえーと……! 熱膨張!! わかったわ!」

ミサト『アスカ⁉︎ シンジくんからなにか回線きたの⁉︎ ――極秘回線ね⁉︎』

アスカ「今はそんなことよりシンジが危ない! 冷却液の圧力を全て2番にまわしてッ! いそいでよ!」

ミサト『なにをするつもり⁉︎』

アスカ「熱膨張よ! ここまで言ってわからないなら中学校からやりなおして二度と顔見せないで!」

リツコ『…………っ! 急いで言われた通りにして!』

マヤ『了解!』

第8使徒サンダルフォン「…………!」グイッ

シンジ「アスカァ! プログナイフを――!」

アスカ「――キャッチ! シンジはもう上がって! さぁっ! 来なさいッ!」

196: 2017/02/19(日) 20:43:27.39 ID:qixoa+vO0
マヤ『深度700! 引き上げ作業順調です!』

レイ『…………私も行きます』

ミサト『――はぁ⁉︎』

レイ『…………碇くん、守るって約束したから』

ミサト『レイ⁉︎ ちょっと待ちなさい!』

アスカ「優等生ぃ⁉︎」

マヤ『ぜ、零号機。マグマに突入』

ミサト『なんなのよこの子たち!』

第8使徒サンダルフォン「……………!」ドゴンッ

アスカ「――っ! このっ! くらいなさいよぉっ!」

第8使徒サンダルフォン「……………⁉︎」

アスカ「よくもっ! このっ! この! シンジになにかあったら焼きイカにして食ってやる!」プシュー


第8使徒サンダルフォン「…………!」ボコボコ

第8使徒サンダルフォン「」


シゲル『――使徒、活動停止!』

ミサト『やった⁉︎ アスカ! シンジくんに回線開くようにいって!』

アスカ「シンジ! はやく上がりましょ! 先にいっていいからはやく!」

マヤ『初号機! シンクロ率低下! 生体反応が――』

マコト『微弱です! このままでは、自力であがれませんっ!』

アスカ「――ちょっと⁉︎ シンジ⁉︎ 回線は⁉︎ 」

レイ『碇くんは私が助ける。あなたははやく上がって」

アスカ「…………っ!」

レイ『……………』

アスカ「貸し1よ! …………シンジのことお願い! なんでもいいから助けだして!」

197: 2017/02/19(日) 22:28:39.25 ID:qixoa+vO0
- 1時間後 第三新東京都市 総合病院 -


ガラガラッ


看護師「――道を開けてくださいっ! 碇さん! 聞こえますか? 碇さん、返事できますか?」タタタッ

医師「URに連絡を。患者は二度、30%の全身火傷とみられる」タタタッ

看護師「碇さん? 反応できますか――」タタタッ



リツコ「…………」

ミサト「…………」

リツコ「――あの子は?」

ミサト「アスカは暴れるのを取り押さえて鎮静剤を投与してあるわ」

リツコ「そう。シンジくんの結果によっては自頃しないように拘束具つけといた方がいいわよ」

ミサト「……っ! 碇司令からなにか連絡は?」

リツコ「初号機の修繕を最優先させるそうよ」

ミサト「――まさか第7装甲板まで融解するなんてね」

リツコ「泳いだせいね。水流を搔き回したから」

ミサト「…………こんなことになるなんて」

リツコ「プラグ内の温度まではどうしようもないもの。後遺症…………残らないといいけどね」

リツコ「……さて」

ミサト「どこ行くの?」

リツコ「仕事よ。ここで待つつもり?」

ミサト「――……いえ。私も仕事に戻るわ」

198: 2017/02/19(日) 22:42:48.67 ID:qixoa+vO0
- ネルフ本部 独房室 -

アスカ「んむぅーっ! (シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジィッ!)」ジタバタ

アスカ「ふぅーっふぅーっ(拘束具……っ! こんなのっ!)」ギチギチッ

アスカ「むぐぐぐぅっ!(このぉおぉっ)」ギチギチッ


カシュ


アスカ「…………っ!(まぶしっ! 誰かきた?)」

マリ「やっ!」

アスカ「………ふ、ふむっ?(だ、だれ?)」

マリ「にゃはは。みの虫みたいだね」

アスカ「ふむっふむっーふぅ!(外して!)」

マリ「え? なに? なに言ってるかわかんないにゃー」

アスカ「…………ふぅーっふぅーっ」

マリ「姫ぇ。こんなことでつまづいてちゃだめだよー? 計画がパァーじゃん!」

アスカ「……ふむぁ?(はぁ?)」

マリ「まぁ、ワンコくんは頑張ったみたいだからいいけどさぁ」

アスカ「むぐっむぐっ(犬なんかどうだっていいのよ!)」

マリ「…………とってほしい~い?」

アスカ「――……っ⁉︎」

199: 2017/02/19(日) 23:08:10.61 ID:qixoa+vO0
- ネルフ本部 -


タタタッ


アスカ「…………はぁっはぁっ」

マリ「ほらほらぁっ! もっと急ぐ! 安全なところなんてないよー!」

アスカ「……ぜぇぜぇ、な、なんなのよ、あんた。あ、あたし、体力には、自信あんだけど」

マリ「王子様に会いたいんでしょー? だったら急ぎなよー!」

アスカ「……王子様って」

マリ「第7装甲板まで融解したんだってぇ?」

アスカ「な、なんで――」

マリ「――エヴァってさぁ、そんなにヤワな作りじゃないんだよねぇ」

アスカ「…………ど、どういうこと⁉︎」

マリ「NASA顔負けの特殊装甲なんだよぉ? ジワジワ溶けていくっていってもそんなに損害でるわけないじゃん!」

アスカ「……?」

マリ「……もし融解した理由を赤木博士から聞いてもそれは嘘ついてるかも。なぁーんちゃって」

アスカ「…………あ、あんた、いったい」

マリ「おっと、いけないいけない。ついついサービスしちゃった。あとはセルフサービスね」

アスカ「…………」

マリ「休憩おわり! いくよー! 姫が寝てた間に2日たってるんだからね!」

アスカ「――ふ、ふつかぁ⁉︎」

200: 2017/02/19(日) 23:34:18.42 ID:qixoa+vO0
- ネルフ本部 車両駐車場 -

アスカ「……ぜぇぜぇっ」

マリ「――んーと、あ、いたいた」

加持「よっ」

マリ「加持く――」
アスカ「加持さん⁉︎」

加持「いろいろと事情が立てこんでてね。乗ってくかい?」

アスカ「……まって! シンジは無事なの?」

加持「一命はとりとめているよ。全身火傷だから油断はできないが」

アスカ「ど、どういうこと? 危ないの?」

加持「火傷でこわいのは時間経過でもあるのさ。皮膚の感染症とかね……詳しくは車で話そう。どうする?」

アスカ「――乗るに決まってるわ!」

202: 2017/02/20(月) 13:06:45.84 ID:JsiGhyiM0
- 第三新東京都市 車内 走行中 -

加持「――シンジくんは、後遺症が残るようだ」

アスカ「後遺症⁉︎ なに⁉︎ どういうこと⁉︎」グイッ

マリ「うわわっ、ちょっと落ち着きなよー」

加持「痺れがあるようでね。麻痺とまではいかないが日常生活にちょっとした支障をきたすかもしれない」

アスカ「そ、そんな……私のせい」

加持「…………」

アスカ「私が守るって言ったのに……見てることしかできなかった」

マリ「…………」

加持「くやしいかい?」

アスカ「決まってるじゃない……こんなに自分で自分が許せないのは久しぶりだわ」

加持「シンジくんを支えるつもりは?」

アスカ「聞かれるまでもないわね。私がシンジの手足になって全部やる」

マリ「あれぇ? そんなに落ちこんでない?」

アスカ「やることがわかってるなら、落ちこんでもいられないのよ」

マリ「ふぅ~ん。恋する乙女は強いねぇ」

加持「なんにせよ、シンジくんは心配なさそうでなによりだ」

アスカ「……加持さんはどうしてここに?」

加持「アスカ達が浅間山にいっている時からこの2日間に色々とあってね。密度の濃い時間だったよ」

アスカ「……?」

加持「すまない。詳しく話せないんだ。話せば、アスカを危険に晒すことになる。エヴァパイロットだろうとな」

アスカ「加持さん、なにやって……」

加持「アルバイトがバレてたらしい。心配しなくていいよ、俺はシンジくんとアスカの味方さ。あと、ついでにマリも」

マリ「はぁ~い」

加持「俺は姿を消す。これからはマリがサポートにはいるから仲良くやってくれ」

アスカ「……サポートってなに?」

加持「……アスカ。よく聞いてくれ」

203: 2017/02/20(月) 13:17:35.22 ID:JsiGhyiM0
加持「――五年前。俺はヨーロッパのある国で内偵調査を行なっていた。スパイってやつさ。その時にマリと知り合ってね」

アスカ「…………」

加持「そこで、マリからゼーレと碇司令にシナリオがあることを知った。セカンドインパクトの真実も」

アスカ「真実って、巨大隕石の衝突じゃないの?」

加持「――全ては仕組まれていたのさ。人類にとって必要な試練であるというバカげた理由でね」

アスカ「…………」

加持「俺はそんなことは許せない。そこでマリと協力して秘密裏に準備にはいった」

アスカ「…………」

加持「君たちチルドレンの運命も仕組まれている。全ては点と点だよ。いつかは線で繋がっていく」

マリ「そゆこと♪」

アスカ「…………大人の都合なんてどうでもいいわ」

マリ「あっ! ひめぇー! 気が合うね!」

加持「……全ての鍵は初号機に集約する。ゼーレのシナリオも碇司令のシナリオも初号機をトリガーとしているからね」

アスカ「…………」

加持「アダム。そしてリリス。人類はノアの方舟に乗るつもりなのさ」

アスカ「…………神話?」

加持「あくまでも呼称と考えてくれていい。これから、シンジくんには辛い出来事が待っている」

アスカ「――っ! 私が守ってみせる!」

加持「頼もしいな」

204: 2017/02/20(月) 13:27:03.82 ID:JsiGhyiM0
アスカ「なんだかよくわからないけど、シンジになにかあっても私はシンジの味方よ!」

加持「…………強くなったな、アスカ」

アスカ「子供でいることを認めただけよ。もう背伸びなんかしなくてもいい」

加持「リッちゃんには注意をしておいてくれ」

アスカ「赤木博士?」

加持「立ち位置が曖昧だったんだが、どうやら、碇司令につくことを決めたらしい」

マリ「加持くんがこうなったのもそのせいだしねー」

加持「女ってのは難儀なもんさ」

アスカ「……わかったわ。ちょうどやりあった後だったし。要するに陰謀があるってことよね」

加持「理解がはやくて助かる」

マリ「………おっ! そろそろ着くよー」

アスカ「あ! 私を逃したの……大丈夫なの?」

加持「心配ない。俺の置き土産ってことにしておくさ。――元気でな」

205: 2017/02/20(月) 14:47:20.30 ID:JsiGhyiM0
- 総合病院前 -

ブロロロロッ

アスカ「……加持さん。大丈夫なの?」

マリ「心配?」

アスカ「当たり前でしょ」

マリ「すぐ氏ぬようなタマじゃないっしょ。それに仕込んでたモノもあるし」

アスカ「……あんた、何者なの?」

マリ「むっふふ~♪」

アスカ「加持さんは、あんたから聞いたって言ってたわよね。そんなに歳変わらないように見えるけど」

マリ「いっぺんに知っちゃうと混乱しちゃうだろうから、今はそれでいいじゃん?」

アスカ「…………」

マリ「ワンコくんのとこ行かなくていいのー?」

アスカ「ワンコくんってシンジのこと?」

マリ「そ。ネルフのワンコくん」

アスカ「……信用できない」

マリ「信用する、しないじゃなくて私しか頼れる人いなくなっちゃったんだよ~」

アスカ「…………」

マリ「全て明らかになるよ。最後にね♪」

アスカ「…………」

マリ「本当はまだまだだったんだけど、こうなっちゃったから」

アスカ「…………いいわ」

マリ「……それじゃ私ももう行くから、また今度ね♪ 王子様とお姫様でごゆっくり♪ 脇役の小人は退場することにするよ」

206: 2017/02/20(月) 14:59:42.77 ID:JsiGhyiM0
- 総合病院 病室 -

バタンッ

アスカ「――シンジッ!」

レイ「…………」

シンジ「あ、あれ? アスカ?」

アスカ「ファースト? あんたなんでここに――シンジッ! 大丈夫なの⁉︎」

シンジ「あぁ。うん、大丈夫だよ」

アスカ「――でも、包帯ばっかりじゃない!」

シンジ「火傷が少し、ひどかったらしくて化膿しないようにこうなってるだけだよ」

アスカ「ご、ごめんねっ! シンジ! 私のためにごめんなさい!」

シンジ「アスカのこと守るって約束したから。それに、なんだかあの時――」

レイ「…………碇くん」

シンジ「――ん?」

レイ「……もうすぐ、抗生剤の時間」

アスカ「……ファーストはどうしてここに?」

レイ「…………碇くんの世話。葛城一尉から頼まれたから」

アスカ「――ミサトが?」

シンジ「そういえば、アスカこそ体、大丈夫なの? ミサトさんからは調子が悪くて自宅療養してるって聞いたけど」

アスカ「(……どいつもこいつもっ!)」ギリッ

レイ「…………」

アスカ「ファースト、ちょっと席はずしてくれる?」

レイ「…………それはできない」

アスカ「――なんで⁉︎」

レイ「さっき、連絡があったから」

207: 2017/02/20(月) 15:12:01.84 ID:JsiGhyiM0
アスカ「……っ! ……お願い」

レイ「…………」

アスカ「癪だけど、あんたには貸しがあるからきつく言いたくない」

シンジ「…………綾波、僕からもお願いできないかな」

レイ「…………わかったわ」

アスカ「あんたにも、少し話があるから部屋の前で待っててもらえる?」

レイ「…………」


スタスタ
バタン

208: 2017/02/20(月) 15:21:44.76 ID:JsiGhyiM0
アスカ「――シンジッ」ダキツキ

シンジ「うわぁっ⁉︎ ど、どしたの?」

アスカ「お願い。お願いだからもうあんなことしないで」ギュウ

シンジ「え、でも――」

アスカ「次にああいうことになったら見捨ててほしいの」

シンジ「…………」

アスカ「私はエヴァのパイロットよ。氏ぬ覚悟はできてる。だから――」

シンジ「それはできないよ。もし、次があっても僕はそうする」

アスカ「…………」

シンジ「守るって約束したから。違う、僕がそうしたいんだ」

アスカ「…………シンジィ」

シンジ「痛いのは嫌だけど。こわいけど、そうしなくちゃって、思うから」

アスカ「……うっ……ぅぐ……」ゴシゴシ

シンジ「それに、なんだろう。あの時、いや、作戦が始まる前からなんだか、こうなることがわかってたような気がするんだ。だから躊躇なく飛び込めたのかもしれない」

アスカ「……?」

シンジ「……アスカ、もしかして、僕たちって前に――」


バァンッ


ミサト「――アスカァ⁉︎」

シンジ「…………み、ミサトさん?」

アスカ「…………」

ミサト「あ、あら? なんだか邪魔しちゃ悪い雰囲気?」

209: 2017/02/20(月) 15:28:00.83 ID:JsiGhyiM0
ミサト「シンジくん。アスカをちょぉっと借りてもいいかしら?」

アスカ「…………」

シンジ「えーと、僕はかまいませんけど」

アスカ「大切な時間を邪魔されるほど暇じゃないんだけど。話ならここでできないの?」

ミサト「……懲罰対象になるわよ?」

アスカ「――っ⁉︎」

シンジ「……え? アスカはなにも」

アスカ「シンジ。ちょっとミサトと話してくるね」

シンジ「あ、うん」

ミサト「ごめんねぇ~シンちゃん。すぐ済むから」

シンジ「(なんだろう。なにかおかしいな)」

210: 2017/02/20(月) 15:37:27.42 ID:JsiGhyiM0
- 総合病院 通路 -

ミサト「…………それで、あんたを逃した加持は今どこ?」

アスカ「知らないわ」

ミサト「知らないわけないでしょ⁉︎」

レイ「…………」

アスカ「本当に知らないのよ。なんなら自白剤でも投与してみる?」

ミサト「そ、そんなこと……できるわけ……」

アスカ「2日も昏睡させておいて今さらなに言うのよ! おまけに起きたら拘束具! やってくれたわね!」

ミサト「必要な処置よ! 職員を3人も気絶させて、あのままだとあなた、なにするかわからなかったから」

アスカ「これ以上ない裏切り行為だわ!」

ミサト「――シンジくんの経過が落ち着いたら、会わせるつもりだったのよ!」

アスカ「必要なことならなんでもやるってことでしょう⁉︎ はっきり言いなさいよ! あんた達の勝手な言い分はもうたくさんっ!」

ミサト「…………っ!」

アスカ「人類のためぇ? はんっ!そんな大義名分を掲げて! 結局はやりたいようにやる! 押しつける! そうじゃないの⁉︎」

ミサト「……………」

アスカ「言っておくけど、私はもうエヴァだけの女じゃないわ。いいえ。エヴァが一番じゃない」

ミサト「……………」

アスカ「人類の未来も、あんた達の都合も! 全部どうだっていい! 私にも守りたいものがあるのよ」

ミサト「…………エヴァには乗るのね」

アスカ「そうしなければ、守れないものがあるならば、エヴァにだってなんだって、悪魔にだって魂を売ってやるわよ!」

211: 2017/02/20(月) 15:52:36.60 ID:JsiGhyiM0
ミサト「…………」

アスカ「…………」

ミサト「…………いいわ。ただし、あなたにはこれから24時間、監視の目がつくことになる。忘れないで」

アスカ「自白剤はしないの?」

ミサト「私たちは、これまで一緒に暮らしてきたわ。短い期間だけど。それはしたくない」

アスカ「パイロットとして機能しなくなったら困るからじゃなくて?」

ミサト「…………」

アスカ「…………」

ミサト「………先に家に帰ってる。――遅くならないうちに、帰ってくるのよ」

アスカ「…………待って」

ミサト「……なに?」

アスカ「シンジの処置は? 命令違反、独断専行。なにかあるでしょ?」

ミサト「シンジくんには、何もない。碇司令が処置なしと判断したわ」

アスカ「……?」

ミサト「私にもわからないのよ。親子の情ってことはないと思うんだけど、碇司令がそう発令した以上は彼のことは、心配いらない」

アスカ「…………そ」

ミサト「レイはどうする? 帰るなら送っていくけど」

レイ「…………まだ、ここにいます」

213: 2017/02/20(月) 16:11:20.06 ID:JsiGhyiM0
- 総合病院 ロビー -

アスカ「…………あんたとこうやって落ち着いて話するのもはじめてね」

レイ「…………」

アスカ「――お願い。力を貸して」

レイ「…………」

アスカ「シンジになにかあるのが嫌なのよ」

レイ「…………なぜ?」

アスカ「なぜって、その、大切な人だから」

レイ「命をかけて助けてもらったのが、嬉しいの?」

アスカ「う、嬉しくない女なんかいるの?」

レイ「……あなたは、人に褒められるために乗ってると言ってたわ」

アスカ「…………」

レイ「……人に褒められなくてもいいの?」

アスカ「……何事も優先順位よ。そりゃぁ褒められるにこしたことはないけど。それでシンジがいなくなるならいらない」

レイ「…………」

アスカ「私ができないとき、シンジを守ってほしいの。あのバカ、きっとまた無茶するかもしれないから」

レイ「…………」

アスカ「あんたが碇司令のお気に入りなのは知ってる。だけど、シンジのことも気にかけてやって」

レイ「…………」

アスカ「あんたは、なんのためにエヴァに乗ってるの?」

レイ「…………絆、だから」

アスカ「……誰との?」

レイ「…………人と人との」

アスカ「……ほんと、変わってるわ」

レイ「あなたに、言われたくない」

アスカ「……な、ななっ⁉︎」

レイ「…………碇くんに守られたのはあなただけじゃない。碇くんは、私が守る」

214: 2017/02/20(月) 16:18:06.26 ID:JsiGhyiM0
アスカ「守られたぁ? あんたが?」

レイ「……ヤシマ作戦の時、少し」

アスカ「ヤシマ作戦……っていうと私がネルフに配属になる少し前……」

レイ「家で裸を見られたわ」

アスカ「――な、なななぁっ⁉︎」

レイ「あなたも知らない碇くんがいるということ」

アスカ「………っ! ふ、ファーストっ! こいつ!」

レイ「碇くんに、幻滅した?」

アスカ「べ、別になにもなかったんでしょ⁉︎ ヘタレなあいつがそんな度胸あるわけないし」

レイ「…………そう」

アスカ「あ、あんた。意外といい根性してるわね」

レイ「…………別に」

220: 2017/02/20(月) 22:48:58.00 ID:JsiGhyiM0
- 総合病院 病室 -

バタン

シンジ「あれ? アスカは?」

レイ「…………帰ったわ」

シンジ「あぁ、そうなんだ(前に会った感じがするって言いそびれちゃったな)」

レイ「…………碇くん」

シンジ「ん?」

レイ「…………女って、なに?」

シンジ「んん?」

レイ「恋したほうがいいの?」

シンジ「ど、どうしたの?」

レイ「わからない。弐号機の人を見ているとそう感じたから」

シンジ「…………僕もよくわからないんだ」

レイ「…………」

シンジ「人それぞれペースがあるんだと思う」

レイ「…………」

シンジ「綾波もそう思える人ができたらいいね」

レイ「……相手を見つけるの?」

シンジ「うぅん。見つけるとか、巡り合わせとかよくわからないけど、そう思える人」

レイ「…………」

シンジ「見つけようと思って、見つかるものじゃないと思う。たぶん」

レイ「…………碇くんは、そう思える人がいるの?」

シンジ「僕は、どうかな」

レイ「…………そう」

シンジ「アスカは、きっと今は勘違いしてるだけだよ」

レイ「…………リンゴ、食べる?」

シンジ「……うん。ありがとう」

レイ「…………」サクサク

シンジ「――綾波ってお母さんみたいだね」

レイ「…………な、なにを言うのよ」

222: 2017/02/20(月) 23:05:33.68 ID:JsiGhyiM0
- 夜 ミサト宅 -

アスカ「こ、これが夕食?」

ミサト「や、やっぱ、まずい?」

アスカ「ピザ、ポテト、ナゲット、これ全部デリバリーよね…………」

ミサト「だ、だぁって今までは家事全般シンちゃんが作ってたんだもの」

アスカ「シンジの入院期間は?」

ミサト「一応ニ週間ってことになってるけど。それ以降は通院ね」

アスカ「はやくない? それで大丈夫なの?」

ミサト「ネルフの医療スタッフが面倒を見るわ。リツコも協力的だし、本当なら一ヶ月はかかるんだけど」

アスカ「それもエヴァパイロットだから?」

ミサト「…………弁解はしないわ」

アスカ「…………ふん」

ミサト「それにしても、よく帰ってきたわね」

アスカ「なにが?」

ミサト「家出するんじゃないかと思ったから」

アスカ「はぁ? 根にもつタイプじゃないわよ。それにお互いに方針が決まってるなら日常生活ぐらいはできるでしょ」

ミサト「ドライなのね」

アスカ「いいえ。これはゆずらないものはゆずらないというはっきりとした意思表示よ。ミサトもそうでしょ」

ミサト「…………」

アスカ「だったら、これ以上、やり合うつもりはないわ。また変なこと言いだしたらやり合うけど」

ミサト「…………アスカ、変わったわね」

アスカ「別に。ミサトとだって今まで生活できてたから。それだけよ」

ミサト「――拘束具については」

アスカ「あぁ、もういいって。それよりこんなの食べてたら、太るか高血圧で氏ぬわよ?」

ミサト「うぅん。でも、お給料日前だしぃ」

アスカ「……私が作ってあげるわ」

ミサト「いぃっ⁉︎ アスカがぁ⁉︎」

アスカ「包丁の握り方だけ覚えたから、なんとかなるわよ」

ミサト「だ、大丈夫かしらん?」

223: 2017/02/20(月) 23:13:14.29 ID:JsiGhyiM0
――――
―――

ミサト「アスカ、カレーって緑だった?」

アスカ「…………」

ミサト「おまけに匂いがリポビタン○みたいなんだけど」

アスカ「…………」

ミサト「新しい発見。ほら見て。スプーンからルーが落ちない。これっていれすぎなんじゃない?」ブンブン

アスカ「う、うるさいわねっ! 食べればおいしいのよ!」

ミサト「これを食べろとアスカは言うのね?」

アスカ「うっ……そ、それは」

ミサト「――ピザ、チンしましょっか」





ペンペン「クエー」

224: 2017/02/20(月) 23:25:26.47 ID:JsiGhyiM0
- 翌日 第三新東京都市第壱中学校 昼休み -

アスカ「ヒーカリっ!」

ヒカリ「うん?」

アスカ「料理、教えてくれない?」

ヒカリ「いいけど、あっ、碇くんに食べさせたいの?」

アスカ「そ、それもあるけど、シンジが今は入院してるから台所事情が」

ヒカリ「碇くん……怪我、大丈夫?」

アスカ「うん。後遺症は残るみたいだけど――」

トウジ「――後遺症ってそらほんまかいな?」

ケンスケ「なんでそこまで怪我したんだよ?」

ヒカリ「鈴原、相田くん」

アスカ「心配ない。あんた達もシンジのこと心配してるの?」


トウジ「そりゃあったりまえやないか」
ケンスケ「そりゃあたりまえじゃないか」


トウジ「シンジはワシらの友達やで?」

ケンスケ「そーそー。友達を心配するのは当たり前だろ?」

アスカ「…………そっか。そうよね」

ヒカリ「鈴原たちは、碇くんのお見舞いに行くの?」

トウジ「明後日ぐらいに行こうかなと思うてる」

アスカ「シンジも喜ぶと思うわ」

ケンスケ「おいおい、すっかり嫁さん気取りかぁ?」

アスカ「……ゆくゆくはそうなるかもね」

ケンスケ「……開き直ってて面白くないね」

アスカ「認めてしまえば強くなれるのよ!」ゲシッ

ケンスケ「――いっつ⁉︎」

ヒカリ「……鈴原、あの、お弁当どうだった?」

トウジ「あぁ、うまかった。ごっそさん」

ヒカリ「なにか、リクエストとかある? よかったらつめるけど」

トウジ「あぁ、そやなぁ…………な、なんや?」

アスカ「…………いえ?」

ケンスケ「…………なぁんにも?」

ヒカリ「あ、アスカァっ!」







225: 2017/02/20(月) 23:32:58.60 ID:JsiGhyiM0
ケンスケ「――それより聞いたか?」ガタガタ

トウジ「そうそう。にひひ。とっておきの特ダネがあんねん」

アスカ「ちょっとあんた達、私達まだご飯食べてるんだけど? なに机ひっつけてんのよ」

ケンスケ「まぁまぁ」

アスカ「それに、そんなに仲良くなった覚えも――」

トウジ「ま、ま、ええやないか」

アスカ「…………はぁ」

ヒカリ「なにかまた悪巧みしてないでしょうね?」

ケンスケ「してないっ! 神に誓って!」

アスカ「安い神様な気がするわ」

トウジ「おい! ケンスケ!」

ケンスケ「……そうだった。さっき職員室の前で聞いたんだけど転校生が来るらしいぞ」

アスカ「転校生ぃ?」

ヒカリ「この時期にめずらしいね」

ケンスケ「クラスはどこになるんだろうなぁ。かわいい女の子かなぁ」

トウジ「めっちゃかわいい子やったらワシどないしよ」

ヒカリ「す、鈴原ぁっ!」

アスカ「(転校生……ね)」

226: 2017/02/21(火) 00:01:59.35 ID:edjWwc+q0
- ネルフ本部 ??? -



『霧島 マナ:14歳。O型。身長――』



冬月「やれやれ、今度は戦略自衛隊か」

ゲンドウ「…………」

冬月「人質をとってまで送りこんでくるとは、奴らも手がこんでるな」

ゲンドウ「…………」

冬月「加持はまだ消息がつかめんのだろう?」

ゲンドウ「……あぁ」

冬月「老人達へはどう報告する」

ゲンドウ「始末した。それだけだ」

冬月「しかし、生きているとしたら――」

ゲンドウ「出てきた瞬間を狙えばいい」

冬月「…………ふぅ。また忙しくなるかもしれんな」

227: 2017/02/21(火) 00:09:30.34 ID:edjWwc+q0
- 夕方 洞木宅 -

ヒカリ「あ、アスカァ! それ塩じゃなく砂糖!」

アスカ「え? えっとこれね!」ドバァ

ヒカリ「握りこぶしで掴んでどうするのよ! 指先でつまむの!」

アスカ「あぁ、えっと? こう?」

ヒカリ「今さらいれたって遅いわよ! わ、私が味整えるからアスカは人参切って」

アスカ「ご、ごめん! 包丁の使い方なら覚えたから――」ザクッ

ヒカリ「アスカ? 野菜はまず洗うのよ? そして人参は皮をむくの」

アスカ「き、切るだけじゃだめなのね?」

ヒカリ「……アスカ。本当に料理したことないんだね」

アスカ「レトルトなら、まだあるんだけど」

ヒカリ「それ料理って言わないわよ…………」

228: 2017/02/21(火) 00:16:21.17 ID:edjWwc+q0
ヒカリ「碇くんの苦労が改めてわかった気がする」

アスカ「そ、そう?」

ヒカリ「――アスカ! そんなんじゃお嫁に行けないわよ!」ビシッ

アスカ「べ、別に私は料理じゃなくても、働けばいいじゃない。男が料理したっていいし。時代錯誤――」

ヒカリ「食べさせたいんでしょ⁉︎ だったらつべこべ言わないっ!」

アスカ「は、はい……」

ヒカリ「ほら、包丁が扱えるのはわかったから、次は食材の取り扱い方ね」

アスカ「ヒカリって意外とスパルタ……?」

ヒカリ「(ひ、ひどすぎるからなんて言っちゃだめかな)」

アスカ「あ、あの……」

ヒカリ「……はぁ。ううん。ゆっくりやりましょ」

アスカ「ありがと……」

229: 2017/02/21(火) 01:17:08.07 ID:edjWwc+q0
今後どうしようか少し迷ってます

というのも過激な工口やさらにぶっとんだ行動をさせてみたいと思いだしているからです

これって俺の好きに書いていいんすよね?
反応なければ俺しか見てないぐらいの勢いでやっちゃいますけど

233: 2017/02/21(火) 01:43:00.25 ID:edjWwc+q0
迷いはふっきれました即レス感謝します
とりあえずそろそろ寝るのでまた明日以降になると思います
ありがとでした

236: 2017/02/21(火) 13:00:42.09 ID:edjWwc+q0
暖かいレスどうもです
詰めこんでるのはなにか起こしてないと俺が書いてて面白くないっていうのがありますね
あの時点で刺すという発想はなかったw

では、続けます

237: 2017/02/21(火) 13:12:14.79 ID:edjWwc+q0
- 夜 ミサト宅 リビング -

ミサト「今日はシンジくんのお見舞いに行かなかったの?」

アスカ「あぁ、うん。行かなかったわよ」

ミサト「へえぇ~。意外。アスカなら、毎日通いつめると思ったんだけど」

アスカ「ちょっと、熱中しちゃうことがあって気がついたら面会時間が終わってたの。明日からは行くわ」

ミサト「……そ。あなたはまだ若いんだもの。やりたいことはなんでもやっていいのよ」

アスカ「……ババくさ」

ミサト「今のは私に対する宣戦布告と捉えていいわね?」

アスカ「な、なによ。見たまんまじゃない」

ミサト「女に歳は厳禁よ! あんただっていつかは歳をとるんだからね!」

アスカ「はっはぁ~ん。羨ましいの? 私のお肌が」

ミサト「ぐっ! 私だって言い寄ってくる男は星の数ほどいるのよ⁉︎」

アスカ「……強がりね」

ミサト「…………爆破させてやる」

アスカ「はぁ?」

ミサト「ここにN2をぶち込んで無理心中してやるぅっ!!」

アスカ「ちょ! ――ちょっと⁉︎」

238: 2017/02/21(火) 13:24:18.01 ID:edjWwc+q0
- 深夜 ミサト宅 -

アスカ「(ミサトも悪いやつじゃないのよね。冗談に乗るし……)」コソコソ

アスカ「(……エヴァさえなければ、言い争うこともないのかな……)」コソコソ


ガチャン


アスカ「(――っと、そんなことよりも………あ、あった。やっぱりまだ洗濯してなかったんだわ)」

アスカ「(あぁ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、さみしいよぉ。……いけないいけない。えーーーと)」ゴソゴソ

アスカ「(……シャツと、あっ、こ、これってパンツ。まだ洗ってないってことは……。だ、だめよ。アスカ。これはだめな気がするわ)」

アスカ「…………」ジィー

アスカ「(……まぁ、まぁまぁ、一応匂いは確認しておかないと、け、健康のチェックもあるし! そうよ! これは必要なこと!)」スンスン

アスカ「(……こ、これってシンジのあ、あぁ~~なんか癖になる)」スンスンスンスン

アスカ「(すぅー……はぁーっ……顔埋めてたい。シンジのアソコの匂いってこんな匂いなのかな?)」ハァハァ

アスカ「(――っ⁉︎ い、いけない。ミサトに見つからない内に……部屋に持って帰らないと………)」

アスカ「(シンジって、その、1人で処理してるかな。ちょ、ちょっとシンジの部屋行ってみようかな……?)」

239: 2017/02/21(火) 13:44:53.78 ID:edjWwc+q0
- 深夜 シンジ部屋 -

アスカ「(シンジがいない部屋にくるのってはじめてかも)」

アスカ「(な、なんだか、いけないことをしてるんだけど、背徳感があるわね……)」

アスカ「(――そういえば、シンジ、鈴原達の工口DVDの時少しあるって言ってたし……)」


ソォーッ


アスカ「(目標はゴミ箱よね……)」

アスカ「(う、ううんっ……ゴホンっ! あ、そーだ! そういえば明日はゴミの日だったわ! ゴミ回収しなくちゃ!)」ガサゴソ

アスカ「(――……あ、あれ? ない? ちょ、ちょっと、ないの?)」

アスカ「(ここにないってことは、うーん、どこかしら。考えて。考えるのよ。アスカ。IQが高いんだから私ならこの部屋の配置も――)」

アスカ「(…………ありきたりたりなのは布団?)」ゴソゴソ

アスカ「(――あった。コンビニの袋。……結んである。ええい、まどろっこしいわねぇ!)」ガサゴソ

アスカ「(…………こ、これって。使用済みのティッシュ)」

アスカ「(ついに、ついに見つけてしまった)」


ガタガタッ


アスカ「――や、やばっ⁉︎ 本がっ!」


ミサト「……アスカ? まだ起きてるの?」

トタトタ

アスカ「(ミサトがこっちにくる⁉︎ ま、まずい! こんなとこ見つかったらなんて言われるか!)」

240: 2017/02/21(火) 14:07:59.95 ID:edjWwc+q0
ミサト「………アスカ? 起きてるのね?」ピタッ

アスカ「(も、もう部屋の前に……っ! そんなに広くないから当たり前だけど!)」ドッキンコドッキンコ

アスカ「(こ、こうなったら……このティッシュ食べてしまえば……!)」

ミサト「……開けるわよ?」

アスカ「(……うっ! ま、間近にあると匂いがすごいっ! 男のってこんな匂いなのぉ⁉︎)」

アスカ「(でもでも、シンジのなら汚くない)」スンスン

ミサト「……(開けるのはやめとくか)……アスカ、この間はごめんなさい」

アスカ「(まずはちょっと、舐めるところから……)」ペロッ

アスカ「(しょっぱっ! ……ん? でもなんか……)」

ミサト「シンジくんもアスカも私は、私は、家族だと思ってるわ」

アスカ「(………うぅんもうちょっと)」あむあむ

ミサト「だから、できれば仲良くやっていきたい」

アスカ「(……シンジィ……シンジ……これ、汚くなんかないよ……)」トロン

ミサト「私達、ゆずれないものがあるけど、それだけは忘れないで」

アスカ「(…………はぁっはぁっ……シンジがだした精液……もっと、もっとほしい………)」

ミサト「――それじゃ、おやすみ。アスカ」

アスカ「(……………っ! あ、だめ! なんか、やばいかもっ!)」

トタトタトタ

アスカ「(……はぁ、はぁ。あ、あれ?ミサト、なんか言ってたけど、私の部屋、開けないでいっちゃったのね)」

アスカ「(……まぁ、いいか。このまま、もうちょっと――)」

241: 2017/02/21(火) 14:23:12.68 ID:edjWwc+q0
- 翌朝 ミサト宅 -

アスカ「はぁ………」ゲッソリ

ミサト「……アスカ、平気?」

アスカ「――へぇっ⁉︎ な、なにがっ⁉︎」

ミサト「疲れてるように見えるけど」

アスカ「な、なんでもないわよ!」

ミサト「……そう?」

アスカ「(昨日、あ、あたし、あのまま――)」

ミサト「トースト焼いてあるから、それ食べたら支度しなさい。あと、シンジくんなんだけど――」

アスカ「――っ! シ、シンジにはなにもしてないわよ⁉︎」

ミサト「……まだなにも言ってないけど」

アスカ「あっ⁉︎ そ、そう! な、なに?」

ミサト「経過は良好みたいよん。今日はお見舞い、行くんでしょ?」

アスカ「も、もちろん!」

242: 2017/02/21(火) 14:49:10.89 ID:edjWwc+q0
- レイ 自宅 -

レイ「…………」シュルシュル パサッ

レイ「(――朝。1日のはじまり。朝は憂鬱)」


シンジ『笑えばいいと思うよ』


レイ「碇くん……」


シンジ『綾波ってお母さんみたいだ』

アスカ『――お願い。力を貸して』


レイ「私、どうしたいの?」


レイ『碇くんは、私が守る』


レイ「…………」眼鏡ケースパカッ

レイ「…………守りたいのね」

レイ「――………っ!」バキッ

243: 2017/02/21(火) 15:15:05.88 ID:edjWwc+q0
- ネルフ本部 発令所 -

リツコ「あら、副司令。おはようございます」

マヤ&シゲル「おはようございます」

冬月「ああ、おはよう」

リツコ「今日はお早いですね」

冬月「碇の代わりに上の町だよ」

リツコ「ああ、今日は評議会の定例でしたね」

冬月「下らん仕事だ。碇め、昔から雑務はみんな私に押し付けおって、MAGIがいなかったらお手上げだ」

リツコ「そう言えば、市議選が近いですよね。上は」

冬月「市議会は形骸に過ぎんよ。ここの市政は事実上MAGIがやっとるんだからな」

マヤ「MAGI……3台のスーパーコンピューターがですか⁉︎」

冬月「最も無駄の少ない、効率的な政治だよ」

マヤ「さすがは科学の町、まさに科学万能の時代ですね!」

シゲル「ふーるくさいセリフ」

冬月「そう言えば、零号機の実験だったかな、そっちは」

リツコ「ええ、ヒトマルサンマルより第2次稼動延長試験の予定です」

冬月「レイは問題ないだろうな?」

リツコ「なにも問題ありませんわ」

冬月「……ふぅ。最近はいろんなことが起こりすぎてな。歳には堪える。朗報を期待しとるよ」

244: 2017/02/21(火) 15:22:18.38 ID:edjWwc+q0
- ネルフ本部 ??? -

ゲンドウ「…………」モソモソ

レイ「…………」モグモグ

ゲンドウ「…………うまいか」

レイ「…………はい」

ゲンドウ「……そうか」

レイ「……碇司令」

ゲンドウ「…………なんだ」

レイ「碇くんの、経過は気になりますか」

ゲンドウ「…………」モソモソ

レイ「…………」

ゲンドウ「……もうすぐ起動実験だったな」

レイ「…………はい」

ゲンドウ「体調に何かあれば赤木博士に言えばいい」

レイ「…………はい」

ゲンドウ「…………」モソモソ

レイ「…………」モグモグ

245: 2017/02/21(火) 15:35:53.95 ID:edjWwc+q0
- ネルフ本部 零号機 テスト中 -

リツコ「実験中断、回路を切って」

マヤ「回路切り替え」

オペレーター「了解。電源、回復します。回路オールグリーン」

リツコ「……問題はやはりここね」

マヤ「はい、変換効率が理論値より0.008も低いのが気になります」

オペレーター「ぎりぎりの計測誤差の範囲内ですが、どうしますか」

リツコ「もう一度同じ設定で。相互変換を0.01だけ下げてやってみましょう」

マヤ「了解。再実験、スタンバイ」

リツコ「レイ、気分はどう?」

レイ『問題ありません』

リツコ「気分が悪くなったら言うのよ」

レイ『はい。……赤木博士』

リツコ「なに?」

レイ『人って、なんですか?』

リツコ「…………」

マヤ「…………」

レイ『…………』

マヤ「め、めずらしいですね。レイがそんなこと」

リツコ「どうして、そう思うのかしら?」

レイ『わかりません』

リツコ「(…………ありえないわ)」

オペレーター「再実験。回路接続完了。いつでもいけます」

246: 2017/02/21(火) 15:44:40.22 ID:edjWwc+q0
リツコ「(考えられるのは、周囲の多干渉? レイが引っ張られてる?)」

マヤ「……………」

リツコ「(いえ。そんなことはありえない。器でしかないはず。人工的に人を生み出せない。私達は、神ではないのよ)」

マヤ「……先輩。あの?」

リツコ「――レイ。問題ないなら実験、はじめるわよ」

レイ『……はい』

リツコ「テストスタート」

マヤ「り、了解。再実験プログラム。開始します」

247: 2017/02/21(火) 15:58:14.70 ID:edjWwc+q0
- 零号機 プラグ内 -

レイ「(私、私、私。ここにいるのは、私)」

マヤ『パルス接続、正常。テスト、ヒトヒトヨンマルまでクリア』

レイ「(ワタシは誰? 綾波、レイ。ワタシはなに? 人じゃない。私と繋がりがあるのは……なに?)」

オペレーター『問題のポイントまで想定時間はおよそ30秒です』

レイ「(ワタシはなに? 繋がりはなに?)」

アスカ「……あんた、人形みたい」

レイ「(……違う。私は人形じゃない)」

アスカ「人形よ! 人形だわ! アンタナンカヒトジャナイ!」

レイ「(私は人形じゃない。私は……っ!)」

アスカ「感情のない人形じゃない! 反応もない! シンジに近づかないで!」

レイ「…………ひっ⁉︎」




ビービーッ

マヤ「……っ! パルス逆流! 精神グラフ、乱れています!」

リツコ「な、なんですって⁉︎ 実験中止!」

オペレーター「実験中止! 回路強制遮断!」

248: 2017/02/21(火) 16:17:19.83 ID:edjWwc+q0
- ネルフ本部 ??? -

ゲンドウ「……レイの様子はどうだ」

リツコ「問題ありません。一時的な錯乱状態が見られますが」

ゲンドウ「零号機の凍結は今はまずい」

リツコ「……はい」

ゲンドウ「ダミーの件はどうなっている?」

リツコ「そちらも、滞りなく。順調ですわ」

ゲンドウ「……君には期待している。赤木博士」

リツコ「(……レイの再調整。どうするべきかしらね)」

249: 2017/02/21(火) 16:24:45.20 ID:edjWwc+q0
- 夕方 総合病院 -

シンジ「…………」

レイ「…………」サクサクッ

シンジ「…………」

レイ「…………はい」スッ

シンジ「ありがとう」

レイ「りんご、好きなの?」

シンジ「ううん。好きでも嫌いでもないかな」

レイ「どっちでもないの?」

シンジ「うん。あったら食べるぐらいだけど……あっ、せっかく切ってもらったのに、ごめん」

レイ「…………碇くん」

シンジ「……うん?」もぐもぐ

レイ「どういう時、笑ったらいいの?」

シンジ「えっ」

レイ「どうしたいのか、よくわからない」

シンジ「…………」

レイ「…………」

シンジ「……嬉しい時や、楽しい時、前に見せてくれた綾波の笑顔は綺麗だったよ」

レイ「……綺麗?」

シンジ「そう、優しい笑顔だった」

250: 2017/02/21(火) 16:33:06.17 ID:edjWwc+q0
レイ「…………」

シンジ「どっちかなんてなくていいんだと思う。リンゴの話じゃないけど、笑いたい時笑えばいいんじゃないかな」

レイ「どっちかじゃなくていいの?」

シンジ「うん……綾波とこうして静かにしてる時間も、僕は心地いいから」

レイ「…………あ、ありがとう」

シンジ「ううん、いいんだ」

レイ「(……ありがとう。感謝の言葉。あの人にも言ったことなかったのに)」

シンジ「…………食べる?」スッ

レイ「……いいの?」

シンジ「綾波に切ってもらったんだから、いいんだよ」

レイ「…………」シャリ モグモグ

シンジ「……どうかな?」

レイ「……おいしい」ニコ

シンジ「うん。今みたいに笑ったらいいよ」

レイ「……笑った?」

シンジ「……あ。えーと、笑ってたけど?」

レイ「…………そう。笑えるのね。私」

251: 2017/02/21(火) 16:42:25.55 ID:edjWwc+q0
レイ「……碇くん。はい」スッ

シンジ「ありがとう。……あの、置いててくれればいいから」

レイ「手、まだ不自由だから」

シンジ「えぇ⁉︎」

レイ「…………」ジーッ

シンジ「だ、大丈夫だよ! わりと動けるし! わ、悪いよ!」

レイ「…………いらないの?」

シンジ「で、でも、これって、あーんってやつじゃ?」

レイ「…………あーん?」

シンジ「や、やぶへびだ!」


ガチャ


アスカ「ハロ~ゥ………シン………ジィ……⁉︎」ボトッ

252: 2017/02/21(火) 16:55:33.09 ID:edjWwc+q0
――――
―――

アスカ「それでぇ~? 今のはどういう状況だったのかしら~?」

レイ「……碇くんの手が不自由だから。食べさせようとしてただけ」

アスカ「ふ、ふぅ~ん。そう。ファースト、いつもこんなことやってんの?」

レイ「……あなたには、なにも関係ない」

アスカ「ぐっ! あんたねぇ! 貸しがあるからってなんでもかんでも私が許すと思ったら大間違いよ!」

レイ「……別に。あなたに許される必要ない」

アスカ「つっかかってくるじゃない!」

シンジ「あ、あの。ちょっと2人とも……」

アスカ「だいたいさぁ! あんたシンジにまとわりつきすぎなのよ!」

レイ「……あなたも同じ」

アスカ「私はいいのよ! お互いに了承の上なんだから! あんたはそうじゃないでしょ⁉︎」

レイ「…………なぜ、碇くんと話してはいけないの?」

アスカ「話しちゃいけないなんて言ってない!」

レイ「……碇くんはあなたのモノじゃない」

アスカ「――っ⁉︎ 言ったわね! じゃあシンジはあんたのモノだって言うの⁉︎」

レイ「……誰のものでもない(そう。私は私)」

アスカ「シンジになにかしたら許さないわよ」

レイ「……なにもしない。なにかするのは、あなた」

アスカ「なんですって⁉︎ このっ!」ブンッ

レイ「……そういうところ。私は碇くんを傷つけたりしない」

アスカ「――……っ!」ピタッ

レイ「碇くんはあなたの人形じゃない(私は、人形じゃない)」

シンジ「ふ、2人ともやめてよ!」

アスカ「ファースト。ちょっと席はずしましょうか」

レイ「…………」

アスカ「……ふぅ。シンジ。大丈夫。ちょっと話してくるわ」

シンジ「…………大丈夫?」

アスカ「うん。信じて」

シンジ「……わかったよ」

253: 2017/02/21(火) 17:34:16.25 ID:edjWwc+q0
- 総合病院 屋上 -

アスカ「この時間は肌寒いわね」

レイ「…………」

アスカ「ファースト。あんたにも私の考えをはっきりさせとく」

レイ「…………」

アスカ「私は、シンジの為ならなんだってやるわ」

レイ「…………そう」

アスカ「あんたもパイロットだから、前に言ったように協力してほしいってのはかわらない――」

レイ「…………」

アスカ「シンジに手をだすなら話は別。このままここから突き落とすわよ」

レイ「…………」

アスカ「私は本気よ。誰であろうと、容赦なんかしない。泣いてすがっても許しなんかしないわ」

レイ「…………話はそれだけ?」

アスカ「………それは、つまり、そういう意味捉えていいのね?」

レイ「…………」

アスカ「………今後、あんたは私の敵とみなすわ。シンジの味方であっても」

レイ「…………」

アスカ「――っ! シンジは私の全てなのよ⁉︎ 全てになっちゃったのよ!! どうして邪魔するの⁉︎ 応援してくれないの⁉︎」

レイ「…………」

アスカ「…………」

レイ「…………別に」

アスカ「……仲良くできるかもと思ったのに」

レイ「それは、あなたの勝手な都合」

アスカ「――あんた! 感情あるんじゃない!」

レイ「…………」

アスカ「なんとか言いなさいよっ! こうまでやってくるんだからムカついてるんでしょ⁉︎ 私に!」

レイ「…………」

アスカ「シンジに、シンジに、次あんなことしてたら頭かちわってやるっ!」


スタスタ

キィー バタンッ!!!


レイ「………私、対抗してるのね」

254: 2017/02/21(火) 18:01:48.21 ID:edjWwc+q0
- 総合病院 病室 -

アスカ「…………」

シンジ「アスカ、大丈夫?」

アスカ「シンジ。お願いがあるの」

シンジ「……なに?」

アスカ「これから、私が身の回りのこと全部やるから、もうファーストとは――……!」

シンジ「綾波?」

アスカ「(だめ! あいつを頃したら私がこの前みたいな時誰がシンジを守れるの⁉︎)」

シンジ「綾波とやっぱり、喧嘩したの?」

アスカ「(でも、シンジにさっきみたいなこと許せない! 頃してやる! 頃してやる! 頃して――)」

シンジ「………アスカ?」

アスカ「――あ。ううん、やっぱりいい。忘れて」

シンジ「……きっと2人は仲良くできるよ」

アスカ「(できるわけないじゃない! あんなことしておいて仲良くできるわけない! 私のシンジに――っ!)」

シンジ「綾波も、いい子だから――」

アスカ「…………そうね」

シンジ「よかった。なんともなくて」

アスカ「(シンジに気がつかれないように――)」

シンジ「…………その袋なに?」

アスカ「これ? 鈴原達からお見舞いのお菓子。私が預かってきたの」

シンジ「トウジたちが? 嬉しいな」

アスカ「みんな心配してんだから。はやく治しなさいよ?」

アスカ「(あの女――ッ!!)」

255: 2017/02/21(火) 18:15:50.41 ID:edjWwc+q0
- 夜 ミサト宅 -

シャーコ シャーコ

アスカ「…………」

シャーコ シャーコ


ミサト「ただいま~ん………アスカ、あんたなにやってんの……?」

シャーコ シャーコ

アスカ「見てわからない? 包丁研いでるのよ」

シャーコ シャーコ

ミサト「と、砥石なんてうちにあったっけ?」

シャーコ シャーコ

アスカ「私が買っておいた」

ミサト「そ、そーなんだー。ちょっと? あんた目からハイライト消えてない?」

シャーコ シャーコ

アスカ「…………」

ミサト「……ご、ごほんっ……ペンペンは?」

アスカ「――……あぁん?」

ミサト「あ! あっちにいそうねー!」

シャーコ シャーコ

アスカ「………ミサト」ピタッ

ミサト「は、はい?」

アスカ「私、明日は遅くなるから」

ミサト「あぁ。また、えーと、ヒカリちゃん? のとこ」

アスカ「……うん」

256: 2017/02/21(火) 21:12:26.68 ID:edjWwc+q0
- 翌日 第三新東京市立第壱中学校 -

男子生徒「おい、聞いたか。あの話」

男子生徒「転校生だろ? 聞いた聞いた」

男子生徒「めっちゃくちゃかわいいって話?」

トウジ「おーおー男子どもがザワつきよる」

ケンスケ「みんな退屈してるからなぁ」

トウジ「……で? どうなんや? 実際のところ」

ケンスケ「なんでも親の転勤で引っ越してきたんだってさぁ」

トウジ「あほっ! こういう場合はかわいいかに決まっとるやろがっ!」

ケンスケ「それは――あぁ、えっと用事思い出した」

ヒカリ「――……」

トウジ「あ? もうすぐホームルームはじまるのにどこ行くねん! ――おいっ!ちょっと――」

ヒカリ「すぅ~~ずぅ~はぁ~らぁ~~」

トウジ「い、い、い、イインチョ。な、なんでここに――」

ヒカリ「~~っ! 問答無用っ!」ブンッ

257: 2017/02/21(火) 21:21:01.52 ID:edjWwc+q0
- 第壱中学校 ホームルーム -

先生「あ~。それでは、みなさんに、転校生を紹介します。霧島さん、どうぞ」

マナ「マナですっ! 霧島マナっていいます! よろしくお願いしますっ!」ペコッ


男子生徒「「「おぉ~~。かわいい~~」」」


ケンスケ「おぉ~。かわいいな」

トウジ「…………さよか」

ケンスケ「トウジ。傷は男の勲章だぞ」

トウジ「お前もいっぺんやられてみぃ!」

ケンスケ「今度は元気っ子かぁ。アスカと綾波の二大巨頭。割れるかもしれないね」

トウジ「……ふぅむ」

ケンスケ「おい! トウジ! ちゃんと聞けよ! ブロマイドの売り上げに影響するんだぞ!」

トウジ「……はぁ、わかったわかった。して、相田参謀。実際のところどうなんや?」

ケンスケ「ツンツン娘のドイツ人ハーフ! 対してクールビューティのアルビノ娘! そしてぇっ――あだっ!」ドタン

アスカ「――……チッ、ヤレなかったか」

トウジ「………ワシらに自由はないんかのぉ」

258: 2017/02/21(火) 21:32:42.87 ID:edjWwc+q0
- 第壱中学校 昼休み -

アスカ「ヒカリ、今日は屋上で食べない?」

ヒカリ「……?」

アスカ「ちょっと話したいことがあるのよ」

ヒカリ「……わかった。今用意するね」ガタガタ

マナ「――……あの、アスカ・ラングレーさん、ですよね」

アスカ「……え、えっと」

マナ「私、今日転校した霧島マナって言います。あの、転校してきたばかりで何もわからないので、よければ仲良くしてください」

アスカ「……あぁ。かまわないけど」

マナ「よかったっ! 本当は言いだすまで不安でっ!」

アスカ「…………」

ヒカリ「………あの、私たち今からお昼なんだけど……」

マナ「あっ……ごめんなさいっ。邪魔しちゃいましたね」

ヒカリ「う、ううん。そうじゃないの。こっちこそ、ごめん。私は洞木ヒカリ。できれば、私も仲良くしてほしいな」

マナ「もちろんっ! 私こそ仲良くしてっ!」

ヒカリ「……えへへ」

アスカ「わかった。でも、ごめんね。ちょっと今日はヒカリに相談があって、できれば2人で食べたいの。……いい?」

マナ「うんっ。それじゃ、私は向こうで食べるから」

アスカ「ありがと」

ヒカリ「それじゃまた後でね。霧島さん」





ケンスケ「むむっ! あれはなんだかヒト波乱あるような気がする!」

トウジ「はぁ、こりんやっちゃのーお前も」

ケンスケ「いいか! ネタがあるところに俺はいる!」

トウジ「尊敬したくないけど、凄いと思うわ」

259: 2017/02/21(火) 21:39:11.69 ID:edjWwc+q0
- 第壱中学校 昼休み 屋上 -

ヒカリ「霧島さん、いい人そうだったね」もぐもぐ

アスカ「……あぁ。まぁ、そうね」

ヒカリ「転校してきたばかりだから、私達も仲良くしてあげましょ」

アスカ「…………うん」

ヒカリ「……? アスカ? 悩み事?」

アスカ「ヒカリ、鈴原とはどう?」

ヒカリ「……別に、なんともないよ。お弁当渡してるだけ」

アスカ「そうなんだ」

ヒカリ「うん。……なんにも気がついてくれないみたい」

アスカ「……鈍感ね。弁当なんか作ってくるわけないじゃない」

ヒカリ「う、うぅん。私がついだって言ったから……」

アスカ「そこも含めてでしょ? 女から言わせるなんてサイテー。男だったらわかりなさいよ」

ヒカリ「あ…………うん」


260: 2017/02/21(火) 21:45:21.24 ID:edjWwc+q0
アスカ「――……昨日、シンジの病室に行ったんだけど」

ヒカリ「碇くんの? 大丈夫そうだった?」

アスカ「うん。怪我自体はそんなに不自由じゃないみたい」

ヒカリ「そっか。なら安心だね」

アスカ「――……だけど、そこでファーストに食べさせてもらってた」

ヒカリ「えっ?」

アスカ「私のシンジなのに。私の。なのにファーストが食べさせてたの。見た時目を疑ったわ。あいつ……あいつ……なにも感情のない人形のようなフリして感情がちゃんとあったのよ。
シンジのことはパイロット同士だから大目に見ようって思ってたのに。だけどあれはやりすぎよ。
ふざけるんじゃないわよ。なんであんなことまで――」

ヒカリ「あ、アスカァ!」

アスカ「――えっ?」

ヒカリ「えっと、碇くんに食べさせてただけなんでさょ?」

アスカ「――……だけですって?」

ヒカリ「ごめん。言い方が悪かった。食べさせてたの?」

261: 2017/02/21(火) 21:52:25.69 ID:edjWwc+q0
アスカ「……そうよ」

ヒカリ「え、えっと。我慢できなかったの?」

アスカ「我慢できるわけない!」

ヒカリ「あ、アスカ。落ち着いて。そんなことで取り乱してたらこの先辛いよ?」

アスカ「そんなことなんかじゃない。私には、私には――」

ヒカリ「…………アスカ、前に加持さんって人しかいなかったって言ってたよね」

アスカ「…………」

ヒカリ「碇くんがそこに入ってるの?」

アスカ「違うの! シンジは違うのよ! 加持さんの代わりなんかじゃない!」

ヒカリ「…………ごめん。私、碇くんにやっぱり一度話す」

アスカ「なに話すの?」

ヒカリ「このままじゃいけないと思うから。ね? いい?」

アスカ「……わかった」

ヒカリ「……今日の放課後、鈴原達も誘ってお見舞いに行きましょ!」

アスカ「…………」コクリ

262: 2017/02/21(火) 21:59:29.92 ID:edjWwc+q0
- 総合病院 病室 -

トウジ&ケンスケ「いよっ!」

シンジ「――トウジ? ケンスケ?」

ヒカリ「あの、碇くん、大丈夫?」

シンジ「あ……みんな、お見舞いに来てくれたんだね。ちょっと待って今、お茶――」

ヒカリ「あっ! いいの! 気にしないで!」

トウジ「センセはあいかわらずやのー。そんなミイラみたいな包帯しよっても」

ケンスケ「はぁ。ま、そこが憎めないんだけどさぁ。ゆっくりしておけよ」

シンジ「うん。ありがとう」

アスカ「シンジ、具合は?」

シンジ「特に変わらず、かな。熱もさがってきてるし化膿はしてないみたいだよ」

アスカ「よかった」

263: 2017/02/21(火) 22:05:37.90 ID:edjWwc+q0
ケンスケ「碇にハッピーサプライズ! 今日転校生がきたぞ!」

シンジ「そうなんだ?」

ケンスケ「喜べ! なんと席は碇の隣だ!」

シンジ「…………へぇ」

トウジ「今度は元気っ子! ハーレムになるんちゃうか! ぬふふっ!」

シンジ「はぁ? ハーレム?」

トウジ「だってシンジ、そうやろ。綾波にゴリラに元気っ子とくれば……」

アスカ「フンッ!」ボキッ

ケンスケ「鈍感系主人公は流行らないと思うぞぉ?」

アスカ「こっちもね!」バキッ

ケンスケ&トウジ「……………な、ナイスキック」

ヒカリ「…………はぁ」

264: 2017/02/21(火) 22:10:44.40 ID:edjWwc+q0
シンジ「……あいかわらずみたいだね」

ヒカリ「碇くんがすごく大人に見える」

シンジ「そんなことないよ。トウジ達はわざとふざけてくれてるんだ」

アスカ「こ、こいつらが……?」

シンジ「うん。場が明るくなるから」

アスカ「まぁ、そういうことにしておくわ」

シンジ「……? 本当だよ」

ヒカリ「――碇くん、なにか変わった?」

シンジ「えっ?」

ヒカリ「なんだか、落ち着きすぎじゃない?」

シンジ「そ、そうかな」

アスカ「シンジは元からこんなんじゃないっけ?」

ヒカリ「うーん、私はアスカほど知らないけど……」

265: 2017/02/21(火) 22:20:51.10 ID:edjWwc+q0
トウジ「……ま、まぁ。センセやからな。ゴリ、そうりゅうサンと知り合った時は感情的になってたが」

ケンスケ「いつつ……」

アスカ「だいたい、鈴原は好きな人とかいないの?」

トウジ「わ、ワシ?」

アスカ「シンジばっかり言うけど。あんた、自分のことちゃんとしなさいよ」

ヒカリ「あ、アスカ……」

トウジ「ワシは今はそんなことにうつつを抜かしとる暇はない。妹のことがあるしな」

ヒカリ「あっ……」

アスカ「あんたの妹ってそんなに悪いの?」

トウジ「……入院費の支払いがバカにならへんのや」

シンジ「トウジ……ごめん」

トウジ「……あぁ。ちっ……シンジはなんも悪くない。悪いのは使徒や」

シンジ「僕でできることあるなら――」

トウジ「……シンジ。ワシ達は友達やろ。もう終わったことや」

アスカ「……悪かったわ」

トウジ「しみったれた話は好かんからのぉ! というわけでワシは今は色恋沙汰はない!」

ケンスケ「……僕もカメラかなぁ」


266: 2017/02/21(火) 22:25:41.27 ID:edjWwc+q0
トウジ「シンジがうまくいくなら、ワシ達は応援しとるで」

ケンスケ「隠し撮りはさせてくれよなぁ~」

シンジ「2人とも……ありがとう」

アスカ「…………」

ヒカリ「…………」

トウジ「なんや? 黙りこんでどないしたんや?」

アスカ「みんな、それぞれ生活があんのね」

ケンスケ「……はぁ?」

ヒカリ「アスカ、言いたいことわかるかも」

アスカ「私たちって、恋ばっかりなのかな」

ヒカリ「…………うん」

シンジ「……?」

ケンスケ「まぁ、いいんじゃないかぁ? 僕たち、青春なんだしさ!」

267: 2017/02/21(火) 22:31:55.38 ID:edjWwc+q0
ガチャ

レイ「…………碇くん」

シンジ「あ。綾波」

トウジ「おいおい、綾波もここにお見舞いかぁ?」

シンジ「うん。ミサトさんに頼まれて……」

レイ「…………」

ケンスケ「こりゃマジでハーレム形成するつもりなんじゃないのかぁ?」コショコショ

トウジ「どないするんやろなぁ。ゴリラはさすがにワシでもわかるぞ」コショコショ

ケンスケ「碇が気がついてないってことないと思うんだけど……」コショコショ

トウジ「どっちかに決めなまずいんちゃうんか?」コショコショ

アスカ「……そこ、なに喋ってるの?」

トウジ「いや、なぁ~んにも」

ケンスケ「…………はぁ。どうするんだよ」

268: 2017/02/21(火) 22:38:18.25 ID:edjWwc+q0
ヒカリ「…………あのね、碇くん、少し話できる?」

シンジ「……? かまわないけど」

ヒカリ「……少し席、はずせる?」

トウジ「い、委員長もか⁉︎」

ケンスケ「えぇ⁉︎ だって委員長は――」

ヒカリ「あんた達! なに勘違いしてるか知らないけど相談するだけよ!」

シンジ「わかった……少し散歩したかったから。ちょうどいいよ」

レイ「……碇くん、平気?」

シンジ「そんな。普通に歩けるから大丈夫」

ヒカリ「ご、ごめんね。碇くん」

アスカ「…………」

トウジ「お、おぉ。なんじゃあの女どもは」

ケンスケ「………こっちもこっちで気がついてないんだけどねぇ」

269: 2017/02/21(火) 22:52:07.38 ID:edjWwc+q0
- 総合病院 ロビー -

ヒカリ「……あの、話っていうのは、アスカのことなんだけど」

シンジ「アスカの?」

ヒカリ「うん。アスカ、また思い詰めてるみたい」

シンジ「…………」

ヒカリ「アスカから、だいたいの話は聞いてるの。その、碇くんを監禁したことも」

シンジ「……そっか」

ヒカリ「お願い、アスカをラクにさせてあげて。見てられない時があるの」

シンジ「…………」

ヒカリ「アスカがどう思ってるのか、碇くんはもう気づいてるはずでしょ?」

シンジ「僕は……どうしたいのかよくわからないだ」

ヒカリ「えっ。アスカのこと好きじゃないの?」

シンジ「守りたいと思う。だけど……」

ヒカリ「そ、そんなっ! アスカがそれ知ったら、碇くん! アスカには絶対に言っちゃだめ!」

シンジ「嫌いなわけじゃないんだ。でも……」

ヒカリ「だけど! アスカはもう碇くんのことが!」

シンジ「今は、パイロットだから勘違いしてるだけだよ」

ヒカリ「そ、そんなわけないじゃないっ! アスカがどんな気持ちでいるかわかる⁉︎」

シンジ「…………」

ヒカリ「守るなら責任を持たなくちゃだめよ!」

シンジ「……っ! 僕に! 僕にどうしろって言うんだよ!」

ヒカリ「――っ!」

シンジ「守りたい! だから守ってみせる! 僕だって一生懸命やってるんだ!」

ヒカリ「い、碇くんっ。だけど、アスカは!」


270: 2017/02/21(火) 23:18:00.62 ID:edjWwc+q0
ヒカリ「(こ、こんなの。少女漫画じゃない。昼ドラよ)」

シンジ「……洞木さんは、アスカのことが大事なんだね」

ヒカリ「…………」

シンジ「心配しなくても、アスカは守ってみせるよ」

ヒカリ「(……だけど、気持ちは⁉︎)」

シンジ「ごめん。今はそれしか言えない」

ヒカリ「…………。私こそごめん」

シンジ「トウジとうまくいくといいね」

ヒカリ「あっ。うん。でも、無理かもしれないけど」

シンジ「トウジなら、大丈夫だよ」

ヒカリ「(アスカに、なんて言おう)」


マナ「――あれ? 洞木、さん?」


ヒカリ「……えっ?」

マナ「あっ! やっぱり洞木さんだーっ!」

ヒカリ「霧島さん⁉︎ どうしてここに⁉︎」

マナ「お父さんがここで働いてるのっ! だからその迎え!」

シンジ「えっと……邪魔しちゃ悪いから……僕は」

マナ「あぁん! 待って待って! えぇと、もしかして碇シンジくんだよね⁉︎」

271: 2017/02/21(火) 23:26:14.50 ID:edjWwc+q0
シンジ「……そうだけど」

マナ「私、霧島マナ。よろしくねっ。碇くんの席の隣に転校してきたの」

シンジ「あ……キミが」

マナ「マナって呼んで! ねぇねぇっ! パイロットなんだよね⁉︎ ……怪我痛そうだけど、大丈夫?」

シンジ「うん。見た目よりは痛くないんだ。包帯も感染症のためらしくて」

ヒカリ「…………」

マナ「あ、洞木さんは碇くんのお見舞い?」

ヒカリ「あの……うん」

マナ「もっと碇くんと話したいなっ。……だめ?」

シンジ「えぇと。かまわないけど」

ヒカリ「(ど、どうしよう! まだ増えるの⁉︎)」

シンジ「病室に友達がいるから。みんなに紹介……は、必要ないのかな」

マナ「あっ! 嬉しいっ! ――お邪魔じゃないかなぁ?」

シンジ「洞木さんも知り合いみたいだし、どう?」

ヒカリ「…………ふぅ。いいよ。行こう?」

272: 2017/02/21(火) 23:33:48.04 ID:edjWwc+q0
- 総合病院 病室 -

トウジ「はぁ~~~」

ケンスケ「どうすんだよ、コレ」


アスカ「……………」むっすぅ

レイ「……………」

マナ「……あの、お邪魔でした?」


トウジ「センセはほんま、どえらい男やなぁ」

ケンスケ「転校生はさっき会ったばかりだろ~? なんでこんな空気になるわけ?」

ヒカリ「あ、あんた達、余計なこと言わないで」


シンジ「みんな、どうしたの?」


トウジ「ワシ、もしかして伝説の男と友達になっとるのかもしれん」

ケンスケ「はぁ。もういいよ。なるようになれってやつだ」

273: 2017/02/21(火) 23:58:01.02 ID:edjWwc+q0
- 帰宅中 -

アスカ「シンジとなに話してたの?」

ヒカリ「そ、その。碇くんにアスカのことどう思ってるかって………」

アスカ「――っ! そ、それで⁉︎」

ヒカリ「あの、アスカのこと、守るって言ってたよ…………」

アスカ「ほんとっ⁉︎」

ヒカリ「うん…………(言えないよぉ)」

アスカ「まぁ、そーよね! あったりまえじゃない!」

ヒカリ「(少女漫画が現実に起こると昼ドラと大差ないだなんて……)」

アスカ「他には⁉︎ なにか言ってた⁉︎」

ヒカリ「えーと、そのぉ、うーんと、アスカのことちゃんと考えてるって」

アスカ「え⁉︎ ……それって……」

ヒカリ「(う、嘘は言ってないよね。今はって言ってたし)」

アスカ「こ、告白じゃない……」

ヒカリ「――え、えぇ⁉︎」

アスカ「そっか。シンジもちゃんと……あぁ、私ってバカね。なにを焦ってたんだろ。シンジも同じ気持ちなのに」

ヒカリ「――え、ちょ、ちょ、あす」

アスカ「ヒカリッ! ありがと! やっぱ私たち親友ね!」

ヒカリ「(ど、どどどうしよ~~⁉︎)」

278: 2017/02/22(水) 00:49:58.81 ID:pu4UfFe80
- 夜 ミサト宅 -

アスカ「ふ~んふふ~んふ~ん」

ミサト「…………」

アスカ「ふんふ~ん」

ミサト「昨日はなんかおかしかったのに。わからないわ」

アスカ「あ、ミサト?」

ミサト「……なによ」

アスカ「シンジと2人で住むってできないの?」

ミサト「できるわけないでしょう」

アスカ「そっか。残念。でも、これからは、あぁそっか。ミサトも大変ね」

ミサト「……なにが?」

アスカ「だってさぁ、シンジが退院してきたら……ふんふ~ん」

ミサト「日本語で喋ってほしいわ……」

アスカ「シンジと私、相思相愛なのよ。両想いってやつ」

ミサト「……頭痛がする。シンちゃんがそう言ったの?」

アスカ「えぇ。そうよ。だからこれからのルール決めておいた方がよくない?」

ミサト「…………」

アスカ「ミサトも監督責任があるんでしょ。したらどうするの?」

ミサト「セッ……まぁ、あなた達もお年頃だしね。なくはないか」

アスカ「もちろんよ。そこで、ルールなんだけど」

ミサト「避妊はちゃんとしなさい。あと、勉強も。のめりこみすぎたらすぐ引き離すわよ」

アスカ「意外にあっさり許すのね」

ミサト「実は、前にリツコから避妊をするなら問題ないって言われてるのよ。中学生にはまだ早すぎると思うんだけど」

アスカ「それなら問題は倫理上のことだけね。私たちは同じ歳なんだから、法律上問題ないってこと」

ミサト「でも! ちゃんとしなさいよ⁉︎」

アスカ「わかってるって。私がそんなにガッつくように見える? シンジが寝かせてくれないかもしれないけど」

ミサト「女同士といえど、生々しいわね」

アスカ「ミサトもやることやってんでしょ」

ミサト「…………はぁ」

アスカ「私も声は聞かれたくないし、してる時はなにか音楽でも聞いてて」

ミサト「…………そうなるのね。やっぱり」

279: 2017/02/22(水) 01:13:21.25 ID:pu4UfFe80
- 翌日 ネルフ本部 ラボ -

リツコ「――問題ないわよ」

ミサト「や、やっぱり、そうこたえるかぁ」

リツコ「断ってほしかったの?」

ミサト「だ、だぁってぇ……」

リツコ「盛りのついた中学生同士なら、かなりの頻度でヤるかもしれないわよ?」

ミサト「アスカのそういう所、イメージできないのよね」

リツコ「あの子は女よ。初体験で相当嫌なイメージさえつかなければ、求められればこたえる。女とはそういう生き物ではなくて?」

ミサト「…………」

リツコ「……しかし、シンジくんがOKとは意外ね。事後の精神でいい実験データがとれるかも」

ミサト「リツコにとってはシンジくんが意外?」

リツコ「えぇ。あの子、受け身だもの」

ミサト「そうね。アスカからって可能性もあるけど」

リツコ「――なんにせよ、アスカのトラウマ、解消できるかもしれないわね」

ミサト「…………」

リツコ「ミサトも資料は読んだんでしょう? 初体験がきっかけでまた変わるかもしれないわよ」

ミサト「……そうね、そう思うことにするわ」

リツコ「いずらかったら、たまにうちに遊びにいらっしゃい。寝る所ぐらいは、貸すわよ」

ミサト「そうするぅ……」

280: 2017/02/22(水) 01:23:02.13 ID:pu4UfFe80
リツコ「あぁ。それと、ミサト」

ミサト「……?」

リツコ「このことは、碇司令にも報告しておくわよ」

ミサト「いぃっ⁉︎ 大丈夫なの?」

リツコ「気にすることないわ。息子について干渉しないのはあなたもよく知ってるでしょ」

ミサト「だけど、ヤッてからとか……」

リツコ「形式上な報告だけよ。後から報告して、まずかった、なんてならないようにね」

ミサト「はぁ………」

リツコ「浅間山で言ったあの子達のことを考えるって話は忘れていいから」

ミサト「……わかったわ。でも一応、理由聞いていい?」

リツコ「エヴァとのシンクロとデータが第イチ。それ以外になにもありはしないわよ」

ミサト「わかりやすい。……りょーかい」

281: 2017/02/22(水) 02:15:09.69 ID:pu4UfFe80
返レス不要です
一応注意書いておきます

明日もたぶん暇つぶしに書くと思うんですが、内容が工口SSになると思います

合わないと思うならば明日のやつは読まない方がいいかも

285: 2017/02/22(水) 17:08:40.86 ID:pu4UfFe80
- ネルフ 本部 ??? -

リツコ「……報告は以上です」

ゲンドウ「…………」

冬月「ふぅむ……セカンドチルドレンとサードチルドレンの関係は事実なのかね?」

リツコ「はい。監督者である葛城一尉からの情報ですわ」

冬月「碇。どうする? シナリオを書き直さなばらんぞ」

リツコ「……えっ」

ゲンドウ「……シナリオの書き換えはしない。赤木博士」

リツコ「はい」

ゲンドウ「サードチルドレンを面会謝絶とし、セカンドチルドレンを近づけるな」

リツコ「し、しかし……」

ゲンドウ「葛城一尉には感染症の疑いが出たと言えばいい」

リツコ「病院関係者には?」

ゲンドウ「勤務者は我々の手の内にある」

冬月「(霧島マヤ、の父親以外はな)」

リツコ「り、了解しました。シナリオは……」

ゲンドウ「初号機の覚醒にセカンドチルドレンは不要だ」

リツコ「……はい」

冬月「(息子であろうと容赦なしか……。ユイくん、すまないな)」

ゲンドウ「……レイを呼べ」

286: 2017/02/22(水) 17:15:37.13 ID:pu4UfFe80
――――
―――

レイ「…………」


ゲンドウ「……レイ。シンジと寝ろ」


リツコ「――っ! い、碇司令!」

冬月「いいのか? 拒絶のきっかけになるかもしれんぞ」

ゲンドウ「シンジには抗生剤と偽って興奮剤を投与すればいい」

レイ「…………」

冬月「しかし、強引すぎるのではないか?」

ゲンドウ「いずれそうなるのであれば早めに対処する」

リツコ「で、ですが……っ! それはあまりに危険では!」

ゲンドウ「異議は認めない。……レイ。赤木博士からレクチャーを受けろ」

リツコ「……………」

レイ「…………はい」

冬月「(碇め、レイと覚醒させることに執着しすぎてるな)」

287: 2017/02/22(水) 17:27:44.78 ID:pu4UfFe80
- ネルフ本部 通路 -

冬月「必要なことがあればなんでも言いたまえ。根回しはできる限り万全であればいい」

リツコ「……はい」

レイ「…………」

冬月「今回の決定にいささか憮然としたものを感じるのは私も認めるよ。固執しすぎているからな」

リツコ「…………」

冬月「あれもあれで不器用な男だ。わかってやってくれとは言わないが、命令には従ってもらう」

リツコ「……了解、いたしました」

レイ「…………」

リツコ「レイ。行くわよ」

レイ「…………はい」

290: 2017/02/22(水) 19:50:56.78 ID:pu4UfFe80
- 第三新東京都市立 第壱中学校 -

アスカ「ふんふふ~ん♪」

トウジ「朝からずっとあの調子で気持ち悪いわ~」

ヒカリ「……はぁ」

ケンスケ「こっちはため息ばっかりだしなぁ~」

ヒカリ「(……アスカには言えないし、誰に相談したらいいんだろう)」

アスカ「あ! そういえばあんた達!」

トウジ&ケンスケ「な、なんや(だ)?」

アスカ「私とシンジ、付き合うことになりそうだから!」

トウジ&ケンスケ「は、はぁ⁉︎」

ヒカリ「あ、アスカ! あのっ! それはっ!」

トウジ「付き合うってシンジがそう言うたんかいな?」

ケンスケ「昨日はそんな素振りなかったはずだけど?」

アスカ「だからあんた達は鈍感なのよ! 私とシンジにしかわからない世界があるの!」

トウジ&ケンスケ「は、はぁ?」

アスカ「あぁ、はやく退院してこないかなぁ~」

ケンスケ「まぁ、付き合うなら――」

トウジ「――ワシたちはええけどなぁ?」

ヒカリ「……す、鈴原。相田くん。ちょっと、いい?」

291: 2017/02/22(水) 19:58:26.01 ID:pu4UfFe80
- 体育館裏 -

トウジ「――な、なんやとぉ⁉︎」
ケンスケ「――勘違いぃ⁉︎」

ヒカリ「そ、そうなの……」

トウジ「ど、どないなっとんねん⁉︎」

ヒカリ「私の言い方がまずかったせいで、アスカ、勘違いしちゃって」

ケンスケ「ありゃ有頂天って感じじゃないけど。天にも昇るっていうか」

ヒカリ「ど、どうしよう⁉︎ アスカに今さら言い出せないのよ!」

トウジ「けど、昨日の今日やろ? 軽い感じで言ってしまえばええんやないか?」

ヒカリ「そ、そんな話じゃないの!」

ケンスケ「けど、このままにしとくのも、なぁ?」

ヒカリ「……うん。それは、わかってるんだけど」

トウジ「ほんまのところ、シンジはなんて言うとったんや」

ヒカリ「まだ、わからないって。きっと碇くんも色々整理したいんだと思う」

ケンスケ「転校してきてまだそんなにたってないしな~」

トウジ「煮えきらんのー」

ヒカリ「し、仕方ない部分もあるわよ。アスカ、すぐ好きになっちゃったし」

292: 2017/02/22(水) 20:10:19.14 ID:pu4UfFe80
- 第壱中学校 屋上 -

アスカ「……シンジに会いたいな」



シンジ『アスカ。実は前から僕、アスカのことが……』

アスカ「(な、なによ。シンジ。どうしたの?)」

シンジ『アスカ。もう僕、我慢できないんだ……』

アスカ「(だ、だめよ。バカ。ミサトが帰ってくる)」

シンジ『だけど、アスカを見てるだけで、僕もう、こんなに……』

アスカ「(……あっ……シンジ。シンジのコレ……)」



アスカ「こぉーんなことになったりするわよねぇ~っ!」バンバンッ


マリ「――ひめぇ? トリップしてるところ悪いんだけど、ちょっといい?」ポリポリ


アスカ「う、うわぁ⁉︎」ビクゥ

293: 2017/02/22(水) 20:19:54.54 ID:pu4UfFe80
アスカ「……ゴホンッ……いつからそこに?」

マリ「発情期のメスの顔してるところからかにゃ?」

アスカ「……結局いつからなのよ」

マリ「そういう顔ってとこは否定ないんだね」

アスカ「用件を言いなさい。用件を」

マリ「……うん。なんかちょっと不穏な動きがあるからさぁ~」

アスカ「……っ! シンジになにかあるの?」

マリ「まだわかんないけど、とりあえず、あの霧島マヤって子、戦略自衛隊の子みたい」

アスカ「……どういうこと?」

マリ「有り体に言えば、スパイってやつかにゃ。ワンコくんに取り入ろうとするはずだよ」

アスカ「あいつがっ……!」

マリ「でも、ワンコくんに対して危害をくわえる理由はないから心配いらないと思うけど」

アスカ「近づくのは許せないわ」

マリ「りょ~かい。あぁ、そうそう。姫のブロマイド、一枚買っちゃったんだ」

アスカ「あぁ……なんか、出回ってるやつね」

マリ「そ。でかでかとハーフドイツ人って書いてあるけど、姫ってクォーターだよね?」

アスカ「なんであんたがそこまで知ってるのよ……シンジも知らないのに」

マリ「細かいことは気にしなぁ~いのぉ~♪」

アスカ「……帰国子女でドイツの血が混ざってるって言ってあるだけだから、ハーフだと勘違いしてるんでしょ。どうでもいい」

マリ「そっか。これ貰っとくね♪」

アスカ「女の写真なんか貰ってどうする気?」

マリ「目の保養は必要っしょ。私はワンコくんよりも姫の味方だし」

294: 2017/02/22(水) 20:31:51.41 ID:pu4UfFe80
- 放課後 学校 校門前 -

アスカ「さてと、それじゃヒカリ――」

トウジ「これから見舞いか?」

アスカ「そうよ?」

ケンスケ「僕たちも一緒にいくよ。な? 委員長」

ヒカリ「うん……」

アスカ「あんた達も暇ね」

トウジ「まぁ、シンジに話したいことがあるからのー」

アスカ「……?」

ケンスケ「まぁまぁ、それじゃ! ご一緒しましょう!」



ブロロロロッ キキーッ



トウジ「うぅーげほっ! げほっ!どこのアホンダラやっ!」

アスカ「……けほっけほっ……砂が目にはいるぅ……」


バタンッ


ミサト「アスカ……。よかった。まだ学校にいたのね。みんなも」

アスカ&トウジ&ケンスケ&ヒカリ「ミサト(さん)⁉︎」

ミサト「シンジくんの体にちょっち異常が見つかったらしいの――」

アスカ「――ど、どういうことっ⁉︎」

295: 2017/02/22(水) 20:50:11.07 ID:pu4UfFe80
- 車内 移動中 -

トウジ「感染症って大丈夫なんですか?」

ミサト「たいして心配はいらないけど、大事をとってお見舞いは控えてくれると助かるわ。といってもリツコの指示で面会謝絶だけど」

ケンスケ「火傷、やっぱりひどかったんだなぁ」

ミサト「皮膚の再生中が一番敏感らしいのよ」

アスカ「退院がのびたりするの?」

ミサト「どうかしら。少しのびるかもしれないけど、抗生剤を点滴するって話だから」

ヒカリ「……やっぱり、大変なんですね」

ミサト「そうね……。アスカもレイもそうだけど、パイロットは命をかけてるわ」

トウジ&ケンスケ&ヒカリ「…………」

アスカ「少しも会えない? 私、心配なのよ」

ミサト「シンジくんの為を思うなら、今は医師にまかせておくべきよ。心配な気持ちもわかるけど」

アスカ「…………」

ミサト「アスカ? シンジくんと両想いなんでしょ? だったら、焦ることないじゃない」

アスカ「そうね……。でも、シンジになにかあったらすぐに教えて」

トウジ「あ、あの。ミサトさん」

ヒカリ「アスカと碇くんが両想いって……」

ミサト「あぁ。アスカから聞いたわ。まぁ、いつかはこうなると思ってたし」

ケンスケ「あっちゃあ~~……」

ミサト「……?」

296: 2017/02/22(水) 20:55:40.07 ID:pu4UfFe80
ミサト「後部座席、狭いでしょ? 元々そういう車だから」

トウジ「あぁ、まぁ、大丈夫です」

ケンスケ「それより、あの~……」

アスカ「……どうしたの? あんたたち」

ヒカリ「あ、あのねっ? アスカ、あの、実は」

アスカ「ヒカリも?」

ミサト「――あ! そーだ! シンジくんが帰ってきたら、快気祝い! パーっとやりましょっか?」

アスカ「いいわね。ヒカリ達ももちろん来るでしょ?」

トウジ&ケンスケ&ヒカリ「あぁ……はい」

297: 2017/02/22(水) 21:01:09.73 ID:pu4UfFe80
- 夜 総合病院 病室 -

シンジ「はぁ……暇だな」


コンコン ガチャッ


看護師「碇さん。点滴のお時間です」

シンジ「はい、わかりました」

看護師「点滴は1時間ほどで終わりますから、終わったらナースコールを押してください」

シンジ「はい」


プスッ


ヒカリ『アスカがどんな気持ちでいるかわかる⁉︎』

シンジ「(……アスカ。今、なにしてるんだろう……)」

298: 2017/02/22(水) 21:08:26.99 ID:pu4UfFe80
- 総合病院 病室 2時間後 -

シンジ「な、なんだか、暑いな……」

シンジ「(エアコン、はついてるし。なんだこれ。なんか、内からこみあげてくるような)」

シンジ「……はぁっはぁっ……」

シンジ「……あれ、なんで…はぁっはぁっ……」

シンジ「(ナースコール押すべき、かな。でも、こんなとこ見られたら……)」


シンジ「…………っ……」


ガチャ





スタスタ


シンジ「……あっ⁉︎」

レイ「――……碇くん」

299: 2017/02/22(水) 21:16:31.34 ID:pu4UfFe80
シンジ「あ、綾波っ⁉︎」

レイ「なに、してるの?」

シンジ「あっ、これはっ、あのっ」

レイ「……苦しい?」

シンジ「……いや、大丈夫だよ……だから……」

レイ「碇くん。私、手伝ってあげる」

シンジ「え、えぇ⁉︎ いいよ!」

レイ「…………」シュルシュル

シンジ「あ、綾波……?」

レイ「…………」パサッ

シンジ「……っ!」ゴクリ

レイ「男の人は、我慢できない時があるんでしょ?」パサッ

シンジ「だ、だめだよ! 僕たちは、そんなんじゃ!」

レイ「――碇くん。見て。私、もうなにも着けてない」

シンジ「…………っ」

レイ「…………」スッ ギシギシ

シンジ「綾波! ベットにのったら」

レイ「……なに?」ゴソゴソ

シンジ「感染症が……っ⁉︎」

レイ「大丈夫。こわがらなくていい」ニギッニギ

302: 2017/02/22(水) 21:37:48.27 ID:pu4UfFe80


バターーンッ!!


マリ「ちょぉ~~~っと待ったぁぁぁっ!!!」



シンジ「………え?」

レイ「………」

マリ「ええぃっ!」タタタタッ

シンジ「だ、誰? ――うわぁ⁉︎」

マリ「――よっと!」バシュ

シンジ「いつっ⁉︎ ……な……な……(なにか、打たれた)……(意識が)……」

レイ「…………」

シンジ「あ……ぁ……」パタッ

303: 2017/02/22(水) 21:45:16.06 ID:pu4UfFe80
マリ「…………はぁ~~~。ワンコくんの貞操は間一髪セーフ!」

レイ「…………」

マリ「まぁ、一回だしてるみたいだけど、口だからノーカンってことで」

レイ「…………あなた、誰?」

マリ「……3人目の綾波レイね。私は自己紹介するほどでもないよ」

レイ「…………」

マリ「どうする? ワンコくん今日は起きないよ」

レイ「…………」ニギニギ

マリ「なにしてるの……?」

レイ「………確認」フニャァ

マリ「おおー、見かけによらずビックだねー」

レイ「……だめ」

マリ「うんうん。何事も諦めが肝心」

レイ「…………」

マリ「ゲンドウくんも無茶するなぁ。みんな道具なんだね」

レイ「…………」ギシギシ スタスタ

マリ「ちょっと! 服着なくていーのー?」

レイ「……いい。赤木博士が待ってる」ガチャ

マリ「そ。それより、これからどうしたもんかなぁ~」

304: 2017/02/22(水) 22:02:03.14 ID:pu4UfFe80
- 翌日 ネルフ本部 ??? -

冬月「失敗に終わったか」

リツコ「はい……。私も眠らされておりました、申し訳ありません」

ゲンドウ「…………」

冬月「しかし……何者だ?」

リツコ「調べておりますが、あの後すぐに姿を消したようで、いまだ……」

ゲンドウ「赤木博士。ご苦労だった」

冬月「サードチルドレンはどうする?」

ゲンドウ「……機会はまたある」

冬月「しばらく時間をおくのか? それでは、セカンドチルドレンと」

ゲンドウ「そうはならない。あの2人は引き離す」

リツコ「賛同できません……。セカンドチルドレンは精神的にサードチルドレンに依存しています。パイロットとして支障をきたすおそれが」

ゲンドウ「…………」

冬月「やれやれ、厄介なことになってしまったな」

ゲンドウ「……しばらく、様子を見る。葛城一尉のマンションに監視カメラを設置しておけ」

305: 2017/02/22(水) 22:23:00.35 ID:pu4UfFe80
- 登校中 -

アスカ「――まったく!なんでミサトはアラームかけないのよ!」タタタタッ

マリ「姫っ! ちょっとまった!」

アスカ「あっ!――っと!」キキッ

マリ「姫ってば!」

アスカ「……あん? どこ?」キョロキョロ

マリ「こっちこっちぃ~」チョイチョイ

アスカ「なんでそんな細道から……?」

マリ「そのまま喋って。尾行してたのはあっちでのびてるけど念のため」

アスカ「……なに?」

マリ「ワンコくん、わりとやばいかも」

アスカ「ど、どういうことよ⁉︎ そんなに悪いの⁉︎」

マリ「あぁ、違う違う! 体のことは嘘だったの!」

アスカ「……え?」

マリ「昨日、逆レOプされかかってたよ」

アスカ「――はぁ⁉︎」

マリ「まぁ、興奮剤投与されてるから。あのままいけばワンコくんから襲ってたんだろうけど」

アスカ「ど、どうなってるの⁉︎」

マリ「ゲンドウくんがでばってきてるのがちょっとシャレにならないのよ」

アスカ「ゲンドウくん? 碇司令? シンジのお父さん――⁉︎」

マリ「ゲンドウくんは味方じゃない。自分の息子だろうと、なんだって利用するよ」

アスカ「シンジは大丈夫なの⁉︎」

マリ「大丈夫。監視の目がきついからもう行かないと。代わりがすぐにくる――」

アスカ「……ど、どうしたらいいのよ⁉︎」

マリ「ワンコくんとはやくヤッちゃいなよ! ただし! マンションはだめ!」

アスカ「えぇ……?」

マリ「初体験なんかどーでもいいけど。姫の場合は精神安定剤っしょ!」

アスカ「そ、そーいう問題?」

マリ「それじゃ! こっちに注意引きつけとくから! また今度ね♪」

306: 2017/02/22(水) 22:39:25.93 ID:pu4UfFe80
- 総合病院 病室 -

シンジ「…………昨日の、なんだったんだろう」

シンジ「夢、なのかな」

シンジ「でも、あんな生々しい夢、見るかなぁ」


ガチャ


レイ「――……碇くん」

シンジ「あ、綾波っ⁉︎」

レイ「…………体調はどう?」

シンジ「あの、少し体がダルいけど、なんともない」

レイ「そう。抗生剤。効いたって話だから」

シンジ「そうなんだ。……あの、綾波」

レイ「なに?」

シンジ「昨日の、ことなんだけど」

レイ「…………」

シンジ「僕のとこにきた?」

レイ「…………学校、もう行かなくちゃいけないから」

シンジ「あ……。そっか」

シンジ「(夢だったのかなぁ)」

307: 2017/02/22(水) 22:55:14.69 ID:pu4UfFe80
- 第三新東京都市第壱中学校 昼休み -

アスカ「(あぁ~~~~イライラするぅ!)」

アスカ「(シンジが襲われたってどういうことよ⁉︎ 誰よ相手は!! 聞きそびれちゃったじゃない!)」

アスカ「(相手が分かればそいつ頃して海の藻屑にしてやるのに!!)」

ヒカリ「――あの、アスカ?」

アスカ「(使えないやつね。マリって言ったっけ? なんか色々含みがあるけど! 私にはシンジが全部なのよ!)」

ヒカリ「アスカ? アスカってば」

アスカ「なによっ!!」バン

ヒカリ「――ひっ⁉︎」
マナ「――わぁっ⁉︎」

アスカ「……あれ?」

ヒカリ「……あの、霧島さんも、一緒にご飯食べたいって」

アスカ「はぁ?」

マナ「あ、あのっ。だめ、ですか?」

アスカ「……ちゃあ~んす」

ヒカリ&マナ「へ……?」

アスカ「(こいつ、スパイだったわね。エヴァのパイロットじゃないし。こいつで憂さ晴らししよ。シンジに近づくメス豚はデストロイよ)」

ヒカリ「いいかな……?」

アスカ「どーぞ」

マナ「よ、よかったぁっ!」

308: 2017/02/22(水) 23:06:21.53 ID:pu4UfFe80
マナ「――うわぁ。洞木さんのお弁当すごいね! 自分で作ってるの⁉︎」

ヒカリ「ヒカリでいいよ。うん。私、お姉ちゃんと妹のもあるから。えへへ」

マナ「えらいんだねっ! おかず、取り替えっこしない⁉︎」

アスカ「…………」ジトー

ヒカリ&マナ「…………」

アスカ「はぁ。演技って疲れない?」

ヒカリ「え?」

マナ「……っ!」

アスカ「私もちょぉっと前まで演技しまくってたからあんまり人のこと言えないけど」

マナ「…………」

アスカ「――あんた、気に入らないわ」

ヒカリ「アスカ? どうしたの?」

アスカ「友達になれそうにない」

ヒカリ「ちょ、ちょっとアスカ」

マナ「……いいんです。いきなり馴れ馴れしくした私が悪いですよね」

アスカ「……はん。よくもまぁぬけぬけと。何枚舌があるの?」

マナ「……そんな、私はただ……」

アスカ「なにもかも騙せると思わないことね」

マナ「…………」グスッ

アスカ「今度は泣きの演技?」

ヒカリ「アスカっ! 言い過ぎよ!」

アスカ「ヒカリ。ちょっと黙ってて」

マナ「私、転校してきたばかりだから、仲良くなれたらと思って……」

アスカ「そうなんだー? でも無理ね。私はあんたが無理」

マナ「…………」

309: 2017/02/22(水) 23:15:18.52 ID:pu4UfFe80
アスカ「シンジに手を出したら、後悔させてやる」コショコショ

マナ「――……っ⁉︎」

アスカ「あんた、男子達に輪姦させてやるから」コショコショ

マナ「――っ!」

ヒカリ「……アスカ! よく聞こえない! なに言ってるの⁉︎」

マナ「い、いいんですっ! お邪魔しました!」ガタタッ

ヒカリ「え? でも……」

マナ「私が全部悪かったの! だから洞木さんも気にしないで!」

アスカ「(ふぅ。ちょっとスッキリした)」


タタタタッ


ヒカリ「アスカ……。今のはひどいわよ」

アスカ「ん~? そうね。ヒカリ、ごめんなさい」

ヒカリ「私じゃなくてあの子に謝らなくちゃ」

アスカ「ヒカリも嫌な気分にさせたでしょ? だから、謝ってるの」

ヒカリ「んもうっ!」

310: 2017/02/22(水) 23:32:20.26 ID:pu4UfFe80
レイ「(碇くんを守るって言ったのに)」ぼーっ

レイ「(でも、碇くん、口では嫌って言ってたけど気持ちよさそうだった)」

レイ「(守らなければいけないのは、なに?)」

レイ「(繋がること、それはとても気持ちいいことなのね)」

レイ「…………」スンスン

レイ「碇くんの、匂いがする」

314: 2017/02/22(水) 23:46:37.22 ID:pu4UfFe80
とりあえず時間的な都合で今日はここまでです
一線は超えず、ということで
シンジ「僕が?」【中編】へ続く
276: 2017/02/22(水) 00:44:01.28 ID:aBIAtVrVo
ヒカリの胃にその内あなあきそう

277: 2017/02/22(水) 00:49:56.44 ID:VT3R3PPs0
このシンジならなんとかしそうだが……
まあなんとかしたところで事態は好転しなさそうなのがまたなんとも言えんのだがね……

引用元: シンジ「僕が?」