1:◆663LzicDVs 2016/02/21(日) 09:14:32.39 ID:Gfhx4St10

2: 2016/02/21(日) 09:17:01.75 ID:Gfhx4St10
──アンツィオ高校 コロッセオ──

「ま、マジっすかペパロニさん!」

「すげー!」

「ドゥーチェがいてくれれば来年もアンツィオは安泰だぁー!」

「それで、一体どんなアイデアなんすか?」

ペパロニ「へへー、聞いて驚け。今他校で流行ってるらしいんだが、催眠音声っていう方法があるんだよ」

カルパッチョ「げほッ!?」

「さいみん……なんすかそれ?」

「チーズの種類っすか?」

ペパロニ「違う違う。あー、えっと、何だっけ。とにかく、それを聞かせれば相手は気持ちよーくなって何でも言う事を聞いてくれるようになるらしいんだなこれが」

「へぇぇー」

「何かよくわからないけどすげー」

カルパッチョ「あ、あのペパロニさんあなた、そんなの……どこで聞いたの!?///」

ペパロニ「インターネットで詳しい人が教えてくれたんすよ。たしかハンバーグさんとか言ったかな」


────某黒森峰女学園 寮の一室──

戦車道の先輩っぽい声『ゆっくり、ゆーっくりと深呼吸しろ……何も考えなくていい……おまえはもっともっと堕ちていく……もっともっと気持ちよくなれる……』

詳しい人「あ、ああ……はい、隊長ぉぉ……///」

5: 2016/02/21(日) 09:36:20.74 ID:Gfhx4St10
ペパロニ「ネットで実際の音声も買えるらしいんすけどね。やり方よく分かんないし金も無いからやめといたっす。ま、ノリと勢いで何とかなるっしょ!」

「おおーっ!」

「サイミン何とかをドゥーチェに聞かせて卒業をやめてもらえばいいんすね!」

カルパッチョ「な、何か細かいとこは誰も理解してないみたいで良かったけど……って、そういう問題じゃなくて!」

カルパッチョ「みんな落ち着いてください。卒業を阻止するだなんて、ドゥーチェが困るじゃない」

「困る……かなぁ?」

「何が困るの?」

「学校楽しいし、全然問題ないよなぁー?」

ペパロニ「そうそう、きっと姐さんも卒業したくないって思ってるハズっす!」

カルパッチョ「いやいやいや……高校留年とかさすがにナシだと思うわ」

カルパッチョ「みんな、ドゥーチェの将来に傷がついてもいいっていうの?」

ペパロニ「姐さんの、将来……?」

「難しい問題っぽいっすね」

「考えてたら何かお腹減ってきた」

「おやつの時間まだー?」

ペパロニ「むむむむむ……」

ペパロニ「……わかったっす」コクリ

カルパッチョ「良かったわ、わかってもらえて」ホッ

ペパロニ「先の事なんて自分の頭じゃ考えてもよくわかんねーってことがわかったっす」

カルパッチョ「は?」

6: 2016/02/21(日) 09:43:58.04 ID:Gfhx4St10
ペパロニ「とりあえず今ドゥーチェが一緒にいてくれるんなら、将来とかそんなのどーでもいいっす。そーだろてめーら!」

「おおーっ!」

「そうだそうだぁー!」

「ドゥーチェ!ドゥーチェ!」

「卒業!反対!」

「留年!留年!」

ウォォォォォ…!

カルパッチョ「うわぁ……」

カルパッチョ(これはマズいわ。この勢いでみんなに迫られたら、優しいドゥーチェのことだから押し切られちゃう可能性も……)

カルパッチョ(確か今日のドゥーチェの予定は……進学準備で上陸中、帰艦時間は遅くなるはずだったわね)

カルパッチョ(今のうちに警告のメールを……)

ペパロニ「ちょっと待つっす。今ケータイで何をしようとしたっすか」ガシッ

カルパッチョ「ひっ!?」ビクッ

ペパロニ「まさか姐さんにこっそり連絡取るつもりだったんじゃ……」ギロリ

カルパッチョ「いえ、あの……(うそ、ペパロニさんのくせにやけに鋭い……!?)」

ペパロニ「さては、先に催眠音声を試すつもりだったっすね?ズルいっす!姐さんに言うことを聞いてもらうのはこのペパロニの役目っすよ!」

カルパッチョ(あっ、でもやっぱり何かズレてたわ)

7: 2016/02/21(日) 10:00:31.75 ID:Gfhx4St10
ペパロニ「どーもさっきから言動がアヤしいっすねぇ……」ジトーッ

カルパッチョ「ご、誤解です!私はただ、もうちょっとだけでも先の事も考えた方がいいんじゃないかなって」

ペパロニ「ほー、じゃあカルパッチョはアンチョビ姐さんがいなくなっても寂しくないんすか。どーでもいいっていうんすか」

カルパッチョ「そ、そんなことはないわ!ドゥーチェを大切に思う気持ちは私だってみんなと同じです」

ペパロニ「本当に?誰よりもアンチョビ姐さんのことを大切に思ってると誓えるっすか?」

カルパッチョ「誓えます!」

ペパロニ「そんなら、その証拠にこれを踏んでみせてもらいたいっす」パサッ

カルパッチョ「!?」

カルパッチョ(こ、これは……たかちゃ、カエサルの全身写真入りのA1サイズタペストリー!全国大会優勝記念に大洗で発売されたけど印刷枚数が少なくてすぐに売り切れになってしまった幻の品……まさかこんなところで出会うなんて……!)

ペパロニ「ドゥーチェのことが誰よりも大事なら、他校の生徒の写真を踏むぐらいなんてことないっすよねぇ?」

カルパッチョ「踏み絵!?」

8: 2016/02/21(日) 10:13:57.03 ID:Gfhx4St10
ペパロニ「まさか、できないっていうんすか?」

(カルパッチョ姐さん、最近よく大洗に入り浸ってるけど……)

(向こうの風紀委員に目ぇつけられてるって噂も……)

(踏めないってことは、やっぱそういうことなのかなぁ……)

(きゃーっ♡)

カルパッチョ「あ、あうう……///」

ペパロニ「……」ジトーッ

カルパッチョ(冷静になるのよ私。ここはみんなに合わせておかないと、ドゥーチェに連絡ができなくなってしまうわ)

カルパッチョ(ああでもでも、こんな格好良くて可愛いカエサルをふ、踏みつけにするだなんて……あっ、でも想像してみたらちょっとイイかも……///)

カエサル(幻聴)『ひなちゃん……私を踏むの……?』

カルパッチョ(!?)

9: 2016/02/21(日) 10:19:36.54 ID:Gfhx4St10
カエサル(幻聴)『いいよ……ひなちゃんのためだったら、それぐらいなんてことない』

カエサル(幻聴)『さあ、やっちゃって……靴のままでグリグリと、私を踏んづけて貶めて……!』

カルパッチョ(た、たかちゃんっ……!)

カルパッチョ「う、うううっ……!」

カルパッチョ「できない!やっぱりそんなこと、私にはできませんっ!」ガクッ

ペパロニ「!」

カルパッチョ「これは私の部屋に飾って家宝にしますっ!」ギュウウウ

ペパロニ「まあ好きにすればいいっすけど……どうやら裏切者が見つかったようっすね」

「裏切者?」

「スパイか!?」

「ていうか百合だ!」

「それもガチなヤツだ!」

カルパッチョ「ち、違うわ、そんなんじゃないですから!……いや、後半は間違ってないですけど………///」

ペパロニ「とにかくアンチョビ姐さんに卒業をやめてもらうまで、身柄は拘束させてもらうっす。連れてけおめーら!」

「ベーネッ!」ガシッ

「すんませんカルパッチョ姐さん!失礼します!」ガシッ

ズルズル…

カルパッチョ(た、たかちゃん……!)

10: 2016/02/21(日) 10:32:38.04 ID:Gfhx4St10
──大洗学園艦、古民家──

ピキーンッ!

カエサル「ひなちゃんっ!?」ザッ!

おりょう「いきなり立ち上がってどうしたぜよ?」

左衛門佐「敵襲か?」

カエサル「おかしい……ひなちゃんからLINEの返事がないんだ、もう2時間も!」

エルヴィン「まあ落ち着け。何か他の用事があるんだろ」

おりょう「全く、ちょっと連絡が無いぐらいで束縛の強い女ぜよ……」

カエサル「ち、違う!/// ひなちゃ……カルパッチョは約束した時間に遅れたことなんて一度もないんだ!少なくとも用事が入ったら一言ぐらいは連絡くれるはず」

カエサル「それに、ちょうど近くに寄港してるからって今日は会いに来てくれる予定だったのに……やっぱりおかしい!」

左衛門佐(本当にちょいちょい会いに来てるよな)

おりょう(通い妻ぜよ)

エルヴィン(そのくせこの家にはめったに連れてこないってことはいつもどこに行ってるやら)

カエサル「それだけじゃない、さっきからGPS表示の反応が無い。まさか、誰かに電源切られたんじゃ……!」

エルヴィン(もしかしてお互いの携帯の位置表示、ONにしてるのか……)

左衛門佐(常に相手に居場所が筒抜けでも構わないとは、剛毅な奴だな……)

おりょう(束縛の強い女同士ぜよ)

11: 2016/02/21(日) 10:45:10.23 ID:Gfhx4St10
カエサル「……様子を確かめに行く」ザッ

エルヴィン「アンツィオに乗り込む気か?」

カエサル「止めるな。カルパッチョの身に危険が迫ってるかもしれないのなら、行かないわけにはいかない……賽は投げられたんだ」キッ

左衛門佐「別に止める気はないが……敵城に乗り込むというのなら忍道を極めた私の助太刀が必要だろ」ニヤリ

おりょう「去年履修してただけぜよ……とはいえ、甲鉄艦乗っ取りか!腕が鳴る」

カエサル「おまえら、一緒に来てくれるのか……!?」

おりょう「大胆は大将の美徳、じゃ。付き合ってやるぜよ」

左衛門佐「いざ、出陣じゃー!」

ウォォォ!

エルヴィン「まあまあ待て待てちょっとだけ待て。今、潜入諜報のスペシャリストを呼んでるから」

カエサルおりょう左衛門佐「スペシャリスト……?」

14: 2016/02/21(日) 21:28:38.56 ID:tngGKN1o0
──夜 アンツィオ校学園艦──

優花里「不肖私秋山優花里、再びアンツィオ校にやってまいりました!今回はカバさんチームと一緒であります♪」

エルヴィン「さすがだグデーリアン。協力を感謝する」

優花里「いえいえ、でもコンビニ船の運航時間の関係で時間が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした……」

おりょう「いや、冷静に考えたら、左衛門佐の忍び道具で潜入してたら命がいくつあっても足りなかったぜよ。助かった」

左衛門佐「風情と言うもののわからん奴だな……まあ、最近グデーリアンはやけに付き合い悪かったから、丁度良かったか」

優花里「その、すみません……いろいろとスケジュール管理が厳しくて、ですね……あの、今日皆さんとご一緒してたことも、できればご内密に」

カエサル「それより、カルパッチョはどこにいるんだ!?」

優花里「慌てないでくださいカエサル殿。まずは情報収集であります、こちらのアンツィオの制服に着替えてください」

ゴソゴソ

エルヴィン「うーむ、やっぱりジャケットがないと落ち着かないな……軍帽はかぶっててもいいか?」

左衛門佐「六文銭頭巾も」

おりょう「脇差は?」

優花里「ええと、皆さんその装備だと全然イタリアっぽくなくなっちゃいますので、できれば我慢していただけると……」

15: 2016/02/21(日) 21:30:45.22 ID:tngGKN1o0
──アンツィオ寮内、アンチョビの部屋の前──

ペパロニ「ドゥーチェはもう帰ってきて寝てる頃っすよね……おめーら、マスターキーは借りてきたか?」コソコソ

「「はい姐さん、バッチリっす!」」チャリッ

ペパロニ「よし、それじゃあ行くぞ……アヴァンティ……!」

「あっちょっと待ってくださいペパロニさん」

ペパロニ「な、何だよこれからって時に」

「なんかこれ……夜這いっぽくないっすか?」

ペパロニ「はぁ?……夜這いぃ!?)

ペパロニ「……夜這いってなんだ?」

「私たちもよくは知らないっすけど、女の人が女の人の寝込みを襲ってその……チョメチョメすることを言うらしいっす///」

ペパロニ「ちょ、チョメチョメってなんだよ……も、もしかして、エOチなことか!?///」

「た、多分……///」

「ていうか、エOチなことしようとしてるなんて勘違いされたら……ドゥーチェに怒られるんじゃ?」

「それどころか嫌われるかも」

「ええーっ、そんなのイヤなんすけど」

「……やめよっか?」

「うんやめとこう!」

「そうしよう!」

「「それじゃあ私たち帰りますんで!後はよろしくお願いしますペパロニ姐さん!」」

 タタタタッ…

ペパロニ「あっ、おいてめーら逃げるなー!」

 シーン…

ペパロニ(何だよもう、結局私一人かよ残ったの……)

ペパロニ(ていうかあいつらが変なこと言うから、何か入りづらくなっちまったじゃねーか……///)

ペパロニ(っていやいや、そんな、姐さんにエOチなこととか……するわけじゃねーし!ただちょっと、催眠音声するだけだし!)

ペパロニ「ごほん。と、いうわけで……失礼するっすよー……」ガチャリ…

16: 2016/02/21(日) 21:33:10.90 ID:tngGKN1o0
グー…グー…

ペパロニ(よく寝てるみたいっすね……ちょうどいいっす)

ペパロニ(そういえば……アンチョビ姐さんの寝顔見るのとか……初めてかもしれないっすね)

ドクン…

ペパロニ(な、何だ?そう思ったら急にドキドキしてきたけど……どうしたんだ、コレ?///」

ペパロニ(と、とにかく落ち着け自分……!それより、催眠音声ってここからどうやるんだったっけ……ええと、とにかく姐さんを起こし……て……」

ペパロニ「って、あれっ!?誰だこの人!?」ガーン!

アンチョビ「んんー……?何だぁ……?」

ペパロニ「だ、誰なんすかアンタは?いつのまにドゥーチェの部屋に入り込んだんすか!?」

アンチョビ「何だよぅ、いきなり……その声は……ペパロニか?メガネがないとよく見えん……」カチャリ

ペパロニ「うわ、何なんすかその分厚い瓶底メガネは?アンタホントに誰だ!アンチョビ姐さんをどこへやった!?」

アンチョビ「はぁ!いきなり何言ってんだよ私がアンチョビだよ!よく見ろ!」

ペパロニ「いや、アンチョビ姐さんはそんなメガネかけてねーし、後髪もぼさぼさになってて全然違うし」

アンチョビ「いつもはコンタクトにしてんの!それに寝てる間まで縦巻きロールばっちり維持できるわけないだろ、アホかっ!声で分かれよ声で!」

ペパロニ「あ、そういや声と……あと、確かに匂いも同じかも……ていうか姐さんいつもいい匂いがするっすけど、これってシャンプーのですか?」スンスン

アンチョビ「や、やめろバカそんなにくっついて嗅ぐなぁ……!///」

17: 2016/02/21(日) 21:34:31.60 ID:tngGKN1o0
ペパロニ「いやー、それにしても姐さんが近眼とは知らなかったっす。全然分かんないもんっすねー」アハハ

アンチョビ「おまえの目が節穴すぎなんだよ……言っとくけどカルパッチョはとっくに気づいてたからな」

ペパロニ「マジっすか!?」

アンチョビ「んで?こんな夜中に何しに来たんだよ」

ペパロニ「えっと……何だったかなぁ……あれ?びっくりした拍子に忘れちゃったっす」

アンチョビ「うぉい」

ペパロニ「まあいいや、何か私も眠くなっちゃったんで隣失礼してもいいっすかー」モゾモゾ

アンチョビ「全然どこも良くないよ!何なんだよ一体、狭いんだから無理矢理入ってくるんじゃ……あっバカどこ触ってんだ……やめっ……!///」

ペパロニ「いやー姐さんの隣だと安心するっすねー……むにゃ……」Zzz…

アンチョビ「どんだけ寝つきいいんだよ!起きろ!何の用事だったのか説明しろよ気になるだろ!」

ペパロニ「んにゃ……姐さん寝起きの割にテンション高いっすねぇ……」

アンチョビ「そのテンションからいきなり寝れるおまえの方がおかしいからな」

ペパロニ「えっとぉ……確か……」

20: 2016/02/22(月) 03:37:35.87 ID:BzKGQcIZ0
──地下──

カルパッチョ「困ったわね……閉じ込められた部屋は1LDKトイレバス付テレビ付きでご飯も出てくるからつらいことはないけど、カエサルに連絡取れないのが……」

カエサル「ひなちゃんっ!」

カルパッチョ「たかちゃん……!?」

カエサル「良かった、心配したよ……ひどいことされたりしてない?」

カルパッチョ「私は大丈夫!でも、たかちゃんはどうしてここに?」

カエサル「そんなの、ひなちゃんのことが心配だったからに決まってるじゃない。でも良かった、無事で」ニコ

カルパッチョ「たかちゃんっ……///」トゥンク♡

左衛門佐「しかし拍子抜けするぐらい簡単に潜入できたな」

優花里「今鍵開けますので待っててくださいね……!」ガチャガチャ

おりょう「大洗の生徒だと気づかないどころか、閉じ込めた場所教えた上に鍵まで貸してくれるとか、展開が都合良すぎだったぜよ」

エルヴィン「我々が言うのもなんだが、アンツィオのセキュリティは大丈夫か?」

カルパッチョ「それはええと……面目次第もないです……///」

21: 2016/02/22(月) 03:41:22.17 ID:BzKGQcIZ0
カチャリ バタンッ

カルパッチョ「たかちゃんっ……!」ガバッ 

カエサル「わわっ!?ひ、ひなちゃじゃなかったカルパッチョ、その、みんな見てるから……///」

カルパッチョ「危険もかまわずに助けに来てくれるなんて、たかちゃん王子様みたい……もう好き!大好き!」ギュウウッ

チュッ…チュッチュッ♡

カエサル「だからダメだってば……んんっ……///」


左衛門佐「ヒューヒュー(棒)」

エルヴィン「またカエサルたちの知られざる姿を発見してしまったな……」

優花里「うわわ……あの、お二人はそういうご関係で……?///」

エルヴィン「ヘプバーンとグレゴリー・ペックというところだな」

左衛門佐「鶴姫と安成だろう」

おりょう「いや、ここは竜馬とおりょうしかないぜよ」

エルヴィン左衛門佐「「それだっ!」」

優花里「あの、全部悲恋モノですよね……?」

22: 2016/02/22(月) 03:45:19.25 ID:BzKGQcIZ0
カツーン… カツーン…


カバ優花里カルパッチョ「!?」

「フフンフーン……♪」

エルヴィン「マズいぞ、見張りだ!」

おりょう「こっちに向かってくるぜよ」

優花里「すすすみません!あまりにも警備がザルだったのでかえって巡回パターンが読めませんでした……!」

カルパッチョ「何だかこっちこそすみません……」

おりょう「寺田屋襲撃か……くっ、ぴすとるを持って来ればよかったぜよ」

左衛門佐「ここは任せろ……捨てがまりでござる!」チャキッ

エルヴィン「いやむしろ機動防御をだな……!」

優花里「あわわ、待ってください!他校の生徒を攻撃したりしたら問題になっちゃいますよぉ……」

エルヴィン「しかしもう逃げ道が……」

カツーン… カツーン…

カルパッチョ「ど、どうしよう……もうここは私が囮になるぐらいしか……!」

カエサル「大丈夫、心配しないで」

カルパッチョ「たかちゃん……?」

カエサル「門佐!納涼大会のときの……あの技、できるか?」

おりょう「あの技?」

エルヴィン「そうか、あれか……確かにこの暗さならいけそうだな!懐中電灯もあるし」

左衛門佐「なるほど……承知っ……!」

23: 2016/02/22(月) 03:49:43.87 ID:BzKGQcIZ0
──アンチョビ自室──


ペパロニ「そうそう思い出した、催眠音声!姐さんに催眠音声を聞いてもらいたいんっすよ!」

アンチョビ「ぶはっ!?」

ペパロニ「というわけで準備してきたんで聞いてもらっていいっすか」

アンチョビ「なっ……やっ、おまえ……///」

アンチョビ「こ、こんな夜中に押しかけてきていきなりそんなの聞かせにかかるとか……どういう性癖の持ち主なんだよ!///」

アンチョビ「もうちょっと普通の手順を踏めよ!さ、さすがに心の準備が間に合わないだろ……!///」

アンチョビ「大体ああいうのはだな、ドハマリしたりするともう戻れないとか聞くぞ、悪いことは言わないからやめとけ」


◇◇◇

戦車道の先輩の妹っぽい声『まだ、まーだダメですよぉ?ゆっくりカウントしますからね……10……9……』

ドハマリしすぎて戻れなくなった人「ああ、ふわぁ……も、元副隊長ぉ、早くぅ……///」ガクガク

◇◇◇

24: 2016/02/22(月) 04:29:57.51 ID:BzKGQcIZ0
ペパロニ「というわけでこの5万リラを見てほしいっす」

アンチョビ「糸に吊るした5円玉な……ってあれ?」

ユーラユーラ…

ペパロニ「姐さんはだんだん眠くなーる……」

アンチョビ「……」

ペパロニ「そんでもって姐さんはだんだん卒業したくなくなーる……」

アンチョビ「……あのさ」

アンチョビ「これ、ただの催眠術じゃないか?」

ペパロニ「え?何か違うんすか?」

アンチョビ「だいぶ違うぞ……大体そんな雑な催眠術にかかるわけないだろ、いくらなんでも」

ペパロニ「んなバカな!うちらでお互いに試した時は成功率100%だったのに!」

アンチョビ「おまえらの頭が単純すぎるだけだよ!心配になってくるなぁ、もう……」

25: 2016/02/22(月) 04:34:29.61 ID:BzKGQcIZ0
ペパロニ「そ、そんなの困るっす……そこをまげて何とかかかってくださいよぉ、姐さん!」

アンチョビ「んなこと言われても」

ペパロニ「あ、じゃあこの50万リラに変えるっすから!これでどうっすか!」ユーラユーラ

アンチョビ「値段の問題じゃないから」

ペパロニ「姐さんひどいっす……そんなにまでして卒業したいんっすかぁ……」グスッ

アンチョビ「そりゃあ普通にしたいよ!……っておまえ、何で泣いてんだよ……」

ペパロニ「イヤっすよぉ……アンチョビ姐さんがいないアンツィオなんて……私……」

アンチョビ「おまえは、本当にアホだなぁ……」ナデナデ

ペパロニ「だって、寂しいんすよ……姐さんが進学準備とかでときどきいないだけで……毎日会えないだけで、もうすごく寂しくって……」

ペパロニ「卒業なんて絶対に耐えられないっす……もっと一緒にいてくださいよぉ……」ギュウウ

アンチョビ「しっかりしろよ、もう……次のドゥーチェになる人間ががそんな情けないことでどうすんだよ……」

ペパロニ「ドゥーチェは……自分のドゥーチェは、これからもずっと、アンチョビ姐さん一人だけっす!」

ペパロニ「私、アホっすから……みんなをまとめる役目なんて、できっこないっす。姐さんがいてくれなきゃ……私なんて……!」

アンチョビ「……」

アンチョビ(どうしたもんかなぁ……)


──ギ、ギ、ギィヤァァァーッ!


アンチョビ「ひっ!?ななな何だぁ?」ビクーッ

ペパロニ「誰かの断末魔みてーな悲鳴が……!?」

28: 2016/02/22(月) 22:17:43.32 ID:Gg2tGVex0
──少し前の地下──

モブ「フフンフーン……♪」

モブ「しっかしカルパッチョさんを閉じ込めたりして後で怒られないっすかねー」

モブ「ま、怒られるのはぺパロニさんだけだろーからいっか……ん?」

ズル…ズルルッ…

モブ(な……なんだ?廊下を何かが……)

ズルズルルーッ…ペタッペタッペタッ…!

モブ(這いずりながらどんどん近づいてくる……?)

ブワッ!(謎の物体が立ち上がった音)

モブ「ひぃ!?だだっだだ誰だっ!?」

カチリ(懐中電灯が下から顔を照らした音)

──わしの首を獲ったのはぁ……誰じゃぁぁ……!

モブ「ギ、ギ……ギィヤァァァーッッ!」

29: 2016/02/22(月) 22:20:01.34 ID:Gg2tGVex0
──寮の中──

「で、出たぁぁぁーっ!!」

「えっ何が出たの?」

「オバケが……落ち武者がぁぁーっ!」

「なになに?オバケ!?」

「ヤバくない?」

「とりあえず逃げよー!」

「でもどこに逃げんの?」

「ちょっとちょっと押さないでよ!」

「そっちこそ!」

「なんだと?やるかぁ!?」

「おっ何すか何すか?」

「カチコミらしいよ?」

「面白そう!」

「だから押すなって……!」

ドタバタ ギャーギャー……

アンチョビ「な、何だよこの騒ぎは……」ポカーン

アンチョビ「あっバカ、階段で押し合うなよ、落ちたりしたらどうする……!」

アンチョビ「こらそこ、ケンカすんな!っておい、聞けってば……!」

ドッタンバッタン! ギャースッ!

アンチョビ(そ、そうか、この恰好だとドゥーチェだって気づいてもらえないのか)

アンチョビ(部屋に戻ってコンタクト付けて、髪の毛セットしないと……ってそんなことしてる間にケガ人が出たりしたら……)

30: 2016/02/22(月) 22:22:59.08 ID:Gg2tGVex0
ペパロニ「はいはいみんな落ち着くっすよー、何騒いでんすか」パンパン

アンチョビ(ペパロニ……?)

「あっペパロニさん!オバケが!オバケが出たんすよ!」

ペパロニ「オバケぇ?何言ってんすか」

ペパロニ「イタリアにはオバケなんていない、ポヴェーリア島以外にはな。これ常識っすよ?」

「そう……なの?」

「知らなかったー」

「そもそもここ日本じゃなかったっけ」

「半分イタリアみたいなもんじゃないの?」

ペパロニ「それからケンカもやめないと明日のおやつ抜きにするっすよー」

「す、すんませんでしたっ!」

「それだけはご勘弁を!」

アンチョビ(……)

31: 2016/02/22(月) 22:48:54.30 ID:Gg2tGVex0
バタバタ

カルパッチョ「あの、そのオバケ騒ぎのことなんだけど……」

カエサル「ごめん!その正体は私たちなんだ」

左衛門佐「本当にすまん……アンツィオの諸君がここまで腰抜……もとい根性無……もとい感受性豊かとは思わなかったもので」

ペパロニ「あっ、カルパッチョ……それに、大洗の……?」



優花里「カエサル殿が状況説明をされてます……あはは、全部バレてしまって、潜入失敗でありますね……」

エルヴィン「これは、収容所一直線コースか?」

おりょう「というか安政の大獄ぜよ……」

左衛門佐エルヴィン「「それだ!」」

ペパロニ「何言ってんすか、ウチの流儀をまだまだ分かってないみたいっすねー」チッチッ

カエサル「……?」

ペパロニ「おめーら!お客人を迎えたら、アンツィオではどうするんだ?」

「宴だ!」

「宴会だ!」

「お祭り騒ぎだぁー!」

ペパロニ「窯を焚け!湯を沸かせー!」

「「おーっ!!」」

32: 2016/02/22(月) 22:49:49.70 ID:Gg2tGVex0
ワイワイ…

ペパロニ「その……悪かったっすね、閉じ込めたりして……」コソッ

カルパッチョ「いいのよ、ペパロニさんの気持ち、よく分かるもの」

カルパッチョ「私だって寂しいんだから……」

ペパロニ「カルパッチョ……」

カルパッチョ「でもドゥーチェを心配させないように……力を合わせていきましょう?これからは」

ペパロニ「……ああ、よろしくお願いするっす!」


アンチョビ(なんだよ、あんな情けないこと言っといて、ペパロニのやつ……ちゃんとやれるんじゃないか)

アンチョビ(これなら……心配はいらないかな)

33: 2016/02/22(月) 22:57:09.39 ID:Gg2tGVex0
──翌日──

杏「やーやーチョビ子、うちの生徒が迷惑かけたみたいで悪いねー、引き取りに来たよん」フリフリ

アンチョビ「いやまあ、それはお互いさまだからいいんだが……とりあえずチョビ子って呼ぶのはやめろ!」

おりょう「朝方まで宴会だったから眠いぜよ……ふぁーあ」

左衛門佐「アンツィオの奴らのノリと勢いは脅威だな……」



カルパッチョ「たかちゃん……もうお別れなんて寂しい」

カエサル「大丈夫、またすぐ会いに来るから」

カルパッチョ「本当に?約束だよ……あ、それからね?一つお願いがあるの」

カエサル「何々、なんでも言ってよ」

カルパッチョ「えっと……その……やっぱり秘密!また今度にする///」

カエサル「なんだよー気になるなー」

ウフフフフ…♡

カルパッチョ(今度は本物のたかちゃんを踏んでみたい……なんて言ったら、たかちゃん、どんな顔するかしら///)

カエサル「?」

エルヴィン(何か傍で見ていて空恐ろしいモノを感じるが……口を挟むことじゃないか)

エルヴィン(自分の人生は自分で演出するんだな、カエサル……)

34: 2016/02/22(月) 23:03:02.91 ID:Gg2tGVex0
みほ「優花里さん」

優花里「あ、あの……にっ西住殿、その、この度は申し訳……」ブルブル

みほ「私昨日の夜、すっごく心配しちゃった」ニコ

みほ「私と一緒にいない時は、必ず1時間ごとに連絡してくれるって、約束してたよね。何で破ったのかな……?」

優花里「もも申し訳ありませんっ!潜入に気を取られて……その後は宴会で盛り上がってしまって……つい定時連絡を失念してしまい……」

エルヴィン(い、1時間ごとだと!?確かグデーリアン、実家住みだったよな……それなのに連絡させられてるのか……)

おりょう(束縛が強いどころじゃない女が身近にいたぜよ……)

左衛門佐(それより寝る時間が無くないか?)

みほ「ふぅん……言い訳、しちゃうんだ?本当は自分は悪くない、って思ってるのかな?」

優花里「ひぃっ!そそそんなことは!ほ、ほ、本っ当に!申し訳ございませんでしたぁぁ!」ペコリ!

みほ「……」

優花里「あ、あの……西住、殿……?」

みほ「私そんな謝り方、教えてないよね。もうやり方忘れちゃったの?」

優花里「ふぇっ!?ま、まさか……アレをやれと、おっしゃるので……すか?///」

みほ「……」

優花里「いやっ、あの……今は昼間ですし……み、皆さんが見てますし……!///」

みほ「だから?」

優花里「」

35: 2016/02/22(月) 23:37:10.58 ID:Gg2tGVex0
クーンクーン… キャウン!キャウン!

アンチョビ「なあ、一つ聞いていいか角谷」

杏「んー?何ー?」ホシイモモグモグ

アンチョビ「何でおまえのとこの隊長は、装填手の子に下着姿で犬耳としっぽ着けさせて、足元に侍らせてるんだ?///」

ペパロニ「お、大洗って……めっちゃ進んでるんっすね……さすが優勝するだけあるっす……///」

アンチョビ「絶対見習うなよ」

ペパロニ「やっぱアレっすか!アレも、催眠音声の力ってヤツっすか?」

杏「うんにゃ。あれは完全に素面らしいよー。催眠とかしちゃって理性飛ばしちゃったら謝罪の意味がないからってさ」

カルパッチョ「あっ……靴下脱いで、足舐めさせてる……スゴイです……///」

アンチョビ「……///」

ペパロニ「……///」

カバさんチーム「……///」

アンツィオモブ一同「……///」


優花里「ぺろ……ぺろ……///」

みほ「んっ……いいよ、優花里さん……その恥ずかしそうな表情、すごくいいです」ゾクゾク♡

優花里「に、西住殿ぉ……み、皆さんにめちゃめちゃ見られちゃってます……もう許してくださいぃ……///」プルプル

みほ「……」

優花里「わ……わんわんっ!……ぺろぺろ……///」

みほ「あは、どうしても私に逆らえないわんちゃんな優花里さん、とっても可愛い♡」ナデナデワシャワシャ


──その頃の某黒森峰の寮一室──

戦車道の姉っぽい声(左耳)『どうした、そんなだらしない顔をして……もしかして、もう限界なのか?それならそろそろ……』

戦車道の妹っぽい声(右耳)『あはは、人には見せられないね、そんなエOチな顔♡それじゃあそろそろ……』

(両耳)『3,2,1…………ゼロッ──』

催眠とかしちゃって理性飛ばしちゃった人「あっ……あへぇぇぇぇっ……!み、みほぉ、隊長ぉ……♡///」ビクンビクン!

36: 2016/02/23(火) 00:28:18.25 ID:y3+SlF6no
西住流怖いお…

37: 2016/02/23(火) 00:31:18.68 ID:BIWQ1Vdm0
杏「おーいチョビ子ー、もうすぐ連絡船出るってさー」

アンチョビ「わかった、すぐ行く……ってだからチョビ子って呼ぶな!」

ペパロニ「姐さん、次帰ってくるのはいつっすか?」

アンチョビ「……」

ペパロニ「姐さん?」

アンチョビ「……もう帰らない。卒業式の日までな」

ペパロニ「……え?」

アンチョビ「部屋の荷物も全部、進学先に送る手はずを付けてある」

ペパロニ「え?え……そん、な……」

アンチョビ「最後に残していけるのは、これだけだ」バサッ

フワリ…

ペパロニ「これは……ドゥーチェのマント……」

アンチョビ「今日からは、おまえが──貴女が、アンツィオの総統。誇り高きドゥーチェ」

アンチョビ「あいつらを……アンツィオの生徒たちを、どうか守って、導いてやってください。頼みます」

ペパロニ「そんなの……そんなの、嫌っすよぉ……私みたいなアホには務まらないって、言ったじゃないっすかぁ……」

ペパロニ「行かないで、アンチョビ姐さぁん……!」ボロボロ

アンチョビ「バカ、泣くなよ……ドゥーチェたるもの、絶対に人前で涙を見せたりしちゃダメなんだぞっ……」

ペパロニ「姐さんだって、泣いてるじゃないっすか……」

アンチョビ「私は、もういいんだよっ……もう私は、ドゥーチェじゃない。ただのアンチョビなんだから……」ポロポロ

38: 2016/02/23(火) 00:35:23.81 ID:BIWQ1Vdm0
ペパロニ「ううっ……ふぇぇぇっ……ぐすっ……」

アンチョビ「これぐらいのことで大泣きすんなっての……ほら、涙拭け」

ペパロニ「はいいっ……」グシグシ

アンチョビ「しょうがないなぁ……じゃあ最後に私が掛けてやるよ。催眠音声ってやつ」

ペパロニ「えっ……姐さん、そんなのできるんすか?」

アンチョビ「私を信じろって。いいか……まずはゆっくり深呼吸するんだ。リラックスしろ」

ペパロニ「はい……すぅーっ……はぁーっ……」

アンチョビ「心を落ち着けて、私の声に身を任せろ」

ペパロニ「はい……」




(おまえは強い。たとえアホでもたくましくて、広い心を持ってる)

(私が……アンチョビがいなくなっても、寂しくなんかならない)

(だから、もう泣く必要なんてないんだ)

(カルパッチョとはケンカするな。あいつの知恵を借りて、うまくやれ)

(かなうのならば……私にできなかった夢を成し遂げてくれ)

(アンツィオは弱くない、じゃなくて強いってことを、世に知らしめてやれ)

(私は、おまえが好きだよ。バカで素直で、どんな時も明るくって……こんな力の足りないドゥーチェのことを慕ってくれた、おまえのことが)

(全国大会が終わったら、また会いに来るから。それまで、元気で……)

(さよなら、ペパロニ──)

39: 2016/02/23(火) 00:36:56.33 ID:BIWQ1Vdm0
──ペパロニのこと、頼んだぞ

──はい。寂しくなりますね……

──おまえまで泣くなっての

──お元気で、ドゥーチェ……じゃなかった、ええと……元ドゥーチェ?

──あはは、私はもう……ただのアンチョビだよっ。

──それではお別れだ、我が愛しのアンツィオよ!

──まだ、卒業式ありますけどね……


ペパロニ(夢うつつにアンチョビ姐さんとカルパッチョの声を聞いてたような気がするけれど)

ペパロニ(私が目を覚ました時には、連絡船はもうとっくに、港の奥へと姿を消していた)

40: 2016/02/23(火) 01:10:50.35 ID:BIWQ1Vdm0
──数カ月後──

ドォォォン…シュパッ…

「──高校の、勝利!」

ワァァァァァ…


パカッ ボロッ…

ペパロニ「やれやれ、負けちまったっすか……」

「悔しいっす、ドゥーチェ!あと一息で決勝進出だったのに……!」

「私たちが、もっとうまくやれてれば……すんません、ドゥーチェ……」

ペパロニ「うまくやろうなんて、思わなくっていいんだって」

ペパロニ「アンツィオの流儀は、ノリと勢い!それにおつむとちょっぴりの火力が加われば、次はもっと上に行ける……楽しみが残ったと思いなっての」

ペパロニ「来年こそは決勝進出、頼んだぜ!」

「「は……はいっ!」」

41: 2016/02/23(火) 01:11:49.77 ID:BIWQ1Vdm0
カルパッチョ「ペパロニさん、お疲れさま」ニコッ

ペパロニ「カルパッチョもお疲れっす!」ビシ

カルパッチョ「アンツィオ悲願のベスト4入りって聞いたら、きっとあの方も喜んでくれるわね」ニコッ

ペパロニ「……!」

ペパロニ(確かに私は基本、アホな人間っす。それは自他ともに認めてる)

ペパロニ(それでもここまでアホだとはさすがに思わなかった)

ペパロニ(戦車道の大会が終わったってことは……終わったってことは……!)

ペパロニ(私は隣のクルーから奪い取った双眼鏡で、観客席を見回す)

ペパロニ(忘れるはずもない、ウィッグと見間違えるぐらいのド派手なドリルツインテール)

ペパロニ(それを見つけた瞬間、私は戦車を飛び降りて、思いっきり駆け出していた)


ペパロニ「アンチョビ姐さーんっ!姐さーんっ!!」

42: 2016/02/23(火) 01:43:37.71 ID:BIWQ1Vdm0
アンチョビ「おわぁ!?会っていきなり抱き付いてくるんじゃ……ていうかおまえ、終了の挨拶まだだろ!///」

ペパロニ「とりあえず今姐さんと一緒にいられるんなら、先のこととかそんなのどーでもいいっす!」ギュウウッ

ペパロニ「ていうか、ずっと言いたいことがあったんすよ。姐さんのウソツキ!」

アンチョビ「何なんだよいきなり人をウソツキ呼わばりとか……」

ペパロニ「姐さんの催眠音声、全然効果無かったっす」

ペパロニ「毎日毎日、姐さんに会えなくて……すごくすごく寂しかったっす……連絡先も教えてくれないなんて、ヒドイっすよ……」

アンチョビ「……しょうがないだろ。会ったり話したりしたら絶対おまえ私に甘えるじゃんか……」

アンチョビ「そ、それにだな……///」


ペパロニ(私だって、ずっと寂しかったんだ。おあいこだろ……)

ペパロニ(そう言いながら俯いてほっぺたを赤くした姐さんは、もうめっちゃ可愛くって……)

ペパロニ(正直、もうその言葉が口から飛び出すのを、我慢できなかったって感じっすかね)


ペパロニ「アンチョビ姐さん、好きです、大好きです!これからは、もう絶対絶対離さないっすよ!」

アンチョビ「のわぁ!?おおおまえ何てとこで告白してくんだよ!ちょっとは周りを気にしろよ!///」ガビーン

ペパロニ「無理っすね。私アホっすから」

アンチョビ「開き直るなよ!」


「えー、何ー?」

「ほら、アンツィオの前のキャプテンと……」

「ひゃーっ♡ 超・大胆!」

「むしろもうかっこよくない?///」


アンチョビ「あ……うぁぁ……///」

43: 2016/02/23(火) 01:46:01.14 ID:BIWQ1Vdm0
ピンポンパンポーン

『あー、アンツィオ高校の隊長は、すぐに大会本部前に集合してくださーい……』

ペパロニ「あれ」

アンチョビ「ほら、呼ばれちゃってんじゃんか!早く行けよ!///」

ペパロニ「しょうがないっすねぇ」ヒョイ

アンチョビ「ひぇっ!?な、何でお前私を抱えて……まさか……///」

ペパロニ「このまま行くっすよ、しっかり掴まっててくださいね」

アンチョビ「ちょっ、待っ、やだっ……///」

ダダダダッ


「きゃーっ!彼女をお姫様抱っこで終了挨拶に登場とか!」

「すごぉい……///」

「さすがアンツィオ、負けてもド派手だね……///」


アンチョビ「やめっ、バカッ……もう、もうっ……」

アンチョビ「ぺ、ペパロニの……どアホぉぉーッッ!!///」

44: 2016/02/23(火) 01:47:43.45 ID:BIWQ1Vdm0
(私としてはもうこれ以上いっときでも姐さんと離れるわけにはいかないんで、他に選択肢はなかった感じなんすけど)

(その後大観衆の前で恥ずかしい思いをしたって怒ってる姐さんをなだめるのには3日もかかったっす)

(まあとにかく、催眠音声はうまく行かなかったけど)

(卒業したら姐さんと一緒の部屋に住む約束もできたし、結果オーライっすね♪)

アンチョビ「それはいいんだけどおまえ、ちゃんと卒業できるんだろうな?」

ペパロニ「あ、戦車道に打ち込み過ぎて軒並み赤点でピンチっす。勉強みてくださいよ姐さーん」

アンチョビ「やっぱりアホだろおまえはぁぁー!」


fine♪

45: 2016/02/23(火) 01:48:17.66 ID:BIWQ1Vdm0
・終わりです

・読んでくれた方、レスくれた方さんくす

・それではおやすみなさい

46: 2016/02/23(火) 01:49:14.73 ID:csg9cVB8o
乙です

引用元: ペパロニ「アンチョビ姐さんの卒業を阻止する画期的なアイデアを思いついたっす!」