1: 2015/01/17(土) 22:51:08.32 ID:ljqbE/Q8o
トレーナー「卯月ちゃん」
卯月「あっ、お疲れ様です!」
トレーナー「さっき見てたの、この前の写真?」
卯月「はい、早く私も武道館でやりたいなって」
トレーナー「ふふ、気が早いわね」
トレーナー「でも、卯月ちゃんは頑張ってるわ」
トレーナー「同期の子は、皆えs……辞めちゃったのに」
卯月「はは……」
トレーナー「さあ、今日もアイドルになるために、ストレッチからのハイキック行くわよ」
トレーナー「ダンスには柔軟性と、そしてしなやかな動きが――」
ガチャッ
バタン
卯月「!?」
P「…………」
卯月「ひいいいい!?」
卯月「ママーーーーーーッ」 ジョジョー
トレーナー「落ち着いて卯月ちゃん!」
トレーナー「何なんですか貴方、乱暴する気ですか、同人みたいに!!」
P「いえ……私は……」
3: 2015/01/17(土) 22:54:12.26 ID:ljqbE/Q8o
卯月「ぷ、プロデューサーさん!?」
P「はい」
P「先日シンデレラプロジェクトのオーディションを受けて頂きましたよね」
P「欠員が3名出まして」
卯月「……」
卯月「あれ、そもそもオーディション合格者って3名だったような」
P「……」
卯月「……」
P「アイドルとは、厳しい世界ですから……」
P「ステージに上がり、負傷し、しばらくステージに上がれなくなる者や、レッスンの過程でいなくなる子もいます」
卯月「なるほど」
4: 2015/01/17(土) 22:56:40.56 ID:ljqbE/Q8o
卯月「でも、何で私が……」
P「笑顔です」
卯月「えっ」
卯月「私、笑顔には自信あるんですよっ!」
卯月「私、デビューできるってことですよね!?」
P「ええ」
卯月「でびゅううううう!!」 キャッホーイ
卯月「私、アイドルになれるんですねっ!」
P「ええ」
P「ではここにサインを」
卯月「はい!!」
P「その素直さと疑問を抱かない所も、笑顔と同様評価されたようですよ」
卯月「え?」
P「それでは詳しいことは後日」
卯月「あ、はい」
5: 2015/01/17(土) 22:58:38.51 ID:ljqbE/Q8o
卯月「デビュー♪」
卯月「ママにも報告出来たし、お花でも買って帰ろうかなー♪」
卯月「なんか、こう、気分が上がるよねっ」
卯月「せっかくの記念日だし、おっきな花束を……」
卯月「……」
卯月「いち、じゅう、ひゃく……」
卯月「……」
卯月「たんぽぽでも十分綺麗だよね……」
卯月「……」
卯月「ダメダメ、折角なんだから、せめてあっちのお花を……!」
6: 2015/01/17(土) 23:01:11.11 ID:ljqbE/Q8o
凛「何かお探しですか?」
卯月「あっ、すみません、なかなか決まらなくて」
凛「どなたかに贈り物でしょうか」
卯月「はい!」
卯月「といっても、自分用なんですけど……」
卯月「今日はとっても大事な記念日なんです!」
卯月「だからちょっと思い出に残るような花がほしいなーと」
凛「……なるほど」
凛「それではこんなのはどうでしょうか」
凛「パックンフラワーです」
卯月「ちょっと思ったのと違うかな」
7: 2015/01/17(土) 23:06:30.22 ID:ljqbE/Q8o
凛「思い出には残ると思いますよ」
卯月「あまり思い出したくない思い出としてバッチリ残っちゃいそうなのはちょっと……」
凛「そうですか」
卯月「なんかお客さん食べてるように見えるんですけど」
凛「じゃれてるだけですよ、そういう花なんです」
凛「それじゃあもうちょっと華やかに、フシギバナなんかは」
卯月「テーブルに飾れるサイズでお願いします」
9: 2015/01/17(土) 23:11:45.16 ID:ljqbE/Q8o
凛「じゃあこれなんてどうですか?」
凛「アネモネ」
凛「花言葉は、えっと……」
卯月「これください!」
凛「花言葉は?」
卯月「大丈夫です、すっごく可愛いですし!」
卯月「あと私エウレカセブン大好きですからっ」
凛「……?」
凛「よくわからないけど……」
凛「確か花言葉、期待とか希望とかだし、そんな感じなのかなって」
卯月「わあ……ありがとうございますっ!」
チャリーン
凛「ありがとうございました」
卯月「こちらこそ、ありがとうございました!」
卯月「私、がんばりますっ!」 ニコッ
凛「……」 ドキッ
卯月「えへへ」 タッタッタッタッタッ
凛「……」
凛(すごく、幸せそうに笑ってたな……)
凛「……」
凛(私も……あんな風に笑える日がくるのかな)
10: 2015/01/17(土) 23:14:58.19 ID:ljqbE/Q8o
【翌日】
卯月「多方面で展開云々……」
卯月「何だか過ごそうですねっ!」
卯月「それで、私はどの部署に……?」
P「……」
P「他のメンバーが揃ってから、一緒に所属が決まることとなります」
卯月「え?」
卯月「……ちなみに現在のメンバーは?」
P「……島村さんお一人です」
卯月「……」
卯月「他に決まってはいるんですか?」
P「……」
P「今から探すところです」
P「ですので島村さんにはとりあえずレッスンを――」
卯月「えっ、あの、私以外の前回オーディション不合格者さんの補欠とかは……?」
P「……」
卯月「……」
P「……本日はダンスのレッスンが」
卯月(えっ、あれ、もしかして一次審査の不合格者って私一人……?)
11: 2015/01/17(土) 23:18:35.46 ID:ljqbE/Q8o
P「他に、質問は?」
卯月「ええと、あの……」
卯月「CDは、いつ出せますか?」
P「現在、企画中です」
卯月「なるほどぉ~~~」
卯月「テレビには、出られますか!?」
P「現在、企画中です」
卯月「ら、ライブとかは……」
P「現在、企画中です」
卯月「……」
卯月「あの、ちなみに欠員が出る程激しいとのことですけど、欠員になった人たちは今……」
P「……」
P「現在、棄却中です」
卯月「な、なるほどぉ……」
12: 2015/01/17(土) 23:27:22.28 ID:ljqbE/Q8o
卯月「あとは、その……」
卯月「本当に、何で私なんですか?」
P「笑顔です」
卯月「えがお……」
卯月(何度も言うってことは、本当にそうなのかな)
卯月(笑顔以外の歌とかがまだまだだから落ちただけで、笑顔ならアイドルクラスなのかな?)
卯月「……」
卯月「あ、あのっ!」
P「……はい」
卯月「私、精一杯頑張りますから!」
卯月「一緒に夢、叶えましょうねっ!」
P「……勿論です」
13: 2015/01/17(土) 23:38:25.04 ID:ljqbE/Q8o
<繁華街>
P(オーディションは行うとして、街角スカウトも重要に……)
凛「……」
P「……」
P(あの少女……)
P「……」 スッ
凛「!」 ゾワッ
スッパーーーーーン
P「……ッ!」
P(なんという高速ソバット……!)
P(この体のしなり、反応速度、動きのキレ…・…)
P(まさに――)
凛「あ、ごめ……」
P「あの、わたくし、こういうものですが……」 メイシスチャー
P「アイドルに、興味ありませんか?」
凛「……ない」
凛「それに、痴漢だと勘違いて蹴ったことは謝るけど、いきなりその角度から名刺を出すのはどうかと思うけど」
P「申し訳ありません」
凛「その角度から気配を感じたら、誰だって……」
P「申し訳ありません」
凛「……じゃあ、お互い様ってことで」
P「はい」
凛「それじゃ」 スタスタ
P「あの」
凛「……まだ何か?」
P「アイドルに興味」
凛「だからないって」
14: 2015/01/17(土) 23:44:20.28 ID:ljqbE/Q8o
<翌日・通学路>
P「アイドルに……」
凛「……私興味ないって言わなかったっけ」
P「せめて、名刺だけでも、受け取ってもらえないかと」 メイシ
凛「……」 ムシ
<翌々日・通学路>
P「……」 メイシ
凛「……」スドオリー
JK「エーナニアレー」
<翌々×n日・通学路>
P「……」 メイシ
凛「…………」 スドオリー
JK「エーヤダアレーキョウモキテルー」
<翌々×(n+1)日・通学路>
P「……」メイシ
凛「………………」 スドオリー
JK「アレアレ、サイキンウワサノメイシオジサンー」
JK「エーコワーイ」
<数学的帰納法より、毎日・通学路>
P「……」 メイシ
凛「何度来ても同じだって」
JK「アッキョウモイルーシャメッチャオー」 パシャ
凛「写真撮られてるし」
P「未来のトップアイドルですから」
凛「あんたがだよ」
15: 2015/01/17(土) 23:54:43.78 ID:ljqbE/Q8o
凛「何度も言うけど、アイドルなんて興味ないから」
P「……」
凛「……」 スタスタスタ
P「……」
凛(……毎日しつこく居続けるわりに、追いかけてはこないんだよな……)
凛(なんなんだろ、いったい)
16: 2015/01/17(土) 23:59:24.87 ID:ljqbE/Q8o
【養成所】
ガチャッ
卯月「あ、おはようございます!」
卯月「今日は何をすればいいですかっ!?」
P「では、レッスンを……」
卯月「はいっ、レッスンですね!」
卯月「苦手なレッスンも、うまくなってきたんです!」 ステーップ
P「……」
P「トレーナーさんは、今日はいらっしゃらないんですね……」
卯月「はい……」
卯月「この前、私にまるでお別れかみたいなエールを送ってきたので、少し心配です……」
P「……」
P「そうですか……」
P「トレーナーさんの覚悟に答えるよう、その調子でレッスンを続け、ステップをマスターしましょう」
卯月「はいっ!」
17: 2015/01/18(日) 00:08:32.60 ID:BGIFhzvoo
【翌日・公園】
薫「……あのっ」
凛「?」
薫「おねえちゃん、アイドルなんだよねっ!?」
凛「!!」
凛「……何で、そんな風に思ったの?」
薫「みんな言ってるよ!」
薫「こわーい顔の人と、アイドルのお姉ちゃん」
薫「クラスですっごく話題だよ!」
凛「そ、そう……」
18: 2015/01/18(日) 00:16:09.76 ID:BGIFhzvoo
凛「私は、アイドルじゃ……」
薫「うん、わかってる」
凛「え」
薫「アイドルってこと、ないしょにしてるんだよねっ」
凛「……」
凛(駄目だこの子、何もわかってない……)
薫「かおるも、ないしょにするから!」
薫「ずっとずっと、ないしょにするから!!」
薫「だから、おねがい……」
薫「せんせぇを助けて!」
19: 2015/01/18(日) 00:22:53.33 ID:BGIFhzvoo
凛「助けて……って」
凛「よくわからないけど、困ってるなら、警察に言った方が……」
薫「だめなの……」
薫「せんせぇ、おまわりさんに、つれていかれちゃったから……」
凛「えっ」
薫「せんせぇ、わたしをアイドルにしようとしてくれただけなの!」
薫「せんせぇはなんにもわるいことしてないのに!」 ウリュッ
凛「えっ……と……」
薫「なんか、じぽ砲とかいうのでおそわれたって!」
薫「アイドルなら……」
薫「アイドルなら、プリキュアみたいにじぽ砲とかいう悪い武器もこわせるでしょ!?」
薫「お願い、せんせぇを助けて!」
凛(うーんそれはプリキュアでも無理じゃないかな、とは言えない……)
20: 2015/01/18(日) 00:26:02.58 ID:BGIFhzvoo
凛(でも、厳しいことも言えないけど、このままほうっておくことも出来ないし……)
凛(っていうか、多分、あれだよね)
凛(普通にその先生って人、捕まった方がこの娘のためだよね……)
凛「えーっと……」
薫「……」 ウルウル
凛(アイドルじゃない、って言っても多分信じてもらえない)
凛(アイドルはビーム出せるわけじゃないし、そもそも児ポ法も兵器じゃないんだけど、多分この娘は聞いてもらえない)
凛「……」
凛(諦めさせてあげよう)
凛(残酷かもしれないけど、それがこの娘にとって一番だ)
凛(そうやって、悲しいけどいい思い出のまま大人になって、いつかは先生のことを忘れて幸せに暮らせるように……)
21: 2015/01/18(日) 00:35:30.01 ID:BGIFhzvoo
凛「ええと、アイドルにも、できることと、できないことが……」
薫「……」
凛「……まあできることの方が多いけど」
凛(夢を壊さないのって、難しい……)
凛(ええっと……)
凛「でも、ほら、アイドルって、お仕事だから」
凛「あまり無償でやりすぎると、お金を払ってくれる人が不平等になっちゃうし……」
凛「だから仕事の話は事務所を通して……」
薫「……??」
凛(駄目だ伝わってない……)
凛(ええっと、もっとシンプルに……)
凛「そもそも君、お金は持ってるの?」
凛「アイドルだって、お給料がなきゃ――」
薫「お金なら、ここに……!」 ガチャーーーン
凛(ぶ、豚さん貯金箱が……胸が痛い……)
薫「こ、これで……」
凛「な、ななじゅうにえん……」
凛「お嬢ちゃん、大人をからかっちゃいけないよ」
23: 2015/01/18(日) 00:42:00.15 ID:BGIFhzvoo
ウワアアアアアアアアアン
早苗「はいちょっとそこの君ー!」
早苗「なーにこんなちっちゃい子供を泣かせてるの!」
凛「な、何もしてない」
凛(……はず)
早苗「じゃあ何でこんなに怯えてるんだ!」
凛「そ、それは……」
薫「うわあああああああん」
薫「せんせぇ、せんせぇぇぇぇ」
凛(どうしよう、これ……)
25: 2015/01/18(日) 00:55:03.73 ID:BGIFhzvoo
JK「ヤダーナニアレー」
おっさん「オンナノコニナニカシタンジャナーイ」
P「……?」
P「ちょっとすみません、通して下さい」
早苗「一旦署の方に来てもらっていいかな」
P「あの」 ヌッ
早苗「!?」
P「もう少し彼女の話を聞いては……」
早苗「え、あー……」
早苗(なに、この威圧感は……)
27: 2015/01/18(日) 01:01:02.06 ID:BGIFhzvoo
P「あまりにも横暴なのでは……」
早苗「かっちーん!」
早苗「ちょーっと強そうだからって、おまわりさんナメてんじゃないわよー?」
早苗「これでも空手とか柔道とか合気道とか、ひと通り有段なの!」
ザワザワ
P「なるほど、通りでいい体を……」
早苗「なっ、いきなりセクハラとはとんでもないねっ」
P「アイドルに興味は」
凛「節操なしか!」
早苗「ふっ……私に勝ったら考えてあげてもいいわよ」 ザッ
凛「なんか楽しそうだし……」
薫「うああああああああんせんせぇぇぇぇええええええ」
早苗「ああもう、今この恐いおっさん相手に集中してるんだから黙ってて!」
凛「それでいいのか国家権力」
28: 2015/01/18(日) 01:07:08.97 ID:BGIFhzvoo
卯月「アイドルは、1にスタミナ2にスタミナって聞きました!」
卯月「というわけで、ジョギーーーング!」
卯月「……」 タッタッタッタッタッ
卯月「……」 タッタッタッタッタッ
卯月「あれ?」
卯月「人だかり……?」
ザワザワザワ
卯月「これは一体……」
早苗「さあかかってきなさい無愛想なボーヤ」
薫「うえええええええええええええええん」
凛「ど、どう、どう……」
P「落ち着いてください、まずは平和的解決を……」
卯月「ぷ、プロデューサー!?」
29: 2015/01/18(日) 01:10:21.92 ID:BGIFhzvoo
P「島村さん」
卯月「何の騒ぎですか?」
P「おはようございます」
卯月「あ、おはようございます!」
薫「うえええええええええええええええん」
卯月「わわっ、どうしたのー」
卯月「転んだのー?」 ナデナデ
薫「うう……」 スン・・・スン・・・
凛「あ……」
凛(すごい……)
凛(まだ泣いてはいるけど、大声で喚かなくなった……)
30: 2015/01/18(日) 01:19:01.49 ID:BGIFhzvoo
卯月「なるほど、そういう……」
薫「うん……」
薫「おねえちゃん、せんせぇを助けて……!」
卯月「……うん!」
卯月「まかせて!」
凛「え!?」
凛「ちょ、そんな無責任な……」
卯月「お姉ちゃん、アイドルだから」
卯月「テレビとかブログとかで、先生は悪くないよーって言ってあげる」
薫「!」
卯月「……嫌なことは、されてなかったんだもんね」 ナデ
薫「うん……」
卯月「でもね、それでも、悪いことって言われちゃうことはあるんだ」 ナデナデ
薫「……」
卯月「先生が、法律にうっかり触れちゃったのかどうか、私には分からない」
卯月「でも……」
卯月「触れてないなら、すぐに出てきて会いに来てくれるだろうし」
卯月「触れちゃってても、きっとすっごく後悔して、早く会えるように頑張ってるだろうから」
卯月「その時に、いっぱい泣いてて真っ赤なお目目じゃかっこ悪いよ」
卯月「だからほら、笑って笑って」 ニコー
薫「……うん」
卯月「笑顔が一番、だよ」
卯月「きっと先生も、そう言ってくれると思うな」
薫「……うん!」
薫「せんせぇ、悪いことしてないもん」
薫「きっとすぐ会いにきてくれるよねっ」
卯月「うん、お姉ちゃんも協力するよ」
薫「かおる、笑ってる」
薫「せんせぇ、笑ってるとこが一番可愛いって言ってくれたから!」 ニカッ
卯月「うん、とっても素敵だよっ」 ニコッ
凛「……」
凛(その先生、多分倫理的には完全アウトな人じゃないかな……)
31: 2015/01/18(日) 01:45:45.57 ID:BGIFhzvoo
凛「……」
凛「笑って帰っていったね」
卯月「……うん」
卯月「よかったです、笑ってくれて」
凛「……」
卯月「確かにどうにもできないかもしれないですけど……」
卯月「それでもあの子は、何かを変えようと頑張ってましたから」
卯月「そのエネルギーを笑顔に換えたら、きっと少しは、いい未来がきますよねっ」 エヘヘ
凛「……」
凛「あ、そういえば警察の人は……」
P「何やら酒気帯びだったらしく、同僚の方に連れて行かれました」
凛「そ、そう……」
32: 2015/01/18(日) 01:50:36.11 ID:BGIFhzvoo
P「残念です、あの人にはぜひ三人目を……」
凛「そういうのもういいから」
卯月「……三人目?」
P「ええ」
P「二人目は……」 ソッ
凛「こっち差さないで」
凛「アイドルやる気ないから」
卯月「ええっ」
卯月「そんな……」
卯月「一緒にやりましょうよっ」
卯月「お花屋さんと一緒に、私、アイドルしたいですっ!」
凛「……」
33: 2015/01/18(日) 01:52:55.64 ID:BGIFhzvoo
凛「……それじゃ、私、学校あるから」 スタスタスタ
卯月「あ、ああっ!」
凛「……」
凛(あの子……)
凛「……」
凛(そうか、あの時の……)
凛(……あの子にとっては……)
凛(アイドルが、あんなに夢中になれることなのかな……)
34: 2015/01/18(日) 01:54:25.64 ID:BGIFhzvoo
卯月「行っちゃいました……」
P「仕方がありません」
P「登校の邪魔は出来ません」
卯月「ですね……」
P「……」
卯月「……」
P「ところで、島村さんは学校は」
卯月「はい、卯月は大丈夫ですっ!」 グッ
P「学校は」
卯月「卯月は大丈夫です!」
P「学校」
卯月「レッスンしましょう、レッスン!」
卯月「一日も早くアイドルとしt」
P「きちんと通って下さい」
卯月「……はい」
36: 2015/01/18(日) 01:59:17.19 ID:BGIFhzvoo
【夕方・公園】
卯月「ジョギング、ジョギング!」
卯月「スタミナがないと何やってもだめだって、アイドルマガジンに載ってましたしねっ!」
卯月「……あれ?」
卯月「お花屋さん!」
凛「あっ、あの時の……」
卯月「ワンちゃんの散歩ですかっ?」
凛「うん」
凛「そっちは?」
卯月「ジョギングです」
卯月「アイドルになるには、体力がいりますからっ」 ニコッ
凛「……」
凛「お疲れ様」
凛「……なんか、飲み物でも奢ろうか?」
卯月「ええっ!?」
卯月「いいですよ、悪いですしっ!」 ブンブンブン
凛「いいよ」
凛「この前助けてもらったお礼」
卯月「うう……そ、それじゃあ、いただきます」
凛「うん」
凛「それに……」
卯月「それに?」
凛「……」
凛「なんでもない」
凛「ちょっと、ベンチに座ろうか」
37: 2015/01/18(日) 02:09:53.09 ID:BGIFhzvoo
ハナコ「クーンクーン」
卯月「かわいいワンちゃんですねっ」
凛「あ、うん……」
卯月「あの、お名前聞いてもいいですか?」
凛「あ……“完牙”ハナコ……」
卯月「ハナコちゃんですかあっ!」
卯月「私は島村卯月って言います!」
卯月「あの時はお花選んでくれてありがとうございました、完牙のハナコちゃんっ!」
凛「完牙もハナコも犬の名前で……」
卯月「うわあああっ、すみませんっ!」 アワアワ
39: 2015/01/18(日) 02:16:12.66 ID:BGIFhzvoo
凛「……ふふ」
卯月「あはは」
凛「……凛」
凛「渋谷凛。私の名前」
卯月「……はいっ!」
卯月「よろしくです、ヤリンさん!」
凛「区切るとこ違うし凛でいいよ」
卯月「え、あ、うわああすみません」 ウワワ
卯月「じゃ、じゃあ、よろしくね、凛ちゃん!」
凛「……うん、よろしく、えっと……」
卯月「卯月って!」
凛「うづき……」
40: 2015/01/18(日) 02:19:15.07 ID:BGIFhzvoo
凛「……あのさ」
卯月「はい?」
凛「……」
凛「あの男の人、ちょっと変じゃない」
卯月「うえ!?」
凛「毎日毎日名刺だけもってくるし」
凛「不審者に間違われるし……」
凛「選ぶ理由も、笑顔としか聞いてないし……」
卯月「ふええ!?」
凛「ん?」
卯月「わ、私も、同じこと言われて……」 ズーン
凛「あ、で、でも私、卯月の笑顔は本当の理由だと思う」
卯月「そ、そうでしょうか……」
凛「うん」
凛「……だって、卯月は、笑顔であの娘を泣き止ませてたから」
41: 2015/01/18(日) 02:40:46.29 ID:BGIFhzvoo
卯月「あの娘……?」
卯月「ああ、あの!」
凛「うん」
凛「……」
凛「すごいよ、卯月は」
凛「卯月の笑顔は、人を笑顔にする」
凛「向いてるよ、アイドル」
凛(私には、その力はない……)
卯月「そ、そうかな」 エヘヘ
P「私もそう思います」 ヌッ
凛「うわああああっ」 ガタッ
凛「お、驚かせっ……」 バックンバックン
P「失礼しました」
P「ですが……」
P「島村さんの魅力を、代わりに伝えて頂いた喜びで、つい」
凛(喜んでたんだ、あの顔で……) バックンバックン
42: 2015/01/18(日) 02:55:44.14 ID:BGIFhzvoo
P「ですが……貴方の笑顔も、素敵だと思います」
凛「……どこが」
凛「実際あの時も、子供を泣かせちゃったし」
P「……」
P「ですが、あの娘のためを想っていました」
凛「……」
P「現実を教えることは、大事です」
P「どれだけ夢を見ても、生きていかねばならない場所は現実です」
凛「……」
P「ですが同様に、夢も大切なものです」
P「アイドルは、その夢を、人に届けています」
P「ですが、夢をきちんと心の奥に届けるには、現実を見ることもまた必要なのです」
凛「……」
P「島村さんと貴方が共に手を取れば、現実をしっかり見つめながらも、夢を届けることができる」
P「あの娘が笑ったように、たくさんの曇った顔を、晴れ晴れしい笑顔に出来る」
P「そう思っています」
43: 2015/01/18(日) 03:05:22.71 ID:BGIFhzvoo
凛「……」
凛「卯月は、すごいな」
凛「きちんと、夢を、届けてるんだ」
卯月「そ、そんなこと……」 アワアワ
卯月「むしろ私が、あの娘の笑顔に元気を貰っちゃったくらいで!」
卯月「あの娘が笑ってくれたから、ああ、私、アイドルやりたいって強くまた思えたし!」
卯月「プロデューサーさんも、私の夢を叶えてくれる人かもしれないから……」
卯月「だから、私も皆に夢を届けてもらってるんだよっ!」
凛「……」
44: 2015/01/18(日) 03:10:10.33 ID:BGIFhzvoo
凛「あのさ……」
凛「卯月はどうしてアイドルになりたいの?」
卯月「えっ!?」
卯月「どうしてって……」
卯月「綺麗な衣装を着れて、キラキラしたステージに立ってて」
卯月「青山に土地を買って、カイエンを乗り回して」
卯月「まるでお姫様みたいで……!」 キラキラ
凛「どちらかというと王子が混じってた」
46: 2015/01/18(日) 03:18:17.50 ID:BGIFhzvoo
卯月「あっ、あんな風になれたらいいなって!」 バッ
モニター『さあ、今ウルフマンの髷にジェロニモがハサミを――』
卯月「……」
P「CM、丁度終わりましたね」
凛「……」
凛「相撲取りになりたいの?」
卯月「あわわ、そうじゃなくて!」 アタフタ
卯月「た、確かに皆を楽しませられるどっしりとした安定感ある素敵なお仕事ですけどっ!」 アタフタ
卯月「お相撲さんは私にはあんまり向いてないかなーって!」 アタフタ
凛「“あんまり”なんだ……」
47: 2015/01/18(日) 03:22:30.54 ID:BGIFhzvoo
卯月「えっと……」
卯月「正直どんな仕事がアイドルの仕事なのか、私もよく分かってないんですけど……」 アハハ・・・
凛「……」
凛「歌ったり、踊ったりだけじゃない、ってことかな」
P「色々な形がありますから」
P「無人島を開拓したり、畑を作ったり……」
凛「……それって本当にアイドル?」
凛「ちゃんと歌ったり踊ったりはするんだよね?」
P「勿論」
卯月「まあ、私はまだライブもCDもテレビ出演も何も決まってないんですけど」 アハハ
P「現在、企画中です」
凛(大丈夫なのかなこの事務所……詐欺られてないよね、卯月……)
49: 2015/01/18(日) 03:31:09.82 ID:BGIFhzvoo
卯月「それでも、夢なんです」
凛「……」
卯月「スクールに入って、同じ研修生の娘とレッスンを受けながら、私、ずっと待ってました」
卯月「アイドルに、キラキラした何かになれる日が、きっと私にも来るんだって」
卯月「そうだったらいいなって、ずっと思ってて」
卯月「そうしたら、プロデューサーさんが声をかけてくれたんです!」
凛「こいつが……」
P「はい」
P「島村さんなら、とびきり輝くアイドルになれると思いましたから」
卯月「プロデューサーさんに声をかけてもらえなかったら、きっと私、今頃蛍光灯かフローライトになってました」
凛「どうやって」
50: 2015/01/18(日) 03:33:41.99 ID:BGIFhzvoo
卯月「プロデューサーさんは、私を見つけてくれたから」
卯月「きっと私は、これから夢を叶えられるんだなって!」
卯月「アイドルに、なれるんだって!」
凛「卯月……」
卯月「フローライトとして、マンモスに食べられる必要もないんだって!」
凛「卯月……」 ゲソッ
卯月「それが、嬉しくて……!」 ニコッ
凛「……」
凛(笑顔がまぶし過ぎて、「アイドルになれることが?それともマンモスに貪られないことが?」とか言えない……)
51: 2015/01/18(日) 03:48:42.91 ID:BGIFhzvoo
凛「……」 スルッ
卯月「あっ」
凛「えっ、あ!」
凛(しまった、卯月に見惚れてリードを――!)
ハナコ「キュンキュンキュインキュイン!」 タッタッター
凛「こら、ハナコ!」
ハナコ「キャンキャン!」 ガッブーーー
P「……!」 ドブシャァァァーーーー
凛「こらハナコ!」
凛「知らない人に“完牙”・マッドドッグトゥースをしちゃ駄目だっていっつも言ってるだろ!」
卯月「凛ちゃんってハナコちゃんが絡むと途端にちょっとボケボケになるよね」
凛「え?」
卯月「ううん、なんでもない」
卯月「ハナコちゃんが絡むと、凛ちゃん、素敵な笑顔になるねって」
52: 2015/01/18(日) 04:09:10.14 ID:BGIFhzvoo
P「……」 ドグシャア
卯月「わわっ」
卯月「プロデューサーさん、見事な切り返しのボディスラムっ!!」
P「……」 スッ
卯月「そして紳士的にリードを渡したーーーーっ!」
凛「あ、ありがとう……」
P「……」
凛「……」
卯月「……」
卯月(あ、なんか大事なお話するっぽいし、黙っていた方がいいかな……)
P「少しでも……」
P「君が夢中になれるものを探しているのなら」
P「一度、踏み込んでみませんか」
P「廃課金の沼に」
凛「絶対嫌」
54: 2015/01/18(日) 04:13:27.15 ID:BGIFhzvoo
P「今のは冗談です」
P「冗談の一つも言わないから怖がられていると、先輩に言われたもので」
凛「まあそうだけど、時と場合が……」
凛「……もういいや」
凛「冗談、向いてないよ」
P「私も、そう思います」
P「ですが、冗談以外の形で、貴女を笑顔にさせて頂きます」
P「貴女が島村さんとは違う形で人々を笑顔に出来るように」
P「プロデュースという形で」
凛「……」
P「この世界に、一度踏み込んでみれば」
P「そこにはきっと、今までとは別の世界が広がっています」
凛「……」 ドクン
56: 2015/01/18(日) 04:23:41.14 ID:BGIFhzvoo
【その晩・渋谷邸】
凛「……」
カッチ・・・
カッチ・・・
凛「……」 ゴロン
カッチ・・・
カッチ・・・
凛(眠れない……)
凛(時計の音がうるさいから……?)
カッチ・・・
カッチ・・・
凛(違う……)
凛(あの時の卯月の顔が、あいつの言葉が、頭ン中でぐるぐるしてるから……)
カッチ・・・
カチッ
クルッポー
クルッポー
クルッポー
凛(……やっぱり時計がうるさいのもあるし、あの時計倉庫に押し込もうかな)
57: 2015/01/18(日) 04:46:41.29 ID:BGIFhzvoo
【翌日】
卯月「あはっ……!」 ガタッ
P「……」
凛「……」
凛「渋谷凛、15歳」
凛「よろしくお願いします」
卯月「凛ちゃん……!」 ワァイ
凛「改めてよろしく、卯月」
卯月「はいっ、こちらこそ!」 アハッ
凛「で、アンタが私のプロモーター?」
P「プロデューサーです」
凛「……」
卯月「……」
P「……」
凛「……」 コホン
凛「で、アンタが私のプロデューサー?」
卯月「言い直した!」
P「……」 コクリ
P「よろしくお願いします」
卯月(あ、これが大人の対応ってやつなんだ……)
58: 2015/01/18(日) 04:48:45.51 ID:BGIFhzvoo
凛「それで、グループって聞いてたけど、他の人は?」
卯月「あ、それが、三人組ってことなんだけど……」
凛「え、まだなの?」
P「ええ」
P「この前の婦警さんには断られましたので」
凛「行ったのか……」
卯月「このままだと、三人目がプロデューサーさんに……」
凛「ならないから」
P「ですが私はあまりアイドル向きでは……」
凛「あまりどころじゃないし万が一の時はみたいな表情しないで」
59: 2015/01/18(日) 04:52:54.17 ID:BGIFhzvoo
P「三人目は、明日オーディションを行う予定です」
P「来週には、ユニットで活動出来るかと」
凛「ふうん」
卯月「わあ、楽しみですねっ!」 パァァ
凛「……」
凛(笑顔が眩しい……)
卯月「皆でトップアイドル、目指しましょうねっ!」
凛「そーだね」
凛「でもまずは一歩一歩、着実にいかないとね」
P「そうですね」
P「アイドルにも、ランクというものがありますから」
凛「うん」
凛「その辺は、調べてきたよ」
卯月「えっ、すごい!」
凛「……目指す以上、ちゃんと上を目指したいから」
60: 2015/01/18(日) 04:57:22.47 ID:BGIFhzvoo
凛「私達は、まだアイドル候補生」
卯月「新人になって、そして駆け出しになって、いずれは一人前に!」
P「もっと上、メジャーアイドルや人気アイドルにだってなれると、思っています」
卯月「そうですよねっ!」
卯月「そしてゆくゆくはスーパーアイドル、一流のアイドルに!」
凛「そして、日本のトップアイドルに」
P「更にその上にある、アイドル超人になれるよう、ともにプロジェクトを盛り上げていきましょう」
卯月「はいっ!」
卯月「アイドル超人目指して、頑張りましょう!」
凛「お、おー……」
凛「……」
凛(雑誌見た時から思ったけど、何でスーパー→トップときて、最後が超人なんだろう……)
第一ステージ 終幕
79: 2015/01/18(日) 23:12:40.98 ID:BGIFhzvoo
卯月「う、うわあ~~~」
卯月「お城みたい……」 キラキラー
凛「さすが大手って感じだね」
凛「クッパ城の方が好みではあるけど」
卯月「あ、346ってこういう感じ書くんですね~」
ミステリアスアイドル1号「ふっふっふ……」
ミステリアスアイドル1号「時は来た!!!」
80: 2015/01/18(日) 23:14:30.63 ID:BGIFhzvoo
凛「へえ、中もこんな感じなんだ」
卯月「緊張しますね……」
凛「あ、パックンフラワー」
ミステリアスアイドル1号「シャンデリアなんて今どき見ないよねえ~~」
卯月「うわっ!?」
ミステリアスアイドル1号「サイゼリアなら見るんだけどねえ」
卯月「でもプロダクションの中にあるってすごいですよ」
卯月「毎日サイゼでお茶ができちゃいますっ!」
ミステリアスアイドル1号「なるほど確かに」
凛(何この人……)
81: 2015/01/18(日) 23:23:40.63 ID:BGIFhzvoo
ミステリアスアイドル1号「あ、お疲れ様でーす」 トテテー
ミステリアスアイドル1号「新人アイドルの、本田未央ですっ!」
ミステリアスアイドル1号「今日からお世話になります!」 ガバッ
竿係の社員さん「おーう、お疲れ様」
ミステリアスアイドル1号「お疲れ様です!! 本田未央ですっ!!!」
凛「……知り合い?」
卯月「ううん……」
凛「……」
凛「爽やかで顔がいいだけのアイツの同類か……」
凛「名刺がお辞儀に変わった感じの」
卯月「うーんちょっと否定は出来ない」
82: 2015/01/18(日) 23:37:22.00 ID:BGIFhzvoo
卯月「受付も終わったし、早速お部屋に向かいましょう!」
卯月「でもチンパン三十戒ってなんでしょう?」 ウーム
凛「つっこまないよ」 スタスタ
爺「何階かね?」
卯月「えっと……」
凛「30階です」
爺「うむ」
扉「ウィーーーン・・・」
ミステリアスアイドル1号「わっとっとお!」 ダダッ
扉「ジャアアアアアアンク!」
ミステリアスアイドル1号「うぎゃーーーーっ!」
爺「げえーーーーっ、駆け込み乗車の少女の首がーーーーーっ!」
卯月「だ、大丈夫です、傷は浅いですよっ!」
凛(何だこのノリ……)
83: 2015/01/18(日) 23:48:11.03 ID:BGIFhzvoo
爺「これは失礼」
ミステリアスアイドル1号「全然平気ですっ」
ミステリアスアイドル1号「首は鍛えてますからっ!」 フンス
爺「何階かね?」
ミステリアスアイドル1号「夢はでっ階、ですかね」 ドヤー
卯月「あっ、じゃあ私はアイドル業階まで……」
ミステリアスアイドル1号「うまい!」
ミステリアスアイドル1号「やるねえ~そのトークスキル大事だよー」
爺「じゃあまあとりあえず、魔階まで……」 ポチー
ミステリアスアイドル1号「わーーーっ、何か不穏なオーラ出してる!」
卯月「どどどどうしましょう凛ちゃん!」
凛「どうもしないから、レッドアリーマーとか実在はしないから」
85: 2015/01/19(月) 00:29:27.49 ID:tHLC96zJo
卯月「ここですね」
凛「他の娘達もいるのかな」
凛(普通の娘だといいけど……)
卯月「!」
卯月「あー……あー……」
卯月「さすがに映画とか作ってる大手プロダクションだけあって、おじいさんに至るまでトークスキルばっちりだったし」
卯月「私も頑張らなくちゃ!」
凛「いや、あれを見習うのはどーかな……」
凛「……」
凛(まあ、でも、その前向きさが卯月の強み、か……)
87: 2015/01/19(月) 00:55:06.43 ID:tHLC96zJo
コンコン
卯月「失礼、しま~す……」
ギイ~~~・・・
卯月「わあ~~~、きれ~~~~……」
凛「でも、誰もいない」
ミステリアスアイドル1号「へえ、なんかクールな感じだねえ」
卯月「あっ」
凛「さっきの」
ミステリアスアイドル1号「にひひ」
凛「別の階で降りなかったっけ?」
ミステリアスアイドル1号「ああ、それは――」
ガチャッ
P「おはようございます」
卯月「あ、おはようございます」
凛「おはようございます」
ミステリアスアイドル1号「おはようございます」
89: 2015/01/19(月) 01:09:13.35 ID:tHLC96zJo
P「ご紹介します」
P「こちらが先日ご紹介した、島村うd」
ミステリアスアイドル1号「卯月ちゃん!!」
卯月「あ、はい……」
ミステリアスアイドル1号「じゃあこっちが、渋谷凛ちゃん!?」
凛「そうだけど……」
ミステリアスアイドル1号「む?」
ミステリアスアイドル1号「む~~~ん」
凛「な、なに?」
ミステリアスアイドル1号「ぶっきらぼうながら溢れ出るオーラ……」
ミステリアスアイドル1号「ただものではないと見た!」
凛「えっと……」
P「こちらは、このプロジェクト最後のメンバー、ほn」
卯月「さっき会いましたよね!」
凛「ホンダデミオさん、だっけ」
ミステリアスアイドル1号「うーん違う」
卯月「そうですよ」
卯月「デミオといえばマツダですよ!」
凛「そっか、ごめん、よろしくマツダデミオさん」
ミステリアスアイドル1号「離れた」
90: 2015/01/19(月) 01:23:41.15 ID:tHLC96zJo
P「こちらは、当プロジェクト最後のメンバー、本田未央さん」
凛「おしい」
未央「そうかな」
卯月「最後のメンバー……!」 ワァ
未央「346プロダクション養成所3期生筆頭・本田未央、高校1年!」
未央「よろしくねっ(はぁと」
卯月「よろしくお願いしますっ」 ガバッ
凛「よろしく……」
凛(……筆頭?)
91: 2015/01/19(月) 01:28:16.74 ID:tHLC96zJo
ちひろ「未央さんは、一次オーディションでは惜しくも不合格でしたが……」
卯月「あれっ、不合格者って私一人だったんじゃ……」
未央「そんなわけないけど、私、あれだからかな」
凛「あれ……って?」
未央「私、346プロの養成所出身なんだ」
未央「アイドル科の3期卒業生」
未央「だから皆よりはこの場所のことに詳しいかな?」
卯月「わあ、すごい……!」
未央「だからオーディションも学内のやつだったし、それで顔は合わせなかったのかもね」
凛「そっか……」
凛「……」
凛(やっぱり大手だけあって、筆頭?とやらでもいきなりユニットに合格とはいかないんだ)
凛(そこにスカウトされた、か……)
凛「……」
凛(結構、期待されてるのかな)
92: 2015/01/19(月) 01:30:11.83 ID:tHLC96zJo
ちひろ「そして二次公募で見事合格となりました」
ちひろ「強運の持ち主ですね」
未央「いやー」
未央「どうやらアイドルの神様に目をつけられちゃったみたいでえ」 タハハー
未央「さっすが神様、やはり慈悲深い」 ウンウン
凛(単なる運扱いなのはいいんだ……)
93: 2015/01/19(月) 01:32:13.25 ID:tHLC96zJo
未央「ちなみにちなみにぃ、私が受かった理由ってやっぱりぃ~」
未央「スポーツ万能、プロレスだってなんのそのな学園のアイドルだからかなっ!?」
未央「かなあ!?」
P「……」
P「笑顔、です」
未央「ふむ、笑顔、か……」
卯月「あ、あはは……」
凛「気にしなくていいよ、あの人ファービー並の語彙しかないだけだから」
94: 2015/01/19(月) 01:34:40.00 ID:tHLC96zJo
ちひろ「では、明日までに提出をお願いします」
P「はい」
卯月「あのぉ~」
P「?」
卯月「そちらの方は……」
ちひろ「申し遅れました」
ちひろ「千川ちひろと申します」
ちひろ「このプロジェクトをいろいろな面からサポートしますので、よろしくお願いします」 ニッコリ
未央「よろしくお願いします!」 ガバッ
卯月「よろしくお願いします!」 ペッコリン
凛「よろしくお願いします」
凛「……」
凛(あの立てかけられた汚れたナタもその“いろいろ”に使うものだったりするのかな……) ブルッ
96: 2015/01/19(月) 01:44:24.74 ID:tHLC96zJo
ちひろ「では私から、ささやかながら……」 ニコォ・・・
未央「エナジードリンク……」
ちひろ「頑張ってね」
未央「こういうの、あんまり味が好きじゃないんですよねえ」
凛「年取ったら効くのかもしれないよ」
ちひろ「……」 ゴゴゴゴゴ
未央「い、いただきまーす!」
凛「うん、オシャレだし、最近のブームでいろんな味出てきただろうしうれしいなっ」
カシュッ
ゴキュッゴキュッゴキュッ
卯月「わあ、美味しい!」 パァァァ
凛「……」
未央「……」
凛「そこまで美味しそうに飲まれると……」
未央「確かに飲んでみたく……」
凛(これが、アイドルに必要な力……?)
97: 2015/01/19(月) 01:47:34.22 ID:tHLC96zJo
未央「キンッキンに冷えてやがるっ……!」
未央「あ……ありがてえっ……!」
卯月「わあ、すごく美味しそう!」
凛「うーん」
凛「伊達に養成所筆頭じゃないってことか……」
未央「んじゃ、オオトリ、どーぞ!」
凛「ええ!?」
凛「そんなこと言われても……」
未央「もーう、ノリ悪いぞー」
卯月「頑張ってー」 フフ
ちひろ「……」 クス
ちひろ「元気な娘達ですね」
P「はい」
98: 2015/01/19(月) 01:54:22.43 ID:tHLC96zJo
未央「皆学年いくつ?」
凛「高一だけど……」
未央「ふえ~」
未央「じゃあ同い年なんだ」
未央「その見た目で」
凛「どんな見た目の印象なの」
卯月「私は、二年生になりました」
未央「え!?」
未央「そうなんだ……」
未央「意外と歳いってるんだね、その見た目で」
凛(そこについては否定出来ないし、まさか歳上だなんて……)
99: 2015/01/19(月) 02:00:31.01 ID:tHLC96zJo
未央「いやーほんと、下かと思った」
凛「私も同級生かと」
卯月「ええええええ!?」
凛「……」
卯月「ふぇえ……」
凛「……」
凛(なんだろう、この可愛い生き物……)
凛「まあでも、一つお姉さんなんだし、リードよろしくね」
卯月「ふえ?」
卯月「……そうですねっ、がんばりますっ!!」 グッ
未央「うん、よろしくね」
卯月「はい、がんばりますっ」 ニコッ
未央「さっすがお姉さ~ん」
未央「このこの~」 ウリウリー
卯月「あはははは」 キャー
凛「もう、あんまり騒ぐのはやめなよ」
未央「じゃあ早速ちょっとペプシ買ってきてお姉さん」
凛「やめなよ」
100: 2015/01/19(月) 02:03:45.37 ID:tHLC96zJo
凛「プロデューサー」
P「……はい」
凛「他のメンバーはいないの?」
未央「そうそう、どんな娘達かなあ」
卯月「うんうん」
ちひろ「他の皆さんなら、レッスンの犠牲になって氏にましたよ」
未央「」
凛「」
卯月「」 ジョジョー
ちひろ「冗談ですよ」
凛「せめてそのナタ下ろしてから言って下さい」
未央「あーほら正気に戻ってお姉さん!」
卯月「」 カタカタ
101: 2015/01/19(月) 02:06:32.78 ID:tHLC96zJo
P「他のメンバーとの顔合わせは、おいおいと」
凛「ほんとに進行大丈夫なのかなこれ」 ヒソヒソ
未央「まあ、私達に声かかるくらいだからねえ」 ヒソヒソ
P「それでも何名か、シンデレラプロジェクトのメンバーはいます」
P「ですが、皆さんにはその前に――」
ちひろ「頃し合いをしてもらいます」
P「違います」
凛「なにそれ、物騒」
未央「そーいうブラックジョーク好きなんです?」
卯月「でもでもそういう発想がいきなり出るっていうのはすごいことですよっ」 アセアセ
ちひろ「これが若さなのね……」
P「10年以上前ですからね」
102: 2015/01/19(月) 02:27:01.03 ID:tHLC96zJo
<渡り廊下>
未央「プロになっても最初はレッスンなんだね」
未央「厳しいなあ」
卯月「レッスンは大事ですよ」
卯月「どんどん上達していくのは楽しいですし!」
凛「まあ、なんだかんだで駆け出しだしね」
卯月「一緒に頑張りましょう!」
未央「そうだね!」
未央「まあ、マルチなジャンルで活躍する346のレッスンは厳しいで有名だしねえ」
凛「そうなんだ……」
卯月「うう、頑張らないと!」
未央「でも実際こうして施設を見ると、なかなかに壮観だよね」
卯月「ここで、私達も立派なアイドルに……!」
未央「346プロの芸能人は、業界で生き抜くだけでなく、新たな世界を切り開く勇者が多い」
未央「そう言われてるんだよ」
凛「へえ」
凛「お城に住む王女様じゃなくて、その王女を迎えに行く王子様って感じなんだ」
未央「そうそう!」
未央「だから、一線級のアイドルからかけ出しアイドルまで未来の勇者がレッスンするこの施設は業界じゃこう呼ばれてるんだ」
未来「ヘラクレスファクトリー――って!」
106: 2015/01/19(月) 02:52:28.63 ID:tHLC96zJo
未央「でも、レッスンがあって助かったよね」
卯月「?」
未央「ジャージ」 ニヒッ
卯月「………………~~~~~~ッッ//////」 カァァァァッ
卯月「も、もうっ!」 プンプン
未央「あはは、怒った?」
未央「ごめんごめん、ジョーダンだよ」
凛「あんまり騒いだら迷惑だよ」
凛「ほら、向こうから人来てるし」
未央「おっと、いけないいけない」
卯月「…………えっ!?」
卯月「あ、ああああああれぇ!」 プルプル
未央「ん?」
未央「げえーーーーーーっ、あれは!」
108: 2015/01/19(月) 03:23:26.87 ID:tHLC96zJo
千枝「私、何だか気持ちが軽くなってきました!」
春菜「メガネトーストのおかげですかね!」
紗理奈「えっ、なにそれ」
春菜「メガネのトーストですよ」
紗理奈「形状の話だよね!?」
比奈「まあでも、メガネフライとかに比べたら、メガネトーストはまだ全然……」
紗理奈「オリジナル料理の話だよねそれ!?」
千枝「最初は硬くて食べにくかったんですけど、確かにやみつきになりますね」
春菜「でしょ~?」
春菜「このまま日常をメガネに染め上げちゃいましょうっ」
紗理奈「しれっと子供を暗黒の道に引きずり込もうとしてない?」
109: 2015/01/19(月) 03:28:23.46 ID:tHLC96zJo
卯月「わあ~~~~!」 キラキラ
未央「今の、見た見た!?」
卯月「はいっ!」
卯月「ブルーナポレオンですっ!」
未央「うおおお、初日からツイてるぅ~~~~~!!」
未央「やっぱり私って強運のラッキーガール!?」
卯月「なんていうか、キラキラしてましたっ!」
未央「オーラやばかったよね!」
卯月「あれがアイドルってことなんですかねっ!」
凛「どちらかというと狂気のオーラを感じたけど」
110: 2015/01/19(月) 03:31:01.29 ID:tHLC96zJo
未央「もしかしてもしかして、楓さんにも会えちゃったりしてぇ!」
卯月「うわあ!」
未央「うおおおおお、やる気出てきたぁ!!」
凛「……」
凛(そっか、二人はアイドル好きなんだもんね……)
凛(その点、私は……)
凛「ん?」
木の上の少女「!」
木の上の少女「……」 フリフリ
凛「……」 フリフリ
卯月「?」
卯月「凛ちゃん!」
凛「え?」
凛「うん……」
凛「……」
凛(何にせよ、濃い人が多いな……)
111: 2015/01/19(月) 03:41:33.98 ID:tHLC96zJo
<更衣室>
卯月「凛ちゃんは、ダンス始めてですよねっ」
凛「うん」
未央「そうなんだ、運動出来そうに見えるけど」
未央「スポーツ経験は?」
凛「運動は、犬の散歩とか、犬とたわむれるとか、そういうのくらいしか……」
未央「へー、意外」
卯月「本田さんは?」
未央「未央でいいよ」
卯月「じゃあ、未央ちゃん!」
未央「イヒヒー」
未央「まあ私は友達と踊ったりしてたけど、ちゃんと指導を受けるのは始めてかな」
凛「あれ、でも養成所では……」
未央「私のいたコースだと、主にバラエティ番組向けのフリートークとかやらされたからさ」
凛「バラドル……ってやつなのかな」
卯月「なるほど~」
卯月「私はダンス中心の養成所に通ってましたから、分からないことがあったら聞いてくださいねっ」 エヘヘ
112: 2015/01/19(月) 03:43:24.02 ID:tHLC96zJo
未央「おお、先輩じゃーん」
卯月「えへへ」
凛「私も卯月のダンス、見たことないな」
凛「頼りにしてるよ、リーダー」
卯月「うん、任せて!」
卯月「養成所で習ったカポエイラの腕前、ばっちり見せてあげるから!」
凛「ダンスは」
113: 2015/01/19(月) 03:46:20.68 ID:tHLC96zJo
<レッスン場>
エリートトレーナー「じゃあ私の動きを真似てまずは踊ってみて~」
卯月「はいっ!」
エリートトレーナー「見本を見てしか動けなくなると困るから、二度目からはこちらを見過ぎないこと!」
エリートトレーナー「もしも目があったら、ポケモントレーナーばりに近づいていって個別指導だからね」
卯月「は、はいっ!」
未央「ポケモン、私は草タイプ派かなあ」
卯月「あ、私は炎が」
凛「私はそういうゲームはちょっと……」
未央「じゃあ消去法的に水かなー」
卯月「あ、イメージぴったりかも」
エリートトレーナー「だからといって真横ばっかり見て雑談とかしないように」
114: 2015/01/19(月) 03:48:18.41 ID:tHLC96zJo
エリートトレーナー「はい、ワン、ツー、ステップぅ」
エリートトレーナー「ワン、ツー、ステップぅ」
エリートトレーナー「ほら腕のキレが落ちてるわよ~」
エリートトレーナー「はい、ワン、ツー、ステップぅ」
エリートトレーナー「ワン、ツー、黄金の右ぃ」
エリートトレーナー「ワン、ツー、そこで追撃の鉄の左ィ」
凛(何だかダンスと違う方向に行ってる気がする……)
エリートトレーナー「そしてとどめのメッキのアッパー」
凛(そしてどんどんショボくなってる)
115: 2015/01/19(月) 03:56:39.11 ID:tHLC96zJo
【レッスン後、ロビー】
卯月「うう、先輩風吹かせてすみません……」
卯月「この前はできたんです……」 ウウ
未央「いや、私も正直ある程度鍛えてたから余裕とか思ってたけど……」
凛「プロレベルのレッスンとなると、レベルが段違い、か……」
卯月「うう……」
未央「全身全然力入らないなあ」
未央「……ジャージ、貸そうか?」
卯月「うううううううう」
卯月「ヘロヘロで力入らないからって、まさか、あんな、あんな……!」 ウエーン
凛「わ、私だってハードワークで軽く戻したし……」 オロオロ
116: 2015/01/19(月) 03:59:40.32 ID:tHLC96zJo
凛「でもほんと、ダンスって難しいな……」
卯月「うん……」
凛「でも……」
凛「体動かすの、気持ちいいね」
卯月「……」
未央「口端にゲロつけていってもシまらないなあ」
凛「……」 グイ
未央「……」 カシュッ
卯月「あ、エナジードリンク」
未央「たまには自分にご褒美は大事って、ちひろさんが言ってたから!」
未央「」 ゴキュッゴキュッゴキュッ
未央「ぷはー!」
未央「何か元気でた!」
卯月「……ふふ」 クス
卯月「私も、買おうかなあ」
凛「……」
凛「じゃあ、私も……」
未央「おー、とうとうあのクールビューティもエナジードリンクの魔力に落ちたかー」 ウンウン
卯月「大人になったってことでしょうか」 フフ
凛「も、もう。茶化さないで」
117: 2015/01/19(月) 04:01:57.43 ID:tHLC96zJo
未央「でもさ」
未央「めちゃくちゃしんどいけど、楽しくもあるし……」
未央「私はまだ、全然辞めたりする気はないよ!」
卯月「……」
卯月「わ、私だって!」
卯月「やっと掴んだ夢への切符なんです!」
卯月「何度無様を晒しても、絶対に、ぜーーーったいに、諦めたりなんかしません!」
凛「……」
凛「私だって、やるって決めたんだ」
凛「この程度じゃ、逃げ出すつもりはないよ」
未央「……」 ニヒー
未央「よかったー」
未央「養成所時代の先輩が言ってたんだ」
未央「仲間と言うのはいいものだ」
未央「辛い時は半分で済むし、うれしい時は2倍うれしいって!」
118: 2015/01/19(月) 04:03:04.55 ID:tHLC96zJo
未央「私達、もう友達だし、仲間だよねっ!」
卯月「はい!」
凛「勿論」
未央「そうだよね!」
未央「それじゃあさ」
未央「約束しようよ」
凛「約束?」
未央「みんな一緒に頑張るって」
未央「最後まで諦めず、一緒に夢を叶えようって!」
凛「……うん、いいね」
卯月「賛成ですっ!」
119: 2015/01/19(月) 04:05:12.31 ID:tHLC96zJo
未央「それじゃあ誓いの乾杯を……」
卯月「えっ、もう二本目飲むんですか!?」
凛「中毒になるぞ」
未央「いやーついつい美味しくて」
未央「それに、やっぱり乾杯は一緒にしたいし?」
凛「まったく……」
卯月「でもなんか、ちょっとワクワクしますねっ!」
凛「……まあね」
未央「それじゃあ、乾杯の音頭をとるよー!」
凛「うん」
卯月「はいっ!」
未央「我ら三人、生まれし日、時は違えども」
凛「待って何か思っていたのとちょっと違う」
120: 2015/01/19(月) 04:06:21.58 ID:tHLC96zJo
凛「何で桃園の誓い」
未央「いやー、やっぱ苦楽を共にする皆とのアレコレならコレかなって」
凛「桃の要素一切ないし」
未央「……」
未央「そのきゅっと引き締まったおしr」
凛「黄金の右」 ズバン
未央「あたーーーーっ!」
卯月「あ、すごくいい風切音」
卯月「凛ちゃんやっぱりすごいなあ」
121: 2015/01/19(月) 04:07:25.46 ID:tHLC96zJo
未央「それじゃあ、百合園の誓いってことで」
凛「何その目」
未央「いや別に」
未央「仲いいなーって」
凛「そういうのじゃないから」
未央「あ、別にエナドリは二人が口移しで飲んでもいいよっ」
未央「百合園の誓いっぽいし」
凛「誓いというより痴態だそれは」
122: 2015/01/19(月) 04:08:47.31 ID:tHLC96zJo
凛「卯月、代わりに音頭とってよ」
卯月「ええっ!?」
凛「一応、最年長のリーダーだしさ」
卯月「う、うう」
卯月「わかりました」
卯月「この瞬間だけ、また先輩風びゅうびゅう吹かせちゃいますっ!」
未央「ま、しょうがないかー」
未央「音頭は任せたよ、リーダー!」
卯月「はい!」
卯月「……」
卯月「えーっと」
凛「?」
未央「どったの」
卯月「そういえば私達、ユニット名、ありませんよね」
123: 2015/01/19(月) 04:10:05.99 ID:tHLC96zJo
凛「言われてみれば確かに」
未央「シンデレラプロジェクトっていうのに参加はするけど、この三人だけを現す単語はなかったかなあ」
卯月「うーん、どうしましょう」
卯月「あった方が、掛け声しやすいかなあって」
凛「いいね」
凛「今、私達三人の中だけでもユニット名を決めることで、ちょっとモチベーションあがるかも」
未央「いいねー」
未央「じゃ、リーダー、決めるのよろしく」
卯月「えええええ!?」
124: 2015/01/19(月) 04:12:39.43 ID:tHLC96zJo
卯月「……」
卯月「あ、じゃ、じゃあこんなのはどうでしょうっ」
未央「なになに?」
卯月「私達、ブルーナポレオンとか、尊敬する先輩方に混ざるじゃないですか」
凛「うん」
卯月「でも……そんな尊敬する偉大な先輩達にだって、負けたらいけないんです」
未央「いいこと言う!」
凛「だよね」
卯月「だから、今もう伝説のアイドルへの道を歩んでるレジェンドさんに囲まれるから……」
卯月「ニュージェネレーション」
卯月「伝説を超えて、伝説を塗り替え、未来のレジェンドになる新世代、というのはどうでしょう」
凛「いいんじゃないかな」
凛「今から革命を起こそう、って感じがして、かっこいいと想う」
未央「うん」
未央「レジェンドを前にすると舞い上がっちゃうけど、舞い上がってばっかりもいられないしね」
未央「私達は新世代の、未来のスーパーアイドルだって意識するのはいいことかも」
125: 2015/01/19(月) 04:14:07.84 ID:tHLC96zJo
卯月「それじゃあ、改めて……」
卯月「私達、ニュージェネレーション!」
卯月「どんな辛くても、くじけそうでも、大変でも!」
卯月「一緒に戦う仲間を信じて、絶対皆一緒に夢を叶えましょう!」
未央「おう!」
凛「うん!」
「「「かんぱーーーーい!」」」
ゴキュッゴキュッゴキュッ
プハー!
オイシーーイ!
キャイキャイキャイ
P「……」
P(初めてのレッスンに対するヒアリングは……後日で大丈夫そうですね)
132: 2015/01/20(火) 01:35:19.35 ID:ozhMzxQQo
未央「ほっ」
ガコン
未央「ナイッシュー!」
卯月「さすがの運動神経ですね~」
凛「確かにそこはすごいな」
未央「ありゃ、普通に捨てに行くんだ」
凛「そりゃそうだろ」
卯月「あ、私はちょっと投げてみたいかも……」
未央「だっよねー!」
未央「さあ島村選手、大きくふりかぶってぇ!」
卯月「え? わわっ」
凛「おい、ムチャしてあいつのペースに付き合うことは――」
未央「投げましたあ!」
凛「大体オーバースローの必要性が……」
卯月「えいっ!」
未央「うわっ、暴投っ!」
未央「これは清原選手ならブチギレてるコーs――」
ガゴッ
ニャアアアアアアアアアアアアアア
未央「……」
凛「……」
卯月「……」 サーーーーーッ
未央「ま、窓開いててよかったネ、割らずに済んだ」
卯月「で、でも今誰かに当たったような……」
未央「き、気のせいだよっ!」
未央「こんな高さの木の上にアイドルがいるわけないじゃんっ!」
卯月「そ、そうですよねっ!」
卯月「そんなこと、あるわけないですよねっ!」
凛(何? アイドルって高い所に登らないといけない習性でもあるの!?)
134: 2015/01/20(火) 01:43:07.34 ID:ozhMzxQQo
未央「あ、エステーがある」
卯月「わあ」
未央「消臭力にはお世話になるよねえ」 ウンウン
卯月「私はムシューダが……」
凛(誰も疑問には思わないんだ……)
未央「あっ、見て」
未央「あっちにはメディカルサスペンション!」
未央「さっすが大手、傷ついたアイドル達へのアフターケアも万全かあ!」
凛(多分誰より必要なのはさっき落ちてった人だけど)
135: 2015/01/20(火) 01:46:52.58 ID:ozhMzxQQo
未央「うわっ、エステルームまであるっ!」
凛「ここ、会社だよね……?」
卯月「こっちにはゲームセンターが……!」
凛「ここ、会社だよね……!?」
未央「何ここ、プラネタリウム!?」
卯月「えっ、遊園地!?」
未央「アニマルパーク!?」
卯月「ご、ごごご拷問部屋!?」
未央「秘宝館!?」
卯月「お、おおお大手ってすごいんですねっ!」
凛「ここってほんとに会社なんだよねっ!?」
136: 2015/01/20(火) 01:53:10.33 ID:ozhMzxQQo
未央「私達も使えるのかなあ?」
卯月「えっ///!?」
凛「使うって、ドレを……」
未央「いやいやそんな下品なやつは選ばないから」
未央「ちょっとこの無重力ルームが楽しそうだなって」
卯月「おお」
未央「もしくはこの例のプール」
卯月「お……お?」 キョトン
未央「マジックミラー号ってやつも面白そうかもしれないなあ」
凛「何で選んだのそれっていうか何であるのソレ」
138: 2015/01/20(火) 01:56:43.48 ID:ozhMzxQQo
未央「んふっ」
未央「ちょっと挿入(ハイ)ってみよっかー♪」
卯月「秘宝館って何があるんですかね~?」
凛「こらこらこらこらこら」
未央「ん?」
凛「いや、ん?じゃないからっ///」
凛「せ、せめてエステルームとか、そういう将来使うようなとこに……」
未央「秘宝館も将来的には使うことに」
凛「やかましい」
139: 2015/01/20(火) 02:06:13.99 ID:ozhMzxQQo
未央「ちぇーっ」
未央「じゃあとりあえず、エステルームに入ってみよっかー」 ガチャー
卯月「み、未央ちゃんっ!」
凛「ちょ、ノックもせずに……!」
瑞樹「もう、な~にが地獄めぐりよ」
瑞樹「あんなのただの五重塔よ」
マッサージ師「大変ですね」
マッサージ師「でも秘湯めぐりという名の混浴アダルト番組よりはよかったんじゃ」
瑞樹「そうねえ」
瑞樹「これじゃ亀頭めぐりよ、なんて言わなくて済んだのはよかったけど」
瑞樹「でも危うく狂乱しかけたわぁ」
マッサージ師「十分、リフレッシュしてくださいねっ」
140: 2015/01/20(火) 02:10:03.97 ID:ozhMzxQQo
ガラッ
未央「あっ」
卯月「あっ」
瑞樹「……ん?」
未央「よもや先客がいるとは」
卯月「でもよく考えたら誰もいなかったらカーテンは開けてるよーな……」
マッサージ師「ご予約の方ですか?」
卯月「い、いえ……」
未央「あ、あは……あはは」
未央「失敬!」 ドヒューン
卯月「し、失礼しましたあ~~~~~」 ダダダダダー
141: 2015/01/20(火) 02:15:01.67 ID:ozhMzxQQo
ダダダダダ
ドゴォ
卯月「はうっ!」
凛「!?」
凛「今、壁が欠け……」
卯月「いたた……」
凛(こ、これがアイドルを目指し鍛え上げてきた少女のフィジカルってこと……!?)
未央「見た見た!?」
未央「中にいたの、川島瑞樹だったよねぇ!?」
卯月「は、はい……」
卯月「やっぱり綺麗でした……!」
未央「いやーエステルームがある会社なんて聞いたことないよー!」
卯月「私もです!」
凛「多分向こうも無断でいきなりエステ中に乱入してくる新人なんて聞いたことないと思ってるんじゃないかな」
142: 2015/01/20(火) 02:18:41.49 ID:ozhMzxQQo
未央「ねえねえ、冒険しない!?」
凛「冒険?」
未央「こんなおっきなビルなんだし、他にも何かあるよきっと!」
凛「何でハンマー」
未央「入れない所があるかもしれないしー」
凛「じゃあ入らない方がいいんじゃ」
未央「でも冒険だしー」
凛「そしてその右手のアロマは」
未央「冒険といえばトレジャーハントだしー」
凛「返してこい」
143: 2015/01/20(火) 02:20:54.97 ID:ozhMzxQQo
未央「ツッコミ結構手厳しいよね」
凛「きつく言わないと適当に流されそうだし」
未央「よくご存知で」
凛「否定しないんだ」
未央「ま、それより、行こっ!」
未央「アロマはちゃんと返してきたし」
未央「心置きなく洞窟探検隊!」
卯月「どうくつ……?」
凛「だから盗ったらダメだって」
144: 2015/01/20(火) 02:25:38.53 ID:ozhMzxQQo
未央「とりあえずこの階から見ていこっか!」
凛「まあ、この階にはさっきみたいなイロモノで危なそうな場所はないけど……」
卯月「ここ、他のアイドルさんがレッスン受けてるみたいですね」
未央「まっ、敵情視察も兼ねてねっ」
未央「偉大な先輩を見つめながら、ライバルであろうほぼ同期達を見てやろうってことよ!」 フフーン
卯月「なるほど~」
未央「と、いうわけで、適当にぶらついてみよー」
卯月「はーい!」 ワァイ
凛(規模の割にセキュリティ意識ガタガタだなあ……)
145: 2015/01/20(火) 02:30:26.79 ID:ozhMzxQQo
<トレーニングルーム>
未央「おおっ、バランスボール!!」
卯月「私あれ苦手かも……」 アハハ・・・
未央「うーん、見たことないし、同期に近い人達だよね」
凛「負けないようにしないとね」
<別のトレーニングルーム>
卯月「わわっ、ここでもダンスを……!」
未央「すご、キレッキレ……!」
凛「しかも全員の動きがピッタリ合ってるね」
未央「うーむ、負けていられませんなあ」
凛「息切れしてないし、私達も早くああならないといけないんだよね……」
卯月「しかもとっても笑顔だなんて……」
未央「絶対負けないぞー……!」
<更に別のトレーニングルーム>
未央「おお、なんか超能力開発研究所って書いてある」
卯月「何だかすごそうなレッスン風景が……!」
凛「多分参考にならないししたらダメな系統だと思うけど」
146: 2015/01/20(火) 02:33:05.68 ID:ozhMzxQQo
未央「おっふろーーー!」
卯月「広っ!」
凛「ていうか勝手に入っていいのここ?」
凛「いやどこもダメと言われたらダメだろうけども」
未央「写メっとこ」
凛「怒られるよ……」
卯月「わあ~、あったかい!」
未央「サウナは……と」
ドジュウウーーーーーーーッ
未央「あちゃああああああああ!」 ギュッ
凛「~~~~~~っ!」 ビックゥ
凛「な、ななななにを!?」
未央「いやごめんごめんすごく熱くて」
未央「熱いの触ったら耳たぶ触るといいって小さい頃聞いたのを走馬灯で思い出してさー」
卯月「あー、耳たぶって冷たいから、でしたっけ」
凛「事実だとしても自分のでして」
147: 2015/01/20(火) 02:38:18.93 ID:ozhMzxQQo
凛「あんまりはしゃいで迷惑かけると怒られ――」
未央「あ、ソフトバンクのお父さん」
凛「」 ダッ
未央「えっ、早っ!」
卯月「り、凛ちゃん!?」
凛「あの、撫でてもいいですかっ」
ドッグトレーナー「えっ」 ビクッ
ドッグトレーナー「ど、どうぞ」
未央「えっ、なにあの超積極的ぶり!?」
卯月「わんちゃんに目がないですからねー……」
未央「なんか一心不乱に顎ナデナデしてるんだけど!」
凛「……」 ナデナデナデナデ
未央「……まあ、本人めちゃくちゃ楽しそうだからいいけど」
卯月「凛ちゃんだけちょっと引いた場所にいるの、楽しくないのなって不安だったけど……」
卯月「楽しんでくれてそうで、安心しました」 フフ
未央「だねー」
未央「よーし、そんじゃ、このまま憂かれ気分で探検するぞー!」
卯月「おお~!」
148: 2015/01/20(火) 03:02:14.06 ID:ozhMzxQQo
未央「おおっ、等身大パネル!」
卯月「記念撮影しましょう!」
凛「……撮ってあげるよ」
凛「はい、チーズ」 パシャリ
卯月「次は撮りますよっ」
未央「凛ちゃんもわんこのおかげで大分丸くなったねえ……」
未央「あっ、オサレな感じのスペースが!」
卯月「こういう所で毎日居残りレッスンとか、グッときますよね!」
未央「わかるわー」
凛「どうやらあっちでパネル展示があるみたい」
卯月「わあ!」
未央「よっしゃ、偉大な先輩様の偉業を拝みにいこーう!」
卯月「お~!」
149: 2015/01/20(火) 03:15:07.76 ID:ozhMzxQQo
【数時間後・MISHIRO CAFE】
未央「はあ~~~」
未央「夏樹さんのギター、最高だったねしまむー!」 キラキラ
卯月「はい、素敵でした……!」 ウットリ
卯月「……」
卯月「って、しまむー……?」
未央「私もあんな風に弾いてみたいな~~~」 キラキラ
凛「ギター弾けるんだ?」
未央「いや、全然」
未央「でも叩きつけて壊すのなら出来そうだし、ギタリストもいいかなーって」
凛「ギタリストに怒られるよ」
151: 2015/01/20(火) 03:31:21.97 ID:ozhMzxQQo
未央「あっ、インタビューしてる!」
未央「後ろでピースしてこなきゃ」
凛「コラ」
卯月「でもほんと、右を見ても左を見てもアイドルアイドルアイドルですねぇ」
凛「あの子達もアイドルなの?」
未央「そうだよ!」
卯月「そうですよ!」
凛「……アイドル多すぎない?」
未央「これに加えてデビュー前の娘たちまでいるんだからねえ」
未央「過酷な世界だよ」 ウンウン
卯月「ニュージェネレーションも頑張って旋風を巻き起こさなくちゃ……」
152: 2015/01/20(火) 03:36:54.42 ID:ozhMzxQQo
メイド店員「いらっしゃいませえ!」
メイド店員「346カフェへようこそようこ(はあと」
メイド店員「メニューをどうぞ!」
未央「ここってメイド喫茶?」 ヒソヒソ
卯月「そうかもしれません」 ヒソヒソ
凛「アングラな感じだね」 ヒソヒソ
メイド店員「ふっふっふー」
凛「?」
メイド店員「今日はわけあって臨時でバイトしてますが、その正体は!」
メイド店員「きゅぴーん★」
メイド店員「うさみんパワーで、メルヘンチェ~~~ンジ!」 クルリーン
メイド店員「歌って踊れる声優アイドルうさみんことぉ――」
メイド店員「安部菜々でえ~~~す☆」 キャルルーン
菜々「きゃはっ☆」 ウイーンク
凛「うわあ……」
未央「脳味噌めぇるへん……」
卯月「こ、こここういうジャンルもあるんですよっ」 アセアセ…
153: 2015/01/20(火) 03:47:42.78 ID:ozhMzxQQo
【ロビー】
P「……」
P「……」 チラッ
時計「」 カッチカッチ
P「……」
オツカレサマデシター
オツカレサマデシタ
楓「……あっ」
楓「おはようございます……」 ペコリ
P「おはようございます」
楓「……」
P「……」
楓「……」 スッ
カツ…
カツ……
P「……」
154: 2015/01/20(火) 03:53:32.63 ID:ozhMzxQQo
眠気が尋常じゃないため投下を中断します。
この先はアニメ成分が薄れていきますのでご注意を。
この先はアニメ成分が薄れていきますのでご注意を。
155: 2015/01/20(火) 04:08:16.97 ID:ozhMzxQQo
投下したと想ってたた1レスが強制終了に酔って投下失敗してたのでそこだけ落として終わります
156: 2015/01/20(火) 04:11:55.16 ID:ozhMzxQQo
未央「プロデューサー!」 ダアッ
卯月「はあ……はあ……」 ゼヒー
未央「ねえねえ、プロデューサーって高垣楓と知り合いなの!?」
P「……」
P「ええ」
未央「わあ~~~~!!」
卯月「すごいですっ!」
凛「……」
凛(あんまり知らない……)
未央「ひょっとしてぇ、プロデューサーって大物!?」
P「……」
P「同じ……事務所ですから」
<曲がり角を曲がってすぐの氏角>
楓「…………」
楓(同じ事務所だから……か)
164: 2015/01/20(火) 22:47:16.74 ID:ozhMzxQQo
P「それより……遅刻ですよ」
未央「げっ」
凛「うっ」
卯月「ううっ」
未央「でもプロデューサー」
未央「3/4がこの時間にきたってことは、実は待ち合わせは今の時間で」
未央「プロデューサーが早く来ただけっていう可能性も」
P「ありません」
P「この時間だと確かにお伝えしてました」
未央「……あはは」
未央「すみません」
凛「すみません……」
卯月「すみませんでした……」
165: 2015/01/20(火) 23:03:31.29 ID:ozhMzxQQo
卯月「ちょっと寄り道して、遅くなっちゃいました……」
凛(……ちょっとではないよーな)
P「時間は厳守です」
P「今後は気をつけて下さい」
卯月「はい……」
凛「はい……」
未央「はーい」 ヘーベルハウス
P「では、行きましょう……」
P「他のメンバーを紹介します」
未央「滑った……」
卯月「も、もう、謝るときは真面目にしなくちゃだめですよっ」
卯月「ねえ凛ちゃん!」
凛「……」 プルプル
卯月「……凛ちゃん?」
凛「……」 ククッ
卯月「……意外とツボだったんだ……」
未央「やっといて何だけど、しぶりんのツボよくわからないよね」
卯月「……」
卯月(しぶりん?)
166: 2015/01/20(火) 23:06:18.39 ID:ozhMzxQQo
P「今から、他のシンデレラプロジェクトのメンバーを紹介します」
P「ですがそれは、同時に皆さんも紹介されるということです」
卯月「!」
P「ですので――」
P「同時に、皆さんにとって、初めての仕事を行っていただきます」
未央「えっ……!?」
卯月「えっ!?」
凛「えっ……ふっえふっ」 ゴホゴホ
未央「むせてる……」
卯月「まだツボにはまってたんだ……」
167: 2015/01/20(火) 23:22:46.25 ID:ozhMzxQQo
未央「うわあ~~~~っ!」
卯月「綺麗~~!」
P「これから、皆さんには今後の宣材写真を撮影して頂きます」
未央「せんざいしゃしん!?」
卯月「アタックとか……でしょうか」
未央「いやいや、これはトップを撮れ、つまりは頂点を奪えという小洒落たエールに違いないよ!」
P「違います」
168: 2015/01/20(火) 23:31:45.50 ID:ozhMzxQQo
凛「宣材写真、か……」
凛「ほんとにアイドルになったんだ……って感じだよね」
未央「うん」
卯月「ちょっと不思議な感じですねっ」
未央「でも、わくわくするよ!」
凛「うん」
卯月「写真って、このセットで撮るんですか?」
P「いえ、こちらです」
P「他のメンバーはもう、撮影を始めています」
卯月「他のメンバー……」 ドクン
未央「どんな人達なんだろうねー」
凛「仲間にしてライバルになる娘達、か……」
169: 2015/01/20(火) 23:58:47.46 ID:ozhMzxQQo
卯月「うわあ~~~っ、おっきいリング……!」
未央「げえーーーーっ、あんな小さい体であんな大きなオブジェをにこやかにリフトアップしているーーーーーーっ!!」
凛「あの写真を撮ってる人が私達の仲間……?」
P「ええ」
謎の幼女「ねえねえ、お姉ちゃん達って、シンデレラプロジェクトの仲間~?」
未央「そうだよ」
謎の幼女「わあ~い」 ピシガシグッグッ
謎のギャル「やったねっ!」 ピシガシグッグッ
謎の幼女「赤城みりあです!」
みりあ「これで全員集合だねッッ!」
みりあ「嬉しいなあ!」
謎のギャル「やっほー☆」
謎のギャル「私、城ヶ崎莉嘉!」
莉嘉「中学1年だよっ!」
莉嘉「仲良くしよーねっ!」
卯月「はいっ!」
170: 2015/01/21(水) 00:05:06.86 ID:bKKOQm/yo
凛「……」
凛「さっき木登りしてた……」
莉嘉「おお!」
莉嘉「さっきのお姉ちゃん!」
みりあ「またカブトムシ?」
莉嘉「うん!」
莉嘉「すごく爆裂してるカブトムシがいてさ☆」
凛(ばくれつ……?)
171: 2015/01/21(水) 00:25:31.44 ID:bKKOQm/yo
P「……一人、足りないようですが」
莉嘉「あー」
みりあ「みくちゃんなら、莉嘉ちゃんが木登りしてるのを見て、」
みりあ「木の上なら猫の本領」
みりあ「人間が気軽に木に登ると危ないにゃ」
みりあ「――って言いながら木に登っていったきり……」
ちひろ「どうやらメディカルサスペンションに運ばれたようですねえ」 ヌッ
凛「うわあ!」
未央「び、びっくりした……」
ちひろ「どうやら高所から落下したみたいだし、木登りはほどほどにね」
莉嘉「うわー、こわー」
未央「ね、ねえ、あれって」 ヒソヒソ
凛「そ、そうと決まったわけじゃないし……」 ヒソヒソ
172: 2015/01/21(水) 00:37:29.22 ID:bKKOQm/yo
莉嘉「今の所は以上の三人だよー」
みりあ「お姉ちゃんが出来て、ファン層に厚みが増してきたねっ!」
未央「子供のくせに結構考えてるんだなあ」
ちひろ「小さい頃から芸能界にいるとそうなるものですよ」
P「何にせよ、高校生世代の三名も無事合流しました」
P「療養中の前川さんを合わせて6人が、現在のシンデレラプロジェクトのメンバーです」
凛「……現在の?」
ちひろ「シンデレラプロジェクトは、夢見る少女が夢を叶えるプロジェクト」
ちひろ「発展する内に加入するメンバーもいれば、夢が叶って卒業するメンバーもいますよ」
未央「へえ~!」
ちひろ「元に最初は時計の針の数に合わせて12人の予定だったんですけど……」
ちひろ「お正月特番需要で夢を叶えた娘が多くて、大幅に人数が減ってしまって」
P「嬉しい誤算です」
未央「へえ、すごいなあ」
卯月「私達も、がんばりましょうっ!」
凛「うん」
173: 2015/01/21(水) 00:46:25.32 ID:bKKOQm/yo
卯月「……あっ、島村卯月ですっ」
卯月「えっと、がんばります!」
凛「渋谷凛です、よろしく」
未央「本田未央、高校1年!」
未央「未央って呼んでね☆」
莉嘉「じゃあ、これでいよいよ……!」
P「ええ」
P「シンデレラプロジェクト、いよいよ始動です」
莉嘉「やったあ!」
みりあ「わあい!」
174: 2015/01/21(水) 00:50:59.13 ID:bKKOQm/yo
ビXチっぽい声「あれ~?」
ビXチっぽい声「何だか賑やかだね~」
凛「ん……?」
ビXチっぽい娘「何の集まり~?」 ヒョコッ
卯月「わ、わわわわわ!」
未央「う、うおおおおおおおお!」
凛「誰?」
卯月「ご存知、ないのですか!?」
未央「カリスマJKモデル城ヶ崎美嘉ッッ!!」
美嘉「はあ~い☆」 ニヒ
未央「今の御時世ギャルで売れてるすごい人なんだぞっ!」
卯月「本当に、女の子からの支持もすごいんですよねっ!」
未央「それでいて男性ファンへの配慮も欠かさず、性的なことを仄めかすコラムは断ってるというプロっぷり!」
美嘉「あ、あははー」
ちひろ「コラムを書こうにも、そもそもに経験が」
未央「え?」
ちひろ「いーえ、なんにも」 ニコッ
175: 2015/01/21(水) 00:59:29.27 ID:bKKOQm/yo
凛「言われてみれば、前に雑誌で見たような」
莉嘉「おねえちゃ~~~ん!」 タッタッター
卯月「おねえちゃん……?」
未央「じょうがさき……」
卯月「ああ~~~~~~っ!」
未央「そ、そうか~~~~~~~~~っ!」
未央「二人共苗字は城ヶ崎……」
未央「つまり二人は姉妹だったんだーーーーーーっ!」
凛「いや、そんな最初の一言でわかるようなことをくどくど説明されても」
みりあ「な、なんだってー」
凛「アホのお姉ちゃんには付き合わなくていいからね」
176: 2015/01/21(水) 01:19:43.19 ID:bKKOQm/yo
莉嘉「ねえ、これ何の衣装?」
美嘉「今度のライブパンフ用だよ」
未央「あのっ!」 パシッ
凛「うわっ、いきなり手を取った」
ちひろ「完全にただのファンになってますねえ」
未央「私、本田未央!」
未央「本日付でアイドルになりましたっ!!」
美嘉「ふう~ん」
美嘉「今日はアー写か何か?」
未央「はいっ!」
凛「……あの、アー写って」 ヒソヒソ
ちひろ「アーシャ――70年代アメリカで一大センセーションを巻き起こしたアイドルのことよ」
ちひろ「彼女の伝説は、事務所所属時に先輩全員にケンカを売り、自分の進退をかけて一人ずつ真っ向から叩き潰したところから始まる」
ちひろ「転じて、所属初日に先輩にケンカを売り、自らを四面楚歌におくことをアーシャと言うようになったのよ」
凛「えっ……」
ちひろ「冗談ですよ♪」
みりあ「アホのお姉ちゃんみたいなタチが悪い冗談を言うちひろさんの相手はしなくてだいじょうぶだよ~」
177: 2015/01/21(水) 01:21:58.19 ID:bKKOQm/yo
美嘉「そっか」
美嘉「私は違う部署だけど、よろしくね」
卯月&未央「「よろしくお願いします!!」」
莉嘉「お姉ちゃんもこっちに来ればいいのにぃ~!」
美嘉「まあ、アンタを一人にさせとくのは心配だけどねえ」 クスクス
莉嘉「ひどいぃ~!」
美嘉「あはは」 トン
莉嘉「はは……」
美嘉「じゃ、がんばってね~」
一同「「「「はいっ!」」」」
178: 2015/01/21(水) 01:23:27.87 ID:bKKOQm/yo
美嘉「にひー」
パシャッ
パシャッ
未央「すごいっ……」
卯月「うわー! うわーーー!!」
莉嘉「さっすがおねーちゃん」
凛「確かにかっこいい……」
みりあ「伊達にすでに一線級じゃないよね……」
シマムラサーン、ジュンビオネガイシマース
卯月「あっ、はいっ!!」
179: 2015/01/21(水) 01:25:45.04 ID:bKKOQm/yo
卯月「……落ち着かないね」
凛「ただ待つだけっていうのはね」
未央「チミっ子なのに、二人共落ち着いてるしねえ」
卯月「プロの人にお化粧されるの、緊張したあ」
未央「あ、それわかる!」
未央「なんだかんだで養成所でも自分でやってたからさあ」
凛「私も、ブラッシングされたのなんて久しぶりで」
未央「あー、意外かも」
卯月「髪の毛綺麗だし、修学旅行とかで梳かせてーとか言われてそうですもんねー」
凛「そ、そうかな?」
凛「私としては、ハナコの方がよっぽどブラッシングしてあげたくなる存在だと思うんだけど……」
未央「誰? アイドル? クラスメート?」
卯月「ワンチャンですよ」
180: 2015/01/21(水) 01:40:08.01 ID:bKKOQm/yo
シマムラサーン、ハイッテクダサーイ
卯月「は、はいっ!」
パシャッ
パシャッ
卯月「」 カチンコチン
カタイヨーワラッテワラッテー
凛「あの卯月でも、緊張するんだ……」
未央「うーん、私も笑顔が売りな以上、気合い入れないと……」
パシャッ
パシャッ
未央「あらよっとお!」 アシアゲー
未央「ほいさー」 コマネチー
モットフツウニー
凛(緊張すると意味分からない冗談やって滑るタイプか……)
181: 2015/01/21(水) 01:45:25.99 ID:bKKOQm/yo
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「うーん」
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「どうします?」
P「……もう一度、お願いします」
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「了解」
未央「……なんか、ガチガチだったね」
凛「……うん……」
卯月「うう、なんだか緊張して……」
未央「はあ……普通って、むずかしい……」
凛「……」
凛「あの娘達は、一発オーケーだったのに……」
卯月「……うう」
183: 2015/01/21(水) 01:52:30.62 ID:bKKOQm/yo
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「今度は三人一緒に撮ってみるから、普段通りワイワイやってみて」
卯月「は、はいっ!」 ガチガチ
未央「普段通りって……」
ヒュオッ
未央「ふえ?」
ドゴォ!!
未央「」
凛「」
卯月「」
みりあ「そのボール、使っていいって許可おりたよ!」
莉嘉「普段通り自由に動いていいらしいし、リラックスすればいけるいける」
凛「ボールっていうかボーリング玉なんだけど」
莉嘉「似てる似てる」
凛「氏ぬから」
莉嘉「だいじょうぶだよーちゃんと軽めに10ポンドにしておいたし」
凛「氏ぬから」
184: 2015/01/21(水) 02:15:44.09 ID:bKKOQm/yo
みりあ「他にもボールならいっぱいあるよ~!」 ドザー
凛「ちょ、箱をひっくり返すのはやりすg――」
未央「うわっ、なにこれすごっ!」
卯月「わわわっ!」
凛「ほんと無駄に物品揃えてるなここ!」
卯月「野球ボールサッカーボールゴルフボールラグビーボール……」
卯月「ビリヤードに……うわあ、見たこと無いボールまでありますよ!」
未央「うわっ、モビルスーツまであるっ!」
卯月「こ、ここここれ!」
卯月「キャッツのスーパーエースのサインボールですよっ!」
凛「あ、意外と卯月野球も見るんだ」
未央「うっはー、スーパーボールまであるよなっつかし~」 ケラケラ
ボヨーン
卯月&未央「「スーパーボール」」
未央「YEAHHHHHH」 ピシガシグッグッ
凛「……」
凛(またアイドルネタかな、テレビもっと見ようかな……)
185: 2015/01/21(水) 02:19:27.68 ID:bKKOQm/yo
凛「それにしても本当に変わり種のボールばっかり……」 ゴソゴソ
パキャ
凛「」
デロッ
凛「……あの」
凛「なんか卵入ってたんですけど」
莉嘉「丸いし」
凛「世間じゃ新人いびりになると思うんだけど」
莉嘉「丸いし投げれるしほとんどボールだよ」
凛(年上年下とか関係のない修羅の世界ってことなのかな、芸能界)
186: 2015/01/21(水) 02:22:23.35 ID:bKKOQm/yo
卯月「わわっ、こっちにもボール以外のものが……」
凛「どれどれ……」
卯月「丸いペンギンのぬいぐるみ……」
凛「……」
凛「まあ、これは可愛いしいいけど……」
卯月(いいんだ……)
未央「」
凛「ん?」
凛「どうしたの、そっちにも何か――」
未央「これ」
ボム兵「ウィウウウウウィウwwwwwwwwwwwwww」
凛「」
卯月「」
187: 2015/01/21(水) 02:25:22.23 ID:bKKOQm/yo
凛「ちょ、普通に火花散ってない!?」
未央「あ、ああああ熱いんだけど思ったより!」
卯月「ど、どどどどうしましょう!?」
未央「と、とりあえず、しまむーパス!」 ヒュオッ
卯月「ええ!?」
ドガッ
卯月「あうっ!」
莉嘉「あっ、弾いた」
みりあ「わわっ、落下したら衝撃で爆発――!」
凛「っと!」 キャッチ
凛「あ、あぶなかった……」
卯月「……しまむー?」
凛「凶器いきなり顔に投げられて第一声がそれでいいんだ……」
188: 2015/01/21(水) 02:32:30.96 ID:bKKOQm/yo
未央「しぶりん、パスパース!」
凛「しぶりん?」
凛「え、っていうか、いいのパスして」
未央「いやあ、まあ、なんとなく」
凛「まあ、いいけど」 ビュッ
卯月「オーバースロー!?」
未央「げえーーーっ、しぶりんスモーキーかっ!」
未央「球の出所が見辛――!」
みりあ「わわっ、あれだと手前で落ち……!」
未央「し、しまむーパスっ!」 レシーブ
莉嘉「おっ、うまい」
莉嘉「キャッチは無理ならーっていうことだよねー、あれ」
卯月「は、はう!」 トス
みりあ「わあ、あのしゃがんだ体勢から正確なトス……!」
莉嘉「うーむ、相棒に置きたい職人技だねー」
莉嘉「私もお姉ちゃん相手にいろいろ支えてあげたいのになー」 プクー
未央「しぶりんスパイク!」
凛「え!?」
卯月「え!?」
190: 2015/01/21(水) 02:46:30.49 ID:bKKOQm/yo
未央「スパイク!」
凛「くっ……」
凛「どうなっても知らないからねっ!」 バッ
みりあ「た、高い!」
莉嘉「わあ、すごーい。あんなに跳べるんだ」
卯月「すご……綺麗……」
未央「あっ、ぱんつ見えた」
凛「……っ///!」 カァァァァ
未央「薄桃いr」
凛「口に出すなっ///」 バシイイイイン
未央「よし、ナイスコース!」
未央「私の運動神経にかかれば、コースさえわかっていれば――!」
みりあ「あ、あの技って!」
莉嘉「投げっぱなしジャーマン!」
莉嘉「スパイクの勢いを殺さず、自分の投げっぱなしジャーマンの威力を追加したんだっ!」
ボッコォ
莉嘉「わあ、壁に穴が……!」
みりあ「お姉ちゃんたちすごい!」
未央「ふっふーん」
未央「スパイクだけと壁にぶつかってボム兵が爆発してたかもしれない」
未央「でも私の投げっぱなしジャーマンを合わせることで、爆発より先に壁が衝突の衝撃に耐えられずぶっ壊れた!」
未央「これで全員無事ってわけ」 ドヤー
みりあ「わあ~~~!」 キラキラ
未央「ま、力を合わせて困難を乗り切る私達らしいプレイってとこかな」 フフン
卯月「うう、私は……」
凛「卯月が打ちやすいトスをあげてくれたからこそだよ」 ナデ
未央「そーそー」
未央「三人全員の勝利だよ」 グッ
191: 2015/01/21(水) 02:49:51.43 ID:bKKOQm/yo
P「……」
P「結果としてボム兵は階下で爆発したようですが」
ちひろ「多分メディカルサスペンションのあたりですけど」
ちひろ「……」
ちひろ「まあ、なんとかなりますよ」
P「……」
P「大切なアイドルですから、危ないものの混入は」
ちひろ「分かってます」
ちひろ「次からちゃんと見ておきますよ」
192: 2015/01/21(水) 02:54:30.57 ID:bKKOQm/yo
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「いいねえ、その笑顔」
未央「あはっ」
未央「さすがは合格理由が笑顔のワ・タ・シ」 クルクルー
凛「何で地球儀」
未央「でも卵よりはボール寄りじゃない?」 ヒュッ
卯月「うふふ、私もです」 ポス
卯月「合格理由、笑顔♪」 ポイッ
凛「……ふう」 ポスッ
凛「それしか言わないから」 スモーキー
未央「うわっ、強」 バシッ
未央「……って、え?」
未央「……ぷっ」
凛「……くくっ」
卯月「……ふふ」
未央「皆一緒かあ」 ポイー
ガシャーン
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「げえーーーっ、照明が落下したーーーーーーっ!」
ちひろ「真上になんて放るから……」
193: 2015/01/21(水) 03:08:24.16 ID:bKKOQm/yo
美嘉「……へえ」
美嘉「はじめてにしてはいい感じじゃん」
ソレジャア、ヒトリズツトルヨー
ハイッ
美嘉「……ふうん」
美嘉「そうだ」 パァ
美嘉「あの娘達、今後のスケジュール決まってる?」
P「現在、企画中です」
194: 2015/01/21(水) 03:11:25.76 ID:bKKOQm/yo
未央「ねえ、皆で撮ろうよっ!」
莉嘉「いいねー!」
未央「私達ニュージェネもだけど、シンデレラプロジェクトのメンバーとしても!」
未央「皆一丸となって栄光をつかめるようにさっ!」
凛「うん、いいね」
卯月「プロデューサーさんも、一緒にどうですか!?」
みりあ「ねーねー!」
P「いえ、皆さんでどうぞ」
一同「「「「「ええー」」」」」
同人誌で脅迫レOプとかしそうなおじさん「それじゃ、撮るよー」
パシャッ
ワイワイ
キャイキャイ
P「……」
P「……何を、なさっているのですか」
P「こんなところで」
楓「……」
195: 2015/01/21(水) 03:15:57.70 ID:bKKOQm/yo
美嘉「いや、さっき、そこで偶然会っちゃってさ」
P「……そうですか……」
莉嘉「あっ、お姉ちゃん!」
美嘉「おっ、ちょうどいいとこに!」
莉嘉「聞いて聞いて、さっきさ――」
スッ
莉嘉「……え?」
莉嘉(素通り……?)
莉嘉(……そりゃ、アタシはいつでも喋れるし、まず新人からって言うのは正しいかもだけど……) ムゥ
美嘉「ええっと、本田未央と、確か――」
卯月「あっ、卯月です! 島村卯月!」
凛「凛。渋谷凛」
美嘉「そうそう」
美嘉「突然なんだけどさあ」
美嘉「ライブで、私のバックダンサーやってみない?」 ニィ
196: 2015/01/21(水) 03:27:06.94 ID:bKKOQm/yo
美嘉「アタシのバックで、ちょうどこんな娘達を探してたんだ~」
美嘉「ちょーっとくらいアピールチャンスはあげるし、悪い話じゃないと思うよ?」
卯月「わ、わわわ私が城ヶ崎美嘉さんのステージで……!」 プシュー
未央「うおおおお、伝説的なデビュー……!」
凛「え、でも、まだプロデューサーに確認しないことには……」
ちひろ「美嘉ちゃんの担当からはオーケーを貰いましたが、どうしますか?」
P「……自分としては……」
莉嘉「……」
莉嘉「いいんじゃない」
みりあ「莉嘉ちゃん……?」
莉嘉「お姉ちゃんが認めたのならさ」
莉嘉「それだけの実力があるってことなんだし、そういうデビューもありだと思うよ」
美嘉「さっすがアタシの妹、話が分かr」
莉嘉「でも!」
莉嘉「それだったら――私にだってチャンスはあるはずだよね!」
美嘉「……莉嘉?」
197: 2015/01/21(水) 03:31:13.47 ID:bKKOQm/yo
莉嘉「お姉ちゃん、いつもいつもアタシを子供扱いするけど」
莉嘉「アタシはもう、立派にアイドルとして、お姉ちゃんと一緒にステージ立てるんだよ……!」
美嘉「いや、でもお前は――」
莉嘉「だから……」
莉嘉「アタシがもし、卯月ちゃん達に勝ったら」
莉嘉「認めてよ」
莉嘉「お姉ちゃんの隣に相応しいのはアタシって」
莉嘉「そしてステージに立たせてよ!!」
美嘉「莉嘉……」
莉嘉「お姉ちゃん言ってたじゃん」
莉嘉「アイドルは実力世界、弱肉強食だって!」
莉嘉「私はもう、守られてばかりのシマウマじゃなくて、立派なライオンなんだ!」
198: 2015/01/21(水) 03:36:04.92 ID:bKKOQm/yo
P「……」
ちひろ「と、いうことですけど」
ちひろ「私も、元々実力社会でのしあがるシンデレラになるべくして集まった彼女たちが」
ちひろ「こういう形で一歩を踏み出すのもありじゃないかと思いますけど」
じじい「うむ、その通り」
じじい「確かにレッスンも大事だが、養成所や企画進行前にみっちりしてはおろう」
ちひろ「いっそ、美嘉さんのバックで演る座をかけて、競い合うのも面白いかもしれませんね」 フフ
P「……」
P「島村さん達は、どうしたいのですか」
卯月「ええっ」
卯月「わ、私達は……」 チラッ
凛「……」
凛「誰にも気なんて使わずに、素直な気持ちを言えばいいと思うけど?」
凛「その権利があるくらい頑張ってることは、私が証明するからさ」 フフ
未央「そーだよ!」
未央「仲良く競いあうのがアイドルってもんよ!」 ニヒヒ
卯月「凛ちゃん……未央ちゃん……」
卯月「プロデューサー」
卯月「私も……どうせなら、戦って、バックダンサーの座を獲りたいですっ!」
199: 2015/01/21(水) 03:39:35.71 ID:bKKOQm/yo
P「……」
P「そうですか」
P「では、対決の方法を――」
ちひろ「それならもう用意してあります」 ニコッ
P「……え?」
ちひろ「最高に集客できて、話題にもなる方法を、きちんと用意しました♪」
P「……」
P「段取りが……良すぎますね……」
P「話が上がったのは、つい先程だというのに」
P「……」
P「誰かが……仕組んだのかもしれませんね」
楓「……ふふ」
200: 2015/01/21(水) 03:42:44.27 ID:bKKOQm/yo
楓「私は何も知りません」
楓「ですが――実力社会という側面があるのは事実」
楓「それに……」
楓「プロデューサーが変更になり、自分の足元がぐらついている今だからこそ」
楓「いろんなステージを経験すべきだと思いますから」
楓「大人げないと言われても……」
楓「その闘い、私も参加させて頂きます」
莉嘉「……っ!」
未央「うっそ……」
卯月「た、高垣楓が敵に回る……」 カタカタ
凛「……」
P「……」
楓「それだけを、伝えにきたんです」
201: 2015/01/21(水) 03:45:25.70 ID:bKKOQm/yo
P「……」
P「城ヶ崎さんが提案してくださったのは、高垣さんがいらっしゃった後でしたが」
楓「……」
楓「ふふ」
楓「安心してください」
楓「具体的な勝負内容“までは”知りませんから」
P「……」
P「焚きつけ、たのですね」
楓「素敵な後輩がいると、教えてあげただけですよ」
P「……そうですか」
202: 2015/01/21(水) 03:54:50.76 ID:bKKOQm/yo
ちひろ「提案は頂きましたけど、公平を期すため、細かな内容は伏せとくのでご安心を!」
ちひろ「一応、公平さのため、暇しているアイドル候補生やアイドルも、このバックダンサーの座争奪戦への権利は与える旨を告知します」
ちひろ「勝負は一週間後ですね」
ちひろ「ただ、それだと悪平等ですよね」
ちひろ「何せ島村さん達は、直々に指名を受けていたはずなんですから」
ちひろ「ですから――勝負内容は言いませんけど、どういう戦いをしてもらうかは、先に教えておきます」
楓「……346チャンネル」
楓「見たことは、あるかしら」
卯月「あ、知ってます!」
凛「ニコニコ動画とかで配信されてる、346プロのオリジナル番組――だっけ」
未央「ありゃ、知ってるんだ」
凛「所属が決まって調べてたら分かっただけで、実際見たことないけど……」
楓「クオリティは高い、それでもアイドル群雄割拠の時代においては、もうワンパンチがほしいところ」
楓「そして、前回圧倒的人気を誇った企画を踏まえて今回――」
ちひろ「もうっ、説明のお仕事をとらないでくださいよっ」
ちひろ「悲しくなっちゃうじゃないですか!」
楓「説明役を取られて、切めえ」 ボソ
卯月「……」
莉嘉「……」
203: 2015/01/21(水) 04:04:25.26 ID:bKKOQm/yo
ちひろ「皆さんの戦いは、一週間後、休日のゴールデンタイムに配信されます」
ちひろ「勝負は、体力とトーク力と見た目の総合力が求められるもの!」
ちひろ「そして一番重要なのは、これがトーナメント形式の戦いということ!」
卯月「トーナメント……!」
未央「まるで格闘漫画みたい!」
凛「てことは、仮に8人だとすれば、3回勝てば優勝はできるんだ……」
莉嘉「そう簡単に優勝なんてさせないし、するのはアタシだけどね」
楓「……」 フフ
ちひろ「これが!」
ちひろ「346チャンネルプレゼンツの新企画ッ!」
ちひろ「プロダクション内対抗トークバトルショー、です!!」
P「……」
美嘉「一週間後、皆の健闘楽しみにしてるからね」
凛「一週間後、か……」
未央「あっという間だよ、一週間なんて」
卯月「頑張りましょうね!」
莉嘉「ぜーったい、お姉ちゃんに分からせてあげるんだからっ!」
みりあ「一週間あれば、みくちゃんも間に合うかな……」
ちひろ「一応、メディカルサスペンションから出たら声はかけておきますよ」
楓「それじゃあ、また、一週間後――」
楓「そこで、正々堂々、戦いましょう」
214: 2015/01/22(木) 23:28:22.07 ID:8+VxbLyQo
【一週間後】
未央「とうとう当日、か……」
凛「レッスンはつんだけど、ちょっと緊張するね」
卯月「がんばります……っ!」
未央「……それにしても、トーナメントって、どうするんだろう」
凛「さあ……」
未央「私達三人に声がかかったってことは、三人一組の戦いなのかな」
凛「うーん、どうだろ」
卯月「あっ、ここですね、会場っ!」
凛「ま、行けば分かるさ」
未央「だねっ!」
未央「今日は遅刻しないってこと、見せてあげよっ!」
未央「余裕の15分前とうちゃーーーーk」 ギイイイイ
215: 2015/01/22(木) 23:38:05.29 ID:8+VxbLyQo
ワイワイ
ガヤガヤ
未央「」
凛「うわあ……」
卯月「……会場、ここでしたよ、ね?」
凛「……間違いないね」
未央「なーんか、へたしたら4桁くらい人いない?」
凛「さすがにそれはないと思うけど、まあ、多いよね……」
卯月「幽遊白書でこんな人数のトーナメントがあったような……」
未央「どうするんだろ、これ」
217: 2015/01/22(木) 23:47:23.49 ID:8+VxbLyQo
卯月「ここ、本当に会場なんだよね……」
凛「なんでか男も混じってるな……」
未央「募集要項、ガッバガバだったもんなあ」
凛「駆け出し芸能人大集結、ってとこかな」
未央「だろうね」
卯月「元々アイドル以外の部門が栄えてるんですもんね……」
未央「だね」
未央「私はちょこちょこ養成所時代見たことある人いるけど、モデルコースとか女優コースからも来てるね」
凛「皆ステージを求めて必氏、か」
卯月「負けられませんねっ!」
凛「……だね」
未央「アイドルは女優やモデルの片手間で出来るもんじゃないって、教えてあげよう!」
卯月「おー!」
凛「うん!」
219: 2015/01/23(金) 00:14:20.61 ID:lRVgrnXPo
???「んっふっふ」
???「困惑してるにゃ若者たち!!」
卯月「ふえ?」
卯月「私達、ですか?」
???「そのとーりにゃ」
???「はじめまして――」
???「いや、久しぶりと言うべきかにゃ?」
未央「げげえーーーーーーっ、あ、貴女は!!」
凛「あ、空き缶を卯月が暴投した時の……!」
???「YES! I am!」 チッチッ
未央「わわわ、ナンマイダーナンマイダー」 アワアワ
???「生きてるから」
凛「……」
???「訴えに来たとかでもないからその牽制する目とボールペンしまうにゃ」
220: 2015/01/23(金) 00:22:14.49 ID:lRVgrnXPo
???「っていうか、後輩ならまず名乗るのが礼儀だと思うにゃー」
卯月「あっ、ご、ごめんなさい!」
卯月「島村卯月です!」
凛「渋谷凛」
未央「本田未央、高校1年!」
???「よろしい!」
???「それじゃあ名乗らせてもらうにゃ!」
???「前川みく――この名前に心当たりはあるにゃ?」 フフン
未央「……」
卯月「……」
凛「……」
みく「え、ない?」
凛「……すみません」
卯月「あっ、せ、先輩アイドルさんですよねっ!」
未央「あーあーあー、あれですよね、千本桜とかカゲロウデイズとか流行ってますよねっ!」
みく「泣きそうになるから知らないなら知ったかぶらなくてもいいにゃ」
222: 2015/01/23(金) 00:28:55.72 ID:lRVgrnXPo
みく「……一応、シンデレラプロジェクトのメンバーなんだけどにゃ」
未央「あーあーあー! はいはい、わかってます、承知してますよ! ええ!」
凛「う、うん、そういえばプロデューサーからもお話はかねがね……!」
卯月「よ、よろしくお願いします!」
みく「てっきり空き缶当てて重傷追わせたことを引きずってるかと思って」
みく「わざわざここで待ってたのににゃあ……」
未央「ご、ごめんなさい」 アワアワ
凛「すみません……」
みく「まあ、今回は初犯だから許すけども!」
みく「次に忘れたら承知しないにゃ」
卯月「はいっ」
未央「勿論ですよっ!」
凛(忘れてたというか、忘れたかったというか、なかったことにしようとしてた……)
223: 2015/01/23(金) 00:33:22.33 ID:lRVgrnXPo
みく「まあいいにゃ」
みく「はい、これ」
未央「これ……」
凛「コーヒー?」
みく「エナジードリンクだと、誰かさんとかぶるからにゃー」
みく「それ、行きつけの猫カフェが出してる、オリジナルの商品なんだにゃ」
みく「お近づきの印にどーぞ」 ニコッ
凛「はあ……」
卯月「わあっ、いいんですかっ!?」
みく「うん」
みく「遠慮無くどーぞ」
226: 2015/01/23(金) 00:43:44.97 ID:lRVgrnXPo
凛「……」
凛「でも、なんであんな酷いことしちゃった私達にこんな……」
みく「まあ、ぶっちゃけ怒ってないって言ったらウソにゃ」
みく「アー写一人だけさっき大急ぎで撮ってきたし、痛かったし……」
未央「ほんっとすみません……」
みく「まあ、でも、おかげで木登りが危ないって学習したし」
みく「それに、新人なんて勢いで無礼にアタックゴーゴーしてなんぼ!」
みく「アイドルなんて、自分の道を突き進んで、時には道から誰かを追い出すことになる存在だにゃ」
みく「自分だっていっぱいの人に迷惑をかけて、それでも図太くしがみついてる」
みく「後輩のやんちゃくらい、笑って許してあげられるにゃ」 フフン
凛「前川さん……」
卯月「みくさん……」
未央「猫耳先輩……」
みく「一人若干名前うろ覚えの子いない? 気のせい?」
227: 2015/01/23(金) 00:47:03.14 ID:lRVgrnXPo
ザワザワザワ
未央「あっ、おいしーい」
凛「うん、ちょっと目が冴えてくるかも」
卯月「卯月には、なんかちょっと苦いです……」
みく「はっはっは」
みく「お子様だにゃあ」
ワイワイガヤガヤ
凛「どんどん人増えてきたね」
未央「そろそろ始まるのかな」
ネエ、アレミテ
ン?
ホラ、アレ、マエカワミクヨ
マタ シンジンノコニ カランデル・・・
ダレソレ
シラナイノー?
229: 2015/01/23(金) 00:52:34.49 ID:lRVgrnXPo
ヘレン「まだそんなことをやっているのね」
みく「げえーーーーっ、あんたはっ!」
ヘレン「ヘレンよ、知ってるでしょ?」
未央「……誰?」
みく「ああ見えて、そこそこ仕事持ってる雑誌モデルだにゃ」
凛「あ、確かに、クラスの娘達が見てた雑誌に載ってたよーな……」
みく「うぎぎぎぎ」
みく「自力で仕事が取れるくせに、こんな新人イベントに出て更に仕事を奪おうなんてずるいにゃ!」
ヘレン「まったく、どれだけ狭い世界の話をしているのかしら」
ヘレン「カエルちゃん達は知らないかもしれないけど、海はとっても大きいの」
ヘレン「世界クラスから見たら、悔しいけど私なんてまだまだひよっこ」
ヘレン「このチャンス、フイには出来ないわ」
みく「むぐ~~~っ」
みく「仕事あるくせに能力が自信に釣り合ってないとか2ちゃんで叩かれてる存在のくせにっ!」
ヘレン「!」
ヘレン「言ったわね、このオタンコニャース」
みく「ふーんだ!」
230: 2015/01/23(金) 00:57:55.71 ID:lRVgrnXPo
ヘレン「大体貴女こそ、なんて言われてるか知ってるの?」
みく「!」 ギクッ
みく「まるで自由気ままな猫ちゃんのように、自由奔放なアイドルにゃっ」
ヘレン「そして片っ端から勝負を挑み敗北している哀れな存在」
みく「ぐむっ!」
ヘレン「後輩にちょっかいをかけることでも有名よ」
みく「むぐぐぐぐ……!」
ヘレン「そんなんだからいつまでもそれなり、井戸の中での中堅なのよ」
みく「にゃんだとーーー!!」
ヘレン「私は世界をもっと見たいの」
ヘレン「モデル界の前川みく、みたいな汚名を注がせてもらうわ」
みく「にゃにー!」
みく「一緒にされたくないのはこっちもだにゃ!」
凛「いきなり現れてケンカ売るって、同族だよね?」 ヒソヒソ
未央「そういえば、一般人にはかなわないけど、テレビ出られるアイドルなら勝てるくらいの養成所の帝王みたいな人がいるって……」 ヒソヒソ
卯月「アイドル達が最初にぶつかる壁ってことでしょうか?」 ヒソヒソ
未央「まさに登竜門、ね」 ヒソヒソ
231: 2015/01/23(金) 01:00:06.23 ID:lRVgrnXPo
ヘレン「とにかく!」
ヘレン「無様なカエルちゃんで終わりたくないなら、つるむ相手は選んだ方がいいわよ」
ヘレン「世界では、無為な慣れ合いは何の力も持たない」
ヘレン「切磋琢磨し合えない相手は、互いに不幸になるだけ」
みく「ぐぎぎぎぎ」
ヘレン「親切心から教えてあげる」
ヘレン「この娘のアダ名」
みく「!」
ヘレン「新人にちょっかいをかけては返り討ちにあうアイドル」
ヘレン「通称『新人潰されのみくにゃん』」
ヘレン「貴女達も、プロジェクトメンバーは考えた方がいいわよ」
232: 2015/01/23(金) 01:02:19.72 ID:lRVgrnXPo
卯月「そ、そんなことありません!」
卯月「先輩は、私達に自ら声をかけ、緊張をといてくれましたっ!」
卯月「私にとっては、優しく素敵な先輩ですっ!」
凛「うん」
凛「飲み物もくれたし、私も先輩のこと、きらいじゃないかな」
未央「そうだよ!」
未央「猫耳潰され先輩のこと、悪く言うと承知しないよ!」
未央「噛ませ先輩はもう立派な私達の仲間なんだから!」
みく「名前覚えて?」
ヘレン「絶対どっかで見下してるでしょ」
233: 2015/01/23(金) 01:32:34.45 ID:lRVgrnXPo
ヘレン「……まあ、いいわ」
ヘレン「一応警告はしてあげたから」
みく「じゃーこっちからも警告してあげるにゃ」
みく「キャラって大事だよ」
みく「みくみたいに、口調にでも特徴つけないと、深夜番組でも埋もれちゃうにゃ」
ヘレン「……」
ヘレン「そんな安易なキャラ付けなんて、必要ない世界よ」
凛(やってる)
未央(やるんだ……)
卯月(こういう貪欲に吸収する姿勢がアイドルには必要、なのかなあ)
234: 2015/01/23(金) 01:39:06.81 ID:lRVgrnXPo
ヘレン「……とりあえず、世界的にはともかく、日本的にはもうすぐ10時」
ヘレン「開幕目前よ」
みく「にゃ!」
みく「しまった!」
凛「どうかしたんです?」
みく「皆、エントリーはもう済ませたかにゃ?」
凛「ええ、まあ」
ヘレン「だったらゼッケンを装着なさい」
未央「名前入ってると、なんか照れるなあ」
ヘレン「これが前回と同じパターンなら、おそらく予選が行われるわ」
凛「予選?」
みく「まあ、この人数じゃトーナメントにならないからにゃあ」
ヘレン「ある程度絞られてからは、ゼッケン番号ごとにいろいろ呼ばれるけど……」
みく「序盤はたいてい、近くの人と――もしくはペアを組んだ相手との潰し合い」
ヘレン「仲良しごっこがしたいなら、せいぜい残り2分でバラけておくことね」
235: 2015/01/23(金) 01:42:17.31 ID:lRVgrnXPo
卯月「わわっ、そうなんですか?」
みく「あくまで去年はそうだったってだけだけどにゃー」
ヘレン「でも、過去の経験から学ぶことは大事よ」
ヘレン「あくまでこれはネット配信される番組」
ヘレン「見世物である以上、大きく枠組みは変えてこないはず」
凛「……」
凛「ええと、世界さんは」
ヘレン「ヘレンよ」
凛「ヘレンさんは、何でそんなことまで教えてくれるんですか?」
ヘレン「……」
ヘレン「ま、前回、早々にペアを組んだ奴へのお情けよ」 スタスタスタ
凛「……」
未央「昔は仲よかったんですか?」
みく「……まーね」
みく「みく達みたいに、テレビに出てるアイドルはいっぱいる」
みく「でもそのほとんどが、画面を埋めるその他大勢」
みく「視聴者は、そこに女の子がいるとしか認識せず、個として認識なんてされない」
みく「……そんな世界で戦っていくうちに、道がちょっとずれるなんてこと、よくあることにゃ」
236: 2015/01/23(金) 01:44:58.12 ID:lRVgrnXPo
未央「ちなみに前ってどちらが……」
みく「……」
みく「残念だけど、みくが負けたにゃ」
みく「二人なら絶対負けないーって意気投合してたのに、よもや潰し合いなんて……」
みく「動揺している内に、油断して、ぐさーーーー、にゃ」
凛「ぐさーって」
未央「またバイオレンスな擬音で」
みく「……でも、負けたなんて思ってないにゃ!」
みく「今の私はシンデレラプロジェクトのメンバー!」
みく「今回は、最初からヤツを敵とみなし、きちんとケリをつけてやるにゃっ!」
未央「その意気ですよ、先輩!」
卯月「……あっ、時間!」
凛「やばっ!」
みく「わわわ、とにかく解散にゃ!」
みく「競技の合間の休憩時間に、またここで!」
凛「はい!」
卯月「そ、それじゃあ、皆!」
みく「全員予選突破して、ここにまた集合にゃ!」
未央「はい!」
237: 2015/01/23(金) 02:04:38.04 ID:lRVgrnXPo
卯月「はあ、はあ……」
卯月「こ、これだけ離れたら大丈夫だよね……」
ジリリリリリリリリ
ちひろ『はい、受付終了ーーーーーっ!』 ッキーーーーン
卯月「っ!」 ビクッ
ちひろ『エントリーは締め切りですよーーっ!』
卯月「マイクの音、おっき……」
ドンッ
卯月「いたっ」
卯月「す、すみませんっ」
???「あーあー、気にせんとよか」
???「こっちもマイクの音に驚いて周りよう見とらんかったばい」
卯月「ふぁっ!?」
???「ふぁ?」
卯月「ファラオだーーーーーーーーっ」 ガビーン
ファラオの格好の変な人「おっ、デュエルのお誘いと?」
238: 2015/01/23(金) 02:08:24.14 ID:lRVgrnXPo
ファラオ「ふっふっふ」
ファラオ「驚いてくれて嬉しか~!」
ファラオ「これ、手作りだけんね」
卯月「えっ!?」
卯月「そうなんですか!?」
ファラオ「これ作るために、ツタンカーメン展行ったりしたっちゃ」
ファラオ「何気に苦労の結晶たい」
卯月「ほえー……」
卯月「確かに、これ、すごいです……!」
卯月「触ってもいいですか?」
ファラオ「えーきえーき、気にせんと」
ファラオ「むしろこんなにウケたことに喜びすらあるたい」
卯月「わあ~~~」 キラキラ
卯月「意外と冷たい肌触りなんですねっ!」 サワサワ
239: 2015/01/23(金) 02:14:28.57 ID:lRVgrnXPo
卯月「……はっ!」
卯月「夢中になりすぎて、説明何も聞いてませんでしたっ!」 ガビーン
ファラオ「はっはっは」
ファラオ「面白い娘っちゃね~」
ファラオ「お決まりの長ったらしい開会宣言じゃき、気にせんとええよ」
ファラオ「それより、名前は何って言うと?」
ファラオ「せっかくの出会いじゃ、教えてほしか」
卯月「あ、はい!」
卯月「卯月です、島村卯月!」
卯月「よろしくおねがいします、ファラオさん!」
ファラオ「はっはっは、卯月しゃんはまっこと面白かね」
ファラオ「ウチの名前は鈴帆」
鈴帆「上田鈴帆じゃ」
240: 2015/01/23(金) 02:27:12.85 ID:lRVgrnXPo
卯月「上田さんは……」
鈴帆「鈴帆でええき」
鈴帆「それに今は対等なライバルっちゃ」
鈴帆「タメ語で問題なか」
卯月「じゃあ、鈴帆ちゃん!」
卯月「鈴帆ちゃんは、どうしてそんな格好を?」
鈴帆「これはポリシーじゃ」
鈴帆「皆をぶち笑かして、そんでもって笑顔にする」
鈴帆「そんなアイドルに、なっちゃるばい」
卯月「鈴帆ちゃん……」
卯月「……」
卯月(お笑い芸人部門にいたほうが近道じゃないかな、とは言わない方がいいんだよね……?)
241: 2015/01/23(金) 02:32:39.46 ID:lRVgrnXPo
鈴帆「それに、ほら」
鈴帆「あれ見てみぃ」
卯月「わっ、カメラ!?」
鈴帆「会場の模様は配信されとるき」
鈴帆「勿論高垣楓みたいななんでこんなとこにおるのか分からんくらいの有名アイドルには貼り付く」
鈴帆「でもそれ以下、テレビに出ててもそこまで知名度が高くないアイドルは多い」
鈴帆「そうなると、特定のアイドルだけを追い回すカメラばかりというわけにもいかんばい」
鈴帆「だから、会場で『目立ってる娘』『絵になりそうな娘』を探しとちょる」
卯月「それじゃあ……」
鈴帆「ま、この格好なら、注目間違いなしばいね」
鈴帆「ツタンカーメンで、勝利を掴ーメン、ってとこばい!」 ハッハッハ
卯月「すごい……」
卯月(いろんな戦略があるんだ、アイドルって……)
243: 2015/01/23(金) 02:40:58.45 ID:lRVgrnXPo
ちひろ「そんなわけですので、トークバトルショーのトーナメントに進出できるアイドルを選ぶため、これより予選を開始しますっ!」
ワァァァァァァァ
鈴帆「おっ、始まるみたいっちゃね」
卯月「はいっ!」
ちひろ「それではまず――二人組を作ってくださーい」
ザワザワ
ネークマナイ?
ヤバイアマルアマル
ちひろ「ちなみに3分間待ってあげます」
ちひろ「それを超えてもぼっちの人は、その時点で失格です」 ハァト
卯月「え、ええ~~~~~っ!?」
鈴帆「卯月しゃん、一緒に組むっちゃ!」
卯月「ふえ!?」
鈴帆「こんな格好ばい、皆こっちゃ無視してくっと!」
鈴帆「それに、卯月しゃんが相棒なら、百人力じゃ!」
卯月「は、はい!」
卯月「一緒に頑張りましょう!」
鈴帆「うむ!」
卯月「……」
卯月(あれ、何か大切なことを忘れているような……)
244: 2015/01/23(金) 02:43:30.98 ID:lRVgrnXPo
ちひろ「はい、3分です!」
ちひろ「それでは今大会主催である城ヶ崎美嘉さんに、予選第一回戦の試合内容を発表してもらいます!」
美嘉「んーっと」
美嘉「仲良し同士組んでもらってたら悪いけど――」
美嘉「二人の内、どちらかは失格になります」
鈴帆「な、なんだってーーーーーーー!?」
卯月「あ、ああ~~~~~~~っ!!」 オモイダシター
245: 2015/01/23(金) 02:47:47.67 ID:lRVgrnXPo
ちひろ「では、具体的に勝負の内容とは!?」
美嘉「全部の組を審査して回るわけにもいかないしー、明確に勝敗が分かる種目で」
ちひろ「と、いいますと?」
美嘉「……」 ニィ
美嘉「じゃんけん」
卯月「……え?」
鈴帆「……は?」
美嘉「予選一回戦は、ペアでじゃんけんして、負けた方が脱落ってことで」
卯月「ええええええええええええええええ!?」
鈴帆「そ、そんな地味であっさりした方法でーーーー!?」
246: 2015/01/23(金) 02:53:25.01 ID:lRVgrnXPo
鈴帆「……まあ、でも、決まったもんはしょうがないっちゃ」
鈴帆「恨みっこなしばい」
卯月「……はい」
卯月「その……ごめんなさい」
卯月「友達と、約束してるんです」
鈴帆(……空気が、僅かにだけど変わったっちゃ……!)
卯月「本気で、勝ちにいきますっ!」
鈴帆「上等ばい!」
鈴帆「この上田鈴帆、じゃんけんには自信ありっちゃよ!」
卯月「……そうかも、しれませんね」
卯月「これが、ただの上田鈴帆ちゃんなら……」 ゴゴゴゴゴ
鈴帆「…………!?」
247: 2015/01/23(金) 03:02:34.80 ID:lRVgrnXPo
卯月「だって……」
卯月「ツタンカーメンは、ちょきが出せないじゃないですかっ!」 マガオッ
鈴帆「……」
鈴帆「は?」
鈴帆(何言うとっと、この娘)
鈴帆(天然さんと?)
鈴帆(……それはまあ間違いない)
鈴帆(しかし、チョキって……・)
鈴帆「……はっ!」
鈴帆(しまった!)
鈴帆(ツタンカーメンとして、本格的になりきるなら、腕を体の前で交差させんといかんばい)
鈴帆(そしてその掌は、メジャーなものだと何かを握るか綺麗に揃えて指を伸ばしているかのどちらか!)
鈴帆(“ツタンカーメン”に出せる手は、グーかパーしか……!)
248: 2015/01/23(金) 03:06:16.68 ID:lRVgrnXPo
鈴帆(いや――そんなもんは関係なか!)
鈴帆(普通にチョキば出したらええ!)
鈴帆(相手の手は、おそらくパー)
鈴帆(チョキさえ出せば、確実に勝てるっちゃ!)
鈴帆「……」
卯月「負けませんよっ」 キラキラ
鈴帆「……ッ!」
鈴帆(今しがた自分で言うた!)
鈴帆(カメラさんは、目立ってる美味しい感じのアイドルを撮ると!)
鈴帆(そしてカメラは、狙い通り色物のウチをカメラに収めにきてるばい)
鈴帆(そこで、チョキ?)
鈴帆(空気を読まず、こんな格好でいきなりじゃんけんを引かされた美味しい不幸を放置して!?)
鈴帆「……ッ」
鈴帆(勿論パーであいこは狙えるっちゃ)
鈴帆(でも、一番オイシいのはッ!)
鈴帆(ウチの理想のアイドルが、今のシチュエーションで取る行動は……ッ!) ギリッ
249: 2015/01/23(金) 03:15:13.27 ID:lRVgrnXPo
鈴帆「……」
鈴帆(まったく、変わった娘ばい)
鈴帆(明るくて、人懐っこくて、話しやすくて……)
鈴帆(それでいて、天然なのか策略なのか分からん感じで、勝利への鍵をつかむ)
「「さーいしょーはグー!」」
鈴帆(……まあ、今回は譲ってあげるっちゃ)
鈴帆(その代わり、予選第一回戦の主役は、ウチがもらうっちゃからね)
鈴帆(だから――)
鈴帆(ウチがもっともっと注目されて、VTRが流れるようにするためにも)
「「じゃーんけーん――――」」
鈴帆(頑張って優勝しぃ、島村卯月しゃん!)
トークバトルショー 予選第一回戦
じゃんけん
○ 島村卯月 VS 上田鈴帆 ●
【島村卯月 予選第一回戦突破】
【上田鈴帆 予選第一回戦敗退】
250: 2015/01/23(金) 03:19:09.24 ID:lRVgrnXPo
ちひろ「はい、決着つきましたねー!」
ちひろ「それじゃあ次はゼッケンの番号順にランダムによんでいきまーす」
ちひろ「二回戦の種目は、パン食い障害物競走!」
ちひろ「まだまだ残ったアイドルさんは多いので、少ない枠を巡って何グループかで争ってもらいます!」
ちひろ「まず第一レースに出るのは、こちらの方々でーす!」
ちひろ「スクリーンに注目!」
ババーン
卯月「……私はまだ、かあ」
卯月「一旦、約束の場所に戻ろうかな」
卯月「みんなに、アイドルとして始めてライブバトルに勝てたこと、報告しなくちゃ!」
卯月「皆からも、同様に報告あるだろうしね!」
252: 2015/01/23(金) 03:23:41.09 ID:lRVgrnXPo
卯月「あっ、皆もう集まってる!」
卯月「おーい!」
凛「おかえり」
卯月「ごめん、遅くなっちゃった?」
凛「いいよ、明確な時間は決めてなかったし」
凛「卯月、誰より遠くまで走ってたし」 クス
卯月「う、うう……」
卯月「あ、それで、凛ちゃんは――」
凛「問題なし」
凛「難なくクリアーだよ」
【渋谷凛 予選第一回戦突破】
253: 2015/01/23(金) 03:28:08.28 ID:lRVgrnXPo
みく「まあ、じゃんけんだしにゃあ」
みく「ちひろさんは、一流アイドルに幸運は必要、この程度で落ちる運しか持たぬものは真のアイドルじゃないとか言ってたけど」
凛「なかなかにすごい論だったよね」
みく「あれ、絶対美嘉チャンの方は深く考えずに決めた種目だからにゃ」
凛「確かに」
みく「卯月チャンもそう思うよにゃー?」
卯月「え!?」
卯月「あ、ははは……」
みく「いくら勝っても、これじゃアイドルとして勝った気しないもんにゃあ」
卯月「で、ですね!」
卯月(そのへんの前振り、全然聞いてなかった……)
【前川みく 予選第一回戦突破】
254: 2015/01/23(金) 03:29:19.67 ID:lRVgrnXPo
卯月「そ、それより未央ちゃんは?」
凛「……あそこに」 スッ
未央「……なによ……じゃんけんって……」 ズーーーーン
卯月「……」
卯月「え」
卯月「あの、あれって……」
卯月「なんか体操座りしてるし……」
みく「放っておいいてあげるにゃ」
凛「まあ、負けた方は、もっと実感わかないし、納得出来ないよね、これ……」
【本田未央 予選第一回戦敗退】
263: 2015/01/23(金) 23:05:04.60 ID:lRVgrnXPo
卯月「し、氏ぬかと思った……」 ズーーーーン
みく「おつかれー」
凛「大変だったね、卯月の組……」
卯月「まさかあんな猛烈な勢いでぶら下がってるパンを食べる人がいるなんて……」
みく「この組、規定人数の3倍近くが食べるパンを失って失格になってたにゃ……」
未央「まあでも妨害工作として普通に優秀だから、次の組はもっと大変そうだけどね」
卯月「あ、未央ちゃん起きたんだ」
未央「まー、いつまでもイジイジしてたら笑顔が取り柄の私らしくないからねっ」
凛「……まあ、妨害に負けないよう頑張るよ」
【島村卯月 予選第二回戦突破】
264: 2015/01/23(金) 23:11:30.97 ID:lRVgrnXPo
未央「おっつー」
卯月「二回戦では誰も欠けずにいけましたねっ!」
未央「おっ、嫌味?」
卯月「あわわ、そういうつもりじゃ……!」
未央「冗談だって」
みく「でも凛ちゃん、超ギリギリだったにゃー」
未央「まあ、あの妨害が栄えてたら負けてたよね」
みく「食べまくってた娘が胃もたれと満足感でリタイアしたって報告入ってこなかったらどうなってたか……」
凛「面目ない……」
凛「でも、ボーダーさえ超えられたら、順位は影響ないんじゃ」
みく「あっまーーーーーい!」
みく「あますぎる!」
みく「高遠遙一に対する監視体制くらい甘いにゃっ!」
凛「誰」
みく「いい!? みくたちはアイドルなんだよ!」
みく「通過したらいいっていう問題じゃないにゃ!」
みく「何とか目立ち、アピールし、一人でもファンを奪い取る!」
みく「それが出来なきゃ、参加した意味なんてないにゃ!」
凛「先輩……」
みく「目立たず勝ち残り最後に負けるくらいなら、華々しく序盤に散る方がいいんだにゃ」
凛「未央がものすごく凹んでるので、できればそのへんで……」
未央「どうせ私は何の印象もなく……」 ズーーーン
みく「わ~~~~っ、ごめんね!」
みく「そ、そういう意図はなかったんだにゃ~~~~~~~っ!」
【渋谷凛 予選第一回戦突破】
【前川みく 予選第一回戦突破】
266: 2015/01/23(金) 23:18:53.36 ID:lRVgrnXPo
みく「と、とにかく!」
みく「アイドルは気を抜いたらだめにゃ!」
みく「いつでも見られている意識と、エンタメなくして成り立たないのにゃ」
みく「それこそアイドル大運動会なんて、カメラを意識しなかったらそこらの女子校の学祭と大差なくなるにゃ」
凛「なるほど……」
みく「わかったら、アイドルとして、三回戦もがんばるにゃ!」
卯月「はいっ!」
凛「はいっ!」
未央(これ私も何か言うべきなのかなあ)
267: 2015/01/23(金) 23:30:08.36 ID:lRVgrnXPo
【5回戦終了後】
凛「なんか全然アイドルと関係ないようなゲームばっかりだったような……」 ハァハァ
みく「ば、バラエティなんてそんなもんだにゃ……」 ゼェゼェ
卯月「く、首の皮一枚繋がりました……」 ゼヒー
未央「うーん氏屍累々」
未央「まあ、よもやさっきの遠くはなれたロウソクの炎早消しバトルが」
未央「肺活量とか使う分一番アイドルっぽい戦いになるとは思わなかったしねえ」
凛「途中からマリオパーティのミニゲームみたいなのだったし……」
未央「まあ、パン食い競争の過剰脱落でゲーム急遽組み替えたみたいだしねえ」
みく「急遽こしらえたっぽいロウソク吹き消しが一番アイドルの素養使うってのも皮肉な話だにゃ……」
卯月「で、でも、次で最終予選なんですよねっ……?」
みく「そのはずだにゃ……」
未央「うん」
未央「今が残り32人」
未央「多分次でトーナメント進出者が決まる……!」
268: 2015/01/23(金) 23:34:19.53 ID:lRVgrnXPo
未央「さっきから会場広くて全然見つからないけど、みりあちゃんや莉嘉ちゃんもまだ残ってるよ」
凛「さすが、観戦に集中できるだけあってよく見てるね」
未央「泣くよ」
凛「褒めてるんだよ」
未央「まあ、それと――」
未央「勿論、高垣楓も」
卯月「……」
凛「そう簡単には負けておいてくれない、か」
みく「どうしても、超えなきゃいけない壁みたいだにゃ」
みく「あと、あの世界女も残ってるみたいだしにゃー」
凛「世界女……ああ、あの」
みく「直接対決の場があったらボッコボコにしてやるにゃ」
凛「私は結局一度も戦わなかったなあ」
卯月「私はパン食い競争で一緒だったけど、すごく強かったな……」
未央「最終予選ともなると、全員が猛者!」
未央「油断はできないよっ!」
269: 2015/01/23(金) 23:44:06.25 ID:lRVgrnXPo
メガネの女性「その通りですよ!」 バーーーーーン
凛「?」
未央「げえーーーーーーっ、貴女はーーーーーーっ!」
凛「知ってる人?」
卯月「そ、そりゃ知ってますよ!」
卯月「むしろ、ご存じないのですか!?」
卯月「彼女こそ、最近深夜アイドルバラエティで話題を独占中の、上条春菜さんですよっ!」
春菜「ふふっ」
凛「……ああ!」
凛「この前見かけた、えーっと、ブルーナポリタン!」
未央「惜しい」
みく「それは単なる腐ったナポリタンだにゃ」
271: 2015/01/23(金) 23:50:08.17 ID:lRVgrnXPo
みく「プルナポの連中もまさかこの大会に……!?」
春菜「ふっふっふ」
春菜「なんだかんだで、まだ私達ブルーナポレオンの認知度はイマイチ」
春菜「各々が各得意分野で活躍しつつも、ユニットでの評価はされてません……」
春菜「ですから!」 バッ
春菜「今回の大会で私達ブルーナポレオンが上位を占拠して、一気に知名度をあげさせて頂きますっ」 メガネキラーン
未央「げえーーーーーーっ!」
未央「ビッグボインこと松本紗理奈ッッ!」
紗理奈「やほ」 ヒラヒラ
未央「インドアサブカルアイドル・荒木比奈ッッ!!」
比奈「どうも」
未央「小さな体に大きなポテンシャル・佐々木千枝ッッッ!!!!」
千枝「はじめまして」 ペコリ
未央「ブルーナポレオン全員集g――」
未央「……一人足りなく無いですか?」
春菜「……」
春菜「……川島さんは地獄めぐりロケで腰を痛めたらしくて……」
凛「ああ……」
卯月(そういえば腰にマッサージ受けてたっけ……)
272: 2015/01/23(金) 23:56:39.50 ID:lRVgrnXPo
凛「でもそれじゃあ上位独占は」
春菜「と、トーナメントだから、ベスト4を占拠できれば問題は――」
比奈「あ、私もう負けたっすよ」
春菜「」
春菜「!?!?!?」
比奈「そんな顔されても……」
春菜「な、なんで!?」
春菜「いつ!? どうして!?」
比奈「どうしてって……」
比奈「さっきのタイマンロウソク消しで紗理奈さんと当たっちゃったっすから……」
千枝「その時点で全員予選突破は無理になりましたもんね……」
紗理奈「身内の対戦結果や相手は把握しておきなさいよ」
春菜「だって……タイマンの時までずーっと高垣さんと一緒のグループで……」
春菜「タイマン相手じゃない安堵感でいっぱいで……」 シュン
凛「この人達ってホントに346の中ではすごいアイドルなの?」
みく「思っていても飲み込むのが大人の世界なんだにゃ」
273: 2015/01/24(土) 00:38:51.73 ID:kNLQOZOLo
春菜「ま、まあ、バックダンサー募集は3枠」
春菜「ここから私達が全員枠に入ればいいんですよ」 カタカタ
比奈「ふぁいと」
春菜「比~奈~ちゃ~~~ん!」
凛「それで、何の用?」
春菜「ああ、いや、ちょっと挨拶にね」
春菜「とりあえず、皆飲み物を後輩ちゃんに配ってるみたいだし……」
春菜「はい、メガネサワー」
凛「メガネ浮いてる……」
未央「こういう悪ふざけみたいなやつ、居酒屋で見たぞ」
卯月「っていうか未成年……」
春菜「ちゃんとメガネを粗末にしないため、水飴で自作したメガネを用いてるんですよ」
未央「すげえ!」
凛「なんて無駄な技術……」
みく「やっぱ春菜チャンって凄いけどアホだにゃ」
274: 2015/01/24(土) 00:42:03.19 ID:kNLQOZOLo
春菜「とにかく!」
春菜「かつての友に、改めて挨拶をね」
凛「友?」
みく「春菜チャンとは猫仲間なんだにゃ」
みく「みく達の中だと一番の出世頭だにゃあ」
春菜「たとえ旧友でも、容赦はしませんよ!」 フフン
ップアーーーーーーーーーーーン
紗理奈「……っとと」
凛「音量調整ちゃんとしてほしいな……」 キーン
千枝「このタイミングで放送ってことは……」
みく「種目が決まったんだろうにゃあ」
275: 2015/01/24(土) 00:48:28.76 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「それでは、予選第6回戦の種目を発表してもらいます!」
美嘉「最後の競技、それは――」
美嘉「水着アスレチック対決!」
ちひろ「ネーミングセンスはアレですけど、とても面白いゲームだと思いますよ」
美嘉「アレって」
ちひろ「ルールはシンプル」
ちひろ「あちらの、モニターに映った特設アスレチックをご覧下さい」
美嘉「アレって?」
美嘉「一応カリスマなんだけど」
ちひろ「あれが最後の競技の舞台です!」
美嘉「ねえ」
276: 2015/01/24(土) 00:56:18.13 ID:kNLQOZOLo
未央「げえーーーーーーっ、あ、あれは!」
みく「なんにゃーーーーっ!」
みく「丸太サイズの細い通路が入り組んで形成されているにゃーーーーーっ!」
ちひろ「これが最終競技のスペシャルな舞台です」 ハァト
未央「舞台って……」
みく「あんなとこで満足に動けるわけないにゃ!」
比奈「あれ、マッチ棒のお城というか、キャンプファイヤーの櫓に近いっスね……」
凛「結構面倒くさそうなステージだね……」
みく「みくは猫だから得意だけど……」
みく「あんな高いとこから落ちたら洒落にならない痛さなのにゃ!!」
春菜「なんか力こもってますね」
未央「まあ諸事情で説得力が違いますからね」
凛(ホントよく生きてたよね、あれ……)
277: 2015/01/24(土) 00:59:45.60 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「今日はちょっと皆さんに、落とし合いをしてもらいます」 ハァト
春菜「!」
みく「にゃ!?」
卯月「……!」
凛「やっぱり、そういう……!」
ちひろ「あ、でも、ルール無用のバトルロワイアルじゃないですよ?」
ちひろ「それやると、トーナメント成立しないくらいまとめて落ちかねないですし」
ちひろ「それに皆が様子見して動かなくなる可能性もありますから」
279: 2015/01/24(土) 01:15:48.24 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「まず、皆さんにはランダムにくじを引いてもらって、そこに合わせた場所に移動していただきます」
凛「スタート地点はバラバラか……」
春菜「団子状態は避けるってことですか」
紗理奈「まあ、バランス崩して掴んで~とかで大量脱落しても困るしね」
ちひろ「そして、今度はこちらのランダム抽選で、対戦相手を発表させて頂きます」
ちひろ「ルールは簡単!」
ちひろ「モニターに出てきた自分の対戦相手をアスレチックから落とせば勝ち!」
ちひろ「勝利した後は、元の入り口から出てもらえばクリアーです!」
ちひろ「相手を落とした後、自分も落ちたら両者失格ですからね!」
未央「うーん、ってことは、特攻アタックはダメなのかあ」
卯月「特攻アタック?」
凛「相手に組み付いて一緒に落ちるってことじゃない?」
未央「そうそう」
未央「向こうの方が先に落ちたから勝ちー、みたいなのはダメってことだね」
280: 2015/01/24(土) 01:32:43.17 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「それじゃあ、選手の皆さんは、集まってくださーい」
春菜「それじゃ、私達は先にいきますね」
紗理奈「じゃーねー」 ヒラヒラ
千枝「失礼します」 ペコリ
タッタッタッタッ
未央「そんな急がなくてもなー」
凛「一緒に行ったらいいのにね」
みく「……」
みく「皆甘いにゃあ」
卯月「へ?」
みく「このタイミングで何でわざわざ挨拶にきたのか、ホントにわかってないのかにゃ」
卯月「ふえ?」
凛「……」
凛「あっ」
凛「そっか……ロウソク対決があったからだ……」
みく「凛チャンは一番聡明だにゃー」 ケラケラ
みく「こっからは、どんな種目になるにしても、少人数対決が濃厚」
みく「パン食い競争みたいな競技の可能性はとっても少ない」
みく「となると、空いた時間に何をしとくと有利になると思うにゃ?」
凛「何って……」
卯月「ご飯とか……」
凛「賄賂?」
未央「妨害工作?」
みく「きみたち」
281: 2015/01/24(土) 01:42:35.94 ID:kNLQOZOLo
みく「さっきから、対戦グループとかは、モニターで発表されてるにゃ」
みく「そこに表示されているのは――」
卯月「あっ、ゼッケンナンバー!」
未央「そ、そっかーーーー!」
未央「事前に誰が何番か把握できていれば、それは大きなアドバンテージにゃ」
未央「スタート前に作戦が練れる可能性があるし、知っておいて損はない」
卯月「でも、春菜さん達の番号もこっちに――」
凛「……ゼッケンは交換できる」
卯月「えっ」
みく「皆、しっかりと名前の部分は隠していたにゃ」
未央「そ、そうだっけ?」
みく「紗理奈チャンはおっOいを強調するような腕組みで自然に文字を隠してたにゃ」
みく「千枝チャンもしれっと比奈チャンの影に隠れていたし、荒木ちゃんは交換してなかったにゃ」
凛「メガネの人はメガネサワーを大量に入れた箱で体を隠していた」
卯月「わわ……」
みく「笑顔の下ですでに戦う」
みく「それがアイドルなんだにゃ」
283: 2015/01/24(土) 01:48:36.14 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「基本的にはルール無用!」
ちひろ「落ちたら失格くらいです!」
ちひろ「あと、絵的にわかりにくいから、ゼッケンの交換もアスレチック内では禁止ね」 ニッコリ
未央「ちえっ、パクリは失敗かー」
凛「まあしょうがないよ」
卯月「正々堂々、頑張りましょう!」
みく「うむ!」
みく「皆、本戦で会おうにゃ!」
卯月「はい!」
凛「はい!」
未央「疎外感を感じる」
284: 2015/01/24(土) 02:00:59.16 ID:kNLQOZOLo
<アスレチック>
卯月「うう、緊張する……高い……」 ブルッ
凛「下が水とは言え、なんで水着……」
みく「ふっふっふー」
みく「猫キャラの見せ所だにゃ!」
春菜「今度こそ同士討ちは……!」
春菜「同士討ちだけは~~~!」 イノリー
紗理奈(さーて、どんな娘が相手になるのか)
千枝「怖い人だったらどうしよう……」
ヘレン「世界の壁の高さの前では、この程度の高さどうということはないわね」
みりあ「水着、落ち着かないなあ……」
莉嘉(絶~~~対、お姉ちゃんに認めさせてやるう!) ギリッ
楓「……」
285: 2015/01/24(土) 02:02:58.17 ID:kNLQOZOLo
ちひろ「それでは、対戦アイドル発表~~~~~~!!」
ジャン!!
ちひろ「それでは!」
ちひろ「30分経っても決着ついてなかったら揃って失格になるから頑張ってね!」
ちひろ「レディ~~~~~」
ちひろ「GO!」
カーーーーーーン
【予選第6回戦 開始】
286: 2015/01/24(土) 02:07:55.06 ID:kNLQOZOLo
卯月「あ、ゴング……」
卯月「とりあえず、知らない番号だったけど……」
卯月「……」
ソローリ
卯月「あ、意外とちゃんと安定してる」
卯月「サイズはマルタだけど、普通の道と考えられるのかな」
チラッ
莉嘉「……」 ダダダダダ
卯月「あ、莉嘉ちゃん」
卯月「下の段にいたんだ……」
卯月「……」 チラッ
卯月「よかった、莉嘉ちゃんが相手でもない」
卯月「でも、すごいなあ」
卯月「あんなに走り回って……」
卯月「……」
卯月「わ、私だって……!」 トコトコ
287: 2015/01/24(土) 02:11:10.64 ID:kNLQOZOLo
みく「……にゃーにやってんだか」 ヌッ
卯月「うひゃああ~~~!?」 アワワワワ
みく「ちょ、あぶなっ」 ガシッ
卯月「……っ!」
みく「驚かされただけで落ちかけてたら世話ないにゃ」
卯月「この近くからスタートだったんですね」
みく「まーねー」
みく「この上の階層だったから、降りてきたんだにゃ」
卯月「えっ」
卯月「……そういえば、降りるってどうやって……」
みく「一応、数カ所ほど簡単な階段的な感じのところや、斜めに立てかけられてる丸太」
みく「あとはロープやハシゴなんかも設置されてるにゃ」
卯月「ほえ~……」
みく「ふふーん」
みく「大先輩を尊敬してもいーんだにゃ」
卯月「はい!」
卯月「すごいです、前川先輩!」
みく「……」
みく「なんか、素直に褒められて先輩扱いされるとそれはそれでこっ恥ずかしいにゃ……」
288: 2015/01/24(土) 02:16:44.66 ID:kNLQOZOLo
みく「当然移動しようとしたらそういうエリアに集まるし」
みく「斜めの木材くらいしか視界を遮るものはないし……」
みく「多分、そろそろ試合が動くにゃ」
卯月「……!」
みく「基本、上を取れると有利だし、階段付近でスタンバる奴もいそうだしにゃあ」
みく「みくも早く獲物を狩りにいくつもりにゃ」
卯月「あ、すみません、お忙しい中……」
みく「あー、気にしない気にしない」
みく「それに、卯月チャンにはあいつを倒してもらいたいしにゃー」
卯月「あいつ……?」
みく「……やっぱり覚えてなかったにゃ」
卯月「ふえ?」
みく「卯月チャンの対戦相手の数字」
卯月「あ、もしかして、心当たりが……」
みく「あるにゃ」
卯月「!」
みく「ここに来て早々に目撃したし、あいつには負けたくなかったからにゃ」
289: 2015/01/24(土) 02:18:17.38 ID:kNLQOZOLo
卯月「!」
卯月「それって……まさか……」
みく「まあ、キャラはみくより弱いし、媚びたりするの苦手だけど……」
みく「身体能力は高いし、油断したらダメにゃ」
みく「ヘレンって女は、悔しいけど、みくに並ぶ能力の持ち主にゃ……!」
卯月「はい、がんばります!」
みく「緊張感そんなにない顔してるけど、遠回しにみくを馬鹿にはしてないよね?」
卯月「そんなことないですよ」
290: 2015/01/24(土) 02:20:05.76 ID:kNLQOZOLo
みく「じゃあ、がんばるにゃ!」
みく「お互い笑って本戦でバトルするにゃ!」
卯月「はい!」
みく「じゃ、みくは行くからにゃ!」
シュバッ
シュバッ
卯月「はやっ……!」
卯月「本当に猫みたい……」
ヘレン「まったくだわ」
卯月「!!」
291: 2015/01/24(土) 02:23:11.94 ID:kNLQOZOLo
卯月「ヘレンさん!?」
ヘレン「あら、覚えてたのね」
ヘレン「世界レベルだし、当然な世界だわ」
卯月(思い出したように一応キャラ付けやってる……)
ヘレン「本当はとっくに気がついてたけど、あのやりとりを邪魔する程無粋じゃないわ」
ヘレン「このしなやかな体を持ってすれば、上り丸太に体を隠すことくらい容易い――」
ヘレン「さあ、戦り合いましょう」
ヘレン「貴女がただのカエルじゃないことを、証明してごらんなさい」
卯月「――――――っ!」
【予選第6回戦 島村卯月 VS ヘレン】
292: 2015/01/24(土) 02:34:33.57 ID:kNLQOZOLo
春菜「よし!」 タッタッター
春菜「よし!!」 タッタッター
春菜「ありがとうメガネ神様!」 タッタッター
春菜「おかげで全員バラバラの相手だし、ブルーナポレオンが揃って決勝に出られます!」 キャッホイ
春菜「さあ、メガネのサビになりたい対戦相手の方は出てきてくださーい!」 タッタッター
紗理奈「……なあんてことを考えてるんでしょうけど」 チラ
紗理奈(あの嬉しそうな顔)
紗理奈(トラウマになりすぎて、頭から抜け落ちたのかしら)
紗理奈「……これはちょっと、全員本戦っていうのは厳しいかもね」
楓「……」
楓「そう……」
楓「貴女が、私の」
千枝「……」 ゴクリ
千枝(ちょっと怖いかも……)
千枝(逃げ出したいなあ……)
千枝「……」
千枝(でも……)
千枝(でも、今の千枝は……)
千枝「は、はじめまして…・…」
千枝「ブルーナポレオンの、佐々木千枝です」
千枝「ブルーナポレオン皆で本戦にいくっていう約束のため――」
千枝「倒されてくださいっ!」
楓「……」
楓(震えているし、相手は子供)
楓(でも――)
楓「そうね」
楓「貴女を“立ち向かってくる立派なアイドル”とみなし――」
楓「全力で、迎え撃ちます」 ザッ
【予選第6回戦 高垣楓 VS 佐々木千枝】
293: 2015/01/24(土) 02:55:11.81 ID:kNLQOZOLo
莉嘉(運は向いてきてる!) ダダダダダ
莉嘉(高垣楓の番号じゃなかったし!) ダダダダダ
莉嘉(そんでもってみりあちゃんでもない!) ダダダダダ
莉嘉(早急に襲撃してさっさとケリをつける!) ダダダダダ
莉嘉(最初に勝利を収めて、お姉ちゃんに引けをとらないことを視聴者にアピールする!) ダダダダダ
莉嘉「……」 ダダダダダ
莉嘉「!」
莉嘉(居た、ターゲット!)
莉嘉(背後からだけど、これもルール!)
莉嘉(ギャルキャラだし、空気も読まずに攻めていく!)
莉嘉(くらえっ!) バッ!
莉嘉(必殺・紅き付け爪(クリムゾンネイル)ーーーーーーッ!!!) ギュアッ
294: 2015/01/24(土) 03:01:09.43 ID:kNLQOZOLo
ガキィィィィン
莉嘉「!?」
莉嘉(鉄扇!?)
ヒュオッ
莉嘉「くっ!」 バッ
鉄扇使い「へえ、今のを避けはるんやなあ」
鉄扇使い「さすがは城ヶ崎美嘉の妹さんっちゅーことか」
莉嘉「……どうやって……」
鉄扇使い「ふっふっふ」
鉄扇使い「ガツガツとしすぎて視界が狭なっとるお方には分からん方法どす」
鉄扇使い「それに――ここで負けるお方には、教えてもしゃーないやろ?」 フフ
莉嘉「このッ……!」 ギリッ
295: 2015/01/24(土) 03:08:03.28 ID:kNLQOZOLo
鉄扇使い「まあ、一方的にこっちだけ知っとるのもなんやし……」
鉄扇使い「何より、城ヶ崎美嘉の妹が脱落かとなったら、カメラで抜かれるのは間違いないやんなあ」 フフ
鉄扇使い「やから、名乗っとくわあ」
鉄扇使い「うち、小早川紗枝いいます」
紗枝「どうぞよろしゅう申し上げます」 ニヤリ
莉嘉「……まっ、今のうちに名乗ってるといいよ」
莉嘉「私が優勝した暁には、DVD特典として優勝までの奇跡収録する予定だし、ちょっとは目立てるかもね!」 ドン
紗枝「言うてくれはるなあ……!」 ドン
【予選第6回戦 城ヶ崎莉嘉 VS 小早川紗枝】
296: 2015/01/24(土) 03:37:22.49 ID:kNLQOZOLo
凛(私の相手、4040番……)
凛(さっきから見かけないけど、隠れて待ちの体勢なのか、それとも互いに動きすぎていてすれ違っているのか……)
凛「……」
???「あーーーーっ!」
凛「!?」 ビクッ
凛(誰?!)
???「428番さん!」
凛「!」
凛(4040番!)
凛(しまった、上を取られ――!)
4040番「今そっちいくから待ってて!」
凛「……え?」
4040番「ええっと、階段階段……」 キョロキョロ
凛「……」
凛(素直なのか、お馬鹿なのか、それともたまたま遠距離で攻撃できない人だったのか……)
凛(それとも何か企んでる……?)
297: 2015/01/24(土) 03:42:13.25 ID:kNLQOZOLo
4040番「えへへ……」 ストッ
凛(結局……待つしかないんだけどさ)
4040番「よろしくおねが――あっ!」
凛「?」
4040番「おねえちゃん!」
凛「……?」
凛(どこかで会ったことあったっけ……?)
4040番「やっぱりアイドルだったんだあ」
凛(いや……そういえば、どこかで会ったような……)
4040番「せんせぇが少しでも早く帰ってこられるようにしたかったから」
4040番「それには、アイドルさんが一番だって言うから」
4040番「だから――」
凛「……」
『お嬢ちゃん、大人をからかっちゃいけないよ』
凛「あっ!」
薫「かおるも、アイドルになったんだよ!」
凛「あの時の、号泣少女……ッ!」
【予選第6回戦 渋谷凛 VS 龍崎薫】
306: 2015/01/26(月) 23:06:12.00 ID:tTo2lfTvo
卯月(足場はあるとはいえ、激しいアクションを起こすのは無理)
卯月(少なくとも、私の運動能力じゃ……)
ヘレン「こないのならこちらから行くわよ」
ブオンッ
卯月「ッ!」
ヘレン「へえ、よく避けたわね」
ヘレン「ただのカエルじゃない世界ね……」
卯月(は、早いッ!)
卯月(しかも動きに迷いがなく、あのキレのある後ろ回し蹴りッ!)
卯月(体のキレや体幹に自信があるんだ……)
卯月(自信が持てるほと、鍛えてるんだ……!)
卯月(避けられたのは偶然だけど……でも!)
卯月「そのくらいなら……私だって……!」 ニィ
ヘレン「余裕しゃくしゃくってわけ」 ピキッ
卯月(アイドルだから)
卯月(何がなんでも笑うんだ!)
卯月(私に自信があるのは、プロデューサーも褒めてくれたソレだけだからっ!)
307: 2015/01/26(月) 23:38:21.02 ID:tTo2lfTvo
ヘレン「奥の手は隠し持ってこそ」
ヘレン「けれども真のワールドクラスは、奥の手を隠さない」
ヘレン「同じワールドクラス相手に言い訳せずに勝てるよう、常に血の一滴まで絞り尽くす」
ヘレン「そして、わかっていても防げない一撃こそを、奥の奥として研ぎ澄ませる!」
卯月「わわっ!?」
卯月(自分の胸に手を――!?)
ズワッ
卯月「!?」
卯月「こ、これは――」
ヘレン「私が世界で会得したこの力で、貴女を踏み越える世界よ……」 プゥゥゥゥ
未央「おわーーーーっ!」
未央「C、Cモニターがーーーっ!」
鈴帆「な、なんばしよっとーーーー!?」
未央「む、胸に隠し持ったバルーンが、膨らんでいくーーーーーっ!」
309: 2015/01/26(月) 23:48:08.08 ID:tTo2lfTvo
キュッキュッキューー
卯月「わ、わんちゃん……?」
ヘレン「バルーン・アート」
ヘレン「世界で会得したキャラ付けの一つよ」
卯月「かわいい……」
卯月「……」 ウズッ
観客席の未央「だ、ダメ!」
観客席の未央「そいつに触れたら不味いことに!!」
観客席の鈴帆「そう思いつつも、抗えんばい……」
観客席の鈴帆「芸人がヤバいものに触れるように、女子は可愛い物があるとつい触れてしまう悲しい生き物たい……」
観客席の未央「う、卯月~~~~~~っ!!」
卯月「……」 チョン
ッパアアアアアアアアン
卯月「!?」
卯月(えっ、弾け!?)
ヘレン「あら、おっOいってのは、優しく扱わなくちゃダメって習わなかった?」
卯月(べ、べとべと……)
ヘレン「浴びたわね、たっぷりと」
ヘレン「ワールドクラスに滑りを良くするローションを……」
卯月「!」
卯月(ど、どうしよう、下手に動くことが出来な――)
ヘレン「これが私の必殺技(フェイバリット)――『ヌーブラー・ヘルス』ッ」
ヘレン「豊満な胸元には、まだまだたくさん仕込んであるわよ」 ゴゴゴゴゴ
310: 2015/01/26(月) 23:58:18.81 ID:tTo2lfTvo
ヘレン「更に……」
ヘレン「足元を御覧なさい」
卯月「足元……?」 オソルオソル
卯月「こ、これは――――!」
未央「げーーーーーっ!」
未央「卯月を取り巻くように、ヌーブラローション犬が配置されているーーーーっ!」
未央「こ、これじゃ一歩も動けない……!」
ヘレン「逃げ場はない」
ヘレン「貴女はチェスや将棋で言うチェックメイトにハマった世界よ……!」
312: 2015/01/27(火) 00:14:45.37 ID:V8hyWrZeo
卯月「……!」 ゴゴゴゴゴ
ヘレン「……」 ゴゴゴゴゴ
卯月「……」 ゴゴゴ・・・
ヘレン「……」 ゴゴ・・・
卯月「……」
卯月「あの、これだけ敷き詰めちゃったら、ヘレンさんもこっちに来られないんじゃ」
ヘレン「……」
ヘレン「……」
ヘレン「!!!!」
ヘレン「ぜ、全部織り込み済みよ!」
ヘレン「今倒しに行ってあげるからちょっと待ってなさい!」
卯月(あ、これ絶対今から方法考えるやつだよね、しばらくは自滅しないようバランス取るのに集中しよ)
313: 2015/01/27(火) 00:30:56.10 ID:V8hyWrZeo
ドッパーーーーーーーーーーーーーン
卯月「!?」
ヘレン「!?」
未央「今の音は!?」
未央「誰かが着水――脱落した音!?」
未央(卯月のモニターばかり見ていた……ッ)
未央(凛達じゃないよねっ……!?)
ちひろ「ついに最初の脱落者が出ましたね、実況の川島元アナウンサー!」
瑞樹「わかるわ」
ちひろ「最初にこの最終バトルを勝利したのは――――」
314: 2015/01/27(火) 00:49:02.01 ID:V8hyWrZeo
千枝(ああ……強いなあ……) ゴポゴポゴポ
千枝(結局……刃が立たなかった……)
千枝(ブルーナポレオンのために……)
千枝(何か……したかったのにな……) ザパッ
千枝「……」
スッ
比奈「……手、貸すっスよ」
千枝「……ありがとうございます」
グイッ
比奈「……次こそは、二人共、あのステージで張り合えるといいっすね」
千枝「……」
比奈「こんなナリで、こんな中身で……」
比奈「それでも、そんなアタシだって、プロデューサーに引っ張ってもらってこんな所までこられた」
比奈「……皆の力で、ここまで来られた」
比奈「だからアタシよりもっと素質がある千枝ちゃんは、まだまだこっからっスよ」
比奈「だから、ほら」
比奈「しばらくは頭まで濡れてるってことにしておくんで、パーッと泣いて」
比奈「それで……また一から一緒に始めて、一緒に頑張るっすよ」
千枝「……うう」
千枝「うええええ……」
比奈「うんうん、今は泣いていいんスよ」 ポンポン
比奈「高垣楓に負けて、悔しくて涙まで流せる」
比奈「きっとそれは強さになってるし、それがいつか、ブルーナポレオンをも押し上げるッスよ」 フフ
【佐々木千枝 予選第6回戦敗退】
【高垣楓 予選第6回戦突破】
318: 2015/01/29(木) 00:53:57.14 ID:UdF+2OW/o
莉嘉「……っ!」
莉嘉(先を越されたっ!)
莉嘉(一番に通過して、ただのお姉ちゃんのおまけじゃないってところ見せたかったのにっ!)
莉嘉(お姉ちゃんに、認めてもらわなくちゃいけないのに!) チラッ
紗枝「よそ見は、あきまへんえ」
ガゴッ
未央「鉄扇によるアッパーカット……!」
未央「い、痛そ~……」
紗枝「これで終いどす」
バッ
未央「そのまま鉄扇を開いたっ!」
鈴帆「あれでは視界が塞がれてどげんしようもなかばい!」
紗枝「ぶぶづけ落としーーーーっ!」
未央「鉄扇で顔を押し付けながら、足を巧みに絡ませて体勢を崩したーーーーーっ!」
ドガァッ
莉嘉「がっ……!」
ズルリ
未央「ああ~~~っ、落ちてしまう~~~~~~っ!」
319: 2015/01/29(木) 01:07:50.42 ID:UdF+2OW/o
莉嘉(どこで……間違えたんだろ……)
莉嘉(お姉ちゃんに追い付きたいなって思ったから?)
莉嘉(嫉妬なんかしたから?)
グラァ
未央「り、莉嘉ちゃんの体が落ちるーーーーっ!」
莉嘉(わからない……)
莉嘉(わからないよ……)
莉嘉「でも……!」
莉嘉「このまま負けてられないよねっ!」
未央「げーーーーーっ、あ、あれは~~~~~~っ!」
鈴帆「おわーーーーっ! 妹ヶ崎の手首から謎のヒモがーーーーーーっ!」
未央「そ、そうか、手首に巻いたあのポンポン!」
未央「落下の直前に、あのポンポンを足場に引っ掛けていたんだ!」
未央「そしてあのポンポンはゴムひもで結ばれているッ!」
未央「その伸縮性を使えば――」
ビヨーーーーン
紗枝「!?」
未央「ゴムの弾性で、足場まで戻ることができる!」
320: 2015/01/29(木) 02:13:28.61 ID:UdF+2OW/o
莉嘉「がおーーーーーっ!」
紗枝「!?」
紗枝(こっちに突っ込んで――――!)
莉嘉「ただ戻るだけなんかじゃ済ませないんだからねーっ!」
ギューーーン
未央「げえーーーーーっ!」
未央「あの小早川紗枝を抱えて更に上空へと登っていくーーーっ!」
莉嘉(先輩だろうとなんだろうと、全員倒しちゃうんだから!)
莉嘉(それで、お姉ちゃんに追いつく!)
莉嘉(難しーことはわからないし、今はただ、それだけっ!)
紗枝「ひっ」
紗枝(う、上の階層の足場……っ!)
紗枝(上方向に叩きつけられるなんて……!)
莉嘉「ターンオーバー・メイク落としーーーーーっ!」
ズガァッ
321: 2015/01/29(木) 02:28:54.11 ID:UdF+2OW/o
瑞樹「あの技は……」
美嘉「相手の顔面を地面へと叩きつけて、相手の化粧と意識を無理矢理引っぺがす……」
美嘉「昔教えた技だけど、まさかこんな応用まで出来るようになってるとはねえ」
瑞樹「わかるわ」
瑞樹「子供って、成長スピードが異常ですものね」
美嘉「……でも、まだ若すぎるかなー」
瑞樹「……と、いうと?」
美嘉「他の娘もだけど……」
美嘉「あ、これ選手には声聞こえてない?」
ちひろ「あくまで生放送ですので大丈夫ですよ」
美嘉「んじゃあ言うけど、やっぱりまだまだこのゲームのルールを理解しきれてないんだよねえ」
瑞樹「わかるわ」
瑞樹「皆、とても、素直で若いわ」
美嘉「与えられたルールの中で、いかにステージを自分の土俵にするか」
美嘉「ソレがアイドルには求められるんだけどねえ」
322: 2015/01/29(木) 02:45:28.82 ID:UdF+2OW/o
沙理奈(さすがにそろそろバストラッシュもきつくなってきた……)
沙理奈(予選決勝ともなると、相手も一筋縄じゃいかない、か)
春菜「メガネフラーッシュ!」
ピカッ
沙理奈「!」
春菜「準備完了ですよ!」
沙理奈「よっし!」 シュバッ
春菜「せーーーーーのっ!」
沙理奈「悪く思わないでよ!」
ガコン
鈴帆「おわ~~~~っ、あれを見んしゃい!」
未央「げえーーーーーっ!」
未央「二人がかりで足場を外したーーーーーーっ!」
瑞樹「えげつないわねえ……」
美嘉「でもまあ、いい選択だよ」
美嘉「時間稼ぎで胸をアピールし、その間に一人が足場の破壊の準備を進める」
美嘉「二人がかりで外す隙は、太陽光をチャームポイントのメガネで反射させてつくる」
美嘉「そして足場を崩してまとめて勝利するっていう画面映えのよさ」
美嘉「やっぱりすでにそこそこ売れてるレベルの娘は違うかなあ~☆」 クク
【上条春菜 予選第6回戦突破】
【松本沙理奈 予選第6回戦突破】
323: 2015/01/29(木) 02:53:54.76 ID:UdF+2OW/o
莉嘉「なっ……!?」
莉嘉(だ、誰が――)
美穂「紗枝ちゃんっ!」
莉嘉(何……でッ!)
瑞樹「……違う選手が攻撃をしてきたのは――」
美嘉「ルール無用」 ニヤリ
瑞樹「よねえ」
美嘉「あんな目立つ技を、他の人間が居るところを通るような技を、バトルロイヤルで出す方も悪いしー」
美嘉(どーする? ここで終わっちゃう?)
莉嘉(落とされるッ!)
莉嘉「くっ……!」
シュルッ
莉嘉(ワンパターンでも、もうポンポンのゴムを引っ掛けるしか――――)
スカッ
莉嘉「……っ!」
莉嘉(届かな――――)
324: 2015/01/29(木) 03:29:31.57 ID:UdF+2OW/o
ヘレン(よし、体にローションを自然にぬれた)
ヘレン(あとはそれを活かしてスライディングをするっ!)
ヘレン(相手を弾きつつ、自分は真っ直ぐ滑ることで落下を防ぐ)
ヘレン(これで現状は打開できる!)
ヘレン「喰らいなさい」
ヘレン「これぞ世界レベルのスーパー必殺わz――――」
みく「みくにゃんキーーーーーック」
ドゴォ
ヘレン「なっ!?」
ヘレン「前川みく……!」
みく「いやー、さすが自意識だけはワールドクラス」
みく「どこにいるか、とってもわかりやすかったにゃ」
ヘレン「このっ……」
みく「でもまあ、世界世界言う割には、視野が狭くて全然ワールドワイドじゃないにゃあ」 ニヤリ
ヘレン「……!!」
パンパンパンパンパン
みく「倒れる先にあるの、自分がまいたヌーブラだにゃ」
みく「それだけローションまみれで、果たして立ち上がれるかにゃ?」
ヘレン「しまっ……!」
325: 2015/01/29(木) 03:39:36.49 ID:UdF+2OW/o
みく「卯月ちゃん!」
みく「今だにゃ!」
みく「みくはヌルヌルしてるからそっちまで行けないけど、すでにヌレヌレの卯月ちゃんなら出来るはずだにゃ!」
ヘレン「そうはさせないわっ!」 ヒュバッ
未央「なあ~~~~~!?」
未央「すごい勢いでうつ伏せで滑ってきたーーーーーっ!」
鈴帆「攻撃と逃走と目立ちを同時に成立させとるきい、あれば強かよ……!」
みく「卯月ちゃん、翔べーーーーーーっ!」
卯月「……っ!」 バッ
未央「と、跳んだーーーーーっ!」
スタッ
ヘレン「ちょっと!」
卯月「あ、あわわ……」
瑞樹「あら、あれは――」
未央「背中に飛び乗る形になるなんて、なんて“持ってる”の!?」
ヘレン(ぐっ、背中に体重による圧迫感があって上手く軌道が――)
みく「そのままいけーーーっ、はるにゃん!」
ヘレン「!?」
ヘレン(しまっ、上層部に続く丸太――――)
卯月「島ッスル・インフェルノーーーーーーッ!!」
ズッガーーーーーーン
326: 2015/01/29(木) 03:46:57.61 ID:UdF+2OW/o
みく「いえーい、おめでとうにゃん!」
卯月「……」
みく「浮かない顔だにゃあ」
卯月「……本当なら、私は負けてました」
卯月「……でも……」
みく「……他人の力を借りて卑怯な勝ちになっちゃった、かにゃ?」
卯月「えっ」
みく「卯月ちゃんは分かりやすいにゃあ」
みく「だから教えておいてあげるにゃ」
みく「猫の手を借りたくなっても、猫自身が気に入った人じゃないと、猫は力を貸さないのにゃ」
卯月「……」
みく「卯月ちゃんはよく褒められてるその笑顔と、立ち回りやキャラクター性で、私の好感度を高めてたんだにゃ」
みく「……だから、誇ってもいいんじゃないかにゃ」
みく「笑顔で仲良くなった人に助けてもらう」
みく「それも立派な卯月ちゃんだけの才能だし、長所だし、それがもたらした結果は、実質卯月ちゃんの実力だにゃ」
卯月「……はい」
【島村卯月 予選第6回戦突破】
【ヘレン 予選第6回戦脱落】
328: 2015/01/29(木) 03:59:47.56 ID:UdF+2OW/o
みく「ま、とりあえず卯月ちゃんは大人しくしてるにゃ」
みく「下手に動いたらワールドバカの仕掛けたローションで落ちちゃいそうだし」
みく「黙って待ってれば全部の試合が終わるはずだにゃ」
卯月「でも、皆は……」
みく「問題ないはずだにゃ」
みく「凛チャンは負けようのない素人のちっちゃい娘が相手みたいだし」
みく「それに、莉嘉チャンには――」
329: 2015/01/29(木) 04:05:10.24 ID:UdF+2OW/o
莉嘉「……」 ギュッ
莉嘉「……」
莉嘉「……?」
莉嘉(着水の感覚が……ない……?)
頭上の声「もう、最後まで目は閉じちゃ駄目だって、美嘉おねえちゃんも言ってたのに」
莉嘉「……!?」 バッ
頭上の声「うう、重たい……」
莉嘉「な、なんで……」
頭上の声「アクセサリーいっぱいだからだよお」
莉嘉「そうじゃなくて……」
莉嘉「何で私を……」
頭上の声「油断して、相手の娘、莉嘉ちゃんのカットに行かせちゃったし……」
頭上の声「それに――友達だから」
莉嘉「みりあ……」
みく「それに、莉嘉チャンには――みりあチャンがいる」
みく「普通の少女みたいだけど、時折すごく頼もしい娘にゃ」
みく「みく達は、二人が揃って帰ってくるのを待てば問題ないにゃ」
330: 2015/01/29(木) 04:10:41.83 ID:UdF+2OW/o
紗枝「ぐう~~~~、余計なことをしはってーーーー!」
美穂「大丈夫!?」
紗枝「あのぽんぽんを掴んどる娘は――」
美穂「ごめん、わたしの相手……!」
紗枝「そうか……」
紗枝「そんなら二人まとめて落下させたりやす!」 ダダッ
美穂「あっ、私も――」
紗枝「そこにおりぃ!」
紗枝「何してきはるか分からへんし、これはさっきの恩返しや!」 ダダッ
紗枝「ぶぶづけラリアートーーーーっ!」
ドゴォ
みりあ「きゃうっ……!」
グラァ
莉嘉「み、みりあっ!」
みりあ「だ、大丈夫……」
みりあ「絶対、このゴムは離さないから」
みりあ「だから……早く上がってきて」
みりあ「ステージの外にいるなんて、らしくないよ……」
みりあ「一緒に、くまさんとライオンさんで狂獣コンビを組むんでしょっ……!?」
莉嘉「みりあ……」
331: 2015/01/29(木) 04:18:57.51 ID:UdF+2OW/o
みりあ「それに――っ!」
ヒュバッ
紗枝「!?」
紗枝(速――――!)
バッチィィィィィィィン
未央「出たぁーーーーーっ、みりあちゃんのハエたたきッ!!」
未央「スナップによって繰り出される一撃は、見かけによらず破壊力があるっ!」
未央「一瞬片手を離してでも奇襲に使う価値のあるフェイバリットだーーーーーっ!」
332: 2015/01/29(木) 04:33:54.28 ID:UdF+2OW/o
みりあ「……っ!!」
紗枝「さすがに今のは痛かったえ~」
紗枝「薄着は防御力に欠けるのがいかんな~」
未央「げえーーーーーっ、効いてない!?」
未央「あ、あの一撃を受けたら普通はよろめいて落下しそうなものなのにーーーーーーっ!」
瑞樹「和服の力、ね」
美嘉「?」
瑞樹「成人式で着てみて思ったんだけど、着物って意外と大股開きはしにくい造り」
瑞樹「慣れるまでは、歩くことさえも」
美嘉「な~るほどねぇ~」
美嘉「普段から足を地面から離さずに、和装特有の足の運びを使っているから、簡単には崩されないんだ」
瑞樹「この試合でも、ずっと足は地面につけていたし、よほど自信があるのね……」
瑞樹「でも、わかるわ」
瑞樹「得意なことや好きなことをやり続け、その結果が出た場合、それを盲信したくなるものよ」
美嘉「しかも確か、相手の娘は日本舞踊もやってるって話だったし、思わぬ強敵って感じだねー」 ケラケラ
美嘉(さあ、どうする、莉嘉――――!)
340: 2015/01/29(木) 22:40:59.88 ID:UdF+2OW/o
莉嘉「くっ、みりあっ!!」 ビュオッ
紗枝「甘いどすなあ、季節限定フルーツ八つ橋の餡よりも甘い……」
カンカンカン
紗枝「メイク道具を高速で投げ飛ばし、人体の急所を突く――」
紗枝「他の者ならともかく、年頃の女の子――それもアイドルなら、城ヶ崎美嘉のフェイバリットとして先刻承知のもの」
紗枝「あの驚邏大四凶殺を経てデビューを掴んだ城ヶ崎美嘉のシンデレラうストーリーを知っとる者なら」
紗枝「その妹と当たる時、必ずそこは警戒する……」
紗枝「来ると分かってさえいれば、この鉄扇で撃ち落とすことは造作もないおすえ」
莉嘉「くっ……」
みりあ「そんな……」
紗枝「しまいや!」
紗枝「二人仲良う落ちていっておくれやす!」 ビュオッ
みりあ「……」
みりあ「!」
みりあ「今ッ!!」
ガッシイイイッ
紗枝「!?」
未央「か、カニバサミ……!」
鈴帆「一瞬でも飛び上がるリスクを恐れぬあの行動…・・まさか狙っとったんか!?」
341: 2015/01/29(木) 23:07:13.80 ID:UdF+2OW/o
美嘉「あの娘の特技はおしゃべり」
美嘉「でもそれは一方的な言葉の押し付けじゃあない」
美嘉「円滑にしゃべり続けるには、いろんな人間の要素を窺う必要がある」
美嘉「特に多人数で全員に気持よく喋らせようとすれば、観察眼は必要不可欠っ!」
瑞樹「わかるわ」
瑞樹「ただ自分が喋りたいだけの娘と、上手く皆に喋らせるおしゃべり上手との大きな壁ね」
美嘉「あの娘はずっと待っていたんだねえ、このタイミングを」
紗枝「ぐっ……!」
紗枝「は、離れ……!」
みりあ「その脚さばきと鉄扇は脅威だけど、腕力自体はそこまでないよね……」
みりあ「だったら、足のほうが強いって、格闘技漫画が大好きな娘が言ってたよっ!」 ガッシリ
紗枝(このまま倒されるわけにもいきまへん)
紗枝(でも……あかんっ、振りほどけないっ……!)
未央「腕ごとガッチリホールドしてる……」
未央「これじゃあ鉄扇は振れない」
未央「同時に挟める位置まで振り下ろされるのを、虎視眈々と狙っていたっていうの!?」
未央(これが……アイドルっ……!)
342: 2015/01/29(木) 23:59:32.38 ID:UdF+2OW/o
瑞樹「小早川紗枝選手もよくこらえてるわ……」
美嘉「あれも和装の賜物?」
瑞樹「でしょうね」
瑞樹「足を小さくしか動かせぬ中で素早く動くフットワーク」
瑞樹「足腰だけでなく、足の指の力までもを駆使しているはず」
瑞樹「普段下履き越しに使っていた足の指の力が、水着の今はフルで使える」
瑞樹「三人分の体重くらいなら、何とか支えていられるほどの力が、彼女の足の指にはあるッッ」
紗枝「ぐう~~~~っ」 グギギ
みりあ「頑張ってこらえてねっ!」
みりあ「倒れられたら、皆一緒に落ちちゃうんだから!」
みりあ「莉嘉ちゃん、上がってきて!」
紗枝「このっ……!」
345: 2015/01/30(金) 00:29:04.19 ID:YOSh1QTpo
美穂「ま、待ってて……!」 ダッ
紗枝「くっ……よろしゅう頼むえ……!」
ちひろ「おーっと、ここでカットに入りましたね」
P「タッグマッチの基本ですね……」
P(それを想定していなかったとは思えませんが……)
みりあ「……まあ、そうなるよね」
みりあ「莉嘉ちゃん!」
莉嘉「え?」
みりあ「意地でも、あのステージに立つだよねっ!」
みりあ(いつもなら、気を使って、きっとゴムを切って自分だけ落下してる)
みりあ(でもそれをしないほど、あのステージは、莉嘉ちゃんに取って大切なものなんだ……!)
みりあ「みりゃあ~~~~~!」 グリグリグリグリグリ
紗枝「があ~~~~~っ!?」
瑞樹「あーーーーーっと、赤城みりあ選手、なんと挟んだ足を激しくくねらせはじめたーーーーーっ!」
美嘉「カニバサミは柔道でも禁止にされた危険な技」
美嘉「特に、“倒れまいと踏ん張るときに故障の危険がある”という点がすっごく危ないんだよねえ」
美嘉「そんな状態の足に、大きな衝撃を与えたら――」
346: 2015/01/30(金) 00:53:35.37 ID:YOSh1QTpo
紗枝「しょ、正気どすか!?」
紗枝「うちが落ちれば、あんさんらも……!」
みりあ「私だって、アイドルだもん」 グリグリ
みりあ「何もせずに負けたくなんてないよ!」 グリグリ
紗枝「わけのわからんことをっ……!」
美穂「紗枝ちゃんっ!」
紗枝「来たらあかんっ!」
紗枝(コイツの目……下手に近づかせるわけにはっ……!)
みりあ「アイドルとして、ライバルに勝つ」
みりあ「そして莉嘉ちゃんも守る」
みりあ「両方やらなくっちゃあいけないのが、アイドルの辛いところだよね……!」
紗枝「くっ……!」
紗枝(あかん、もう持たへん……!)
みりあ「覚悟はいい?」
みりあ「私は出来てるッッ」
紗枝「しょ、正気かッッあんたァァァァァッ!」 グラァ
347: 2015/01/30(金) 01:24:00.19 ID:YOSh1QTpo
紗枝「う……おあああああああああッッ!!」
紗枝(もう無理やッッ)
紗枝(こいつは本気で一緒に落ちる気でおるッッ)
紗枝(せやったら――)
未央「おわーーーーっっ!」
未央「みりあちゃんがついに相手と落下したーーーーーっ!!」
P「……」
P「いえ……あれを……」 スッ
未央「へ?」
未央「げえーーーーーっ、こ、小早川紗枝がコウモリのように逆さまに張り付いているーーーーーっ!!」
紗枝「アンタの覚悟はほんまにすごいわ」
紗枝「素直に尊敬するえ」
紗枝「やけど、今はほんのちょっぴりウチの方が上手やったみたいやね」
紗枝「ウチの足の指の力なら、ギリッギリ逆さにくっつくことが出来るッッ」
紗枝「このまま高層の地獄へ落ちていっておくれやすッッ」 ドガァッ
348: 2015/01/30(金) 01:49:27.23 ID:YOSh1QTpo
みりあ「……負けたくないけど」
みりあ「しょうがないよね」
みりあ「友達だもん」
紗枝「何を……」
みりあ「今度、美味しいケーキごちそうしてもらうからねっ!」 パッ
紗枝「!?」
紗枝(両手を離した!?)
みりあ「みりゃあっ!」 ドゴッ
紗枝「はんっ!」
紗枝「苦し紛れの両手攻撃なんて――」
みりあ「……」 ニヤリ
バッ
紗枝「あっ!」
みりあ「不自然な体勢で、足の指に意識を集中しすぎたねっ!」
みりあ「鉄扇は頂いたよっ!」 ヒュルルルル
紗枝「くっ……」
紗枝「せやけど、これで相手は二人共落ちたし、美穂ちゃんに助けて貰ってゆっくりと回収すれば――」
349: 2015/01/30(金) 02:11:47.00 ID:YOSh1QTpo
莉嘉「悪いけど、それは出来ないんだよねえ」
紗枝「ッ!?」
紗枝「なんっ――」
莉嘉「これで終わりッ!」
ギラン
紗枝「ッ!」
紗枝(ネイルッ!)
莉嘉「そんなに足を守らなくても、大丈夫だよ」
莉嘉「体に傷つけなくても、もっと別の逃げない場所を狙うからさッ」 ボッ
莉嘉「その体勢じゃまともに技も出せないよねっ!」
ギュアッッ
紗枝「!?」
紗枝(足場が、削れ……!?)
莉嘉「研ぎ澄まされた私のネイルは、何であろうとこそぎ落とすッ!」
紗枝「そ、そんな馬鹿なああああああ」 ヒュルルルルル
ドッポーーーーーン
莉嘉「よしッッ クソ野郎ッッだね!」 グッ
【城ヶ崎莉嘉 予選第6回戦突破】
【小早川紗枝 予選第6回戦敗退】
350: 2015/01/30(金) 02:44:03.89 ID:YOSh1QTpo
莉嘉「それにしても、ずいぶん大胆な作戦を」
みりあ「あはは」
みりあ「どうせ私じゃ決め手に欠けたし」
みりあ「どのみち鉄扇は奪わないと最後の一撃も落とされたかもしれないしさ」
莉嘉「とりあえずあがるから、もうちょっと待っててね」
瑞樹「あの二人って……」
美嘉「体重、近いみたいだねえ」
美嘉「鉄扇の重さでバランスが変わったからこそ、みりあちゃんが落下するのに合わせて莉嘉が上昇することができた」
美嘉「井戸のバケツが上昇するようにね」
瑞樹「わかるわ」
瑞樹「ゴムの伸びる限界点をさっきしっかりチェックしていたのも大きいわね」
美嘉「さすがみりあちゃん、ってとこかなー」
瑞樹「あら、足場を削る一撃必殺というのも、なかなかにすごいと思うけど」
美嘉「んー、ま、そうだけどさー」
瑞樹「妹さんに厳しいわねえ」
瑞樹「愛のムチ?」 フフ
美嘉「いやいやそんなんじゃないんだけどねー」
351: 2015/01/30(金) 03:07:48.99 ID:YOSh1QTpo
美穂「さ、紗枝ちゃん……」 ボーゼン
莉嘉「ほら、さっさと上がってきて」
莉嘉「今ならあっちも倒せそうだしさ」
みりあ「うん、そうd――――」 ハッ
みりあ(ゴム……ちぎれかけてる……)
莉嘉「?」
みりあ(莉嘉ちゃんは、気付いてないよね)
みりあ(カブトムシの時もそうだけど、すぐ何かに夢中になっちゃうんだもんなあ)
みりあ「まあ、そこが莉嘉ちゃんのいいところなんだけどさ」 フフ
莉嘉「???」
みりあ「……頑張ってね」
みりあ「莉嘉ちゃんなら、きっと素敵なギャルモデルになれるよ」 ヘヘ
みりあ「お姉さんみたいなモデルじゃなくて、ソレ以上の、莉嘉ちゃんにしかなれないスーパーアイドルに……」
莉嘉「みりあ……?」
みりあ「ゴム、切れちゃうから」
みりあ「あと、よろしくね」
莉嘉「!」
みりあ(限界まで持ちそうにないし、変に踏ん張って持ち上げようとされた時に切れちゃったらバランス崩して莉嘉ちゃん落ちちゃうかもしれないもん)
みりあ「あーあ」 パッ
莉嘉「みりあ!!」
みりあ「次は私もステージに立ちたいなあ」
ドッパーーーーーーン
莉嘉「みりああああああああああああああああああああ!!」
【赤城みりあ 予選第6回戦脱落】
【小日向美穂 予選第6回戦突破】
352: 2015/01/30(金) 03:15:30.18 ID:YOSh1QTpo
美穂「紗枝ちゃん……」
莉嘉「みりあ……」
莉嘉「……」
莉嘉「ギリッ」
莉嘉「……ねえ」
美穂「?」
莉嘉「ハンカチ、いる?」
莉嘉「涙でメイクが落ちてるよ」
美穂「え……っと」
莉嘉「罠とかじゃないから安心して」
莉嘉「不意打ちで落としてもよかったけど、それじゃ意味ないし」
美穂「?」
莉嘉「万全な状態で、真っ向から戦わないと意味が無い」
美穂「!?」
莉嘉「……みりあは言ってた」
莉嘉「私を守ると同時に、アイドルとして勝たなきゃいけないって」
莉嘉「確かにルール上、アタシ達は勝ち抜けだけど――」
莉嘉「勝ち抜いた者同士が闘っちゃ駄目なんてルールはないし~」
莉嘉「何よりこの“タッグマッチ”は決着がついてない」
莉嘉「ここで勝って、“私達”が勝たないと、みりあに顔向け出来ないもんっ!」 ザッ
353: 2015/01/30(金) 04:06:19.99 ID:YOSh1QTpo
莉嘉「さ、構えなよ」
莉嘉「そっちだって――友達やられて、黙っちゃいられないでしょ?」
美穂「……」
美穂「ここで負けたら……巻き込まないようにしてくれた気持ちを裏切ることになっちゃいます」
美穂「でも……」 キッ
美穂「わたしだって!」
美穂「戦って勝って、紗枝ちゃんと二人で勝ったよっていいたい!」
莉嘉「……だよね」
莉嘉「容赦は、しないから」
莉嘉「こっちだって、仲間のために負けるわけにはいかないんだからねっ!」 ダッ
美穂「私だって!」 ダッ
【予選第6回戦(場外乱闘) 城ヶ崎莉嘉 VS 小日向美穂】
359: 2015/01/30(金) 22:31:57.07 ID:YOSh1QTpo
スローペースですが、どんどんアニメに引き離されるので少しでも投下していきたいと思います
361: 2015/01/30(金) 22:44:36.78 ID:YOSh1QTpo
薫「いっくよー!」
凛「くっ……!」
凛(無邪気な顔して、なんて躊躇のない攻撃……!)
薫「「クッキングアイドルになって、せんせぇと早く会うためにもっ!」
薫「負けられないもんっ!」 ブゥン
凛(お玉はいい。フライパンもまだ許せる)
薫「このクッキング殺法で、倒しちゃうから!」 ブゥン
凛(その包丁だけはもらうわけにはいかないっ……!)
363: 2015/01/30(金) 23:00:46.22 ID:YOSh1QTpo
薫「せんせぇとしたおままごとと、おてつだいで、お料理には自信があるんだ!」
ビュワッ
凛「!?」 ベトォ
凛「なにこれ……油……?」
薫「お肉は強火で焦げ目をつけるんだよーーーーーっ!」
ボゥワァァァァァァ
未央「おわ~~~~~~~~っ!」
未央「躊躇なく炙り用バーナーをぶっ放しおたーーーーーーっ!」
鈴帆「あ、あれは氏んだに違いなか~~~~~~~~っ!!」
美嘉「え、えげつなー」
瑞樹「子供特有の残忍さね」
ちひろ「彼女たちは、自らの行いが引き起こすことへの責任意識がない――」
ちひろ「それは時に、幼き少女をキリングマシーンへと変える」
ちひろ「悪意なきキリングマシーンを、果たして止められるかしら?」
364: 2015/01/30(金) 23:15:52.14 ID:YOSh1QTpo
鈴帆「あ、あれはーーーー!」
未央「もうだめっ!」
未央「大事な友だちが焼け氏んでいくところなんて見ていられないーーーーーっ!」 バッ
P「いえ……よく見て下さい」
未央「ん……?」
凛「……ッ」 ハァハァ
未央「おおーーーーっ、生きてる!!」
未央「燃えているのはパレオの布部分だけだーーーーーーっ!」
凛(この無邪気さ、そして自分を信じて疑わない瞳……)
凛(苦手だ……)
凛(どうしよう、どうすれば……)
365: 2015/01/30(金) 23:29:34.66 ID:YOSh1QTpo
薫「せんせぇ!」
薫「まっててね!」
薫「すーぱーあいどるになって、せんせぇを出してあげるから!」 ビュオッ
凛「くっ!」
凛(この真っ直ぐな目)
凛(自分を信じ、真っ直ぐ目的に駆ける姿勢)
凛(どれも私にないもの……)
凛(私は……)
凛(私が……)
凛(そんな娘を蹴落として勝ち上がってもいいの……?)
凛(このまま痛い目を見る前に、着水してしまった方がいいんじゃ……)
367: 2015/01/31(土) 00:49:18.06 ID:RCTpkscdo
未央「どうしたの、しっぶりーーーーーーーーーん!」
未央「しぶりんは、私達で一番才能があるんじゃないかーーーーーっ!」
凛「未央……」
凛(そんなことはない……)
凛(私は、みんなほど、真剣には、なることが――)
薫「おねえちゃん!」
凛「え?」
薫「おねえちゃんも、プリキュアに変身していいんだよっ」
凛「いやできないから」
薫「せんせぇのためにも、負けられないもん」
薫「でも、おねえちゃんが苦しそうにしてるのも、悲しいよ」
凛「え……」
薫「おねえちゃんたちが、おしえてくれたから」
薫「だからこうして、アイドルとしてここにいるんだもん」
薫「いっしょに、たのしもうよ!」
凛「一緒に……」
368: 2015/01/31(土) 01:09:35.50 ID:RCTpkscdo
薫「だって、おねえちゃんも、アイドルでしょ?」
薫「勝ちたいし、負けられないけど……」
薫「いっしょにわらって、おたがいに、もっともっとつよくなるの!」
薫「アイドルはそういうものだって、せんせぇも、言ってたよ!」
凛「……」
薫「だからおねえちゃんも!」
薫「お互いの、たいせつなもののために」
薫「一緒に戦お!」
凛「……」
凛「いっしょに、か……」
凛(私の、大切なもの……)
未央「しぶりーーーーーん!」
未央「しまむーだって、勝ったんだよーーーーーー!!」
凛「……」
凛「ふふ」
凛「声、大きすぎるって」
薫「……!」 パァァ
凛「…・…?」
薫「よかった、おねえちゃんが笑顔になって!」
薫「これで、お互いアイドルとして、笑って戦えるよね!」
凛「……うん、そうだね」
凛「こっち向けられた包丁のせいで瞬時に表情曇りそうだけど」
369: 2015/01/31(土) 01:43:26.20 ID:RCTpkscdo
凛「……まだ、やっぱり、迷いはあるけど」
凛「卯月みたいに、笑顔で人を幸せに出来るのか、わからないけど」
凛「ちょっとオイたをしてる娘をこらしめるくらいなら、できなくちゃね」
薫「いっくよー!」
薫「お料理葬送曲ーーーーーっ!」 ミジンギリダホウチョーーーーウ
凛(こわい……)
凛(足がすくむ……)
凛「でも!」
凛(これが卯月なら!)
凛(未央や、他の皆なら!)
凛「絶対に目を離さないし、引いたりしないっ!」 カッ
凛(見えた!)
凛(どれだけ包丁で威嚇してきていても、所詮は料理のおままごと!)
凛「足元はお留守ッ!」 ズザーーー
未央「うまい、スライディング!」
鈴帆「さっき油がぶちまかれたからよく滑るばいね!」
370: 2015/01/31(土) 01:45:46.83 ID:RCTpkscdo
ガッ
薫「!」
薫(包丁が、柱に刺さって抜けな――!) グイッ
凛「ハンバーグでも作ろうとしてたのかもしれないけど――」
凛「使うなら人肉でなく、牛の肉の方がいいよ」 ガシッ
薫「し、しまった!」
凛「カーフ・ブランディングーーーーーっ!」
ドッゴーーーーン
薫「うあっ……」
未央「き、決まったーーーーーーっ!」
未央「幼い牛が焼き印を押されてハンバーグになっていくーーーーっ!」
371: 2015/01/31(土) 01:49:28.74 ID:RCTpkscdo
凛「……」 ハァ、ハァ
薫「う……ぐう……」
凛「……大丈夫?」
薫「あはは……大丈夫だよ……」
薫「倒すつもりでいったんだもん、倒されてもしょーがないよ」
凛「……」
薫「あーあ……」
薫「勝って……」
薫「勝って、せんせぇを……」 グスッ
薫「ううう……」
薫「うえええええええ……」
凛「…………っ」
372: 2015/01/31(土) 02:15:19.43 ID:RCTpkscdo
莉嘉「きちんと立ち向かってきたことは、評価するよ」
美穂「ぐ……う……」
美穂「痛い……よお……」
莉嘉「ごめんね、急所は外してあるから」
瑞穂「あれは……」
美嘉「あの娘のつけ爪も、鋭利で破壊力がある」
美嘉「でも、それだけじゃないんだよなあ」
瑞穂「と、いうと?」
美嘉「あの娘、私のお下がりで、ちっちゃい頃からケータイを持ってたんだよね」
瑞穂「ギャルの姉の影響で、もっと若くからギャルであった、と」
美嘉「そう」
美嘉「あの娘は誰より早くケータイに触れ、ギャルをしてきた」
美嘉「勿論文字の入力も爆速だし、その指さばきは圧倒的だよ」
瑞穂「わかるわ」
瑞穂「若い子のボタンプッシュのスピード、はやいわよね」
美嘉「あの鋭利な爪を、ケータイ操作で鍛えた速度で繰り出す」
美嘉「それは圧倒的な破壊力を持ち、例え相手が何であろうと削り取るような一撃必殺となる」
美嘉「まさに理屈なんて域を通り過ぎた娘だよ」
瑞穂「なるほど、それで理過って名前なのね、わかるわ」
美嘉「違うんだけど何がわかったの」
375: 2015/01/31(土) 02:20:49.15 ID:RCTpkscdo
美穂「うう……」
莉嘉「……立つんだ」
美穂「……」 ポロポロ
莉嘉「泣いても、震えても……」
美穂「私は……アイドル、だから……」 グラァ
美穂「ごめん、紗枝ちゃん――――」
ドッパーーーーーーン
莉嘉「……」
莉嘉「倒れたままにならず、決着をつけるため、意地で立ち上がる、かあ」
莉嘉「……」
莉嘉「なんだかんだで、さすがだなーってなったよ、センパイ」
【小日向美穂 予選第6回戦敗退】
377: 2015/01/31(土) 02:37:19.46 ID:RCTpkscdo
凛(泣いてる……)
凛(泣いてる子供を、こっから突き落とすの……?) ソッ
ヒュオオオオオ
凛「高っ……」
凛(いや、無理でしょ)
凛(これ、明らかに私勝ったんだけど、落とさなきゃ駄目なのかな……)
謎のリーゼント「はいちょっと失礼」
凛「えっ? あ、はい」
謎のリーゼント「よっこいせ」 グイッ
薫「ふえ!?」
凛「!?」
凛(いくら子供とはいえ、そんな簡単に――!?)
謎のリーゼント「ほい」 ポイッ
ドッパーーーーーーン
凛「なっ!」
凛「ちょ、子供相手にそんな――」
謎のリーゼント「?」
謎のリーゼント「いやいや、この世界でアイドルやってる以上、ソレ以外の要素なんて意味ないだろ?」
凛「そ、それはそうかもしれないけど……」
謎のリーゼント「それに、勝つならちゃんと勝ち切ってやらないと、相手だって困るだろ」
謎のリーゼント「しっかりと勝ち切って、勝ち誇るのが礼儀ってもんじゃないのか?」
凛「……」
謎のリーゼント「まあなんにせよ、これで終わり」
凛「え?」
ちひろ『終ーーー了ーーーーーーっ!』
ちひろ『今をもって、全カードの決着がつきましたーーーっ!』
ちひろ『ドローが出なかったのはすばらしいですねっ』
凛「あ……」
凛「私待ち、だったんだ……」
謎のリーゼント「白熱してるならともかく、このままで放置ってわけにもいかないだろ?」
凛「……」
凛「まあ、そうだけど……」
378: 2015/01/31(土) 02:48:51.24 ID:RCTpkscdo
謎のリーゼント「歯切れ悪いなあ」
謎のリーゼント「まあいいや」
謎のリーゼント「さっさと行こうか」
凛「え?」
謎のリーゼント「予選は終わり」
謎のリーゼント「本戦は場を移すって話だし、早くこっからおりねーと」
凛「……そっか、ここ、最上段だもんね……」
謎のリーゼント「そーいうこと」
謎のリーゼント「ま、お互い本戦でもがんばろーぜ」
謎のリーゼント「しぶりんちゃん」
凛「しぶっ……!?」
謎のリーゼント「あれ、この名前駄目だった?」
謎のリーゼント「さっきも応援されてたし、先週もそう呼ばれてたし、それが芸名かと思ったけど」
凛「いや、あれは未央が勝手に……」
凛「……」
凛(先週?)
凛「……」
凛「あっ……」
凛「木村夏樹……!」
夏樹「はは、すぐに分かってもらえないようじゃ、アタシもまだまだだな」
凛「す、すみません……」
夏樹「いーっていって」
夏樹「腹立つ話だけど、まだちょっと楽器が引ける個性派程度の域は出られてないしな」
夏樹「だからこそ、アタシはこれで優勝する気だし――」
夏樹「半端な真似はしないつもりだ」
凛「……」
夏樹「っと、なんか重大発表とか書いてあるな」
夏樹「早く行かないと」
凛「……はい」
【渋谷凛 予選第6回戦突破】
【龍崎薫 予選第6回戦敗退】
【木村夏樹 予選第6回戦突破】
379: 2015/01/31(土) 02:53:55.78 ID:RCTpkscdo
ちひろ「それでは、今回の主催者である城ヶ崎美嘉さんから、ご挨拶です」 ハァト
美嘉「あー、みんなおっつかれー」
美嘉「すごい戦いの連続で、見てるこっちも興奮してきたよ!」
美嘉「これで全部の予選の試合が終わったわけだけどー……」
美嘉「まだ、これで全員が予選突破ってわけじゃあないんだよねえ」 ニヤリ
卯月「!」
みく「!?」
凛「え……?」
夏樹「ひゅう……」
美嘉「生憎引き分けで落下した娘や、勝者同士で潰しあった娘がいてねえ」
美嘉「予選突破車が16人じゃなくなっちゃった」
美嘉「だから――」 ニィ
未央「げえーーーーーっ、モニターに何やら14枚の写真がーーーーーっ!」
美嘉「いっそこのまま、8人にまで減らそうかなって」 ニッコリ
380: 2015/01/31(土) 03:01:57.05 ID:RCTpkscdo
美嘉「とはいえもう競技はないからさー」
美嘉「ここで、アイドルには一番大切なものを見ておきたいなーって」
卯月「アイドルとして……」
みく「大切なもの……?」
凛「……なんなんだろうね」
みく「わわっ!」
卯月「凛ちゃん!」
卯月「よかった、無事で……」
みく「ほーら、だーから言った通りにゃ」
凛「まあ、ね……」
凛(ちょっと一緒にいて会話もないし、抜け出して来ちゃった……)
未央「それよりアレを!」
卯月「わわっ、あれは……!」
美嘉「そう、『アンケート機能』ッ!」
美嘉「この生放送を見てる人達に、今までの試合を見て、本戦でも見たいと思ったアイドルに投票してもらうッ」
美嘉「アイドルとしてちゃんとファンの目を意識できてたか、ここで試されるよ~」 フフ
未央「な、なんだってーーーーーーー!?」
凛「あ、アイドルとして……」 ドクン
卯月「あ、あわわ……」
381: 2015/01/31(土) 03:03:35.49 ID:RCTpkscdo
美嘉「本戦に進めるのは上位8名のみ!」
美嘉「それじゃ、投票スタートっ!」
卯月「わわわ、どうしましょう!」
凛「そ、そんなこと言われても……!」
みく「今更ジタバタしてもしょうがないにゃ」
未央「で、でも!」
みく「それに――」
みく「みくは、突破してる自信があるにゃ」
みく「むしろこの程度の篩を通過できる自信がないなら、アイドルなんて出来ないにゃ」
凛「……」
382: 2015/01/31(土) 03:08:55.83 ID:RCTpkscdo
美嘉「はい、投票終了~~~~~っ!」
美嘉「今集計をスタッフがとってるから、もーちょい待ってね!」
ザワザワ
みりあ「やっぱり上手いねえ」
莉嘉「みりあ!」
みりあ「ああやって時間を自然に繋ぐトーク、さすがはプロ」
みりあ「私もああなりたいな~~」
莉嘉「……うん」
みりあ「……こんなわかりにくい場所に一人でいていいの?」
みりあ「シンデレラプロジェクトの皆、待ってるかもよ?」
莉嘉「……」
莉嘉「今更どんな顔で混ざるのかわらないし、それに――」
莉嘉「本戦では、容赦なく倒せるようにしておかないと、お姉ちゃんには届かないから」
みりあ「……そっか」
美嘉「っと、集計出たみたいだねー!」
美嘉「そんじゃ、1位から発表していくぞーーーっ!」
ワアアアアアアアアア
383: 2015/01/31(土) 03:14:51.66 ID:RCTpkscdo
美嘉「第一位、高垣ィィィィィ楓ェェェェェェェ!」
美嘉「身長171cm、体重49kgッッ!!」
未央「な、なにーーーーっ!」
未央「確かにすごい人だけど、でも笑顔っていうアイドルの必須要素そんなに満たしてないしッ!」
瑞樹「元々人気があっただけでなく、真っ先に予選を終えるなど、全体的に強かったわ」
美嘉「さすがはトップアイドルって感じだよねー」
楓「……」 フフ
【高垣楓 最終選考1位通過 本戦出場決定】
384: 2015/01/31(土) 03:18:19.82 ID:RCTpkscdo
未央「やっぱりこれ、テレビ出てる娘圧倒的に有利だって!」
凛「確かに、その知名度だけで票が入っている可能性も……」
美嘉「第2位!」
美嘉「なんとなんと、私の妹城ヶ崎莉嘉だーーーーっ!」
未央「な、なにぃ~~~~~~~!?」
瑞樹「わざわざ勝ち上がりが決まったのに強敵に向かう所」
瑞樹「そして必殺技のインパクトでも人気を集めた感じね」
美嘉「アタシの七光扱いのコメもあるし、そうじゃないって証明するためにも気合入れてほしいねー」
【城ヶ崎莉嘉 最終予選1位通過 本戦出場決定】
385: 2015/01/31(土) 03:25:18.98 ID:RCTpkscdo
美嘉「続いて2人まとめていくぞーーーっ!」
美嘉「第3位、松本紗理奈!」
紗理奈「やった!」
美嘉「第4位、上条春菜ッ!」
美嘉「二人共、コンビネーションもよかったし、キャラが立ってるって意見が」
瑞樹「バスト推しとメガネ推し」
美嘉「推しメンなしでなんとなく見てる子には、そういうわかりやすい個性が受けるのかもね」
瑞樹「わかるわ」
美嘉「ちなみにこの順位になった理由は、主に男性ファンの胸に対する熱きメッセージを見ればわかるよ」
瑞樹「わかりたくないわ……」
紗理奈「やっぱ胸って大きな武器だわー」
春菜「ぐう……メガネだって素敵なのに……」
春菜「まあでもこれでブルーナポレオン3人全員予選突破が現実的に!」
紗理奈「あ、マジで気付いてないんだ……」
春菜「え?」
紗理奈「もうブルーナポレオン、私ら二人しか残ってないよ」
春菜「……」
春菜「……」
春菜「!?」
【松本紗理奈 最終選考3位通過 本戦出場決定】
【上条春菜 最終選考4位通過 本戦出場決定】
386: 2015/01/31(土) 03:31:02.12 ID:RCTpkscdo
みく「ま、ここまでは既定路線だにゃ」
みく「正直莉嘉チャンが呼ばれたのは意外だったけど」
みく「主にテレビに出てる勢で占拠されてるにゃ」
美嘉「第5位は、木村夏樹ーーーーっ!」
瑞樹「闘いながら常に楽しそうな所が評価されてるみたいね」
みく「でも今回は小早川紗枝や小日向美穂を莉嘉チャンが倒してくれたし」
みく「忌々しい世界女も脱落済み」
みく「こっからは、初心者同士のバトルだにゃ」
みく「そして、そうなれば――――」
美嘉「続きまして6位通過!」
美嘉「出たぞ期待のニュージェネレーション!」
美嘉「島卯ァァァ卯月ィィィィィ!!」
卯月「ええ!?」
瑞樹「いつでも笑顔を心がけてたのと、天然っぽいところが評価されたみたいね」
卯月「あわわわわ」
【木村夏樹 最終選考5位通過 本戦出場決定】
【島村卯月 最終選考6位通過 本戦出場決定】
387: 2015/01/31(土) 03:34:35.29 ID:RCTpkscdo
みく「これであとは、みく達二人でちょっきし定員だにゃ」
凛「うん……」
美嘉「では第7位!」
みく(みくの方が上みくの方が上みみくの方が上!) ブツブツ
美嘉「安部菜々ァァァァァァァ!」
凛「!?」
みく「にゃっ!?」
凛「何ッ……あの痛々しい格好の人……」
みく「し、知らないにゃ!」
みく「あんなアイドルいたかにゃ!?」
卯月「わ、わからないですよお!」
未央「……思い出した、あの時のメンドカフェの!」
凛「……」
凛「ああ!」
みく「まさかの伏兵だにゃ……」
【安部菜々 最終選考7位通過 本戦出場決定】
389: 2015/01/31(土) 03:36:51.75 ID:RCTpkscdo
みく「でも……」
みく「こうなったら……」
凛「……うん」
みく「みくか、凛チャンか……」
みく「本戦に行けるのは、どちらか一人だけだにゃ」
卯月「……っ!」
398: 2015/02/01(日) 00:23:33.39 ID:mCkXnGfFo
みく(だいじょーぶ、負けるわけがないにゃっ!)
みく(これでもちゃんとカメラの前ではキャラ作りは徹底してるし!)
みく(じわじわと生放送じゃ人気も出てきてるしっ!)
みく(それにみくは、さっき複数人倒したにゃ)
みく(みくだって、予選くらいは……!)
凛「……」
凛(すごい念じてる……)
凛(本当に、勝ちたいんだ……)
凛(私だって勝ちたいけど……)
凛(あそこまで、ハングリーには……)
399: 2015/02/01(日) 00:36:16.83 ID:mCkXnGfFo
美嘉「最後、滑り込んだのは~~~~~」
みく「……っ!」
凛「……」 ゴクリ
美嘉「ダララララララララララララ」
卯月(ドラムロール……)
未央「一体、どっちが……」
美嘉「だん!」
莉嘉「!」
みりあ「あっ……」
美嘉「第8位はァ!」
美嘉「渋谷りぃぃぃぃぃぃぃぃぃんッッ!!」
みく「――――――――っ!」
【渋谷凛 最終選考8位通過 本戦出場決定】
401: 2015/02/01(日) 00:47:09.72 ID:mCkXnGfFo
みく「負けた……」
みく「な、なんで……」
美嘉「ちなみに9位にはこの手の番組でお馴染みの前川みくちゃんがランクインしてたよー」
みく「にゅあっ……!」
瑞樹「何で今回も駄目だったのかしら……」
美嘉「コメント見る限り、その方が美味しいからとかそういうのもあったみたいね」
瑞樹「知名度がマイナスに働くこともあるのね……」
美嘉「まあ、でも、美味しいからいいんじゃない?」
みく「よくにゃーーーーーーーーーい!!」
403: 2015/02/01(日) 01:26:17.69 ID:mCkXnGfFo
凛「あの、猫耳センパイ……」
凛「その……」
みく「うるさーーーーい!」
みく「同情してそうなフリして名前忘れてるし!」
みく「みくの名前はみくだにゃ!」
未央「さすが奇跡の逆転されファイター」
みく「よくわからないけどそれは多分みくではないにゃ」
卯月「あれですよね、ボーカロイドの」
みく「それも違う人」
凛「あ、そそういえば、友達が知ってたかも」
凛「やっぱりなんだかんだで知名度あるってすごいですよ」
みく「!」 パァァ
凛「あれですよね、確かローリング・ストーンズの……」
みく「ミック」
405: 2015/02/01(日) 01:37:28.93 ID:mCkXnGfFo
卯月「ずっと水着だと寒すぎて風邪引いちゃいそうですね」
みく「シック」
未央「洋服がいなくなって初めてその存在の大切さみたいなものに気付かされたね」
みく「チック」
凛「寒くて唇荒れてきたし、これでも……」 スッ
みく「リップ」
未央「なんだかんだで暖かい部屋でポテトにケチャップとかそういうのつけたくなるよね」
みく「えーっと、えーっと……ディップ!」
卯月「あたた、さっきの攻防で腰が……」
みく「湿布」
凛「一区切りついたら、療養した方がいいかもね」
卯月「一回大きなお船に乗ってのんびりとはしてみたいです」
みく「シップ」
未央「アイ・アム・ニッポン」
みく「ジャップ」
未央「週刊少年」
みく「ジャンプ」
未央「悪の超人」
みく「さあお遊びはここまでにゃ」
407: 2015/02/01(日) 01:47:24.22 ID:mCkXnGfFo
卯月「私アレ好きですよ、新選組!」
みく「壬生」
未央「囚人」
みく「リク」
夏樹「ライブハウスとかの短いセッション」
みく「ギグ」
みく「……って、お前はーーーーっ!?」
卯月「わわっ、夏樹さん……!」
夏樹「よっ」
夏樹「予選突破者に知り合い、あんたらくらいしかいなさそーだったからさ」
夏樹「ちょっくら挨拶にな」
凛「はあ……」
みく「む、待つにゃ」
みく「どうやら……あちらさんの挨拶も、まだ終わってないみたいだにゃ」
408: 2015/02/01(日) 01:49:31.45 ID:mCkXnGfFo
美嘉「さーて、ここらで本戦のルールを伝えておこうかなー」
美嘉「予選で一日使っちゃったし、本戦は明日!」
美嘉「休日だし、会場を借りておこなうよっ!」
ちひろ「場所やチケットの詳細は後ほど発表いたしますね」 ニッコリ
瑞樹「いつの間にステージに……」
ちひろ「ところで……」
ちひろ「会場の都合もあるので聞きますけど……」
ちひろ「三位決定戦、やるんですか?」
美嘉「ん?」
美嘉「……ああ、そっか」
美嘉「今回はダンサー枠争奪戦なわけだけど、枠、3つあるんだよねえ」
ザワッ
美嘉「でも三位争奪戦にしたら、決勝戦、盛り上がらないじゃん?」
美嘉「だからぁ」
美嘉「枠は決勝進出の二人と、優勝者の指定した一人にあげようかなーって」 ニヒヒ
美嘉「勿論選ぶのは誰でもオーケー」
美嘉「予選早々で負けていようが、不参加者だろうが、素人だろうが、それこそ近所のポチでもね」
ザワザワザワザワ
409: 2015/02/01(日) 01:53:33.20 ID:mCkXnGfFo
みく「名前なんてどーだっていい」
みく「大事なのは絆の強さにゃ」
みく「センパイとかそういう他人行儀なのはやめて、気軽にみくって呼んでほしいにゃ」 ニャーン
凛「なんて変わり身の速さ……」
卯月「これがアイドル……」
みく「みくを!」
みく「是非ともみくをあのステージへ!!」
未央「十分目立ったじゃん!」
未央「次は私! 私を是非っ!」
夏樹「醜い争いしてんなぁ」 ケラケラ
みく「じゃあもういっそリーゼントちゃんでもいいにゃ!」
未央「えっ、それずるい!!」
卯月「自分でも私と夏樹さんなら夏樹さんなのにっ!!」
410: 2015/02/01(日) 02:00:17.06 ID:mCkXnGfFo
春菜「聞きましたか!?」
紗理奈「まーね」
春菜「これでブルーナポレオンがバックダンサーを独占する夢も……!」
紗理奈「残り1人に誰を指名するかで揉めそうだけど」
春菜「……」
春菜「そこは、ほら、勢いでなんとか」
紗理奈「メガネのくせに時折バカよね」
莉嘉「指名可能、か……」
みりあ「だねー」
みりあ「やっぱり盛り上げ方が上手だよねー」
莉嘉「……うん」
莉嘉(まだ、音を返せる……)
莉嘉(私が勝ちさえすれば、みりあも――――!)
美嘉「ふふ……いい感じに本気になってくれそうじゃん」
美嘉「それでこそ、主催した甲斐があるってもんだよね」
411: 2015/02/01(日) 02:08:20.11 ID:mCkXnGfFo
美嘉「そんじゃ、組み合わせ、きっめるよー!」 ポチーッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
鈴帆「な、なんじゃあ~~~~~!?」
バコバコバコッ
未央「げえーーーーーっ、トーナメント表が地面からせり上がってきたーーーーーっ!」
みく「シンプルなトーナメント表に、左から順番に1・2・3・4・5・6・7・8と番号が振られてるにゃ」
凛「あそこにランダムで配置されるんだ……」
ちひろ「それでは、本戦出場アイドルの皆さんには、抽選ボックスを引いていただきます!」
ちひろ「ボックス内のボールに書かれた数字の位置が、貴女のトーナメントの位置!」
ちひろ「頑張って天辺目指しましょうね!」
412: 2015/02/01(日) 02:21:10.55 ID:mCkXnGfFo
ちひろ「それでは、予選突破順位が高い人から、自由に好きなボールを引いてもらえるようにします!」
ザワッ
ちひろ「先陣を切るのは勿論この御方!」
ちひろ「予選通過首位、高垣楓ェェェェェェェ!」
シン・・・
卯月「……っ!」
みく「このオーラ、やっぱり圧倒的だにゃ」
未央「喋るのをためらうくらい、オーラを発してくれちゃってまあ」
凛「……とりあえず、ステージ近寄っておこうか」
凛「呼び出されてすぐに行けないとかだとカッコ悪いし」
卯月「あ、はいっ!」
楓「……」 クスッ
楓「ワンダ4(フォー)」
ちひろ「高垣楓さん、4番ッッ」
413: 2015/02/01(日) 02:27:05.33 ID:mCkXnGfFo
美嘉「次、莉嘉っ!」
莉嘉「……」
莉嘉(お姉ちゃんに認められて、世間にも認められる……)
莉嘉(そんなアイドルを目指すんだもん、優勝しないわけにはいかない)
莉嘉(三枠目を奪うためにも、それは必須)
莉嘉(いずれ強敵とは当たる)
莉嘉(でも……)
莉嘉(可能なら、どうか少しでも有利な立場になれるように)
莉嘉(できることなら、高垣楓と逆のブロックを……!) ゴソゴソ
バッ
莉嘉「……よしっ」
莉嘉「ラッキーセブンっ……!」 ブイッ
瑞樹「城ヶ崎莉嘉選手、7番です」
莉嘉(よしっ、これで高垣楓と戦わなくてもステージまでは……!)
414: 2015/02/01(日) 02:32:06.43 ID:mCkXnGfFo
春菜「絶対ブルーナポレオン同士、決勝戦で会いましょう!」
紗理奈「はいはい」
春菜「そしてバックダンサー総ナポレオン化計画を……」
紗理奈「その並びだと既存ダンサーがナポレオンに……」 ゴソゴソ
紗理奈「っと、はい、これ」
ちひろ「おや」
紗理奈「おっ」
美嘉「おお~~~~!!」
美嘉「この番号は――」
未央「いきなり対戦カードが決まったァァァ~~~~~!」
美嘉「8番、かあ」
紗理奈「さすが、横にしたら私の自慢の両胸みたいになる数字ってとこかしら」
春菜「うわっ、即座にバストアピールっッ」
美嘉(一筋縄じゃ勝てないわよ、莉嘉……)
【1回戦第4試合 城ヶ崎莉嘉 VS 松本紗理奈】
415: 2015/02/01(日) 02:38:02.90 ID:mCkXnGfFo
紗理奈「ほら、次」
春菜「……うん」
春菜(負けるわけにはいかないし、高垣さんと一緒のブロックだけは駄目っ!)
春菜(特に3番なんて絶対駄目、駄目だから~~~~~っ!) ウググググ
紗理奈「めっちゃ念じてる……」
春菜「見えましたッ!」
春菜「メガネだけにッッ!!」 ババッ
美嘉「おっ、これは……」
ちひろ「5ですっ!」
春菜「やった!!」
比奈「喜んでるとこ悪いっスけど、その位置だと決勝戦までに絶対一人は消えるッスよ」
千枝「ブルーナポレオンだけでの占拠はもう無理なんじゃ……」
春菜「……」
春菜「!!!!!」
比奈「気付いてなかったんスね……」
千枝「うわあ…・…」
紗理奈「ビビリすぎでしょ……まあ気持ちはわかるけれども」
416: 2015/02/01(日) 02:45:33.99 ID:mCkXnGfFo
未央「っていうか、もう大分空きが少なくなってきたねえ」
みく「皆逃げるように高垣楓と違うブロックに収まるにゃあ」
未央「いや無理ないって」
未央「実際気合でどうこうできるなら、私だって高垣楓と逆のブロック選ぶもん」
夏樹「っと、んじゃこれでいーや」
夏樹「……」
夏樹「っしゃ!!」 ガッツポ
未央「ああ~~~~っ、これはもう逆ブロックが埋まってしまった流れだ~~~~~~っ!!」
みく「い、いや……あれを見るにゃ!!」
未央「……!!」
夏樹「どうせ避けられない相手なら、互いに万全の状態でやれる初期にあたる方がいいだろ?」
夏樹「楽しませてもらうぜ、高垣楓ッ!」
夏樹「アンタ風言うなら、3キュー神様ってやつだ」
夏樹「このチャンス、無駄にしないためにも、本気で叩き潰しにいくッッ」
楓「……ふふ」
【1回戦第2試合 木村夏樹 VS 高垣楓】
418: 2015/02/01(日) 02:53:52.97 ID:mCkXnGfFo
卯月「これっ!」 バッ
ちひろ「はい、1番ですねっ」
卯月「うええ!?」
卯月「ど、どどどどーしよう」
卯月「トップバッターだなんて……」 アワアワ
凛「おかえり」
未央「どったの、スマイルスマーイル」 ニコォ
卯月「うう……」
卯月「他の人の試合を見て、どうすればいいか参考にしたかったのに……」
卯月「まさかトップになるなんて……」
凛「確かに、私達じゃよくわからないしね……」
みく「みくを頼ってもいいんにゃよ!」
未央「そのままアイドルとしてもナンバー1の座をとったら?」
凛「そうだね、確かに卯月らしい数字かも」
卯月「そうかなあ」
みく「きみたち」
419: 2015/02/01(日) 02:56:33.88 ID:mCkXnGfFo
みく「っていうか、のんきにダベってる場合なのか?」
凛「ん?」
未央「ああ」
未央「しぶりんなら最後の一人だから、くじを引く必要は――」
みく「いや、そーじゃにゃくて」
未央「?」
みく「残り2人で、空いた席は2番と6番」
みく「もしかすると――二人は初戦で潰し合うことになるのかもしれないにゃ」
凛「!!」
卯月「!!」
凛「闘う……?」
凛「私と……卯月が……」
卯月「……」 ゴクリ
420: 2015/02/01(日) 03:01:17.09 ID:mCkXnGfFo
あかんくらい眠たいので寝ます、申し訳ない
425: 2015/02/02(月) 00:54:21.13 ID:AcUU5OOXo
凛「……」
凛(卯月……)
凛(どこか抜けてるけど、でも、私が見た誰よりも素敵な笑顔のアイドル……)
凛(卯月みたいになりたくて、私はこの世界に飛び込んだ)
凛(……)
凛(私は……戦えるの……?)
凛(卯月の夢を、踏み潰してしまうかもしれないのに……)
426: 2015/02/02(月) 01:10:53.76 ID:AcUU5OOXo
菜々「わぁい、2番です!」
菜々「うさみんの3か、菜々の7だったらよかったなっ」
みく「じゃあ変わるにゃーーーー!」
みく「猫なら2で鳴き声なんだにゃーーーー!」
ちひろ「はいはい、敗者は黙っててくださいね」 ニッコリ
\ ドッ /
ワハハハハ
みく「むっきーーーーー!」
瑞樹「ちなみに豆知識だけど、安部菜々選手は前川みく選手とキャラが被ってるってことで票を食い合ったんだとか」
美嘉「互いに足を引っ張って、決め手となったのが負けて美味しいのはみくにゃん、かあ」 シミジミ
みく「よくにゃーーーーーーい!」 ムッキー
ワハハハハ
凛(よかった……卯月とは、ステージを賭けて戦わなくってもいいんだ……) ホッ
【1回戦第1試合 島村卯月 VS 安部菜々】
427: 2015/02/02(月) 01:29:11.68 ID:AcUU5OOXo
凛「ってことは、私の相手は……」
春菜「私ですよ」
凛「ああ」
凛「えーっと、ブルーナポリt」
春菜「ナポレオン」
未央「だからそれだと腐っただけのナポリタンだって」
凛「でもその理屈ならブルーナポレオンもたんなるナポレオンのゾンビなんじゃあ」
未央「た、確かに」
卯月「一理ありますね……」 ゴクリ
春菜「ないから」
428: 2015/02/02(月) 01:45:54.30 ID:AcUU5OOXo
春菜「とりあえず、お近づきの印に、メガネどうぞ」
凛「えっ」
凛「いらないけど……」
春菜「!?」
春菜「あ、そうですね、貴女ならもうちょっと綺羅びやかなフレームの方が……」
凛「そうじゃなくて」
凛「私視力は問題ないし」
春菜「いやいやでも今ではメガネも重要なファッションアクセサリーで――」
凛「それに運動する時邪魔そうだから……」
春菜「!」 ガーーーーン
邪魔そうだから
邪魔そうだから
邪魔そうだから(エコー)
春菜「く……」
春菜「くううううう~~~~!」
春菜「絶対絶対絶~~~~~対、負けませんよっ!」
春菜「メガネの凄さ、教えてあげますからっ!」 ムキー
【1回戦第3試合 上条春菜 VS 渋谷凛】
429: 2015/02/02(月) 01:56:02.46 ID:AcUU5OOXo
ちひろ「それじゃあ今日の放送はこれまで!」
ちひろ「また本戦をお楽しみに!」
ブツッ
卯月「今日の試合は終了、ですよね……?」
凛「……うん」
未央「んじゃ、解散かな」
みく「だにゃ」
みりあ「今日は帰って疲れを取らなくちゃね!」
みく「あ、いたのか」
みりあ「いたよ!」
莉嘉「……同じシンデレラプロジェクトのメンバーだろうと、容赦するつもりはないからね」
卯月「わ、私もっ!」
凛「…・…うん……」
430: 2015/02/02(月) 02:05:32.05 ID:AcUU5OOXo
菜々「それじゃ、また明日☆」 スタスタ
夏樹「おっつかれー」
夏樹「本戦じゃ負けないからな」 グッ
楓「……」
楓「お疲れ様です」 ペコリ
P「……」 ペコリ
春菜「私達は潰し合いになったらどうすれば……」
比奈「とりあえずサイゼあたりで会議したらいいんじゃないっスか」
紗理奈「んじゃさっさと行こ」
紗理奈「早寝して備えたいし」
ゾロゾロゾロ
莉嘉「そんじゃ、私も」 クルッ
莉嘉「……絶対、絶対に、負けないんだから」
スタスタスタ
みりあ「あ、待ってよー!」
みりあ「じゃあ」 ペコリ
みりあ「莉嘉ちゃーーん」 トテトテトテ
431: 2015/02/02(月) 02:09:18.87 ID:AcUU5OOXo
未央「それじゃ、ここで解散かな」
凛「……そうだね」
凛「家に帰ったら手伝いもあるし」
未央「おお、えらい」
卯月「私も明日に備えて準備しなきゃ……」
みく「んじゃみくもさっさと帰るにゃ」
凛「そういえば、明日はどこかで待ち合わせを……」
みく「みくはいいにゃ」
凛「え?」
みく「みく達はライバルだにゃ」
みく「負かしてきた直後の相手とベタベタと慣れ合うような気分にはなれないのにゃ」
凛「そんな……」
みく「負けたイベントにいつまでもこだわってもいられないにゃ」
みく「明日、すぐ入れる仕事を探してもらうにゃ」
スタスタスタ
凛「あ……」
卯月「……」
未央「いろいろあるんだねえ、芸能界って」
432: 2015/02/02(月) 02:12:49.67 ID:AcUU5OOXo
みく「まったく、ふざけてやがるにゃ」
みく「キャラ被ってるだの、美味しいだの、好き放題言って!」
みく「後輩たちにも舐められっぱなしだし!」
みく「みくだって、ポテンシャルだけなら、あのステージに立てるくらいのものがあるのに!」
みく「ある、のに……」
マタ ミクニャン マケタンダwwwwww
ミクンゴwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
エイエンノ カマセイヌwwwwwwwww
みく「みく、だって……」
みく「立派な……アイ、ドル……」 ポロッ
みく「……にゃ?」 ポロポロ
みく「おかしいにゃあ」 パタパタパタ
みく「視界、滲んできちゃったにゃ……」 パタパタパタ
みく「……」
みく「……グスッ」
435: 2015/02/02(月) 02:30:59.62 ID:AcUU5OOXo
ヘレン「何往来で立ち尽くしてるのよ」
みく「にゅああ!?」 ビックゥ
ヘレン「邪魔よ」
みく「う、うるさいやい!」 ゴシゴシ
みく「みくに負けた負け犬のくせに!」
ヘレン「そうよ」
ヘレン「今の私は無様な負け犬」
ヘレン「アンタも……ああ、アンタは負け猫かしら」
みく「う、うるさいにゃあ!」
ヘレン「事実でしょ」
ヘレン「私達は客観的に見て負け組」
ヘレン「それでいいなら勝手に立ち尽くしてればいい」
ヘレン「辛くて逃げ出したければ一人泣き出せばいい」
ヘレン「私はどっちも御免だし、負け犬なんて屈辱的なレッテルは早々に引っ剥がしたいの」
ヘレン「泣きながらでも、這いつくばってでも、前に進まなくちゃいけないんだから」
ヘレン「路上で邪魔しながらぼけっと立ってる奴に、かまってる程ヒマじゃないのよ」 ゲシッ
みく「うぐっ……」
437: 2015/02/02(月) 02:44:32.90 ID:AcUU5OOXo
みく「変な語尾でださい負け方したくせに」
ヘレン「そうね」
ヘレン「私は、必氏よ」
ヘレン「新人が世界に出るための踏み台みたいな扱いを受けて」
ヘレン「養成所の主だの養成王だの好き放題言われて」
ヘレン「その度に心がへし折られて、プライドが引き剥がされて」
ヘレン「そうやって小さく逃げて、でも逃げた先で別の戦いをして」
ヘレン「そうして決めた戦いの場所がアイドルだし、私には譲れないポリシーだってある」
みく「……」
ヘレン「その大切な一欠片のプライドのためなら他のしょうもないプライドなんて捨て去るわ」
ヘレン「クソみたいな語尾だって試すし、やれることはなんでもやる」
ヘレン「それは、一つを貫くことを諦めた時に自分に対して課したルール」
みく「……」
ヘレン「ほら、邪魔よ」
ヘレン「……いつでも鬱陶しいくらい媚をふりまいてにゃーにゃー五月蝿いのが、アンタの誇りだと思ったわ」
みく「ヘレンちゃん……」
ヘレン「……家に帰るまで我慢も出来ない」
ヘレン「かといって、後輩達には格好つけて素を出せない」
ヘレン「……どうしたいのか、一回よく考えなさい」
みく「……ん」
438: 2015/02/02(月) 02:53:30.80 ID:AcUU5OOXo
ヘレン「悩んで、悩んで、苦しんで、それで――」
ヘレン「それで選んだ道に対して、とりあえず一歩踏み出してみなさい」
ヘレン「少なくとも、今よりは違う景色が見られるわよ」
みく「……」
ヘレン「さ、帰って世界の珍味でも食べようかしら」
ヘレン「やけ食いも大事だわ」
みく「……」
ヘレン「ま、ストレス発散したくなったら、たまにはお酒くらい付き合うわよ」
ヘレン「ワールドクラスの高級酒を、貴女の奢りだったらね」
みく「みくは未成年だにゃ、ばーか」
439: 2015/02/02(月) 03:02:54.23 ID:AcUU5OOXo
みく「……あのさ」
ヘレン「?」
みく「その、ありg」
ヘレン「さ、帰ろ」
ヘレン「路傍の石にかまけて無駄な時間を食ったわ」
みく「んにゃっ!」
ヘレン「変なコト言わなくていいわよ」
ヘレン「私は別に邪魔な石ころを蹴っ飛ばしただけ」
ヘレン「あとは石ころがどうなろうと知ったこっちゃあないし、勝手にどうとでもなればいいわ」
みく「……ふん」
みく「言われなくても、ねこちゃんは自由気ままに一人でやりたいように生きてくにゃ!」
ヘレン「そ」
スタスタスタ
みく「……」
みく「振り返りもしないんだにゃあ」
みく「……」
みく「ありがと、ヘレンちゃん」
447: 2015/02/03(火) 01:08:34.04 ID:81lgSsJzo
未央「……」 ヌイヌイ
未央「……」 ヌイヌイ
ガチャッ
未央「!」 ビクッ
みりあ「やほ」
未央「なんだ、みりあちゃんか」
みりあ「えへへ」
みりあ「後付けてきちゃった」
未央「しれっととんでもないことを」
みりあ「多分、本戦進む皆の応援の何かで別れたのかなーって」
未央「……まーね」
未央「一人で帰っちゃうと、泣きそうだし」
未央「それなら、ここに泊まりこんで、応援旗でも作った方がいいかなってさ」
未央「ほら、私のとりえ、笑顔だし」 ニヒ
みりあ「……」
みりあ「私も、手伝う」
未央「え?」
みりあ「私も泣きそうだs」
みりあ「それに――明日は多分、莉嘉ちゃんの応援をするから」
みりあ「同じシンデレラプロジェクトの仲間だけど、明日莉嘉ちゃんと他の皆が戦ったら、莉嘉ちゃんを応援するから」
みりあ「今だけはせめて、シンデレラプロジェクトのメンバーとして、何かしたいなあって」
448: 2015/02/03(火) 01:28:03.10 ID:81lgSsJzo
みりあ「……」 モクモク
未央「……」 モクモク
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
静かに時が流れる……
未央「うん、こんなもんかな!」
みりあ「皆まだデビュー前だし、名前はしっかりアピールできるようにしないとだもんね」
みりあ「私も莉嘉ちゃんの作っちゃった」
未央「よーし、明日はお互い悔いが無いよう応援しよう!」
みりあ「うん!」
未央「負け犬、ファイアー!」
みりあ「ふぁいあー!」
449: 2015/02/03(火) 01:50:06.46 ID:81lgSsJzo
<城ヶ崎家>
美嘉「いやー、驚いた驚いた」
美嘉「2位通過なんて、すごいじゃん」 ナデナデ
莉嘉「えへへ……」
莉嘉「……」
莉嘉「ねえ、お姉ちゃん」
美嘉「ん?」
莉嘉「もしも、今の私の実力を知ったうえで、時間が巻き戻ったとしたら……」
莉嘉「それでもあの時、バックダンサーにはニュージェネレーションの皆を指名した……?」
美嘉「……莉嘉……」
莉嘉「……」
美嘉「……」
莉嘉「……」
莉嘉「もう、寝るね」
美嘉「……」
莉嘉「……明日は、相手が誰であろうと、本気でいくから」
莉嘉「それが同じシンデレラプロジェクトの仲間でも、ブルーナポレオンでも、高垣楓であっても」
莉嘉「……お姉ちゃんに認めてもらうまで、絶対、負けないから」
バタン
美嘉「莉嘉……」
美嘉「……」
美嘉(嫉妬とか可愛いなーそうだよねーお年ごろだもんねー) ハナヂタパタパー
451: 2015/02/03(火) 02:20:29.69 ID:81lgSsJzo
<島村家>
卯月「ただいまー」
鈴帆「おじゃまするばーい」
鈴帆「いやあすまんねえ、突然」
卯月「いえ」
卯月「事務所の皆とは、今日は別行動でしたし」
卯月「それで……話したいこととは?」
鈴帆「ふむ」
鈴帆「一回戦の相手、安部菜々のことたい」
卯月「え?」
鈴帆「あいつのことは、よーけ知っとるわ」
鈴帆「大きな括りでいうと、むこうもこっちとジャンルは同じばいね」
452: 2015/02/03(火) 02:29:58.50 ID:81lgSsJzo
鈴帆「ほれ」
卯月「これは……」
鈴帆「依然ローカル番組でウチが安部菜々と戦った時のビデオたい」
鈴帆「何か参考に出来るかもと思ってな」
卯月「え……」
鈴帆「じゃんけんとはいえ、ウチを負かしたんじゃ」
鈴帆「やっぱりウチに勝った女は強いのうと言いたくてな」 ケラケラ
卯月「ファラオさん……」
鈴帆「鈴帆ばい」
鈴帆「上田鈴帆」
卯月「鈴帆さん……」
卯月「ありがとうございます……!」
鈴帆「よかよか」
鈴帆「そん代わし、優勝したらこの特性きぐるみで壇上に登って是非とも次回ウチとユニットを――」
卯月「それはちょっと……」
453: 2015/02/03(火) 02:30:35.51 ID:81lgSsJzo
予想以上に眠たいのと、本戦書くと寝る時間なくなりそうなので超短いですがここまでにしておきます
次回から本戦なのでさっさと進められたらなと思います
卯月「心に愛がなければスーパーアイドルじゃないんですよ……!」【後編】
次回から本戦なのでさっさと進められたらなと思います
卯月「心に愛がなければスーパーアイドルじゃないんですよ……!」【後編】
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