1: 2015/02/25(水) 22:47:35.61 ID:nOs0pTeS0.net
あかり「不満だよぉ」

5: 2015/02/25(水) 22:51:02.77 ID:nOs0pTeS0.net
赤座あかりちゃんは兼ねてより空を見ることが好きだった

空を見ていると自由と束縛のない世界を約束されている

気がしたからだ

だから赤座あかりちゃんは暇があれば

なんとなく空を見るようになった

そして空を横切る飛行機とかは大嫌いだった

人や物を運ぶその巨大な鉄の塊は

空を穢す何物でもなかった

だからあかりちゃんは飛行機に唾をかけてやりたいほど

飛行機の事が嫌いだった
ゆるゆり: 1 (百合姫コミックス)
6: 2015/02/25(水) 22:53:37.51 ID:nOs0pTeS0.net
即時即応性を求めて

地上にあるものを迅速に運ぶために空を利用すること

それは不浄の何物でもなかった

せっかちさで汚穢された鉄の塊

だけど同じようなものでも

一つだけ好きな鉄の鳥があった

宇宙船ロケットがそれだった

7: 2015/02/25(水) 22:59:26.30 ID:nOs0pTeS0.net
400km上空・時速約27700kmで周回するISSに

地球唯一人員を送り込むソユーズ宇宙船が大好きだった

それは空を通り道にして

新たな発見や価値観への挑戦でもあったからだ

空を通り道に宇宙を目指すことはとても新しいものだと思っていた

だから赤座あかりちゃんは宇宙を目指すその

途方もない塊を

空を飛ぶものの中で唯一好きだった

8: 2015/02/25(水) 23:03:11.25 ID:nOs0pTeS0.net
空へと大地に並行に架けたものが

この世の既存の枠組みだった

目指す場所は結局のところ地上でしかなかった

複雑相互に編み込まれた世の中の仕組みは結局のところ

空を平行に架けるものの内部でしか構築されていないし

運用・改変されていない

あかりちゃんはそういった狭いものに疑問を感じていた

だけど知恵も学も勇気もなく

その疑問を疑問のまま自己の中に種火のようにくすぶらせたまま

赤座あかりちゃんは日々の生活をしていた

10: 2015/02/25(水) 23:07:46.69 ID:nOs0pTeS0.net
チョコチップクッキーの外縁を歩くように

この世界は真っ直ぐに続く道だと錯覚しているように思った

すこし脇道に逸れて面の部分に出れば

チョコチップクッキーは円だということがわかるのに

世界はチョコチップクッキーの円周部分だけを

真っ直ぐ歩いてそして元に戻って

その後もまだずっと道が続いてると思い込んで

尚も歩いた道を再び歩いている

そんな感じが赤座あかりちゃんにしていた

11: 2015/02/25(水) 23:10:17.54 ID:nOs0pTeS0.net
紅茶の席でその話を

団地に住む向日葵ちゃんに話してみたところ

クッキーにチョコチップが入ったものは食べたことがないと言っていた

きっと貧乏だからだとあかりちゃんは口に出さずに納得した

その後もあかりちゃんはお互いに傷つけあわない至って文化的な会話を続けて

そして団地を出てファブリーズを上着にかけて

夜の九時には眠った

赤座あかりちゃんは規則正しかった

13: 2015/02/25(水) 23:14:30.87 ID:nOs0pTeS0.net
櫻子「それはきっとクッキーモンスターの陰謀だよ」

櫻子ちゃんは深刻そうにそう言った

あかりちゃん櫻子ちゃんの賢慮に身を乗り出して聞いた

あかり「クッキーモンスター?」

櫻子「そうだよクッキーモンスター。クッキーってついてるだろ?」

あかり「たしかにだよぉ」

櫻子「この世界がクッキーならそれはクッキーモンスターが世界を握っているという事になる」

あかり「それは飛躍しすぎじゃ・・・」

櫻子「焦りは物事の価値を曇らせるよあかりちゃん・・・まずは話を聞いて」

あかり「・・・・・・・・・」

14: 2015/02/25(水) 23:18:15.30 ID:nOs0pTeS0.net
櫻子「この世界をクッキーモンスターが握ってると仮定しよう」

あかり「うんうん」

櫻子「おそらくクッキーの面の部分を見てここがクッキーだと知られたくないんだ?何故だと思う?」

あかり「クッキーモンスターが世界を握れなくなるからぁ?」

櫻子「それもある。だけど25点だよ」

あかり「わからないよぉ」

櫻子「それはね、この世界がクッキーだと知ってしまうと」

櫻子「みんなクッキーを食べたくなるだろ?なんてたってクッキーだから」

あかり「・・・・・・・・・」

櫻子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

櫻子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・たしかに」

15: 2015/02/25(水) 23:22:35.21 ID:nOs0pTeS0.net
櫻子「クッキーを食べられると世界そのものがなくなっちゃう」

櫻子「だからクッキーモンスターは私たちを支配して」

櫻子「この世界がクッキーだとわからせないようにしてるんだ」

あかり「・・・なるほどだよぉ」

櫻子「私に言えるのはそれくらいかな」

あかり「今日はありがとうね、櫻子ちゃん。おかげで少しわかった気がするよぉ」

櫻子「えへへ、どういたしまして」

あかり「それじゃあね、櫻子ちゃん」

櫻子「・・・・・・・・・でもね」

あかり「?」

櫻子「私の話は仮定で、仮定は確かに背理法的に有効的な手段かもしれないけど」

櫻子「物事の真相は簡単じゃないよ」

あかり「・・・・・・・・・」

櫻子「今日のはいい香水だね。それじゃあまた」

16: 2015/02/25(水) 23:25:30.79 ID:nOs0pTeS0.net
あかりちゃんはたまに

自分の認識してる世界がとてもあやふやな感覚になる

この世界が自分の知覚してる中枢神経系で生み出しているという

類の話ではない

そういった認識によって始まる感覚ではなく

普段の生活でふと自分が何故ここにいるのか

何故この世界にいるのか

自分の記憶があやふやになる感覚

そういったものをあかりちゃんはたまに感じる

18: 2015/02/25(水) 23:29:41.55 ID:nOs0pTeS0.net
実存主義になんて興味はなかったけど

ふと生まれるこの感覚が

赤座あかりちゃん自身があやふやなものであるんだなと

感じる一つの機会でもあった

あまりに複雑すぎて無秩序性さえありそうな感覚の反応系が

全て集まって一つのあかりを構築する事

世の中の仕組みが空と並行する内部にだけとどまって

一つの社会を作っていること

哲学はあかりちゃんの嫌いなものの一つであり

そして生涯付き合わねばならない友人でもあった

19: 2015/02/25(水) 23:36:44.88 ID:nOs0pTeS0.net
ワールドワイドウェブは

世界を網羅するネットワークである

ウェブは蜘蛛の巣を表し

世界を繋ぐことで情報革命となった

当時の世界はその圧倒的な利便性に熱意と多額の投資をし

ネットは早送りのキメラの成長のようにグロテスクな速度で進化した

ネットワークは一種の複雑系を形成し

現在では地球を取り囲む神経系の役割を果たしている

1957年にソビエト連邦が打ち上げた人類初の衛星スプートニク1号は

地球の枠組みを再構成させる神経学的な事件である

20: 2015/02/25(水) 23:42:04.46 ID:nOs0pTeS0.net
しかしそれ自体

あかりちゃんにとって

あかりちゃんたちが本当に欲しい何がしかに対しての

答えじゃないと思っていた

あかりちゃんは知りたいし欲していた

それが具体的になにをさすのが

チョコチップクッキーなのか

わからないけどあかりちゃんはコンビニレジ横の

エメラルドグリーンのプラスチック募金箱に小銭を入れて

なにかおかしいもの中でもなにか良くなることを願っていた

21: 2015/02/25(水) 23:46:00.99 ID:nOs0pTeS0.net
結衣「それはきっと愛だね」

あかり「小児性愛者」

結衣「それは私の場合についての話だね」

あかり「まりちゃんをもう驚かしちゃだめだよ」

結衣「いつだって時間は敵なのさ。まりちゃんもいずれ・・・」

あかり「大変だねぇ」

結衣「あかりが欲しているのもきっとそう言うものだと思うよ」

あかり「そういう詩のようなものではないかな・・・」

22: 2015/02/25(水) 23:50:39.53 ID:nOs0pTeS0.net
結衣「だけどいつだった人は変わらないものを求めて」

結衣「愛についてそれを殊更尊重したんだよ。世の中のものはほぼ全て食卓に置けるけど愛は祭壇のみだよ」

あかり「カニバも入ってるのぉ?」

結衣「脳は性欲と食欲を酷く簡単に結びつけるようになっていて困る」

あかり「結衣ちゃんについての話はもういいよぉ・・・」

結衣「あかり。世の中なんてな、変わるものだし変わらなくても信用出来るものでもないんだ」

あかり「うん」

結衣「クッキーの面の方に出たからってクッキーの面ではクッキーの面での命題がある」

あかり「そうかもしれないねぇ」

結衣「変わらない愛があればいいんだよ」

あかり「成長したら興味失くす結衣ちゃんに言われたくないよぉ」

23: 2015/02/25(水) 23:53:21.31 ID:nOs0pTeS0.net
世の中の枠組みは大きく分けて二つあった

政治と経済がそれだとあかりちゃんは思っていた

突き詰めれば思想と食べ物だ

その二つをまとめるのが世界のそれぞれの自治だった

その自治の中で最も尊重される文章は憲法と言われた

その文章こそあかりちゃんの疑問への手がかりだと思った

24: 2015/02/25(水) 23:56:48.12 ID:nOs0pTeS0.net
条文はたった100近くしかなかった

それだけの文字があかりちゃんが求めるものを

何がしかの力で阻んでいた

あかりちゃんは憲法の条文を開いてみて

少し読んですぐに閉じた

期せずして前半の条文は憲法の中でも重要なことが多く書かれていた

それを見てあかりちゃんは閉じた

その理由はあかりちゃんを阻んでいるものを酷く地上的に書いていたからだった

求める文章ではなかった

25: 2015/02/25(水) 23:57:58.32 ID:nOs0pTeS0.net
それが憲法であるのか聖典であるのか

そもそも文章なのか

経済システムなのか哲学なのか

あかりちゃんはわからなくなって

遂に泣き出した

26: 2015/02/25(水) 23:59:47.74 ID:nOs0pTeS0.net
あかり「ぶっひぇええええええええええええええん」

ちなつ「ど、どうしたのあかりちゃん!?」

あかり「あかりわかんないよぉおおおお」

ちなつ「な、なにがわからないの!?宿題?」

あかり「世の中の事だよぉ」

ちなつ「・・・・・・はぁ?」

あかり「あかり世の中の事が分かんないだよぉ」

あかり「ぶっひぇええええええええええええええん」 👀

27: 2015/02/26(木) 00:01:48.04 ID:82h1+dk80.net
ちなつ「ちょっ、ちょっと!何言ってるのかわかんないよぉ」

あかり「あかり世の中の事しりたいのぉおおお」

ちなつ「そんなこと知ってどうするの!別にいいでしょ知らなくても!」

あかり「ぶっひぇええええええええええええええん」

ちなつ「んもぅ!いきなりおかしなこと言っちゃって!ちーな知らないからっ」

あかり「ぶっひぇええええええええええええええん」

31: 2015/02/26(木) 00:04:38.29 ID:82h1+dk80.net
あかり「ぶっひぇえええええん」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「ぶっひぇええええええええええん」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「ぶっひぇええええええええええええええん」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「ぶっひぇえええええええええええええええええん」

ちなつ「・・・・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・んもぅ!わかったわよ!あかりちゃん」

33: 2015/02/26(木) 00:07:08.43 ID:82h1+dk80.net
ちなつ「ちーなが教えてあげる!」

あかり「ほんとうにぃ?ぐすぐす」

ちなつ「あかりちゃんが泣き止まないんだもん!」

あかり「だってぇ・・・」

ちなつ「えーとなんだっけ・・・世の中のこと・・・?」

あかり「そうだよぉ。ちなつちゃんはわかるのぉ」

ちなつ「わかるわよ!」

あかり「・・・・・・ほんとうにぃ?」

ちなつ「わかるってば!」

ちなつ「何故なら、ちーなはクッキーモンスターだからよ!」

あかり「!!!」

35: 2015/02/26(木) 00:09:18.01 ID:82h1+dk80.net
ちなつ「この世界は実はクッキーの外縁なの」

あかり「本当だったんだ・・・!」

ちなつ「ええそうよ、これから世界の本当の姿を見せてあげるわ」

あかり「あかり遂にみれるんだね・・・」

ちなつ「そうよ、あかりちゃん!このことはクラスのみんなには内緒だよ」

あかり「わかったよぉ!」

ちなつ「それじゃあ乗り物に乗るからレッツゴー」

あかり「わぁい!」

36: 2015/02/26(木) 00:11:18.43 ID:82h1+dk80.net
ちなつ「これがその乗り物よ」

あかり「一輪車?」

ちなつ「そうよ」

あかり「ダサいよぉ」

ちなつ「だまらっしゃいさぁ着いてきて!」

あかり「両手広げてバランスとって漕いでるの滑稽だよぉ・・・待ってぇ!!」

38: 2015/02/26(木) 00:15:36.15 ID:82h1+dk80.net
ちなつはスピード狂の如き速さと

F1レーサー並みのコーナリングで幾つもの路地を駆け抜けた

あかりちゃんは着いていくのに必氏だった

街の汚れは裏路地に集約され

薄暗いそこはシステムのバグの隠れ家のようにあかりちゃんは思った

幾つもの細く暗い路地の風景が後方に過ぎ去って

そしていつの間にかあかりちゃんとちなつちゃんは屹立する絶壁の前にいた

絶壁は左右に何処まで続いていた

あかり「こ、ここは何処なのぉ」

ちなつ「クッキーの端っこよ。今からここを登って面の方に行くの」

あかり「ぶっひぇー」

39: 2015/02/26(木) 00:20:10.37 ID:82h1+dk80.net
ちなつ「さぁよじ登るわよ」

あかり「命綱はないのぉ」

ちなつ「そんなものはクッキー外縁に置いてきたでしょ」

あかり「・・・そ、そうだねぇ!よぉし!」

ちなつ「いい、あかりちゃん。本当に登りきれるのはクッキーの面にいきたいという強い意志が大事よ」

ちなつ「私が案内できるのは此処までだから、あかりちゃんあとは自分自身を信じるんだよ」

あかり「そうなんだぁ・・・でもあかりは前部全部置いていくつもりで行かなきゃいけないんだよぇ」

ちなつ「そうだよ、そういうことだよ、いってらっしゃい、あかりちゃん」

あかり「いってくるよぉ」

40: 2015/02/26(木) 00:25:38.93 ID:82h1+dk80.net
チョコチップクッキーの端にいること

端から面にいくこと

それは途方もなく難しい

二次元しか認識できないものが三次元を認識することはできない

稀に数学者に置いて四次元空間を四次元空間のまま認識できる者がいるという

しかし大多数のものはカラビ・ヤウ多様体について

想像することはおろか数式上で扱うのも困難だ

あかりちゃんが目指しているチョコチップクッキーの面の方も

内部完結的なこの世の中であかりちゃんが欲しているものも

ぜんぶ掴めそうで掴めない

41: 2015/02/26(木) 00:30:53.70 ID:82h1+dk80.net
あかりちゃんはチョコチップクッキーをよじ登る

クッキーのカスがたまに崩落してくる

チョコチップクッキーは食べかすが出やすいからだ

あかりちゃんはそれでも

一インチずつでも登り続けた

距離は関係なかった

夜になると青いメタン惑星が手に届きそうな巨大さで現れた

ヘビさんが降ることもあった

シーラカンスを食べておいシーラカンスなこともあった

あかりちゃんはチョコチップクッキーを登り続けた

42: 2015/02/26(木) 00:34:02.68 ID:82h1+dk80.net
あかり「も、もうだめだよぉ」

あかり「あかり、もう耐えられないよぉ」

クッキーモンスター「そんな弱音を吐くのは何処の誰かな」

あかり「だれっ!?」

クッキーモンスター「クッキーモンスターだよ君たちを支配してるものだよ」

あかり「クッキーモンスター!あかりはあとどれくらい登ればいいの!」

クッキーモンスター「何を言ってるんだい」

あかり「?」

クッキーモンスター「君はもうクッキーの面にきたじゃないか!」

あかり「!!!」

クッキーモンスター「おめでとう!」

あかり「わぁ!」

43: 2015/02/26(木) 00:36:05.97 ID:82h1+dk80.net
あかり「あかり感動だよぉクッキーの面に来ることが出来たんだぁ」

クッキーモンスター「そうだよ。おつかれさま。そして歓迎するよ」

あかり「わぁ!あかりが着ちゃっても怒らないのぉ?」

クッキーモンスター「一人じゃこのクッキーを食べきるのは無理だからね。特別さ」

あかり「ありがとうだよぉ」

クッキーモンスター「どうして君はこんなところにまできたんだい?」

45: 2015/02/26(木) 00:38:41.32 ID:82h1+dk80.net
あかり「あかり世の中の事が知りたいんだよぉ」

クッキーモンスター「なるほど」

あかり「聞いてもいいかなぁ」

クッキーモンスター「何でも聞いて!」

あかり「クッキーモンスターさんはなんであかり達を支配して世界を騙してるの?」

クッキーモンスター「なんとなくだよ!」

あかり「・・・あっ」

クッキーモンスター「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

47: 2015/02/26(木) 00:41:13.33 ID:82h1+dk80.net
あかり「なんとなくなのぉ?」

クッキーモンスター「そうだよ!」

あかり「え?でもそれなら騙さなくてもいいんじゃ・・・」

クッキーモンスター「いいよ!」

あかり「いいのかよぉ・・・」

クッキーモンスター「世の中の事の何を知って何を考えるかについて」

クッキーモンスター「クッキーモンスターは高尚な事を考えたり押し付けたり文章にしないからね」

あかり「!!!」

48: 2015/02/26(木) 00:43:15.73 ID:82h1+dk80.net
クッキーモンスター「人間は欲にまみれてるから管理しないと正常な社会を営めないとか」

クッキーモンスター「そういう考え披露するのってファックだよね」

あかり「ファックだよぉ」

クッキーモンスター「ここはクッキーの面だよ!楽しんで!」

あかり「わぁい!」

50: 2015/02/26(木) 00:48:03.60 ID:82h1+dk80.net
チョコチップクッキーの面にいるということ

それはチョコチップが顔を出していて

とても甘い匂いがする世界だという事

甘い匂いは溶けだしてその風に乗った思考や考えは

全部チョコチップの香りに融和する

京子「よう!あかり!」

あかり「京子ちゃん!」

京子ちゃんが何故そこにいるのかに大した意味はなく

そして過去も今も今後も理由を必要としない

京子「踊ろう!」

あかり「わぁい!」

チョコチップクッキーのステージの上

あかりちゃんと京子ちゃんはワルツを踊る

チョコチップの甘い匂いを纏い

軽い食感のクッキーを踏み鳴らして華麗に舞う

52: 2015/02/26(木) 00:54:42.91 ID:82h1+dk80.net
チョコチップクッキーの外縁は開かれている

ただ、多くの人は行くことが出来ない

それよりも多くの人は気付いていない

クッキーモンスターはクッキーモンスターで

あかりちゃんはワルツを踊って

クッキーの上でくるくる回る

世の中がクッキーの外縁をひたすらくるくる回るように

地球が回って衛星が回って

あかりちゃんが回って

ワルツが回る

あかりちゃんが欲した答えは

ただチョコチップクッキーの面という

理由が必要ない舞台

53: 2015/02/26(木) 00:57:10.43 ID:82h1+dk80.net
京子「あかり」

あかり「なぁに京子ちゃん」

京子「あかりはずっとここにいるのか?」

あかり「・・・わかんないよぉ」

京子「でもな、ここにいることはクッキーモンスターの仲間になることなんだぞ」

あかり「それって怖い事なのぉ?」

京子「そんなことないぞクッキーモンスターになってもあかりはあかりのままだ」

あかり「それならここにいよっかなぁ」

京子「・・・・・・・・・あかり」

あかり「?」

56: 2015/02/26(木) 01:01:18.89 ID:82h1+dk80.net
京子「あのね、あかり。あかりは戻ったほうがいいよ」

あかり「・・・な、なんでぇ!」

京子「だって、あかりはクッキーの端っこになくてはならないからだ」

あかり「・・・なんでなのぉ」

京子「あかり、あかりは天使なんだよ」

あかり「薄々気付いてたよぉ」

京子「理由とか関係とか因果的な何がしかは全部ここにはないけど」

京子「あかりはそういうものがある場所で皆を照らすことが」

京子「あかりの生来の在り方だと思うんだ」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・わかったよぉ」

58: 2015/02/26(木) 01:07:11.20 ID:82h1+dk80.net
京子「あかり、クッキーの端だって色んなことがある」

京子「でっかい宇宙船でどっか行こうとしてたり」

京子「あとはまぁ戦争起こったり政治が煩かったり税金あがったり自分の存在価値がわからなくなったり」

京子「社会人が鬱になったり貧困と飢餓と宗教とテ口リズムがあったり」

あかり「」

京子「・・・まぁいろいろあるけど」

あかり「」

京子「あかりは天使でいる事それだけで良いんだよ」

あかり「うん、わかったよぉ」

京子「気を付けて帰るんだぞ、お土産だ」

あかり「わぁい!何かなぁ」

京子「チョコチップだ」

あかり「わぁい!」

59: 2015/02/26(木) 01:13:26.29 ID:82h1+dk80.net
赤座あかりちゃんはクッキーモンスターに挨拶して

崖をするする降りて帰った

途中カラスか鷹みたいな奴につつかれて

@(○`3´○)@んもうぅー!と怒りながらも

ポッケに入れたチョコチップをかじりながら

降りていく

単調な動きを繰り返して降りていくうちに

もう一度ワルツを踊りたくなってきた

京子ちゃんとくるくる回って世界もくるくる回って

この世界はずっとくるくるしていた

あかりちゃんはかわりにワルツの曲に唇で歌った

https://www.youtube.com/watch?v=1nWbuwLshrk


静かな鼻歌は断崖に消えていった

さぁチョコチップクッキーの上でワルツを

おわり

60: 2015/02/26(木) 01:14:32.03 ID:0HWotFh50.net
おつ!もう一回読み返してくる
こういうの書ける奴の脳内ってどうなってるんだろうな

61: 2015/02/26(木) 01:16:12.94 ID:5ehOVjdk0.net
最後なんかワロタ

引用元: あかり「世の中おかしいよぉ」