5: 2011/12/30(金) 21:55:55.12 ID:NAySGvUq0
男「おっす」
欠損少女「相変わらず元気そうだね」
男「まぁな。……調子はどうだ?」
欠損少女「すこぶる良いね。両足の感覚がまったく無いこと以外は」
男「じゃあ大丈夫だな」
欠損少女「もうちょっと遠慮は欲しいんだけどね。まぁ、変に気を使われるよりはマシか」
欠損少女「相変わらず元気そうだね」
男「まぁな。……調子はどうだ?」
欠損少女「すこぶる良いね。両足の感覚がまったく無いこと以外は」
男「じゃあ大丈夫だな」
欠損少女「もうちょっと遠慮は欲しいんだけどね。まぁ、変に気を使われるよりはマシか」
7: 2011/12/30(金) 21:56:26.72 ID:NAySGvUq0
男「それじゃ、行こうか」
欠損少女「お願いするよ」
男「あいよ。……よいしょっ、と」ヒョイ
欠損少女「んぅ……」
男「ちょっと重くなった?」
欠損少女「シツレイな。もとの体よりは両脚分軽くなってるつもりだよ」
男「俺だって片腕無いんだから」
欠損少女「利き腕じゃなくて良かったね」
男「あぁ、もう。ほら、車椅子に移すぞ」
欠損少女「お願いするよ」
男「あいよ。……よいしょっ、と」ヒョイ
欠損少女「んぅ……」
男「ちょっと重くなった?」
欠損少女「シツレイな。もとの体よりは両脚分軽くなってるつもりだよ」
男「俺だって片腕無いんだから」
欠損少女「利き腕じゃなくて良かったね」
男「あぁ、もう。ほら、車椅子に移すぞ」
10: 2011/12/30(金) 21:57:38.26 ID:NAySGvUq0
欠損少女「日の光を浴びるのは久々だね」
男「悪かないだろ」
欠損少女「外に出るのはあの日以来かな?」
男「その日俺らはこうなっちゃった訳だけど」
欠損少女「……その。悪かったよ。いくら謝っても償いきれない事をしてしまった」
男「もうそれはいいだろ。こうなってしまったのは仕方が無いし、何よりお前が謝ることじゃない」
欠損少女「……うん」
男「さ、もう行くぞ。リハビリの時間だ」
欠損少女「分かった」
男「悪かないだろ」
欠損少女「外に出るのはあの日以来かな?」
男「その日俺らはこうなっちゃった訳だけど」
欠損少女「……その。悪かったよ。いくら謝っても償いきれない事をしてしまった」
男「もうそれはいいだろ。こうなってしまったのは仕方が無いし、何よりお前が謝ることじゃない」
欠損少女「……うん」
男「さ、もう行くぞ。リハビリの時間だ」
欠損少女「分かった」
14: 2011/12/30(金) 21:59:06.16 ID:NAySGvUq0
男「まだ義足は慣れないか?」
欠損少女「そりゃ、自分の脚じゃないからね」ガシャ
男「立てるか?」
欠損少女「ん、何とか」
男「よし。じゃあ始めるか」
欠損少女「そりゃ、自分の脚じゃないからね」ガシャ
男「立てるか?」
欠損少女「ん、何とか」
男「よし。じゃあ始めるか」
15: 2011/12/30(金) 21:59:40.76 ID:NAySGvUq0
欠損少女「うっ、く……うぅ」
男「頑張れ。もう少しで5メートルだ」
欠損少女「分かって、る……うわっ」ヨロリ
男「あっ」
欠損少女「あぐっ」ドサッ
男「おい、大丈夫か?」
欠損少女「手は出さないで!」
男「……あぁ」
欠損少女「自分で、立つから……あっ」ドサッ
男「……」
男「頑張れ。もう少しで5メートルだ」
欠損少女「分かって、る……うわっ」ヨロリ
男「あっ」
欠損少女「あぐっ」ドサッ
男「おい、大丈夫か?」
欠損少女「手は出さないで!」
男「……あぁ」
欠損少女「自分で、立つから……あっ」ドサッ
男「……」
16: 2011/12/30(金) 22:00:12.07 ID:NAySGvUq0
欠損少女「いたた、またやっちゃったよ」
男「ほら、手ェ貸すから」
欠損少女「ん、悪いね」
男「よっ、と」グイ
欠損少女「おっと」ヨロリ
男「危ね」ポフン
欠損少女「……あったかい」ギュ
男「……」
欠損少女「うっ……ふぇ、グスッ……」
男「ほら、手ェ貸すから」
欠損少女「ん、悪いね」
男「よっ、と」グイ
欠損少女「おっと」ヨロリ
男「危ね」ポフン
欠損少女「……あったかい」ギュ
男「……」
欠損少女「うっ……ふぇ、グスッ……」
17: 2011/12/30(金) 22:00:48.65 ID:NAySGvUq0
男「あぁ、もう」
欠損少女「うぇ……ぇええ……あぁ、あ」ポロポロ
男「今日はここまでにしよう。ほれ、外してやるから椅子に座りな」
欠損少女「……うっ、う……んっ」
男「頑張ったな。前よりは進むようになったんじゃないか?」
欠損少女「すんっ……ごめんっ、グズッ……ごめんね」
男「もういいだろ。お前が謝る必要はないんだって」
欠損少女「……グスッ」
欠損少女「うぇ……ぇええ……あぁ、あ」ポロポロ
男「今日はここまでにしよう。ほれ、外してやるから椅子に座りな」
欠損少女「……うっ、う……んっ」
男「頑張ったな。前よりは進むようになったんじゃないか?」
欠損少女「すんっ……ごめんっ、グズッ……ごめんね」
男「もういいだろ。お前が謝る必要はないんだって」
欠損少女「……グスッ」
19: 2011/12/30(金) 22:01:47.39 ID:NAySGvUq0
男「落ち着いたか?」
欠損少女「あぁ、見苦しい所を見せてしまったね。すまない」
男「気にすんな。お前の気持ちも、分からんでもない」
欠損少女「……戻ろうか」
男「おし、行くか」
欠損少女「あぁ、見苦しい所を見せてしまったね。すまない」
男「気にすんな。お前の気持ちも、分からんでもない」
欠損少女「……戻ろうか」
男「おし、行くか」
21: 2011/12/30(金) 22:04:06.95 ID:NAySGvUq0
――――――
少女「ほぉら、早く。もうすぐ動物園が開いてしまうよ」
男「急がんでも動物は逃げないだろ」
少女「人がいっぱいになるかもしれないだろう。それに、キミが早く来ないと、ボクが逃げちゃうぞ」
男「さいで」
少女「あ、そんな顔しなくてもいいじゃないか」
少女「ほぉら、早く。もうすぐ動物園が開いてしまうよ」
男「急がんでも動物は逃げないだろ」
少女「人がいっぱいになるかもしれないだろう。それに、キミが早く来ないと、ボクが逃げちゃうぞ」
男「さいで」
少女「あ、そんな顔しなくてもいいじゃないか」
23: 2011/12/30(金) 22:05:50.32 ID:NAySGvUq0
男「なんか臭うな」
少女「これが動物園の臭いだよ。ボクは好きだけどな」
男「物好きな奴」
少女「そんな物好きな奴と付き合ってるキミの方がよっぽど、物好きだと思うけどね」
男「それを言われちゃあな……」
少女「ほらほら、置いてっちゃうぞ」
男「あっ、こら。走るな!」
少女「これが動物園の臭いだよ。ボクは好きだけどな」
男「物好きな奴」
少女「そんな物好きな奴と付き合ってるキミの方がよっぽど、物好きだと思うけどね」
男「それを言われちゃあな……」
少女「ほらほら、置いてっちゃうぞ」
男「あっ、こら。走るな!」
27: 2011/12/30(金) 22:08:12.63 ID:NAySGvUq0
少女「兎だ。元気に走り回ってる」
男「動物園に来てまずそれか。ペットショップでも見れるだろうに」
少女「ここはふれあえるからいいのさ。ほいほい、おいで」
男「あ、俺にも抱かせてくれよ」
少女「やぁだよ」
男「動物園に来てまずそれか。ペットショップでも見れるだろうに」
少女「ここはふれあえるからいいのさ。ほいほい、おいで」
男「あ、俺にも抱かせてくれよ」
少女「やぁだよ」
30: 2011/12/30(金) 22:09:30.15 ID:NAySGvUq0
男「ダチョウと競争だってよ」
少女「やる! ボクやるよ!」
男「あぁ、足には自身があるんだよな。陸上部だっけ?」
少女「うん。短距離の方。インターハイで優勝したのは覚えてるだろう?」
男「あの時は凄かったな」
少女「その時と同じように、華麗に勝ってみせるよ」
――――――
少女「ぜぇ……はぁ……。ま、負けた……」
男「だろうな」
少女「正直アフリカ舐めてたよ」
少女「やる! ボクやるよ!」
男「あぁ、足には自身があるんだよな。陸上部だっけ?」
少女「うん。短距離の方。インターハイで優勝したのは覚えてるだろう?」
男「あの時は凄かったな」
少女「その時と同じように、華麗に勝ってみせるよ」
――――――
少女「ぜぇ……はぁ……。ま、負けた……」
男「だろうな」
少女「正直アフリカ舐めてたよ」
32: 2011/12/30(金) 22:10:02.07 ID:NAySGvUq0
男「ライオンだな。思ってたよりデカかった」
少女「だらけきってるね。百獣の王の称号が大爆笑だ」
男「たてがみは無性にモフりたくなるな」
少女「……でぇい!」ノシッ
男「うわっ! 急に負ぶさるなよ」
少女「キミがモフッっていいのはボクだけだろう」
男「雄ライオンに妬いてどうすんだよ」
少女「だらけきってるね。百獣の王の称号が大爆笑だ」
男「たてがみは無性にモフりたくなるな」
少女「……でぇい!」ノシッ
男「うわっ! 急に負ぶさるなよ」
少女「キミがモフッっていいのはボクだけだろう」
男「雄ライオンに妬いてどうすんだよ」
33: 2011/12/30(金) 22:10:40.83 ID:NAySGvUq0
少女「知ってるかい?」
男「何が?」
少女「キリンの首の骨って、長いようで実は7つしかないのだよ」
男「哺乳類はみんなそうだよ」
少女「……それは知らなんだ」
男「出直してきなさい」
男「何が?」
少女「キリンの首の骨って、長いようで実は7つしかないのだよ」
男「哺乳類はみんなそうだよ」
少女「……それは知らなんだ」
男「出直してきなさい」
34: 2011/12/30(金) 22:11:22.54 ID:NAySGvUq0
少女「動物園と言えば、やっぱり象だね」
男「そうだな」
少女「えーと、案内板によると……」
男「『1日の大半を食事に費やし、おとなのゾウは200~300キロもの草や木を食べ、水も1日に100リットル以上飲みます』―――」
少女「『象の糞は、1個で約2キログラムあります。大きなオスでは約3キログラムにもなります。
これを1回に5~6個、1日に約10回排便します。したがって、おとなのゾウの1日の排便量は、
およそ100キログラム(2キログラム×5個×10回)にもなります。』」
男「……」
少女「……別に糞の説明はいらなかったんじゃないかな?」
男「……勉強にはなったが……」
男「そうだな」
少女「えーと、案内板によると……」
男「『1日の大半を食事に費やし、おとなのゾウは200~300キロもの草や木を食べ、水も1日に100リットル以上飲みます』―――」
少女「『象の糞は、1個で約2キログラムあります。大きなオスでは約3キログラムにもなります。
これを1回に5~6個、1日に約10回排便します。したがって、おとなのゾウの1日の排便量は、
およそ100キログラム(2キログラム×5個×10回)にもなります。』」
男「……」
少女「……別に糞の説明はいらなかったんじゃないかな?」
男「……勉強にはなったが……」
38: 2011/12/30(金) 22:12:42.39 ID:NAySGvUq0
男「さ、昼飯だ。弁当作ってきたやったから残さず食えよな」
少女「悪いね。君に作ってもらって」
男「お前に作らせると何が出来るか分からん。それに、良い練習にもなる」
少女「シェフになるのが夢だったね、君は」
男「もうすぐで叶うんだ。働いてるレストランの料理長にも認められてる」
少女「すごいじゃないか。いつか、君のレストランを開いたときは呼んでくれ」
男「そのつもりだ。お前を一号客にしてやるよ」
少女「ふふっ、楽しみだ」くつくつ
少女「悪いね。君に作ってもらって」
男「お前に作らせると何が出来るか分からん。それに、良い練習にもなる」
少女「シェフになるのが夢だったね、君は」
男「もうすぐで叶うんだ。働いてるレストランの料理長にも認められてる」
少女「すごいじゃないか。いつか、君のレストランを開いたときは呼んでくれ」
男「そのつもりだ。お前を一号客にしてやるよ」
少女「ふふっ、楽しみだ」くつくつ
39: 2011/12/30(金) 22:13:18.21 ID:NAySGvUq0
少女「今日は楽しかった。礼を言うよ、ありがとう」
男「楽しんでもらえたようで何よりだ」
少女「次のデートは何処にしようか」
男「遊園地はどうだ?」
少女「なんかありがちでやだなぁ。お寺とかどうかい?」
男「たまにお前というのがよく分からんようになる」
男「楽しんでもらえたようで何よりだ」
少女「次のデートは何処にしようか」
男「遊園地はどうだ?」
少女「なんかありがちでやだなぁ。お寺とかどうかい?」
男「たまにお前というのがよく分からんようになる」
40: 2011/12/30(金) 22:13:50.00 ID:NAySGvUq0
少女「次のデートは、ボクとジョギングでもどうだい?」
男「体力には自身がないんだけどなぁ」
少女「キミと走れるなら、どこまでも行ける気がするよ」
男「どこまでも行かれたら、俺が追いつけなくなるよ」
少女「じゃあペースを落とす」
男「頼んだぞ」
男「体力には自身がないんだけどなぁ」
少女「キミと走れるなら、どこまでも行ける気がするよ」
男「どこまでも行かれたら、俺が追いつけなくなるよ」
少女「じゃあペースを落とす」
男「頼んだぞ」
41: 2011/12/30(金) 22:14:59.73 ID:NAySGvUq0
少女「あ、猫」
男「おい、あの先って……」
少女「あっ……! 踏み切り! あのままじゃ轢かれる!」ダッ
男「おい、何するつもりだ!?」
カンカンカンカン
少女「捕まえたっ!」ガシッ
男「危ねぇ!」ドンッ
キィイイ――――――ィイイイ……
少女「―――あっ」
男「―――ちょっ」
ドッ
男「おい、あの先って……」
少女「あっ……! 踏み切り! あのままじゃ轢かれる!」ダッ
男「おい、何するつもりだ!?」
カンカンカンカン
少女「捕まえたっ!」ガシッ
男「危ねぇ!」ドンッ
キィイイ――――――ィイイイ……
少女「―――あっ」
男「―――ちょっ」
ドッ
43: 2011/12/30(金) 22:15:30.47 ID:NAySGvUq0
欠損少女「……ぁっ!」ガバッ
欠損少女「はぁっ、はぁっ」
欠損少女「ジョギング、出来なくなったな……」
欠損少女「はぁっ、はぁっ」
欠損少女「ジョギング、出来なくなったな……」
45: 2011/12/30(金) 22:16:02.72 ID:NAySGvUq0
男「これなら……」プルルルル
ガチャ ハイ、コチラ―
男「あ、もしもし―――」
ガチャ ハイ、コチラ―
男「あ、もしもし―――」
46: 2011/12/30(金) 22:17:19.72 ID:NAySGvUq0
翌日
男「お早う」
欠損少女「お、今日は早かったね」
男「今日はやることが無かったからな」
欠損少女「それでわたしの所へ?」
男「まぁな」
欠損少女「ふふっ」
男「あんだよ」
男「お早う」
欠損少女「お、今日は早かったね」
男「今日はやることが無かったからな」
欠損少女「それでわたしの所へ?」
男「まぁな」
欠損少女「ふふっ」
男「あんだよ」
47: 2011/12/30(金) 22:17:50.77 ID:NAySGvUq0
欠損少女「今日は出かけてみないかい?」
男「え、いいのか?」
欠損少女「外出許可はもうもらってあるし、気分転換に病院の外でゆっくりと」
男「そうじゃなくて、その……」
欠損少女「あぁ、わたしの事は心配しなくてもいいよ。周りの人にどう思われようが、気にはしないさ。君だってそうだろう?」
男「まぁ、な」
欠損少女「それじゃ問題無い」
男「それじゃ車椅子用意するな」
欠損少女「頼んだ」
男「え、いいのか?」
欠損少女「外出許可はもうもらってあるし、気分転換に病院の外でゆっくりと」
男「そうじゃなくて、その……」
欠損少女「あぁ、わたしの事は心配しなくてもいいよ。周りの人にどう思われようが、気にはしないさ。君だってそうだろう?」
男「まぁ、な」
欠損少女「それじゃ問題無い」
男「それじゃ車椅子用意するな」
欠損少女「頼んだ」
49: 2011/12/30(金) 22:19:05.69 ID:NAySGvUq0
男「しかし、よく外に出る気になったな。最初の頃は塞ぎ込んでたのに」
欠損少女「わたしだってもう子供じゃないんだ。いつまでもウジウジはしていられないよ」
男「まだガキなくせに」
欠損少女「む、そんなことを言う口はこれか」ムニー
男「いふぁいいふぁい」
欠損少女「わたしだってもう子供じゃないんだ。いつまでもウジウジはしていられないよ」
男「まだガキなくせに」
欠損少女「む、そんなことを言う口はこれか」ムニー
男「いふぁいいふぁい」
52: 2011/12/30(金) 22:19:41.12 ID:NAySGvUq0
欠損少女「んー、娑婆の空気は美味しいねぇ」
男「何処でそんな言葉覚えたんだよ」
欠損少女「談話室のテレビ」
男「あー……」
欠損少女「意外と楽しいものだったんだね、お昼のドラマって」
男「科捜研の女も結構面白いぞ」
欠損少女「あぁ、良いよね」
男「何処でそんな言葉覚えたんだよ」
欠損少女「談話室のテレビ」
男「あー……」
欠損少女「意外と楽しいものだったんだね、お昼のドラマって」
男「科捜研の女も結構面白いぞ」
欠損少女「あぁ、良いよね」
53: 2011/12/30(金) 22:20:28.68 ID:NAySGvUq0
男「街に出たな」
欠損少女「久々に人を沢山見たよ」
男「大丈夫か?」
欠損少女「ん、何とかね」
男「そっか。何処行く?」
欠損少女「公園が良いな」
男「おっし、じゃあ行くか」カラカラ
欠損少女「久々に人を沢山見たよ」
男「大丈夫か?」
欠損少女「ん、何とかね」
男「そっか。何処行く?」
欠損少女「公園が良いな」
男「おっし、じゃあ行くか」カラカラ
56: 2011/12/30(金) 22:21:43.31 ID:NAySGvUq0
欠損少女「子供がいっぱいだ」
男「無邪気なもんだな」
欠損少女「あっ、今度はあの子が鬼か。頑張れ」
男「……あ」
欠損少女「うん、親御さんたちに見られてるね。大方、同情の目って奴か」
男「いい気はしないな」
欠損少女「だね」
男「無邪気なもんだな」
欠損少女「あっ、今度はあの子が鬼か。頑張れ」
男「……あ」
欠損少女「うん、親御さんたちに見られてるね。大方、同情の目って奴か」
男「いい気はしないな」
欠損少女「だね」
57: 2011/12/30(金) 22:23:02.77 ID:NAySGvUq0
男「そろそろ帰るか?」
欠損少女「そうしよう。少し疲れたよ」
男「どうだった? 久々に外に出て」
欠損少女「そうだなぁ。……また、キミと同じ目線で歩きたくなってきたよ」
男「またって、足があるときでも俺より背ェ小さかったくせに」
欠損少女「あ、言ったな」
欠損少女「そうしよう。少し疲れたよ」
男「どうだった? 久々に外に出て」
欠損少女「そうだなぁ。……また、キミと同じ目線で歩きたくなってきたよ」
男「またって、足があるときでも俺より背ェ小さかったくせに」
欠損少女「あ、言ったな」
58: 2011/12/30(金) 22:23:57.53 ID:NAySGvUq0
男「じゃ、ベッドに乗せるからな。よいせ、っと」
欠損少女「ありがと」
男「また、明日な」
欠損少女「ん、じゃあね」
男「おう」
欠損少女「ありがと」
男「また、明日な」
欠損少女「ん、じゃあね」
男「おう」
60: 2011/12/30(金) 22:25:05.79 ID:NAySGvUq0
事故後
欠損少女「……もう、歩けないってさ」
男「そりゃ、まぁ……見たら分かるっていうか……」
欠損少女「キミは、左手が」
男「あぁ、義手でも仕込んでコブラみたいにしようかな、なんて」
欠損少女「あ、その……」
男「何も言うな。ただの事故だ」
欠損少女「……もう、歩けないってさ」
男「そりゃ、まぁ……見たら分かるっていうか……」
欠損少女「キミは、左手が」
男「あぁ、義手でも仕込んでコブラみたいにしようかな、なんて」
欠損少女「あ、その……」
男「何も言うな。ただの事故だ」
92: 2011/12/30(金) 23:16:04.14 ID:NAySGvUq0
欠損少女「これなら、いっそ氏んだ方が―――」
男「阿呆か。俺チョップを喰らえ」
欠損少女「うゅ」ポスン
男「二度とそんなこと言うんじゃあない」
欠損少女「……悪かった」
男「阿呆か。俺チョップを喰らえ」
欠損少女「うゅ」ポスン
男「二度とそんなこと言うんじゃあない」
欠損少女「……悪かった」
93: 2011/12/30(金) 23:16:57.24 ID:NAySGvUq0
欠損少女「少し、ひとりにさせてくれないか」
男「おい」
欠損少女「お願いだ」
男「……わかった」
欠損少女「……」
男「落ち着いたら、連絡くれよな」
欠損少女「あぁ」
男「おい」
欠損少女「お願いだ」
男「……わかった」
欠損少女「……」
男「落ち着いたら、連絡くれよな」
欠損少女「あぁ」
94: 2011/12/30(金) 23:18:07.68 ID:NAySGvUq0
男「痛ってぇなぁ、チクショウ……」
96: 2011/12/30(金) 23:19:11.72 ID:NAySGvUq0
欠損少女「痛い、熱いよぅ……ひっく、ぐすっ」ポロポロ
98: 2011/12/30(金) 23:20:25.59 ID:NAySGvUq0
現在
男「これからさ、どうするんだ?」
欠損少女「どうっていうと?」
男「社会復帰ってこと」
欠損少女「あぁ、どうしようか」
男「これからさ、どうするんだ?」
欠損少女「どうっていうと?」
男「社会復帰ってこと」
欠損少女「あぁ、どうしようか」
100: 2011/12/30(金) 23:21:25.36 ID:NAySGvUq0
男「なぁ」
欠損少女「どうしたんだい?」
男「また、さ……その、走ってみないか?」
欠損少女「……どういうことだい、それは」
男「この前、テレビでみたんだよ。両足を失っても義足で走ってる人をさ。だからお前も―――」
欠損少女「それで走れって言うのかい?」
欠損少女「どうしたんだい?」
男「また、さ……その、走ってみないか?」
欠損少女「……どういうことだい、それは」
男「この前、テレビでみたんだよ。両足を失っても義足で走ってる人をさ。だからお前も―――」
欠損少女「それで走れって言うのかい?」
101: 2011/12/30(金) 23:22:07.46 ID:NAySGvUq0
男「……ほら、前にさ、一緒にジョギングしようって約束しただろ?」
欠損少女「……」
男「また、お前が走っている所を見たいんだ」
欠損少女「勝手だね」
男「……あぁ。お前はどうなんだ」
欠損少女「……もちろんわたしだって、思い切り体を動かしたいさ。風を切って走りたい」
男「なら―――」
欠損少女「だけどっ!」
欠損少女「……」
男「また、お前が走っている所を見たいんだ」
欠損少女「勝手だね」
男「……あぁ。お前はどうなんだ」
欠損少女「……もちろんわたしだって、思い切り体を動かしたいさ。風を切って走りたい」
男「なら―――」
欠損少女「だけどっ!」
102: 2011/12/30(金) 23:22:41.07 ID:NAySGvUq0
欠損少女「もし義足をはめて走れたとしても、今まで通りに走れないかもしれない」
男「……」
欠損少女「なにより自分の脚ではもう走れないって実感するのがとてつもなく怖いんだ……」
男「そうやって、逃げるのか」
欠損少女「逃げてなんか……」
男「いーや、逃げてるね」
欠損少女「っ!」
男「……」
欠損少女「なにより自分の脚ではもう走れないって実感するのがとてつもなく怖いんだ……」
男「そうやって、逃げるのか」
欠損少女「逃げてなんか……」
男「いーや、逃げてるね」
欠損少女「っ!」
103: 2011/12/30(金) 23:23:38.28 ID:NAySGvUq0
男「俺も見ての通り、片腕が無くなった。利き腕じゃないのがせめてもの救いだがな」
欠損少女「……」
男「だけど、お陰で今まで通り料理をすることが出来なくなった。レストランも辞めた。夢が潰えたんだ」
欠損少女「ぁ……」
男「だけどな」スッ
欠損少女「これ、は?」
欠損少女「……」
男「だけど、お陰で今まで通り料理をすることが出来なくなった。レストランも辞めた。夢が潰えたんだ」
欠損少女「ぁ……」
男「だけどな」スッ
欠損少女「これ、は?」
104: 2011/12/30(金) 23:26:10.72 ID:NAySGvUq0
男「それでもまだ出来ることがある。……来る前に作ってきたんだ」
欠損少女「……あ、お弁当」
男「味は保障する。腕が一本無くたって出来た、俺の料理だ。少なくとも、不味い病院食には負けちゃいない」
欠損少女「君は―――」
男「なんだって、やれば出来るさ。そりゃあ、お前と俺とじゃ失ったものが違い過ぎる」
欠損少女「……」
男「だけどな、まだ残ってるだろ? 少なくとも、動ける体は持ってるじゃないか」
欠損少女「……あ、お弁当」
男「味は保障する。腕が一本無くたって出来た、俺の料理だ。少なくとも、不味い病院食には負けちゃいない」
欠損少女「君は―――」
男「なんだって、やれば出来るさ。そりゃあ、お前と俺とじゃ失ったものが違い過ぎる」
欠損少女「……」
男「だけどな、まだ残ってるだろ? 少なくとも、動ける体は持ってるじゃないか」
105: 2011/12/30(金) 23:27:01.90 ID:NAySGvUq0
男「これ以上は、流石に何も言えないな。後はお前が決めな」
欠損少女「……全く、押し付けがましいね」
男「生憎、気を遣える性分じゃなくてね」
欠損少女「考える時間を、くれないかな?」
男「いくらでも」
欠損少女「……はぁ」
欠損少女「……全く、押し付けがましいね」
男「生憎、気を遣える性分じゃなくてね」
欠損少女「考える時間を、くれないかな?」
男「いくらでも」
欠損少女「……はぁ」
106: 2011/12/30(金) 23:27:33.88 ID:NAySGvUq0
――――――
男「どうだ? 走れそうか?」
欠損少女「まだバランスが取り辛いね、っと」グラッ
男「おっと。大丈夫、俺がついてる」
欠損少女「心強いね」
男「さぁ、もういっちょだ」
欠損少女「よし、もう一踏ん張りだね」
男「その調子だ」
男「どうだ? 走れそうか?」
欠損少女「まだバランスが取り辛いね、っと」グラッ
男「おっと。大丈夫、俺がついてる」
欠損少女「心強いね」
男「さぁ、もういっちょだ」
欠損少女「よし、もう一踏ん張りだね」
男「その調子だ」
107: 2011/12/30(金) 23:28:05.00 ID:NAySGvUq0
欠損少女「……ふぅ。ちょっと休憩」
男「お疲れさん。ほい、ポカリ」
欠損少女「サンクスね」
男「―――よく、やる気になってくれたもんだ」
欠損少女「君が焚き付けてくれたからね」
男「あの時は我ながらよく恥ずかしい台詞を吐けたもんだ」
欠損少女「ふふ、そうだったね。黒歴史は免れなさそうだ」
男「その黒歴史に救われたんだぞ、お前は」
男「お疲れさん。ほい、ポカリ」
欠損少女「サンクスね」
男「―――よく、やる気になってくれたもんだ」
欠損少女「君が焚き付けてくれたからね」
男「あの時は我ながらよく恥ずかしい台詞を吐けたもんだ」
欠損少女「ふふ、そうだったね。黒歴史は免れなさそうだ」
男「その黒歴史に救われたんだぞ、お前は」
108: 2011/12/30(金) 23:28:42.65 ID:NAySGvUq0
欠損少女「だけど、用意が早いね。こうなることを見越してたかのように」
男「実際見越してたしな。ちょっと前に電話して準備してもらってたんだ」
欠損少女「だからすぐに採寸して出来たのか」
男「お前にはもう一度、目いっぱい走ってもらいたかったからな」
欠損少女「そうなるにはまだまだ時間が掛かりそうだけどね」
男「それはお前次第だな」
欠損少女「ん、頑張るよ」
男「実際見越してたしな。ちょっと前に電話して準備してもらってたんだ」
欠損少女「だからすぐに採寸して出来たのか」
男「お前にはもう一度、目いっぱい走ってもらいたかったからな」
欠損少女「そうなるにはまだまだ時間が掛かりそうだけどね」
男「それはお前次第だな」
欠損少女「ん、頑張るよ」
109: 2011/12/30(金) 23:29:48.02 ID:NAySGvUq0
欠損少女「あの、さ」
男「あん?」
欠損少女「ずっと、こうして一緒に……」
男「む」
欠損少女「私、いや、ボクたち……支え合って、いける、かな?」クラ
男「当たり前だ。お前は俺が居ないと危なっかしいからな。ずっと傍に居てやる。ざまぁみろ」
欠損少女「そうか……良かっ、た……」ポスン
男「あん?」
欠損少女「ずっと、こうして一緒に……」
男「む」
欠損少女「私、いや、ボクたち……支え合って、いける、かな?」クラ
男「当たり前だ。お前は俺が居ないと危なっかしいからな。ずっと傍に居てやる。ざまぁみろ」
欠損少女「そうか……良かっ、た……」ポスン
111: 2011/12/30(金) 23:35:50.07 ID:NAySGvUq0
男「……寝たのか」
欠損少女「……」
男「いい顔してやがる。……これで、良かったのかね?」
欠損少女「……」
男「どちらにせよ、後にならなくちゃ分からんか」
欠損少女「ん、む……」ギュ
男「おーおー、引っ付いてくれちゃってまぁ」
欠損少女「……」
男「いい顔してやがる。……これで、良かったのかね?」
欠損少女「……」
男「どちらにせよ、後にならなくちゃ分からんか」
欠損少女「ん、む……」ギュ
男「おーおー、引っ付いてくれちゃってまぁ」
113: 2011/12/30(金) 23:36:56.80 ID:NAySGvUq0
欠損少女「……良いに決まってるさ」
男「むをっ、起きてたのか」
欠損少女「もーらいっ」チュッ
男「んむっ」
欠損少女「……ぷはっ」
男「不意打ちとは卑怯なり」
欠損少女「ふふっ、大好きだよ。愛してると言っても良い」
男「その言葉、そっくりそのまま返してやんよ」
欠損少女「ん……」ギュウッ
~fin~
男「むをっ、起きてたのか」
欠損少女「もーらいっ」チュッ
男「んむっ」
欠損少女「……ぷはっ」
男「不意打ちとは卑怯なり」
欠損少女「ふふっ、大好きだよ。愛してると言っても良い」
男「その言葉、そっくりそのまま返してやんよ」
欠損少女「ん……」ギュウッ
~fin~
114: 2011/12/30(金) 23:37:27.31 ID:NAySGvUq0
おわり^q^
引用元: 欠損少女「やぁ」
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