1: 2011/02/23(水) 10:17:22.91 ID:kFrjimJs0
佐天「(私、佐天涙子は超能力に憧れて学園都市の中学に入学してしました)」

佐天「(しかし入学してしばらくは『才能が無い』と判断され無能力者として過ごすハメに)」

佐天「(無能力者であることにコンプレックスを抱いていた私・・・)」

佐天「(でも、そんな私もつい先日、能力に目覚めたんです!)」


生徒A「・・・あの女の子、口開いて無いよな・・・?」ヒソヒソ

生徒B「あぁ・・・彼女の思考が聞こえてきてるんだ・・・」ヒソヒソ


佐天「・・・・・・」

佐天「(そう、私の能力は)」

佐天「(己の思考が思念波となって周囲に伝播してしまう能力・・・)」

佐天「(サトラレ、である)」

5: 2011/02/23(水) 10:22:10.75 ID:kFrjimJs0
――――――

佐天「おっはよー!初春!」

初春「あっ、おはようございます。佐天さん」

佐天「(彼女は初春飾利。私の中学の同級生で親友だ)」

佐天「(頭に髪飾りを大量にしているため、まるで花瓶のような女の子である)」

初春「・・・・・・」

佐天「(私の朝は彼女のスカートを捲ることから始まる)」

初春「・・・!?」

佐天「(さぁて・・・今日の初春のパンツは何色かなぁ・・・)」

佐天「(・・・って)」

初春「・・・っ!」バッ・・・

佐天「(しっかり手でガードされちゃってるし・・・)」

佐天「(そりゃそうだよね)」

佐天「(私の思考はダダ漏れもんだもん)」

初春「(佐天さん・・・)」

8: 2011/02/23(水) 10:28:00.10 ID:kFrjimJs0
初春「(佐天さん・・・ついに憧れの能力者になることが出来たのに・・・)」

初春「(やっと目覚めた能力がサトラレだなんて・・・)」

初春「(きっと・・・凄いショックなんだろうな・・・)」

佐天「・・・・・・」

佐天「・・・初春?朝からなぁに暗い顔してんのさ!」

佐天「(初春のことだ。きっと私に同情でもしてくれてるんだろうな)」

佐天「(初春はとっても優しい子だから)」

佐天「(あぁ、ちなみにこのサトラレって能力の補足をするんだけど)」

佐天「(思考が思念波となって周囲に伝播する現象は自分で制御することが出来ないの)」

佐天「(だから私の思考は四六時中、寝ても覚めても漏れっぱなし)」

佐天「(ははっ、参ったね、こりゃ)」

佐天「(もう二度と初春のスカート捲れなくなっちゃったよ)」

初春「(佐天さん・・・)」

12: 2011/02/23(水) 10:33:22.30 ID:kFrjimJs0
――――――

美琴「そっか・・・佐天さんも能力者になったんだ・・・」

黒子「それはその・・・なんと申せば良いのか・・・」

佐天「えっ?やだなぁ二人とも。素直にお祝いしてくれれば良いのに!」

佐天「私、やっと憧れの能力者になることが出来たんですから!」

初春「・・・・・・」

美琴「だ、だけど・・・」

佐天「(とある休日の昼下がり)」

佐天「(私は別の中学に通う二人の友達と喫茶店でお茶をしていた)」

佐天「(名門常盤台中学のエース御坂さんと、その彼女を慕う白井黒子さん)」

佐天「(二人とも凄い能力者なんだよ!)」

白井「(そんな・・・)」

御坂「(私なんて・・・)」

17: 2011/02/23(水) 10:40:28.82 ID:kFrjimJs0
白井「あの・・・初春・・・ちょっと・・・」チョイチョイ・・・

初春「ふぇっ・・・?は、はい・・・?」ソソッ・・・

佐天「(白井さんが初春を手招きして呼び寄せる)」

佐天「(4人でお茶してるのに内緒話しようとするなんてイジワルだなぁ・・・)」

美琴「な、なによー二人ともみんなでいるのに内緒話だなんてー!」アセアセ

美琴「じゃ、じゃあ私と佐天さんもなんか二人だけの内緒話しちゃおっか!?」

佐天「・・・えへへ、そうですね・・・」

佐天「(みんな、凄い気を使ってくれてるんだろうなぁ)」

白井「・・・・・・」

白井「(・・・すいません、佐天さん)」

白井「・・・初春、佐天さんの能力はサトラレで間違いないですわよね?」ヒソヒソ

初春「は、はい・・・その通りだと・・・」

白井「そう、ですか・・・」

白井「(・・・佐天さんは自分自身でサトラレと自覚しながらも・・・)」

24: 2011/02/23(水) 10:48:11.84 ID:kFrjimJs0
――――――

美琴「それじゃあね・・・」

白井「またですの・・・」

佐天「それではまた!」

佐天「(時は夕暮れ。まだまだ遊び足りないが女子中学生が遅い時間までフラフラしてるわけにもいかない)」

佐天「(それに学園都市は結構治安も悪いしねー)」

佐天「(そういうわけで私は御坂達と別れ帰路を辿ろうとしていた)」

佐天「・・・そんじゃ、初春!私たちも帰ろっか!」

初春「・・・・・・」

佐天「・・・初春?」

初春「(佐天さん・・・)」

初春「あのっ・・・佐天さん・・・!」

佐天「ふぇっ!?いきなり大声出してどしたの・・・?」

初春「あのっ・・・明日も休日ですし・・・その・・・」

初春「今日は、佐天さんのお家にお泊まりしても良いですか?」

25: 2011/02/23(水) 10:52:50.10 ID:kFrjimJs0
――――――

佐天「珍しいねー。初春がうちに泊まりたいなんて言うなんてさ」

初春「えへへ・・・」

初春「(なんだか佐天さんを一人にしたくなくて・・・)」

初春「(佐天さん、今日一日ずっと明るかったから・・・)」

佐天「・・・・・・」

佐天「(うーん・・・)」

佐天「(やっぱり多少無理して振る舞ってたの初春にはわかっちゃったかな・・・)」

初春「・・・・・・」

初春「・・・やっぱりそうだったんですね?」

佐天「・・・あっ」

佐天「・・・私の思考ってダダ漏れだったね」

佐天「・・・アハハッ」

初春「・・・・・・」

31: 2011/02/23(水) 10:58:15.93 ID:kFrjimJs0
佐天「アハハ・・・」

佐天「ハハッ・・・」

佐天「・・・ハァ」

佐天「し、しかし参っちゃうよねー!やっと能力に目覚めることが出来た!って思ったらさ!」

佐天「自分の思考がダダ漏れになる能力なんて!」

佐天「私にはなんのメリットも無いじゃん!っていうか・・・」

佐天「どうせなら御坂さんみたいに電撃をビリビリー!って・・・」

初春「・・・・・・」

初春「・・・佐天さん」

佐天「しかも自分で能力の制御が出来ないなんて・・・」

佐天「ホント、私って能力に目覚めても才能が無いまんまだね!」

佐天「アハハッ・・・」

初春「・・・・・・」

35: 2011/02/23(水) 11:03:38.32 ID:kFrjimJs0
佐天「レベルが上がったら制御出来るようになるのかなー?」

佐天「もしかしたら思考の届く範囲が広がるだけだったり!?」

佐天「そしたらもうたまんないねー!」

佐天「アハハッ・・・」

初春「・・・・・・」

初春「佐天さん・・・」

初春「笑わなくたって良いんですよ?」

佐天「・・・えっ?」

初春「私は佐天さんの笑顔好きです!でも・・・」

初春「無理はして欲しく無いです」

初春「大切な友達だから・・・」

佐天「・・・・・・」

38: 2011/02/23(水) 11:09:54.51 ID:kFrjimJs0
佐天「や、やだなぁ!初春!」

佐天「いきなり真面目な顔をして何を言うのかと思えば!」

佐天「私がそんなことでオチちゃうような繊細な子に見えるー?」

佐天「無理なんかしてるわけないじゃーん!」

初春「・・・・・・」

佐天「(そうだよ、無理なんてしてない)」

佐天「(私はいつも通り)」

佐天「(明るい佐天涙子だ)」

佐天「(だって、そういう能力に目覚めちゃったんなら仕方ないだけじゃない?)」

佐天「(それを気にしてあれこれ悩むのは・・・)」

佐天「(だから、私はいつも通りだ)」

初春「・・・・・・」

初春「・・・佐天さん、泣いてるじゃないですか」

佐天「・・・えっ?」

40: 2011/02/23(水) 11:17:45.35 ID:kFrjimJs0
佐天「(初春に言われてある事実に気づく)」

佐天「(私の頬に何かが伝っている)」

佐天「(私はそれを指で掬ってみて、そして舐めてみる)」

佐天「・・・しょっぱい」

佐天「・・・アハハ、おかしいね?別に暑くも無いのに汗かいちゃったみたい」

初春「・・・汗は目から流れ落ちてきませんよ」

佐天「いや、だからね・・・」

初春「佐天さん・・・」

初春「すぐに今の佐天さんを変えてほしい、とは言いません・・・」

初春「でも、せめて二人でいる時ぐらいは・・・」

佐天「違うの、あのね」

初春「私、何があっても佐天さんの親友ですから」

佐天「あ、の・・・」

佐天「あ、うっ・・・」

佐天「・・・っ・・・うわあぁぁぁぁぁぁんっ」

43: 2011/02/23(水) 11:26:32.44 ID:kFrjimJs0
佐天「(気がついた時にはもう涙が溢れて止まらなくなっていた)」

佐天「(だって本当は辛いもん。苦しいもん)」

佐天「(自分の思考が相手に丸わかり)」

佐天「(知ってほしくないことまで相手に知られちゃう)」

佐天「(私は無能力者である期間が長かった故かコンプレックスの塊だった)」

佐天「(劣等感や妬み)」

佐天「(友達の御坂さんや白井さんになんども抱いたことがある)」

佐天「(そう、私は本当は明るいんじゃなくて無理して振る舞ってるだけの子なんだ)」

佐天「(そんな私・・・イヤな人間・・・嫌われちゃう・・・)」

佐天「(初春だって・・・きっと・・・)」

初春「・・・・・・」ギュッ・・・

佐天「・・・!」

佐天「(そんな私に何も言わず優しく抱きしめてくる初春・・・)」

佐天「(どうして・・・?)」

46: 2011/02/23(水) 11:34:27.63 ID:kFrjimJs0
佐天「どうして・・・抱きしめてくれるの・・・?」

初春「・・・友達だからです」

初春「妬みや劣等感なんて人間誰しも持っている感情です」

初春「佐天さんがそういった負の感情をたくさん背負っていても私は佐天さんを嫌いになったりしません」

初春「それ以上に佐天さんの良いところをいっぱい知ってるから」

初春「サトラレになる前から・・・」

初春「そして、サトラレになった後も・・・」

佐天「・・・!!」

初春「サトラレだからって佐天さんを一人になんかにさせません」

初春「大丈夫。どんな辛いことがあっても悲しいことあっても・・・」

初春「私はいつも佐天さんの傍にいます」

佐天「う・・・初春・・・」

初春「(ううん、私だけじゃない)」

初春「(御坂さんや白井さんだって絶対にそう思ってくれます・・・)」

51: 2011/02/23(水) 11:45:01.36 ID:kFrjimJs0
――――――

佐天「(初めてサトラレとしての苦しみを友人にぶつけたあの日から数年の時が流れた)」

佐天「(とは言っても、数年経った今でも私はレベル1)」

佐天「(思考はダダ漏れ。サトラレっぱなし)」

佐天「(それでも・・・)」

美琴「でねーこの映画のゲコ太が・・・」

白井「お姉さまはいい加減、そのキャラクターを卒業したらいかがです・・・?」

初春「あははっ」

佐天「(こんなフルオープンな能力を持った私でも今も昔も変わらず傍にいてくれる人たちがいる)」

佐天「(イヤにならないで、いつも傍にいてくれる人たちがいるの)」

佐天「(この能力の存在、少しは慣れたけどやっぱり時々辛くなる)」

佐天「(それでも・・・)」

初春「私たちはずっと友達ですよね!」

佐天「(この幸せな日常が変わるがこと無いなら、それはとても些細なことだ)」

佐天「うんっ!当たり前じゃん!」
おしまい

52: 2011/02/23(水) 11:45:23.13 ID:EMOXlLAN0
ドラマ見てるときよく考えたけど生き地獄だよなー。
下手すると逮捕されかねん・・・

54: 2011/02/23(水) 11:46:25.20 ID:a9qKtaGR0

引用元: 佐天「サトラレ・・・かぁ」