545: 2019/02/28(木) 22:03:13.41 ID:TVe8XWUeo

546: 2019/02/28(木) 22:04:48.85 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……」

武内P「……」

ちとせ「ふふっ」

武内P「あの――」


ちとせ「……」

スタスタスタ…


武内P「――待ってください」

ヒュバッ!


ちとせ「!?」

547: 2019/02/28(木) 22:07:23.01 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「あなた……何者?」

武内P「突然声をかけて、すみません」

ごそごそっ

武内P「――アイドルに、興味はありませんか?」

すっ…


ちとせ「……」

スタスタスタ…


武内P「――こちらが、名刺になります」

ヒュバッ!


ちとせ「!!?」

548: 2019/02/28(木) 22:10:33.93 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……!」

武内P「アイドルに、興味はありませんか?」

すっ…


ちとせ「っ!」

スタスタスタスタ!


武内P「――待ってくだs」

――ガシィッ!

武内P「っ!?」

警察「ちょっと君! 何をしてるんだ!」

武内P「いえ、自分は……!」


武内P「あの……せめて、名刺だけでも!」

549: 2019/02/28(木) 22:14:37.02 ID:TVe8XWUeo
  ・  ・  ・
翌日

ちとせ「……!?」


武内P「……」

すっ…


  ・  ・  ・
翌々日

ちとせ「ちょっと、あなた……!」


武内P「……」

すっ…


  ・  ・  ・
翌々々日

ちとせ「なんでいるの!?」


武内P「せめて、名刺だけでも」

すっ…


ちとせ「……!?」

550: 2019/02/28(木) 22:18:06.63 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……あなたの望みは、なぁに?」

武内P「笑顔です」

ちとせ「……ふぅん、笑顔……ね」

武内P「はい」


ちとせ「――ふふっ」

ちとせ「覚えておくわね」

スウッ…


武内P「――せめて、名刺だけでも」

ヒュバッ!


ちとせ「後ろに回り込まないで貰える!?」

551: 2019/02/28(木) 22:20:44.33 ID:TVe8XWUeo
武内P「いえ、ですが……」

ちとせ「ここは、一回仕切り直す場面でしょう!?」

武内P「そう、なのでしょうか?」

ちとせ「そうなの!」


ちとせ「明日、あなたが私を見つけられたら!」

ちとせ「その時、また話を聞くから!」


武内P「……そう、ですか」

武内P「では……また、明日」

553: 2019/02/28(木) 22:23:25.97 ID:TVe8XWUeo
  ・  ・  ・
翌朝

ちとせ「いる……!」コソッ!


武内P「……」


  ・  ・  ・
その昼

ちとせ「いる……!」コソコソッ!


武内P「……」


  ・  ・  ・
その夜

ちとせ「いる……!」コッソリ!


武内P「……」

554: 2019/02/28(木) 22:28:21.56 ID:TVe8XWUeo
武内P「あの……」

ちとせ「会いたかった!?」

武内P「はい」コクリ

ちとせ「……ゴホンッ」


ちとせ「――あはっ。可愛いところあるんだ」


武内P「いえ……その」

武内P「今日、お会いして話をする、と」

武内P「……そう、仰っていましたから」


ちとせ「~~っ!」

ちとせ「そうね! そうだったわね!」

555: 2019/02/28(木) 22:31:24.15 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……!」

ちとせ「良いわ……もう、容赦しないわよ」


フワアァ…


武内P「……?」

武内P(心地良い空気が……漂ってくる)

武内P「ん……む……」トロンッ…


ちとせ「……ふふっ!」


フワアァ…

556: 2019/02/28(木) 22:36:02.17 ID:TVe8XWUeo
武内P「ぅ……ぁ……」トロンッ…

ちとせ「……ねぇ、聞いてる?」


フワアァ…


ちとせ「ボーッとしないで」

武内P「す、すみません……少々、お待ち下さい……」トロンッ…

ちとせ「ふふっ! 良いわよ」


武内P「――パワー・オブ・スマイル!」カッ!


ブワアッ!


武内P「……すみません、お待たせしました」キリッ!


ちとせ「何よそれ!?」

557: 2019/02/28(木) 22:41:26.14 ID:TVe8XWUeo
武内P「今のは、笑顔の力――パワー・オブ・スマイルです」キリッ!

ちとせ「そういう事を聞いてるんじゃないの!」

武内P「せっかく、お話をさせて頂く機会を頂いたので……」キリッ!

ちとせ「そういう事でもなくて!」

武内P「っ!?」キリッ!

ちとせ「な、何!?」


武内P「すみません、ネクタイが曲がって――」キリッ!

キュッ!

武内P「――身だしなみが、乱れていました」キリリッ!


ちとせ「あなた、何者!?」

558: 2019/02/28(木) 22:46:04.33 ID:TVe8XWUeo
武内P「自分は……」キリッ!

ちとせ「……ねえ」

武内P「346プロダクションに所属する、プロデューサーです」キリリッ!

ちとせ「……ちょっと」


武内P「こちらが、名刺になります」シャキーン!

すっ…


ちとせ「話しにくいから、キリッとするのやめて貰える!?」


武内P「……す、すみません」ショボン…

武内P「怖がらせて、しまったでしょうか……」ショボボーン…


ちとせ「やりにくい!」

559: 2019/02/28(木) 22:49:50.43 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……ゴホンッ!」

武内P「風邪、ですか?」

ちとせ「違うわよ!」

武内P「は、はあ……」

ちとせ「……ふぅ」


ちとせ「――あなた、私が欲しいんでしょ?」


武内P「――はい。貴女に」

――ガシィッ!

武内P「っ!?」

警察「ちょっと君! 何をしてるんだ!」

武内P「いえ、自分は……!」


ちとせ「ああああもおおおお!?」

560: 2019/02/28(木) 22:53:21.03 ID:TVe8XWUeo
  ・  ・  ・
翌日

武内P「――貴女に、アイドルになって欲しい、と」

武内P「……そう、考えています」


ちとせ「……めげないわね」

ちとせ「でも――あはっ、楽しそう」


武内P「はい」

武内P「貴女が、今まで見たことの無い景色」

武内P「それが……見られるかと思います」

561: 2019/02/28(木) 22:56:57.05 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「良いけど、いくつか条件を守ってね」

ちとせ「出来る?」


武内P「……私に、出来る事でしたら」コクリ


ちとせ「ひとつは、私を退屈させないこと」

ちとせ「ふたつめ。私に嘘をつかないこーと」


フワアァ…


武内P「――はい」キリッ!

武内P「プロデューサーとして、当然の事です」キリリッ!


ブワアッ!


ちとせ「ほんとやりにくい!」

562: 2019/02/28(木) 23:00:44.11 ID:TVe8XWUeo
ちとせ「……!……!」


フワアァ…!


武内P「ん……むぅ……」トロンッ…

武内P「あ……あぁ……」トロ~ンッ…


ちとせ「――っしゃ!」グッ!

ちとせ「みっつめは……なーに、その顔」

ちとせ「もう待てないの?」


武内P「……」トロロ~ンッ…

こくり…


ちとせ「――っし!」グッ!

563: 2019/02/28(木) 23:07:45.63 ID:TVe8XWUeo
武内P「ぁ……ぅぁ……」トロリラ~ンッ…


ちとせ「じゃあ、契約しよっか」

ちとせ「……ふふっ」ニコッ!


武内P「――良い、笑顔です」キリッ!


ちとせ「!?」


武内P「貴女の……あの、夜空に輝く月のような笑顔」

武内P「……その笑顔が、私に力を与えてくれました」

武内P「ありがとう、ございます」ペコリ


ちとせ「お礼を言わないで貰える!?」

564: 2019/02/28(木) 23:11:51.77 ID:TVe8XWUeo
武内P「それと……申し訳、ありません」

ちとせ「まだ何かあるの!?」

武内P「契約に関してですが……」

ちとせ「……ふふっ」


ちとせ「なぁに? あなた、私が欲しいんでしょう?」

ちとせ「それとも、怖くなっちゃった?」


武内P「あ、いえ」

武内P「書類に記入して頂くことになりますので……」

武内P「説明も兼ねて、どこか座れる場所へ移動しませんか?」


ちとせ「……」

ちとせ「あ、はい」

565: 2019/02/28(木) 23:17:12.28 ID:TVe8XWUeo
武内P「では……そう、ですね」

武内P「あちらの喫茶店は、どうでしょうか?」

ちとせ「……良いんじゃない」


武内P「では、行きましょうか」

…くるっ!


ちとせ「……」

ちとせ(背中を向けた……もしかして、今がチャンス?)

ちとせ「……!」


武内P「――すみません。まだ、お名前を……」

…くるんっ!


ちとせ「……黒埼ちとせ、よ」

566: 2019/02/28(木) 23:32:30.60 ID:TVe8XWUeo
  ・  ・  ・

武内P「――説明は、以上になります」

ちとせ「ねえ」

武内P「はい、何でしょうか?」

ちとせ「これにサインしたら、契約成立?」

武内P「詳細は後日、という形になりますが……」

武内P「概ね、そういう事になりますね」


ちとせ「……もう、後戻りは出来ないよ」


ちとせ「……ってこと?」クスッ

武内P「そう……ですね」

ちとせ「ねえ、そういえばあなたの名前、なんだっけ?」

武内P「それは――」


武内P「先送りでお願いします」



おわり

引用元: 武内P「理由あって、飲み会」