2: 2011/03/30(水) 14:06:03.34 ID:9gqM2Ms70
麦野「おや? お前捨てられちゃったのかにゃーん?」

猫「にゃー……」

麦野「そんな落ち込まなくてもいいよ。しょうがないから私が面倒見てやろう!」

猫「にゃーん♪」

浜面「……」

麦野「おっ、私の言葉が分かるのかな? にゃんにゃん♪」

絹旗「……」

猫「にゃーにゃー♪」

滝壺「……」

麦野「にゃんにゃんむぎにゃんむぎにゃんにゃん♪ 私はむぎにゃんだにゃん!」バチコーン☆

フレンダ「……」

麦野「にゃんにゃ……」チラッ

麦野「正直に答えろ、お前ら。いつから見てた?」ゴゴゴゴ…


前半ほのぼのと後半シリアスでお届けします。それなりに長いですが、お付き合いくだされば幸いです
とある魔術の禁書目録 4巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

3: 2011/03/30(水) 14:08:07.73 ID:9gqM2Ms70
浜面「いやいや俺たちは何も見てないって!! なっ!?」

絹旗「ええ! そうですよ、私たちは本当に何も見てないです!!」

フレンダ「そうそう! 私たちずっとサバ缶の話してたもんね!!」

麦野「ふーん……。滝壺、アンタはどうなの?」ジー

滝壺「見てたって何を? さっきむぎのがにゃんにゃんしてたこと? それとも自分をむぎにゃんって言ってたこと?」

絹旗「ちょっと滝壺さん! 何を訳の分からないことを言ってるんですか!
   私たちは何も見て無いですよね? ここはそう言って回避するとこですよね!?」

浜面「お前も墓穴掘るな!! もう誤魔化しきれないじゃん!!」

絹旗「うるさいです! そんなんだから浜面は超浜面なんですよ! 見ててください、私の超平和的交渉術を!
   ところで麦野、最近超面白そうな映画を見つけたんですが……」

フレンダ「麦野はどう思ってるか分からないけど、結局そういう麦野も私はカワイイって思う訳よ。
     でも悩みがあるならいつでも相談に乗るわよ?」

滝壺「むぎのがむぎにゃんなら、私はたきにゃんなのかな? でもあんまり可愛くないから、りこにゃんでもいい?」

猫「にゃー」

麦野「……」プルプル

4: 2011/03/30(水) 14:10:12.89 ID:9gqM2Ms70
麦野「うるせぇぇぇぇぇええええええ!! とりあえず黙ってそこに1列に並べッ!!」ガチャーン!!

浜面「ヒィィィィ! お前が適当なこと言うから麦野がキレちまったじゃねぇか!」

絹旗「まったく! 何でも人のせいにするなんて、浜面は超無責任野郎です!
   実際、麦野の怒りのパーセンテージの90%強は浜面のキモさのせいだと自覚してほしいですね」プンプン

フレンダ「麦野、無理にいつもの自分を演じなくても良いわよ。結局、麦野は何か悩んでる訳よね?
     私じゃ頼りにならないかもしれないけど、誰かに話せば楽になるっていう話は良く聞くし、ここは私に……」

麦野「分かった! お前らの言いたいことは分かったわ! 要するに氏にたいって事よね?
   だったら私の能力でその望み叶えてやる! まずは下半身にお別れ言いな!!」キュイーン

滝壺「むぎにゃん、ちょっと待って」

麦野「誰がむぎにゃんだ、あぁ!?」ギロッ

滝壺「この子体晶食べるかな? ちょっと食べさせてみても良い?」

猫「にゃ?」

麦野「待ちなさい! そんな物好き好んで食べるのはアンタぐらいよ!!」

滝壺「えー、オレンジ味でおいしいのに……」シュン

絹旗「体晶の新事実発覚は置いておいて、麦野はその子を助けようとしてたんですよね?」

5: 2011/03/30(水) 14:12:17.32 ID:9gqM2Ms70
麦野「そうよ、悪い? 私なんかが似合わないことして、って思ってるんでしょ?」

フレンダ「そんなことないわよ! 麦野は時々優しかったもんね! サバ缶おごってくれたりさ! ね、浜面?」

浜面「お、おう。怖い時もあるけど、滝壺には基本優しいしな。そういう麦野はとても良いと思うぞ、うん」

麦野「……そう、ありがと///」キュン

絹旗「浜面の超不器用な言葉でそんなにときめかないでくださいよ。それで、この子はどうしましょうか?」

麦野「そうねー……。とりあえずうちで面倒見ようかと思ったんだけど、私動物飼ったこと無いのよね」

滝壺「それじゃあ、アジトでお世話しようよ」

絹旗「それは良いですね! 一人で動物を飼うと出掛ける時とか困りますし、そうしましょうよ!」

フレンダ「私も猫飼ってみたい! 麦野、一緒にお世話しよ?」

麦野「分かったわ。一人だと不安だし、助かるわ」

滝壺「じゃあ、決まりだね。とりあえず体晶食べさせてみる?」

猫「なー……」フルフル

浜面「やめたげてよぉ!!」

7: 2011/03/30(水) 14:14:49.75 ID:9gqM2Ms70
麦野「とりあえず私はこの子はアジトまで運ぶから、アンタたちは買い出しに行ってもらえないかしら?
   ネコを飼うにも色々と準備が必要でしょ?」

フレンダ「このまま買い物に連れて行くのもかわいそうだろうし、ここは双手に分かれるのが得策ね!
     私は麦野と一緒にアジトに向かうわ!」

浜面「車を運転できる俺は買い出し係だよな。お前らはどうする?」

滝壺「私は浜面と一緒///」ポッ

絹旗「むむむ……、私も買い出しが良いです!!」

フレンダ(これで麦野と二人きりって訳よ)ジュルリ

滝壺(きぬはた、なかなかやるね……)ムッ

麦野「それじゃあ、買い出しはよろしくね。フレンダ、私たちは行きましょうか」

フレンダ「私がこの子を持つね!(さり気ない気遣いで得点アップ♪)」

猫「にゃーん」

8: 2011/03/30(水) 14:16:52.10 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~ペットショップ~

浜面「買い物に来た訳だが、猫飼う時って何を買えばいいんだ?」

滝壺「とりあえず向こうのコーナーで飼い方の本が売ってるみたいだから行ってみよう」

浜面「そうだな! さすが滝壺は頼りになるぜ」

絹旗(何だか疎外感を感じるんですが……)トコトコ

浜面「って、猫の本だけやけに少ないじゃねえか!」

絹旗「これ一冊しか残ってないみたいですね……」

滝壺「それじゃあこれでいいや。これだけ先に会計済ませて必要な物を揃えよう。
   きっとあの子もお腹空いてるから早く帰らなきゃ」


 『猫とたのしく暮らそう』をゲットした!

9: 2011/03/30(水) 14:18:53.84 ID:9gqM2Ms70
絹旗「ええと、必要なものはトイレ一式、首輪、ベッドにキャットフードくらいでしょうか?」

滝壺「待って、きぬはた。爪とぎも要るって書いてあるよ」

絹旗「おっと、そうですね。浜面、急いで今言ったものを集めてください!!」

浜面「結局こういう仕事は俺の役目かよ!!」

絹旗「かよわい女の子に力仕事をさせないでください。そんなんだから超浜面なんて馬鹿にされるんですよ」

浜面「主にお前からだけどな」

滝壺「キャットフードは高くもなく安くもなく、年齢に合わせたものを。ケージもあるとお出かけ時に便利。
   おもちゃは1個だと飽きるから2個くらい買う。ちなみに首輪はGPS付きのものが学園都市でのトレンドなんだよ」フムフム

絹旗「ほら、滝壺さんのアドバイスに従ってキビキビと働いてください!」

浜面「解説してないで滝壺も選ぶの手伝ってくれー!!」ヒィー!!


 『ネコグッズ一式』をゲットした!

10: 2011/03/30(水) 14:21:33.81 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「アジトに着いた訳だけど、今から何する?」

麦野「名前決めたりは後で皆でやるだろうし、とりあえず体洗って温めて上げよっかな」

猫「にゃーん♪」

麦野「おっ、お前もそうしたかったのかぁ。私、意外とお前と気が合うかもにゃーん?」

猫「にゃん♪」

麦野「それじゃあ、早速向かうにゃーん♪」

フレンダ(くっ! 相手が動物だろうと、麦野を取られる訳にはいかないわ)ギリッ

フレンダ「待って、麦野! お風呂は私がやるわ! 昔妹の頭洗ってたりしたからそういうのは得意なの!」

麦野「うーん、それじゃあ一緒にやらない? 私もお手本見せて欲しいし」

フレンダ「うん!! 私に任せて!」

フレンダ(麦野と共同作業なんて、猫もたまには役に立つわね)ニヤリ

11: 2011/03/30(水) 14:23:37.96 ID:9gqM2Ms70
~シャワールーム~

麦野「温度は人肌くらいでいいのかしら?」

フレンダ「冷たくても熱くてもかわいそうだし、そのくらいが丁度良いんじゃない?」

麦野「それじゃ、早速……じゃばー♪」ジャバー

猫「フニャ!!」ジタバタ

フレンダ「あはは、この子ビックリしてるわね! 動物ってやっぱりお風呂嫌いなのかしら?」

麦野「そういうもんなのかしら? でも嫌いだからじゃ躾けにならないから、もう1回……じゃばー♪」ジャバー

フレンダ(さすがドS、とっても楽しそうな笑顔。でも私に向けられたものではない。何かしら、この複雑な気持ちは……)トオイメ

猫「フニャーン!!」バチャ

麦野「きゃ!? あーあ、濡れちゃったぁ……。もう服脱ごう」ヌギッ

麦野「それじゃさっきの続き♪ ……ん?」チラッ

フレンダ「濡れ濡れ麦野、濡れ濡れ麦野、濡れ濡れ麦野、濡れ濡れ麦野、濡れ濡r……」ハァハァ

麦野「出てけ!!」ゲシッ

フレンダ「あうっ!!」バタッ

12: 2011/03/30(水) 14:25:41.08 ID:9gqM2Ms70
麦野「邪魔が入ったけど再開するわよ。覚悟しなさい!!」

猫「にゃー……」ブルブル

フレンダ「待って! ここは私が麦野を止めるわ! アンタは逃げなさい!」ザッ

猫「にゃ?」

麦野「フレンダ、いい度胸ね。自分が何をしてるか分かってるの?」ユラリ

フレンダ「麦野、私は麦野と私のために麦野を止める! そして猫の代わりに私が麦野とイチャイチャするわ!!」

麦野「いいわ、私を止めてみなさい! 行くわよ、おりゃー!!」ジャバー

猫「にゃーん?」

フレンダ「早く逃げなさい! ここはそう長くはもたなモガガゴポォ!!」ジャボー

13: 2011/03/30(水) 14:27:48.22 ID:9gqM2Ms70
猫「にゃ!!」ダッ

麦野「こらっ! 濡れたままそっち行くな!」

フレンダ「」チーン

猫「ニャー!!」ガリガリ

麦野「もう逃がさないわよ? さぁ、さっきの続きでもしようかしら。ふふふ……」ジリジリ

猫「にゃー……」ブルブル

浜面「ただいまー!! ……おっ?」

麦野「……、何見てんだ浜面ァァァァァァアアアア!!!」ビュワーン

浜面「待て待て、玄関開けたら下着姿の麦野がいるなんて聞いてないって! 完全に不可抗力だろぉぉぉぉおおおおお!!」

絹旗「超お約束ですね。それよりこの子はどうしましょうか? とても怯えてるみたいですが」

滝壺「きっと麦野が無理やりお風呂に入れたんだろうね。私が来たからもう大丈夫だよ」ダキッ

絹旗「それは体晶を食べさせようとしてた人間のセリフじゃないですよ……」

猫「にゃーん……」

14: 2011/03/30(水) 14:29:49.47 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「結局、酷い目に遭った訳よ……。まだ鼻痛いし」チーン

麦野「半分はアンタが悪いんだから! ね!?」チラッ

猫「ニャ!!」ビクッ

麦野「そんなにおびえなくても良いじゃない……」シュン

フレンダ「あんなことやった後じゃ無理もないわよ」

絹旗「半分だって言ってますよ。超優しくなってませんか?」ヒソヒソ

浜面「きっと猫を飼えてゴキゲンなんだろ? もしくは猫に『私は優しいだにゃーん♪』てアピールしてるのかも」ヒソヒソ

絹旗「浜面がにゃーんとか超キモイので止めてください! 鳥肌立ちました、責任とって下さい!!」プツプツ

滝壺「麦野、買ってきたのはこれ。それじゃあ、私は晩御飯の用意するから」ガサッ

麦野「待って、今日の晩御飯は私が作るわ! おいしいもの作ってネコちゃんと仲良くなる!」

15: 2011/03/30(水) 14:32:06.60 ID:9gqM2Ms70
浜面「麦野が、晩御飯…だと……!!」

絹旗「浜面、ご愁傷様です……。処理は任せました、私はちょっと出掛けてきます」

フレンダ「待て、絹旗。折角私の麦野がご飯を作るって言ってるんだから食べなさいよ!!
     でも独り占めしたい!! 私はどうしたらいいのぉぉぉ!!?」

絹旗「独り占めできる残飯処理機に任命しますよ」

滝壺「麦野、任せて大丈夫? 手伝おうか?」

麦野「大丈夫よ。これでも一人の時は結構料理してるんだから」

麦野「待ってなさい、ネコちゃん! 最高の料理を食べさせてあげるわ!!」ビシッ

猫「なー……」

17: 2011/03/30(水) 14:34:10.79 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

麦野「出来たわよ!!」ドンッ

つシャケの塩焼き

絹旗「これはこれは」

浜面「見た目だけなら100点だな」

フレンダ「それじゃ、早速いただきまぁーす!!」ガバッ

麦野「待て待て、アンタより先にネコちゃんに食べてもらいたいわ。ほら」

猫「にゃー。……」モシャモシャ

麦野「……」ゴクリ

猫「にゃーん♪」

滝壺「むぎの、おめでとう。この子、とても喜んでるみたい」

麦野「よっしゃー!!」

19: 2011/03/30(水) 14:36:12.18 ID:9gqM2Ms70
絹旗「でも麦野、猫に人間の食べ物は塩気がきつすぎる気がしますが……」

麦野「そこは安心して。フレンダ、もう食べても良いわよ」

フレンダ「待ってました! いただきまぁす!! うおー!!」ガツガツ

浜面「こんなにうまそうにシャケ食べる奴、麦野以外に見た事ねえよ」

フレンダ「? ……、味薄くない?」

麦野「そうよ。塩分を一切使わずに素材の味を活かしたのよ!!」

滝壺「なるほど、そうすればこの子も食べられるし私たちも概ね満足」モグモグ

麦野「それじゃあ私もいただきまぁす♪ うん、おいしい!」パクッ

浜面(うまいけど何か味気ないな……。言ったら殺されそうだから黙っとくけどな)モグモグ

猫「にゃーお♪」モシャモシャ

20: 2011/03/30(水) 14:38:14.79 ID:9gqM2Ms70
>>18 ゴメンネ……

   ◇   ◇   ◇

麦野「さて、ご飯食べ終わってお風呂に入った所でアイテム緊急会議を始めるわ!!」バァン!

絹旗「猫の処遇についてですね」

フレンダ「嫌な言い方するわね……。あと名前だよね、麦野?」

麦野「しばらくは皆でアジトに泊まって世話すればいいわ。そこで問題なのはフレンダの言う通り、ネコちゃんの名前ね。
   ということで、一人一つずつ考えて投票で決めようと思うわ!」

浜面「俺そういうの苦手なんだが……」

滝壺「大丈夫だよ、はまづら。ネーミングセンスのないはまづらも私は応援してる」

浜面「嬉しいけど、応援のタイミング早い気がするんですけど! 俺まだネーミングセンスの悪さを披露してないんですけど!!」

滝壺「先にフォローを入れて最後に落とすのが最近の私のトレンド」

浜面「そんなこと言われたらこれからの展開が物凄く怖いじゃねえか! 俺のオアシスは一体何処に行っちゃったのォ!?」

21: 2011/03/30(水) 14:40:27.95 ID:9gqM2Ms70
麦野「はいはい、夫婦漫才は良いからちゃっちゃと考えなさい」

絹旗「超はい!」ビシッ

麦野「超はいらん。はい、絹旗」

絹旗「『ハリウッド』はどうでしょうか? 明らかに名前負けしてる所がB級感を醸し出しててを私の心を震わせるのですが……」

麦野「却下。次フレンダ」

フレンダ「わっ、私!? えーと、『フレメ…

麦野「その子もにゃあにゃあ言ってるけど、苦情が来そうだから却下」

猫「にゃー♪」

麦野「アンタが気に入ってもダメ!」クワッ

フレ・猫「「……」」シュン

23: 2011/03/30(水) 14:42:29.61 ID:9gqM2Ms70
滝壺「麦野、この子って男の子なの? 女の子なの?」

麦野「忘れてたわ。ちょっと失礼」ヒョイ

猫「にゃあ///」ポッ

麦野「うん、女の子」

滝壺「じゃあ茶色だから『かりんとう』はどう? しっぽがそれっぽい」

麦野「じゃあの意味が分からないわ。それにかわいいけど猫に付ける名前じゃないわね。一応聞くけど、浜面は何か思いついた?」

浜面「俺はついでかよ。うーん、メスだからなぁ。……『チョコ』はどうだ?」

絹旗「超普通ですね。もうちょっとこう捻りを加えた方が面白みが出て良いんですけど」

フレンダ「でも『ハリウッド』よりはマシね」

絹旗「……」バシッ

フレンダ「いたっ! ……」バシッ

麦野「ケンカするな! とりあえず浜面のは保留。最後は私ね……」

24: 2011/03/30(水) 14:44:43.78 ID:9gqM2Ms70
滝壺「むぎのは学園都市に7人しかいない超能力者だから、きっと私たちには思いつかない良い名前を考えてくれるはず。
   それにむぎのはむぎにゃんだから猫のセンスが分かるはず。悔しいけどこれで決まっちゃうね」

フレンダ「私の麦野は完璧な人間だからもちろんネーミングセンスも完璧! 満場一致で麦野案が可決ね」

猫「にゃー♪」

麦野「……」

浜面「それ以上ハードルを上げてやるなよ」

絹旗「浜面案と決選投票ですから大概麦野案で可決でしょう。気負わずに発表してください」

麦野「じゃあ『メルト』…というのは?」ウワメヅカイ

浜面・絹旗・滝壺((( 自分の能力名をもじって、『メルト』? 色々ないわー……)))

フレンダ(上目づかい麦野は押し倒したいわー)ジュルリ

猫「にゃーにゃー♪」ピョンピョン

麦野「おっ、お前気に入ったのかにゃーん? ここは本人の意思を尊重して『メルト』で決まりー!!」ナデナデ

メルト「にゃー♪」ゴロゴロ

25: 2011/03/30(水) 14:46:46.94 ID:9gqM2Ms70
絹旗「まぁ全く可愛くない訳ではないですが……」

フレンダ「結局、麦野が考えたなら私は何でも良いって訳よ!」

麦野「名前も決まったことだし、今日の会議はここまでね。
   それじゃあさっき買ってきたものを整理しましょう。浜面、持ってきて」

浜面「へいへい。ほらよ」ガサリ

麦野「まずは首輪ね。ほら、じっとしてなさいよ」

メルト「にゃーん」

滝壺「トイレとかベッドの位置はどうしよう。リビングの隅っこの方でいいかな?」

絹旗「リビングなら誰かしら居ると思いますし、それなら掃除とかも楽そうですね」

フレンダ「まぁ掃除は浜面の仕事なんだけどね」

浜面「はいはい、それは飼うことが決まったときに分かってましたよ」ガサガサ

麦野「汚くしたらオシオキ確定だからしっかりやりなさいよ」

滝壺「大丈夫だよ、私は失敗してもがんばるはまづらを応援してる」

浜面「だから先読みは止めてぇ!!」

26: 2011/03/30(水) 14:49:03.38 ID:9gqM2Ms70
麦野「浜面が素晴らしい環境を整えておいてくれるみたいだから、今日は私の部屋で寝ようねー♪」ヒョイ

メルト「にゃー♪」

フレンダ「私もー♪」

麦野「お前は来んな」ゲシッ

フレンダ「にょわぁ! …うわーん、メルトだけずるいー!!」バタバタ

麦野「それじゃあ後はよろしくねー。おやすみ~」バタン

メルト「にゃ~お」

滝壺「はまづら、トイレとベッドは離して設置だって」

浜面「おう、手伝ってもらって悪いな」

滝壺「気にしなくてもいいよ。私がやりたくてやってるだけだから」

浜面「滝壺……」

絹旗(何だか面白くないですね……。おや?)

27: 2011/03/30(水) 14:51:06.52 ID:9gqM2Ms70
フレンダ「ふっふっふ……。トイレの砂にこれを混ぜておけばあの忌々しい猫もひとたまりもないはず。
     私の麦野を奪った怨み、晴らさせてもらう訳よ!!」つ爆弾

絹旗「物騒なことやってないで後は滝壺さんたちに任せて寝ますよ」ムンズ

フレンダ「止めるな、絹旗! 私は、私の麦野を取り戻したいだけなんだから!」ズルズル

絹旗「はいはい。それじゃあ私たちは寝ますけど、二人ともあんまり遅くならないようにしてくださいよ」ポイッ ワケヨー

浜面「もうすぐ終わるぜ。俺たちもすぐに寝るから先に寝てていいぞ」ガサガサ

滝壺「おやすみ、きぬはた」

絹旗「はい、おやすみなさい」バタン

滝壺「……。はまづら、めるとのことなんだけど、どう思う?」

浜面「どうって、まぁあまり良い名前だとは思わないけど……」

滝壺「名前じゃなくて本体の方」

30: 2011/03/30(水) 14:53:08.58 ID:9gqM2Ms70
浜面「本体? うーん、俺は猫のこと詳しくないけど普通なんじゃないか」

滝壺「私はあの子は何だか猫っぽくない気がする。じゃあ何なの?って聞かれたら困るけど、そんな気がする」

浜面「そうか? 俺には考え過ぎだと思うけど。まぁ、すぐに慣れるだろ。あんまり気にするな」

滝壺「そうだよね。変なこと聞いてごめん」

浜面「良いってことよ。うし! ベッドもトイレも設置出来たし、俺たちも寝るか?」

滝壺「『俺たち』ってことは、一緒に? はまづらがそうしたいなら私はいいよ///」ポッ

浜面「いやいやいやいや、それは不味いだろ常識的に考えて。悪いけど、俺はもう寝るわ。おやすみ!」バタン

滝壺「はまづらの意気地なし」プンプン

31: 2011/03/30(水) 14:55:38.59 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

ピピピ ピピピ ピピピ…

麦野「うーん、6時? こんな時間に電話かけてくる奴はどこのどいつだよ。蒸発させてやる」

麦野「はい、誰?」ピッ

電話の声『おはー♪ 仕事のお知らせだよ! はい、準備して!』

麦野「やだ。寝る」

電話の声『こいつときたら! あんたたちの役割を忘れるな! 今日は暗部からの脱走者を始末してもらうから早く起きろー』

麦野「はいはい。んじゃ、情報はいつもの下っ端の携帯端末に送っといて。おやすみ」

電話の声『寝るなー!!』

メルト「なーん……」

電話の声『猫の鳴き声? 全くお前もか! 私も飼いたいけど飼えないんだよー!! うわーん!!』ブツッ

麦野「『お前もか』? ま、いっか。アイツのことなんかどうでもいいし、とりあえず4人を起こすか」ガチャ

麦野「とりあえずメルトはフレンダと浜面起こしてきてー! なんちゃって……、ありゃメルトどこ行ったぁー?」

32: 2011/03/30(水) 14:57:42.05 ID:9gqM2Ms70
フレンダ「にょわぁぁぁぁああああああああ!!」

浜面「うおわぁぁぁぁああああああああああああ!!」

麦野「えっ? 悲鳴? 敵襲?」

メルト「にゃっ!」ビシッ

麦野「メルト、マジで起こしてくれたの? お利口さんなんてもんじゃないわね。浜面より役に立ちそうだわ、割と真剣に」ナデナデ

メルト「にゃーん♪」

絹旗「朝から超うるさいですよ……。一体どうしたんですか?」フワワ

滝壺「はまづらの悲鳴が聞こえた」フワァ

麦野「都合良く2人とも起きてきたわね。悪いけど、朝一で任務の連絡入っちゃったから準備よろしく」

絹旗・滝壺「「ういー」」トテトテ

33: 2011/03/30(水) 14:59:46.33 ID:9gqM2Ms70
浜面「メルトに顔引っ掻かれた。いてぇ……」サスサス

フレンダ「私は脚をやられた訳よ。自慢の脚線美が……」シクシク

麦野「起こしてもらって文句を言わない。さっさと準備する。
   あと浜面、そっちに今回の任務の情報が行ってるはずだから皆に送っといて。また変なムービー送ったら頃すわよ?」

浜面「もうその話は勘弁してくれ……」

メルト「にゃ?」

麦野「お前も気になるかにゃーん? 実は浜面が入ったばかりの時なんだけど……」

浜面「これ以上古傷を抉らないで!」

絹旗「メルトは猫なんだから別に構いやしないじゃないですか。浜面は本当に超浜面なんですから」

浜面「うーん、確かにそうなんだけどな。でもメルトは賢くて意味を理解しそうだから聞かれたくないんだよなー」

フレンダ「第一私の部屋には浜面避けのトラップが仕掛けられてるのにどうして無事だったのかしら?
     回避された? それとも不発? 結局、これは強化しなきゃならない訳ね……」ブツブツ

滝壺「……」

34: 2011/03/30(水) 15:02:42.07 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~車内~

麦野「じゃあ任務の説明をするわね! 今回の任務は暗部からの脱走者の始末。
   いらん情報つかんで逃げたもんだから抹殺で良いらしいわ。相手は大能力者2人と、無能力者のスナイパー1人。まぁ楽勝ね」

絹旗「確かに楽勝っぽいですね。それで今向かってるところがそいつらの潜伏先ですか?」

浜面(大能力者2人相手にこの余裕……。やっぱすげえな、『アイテム』は)ブロロー

麦野「そうよ。トラップがあるかもしれないから、その点だけは注意ね」

フレンダ「なんでアンタまで付いてきてるのよ」チョイチョイ

メルト「にゃ?」

麦野「いつ任務が終わるか分からないんだし、アジトに置いとくのもかわいそうじゃない」

滝壺「はまづらと一緒に車で待っていれば大丈夫」

35: 2011/03/30(水) 15:08:41.70 ID:9gqM2Ms70
浜面「おーい、着いたぞー」キキッ

麦野「はい準備してー。あと浜面、メルトを任せるけど変なことするなよ?」

絹旗「確かに浜面は人間の女にもてませんから、動物に手を出してもおかしくありませんね……。うわっ、超キモい!」

フレンダ「浜面はバニーフェチだから猫は守備範囲外じゃない? ウサギなら即色目使いそうだけど」

浜面「勝手に俺を特殊性癖にしないで! 動物に手を出す変態にされたらさすがの俺もキレますよォ!!」

滝壺「大丈夫、そんなこと言ってもむぎのが怖くて結局キレられないはまづらを私は応援してる」

浜面「もう俺氏んでもいいか?」

メルト「にゃにゃーん」スリスリ

浜面「もう味方はお前だけだな。ありがとよ……」ナデナデ

絹旗「うわぁ、本気でメルトに欲情し始めましたよ! これはもう去勢でもした方が良いじゃないですか?」

浜面「うるせえよ! 早く行けよ、もう!!」シクシク

39: 2011/03/30(水) 15:14:25.62 ID:9gqM2Ms70
麦野「はいはい。それじゃ行ってくるから」バタン

フレンダ「浜面がメルトとくっつけば、麦野がフリーに……。ここは浜面を応援すべきかモラルをとるべきか、うーん」

滝壺「大丈夫だよ、はまづら。私はずっとはまづらの味方だからね」

浜面「もう誰も信用できるもんか……」ツーン

滝壺「がーん」

絹旗「さすがにあれだけ言ってれば自業自得だと思いますよ? じゃあ私たちは行ってきますから」バタン

メルト「にゃー」フリフリ

浜面「行ったか……。くそっ、俺はスキルアウトを束ねていた組織のリーダーなんだぞ」

メルト「にゃーん」スリスリ

浜面「慰めてくれるのか? お前は優しいなぁ」

メルト「にゃ♪」

41: 2011/03/30(水) 15:20:35.54 ID:9gqM2Ms70
浜面「俺も暗部に来る前まではな、駒場や半蔵に頼られたりで結構人望もあったんだぜ?
   それなのにここでは雑用みたいな扱いされてよぉ……」

メルト「にゃ~」

浜面「確かに俺は無能力者だし、アイツらは大能力者やら超能力者やらで偉いかもしれないけどよ。
   俺だって頑張ってるんだぜ。お前は分かってくれるよな?」

メルト「にゃんにゃん」コクコク

浜面「おっ、分かってくれるのか! 滝壺も言ってたが、お前はやっぱり普通の猫と違うよな。
   何つーか、賢いっていうレベル超えてて、もう人語しゃべらない人間にしか思えねえよ」

メルト「にゃ」フルフル

浜面「違うってか? はは、否定してる時点で肯定してるみたいなもんだぞ?
   少ししゃべったら喉乾いたな。お前も喉乾いたろ? 飲み物奢ってやるよ!」ガチャ

メルト「にゃーん♪」トコッ

浜面「お前も行くか? そうだよな、自分で欲しいもの選びたいよな! 一応車にカギ掛けるから少し待ってくれ」ガチャガチャ

浜面「待たせたな! 行くか? ……あれ? あれ? あれぇ?」キョロキョロ


浜面「やべっ、アイツ逃げやがった。麦野に何て言おう……」ダラダラ

44: 2011/03/30(水) 15:25:53.52 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~脱走者アジト入口~

フレンダ「たっだいまー♪ アジトの周りにトラップ仕掛け終わった訳よー」

麦野「御苦労さん。それじゃ、乗り込んで一気に制圧するわよ。早く帰ってメルトと遊びたいし」バシューン

絹旗「一撃でバリケードを突破ですか……。さすが原子崩しですね」

麦野「とっつげきぃー!!」

滝壺「むぎにゃん、ちょっと待って」

麦野「それはもういいわ。で、どうしたの?」

滝壺「めるとが何故か来ちゃってる」

メルト「にゃー」トテトテ

麦野「…」ピピピピ

浜面『麦野か? 実は……

麦野「はぁぁぁまづらぁぁぁあぁぁあああああああああ!! メルトがこっち来てんぞ!!!
   ちゃぁんと見とけって言ったろォがよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

浜面『ヒィィィ! す、すまん。飲み物買ってやろうと思ってドア開けたら逃げられて……』アタフタ

46: 2011/03/30(水) 15:31:33.08 ID:9gqM2Ms70
麦野「貢いで気ィ惹こうとしてんじゃないわよ!! チッ…、オシオキ確定だから覚悟しとけよ」ピッ

絹旗「また浜面のミスですか? 超使えないですねー」

メルト「にゃー」カジッ

フレンダ「あっ! メルトってば滝壺の靴ひも解いてる! イタズラ好きな訳よ」

滝壺「大丈夫だよ。これくらいすぐに結べるし」シャガミ

>パンッ!!

滝壺「えっ?」ヒュン

麦野「銃撃!? どこから!?」キョロキョロ

フレンダ(焦る麦野も可愛いって訳よ♪ 心のメモリーに保存しなければ……)ニヤニヤ

麦野「フレンダ、早く煙幕張れ!」

フレンダ「えっ!? ちょっと待って。あれ? どこやったかな?」ゴソゴソ

メルト「にゃにゃーん!」ヨジヨジ

フレンダ「コラ、メルト! 今忙しいんだから私によじ登るな!」ポロッ

>プシュー!!

絹旗「!? 運良く煙幕が張れました! 今の内に物陰に隠れましょう!」ダッ

49: 2011/03/30(水) 15:38:15.48 ID:9gqM2Ms70
フレンダ「ふぅ……、結局危なかった訳よ」

麦野「危なかったじゃねえよ! お前が早く煙幕張らねえから危うく壊滅する所だったじゃねえか!!!」

滝壺「でもメルトのイタズラで結果的には煙幕張れたし、もう大丈夫だよ」

絹旗「それにメルトが滝壺さんの靴ひもを解かなければ、滝壺さんは頭打たれて氏んでましたね……」ゾッ

麦野「チッ、でもこれで向こうに逃げる時間を稼がしちまった。……ん?」

メルト「にゃあにゃあ」フリフリ

麦野「何かにゃーん? お前が指す方向に撃てってこと?」

メルト「にゃ」コクコク

麦野「……、いっちょやってみっか」バシューン

>グワァァァァァァアアアアアアアアア!!

麦野「おっ、1匹仕留めた! きっとさっきのスナイパーね」

メルト「にゃー」ダッ

絹旗「こらメルト! そっち行かないでください!!」

50: 2011/03/30(水) 15:44:03.44 ID:9gqM2Ms70
麦野「フレンダ! メルトが逃げた! 連れて帰ってこい!!」

フレンダ「まだ2人も大能力者が居るのよね? これってまさか氏刑宣告!?」

滝壺「さっきの失敗を取り返すチャンス。大丈夫だよ、きっとメルトが助けてくれる」

フレンダ「ううっ……、もはや私の価値は猫以下になってる訳よ」グスッ

麦野「だったら、さっさと…

>お前どこから入ってきた!?

>にゃーん

>まさかアイテムの奴らの猫型偵察機!? だったら!

>お前こんな所で能力を使うな! ギャァァァアアアアアアア!!

>相棒ぉぉおおおおおおお!! ちくしょう、相棒の敵!!

>にゃにゃにゃにゃにゃあ!!

>ぐおぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!


> シーン

絹旗「何だか超騒がしくなった後、静かになってますね……」

51: 2011/03/30(水) 15:48:05.36 ID:9gqM2Ms70
メルト「にゃ~」ヒョコ

滝壺「あっ、戻ってきたね。無事でなにより」

麦野「お前、まさか能力者2人を始末してきたんじゃないわよね? フレンダ、ちょっと見てきなさい」

フレンダ「さっきから私ばっかり……」ダッ

絹旗「確かにそれっぽい声が聞こえましたけど、さすがにうまく行き過ぎというか何というか……」

麦野「いや意外とそうかもしれないわよ。さっきもメルトのおかげでスナイパーを始末できたし」

滝壺「……」

フレンダ「麦野麦野!! 奥で2人がノビてるわ!」

麦野「おっけー! フレンダは奥に居る2人を拘束、絹旗はさっきのスナイパーの確認、滝壺はメルト抱えてて」

麦野「私は……」ピピピ

浜面『むぎn……

麦野「はぁぁぁまづらぁぁぁあぁぁあああああああああ!!」

浜面『ヒィィィイイイ!』

滝壺「むぎのは電話の人に任務完了の連絡しようよ」

52: 2011/03/30(水) 15:52:03.65 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

麦野「今日の任務は無事終わった訳だけど、私がキレてる理由分かるわよね?」ゴゴゴゴ…

浜面・フレンダ「「はい……」」セイザ

麦野「一応、言い訳は聞くけど?」

絹旗「麦野が言い訳を聞くみたいですよ。いつもは問答無用でオシオキなのに」

滝壺「この子がむぎのを良い方向に変えてくれたんだよ。刑務所でも動物を飼うことで更生させるプログラムがあったりするし」

メルト「にゃ?」クビカシゲ

麦野「私は凶悪犯か何かかよ。はい、浜面から」

浜面「いや、メルトが俺の話を聞いてくれてさぁ、それで気分良くなって飲み物を買って飲ませてやろうかと……」

フレンダ「キモッ! 男が猫に話を聞いてもらうとかキモイ! ちょっと近寄らないでよ!」ズザザ

絹旗「乙女系の美少年ならまだしも、浜面みたいな超ゴツい男がそんなことしてたら超ドン引きです。最悪のキモさですね」ブルブル

滝壺「はまづら、私はまだ何とか応援できるよ……」

浜面「お前たちがそんなこと言うからでしょ!! ちょっとは優しくしてくださいよ!!」

53: 2011/03/30(水) 15:54:59.23 ID:9gqM2Ms70
麦野「ふーん。次、フレンダ」

フレンダ「えーと……、焦る麦野に、見とれてた訳よ……」メヲソラシツツ

麦野「……」

浜面「いつも思うが、フレンダの麦野好きは半分冗談なんだよな? 本気じゃないんだよな?」

フレンダ「冗談な訳ないじゃない! 私は麦野を心から愛してるって訳よ!! 私の思いをなめんな!!」ムキー!!

絹旗「うわぁ……。女の目線から見ても麦野が魅力的なのは間違いないですが、ガチはさすがにヒキますよ」

滝壺「私は禁断の恋と知りつつもがんばるふれんだを応援できるかな?」

麦野「どっちもキモイってことで、罰として今日の滝壺特製晩御飯はオアズケだから!」

浜面・フレンダ「「はい……」」シュン

絹旗「少し前では考えられないような超かわいいオシオキですね。これは良い傾向です」ウンウン

54: 2011/03/30(水) 15:58:01.50 ID:9gqM2Ms70
滝壺「それじゃあ晩御飯にしよう。今日のメニューは煮込み豆腐ハンバーグと海鮮サラダ。
   ヘルシーかつボリューミーで男の子から女の子まで大人気。メルトにはご褒美としてむぎのからお刺身の差し入れがあるよ」

メルト「にゃおーん♪」パタパタ

絹旗「おおっ! これは超おいしそうです!! 麦野、早く食べましょうよ!!」グイグイ

麦野「引っ張んな。うわっ、滝壺の料理の腕はさすがね……。見た目だけで勝てる気がしないわ」

フレンダ「良いにおいするー。でも良いもん、一人でサバ缶食べるもーん」グスッ

浜面「どうしておいしそうなメニューの日に限ってお預けなんだよ。俺も滝壺の料理食べてぇよ……」グギュルル

フレンダ「あら? 浜面は何か食べないの? 何も無いならジャンクフードでも買いに行けばいいのに」ガチャガチャ

浜面「メルト探してるときに財布落としちまって……」グギュルルルルル

絹旗「いただきまーす!! …超おいしいです、このハンバーグ!! これを食べられないなんて不幸な奴もいるもんですねー」チラチラ

浜面「ううっ、ちくしょう……」

メルト「にゃー」トテトテ

56: 2011/03/30(水) 16:01:07.82 ID:9gqM2Ms70
メルト「にゃ」つお刺身

浜面「もしかして、俺にくれるのか? ありがとな」ナデナデ

メルト「にゃ~」ゴロゴロ

フレンダ「仲が良くて羨ましいわ。私にとっては麦野の恋敵だけどね」モグモグ

麦野「もう勝手に言ってろよ」

メルト「にゃー」つお刺身

フレンダ「えっ、私にもくれるの? お前結構良い奴なのかもね。じゃあ代わりにサバあげるわ」つサバ

メルト「にゃーん♪」パタパタ

滝壺「うん、これで皆めるとと仲良しだね」

絹旗「一人だけ超下心持ってる奴が居ますけどね」チラッ

浜面「しまいにゃ泣くぞ」

57: 2011/03/30(水) 16:06:19.68 ID:9gqM2Ms70
~深夜2時~

絹旗「ふわぁ~。う~ん、超おトイレぇ……」フラフラ

メルト「……」

絹旗「おや、メルトですね。まだ起きてるんですか?」

メルト「……」

絹旗「窓の外に何かあるんですか? なんだ、何も無いじゃないですか」

メルト「にゃ~」フリフリ

絹旗「メルトも早く寝ないとだめですよ。今日みたいに朝早くから仕事が入ることもあるんですから」 

メルト「にゃん」トテトテ

絹旗(ずっと外を見てましたね。もしかして外に超出たかったりするんでしょうか……。明日麦野に提案してみましょう)

58: 2011/03/30(水) 16:12:12.26 ID:9gqM2Ms70
~深夜2時~

絹旗「ふわぁ~。う~ん、超おトイレぇ……」フラフラ

メルト「……」

絹旗「おや、メルトですね。まだ起きてるんですか?」

メルト「……」

絹旗「窓の外に何かあるんですか? なんだ、何も無いじゃないですか」

メルト「にゃ~」フリフリ

絹旗「メルトも早く寝ないとだめですよ。今日みたいに朝早くから仕事が入ることもあるんですから」 

メルト「にゃん」トテトテ

絹旗(ずっと外を見てましたね。もしかして外に超出たかったりするんでしょうか……。明日麦野に提案してみましょう)

60: 2011/03/30(水) 16:18:37.66 ID:9gqM2Ms70

>>58 ミスッた・・・

   ◇   ◇   ◇

~翌朝~

絹旗「ということで、メルトをちょっと外に出してみましょうよ!」

麦野「危ないから却下」

滝壺「めるとはまだそんなに大きくないしね。いじめられたらかわいそう」

フレンダ「それに女の子だし、浜面みたいなオス猫に襲われるかも」チラッ

浜面「俺みたいなって何!? 俺ってそんなに節操無いように見える!!?」

メルト「にゃんにゃん」スリスリ

浜面「もう味方はお前だけだよ……。だからメルトが外に出たいなら俺は賛成だ。メルトのやりたいようにさせてやりたい」

絹旗(ネコのことじゃなければかっこいいセリフなんですが……)

滝壺「じゃあ私も賛成で。私もはまづらの味方だから」

フレンダ「意外とその辺りは適当なのね……」

62: 2011/03/30(水) 16:23:16.65 ID:9gqM2Ms70
絹旗「これで3対2で、メルトを外に出してみる派の勝利ですね!」

麦野「でも怖いじゃない! それにメルト自身は本当に外に出たいの?」

メルト「にゃ」コクコク

浜面「だよなだよな! 待ってろよ、俺が今自由を勝ち取ってやるならな! ということで頼む、麦野!!」ドゲザ!

絹旗「おお! これは見事な土下座ですね。どんだけメルトを超気に入ってるんですか?」

滝壺「獅子は子供の将来を思って自ら子供を崖から落とすらしいよ。そう考えればこれはメルトのためになるはず」

フレンダ「それ聞いたことあるわ。『可愛い子には旅をさせろ』とも言うしね」

麦野「ぐぬぬ……。でも、やっぱり怖いし」

絹旗「それなら私たちが後ろから離れて付いていけば良いと思います。例え見失っても、首輪にGPS付けてますし大丈夫です」

浜面「もし戻ってこないようなことがあったら、俺が絶対に捕まえるからよ。だから頼むよ」

フレンダ「言ってることはキモいけど、何故か紳士的! ふしぎ!」

麦野「……分かった。外に出すんじゃなくて、その代わりに皆で公園にピクニックに行くのはどう?」

63: 2011/03/30(水) 16:28:26.09 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~公園~

滝壺「ということで公園までやってきました」

メルト「にゃんにゃん♪」ピョンピョン

絹旗「公園に来て喜ぶなんて、犬みたいなネコですね……」

メルト「にゃあ……」ガックリ

麦野「それも個性よ。気にしなくていいわ。それよりも遊び道具がいっぱいあるからどれか使って遊びましょう!」ガチャガチャ

メルト「にゃにゃーん!」パタパタ

滝壺「それどうしたの?」

麦野「浜面が調子こいて買って来たのよ」

浜面「昨日の刺身のお礼だ。それと全員分の昼飯も買って来たぜ! ほら!」

フレンダ「気が利くわね。私はサンドイッチとミルクティーもらうわ。ちょっとだけ見直したわよ」

絹旗「浜面もたまには役立ちますね! それではお言葉に甘えて後で頂くとしましょうか」

滝壺「さすが私のはまづら///」ポッ

64: 2011/03/30(水) 16:34:09.12 ID:9gqM2Ms70
麦野「ようやくパシリとしての自覚が出てきたじゃない。それじゃ私ももらうわ」

浜面「おう、持ってけ持ってけ。んじゃ」つ

麦野「何だよ、その手は?」

浜面「金だよ、金。メルトの遊び道具は俺の奢りだけど、昼飯は割り勘だ」つ

絹旗「うわぁ……。超うわぁ、やっぱり浜面は超浜面でした……」ヤレヤレ

フレンダ「さっきのセリフ返せ! 今すぐ返せ!」バシバシ

麦野「さすがの私も引くわ……。超能力者を引かせるなんて大したもんよ、アンタ」

浜面「楽勝だ、超能力者」キリッ

浜面「……じゃなくて、金返してもらえないと今月水と塩の生活になるんです! お願いします!!」

滝壺「私が立て替えてあげるよ、はまづら。いくら?」

浜面「ありがとう、滝壺さま! マジで助かった!! さすが滝壺だ! ありがとう!!」

絹旗「超ヒモ面……、色々と超残念な男ですね。どうして滝壺さんもこんな男が良いんでしょうか……」ボソボソ

66: 2011/03/30(水) 16:39:11.36 ID:9gqM2Ms70
メルト「にゃにゃ~ぁ」スリスリ

麦野「ごめ~ん! 寂しい思いさせちゃったわね。何して遊びたい?」

メルト「にゃー」コロコロ

麦野「おっ、まずはボール遊びからかぁ! それじゃ張り切って……」ザッ

麦野「取ってこ~い!!」ブンッ

メルト「ふにゃ!!」ビクッ

>ヒューン キラン☆

麦野「ありゃりゃ? 公園の外まで飛んで行っちゃったにゃーん?」

浜面「ちょっと麦野さん! アナタの身体能力考えれば、全力投球はさすがにまずいでしょ!!
   せっかく買ってきた俺のお礼が遥か彼方に飛んで行っちゃったんですけど!!」

絹旗「さらに言うならば、ボール投げて取ってくるのは犬の方じゃないですか?」

フレンダ「いつもの麦野も大人っぽくて良いけど、無邪気な麦野も可愛くて良いわね……」ジュルリ

メルト「にゃお……」シュン

滝壺「大丈夫だよ、まだまだボールはたくさんあるよ。私と遊ぼっか?」コロコロ

メルト「にゃお~ん♪」コロコロ

67: 2011/03/30(水) 16:44:17.81 ID:9gqM2Ms70


麦野「なるほど、ああやってコロコロするのが本当の遊び方かぁ。滝壺、私と代わって!」

滝壺「いいよ。優しくだよ、むぎの」

麦野「分かった。むむぅ、優しく優しく……」コロコロ

メルト「にゃにゃ~ん♪」コロコロ

麦野「やったぁ! 私にも出来たよ、滝壺! ありがとぉ!!」ダキッ

滝壺「がんばったね。じゃあ後はむぎのに任せるね。私はちょっとお昼寝する」

絹旗「超ポカポカしますもんねー。私も超少しだけ眠くなってきましたよ」フワワ

フレンダ「今日の麦野は一段とかわいいわぁ……。色々ガマン出来ないから、ちょっとお花を摘みに行ってくる訳よ」ハァハァ

浜面「……男の俺でもさすがにそれは引くぞ。帰って皆が寝静まるまで我慢しとけ」

フレンダ「キモッ!! 何を想像してる訳よ! 浜面のセルバの時間をカミングアウトされるとか最悪なんだけど!!
     もう夜にトイレに起きても、浜面の部屋の前は通れないじゃない!!」

浜面「何これ!? 俺はめられた!? さすがトラップ職人のフレンダだな……」

絹旗「否定はしないんですね。どうして滝壺さんもこんな男を……」ブツブツ

68: 2011/03/30(水) 16:51:57.22 ID:9gqM2Ms70
麦野「はーまづらぁ!! キモい話してないで、次はこれの遊び方を教えろォ!」つネコじゃらし

浜面「俺だけ悪者!? ……ゴホン、えっとそれはだな、こうやってメルトの前足が届きそうな所にチラつかせてだな」ヒュッヒュッ

メルト「にゃ! ……にゃ! ……にゃにゃあ!」ピョンピョン

麦野「……」ゾクゾクッ

浜面「ネコは動くものに強い興味を示すから付いてくるんだよ、可愛いよなぁ」ヒュッヒュッ

麦野「それすごく良いわね。とっても面白そうだわ」

浜面「(面白そう? まぁ良いか)ほら、麦野もやってみろよ」

麦野「ええ、やってみるわ。ふふふ……、きちんと追いかけなさいよ!」ヒュヒュヒュヒュ

メルト「にゃにゃ!! ………にゃお~ん」シュン

フレンダ「麦野! それ私にもやって! 顔にペシペシッて!!」

滝壺「……ぐーすかぴー……」スヤスヤ

絹旗「浜面が買ってきたお茶、超ぬるくなってんですけど! 冷たいのが飲みたいので早く買ってきてくださいよ!」

浜面「何だよ、この空間だけ平和な公園という空間から隔絶してやがるぞ……。ん、何だありゃ?」

69: 2011/03/30(水) 16:55:45.43 ID:9gqM2Ms70
>ウチのアクセルの方が可愛いンですゥ! そんじょそこらの猫と比べられる存在じゃないンですゥ!

>はぁ? ウチのメルヘンの方が可愛いに決まってんだろ! 第一アクセルとか名前のセンス無さ過ぎだろ。
 三下に付けられた名前の猫はかわいそうだよな、それだけで可愛さが7割引きになっちまう

滝壺「うーん……。はまづら、ちょっとうるさいよ。公園は皆の物だから静かにしようね?」ゴロン

浜面「世間の喧騒も全部俺のせいなの!? でも確かにうるせえよな」

絹旗「騒音の発生源はあの男二人みたいですね。口論の内容はどちらのネコがかわいいか、ですか……。浜面並みのキモさです」

フレンダ「浜面、良かったわね。仲間が居るわよ? あっち行って挨拶してこないで良いの?」

浜面「お前ら俺に恨みでもあんのか」

>なァに調子こいたこと言ってンですか、垣根くゥゥゥン!? テメェの付けたメルヘンの方が明らかにセンスねェだろォが!!
 とうとう頭の中までメルヘンになっちまったンですかァ!!?

>ハンッ! このセンスが分からねえとか、頭がイカれてんのはテメェの方じゃねえか?
 それに俺はこの子を誰よりも大切にしてんだよ! さっきなんかどこからともなく飛んできたボールから見を挺して守ったしよ。
 懸けてる愛情の量がそもそも違うんだよ! 見てみろよ、メルヘンのこの毛並みをよォ! ツヤッツヤだろ、ツヤッツヤ!

麦野「ゲッ!! アイツら良く見たら第1位と第2位じゃねえか! お前ら、面倒なことになる前にずらかるぞ!
   浜面、さっさと準備しろ。メルト、ゴメンね。あんまり遊べなかったにゃん……」ナデナデ

メルト「うにゃ~」ゴロゴロ

浜面「俺にもそのくらい優しくしてくれよ……」

71: 2011/03/30(水) 16:58:57.92 ID:9gqM2Ms70
>俺はバッテリーが切れるのお構いなしに毎日能力使ってベクトルブラッシングしてンだよォ!
 テメェの三下ブラッシングとは訳が違うンですゥ! そンなのと比べないでくれませンかァ!?

>三下ブラッシングとは何だ!! 俺の未元物質製のブラシを使ったブラッシングに変な名前を付けんじゃねえよ!!

絹旗「彼らも暗部組織に所属してるんですよね? 確か『グループ』と『スクール』とかいう。
   暗部では今、猫を飼うのが超流行してるんでしょうか?」

麦野「そうなのかもねー。昨日、電話の女もそれっぽいこと言ってたし。『お前もか』とか『私も飼いたい』とか。
   何かあるのか、それとも偶然なのか? いやでもそれは考え過ぎなのかも……」ブツブツ

フレンダ「早くレジャーシート畳め!」

絹旗「ほらほら、そっちにボールが落ちてますよ。さっさと回収してください」

浜面「お前らも手伝ってくれよ!」バタバタ

滝壺「めるとはケージの中に入ろうね。ちょっと狭いけど少しの我慢」

メルト「にゃ」トテトテ

麦野「……良しっ! それじゃあ、ずらかるにゃん!」

>さらに俺は餌にも気を使ってンだぜェ? 無添加の高級食材取り寄せて料理して食わせてンだァ!

>どうせ体に悪そうなもんばっか食わせてんだろ? 猫には栄養バランスの良い高級キャットフードの方が良いんだよ!
 それになぁ、うちのメルヘンは(ry

絹旗(まだやってますね。それにしても、あの一方通行は本当に私の知っている一方通行なんでしょうか……)

72: 2011/03/30(水) 17:01:06.31 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~同日21時 とある研究所~

ピッ

土御門『それじゃあ早速仕事を始めるぜい』

一方通行『嫌だァ! 俺もっとアクセルと遊びたいもン!!』フルフル

海原『だからアクセルは止めてくださいと言っているでしょう。その子の名前はテクパトルに決まったはずでは?』

結標『いやいやどっちも有り得ないから。お前はしょうただよね? ねぇ、しょうたぁ?』つネコじゃらしフリフリ

猫「にゃー……」

土御門『お前らいい加減にするにゃー! 仕事だって言ってるじゃないか! 悪いが清明は少しだけ留守番頼むぜい』

海原『テクパトルですって。しかし一方通行さんは少々だらけ過ぎですね。そんな人は名付け親になる資格はありませんよ』

結標『そうよ。それに加えてアナタたち二人も腑抜けてるから、この子はしょうたなの。ねぇー?』フリフリ

土御門『お前らも人のこと言えないにゃー。俺だって早く清明と遊びたいが、こうやって仕事モードに入ってるというのに』

一方通行『口調が日常モードそのまンまのヤツに言われたくねェよ。明らかにダラけてンだろォが』

猫「にゃお~ん……」ウンザリ

73: 2011/03/30(水) 17:07:04.82 ID:9gqM2Ms70
゚ッ

垣根『すげぇ! メルヘンの奴、もう空中2回宙返り出来るようになりやがった! まだ教え始めて2時間だぞ!!』

メルヘン「にゃ!!」フンス

心理定規『動物は飼い主によく似ると言うけど、この子は似なくて本当に良かったわ』ウンウン

垣根『メルヘンに今すぐ褒美をやりたいんだが、残念ながら手元に何もねえ。心理定規、お前何か褒美になるもの持ってねえか?』

心理定規『私は「スクール」のリーダーの座をメルヘンに譲るのが良いと思うわ。是非そうしましょうよ』

垣根『それ良いな! メルヘン、いやメルヘンさん。今からアナタが「スクール」のリーダーです! よろしく頼みます!!』

メルヘン「にゃにゃにゃん!」エッヘン

ヘッドギアの少年『パネェwww 暗部組織のリーダーが猫wwww パネェww 砂皿のおっさん、これ超パネェよな?www
         今日のブログのネタかっくてーいwwww バカウケ間違いないっしょwwww』

砂皿『さすがにブログに載せるのは不味いだろう。それにおっさん呼ばわりはよせ。俺はまだ26歳だ』

ヘッドギアの少年『にwじゅwうwろwくwwwww 明らか盛ってるっしょ?www 本当は35くらいっしょ?wwww』

砂皿『本当だ。リーダー、悪いが俺の履歴書をコイツに見せてやってくれ。人材派遣からもらっているだろう』

垣根『あん? リーダーはメルヘンさんだぜ? リーダー、ちみっちの履歴書を出して上げて下さい。お願いしゃす!』

メルヘン「にゃ」つ砂皿の履歴書

75: 2011/03/30(水) 17:13:56.48 ID:9gqM2Ms70
ピッ

麦野『メ~ルト 溶けてしまいそぉ~♪』ザブザブ

メルト「にゃにゃにゃにゃ~にゃにゃ♪」バチャバチャ

麦野『ぜぇたいに 言えなぁい♪』ザブザブ

メルト「にゃにゃにゃ にゃ~にゃにゃ♪」バチャバチャ

麦野『目も合わせらぁれなぁ~い♪』ジャバー


??「ほぅ……」ジッ

??「博士、さすがに婦女子の方の入浴を長時間ご覧になるのはお止めになった方が宜しいかと」

博士「この歳になればもう性欲なんぞ湧かないのだよ。それより馬場芳郎、計画の方はどうかね?」ブツン

馬場(何が性欲湧かないだ。『ほぅ……』とか言って麦野さんの裸をガン見してたじゃねぇか。だが、もうすぐ俺の願いも……)

馬場「猫に仕掛けたカメラ映像の通り、現暗部組織の中で3強かと思われる『グループ』『スクール』『アイテム』の3組織は、
   我々の『猫達』によって腑抜け状態になっています。そのため第1段階の達成率はほぼ100%だと言えます」

博士「そうか。では明日の午前3時を以って、計画を第2段階へと移行する。これで学園都市暗部は我々の思い通りとなるだろう」

78: 2011/03/30(水) 17:17:44.97 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

~翌日 アイテムのとあるアジト~

絹旗「麦野! 超早く起きてください!!」ガチャ

麦野「……なによー、今日は仕事もないでしょ? もうちょっと寝るわ」ウーン

絹旗「寝てる場合じゃないですって!! メルトが、メルトが居なくなっちゃったんですよ!!」

麦野「…何ですって!? ちょっとそれ、どういうことよ!」

絹旗「今他の3人に手伝ってもらって全ての部屋を隈なく探してもらってます。だけど今の所見つかってないみたいなんですよ!
   何故かGPSにも反応がありません」

麦野「じゃあ考えられるのは……、メルトが自ら首輪を壊して脱走、もしくは誘拐」

絹旗「そういうことになります。でも、どこにも手がかりはありませんし、アジト内に居ないなら外に探しに行くしか……」

麦野「分かった。すぐに準備するから、引き続きアジト内の捜索をお願いするわ!」

絹旗「了解です。なるべく急いで下さいね」バタン

麦野「メルト……」

79: 2011/03/30(水) 17:23:57.78 ID:9gqM2Ms70
~リビング~

浜面「麦野! ようやく起きたか……。話は聞いてると思うが、メルトが居ねえ」

麦野「うん、それでやっぱりどこにも居なかった?」

浜面「フレンダの部屋を滝壺とフレンダが見てるけど、そこに居なけりゃ中には居ないことになるな」

麦野「そう……。ありがとう」

浜面「おう(この気のない返事、やっぱり麦野はショックなんだよな……)」

絹旗「そう気を落とさないでください。あの子は超お転婆ですから、外に遊びに行ってるだけかもしれませんよ?
   でも襲われたらかわいそうなので早く私たちが見つけて保護してあげましょう」

麦野「ええ、分かってるわ。あの子はもう私たちの仲間なんだから」

フレンダ「むーっぎの! おっはようー!! 私の部屋にも居なかったわよ」バタバタ

滝壺「ふれんだ、部屋はもうちょっと片付けようね。至る所に爆弾が落ちてるし……」ブルブル

フレンダ「いやー、私もたまに踏んづけそうになって焦るのよねー、ハハハ……」チラッ

麦野「……」

フレンダ「やっぱり麦野、落ち込んでる訳?」ボソボソ

絹旗「そうみたいです。麦野はメルトを一番可愛がってましたからね。その分ショックも大きいはずですよ」ボソボソ

82: 2011/03/30(水) 17:31:24.58 ID:9gqM2Ms70
浜面「こうなっちまったもんはしょうがねえから、手分けしてアジト周辺を捜索しようぜ!」

麦野「ええ、そうね。それじゃ、行くわよ」スタスタ

滝壺「ねぇむぎの、無理してない? 辛そうだから、今日は休んでた方が良いと思う」

絹旗「確かに顔色が超優れませんね……。ここは私たちに任せて、麦野は帰りを待っていて下さい。必ず連れて帰ってきますから」

麦野「気遣ってくれてありがとう。でも、私はアイテムのリーダーで、メルトは仲間なんだから。
   私が迎えに行かなくちゃ、誰が行くの? もう心配かけないわ。私も行く!」

滝壺「その調子。私もがんばるから、むぎのもがんばろう」

フレンダ「全く、こんなに心配かけて、メルトはオシオキ確定だよね?」

麦野「当たり前よ! メルトは今日の晩御飯オアズケだから!!」

絹旗「あはは! 反省する時、メルトはどういう顔をするんでしょう? 今から超楽しみです」

麦野「よーし、それじゃあ『アイテム』しゅっつげきぃー!!」オー

4人「「「「おー!!」」

83: 2011/03/30(水) 17:35:51.43 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

絹旗「やっぱりアジト周辺にも居ませんね……。どこに行っちゃったんでしょう」

浜面「メルトはまだ小さいからな。危ねえから早く見つけてやらなきゃな」

フレンダ「浜面がそのセリフ言うと何故か犯罪チック! ふしぎ!」

滝壺「こらこら、ふざけてちゃダメだよ。むぎの、手分けして探すことにする?」

麦野「そうね、手分けして探しましょう。絹旗は東、フレンダは西、滝壺は念のために浜面と北に、私は南。
   見つけたらすぐに報告すること! あと、念のため全員戦闘用意をして出発して」

絹旗「戦闘用意ですか? 分かりました。私は部屋に戻って液体窒素を持ってきます。それでは」

フレンダ「私はこのままで大丈夫かなー、大概必要なものは服に仕込んであるし。じゃ、私も行くわ」

浜面「俺は一応拳銃があるが、レディースだからなー……」

麦野「どうせ男用使っても強力な能力者には勝てないわよ。あと滝壺、念のため体晶を渡しておくわ」つ体晶

滝壺「うん、分かった」

麦野「それじゃあ、私は行くわ。そっちも頼むわよ!」

浜面「戦闘用意か……。確かに暗部が丸腰で街を闊歩する訳にもいかんだろうしな。麦野も念のためって言ってたし、大丈夫だろ」

滝壺「そうだといいね……。それじゃ、私たちも行こう」

84: 2011/03/30(水) 17:39:51.78 ID:9gqM2Ms70
>>81 出ないんだ。ごめんね……

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「う~ん、居ないわね……。いっそのことノラネコと会話とかできたら楽なんだろうけどなー」

フレンダ「それにしても、結局メルトは私の恋敵って訳よ。その恋敵を探すなんて私ってばおっとなー♪」

フレンダ「本音としては、このままメルトが居なくなっちゃえば私としても助かるんだけどねー」

フレンダ「でも、麦野の寂しい表情を見てたらそうも言ってられない訳よ。やっぱり好きな人には笑っていてもらいたいしねー」

フレンダ「何てセリフ、ちょっと私らしくないかな……」

>ニャー

フレンダ「ん? 今の忌々しい鳴き声! 明らかにメルトな訳よ!! どこどこ?」キョロキョロ

メルト(?)「にゃー」

フレンダ「居た居た! 私が当たりだったって訳ね。これで麦野からご褒美もらちゃったりできるかなー。
     ひょっとして一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たり……」ニヤニヤ

85: 2011/03/30(水) 17:44:22.90 ID:9gqM2Ms70
メルト(?)「にゃーん」ダッ

フレンダ「あっ、逃げるな私の夢の一夜!!」ダッ

メルト(?)「にゃー」タタタタ…

フレンダ「くっそー。意外にすばしっこい奴ね……」タッタッタッタッタ…

フレンダ「それにだんだん路地裏の方に向かって行って。何かおいしそうな匂いでもするのかしら?」

フレンダ「あっ、そうだ! 麦野に一応連絡しとかないと!
     えっと、『メルト発見 追跡中な訳よ あと捕まえたらご褒美ちょうだい』っと」カチカチ

メルト(?)「にゃ」タタタタ…

フレンダ「また角を曲がりやがった! ずっとまっすぐ走っていれば良いものを……。コラ待てー!!」

86: 2011/03/30(水) 17:50:49.68 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

絹旗「あっ! ……くぅ。 はぁはぁ、腰痛いです」ズリズリ

絹旗「えっ? 何をやってるかって? 私は今、ネコの入りそうな狭い所を這いつくばって探しているんですよ」

絹旗「もしかして、効果音と『腰痛い』というセリフで何か変な想像しました? 超不潔です! 早く氏んでください!!」ズリズリ

絹旗「なかなか見つかりませんねー。そんなすぐに見つかるとは思ってませんけど、やっぱり超辛いものですね」ズリズリ

絹旗「それにしても、何で急に脱走したりしたんでしょう。それに外に出た方法も分かりませんしね」ズリズリ

絹旗「それとも誘拐? 超賢い子ですから、ひょっとしてどこかのネコマニアが……」ズリズリ

絹旗「なんて超無い無い。セルフツッコミなんて、私もヤキが回ってますね」ズリズリ

絹旗「……私は一体誰に向かってしゃべってるんでしょうか?」ズリズリ

絹旗「それにしても、こういう所を探すとき、体がちっちゃくて超良かったって思いますねー。ラッキー!」ズリズリ

絹旗「……はぁ」

89: 2011/03/30(水) 18:00:03.51 ID:9gqM2Ms70
>ニャー

絹旗「おや、またネコの鳴き声が聞こえます。でも、どうせメルトじゃないんでしょ。
   さっきからハズレのネコばっか見つけてます。もう私は騙されないですよーだ」ズリズリ

>ニャー

絹旗「だからもううるさいですって! あー!!!」

メルト(?)「にゃー」フリフリ

絹旗「超ビンゴです! 全くもう心配かけて。そこ動いちゃダメですよ、すぐにそっち行きますから」ズリズリズリズリ

メルト(?)「にゃあ」ダッ

絹旗「あっ! 逃げるなって行った瞬間逃げられるなんて、超なめられてますね……」スポッ

絹旗「ふふふ……。とりあえず麦野に連絡してと……。捕まえたら麦野と超オシオキしましょうか……。
   超待てぇぇぇええええ!!!ダダダダダ

ドカッ

??「イッテェ!!」

絹旗「痛ぁ!! 超すみません、前を見てませんでした……。って、アナタは!?」

90: 2011/03/30(水) 18:06:06.36 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

浜面「体は大丈夫か、滝壺?」

滝壺「うん、大丈夫だよ。はまづらが手を繋いで引っ張ってくれるから平気」

浜面「そうか、それなら良かった。俺はお前を守るって誓ったからな」

滝壺「ありがとう。頼りにしてるよ、はまづら」

浜面「任せろ。それにしても、メルトの奴は急にどこ行ったんだろうなー」

滝壺「昨日もむぎのと一緒にお風呂入ってたし、逃げ出したかった訳じゃないと思うんだけど」

浜面「人間みたいに賢い奴だし、何か思う所があったんだろうか……」

滝壺「うーん、それはめるとにしか分からないな。私たちが何か悪いことしたかもしれないしね。
   ネコの気持ちはネコにしか分からない、でも分かろうとする努力は必要」

浜面「そうだな。じゃあ早くメルトを見つけて、思いっきり楽しませてやろうぜ!!」

滝壺「うん」

 滝壺がそう呟き、浜面を見つめた瞬間、浜面の背後にはダウンジャケットを着こんだ男が立っていた

滝壺「はまづら、うしろ!」

 滝壺がその男のただならぬ気配に気付き声を荒げたため、浜面は少し慌てて後ろを振り返った

91: 2011/03/30(水) 18:12:12.06 ID:9gqM2Ms70
浜面「何だ? 何も無いじゃないか」

 浜面はそう言って安堵するが、すでにその男は浜面の背後に回り込み、首筋に向けてナイフを振りかざしていた

浜面「うおぉ!」バタッ

 浜面は己の首にナイフの刃が食いこむ寸前、男の存在に気付き倒れこむ形で攻撃を回避した
 しかし完全に避けることは出来ず、浜面の首筋からはつぅ、と細い血が垂れている

滝壺「はまづら、だいじょう…

??「動かないでくださいね」

 滝壺が浜面に駆け寄ろうとした瞬間、今度は滝壺の背後から男が現れ、首筋にナイフをかざす

浜面「うっ、滝壺? 滝壺ー!!」

??「あなたもそれ以上動かないでくださいね。もし動いたらこの女の命はありませんね」

浜面「ぐっ、テレポーターか……」

 浜面は拳銃を引き抜きながら起き上がり、滝壺を羽交い絞めにした男に拳銃を向けるも、その引き金を引くことは出来ない

浜面「お前、何者だ? 何故俺たちを襲撃した? 何が目的だ?」

??「とりあえず、最初の質問に答えますね。私は査楽」

査楽「アナタたちとは違う暗部組織、『メンバー』の構成員の一人ですね」

 査楽と名乗った男は、そう言ってにやりと笑った

92: 2011/03/30(水) 18:18:12.90 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

フレンダ「ったく、メルトめ……。もう追いかけ始めて5分は経ってる。結局、捕まえたら私が最初にオシオキするわ」ゼェゼェ

メルト(?)「にゃ」タタッ

フレンダ「あーもう! 曲がられると見失うってば!」

 何度も角を曲がられ撒かれそうになったフレンダは、メルトと思しき猫の行動に悪態をつき、その後を追う

フレンダ「あれ? メルトは?」キョロキョロ

 しかし曲がった先に猫は居らず、フレンダは辺りを見回した

フレンダ「いつの間にやら知らない所まで来ちゃってるわね。こんな所、私たちみたいな暗部の人間しか来ないんじゃない?」

>ザリ

フレンダ「メルト!?」バッ

 フレンダは背後から聞こえた物音に気付き、後ろを振り返った
 しかし、そこに居たのは目当ての猫ではなく、セーラー服を着た少女だった

少女「貴様が『アイテム』か? もしそうなら、悪いがここで氏んでもらう」

93: 2011/03/30(水) 18:24:20.05 ID:9gqM2Ms70
フレンダ「……ったく、こっちは忙しいっていうのに、何でこんな時に襲撃が来るかなー」

フレンダ(何コイツ!? 変な雰囲気漂わせてる! ちょっと頭痛くなりそうなんだけど!)

 すかさず服の中に仕込んだ着火式のテープと点火のためのツールを取りだす

少女「その言動は肯定として受け取るぞ。だが、その前に一つ聞きたいことがある」

フレンダ「何? ま、どうせ真面目に返事はしないけど。あっ、でも見逃してもらえるなら別ね!」

少女「信用ならない奴だな……。まぁ良い、一応聞こう。貴様は私と同じ気配を放つ人間を知らないか?」

フレンダ「なになに? 組織の裏切り者でも探してんの? 悪いけど、結局私はそんな奴知らないんだけど」

少女「何故その人間が組織の裏切り者だと知っている? まさか貴様、奴を知っているな!」

フレンダ「ちょっと待って! 暗部で人探しなんて大体そんな理由じゃない! たまたま言ってみたら当たったんだって!!」

少女「しらを切るつもりか? だったら、頃した後に聞かせてもらう!!」

フレンダ「だからたまたまだってぇー!! それに頃したら結局聞けない訳よ!?」

 少女は片手を振るい、どこからともなく巨大な剣を取りだす
 そして同時に、二人を取り巻く周囲の空気が変わり始めた

94: 2011/03/30(水) 18:30:04.31 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

絹旗「って、アナタは!? 一方通行!!」

一方通行「あン? このチビガキィ! いきなりぶつかってきて、その上呼び捨てとはなーンなンですかァ!?」

絹旗「それは超ごめんなさい。不注意でした」ペコッ

一方通行「俺もすみませンでしたァ。俺も急いでたンで半分は俺の責任ですゥ」ペコリ

絹旗「アナタ、本当にあの一方通行ですか? 妹の鈴科百合子とかじゃありませんよね?」

一方通行「俺は俺ですゥ! それに勝手に女にするのは止めろォ!! こっちは良い迷惑なンだよ!!
     セーラー服着させられたり、三下とカプ組まされたり、こっちはもォ嫌なンだよォ!!」

絹旗「まぁ良く分かりませんが、あの時とは随分印象が違いますね。丸くなったというか、何というか……」

一方通行「はァ? 俺はお前みたいなチビガキなンて……、あー、あン時のガキか……」

絹旗「やっぱり第1位は記憶力も良いんですね。そうです、私は『暗闇の五月計画』の被験者の一人です。
   一度ちらっと顔を合わせただけでしたが、あの時は超お世話になりました」

一方通行「いやァ、どォいたしまして、……というか、お前俺を恨ンでンじゃねェのかァ?」

絹旗「え? 何でですか? 私がアナタを恨む要素なんてどこにもないじゃないですか?」

96: 2011/03/30(水) 18:35:55.29 ID:9gqM2Ms70
一方通行「俺が居なかったらお前らはあンな実験に参加させられることはなかったじゃねェか。
     聞いた話ではお前らの仲間が大勢氏ンだンだろォ? だから生き残った奴らは俺を恨ンでンじゃねェかと俺は……」

絹旗「そんな訳ないじゃないですか! 確かに私は生き残った優等生の一人ですけど、そんなこと考えてませんて。
   第一、アナタが居なくても、代わりの能力者が候補に上がったりして、結局実験は行われたはずですよ。
   それに私はレベルが上がって超喜んだんですから! むしろ超感謝してますよ」

一方通行「そォなのか?」

絹旗「そうですって。氏んだ子の中には確かに友達も居ましたけど、その子が氏んだのは無能な研究者の責任です。
   アナタはむしろ自分が加害者じゃないかと思わされている被害者なんですよ。だからそんなに気を落とさないでください」

一方通行「そォ言ってもらえると少しありがてェな。だがな、俺はその後にもくっだらねェ実験に参加してな……」メソメソ

絹旗(うわぁ……、浜面とは別の方向に面倒くさい男ですね。これならあの時の無愛想な性格の方が超良かったです)

絹旗「そうだ! 一方通行も急いでたって言ってましたけど、大丈夫なんですか?」

一方通行「忘れてた! 俺は逃げた猫を探してるンだったァ! そォいうことだから、悪ィがこれで失礼するぜェ。
     また話聞かせてくれェ。じゃァな!」

絹旗「ちょっと待ってください。アナタも猫に逃げられて探してるんですか?」

一方通行「『アナタも』? まさかテメェもそォなのか?」

97: 2011/03/30(水) 18:42:50.46 ID:9gqM2Ms70
絹旗「はい。3日前に拾ったネコなんですけど、今朝気付いたら居なくて。それでさっき見つけたんですけど、また見失って」

一方通行「3日前に拾って今朝居なくなっただァ? もう少し詳しく聞かせろォ」

絹旗「ええと、3日前に道端に捨てられていたので拾って仲間と飼ってたんですが、今朝になったら居なくなってて。
   でも鍵も掛けてあったのにどこからどうやって外に出たのか分からないんですよ」

一方通行「俺の状況と全く同じだァ。もしかして、その猫はすげェお利口さンで、すげェ可愛くなかったかァ?」

絹旗「はいー、超頭が良くて、超超可愛かったですぅー」ポワポワ

一方通行「だよなァー。声掛けたら返事したりしてよォー」ポワポワ

絹旗「はいー、……じゃなくて! そこまで状況が似てるって、何か作為的な物を感じませんか?」

一方通行「!? 確かにこれはあまりにも不自然だ。クソメルヘンも3日前に猫を飼い始めたとか言ってやがったし。
     もっと話を詳しく聞かせろォ。もっと情報が欲しい」

絹旗「はい、それで今朝の話の続きなんですが……」

一方通行「うンうン」

99: 2011/03/30(水) 18:48:47.80 ID:9gqM2Ms70

―――
――


一方通行「なーるほどなァ。大体分かったぜェ」ウンウン

絹旗「さすが第1位です!! それで、今回の事件の全貌は?」

一方通行「それはまだ言えねェな。まだ確認しておかなきゃならねェ事があンだ」

絹旗「京極堂ばりのお口チャックですね」

一方通行「少し待ってろ。うちの参謀に連絡する」

絹旗「参謀?」

一方通行「あァ。グラサンアロハに加えて、口調は語尾に『にゃー』で、義妹萌えだが、気に食わねェ程に腕は確かだ。
     心配するな」

絹旗「そんなこと言われたら逆に不安になるんですが……。大丈夫なんですか? そんな変態に任せて……」

100: 2011/03/30(水) 18:55:22.01 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

麦野「アイツら何を追いかけてんのよ……」

メルト(?)「にゃーん」タタタタタ…

 麦野にはフレンダと絹旗からの、メルトを追いかけているという旨のメールが届いていた
 しかし自身もまた、メルトであろう猫を見つけ追いかけていた

麦野「おーい、待てー!!」

メルト(?)「にゃー!」タタタタタ…

麦野「あんなに言うことを聞かない子だったかしら? それとも私、何か怒らせることをしたかにゃーん?」

 辺りはだんだんと日の光が届かない路地裏へと変わっていく
 そして、走り続けたメルトはその一角にある大きなビルに入って行った

麦野「全く、私にここまでさせるなんて、晩御飯オアズケじゃ済まないわよ」

 愚痴をこぼしつつ、麦野はビルの入り口をくぐった

101: 2011/03/30(水) 19:00:13.93 ID:9gqM2Ms70
??「よく来てくれた、麦野沈利」

麦野「おじいちゃん、ここに猫が来なかったかな? もし素直に渡してくれるなら見逃してあげても良いんだけど」

博士「済まないが、その願いは叶えられない。ここで君は氏ぬのだからね」

麦野「なるほどね……、そういうことだったのか」

 3日前に猫を拾ったこと、その猫がとても優秀だったこと、そして今朝の失踪と目の前の研究者
 何の関連性も感じられない出来事が全て繋がる

麦野「お前があのネコを操って、私たちをおびき出したのね?」

博士「実際には少し間違っている。操っていたのは私ではなく、我々『メンバー』なのだよ。
   さらに正確に言えば、ここには居ない構成員だがね。いかんな、美を表現しようとするといらんことまで話してしまう」

麦野「ふーん、聞いたことのない組織。もしかして、私たち『アイテム』と同程度の機密レベルの組織なのかしら?」

博士「そうだな。アレイスターの直轄部隊と言えば分かりやすいか」

102: 2011/03/30(水) 19:07:09.37 ID:9gqM2Ms70
麦野「アレイスターの犬か……」

博士「犬か……、そう貶されても私は何も感じないのだがね。私は世界の隅に隠れた美を見つけ出し、そっと愛でたい。
   そのためにここに居る。その目的のためならば、例え犬と揶揄されようともお前たちのような学生が何人氏のうとも、
   私にとっては些細な問題ではないのだよ」

麦野「世界の隅に隠れた美を見つけ出す? 学生が何人氏のうとも構わない? ……ふざけんじゃねぇ!!
   そんな目的のために、何故私たちが騙され、玩具にされなきゃならねえんだよ!!
   私たちは、お前たち研究者の玩具なんかじゃねえ!! お前のような奴が居るから、私たちはこうなっちまったんだ!!」

博士「……」

麦野「うちには訳ありの人間ばかり居る。得体の知れない薬品を飲まされる者、研究により無理やり能力を身に付けさせられた者、
   能力が発現せず生き抜くために血へど吐いてまで体術を会得した者、世の中に絶望しここまで落ちて来てしまった者。
   全部お前らが悪いんじゃねえか!! その上私たちを騙し、大切な何かを奪い、挙句の果てには何人氏のうとも構わない?
   大概にしろ!! 私たちはお前たちのモルモットなんかじゃないんだ!!」

博士「ふむ、似たような主張を聞いたことがあるな。そうだな、あれは産業革命期のイギリスだったか。
   資本主義が誕生した時代、労働者は資本家の言いなりだった。その資本家の横暴に耐えられなくなった労働者たちは、
   徒党を組んで資本家に反旗を翻した。君たちと似たような話だとは思わんかね?」

麦野「だからどうした?」

博士「これはいつの時代も変わらないことなのだよ。強者が弱者を管理し、弱者は強者に従う、これは自然の摂理だ。
   しかし、弱者にも革命を行う権利がある。試してみるかね? 弱者は戦い、勝ち抜き、権利を手に入れてきた。
   歴史はずっとそうやって変化してきたのだよ」

 博士の周りから、ザァと空気が音を立てる
 目には見えないが、ザワザワと耳をつんざく音を発する『何か』がそこにはあった

103: 2011/03/30(水) 19:12:28.37 ID:9gqM2Ms70
博士「主義主張の正当性は力の強さによってのみ証明される。勝者が唱えれば、主張はどんなものでも正しい物となるのだ。
   君に、私を倒す力があるかね? あるのならば証明して見せろ、君の主張の正当性を!」

 その言葉と、博士の周りにあった『何か』が麦野に襲いかかるのは同時だった
 しかし麦野はポケットからシリコンバーンを取り出しそれに応じた
 それを放り投げた瞬間、麦野の腕から光線が発射されシリコンバーンを通してその『何か』は音もなく消え去る

麦野「大層な演説の割には大したことはないのね? あんまり私たちをなめないでくれるかしら?」

博士「ほう、さすが学園都市の頂点たる超能力者。こんなものでは些か役不足と言えるか」

 博士はすっと白衣のポケットから小さなスイッチを取りだした

博士「『キャパシティダウン』は知っているかね? 能力者だけが聞こえる特殊な音を発し、能力の使用を著しく阻害する」

麦野「だったら、そのスイッチを押される前にお前を……」

博士「止めておきたまえ。君は私に向けて攻撃をすることは出来んよ」

 博士の後ろからすっと小さなものが顔を出した
 それは茶色と白色の毛をした猫だった

麦野「まさか、メルト!?」

博士「そうだ、これは君たちの所に送り込んだ『猫達』の1匹だ。君が能力を行使すれば、これは自らその光線に向かっていく。
   昨日までは各々のAIに任せていたが、今は我々『メンバー』が操作しているのだよ。この行動はこれの意思ではない。
   己の意思ではなく、操られている仲間を傷つけてまで、君は私を攻撃できるかね?」

104: 2011/03/30(水) 19:18:03.84 ID:9gqM2Ms70
麦野「くっ……」

博士「では、私はゆっくりとこのボタンを押すとしよう」グッ

 麦野が逡巡している間に、博士は見せつけるように悠々とそのスイッチに力を込める
 それと同時に、麦野のこめかみに鋭い痛みが走る
 大切な仲間を人質に取られ、能力を封じられた麦野に、博士から更に絶望的な言葉が掛けられた

博士「敵を過小評価し、出し惜しみをする者は、大抵の場合その敵に足元を取られるのだよ。
   だから、全力でお相手することとしよう。出てきたまえ、お前たち」

 博士がそう指示した直後、背後からまた猫が現れた

猫「にゃー」トテトテ

麦野「また、メルト? そして、また? 一体、何匹用意しているの?」

 麦野が頭を抱えながら声を発している間も、猫は増え続けている

猫たち「「「「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー
    にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー
    にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー……」」」」」」」

博士「ふむ、その質問に答えるのは些か面倒ではあるが、冥土の土産に答えてやろう。
   君たちに送り込んだこのネコはアメリカンショートヘアーという種だったか。我々がこの種を元にして作ったのは6000匹。
   ココに居るのはそれほど多くはないがね。そして、その全てが君がメルトと名付けたネコと全く同じ姿をしている。
   果たして、これら全ては君が大切にしていたネコではないと言えるのかね?」

105: 2011/03/30(水) 19:24:08.50 ID:9gqM2Ms70
博士「さぁ行け、お前たち。目の前の女を切り刻んでしまえ!」

猫たち「「「「「「「にゃおーん!!」」」」」」」

 博士が麦野に向けて腕を振るうと、数えきれない数の『猫達』は一斉に雄叫びを上げ、麦野に襲いかかる
 建物に反響するその鳴き声は、まるで一つの意思を持つ巨大な生物が放ったものであるかのように聞こえた

麦野「……ったく、面倒なことになったわね」

 麦野は無理やり能力を行使し、ロケット噴射の要領で自らの体をネコの届かない場所まで運ぶ
 しかし、ここはビルの中であるため、徐々に逃げ場を失っていくのは明らかだ

博士「ほう、攻撃だけでなくそのような使い方も出来るとは。
   さすが第4位、光線を発射するだけの火力馬鹿ではないということか。
   だが、いつまで逃げ切れるのかね? もはや時間の問題なのだよ」

麦野(宛先を選ぶ余裕はない。誰でも良い、誰かこのメッセージを読み取って!!)

 麦野はポケットの中でカチカチと携帯端末に何かを入力する
 演算能力の阻害によってチリチリと焦げたスカートをなびかせながら、麦野はただ逃げ続ける
 誰に届くかも分からない、最後の希望のメールを信じて

106: 2011/03/30(水) 19:30:14.71 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

査楽「さぁ、悪いですがまずはアナタの持っている体晶を捨ててもらえませんかね?
   アナタは体晶を用いれば、他人のAIM拡散力場に干渉し、自在に操ることが出来るんですよね?」

 査楽は滝壺の喉にナイフを押しあて、そう言い放った
 滝壺は素直に従い、体晶のケースを足元に落とした
 査楽は脚を振り上げると、力を込めて踏みつけケースを割った

査楽「これで、もはやアナタたちは成す術なし、といった所ですね?」

浜面「くっ……!」

査楽「無能力者と大能力者1人。この程度、私にとっては敵ですらないということがこれで証明できましたね。
   私を強能力者と嘲笑った連中も認めざるを得ないでしょう。では、この子は連れて帰らせてもらいますね」

浜面「滝壺の誘拐、それがお前たちの目的か!?」

査楽「それが最優先の目的ではないんですけどね、どうせ暗部を壊滅させるのだったらと、博士が言っていたのでね。
   この子はなかなかに貴重な能力を持っているみたいですしね」

滝壺「あっ、はまづら……」

 査楽はナイフで滝壺の首をたたきながら、その反応を楽しんでいる
 その様子に激高した浜面は怒声を発する

107: 2011/03/30(水) 19:36:38.87 ID:9gqM2Ms70
浜面「滝壺を離せ! さもないと撃つ! 俺は狙ってお前だけを撃ち抜くことが出来るんだぜ!!」

査楽「何を訳の分からないことを言っているんですね? つい最近初めて銃を持った君にそんな芸当が出来るとでも?」

浜面「出来る。やってやろうか? 例えば頭、左足、右腕。俺から見て、滝壺と重なっていない所は全て標的だ。
   滝壺を羽交い絞めにした格好で、どこに飛んでくるか分からない弾を避けられるか?」

査楽「ハッタリですね。そんなこと出来るわけがない。例え出来たとしても、私がこの子を動かすこともありますね。
   だとしたら、この子に危害を加えたくないアナタはその引き金を引くことは出来ませんね」

浜面「だったら跳弾で当てれば良い。試してみるか?」

査楽「ますます現実味のない話ですね。そんな話を私が信じるとでも?」

浜面「別に信じなくでも良い。どうせ氏ぬんだからな」

 お互いがお互いををじっと睨む硬直状態の中、ついに浜面は人差し指に力を込める

浜面「じゃあな」

 浜面の言葉とともに、レディースの拳銃が大きな音をたてた

109: 2011/03/30(水) 19:42:31.80 ID:9gqM2Ms70
 浜面はその直後、すぐさま後ろへ振り向き、引き金を引く
 タン! という音とともに、ドサリと一人の男が倒れた

査楽「アナタ……、私の能力を……」ググッ

浜面「あぁ、少し考えればすぐに分かったぜ。お前はテレポーターだが、他人の背後に回ることしか出来ない!
   もし違うなら、何かを飛ばしてさっさと俺を殺せばよかった。そして、お前がテレポートした時の状況。
   これだけの要素があれば、お前の能力の特徴、弱点はすぐに推測できる」

査楽「だから、私に当てられると宣言した後に銃を撃ったのですか? やっぱりハッタリだったんですね?」

浜面「そうだ、本当に出来るならわざわざ言う必要はなく、実行すればよかった。
   お前に本当に当てられるかもと勘違いさせ、俺の背後に回避させることが目的だった。
   それにこれはレディース拳銃だ。威力は低いが反動も小さい。だから俺はこの作戦を選んだ」

査楽「なるほど……、無能力者と見くびった私の負けですかね……」

浜面「そうだ。俺は大能力者を守ると誓ったんだ。お前ごときに負けられるはずはねえ」

 浜面は立て続けに引き金を引いた
 査楽は初めは抵抗したものの、すぐに動かなくなった

110: 2011/03/30(水) 19:48:38.87 ID:9gqM2Ms70
滝壺「頃しちゃったの?」

浜面「いや、急所は全部外してる。例え敵でも頃したくないからな」

滝壺「はまづら……」

浜面「そんなことより、お前は何ともないか? コイツに何かされなかったか?」

滝壺「大丈夫だよ。ありがとう、はまづら。とってもかっこ…

??「カッコ良かったぜい、色男!!」

 浜面たちは不意に声を掛けられ、その主を見つめる
 そこ居たのはアロハシャツにサングラスの男、サラシを巻きブレザーをはおった女という奇妙な組み合わせの二人組だった

浜面「誰だ!? まさかまた『メンバー』か!?」

 浜面は拳銃を構え威嚇する
 しかしその二人は全く怯まず、こう続けた

土御門「俺は土御門元春、『グループ』という組織に所属している。お前たちの敵ではないにゃー」

結標「私は結標淡希、同じく『グループ』の正規構成員よ。アナタたちはアイテムの滝壺さんと浜面くんよね?
   私たちに協力してもらえないかしら?」

112: 2011/03/30(水) 19:54:38.50 ID:9gqM2Ms70
 二人がそう名乗った瞬間、滝壺の持つ携帯端末がピリリと鳴った

滝壺「むぎのからメール」

浜面「そんなのは後で良い! 今はこいつらを……」

土御門「だから敵じゃないぜい。信じてもらないかにゃー」

滝壺「待って、はまづら。多分、その人たちは敵じゃないよ」

浜面「何でそんなことが言えるんだ?」

滝壺「もし敵だったらすぐに私たちを頃してる。私たちにはそれだけの隙があったんだから。
   だから見て、今届いたむぎのからのメールを」

 浜面は土御門たちに警戒しつつも、滝壺のもつ携帯端末の画面に目を向ける
 そこに写されていた文字は

浜面「『ねこ しれいとう のうりょく そがい』? なんだこれは? 麦野に一体何が……」

土御門「なーるほどー。一方通行の予想は当たってた訳だにゃー」

結標「ということは、私たちのやることは決まったわね」

土御門「ああ。そういうことだ、二人ともここは俺たちに協力してもらうぜい? 助けたいだろ? 麦野沈利を」

 土御門と名乗った男はそう言って、ポケットから携帯端末を取りだした

113: 2011/03/30(水) 20:00:20.56 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

フレンダ(どういうこと? 何で右手が顔に向かってくるのよー!!?)

 フレンダは自分が置かれている環境に絶望していた
 着火するためのツールを持つ右手が、自分の意思とは正反対に、自分の顔を目がけて迫っていたのだ
 何とか左手で抑えているものの、利き手である右手をそうでない左手で抑えるのもすでに限界だった

フレンダ(まさか、精神感応系の能力? だとしたらめちゃくちゃ面倒って訳よ!
     そもそも1分で氏にそうになってるなんて、情けなさ過ぎて麦野にオシオキ喰らう訳よー!!)

少女「滑稽だな。自らの武器で命を狙われる気分はどうだ? 今情報を渡せば見逃してやらんこともないぞ?」

フレンダ「これが、アンタの能力って訳ね……」ググッ

少女「まぁそんな所だ。貴様は武器を使えない。だが私はこれを使える。さっさと吐いたらどうだ?」

 少女はこれ見よがしに大剣を振るい、フレンダに切っ先を向けた

フレンダ「だから、私は知らないって……訳よ!!」

 フレンダは左手に力を込め、ツールを持つ右手の手首を捻り関節を外した

フレンダ「いっつつ……。武器が使えないなら、使わずに倒してやる! 体術だって、私は得意なんだから!」

少女「ほう、面白いな。やってみろ」

114: 2011/03/30(水) 20:06:29.86 ID:9gqM2Ms70
 少女は跳躍と同時に大剣を振りかぶり、フレンダへと向かってくる

フレンダ(あんな女が大きい剣持っても、隙が大きくなったりすぐに疲れたりする訳よ)

 フレンダは後ろへ飛んでその初撃をかわす
 大剣は地面へとめり込み、破片が宙を舞う

フレンダ(それまで逃げ続けて最後にこっちがカウンターをお見舞いすれば、あんな奴簡単に倒せるわ)

 少女は逃げるフレンダを追い、次々に斬撃を繰り出す

フレンダ(あんなに力んで振るっちゃって、すぐに疲れちゃう訳よ♪ これは結局私の勝ちね!)

 その斬撃は壁を砕き、地面を抉り、フレンダの髪の毛を切り落とす

少女「どうした? だんだんと避ける速度が落ちているぞ」

フレンダ(えぇ!? 追い詰められてるのは私の方? どうしてだんだん剣を振る速度が上がってるのよぉー!!?)

 フレンダの予想とは裏腹に、少女の剣速は徐々に増している
 そしてその剣がフレンダのベレー帽を捉えた瞬間、少女はフレンダに向けてかつてない強力な一撃を放つ

フレンダ「にょわぁ!!!! ふぅ、危ない。全く、体術なら負けないって言った奴はどこのどいつよ」

 それをすんでの所で回避したフレンダは、改めて距離を取り残った後、左腕で着火式のテープを再度取りだした

116: 2011/03/30(水) 20:12:04.88 ID:9gqM2Ms70
フレンダ(これは“武器”として認識されない訳ね。“武器”かどうかはどうやって区別されるのかしら?
     それが分かればまだ反撃のチャンスはあるわ。でも確かめる時間はくれなそうだし、もうこれで……)

少女「そんなものを取り出して何をする気だ?」

フレンダ「……ちょっとね。体術でも敵わないなら、もうこれを使うしかない訳よ!!」

少女(あれは“武器”ではない……。つまりは殺傷能力は皆無。だったら何だ? まさか!?)

 少女が一つの答えに至るのと、フレンダが地面にテープを引くのは同時だった
 その光景を見た少女は素早く距離を詰め、フレンダの引いたテープ目がけて大剣を振り下ろした

フレンダ「……」ピイィ

 フレンダはその一撃を回避すると、別の所に新たにテープを引いていく

少女(間違いない! 奴の言動から察するにあれは魔法陣構築のためのツール! 能力を使えないということは奴は魔術師!
   欧州にはチョークで呪文を書き記す魔術師が居るのを聞いたことがある。奴もスタイルもきっとそれと同じ!)

 少女はテープの引かれた地面や壁を次々と壊し、フレンダを追い詰めていく

117: 2011/03/30(水) 20:18:24.02 ID:9gqM2Ms70
 そして、最後の瞬間がついに訪れた

フレンダ「にょわー!!」スッテーン

 少女の斬撃をギリギリの所で回避したフレンダは勢い余って脚を滑らせる
 少女はそれを好機と捉え、大剣を振りかぶり思いきり叩きつけた
 しかし少女の剣が捉えたのはフレンダの体ではなく、小さなビンだった
 バガン!! とその小ビンは弾け、大きな爆発が起こる

フレンダ「いっけなーい。学園都市で開発された気化爆薬、『イグニス』の入った小ビンを落としちゃった訳よー。
     アンタ自分からその小ビンを割っちゃった訳だけど、生きてるー?」

 その爆発は少女を巻き込み、その周辺は砂煙に包まれていた

フレンダ「何を勘違いしたのか分からないけど、テープの方を優先して狙ってくれたおかげで何とかなったわ。
     さっすがトラップの女王、フレンダ様な訳よ。ま、結局生き残れたのは運だったけどねー。にゃっははー!」

少女「貴様こそ何を勘違いしているのか分からないが、私はまだ負けてはいないぞ」

 砂煙が一瞬の内に払いのけられ、中から大剣を持った少女が現れる

フレンダ「えぇー!? 今完全に私の勝ちのムードだったじゃない! 邪魔しないでよ!!」

少女「うるさい! 貴様の都合など知らん!」

 少女は再び大剣を構えなおし、フレンダに対して身構える
 しかし、その後ろから男の声が木霊する

??「おやおや、これはいけませんね。土御門さんの情報の正確さはやはり素晴らしいです」

118: 2011/03/30(水) 20:24:10.33 ID:9gqM2Ms70
少女「な!? 貴様は!!」

??「久しぶりですね、ショチトル。少しお転婆が過ぎますよ」

フレンダ「えっ? なになに? アンタがこの女の探してた裏切り者って訳?」

少女「裏切り者の分際で抜け抜けと……」

??「それにしてもどうしてあなたはここに? 組織はどうなったのですか?」

少女「私は裏切り者の貴様を抹頃しに来たんだ!」

フレンダ「なーるほどー。で、アンタは組織を裏切って何してる訳?」

??「ちょっとうるさいので黙っていてもらえませんか?」

少女「そうだ。私とこの男は今、大切な話をしているんだ。部外者はさっさと消えろ」

フレンダ「うぅ……。見逃してもらえるのは嬉しいけど、これはちょっと複雑な訳よ」グスッ

??「あっ、そうでした。あなたにお願いがあるんでした」

フレンダ「え? 私に?」

海原「ええ、至急向こうに止めてある車に乗り込んでください。『グループ』の海原からと言えばすぐに要件は伝わるでしょう」

120: 2011/03/30(水) 20:30:10.83 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

 麦野は部屋の一角へと追い詰められ、数多の猫に囲まれていた
 ストッキングやコートは所々破れ、腕には無数の傷が付いている

博士「中々に逃げ回ったが、ここまでのようだね?」

麦野「何言ってるの? 私はまだやれるわよ。さっさとかかって来ればいいじゃない?」

博士「ほう、この状況で虚勢を張れるとはさすがは超能力者と言ったところか。
   『キャパシティダウン』に『猫達』を有する私に、君が勝つことなど出来ないのだよ。
   どうせ氏ぬなら楽な方が良いだろう。何故抵抗し、苦しむ道を選ぶのだ?」

麦野(もう間に合わないか……)

博士「ふむ、麦野沈利か。思っていたよりも面白い人間だった。奴が気に入るのも分かるな。だが、これまでだ」

 博士がそう言って再度腕を上げると、麦野を取り囲んでいた猫達が一斉に跳躍の準備をする

博士「行け! お前たち、その女に止めを刺せ!」

猫たち「「「「「「「「「「「「「にゃー!!」」」」」」」」」」」」」」」」

 腕を振り下ろした瞬間、猫達が麦野目がけて一斉に飛びかかる

121: 2011/03/30(水) 20:36:08.68 ID:9gqM2Ms70
 しかし、その爪や牙が麦野に届くことはなかった
 なぜならば、絹旗と一方通行が麦野の盾となり身を守ったからだ

絹旗「麦野! 大丈夫ですか? 超助っ人に来ましたよ!!」

麦野「絹旗! それにテメェは一方通行! 何をしに来た?」

一方通行「敵の敵は味方、っていう訳にはいかねェが、利害が一致したンで助けに来たぜ」

麦野「そうか、借りを作っちゃったわね……」

一方通行「気にするな。俺はこのチビガキに借りがあるからよォ」

絹旗「それはもう良いですって。それより麦野、この頭に響く音は何ですか? 頭が超痛いんですけど」

麦野「これは『キャパシティダウン』が発している音。つまり、演算を阻害する音だと思えば良いわ」

一方通行「この状況じゃァ、俺も満足に能力を使えねェ。音に加えて特殊な電波も混ぜてやがるな?
     音だけなら反射出来るンだが、電波の方はどォにもならねェ。ちっと粗っぽくなるがいいかァ?」

博士「ほう、この中でも余裕とは第1位はさすがに手ごわいな。しかし一方通行、これでも君は私を攻撃できるかね?」

 すると博士の背後から新たな猫が姿を現す
 しかしこの猫はメルトとは違い、真っ白な毛をした猫だった

122: 2011/03/30(水) 20:42:23.17 ID:9gqM2Ms70
一方通行「あっ!? お前はアクセルじゃねェか? こンなとこに居やがって、心配したンだぞォ!!」

博士「そう、これは君たち『グループ』に送り込んだペルシャ猫という種だな。
   改めて聞こう、一方通行。君は仲の良かった猫を巻き添えにしてでも私を攻撃できるかね?」

一方通行「くっ……、卑怯な手ばかり使いやがる……」

麦野(何だよ、カッコつけて登場した割には役に立たねえなコイツ……)

絹旗「麦野、私も能力を使いながら移動したりは出来ないみたいです。
   静止した状態でなら使えるので、何とか盾くらいにはなれるかと思います」

博士「仲間が現れた時は安堵したようだが、状況は好転していないようだぞ?」

 博士の背後から次々と真っ白な猫が現れる
 その数はメルトと同種の猫の数とほとんど変わりはない

博士「麦野沈利よ、もう1度ここで絶望してもらおうか」

123: 2011/03/30(水) 20:48:06.50 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

 浜面と滝壺を乗せた『グループ』のキャンピングカーは道路を走っていた

浜面「いい加減、何が起きてるか俺たちに教えてくれてもいいんじゃないか?」

土御門「うーん、どこから話すのがいいかにゃー。まずはさっきの『メンバー』についてがいいかにゃー」

 土御門は急に険しい表情を形作る

土御門「『メンバー』とは、俺たちと同じような暗部組織で、アレイスターの直轄部隊となっている。
    善悪問わず、アレイスターに指示された仕事はこなす、それだけを期待された部隊だ」

浜面「アレイスター統括理事長だと? 何故奴がここで出てくる? 奴は一体何をしようとしているんだ?」

土御門「どうやら奴は暗部の大掃除をしようとしてるようだ。一度人員の入れ替えでもするんだろう。
    うちや『スクール』のような組織が上層部へ盾突く可能性を考慮し、暗部組織の全面的始末を計画しているようだな」

浜面「暗部組織には超能力者だって混じっている。超能力者は学園都市の財産なんだろ? 
   そう簡単に手放せるもんじゃねえはずだ。何故奴はそんな計画を立てている?」

土御門「奴にとっちゃ、『メンバー』だって超能力者だってただの駒に過ぎない。氏のうが生きようが関係ないんだよ。
    一方通行は、奴の言う『プラン』の中核だがそんなのはお構いなしだ。
    アイツが氏んでも代わりを立てるなり作るなりして、奴の『プラン』は滞りなく進む。
    逆に奴にとっては、一方通行が『メンバー』に勝って成長する方が『プラン』の短縮になって助かるんじゃないか?」

125: 2011/03/30(水) 20:54:28.32 ID:9gqM2Ms70
浜面「ちくしょう! だからネコを送って俺たちを殺そうってのかよ!!」

滝壺「はまづら、落ち着いて。まだ私たちは負けてない」

結標「そうね、滝壺さんの言う通りだわ。勝つために私たちは動いているんだから」

浜面「済まねえ……。そういえば聞いてなかったが、俺たちは今どこに向かっているんだ?」

土御門「それ関しては、第4位のメールの件を先に話した方が良い。内容は覚えているか?」

浜面「確か『ねこ しれいとう のうりょく そがい』だよな。俺には意味が分からないんだが……」

土御門「前半は、『メンバー』の操る『猫達』を操る司令塔が存在することを意味する。
    後半は、麦野が現在能力の行使を阻害されている状況にあることを指している」

浜面「だとしたら麦野をすぐに助けに行かねえと不味いじゃねえか!! どうしてもっと早く言わなかった!?」

土御門「第4位が苦戦する相手だぞ? お前が行って何が出来る?」

浜面「確かにそうだが、みすみすアイツを見頃しになんか出来ねえよ!
   アイツは今も戦っているかもしれない! 俺たちの助けを待ってるかもしれない!
   だったら俺たちが行ってやらないでどうするんだよ!」

滝壺「はまづら……」

126: 2011/03/30(水) 21:00:58.20 ID:9gqM2Ms70
土御門「落ち着け。麦野の所には絹旗とうちの一方通行を向かわせている。だが、それでも厳しいだろうな。
    だから、俺たちは俺たちのやるべきことをやるんだ。そのために俺はお前たちを連れてきた」

浜面「俺たちがやるべきこと? もしかして今向かってる先が?」

土御門「そうだ。俺たちの目的は麦野のメールの前半部分。『猫達』の司令塔を潰すことだ。
    この先にその司令塔が潜んでいる場所がある」

ドライバー「到着しました」

結標「御苦労さま。アンタたち、着いたみたいよ」

 ドアに最も近い位置に座っていた結標は勢いよくドアを開ける
 そこは第22学区の地下市街だった

土御門「この先を少し進んだ先に行き止まりがある。奴はその下の下の下、『避暑地』と言われる地下シェルターに潜んでいる」

浜面「そんな所、俺たち二人じゃどうにもならねえぞ。協力を取りつける相手を間違えているんじゃないか?」

土御門「いいや、あってる。特に滝壺には協力をお願いしたい」

滝壺「私?」

土御門「ああ、これを使って敵の探索を頼めないか?」

 土御門はポケットからシャーペンの芯のケースのようなものを取り出した

127: 2011/03/30(水) 21:06:16.02 ID:9gqM2Ms70
浜面「それは体晶か? そんなもの飲ませて、滝壺を苦しめるつもりか!?」

滝壺「大丈夫だよ、はまづら。でもこれで本当に麦野を助けられるんだよね?」

土御門「それは俺が保障する。お前に頼みたいのは、この先のどこに特定の条件を満たす人間がどこに居るかの検索だ」

浜面「どういうことだ? ソイツが見つかりさえすれば後はお前たちでどうにか出来るのか?」

土御門「うちには最強のテレポーターが居るんでな。ソイツの場所が分かれば後はどうとでもなる。
    だが奴の潜む正確な位置までは分からない。『避暑地』は総称でな、そこにはいくつものシェルターが存在している。
    適当なシェルターに爆弾を放り込んでも、奴が居なければ話にならない。警報が鳴ったとたん、どこかに逃げられちまう」

滝壺「だから私がその人を探せばいいんだよね。分かった、その条件は?」

土御門「ソイツの名前は馬場芳朗、どこかの高校の生徒だ。学生は能力開発を受けているため、AIM拡散力場を発している。
    安全な場所に籠って、コンピューターで猫の操作をしていることからレベルはさほど高くないか、無能力者だろう。
    そしてこの先はVIP専用のシェルターだ。他の学生がそう簡単に入り込める場所じゃない。
    つまり、こんな所に居て滝壺の能力で発見できる人間は間違いなく馬場だ」

結標「その薬品が体に大きな負担を掛けることは私たちも知ってる。でももうこれしか手はないの。お願い……」

滝壺「分かった。でも絶対にむぎのを助けてね」

土御門「済まないな……」

 土御門は一瞬申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに表情を元に戻し滝壺に体晶のケースを渡した

128: 2011/03/30(水) 21:12:06.41 ID:9gqM2Ms70
 滝壺はケースから少量の体晶を手の甲に取り出し、舌で嘗めとった

滝壺「AIM拡散力場の検索を開始。半径500の範囲内において以下の条件を満たす者のみを結果報告するものとする。
   検索条件、無能力者もしくは低能力者と思しき強さのAIM拡散力場を持つ者。検索終了まであと5秒」

 機械のような無機質な声を上げる滝壺。そしてすぐに答えは導き出された

滝壺「見つけた。ここから地下に224メートル、北に35メートルの地点に該当する人物あり!」

土御門「でかした! 結標、頼む!!」

結標「おっけー! 任せなさい! 貯水タンクから大量の水を送ってやるわ!!」

土御門「さて、場所も分かったことだし、俺は回線のケーブルを切断しに行ってくる」

浜面「俺にも何か手伝えることはないか? 何でもやるぞ」

土御門「お前は滝壺に付いていてやれ。そのためにお前を連れてきたんだ。絶対に守るって誓ったんだろ、色男?」

 土御門はそう言って、暗い闇の向こうへ走りだした

129: 2011/03/30(水) 21:18:07.48 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

 馬場芳朗はパソコンのモニターを眺め、汗を拭っていた

馬場「一方通行が出てきた時は一瞬冷や汗をかいたが、順調に計画は進みそうだ。もう少しでやっと手に入る……」

 馬場はモニターから目を離し、自分の携帯端末の画面に目を向ける
 そこには麦野の姿があった

馬場「麦野さん、もうすぐあなたを俺だけの物に出来るんですね……。なるべく傷つけないように攻撃するのも一苦労だ。
   それにしてもあの野郎、麦野さんに酷い言葉をぶつけやがって! 俺が協力してるからこそ計画がうまくいってるんだぞ」

 馬場は再びモニターに目をやるが、すぐに携帯端末に目を戻す

馬場「20000匹のネコロボットを作り、その内の何匹かを暗部組織の元へ送る。
   ネコの可愛さによって腑抜けになった連中をネコを使っておびき出し、止めを刺す。
   全く変な計画だよ、こんな計画が良く成功したな……。内臓のAIに切り替えたり、操作したりで俺はもうクタクタだよ。
   でもアイツら、猫の中の人が俺だと知ったらさぞショックだろうな、くくく……」

 シェルター内部に馬場の笑い声が響いた瞬間、ドドドドという音と共に証明が赤へと切り替わった
 素早くモニターへと目を移すと、そこには砂嵐状態になったカメラ画面が表示されている

馬場「まさか……、閉じ込められ、ネットワーク回線を切断された……?」

 馬場は一瞬、絶望の表情を顔に表したが、すぐにパソコンを操作し安堵の表情を取り戻す

馬場「とりあえず昨晩の麦野さんの入浴動画を見て落ち着くか。それから考えよう」

130: 2011/03/30(水) 21:24:06.25 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

土御門「終わったようだな」

結標「ええ、かなりの量を送ったから水圧でニ度と出られないでしょう。あー、疲れたわ」

浜面「これで『猫達』の司令塔は潰せたんだよな?」

土御門「あぁ、奴は完全に孤立した。今頃絶望に体を震わせているだろうな。滝壺、体は大丈夫か?」

滝壺「うん、はまづらがずっと付いていてくれたから大丈夫」

土御門「そうか。じゃあ結標、最後の仕事を頼む」

結標「分かったわ。本当に人使いが荒いんだから」

浜面「まだ何かあるのか?」

土御門「結標の能力でお前たちを能力範囲内ギリギリに止めてある車まで送る。その中に仲間のフレンダも居るはずだ。
    もうすぐ解決するだろうから行ってやれ、麦野のところに」

浜面「フレンダまで……。恩に着るぜ、ありがとう」

土御門「それは言わない約束だ。本来、俺たちは敵同士なんだぜ? そんなんじゃあこの先生き残っていけないぞ」

131: 2011/03/30(水) 21:31:26.71 ID:9gqM2Ms70
滝壺「ううん、一緒に戦ったんだから私たちはもう仲間だよ。だから、ありがとう。
   それとグレープ味でおいしかったよ。たまにはグレープも良いね」

土御門(グレープ味?)

結標「それじゃ送るからそこに立って。私もう疲れちゃったから早く休みたいの」

浜面「モタモタして悪いな。それじゃ頼む」

滝壺「はまづら、もっとくっつかなきゃダメだよ。むすじめだって楽じゃないんだよ?」ギュー

浜面「滝壺さん! ちょっとくっつきすぎじゃないですか!!」

結標「はいはい、ごちそう様。それじゃ行くわよ!!」

>ヒュン

結標「……、はぁー! 疲れたー!!」バタン

土御門「御苦労だった。もう車に戻って帰って良いぜ」

結標「アンタはどうするのよ?」

土御門「俺はまだやることがある」

結標「そう。じゃあ、お言葉に甘えて先に帰らせてもらうわ。じゃあね」

132: 2011/03/30(水) 21:36:36.96 ID:9gqM2Ms70
ピピピピ トゥルルル…

??『うわww つっちーじゃんwww パネェww 念じたらマジ電話来たww もうアイツのお守りヤダww 助けてww』

土御門「相変わらずうるさい奴だ。奴はもう動けるか?」

??『まだ膝抱えて俯いてるwww ネコ居なくなってショックwww でもトイレには行くwwww マジウケルwwwww』

土御門「ということは動けるんだな? 今からメールで送るポイントに奴を移動させろ。細かい指示はお前が出せ」

??『アイツをコントロールするのってマジ疲れるんだってww つっちーも1回やってみ?www 1日で止めたくなるwww』

土御門「お前にはさらに仕事を頼みたい。そのポイントの近くにキャパシティダウンが設置されているはずだ。
    おそらくかなり大型のものになるだろうが、それを破壊してくれ」

??『つっちー相変わらず超スパルタwwww マジパネェwwwwww これブログのネタにしていい?wwwww』

土御門「報酬は弾む。それじゃ頼んだ」

??『ちょい待ちwww ねぇ、いくら?www いk……

>ブツッ

土御門「アイツと話すといつも耳痛くなるにゃー……」キーン

134: 2011/03/30(水) 21:42:59.22 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

絹旗「くうっ……!」

 窒素装甲を展開し、何十匹もの猫の攻撃を同時に防ぐ絹旗にもそろそろ限界が訪れていた
 その間も猫達は入れ替わり立ち替わり攻撃を加え、絹旗の体の表面にある窒素を削り取っていく

絹旗(変な音のせいで、窒素装甲の展開が追い付きません。もう突破されます!!)

 パキンという音と共に絹旗の能力が解除される
 その瞬間を狙い澄ましたかのように、猫達は容赦なく絹旗に飛びかかる

麦野「絹旗!!」

 しかし麦野が能力をロケット噴射のように行使して、素早く絹旗の首根っこを掴み距離を取る

絹旗「麦野! 助かりました。助けに来たのは私の方なのに、すみません……」

麦野「気にすることじゃないわ。それに私は十分助かってるわよ。もう10分も逃げ続けられているし」

絹旗「後どのくらい続くのでしょうか、この戦いは……」

 麦野たちに対して、猫達はジリジリと距離を詰めていく

一方通行「チッ、ここは一度態勢を立て直すと言うのはどォだ?」

麦野「敵が自分から顔を見せてきたのよ? みすみす私たちを逃がす訳ないじゃない。可能なら私だってとっくに引いてるわよ」

136: 2011/03/30(水) 21:48:56.33 ID:9gqM2Ms70
博士「命も感情もなく、ボタン一つで作り出すことが出来る、たった数十万の機械で出来た獣をどうして壊すのをためらう?
   私にはその感情は理解出来んよ」

麦野「何を勝手なことを言ってんのよ……。お前たちが作ったんだろ? お前たちが生み出したんだろ?
   コイツらは感情も命も持ってる! 3日間と言う短い間だけど、私は一緒に住んでそう感じた!!
   そんな奴らを勝手に作っておいて何故無責任なことを言える!?」

博士「ふむ、それは気に入った鉛筆と何が違うのかね? 消費し使い終われば、君も簡単に捨てるだろう。
   壊れ使えなくなれば捨てるだろう。所詮、これらはその程度の存在だよ。
   確かにこれらには100万匹のネコからサンプルを抽出して作ったAIが搭載されている。
   どこのネコよりもネコらしいかもしれんな。だが、所詮それは偽りの命でしかない。鉛筆と何が違う?」

一方通行「言わせておけばプープー屁を垂れてやがンじゃねェか……。俺は知ってンぜ、お前の考え方を。
     俺も随分前は同じような考えで、1万人もの人工の命を頃してきた。ある男のおかげだが、俺は気付けたぜ?
     そいつらの持ってるものが俺たちの持ってるものと変わらないことをよォ?
     作られた命だァ? 単価数十万だァ? だからってなァ……」

絹旗「コイツらが殺されていい理由にはなンねェだろォがァ!!」

一方通行(俺のセリフ……)

137: 2011/03/30(水) 21:54:05.10 ID:9gqM2Ms70
博士「……言いたいことはそれだけかね? どうやら君たちに付き合うことが出来るのも、もう少しだけのようだ。
   悪いが、もう氏んでもらうぞ?」

 博士は白衣のポケットからリモコンを取りだす

博士「これは『オジギソウ』のリモコンだ。『キャパシティダウン』と『猫達』の猛攻から良く逃げたが、
   これを加えても同じように逃げられるかね? 私にも時間がないのだよ。他の連中がもたもたしているようだからね」

 博士の指がリモコンのスイッチに触れた途端、再びザァと周囲の空気がざわつく

麦野「こんな状況じゃあれはどうにもならないわ。一方通行、アンタの能力でどうにかならないの?
   こう空気のベクトルを操って風を生みだしたりなんだかんだで……」

一方通行「平常時なら可能だが、この電波の中じゃァ厳しいな。確実に猫を巻き込ンじまう」

絹旗「つまり、私達にはもう打つ手なしですか?」

博士「最後の相談は終わりかね? 君たちのような優秀なモルモットを失うのは些か残念だが、アレイスターの命令なのでな」

 博士は一呼吸置いて、最後の言葉を紡ぐ

博士「さぁお前たち! 奴らに止めを刺せ!!」

 『猫達』と『オジギソウ』が一斉に麦野たちに襲いかかる

 しかしそれはビルの壁が爆破され、中に男が踏み込むのと同時だった

138: 2011/03/30(水) 22:01:46.97 ID:9gqM2Ms70
 その爆風は『猫達』のバランスを崩し、『オジギソウ』を遠くへと追いやった

??「捜した捜した、捜したよん。テメェがこの事件の首謀者で良いんだよな?」

 吹き飛んだ壁の向こうから現れたのは、白い翼を纏った茶髪の男だった

博士「お前は垣根帝督……」

垣根「よくもうちの可愛いメルヘンちゃんをコケにしてくれたな。お礼はキッチリ返させてもらうぜ?」

博士「だが、超能力者が何人増えようが、状況は変わらん! 『キャパシティダウン』は正常に作動しているし、
   新たに『猫達』を呼び出せばどうせお前もは攻撃できない」

垣根「ま、そうだけどよ」

 諦めかけた言葉を発する垣根だが、その表情に陰りはない

一方通行「テメェ、どォしてここに来れた?」

垣根「うちの構成員がどこからか情報を掴んでよ、首謀者が分かったってもんだからすっとんで来たんだ。
   それでこの状況はなんだ? 変な音が頭に響くんだが……」

麦野「『キャパシティダウン』よ。演算を阻害する音。でもアンタさっき能力使ってたわね。使えんの?」

垣根「あぁ、あの程度の演算は朝飯前だ。どっかの馬鹿は頭弱過ぎて演算に集中できねえみたいだがな」チラッ

一方通行「なるほどォ、テメェの能力は単純過ぎてグレードが低いってことかァ」チラッ

絹旗「超ケンカしないで下さい!! 今はあのジジイを倒さなきゃいけないでしょうが!!」

140: 2011/03/30(水) 22:06:16.16 ID:9gqM2Ms70
垣根「そうだな、じゃあさっくり頃しとくか。好き勝手してくれちゃって、覚悟は出来てんだろうな?」

 垣根は博士に向かって殺意を放つ

博士「垣根少年、君はまだ状況がよく掴めていないようだね。何故そこに居る3人が手をこまねいているか。
   お前たちはこの『猫達』が大切なため、私に攻撃できないのだろう? だったら君にも同じことをしてやろう。
   君たち『スクール』に送り込んだのは、ノルウェージャンフォレストキャットだったか……」

 しかし、博士がそう呟いても先ほどと同じように背後から新たな猫が現れることはなかった
 そして同時に博士の足元にじっと待機していた猫たちもざわざわとざわつき始めた

博士「何が起こっている? まさか『猫達』のコントロールを失った……。君は一体何をした?」

垣根「俺は何もしてねえよ。他の奴らがコソコソ動いてやがった様だがな」

博士「なるほど。だが、まだ『キャパシティダウン』が残っている。これがあれば君たちの能力など……」

 さらにどこかで巨大な爆発音が起こり、麦野たちの頭に響いていた音が徐々に小さくなる

垣根「どうやら、お前の頼みの綱も止まっちまったようだな。絶望する気分はどうだ?」

博士「くっ、『キャパシティダウン』まで……!?」

 急に慌て始める博士の顔の真横を、原子の光線が通り過ぎる

麦野「動くな。それ以上動いたら頃す」

142: 2011/03/30(水) 22:11:36.97 ID:9gqM2Ms70
絹旗「おおっ、ついに麦野のオシオキたいむですね! ここまで苦しめられた分をしっかりお返ししてやりましょう!!」

麦野「絹旗、その前にネコたちを垣根が空けたから外に出してやりな。こんな狭いところに押し込めてちゃかわいそうだわ」

絹旗「そうですね。じゃ、アナタたちも手伝ってください」

一方通行「テメェが言うならしょォがねェから手伝ってやンよ」

垣根「オッケー。第4位、俺たちもソイツには恨みがあるんだ。俺たちの分も残しておけよ」

 3人の声により、何千匹も居た猫たちは外に飛び出していく

麦野「さて、足、腕、最初にどこを吹き飛ばそうかしら? リクエストはある?」

博士「むう……。はっ、あれは?」

 博士はおぼつかない足取りで壁の方に駆けていく

麦野「逃がすわけないじゃない。まずは足からってことね」

 麦野は博士の足に狙いを定め、原子崩しの発射の構えを取った

143: 2011/03/30(水) 22:18:04.48 ID:9gqM2Ms70
博士「これでも君は撃てるかね!?」バッ

猫「にゃーん……」

麦野「なっ!?」

 博士は壁際に残っていた1匹の猫を捕まえ盾としたと同時に、ポケットから拳銃を引き抜いた
 麦野は発射の直前に自らの能力を無理やり押さえ込む

博士「せめて君だけでも始末させてもらおう」

 麦野は演算を無理やり止めることに気をとられ、博士の行動に反応できない

一方通行「ヤベェ!! 間に合わねェ!!」

垣根「ちっくしょ!」

 3人はそれに気づくのが遅すぎた

絹旗「麦野ォぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」
 
 タン! と博士の持つ拳銃が音を立てた

144: 2011/03/30(水) 22:25:14.03 ID:9gqM2Ms70
 絹旗はおそるおそる目を開けた
 そこに広がっていた光景は嬉しくもあり、そして悲しくもある不思議な光景だった

麦野「メ…ルト……?」

 博士が撃った弾は麦野に届くことはなかった
 その代わりに1匹の猫が銃弾を受け、地面に倒れていた
 猫の首には浜面たちがペットショップで買った首輪が巻かれていた

麦野「メルトぉ!!」

 麦野は倒れた猫に駆け寄り、必氏に声を掛けた
 猫の体はバチバチとショートしぴくりとも動かない

博士「はははっ! 悪いが逃げさせてもらうぞ!」

 そう言って博士は別の入り口から外へ逃げていく

一方通行「逃がすか!!」

 追いかけようとする一方通行を、垣根は手をかざし制した

垣根「追わなくても良い。すでに奴は包囲されている」

145: 2011/03/30(水) 22:31:43.72 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

博士「はぁっ…はぁっ……、くそっ!!」

 博士は何とかビルから脱出し、路地裏を走っていた
 『メンバー』の他の構成員と連絡が取れないことが気がかりだが、今はただ逃げることが先決だ

博士「くっ、どうして『猫達』や『キャパシティダウン』が……」

 老いた体を鞭打って、博士はただ走り続ける

????「おじ様、ちょっと待ってくださる」

博士「追っ手か! ……女一人? 悪いがそこを通してもらおう。さもなければこれを使わせてもらう」チャッ

????「拳銃? そんなもので私を殺せると思う? 言っておくけど何をしようがアナタに私は殺せないわよ。試してみる?」

博士「そうか、それならば能力を使われる前に試させてもらおう!」

????「ふふふ……」

 博士は己の指にぐっと力を入れようとするが、どうしても引き金を引けない

博士「何故だ? 何故引き金を引けん!?」

146: 2011/03/30(水) 22:37:07.26 ID:9gqM2Ms70
心理定規「私の能力は『心理定規』。心のキョリを操ることができる。アナタは大切な人を傷つけられる人間なのかしら?」

博士「そうか、君は『スクール』の心理定規だったか。だが、君に私は殺せんよ。君たちはネコを傷つけたくないのだろう?」

 博士は己の体を守るように、猫を心理定規に向けた

博士「君の能力には人を頃す力はない。そのため仕事の時は拳銃などを用いるようだが、これで君は使えない。
   悪いが、下部組織から応援が到着するまで私とにらみ合っていてもらおうか」

心理定規「魅力的な提案だけど、そのお誘いには乗れないわ。だってアナタ、もうすぐ氏ぬんだもの」

博士「なに?」

 その瞬間、心理定規の耳元を何かが通り過ぎ、博士の眉間を貫いた
 博士の体はふわりと宙を浮き、ドサリと倒れこんだ
 博士に捕まっていた猫は、逃げるように心理定規へと向かっていく

心理定規「うちには優秀なスナイパーが居るの。たった1匹のネコで身を守れるとでも?」

 心理定規は猫を拾い上げ、抱きしめながら呟いた

心理定規「私たちの心を弄んだ罰よ。私もアナタのことを悪く言えないけどね」

148: 2011/03/30(水) 22:45:47.77 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

ヘッドギアの少年「おっさんパネエwwwww 1発でじいさん撃ち抜いたwwww マジパネェwwww」

砂皿「これくらいどうということはない。それに俺はまだ27だ」

ヘッドギアの少年「昨日は26つったじゃんwww やっぱ盛ってたwwwww 大人きたねぇwwww」

砂皿「今日は27歳の誕生日だ」

ヘッドギアの少年「もうごまかさなくてもいいしwwww それはそうと俺さっきデカイ機械ぶっ壊してきたww
         すげぇだろ?www でもマジ疲れたwwww もう帰っていい?wwwwww」

砂皿「本当だ……」

ヘッドギアの少年「おっさん涙目wwwwww マジウケルwwwwwww」

砂皿「何故誕生日にこいつと一緒なんだ? ステファニー……」

149: 2011/03/30(水) 22:49:32.42 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

浜面「おーい、麦野! 大丈夫か!?」

フレンダ「遅くなっちゃってゴメン! 結局無事で良かったわ!」

麦野「ううん、無事じゃなかった」

滝壺「もしかして……、めると?」

絹旗「そうです。敵の撃った銃弾から身を挺して麦野を守ったんですよ」

麦野「助けられなかった。メルトはただ操られていただけなのに。私はリーダーなのに、猫1匹すら守れなかった……」

 悔しそうに麦野は拳を握り締めた
 表情は見えないが、麦野の膝元には雫の後が付いていた

滝壺「むぎの……」

浜面(麦野も絹旗も無事でよかった。でもこんな結末ってねぇよ……)

垣根「……」

150: 2011/03/30(水) 22:54:09.91 ID:9gqM2Ms70
~5日後 とあるアイテムアジト~

滝壺「ねぇ、むぎの。次から体晶をグレープ味に変えてよ」

麦野「うーん」

滝壺「やった! 結構おいしかったからね」

麦野「うーん」

フレンダ(これは、使える!!)

フレンダ「私は麦野のこと愛してるんだけど、麦野も私のこと愛してくれてるのよね?」

麦野「うーん」

フレンダ「じゃあ今日一緒にお風呂入っても良い?」

麦野「うーん」

フレンダ「やたー!! これで麦野とふっふっふ……」ジュルリ

絹旗「もう5日なのにまだこの調子ですね……」

浜面「どうにかしなきゃなぁ……。たまにフラフラどこかへ出かけていくし」

151: 2011/03/30(水) 23:01:21.65 ID:9gqM2Ms70
麦野「ちょっと出かけてくるわ」

絹旗「またですか? 気をつけてくださいよ?」

麦野「うん」バタン

浜面「うーん、麦野がどこに行くのか見た奴はいるか?」

滝壺「私は知らないよ。ふれんだなら知ってるよね?」

フレンダ「それって私がストーカーってこと? 私の愛はプラトニックだから!!」

絹旗「ということは誰も知らないということですか……」

浜面「ちょっと後つけてみねえ?」

絹旗「やっぱ言うと思いましたよ。メルトの後は麦野ですか? 超節操がないんですね!」

滝壺「はまづら、残念だよ……」

フレンダ「結局、浜面ってキモいんだけど! 私の麦野で変なこと考えないでくれる?」

浜面「お前ら分かってて言ってるんだよな?」

153: 2011/03/30(水) 23:05:30.03 ID:9gqM2Ms70
 4人は少し離れたところから麦野の様子を確かめる

麦野「はぁ……」トボトボ

フレンダ「麦野ってば、またため息ついてるー。幸せが逃げちゃう訳よ?」

絹旗「まぁ、なんとなく予想してましたがやっぱりそうでしたね」

滝壺「9日前にめるとを拾ったところ」

 3人はため息混じりに肩を落とす

浜面「おや? お前ら、ちょっと見てみろ」

 麦野は何かを見つけたのか小走りになって、その場所へと向かう

絹旗「何か抱えてるみたいですね? ちょっとここからじゃ良く見えません」

フレンダ「何か嫌な予感がするわ……」

滝壺「むぎの、泣いてる。何か良いものでも拾ったのかな?」

浜面「あの麦野が泣いて喜ぶものでこの場所にあるっつーことは1つしかないだろ」

4人「「「「メルト!!」」」」

 4人は1人と1匹の元に駆けていった

155: 2011/03/30(水) 23:07:34.29 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

心理定規「アナタって本当に器用なのね? あの撃たれたネコ、どうやって直したの?」

垣根「俺に常識は通用しねえ。随分前から冷蔵庫になるいやーな夢を見ることがあってよ。
   もし本当にそうなった時に自分でメンテ出来るように精密機械の知識を取り入れておいたんだ」

心理定規「それでわざわざ直してアイテムに渡してやったってこと? 意外とお人良しなのね」

垣根「普通に渡した訳じゃないぜ。奴らにはメモリアルな再会を用意しておいた。おいしい所を残しといてくれたお礼だ!」

心理定規「ま、何でも良いけどこの子たちをどうにかしなさいよねー」

猫たち「「「「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー
    にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー
    にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー……」」」」」」」

ヘッドギアの少年「残ったネコを全部もらってくるとかwwww アジト内でネコ大繁殖www パネェwwwww」

砂皿「こうしてネコに埋もれてみるのも良いものだな。ふかふかで心地良い……」

垣根「よーしお前ら! メシだぞ!!」

猫たち「「「「「「「にゃーん!!!」」」」」」」

157: 2011/03/30(水) 23:10:25.14 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

一方通行「お前ら何やってンだァ!! ケンカするなって言ったろォがよォ!!」

海原「テクパトルもその辺にしておきなさい」

アクセル「にゃにゃあにゃんにゃーにゃー!」

テクパトル「にゃあにゃにゃにゃあ!」

一方通行「言い訳すンな!!」

土御門「一方通行の奴、ネコの言葉を理解してるぜい。俺も清明の言葉を理解できたらにゃー……」ナデナデ

清明「にゃ?」

結標「私はしょうたの言ってること分かるもんねー。 ねぇー、しょうたぁ」

しょうた「にゃー……」

海原「さて、自分は少し出かけてきます」

結標「妹さんの所だっけ?」

海原「ええ、たまには顔を見せないと怒るんですよ」

158: 2011/03/30(水) 23:13:35.76 ID:9gqM2Ms70

   ◇   ◇   ◇

メルト「にゃー♪」

麦野「メルト……、私のこと分かるのよね? 本当に良かった……。辛い思いさせてさせてゴメンね」

メルト「にゃー」スリスリ

絹旗「うわっ! 本当にメルトです! C級映画も超ビックリな超ご都合エンドじゃないですか!!」

麦野「何? アンタたち着いてきてたの?」

浜面「ああ、悪いな。でもこの際だから気にするのは止めようぜ!」

フレンダ「ライバル再登場って訳ね。良いわよ、やってやろうじゃない! 結局麦野は私のものなんだから!!」

麦野「はいはい」

浜面「何かうまく行き過ぎてる気がするが、大丈夫なのか?」

滝壺「大丈夫だよ、誰も悲しくならないならそれは最高のエンディング」

麦野「もうダメ、我慢できない! お前らも一緒に叫ぶわよ!」

メルト「にゃにゃー!!」

 にゃんにゃんむぎにゃんむぎにゃんにゃん!!!

159: 2011/03/30(水) 23:15:42.43 ID:9gqM2Ms70
学園都市は今日も平和です、といったところで終わりです
代理でスレを立ててくれた方、支援してくれた方、最後まで読んでくれた方、ありがとうございました
少し長くなってしまい、申し訳ありませんでした
最後のほうはもう少し色々出来たんじゃないかなと思いますが、これが私の実力でした
次はもっと良いものを書けるように努力したいと思います
また投下に来ます

一応前作
滝壺「早く体晶を飲まなきゃ…」ブルブル
浜面「しずりお姉ちゃん、だーい好き!」麦野「!?」キュン
一方通行「へンしン! ウルトラマンアクセルゥ!!」

ありがとうございました!

161: 2011/03/30(水) 23:19:08.67 ID:Ym341o840
乙!

引用元: 麦野「にゃんにゃんむぎにゃんむぎにゃんにゃん♪」