1: 2013/01/04(金) 01:18:35.36 ID:05ry8xGFO
―廊下―

シャーリー「ようようバルクホルン!」

バルクホルン「!」

シャーリー「これからトレーニングか? 精が出るな」

バルクホルン「そう思うなら、お前も少しは訓練しておけ」

シャーリー「いやぁ、私は本番に強いタイプだからな。ジェットストライカーの件だって……」

バルクホルン「……用が無いならどいてくれ。人を待たせているんだ」

シャーリー「人を? そっか……それなら今日は出直すか。悪いな、じゃ!」

バルクホルン「……」


8: 2013/01/04(金) 01:26:14.34 ID:05ry8xGFO
―ハンガー―

バルクホルン「悪いな、待たせた」

ルッキーニ「ぐー……」

バルクホルン「……」

バルクホルン「ルッキーニ、ルッキーニ。起きろ、バルクホルンだ」

ルッキーニ「ん、む……ふあぁ……」

バルクホルン「こんなところで寝てたのか?」

ルッキーニ「ん? いつもはあそこで寝るけど、バルクホルンじゃ見つけられないかなって」

バルクホルン「……そうか」

ルッキーニ「で……えーっと、なんだっけ?」

11: 2013/01/04(金) 01:33:45.72 ID:05ry8xGFO
バルクホルン「あ、あいつに」

ルッキーニ「え?」

バルクホルン「その……つまり、シャ、リベリアンに、何か礼をしないとと思ってな……」

ルッキーニ「シャーリーにお礼?」

バルクホルン「まがりなりにも命を救われた訳だし、それくらいの筋は通さないと……」ゴニョゴニョ

ルッキーニ「ああ、この前のストライカーのかぁ」

ルッキーニ「それで、シャーリーに何をしてあげたら喜ぶかっていうのを聞くために、あたしを?」

バルクホルン「そ、その通りだ!」

15: 2013/01/04(金) 01:42:44.42 ID:05ry8xGFO
ルッキーニ「うーん……なんだろ?」

バルクホルン「例えばルッキーニ、あいつの誕生日には何を贈ったんだ?」

ルッキーニ「んとね、肉かな」

バルクホルン「は?」

ルッキーニ「ウインナーとかステーキを持ってくとね、シャーリーが美味しく焼いてくれるんだよ! それを二人で分けて食べるの!」

バルクホルン「……他には?」

ルッキーニ「後は……バイクの改造を手伝ったり、それから一緒に遊びに行ったりするよ」

バルクホルン「バイクの改造……だと」

ルッキーニ「うん」

17: 2013/01/04(金) 01:50:39.52 ID:05ry8xGFO
バルクホルン(私に出来るか……? だが確かにあいつが喜びそうではある……)

ルッキーニ「それくらいかな」

バルクホルン「うむ……分かった。ありがとう、ルッキーニ」

ルッキーニ「にしし」

ルッキーニ「頑張ってね、バルクホルン!」ニヤッ

バルクホルン「なっ」

ルッキーニ「遊んでこよっと、じゃーね!」

バルクホルン「……」

バルクホルン「何なんだ……」

20: 2013/01/04(金) 02:01:59.26 ID:05ry8xGFO
―ガレージ―

バルクホルン(ここにいるはずだが)

「How lucky can one guy be?」

バルクホルン「!」サッ

シャーリー「I kissed her and she kissed me」

バルクホルン(随分機嫌がいいな……)

バルクホルン(って、隠れてどうするんだ! 話しかけないと、自然に、自然……)

バルクホルン「お、おい、リベリアン!」

シャーリー「!」

22: 2013/01/04(金) 02:09:36.39 ID:05ry8xGFO
シャーリー「あれ、訓練じゃなかったのか?」

バルクホルン「ちょうど終わったところだ」

シャーリー「ふーん? お前がここに来るなんて、初めてじゃないか?」

バルクホルン「ああ、いや……」

シャーリー「まあいいや。まさかわざわざ説教しに来たわけじゃないだろ」

バルクホルン「うむ、今日は別件でな」

シャーリー「……ンッン~♪」

バルクホルン「何か良いことでもあったのか? 向こうからでも鼻歌が聞こえたぞ」

シャーリー「ふふん、まあちょっとな」

24: 2013/01/04(金) 02:19:57.41 ID:05ry8xGFO
バルクホルン「……」

シャーリー「……」カチャカチャ

バルクホルン(どうやって切り出そうか……普通に『私にも手伝わせてくれ』で)

シャーリー「……」カチャカチャ

バルクホルン(いやしかしそれでは即戦力と見られかねんな。私はバイクはからきしだし、少し手伝うくらいしか)

シャーリー「バルクホルン」カチャカチャ

バルクホルン「! な、なんだ」

シャーリー「そこに突っ立ってるなら、こっち来て手伝ってくれよ」

バルクホルン「あ、ああ」

28: 2013/01/04(金) 02:35:38.56 ID:05ry8xGFO
――

シャーリー「……で、フレームに穴を開ける。これはバルクホルンに任せたぞ」

バルクホルン「よし、この印のとこだけだな?」

ギュイイイイン バキッ

バルクホルン「あっ」

――

シャーリー「……ホイールを交換するから、倉庫から一組持ってきてくれ」

バルクホルン「……分かった」

バルクホルン「はぁ……どこにあるんだ? 暗くてよく見えん、明かりは……」カチッ

バルクホルン「よしよし。む、これがホイールだな」ヒョイ

冬眠中の虫「」ウジャウジャ

バルクホルン「」

バルクホルン「うわあああああああ!」ホイールボコー

36: 2013/01/04(金) 02:50:06.00 ID:05ry8xGFO
―夕方―

シャーリー「結局、元の木阿弥だな」

バルクホルン「……」

バルクホルン(こうもことごとく失敗するなんて、確かに私は器用な方ではないが……)

バルクホルン(……いかにシャーリーと言えど、愛用のバイクをここまで傷つけられて黙ってはいまい)

バルクホルン(完全に評価が落ちた……いや、嫌われてしまったかも……まだ何もしてないのに)ウルウル

バルクホルン(こんな恩を仇で返すような真似をして、許してくれと言えるほど仲が良いわけでもないし……)ウルウル

バルクホルン「……シャーリー、す、すまな……」

シャーリー「よーし、じゃあ早速試運転だ! 乗れよバルクホルン!」

バルクホルン「え」

41: 2013/01/04(金) 03:05:12.82 ID:05ry8xGFO
バルクホルン「で、でも」

シャーリー「何だよ。お前と私が整備したコイツに、なんか不満でもあるのか?」

バルクホルン「そういうわけじゃ……」

シャーリー「へっ。お前がちょっとミスったくらいで壊れるほど、ヤワな単車じゃねーんだぜ!」

バルクホルン「……っ」

シャーリー「ほら早くはやく! 晩飯までに戻ってくるんだからな!」

バルクホルン「ちょ」

シャーリー「右手でベルト掴んで、左腕は私の腰に回せ」

バルクホルン「……こう、か」ムギュ

シャーリー「もっと抱き着く感じで……よし。行くぞ!」

ウォンウォォォォン

47: 2013/01/04(金) 03:15:00.29 ID:05ry8xGFO
―海沿い―

ブゥゥゥゥン

バルクホルン「も、もっとゆっくり走れ! 速度超過だぞ!」

シャーリー「誰も見てなんかいないって! イエー!」

バルクホルン「くっ、このスピード狂め……!」ギュッ

シャーリー「……なんだ、ストライカーは平気なのにバイクはダメなのか? 変な奴だな」

バルクホルン「お前が運転してるのが不安なんだ!」

シャーリー「はっはっは! カールスラント軍人たるもの、これくらいで尻込みしてちゃダメだろ!」ウォォォォン

バルクホルン「うわあああ!」

49: 2013/01/04(金) 03:22:01.04 ID:05ry8xGFO
シャーリー「ふう、ちょっと休憩するか?」

バルクホルン「」グッタリ

シャーリー「……やりすぎたかな」

バルクホルン「……はぁ」

シャーリー「……ふ、ふふ」

バルクホルン「何だ……?」

シャーリー「いや、ふへへへ」

バルクホルン「お前、大丈夫か?」

シャーリー「……」

シャーリー「なあ、バルクホルン」

バルクホルン「?」

53: 2013/01/04(金) 03:38:45.81 ID:05ry8xGFO
シャーリー「良かったよ、こうしてお前と二人になれてさ」

バルクホルン「ああ、たまには……」

シャーリー「へへ……もしこの時間が幸せじゃないって言うなら、きっと私は病気だな」

バルクホルン「なっ」

シャーリー「凄いよ……さっきから、頭がくらくらするほど舞い上がってるんだ。ふふっ、笑いが止まらないのもそのせいさ」

バルクホルン「シャーリー……?」

シャーリー「もしこれが、私の……いや、私とバルクホルンの最初の一歩だってなら……」

シャーリー「私の人生、凄いことになるに違いない! なあバルクホルン!」

57: 2013/01/04(金) 03:48:31.81 ID:05ry8xGFO
バルクホルン「……」ドキドキ

バルクホルン(今日、この最高の時間が、私とシャーリーの始まりの瞬間だというなら……)

バルクホルン(……これ以上の幸福なんて、あろうはずもない!)

シャーリー「ん? 寝てるのか?」

バルクホルン「……起きているぞ」

シャーリー「そっか……残念」

バルクホルン「残念って……な、何をする気だったんだ貴様!?」

58: 2013/01/04(金) 03:49:57.33 ID:05ry8xGFO
シャーリー「まあいいや。さ、帰ろうぜ」

バルクホルン「……うむ」

シャーリー「帰ったら、たっぷり教えてもらうとするさ」

バルクホルン「何をだ?」

シャーリー「愛ってのは、頭に蹴りを食らうようなもんなんだろ?」

バルクホルン「っ……お、降ろせ! 私は歩いて帰る!」

シャーリー「お前が歩いて帰るまで、私に待ち続けろってのか? お断りだ!」

シャーリー「早く教えてくれよバルクホルン、人を好きになるってことの衝撃を!」



おわり

59: 2013/01/04(金) 03:50:09.42 ID:cueI8I+l0
押し倒し女房シャーリーちゃん

60: 2013/01/04(金) 03:50:58.73 ID:+fuG4UFp0
シャーリー積極的でお姉ちゃんタジタジだな

61: 2013/01/04(金) 03:51:28.98 ID:05ry8xGFO
Dean Martin
『Ain't That a Kick in the Head?』
が元ネタでした
支援サンクス
おやすみ

63: 2013/01/04(金) 03:54:47.29 ID:M89zsCJC0

引用元: シャーリー「愛ってのは頭に蹴りを食らうようなもんなんだろ?」