1: 2015/03/27(金) 12:04:39.71 ID:SrWIwyHs.net
ことり「う、海未ちゃん何してるの...?」

海未「...」

4: 2015/03/27(金) 12:07:55.40 ID:SrWIwyHs.net
海未「...(まずい、何か言い訳をしなければいけないのに私はスカートを膝まで下ろしパンツも下ろして半ケツ状態)」

ことり「海未ちゃんが持ってるのって...こんにゃくだよね?」

海未「...」

海未「...あれ、私はどうしてこんにゃくを持ってるのでしょうか」

ことり「!?」

7: 2015/03/27(金) 12:14:34.75 ID:SrWIwyHs.net
海未「あれ、しかも私、パンツもスカートも下ろしてなんて破廉恥な格好なのでしょう」アセアセ

ことり「...」

海未「あぁ、そ、そうでした。 着替えの途中にこんにゃくが......こんにゃくが服から出てきて焦ってしまったのでした」パンツあげあげ

ことり「...」

海未(言い訳が酷すぎてことりの目が痛い。あれは完全に私を信じていない目ですね)

海未「...あはははやだなぁもう私ったらーこんにゃく1つで狼狽えるとは情けない」あはははは

風ビュー

ピラピラピラ

ことり「あれ、なんか写真が」ひょい

海未「!?」

9: 2015/03/27(金) 12:20:12.73 ID:SrWIwyHs.net
ガシッ

ことり「きゃっ!?」

海未「あ、う、腕をいきなり掴んでしまってすみません!?」

ことり「え、ど、どしたの。海未ちゃん、そんなに慌てて」ドキドキ

海未「あ、ちょ、ことり、その写真を見るのはやめ、やめましょー、やめた方がいいです」

ことり「え、なんで? これ何が写ってるの?」

海未「いや、別に何も写ってないんですけど、そのなんていうか、辛いんで、
ことりに見られると辛いんでやめましょう」汗ダラダラ

ことり「むぅー。 海未ちゃんにそう言われると気になっちゃうなぁー」

海未「あー、そのなんていうかあれなんですよそれ、心霊写真なんですよ。見ると呪われる系の」汗ダラダラ

ことり「えっ、怖いのはちょっと嫌かも...」

海未「で、でしょう!? だから、ね、ほら、ことり。私にその写真をおとなしく...」

ことり「でも気になるから見ちゃうー!」

ぺらっ

海未「ああっ!?」

10: 2015/03/27(金) 12:26:53.85 ID:SrWIwyHs.net
ことり「...」

海未「(んぁああああ!? んぁあああああああああ!? ことりに見られたぁああああああん!?)」

ことり「...海未ちゃんこれ」

海未「...」

ことり「ことりが水着着てる写真」

海未「...」

ことり「...」

ことり「...これ、海未ちゃんの前にあった机の上から風で飛んできたよね」

海未「...」

海未「...え、そうですっけ」

ことり「海未ちゃん、...今何してたの?」

海未「...」

11: 2015/03/27(金) 12:32:40.71 ID:SrWIwyHs.net
私は正直にことりにこんにゃくでお尻を叩いていたことを言いました

ことり「...なにやってんの、海未ちゃん」

海未「いや、何やってるのと聞かれたら『こんにゃくでお尻を叩いてた』としか言えないんですけど」

ことり「ふぅーん。 まさか海未ちゃんにこんな趣味があったなんてねぇ」ニヤニヤ

海未「...その笑い方、下品ですよことり」

ことり「食べ物でお尻を叩いてた海未ちゃんに言われたくないよ」

海未「...そう言われるとぐうの根も出ません」

ことり「ねぇ、どうして海未ちゃんはこんにゃくでお尻を叩いてたの?」

好奇心をまとったことりの2つの眼がぐっと私を覗き込みます

......ダメです、そんなに見られては

海未「こ、ことりは、そのっ」

ことり「?」

海未「気持ち悪いとは思わないのですか?」

12: 2015/03/27(金) 12:38:33.37 ID:SrWIwyHs.net
ことり「気持ち悪い? 何を?」

海未「...こ、こんにゃくでお尻を叩いてた...私のことを、です」

ことり「うーん、どうかなぁ」

海未「(あぁ、もう絶対に嫌われてます。こんな風にかわいく悩んでる仕草してますけど、ことりだって1人の女の子ですから。心の中では私のことを軽蔑したに違いありません)」

ことり「んとね、メイド喫茶でバイトするようになって、いろんな趣味の人と接するようになったせいか、ことり、こういうの抗体ついちゃったみたいなんだよねぇ」

海未「...」

ことり「だから、別に海未ちゃんのこと、気持ち悪いとは思わないよ」ニコッ

海未「...」

海未「...」

海未「(...天使がおられます)」ジーン

ことり「もっとすごい人も世の中にはいるからねぇ」

15: 2015/03/27(金) 12:43:39.79 ID:SrWIwyHs.net
海未「......ぐっ」ポロポロ

ことり「えっ、どうしたの!? 海未ちゃん!?」

海未「す、すみません。てっきり、ことりに愛想を尽かされ、心から蔑ませると思っていたので、そのような優しい言葉をもらって...涙が」ポロポロ

ことり「えぇー、そんなぁー、大げさだよぉ~海未ちゃんは。よしよし」なでなで

海未「つぅ......、あ、ありがとうございます、ことり」ポロポロ

海未「(ことり...なんて優しいのですかあなたは...そんなにむやみやたらと優しくされてしまうと私は...私は...はっ)」ポロポロ

ことり「で、ことりの写真は一体何に使ってたのかな海未ちゃん」

海未「...」

20: 2015/03/27(金) 12:51:14.47 ID:SrWIwyHs.net
海未「(ごふっ...一難去ってまた一難とはまさにこの状況を言うのでしょうか)」

ことり「ねぇーねぇー海未ちゃんはことりの写真で何してたのー?」ニヤニヤ

海未「...えと、その...///」

ことり「ことりの水着写真で何してたのー?」ニヤニヤ

海未「...くっ///(ことり、これわかって聞いてきてますね)」プルプル

21: 2015/03/27(金) 12:54:58.31 ID:SrWIwyHs.net
ことり「恥ずかしくて言えない? 」

海未「...は、はい」

ことり「海未ちゃん、ことりの写真で恥ずかしくて言えないことしてたの? いつも『破廉恥です』って穂乃果ちゃんや絵里ちゃんや希ちゃんを叱ってる海未ちゃんが、恥ずかしくて言えないことしてたの?」

海未「......(言葉攻めですか)」

海未「......(こういうことりもいいですね。次はこのシチュでやりましょうか」ぼそっ

ことり「ん? なに?」

海未「いえ、なんでもないです(思わず口に出てました)」アセアセ

24: 2015/03/27(金) 13:02:58.00 ID:SrWIwyHs.net
ことり「んー、じゃあ質問を変えちゃおっかなぁ。破廉恥な質問だと海未ちゃんは恥ずかしがっちゃうから。破廉恥なことはちゃっかりしてるのに」

海未「そ、そういう言い方は卑怯です...」

ことり「ことりの写真勝手に使ってる方が卑怯です」

海未「つ、使っ...///」かぁああ

ことり「もう、このタイミングで恥ずかしがられても純情も何もあったものじゃないんだからね、海未ちゃん」

海未「...す、すみません」

ことり「まったく」はぁ

海未「(ことりに呆れられてる...)...それで、質問っていうのは」

ことり「質問はねぇ。これはすっごく大切な質問だから、海未ちゃんの返答次第ではことりはすっごく怒ります」

海未「えっ」

ことり「本当に怒るからね? 誤魔化してもダメだし、答えるまで海未ちゃんは帰れません」

海未「...そ、そんな」

ことり「ことりの写真を何に使ってたか素直に言わない海未ちゃんが悪いんだからね」プリプリ

海未「(ことり、なんかすでにおこってないですかこれ)」ビクビク

27: 2015/03/27(金) 13:28:05.20 ID:SrWIwyHs.net
ことり「こほん。 ねぇ、海未ちゃん」

海未「は、はいっ!」ドキドキ

ことり「どうして、ことりの写真なの?」

海未「!?」

ことり「海未ちゃんの立場ならさ、穂乃果ちゃんでも絵里ちゃんでも真姫ちゃんでも、ううん、μ'sのメンバーに限らなくったって、弓道部の子でもさ、誰の写真でも手に入れようと思えば手に入れられるでしょ?」

海未「...」

ことり「違う?」

海未「...そう、ですねぇ...」

ことり「うん、だよね。 じゃあ、どうしてそういう整えられたバッチグーな環境にいる海未ちゃんは、わざわざことりの写真を選んだんですか」

ことり「これが、ことりの質問」

海未「...」

34: 2015/03/27(金) 13:41:49.48 ID:SrWIwyHs.net
海未「(くっ、これは、ことりは私の気持ちを知っていてこういう質問にしているのでしょうか)」

海未「(だとしたらすっごく恥ずかしくてとんでもないんですが)」

海未「(ううっ...突発的な性欲に襲われて誰もいないことをいいことに生徒会室で予備こんにゃくを用いてことに及んでしまったあの時の私にラブアローをぶっ放してやりたいです)」

海未「(ここはスキをついて逃げ出すのもまた策なのでは)」

海未「...」

海未「...」チラッ

ことり「...」じいっー

海未「(ガン見されてました。これは逃げられません)」ドキドキ

海未「(...あぁ、これなら『こんにゃく使ってことぬーしてました』と素直に申し出て、ことりの中での清らかな園田海未像を壊しにかかった方がまだマシでした)」

海未「(い、言ってしまうのですか...私。こ、ことりに...言ってしまうのですかっ!?)」ごくりっ

海未「(...えっ、でも返答によってはすっごく怒るってことりは言ってましたよね)」はっ

海未「(...つ、つまり)」

36: 2015/03/27(金) 13:58:49.08 ID:SrWIwyHs.net
~~~~~

海未「じ、実はっ、わたくし、そっ、園田海未! かねてよりことり、のことがす、好きだったんですぅ」

ことり「うっ、海未ちゃんっ!?」

海未「こっ、ことりっ、、す、好きです!!」

ことり「そんな、酷いよ」

海未「えっ」

ことり「私はずっと海未ちゃんのこと幼馴染だって思って接してたのに、海未ちゃんはそうじゃなかったんだね。酷いよ、海未ちゃん。ことり、怒った」

海未「そっ、そんな、こ、こと、ことりっ。私は、私は......!!」

ことり「いやっ、海未ちゃん嫌いっ触らないでっ」

ことり「このこんにゃく女っ!」

海未「」がーん

39: 2015/03/27(金) 14:02:31.60 ID:SrWIwyHs.net
~~~~~

海未「ぐっ」胸ずきっ

ことり「海未ちゃん、どうしたの?」

海未「あ、言え。な、なんでもないです」ずきずき

ことり「そう? 顔色悪いけど」

海未「は、はい。 (...あなたに拒絶されたことを想像して胸が痛いだなんてこと、とてもじゃないけど言えませんよ)」ずきずき

海未「(あ、このまま具合が悪いことにしてこの場を退散するというのは)」パァアア

ことり「...まぁ、質問に答えてくれるまで具合悪くなっても帰さないけどね?」

海未「...」

40: 2015/03/27(金) 14:17:42.49 ID:SrWIwyHs.net
キンコーンカーンコーン

『最終下校時刻となりました。残っている生徒は速やかに下校してください』

海未「(しめたっ。これでこの場から逃れることができます)」

ことり「海未ちゃん今『しめたっ』て思ったでしょ」

海未「そ、そ、そんなこと思ってませんよぉお?」オドオド

ことり「ほんっと、かなぁ~?」

海未「ほ、ほんっとです、よ、よぉ~」ビクビク

ことり「でも、下校時刻は守らなきゃダメだよね。生徒会の役員が校則破ったなんて知られたら絵里ちゃんたちに申し訳ないし」

海未「!」

海未「ですよね!! 私もそう思ってたところです!! 」

ことり「中には誰もいないことをいいことに生徒会室で変なことしちゃう子もいるみたいだけどー」じーっ

海未「...うぅう///」かぁああ

ことり「はぁ。 じゃあ、海未ちゃん。今日は帰ろっか」

海未「!!」パァアア

ことり「一緒にことりのお家いこー、ねっ?」ニコッ

海未「...(あ、これ本当に逃げられないやつだ)」

42: 2015/03/27(金) 14:26:27.94 ID:SrWIwyHs.net
海未「じゃ、じゃあ帰りますか......」

ことり「その前に海未ちゃん」

海未「?」

ことり「スカート、ちゃんと履いて。あと、こんにゃく捨ててよ」

海未「あ...(そういえば私、パンツあげただけで今までスカート下げて片手にこんにゃく持ったままでした)」

海未「す!すみません!? すぐに片付けますからっ」ハキハキ

ことり「...ねぇ、こんにゃくはどうするの? 持って帰るの?食べるの?」

海未「いえ、そんな食べるなんて!! その......しっ、使用したこんにゃくはいつもアルパカに食べさせてます///」かぁああ

ことり「...」

45: 2015/03/27(金) 14:36:06.33 ID:SrWIwyHs.net
アルパカ小屋

海未「そぅら! 今日のこんにゃくですよっ!」どさどさ

アルパカ「」まぐまぐはむはむ

ことり「えっ!? ちょっと!? 最近見慣れない小袋をたまに持ってきてると思ったらこんにゃく!?」

海未「はい。そうですよ?」

ことり「...頭が痛くなってきた」

海未「え、大丈夫ですか? ことり。今日はもうお互いに家に帰って大人しく寝たほうが」ウキウキ

ことり「なんでちょっとウキウキしてるの。頭痛の原因は海未ちゃんだから大丈夫だよ」

アルパカ「」もしゃもしゃくっちゃくっちゃ

ことり「すっごい美味しそうに食べてる...」

海未「こんにゃくの処理に困っていて、切り刻んでトイレに流したこともあったのですが、『あぁ、こんにゃくって材料こんにゃく芋じゃないですか!』と閃いてからは早かったです」

海未「次の日には溜め込んでいたこんにゃくをアルパカに食べさせてみて...。はい、ビンゴでした」

ことり「...そう。花陽ちゃんが『最近アルパカさんの毛並みが良くなった』って言ってたよ」

海未「ふふん。お役に立てて光栄です」ドヤァ

49: 2015/03/27(金) 15:07:06.14 ID:SrWIwyHs.net
アルパカ「」ぐにゅぐにゅちゃぷちゃぷ

ことり「なんか海未ちゃん、生き生きしてるね」

海未「えっ! そ、そ、そ、そんなことないですよっ!?」

ことり「生徒会室にいた時はあんなにオドオドしてたのに、今すっごいドヤァってしてたよ?」

海未「あぁ、だって...。こんにゃくのことはもうバレてしまったから...いまさら、仕方ないじゃないですか」

ことり「...開き直るところが違うんじゃないですかぁ~。そのださぁ~ん」ツンツン

海未「うぐっ...。ツンツンやめてください、ことり」

アルパカ「」ごっくん

ことり「もう。ほら、アルパカさんもご飯終わったから帰ろう、海未ちゃん 」ぐいっ

海未「ちょ!? こ、ことりっ!? 腕、腕!?////」

ことり「だって腕ぎゅーってしとかないと海未ちゃん逃げるでしょ?」

海未「うぐぐ...(お見通しされています)///」

海未「で、ですが...恥ずかし...いですよ...///」

ことり「教室でこんにゃくでお尻ペチペチしてる方が恥ずかしいから大丈夫っ!」

海未「」

ことり「ほら、海未ちゃん!!ちゃんと歩くっ!」ずるずる

61: 2015/03/27(金) 19:53:03.64 ID:SrWIwyHs.net
帰り道

ことり「穂乃果ちゃんもお店の手伝い大変だよねぇ」

海未「穂乃果の家が和菓子屋で良かったと授業中に寝ている穂乃果を見るたびに切に思います」

ことり「そんなこと言わないであげて海未ちゃ~ん。ダンスの練習で穂乃果ちゃんも疲れてるんだよっ」

海未「...ですね。穂乃果がいなければ今頃学校は廃校になってたでしょうし。μ'sのみんなとも仲良くはなれていなかったでしょうね」

ことり「...」

海未「穂乃果がいてくれて良かったと心から思います」シミジミ

海未「明日はみんなの予定が合わなくて土曜日ですが練習はお休みですから、穂乃果も、それに穂乃果だけではなくメンバーには身体を休めて日頃の疲れを癒してもらいたいですね」ニコニコ

ことり「...」

ことり「(...穂乃果ちゃんやみんなのことばっか。こんなに近くにいるのに海未ちゃんは別にことりのことなんて、自由に使える写真の提供者でしかないのかなぁ)」

ぎゅー

海未「...あれ、ことり? どうかしました?さっきから何も言ってくれませんが」

ことり「ううん、なんでもないよ」

ことり「(悩んでても仕方ないよね。今日こそ海未ちゃんの気持ち...きっかけはこんにゃくだけど...確かめないと)」

ことり「そうだ、海未ちゃん」

海未「なんですか?」

ことり「明日はお休みだし、もうこのままことりの家でお泊まりしようよ~」

海未「えっ、お、お、お泊まり!?」

ことり「うん。ダメかなぁ。今日はお母さんこの後学校関係のお付き合いで遅くなるらしいんだよね。家で一人でご飯食べるの寂しいし。ね、海未ちゃん。おねがぁ~い」

海未「...うっ、...(そんな上目遣いで見つめないでください、ことり。私はあなたを使ってことにーしていたのですよ)」ずきっ

海未「(...罪悪感がいまさら胸を締め付けます)」ずきずき

ことり「まぁ、どうせ海未ちゃんに拒否権はないんだけどね」

海未「えっ」

ことり「よし、じゃあ先に海未ちゃん寄ってからことりのお家行こうか」ごー!

63: 2015/03/27(金) 20:15:56.84 ID:SrWIwyHs.net
海未「そ、そんな、拒否権がないだなんて...」

ことり「海未ちゃん。拒否したらみんなに言うから」

海未「...」

ことり「『何を言う』とは言わないけど、頭のいい海未ちゃんならわかるよねっ?」

海未「...はい。話の流れからその内容はもちろん...わかってますよ」

ことり「...ことり、本気だからね」ぎゅっ

海未「は、はい...?」

海未「(ことりの言うことを聞かなければ本気で、みんなに言うということでしょうか)」

海未「ことり」

ことり「?」

海未「(私があなたのお願いを断れない事ぐらいあなたは知ってるでしょう? 私には最初からことりに対しての拒否権など持ち合わせていないのですよ)」

海未「...///」

海未「...(こんなこと恥ずかしくて言えません)」

海未「私の家、行きましょうか」はぁ

ことり「ふふっ。そうこなくっちゃ、海未ちゃん」

64: 2015/03/27(金) 20:37:55.86 ID:SrWIwyHs.net
海未の家

海未「準備してくるのでここで少し待っててください」

ことり「はぁーい」

海未「(はぁ...どうしてこんなことになってしまったのでしょうか)」ごそごそ

海未「(生徒会室で催してしまったのがそもそもの始まりですよね...)」ぬぎぬぎ

海未「(うぅ、でも仕方がなかったんですあれは。不意に来る禁断症状には抗えません。最近忙しくてこんにゃくでペチペチする暇もありませんでしたから)」えーっと、これでいいか

海未「(...それにしてもこれからどうしましょうか。ことりの家に行くことになってしまいましたが、逃げることもできず)」ねまきをわすれてました

海未「(どうしてことりの写真を使っていたのかを言わなければならないなんて。こういう気持ちを糧道を断たれるというのでしょうか)」あとは

海未「家に帰りたい...」

海未「(...家に居るのに家に帰りたいだなんて思うなんて、ふふ、意味がわかりませんね)」さてとあとは

海未「こんにゃく持って来ましょう」

68: 2015/03/27(金) 21:24:37.67 ID:SrWIwyHs.net
海未「お待たせしました、ことり。行きましょうか。母にことりの家に泊まる許可も得ました」

ことり「よかったぁ。じゃあ、行こう...ん?」

海未「どうかしましたか?」

ことり「ねぇなんでこんにゃく袋持ってきてるの」

海未「えっ、だって、こんにゃくが無いと夜眠れませんから」

ことり「...?」

海未「いや、そんな、真姫みたいに意味わかんないみたいな顔しないでくださいよ」ワロス

ことり「...(私、こんな人好きになってしまって大丈夫なのかなぁ)」

ことり「ちょっとことりは不安になってきました」

海未「?」

69: 2015/03/27(金) 21:45:02.90 ID:SrWIwyHs.net
ことりの家

ことり「じゃあ、ご飯作ってくるから部屋でのんびりしててね」

海未「私も手伝いますよ?」

ことり「ううん。今日はことりが作りたい気分だから、大丈夫だよ」

海未「そうですか。わかりました。では、部屋で休まさせていただきます」

ことり「何か食べたいものある?」

海未「食べたいもの、ですか」うーん

海未「あぁ、こないだにこと『ことりの作ったオムライスは美味しそう』と話をしていたので、本当かどうか食べてみたいです」

ことり「えっ。に、にこちゃんと海未ちゃんっていつもそんな話してるの?」ドキッ

海未「そうですねぇ。ミナリンスキー?でしたっけ。その方の武勇伝をにこがたまーにしてくれるもので」

ことり「...そ、そうなんだ」

ことり「(海未ちゃんが私の知らないところで私の話を)...///」

ことり「(いけない、顔が赤くなってるの気づかれちゃう)」

ことり「じゃ、じゃあ、オムライス作ってくるネっ」だっ

海未「はい。お待ちしてます...って、もういない」ぽつん

海未「...さて、なにをしましょうか」

海未「数学の課題でもしておきましょうか」がさごそ

79: 2015/03/28(土) 15:52:49.33 ID:/ttxxDfw.net
海未「教科書とノート一応持ってきておいて良かったです」かきかきかき

海未「...」かきかきかき

海未「...」かきかきかき

海未「...」かきかきか

海未「...むっ。ちょっとここは解き方がよくわかりませんね」キョロキョロ

海未「勝手に使って申し訳ないですが、ことりの青チャートをお借りしましょう」

海未「えーっと...256ページですか」ペラペラペラペラ

バサササササ

海未「わわわ、ページをめくりすぎました...315ページ」

海未「ん? 何かページ数の横に書いてありますね」


315 好き


海未「...」

海未「...えっと、これは一体どういう...」

海未「...315...さいご? 最後が好きってことでしょうか」ふむ

海未「...315といえば、私の誕生日が3月15日ですけどね」あはは

海未「...」

海未「///」かぁああ

海未「いやいやいや、そんなそんな、ことりが私を好きなわけがないじゃないですか!! この考えはあまりに安直すぎますっ!!!」はわわわ

海未「か、課題の続きでもしましょうっ!?」ばばっ

81: 2015/03/28(土) 16:02:21.42 ID:/ttxxDfw.net
海未「...」かきかきかき

海未「...」かきかき

海未「...」かき

海未「...」



海未「(いけません。ペチペチしたくなってきました)」

ちらっ

海未「(ことりが料理を作り始めて15分...。どうでしょうか。手際の良いことりのことだからそろそろ全て作り終えて私を呼びにくるかもしれません)」

海未「(し、しかし...ことりの部屋で1人きりになるチャンスはおそらく今を逃したら残るはことりがお風呂に入っている時)」

海未「(ご飯を食べて、お風呂に入るまで...それまでこのペチペチ欲求を我慢できますか、私...)」

海未「...」

海未「...」

海未「あ、無理です」

すくっ

海未「(ことりの料理が終わる前に私がペチペチを終わらせればいいだけのことです)」ハァハァ

がさごそ

海未「くふふ...ドライアイス入れてきましたからね。特別冷え冷えですよ」ハァハァ

びりっ ぬるるる

海未「...あぁ、流石、流石です。この艶、この質感!! 何物にも変えられませんッ」ハァハァ

海未「...」ぬぎぬぎ

海未「...」ごくり

海未「...いざっ、参るっ!」

84: 2015/03/28(土) 16:17:30.33 ID:/ttxxDfw.net
ことり「よぉーし! メイド喫茶で鍛えたオムライス!! 海未ちゃんに食べてもらうぞぉー!」

ことり「(とは言っても、やることってそこまでないよね、オムライスって)」

ことり「(ご飯は朝炊いて冷凍したのチンしてる間にミックスベジタブルを炒めてっと)」カンカンジュージュージュー

ことり「あ、鶏肉とマッシュルームがあるからこれも入れちゃお~」トントンジュージュー

ことり「(十分炒めたらケチャップを入れて、温めたご飯を入れてー、塩コショウで味付けしてお皿に盛り付けて、っと)」モリモリ

ことり「(油を改めて引いて、といたタマゴを流してー)」じゃー

ことり「...」グルグルグル

ことり「...」トントントン

ことり「...ほっ」トンッ

ことり「(あとはこれをライスの上に)」ストンっ

ことり「...えへへーっ。うまくできたー」

ことり「スープは...冷凍保存してたのがあったからそれを温めて...あとは...海未ちゃん、和食好きだから、ほうれん草の胡麻和えでも作っとこうかなっ」

85: 2015/03/28(土) 16:30:12.52 ID:/ttxxDfw.net
海未「(今日はことりの写真を持ってくる勇気はありませんからね)」

海未「(私の想像力が重要となってきます)」

海未「(目を閉じて神経を集中するのです)」むんっ

海未「(...今日はどうしましょうか...ことり...ことりの...いや、違うっ...ことり...ことり、ことり...n...ことりに...そうだ、ことりに)」

海未「(ことりに...水着...はいつものパターンですね。...うーん。せっかくですから、今の状況を活かすようなものがいいのですが)」

海未「(あぁ、こうしている間も刻一刻とことりが料理を作り終えてしまうっ。くっ、い、急がないとっ!?)」汗タラッ

海未「(料理を...料理...はっ!! )」ピコーン

海未「(料理をしていることり!! そうだ、エプロンをつけていることりにペチペチされているというシチュにしましょう!!)」よしっ

海未「(ことり『もう海未ちゃんったらぁ~。こういうのが好きなのぉ~』)」ベチッ

海未「(海未『ああっ!!は、はじめは弱くお願いします、ことりっ!!』)」ベチッ

海未「(ことり『こ、これくらいかなっ?』)」ペシッペシッ

海未「(おぅ、いえすっ! おぅ、いえすっ!ですことりっ!! あなたは筋がいいですっ!!)」ペシッペシッ

ペシペシ

ペシペシ

ペシペチン

ペチペチ

ペチペチ

ペチペチ

海未「(あぁ、ももう、気持ちよすぎて...だ、だ、めです、こ、とり、こ、こ、」ハァハァハァハァ

ガチャ

ことり「海未ちゃーん。ご飯でき」

海未「ことりぃいいいいいいいいいいい!!?!?!?」

88: 2015/03/28(土) 16:43:32.23 ID:/ttxxDfw.net
ことり「...たよ......」

海未「う、ぁ、あ、ああ、あ」

ことり「...」

海未「あ、あ、...えと、その...」

ことり「...」

海未「ううっ...」ガクガクブルブル

窓ガラッ

海未「(くっ!! 許せこんにゃく!!)」

海未「ふんっ!?」こんにゃくぶん投げ

ことり「!?」

海未「」パンツグイッ

海未「...」

海未「おっ! ことり! 夕食ができたのですかっ!! では、冷めないうちにいただましょうかっ!」ニコッ

ことり「...えっと、その、...いろいろ言いたいことはあるんだけど、そ、そうだね」

階段下り下り

海未「...」

ことり「...」

海未「...(位置的にことりが先に階段を下りるのは当たり前なんですが、こう、無言で降りられると、怖くてたまりませんね)」ガクガクブルブル

ことり「...」

海未「...(咄嗟に窓からこんにゃくぶん投げてしまったのですが、こんにゃくには悪いことをしてしまいました。まぁ、あと2つ持ってきているのでいいのですが)」ハァ

89: 2015/03/28(土) 16:57:13.81 ID:/ttxxDfw.net
ことり「...食べよっか」

海未「ですねっ! わぁー! ことりが作ってくれたオムライス、美味しそうですっ!」

海未「(お、オムライスの上に...UMIって書いてあります...)」

海未「(感激です...)」じーん

ことり「...喜んでくれて嬉しいよ」

海未「じゃあ、いっ、いただきますねっ!」

ことり「うん。召し上がれ...」

海未「...」もぐもぐ

ことり「...」もぐ

海未「(ものすごく気まづいです...。生徒会室で見られた時以上に空気が重たい...)」チラッ

ことり「...」もぐ

海未「...」もぐもぐ

ことり「海未ちゃん」

海未「は、はいっ!!」びくっ

ことり「そ、そんなびっくりしなくても」

海未「す、すいません...」ガクガクブルブル

ことり「...どうかな。ことりの作ったオムライス美味しい?」

海未「はい。とっても美味しいですよ。...これはにこに自慢しないといけない美味しさです」もぐもぐ

ことり「そっか。...海未ちゃんに喜んでもらえて良かったです」ふふっ

海未「...あっ///」ドキッ

90: 2015/03/28(土) 16:57:39.94 ID:/ttxxDfw.net
ことり「こっちのほうれん草も食べてみて。海未ちゃんの口に合えばいいんだけど」

海未「は、はい」もぐもぐ

海未「...う、うん。とても柔らかくて美味しいです。これもことりが?」

ことり「よかった。...うん。海未ちゃん和食好きだから。オムライスともう一品って思ってね」えへへ

海未「...うっ///」ドキドキっ

海未「(ことりが可愛すぎて、心臓の拍動が...)」ドキドキっ

海未「こ、ことりは料理が上手ですねっ」ドキドキっ

ことり「あ、ありがとうっ。海未ちゃんにそう言ってもらえるととっても嬉しいなっ...」えへっ

海未「~~~!!///」ドキドキ

ことり「...」もぐもぐ

ことり「じゃあ、料理の感想も聞いたことだし」

海未「は、はいっ!!///」ドキドキ







ことり「さっきの部屋でのこと説明してもらおうかなっ、海未ちゃん」にっこり

海未「(真顔)」

93: 2015/03/28(土) 17:04:44.94 ID:/ttxxDfw.net
海未「...」もぐもぐ

ことり「...」

海未「...」もぐ

ことり「...」

海未「...」ごくん

海未「こ、ことりの部屋で...こ、こんにゃくキめてました」

ことり「生徒会室でしてたのに...またしてたんだね...」

海未「ど、どうしても我慢ができなくなってしまって...」

ことり「我慢ができない...ねぇ、海未ちゃん、普段こんにゃくでその...おしり...叩くのどれくらいしてるの...?」

海未「...」

ことり「...」

海未「...日です」ボソッ

ことり「えっ、ごめん。聞こえなかったからもっと大きな声で」



海未「毎日ですっ!!!!」

96: 2015/03/28(土) 17:11:01.45 ID:/ttxxDfw.net
>>93

海未「...」もぐもぐ

ことり「...」

海未「...」もぐ

ことり「...」

海未「...」ごくん

海未「(味がわかる...よし、私はいたって正常です)」

海未「こ、ことりの部屋で...こ、こんにゃくキめてました」

ことり「生徒会室でしてたのに...またしてたんだね...」

海未「ど、どうしても我慢ができなくなってしまって...」

ことり「我慢ができない...ねぇ、海未ちゃん、普段こんにゃくでその...おしり...叩くのどれくらいしてるの...?」

海未「...」

ことり「...」

海未「...日です」ボソッ

ことり「えっ、ごめん。聞こえなかったからもっと大きな声で」



海未「毎日ですっ!!!!」

97: 2015/03/28(土) 17:16:31.58 ID:/ttxxDfw.net
ことり「ま、毎日...。海未ちゃん、毎日こんにゃくでお尻叩いてたの...!?」

海未「...そうです。でも、ちゃんと私は自分の役目は全うして、その後の自分の自由時間にこんにゃくで身を清めてるんです」ふんっ

海未「誰にも(こんにゃく費が我が家の家計を圧迫しかけているという事実はありますが)迷惑かけてません」

ことり「...」

ことり「...どうして、どうして海未ちゃんはこんにゃくでお尻を叩くようになったの?」

海未「...」

101: 2015/03/28(土) 17:48:10.17 ID:/ttxxDfw.net
海未「剣道、日舞、弓道、勉学に、生徒会の活動、そしてμ'sの活動」

海未「現在の私の日常はとても充実し、鍛錬と己の弱点の克服により、さらなる高みを目指す毎日です」

海未「...始めは自ら望んだわけではなかったですが、このような充実感と達成感のある日々をいつしか私は自分から求め始め、そして、自分で設定した目標を掲げ、日進月歩。日々努力を重ねてきました」

ことり「...そうだね。ことり、ずっとそばにいたから海未ちゃんがどれくらい一生懸命、全部のことを手を抜かないで取り組んでいるのか知ってるよ」

海未「そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます、ことり」

海未「そう。そうなんですよね。ことりや穂乃果。もちろん2人だけでなく、絵里、真姫、にこ、花陽、凛、希と、年齢の垣根を越えて友達にも恵まれ、私はとても幸せものなんですよ。幸せなはずなんです」

ことり「...海未ちゃん」

海未「中学生の頃、私は剣道のある大会でどうしても優勝を狙っていたことがあったんです」

海未「別にただの地区大会の予選であり、とても小さな大会であることは十分に理解していました」

ことり「...あっ。ことり覚えてるかも。それって中学2年生の2学期くらいの」

海未「あぁ、覚えてましたか。はい。そうです。時期的にはあってます。でも、私はその大会へ、ある願掛けをして臨んでみたんです」

ことり「願掛け...」

102: 2015/03/28(土) 17:56:36.97 ID:/ttxxDfw.net
海未「『この大会で優勝できたら、自分の気持ちに素直になってみよう』というそんな些細な他人からしたらどうでもいいような願掛けです」

海未「毎日頑張って練習をし、あの頃の私としては最高のコンディションで大会に臨みました」

ことり「(あの頃の海未...って確か、ずっとなんだか落ち込んでて元気が無くて)」

海未「結果は個人でも団体でも予選敗退。私たちと同じ地区に強豪校がいて、私たちのあの頃の実力では歯がたちませんでした」たはは

ことり「(大会までは一緒に学校も行けなくて帰りも帰る時間が合わなくて、大会が終わってもメールも電話もなかなか返ってこなくて、ことりと穂乃果ちゃんは海未ちゃんに『彼氏でもできたのかな』って話してたけど)」

海未「必氏で努力して、練習も積んで。私、それまでは剣道って父のためだったり、他の部員のために練習していた部分があったんですけど。その時は初めて、生まれて初めて自分のために剣道をやってみたんです」

104: 2015/03/28(土) 18:09:46.82 ID:/ttxxDfw.net
海未「よく『努力は実る』とは言われますが、それってどうなんでしょうね。日常って自分だけが努力しているわけじゃないんですから。私以外にも周りの人はそれぞれで自分なりの努力をしているわけで」

海未「確かに私はあの当時としては絶好調と言いきれるまでに自分を高めましたけど、だからってそれが他人に勝っているということなわけではないんですよね」

ことり「...」

海未「人生初めての挫折で私はそういうことを知りました」

海未「そしてそれは自分でも知らないうちに私の心の奥底でトラウマになっていたのです」

ことり「...でも、あの頃、海未ちゃんすぐに元気になってたよね?」

海未「それは、...ことり。そして穂乃果。あなた方が何も言わないで、だけどそれでもいつも通りに私のそばにいてくれたからです」

ことり「えっ...」

海未「最高の状態でも予選敗退。願掛けも失敗。願掛けの内容も『素直になりたい』だなんて。人生で最高にかっこ悪い私のそばに、それでもあなたたち2人がいてくれたから。私はなんとか自分を取り戻したんです」

106: 2015/03/28(土) 18:21:12.62 ID:/ttxxDfw.net
ことり「...そんな、そんなことないよ。海未ちゃんは一生懸命でいつも頑張っててカッコ悪くなんか、そんなこと、私、思ったこと一度もないよっ!!」

海未「ことりがそう思ってくれても...、私はあの頃の自分を思い出すたび、心の中がグチャグチャになって、胸を掻き毟りたくて仕方がなくなるんです」

ことり「心の中がグチャグチャに...それがさっき言ってたトラウマってこと?」

海未「...あの剣道の大会以来、私は自分のために努力をしたり、自分のために何かをし、自分のために自分が充実した気持ちになりそうになると、なんでか身体中がムズムズして落ち着きがなくなるようになりました」

海未「剣道の練習や日舞の練習をしていても、練習中はいいんですが、練習を終え部屋に戻ると手が震えが止まらないことが増えていきました」

海未「医者に行けばおそらく『精神的なストレス』として薬を処方されて落ち着く話なんでしょうけど、きっかけが剣道なだけに私はどうしてもそういう自分の弱さを、両親に、特に父に言えなかったんです」

ことり「...」

107: 2015/03/28(土) 18:28:58.74 ID:/ttxxDfw.net
海未「そして、そうして自分をどうにか押さえ込んでいく日々が過ぎていき」

海未「中学を卒業し、...高校に入学してから」

海未「私は運命の出逢いをしました」

ことり「...運命の...出逢い...」

海未「その日は、父と母は親戚の家に行く用事があって、家に帰ると私は1人でした」

海未「着替えをし、キッチンへ行くとテーブルの上に母の『夕飯は冷蔵庫に入っています』という旨の書き置きをみつけます」

海未「当然、私はお腹がすいていたのですぐさま冷蔵庫を開けて夕飯にありつこうとしました」

海未「冷蔵庫の中では、食品に囲まれて母が私に作ってくれたおかずがラップに包まれてそこに鎮座していました」

海未「そして、そのおかずの横に私はあるものを見つけたのです」

ことり「...まさか」




海未「そう。 こんにゃくです」

110: 2015/03/28(土) 18:50:38.19 ID:/ttxxDfw.net
海未「別にその時に初めてこんにゃくを目にしたわけでもないのに、なんでかその時の私の目にこんにゃくは光り輝くタカラモノのように見えました」

ことり「...」

海未「私はこんにゃくを手に取り、袋から取り出し、軽く水洗いをした後、おそるおそる、こんにゃくに頬を寄せてみました」

海未「こんにゃくは冷たくて、頬に触れた瞬間に『あっ』と自分でも驚くくらいの甘ったるい声が出たんです」

海未「それからはもう、...早かった。自分の人生を揺るがすものに出会ってしまった人間のインスピレーションの湧き出し方はトンデモナイものです」

海未「蛇口の捻り方を間違えて水が勢いよく出るように、私はこんにゃくを身体のありとあらゆる箇所に触れさせてみました」

海未「するとどうでしょう!! どうなったと思いますか!!? ことり!!」ズバリ

ことり「...えっ」

ことり「...」

ことり「...」

ことり「わからないよ...」

海未「いいでしょう。ことりはこんにゃく素人さんですから、特別に教えてあげます」

海未「こんにゃくをね、身体にふれさせたらそれだけで」

海未「心がスーッと、落ち着くんです」

123: 2015/03/28(土) 19:35:57.58 ID:/ttxxDfw.net
ことり「...そんなことが、あったんだね...」

海未「...こんにゃくと出逢った当初は、その発見が何の役に立つのかわかりませんで、こんにゃくをキめることをしていませんでした。ちょっと触ったら落ち着くなぁーというところでとどまってました」

海未「そもそもまだあの頃はこんにゃくに対しても『食品』というイメージが強く、また家の冷蔵庫にこんにゃくがあることもそうそうないことでしたから」

ことり「だよねぇ、こんにゃくって煮物とかに入ってるイメージがあるから」

海未「はい。和食中心とはいえ、そう毎日こんにゃくを使うというものでもないのですよね」

海未「そして、ある日。アイドルの練習後に弓道の練習も行い、帰ってから剣道の練習をして、最後に日舞の練習をした日があったんです」

海未「正直、情けないことですが弱いことを言ってしまうと、もう身体はクタクタで、それでもまだ学校で出された課題が残っていたので、それを片付けようと飲み物を取りに稽古場からキッチンへ飲み物を取りに行き、冷蔵庫でこんにゃくを見た瞬間」

海未「手が物凄い勢いで震え出したんです」

海未「呼吸が乱れ出していてもたっても居られず、またどうすることもできなくて、私は目の前のこんにゃくにすがりつきました」

海未「震える手で袋を乱雑に破り、水で洗うこともないまま私はこんにゃくで頬を打ちました」

ことり「...」

海未「正直に言います。直感で思いました」


海未「『これだ』...と」



海未「それ以来私は研究に研究を重ねて、自分が最も心がスーッと落ち着く部位を探しました」

ことり「...それが、お尻だったんだね」

海未「はい、そうです」こくり

125: 2015/03/28(土) 19:41:40.44 ID:/ttxxDfw.net
海未「それからというもの、心がアップアップして、緊張がマックスになり、『努力したところで仕方がない』と思うような状況に陥ると私は無性に、自分でも抑えが効かなくなるくらいこんにゃくを欲するようになってしまいました」

海未「先ほどのことりの部屋では、私は数学の課題をしていたのですが、問題を解いているうちに無意識に思ってしまったのだと思うんです」

海未「『こんなことをしてなんになるのか』と」

海未「そうしたら、もうどうしようもなくこんにゃくでお尻をペシペシしなければ気がすまなくなってしまって」

ことり「そう、だったんだ...」

海未「ことりが私のためにこんなに美味しいご飯を作ってくれていたというのに、その気持ちを無碍にして、ことりの部屋でこと及んでしまったこと、心からお詫びします」

海未「こんにゃくともども、本当に申し訳ありませんでした」ぺこり

海未「...」

ことり「...海未ちゃん」

128: 2015/03/28(土) 19:55:49.74 ID:/ttxxDfw.net
今日はここまでで、また明日書きます

151: 2015/03/30(月) 18:02:31.45 ID:HnbnawS+.net
ことり「(海未ちゃん。...普段はなんでもないように振舞っているけど、やっぱり大変だよね)」

ことり「(でも、こんにゃく...。こんにゃくって...、どうしよう。私、海未ちゃんのこと、ちゃんと受け止めたいのに。こんにゃくに心が揺れてる...)」

海未「...」

海未「(...ことりが黙っています。やはり、ヒかれてしまったのでしょうか。こんにゃくと私の出逢いのことを正直に言うべきではなかったでしょうか)」うぬぬ

ことり「...」

海未「...」

ことり「海未ちゃん」

海未「は、はいっ!?」

ことり「とりあえず、ご飯食べちゃおうか。ここでは深い話もなんだし」

海未「...そう、ですね」

ことり「(今はご飯を食べて、考える時間を稼ごう)」もぐ...もぐ...

海未「(これは完全に嫌われたフラグですね...あああ...)」もぐ...もぐ...

海未「(良くて ことり『海未ちゃんとは幼馴染としてこれからも仲良くしていきたいけど、こんにゃくはちょっと...)』」もぐ...もぐ...

海未「(悪くて ことり『海未ちゃんとはもう幼馴染やってく自信がないよ。こんにゃくさんと仲良くね?)』」もぐ...もぐ...

海未「...」

海未「(つ、つらいっ!! どっちの場合でもことりとは距離を置かれてしまうっ!! 辛くて想像だけで泣きそうですっ!!)」ぁああ

ことり「(...こんにゃくかぁ...こんにゃくねぇ...)」もぐ...もぐ...

ことり「...ふむ」

155: 2015/03/30(月) 18:30:34.93 ID:HnbnawS+.net
気まづい雰囲気の中、なんとか夕食を食べ終わりました。
オムライスの味は後日にこにレビューかましたいと思います。

海未「ごちそうさまでした」

ことり「おそまつさまでしたっ。よし。じゃあ、片付けないとね」

海未「あ、ことり! ことりはご飯を作ってくれたので片付けは私がしますよっ」アセアセ

海未「(少しでもポイントアップを図らねば!! )」

ことり「ううん! 大丈夫だよー。 最近お母さんも私も忙しくなっちゃったから食器洗い機買っちゃったんだー! 」

海未「な、な、なんと!? 食器洗い機!!? ことりの家はハイカラですねぇ!!」すごいっ

ことり「こうして、お皿もスプーンも全部入れて...スイッチオン!」ピッ

ウイィィン ジャー

海未「...すごい。すごいしか言えないくらいすごいです」ジー

ことり「洗ってくれるし乾燥までしてくれるから便利だよっ! 手荒れもしなくなったし手も冷たくないからねぇー!」

海未「手が冷たくならないのはいいですね!!」ひゃー!

ことり「(あ、なんかことり、海未ちゃんと普通に喋れてる)」ホッ

ことり「(食器洗い機にはしゃぐ海未ちゃん可愛いなぁ~。やっぱりことりは心から海未ちゃんのことが)」えへへ

海未「これって、こんにゃくも洗えるんですかね?」

ことり「...」

ことり「...さぁ。やってみたことないからわかんないなぁ」

海未「そう、ですか...。こんにゃくは良いところが9割なのですが、唯一あの臭いが欠点なところがありまして。あわよくばと思ったのですが」ションボリ

ことり「...海未ちゃん、ことりの部屋行こっか」

海未「あ、はい。...そうですね。これ以上食器洗い機の邪魔をするわけにもいきませんし」

ことり「(ううん。なんだろ。可愛いけど、、可愛いけど、デコピンしたくなってきた)」

157: 2015/03/30(月) 18:47:01.28 ID:HnbnawS+.net
ことりの部屋

海未「...」

ことり「...」

海未・ことり「(気まづい...)」

海未「(これは一体どうすれば良いのでしょうか。ことりが何を考えているのかが全くわからないので、どうにも私からは動けないような...)」うーん

ことり「(あのまま居たら食器洗い機にこんにゃく入れちゃいそうな雰囲気だったから、ついつい部屋に来ちゃったけど。まだ何も考えが頭の中でまとまってないよ...)」

ことり「(写真について聞きたかっただけなのに...随分遠くまで来ちゃったなぁ...)」

海未・ことり「(一緒にいれて嬉しいけど今は一人になって考えをまとめたい...)」

ピーピー

海未「わっ!? なんの音ですかっ!?」びくっ

ことり「...あっ。お風呂が沸いたみたいだね」

海未「お風呂!!(一人になるチャンスです!!)」

ことり「海未ちゃん先に入る? 」

海未「そ、そうさせてもらっても構いませんかっ!?」

ことり「うんっ! ことり、お風呂、長いから先に入ってノンビリしててもらった方が気が楽かも~」

海未「では、お先にお風呂いただきますねっ!」ガサゴソ

ことり「は~いっ。ごゆっくり~」

158: 2015/03/30(月) 18:59:30.60 ID:HnbnawS+.net
ことり「...」

ことり「...一人になれた」フゥ

ことり「海未ちゃんってお風呂長かったっけ...。最近μ'sのみんなと行動してるから、よくわからないなぁ」

ことり「...こんにゃくかぁ」

ことり「メイド喫茶でも色々な人いたけど、こんにゃくは...ちょっといなかったからなぁ...ことりでも戸惑ってますよ、海未ちゃん」もう

ことり「(...でも、現状じゃ、海未ちゃんを癒してるのはことりじゃなくて、こんにゃく...ことりじゃ海未ちゃんを癒せない)」

ことり「...」モヤッ

ことり「こんにゃくに嫉妬ってイミわかんないんだけどっ!」むむむ

ことり「...あ、洗濯物干しっぱなしだった。今のうちに取り込んで置こうかな」タタタタ

ガサゴソ ガサゴソ

ことり「ん...このTシャツ、何かくっついてる...なんだろ」

ひやっ

ことり「ひっ!? な、なにっ!?」

べチャッ


こんにゃく


ことり「...」

159: 2015/03/30(月) 19:07:58.85 ID:HnbnawS+.net
ことり「な、なんでこんなところに、こんにゃくが...」

ことり「あ、さっき2階から海未ちゃんが投げたのが引っかかったんだ...」

ことり「こんにゃく...」

ことり「...」

ぎゅっ

ことり「いたって普通のこんにゃくだよね...黒くてザラザラタイプの」さわさわ

ことり「冷たい...」さわさわ

ことり「た、確かにツルツルして触り心地はいいけどさ」さわさわ

ことり「...」

ことり「...」

ことり「...お尻はちょっと抵抗があるよ、これ...」

ことり「う、腕に...腕ならなんとか...」

ことり「よ、よしっ」ごくっ

ことり「...」すっ








ペシッ

ことり「ひうっ!?」

163: 2015/03/30(月) 19:23:32.07 ID:HnbnawS+.net
ことり「...」

ことり「うーん? いや、確かに冷たいからひやっとしてそれにビクッとはするんだけど」ペシッペシッペシッペシッペシッ

ことり「心がスーッと落ち着くか、と言われたら」ペシッペシッペシッペシッ

ことり「?」

ことり「よくわかんないよぉ...海未ちゃぁん」グスン




海未「ふぅ。いいお湯でした。家で一番風呂なんてなかなか入れませんからね。サイッコーでしたよ」ポカポカ

海未「さて、お風呂の中で考えましたけど、こんにゃくのことまで喋ってしまったのですから...もう、私からことりに伝えることは一つしか残っていないわけで」

海未「もともとどうしてことりの写真を使ってたか、という話でしたものね」ははは

海未「中学生の時には勇気がなくて願掛けをして、勇気の理由を作ろうとして失敗しましたけど」

海未「もう時効ですよね...わ私も高校2年生です」

海未「...手に入れたいなら、自分で頑張らないと」

ことりの部屋の前

海未「さて、まずはことりにお風呂を促さないといけま...ん?」


ペシッペシッペシッペシッペシッ


海未「こ、この音は!?」びくっ

166: 2015/03/30(月) 20:02:49.60 ID:HnbnawS+.net
海未「(な、なぜこの音がことりの部屋からっ!? まさか、ことり...あなた今部屋の中で...)」

海未「(お尻丸出しなのですか...!?)」

海未「(くっ...み、見たいっ!? ことりのお尻が見たいっ...!!)」ドキドキ

海未「(どういう理由でことりがこんにゃくを手に入れたのかわかりませんが、部屋の中から漏れ出るこのペシペシ音はまさしくこんにゃく由来のもの!!)」ドキドキ

海未「(これはチャンスです!! ええぃ、園田海未、いざゆかんっ!!)」カッ

ドアガチャー

海未「こ、ことりぃぃーーー!!」




ことり「...あ、う、海未ちゃん...!?」

海未「えっ...な、なんで!?」

ことり「こ、これはその、ち、違うのっ!? 違うのっ!?」

海未「...どうして、そ、そんな...」


ことり「(あぁ、見られた!? 絶対嫌われたっ!? 海未ちゃん、びっくりした顔してるもん! )」ぐすっ

海未「...ことり...あなた、.」プルプル

ことり「(すっごい...海未ちゃん...顔が真っ赤になってく...そ、そんな、海未ちゃん...怒ってるの?)」

ことり「(ことり..海未ちゃんに嫌われちゃっ...)」ぐすっぐすっ


海未「う、腕!? ことり、なんであなた腕に!? 違うでしょう!? どうして腕なんですかっ!?」


ことり「えっ」

168: 2015/03/30(月) 20:21:19.29 ID:HnbnawS+.net
海未「くぁー!? 私が2回も実演していたのをあなたは見たではありませんかっ!!」

海未「なのにどうして、どうして、どうして!!」

ことり「...う、海未ちゃん?」

海未「さっきの私の話を聞いていたでしょう、ことりっ! それともあなたは私の話などどうでも良かったんですか!?」

ことり「そ、そんなことないよっ!? ちゃんと海未ちゃんの話聞いてたよ!? 途中から少しヒいてたけど!!」

ヅカヅカヅカヅカ

海未「なら、どうしてこんにゃくと最も相性が良いスイートスポットをペシペシしていないのですかっ!?」

ことり「えっ、スイートスポット!?(なにそれ!?)」

海未「こんにゃくを貸しなさいっ!!」

ぐいっ

ことり「きゃっ!?」

海未「口頭でわからなかったのなら、私が教えてあげますっ!」ガシッ

ことり「えっ、ちょっ、痛いよ、乱暴しないでよ!?」

海未「ことり、すみません。すぐに楽にしてあげますからっ!! 」

パンツずらし

ことり「ひやぁあああ!?///// う、海未ちゃん!?//// や、やめてよ!? なに、なんなの!? /////」ジタバタジタバタ

海未「...ふむふむ」じぃー

ことり「もうなんなのー!?//// うみちゃぁーん////」

海未「よし......ここですっ」

海未「そぉいっ!!」

ペシッ


ことり「やんっ!?///」

172: 2015/03/30(月) 20:35:55.43 ID:HnbnawS+.net
ペシッ

「あっ///」

ペシッ

「ちょ、ちょっと//うみち」

ペシッ

「ひうっ///」

ペシッ

「まっ...待って...う、う」

ペシッ

「はあっ///」

ペシッペシッ

「んんっ///」

ペシッペシッペシッペシッ

「んんんんん~~っ////」

ペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッ

「んんっ、ふぅううう///」

ペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッ

「うみちゃ、まって、......まってぇえええええ/////」



海未「......はぁ...はぁ......はぁ」ドキドキ

ことり「ううっ、...はぁ...はぁ...はぁ...」ビクビクッ

海未「...はぁ、はぁ、はぁ、...」ドキドキ


海未「わ、私はいっ、一体なにをっ/////」ドキドキ

176: 2015/03/30(月) 20:53:42.31 ID:HnbnawS+.net
ことり「はぁ...ううっ...はぁ...ひぐっ...はぁ...ううっ...はぁ...ぐすっ...」ポロポロ

海未「こ、ことり...。その、すみません...なんてことを........つい、、頭に血が上ってしまって...その...私、私....」チラッ

海未「(あっ!/// ことりのお尻が丸見えですっ///)」きゃっ

海未「あ、パンツ、パンツ直しますねっ!?」わたわた

ぐいっ

ことり「...ひくっ...ひくっ...」ポロポロ

海未「(どうしましょう...!! どうしましょう...!!)」あわわわわ

すくっ

すたすたすた

海未「こ、ことり...。ど、どこへ?」

ことり「...ぐすっ...ひくっ...」ポロポロ

海未「(ああ、私のせいであんなにことりが泣いてます...)」ううっ

ことり「...お風呂入ってくる」ポロポロ

海未「そ、そうですか...」

ことり「...海未ちゃん」グスッ

海未「は、はいっ!?」

バシッ

海未「つぅ!?」

海未「...」

ことり「ことりがお風呂入ってる間、ちゃんと元の海未ちゃんに戻っててね」

ことり「そしたら、...お話しよう」グスッ

海未「...」

海未「...わかりました。ことり」ほっぺジンジン


ドアガチャ

バタン

海未「...」ほっぺジンジン

海未「...やってしまいました」

180: 2015/03/30(月) 21:16:29.57 ID:HnbnawS+.net
海未「あぁ、私は...私は...最低です...頭に血が上っただなんて言い訳に過ぎません」

海未「自分がこんなに卑劣で最低なやつだとは...知りたくなかったです」

海未「ことり、泣いてました...。ことり、怒ってました...。あのことりがビンタするくらいのことを私はしてしまったのです...」

海未「...あぁ、うぅ...ことり...元の海未ちゃんってなんなのでしょう。ことりが想ってくれている海未ちゃんってなんなんでしょう」

海未「ことりの求めている私になったら、ことり、あなたは...私を...私のことを...くっ!!! ああもうっ!!」

床ドンっ!

海未「...こんな時でも私は...自分のことばかり考えて...」

海未「本当に最低です...自分の卑劣さに笑いがこみ上げてきます」

海未「...」

海未「...ことりにどんな顔して今から会えばいいんですか」チラッ


こんにゃく


海未「はは全くもう...こんな時でもこんにゃくが気になるなんて」

海未「はて...ことりはこのこんにゃくをどこから持ってきたんでしょうか?」

ガサゴソ

海未「こんにゃく袋のこんにゃくは減ってませんね」?

海未「...」

海未「...どうしてことりはこんにゃくをペシペシしていたのでしょう」

海未「...」

海未「...」手の中のこんにゃく

じー

海未「...とりあえず、このこんにゃくで頬を冷やしましょう」

ペタッ

海未「~~っ!!」

海未「はぁ......落ち着きますね、やはり。落ち着きMAXですよ」さすが

184: 2015/03/30(月) 21:52:29.33 ID:HnbnawS+.net
ちゃぽん

ことり「はぁ...」

ことり「...海未ちゃん、ビンタしちゃった


ことり「...」じわっ

ことり「でも、ことりだっていきなりパンツ脱がされてお尻見られて恥ずかしかったし...あれは思わず手が出ちゃうよ...」ぐすっ

ことり「...海未ちゃんのばかっ。破廉恥なこといけないっていつも言ってるのは海未ちゃんのくせにっ」ぐすっ

ことり「それでも暴力はダメだよね...ことりは悪い子です...」めそめそ

ことり「...海未ちゃん、ことりに『話聞いてなかった』って怒ってた」

ことり「...ごめんね、海未ちゃん。ことり、海未ちゃんのことわかってあげたいのにいつも...ずっと...口ばっかりで...変わらない...」

ことり「...」

ことり「...変わりたいなっ...ううっ...」

ことり「...ぐすっ」ポロポロ

ことり「...」ゴシゴシ

ことり「はぁ。こういうこと、ことりが思ってること、ちゃんと言葉で海未ちゃんに伝えないとダメだよね」

ことり「ことり、もう、泣くのは終わりですっ」グイッ

ことり「...」

ことり「...」

ことり「でも、海未ちゃんにどんな顔して会えばいいんだろう...」

ことり「変な声海未ちゃんにたくさん聞かれちゃった...///」ボッ

ことり「ううっ!! 恥ずかしいっ///」パシャパシャ

186: 2015/03/30(月) 22:15:35.76 ID:HnbnawS+.net
今日ここまでで

201: 2015/04/01(水) 23:42:07.16 ID:qQzaapN2.net
海未「...」

海未「...ふむ」

海未「...こんにゃくが私の頬の熱を吸収し、生ぬるくなってきました」ぐぬぬ

海未「仕方ありません。新しいこんにゃくを開けましょう」ガサゴソ

ペリッ

海未「...」ゾクゾクゾク

海未「くふふっ...。新しいこんにゃくの包装を開ける時はいつだってこう、これから身に起こることを想像してゾクゾクしてしまいますね」

海未「海未ちゃーん、新しいこんにゃくだよー(裏声)!!」

海未「ありがとうございます、ことりぃー! これで私も私のほっぺっぺも元気100倍です!!」ヒャッホー

ペタッ

海未「くぅ~!! このために生きてるなぁ~!!」

海未「...」

海未「...」

海未「...はぁ、...ことり」

204: 2015/04/01(水) 23:56:27.89 ID:qQzaapN2.net
冷凍庫ガサゴソ

ことり「えーっと、確かここに保冷剤を入れておいた気が...あ、あったあった」ひょい

ことり「結構思いっきり叩いちゃったからね。冷やすものもないだろうし...」うんうん

ことり「こういうことして別に優しいとか思われたいわけじゃないけど...叩いちゃった責任感でね、どうしてもね」うんうん

ことり「はぁ...」

ことり(言わないと伝わらない)

ことり(特に海未ちゃんは恋愛に関して鈍感さんで。むしろ恋愛のお話とかは、恋愛映画や漫画すら避けてきた人だから)

ことり(伝わらない。他の人が察してくれるところもちゃんと言葉にしないと)

ことり「...」

ことり「...」

ことり「海未ちゃん」

ことり「...」

ことり「...」

ことり「ごめんね...」

207: 2015/04/02(木) 01:04:11.63 ID:4jP/Mrv7.net
海未「先ほどまでのこんにゃく...思えばことりのお尻に接していたのですね」

海未「心なしかほっぺっぺがツヤツヤしている気がします」ツヤツヤ

海未「...」

海未「アルパカに食べさせるにはもったいないこんにゃくとなってしまいました...」

海未「...」

海未「...こんにゃくの標本って作れるんでしょうか。今度調べてみましょう」

海未「それにしても...ことり...あの時とてもかわいくて甘ったるい声を出してました...///」

海未「『ひゃん』とか『ひうっ』とか言ってましたよね///」

海未「私だったら『うんっ』とか『ふぅ』いう声しか出ませんよ。よくて『あっ』『ひゃあ』ぐらいでしょうか」

海未「私の幼馴染はいつの間にやら、私の知らない側面で成長していたのですね...///」

海未「...ことり///」

海未「ああっ! 駄目です!!駄目です!! いけませんっ!! あんな反則的に垣間見てしまったことりのそんなあられもない部分を思い出しては駄目です!!」

海未「ああいうのはちゃんと手はずを踏んだ...ことりだけがその心を許すものだけが聞けて見ることのできるやんごとないものなのに...私は...」

海未「考えれば考えるほど、本当に最悪なことをことりにしてしまいました」

海未「...こんにゃく...ことり...こんにゃく...ことり...」

海未「...私は...私が大切にしたいものって一体...」

220: 2015/04/03(金) 10:39:04.86 ID:k5u9nzzE.net
ことり(あぁ...緊張する...でも、お話しようって言ったのはことりだから)

ことり(逃げちゃダメだよね...)

ことり(深呼吸)すーはー

ことり「...」よし

ガチャ

ことり「...」

海未「...あっ」

海未「お、お、お風呂上がったんですか」

ことり「...う、うん」スタスタ

海未(ついに来てしまいました、この時が...)あぁあ

ことり「...」

海未(正直、弓道の試合でもこんなに逃げたいと思ったこと、ないです...)

ことり「」すとん

海未(うぉ、私の前に座ってきました...しかも正座で...)

海未(ここは私も正座するべきですね...)

ことり「...」

海未(ここが、執念馬ですね...ファイトです。海未)ぬんっ

ことり「あの、海未ちゃん...」

海未「は、はいっ!? なんでしょうか、ことりっ!?」ドキドキ

ことり「そ、そんな大声出さなくても」クスッ

海未「あ、で、ですね、すみません」ドキドキ

海未(うぁぁ、とてもドキドキしてしまいます。ことりはやはりかわいいです)

ことり「えっと...その...」チラッ

海未「?」ドキドキ

ことり「どうしてこんにゃくで頬を抑えてるの?」

221: 2015/04/03(金) 10:48:50.12 ID:k5u9nzzE.net
海未「あ、これはですね。ちょっと頬をその...打たれてしまったので。あ、いや、そのことりが悪いとかではなくてですねっ!? いや、悪いのは私なんです!? 私なのはわかってるんですが」

海未「その、やはり、頬を打たれてしまったので...こんにゃくに癒してもらってました...」

ことり「...」

ことり(癒してもらうかぁ...)

ことり(...海未ちゃんの中でこんにゃくの存在ってすごいんだなぁ)

すっ

海未「うぇっ!? こ、ことりっ!? 冷たっ!?」ひやっ

ことり「ほら、こんにゃくじゃ...ちゃんと冷やせないから。海未ちゃんの中でこんにゃくがすごいのはわかったけど...ちゃんと冷やして」

海未(ううっ、こんにゃくと保冷剤を変えようとしたことりの指がほっぺっぺに当たりました////)ドキドキ

海未「...あ、ありがとうございます...ことり///」

ことり「...ごめんね」

海未「えっ」

ことり「ビンタしちゃって...」

海未「そんな。ことりが謝ることではないです。...全ては私が...。私とこんにゃくのしでかしたことですから。ことりが怒るのは当然のことをしてしまいました...から」

223: 2015/04/03(金) 11:11:17.49 ID:k5u9nzzE.net
海未「ことり...」じいっ

ことり「えっ」どきっ

がばっ

ことり「...えっ」

海未「ことりっ!!本来なら私の方から謝らなければいけないことなのに、すみませんっ!!」土下座

ことり「う、海未ちゃん!?」

海未「ことりの許可もなく、本能の赴くまま徒らにことりのお尻をこんにゃくでなぶってしまいました」

ことり「な、なぶっ!?///」カァア

海未「本当に申し訳ありませんでしたっ!!」

海未「ことりが心を許したものだけが見ることのできる、ことりのあられもない姿を私が見てしまったことっ!!心からお詫びしますっ!!」

ことり「そんな、土下座なんてやめてよ、ねっ? そんなのしなくていいから。ことり怒ってないよ? ねっ? それは少しは......少しというか結構恥ずかしかったけどさ」あたふた

海未「いえ。ことりは優しいですから、私に対しても怒ってないなんて言ってくれるのです。気を遣わせてしまってすみません」

ことり「...そんな優しいからとか気を遣ってるとかそういうことじゃないよ、海未ちゃん」

海未「最悪なことに、私はまだ頭を下げることでしか自分の気持ちをカタチにしてことりに伝えることしかできない未熟者なのです」

海未「このようなことで許されるとは思ってないです。ことりも今回のことで私とこんにゃくには愛想が尽きたと思います」

ことり「...海未ちゃん」

海未「...ですが、私は..」ごくっ

ことり(あれ、この流れって...もしかして)

海未「私は...私は...」

ことり「待って、海未ちゃん」

海未「言わせてください、ことりっ」


海未「私はあなたのことがす」



ことり「待ってってばっ!!」

224: 2015/04/03(金) 11:17:13.93 ID:k5u9nzzE.net
ベチッ

海未「...」

ことり「...」

海未「も、もひょひ...?」モガモガ

海未(な、なんですか...これ...)

海未(ことりに気持ちを伝えようとしたら、さっきのこんにゃくを口に押し付けられて...)

ことり「...」

海未(告白を...遮られてしまいました...)

225: 2015/04/03(金) 11:24:05.57 ID:k5u9nzzE.net
海未(押し付ける力が強すぎて口が動きません...)モガモガ

海未(...ん?)モガモガ

海未(...)ムイムイ

こんにゃく「」プニプニ

海未(...気持ちいい)

海未(口にこんにゃくを当てるというこの発想はなかったです...)ムイムイ

ことり「...海未ちゃん」

海未「もひょひ...」ムイムイ

ことり「ことりは、こんにゃくでお尻を...叩かれたこと...怒ってないです」

こくり「だから、土下座はもうしなくていいから。ねっ?」

海未「むひょへふ!! (嘘です!!)」ムイムイ

ことり「ううん、嘘じゃないです。でも、海未ちゃんはそれがどうしてかわからないでしょ?」

海未「...」

海未「...」

海未「...」こくり

227: 2015/04/03(金) 12:11:29.86 ID:k5u9nzzE.net
ことり「ほら、海未ちゃんはさっき言ってくれだでしょ?」

海未「?」

ことり「その、こんにゃくでお尻を叩かれてる時の姿っていうのは『ことりが心を許したものだけが見ることのできる姿』だって」

海未「...」

海未「...」

海未「!? /////」カァアアア

ことり(あ、気づいた...。海未ちゃん顔が一気に赤く...///)

ことり「だから、その...怒ってないです...///」

ことり「わかった?///」

海未「///」こくっこくっ

ことり「あ、ごめんっ。こんにゃく、押し付けたままにしてた///」

すっ

海未「ぷはっ」

海未「こ、ことり...///」じー

ことり「ちょ、ちょっとそんなガン見しないでよっ!? 恥ずかしいからっ////」顔そらし

海未「あ、す、すみません。不躾でした//// 」顔そらし

海未「...あの、その、つまり...それはその、ことりも私のことを...///」ドキドキ

ことり「...///」

ことり「ねぇ、海未ちゃん、もう一回質問するね?」

海未「し、質問とは...(このタイミングでまた話を遮られ)」

228: 2015/04/03(金) 12:12:27.41 ID:k5u9nzzE.net
ことり「海未ちゃんは、どうして...ことりの写真を持ってたんですかっ」

海未「(たわけじゃなかったです)」

海未「...」

海未「...(あぁ、手が震えます)」

海未「(先ほどまで、こんにゃくのことで頭がいっぱいだったのに)」

海未「...」ぎゅぅ

海未「やはり返答次第ではことりは私に怒るのですよね?」

ことり「...そうだね」

海未「...なるほど。わかりました」

海未「(こんなにことりに私が傷ついたり怯えたりしないようにも御膳たてをされてしまったのです。逃げてる場合じゃないですよね)」

海未「ことり、の、写真を持っていたのは、ですね」

ことり「...はい」

海未「ことりのことが、好きだからです」

230: 2015/04/03(金) 12:34:02.75 ID:k5u9nzzE.net
ことり「(あぁ、ここまで来ちゃったなぁ...)///」ドキドキ

ことり「(なんとなく気づいてたけど、というかトランプですら感情を隠せない海未ちゃんの好意にことりが気づかないわけがないんですよ、海未ちゃん)」ドキドキ

ことり「(そんな不安げな顔して見なくなって...いや、今度はことりが素直にならないと...ちゃんと言わないと...)」

ことり「(やっと気持ちをもらえて嬉しいのに...その分だけ...)」

ことり「(とっても、かなしい...)」

237: 2015/04/03(金) 14:14:03.88 ID:k5u9nzzE.net
ことり「...返答次第では怒るって言ったのはね」

海未「はい(それ、結構知りたかったとこです)」ドキドキ

ことり「...嫌だから」

海未「うっ...。で、ですよね。勝手に写真をあの様な形で持っているのを知らされるのは...い、嫌ですよね」胸ズキズキ

ことり「ちっ、 違うよっ! そういう嫌じゃなくてっ!」

ことり「...海未ちゃんが私を好きじゃないのに写真を使ってたらって嫌だから返答次第では怒るって意味っ!!」

ことり「他に好きな人がいるのにその人じゃなくって、写真が簡単に手に入りそうなことりの写真を使ってたら、そういうんじゃ、嫌だから怒るって言ったの!!」

海未「...」

海未「...?」

ことり(ああもうっ! 本当にここまで言っても伝わらないぃい~っ!!)

ことり「あのね...」

海未「はい...」

ことり「ことりも海未ちゃんが...好...き...なんですよ、海未ちゃん///」ドキドキ

海未「...」

海未「...」

海未「...」

海未「...!?」

238: 2015/04/03(金) 14:26:39.12 ID:k5u9nzzE.net
海未「こ、ことり、そんな私をからかうような冗談はやめてくださいよっ!?///」

ことり「そんな...。じょ、冗談でこんなこと言わないもん...///」

海未「(...た、確かに私の知ってることりは冗談で人の心を弄ぶようなうさぎさんではないですけど)///」

海未「(でも、ことりが...私を好き...? そ、そんな素振り今まで少しも感じたことなかったんですが...)///」

海未「嘘では...ないんですよね?」

ことり「嘘じゃないです」こくり

海未「そういう意味で、受け取っていいんですよねっ?」

ことり「...むしろ、そういう意味で受け取ってもらわないと辛いです」

海未「...私が女なのはわかってますか?」

ことり「その言葉は...そのまま返します」

海未「...」

海未「...私はことりが好きで、ことりもこご好き」

海未「(...これは...なんということなんでしょうか。夢でも見てるんでしょうか...こんな簡単に手に入るものを幸せと認めていいのでしょうか...)」

ことり「...う、海未ちゃん?」

海未「...ことり、今すぐこんにゃくで私のほっぺっぺを打ってください」

ことり「うん?」

海未「ほら、これですっ。もうさっき打たれてるので1回も2回もかわりません。同じ右側を、さぁ!!」

239: 2015/04/03(金) 14:35:30.79 ID:k5u9nzzE.net
ことり「...じゃ、じゃあ、いくよー?」

海未「ばっちこーいっ!」さぁ!

ことり「...えいっ」

ぺちーんッ

海未「...」

海未「...うむ。(この、こんにゃくの確かな感触)夢ではないみたいですね」


海未「...ということは、本当にことりは私が好き...えっ?」

ことり「...」

海未「......こ、こ、こ、ことりがっ、私をっ!?//////////」ボッ

ことり「...信じてもらえて何よりです///」

海未「///////////」

海未「///////////」

ことり「あれ? う、海未ちゃん? 大丈夫?」

海未「......む、むりデスゥ//////////////」バタッ

ことり「...」

ことり「う、海未ちゃん!?」

244: 2015/04/03(金) 15:43:18.12 ID:k5u9nzzE.net
海未「...むにゃむにゃ」

ことり「(ふふっ。幾つになっても海未ちゃんの寝顔は小さい時のままなんだねぇ~)」

ことり「(懐かしいなぁ~)」

ナデナデ

海未「...駄目です...五重のこんにゃくだなんて...とんだパワースポットです...」

ことり「五重のこんにゃく...?」

ナデナデ

海未「やめて...ください...」

ことり「(頭撫でてるの気づかれちゃったかなっ)」ドキッ

海未「やめて...包丁を入れては...いけません...こんにゃくが...かわいそうです...」

ことり「(夢の中でもこんにゃくのことを思っててすごいなぁ)」

海未「こんにゃくに...罪はないです...ことり...」

ことり「...えっ」

海未「んっ...」ぼけぇっ

ことり「...あ、良かった。海未ちゃん大丈夫?」

海未「(...ここは...桃源郷でしょうか..ことりの顔を下からこんなに近くで見上げたことって初めてです...)」ボーッ

ことり「い、いきなり倒れちゃったからびっくりしちゃったよ。もう。まぁ、あのタイミングで倒れるのも海未ちゃんっぽいと思うけど」

海未「うっ、えっ!? ことり!? はっ、これは、どどどど、どういう、ことりの、ううんっ!?」

ことり「落ち着いて、とにかく落ち着いて。勝手にひざまくらしてたのは謝るから落ち着いて、海未ちゃんっ」

海未「ひ、ひざまくっ!?////」

ことり「ああもう! はい、深呼吸!! 海未ちゃん深呼吸だよ、はいっ!!」すーはーすーはー

海未「深呼吸...深呼吸...」すーはーすーはー

海未「」すーはーすーはー

海未「」すーはーすーはー

海未「...落ち着きました。すみません、ことり」

ことり「いえいえ。どうってことないですよ、いまさら」

247: 2015/04/03(金) 16:02:44.10 ID:k5u9nzzE.net
海未「えっと...あの...その///」ドキドキ

ことり「(海未ちゃん...私が本当に大切で大好きな人...)」

海未「気を失ってしまったみたいですみません...大事な話をしていたのに...///」ドキドキ

ことり「(強くて臆病で、他の人ならカッコつけたいときにグダグダしちゃって、人の目よりも自分自身の信念と向き合って、それを大切にしている人)」

海未「...その、...私とことりは...好き合っている同士さんってことで...つ、つまりは...えっと、ことりは///」ドキドキ

ことり「(ことりが守りたいって思うし、ことりも守られたいって思える人。恥ずかしい声も顔も情けない言葉も態度も受け取ってもらいたいって思える人...海未ちゃん)」

海未「...私と付き合ってくれるんですよね?///」ドキドキ

ことり「...」

ことり「...」

ことり「...」

海未「ことり...?」




ことり「ごめんなさい。...ことりは海未ちゃんとは付き合えないんです」

海未「えっ」

255: 2015/04/03(金) 16:53:49.67 ID:k5u9nzzE.net
海未「...えっと」

ことり「...」

海未「(先人・穂乃果はあの時こう言いました。『世の中そんなに甘くない』と)」

ことり「...本当にごめんなさい」

海未「(本当に甘くなくてびっくりします。なんですか人生って。その点こんにゃくは最後まで中身たっぷり...最高ですよ)」

海未「はぁ...(とりあえず)」

ことり「...」

海未「そんな泣きそうな顔をしないでくださいよ、ことり。これじゃあ、どっちが振られたのかわかりません」

ことり「...怒らないの?」

海未「ことりのことだから、何か理由があるのでしょう?」

海未「少なくとも私は、そのっ、...無闇に人の好意を弄ぶような人を好きになったわけではないと自負しておりますからっ///」むんっ

ことり「...」

ことり「...」

ぎゅっ

海未「うえっ!?///」

ことり「...海未ちゃん、手繋いでいい?」

海未「っ手くらい、い、い、いくらでも繋いであげますよっ!?」

海未「というか、言う前にもう繋いでるじゃないですかっ!///」

ことり「えへへ...。ごめんね」

海未「...いいですよ、ことりなら」

ことり「...」

海未「...」

ことり「海未ちゃん、あのね」

海未「はい...」

ことり「...ことり、卒業したら留学することにしたんだ」

257: 2015/04/03(金) 17:17:10.24 ID:k5u9nzzE.net
海未「りゅ、留学...。そのこと、穂乃果は...」

ことり「ううん。まだ知らないよ。誰も知らない」

ことり「...海未ちゃんにいちばん最初に知ってほしかったから、みんなこのことはまだ知らない」えへっ

海未「...留学するから、付き合えないんですか? それはちょっとよく意味がわからないんですけど」

ことり「...この間留学するって言ってくれた先生が『本当にこの職に就きたい覚悟があるなら、もう一度チャンスをあげる』って言ってくれてて」

海未「なら、別にその...えっ、え、遠距離恋愛ってカタチでも...お、お、お付き合いはできるのでは///」

ことり「...」フルフル

海未「どうして...」

ことり「一度ギリギリのところでお断りしちゃってるから、先生のことりの信用度って今、言っちゃうとほぼゼロで」

ことり「『留学するならプロになるまで日本に帰国しない』っていう条件、出されちゃったんだ」

海未「...そんな」

262: 2015/04/03(金) 18:36:36.95 ID:k5u9nzzE.net
ことり「...あんな土壇場で辞めちゃったから。...あ、でも、あの時留学を辞めたこと、μ'sを続けていくことにしたこと、ことりは本当に後悔はしてないんだ」

ことり「全力でやりたいことをやるって、本当に素晴らしいことだって、穂乃果ちゃん、にこちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃん、希ちゃん、真姫ちゃん、絵里ちゃん」

ことり「そして、海未ちゃんが教えてくれたから」

ことり「みんなの衣装を考えて、それが形になっていくこと。ことりのデザインをみんなが喜んで幸せな気持ちになってくれること、...μ'sが私に教えてくれたから」

ことり「μ'sだけじゃなくて、もっと、多くの人にその幸せを分かち合ってもらいたい。多くの人の笑顔が見てみたい」

ことり「だから、留学して、プロになる。それまで日本には...帰ってこない」

ことり「...ごめんね、海未ちゃん」

海未「...」

海未「そんな、どうして謝るんですか、ことり。謝ることなんて何一つないですよ」

263: 2015/04/03(金) 18:50:55.32 ID:k5u9nzzE.net
海未「将来の目標ができたことはとてもいいことです」

海未「その夢を実現するためのチャンスを掴むことももちろん大切なことです」

海未「その道のプロになるということは、口では簡単ですが、その実とても辛くて険しいことは僭越ながら私もよくわかっているつもりです」

海未「...」

ことり(...少しくらいは)

海未「...私はことりの味方です」

ことり(引き止めてほしかったなって気持ちはさすがにわがままだよね)

ことり「うん。ありがとう、海未ちゃん。海未ちゃんなら、そう言ってくれると思ってたよ」

海未「ですが、...ことりが私のことを好いてくれるとわかった今は...そんな聞き分けの良い子供のようなこと、言いたくないです」うるうる

ことり(あっ...)

海未「言いたくなかったです...」ポロッ

海未「ことり、どうして私に告白させたのですか...。ことりが居なくなってしまうなら、逢えなくなってしまうことがわかってるなら、私は...私は...」



海未「...ことりに気持ちなんて伝えたくなかった」

264: 2015/04/03(金) 19:06:22.67 ID:k5u9nzzE.net
ことり「...海未ちゃん。ごめんね。本当にごめんなさい」

海未「ううっ...ことり...どうして...好きなのに...やっと素直になれたのに...どうして居なくなってしまうんですか...ぐすっ...」ポロポロ

ことり「...やっと...素直になる...」はっ

ことり「...もしかして、海未ちゃん...中学生の時の願掛けって...」

海未「...ぐすっ...そうです。ことりが思ってる通りであってますよ...。恥ずかしながら、あなたのことが好きで、でも好きって言えない臆病な私は願掛けしたんです」

海未「『剣道の試合に勝てたら、素直になろう。素直になって、ことりの次の誕生日に告白しよう』って...ぐすっ」

ことり「...そういう、ことだったんだ」

海未「ぐすっ。 でも、ことりが居なくなってしまうなら、あの頃の私の努力も、ずっと持ち続けてきたことりへのこの思いも...全部、...無駄だったんですね」

ことり「(海未ちゃんがこんにゃくにハマってしまった原因は...)」

海未「どうしてあれだけ頑張ったんでしょう。どうしてまだこんなに好きなんでしょう。...意味なんてないのに。意味なんてなくなるものなのに」

ことり「(...ことりだったんだ)」

268: 2015/04/03(金) 19:39:37.07 ID:k5u9nzzE.net
海未「ことり、どうしても駄目ですか? そんな時間をおかないで答えないでください。私と付き合うことを少しは考えてはくれませんか?」

海未「遠距離恋愛でもいいです。何年と逢えなくてもいいです。...私と付き合ってはくれませんか?」

ことり「...」

ことり「...」

ことり「...ごめんなさい。ことりは海未ちゃんが好き。本当に好き...」

海未「なら...どうして...」

ことり「だけどそれ以上に、ことりで海未ちゃんを縛りたくないの。本当にいつ日本に帰ってこられるか、そもそもプロになれるかなんて保証のない夢を追いかけるのだから」

ことり「...待っててなんてこと、言えないです。...本当にごめんなさい」

海未「...。では...その...卒業まで...お付き合いするというのは...」

海未「卒業したら、別れる。キッパリ別れます。だから、どうか、それまで...それまで私と一緒にいてください。想い出をください。お願いします。ことり」

ことり「...ごめんね、海未ちゃん。もうことり、決めたの。どんなカタチでも海未ちゃんとは付き合わないって」

海未「...」

ことり「...だって、付き合ったら、ことり...絶対...留学したくなくなっちゃうよ、海未ちゃんと離れたくなくなっちゃうよ」

ことり「夢を大切にしたいのに...せっかくの夢のこと、どうでもいいって思っちゃうよ」

271: 2015/04/03(金) 19:58:24.25 ID:k5u9nzzE.net
海未「...ことり」

ことり「私が好きな、私が好きになった海未ちゃんは自分で決めたことは必ず最後までやり通して、途中で投げ出したりなんてしない凄い人だから」

ことり「ことり、ずっと傍で見てたよ。頑張ってる海未ちゃんのこと」

海未「頑張ってる私...?」

ことり「中学生の頃、剣道の試合があるからって練習を頑張り始めた海未ちゃんをことりは本当に凄いなぁって思ってたし...」

ことり「試合には負けちゃったけど、悔し涙を流してる海未ちゃんが本当にことりにはカッコよく見えたよ。...ことり、そういう風に何か一つの目標に向かって頑張って、悔し涙を流すまで頑張れたことって高校生になるまでなかったから、さ」

ことり「...海未ちゃんはあの時の努力を無駄だって言うけど、ことりはそうは思いません」

ことり「あの頃、頑張ってる海未ちゃんに恋をしました。あの頃、泣いている海未ちゃんをとても凄いと思いました」

海未「...」

ことり「だから、海未ちゃん。無駄なんて思わないで」

ことり「あの時の海未ちゃんがいなかったら私はこんなに、自分の将来の夢と天秤にかけてしまえるくらいに海未ちゃんを好きにはならなかったんだよ」

ことり「...そして、本当にごめんね。私が夢を諦めて海未ちゃんを取ったとしても。今はいいかもしれないけど、いつかきっと、そんな私のことを、頑張ってる海未ちゃんが好きな私は嫌いになる」

ことり「...海未ちゃんだって、きっとそんなことりをいつか、嫌いになる」

海未「そんなこと...ないですよさ私がことりをきら一なるなんて...あるわけないじゃないですか...」

ことりを「未来のことだよ。...そんなのわからないよ。嫌なの。プロになれないことよりも、日本に帰ってこれないことよりも...。海未ちゃんに嫌われるのが、絶対に嫌なの」

海未「...」

ことり「私の好きな海未ちゃんは、自分の決めたことを最後までやり通す人だから、私も海未ちゃんみたいに、自分のやっと見つけた夢をやり遂げてみたい」

ことり「だから、本当にごめんなさい。私は海未ちゃんと付き合いません...」

272: 2015/04/03(金) 20:14:11.10 ID:k5u9nzzE.net
海未「...」

海未「...」

海未「...わかりました、ことり。お手上げです」

海未「ことりと付き合うこと、...諦めます」

ことり「ごめんなさい...。これしか言えないけど、本当にごめんなさい」

海未「...うぅ。なんだか、胸がモヤモヤしますね...あはは...あの頃の私の努力は、そうですか。無駄ではなかったんですね...」じわっ

海未「...よかった...ふふっ。あの頃の自分に教えてあげたいです」ボロボロ

海未「あなたは試合に負けて、でも、だけど、願掛けは叶いましたよ、と」ボロボロ

海未「願いが強すぎて、時間に誤差が出てきてしまったみたいですけど、ね」ボロボロ

海未「...はぁ..ぐすっ...ことり。ひとつ、これだけは訊かせてください」

ことり「...なにかな、海未ちゃん」

海未「どうして、私から告白させたのですか。勘の鋭いあなたのことだから、どうせ写真の件あたりから、私があなたのことを好きなことは知っていたのでしょう?」

ことり「...」

海未「...どうして、ですか」

274: 2015/04/03(金) 20:47:36.38 ID:k5u9nzzE.net
ことり「...えっとね、それはその...そのですね...」えーっと

ことり「やっぱり...最初から最後までやり遂げる海未ちゃんでいてほしいっていう願望があったのと」

海未「私はあなたの中で恋愛まで初志貫徹なイメージなんですか」あきれ

ことり「えへへ...違う? 違ったらごめんね?」

海未「...いや、多分...ことりがそう思うなら、多分そうです...きっと」

ことり「...ふふっ。あとはね、やっぱり」

ことり「告白することで、海未ちゃんにスッキリしてもらいたかったっていう気持ちがあったかな」

海未「スッキリ、ですか」

ことり「うん。調べたら恋愛って告白してスッキリした方がまた次の恋に向かいやすいってあったから、それで」

海未「そう...ですか...(次の恋に...)」

ことり「...私も思いを伝えてスッキリしたいって思ったから」

海未「...」

ことり「...あとはやっぱり...その、...」チラッ

海未「?」

ことり「えっと、えっと......うーん、これ、いうのは...恥ずかしいんだけどなぁ...///」

海未「こらこら、ここまできたら隠し事は無しでしょう、ことり。スッキリしますよ、ほらっ」

ことり「...あぁもう、いいます、言うから」

ことり「////」すーはー

ことり「////」よ、よしっ

ことり「...われたかったの////」

海未「ん?」

ことり「...たかったんだってば////」

海未「いえ、2回目の方が小さくなって聴こえませんけど。ほら、もっと腹から声出してくださいよっ」

ことり「だーかーらーっ」

ことり「海未ちゃんから好きって言われたかったのっ!////」もうっ

海未「...」

海未「...」

海未「なっ、なっ、なっ」

海未「そんな理由ですかっ!?」

ことり「あーもー絶対わかってくれないと思ったから言いたくなかったのにっ!!/////」

278: 2015/04/03(金) 21:52:01.66 ID:k5u9nzzE.net
海未「もう、そんな理由で、...はぁ...全く...ことりは馬鹿でしょう...ひくっ...」

ことり「えー、女の子なら一度は思うことだと思うんだけどなぁー」

海未「そんなこと言われても...ヒック...私は...わかりません...よ...そんなこと...ぐすっ」

ことり「...海未ちゃん、もしかして泣いてる?」

海未「ううっ...あぁ、もう......ぐすっ...ひっく...ううっ...うううっ...」

ことり「...えっ、ご、ごめんね? そんなに嫌なことさせちゃったかな。 ごめんね、海未ちゃん」

海未「違うんです...うううっ...ひっく...違うです...ことり...ううっ...ふぐっ...う、う...うっ、...別にそうじゃないんですけど...ひっく...」

海未「...はぁっ...ううぅ...ううううぅ...ううぁあああ...ああああ...ああ...ああああぁ...」

ことり「海未ちゃん...」

ぎゅう

海未「こ、ことりっ...?」

ことり「我慢しないで泣いていいよ、海未ちゃん。大丈夫、ここにはことりしかいないから...」

海未「...ぐすっ...ひくっ...ことり...ことり...うぇぇ...ことり......」ぎゅー

ことり「うん、うん。ことりここにいるからね、大丈夫だよ、海未ちゃん。大丈夫」とんとん

---
ーー

279: 2015/04/03(金) 22:01:18.55 ID:k5u9nzzE.net
海未「お騒がせしました...」ぐすっ

ことり「いえいえ。海未ちゃんの本気の泣き顔って久しぶりに見たかもっ!」

海未「ふうっー。なかなか止まらないし、自分で抑えがきかなくなるから本当に、泣くのは苦手です」

ことり「...そういうところも小さい頃のままだね」クスクス



海未「むっ。ことりだって、小さい頃のまま、かわいくておしゃれさんですよ」ぐすっ

ことり「...海未ちゃんにかわいいって言ってもらっちゃった」ふふっ

海未「なんですか、それは」

ことり「からかってるわけじゃないからそんなにほっぺた膨らましちゃ嫌だよ、海未ちゃん?」

海未「はぁー。別にもうこれしき恥ずかしくもなんともないです。言って欲しいならいくらでもいいますよ、かわいいくらい」

ことり「うわー。なんか海未ちゃんが大人になっちゃったー。やだぁー、悟ってるー!」

海未「悟ってるってなんですか、悟りたくもなりますよ...もうっ」ムウッ

ことり「えへへ、膨れないで...海未ちゃん。ことり、嬉しかったから」

海未「...」

ことり「海未ちゃん?」

海未「...ことりは本当に、ズルいです」

280: 2015/04/03(金) 22:12:26.44 ID:k5u9nzzE.net
海未「ねぇ、ことり」

ことり「...なぁに?」

海未「ことりが留学してしまったら、電話をかけてもいいですか?」

ことり「うん...、いいよ」

海未「メールも、送っていいですか?」

ことり「...いいよ」

海未「...なら」

海未「ことりのこと...好きなままで居てもいいですか」

ことり「それは...ダメ」

海未「...」

ことり「海未ちゃん、は、これからちゃんとあたらしく好きな人を見つけないとダメです」

海未「...」

ことり「心がスーッと落ち着くものも、こんにゃくのままじゃダメです」

海未「...こんにゃくも、ですか?」

ことり「せめて人にして。男の人でも女の人でも、それはどっちでもいいからさ、ちゃんと、人に誇って言えるような心の拠り所を見つけないとダメだからね」

海未「...」

海未「納得、できません...」

281: 2015/04/03(金) 22:28:46.47 ID:k5u9nzzE.net
ことり「納得しなくても、納得して。ね?」

海未「...こんにゃくもことりも無くしてしまうなんて...そんな...怖いです...無理です...」

ことり「大丈夫だよ。海未ちゃんなら、できるから、ねっ? ことり、信じてるから。大丈夫、海未ちゃんならできるよっ」

海未「...」

海未「...ことりがそう言うのなら、頑張り...ます...」

ことり「うん、...それでこそ、海未ちゃんですっ」

海未「...ぐすっ」じわっ

海未「...」ゴシゴシ

ことり「あぁ、もう、海未ちゃんそんな風に乱暴にこすったら...ほら、両目とも瞼も腫れて真っ赤になっちゃってるよ。冷やさないと」

ことり「保冷剤...まだあったかな...」

海未「こんにゃくで冷やすのでいいです」ガサゴソ

ことり「...こんにゃく...」

ことり「こんにゃくってそんなに海未ちゃんの中で万能なの?」

海未「...はい。とっても万能です。ぐすっ。なんたってこんにゃくですから。プルンプルンですから」

ことり「...じゃあ、貸して、こんにゃく」

282: 2015/04/03(金) 22:29:44.07 ID:k5u9nzzE.net
海未「えっ!? こんにゃく没収ですか? ひどいです、ことり!!」

ことり「違う違う。没収じゃないです。ほら、両目だからこんにゃくで押さえるの私がしようかなって思って」

海未「...なら、お願いします」はいっ

ことり「...わっ、冷たい。何かで冷やしてたの?」

海未「ドライアイス入れてきましたっ! こんにゃくの温度管理は任せてくださいっ」

ことり「...そう、なら今度からお願いするね?」

海未「ええ、是非っ!!」

ことり「...じゃあ、目つぶって海未ちゃん」

海未「はいっ! いつでも来てください!! こんにゃく!!」ワクワク

ことり「...じゃー、いくよー、はいっ」

ピトッ

海未「...くぅぅ...」

ことり「...ど、どう? 気持ちいいの? 」

海未「はい、とても。私の両の瞼がどんどん冷やされて、喜んでいます...」

ことり「そ、そっか」

ことり「えっと、じ、じゃあ、...こ、これは?////」

チュ


海未「へっ...んっ!?」

284: 2015/04/03(金) 22:42:15.26 ID:k5u9nzzE.net
海未「はっ...えっ、ことり...今のは...も、も、もしかして...っ!?////」

ことり「...これで私の初恋は、終わり。終わりました」

海未「...」

海未「...なら、私も...終わらせ、ます...」

海未「ことり、こんにゃくを、こんにゃくを、どけて、ください...」

ことり「...」

スッ

海未「...」

海未「...」ポロッ

ことり「海未ちゃん、また泣くと明日たいへんだよ?」

海未「いいですよ。もう、別に。明日のことなんて、考えたくないです」

海未「ことり...あなたのことが...ずっとずっと、大切で、大好きでした...」

海未「いつか、この日のことを、このキスのことを、幸せだったと思える自分になりたいです、...なります」

海未「あなたに今、ここで、そのことを、...誓います」

ことり「...海未ちゃん、ありがと」

海未「ことり、あの、目を閉じてください。...恥ずかしいので」

ことり「ふふっ。...最後まで海未ちゃんは海未ちゃんだっ」

ことり「...よかった」



そうして、私、園田海未の初恋は終わりました。

312: 2015/04/07(火) 21:18:08.34 ID:SwJ3IcIS.net
数日後 生徒会室

海未「えーっと、これがあの資料だからこっちへ...」がさごそ

ガチャ

穂乃果「あいせ~♪」

海未「!」びくっ

穂乃果「うわっ!? う、海未ちゃんまだいたの!?」

海未「...えぇ、ちょっとやり残してたことがあったので」

穂乃果「そ、そうなんだ。誰もいないかと思ってたからびっくりした...」ドキドキ

海未「誰もいないならそもそも生徒会室には鍵がかかってますけど」

穂乃果「あ、ホントだ! 穂乃果開いてるものだと思ってたからふっつーに開けちゃったよ!」

海未「穂乃果がいつも生徒会室に来るのが誰よりも遅いために身についた習慣ですね...情けない」まったく

穂乃果「来て早々に穂乃果に呆れるなんてさっすが海未ちゃん、すごいや!」指パチーン

海未「やかましいですっ」

穂乃果「あれ?」キョロキョロ

海未「? どうしたんです、キョロキョロして」

穂乃果「ことりちゃんは一緒じゃないの?」

海未「...」

海未「ことりは...。今日は用事があって、先に帰りましたよ」

穂乃果「ふーん。そっかー」すたすた

海未「...穂乃果は何をしに来たんです? 今日は生徒会の仕事はないはずですけど」

穂乃果「いやー、穂乃果も海未ちゃんがやってること、しようとして来たんだよー。普段生徒会長らしいことはしてるけど、生徒会役員らしいことはあまりできてないから!さ」

海未「これくらいのファイル整理なら別に私、やっときますよ?」

穂乃果「そんな今更遠慮する仲じゃないでしょ? ほら、2人でさっさと終わらせて帰ろーよ!」がさがさ

海未「...」がさ、がさ

314: 2015/04/07(火) 21:32:15.92 ID:DERRZk3h.net
穂乃果「これ、そっち」がさがさ

海未「はい...これはあっちに」がさがさ

穂乃果「オッケー...」がさがさ

海未「...」がさがさ

穂乃果「...」がさがさ

海未「...」がさがさ

穂乃果「あのさー、海未ちゃん」がさがさ

海未「なんですか、穂乃果。あ、それはこっちです」がさがさ

穂乃果「ことりちゃんとなんかあった?」がさがさ

海未「...」ぴたっ

穂乃果「...」

海未「...」

穂乃果「それ、こっちだよね。貰うよ」ひょい

海未「...あ、はい」

穂乃果「...」がさがさ

海未「...」がさ、がさ

穂乃果「...」がさがさ

海未「...とくに何もないですけど」がさ、がさ

穂乃果「そっかー」がさがさ

海未「はい。...何も、なかったです」がさがさ

穂乃果「...」がさがさ

海未「...」がさがさ

穂乃果「聞いた?」がさがさ

海未「...何をです?」がさがさ

穂乃果「留学」がさがさ

海未「...あぁ」がさがさ

穂乃果「ことりちゃん、いなくなっちゃうんだって」がさがさ

海未「...聞きました」がさがさ

315: 2015/04/07(火) 21:55:05.88 ID:DERRZk3h.net
穂乃果「...さみしくなるね」がさ、がさ

海未「ですね」がさがさ

穂乃果「ずっと一緒に居られると思ってたのになぁ...」がさ、がさ

海未「仕方ないですよ。夢を叶えるためです。それに離れたって、ことりはことりです。私たち3人はずっと」

海未「幼馴染のままです」がさがさ

穂乃果「...だと、いいなぁー...」がさ、がさ

海未「...えぇ、そうですよ。強く思えば思うほど、願えばきっと叶うんです。私たちは何処に居たって、幼馴染です」がさがさ

穂乃果「...うん」グスッ

海未「だから、穂乃果。ことりは2人ともで笑顔で送り出しましょうね。泣いては駄目ですよ? ことりは夢を叶えに行くんです。湿っぽい最後なんて私たちに似合いませんから」がさがさ

穂乃果「...」がさ、がさ

海未「...あ、それはこっち」がさがさ

穂乃果「なーんかさ」ズズッ

海未「はい?」

穂乃果「海未ちゃん、聞き分けいいよね。穂乃果、ことりちゃんから聞いた時泣いて暴れたよ?」

海未「...泣いて暴れたんですか、あなた」

穂乃果「だって、嫌だったもん。ことりちゃんいなくなるの」

海未「...」

海未「...私だって、嫌です、けど...」がさ、がさ

穂乃果「...」ズズッ

海未「でもそれ以上に...夢を追いかけることりが好きですからね、私は」がさがさ

穂乃果「...」

海未「適材適所です。物には時とタイミングと、運と...それと...才能と努力と才能と熱意と...あと...諦めたくない気持ちとか...届けたい気持ちとか...そういう...色々な気持ちがあるはずです、...多分」がさがさ

穂乃果「海未ちゃんにしてはやけにおおざっぱな物の言い方だね」グスッ

海未「確かに」ぐぬぬ

海未「ええと...何が言いたいかと言いますと」がさ、がさ

海未「私たちは、できるなら、ことりが夢を叶えるのをいちばん最前線で応援する位置にいたいですよね、って話です」がさがさ

穂乃果「う~~~~~~ん」

海未「...」がさがさ

穂乃果「なんとなく、なんとなく言いたいことわかるっ!なんとなく!」

海未「わかってくれてよかったです、穂乃果」

316: 2015/04/07(火) 22:00:30.72 ID:DERRZk3h.net
穂乃果「...でも、やっぱりさみしいよ」グスン

海未「さみしいのは、当たり前ですよ。それが正常です」ヨシヨシ

穂乃果「うまく笑ってことりちゃんを応援できるかな?」メソメソ

海未「あと1年、ことりは猶予をくれたじゃないですか。私たち、ゆっくりさよならをしましょうよ。いきなりさよならじゃ、辛すぎますもん」

穂乃果「...だね。うわぁあああああん!!
ことりちゃあぁあああああああああん!!」ぎゅー

海未「ちょ、穂乃果っ!? いきなり抱きつかれたら、くっ、苦しっ!?」うぇっ

穂乃果「ん!? 」

海未「えっ、なんですか?」

穂乃果「海未ちゃんなんか、こんにゃくくさいっ!!」

海未「...」

ぐいっ

海未「作業に戻りますよ穂乃果」てきぱきてきぱき

穂乃果「えっ!?な、なんでいきなりやる気になってるの海未ちゃん」

海未「ほら、手を動かすッ!!」カッ

穂乃果「うぇーん!! 海未ちゃんが怖いー!! ことりちゃん助けてェーーーーー!!!」

317: 2015/04/07(火) 22:09:19.47 ID:DERRZk3h.net
~~~~~

空港

海未「...」

穂乃果「ことりちゃーん!! 元気でねぇー!! 風邪ひいちゃダメだよぉー!! 歯磨くんだよぉー!!」ぎゅー

ことり「穂乃果ちゃーん!! 穂乃果ちゃんも元気でねっ!!」ぎゅー

海未「(あっという間の1年間でしたねぇ...)」

穂乃果「メールするねっ!! 電話もするからっ!!」ぎゅー

ことり「うんっ!! 私も穂乃果ちゃんにメールするっ!! 電話するっ!!」ぎゅー

海未「穂乃果。そろそろ時間ですからそれぐらいに」

穂乃果「うん...、わかったよ、海未ちゃん」

ことり「穂乃果ちゃん。...それに海未ちゃん。今まで本当にありがとう。2人に会えて本当にことりは幸せでした」

穂乃果「ことりちゃん...」ジワッ

海未「(...何も言えない。言う言葉が、見つからない)」

ことり「ことり!絶対夢を叶えるからねっ!!」

穂乃果「うん!! 穂乃果もちゃんと自分の夢を叶えるからっ!! ことりちゃん、すぐに日本に帰ってきてねっ!! ずっと待ってるよっ!! でも、その分応援してるからねっ!!」

海未「(...今更強く思っても、もうどうしようもないのに、...いちばん言いたい言葉が、言えない)」

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん...」

海未「...」

ことり「...海未ちゃん」

海未「あっ。ことり...」

320: 2015/04/07(火) 22:28:01.01 ID:DERRZk3h.net
海未「...あの」

ことり「うん...」

海未「...」

ことり「...」

海未「...お元気で」

ことり「...うん。...海未ちゃんも、ね?」

海未「...」

ことり「...」

海未「はい...」

ことり「じゃあ。ことり、行くねっ! 」

穂乃果「えっ、2人ともそれでいいのっ!?もっと語らないの!? そんな武士みたいな別れ方でいいのっ!?」

海未「...いいんですよ。もう充分...さよならはしましたから」

ことり「...穂乃果ちゃん、海未ちゃん。じゃあ、いってきます!」

海未「はい。いってらっしゃい」

穂乃果「がんばれぇー!! ファイトだよ!! ことりちゃーーーん!!」


海未「(そうやって、ことりの後ろ姿は次第に小さくなっていって)」

海未「(見失いたくなくて、必氏に目で追っても、いつの間にか誰ともわからなくなって、ことりは人ごみに消えてしまった)」

海未「(慌ただしい空港の中で、こんな別れなんて日常茶飯事で、よくある本の最後の1ページでしかないストーリーで)」

穂乃果「...ぐすっ、本当に行っちゃった...ことりちゃん...うぇぇ...海未ちゃーん...うわぁあああああん」

海未「よく堪えましたね...穂乃果。あの時の約束、守ってくれて嬉しいですよ」ぎゅー

海未「(...行かないでほしい...行かないで.....行かないでください...ことり)」

海未「(...本音を言えない私は、ことりの夢を心から応援できているのでしょうか)」ナデナデ

穂乃果「うぅ、ぐすっ。海未ちゃん。ことりちゃんの乗った飛行機、見送りたい。...最後まで見送ろうよ...ずずっ」

海未「...ですね。展望デッキに行きましょうか、穂乃果」

321: 2015/04/07(火) 22:43:26.81 ID:DERRZk3h.net
展望デッキ

穂乃果「さっむっ!! ここすっごい寒いよ海未ちゃん!!」ガタガタガタ

海未「ですね。...3月とはいえ空港の風は冷たい...です...」ガタガタガタ

穂乃果「あ、でも!! うわぁー! ここの展望デッキ、なんだか屋上と雰囲気が似てるねっ!!」

海未「ですね。初めて来たのに、とても懐かしいです」

穂乃果「あー、そういうのなんていうんだっけっ。えーっとー、デジャベル...デシャバル?」

海未「デジャブでしょうか。既視感のことですね」

穂乃果「それ! デジャブ!! それが言いたかったの!!さすが海未ちゃん!!」

海未「デジャブを言いあてたくらいでそんなに喜んでくれるのは穂乃果くらいでしょうね」クスッ

穂乃果「えーそんなことないよぉー。きっと海未ちゃんが言ったことならなんでもことりちゃんだって喜んでくれるよー!」

海未「...だといいんですけどねぇ」

穂乃果「あ、ベンチが置いてあるから座ろうよっ! 」

海未「えーっとー、あれがおそらくことりの乗っている飛行機ですから、こっちのベンチに座りません?」

穂乃果「おっ、いいねいいね!! そっちに座ろう!!」

322: 2015/04/07(火) 22:52:31.00 ID:DERRZk3h.net
穂乃果「...このフェンスの感じが本当、屋上と似てて雰囲気出してるねぇー」

海未「ですねぇ。まるで屋上にいるみたいですよ」

穂乃果「...」

海未「...」

穂乃果「ねぇ」

海未「なんです?」

穂乃果「もっと、自分の気持ちを出しても良かったんじゃない?」

海未「...何の、ことです?」

穂乃果「ずっとさ、一緒に居たんだし、当たり前だよ」

穂乃果「悲しいのも、引き留めたくなるのも」

穂乃果「好きになるのも」

海未「...」

穂乃果「帰ってこられないなら、別に、海未ちゃんが行けばいいだけの話なんじゃないの?」

海未「...私は、園田の人間ですから。それは無理です」

穂乃果「...」

海未「...」

穂乃果「お互いに諦めて、お互いが幸せになる可能性を捨てたんじゃ。こんな終わり方しか、そりゃ実らないよね、海未ちゃん」

海未「...」

海未「...ほら、穂乃果。そろそろ飛行機が離陸する時間ですよ」

穂乃果「...うん。もう、黙るよ」

海未「...」

海未「そうしてくれると、助かります」

324: 2015/04/07(火) 23:13:09.52 ID:DERRZk3h.net
海未(...本当に穂乃果の言う通り)

海未(もっと自分の気持ちを伝えればよかった)

海未(もっと、一緒に居たいと伝えればよかった)

穂乃果「あ、飛行機、動き出した」

海未(もっと、好きだってことりに伝えればよかった)

穂乃果「...ことりちゃん」グスッ

海未(確かに悲しいはずなのに。私はどうして...穂乃果のように...涙が出ないのでしょうか)

海未(...私は...ことりとのさよならを...やり遂げられなかった...?)

穂乃果「あれ...なんだろう...あの飛んでくる飛行機...このままだとことりちゃんの乗ってる飛行機に...」


海未「えっ...」


着陸のために滑走路上空で高度を下げていたはずの飛行機が大きくバランスを崩しながら滑走路に、その右翼を引きずり火花を散らしながら倒れこみ

そして、次の瞬間

ことりの乗っていた飛行機に真横から突っ込みました。

双方の飛行機が衝突した瞬間に、激しい爆発が起き、鼓膜を破裂されるような爆音のあと、目の前が真っ赤な炎に包まれました。

海未「...そんな、う、うそです」

海未「...こんなのうそです!? うそにきまってます!」

海未「ことり...」

海未「...ことり...そんな、こんなのあんまりです...ことり...そんな......まだだって、私はこんにゃくの変わりなんて見つけてもいないし...ことり...嘘だ...ことり...ことり...ことりぃぃぃいいいいいいい!!!!!!」

332: 2015/04/07(火) 23:21:26.03 ID:DERRZk3h.net
~~~~~

海未「はぁ...はぁ......」ばくばくどっきん

海未「はぁ...はぁ...」どっきんどっきん

海未「はぁ...はぁ...」どっきどっき

海未「...い、今のは...夢、ですか...?」どきどき

海未「け、携帯を...」もぞもぞぴっぴっ

海未「...3月24日...夜中の3時...」

海未「...」どきどき

海未「...夢...ですか...よ、よかった...」どきどき

海未「...はぁ...」ごろん

海未「...穂乃果がやけに賢いと思ったんですよね...デジャブなんて言葉知ってるわけがありませんよ...」あはは

海未「...私の気持ちも...知ってるわけがないんですよ...」

海未「...」

海未「...」

海未「...ことり」

海未「私は...どうしたらよいのでしょう」

海未「今日、起きたらもうさようならを、しなくてはいけないというのに、まだ、心を決めかねているからあんな夢を見るのですよね...」はぁ

海未「...」

海未「...」ムズムズ

海未「どうしましょう...」

海未「...こんにゃくペシペシしたくなってきました」

336: 2015/04/07(火) 23:51:42.52 ID:DERRZk3h.net
海未「...でも、こんにゃくはもう使わないとことりと約束しました...」ムズムズ

海未「...」ムズムズ

海未「...」ムズムズ

海未「...がっ、我慢ですっ!! こんにゃくを使ったらことりに嫌われてしまいます!! 最後の最後に嫌われるなんて嫌ですっ!!」

海未「もう寝ますっ!! こんにゃくなんてもうしりませんっ!!ちゃんと明日お見送りしに行くのに起きないといけないですし!!」ふとんもぐりっ

海未「...」

海未「...」

海未「...夢でよかった」グスッ

海未「はっ。こんな時間に泣いたら目が腫れます」ゴシゴシ

海未「...」

海未「...」

海未「ことり...」

349: 2015/04/08(水) 15:43:26.62 ID:8yJXpyhy.net
海未「...」ゴロン

海未「...」ゴロン

海未「...」ゴロン

海未「...駄目です。眠れません」

海未「うう...(ムズムズが寄っては返す波のように周期的に押し寄せてきます)」ムズムズ

海未「(こんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくキメたいこんにゃくこんにゃくこんにゃくこんにゃくこんにゃくこんにゃく)」

海未「...」

がばっ

海未「...」

海未「...気分転換にこんな時間ですけど散歩にでも出てみましょう...」がさごそ

海未「(誰か、私の頭の中のこんにゃくを消してください...)」がさごそ

350: 2015/04/08(水) 15:58:41.17 ID:8yJXpyhy.net


海未「はぁ...思ったより寒くてそして暗いですねぇ。...もう少し何か羽織ってくればよかったです」テクテク

海未「...」テクテク

海未「...曇っていて...星は見え...ませんね...」テクテク

海未「...東京とは言っても、この辺りはこの時間帯だと人っ子ひとりいませんし...」テクテク

海未「(...まるで本当にひとりぼっちになったみたいです)」テクテク

海未「...」テクテク

海未「(...いや、私のひとりぼっちなんて、ことりがこれから遭遇するひとりぼっちさに比べたら...大したことなんてないですよね)」ははは

海未「...はぁ。寒さでだいぶ、頭は冷えましたけど」テクテク

海未「(何をやってるんでしょうか...私は...)」テクテク

テクテク

海未「(おや、あちらからも誰か歩いてきているみたいですね...。こんな時間に散歩だなんて...)」テクテク

テクテク

海未「(私のようなこんにゃく愛好者の方でしょうか...?)」テクテク

テクテク

海未「...ア」

ピタッ

海未「...」

「こんな時間に出歩くなんて、珍しいね」

海未「...あ、あなたこそ」

「うーん。こういう場面にふさわしい台詞って何かないかなぁ」うーん

海未「ふさわしい台詞って...ドラマの見すぎなんじゃないんですか」

「ううん。ドラマじゃなくてねぇー。あぁ、こないだ穂乃果ちゃんから借りた漫画でこういう台詞があって素敵だなぁって思ったんだよね。思い出したっ!いーっちゃおっ!」コホン

「ねぇ、海未ちゃん」

海未「...なんでしょうか、ことり」

ことり「運命って信じる?」

351: 2015/04/08(水) 16:10:52.97 ID:8yJXpyhy.net
海未「運命...ですか...」

ことり「うん、運命っ!」にこっ

海未「...」

海未「...」

海未「どうでしょう。...まだ私には難しくてよくわかりません」

ことり「そっかぁー」

海未「すみません...」

ことり「...」

海未「...」

ことり「...」じりっ

海未「ゔっ!? な、な、なんですか、いきなり近づかないでくださいっ!?///」ドキッ

ことり「うっふっふ。 海未ちゃん照れてる照れてる」にこにこっ

海未「照れますよそれは.../// なんか、テンション高くないですか...ことり...///」はぁ

ことり「それはねー、こんな時間に海未ちゃんに会えるなんて思ってなかったからねぇー」えへへ

海未「...」

ことり「...ここからだと公園近いし、少しだけ、お話しませんかっ、海未ちゃん」

海未「でも、時間が時間ですし...。ことりは明日...というか、もう今日ですけど、早いのでしょう? 送りますから帰りましょうよ」

ことり「えー。さっき出てきたばっかりだし、海未ちゃんが一緒してくれなくても、いいもん。 ことり、1人で公園行くからっ」

海未「...」ぐぬぬ

海未「...はぁ、わかりましたよ。ことり」

海未「私も公園行きますから。こんな時間に1人でいたら危ないです」

ことり「よしよし。海未ちゃんは相変わらずチョロいね」

海未「...せめて優しいとか言ってください」

ことり「海未ちゃんは優しいねぇー」にこにこっ

海未「くっ//// やや、やっぱチョロいでいいですっ!? ほら、行きますよ///!?」スタスタ

ことり「あーん。待って海未ちゃーん」タタタッ

352: 2015/04/08(水) 16:32:08.31 ID:8yJXpyhy.net
公園

海未「ずずーっ」

ことり「ずずーっ」

海未・ことり「ぷはぁー」

海未「やっぱ暖かいものはいいですね。身体がポカポカします」

ことり「だねぇ。念のために500円だけ持ってきててよかったー」

海未「すみません。奢ってもらって。明日...今日返しますから」

ことり「ううん。いいよ、午後ティーの1本くらい」

海未「そうですか...。ありがとうございます。...味わって飲みますね」ずずっ

ことり「はい、味わって飲んでくださいっ」くすくす

海未「...」

ことり「...」

海未「...」ちらっ

ことり「...」じーっ

海未「!?」びくっ

海未「あわわわ...えっと/// その、明日は気を遣っていただいたみたいで、空港には私と穂乃果だけがお見送りに行くことになりましたけど、ことりは...本当にそれでいいんですか?」

ことり「本当にって?」

海未「いえ、ですから。私と穂乃果だけじゃなくて、μ'sの9人でことりの旅路を盛大に盛り上げた方がことりも本当は嬉しいし、心強いんじゃないのかなぁと。もしそうなら今からでも別にみなさんに連絡して集まってもらうようにしますけど」

ことり「ううん。μ'sのみんなにはちゃんと送別会もしてもらったし、それぞれちゃんとお別れの言葉とかお礼の言葉は伝えたから、大丈夫だよ」

ことり「本当に穂乃果ちゃんと、海未ちゃんの2人にお見送りされたい」

ことり「ことりの本心だよ。だから、大丈夫」

海未「...それなら、よかったです」

ことり「心配性だなぁー。海未ちゃんはー。もー」えへへ

354: 2015/04/08(水) 16:46:24.06 ID:8yJXpyhy.net
ことり「それにしてももう明日かぁー。早かったなぁ、時間が経つの」

海未「あっという間でしたね。...未だにもう高校を卒業した身とは信じられませんもの」

ことり「中学卒業した時の春も海未ちゃんそれ言ってた気がするー!」

海未「え、そ、そうでしたっけ? ...お、覚えがないのですけど」

ことり「言ってたよぉ!! 『朝起きたら間違えて中学校に登校しそうです』とかメール着てたもんっ」くすくす

海未「そんなメール送りましたっけ? 本当に覚えがないです...」むむむ

ことり「あーあー。懐かしいなぁ。本当に懐かしい」

ことり「そういうのとももう全部お別れなのかぁ」

海未「...」

ことり「...」

海未「...」

海未「(なにか言うべきなのでしょうが、言うべき言葉がわかりません...。それでも何か言わないと言わないと、この時間が終わってしまう...)」

海未「(うぅ、嫌です。もう少し一緒にいたいけど、話題が...出てきません。なにかなにかないでしょうか。...ことりを引き止める以外の話題...)」

ことり「海未ちゃんはどうしてこんな時間にお散歩してたの?」

海未「あ、お散歩。...そうですね。そういうの話せば...なるほど」

ことり「?」

海未「いえ、なんでもないです。...あ、あの。実は先ほど嫌な夢を見たんです」

ことり「嫌な、夢?」

海未「はい。...今日穂乃果と空港にことりをお見送りに行く夢を」

海未「その、言いづらいんですけど...ことりの飛行機爆発してしまって...」

ことり「うわー。勝手にことりのこと殺さないでよー海未ちゃーん」やーもう!

海未「す、すみません? でも、妙にリアルで...また寝ようとしたんですけど、眠れなくて。それで」

ことり「それでお散歩に?」

海未「いえ、心を落ち着かせるプログラムが誤作動を起こしまして、その、こんにゃくをキメたくて仕方がなくなってしまったので気を紛らわせるために外に出たんです」

ことり「そう...」

355: 2015/04/08(水) 17:05:20.03 ID:8yJXpyhy.net
ことり「こんにゃく...まだしてるんだね」

海未「で、でも、回数は確実に減ってきてますよっ!? 前はほぼ毎日でしたけどっ!! 今は月に5回あるかないかですっ!!」

ことり「ほんとにー?」にやにや

海未「...ごめんなさい、嘘をつきました。月に10~15回です」

ことり「言わなくても別にバレないのに。海未ちゃんは真面目だねぇ」くすくす

ことり「でも、偉いです海未ちゃん。確実に回数減ってきてるねっ」

海未「くっ.../// 子ども扱いしてっ!! そ、そういうあなたは何故外をお散歩していたのですか?」

ことり「うん? ことりはねぇー、3月になってからちょいちょいこの時間にお散歩してたんだー」

海未「えっ!? 何危ないことしてるんですかっ!? 」かっ

ことり「わわわわ。怒らないで落ち着いて海未ちゃん。 ほら防犯ブザーもスマホも持ってるから許してっねっ?」ササッ

海未「そんな小道具持っていたって、ことりはかわいいんですからっ、自覚を持って行動しないと駄目ですっ!!? 先が思いやられますよっ!?」まったく

ことり「いやぁ~えへへ/// ん~たはははぁ~////」

海未「...また。かわいいくらいで照れないでくださいよ」

ことり「えっ~!? 散々事あるごとに照れてきた海未ちゃんがそれをいいますかっ!? すっごく恥ずかしいし破壊力あるんだからねっ!? 海未ちゃんに『かわいい』って言われるのっ!!!/////」

海未「いやー、この1年間結構言ってきましたよ? 事あるごとに『かわいい』って。全っ然ことりは慣れませんでしたけど、毎回照れてくれるのがむしろしょうがなく思えるくらいですよ」

ことり「んー。だって、嬉しいんだもん、やっぱり海未ちゃんに『かわいい』って言ってもらえるの。毎回全然違く聴こえて、毎回新鮮に思えちゃう」

海未「...そ、そうですか////」カァァ

ことり「...」

海未「...」

ことり「...」

357: 2015/04/08(水) 17:30:04.67 ID:8yJXpyhy.net
海未「...」

ことり「いつか、また、こうやって海未ちゃんとおはなしができたらいいな」

海未「...えぇ、そう、ですね」

ことり「海未ちゃんはどんな大人になるんだろう」

海未「...どうですかね。特に変わりはせずにこのまま歳をとりそうな予感がいっぱいですけど」あはは

ことり「ううん。きっと、かわいくてかっこよくて素敵な大人になってるよ。ことりが保証しますっ!」えへん

海未「...」

海未「...だと良いのですが」

ことり「大学生でしょ? 出逢いも増えるしお酒も飲めるようになっちゃうし。あ、海未ちゃんってお酒強いのかな?」

海未「さぁ。まだお正月などにお神酒を一口含む程度にしか嗜んだことがないので」

ことり「飲み過ぎて酔っ払っちゃう海未ちゃんとか、かわいいんだろうなぁー」きゃー

海未「...あはは。飲み過ぎには注意したいものですね」

ことり「そのころにはもうこんにゃくも流石に卒業しててよね? 大学生でこんにゃくくさかったら大変だよ?」

海未「...そこは...善処します」

ことり「こんにゃくを心の拠り所のままにしてちゃダメゼッタイだからね!」

海未「それも1年間散々聞かされて耳が痛いです...」あうぅ

ことり「...大学卒業して...就職? それともお家を継いでるのかなぁ。 海未ちゃん家の詳しいことはことりにはよくわからないけど、でも、きっと就職してもお家を継いでも海未ちゃんは海未ちゃんのままで、しっかりしてるんだろうなぁ」

海未「...」

ことり「次に会える時は本当にもう、海未ちゃんは結婚とかしちゃって。子どもとかいたりしてね」ふふっ

海未「...」

ことり「...本当にもう、次に会える時は全部が遅いんだろうなぁ」ぼそっ

海未「...」

海未「...」

海未「...ことり?」

359: 2015/04/08(水) 17:57:48.75 ID:8yJXpyhy.net
ことり「...海未ちゃん」ぽろぽろっ

海未「ことりあなた...」

ぎゅ

海未「えっ」

ことり「...ひくっ...うぇぇ...うぇぇぇん...」ぎゅー

海未「こ、こと、り...?/// ちょ、うぇぇっこ、ことりっ!?//////」ドキ

ことり「...離れたくないよぉぉお...ずっと...一緒にいたかったよぉ...うわぁああああん...」ボロボロ

海未「...そ、そんな...なんで...どうして... いや、とりあえずその、は、離れてください////」ドキドキ

ことり「嫌だ...やだ...いや...やだやだ...他の人といちゃやだ...」

海未「...」

海未「...」

海未「んなっ!? /////」カァアアアア

海未「嫌だじゃなくて...!! ど、どうして、今さらそのようなことを言うんですか...ことりっ...やめてください...離れてください...ことり...ことりっ!!」

ことり「...ごめん...ごめんなさい...海未ちゃん...ごめ、ん、な、さぁ...うぁぁあああ」ぎゅー

海未「くっ!? ...そんなそんなことを言われたら...私は...私は...」ドキドキ

海未「(...ど、ど、ど、どうしたらいいんですか。引き止めたい気持ち、せっかく心の中に押し込んでしまったのに、こんな、そんな風なことを言われてしまったら...)」ドキドキ

海未「(私は...ことりを...ことりと...)」ドキドキ

ことり「うぇぇっ...ぐじっ...ずずっ...海未ちゃん...海未ちゃん...海未ちゃん...」ボロボロ







海未「(あぁ...もう!!)」

362: 2015/04/08(水) 18:42:04.93 ID:8yJXpyhy.net
トン、トン

ことり「ひっく...ぐすっ...こほっ...う、うみ、ちゃ...?」

トン、トン

海未「ほら、背中トントンしてますから、泣き止んでください。ことり」

トン、トン

ことり「ぐすっ...はぁ...ぐすっぐすっ...うぇぇん...ぐすっ...」

トン、トン

海未「ゆっくりで大丈夫ですから。落ち着いて。深呼吸もしましょうか。はい、ひっひっふー。ひっひっふー」

トン、トン

ことり「ぐすっ...ぶふっ。 そ、れし、んこきゅ、じゃ、ない、よ。うみ、ちゃん」ふふっ

トン、トン

海未「ひっひっ。...そうでした。これはラマーズ法ですね/// 失礼しました////」

トン、トン

ことり「ふふっ...もう、うみちゃ、...ばか、ぐすっ...ひくっ...やさしく、しないでよぉ...ひくっ...うぇぇ...うぇぇん」ボロボロ

トン、トン

海未「馬鹿って...。そんなこと言われましても...。ことりが泣いてたら、私は困ってしまいます...から...優しくも、して、...しまいます」

トン、トン

ことり「ううん、ひっく。バカだよ、うみちゃ、はバカ、おバカさん。こういうときは、ひきとめて、って、いってるようなもの、なんだから、さぁ」ぐすっ

トン、トン

海未「...そんなこと、今さら言わせようとするなら、最初から行かなきゃいいじゃないですか...留学なんて」

トン、トン

ことり「だって、うみちゃ、ぐすっ、とちゅー、で諦める人、好きじゃないでしょ?」

トン、トン

海未「それを言うならことりだって、...夢を叶えたいんでしょう?」

364: 2015/04/08(水) 19:27:09.24 ID:8yJXpyhy.net
トン、トン

ことり「...」ぐすっ

トン、トン

海未「...」

トン、ト

ことり「トントン...もういい...」ぐすっ

海未「あ、はい...」

ことり「そのまま、ぎゅーってして」ぐすっ

海未「えー...//// えー...////」

ことり「ぎゅーするのっ!! 海未ちゃんだって今さらぎゅーで照れないでよぉ!!」ぐすっ

海未「わ、わかりました!? わかりましたからっ!?」あせあせ

ぎゅー

ことり「うわーっ!うみちゃーあったかーい!」

海未「こ、ことりのほうがあったかいですよっ!?/////」

ことり「...」モゾモゾ

海未「?」

ことり「...」モゾモゾ

海未「...な、なんですか、モゾモゾして/////」

ぎゅー

ことり「ふふっ、ことりも海未ちゃんを抱きしめてみたっ」

海未「うっ...////」カァアアア

海未「そ、そうですか...」プイッ

ことり「やだ? いやならはなす」

海未「...えー」

ことり「いや?」

海未「...いやじゃないですよ?」

ことり「...うみちゃん」

海未「は、はい?」ドキドキ

ことり「さよなら、だね」

海未「...そうですね」

365: 2015/04/08(水) 19:29:22.05 ID:8yJXpyhy.net
ことり「無くなるって辛いね。わかってはいたけど、ことり、わかってる気になってるだけだったみたい。今頃になって凄く実感しちゃった...」

海未「...そんなの、私だってそうですよ」

ことり「海未ちゃんも?」

海未「はい。私も。...いえ、私はまだ実感すらできて、いないかも...しれないです」

ことり「そっかー。じゃあ、ことりがいなくなってから、やっと『ことりはもういないんだなぁー』って実感して海未ちゃんは泣くんだね」ニヤニヤ

海未「なんでちょっとニヤニヤしてるんですか」

ことり「海未ちゃんが泣くの想像するの、ちょっと好きなんだよね」ふふっ

海未「ええっー。趣味悪いですよ、それ」うわー

ことり「こんにゃくでおしりペシペシしてた人に言われたくないですっ!」ぽかっぽかっ

海未「いたたっ。ちょっと、暴れないでください。あと、こんにゃくを罵るのはやめてください」

ことり「もう...。...ことりのこと考えて泣いてくれるのがいいってだけっ。別に海未ちゃんの泣き顔に萌えるとかじゃないから」ぎゅー

海未「も、もえ?」

ことり「あー、なんでもないなんでもない。忘れて! 忘れなさい!!」

海未「は、はい。忘れろと言われたら忘れますよ...わかりました」

ことり「なにその法則」くすっ

海未「えー、だって、覚えていたら嫌なことなんでしょう? それなら、忘れるように努めますよ」

ことり「ふーん。なら、『行かないで』ってことりに言って?」

海未「それは...話が別ですよ...」

ことり「...海未ちゃんの、バカっ」

海未「なんとでも言ってください」

ぽかっ

海未「叩いていいとは言ってませんっ」いたっ

369: 2015/04/08(水) 20:53:18.56 ID:8yJXpyhy.net
ことり「ふふっ。...うみちゃーん」ぎゅー

海未「もう...なんですか?」

ことり「あのね。いいからね」

海未「はい?」

ことり「お酒で酔っ払って失敗していいし、かわいくもかっこよくもしっかりもしてなくていいよ。大人になろうとして、大人になりきれなくてもいいよ」

ことり「結婚もしてていいし、子どももいていいよ」

海未「...」ぎゅー

ことり「...全部いいよ。大丈夫。...だって、海未ちゃんだもん」

ことり「だから」

ことり「海未ちゃん、お願い」

ことり「幸せになってね」

海未「...」

ことり「わかった?」

370: 2015/04/08(水) 20:53:43.08 ID:8yJXpyhy.net
海未「...全部いいんですか?ことりにそんなに許されたらなんだか駄目人間になってしまいそうですけど」

ことり「うん、いいよ。その代わり本当に幸せにならないとダメだからねっ」

海未「...」

海未「わかりました。ことりにお願いされたら仕方ないですよね...」

海未「...私は私のやり方で幸せになります」

ことり「...」

ことり「...うん。そうしてくれると、ことりは嬉しいですっ」

海未「ことりも...その、幸せになってくださいね?」

ことり「うん。...大丈夫。海未ちゃんの幸せがことりの幸せになるから」

海未「...幸せって、そういうものなんですか?」

ことり「うん、そういうものなんだよ、海未ちゃん。ことりはまだ、正直言うと実感はないんだけどね」ふふっ

海未「あぁ、奇遇ですね。私もまだ全然実感ができていないんです」ふふっ

ことり「...そうなんだぁ。じゃあ、海未ちゃん泣いちゃうの?」くすくす

海未「そうですね。きっと、泣いてしまいますね。でも、ことりはそれがちょっと好きなのでしょう?」くすくす

ことり「うん、そう。ちょっと、好きなの。ふふっ」くすくす

海未「ふふっ...」

ことり「...ふふふっ」

海未「...」

ことり「...」

海未「...」

ことり「...」






海未「そろそろ...帰りましょうか。...送ります」

372: 2015/04/08(水) 21:03:54.66 ID:8yJXpyhy.net
ことり「...ううん。1人で帰るよ」

海未「でも...」

ことり「海未ちゃんも早く帰って寝て。明日空港ちゃんと来てね?」

海未「言われなくてもちゃんと行きますよ。...ちょっと寝不足かもしれないですけど」

ことり「あ、それはことりも」えへへ

ことり「よいしょっと」

海未「(あぁ、ずっとことりを抱きしめていたからでしょうか)」

海未「(とたんに寒くなってきました...)」

ことり「じゃあ、また明日ね海未ちゃん」

海未「えぇ、また明日。と言っても、もう今日なのですけどね」

ことり「あ、そうだった。ふふっ。じゃあ、帰るねっ」

海未「はい。お気をつけて。また、空港で」

ことり「...バイバイ、海未ちゃん」

海未「さようなら、ことり...」













海未「...」

海未「...」

海未「...」

海未「...」

海未「(...行かないでと言うことをお願いされると思ってたんですけどね)」

海未「...」

海未「...」

海未「...私も、帰って寝ましょう」

378: 2015/04/08(水) 21:54:49.47 ID:8yJXpyhy.net
タッタッタッ

ことり「はぁ...はぁ...はぁ...」

ことり「...はぁ...はぁ...はぁ」

ことり「...はは、やっぱりもう海未ちゃん帰っちゃってるか...」はぁはぁ

ことり「そう...だよね...。...海未ちゃんだもんなぁ、公園にそのまま居続ける人じゃないかぁ...」はぁはぁ

ことり「...はぁ...はぁ」

ことり「...これが、ことりと海未ちゃんの運命なのかな」あはは

ぐすっ

ことり「...ううっ」ぽろぽろ

ことり「(泣いてももうトントンしてくれる海未ちゃんはいないんだ...)」ぐすっ

ことり「...」

ことり「...」ごしごし



ことり「今度こそ、ひっく、...ちゃんと帰って寝なくちゃね」

379: 2015/04/08(水) 22:11:26.39 ID:8yJXpyhy.net
空港

海未「...」

穂乃果「海未ちゃんなんかすっごい眠そうじゃない? 穂乃果の気のせい?」チューゴクゴク

海未「...やっ、ほのか...寝不足とか、そんなこと、ないです、から」

穂乃果「そうなの、かな。ことりちゃんが荷物預けたり色々してるうちにコーヒー飲んどきなよ」

海未「ですね...。コーヒー、飲みます」ごくっ

海未「...苦いです」ウゲェ

穂乃果「コーヒー飲んでもそんな顔するなら今の海未ちゃんには炭酸のほうがいいのかな? 飲む? ジンジャエールだけど」はい

海未「...いや、別に...眠たいわけではないんですけどね...人生、体験ですから、ジンジャエール、飲みましょうか...」ごくっ

海未「...痛いです」ウゲェ

穂乃果「今日の海未ちゃん、なんか顔芸すごいね」ゲラゲラ

海未「...なんとでも、言ってください」ごくっ

海未「...」ウゲェ

穂乃果「だから、その顔。もっかいやったら写真撮るからねっ」ゲラゲラ

「2人ともごめんねー! おまたせー!!」

海未「...」

穂乃果「わー! ことりちゃーん!! 」

穂乃果「って、ことりちゃんもすっごい眠たそう!? えっ、今日って寝不足でくるべき日だったのかな!? 穂乃果空気よめてない!?」

ことり「えー、そ、そんなことないけど、そんなに眠たそう?」

穂乃果「うん。すっごいよ! ほら、穂乃果のジンジャエールあげるから目覚まして覚まして!!」はいっ

ことり「あ、ありがとう。穂乃果ちゃん」ごくっ

ことり「うわー。これ炭酸強いねっ!!」キャッキャ

穂乃果「でしょー!ここの空港のジンジャエール、炭酸強いので有名なんだよー」キャッキャ

海未「...私、そんなの飲まされたんですか、さっき」

穂乃果「寝不足な海未ちゃんがわるーい!」

海未「穂乃果...後で覚えといてくださいね...」

穂乃果「ひぃぃ、海未ちゃんこわいっ!?ことりちゃん。助けてぇー!!」

ことり「ふふっ。私も寝不足な海未ちゃんが悪いと思いまーす」くすくす

穂乃果「2対1で穂乃果の勝ちだよー!海未ちゃん!!」ドヤァ

海未「...もう、なんとでも言ってください」

380: 2015/04/08(水) 22:31:33.21 ID:8yJXpyhy.net
海未「(それから、私たち3人は空港の中をふらふらと見て回ったりして、時間を過ごしました)」

穂乃果「普段空港ってこないから色々なものが珍しくなって、あれもこれもってなっちゃうよー」

ことり「わかるなぁー。あ、穂乃果ちゃんあっちにパン屋さんがあるよ! 」

穂乃果「わっ! ほんとだー!! ちょっと行ってくるねー!!」ダッ

海未「こら、穂乃果。空港を走っては...。もう行ってしまいました」まったく

ことり「ふふっ。やっぱり穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんだなぁ」くすくす

海未「...あれでも4月から大学生なんですから、不思議ですよねぇ」くすくす

ことり「目は覚めた?」

海未「歩き回ったおかげですかね、...だいぶ覚めましたよ」

ことり「歩き回ったから? ジンジャエール飲んだからじゃなくて」ニヤニヤ

海未「...あぁ、ことり。あなたって、もしかして私の辛そうな顔が好きなんですか?」

ことり「そんなこと、ないけど」くすくす

海未「...もう、そうやって笑ってごまかして。ほら、穂乃果のところに行きましょう」

ことり「はーいっ」

381: 2015/04/08(水) 22:41:02.47 ID:8yJXpyhy.net
海未「(楽しい時間が過ぎるのは...あっという間ですよね)」

海未「(気がつくと、アナウンスが鳴り響いて、ことりとのお別れの時がやってきました)」



穂乃果「ことりちゃーん!! 元気でねぇー!! 風邪ひいちゃダメだよぉー!! 歯磨くんだよぉー!!」ぎゅー

ことり「穂乃果ちゃーん!! 穂乃果ちゃんも元気でねっ!!」ぎゅー

海未「...」

海未「(えっ...すっごいデジャブなんですけど。なんですか、これ)」ドキドキ

穂乃果「メールするねっ!! 電話もするからっ!!」ぎゅー

ことり「うんっ!! 私も穂乃果ちゃんにメールするっ!! 電話するっ!!」ぎゅー

海未「(ええと、たしか次に私が穂乃果を止めて...)」

海未「穂乃果。そろそろ時間ですからそれぐらいに」

海未「(わーおっ!口が勝手に夢と同じようなセリフを)」

穂乃果「うん...、わかったよ、海未ちゃん」

海未「(このままだと、また私は、何も言えないままことりとさようならを...)」

ことり「穂乃果ちゃん。...それに海未ちゃん。今まで本当にありがとう。2人に会えて本当にことりは幸せでした」

穂乃果「ことりちゃん...」ジワッ

海未「...」

ことり「ことり!絶対夢を叶えるからねっ!!」

穂乃果「うん!! 穂乃果もちゃんと自分の夢を叶えるからっ!! ことりちゃん、すぐに日本に帰ってきてねっ!! ずっと待ってるよっ!! でも、その分応援してるからねっ!!」

海未「(...というか、このままでは)」

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん...」

海未「...」

ことり「...海未ちゃん」

海未「あっ。ことり...」

382: 2015/04/08(水) 22:52:50.59 ID:8yJXpyhy.net
海未「...あの」

ことり「うん...」

海未「(言えっ! 言ってくださいっ! 言ってって、言われたんですから、大丈夫ですっ。口、動いてくださいっ!! 動いてっ!!!)」

ことり「...」

海未「...お元気で」

ことり「...うん。...海未ちゃんも、ね? お願いのこと、よろしくねっ」

海未「(...あぁ、もうもうもうもう。言えないですよ。ここまで来て、言えるわけないじゃないですか...ああああ、ああああああ)」

ことり「...」

海未「はい...」

ことり「じゃあ。ことり、行くねっ! 」

穂乃果「えっ、2人ともそれでいいのっ!?もっと語らないの!? そんな武士みたいな別れ方でいいのっ!?」

海未「...いいんですよ。もう充分...さようならはしましたから」

ことり「...」

穂乃果「そっか。...2人がそれでいいなら。穂乃果はもう、何も言わないよっ! 」うんっ

海未「(終わった...。言えなかった。...本当に、終わった)」

ことり「...穂乃果ちゃん、海未ちゃん。じゃあ、いってきます!」

海未「はい。いってらっしゃい」

穂乃果「がんばれぇー!! ファイトだよ!! ことりちゃーーーん!!」


海未「(そうやって、夢の中と同じようにことりの後ろ姿は次第に小さくなっていって)」

海未「(見失いたくなくて、必氏に目で追っても、いつの間にか誰ともわからなくなって、ことりは人ごみに消えてしまった)」

海未「(慌ただしい空港の中で、やっぱりこんな別れなんて日常茶飯事で、よくある本の最後の1ページでしかないストーリーで)」

穂乃果「...ぐすっ、本当に行っちゃった...ことりちゃん...うぇぇ...海未ちゃーん...うわぁあああああん」

海未「よく堪えましたね...穂乃果。あの時の約束、守ってくれて嬉しいですよ」ぎゅー

海未「(...行かないでほしい...行かないで.....行かないでください...ことり)」

海未「(...私は夢の中と同じようなセリフを吐いて、穂乃果のことをことりと同じように...抱きしめて...。ことりにはできなかったのに、頭を撫でて...)」ナデナデ

穂乃果「うぅ、ぐすっ。海未ちゃん。ことりちゃんの乗った飛行機、見送りたい。...最後まで見送ろうよ...ずずっ」

海未「...」

海未「...」

海未「...」

穂乃果「海未ちゃん...?」

383: 2015/04/08(水) 23:05:37.90 ID:8yJXpyhy.net
海未「穂乃果...」

穂乃果「ん? ぐすっ。どうしたの、海未ちゃん。寝不足がまた戻ってきた?」おろおろ

海未「...今頃になってそれじゃないと駄目だと気がついたのに」

穂乃果「...ん? 何の話? てか、海未ちゃん、もしかして泣いてる?」

海未「それじゃいけないって、言われてしまって。今回は何もお願いをしてこないと安堵していた矢先に、終いには他人との幸せをお願いされてしまって」

海未「...」

海未「...そんな時は、そんな時に、あなたならどうしますか...穂乃果」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...よくわからないけど、うん。よし、わかったっ」

穂乃果「可能性を感じてしまった。そういう時は」

穂乃果「行け、海未ちゃん!! ダッシュだよっ!!」













海未「ーーーはいっ!!」

392: 2015/04/08(水) 23:57:17.99 ID:8yJXpyhy.net
ことり「...」トコトコ

ことり「...」トコトコ

ことり「...」ぐすっ

ことり「(やっぱり、こういう終わりなんだなぁ)」

ことり「...とことん、運がないな。私」ふふっ

ガシッ

ぐいっ

ぎゅー

ことり「えっ」

海未「こ、こ、こと、はぁ...はぁ、こと、りっ。やっと、捕まえましたよ...ぐすっ...」ズピピピ

ことり「えっ、う、海未ちゃん!? なんでここに? ど、どうして!? ここ、チケットないと入れないよっ!?」えっ、えっ

海未「それは後で怒られますっ!! あああああ怖いっ!! とってもいけないことをしてます!!本当にごめんなさいっ!?でも、ことりっ!! 聴いてください!!」

ことり「海未、ちゃん...?」

海未「覚悟してください、今から1年前のあの時を上書きしますっ!」

ことり「ちょっと、ちょっと待ってどういうこと!? 海未ちゃん、離して、離してよっ!?」ジタバタ

海未「無理です。こんにゃくに触れられなくなることより、これからの人生にあなたがいないことのほうが無理です。絶対言い終わるまで離しません」

ことり「何言ってるの...ねぇ...とりあえず、離して海未ちゃんっ...!?」

海未「待ってます。あなたのこと、ずっとずっと待ってますから。変わらずにことりを好きで居続ける私でいますから」

ことり「ちょっと、待って。海未ちゃん
それはやだってば。ダメってことり言ったでしょ!? 止めて!! 待たないでよ」ジタバタ

海未「無理です。夢を叶えることりを待てない私は、ことりが好いてくれている園田海未なんかじゃないです。アルパカに食わせておけばいいこんにゃく以下の下衆です」

海未「ことりは昨日言いましたよね。言ってくれましたよね。全部いいよって。全部許すって」

ことり「違っ! それはこういう意味じゃなくって!?」

海未「ことり。私の幸せはあなたです」

ことり「...っ!」

393: 2015/04/08(水) 23:58:41.78 ID:8yJXpyhy.net
海未「ことりを幸せにするのは、他の誰かではいやです。この私の役目です!!」

ことり「...」じわっ

海未「そして、誓います。ことり。私はあなたをこんにゃくとともに待っています」

ことり「海未ちゃん...」ボロボロ

海未「だから、さっさとプロになってきてください」

海未「私の心の拠り所はこんにゃくではなく、あなたなんです。ことり」

ことり「...いいの? いつになるかわからないよ? 会えないんだよ? 他の人探したほうがいいよ?」ボロボロ

海未「いいえ、待ってます」

ことり「...なんで、どうして...寂しくて泣き虫の海未ちゃんならきっと泣いちゃうよ?」ボロボロ

海未「なら、そっちのほうがいいじゃないですか」

ことり「...どうして」ボロボロ

海未「だって、ねぇ」

海未「...ことりが、ことりを思って泣く私を好きでいてくれるなら」

ことり「...っ!」ぶわっ

海未「そんな私の泣き顔を思い出して、元気になってくれるのなら、大丈夫ですよ、ことりがいないことで泣くのなんて、それで十分プラマイゼロです。むしろぷらぷらです。ぷらぷらーおです」

ことり「ううっ...ひっく...ううう...ぐすっ...なにそれ、ふふっ」ボロボロ

海未「ああ、そろそろ本当に時間がきますね。ことり、誓ってもいいですか?」

ことり「...海未ちゃんは」ぐすっ

海未「はい」

ことり「運命を、信じられますかっ?」

海未「...」

海未「...」にこっ

海未「ことりがキスしてくれたら、永遠に信じます」

ことり「...」

ことり「...いや、ここは海未ちゃんからでしょ」ぐすっ

海未「あー、ですよね...」

海未「では、ことり、やっぱり、目は閉じてください」

ことり「海未ちゃん」

海未「なんです? もう今更離しませんよ?」

ことり「大好きだよっ」

395: 2015/04/09(木) 00:14:52.55 ID:jptK6Ymy.net
ーーー

穂乃果「ねぇー、海未ちゃーん。本当に写真いらないのー?」

海未「くっ///// うるさいですよ穂乃果っ!? 要らないって言ったら要らないんですっ/////」ジャジャジャジャ

穂乃果「この写真、よく撮れてると思うんだけどなぁー」じー

穂乃果「いいや、ことりちゃんにメールで送っちゃおーっと!」

海未「あっ、こらっ!? 人が料理してるのをいいことに好き勝手しないでくださいよっ!?」たまごときとき

穂乃果「ねぇ、聞きたかったんだけどさ」

海未「なんですか。場合によっては黙秘権を発動しますよ」じゅあああああああ

穂乃果「この写真のキスってことりちゃんから? それとも海未ちゃんからしてるの」

海未「ぶっ//////////!?」

海未「そんなの答えるわけないでしょう!?」じゅわわわわわわわわ

穂乃果「あー!? 海未ちゃんたまご焦げてる!? 焦げてるよぉ!?混ぜて混ぜて」

海未「うわー!? 穂乃果のせいですっ!? これは穂乃果の分にしますっ!?」あわわわわ

穂乃果「海未ちゃんひどいっ!?」

ーーー
ーー


海未「なんとかできましたね...お口に合えばよいのですが」ボロボロ

穂乃果「海未ちゃんの炒飯久しぶりー!! いただきまーす!!」ハムッ

海未「...うむ。今日の出来は...さいっこーです」もぐもぐ

穂乃果「...」もぐもぐ

穂乃果「...海未ちゃん、これ」もぐもぐ

海未「なんですか? 穂乃果、美味しいでしょう」もぐもぐ

穂乃果「なんでチャーハンにこんにゃく入ってるの?美味しいけど」ぷるーん

海未「穂乃果、あなたは馬鹿ですか」

穂乃果「チャーハンにこんにゃく入れる海未ちゃんがバカだよ」

海未「こんにゃくは食品です。それ以上でも以下でもないですっ!」

穂乃果「なんだかなぁ~」もぐもぐ

穂乃果「(やっぱり後でことりちゃんに写真送っとこーっと)」もぐもぐ


海未「今日もこんにゃくがおいしくて幸せですっ!!」にっこり

おわり

396: 2015/04/09(木) 00:18:23.86 ID:3xK+K8gB.net
まだだ、まだ終わってないぞ

397: 2015/04/09(木) 00:22:16.01 ID:tSOE1oqV.net
乙←これはおつじゃなくてこんにゃくだから云々

引用元: 海未「こんにゃくでお尻をペシペシしてるのをことりに見られた」