1: 2009/08/02(日) 00:36:19.19 ID:mkjYFX+5O

5: 2009/08/02(日) 00:42:37.07 ID:mkjYFX+5O
幼律「みおちゃんの髪きれーだねぇ!」

幼澪「えぇっ?そんなことないょ……」

────────。

幼律「みおちゃん左利きなんだぁ!すごいねぇー!」

幼澪「えっ…あのぉ…そのぉ…」

───────。

幼律「私達ずっと友達だよ?みおちゃん♪」

幼澪「う、うん!」

───────。


ん……夢…か。

澪「ここは…」

そうだ…確か律に頭を殴られて…………、律に……。

涙が浮かんで来た…。律が私にそんなことをするなんて……。
さっき見た夢と相まってボロボロ涙が溢れる。
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

8: 2009/08/02(日) 00:44:40.39 ID:mkjYFX+5O
澪「……」

ゆっくり地面から起きあがる澪。その顔にもはや生きる気力はなかった。

澪「そうだ…氏のう。それが一番いい…。こんな場所で苦しんでまで生き残る必要ないよね…」

澪は自分のデザートイーグルを取り出す。

澪「これなら引き金瞬間に氏ねる…。一瞬だから痛くないよねきっと。」

自頃して律に後悔させてやるんだ。私が澪に冷たく当たったからだって
そしてみんなに一生責められ続けて苦しんで最後には私のお墓の前で頭を擦り付けながら土下座する
私はそれを悦に入って見てるんだ。
私を大切にしないからいけないんだ

10: 2009/08/02(日) 00:47:05.14 ID:mkjYFX+5O
澪「ふへへ…ざまあ見ろ律……後悔してももう遅いんだから」

デザートイーグルをこめかみに当て付ける。銃身はひんやりと冷たく、氏の恐怖感が垣間見えた気がした。

澪「じゃあね……バイバイみんな…」

そうして澪は引き金を引いた。

12: 2009/08/02(日) 00:49:57.35 ID:mkjYFX+5O
───────。

梓「ん……?」
目を開けるとあの懐かしの部室だった。

澪「やっと起きたか梓」

梓「ここは…?」

律「な~に言ってんだ?我が田井中律が部長であらせられる軽音部の部室に決まっているじゃないか!寝ぼけてんのか~梓?」

梓「部室……」

紬「余りにもあなたがぐっすり寝てたから起こさないでおいたのよ。はい梓ちゃん。あなたの分のお菓子とお茶よ。」

梓「ありがとうご……あの、唯先輩は?」

辺りを見渡しても唯の姿だけはなかった。

律「ゆい?」

澪「誰それ?」

梓「えっ…」

13: 2009/08/02(日) 00:51:12.08 ID:mkjYFX+5O
梓「誰って…唯先輩ですよ!」

律「だから誰だっての。知らないよそんな人」

澪「元々軽音部は4人だったじゃないか。律がドラムで、私がベース、むぎがキーボード、そして梓がギター」

紬「二人とも、梓ちゃんは寝起きだから…ね?」

律「それもそうか」

律先輩がニカッと笑う

澪「梓らしくないぞ?」

澪先輩もそんな律先輩につられて少し微笑んでいる。むぎ先輩も…

何で笑っていられるんですか…?唯先輩は、唯先輩が!

梓「唯先輩のいない軽音部は軽音部なんかじゃありません!」

それを言ったら瞬間辺りの景色は吹き飛んだ

15: 2009/08/02(日) 00:53:58.36 ID:mkjYFX+5O
「目が覚めたのね」

梓「ここは……」

自分は寝ているのか天井が見える。豪華な装飾品が飾りつけられており、灯りにはシャンデリアが使われている。

「ずっと目が覚めないから心配したのよ?」

梓は声の方に視線を向ける、

梓「……和(のどか)さん…」

和「覚えていてくれて嬉しいわ梓。二年ぶりね」

そこには大人びた和の姿があった。
STARSの制服に身を包み左耳にはイヤリングが輝く、あの頃とは違う大人の女性に思えた。
眼鏡は健在で相変わらずの下の縁が赤色の眼鏡がとてもよく似合っている。

18: 2009/08/02(日) 00:58:13.95 ID:mkjYFX+5O
梓「あの…唯…先輩は…?」

和「……。」

その話題になった途端目を背ける和。

まさか…………

和「大丈夫、生きてるわ。けれど早く治療しなければウイルスに犯されてゾンビになってしまう…。」

複雑な気持ちだった、素直に生きていることは嬉しい、しかし危機的状態には変わらないのだから

和の視線の方へ目線を動かすと横たわった唯先輩がいた。

梓「唯先輩…………」

左肩には痛々しく包帯が巻かれており、そこから血が滲み出していた。

20: 2009/08/02(日) 01:00:48.00 ID:mkjYFX+5O
梓「早く助けないと……!」

和「…応急措置はしたけど私の持っていたワクワク…じゃないワクチンじゃ一本じゃ抑えきれないみたい…。だからあなたに手伝ってほしいの」

梓「…何でもやります!唯先輩を助ける為なら!」

和「この先にラクーンシティ総合病院があるわ。そこならTウイルスのより強力なワクチンがあると思うの。それならこの唯の体内に入ったウイルスも抑えられる筈よ」

梓「わかりました!」

時は一刻を争う、私は直ぐ様起き上がり体の調子を確認する。

梓「(オート治癒モードが発動したのか体は軽い…いけます!)」

21: 2009/08/02(日) 01:04:28.48 ID:mkjYFX+5O
和「私は唯を守るためにここを離れるわけにはいかないわ。ここも安全なわけじゃないから。悪いけどお願いね」

梓「はい!」

ふと、言われて気付いた。唯先輩と一番付き合いが長いのは確か和さんだ。
そんな和さんが今の唯先輩の状態を見て普通でいられるわけがない。きっと悩んでいた筈だ。
病院へ行って直ぐ様唯先輩を治したい…けれど一人にしておけない。
きっと背負って行こうとも考えただろう
けれどそれを邪魔したのは、私だ

私がのうのうと寝てる姿を見てきっと頃したいぐらい腹を立てたに違いない
こいつがいなければって…

23: 2009/08/02(日) 01:09:06.45 ID:mkjYFX+5O
そう思うと不思議と涙が出てきた。

梓「ごめ……んなさい…」

機械の癖に

梓「私のせいで……唯先輩を……」

役立たずの癖に

和は初めは驚いた様な顔をしていた、が、すぐに梓の元に行き抱き締めた。

梓「え……」

和「あなたは悪くない…。こんな姿になってまで…みんなを…唯を守ろうとしてくれたじゃない」

和の梓を抱きしめる力が強くなる

和「何で唯がこうなったかは知らない…けどあなたがその為に必氏になって戦ってくれたことぐらいわかるわ…。ありがとう…梓、ありがとう…」

和が梓に見せた二度目の涙だった。

24: 2009/08/02(日) 01:12:08.51 ID:mkjYFX+5O
梓「……」

暖かい、唯先輩も暖かいけど、和さんも暖かかった。
あの時感じた暖かさと同じだった

背中には冷たい雨が降り頻りる……けど、内側にはこの暖かな体温が感じられた

私はあの時思わず微笑んでしまった、あんな状況下で、ボロボロになりながらも

それでもこの暖かさは、人を優しい気持ちにさせてくれる

今も同じだった。


梓「ありがとうございます……和さん…。私…行きます」

この暖かさを胸に、そしてまたあの暖かさを取り戻しに

和「頼んだわよ、梓」
涙ながら浮かべてくれた笑みを背にして

25: 2009/08/02(日) 01:17:20.41 ID:mkjYFX+5O
────────

カチンッ……、弾は出なかった。それはそうだ、弾はさっきゾンビ犬と戦った時になくなり、補充していなかったのだから。
それを知っていながら私は引き金を引いたのだ。
こうして自分の余韻に浸りたかった。悲劇のヒロインを演じたかったのだ

澪「ふふ…は……どうすればいいのかな……」

泣いても仕方ない、
自殺も出来ない、
喰い殺されるのは怖い、
律に嫌われるのが怖い、

何もかもが嫌だ
やっぱり氏のう
そうしてポシェットから弾を取り出そうとした時だった、不意にこぼれ落ちた一つのウサギのキーホルダー

澪「これは……」

28: 2009/08/02(日) 01:21:26.47 ID:mkjYFX+5O
ラクーンシティ到着前──────。

澪「何とか夜までには着きたいな~」

唯「そうだね~。あっ!そうだ!」

唯は自分の鞄をごそごそし出す。

唯「はいこれ!澪ちゃんの分!」

澪「…これは?」

片手で運転しながら受け取ると、そこにはウサギのあしらわれたキーホルダーがあった。

唯「みんなに会ったら渡そうと思って♪私が犬で~澪ちゃんはウサギ!あずにゃんは当然猫でりっちゃんは熊さん!むぎちゃんはハムスターで和ちゃんは狼さん!憂の分もあるんだぁ」

30: 2009/08/02(日) 01:27:07.50 ID:mkjYFX+5O
澪「唯……。」

唯「みんながまた会えます様にって作ったお守りなの!えへへ…//」

澪「そうだな…!私も諦めないよ唯!みんなに会ってこれ渡そうな」

唯「うん!りっちゃんには澪ちゃんが渡してあげてね♪」

そう言って熊のキーホルダーも渡して来る唯。

澪「なっ、唯渡してよぉ//」

唯「だ~め!りっちゃんには澪ちゃんが渡さないとダメなの!」

ずっと一緒に居て、一番りっちゃんのことをわかってあげられているのは、澪ちゃんなんだから

────────。

32: 2009/08/02(日) 01:31:11.57 ID:mkjYFX+5O
澪「唯……ゆいぃ……」

そう言えば律のことに夢中で唯達のことを忘れていた…。
あんなにみんなのことを想い、優しい唯を…私は叩いたのだ。

間違ってるのは私で、律だった。確かに今の律は正常じゃない

謝っても謝りきれないことをしてしまった…。
けれどまだやり直すことは出来るんじゃないか…。

ポシェットからもう一つのキーホルダー取り出す。熊があしらわれており唯独特のセンスが伺われる。

澪「可愛いクマ…唯らしい…」

そうだ、私にはまだやることが沢山あるじゃないか

赤みがかっていた目が完璧に黒に戻った。

34: 2009/08/02(日) 01:35:16.14 ID:mkjYFX+5O
澪「唯達大丈夫かな…。やっぱりまずは律と合流して……」

でもさっきの律は異常だった。あの律とどうやって話をするか……。

「ノォォォォォォ!」

澪「!?何っ?」

この声はさっきの……!

澪は急いで立ち上がり牢屋の方へ急いだ。


────────。

澪「ベンさん!」

牢屋が開いておりその前でもたれ掛かかりながら座っているベンがいた。

ベン「ミオ……か。ヘマしちまったぜ……。まさか天井から……来るなんてよ…」

澪「どうしたんですか?!」

見た目に外傷はないがベンは明らかに苦しんでいる

35: 2009/08/02(日) 01:39:44.72 ID:mkjYFX+5O
ベン「ミオ…お前に…大切な人はいるか?」

澪は力強く頷く

ベン「そうか…俺にもいた……が…バイオテロのせいで……失った…。だから…バイオテロを引き起こした奴ら達が…許せない」

澪「ベンさん…」

ベン「ここの署長…ブライアン・アイアンズが…アンブレラと繋がってるんじゃないかと…俺は睨んで…張り込んだら…この様さ。これを…」

ベンは一枚の紙を渡す。

澪「これは…?」

ベン「俺が調べたブライアンの記録だ……。頼む…あいつを…許さないで…うぐぁあ」

澪「ベンさん!しっかり……ベンさん!」

38: 2009/08/02(日) 01:43:54.37 ID:mkjYFX+5O
ベン「離れろ!ミオ!うぉぉぉぉぉぐぼぉ…」

澪「ベンさん!」

ベンは澪を突飛ばし背を向ける

ベン「うああががアァァァ…胸が…苦…し…」

胸の苦しみを抑えつけるように手をあてるが…それは容赦なくベンの体を食い破って来た

ベンは澪に見せまいとそのままうつ伏せに倒れ込む。

非道なジャーナリストと言われていたベンの最後の優しさだったのかもしれない。

澪「ベン!!」

ベンの異常な行動に思わず立ち竦んでしまった澪だったが、倒れた音で気を取り戻しベンに駆け寄り身を起こす

39: 2009/08/02(日) 01:46:34.40 ID:mkjYFX+5O
澪「ひっ…血が…」

ベンを起こした澪の手にはべったりと血がついていた。
二年前なら卒倒してたであろう血だが、今じゃそんな怖がる自分を失礼とさえ思っていた。

澪「うっ……(血がなんだ…そんな場合じゃないだろっ…私!)」
血と臓器が入り交じっているのを見て吐きそうになりながらもその原因を突き止めようとする澪

ベンは左の肩口から心臓にかけてまるで中から食い破られたように裂けていた。

ぐちゃ…

澪「なに…」

嫌な音が聞こえた。ベンの体の中から

臓器かと思っていたそれは口をまるで笑ってるかの様にくねらせた

40: 2009/08/02(日) 01:52:48.50 ID:mkjYFX+5O
澪「ひぃっ」

これには澪も思わずベンから手を離してしまった。

その生物なようなものはベンの体を出て出口の方へ向かって行った。

澪「一体何なんだ…ここは」

泣きたい気持ちと吐瀉物を我慢しながらもベンの資料に目を通す余裕があったのは生きると言う確固たる目標があったからだろう。

それと同時に澪の中にも逃げるだけじゃなくもうこんなことを二度と引き起こさせない為にもアンブレラと戦うと言う意志が芽生え初めていたのかもしれない

41: 2009/08/02(日) 01:57:42.66 ID:mkjYFX+5O
ブライアン・アイアンズとアンブレラについて─────

どうやら俺の睨んだ通りやつらは繋がっているらしい。この警察署の地下には研究施設がありそこでウイルスやモンスターの研究をしているともっぱらの噂だ。
何やら新しいウイルスを作っているらしい。Gウイルスと言うそうだ
絶対署長の不正を暴いて失脚させてやる




クソ!まさか捕まるなんて!だがおかげでわかったことがある。アイアンズ署長は恐ろしく変態だってことがな!



なにやら外の様子がおかしい。バカ犬どもの鳴き声がいつも以上にうるさい

これじゃ寝れやしねぇ

44: 2009/08/02(日) 01:59:47.41 ID:mkjYFX+5O
澪「ここのアイアンズ署長に話を聞いてみるのが一番か…。生きていればの話だけど」

紙を折りたたみしまい込むと血の余り出ていない右肩の方からベンを持ち上げて先程ベンが寝ていたベッドに横たわらせる。その上からシートを顔までかけて手を合わせる澪

澪「こんな所じゃ埋葬も出来ないけど…せめてこれぐらいはさせてくださいベンさん…。あなたとは少し話しただけだったけど…同じ職種であるあなたの気持ちは私が受け継ぎます。」

もう逃げない……私はこの地獄を撮影し、世間に公表すると言う形で戦うんだ
今まで氏んで行った人の為にも

47: 2009/08/02(日) 02:05:54.04 ID:mkjYFX+5O
律「ルーク、ビショップ、ナイト、キングプラグをさせ……か。ほんとにこの警察署はカラクリ屋敷だな」

律「戻るのも癪だけど仕方ない…。」

目標の研究室はこの先の下水処理場を抜けた先なのだから

律「澪がまだ寝てると助かるんだけど」

踵を返しまた下水道から犬舎のマンホールへ戻ろうと思っていた時だった。

律「…………いつの間に」

律が渡って来た赤い鉄の橋の上にそれはいた

外見は何と例えればいいだろうか、産まれ落ちたエイリアンの様な感じと言えば伝わり易いだろうか。
人間とはかけ離れた姿がそこにあった。

「ウェ…、ウェ…、」
何かを吐いている、こいつの子供か何かか。
ゴキブリを彷彿とさせるそれは律へ向かって

50: 2009/08/02(日) 02:08:42.73 ID:mkjYFX+5O
律「ちっ…」

右足のホルスターから素早くコルトM19を抜く。
左手は使えない為右手だけの片手撃ちだ。

エイリアンみたいな奴の口から出てきたゴキブリの様なモノを狙い撃つ

コルト独特の鈍い銃声がする度ゴキブリの様なモノが弾け飛ぶ

三匹いた内の二匹を仕留め最後の一匹に標準を定めた瞬間それは律に向かって飛びかかって来た。

意志があるかは不明だが、このままではかなわないと思いの奇襲か

だが律は顔色変えずに飛びかかって来たそれを銃で横から薙ぎ払う

52: 2009/08/02(日) 02:12:57.71 ID:mkjYFX+5O
律「本体は全く動かずか、これならハンターの方が優秀だな。」

コルトの弾を腰のポシェットから取り出し弾を込める。

「ウゥ……」

また吐こうとしているのを見てコルトを構え、敵の顔面に撃ち込んだ。

「ウォェッ」

気持ち悪い鳴き声を上げ苦しむ化物。

律「もっとくれてやる!」

パァン!パァン!パァン!

「グェ……」

頭を下げ橋に伏す化物。

律「なんだぁ?こんな雑魚だったとはな。弾使い過ぎたか」

伏している化物を足蹴にする律

律「まるで怪物の赤ん坊か。ははっ、怪物に赤ん坊もくそもないか」

53: 2009/08/02(日) 02:16:41.98 ID:mkjYFX+5O
律「さて、プラグ集めしないとな。こんな時一人なのは厄介だよな~。また愛想振り撒いて協力でも促すか。でも梓以外使い物にならないからな~梓に会ったら協力してもらおっと」

そうして部屋を出ていく律


グチャ─────
グニュグニュ─────

そう、この怪物、いや゛G ゛はまだ律の言う通り赤ん坊であった。

形を変え姿を変え……今まさに、゛G ゛は進化する

二段階目へと

55: 2009/08/02(日) 02:18:40.07 ID:mkjYFX+5O
夜の街をひたすら走った。
早く、早く、早くと自分自身が急かす。
ローラーは追跡者との戦闘で壊れたのか靴底から出ない為走るしかなかった。
いくら博士が天才と言われていてもやはり義足と生身の接着点が地に足を着く度に痛く体全体に響く。
その為に博士は靴にローラーをつけてくれていたのだと私はこの時理解した。

梓「病院……病院……あった!」

ゾンビの群れの向こうにラクーンシティ総合病院が見える。

問題はゾンビをどうするか…こっちは丸腰だ。
ゾンビ相手に近接戦闘も頂けない…

梓「なら無視が一番!」

57: 2009/08/02(日) 02:21:39.53 ID:mkjYFX+5O
このスルー、実はとても大事なことでバイオ上級者ならほとんどの敵はスルーだろう。
それ故に上級者のバイオ動画はマラソン、等と定義されているぐらいだ

梓は道端に落ちている缶を拾う。

梓「(これを壁にぶつけて引き付けてる内に左側から抜けるっ…)」

ゾンビは視覚、より嗅覚、聴覚が優れていることを梓は知っていた。

梓「えいっ!」

カランカラン

「ウゥ……」

缶の音に反応しゾンビが音のした方に向う。
その逆側の壁に身を潜めていた梓は一気に駆け出す!

58: 2009/08/02(日) 02:23:10.46 ID:mkjYFX+5O
「ウゥ?!」

梓「(っ…気づかれた!)」

右側に固まっていたゾンビが梓を見て左側に集まって来る。

梓「(道が……)」

左側にも群がりとうとう道が塞がれる形になった。

梓「(やっぱり戦うか……でも少しでも外傷を受けたらいくら私でも感染しちゃう……)」

確かに梓は体の何割かは機械化したが残る半分以上は普通の人間なのだ。
耐性が完璧である澪、律、唯、レオン達とは違う。一発受ければDEATH、ゾンビ化だ

梓「なら!」

道は自分で作るまで!
梓は勢いよくゾンビの群れに突っ込んで行く

60: 2009/08/02(日) 02:25:22.36 ID:mkjYFX+5O
梓「えぇぇい!」

ゾンビの群れに捕まる瞬間左側の壁を登るように横へ走る
地面からだとまるで半月を描く様に
少ない距離の壁走りだったがこれだけでも十分距離を稼げた
梓は見事ゾンビの群れの向こう側へ着地し、また走り出す。

これは壁がやや傾斜していたのと梓の第一歩目、右義足の脚力のおかげと言える

梓「ク~リア~♪おっといけない……こんなことで喜んでる場合じゃなかったです」


梓「あっ!……帰りどうしよう…………」

病院の中に武器……あるかな……

63: 2009/08/02(日) 02:28:56.30 ID:mkjYFX+5O
>>61
3をやってもらえるとわかると思いますが抗体者でも強力なウイルスを受けると感染します。
ジルもそれで感染しましたがカルロスに助けられました

64: 2009/08/02(日) 02:30:01.67 ID:mkjYFX+5O
病院の扉は開いておりすんなりと入ることが出来た。

梓「お邪魔します……」

病院のホールの中は薄暗く、静寂と病院と言うことが相まってこれ以上ない恐怖を演出している。大の大人でもこの状況下で病院へ入って行く人は少数だろう。

梓「怖い、けど…それより唯先輩を助けたい…」

その勇気が足を一歩一歩前へと押し出して行く。

梓「……何か…いる」

私以外の誰かがこの空気の流れにいる、
梓は辺りを見渡す、増築をしていたのだろうか、そこらに鉄パイプが落ちている。
その一つを拾い上げ構えを取った。

65: 2009/08/02(日) 02:33:33.46 ID:mkjYFX+5O
「…………!」

梓「来た!」

それは音もなく仕掛けてくる。暗闇の中、上空から梓に向かって飛びかかって来る。

それを梓は横へ飛び回避

梓「ハンター!?いや…違う、もっと大きい……」

薄暗い中に浮かんで来たのは普通のハンターより一回り大きいものであった。
頭から肩にかけて肉腫が覆っており普通のハンターより醜悪な姿をしている。
また左側の腕が異常に発達しているため利き手は左手だと梓は瞬時に判断した。

梓「これも元は人間で…こんな酷いことをする人達が…アンブレラ!!!」

66: 2009/08/02(日) 02:36:12.15 ID:mkjYFX+5O
武器は鉄パイプ一本だがここは避けては通れないだろう。ワクチンを探すのに邪魔になると判断し、梓は戦闘の姿勢を取る。

梓「(強くなる為に剣の訓練もした…今それが試されます…!)」

その勝負が、今火蓋を切って落とされる

まずはハンターの強化版、ハンターβが動く。梓に向かって突進してくる

梓「……狙うは頭部…」

梓は隣にあった机を左義手で投げる。

ハンターβはこれを素早く飛びながら回避、そして尚且つ梓への攻撃姿勢を変えることなく左手を振り下ろそうとしている。

梓「やっぱり左手ですか」ニヤリ

68: 2009/08/02(日) 02:39:03.16 ID:mkjYFX+5O
梓「(油断していた、まさかもう一体いたなんて…!)」

背後から襲いかかって来たハンターβはその大きな左手で梓の背中を引っ掻く

梓「きゃあぁぁっ!」

背中に激痛が走る─────。

負ってはいけない一撃を負い前のめりに倒れ込んでしまう梓

そんな梓に遠慮せず飛び掛かる体勢を取るハンターβ。

首狩り、と言う即氏攻撃だ。多くのプレーヤーはこれで氏んでしまったことも多々あるだろうハンターの一撃必殺とも呼べる技

ハンターβは勢いをつけ梓へ向かって飛びかかる!

梓「(トラ……いや…違う……私の強さは…)」

70: 2009/08/02(日) 02:44:44.47 ID:mkjYFX+5O
梓「諦めない力…!」

梓は瞬時に前方へ大きく前転、ハンターβの攻撃は地面に傷をつけるだけとなった。
背をついた時に激痛が走る

梓「我慢……っ」

その前転時に別の鉄パイプを握りようやくハンターに向き直る。

ハンターβも直ぐ様距離を詰めようとこっちへ向かって来ている。

梓「いっけえぇぇぇ~」

梓は鉄パイプを左義手で持ち、振りかぶって投げた

ヒュンッと空気を切る音を放ちながらそれはハンターβの頭の肉腫を捉えそのまま貫通し病院の壁に刺さり止まった。

梓「はぁ…はあ…うっ……いたぃ……よ…」

72: 2009/08/02(日) 02:46:54.07 ID:mkjYFX+5O
何とか二匹を倒したものの背中には浅いとはいえ傷を負ってしまった。
早くしなければ自分はゾンビになってしまう

梓「急がないと…早く唯先輩にワクチンを」

梓に自分に使うと言う選択肢はまるでなかった。

自分はゾンビになっても構わないから血清を届けたいと言う気持ちの方が何倍も勝っていた。

時に人間は自分の為ではなく誰かの為に力を出す。それは家族であり友人であり恋人を守りたいと言う思いが、梓を強くしている。

思いの力は確かに存在した
その証拠が彼女でありまた彼女を応援する力が彼女を助けているのだ。彼の様に

75: 2009/08/02(日) 02:52:26.66 ID:mkjYFX+5O
隣の医師詰め所から病院のマップを入手。
医院長の手記によるとワクチンは4Fの402号室にあるワクチン素剤、B3にある研究室で培養液ベースを合成装置にかけワクチン培養液になりそれをワクチン素剤と組み合わせることにより成るらしい。
梓「ここまでの過程を踏むってことはどうやら強力なワクチンみたいですね…」

まずは4Fへ向かい資料室で病室の鍵を取りに向かう。
エレベーターに乗り込み4Fのボタンを押す。

梓「ふぅ……。ようやく一息つけます」

若干背中が痒い、でも我慢しないと

77: 2009/08/02(日) 02:55:30.94 ID:mkjYFX+5O
エレベーターを出て直進、資料室で病室の鍵を入手。
まず401号室でパスワードを控える、更に配置を把握。この部屋が402号室の謎を解く鍵らしい。氏体があったが今は構っている場合じゃない

402号室を開けるとさっきとほとんど同じ作りだ。部屋の隅に何かを乗せるような場所が3つある。

梓「東から登った太陽は、時間と共にどこへ沈む……ですか」

奥にあった椅子の様なものを西側の隅に寄せる。

梓「うんしょ……うんしょ……」

ガチャンと音がし、壁に掛けられていた絵が落ち金庫のようなものが現れる。パスワードを打ち込み、ワクチン素剤を入手

79: 2009/08/02(日) 02:57:22.93 ID:mkjYFX+5O
梓「次です!」

エレベーターでB3へ行き研究室へ入る。

梓「わっ」

入った途端に見える大きい容器の中に液体と共に入った何か。ハンターみたいだがまたさっきのとは違う姿だ。

梓「…………動かない……よね」

梓は容器をコンコンと叩いてみたりして確認するが反応はない。
どうやら何かしらの方法で眠らされているみたいだ。

奥へ行くと培養液ベースがありそれを合成装置にかけると、ワクチン培養液が出来る。
これを1:1の割合で混ぜることでワクチンが完成した。

梓「やった!早く唯先輩の所に戻って……」
梓は喜びのあまり容器の中の液が抜けていることに気づいていない

80: 2009/08/02(日) 02:58:53.29 ID:mkjYFX+5O
梓が横切った瞬間──────

つん裂く様なガラスの割れる音がし、ハンターが飛び出してきた

梓「ひゃぃっ!」

戦っている余裕はない、逃げないと……。

梓はダッシュで研究室を出る、だが追ってくる、 ハンターと言う名前の通りの狩り

梓「エレベーターまで逃げられれば…っ」

さっき通った廊下を全力疾走し、エレベーターのボタンを押す。
しかしエレベーターは何故か一階におりそこから下がって来るのを待たなければならなかった。

梓「さっきはそのまま4階にいたのになんで!」

後ろから二匹のハンターγが迫る

81: 2009/08/02(日) 03:03:39.82 ID:mkjYFX+5O
武器は鉄パイプだけだ。相手のタイプがわからない以上先制攻撃は仕掛け難い。

どうする……、どう凌ぐ……

ハンター二匹が梓に襲いかかる。と、同時にエレベーターが開く。
梓は鉄パイプを牽制の為投げつけその隙にエレベーターへ乗り込もうとすると……

「なんだ!?」

エレベーターには誰か乗って来ていた

梓「あなたは……それより早くエレベーターを!」

「いや間に合わない!伏せろ!」

梓はその声と同時に伏せる。
ショットガンがエレベーター直前まで迫っていた二匹のハンターを捉えた。

82: 2009/08/02(日) 03:06:45.50 ID:mkjYFX+5O
「ふぅ……何とかなったな。しかし君が何故ここに?」

梓「お久しぶりです、レオンさん」

レオン「梓、見違えたな。」

梓「嫌味ですか?」

レオン「骨が繋がらないのは知っていた。だが義手にするなんてな。だがさっき言ったのはそう言う意味じゃない。綺麗になったってことだ」

梓「……そうやって誰でも口説くんですね」

レオン「嫌われたものだな……すまない。社交辞令として受け取ってくれ。おいて行ったこと恨んでるのか?」

梓「いえ…今はそれどころじゃなくて…。早く唯先輩の所へ行かない…と」

83: 2009/08/02(日) 03:11:13.99 ID:mkjYFX+5O
レオン「唯?そう言えば律が見たと言っていたな…。梓、詳しく話してくれないか?」

梓「だからそんな暇ないって…つぅ……」

レオン「その背中…、ハンターにやられたのか。さっき見つけたワクチンがある。治療しよう」

梓「触らないでっ!」

レオン「……梓。」

梓「……すみません。唯先輩の命が危ないんです。」

レオン「その前に君がゾンビになってしまっては元も子もないだろう?治療する間でいい、話を聞かせてくれ。俺も君に言っておかなくてはならないことがある。律について」

梓「律先輩について……?」

85: 2009/08/02(日) 03:14:18.89 ID:mkjYFX+5O
ワクチンを射った後、梓の黒いシャツを脱がし包帯を巻く。

梓「……気持ち悪くないんですか?義手なんて……」

梓の左肩から金属の塊が剥き出しになっている。胴体との繋ぎ目が痛々しい。

レオン「梓、お前はお前だ。どうなったってな」

梓「みんなと同じこと言うんですね…。」

レオン「気の利いたことが言えなくてすまないな(こんな小さな背中に背負っている物が多すぎる。梓も律も…)」

梓「それで律先輩の話って何ですか?」

レオン「律には口止めされてたんだがな。実は律、唯、澪の家族は生きているらしい」

86: 2009/08/02(日) 03:15:23.38 ID:mkjYFX+5O
梓「そう…なんですか。(私の家族は…言うだけ無駄ですよね…)」

レオン「あぁ。それをアンブレラに人質に取られている。これを知ってるの律と俺とクレアだけだ」

梓「それで律先輩はちょっと変だったんですね…。」

レオン「いや、確かに初めは悲観していたがアンブレラを倒そうと動き始めた時はもっと明るかった。だが場数を踏むにつれて段々とおかしくなってな…。」

梓「おかしく…?」

レオン「射撃や身体能力があの歳の女のものじゃない。下手すれば俺より優秀な位さ。」

梓「レオンさんがヘタレなんです」

レオン「泣けるぜ」

88: 2009/08/02(日) 03:19:28.03 ID:mkjYFX+5O
梓「冗談はともかくその身体能力向上がいけないことなんですか?こんな中で実戦経験を積んでいれば強くなるのは当たり前だと思いますけど」

レオン「それだけならいいんだが性格面でもおかしくなって来てな。無機質と言うか…無関心と言うか」

梓「家族の事とか色々重なって辛くなってるんじゃないですか?」

レオン「……そうかもな…。だが他にも何か要因があると思えるんだが…」

梓「次に律先輩と会ったら色々と話してみます。」

レオン「そうしてくれると助かる。よし、これでいいだろ」

梓「包帯巻くの上手いですね。ありがとうございます」

レオン「その格好じゃ寒いだろう。これを着ろ」

レオンは自分の着ていた茶色の革のジャンパーを梓に被せた。

梓「ありがとう…ございます…///」

この人も苦労しているのは髪の毛を見てわかった。昔の時は完璧な茶髪だったのに対し今はそれが白みがかっている
これは染めたと言うより自然とそうなったような色だった。
レオンを邪険にした自分はまだ子供なんだなと反省する

89: 2009/08/02(日) 03:21:11.34 ID:mkjYFX+5O
レオン「じゃあ今度はそっちが話してくれよ」

梓「その前に聞かせてください。レオンさんは何故ここに?」

レオン「俺は律とここへ来たんだ。生存者がいないか色々なところを歩き回ったんだが出会うのはゾンビばかりでな。人間と出会ったのは君が初めてさ。病院なら…と思ったがこの街に生き残りは君達と俺と律だけみたいだ」

梓「そうだったんですか。私の話はエレベーターに乗りながら話します」

レオン「あぁ」

二人はエレベーターに乗り込み1Fのボタンを押す。

1F──────
『ピッピッピッ』

91: 2009/08/02(日) 03:24:11.99 ID:mkjYFX+5O
梓はレオンに一通り端的に話した。自分がここへ救助活動をしに来たこと、その途中で唯先輩達に出会ったこと、そして律先輩達と別れた後追跡者に追われ唯先輩が重傷を負ったこと等
話自体は短いもので1Fにつく頃には終わっていた

レオン「なるほど、それで病院にワクチンを」

梓「はい。だから急がないと駄目なんです」

レオン「それはすまないな。俺はまだやることがあって一緒に行ってはやれないが…お互い生きていればまた会うことになるだろう。」

梓「はい。それじゃあ。色々ありがとうございました、レオンさん」

エレベーターを出て走る梓。

レオン「梓!」

梓「はい?」

レオン「あまり自分を責めるなよ。後律のことを頼む」

梓「わかりました。ありがとうございます」
病院を出る梓をレオンただ目で追っていた。

92: 2009/08/02(日) 03:25:38.36 ID:mkjYFX+5O
レオン「仲間か…良いものだな」

ピッ…ピッ…ピッ…

レオン「何の音だ?」
エレベーターを降りたレオンがその音がする所へ行く。
小さいがピッ…ピッ…っと電子音を刻む音がする。

レオン「テーブルの下か?」

患者が待つための椅子の前に置かれたテーブルのにそれはあった。

レオン「まさか─────」

ピッ…ピッ…ピッ…ピー

────────。

梓「ゾンビがいない。きっとレオンさんが倒してくれたんだ。感謝しないと─────」
ズォッ────
病院を出たばかりの梓の体が浮く。その後に爆発の轟音が辺りに響き渡った。

93: 2009/08/02(日) 03:29:36.98 ID:mkjYFX+5O
梓は少し爆風に飛ばされたが病院と距離を取っていたためほとんど無傷だった。

梓「まさか…………」

後ろを振り返ると赤々と燃えている病院があった。さっきまであの中に居たと思うと背筋が凍る。

梓「レオン…さん?レオンさん!聞こえますか?!レオンさん!」

焼けている病院の出入口に向かって叫ぶ梓。当然返事など返って来なかった。

梓「レオン……さん。誰がこんなことを……!」

だがここで立ち止まっていても仕方がない。反省は先に繋がるが後悔は何も産まない。梓は今自分に出来ることをやるために時計塔へまた戻る。
レオンの革のジャンパーの暖かさを感じながら。

梓「そんな簡単に氏にませんよね…レオンさん。必ず生きてまた会いましょう……」

94: 2009/08/02(日) 03:30:35.73 ID:mkjYFX+5O
───────。

「梓……しぶといですねさすがに。でもレオン・S・ケネディを仕留めたのは大きい。これでウェスカー郷の邪魔をするものを一人減らした……」

レオン「誰が誰を仕留めたって?お嬢さん」

「!?まさかあの爆発で生きてるなんて」

レオン「爆発する前に窓から飛び出しただけさ。もう少し早く仕掛ければな。さて、案内してもらおうか?そのウェスカーと言うやつの所に」

ジュン「くっ……」

後ろから銃を突き付けられたジュンは両手を上げたまま歩き始めた。

レオン「(ようやく尻尾を出したな…アンブレラ!)」

119: 2009/08/02(日) 12:03:26.97 ID:mkjYFX+5O
保守&応援ありがとうございます

用事しながらですが投下します
5分間隔ぐらいだと思います
では投下します

120: 2009/08/02(日) 12:07:37.86 ID:mkjYFX+5O
───────。
これは夢なのだろう、そうわかるくらい夢とわかる夢だった。

私達がステージ歌っている。

それを聴いて皆が感動してくれている。

これは私達の夢だ。覚めても、覚めない夢だ。

私達はいつから歌い、奏でることをやめ傷つけることを選んだのだろう。状況に縛られ、流され、身動き出来なくなっていたんだ。
こうなれば素晴らしいと思った。聴くもの全てを優しい気持ちにするような…
自分に出来るだろうかそんなことが
違った、私はもうそうすると決めていたんだ。
私の歌、みんなに届くといいな─────。

122: 2009/08/02(日) 12:13:30.87 ID:mkjYFX+5O
────────。

梓「はあ…和さん!はあ…ワクチン…はあ…持って…来ました!」
息を整えるのも忘れ和にワクチンを渡す。

和「ほんと!?良かった…。すぐに投与するわ」

和が受け取ったワクチンを唯に射ち込む。

唯「んっ……あっ……あ……」

和「唯……大丈夫?」

和の言葉に反応しゆっくりと目を開ける唯。

唯「のどか……ちゃん?それにあずにゃんも……」

梓「唯先輩……唯せんぱぁい!」

泣きながら唯に抱きつく梓

唯「よしよしだよあずにゃん」

梓「えっぐ……ひっく……ゆ゛い゛せんぱい…よ゛かった…」

124: 2009/08/02(日) 12:20:26.26 ID:mkjYFX+5O
和「気分はどう?痒みとか頭痛かったりしない?」

唯「大丈夫~……ちょっとお腹が痛いけど」

梓「そう言えばあの化物にいっぱいお腹叩かれて……唯先輩!」ガバッ

唯「あっ、あずにゃん?!いきなり服脱がせるなんて……大胆だよぉ//」

梓「…………」プニプニ

唯「お腹つつかないで~///くすぐったいよぉ//」

梓「痛くないですか?」

唯「そんなには…。多分折れたりもしてないと思う」

梓「でも壁すら粉々にするあのパンチをくらって無事だなんて……」

和「多分これのおかげね」

125: 2009/08/02(日) 12:24:39.98 ID:mkjYFX+5O
和が持っているのは防弾チョッキの様な物だった。

梓「それは?」

和「S.T.A.R.S.の特注品の衝撃吸収型の防弾チョッキよ。普通の防弾チョッキは至近距離何かで弾を受けるとその衝撃でも骨が折れたり気を失ったりするのよ。それで考え出されたのがこれってわけ。
技術部じゃないからどうなってるかは詳しく知らないんだけどね。でも何で唯がこれを?」

唯「署のみんながアメリカ危ないからつけてけって。」

和「確か各警察署に試作品として送ってたわね(その一つをつけさせてもらえるなんて…唯は相変わらずどこでも大事にされてるわね)」

126: 2009/08/02(日) 12:29:53.68 ID:mkjYFX+5O
梓「なら遠慮なく」ぎゅっ

梓は覆い被さる様に唯に抱きついた。

唯「あずにゃん…」

梓「お帰りなさい…唯先輩」

唯「ただいま、あずにゃん♪」

────────。

唯はやはり疲れていたのか少し喋った後また眠ってしまった。

和と梓は唯のことが一段落した為、今までの事とこれからの事を話し合っていた。

和「そう……「俺」はあなたを守って…。」

梓「はい…」

和「でもその後かどうかわからないけど「俺」から梓は心配するな、ちゃんと脱出させるって連絡をもらったわ。だから私は唯達の脱出協力に専念出来たの」

128: 2009/08/02(日) 12:35:16.51 ID:mkjYFX+5O
梓「はい…、私も氏んだと思って俺さんは生きてました。追跡者に私達が殺されそうになった時に助けてくれたんです。私はすぐ気を失ってしまってそれからどうなったかはわからないですけど…」

和「実は私があなた達を見つけたのはこの時計塔の前なのよ。RPDへ急いで向かってた時なんだけどね。あなた達が二人してここの入口にもたれ掛かってたのを見て…」

梓「俺さんがここまで連れて来てくれたんでしょうか?」

和「わからないわね…体に風穴開いて生きてるなんて……いや「俺」ならあり得るけど」

梓「しぶとそうですよね俺さんって」

129: 2009/08/02(日) 12:41:27.31 ID:mkjYFX+5O
和「次に会ったらS.T.A.R.S.にあんたの席ないから!って言っておいて。ただみんなは心配してる、私も含めてって」

梓「はい」

苦笑いする梓。やっぱり和も心配していたのだろう。生きてるとわかった途端笑顔の回数が増えていた。

和「そろそろ行くわ。唯が心配だけど…梓がいてくれれば安心だわ」

梓「ラクーンシティ警察署にですか?」

和「えぇ。私達の他にも生存者がいるかもしれない、それにちょっと話し合わなきゃならない人がいるのよ」

梓「律…先輩ですか」

和「……そうよ」

131: 2009/08/02(日) 12:46:06.09 ID:mkjYFX+5O
和「知ってるかもしれないけど律とはこの二年間で何度か会ったわ。何度も協力を促したり救助活動を手伝ってほしいと言った。けど彼女はそれを無視してずっと何かを探してる」

梓「何か…?」

和「何か…はわからない。けれど前に彼女は……とうとう私の隊の……。新米の隊員が律のことを生存者と思って保護しようとしたらしいのよ。
でも律はそれを拒否してね。それだけならいいんだけど新米は正義感が強いから…女の子一人にはさせられないって無理矢理連れていこうとしてね…脚を撃たれたわ」

梓「律先輩が…人を…」

133: 2009/08/02(日) 12:50:50.75 ID:mkjYFX+5O
和「いくらなんでもやり過ぎよね。それから彼女はS.T.A.R.S.でも危険視されてね、見つけ次第連行せよって命令が出てるの」

梓「そんな…信じられません…」

和「私もよ。確かに律は二年前と随分変わった。でもそんな人を撃つ様な真似はどんなに変わってもする人とは思えないの。」

梓「……。律先輩……家族をアンブレラに人質にされてるみたいなんです。レオンさんが言ってました」

和「レオン・S・ケネディ、律の相棒って話よね。彼は良く私達に協力してくれるわ。それにしてもそんな事情があったなんて…言ってくれれば協力するのに…」

135: 2009/08/02(日) 13:03:49.18 ID:mkjYFX+5O
久しぶりのさるさんくろた

梓「言えない理由があるんだと思います…きっと。律先輩は今何もかも自分で背負い込んで…自分で解決しようとしてる。だから気持ちが焦って…イラついて…」

和「そうだとしても、もし本当に私の部下を撃ったのが彼女なら…責任は取ってもらわないとね。勿論…全てが終わった後に」

梓「はい…。だから律先輩に会ったら言っておいてください。私達は今でも、軽音部の仲間だって」

和「わかったわ。じゃあ唯のこと、頼んだわね」

梓「はい!」

唯「のどかちゃん…………これ…」

梓「先輩、起きてたんですか?」

137: 2009/08/02(日) 13:14:21.76 ID:mkjYFX+5O
和「何これ?」

唯が手に持っていたのは狼?のキーホルダーだった。

唯「お守り…作ったの。みんながまた集まって楽しく出来ますようにって…。あずにゃんにもあるんだぁ」ニコ

唯がポケットから出した猫のキーホルダー。しかしそれは殴られた時の衝撃か片目がなくなっていた。それに気づきそれを引っ込める唯

唯「あっ…」

梓「いいんです。この方が私にそっくりですから…」

唯「ごめんね…」

唯の優しさに梓は涙を溜める。壊れてしまったキーホルダーを梓の体に見立てて欲しくなかった唯の優しさに…。

139: 2009/08/02(日) 13:19:18.98 ID:mkjYFX+5O
梓「先輩っ//」ギュッ

唯「あずにゃん暖かぁい//」

和「ラブラブねあなた達。妬けるわ」

唯「和ちゃんもおいで~」

こっちに来いと言わんばかりに手招きする唯。

和「遠慮しとくわ。私には似合わないもの。でも何で私は狼なの?そんな怖いイメージかしら私…」

唯「昔クリスさんが和ちゃんがすたぁーずの狼って言ってたからだよぉ」

和「あぁ…なるほど…それで。でもまあ嬉しいわ。ありがとう唯」

唯「えへへ//」

和「じゃあもう行くわね。あなた達も気をつけて」

141: 2009/08/02(日) 13:23:32.62 ID:mkjYFX+5O
梓「はい!色々お世話になりました」

唯「りっちゃんのことよろしくね。私達もすぐ行くから!」

和「えぇ。粗方街と警察署を探してみて生存者がいなければこの街から脱出するわよ。無線は私が外と連絡する様しかないから…まあきっとまた会えるでしょ。このお守りがあるから」

唯「うん♪」

和が名残惜しくも部屋を出て行こうとした時地面がグラツク。

和「なっ、何?」

唯「地震??」アタフタ

梓「違う…これは」

梓は天井を見上げる。すると上の階から段々と盛り上がって来ている。

梓「また奴が…来た」

142: 2009/08/02(日) 13:25:38.38 ID:mkjYFX+5O
和「梓!唯を連れて隠れて」

梓「でも…っ」

和「いいから!」

梓は言われた通り寝ている唯を抱き抱える。

唯「また来たんだ…。でも……」

ゴォン、ゴォンと天井が叩きつけられついには轟音と共に穴が開き、そこから奴が現れる。

追跡者「スターズ…!!!」

ようやく本物に会えたと言わんばかりに和を見据える。

和「へぇ…こいつが唯を。丁度いいわ」

腰に差している刀の柄に右手を添える。
時代などで見られる居合い抜きのポーズを取る和

和「本物のS.T.A.R.S.の力、見せてあげる」

145: 2009/08/02(日) 13:29:20.84 ID:mkjYFX+5O
唯と梓は部屋にあった祭壇の後ろに隠れて様子を伺っていた。

梓「前と形状が違ってる…」

上半身の黒いコートはなくなっておりオオドイロの肌が露出している。触手が前より全面に押し出されており異様に膨張していた。

追跡者「スターズ…!」

和に向かって走り出す。

梓「前より明らかに遅い…」

右手を振りかぶり和に向かって振り下ろす。膨張した腕がブォッとうねりをあげる

和「…………」

手は出さずにバックステップで避ける。敵との間合いを再度確認する。

その距離をまた詰めようと追跡者は走る、が──────。

和「はぁッ!」

148: 2009/08/02(日) 13:37:51.95 ID:mkjYFX+5O
刀を抜き出す前、鞘の頭部にあるボタンを左の親指で押す。
すると中から空気が圧縮され刀を押し出し、通常の何倍もの抜き出し速度を可能にする

ブオッ…

和の繰り出す斬撃に一陣の風が吹いた、
それと同時に追跡者の右腕が飛ぶ。一瞬の内に和の銀の切っ先は追跡者の腕を捉えていた。

追跡者「スターズ!」

だが追跡者は止まらず左腕を突き出しながら突進。その必氏さが恨みの深さを伺わせる。

和「くっ…」

首を狙ったつもりがだいぶズレてしまったことに和は自分の未熟さを思い知る。この刀は居合い抜きには最高の刀だが、抜いたままならただの刀に成り下がることを知っていた。

150: 2009/08/02(日) 13:41:37.80 ID:mkjYFX+5O
和「はあ!」

向かってきた追跡者の突き出した左腕を斬り落とそうと刀を振り下ろす。しかし膨張している太い腕を斬り落とすのは容易ではなく、刃は肉を途中までえぐり止まる

和「ちぃっ」

追跡者「ォォォ!」


追跡者は体に巻き付いている触手を動かし和を捕まえようとするが和は追跡者の胴体を足蹴にしてまた距離を取った。

和「このっ!」

追跡者「スターズ…」

さっき斬り落とした右腕がみるみるうちに再生していく、、、

和「これは厄介ね…。」

和は紫色の血がこびりついた刀を一度振るって血を飛ばし、また刀を鞘に収める。

唯「もうやめて!!!」

唯が珍しく声を荒げる

和「唯?!」

151: 2009/08/02(日) 13:44:50.51 ID:mkjYFX+5O
梓「唯先輩危ないですから!」

唯「私にはわかる…彼は本当はこんなことをしたくないって言ってる」

和「何でそんなこと…」

唯「私の首を絞めている時に…ごめんなさいごめんなさいって…言ってたから…」

梓「そんなわけないです!こいつは唯先輩を!」

追跡者「ウゥ……ォォォ!」

唯「もうやめよう?あなたもこんなことしたくないんだよね?」

唯が追跡者へ向かってゆっくり近づく

和「唯!!!」

カチン─────

唯「やめて和ちゃん!」

居合い抜きの構えを取った和を制止する唯

和「でも!」

154: 2009/08/02(日) 14:01:26.11 ID:mkjYFX+5O
テス


唯「大丈夫…怖がらないで。あなたは本当は優しい人…。」

梓「バカなことはやめてください先輩!」

梓が大声で叫ぶ。唯がやっていることを信じられないと言った表情を浮かべる

唯はそんな梓の心配を他所にどんどん追跡者との距離を詰めていく。

追跡者「……」

徐々近づく唯に警戒はするものの手は出してこない。二人の距離は5m…4m、ついには3mにまで縮まった。

唯は両手を胸に当て目を瞑る、そして────


唯「何でなんだろ 気になる夜 キミへの この想い便せんにね 書いてみるよ」

歌い始めた────。

158: 2009/08/02(日) 14:08:12.33 ID:mkjYFX+5O
唯「もしかして 気まぐれかもしれない それなのに枚数だけ 増えてゆくよ」

梓「この歌は…」

唯が作った放課後ティータイムの曲の一つ、「私の恋はホッチキス 」。乙女のふと気になる人を想って気持ちをとりあえず何かに表してみる…と言う恋をテーマしているこの曲は唯がメインボーカルをしていて、唯のお気に入りの曲でもあった。

唯「好き確率 割り出す 計算式 あればいいのに」

───────。

ウェスカー「何だ…この歌は」

脳髄にはっきり響いてくる歌声。全身に鳥肌が走る────

ウェスカー「そうか…そうだったのか!ははは…面白い…!」

こうでなくてはな…

161: 2009/08/02(日) 14:14:56.88 ID:mkjYFX+5O
唯「キラキラ光る願い事も ぐちゃぐちゃヘタる悩み事も そうだホッチキスで綴じちゃおう」

追跡者「グ……オォッ……」

和「まさか……唯の歌を聴いて反応してるの…?」

梓「先輩……」

唯先輩は歌はあの時と変わらず…上手い、とは言えなかった。けれどここまで心に響く歌声を私は他に聴いたことがあるだろうか。
心臓に直接刻み込まれているようなドキドキする感覚────
何だろう…暖かい

唯「始まりだけは軽いノリで 知らない内に熱くなって もう針がなんだか通らない ならまたあした」

この気持ちがみんなに届きますように…

162: 2009/08/02(日) 14:20:25.27 ID:mkjYFX+5O
追跡者「ウォォ!……サ…」

大きく膝を曲げるとそのままさっき出てきた天井へジャンプし何処かへ消えて行った

梓「助かった…」

いや、違う。間違いなくこれは唯先輩の歌が関係している…。そう思わずにはいられなかった。

唯「良かっ……」

力なくふらつく唯、床へ倒れる前に和が抱き止め「唯、大丈夫?」と小さく声をかける。
唯「うん。私ね……決めたの。私はこの歌で戦うって…」

ただの一般人なら何をふざけたことをと言われるかもしれない。
だが一度バイオハザードをくぐり抜け自分も氏に直面した彼女がそう言ったのだ

163: 2009/08/02(日) 14:25:58.58 ID:mkjYFX+5O
和「あなたなら…出来るかもしれないわ…唯」

何故そうなったか原理も論理も理論も推測もいらない。

彼女の歌はただ彼の心を奮わした。それだけのことだ

路上でライブしている人の歌を上手いと思い聴き入る行為、それにどんな理由があるだろうか。
ただ自分を満たす何かと感じとり、それを聴いているだけで心が安らぐ

歌にはそれだけの力がある。

何も武器は、戦う手段は銃だけでない、と唯は証明したのだ。

梓「さっき…私のことを見てアズサって…」

私のことを知っている…誰?まさか……
でもそんなわけない。だって、だって彼は生きて戦ってたんだから…

164: 2009/08/02(日) 14:30:53.31 ID:mkjYFX+5O
地下下水道───────。

「ん……どこやここは?」

目覚めると見知らぬ場所にいた。俺は一体……

「そうや、俺は何かを探してて……あ~わからん。」

考えると頭が鈍痛に見舞われる。そう言う時は考えないことに限る

「しかしなんやえらい薄暗いのぉ。とりあえずお日さん浴びたいわ」

目の前のマンホールへの繋がるはしごは落ちている為他を探す

「つか俺の名前ってなんやったっけ……」

思い出せそうなんやけどなぁ


しばらく歩くと狭い通路の横にはしごがついているのを発見

166: 2009/08/02(日) 14:35:57.24 ID:mkjYFX+5O
「うぉこわっ!なんやデカいクモおるやん…気持ち悪っ。はよ出よ」

そうしてはしごを登る全身黒の男─────。

地下犬舎────────。

澪「さっき唯の声が聞こえた気が…」

犬舎の水道を捻りじゃばじゃばと血でまみれた手を洗う。喉が乾いたがさすがに飲む気にはなれなかった。

カツン、カツン、カツン

澪「ん?」

前のマンホールから誰かが上がってくる靴音がする。

澪「律かな…?」

シュー、シュー

『ターンターンターンタタターンタタターン ターンターンターンタタターンタタターン』

澪の脳内にダースベイダーが登場した時の音楽が流れる

168: 2009/08/02(日) 14:39:23.53 ID:mkjYFX+5O
黒いマスクに黒い服装、息をするたびシュゴーと空気が漏れる音がしている男?がマンホールから出てきた。

澪「」ポカーン

何だろう、新手のモンスターだろうか。撃った方がいいのだろうか
澪が呆気に取られていると段々それは近づいて来る。

澪「ひぃっ」

思わず情けない声をあげてしまう。あっちもこちらに気づいているのかじりじりと慎重ににじりよって来ている。

だが次の瞬間────

「この先私はあなたの剣となり盾となりお守り致しますお姫様」

澪「へ?」

急にそんなことを言わながら頭を下げられた

169: 2009/08/02(日) 14:44:53.53 ID:mkjYFX+5O
ふーようやく下水道生活からはおはらばや。上はどこに繋がってるんかいな~。

マンホールを登りきり辺りを見渡すとどこかの建物内部の様だった。

なんや建物の中かいな…あ~あどっちら…け…?

5mほど離れたとこに私は女神を見た。
こんな暗い中でも彼女は輝いており、まるでその美しさはヴィーナス!いや意味同じやん

きっと自分は彼女に会うためにここにいるのだろうと直感的に把握した。そう…全ては運命なのだ

私は彼女に跪く。

彼女の為ならこの命惜しくはない!

176: 2009/08/02(日) 15:03:14.93 ID:mkjYFX+5O
さるなりすぎ…

澪「えっ…、あの、…どう言う意味でしょうか?」

生存者にしてはやたら格好が怪しい為に素直に喜べない澪。

「好きってことさ」

澪「はあ?あのふざけるならいい加減に…」

「ふざけてなどいません!この気持ち、まさしく愛です」

澪「そんなこと言われても…」

「おっと私としたことが名前を聞くのを忘れていた。名前を教えてくださいハニー」

澪「え、っと…秋山…澪です」

「澪…か!素晴らしい名前だ!最高だ!私達の子供にはなんてつけ(ry」

澪「いい加減にしろっ」

久しぶり澪のツッコミが発動したのだった。

177: 2009/08/02(日) 15:06:54.64 ID:mkjYFX+5O
───────。

澪「それであなたは何も覚えてないと?」

「そやねん。気づいたらここにいたんでさぁ…」

澪「(何かしゃべり方がころころ変わる人だなぁ)あなたはこれからどうするんですか?」

「あなたとの合体を所望す(ry」

スパコーン

澪「ふざけるなっての」

「冗談はともかく自分はあなたと共に行きます。話を聞く限りここは危ない場所なのだろう?一人では心配だ」

澪「(確かに一人より二人だけど…まあ悪い人じゃなさそうだしいいか)わかりました。そう言えばあなたの名前は?」

179: 2009/08/02(日) 15:10:12.87 ID:mkjYFX+5O
「ハンク、氏神のハンクだ」

名前…と言われて突然頭に浮かんで来た。気を失う前に誰かにそう呼ばれたような…

澪「氏神ハンクさん?なんか変な名前ですね…まあ長いからダースベイダーさんでいいよね?」

ハンク「いやそっちの方が長いやん!ハンクでええよみーちゃん」

澪「次その名前で呼んだら撃ちますね。」

ハンク「気をつけます姉さん…(ぉ~こわっ)」

澪「私は今から署長室に行くんだけどついて来てくれますか?ハンクさん」

ハンク「あぁ、君を守るためなら地獄でも共に行こう」

二人は署長室へ向かった。

180: 2009/08/02(日) 15:11:52.26 ID:mkjYFX+5O
日本、病室──────。

歌が聴こえた。唯ちゃんの、懐かしい声だった。

斎藤「今日も空が綺麗ですよ、お嬢様。そう言えば毎日通う花屋さんから鈴蘭とマリーゴールドをもらいました。花言葉は幸せの訪れと健康だそうです。早く元気になってください…お嬢様。みんなお嬢様の目覚めをお待ちしてますよ…」

あれから二年間紬お嬢様は眠り続けていた。医者の話では外傷はないが心の問題らしい。彼女自身が目覚めたくないと思ってると言うことだろうか

伸びたブロンドの髪が何とも美しかった。幼い頃見た彼女と違い随分と大人になっていた。思わず胸が締め付けられる。
恋などと言う甘いものではない、家臣としての苦しみだった

183: 2009/08/02(日) 15:14:10.43 ID:mkjYFX+5O
「─────…いい、匂いね」

斎藤「お嬢様!?目を覚まされたんですか?!待ってください今医者を…」

紬「貴方は…?」

斎藤「憶えておられませんかお嬢様?無理ありませんか…幼い頃に少し遊んだぐらいですから」

紬「…………」

面影が誰かに似ている。私を常に支えてくれて…私の気持ちをわかっていながらいつもとぼけていた彼を思い出した。

紬「斎藤……。」

斎藤「そうです。お久しぶりですお嬢様」

紬「でも貴方は氏んで……」

斎藤「あぁ、やっぱりそちらの斎藤でしたか。勘違いしてしまいました。それは兄です」

紬「お兄さん…そう」

184: 2009/08/02(日) 15:17:45.08 ID:mkjYFX+5O
紬「……昔斎藤が連れてきた人がいた。その子は私と同い年くらいで……それが貴方なのね」

斎藤「はい。私達斎藤家は代々琴吹家に仕えております。兄があの事件で亡くなったと聞き…お嬢様の元へ来たのです」

紬「そう…でももういいのよ。琴吹家は私の代で終わり…お父様も氏んでしまってお母様もきっと氏んでしまったわ…。」

斎藤「でも、あなたがいらっしゃるじゃないですか……」

紬「もういいの……私も本当は氏んでいたから。仲間も裏切って……今の私には何も残っていない。だからいいの……」

斎藤「……ざけんなよ」

188: 2009/08/02(日) 15:24:30.82 ID:mkjYFX+5O
紬「えっ…」

斎藤「ふざけんなって言ってんだ!!!」

斎藤が強く叫んだ

斎藤「兄はそんなあなたを守るために氏んで行ったんじゃない!いつも明るく周りに気を配り使用人、執事関係なく人を平等に大切してくれると兄はいつも言ってた!そんなあなたをずっと守って行きたいと!」

紬「斎藤……」

斎藤「一つ聞かせてくださいお嬢様。兄は…駄目な執事でしたか?」

紬「…いえ、とても素晴らしい方でした。」

斎藤「兄も、その言葉を聞いて天国で喜んでると思います。」

紬「でも主君に声を荒げて意見するなんてまだまだね。お兄様はそんなこと一度もしなかったわよ?」

斎藤「うっ……すみませんお嬢様」

紬「ふふ、冗談よ。あなたもお兄さんに負けないくらいいい執事よ」

斎藤「勿体無いお言葉です。さあお嬢様、この斎藤めに何なりとご命令を」

189: 2009/08/02(日) 15:27:54.20 ID:mkjYFX+5O
斎藤……あなたは本当にいつまでも、私を見守ってくれてたのね…。ありがとう。あなたの為にも私はまた夢を目指します。
だから…………

紬「現在の琴吹家の株、市場状況は?」

斎藤「二年前と比べ少し落ち込みましたが爺やが代理の取締役として機能しているのでしばらくは問題ありません」

紬「二年?!私はそんなに眠ってたのね…」

通りで髪が腰をすぎて太もも辺りまで来ているわけだと納得した。
紬「経営はしばらく爺に任せるわ。それより今起こっているバイオテロについて調べて」

斎藤「それなら琴吹家の衛星カメラで既に」

紬「いい仕事ぶりね斎藤」

斎藤「はっ」

190: 2009/08/02(日) 15:31:22.31 ID:mkjYFX+5O
斎藤「アメリカのラクーンシティで大規模なバイオハザードが起こっている模様です。しかし政府の発表がないことを考えるとこれを引き起こした人物達と裏で繋がっていて黙頃してると考えるのが妥当かと」

紬「救助活動へ向かいます。琴吹家の総力をあげなさい。尚私は先に向かいます。一番速いジェット機を用意して」

斎藤「了解致しました。」

斎藤は携帯を取り出し何処かへ電話する

斎藤「今ここに沢庵レクイエムを発動。お嬢様の命令だ、全力で支援せよ!後SR‐71A至急用意しろ!今すぐにだ!」

だから…天国から見守っててくださいね。
斎藤──────。

192: 2009/08/02(日) 15:33:49.12 ID:mkjYFX+5O
アメリカ──────
PPP、PPP

スネーク「なんだ大佐?」

大佐「特命がフォクスハウンドに下った。今すぐラクーンシティへ向かってくれ」

スネーク「なにぃ?どう言うことだ大佐!?」

大佐「たくわんだよスネーク」

スネーク「たくわん…だと?」

日本公安9課────────。

荒巻「少佐、トグサとバトーを連れて今すぐアメリカのラクーンシティへ飛んでくれ」

少佐「また急ね。何かあったのかしら?」

荒巻「9課に特命が下った。全てはたくわんだ、少佐」

少佐「たくわん……?」

197: 2009/08/02(日) 15:44:22.37 ID:mkjYFX+5O
さるさん回避余裕でした

ネルフ本部─────。

01「碇、君には今すぐアメリカのラクーンシティへエヴァンゲリオン三機を投入してもらいたい」

08「左様、これは命令だよ碇」

02「君に拒否権はない」

碇「わかりました。その為のネルフです」

03「話が早くて助かるよ」

ゼーレ一同「そう、全てはたくわんの為に」

そうたくわんは絶対の存在でありたくわんを拒否出来るものは誰もいないのだ

※彼らは本編には出てきませんネタ要員です
ご注意ください

199: 2009/08/02(日) 15:46:38.30 ID:mkjYFX+5O
その頃、ラクーンシティ市街─────

ヘソから次々に降りてくる人達、

対バイオテロ私有部隊、BSAA到着───

クリス『ブラッド、聞こえるか?』

ブラッド『あぁ、感度良好だクリス』

クリス『今から救助活動を開始する。お前は近くで待機しておいてくれ。』

ブラッド『了解。さすがにこの街にはいられねぇからな。隣街でカフェと洒落込んで来るわ。グッドラックボーイ』

飛び立つヘリを見送った後クリスが口を開いた。

クリス「第一目標は生存者の救助だ。BOWの排除も忘れるな。アンブレラの関係者は拿捕しろ」

205: 2009/08/02(日) 15:50:51.36 ID:mkjYFX+5O

バリー「了解だリーダー」

ジル「了解。前みたいにハンドガン無くさないでねクリス」

クリス「善処する」

レベッカ「このラクーンシティにはハーブを治療に使うそうです。その辺りに生えているハーブを見つけたら私のマニュアルに従って調合してください。データはメモリーに送っておきます」

一同「了解」

メモリーとは、BSAAが導入している携帯式無線機だ。無線の他にも衛星からのデータでその建物の構築、蓄積されたデータの閲覧なども可能だ。

クレア「兄さん、むちゃしないでね」

クリス「それはこっちのセリフだクレア」

206: 2009/08/02(日) 15:52:33.05 ID:mkjYFX+5O
バリー「クリス!」

バリーの激昂でクリスは銃を構える。長い付き合い故に名前を呼ぶだけでも何があったか把握出来る。

クリス「奥から一体、後方から一体、ビルの中に一体か」

バリー「待ち伏せされてた様だな。……103型か、どうするクリス?」

クリス「撃退する、各々奮闘しろよ。」

一同「了解」

クリス「このBSAAは個人でも十分動ける人材だ。俺の指示など参考にまでにしか聞かなくていい。自分の思う様にやってくれ」

暴君が迫る───

クリス「戦闘開始」

208: 2009/08/02(日) 15:56:42.37 ID:mkjYFX+5O
───────。

さわ子は物陰からその戦いを見ていて驚愕した。5分だった、たった5分で……さわ子の差し向けたT‐103型三体は撃破されたのだ

さわ子「ありえない……なんなのよあれ!」

一体は氷漬けにされ一体は核を潰され一体は口に手榴弾をぶち込まれ……

『三体では少ないかもな……』

ウェスカーの言葉を思い出す。

さわ子「これが対バイオテロにクリス・レッドフィールドが作った組織の実力なの……」
計画を練り直す必要があるわね。

クリスが何かを言っている。

クリス「究極の出来損ないとは言ったものだな」

さわ子「言ってくれるわね…」ギリッ……

必ず後悔させてやるわ…その言葉

210: 2009/08/02(日) 16:00:26.56 ID:mkjYFX+5O
図書資料館──────

律「ようやく4つ集まった……。しかし見事に誰にも合わないな。みんな氏んだか脱出したのかね」

最後のナイトプラグをポシェットに入れる。

律「さっき唯の声が聴こえたのは……。」

何を言ってるんだ私は。ついに頭までおかしくなったか田井中律

私は家族を助け出す、そしてアンブレラを潰す。私の意思で、私だけの力で

本当にそうだろうか
これは私の意思で、私自身が澪を遠ざけてるのだろうか。

あんなに大切だった澪の姿が霞んでいく

私はどこ向かい、何処へ行きたいのだろう

212: 2009/08/02(日) 16:03:05.32 ID:mkjYFX+5O
「見つけたわよ!律!」

律「あん?」

図書資料館の扉は二階一つ、これはやたら歯車がある部屋に繋がる。
そしてその下の二つの扉、一つは小さい扉、STARSの勤め所に繋がる。もう一つはノブの二つついた大きい扉、エントランスの二階へ出る。そこの扉前に彼女はいた

律「和か。久しぶりだな」

和「梯子を下ろしておいてくれたおかげで早く来れたわ。ありがとう律」

律「あんたの為に下ろしてわけじゃないよ」

和「あら、ならあなたの大好きな澪の為?脱出しやすいようにって」

ギリッ……

律「何が言いたいの?」

214: 2009/08/02(日) 16:10:25.70 ID:mkjYFX+5O
和「とぼけないで。私の部下を撃ったあなたにはS.T.A.R.S.で危険人物扱いされてるのよ!……何で…撃ったの?」

フフフ……

律は柔和に笑みを浮かべる

律「邪魔だったから。来い来いってしつこいんだもん。新手の誘拐の仕方だと思っちゃったよ」

和「律!!」

和が刀を抜く。
顔の表情は穏やかではない
嘗ての仲間に切っ先を向ける

律「やろうってんだ…私と」

どうしてこうなったんだろう

和「彼は私の大切な仲間よ。そんな彼を撃たれて黙ってられるわけない…」

唯は信じろと言ったけれど……!

律「こいよ、和」

今はこの道しかないのだから。その道に立ちふさがるなら仲間でも容赦はしない

216: 2009/08/02(日) 16:12:14.48 ID:mkjYFX+5O
和の刀の鎬(しのぎ)が図書資料館の電気に反射し光る、ジリジリと足を地面に滑らせながら律に近づいて行く。

律「そんな警戒することないだろ~?銃なんて出さないって。これで十分だよ」

律は腰からナイフを取り出す。コンバット式のサバイバルナイフだ。

和「なめられたもんね…」

律「あら~ん?怒りになりました?STARSの大尉殿」

和「今は少佐よ、おかげ様でね…」

律「そうでしたか少佐殿。」

和「悪く思わないでね…律(峰打ちで気絶させてから縛りあげて…それからは唯達と考えよう。)」

律「さっさと来なって……」

220: 2009/08/02(日) 16:14:19.39 ID:mkjYFX+5O
和から動き出す──。
カモシカの様に跳び駆ける。あっという間に律の前に来た和は刀の刃を逆にし、峰から横薙ぎに振るう。

律「っと!」

律はそれを屈んで避け、左手で持ったナイフを容赦なく和の左脇腹に目掛け突き込む────。

和「ぐぅっ」

左手で素早く鞘を持ちそれを盾にして律のナイフを防ぐ。
金属と金属のぶつかった澄んだ音が響く。

律「どうしたぁ?(やっぱりまだゾンビ犬にやられた傷が完全には治ってないか…)」

律は直ぐ様ナイフを右手に持ち換え、振り上げる様に切り上げる。それは和の頬をカスり眼鏡を跳ね飛ばす。
頬から切れ口から赤い一筋の血が流れる
和「っ……」

225: 2009/08/02(日) 16:18:40.77 ID:mkjYFX+5O
和は一旦バックステップで距離を取る、しかし読んでいた律はそれに並走している。

律「そうやってすぐ逃げる癖は変わらないな和」

和「なっ……このっ!」

和はまた刀を横薙ぎにしようとするが、

律「遅いよ……」

それよりも早く律は和の腕の内側に入り当て身をし、体勢を崩す。

和「(早い…っ)」

このまま倒れれば尻餅をついて終わる、ならと和は体を反り手を先について足を戻す。
早い話がバク転である。

律「お~凄い凄い」

律はふざけた風に手を叩いてみせた

和「(私がナイフ一本の相手に押されてる…。いや、違う…遠慮してるのね。唯に、澪に…みんなに)」

227: 2009/08/02(日) 16:22:59.61 ID:mkjYFX+5O
頬の血を右腕で拭う。言葉で語るより命を交えた方が彼女の気持ちがわかると思いしかけたけど…彼女は本気だ。本気に私を頃しに来ている。それだけの理由があるのだ
ならばその理由を聞き出さない限り本当の頃し合いになる
それは和にとっても唯達にとっても不本意だ。だから会話で揺さぶる

和「律、あなたの家族がアンブレラに人質にされているのは知ってるわ。」

律「……誰から聞いたの?」

和「梓がレオンから聞いたらしいわ」

律「…………そう。だから?」

和「私も協力する。だから一緒に来て。全て終わった後に罪を認めて欲しいの。これは唯も梓も同じよ。あなたが人質を取られたり色々あったことで心を病んで一人で背負い込んで……。でも!あなたには仲間がいるじゃない軽音部の仲間が!一緒に助けよう律!」

律「……和。」

ありがとう、でもこの言葉が言い放たれることはなかった。

232: 2009/08/02(日) 16:28:45.55 ID:mkjYFX+5O
朱色がかった律の目一気にが紅くなる。

律「仲間なんて物は所詮使う為にしか存在してないんだよ。自分が生き残る為に誰かを犠牲にしてそれを正当化して、本当に…本当に自分を救うのは自分だけ。自分だけなんだ」

和「なら何故あなたは命がけで澪を守ったの!?」

律「澪……その名前を呼ぶな……」

和「律!!」

律「うるさいっ!」

ナイフの柄の下が開きそこから銃口が覗いている。

和「パトリオットナイフ!?」

パァン!!

銃弾は和の右肩に当たりそこから血が噴き出す。

律は走ってエントランス二階へ続く扉へ

和「くっ、逃げるの!?律!言い返してみなさいよ!あなたは!軽音部の部長でしょうが!」

バタン───

その必氏の声も、和以外誰もいないこの図書資料館で虚しく残響を残すだけだった。

234: 2009/08/02(日) 16:31:19.15 ID:mkjYFX+5O

署長室前───────。

パァン!!

澪「銃声!?」

ハンク「近いぞ!」

澪は署長室と逆方向、銃声のした方へ走る。
ハンク「待て澪!あぶねぇって!」

追いかけるハンク。


澪「はあ……はあ……」

エントランスの二階へ出た、銃声はどこから……!?
辺りを見回してると奥の大きな扉が開く。遠くからでもそれが誰かわかった

澪「律ぅ!!!」

澪は大声で叫んだ。エントランス内に澪の声が木霊する。

律「…………くっ…」
律は頭を抱えながら走り中央の梯子で一階に降りていく

235: 2009/08/02(日) 16:33:32.80 ID:mkjYFX+5O
澪「待って!律!話が…」

澪も中央へ走り梯子を降りようとすると、銃声が響く。

澪「律……」

それは律が放った物でコルトから弾き出さた薬莢が地面にに落ちカランと音をたてた。

律「はあ…降りて来るな……!」

そのまま銃を構えたまま後退る律、

和「待って!律!」

さっき律が出てきた扉から肩を抑えながら和が出てきた。

律「っく……」

律は走り警察署の出入口の左側のドアへ消えて行った…。

237: 2009/08/02(日) 16:37:37.88 ID:mkjYFX+5O
澪「律……」

律も気になる……けど今は!

澪「和!大丈夫?!」

血を出して倒れ込んでいる和の元へ駆け寄る。ちょっと前なら構わず律を追ったかもしれない。けれど今は違う、大切なのは律だからじゃないってことを気づいたから。仲間だから大切なんだよ、律

和「その声は…澪?……久しぶり……ね。」

息が荒い、でも出血はあまりしてないようだ

澪「手当するから服を脱いで」

和「わかった……けど……チラ……」

『ターンターンターンタタターンタタターンターンターンターンタタターンタタターン』

ハンク「自分マスクつけてるんで全く見えてないっす!」キリッ

241: 2009/08/02(日) 16:41:45.79 ID:mkjYFX+5O
澪「ハンク、律を追ってくれ」

ハンク「律ってあの茶髪か?でもな~俺はこっちの子の方が好みだし今からヌード(ry」

澪「マスクの空気口増やされたくなかったらさっさと行け」

ハンク「はいぃぃぃ(みーちゃんドSだなぁ……まあそこもいいんやけど)」

ハンクが一階に降りたのを確認してから和のSTARSの制服をはだけさせる

澪「この傷……律にやられたの?コルトにしては傷口が小さい」

和「律のパトリオットナイフにやられてね……油断したわ」

澪「律が……和を…」

律…あなたはもう変わってしまったの?律……

243: 2009/08/02(日) 16:45:46.89 ID:mkjYFX+5O
──────。
はあ…はあ…

後ろを振り返っても誰も追って来る様子はなかった。

律「澪……何で追って来ないんだよ…私が大切じゃないのか…?」

私より和の方が大切なんだ

律「違う!澪は私のことを……私の……」

自分から遠ざけた癖に何泣いてんだ私

律「澪のことは……もう忘れよう」

私は家族を助けないといけないんだ。いや…その前にあれを…いや…何だっけ…どうでもよくなってきた

律「変わったんだな……澪」

不意に呟いてしまった言葉

寂しいけどこれでいい、これ以上危険なことに彼女を巻き込みたくないから

ほんとにそれでいいの?

律「うるさい…!あんたがこうしたんだろ!田井中律!」

244: 2009/08/02(日) 16:49:31.50 ID:mkjYFX+5O
澪「弾は取り出したからこれで大丈夫だと思う。」

和「ありがとう澪。ついでで悪いんだけど眼鏡取って来てくれない?私眼鏡ないとほとんど見えないから…」

澪「…わかった。」

図書資料室に入り転がっている眼鏡を拾い上げた。
しかし右側の耳に掛ける部分がポロりと取れ落ちた。眼鏡のレンズには若干血がついている

澪「律……!」

怒りにも似た想いを胸に押し留め、和にこのことを伝える

和「そっか。スペアはあんまり使いたくないけど」

どこかから取り出した下のフレームが赤い眼鏡。和のトレードマークだ

248: 2009/08/02(日) 16:54:46.65 ID:mkjYFX+5O
二人はここに来た経緯や出会った人物、今の状況などの情報を交換し合った。
そして話題は律の話へ移行していく。

澪「和……正直に話してほしい。律は本当に和の部下を撃ったのか?」

和「直接見たわけじゃないから100%とは断言出来ない……けど撃たれた部下が茶髪で灰色のコートを着ていた女の子に撃たれたと…言っていたの。」

澪「……そう。」

澪は大きく息を吐いた。

和「でもね澪。私はさっきの戦いで確信したわ。あれは律じゃない」

澪「……そうだよね」

和「違うの澪。そのままの意味よ。律そのものじゃないの」

252: 2009/08/02(日) 17:04:55.22 ID:mkjYFX+5O
澪「どう言う意味?」

和「戦ってる時とあなたの名前を出して揺さぶった時の差が激しすぎるのよ。何か自分を抑えきれてなかった…そんな感じだった」

澪「抑えきれ……」

そう言えば自分にも覚えがあった。唯を叩いた時だ。
自分の行動を正当化するつもりはないがあの時はそれを抑えることが出来なかった。
コップいっぱいに入った水の中にコインを入れるような行為。溢れるのがわかっていても入れなきゃ駄目だって思ってしまう。

澪「変な能力……赤みがかった目……性格の変化……まさかこれって」

澪の中で三つの出来事が繋がっていく

253: 2009/08/02(日) 17:10:05.68 ID:mkjYFX+5O
澪「そうだ……確かにそれなら辻褄が合う…何かも!」

こんな状況下なのに何故その選択肢を除外していたのだろうか
こんなウイルスが溢れるこの場所で
一気に推理はkskする


和「??」

澪「いやでも……」

律は完全抗体者だ……かかるわけが…でも

澪「和!唯は確かにTウイルスに汚染されたの?」

和「え、えぇ…。今はもう元気でそろそろこっちに来ると思うけど…」

澪「それは良かった。」

となるとある状況化だと完全抗体者でもウイルス感染はありえる…でも律はゾンビ化していない。
なら他のウイルス…?確かベンの資料にGウイルスとか…

255: 2009/08/02(日) 17:14:18.47 ID:mkjYFX+5O
和「言うか迷ったんだけど…律はアンブレラに家族を人質に取られているらしいわ。何かを探してるって聞いたけどそれに関係するのかもね…(本当は澪や唯の家族もだけど…これは言わない方がいいわね)」

澪「家族を……?それをずっと……私達に黙って…一人で……」

あのバカ律っ……!

気づけば私は走り出していた。

和「澪!」

澪「ごめん和!後で迎えに来るから!」

和「私なら大丈夫よ。大した怪我じゃないし、行ってあげて」

澪「うん……!」

もう迷いはなかった────。

律を説得する

260: 2009/08/02(日) 17:20:23.69 ID:mkjYFX+5O
澪がエントランス一階に降りるとハンクが待っていた。

ハンク「やっこさん見失っちまったぜ」

澪「バカハンク!律がどこへ行くのかわかればいいんだけど……でも何でこっちに戻って来たんだろう」

律の目的は下水道の先にある筈だ。じゃないと私達にわざわざついて来たりしない……。そして下水道へ行く道はあの犬舎からだけ…

澪「ハンク!犬舎に戻ろう!そこに律がいる!」

ハンク「えっ…署長室は行かなくて…」

澪「それは後!」

澪はハンクを置いて走り出した。

261: 2009/08/02(日) 17:23:25.88 ID:mkjYFX+5O
警察署前────

唯「思ったより早くついたね~。やっぱり車は偉大だよぉ」

梓「……」

唯「盗んだんじゃないよ?!警察官は緊急の場合借りられるのだよ梓君!映画とかでもやってるしさぁ~」

梓「……」

唯「あずにゃん?」

梓「は、はい!?何ですか?」

唯「どうしたの?時計塔出てからおかしいよ?」

梓「いえ…少し考えをまとめていただけです。それで何の話でしたっけ?」

唯「警察官は市民の味方って話だよぉ。さ、入ろうあずにゃん」

梓「はい(また奴が居たり…いや…あれは…)」
二人は本日二度目のRPDの門を潜った。

263: 2009/08/02(日) 17:26:04.02 ID:mkjYFX+5O
唯「う~んみんなはいないみたいだねぇ」

梓「もう地下から脱出したのかもしれませんね」

───────。

澪は何かに気づいていたみたいだけど…まあいいわ。私の感覚が正しかったら律は澪次第で元に戻る…問題はどうやって戻すかだけどね。

ぐったりと壁にもたれかかる和。

和「ここのS.T.A.R.S.も全滅かしらねこの様子じゃ……」


「──────」

「─────────」

声が聞こえる、下の階からの様だ。和は壁から身を出して声をかけた

和「お~い」

────────。

265: 2009/08/02(日) 17:29:12.46 ID:mkjYFX+5O
唯「じゃ近道使って地下へ行こっか」

梓「そう言えば唯先輩ってここの警察官でした。忘れてました」

唯「失礼だよあずにゃん!」

梓「ごめんなさい(唯先輩すっかり元気になったみたいで良かった…)」

「お~い」

唯「ん?あっ!和ちゃん!」

梓「(あれ?でも肩怪我してる…何かあったのかな)」

和「そこの梯子から上がって来てくれない?」

唯「は~い」

梓「こんなところに梯子があるなんて。これでだいぶ行き来が楽になりそうですね」

二人は梯子を登り二階に上がった。

267: 2009/08/02(日) 17:32:36.61 ID:mkjYFX+5O
唯「和ちゃんその怪我…」

和「いいのよこれは。もう済んだ話だから。それに澪に治療してもらったおかげで出血も止まったわ」

梓「澪先輩と会ったんですか?」

和「えぇ。もっとも今は恋人の説得に行ったわ。私は振られちゃったわね」

和は冗談半分で言ったつもりだが唯はそんな和を抱き締めた。

唯「和ちゃんには私がいるよ」

和「ありがとう唯。でも後ろに嫉妬してる仔猫ちゃんがいるから程々にね」

梓「…………」シュン

唯「あずにゃんもぎゅ~」

梓「///」パアァァ

270: 2009/08/02(日) 17:35:23.50 ID:mkjYFX+5O
和「さてと、じゃあこの辺りで一回合流しときましょうか。これからの話もしたいしね」

唯「二人がどこへ行ったかわかるの?」

和「正確にはあの仮面男入れて三人だけど…」ボソ

梓「?」

和「律は地下に向かった筈よ。唯、この警察署の施設でチェスの駒の様なプラグを差し込む場所って知ってる?」

唯「う~ん確か下水処理場前のドアにそんなのがいるとか書いてたような」

和「多分それね。律のポシェットにそれとおぼしきプラグが入ってたから間違いないわ」

梓「律先輩とも会ったんですか?!」

273: 2009/08/02(日) 17:45:39.01 ID:mkjYFX+5O

和「えぇ」

梓「じゃあもしかしてその傷は……」

和「梓。いいのよ、澪が律を元に戻してくれれば。これは名誉の負傷ってところね。これぐらいで律を気づかせてやれたなら安いものよ」

梓「はあ…」

唯「ほえ?」

和「何でもないわ唯。早く地下に行きましょ」

唯「ふふふ、その必要はないのだよ和ちゃん!」

和「?」

梓「この図書資料館の上に行ったところからダストシュートが地下に下りてるらしいんです。それを使えば大幅な短縮になります」

唯「あずにゃん私の手柄を~!」

梓「すいません…」

276: 2009/08/02(日) 17:50:57.71 ID:mkjYFX+5O
地下犬舎───────。

澪「はあ…はあ…律は…もうマンホールを降りたのかな…」

ハンク「さ…さあ…。地下に来てからは…ほとんど一本道だったから…降りたんちゃう?」

澪「ふ~、なら私達も降りよう」

ハンク「澪。さっき俺がここに来た時はデカい蜘蛛がいた。危ないから俺が先に行こう」キリッ

澪「あ、ありがと」

珍しくまともなことを言ったハンクが先に降りる。それに続いて澪も降りた。

ハンク「(いい尻の形だ…スカートじゃないのが残念で仕方ないが上下運動している尻を見逃すハンク様ではないわ!)」キリリッ

澪「この一件が終わったら覚悟しといてね」

ハンク「(バレた……だと?)」

278: 2009/08/02(日) 17:54:36.07 ID:mkjYFX+5O
澪「下水の道を歩かなくちゃならないのか…」

ハンク「嫌ならずっとお姫様抱っこしますぜ?」

澪「別にいい」

ジャバ…ジャバ

二人は梯子を降り下水に足を浸す。

澪「……」
汚いとかそんなこと言ってる場合じゃないか……

ハンク「ん?あれ?蜘蛛の野郎氏んでやがる……」

少し歩いた先に二匹のデカい蜘蛛の氏体があった。どれくらいデカいかと言うと中学に上がりたての子が両親に買ってもらう自転車並みのデカさだ

ハンク「昆虫に当たるなんざやっこさんよっぽど苛立ってるみたいだな」

澪「律……」

280: 2009/08/02(日) 17:56:07.75 ID:mkjYFX+5O
───────。

律「…………」ブツブツ

律「私が悪いのか……」

違うよ

律「でも……」

確かにあなたが澪を受け入れれば全ては丸く収まるかもしれない。けれどそれでは二年前と同じじゃないのか?

律「それは…」

誰かが生き残る為に誰かが氏ぬ。そんな関係にまた戻りたいのか?

律「……」

それでいいんだよ田井中律。私は私の意思でこうしてきた。一人でも生きられる力を得た

律「可能な限りの幸運…か」

自分の命は保証してくれる癖に…、あぁ、だからか。
その代わり本人は幸せにならないんだな

282: 2009/08/02(日) 17:58:05.33 ID:mkjYFX+5O
4つある内の3つプラグを嵌める。

律「ん…あれ……ない……」

最後のプラグ、図書資料館で得たナイトプラグが見当たらない。いくらポシェットの中を漁っても出てこない

落とした────

不意にそんな答えが浮かび上がる。

律「ふはは……ざまあないな田井中律…。もう何やってんだよ私…」

小学生のお裁縫の様に全てちぐはぐだ。
初めは周りを巻き込まないようにただ牽制をするだけだった。一人ならどんなことが起きても氏なずに生還する自信があったから
自分に巻き込まれて誰かに氏んで欲しくなかったから
であの時…誰かに押されるように引き金をひいてしまった。
それから歯車は狂い始めたのかもしれない

283: 2009/08/02(日) 18:00:18.48 ID:mkjYFX+5O
律「探しに戻るか……」

そう言ってまた踵を返す。全くここの設計者を恨むよ。

「…………」

律「人間……じゃないよな」

赤い橋の向こうには人らしきモノがいる。

G「ォォォォ!」

右手が肥大化しており肩に目玉の様なものがついている。

橋の格子を持つとそのまま捻切り鉄パイプの役割の果たさせ武器にしている。
どうやら知能はあるらしい。

律「何だコイツ……新しいBOWか……?」

律はマグナムを二つ共構える。合わせて残弾数は12

律「人間じゃないなら遠慮はしない…」

284: 2009/08/02(日) 18:02:56.50 ID:mkjYFX+5O
G「ォォォォォォォォ!」

律に向かってただばか正直、一直線に走って来る。

パァン!パァン!

とりあえず二発入れてみるも止まらない。

Gは右腕に持っている鉄パイプを律に向かってブン回す。
縦、横、或いは斜めから。体勢を崩してもひたすらにそれを繰り返す。
だがその一撃一撃は恐ろしく早く律も避けるので精一杯だった。

律「くっ…このっ」

隙を見つけては一発、また一発とマグナムを撃ち込むが止まらない─────。

ブゥン───

律「しまっ──」

避けきれず左手に持っていたS&Wを弾き飛ばされる

285: 2009/08/02(日) 18:05:15.96 ID:mkjYFX+5O
律「こんのぉ!!!」

後退しつつコルトを連射

G「ウォォォ…グォ……グ……」バタン

ようやくGは地面に伏した。

律「はあ…はあ…ざまあ……みろ」

律は弾き飛ばされたS&Wを拾いに行く

G「」ドクンドクン

律「よいしょ……と…………嘘だ……ろ?」

銃を拾って振り向くとGが立っている。
体を変形させながら─────

人間らしい面影は消え顔の横に更に顔が出来る。右腕に持っていた鉄パイプを捨てると手先から鋭い爪の様なものが生えてきた。

Gは更に進化する─────

286: 2009/08/02(日) 18:06:55.11 ID:mkjYFX+5O
弾を……いや…それより逃げ…

後ろの扉はプラグが足りない為に開かない。残る扉は一つだけ、自らが入って来た橋の向こう側にある扉。Gが立ちふさがる先の向こうだった。

律「駄目だ……」

Gはゆっくりと律に迫り来る

律「来るな!」

右には残弾0のコルト
左には後何発あるかわからないS&W
迫ってくるGに気をとられ弾を込めることすら忘れている。

律「大丈夫……私には可能な限りの……幸運が……」

そんなもの、今ここにあると思う?


律「なっ……」

氏ぬんだよ、あんたは。
自分がそう語る

289: 2009/08/02(日) 18:10:02.44 ID:mkjYFX+5O
自分で起こせる幸運なんてたかが知れている。それに頼りすぎた罰だ。
ないものを使い続けていたんじゃない。あるものを削っていたんだ。
今ようやくその事に気づかされた。

律「氏ぬんだな……私」

Gは何も答えない

律「ごめんなぁ澪……」

目を瞑る。最早自分の力じゃどうしようもないと

振り下ろされるGの爪……


「律!!!!!」


律「えっ…」

律の体が第三者により動かされる。ダンプカーが迫っている仔猫を助ける如く

澪は律を抱き抱えた

291: 2009/08/02(日) 18:12:50.42 ID:mkjYFX+5O
澪「ハンク!!!」

ハンク「了解!こっちだぜ化物ちゃんよぉ!」

ハンクは自分の持っていたアサルトライフルをGに向かって連射する

それに応じたのかGはハンクの方へ向きを変える。BOWにも言えることだが危険度がより高いものを先制的に狙うらしい。

ハンク「ほら!こっちだ!追っかけてこいや!」

ハンクはそのまま部屋を出るとGもそれを追いかけて部屋を出ていった。
部屋には律と澪二人きりになりさっきの危機が嘘の様な感覚になる

律「澪……」

澪「このバカ律!!!」

パシィンッ

馬乗りの体勢になったまま澪は律の頬をはたく

294: 2009/08/02(日) 18:15:50.26 ID:mkjYFX+5O
律の頬が叩かれた衝撃で赤くなる。

澪「バカ!バカ!バカ!」

何回かビンタが往復され

澪「ばかぁ……」

力なく止まった。

澪「何で全部話してくれなかったの!?何で一人で無茶するの!?何でいっつも全部一人で背負い込んで……自分ばっかり苦しい思いして……」

澪の瞳からボロボロと涙が落ち、律の顔に当たる。

律「澪……」

澪「氏んじゃったら……もう……会えないんだよ……」

律「……私にはあの能力があるから…氏なない(氏ねない)よ」

澪「……違う…!違う違う!」

295: 2009/08/02(日) 18:17:25.87 ID:mkjYFX+5O
澪「言いたいこといっぱいあるのに……やっと会えたのに……上手く言えないよ…律」

律「……」

澪「こうやってしばらく話したら……また律は一人で何処かへ行くの?」

一人でこの冷たい海の様な中を……

律「私は……わからない。どうしたらいいかとか…何をするべきだとか…わからなくなっちゃったんだ。澪」

澪「グス…ン…わから…なぃ…?」

律「うん。初めは家族を取り戻す為にレオンと躍起になってた。けど何回も何回もバイオテロの現場に行く度わからなくなって来たんだ。命の価値も、その尊さも」

296: 2009/08/02(日) 18:19:20.36 ID:mkjYFX+5O
澪は黙ってただ律の話を聞いている。

律「みんな氏んでいく…。ここに特別な存在もくそもないんだ。ただ平等に氏んでいく。一番初めに私が助けた命も、結局はゾンビになって処理された。ここはね、澪。人がいるべき場所じゃないんだ」

澪「……」

律「澪や唯、梓やむぎや和……みんなはもっと平和に暮らすべきなんだ。幸せに……こんなことを思い出さずに」

澪「なら律も……そうすればいいよぉ……」

律「私は、もう普通の生活には戻れない。この能力で生き続ける、やつらを潰すまで」

297: 2009/08/02(日) 18:21:18.02 ID:mkjYFX+5O
澪「…………だ……」

初めは小さい声が……段々大きくなっていく……

澪「私は…律が好きなんだ…」

律「……そうか。でもな…澪、私は(ry」

澪「私は律が大好きなんだ!能力なんか関係!無邪気で…おっちょこちょいで…勝気で…でも周りのみんなを誰よりも心配して構ってくれる優しい律が大好きなんだ……」

澪は泣きながらも訴える。ここで彼女を引き止められなければ遠い何処かへ行ってしまってもう戻って来ない気がしていた。

しかしまさにその通りだった。

律の心は今必氏で戦っていた。

ウロボロスと────
自分自身と

304: 2009/08/02(日) 18:34:21.99 ID:mkjYFX+5O
関係!×
関係ない!○

しかし─────、
それでも────、


律「あんな作り笑いや空気で一生私を居させたいの?澪」

戻らない─────


澪「違う……」

律「私はもう二年前みたいに笑えない……だから……ごめん」

澪を押し退けて立ち上がる律。

律「助けてくれたことには礼を言うよ……けどもうここを出るんだ、澪。唯達も連れてな。二度と私を探そうとなんかするな」

澪「律……」

これだけ言っても…駄目なのか…届かないのだろうか

律は歩いて扉へ向かう

一度切れた糸は、もう繋がらない─────

373: 2009/08/02(日) 23:05:58.26 ID:mkjYFX+5O
──────否
澪もまだわかっていなかったのだ。自分一人の力で何とかしようとし過ぎるあまり周りを見失っている。

そう、糸が切れたのなら結べばいい。
その切れた糸を結ぶ鍵は、澪のポケットの中にこそある

澪「あっ……」

澪はギリギリでそれに気付いた。ポケット中のものを確かめ律を追いかける

澪「待って!律……あなたがどうしても一人でいたいなら私はもう止めない……。けど…そうじゃないなら」

振り返る律にポケットのクマのキーホルダーを渡す。

澪「唯が作ったんだ。みんなまた一緒に集まれたらいいねって…」

376: 2009/08/02(日) 23:08:57.54 ID:mkjYFX+5O
律「……」
何も言わずそれを見つめる律。

澪「心配してるのは私だけじゃない…唯や梓だって…。和もそうだよ?怪我しながらでも律を心配してた…。みんなが待ってるんだ…律」

律「……」

その瞳は何を思うのか、固まったまま動かない。
それでも澪は続ける

澪「律が私達を巻き込みたくないと思うように私達も律に平和に暮らしてほしいんだ……。この件に関してはいずれ決着をつけないとならないと私も思ってた。
理不尽に人が氏んでいくなんておかしいから…。だから今日ここで、みんなで……この件を解決してそしたら…」

380: 2009/08/02(日) 23:15:50.06 ID:mkjYFX+5O
律「何で…そこまで私のことを?」

律が顔を上げ真っ直ぐに澪を見つめる。

澪「軽音部の…仲間だから。私が律を大好きだから。心の底から、一緒にいたいと思える人だから」

律の中で何かが弾けた─────。

誰が人一人の為に何度も何度も諦めずに自分の命を投げ出してまで救おうとするだろうか。
前に律は自分を救うのは自分しかいないと定義したが澪はこんなにも私を救おうと努力している。

自分が何度も何度も払った手を何度も何度もさしのべてくれる

周りを巻き込みたくないと言う気持ちは、ただの甘えだったのだ

自分がそう思ってると言うことは澪達も当然そう思っている筈だ。
私はそれを理解せずただ私の意見だけを押し付けていた……

382: 2009/08/02(日) 23:20:25.60 ID:mkjYFX+5O
目の赤みが消えていく……

律「…………唯の…歌が聴こえたんだ」

律は澪の手のひらにあるクマのキーホルダーを手にとった。

澪「私もだよ。唯はまだ歌うことをやめてない。こんな中でも…」

律「私の今までしてきたことに全て言い訳なんかしない。私は人を撃ち仲間を撃ち仲間を傷つけ仲間を裏切った。その責任を負わなくちゃならない」

澪「律…」

律「だから……」

今、私の 願い事が
叶うならば 翼がほしい

また唯の歌声が聴こえる

この背中に 鳥のように 白い翼 つけてください

律は、ようやく澪の手を自ら

握った─────。

387: 2009/08/02(日) 23:28:13.37 ID:mkjYFX+5O
その少し前────、
唯達はダストシュートがある部屋に来ていた。

和「しかしラッキーね。このプラグがないと律は先には進めないんだから自動に私達と会わなければならない形になるわね。律も落とすならあそこしかないと考えてるだろうし」

さっき図書資料館を横切った時に落ちているプラグを見つけ拾っていたのだ

梓「でも入れ違いになりませんか?私達がこっちから降りている間に……」

和「澪が先に会ってるなら大丈夫でしょ。もしかしたら私達の出番なく話はついてるかもしれないけど…それはそれでね」

唯「澪ちゃんなら大丈夫だよ。きっとりっちゃんを元に戻してくれるよ」

389: 2009/08/02(日) 23:33:18.21 ID:mkjYFX+5O
梓「で、この階段どうします……?」

この上がダストシュートなのだがその二階に上がる為の階段は宙に浮いている。
恐らくあの下にある六角の穴に何かを取り付け下ろすのだろうがそんな道具は持ち合わせてなかった。

和「……嫌だけど仕方ない……」

和はその六角の穴が開いている所まで行き、「ふんっ」と刀の柄を無理矢理ねじ込んだ。

それを回すことにより少しづつ階段が下がって来ている

唯「和ちゃんとカターナがんばって!」

和「カターナって…いや…突っ込むのやめとくわ」

391: 2009/08/02(日) 23:41:27.55 ID:mkjYFX+5O
階段を登りダストシュート前まで来た三人。

唯「あれぇれぇ~行き止まりだぁ」

和「本当ね。鉄板が怪しいわね。この向こうかしら」

梓はその横の歯車の塊を見据えていた。間にぽったりと歯車が抜けており隣には赤いボタンがついている

梓「これって…」

梓はポケットからクラブの鍵の部屋で入手した歯車を入れボタンを押す、すると────

ジジジジジと歯車が回転した後に隣の鉄板が自動ドアの様に横へズレた。

唯「わ~ぉ!お手柄、よあずにゃん!」グッジョッブ
親指を立て突き出す唯

和「さすが梓ね」

梓「えへへ//」

392: 2009/08/02(日) 23:46:07.50 ID:mkjYFX+5O
唯「暗いね~、どこに繋がってるのかなぁ。もしも~し」

もしも~し…………
もしも~……
もし……

唯「凄い響くよ!」

和「遊んでないで行くわよ。私が最初に行くわ。降りてみて大丈夫そうなら声をかけるから」

梓「大丈夫ですか?」

和「まあ大丈夫でしょ」

そう言って和は降りていった。


一年後───────

唯「結局あれから和ちゃんから返事はありませんでした…私達はそのままラクーンシティを脱出し…今では駅前のパン屋で生計を立ててます」

梓「一人で何やってるんですか先輩…」

394: 2009/08/02(日) 23:53:19.99 ID:mkjYFX+5O
唯「ぷ~ノリ悪いなぁあずにゃんは」

梓「そう言うのは律先輩担当ですから。」

唯「りっちゃん…帰って来てくれるかな?」

梓「きっと帰って来てくれますよ。人は変わってしまっても、思い出は変わりませんから」

唯「そだね!」

『二人とも降りてきて~』

和からの声がかかり二人も暗闇の穴の前に立つ。

唯「……思ってたより怖いね」

梓「そ、そうですね」

唯「年功序列で私から先に行くよあずにゃん!」

梓「がんばってください先輩!」

唯「行ってきます…!」

唯はそうして暗闇の世界にダイブした。

396: 2009/08/02(日) 23:56:32.52 ID:mkjYFX+5O
唯「ひゃあ~っ」

和「っと……」

滑り落ちてきた唯を和が受け止める。

唯「ありがと和ちゃん//」

和「いいわよ。しかしここは……」

唯「多分犬舎だよぉ、この先のマンホールからプラグの部屋に行けるよ~」

梓「………」スタッ

唯「さすがあずにゃん…身のこなしが違うぅ」

梓「一応色々訓練しましたから。さあ、急ぎましょう」

三人は奥にあるマンホールを降りる。

和「下水を歩くなんてあまりいい気はしないけど、みんな我慢して行きましょ」

梓「義足錆びないかな…」

唯「うひゃあ冷たい…」

399: 2009/08/03(月) 00:00:36.89 ID:8ABDrsMQO
和を先頭にジャブジャブと下水道を歩く三人。この先がどうなっているのか、皆不安だった。
変わってしまった律がまた私達を本当信じてくれるのかどうか…

唯「今、私の 願い事が 叶うならば 翼がほしい」

唯はその不安を打ち消す様に歌い始めた。

唯和「この背中に 鳥のように」

和もそれに続く…。唯の歌で戦うと言う言葉を笑わずに親身に受け止めてくれた唯一無二の親友

マンホールを登りその先に見える扉に三人は歩いて行く

唯和梓「白い翼 つけてください」

梓も続く。誰よりも唯を心配し、何度も命を救ってくれた大切な後輩

403: 2009/08/03(月) 00:06:23.39 ID:8ABDrsMQO
そして、その扉を開け放つ────

澪「この大空に翼を広げ」

恥ずかしがり屋で怖がりだけどみんなのまとめ役、軽音部の大切な仲間であり友達


律「飛んで行きたいよ~」

いつもは軽口やお笑いキャラだけど誰よりも軽音部のみんなを思い、責任感がある部長であり、いい笑いの女房役

まるで側で聞いてたかの様に二人は手を繋ぎながら続けて歌った。

唯はその光景を見た瞬間涙を浮かべる。でもこのまま泣いてしまっては歌えないとそれを拭う。
梓も同じだった、和はニコリと微笑みながら
三人は赤い橋の真ん中辺りにいる澪と律の元へ行く。

悲しみのない 自由な空へ───────

翼 はためかせ…行きたい…

五人はこうして、また集まれた

この広い世界で

これは偶然でも奇跡でもない、彼女達の互いを想う気持ちが生んだ軌跡なのだ

406: 2009/08/03(月) 00:13:21.44 ID:8ABDrsMQO
律「…………みんな…」

律の口が歪み、目から涙がこぼれ落ちる

律「みん゛な…こん゛な゛私を……」

涙で上手く喋れない……

和「お帰りなさい、律」

律「のどかには……謝っても謝りきれないよ…取り戻しつかないよ…」

和「律、取り戻しのつかないことなんて、ないわ。そう思うのなら…償えばいいのよ。私にも、彼にも…誠意を持って」

律「うん……うん……」

泣きながら何度も頷く律

412: 2009/08/03(月) 00:18:09.92 ID:8ABDrsMQO
梓「お帰りなさい、律先輩」

律「ありがとう…梓。梓はそんな姿になってでもみんなを守るために戦ってるのに…私と来たら……」

梓「律先輩も、気持ちは同じじゃないですか。みんなを守りたくて、ちょっとその伝え方が不器用になっちゃっただけです」

律「梓……。後輩に慰められるなんて…部長失格だな」

梓「桜高軽音部の部長は律先輩しかいません」

律「梓…………」

415: 2009/08/03(月) 00:27:36.40 ID:8ABDrsMQO
唯「お帰りりっちゃん!」

律「唯……。唯の歌、聴こえたよ、私にも」

唯「えっ?」

律「私の恋はホッチキスも翼を下さいも」

唯「そっかぁ……何でかはわからないけど…良かった//」

律「これありがとう」

律はクマのキーホルダーを見せる。


唯「みんなでまた会えます様にって言うお守りだったんだけど効果テキメンだね!」

律「だな」ニコッ

418: 2009/08/03(月) 00:34:39.13 ID:8ABDrsMQO
澪「お帰り、律」

律「ただいま、澪。澪には一番迷惑かけたな……。何回も冷たくしても…澪は私を追いかけて来てくれた」

澪「私の力だけじゃないよ。みんなが、支えてくれたから。唯、叩いたりして本当にごめんね。ずっと謝りたかった」

頭を下げる澪

唯「ううん、私が悪かったの。だから私もごめんなさいだよ澪ちゃん」

唯も頭を下げる

律「二人とも顔をあげてくれ。その原因を作ったのは私なんだから……私が謝る」

律は地面に膝をつけそのまま頭を下げる。
日本の最高位の謝り方、土下座だ

唯「そこまでしなくても……」

澪「そうだよ律!」

律「いや……こんなものじゃまだまだ足りないくらい私は迷惑をかけたんだ…だから……だから……」

律「本当にすみませんでした!!!」

律の澄んだ声が響いた

420: 2009/08/03(月) 00:41:54.89 ID:8ABDrsMQO
和「武士道ね」

梓「許してあげるです」

唯「侍だねりっちゃん!」

澪「律、みんな律が大好きだよ」

かつて私が唯に言ったセリフだ

それを自分が言われるなんて思いもしなかった。

律「ふふ」ニコリ

律は土下座をしながら誰にも見えない様に笑う。

私は帰って来られたんだ。この輪の中に

律の心はもうもやもやかかった雲はない。
空には虹が掛かり綺麗な快晴を覗かせている。

晴れない空はないと、改めて思った。

424: 2009/08/03(月) 00:49:41.83 ID:8ABDrsMQO
ファイル03
突破口

やあ、みんな。俺のことを覚えていてくれてる人がいるだろうか。

そう、ハンクだ。懐かしいな

今お前は何をしてるんだって?

ははっ……愚問だなぁ……


ハンク「絶賛逃亡中に決まってるじゃないか」

いくら走っても後ろから追いかけてくる怪物。
もうどれくらい下水道を走ったろうか

ハンク「しめた!左に扉が!」

下水道から段差を登り扉に入り抑えつける

ガタンッガタン

扉が衝撃で揺れる。あっちから叩いているんだな見なくてもわかる

ハンク「なんて損な役回りだ……」

432: 2009/08/03(月) 00:55:14.48 ID:8ABDrsMQO
途端に扉が揺れるのが止む

ハンク「ん……?何だ?」

ハンク扉を恐る恐る……

ハンク「開けるわけねー!!このパターンは開けたら横にいて氏ぬパターンだろ!知ってるんだからな騙されんぞ!」

映画などでそれはみんなわかっていることだ。でもその物語のキャラは必ず開けてしまう。
それはそう言う設定なんだと言ってしまえばおしまいだが実際その状況下におかれればわかる

ハンク「ちょっとだけなら……」

ハンクは少しだけ扉を開け覗き込む─────

435: 2009/08/03(月) 01:02:12.02 ID:8ABDrsMQO
「あら?どちら様かしら」

怪物代わりに美女がいた。美女が怪物が入れ替わる……
これが本当の美女と野獣

ハンク「ってやかましいわ!」

「(大丈夫かしらこの人……)」

ハンク「さっき化物を見なかったか?」

「居たわね。でも何発か撃ち込んだら何処かへ逃げて行ったわ」

ハンク「俺のアサルトライフルが効いていたか!しかし助かったぜねーちゃん」

エイダ「エイダ、エイダウォンよ」

ハンク「ハンクだ。いやまだ生き残りがいるとはな。これは澪達に報告しないと」

エイダ「澪……それって秋山澪のこと?」

ハンク「おぉそうだ!知り合いか!」

エイダ「ならレオン達も来てるってことね…ふふふ。」

妖気に微笑むエイダ

437: 2009/08/03(月) 01:08:27.64 ID:8ABDrsMQO
ハンク「しかし……」

何という破壊力……。美人で更にチャイナドレスだと……?
こいつ…………

ハンク「(澪もチャイナドレス着てくれないかな…)」

エイダ「あなたは…見たところUSSの隊員みたいだけど…」

ハンク「USS?なんだそりゃ」

エイダ「あなたのその装備よ。その対バイオテロ様のガスマスクはアンブレラのものじゃない」

ハンク「アンブレラ…の?」

澪が言っていた……この街をこんなにしたのはアンブレラだと

律と言う女の子との亀裂が走ったのもアンブレラのせいだと

俺がその隊員だと……?

なら俺は……

ハンク「はは……そ、そうなのか」

エイダ「?」

澪の達の敵、仇は……俺か

438: 2009/08/03(月) 01:13:48.70 ID:8ABDrsMQO
エイダ「そろそろ行くわ。私はここに用事があるから」

ハンク「そうか…気を付けてな」

もうそんなことしか言えないぐらいハンクは気を病んでいた。

どんな顔をして戻ればいいんだ。記憶を失っているとは言え俺はアンブレラ…澪達の敵だ

話さずこのまま騙し通すか…でももし俺が記憶を取り戻した時にこの記憶が消えてしまい澪達を……

考えたくもなかった。

ハンク「……」

気づけばさっきの美女はいなくなっておりポツンと一人取り残されていた。

ハンク「……戻るか」

今はアンブレラのハンクではない。澪を守る男ハンクだ

俺の記憶よ、頼むからここを脱出するまでは戻らないでくれよ

439: 2009/08/03(月) 01:22:00.32 ID:8ABDrsMQO
───────。
とりあえず今の状況を確認、まとめ、これから行う目標を明確にするために第一回軽音部会議が開催されていた

唯「異議あり!!本官の発言は矛盾しておりなんら物的証拠になりえません!」ビシッ

律「バーロー、これが何よりの証拠だ!」

唯「そ、それは私の作ったクマのキーホルダー!」

律「君の犯行は明確だよ唯君。犯行現場にこれが落ちていたのが何よりの証拠!」

唯「私がやりました……」

律「カツ丼……食うか?」

唯「りっちゃん警部……」

澪「そろそろ真面目に話合おうよ」

和「全くね。久しぶりに再会したから黙ってあげてたけど」

梓「何か昔の軽音部みたいですね(むぎ先輩はいないけど…)」

唯「ごめんごめん//」

律「いや~唯といるとついつい話がネタに走っちゃって//」

444: 2009/08/03(月) 01:29:25.59 ID:8ABDrsMQO
和「見てられないわね。これからの進行は元生徒会の私がします。異議は?」

一同「ないです…」

和「ならまずは状況ね。私達がここへ来てからだいぶ時間は立つけど特に街に変化なし。ミサイル攻撃何かは行われてないわね。そしてかなり探してみても生存者はいない…と」

唯「(ボウガンのおじちゃん…(名はロバート・ケンド))」

澪「(ベンも氏んでしまったし…そう言えばハンク遅いな…)」

梓「(レオンさん…)」
和「と言うことで私達は脱出します。異議は?」

澪と律が手を上げた。

律「それはまだ…出来ない」

澪「私も。ベンさんとの約束があるから」

446: 2009/08/03(月) 01:36:48.10 ID:8ABDrsMQO
和「じゃあ律から、発言して」

綺麗に一列で体操座りしている中、律が静かに話し出した。

律「知っている人もいるかもしれないけど…実は私、唯、澪の家族は生きているんだ」

唯「!?」

澪「!?(私の家族も…)」

律「ことの発端は二年前、アンブレラから手紙が来たんだ。その家族を助ける代わりに唯、澪以外のバイオハザードに関わった人を殺せ…だなんて無理な要求を突きつけてきた」

唯「…………」

律「私はレオンに説得されて打倒アンブレラを誓った。それからまた数ヶ月して手紙が来たんだ。それらが飲めないから代わりに…Gウイルスと言うウイルスを入手すれば家族を解放すると…そう書いてた」

澪「Gウイルス…」

449: 2009/08/03(月) 01:37:53.17 ID:8ABDrsMQO
律「やっぱり軽音部は最高だぜ!」だったかと

リアルタイムで見てました
懐かしす

451: 2009/08/03(月) 01:45:10.16 ID:8ABDrsMQO
律「それからと言うものGウイルスの情報を集めつつバイオハザードを未然に予測し叩いたりしていた。そしてこの間、また手紙が来た。約束の時は来たと……。
それと同時にラクーンシティの警察署でアンブレラの新ウイルス研究が進んでるって情報を入手して……」

和「なるほどね…。つまり律はGウイルスの奪取が目的と。場所の目安はついてるの?」

律「この先にある研究室に恐らくは……」

和「わかったわ。他にも言いたいことがあると思うけど我慢してね。次は澪、発言して」

澪は静かに頷き、喋り始めた

452: 2009/08/03(月) 01:52:58.86 ID:8ABDrsMQO
澪「私はこの二年前、律みたいに直接は戦わなかったけど律を探しながらバイオハザードの現場に赴いて写真を撮り続けました。けど…惨劇の後を写す悪趣味なカメラマンと思われたのか反響はあまりなかったの…」

律「澪……」

澪「でも、ここに来てベンって人にあったの。その人もジャーナリストで、バイオテロで大切な人を失って……そして氏んでしまった」

律が少し項垂れる。自分が酷いことを言ったことを思い出しているのか。
律がああなった原因が明確に何かはわかってないが今は間違いなく正常だとわかる。
だからこそのこの態度の現れなのだ。それに気付いた澪は律の肩に手をポンと優しく置き微笑む。
それだけで律は救われた気がした。

澪「彼は一人の人物がこのバイオテロを企てたんじゃないかって疑ってた。この警察署の署長室、ブライアン・アイアンズ…」

453: 2009/08/03(月) 01:56:32.98 ID:8ABDrsMQO
澪「だから私は彼に話を聞くためにさっき署長室へ向かっていたの。その時銃声が聞こえて…」

律「ごめんなさい」

澪「いいよ」ニコ

唯「妬けるぅ」

梓「ゆ、唯先輩!」

梓が唯の肩をポンポンと叩く

唯「なぁにあずにゃん?」

梓「」ニコリ

唯「あずにゃん健気でかわいいよぉ!」

和「泣けるわね……」

454: 2009/08/03(月) 02:04:27.53 ID:8ABDrsMQO
澪「それで私は…署長室に行きたい。」

和「なるほどね…真意を確かめるってことか。つまり行動は…」

1、署長室へ行く
2、Gウイルスを探す3、脱出経路を確保する

和「の三つになるわけね」

唯「うんうん!」

梓「でも一つ一つやると時間がかかりますね…」

和「そうね、だから私は3つに班を分けることを推奨するわ」

律「でも三つにわけちゃうと一人のやつが出るから危ないんじゃないか?3.2で分けて各々目標を果たしつつ脱出経路を探せば?」

和「それもあるわね…。でもいつ何があるかわからないから脱出経路の確保は素早くやっときたい所なのよね。私の通信機もここへ降りた時に壊れちゃったみたいだし」

「一人お忘れではありませんか!?お嬢さん方!」

457: 2009/08/03(月) 02:13:18.78 ID:8ABDrsMQO
『ターンターンターンタタターンタタターンターンターンターンタタターンタタターン』

全員の脳内にダースベイダー降臨曲が再生される。
知っている澪、和、ちらっと見ていた律はそこまでは驚いていない。
しかし唯、梓、特に梓の拒否反応は激しくフゥゥゥと怒った猫みたいに唸っている。

澪「ハンク!無事だったんだな!」

ハンク「当たり前だのクッキングパパさ澪!しかしなんだい?この森の小動物の集会は」

ハンクにしては珍しくいい例えだなと澪は思った。

澪「みんなに紹介するよ。ハンクだ。よくわからない格好をしてるけど記憶がないらしい。とりあえず生存者だからみんな撃たないでやってくれ」

梓「怪しいです」

唯「あはっ~面白い人~」

460: 2009/08/03(月) 02:23:29.82 ID:8ABDrsMQO
今思えばハーレムではないか…!さっきの姉ちゃん眼鏡っ子かよ…!
茶髪の子も良く見れば可愛いだぁ……

天然っぽい子とツインテール……そしてヴィーナス澪
ここは美女の博覧会か……

ハンク「(ふふへ……)」

澪「手出したらこれで空気口増やすから」

イーグルをハンクの顎に突きつける。

ハンク「ぜ、善処します(澪はニュータイプなのか……?)」

和「さて、これで上手い具合にツーマンセルで組めるわけだけど。何かくじ引き何かで決める?それとも組みたい人の希望があるかしら?」

体育の時間「は~いじゃあみんな二人組になって~」と体育の先生が良く言っていたのを思い出す言い方だった。
和は教師にになればきっといい先生になるんじゃないか?そんなことをふとみんな思ったかもしれない。

ハンク「はいはーい!自分は澪と(ry」

澪「ふんっ!」

澪がハンクの足を思い切り踏む

461: 2009/08/03(月) 02:30:40.15 ID:8ABDrsMQO
澪「律、一緒に行こう」

律「えっ…でも目的が…」

和「そうね、Gウイルスを探す律が署長室へ行くと効率は悪くなるわね。自然に」

1 Gウイルスの検索 律
2 署長室へ 澪

和「となるわね。」

澪「そうだよね…」

律「澪、大丈夫。また会えるさ」

澪「うん…」

唯「脱出経路は私が担当するよぉ。警察署に一番詳しいのは私だと思うから」

和「そうね、お願いするわ」

梓「はい!なら私は唯先輩と一緒に脱出経路を探します!」

唯「あずにゃん…//」

和「はいはいご馳走様。じゃあ脱出経路は唯、梓に任せるわ」

唯梓「了解っ!」

462: 2009/08/03(月) 02:36:03.04 ID:8ABDrsMQO
これ安価にしてたら面白そうだなと思ってしまった。某SSの影響か


和「下に降りるほど危険そうだし私はGウイルスの検索を手伝おうかしら。(多分途中までは唯と一緒にいられるだろうしね)」

澪「の、のどかぁ~」

いかにも来てほしそうな眼差しで和を見る澪。

和「彼の扱いを一番よく知っているのは澪じゃない。適材適所よ」

澪「う~ん……まあいいか……」


ハンク「」

澪「と言うことでまたよろしくハンク」

ハンク「」

澪「ハンク?」

ハンク「」

466: 2009/08/03(月) 02:40:56.21 ID:8ABDrsMQO
ハンク「ヤダ」

澪「えっ?」

ハンク「俺は和の姉御と行く」

和「それじゃ人数が合わなくなるでしょ?わがまま言わないでハンクさん」

ハンク「だってさ…こんなのってねぇよ…さっきだって命張って二人の仲直りを演出したってのにさ……みんな俺のこと忘れてるし組決めになればこれだよ」

唯「ハンちゃん……」

ハンク「お前らにいらないものを決めるじゃんけんに残された俺の気持ちがわかるか!?どうせお前らは取り合いのじゃんけんで抜けていくタイプだろ!?」

言っていることは情けないが、何度か経験したことがある人にならわかるだろうこの境遇

470: 2009/08/03(月) 02:47:23.31 ID:8ABDrsMQO
澪「確かに言い方が悪かった…ごめん。こんな見ず知らずの私の為に命を賭けてくれた人を邪険にするなんて…私は最低だ」

律「まあまあ、拗ねるなよ~ハンク~。澪も反省してるじゃん」

唯「そうだよハンちゃん!りっちゃんと別々になる今澪ちゃんを守れるのはハンちゃんだけだよ!」

梓「不潔ですっ……けど、澪先輩をよろしくお願いします」

和「私からも頼むわハンクさん。澪を、よろしくお願いします」

ハンク「みんな……」

全世界のハンクコールが聞こえてくるようだ!

ハーンーク!ハーンーク!ハーンーク!ハーンーク!ハーーーム!

おい今ってハム言ったやつ誰だ

471: 2009/08/03(月) 02:55:20.94 ID:8ABDrsMQO
ハンク「やはり澪フラグ一本で行けってことか神様。了解しました。この氏神ハンク、命に変えても澪を守ると誓おう」

これでチームは決まった。

1 Gウイルス奪取チーム 律&和
2 署長室チーム 澪&ハンク
3 脱出経路確保チーム 唯&梓

署長室チーム(チーム氏神)の澪&ハンクチームはここでお別れだ。元来た道をまた戻り署長室へ

Gウイルス(Gチーム)奪取チーム律&和はこの扉の向こうへ、同じく脱出経路確保(うんたんは世界を救うチーム)チーム唯&梓もしばらくはGチームと共に行動することとなった。( )はそのチーム内で決めた名称

474: 2009/08/03(月) 03:00:54.40 ID:8ABDrsMQO
唯「確か地下に街の外と繋がる電車があるらしいの。外の物質をそこから運んだりするときに使ってたんだって~」

梓「それで脱出するわけですね!」

律「なるほどな。研究室も確かその辺りだから途中までは賑やかになりそうだな」

和「そうね」

澪「うぅ……高校二年のクラス分け思い出した…。でもあの時は和がいたから……」

ハンク「新入生のハンクっていいます!隣の席だね、よろしくおごっ」

澪がハンクの顎を拳で跳ね上げる

澪「宜しく」

ハンク「(このギャップ……たまらん!)」

477: 2009/08/03(月) 03:12:44.77 ID:8ABDrsMQO
Gチーム、うんた(ry長いのでうんたんチームが最後のプラグを嵌める。

すると施錠されていた。分厚いドアのロックは解除された。

律「また会おう、澪」

澪「うん!みんなも気を付けて」

唯「オーケイ!」

梓「澪先輩もお気をつけて。特にその隣の人に」

和「下で待ってるわ、澪」

束の間の休息を経て、またこのバイオハザードの悪夢が始まるのだった。
この悪夢には、軽音部が集まった、何てことは些細なことに過ぎないと言うことを……思い知らされることになるだろう。

ビショップ、賢者となりて
ルーク、往々と
ナイト、勇敢に戦い
キング、叡智を

その扉を潜るものに栄光あらんことを

建設者フランク・ロイド・ライト

543: 2009/08/03(月) 18:01:53.67 ID:8ABDrsMQO
残業とはやってくれる
あんま書き溜めれなかった…。今夜も徹夜になりそうだ

とりあえず書き溜めてる分投下します

544: 2009/08/03(月) 18:04:30.09 ID:8ABDrsMQO
チーム氏神─────

下水道を渡り犬舎を出てRPD勤め所通路を行き勤め所を横切りエントランスホールから階段で二階に上がり……と言う長々しい道を戻っていた最中だった。

ハンク「なあみーちゃん。ちょっと聞きたいねんけど」

澪「その呼び方……もういいや。何?」

ハンク「こんな状態で署長生きてんのやろか?とっくにゾンビになってしもうとんやない?」

澪「それなら署長は白だったってことであっちと合流するよ。まあ例え氏んでたりゾンビになってても署長室にGウイルスのデータ何かもあるかもしれないし」

547: 2009/08/03(月) 18:09:54.86 ID:8ABDrsMQO
ハンク「さすがみーちゃん!幾重にも作戦張り巡らしてんなぁ!この状況下でそこまで冷静な判断出来る人はそうはおらんで」

澪「そ、そうかな?//」

ストレートに誉められたので少し照れながら頭を掻く。

澪「……ハンク、これから色々あると思う。けど…私についてきてくれるか?」

ハンク「……澪、言わなきゃならないことと言わなくてもいいことがある」

ハンクはポンと澪の肩を叩きハンクが澪の前に立つ。

ハンク「この街を出るまで俺はこうして君の前を守り続けよう。何も言われなくともな」

澪「ハンク……」

550: 2009/08/03(月) 18:14:13.11 ID:8ABDrsMQO
署長室─────

細い一本の廊下の先の扉を開ける。部屋の中には目の前に質の良さそうな机、それに似合った黒い座り心地の良さそうな椅子、その後ろに高そうな絵も飾られており如何にも金持ちが好みそうな部屋になっていた。
机の上には大きなワシの剥製が飾られており人目でその趣味を垣間見える。

澪「……いないな。」

そんな広い部屋ではないのでいないことはすぐわかった。
しかし左側手にはもう一つドアがある。

澪「行ってみよう」

ハンクも何も言わずに辺りを警戒しながら澪に続いた。ハンクも空気は読めるようだ

553: 2009/08/03(月) 18:20:39.46 ID:8ABDrsMQO
薄暗くお世辞にも広いとは言えない通路が奥へ続いている。少し行ったところには大きな虎の剥製があるがこの薄暗い中ではただただ不気味だ。

澪「奥は…暗いな、注意して行こう」

ハンク「あぁ」

更に奥に進むと暗くてよくわからないが硝子のショーケースに色々な剥製が入っている部屋に出た。

ベンの言う通りかなりの悪趣味らしい。

ガタンッ─────

不意に音が響く、更に奥の部屋からだ

澪「署長かな…?」

ハンク「ゾンビかもしれんぞ」

澪「確かに…。声をかけてみようか」

反応があればゾンビじゃない、なければ…

555: 2009/08/03(月) 18:25:36.33 ID:8ABDrsMQO
「……誰?」

澪「(女の子の声!?署長じゃない……)あ、あの、そっちに行ってもいいかな?」

「ゾンビ……じゃないよね?」

澪「ゾンビは喋らないでしょう?」

「う、うん…わかった。来てもいいよ」

澪「大丈夫、怖くないから」

ハンク「ううううぅぅぅ~」

「やっぱりゾンビだ!!!怖いっ……パパ…ママ…」

澪「やめんかアホ!」
澪の右ローキックがハンクの左足にクリーンヒットする

ハンク「あべしっ…」

前言撤回、やはり空気も読めなかった。

ハンク「和まそうと思って…」

澪「和むか!」

556: 2009/08/03(月) 18:30:54.10 ID:8ABDrsMQO
優しくもう一度聞いてみる

澪「ごめんね、大丈夫だから……そっちに行ってもいい?」

「……うん!何か面白そうな人達だからいいよっ」

ハンク「ほら!澪はアメリカンジョークがわかってないね~」

澪「ハンク一人なら余裕でゾンビ扱いじゃないか…まあいいか」

暗闇をかき分けながら進む。

ハンク「電気電気…あった!」

パチリと音がした後辺りの暗闇がはらわれる。

小さな部屋の一番奥に、彼女はいた。
歳は10~12歳ほどか、髪は綺麗なブロンドで白いジャケット、下は紺のスカートと言う清楚な格好だ。胸にさげているペンダントを大事そうに持っている

557: 2009/08/03(月) 18:36:38.24 ID:8ABDrsMQO
澪「(こんな幼い子がなんで……)あなたのお名前は?」

少し屈み目線を合わせながら話す

ハンク「(澪かわえぇ…)」

シェリー「シェリー…シェリー・バーキン」

澪「シェリー、いい名前ね。お父さんとお母さんは?どうしてあなたはここに?」

シェリー「お父さんは知らない…お母さんがここに行けば安心だからって…」

澪は律を襲っていた怪物を思い出す

澪「……(確かに外よりはゾンビの数は少ない…けど他にもあんな怪物がいるのにこんな場所に一人で来させるなんて…)」

シェリー「お母さんもどこにいるのかわからなくなっちゃって…」

559: 2009/08/03(月) 18:41:57.54 ID:8ABDrsMQO
ハンク「ひでぇ親もいたもんだ」

シェリー「ダース…ベイダー?」

ハンク「残念ながらライトセーバーはないけどな」

澪「シェリー、あなたはこれからどうしたい?」

シェリー「えっ…?」

澪「私達と一緒に両親を探さないか?」

シェリー「でも…怖い…」

澪「お姉ちゃんが絶対守るから大丈夫!」

シェリー「本当に?」

澪「約束するよ」

澪は小指を立てた手をシェリーの前に出す

シェリー「な、なに?」
澪「約束する時はこうして小指と小指を絡ませながら…嘘ついたら針千本のーます、指きったってやるんだよ」
シェリーの手を持ちながら説明する澪。まるでシェリーを妹のような眼差しで見ている

561: 2009/08/03(月) 18:46:31.02 ID:8ABDrsMQO
シェリー「約束げんまん……」

澪「そう。約束」

シェリーは少し悩んだ後に、首を縦に降った。

澪「じゃあ行こうかシェリー。お母さんとお父さんを探しに」

シェリー「うん!えっと…お姉ちゃんは…」

澪「私は秋山澪。澪でいいよ。こっちはハンク。ダースベイダーでいいよ」

ハンク「それ押すねぇ澪っちwww」

シェリー「澪お姉ちゃんにハンクさん、よろしく!」

氏神チームは新たにシェリーが増え三人となった。

とりあえずここにいても埒があかないので部屋を出ることにした三人

563: 2009/08/03(月) 18:51:25.38 ID:8ABDrsMQO
一個一個投下より書き溜めた方がいいな
ちょっと書き溜めきます

590: 2009/08/03(月) 22:11:45.75 ID:8ABDrsMQO
ハンクが澪に近寄り小さな声で囁く

ハンク「(しかしいいのか?この子の両親探してる暇があんのかよ?)」

澪「(ないけど…このまま放ってはおけないだろ)」

ハンク「(それはそうだが……)」

シェリーは健気にハンクと澪の後ろをついてきている。

ハンク「(確かに……放ってはおけないか。あっちのメンバーが見たりしてるかもしれないしな。まあ生きてればの話だが)」

澪達が署長室へ戻って来た時だった。

「なんだ?お前達は。勝手に私の部屋に入ってるとは無礼な奴らだな」

澪「まさか…」

RPD署長、ブライアン・アイアンズ

593: 2009/08/03(月) 22:15:04.41 ID:8ABDrsMQO
中年太りしている男が偉そうに椅子に腰掛けながらこちらを見ている。

ブライアン「で、何の用かね?こんな非常時に」

澪「勝手に入ったのは謝ります。私は秋山澪って言うフリーのライターです。少しお話を聞かせてくれませんか?」

ブライアン「ふん、意地汚いジャーナリストか。どうせこの街についてとかだろう?私だって知りたいさ」

澪「じゃああなたはこの事件に関係ないと?」

ブライアン「それはどう言う意味かね?心外だよそんな言われ方をするとは」

澪「ベン、ベン・ベルトリッチと言う人物をご存知ですよね?」

596: 2009/08/03(月) 22:17:45.44 ID:8ABDrsMQO
ブライアン「ふん…あのジャーナリストの恋人か何か?奴なら地下牢にぶちこんである。助けたいなら好きにしろ」

澪「違います。ベンはもう氏にました…。それでベンはこの事件の真相を暴くことを私に委ねたんです。ベンの資料であなたがアンブレラに関わっているのは知っています」

ブライアン「……なるほどな。私が今回のこと馬鹿げた騒動を起こした張本人だと君は睨んでるのかお嬢さん?」

澪「張本人、じゃなくとも荷担しているんじゃないか、と私は言いたいんです」

ブライアン「くくく…なるほど、二流だ」

600: 2009/08/03(月) 22:24:20.73 ID:8ABDrsMQO
澪「なっ」

ブライアン「お嬢さん、私はね、この警察署が好きだ。ここの署長になるために何年も何年も苦労してようやくなった私がこんな全てを無に帰す事をして何の特になると言うのだ?」

澪「それは…」

ブライアン「さっきから憶測で物を語りすぎ何じゃないかね君は?人の残した資料を見ただけで人を犯人と断定するとは侮辱も甚だしい」

澪「でも!ベンは…!」

アンブレラ「話がそれだけなら帰ってくれ。私は最後をこの警察署で迎えると決めている」

これで大抵の人間は騙し仰せるだろう、だがこちらには神がいる

氏神と言う名の
彼にとっては氏臭をかぎ分けることなど造作もなかった


ハンク「ククク……あんた嘘つきだね。ならその机の下に隠している氏体はなんだ?」

604: 2009/08/03(月) 22:30:23.13 ID:8ABDrsMQO
ブライアン「くっ……」

ハンクは机の下から少し見えていたヒールの踵を見逃さなかった

ハンク「あんた剥製が好きみたいだな?あっちにもいっぱい飾ってあったよ。大方彼女を剥製にしたくて荷担したんじゃないのか?」

ブライアン「何を!」

ハンク「なら何故首を跳ねない?脳みそを潰さない?でなければ彼女はゾンビとなって襲ってくるだろうに。あんたは知ってるんだ、そうならないと。血を抜いて頃したんだろ?いくらウイルスでも氏んだ人間は生き返らないからな。
それに剥製にするには血を抜かないと腐っちまうからなぁ!」

ブライアン「貴様ァ!」

ブライアンは机の引き出しから拳銃を取り出す。澪と同じデザートイーグルだ

606: 2009/08/03(月) 22:31:51.20 ID:8ABDrsMQO
アンブレラとブライアンって似てるよね
アンブレラ×
ブライアン○

書き込む前に確認してるのにこの様とは……疲れてるのかな

608: 2009/08/03(月) 22:35:58.75 ID:8ABDrsMQO
ハンク「シェリー、下がってろ。」

シェリーは頷くとハンクの後ろへ隠れた。

ブライアン「バーキンの娘か、父親が化物になってこの警察署をさまよっていると言うのにのんきなもんだ」

シェリー「えっ?」

澪「どう言うこと!?」

アンブレラ「お前達も会ったかもしれんがあの化物はウィリアム・バーキン、そこのシェリー・バーキンの父親さ。奴は自分自身の研究していたGウイルスを自らの体に射ち込み化物になったのさ!」

ハンク「てめぇ良くも娘の前でそんな事を!」

ブライアン「何を言ってるんだ?良く見たら貴様USS隊員ではないか!ウィリアムをそうした張本人のお前達がよくもそんな事を言えたものだな!」

611: 2009/08/03(月) 22:43:19.25 ID:8ABDrsMQO
ハンク「なに……?」

ブライアン「アンブレラの工作員、USSの隊員が知らないわけないだろう?お前達はウィリアムからGウイルスを奪うためにここに派遣されたのだから」

何を言ってるんだこいつは

ブライアン「そちらのお嬢さんは随分アンブレラを憎んでいるようだが…じゃあ何故こいつといるんだ?こいつは憎いアンブレラの工作員だと言うのに」

澪「えっ……」

やめろ……やめてくれ

ブライアン「はっはっは!こいつは傑作だ!お互い何も知らないまま仲良くこんなところまで来るとはな!」

偽りの仮面がついに、剥がれ落ちた

612: 2009/08/03(月) 22:44:19.04 ID:8ABDrsMQO
アンブレラ自重しろよマジ……
次アンブレラにしてたらもうブライアン出しません

615: 2009/08/03(月) 22:50:28.04 ID:8ABDrsMQO
澪「ハンク……本当なの?」

ハンク「…………」

澪「ねえ何か言ってよ!!」

シェリー「お父さんが…あの化物…?」

ブライアン「さて、そろそろお別れの時間だ。楽しい茶番をありがとう諸君」

銃を構えるブライアン。

ブライアン「冥土の土産に教えてやろう。この事件には私は直接関係していない。これは本当だ。アンブレラと結託しているのは本当だがあくまで場所を提供しただけに過ぎない。どこからウイルスが漏れたかは知らないが私も迷惑していたのだよこの珍事には」

澪達の頭にはもうそんな言葉は届いていない

ブライアン「さて、話は終わりだ。誰から氏んでもらうとしよう」

確か澪とか言ったな。彼女は美しいから私がたっぷり可愛がった後に剥製にしてやろう

ふふふ、ははははは!

618: 2009/08/03(月) 22:58:19.10 ID:8ABDrsMQO
Gチーム、うんたんチーム─────

4人は下水処理場から奥へ進み、天井から下水が噴射されてる所で立ち止まっていた。

唯「この下水道の地図によると研究室へ繋がる道はこの先だね」

律「さすがに頭から被るのは…なあ?乙女としてのプライドってもんが許さないよなそれを」

和「下水道をジャブジャブ進んでる時点でそんなプライドないけどね」

梓「スカートが濡れて冷たいです……」

唯「何かこれにオオカミのメダルとオオワシのメダルを入れると止まるらしいよ~」

律「メダルって言うとさっき仏さんが持ってたこれか?」

律はポケットから出した銀のメダルを落とし口に入れる。

622: 2009/08/03(月) 23:07:34.20 ID:8ABDrsMQO
ちょ……まさかの…


すると手前の噴射口から下水が止む。だがその先にもう一つ下水が噴射してる。

律「なるほど、次にオオワシのメダルを入れれば下水は止まるわけだな」

梓「それを探すより少し濡れるのを覚悟して突っ切った方が早くないですか?」

和「それはおすすめ出来ないわね。この下水もかなりの汚染されている水な筈よ。触るぐらいならなんともないと思うけどこのまま突っ切ったら必ずびしょ濡れになる。当然頭なんかも……それが口に入り唾液と混じって飲んでしまったら……」

梓「そ、そうですね!メダル探しましょう」

耐性がない梓にとってはとても怖いことだった

623: 2009/08/03(月) 23:09:36.04 ID:8ABDrsMQO
和「じゃあせっかく二チームに別れてるんだから二手に別れましょ。私達はこの巨大なファンを通って下水管理室の方を探してみるわ」

唯「じゃあ私達はあっちの青いハーブがたくさん生えてた所に行ってみるね」

各々捜索を開始する。

律「気を付けてな~唯、梓」

梓「はい」

唯「りっちゃんもね~」

和「捜索時間は1時間ね。一時間経っても見つからないならおとなしくここへ戻るって来る、いいわね?時間は体感に任せるわ」

梓「わかりました。」

そうして二人と二人は別々の方向へ向かって歩き出した。

627: 2009/08/03(月) 23:23:56.70 ID:8ABDrsMQO
Gチーム─────

梯子を登り大きいファン内部をくぐる二人。

律「くせぇ…それになんか出そうだな……」

律は鼻を摘まんだまま話している。ファンの内部はあちこちが腐食しており異臭を放っている。

和「我慢しなさい。こことあそこしか道がないんだから」

律「あっち選んでてれば良かったじゃん…」

和「そうね。(唯にそんなことさせられない…とか言ったら律は怒りそうね)」


ファンの内部を進んで行く二人。

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

631: 2009/08/03(月) 23:36:24.43 ID:8ABDrsMQO
律「な、なぁ和。あそこ一帯……何か動いてないか?」

和「き、気のせいよ。疲れてるのよ律」

律「だ、だよなぁ……あんなデカい゛あれ゛……いないもんなぁ」
カサカサカサカサカサカサカサカサ


二人とも自然と早足になる

律「上見るなよ絶対」

和「えぇ氏んでも見ないわ」

しかし次の瞬間カサカサは、バサバサに変わるのだった。

一匹律達の靴の大きさ大ほどもあるゴキブリが二人に向かって飛翔する。

たまらず二人は走って向こう側の梯子を降りるのだった。

ゴキブリに好かれている二人だった
Gチームだけに

635: 2009/08/03(月) 23:46:45.93 ID:8ABDrsMQO
律「あのゴキブリ共絶対バルサンで燻してやる……」

和「バルサンで氏ぬのかが謎だけど……」

下水道の管理室にたどり着いた二人は早々に目標の品を発見する。オオカミのメダルの様に氏体が握りしめていた。ここの管理人だろうか、大事そうに手に持っている

律「これってオオワシのメダルじゃないか?」

和「そうみたいね。ゴキブリの中を駆け抜けた甲斐があったわね……」

律「ごめんなさい…、私達は前に進まないとならないから」

そう言い氏体からメダルを取る律。

どうやらゾンビ化はしてないようだ

638: 2009/08/03(月) 23:56:16.73 ID:8ABDrsMQO
律「さて、戻るか」

和「物凄く気が重いけれどね……」

律「こうバッと行けば大丈夫だよ!きっと……」

和「そうね……」

二人は足取り重くファンの前の梯子へついた時だった。

律「あれ?ファン回ってるぞ」

和「おかしいわね、さっき来た時は回ってなかったのに」

律「ここに何か書いてるな、何々」

1時間事にファンは回転します。点検の為にファン内部に入りたい場合バルブハンドルを差し込み、回し止めてください
また、止めたファンを回したい場合は左へ、止めたい場合は右へバルブハンドルを回してください

640: 2009/08/03(月) 23:59:43.33 ID:8ABDrsMQO
和「と言うことは次にファンが止まるのは一時間後ってことね……。」

律「それだと唯達かなり待たせちゃうな」

和「バルブハンドルを探しましょう。ここに使うってことはそう遠くない所にある筈よ」

律「了解」

二人は管理室に戻りバルブハンドルを探す。

和「ないわね……あの穴の形を見る限り結構大きいバルブハンドルだと思うんだけど」

律「……和、私がこんなこと言うのも変だけど…肩……大丈夫か?」

和「えぇ。もうそこまで痛みはないわ」

律「そっか……。」

和「律、ここへ来る前にも言ったけど…いいのよもう」

645: 2009/08/04(火) 00:07:15.75 ID:4gB86bovO
果たしてこのスレで終わるのか……。終わらなかったらさすがにパー速行った方がいいよね?


律「そう言ってくれるのは嬉しい…けどやっぱりその傷を見る度私は……」

和「似合わないわね。あなたはみんなの為に笑ってあげて。私なんかの為なんかにそんな顔をしなくてもいいのよ」

不意にこぼれてしまう本音

律「そんな…自分を安く言うなよ!」

ずっと抱えていた不安が止まらない

和「…………。いいの、私も気づいてるから。あの中で一番どうでもいい存在は私なんだもの」
みんながあなたを助けようと頑張ってるのが羨ましかった……

律「そんな……ことない…」

和「……、私は強いからって誰も頼れない。S.T.A.R.S.で、みんなを守る側だから…こんな顔を見せられない…。」


律「なら、私を頼ればいい」

和「律を…?」

647: 2009/08/04(火) 00:09:58.71 ID:4gB86bovO
律「その傷の償い…何て言ったらおこがましいけどさ。みんな誰かを頼って誰かに頼られて、そうやって成り立ってると思うんだ、私は。だから和が誰も頼れないなら私を頼ればいい」

和「誰かを頼って…誰かに頼られて…」

律「和は確かに凄いよ。その歳でもうSTARSの少佐で人望も厚い。けど…それが和を孤独にしていってるんだと思う」

和「……。昔はね、ずっと唯だけが親友だったの。唯だけが私の理解者で……でもそんな唯にもあなた達みたいな良い友達が出来た。それ自体は凄く良いことだと思った。けれど……その度に私が薄れて行くのがわかったの。それがずっと…ずっと…辛かった」

648: 2009/08/04(火) 00:13:44.62 ID:4gB86bovO

和「唯にはいいことだと思ってるの…大切な友達が出来ること…でも…心の中で素直に喜べない自分もいるのよ…」

律「……高校二年の時、覚えてるか?澪だけ2年1組になってさ、和と同じクラスになったじゃん」

和「そう言えばあったわねそんなこと。三年ではみんな一緒だったから忘れてたわ」

律「その時さ…澪と仲良くしてる和に…ちょっと腹がたった。多分…嫉妬だったのかな。でも私と和ってそこまでの仲じゃなかったからさ…そのイライラを澪にぶつけてライブ前に喧嘩しちゃっておまけに風邪までひいちゃってさ」

650: 2009/08/04(火) 00:20:08.31 ID:4gB86bovO
和「律……」

律「だから和の気持ち凄いわかるんだ。」

和「律はどうしたの……?仲直りできたの?」

律「簡単なことだよ。その澪と仲のいい友達とも仲良くなればいい。同じ友達になればいいんだ。和は大切な人に優先順位をつけてる、トップは唯だろ?」

和「うん……」

律「友達はみんな大切なんだ。確かに付き合い長いとちょっぴり贔屓しちゃうかもしれないけどな!澪なんてやっぱり私にベタベタだし」ニコ

律「それじゃあ私の言ってること本末転倒か。まあ私が言いたいことはこういうこと」

律は和を抱き締める

律「私の、友達になってください」

653: 2009/08/04(火) 00:24:28.66 ID:4gB86bovO
和「なっ」

律「一人にしてごめんな。和のことも澪と同じくらい私は大切に思ってるよ」

和「ちょ、りりりりつ!///やめてよっ//」

律「なんで?」

和「私にはこういうのは似合わないから!」

律「そうやってまた自分と相手に壁を作るんだ。和の悪い癖だぞ?」

和「律……」

人に抱き締められることがこんなに恥ずかしくてこんなに嬉しくて……思わなかったな。
唯は梓には良く抱きつくけど私にはほとんどそんなことしなかったもんね……

和「ありがとう。」

律「どーいたしまして」ニコ

髪を下ろしている律の姿が唯にだぶり更に照れる和だった

655: 2009/08/04(火) 00:30:25.42 ID:4gB86bovO
律「さーてバルブハンドル探すか~。私ちょっと下の梯子降りてみるわ」

和「わかった。気を付けてね、律」

もう律は唯の友達だから心配してるんじゃない。私は私の友達、田井中律を心配してるいる

梯子を降りて行く律を見てつくづく思う

和「確かにあれは惚れちゃうわね、澪」

さて、早くバルブハンドルを探して唯達と合流しないと


───────。

梯子を降りながらさっきのことを振り返る。

律「抱きつくのはちょっとやりすぎたかな…。ちょっと唯風にしてみたんだけど」

ま~いっか!仲直りできたし

656: 2009/08/04(火) 00:33:16.78 ID:4gB86bovO
梯子を降りた先にはスクラップが溜まっている廃水場だった。

律「ん~向こうに道っぽいのもあるけど。そう言えばあっちは唯達が行った方に繋がってるんだっけ。案外待ってたらバルブハンドル持って来てくれるかもしれないな」

そんなのんびりな律を他所に水面がゆらつく……

律「ん?」

廃水の中に何か大きな影が……

律「なんだろ……」

近づいてその影の正体を突き止めようとする律


ガアァァァァ──────

661: 2009/08/04(火) 00:47:15.72 ID:4gB86bovO
チームうんたん─────

扉に入った私達は、1つの懸案事項を抱えていた。
梓「……道ないですね」
唯「うん…」

一応5mくらい先に道はあり、更に扉もあるがその間の5mの空間に何もないのだ。

唯「やっぱり飛ぶの…かな!」

唯は恐る恐る下を覗いて見るとずーーーと下の方に排水されていく緑色の水が見える。

梓「落ちたら多分一貫の終わりですね…」

唯「じゃあ私達もあっちからいこっか!」

梓「そうですね。行けないものは行けな…ん?」

梓は右のバルブに気付いた。

梓「何だろうこれ…」
梓は少しそれを右に捻ると下から機械音がし床の橋がせり上がって来た。

唯「おぉ!またしてもあずにゃんお手柄だねぇ」

梓「ありがとうございます。このバルブハンドル外せるみたいですど…他にどこかで使うかもしれないから持っておいた方がいいですよね?」

唯「ん?別にいらないよ~バルブなんて~。」

梓「そうですか…じゃあ置いときましょう」

664: 2009/08/04(火) 00:55:19.82 ID:4gB86bovO
その先を進み扉を開けるとトンネルを連想させるような通路に出た。
道幅も広くまるで何かが通る為に思えた

唯「メダルないね~…」

梓「案外律先輩達が入手してるかもしれませんよ?確かこの先は律先輩達が進んだ下水道管理室に出ますからそこで合流出来るかもしれません」

唯「そうだといいねぇ~」

横に何故かプロパンガスが置いてあることなんか気にもせず奥へ奥へと進む二人

しばらく行くと隣に鉄板の板が閉まっている所にたどり着く。

梓はボタンを押しそれを開けた─────

665: 2009/08/04(火) 01:04:00.89 ID:4gB86bovO
パァン!パァン!
銃声がする、

道を塞いでいた鉄のプレートがせりあがるとそこにはゴミなどがたくさん溜まっている場所に出た。

唯「りっちゃん?」

律が何やら水面に向かって発砲している

梓「ゾンビでもいるんですかね?」

唯「お~い!りっちゃ~ん」

陽気に手を振る唯に気付いた律。しかしその顔に笑みはなく必氏に何かを言っている

律「唯!───ろ!」
唯「遠いから聞こえないよ~!」

律「唯!───げろ!」

律はこう言っている、唯、逃げろと

次の瞬間水面が盛り上がり廃水から巨大なワニが姿を現した

唯「な、なにこれ!」
梓「アリゲーター…なんでこんなところに!先輩逃げましょう!かないっこありません!」

梓は唯の手を引き元来た道を戻る。
しかし久しぶりに来た餌を逃さまいとその後を追いかけてくるアリゲーター
命がけの鬼ごっこが始まった

667: 2009/08/04(火) 01:11:56.14 ID:4gB86bovO
唯「どうしようあずにゃん!」

梓「どうするも何もあんな大きなワニに勝てるわけないですよ!元来た道を戻ってあの橋をまた戻すんです!そうすればそれ以上追ってこない、あわよくば落ちます!」

唯「なるほど!」

梓「急ぎましょう!」

二人は走って元来た扉へたどり着く、だが

ガチャガチャ

梓「開かない…なんで?!」

『B.O.W.存在を感知しました、 安全の為出入口をロックします』

梓「安全も何も私たちが中にいるのに!」

扉は開かない、武器もない、そして敵は巨大なアリゲーター

誰が見ても唯達に勝算がないのは目に見えていた

668: 2009/08/04(火) 01:17:59.19 ID:4gB86bovO
奥の曲がり角からアリゲーターが顔を出す、唯達との距離残り20m程か

梓「仕方ない…どこまでやれるかわからないけど私のトランザムで……」

来たときも気になっていたがあの時は確か光は緑だった。そして今は赤……BOWの侵入を拒む出入口……

唯「もしかしてこのプロパンガス……そうだ!あずにゃん手伝って!」

梓「は、はい?」

唯「このプロパンガスを外してワニさんに転がすの!」

梓「そんなことしてどうするんですか?」

唯「まあ見てなさいって!私もあずにゃんに負けてないところ見せないと!」

671: 2009/08/04(火) 01:27:08.32 ID:4gB86bovO
二人はプロパンガスを外した後それをアリゲーターに向かって転がす。綺麗な円柱の為に曲がることなく綺麗にまっすぐアリゲーターの口の前に転がった。

アリゲーターは余程腹が減っているのかそのプロパンガスを餌さと思い口に運んでいる。

唯「あずにゃん!」

梓「はい!」

さっき拾っておいた石をプロパンガスめがけて左義手で思い切り投げる

すると石はプロパンガスが少しだけ穴をあけ、アリゲーターの口の中で大爆発を起こした

一瞬の轟音だった。アリゲーターの顔から口上部の部分は爆発で吹っ飛び口の下の部分だけが痛々しく残っている。

梓「た……倒した」

唯「何て言うか……あんまり強くないですね!」

676: 2009/08/04(火) 01:41:07.93 ID:4gB86bovO
正直これで終わりだと思うと寂しいですね
今回は裏とかもしない予定なんでそのまま終わりですね
誰がその時何をやっていたか色々気になるところもあるかもしれませんがそれは想像にお任せします

いつも保守してくれる人達ありがとう!

明日は終わりまで書き溜めてから投下する予定なんでかなり開始が遅くなるやもしれません
その辺りはスレの様子見ながら決めます

ではおやすみなさい

唯「バイハザ!」ラクーンシティ編【後編】

引用元: 唯「バイハザ!」ラクーンシティ編