1: 2015/04/03(金) 18:51:59.01 ID:4h647YeN.net
真姫「もう、先生はやめてってば…具合、どう?」
 
穂乃果「今日は調子いいよ」
 
真姫「そう…よかった」
 
穂乃果「…ごめんね」

真姫「なんで謝るのよ…」

穂乃果「あはは…」

真姫「私が絶対、治してあげるから…」
 
穂乃果「うん…ありがとう、真姫ちゃん」

3: 2015/04/03(金) 18:53:45.62 ID:4h647YeN.net
―――――――――――――――

穂乃果「またお薬増えちゃった…」

真姫「ちゃんと飲まなきゃ駄目よ」

穂乃果「うぅ…特にこの薬が苦いんだよね…やだなぁ」

真姫「子供じゃないんだから…一気に飲んじゃえば大丈夫よ」

穂乃果「…甘いの食べたい」

真姫「そういえば、ケーキ」

穂乃果「んっ…!」ゴクリ

真姫「……」

穂乃果「……♪」ニコー

真姫「…まだ最後まで言ってないんだけど」

穂乃果「イチゴのやつがいいな」

真姫「…はいはい、持ってくるわね」

穂乃果「ケーキ、ケーキ♪」

真姫「ふふ、特別だからね」

4: 2015/04/03(金) 18:54:32.29 ID:4h647YeN.net
―――――――――――――――

真姫「懐かしいもの持ってきたわよ」

穂乃果「え、なになに?」

真姫「μ'sのときに撮ったライブの映像」

穂乃果「みる!」

真姫「ちょっと待って……はい」

穂乃果「わぁ…皆若いなぁ」

真姫「ちょっと、私が老けたって言いたいの?」

穂乃果「そりゃもう何年も経ってるし…あ、冗談!冗談だよ!?真姫ちゃんは今も若くてピチピチだよー?」

真姫「むぅ…」

穂乃果「あはは…」

穂乃果「……」

真姫「…穂乃果?」

穂乃果「この頃は、こんなに元気に動けてたのになぁ…」

真姫「……」

穂乃果「あ…ごめんね」

真姫「…また、こんな風に動けるようになるわよ。治ったら、また一緒にアイドルでもする?」

穂乃果「え、えぇ…流石にそれは」

真姫「あら、私達なら今でもそれなりに通用すると思うわよ?」

穂乃果「相変わらずだなぁ真姫ちゃんは」

真姫「相変わらずって何よ!」

穂乃果「ふふ…医者でアイドルなんて、すっごく人気出そうだね!きっとファンの人が病気でもないのに、真姫ちゃんに診察されたくて殺到するよ?」

真姫「そうね…そしたらうちの病院が繁盛していいかもね?私は診察しないけど」

穂乃果「えー?してあげなよ…」

真姫「嫌よ」

穂乃果「あはは!もう、真姫ちゃんってば~」

真姫「ふふ…」

6: 2015/04/03(金) 18:56:06.73 ID:4h647YeN.net
―――――――――――――――

海未「真姫」

真姫「あら、海未じゃない。穂乃果のお見舞い?」

海未「ええ、こんにちは」

真姫「こんにちは。穂乃果も暇そうにしてたし、相手してあげてよ」

海未「ふふ、そうですか」

真姫「そっちは最近どうなの?」

海未「それなりに…ですね。まだまだ私も未熟者ですから…真姫」

真姫「何」

海未「穂乃果…どうですか?病気、治りますよね?」

真姫「……」

海未「…真姫」

真姫「…最近は、調子の良いときが多いし…大丈夫よ」

海未「……」

真姫「…治るわ。治す。私が、絶対に」

海未「…お願いします」

真姫「ええ…ほら、早く穂乃果のとこ行ったげて」

海未「はい…それでは」ペコ


真姫「……」

7: 2015/04/03(金) 18:56:41.46 ID:4h647YeN.net
―――――――――――――――

真姫「穂乃果」

穂乃果「あ…」

真姫「…嫌なの?車椅子」

穂乃果「…まだ歩けるよ」

真姫「うん、わかってる。でも、ほら…怪我しちゃったじゃない」

穂乃果「……」

真姫「今回は軽傷だったけど…またこういうことがないように…ね?」

穂乃果「……」

真姫「お願い…」

穂乃果「……うん、わかった」

真姫「! そう、ありがとう…」

穂乃果「ごめんね…」

真姫「謝らないで…穂乃果は何も悪くないんだから」

穂乃果「うん…」

真姫「……」

18: 2015/04/03(金) 20:24:53.81 ID:Qha2fQ+w.net
―――――――――――――――

穂乃果「真姫ちゃん、ちゃんと寝てる?」

真姫「え…?」

穂乃果「目の下、隈」

真姫「やだ、わかるの?化粧で隠してるんだけど…」

穂乃果「他の人にはわからないと思うけど…私にはばればれだよ?」

真姫「…そう」サスサス

穂乃果「…あのね、態々私の相手なんかしにこなくて大丈夫だからね」

真姫「……」

穂乃果「疲れてるなら、ちゃんと休んで?」

真姫「…私が好きできてるの!なに、穂乃果は私がくるの嫌なの!?」

穂乃果「え、ち、違うよ!ただ真姫ちゃんに無理してほしくないだけで…」

真姫「無理なんかしてないっ!」

穂乃果「……」

真姫「あ…」

穂乃果「……」

真姫「…ごめん」

穂乃果「…ううん、嬉しい」

真姫「……」

穂乃果「ありがとう、真姫ちゃん」

25: 2015/04/04(土) 03:10:18.91 ID:odHuPzIW.net
―――――――――――――――

真姫「……」スタスタ

真姫「ん…?」


穂乃果「なんて書いたの?」

「病気が治って早く学校にいけますようにって」

穂乃果「そっか…。学校かぁ…お姉ちゃん、勉強嫌いだったからよく寝ちゃってたよ」

「えーだめだよ!勉強楽しいよ?」

穂乃果「うそぉ…」


真姫「ねぇ、あれって…」

看護婦「ああ、あれですか?七夕の短冊ですよ。ご自由に書いてもらってるんです」

真姫「へぇ…」


「ねぇ、お姉ちゃんはなんて書いたの?」

穂乃果「んー?私は…」

真姫「穂乃果」

穂乃果「うひゃあ!?みゃ、真姫ちゃん!?」

真姫「なんでそんなに驚くのよ…貴女も短冊書いたの?」

穂乃果「あはは…うん、せっかくだし」

真姫「なんて書いたの?」

穂乃果「…内緒」

真姫「はぁ?別に教えてくれても…」

穂乃果「だーめ」

真姫「むぅ…」

26: 2015/04/04(土) 03:27:37.41 ID:odHuPzIW.net
―――――――――――――――

真姫「どうして…」

穂乃果「…手術はいいよ」

真姫「…なんで?確かに すごく危険で、成功率だって低いけど」

穂乃果「……」

真姫「怖いのはわかるわ…でも、貴女が手術を受ける意志があるなら、私が執刀する…そうしたら、絶対に私…!」

穂乃果「…薬じゃ駄目なの?」

真姫「…手術しなきゃ、穂乃果の病気は治らないわ」

穂乃果「……もう少し、考えさせて」

真姫「…ええ」

28: 2015/04/04(土) 03:39:36.31 ID:odHuPzIW.net
―――――――――――――――

真姫「……」

真姫「……」


真姫(もう、治すためにはこれしか方法がないのに…遅くなればなるほど…っ)


真姫「……?」

真姫「短冊…」

真姫(確か、あのとき見えたのは…)

真姫「赤色…」カサ


真姫「―――……」

56: 2015/04/05(日) 14:39:36.65 ID:Td3XYSvx.net
―――――――――――――――

真姫「……」

真姫「……」


真姫(もう、治すためにはこれしか方法がないのに…遅くなればなるほど…っ)


真姫(『まきちゃん』としか話せなくなるのに…!)

60: 2015/04/05(日) 15:28:33.99 ID:8+TL8KYm.net
―――――――――――――――

穂乃果「……」

穂乃果「……ぁ」


真姫「……」


穂乃果「…びっくりした。全然気づかなかったよ」

真姫「……」

穂乃果「…どうしたの?」

真姫「……」カサ

穂乃果「…ひどいなぁ。駄目って言ったのに、勝手に見るなんて」

真姫「ここに書いてあるのは、なんなの?」

穂乃果「なんなのって…願い事だよ?」

真姫「…これが?」

穂乃果「そう、『真姫ちゃんが体を壊しませんように』」

真姫「……」

穂乃果「私の願い事」

64: 2015/04/05(日) 20:35:41.58 ID:8+TL8KYm.net
真姫「なんで、私のことなの?貴女の場合、自分の病気が治ることを願い事として書くべきでしょ」

穂乃果「んー…でも、最近真姫ちゃん、疲れてるみたいだし」

真姫「…意味わかんない。病気、治したくないの?」

穂乃果「ん…治したいけど…」

真姫「なら、手術を受けてよっ!」

穂乃果「……」

真姫「……っ」

穂乃果「…真姫ちゃん、絶対に私のこと治すって言ってくれたよね?」

真姫「…ええ」

穂乃果「すごく嬉しかった。でもさ…絶対なんて無理でしょ?」

真姫「そんなこと…!」

穂乃果「失敗したら、氏んじゃうんでしょ?」

真姫「――っ!」

穂乃果「もし失敗して、私が氏んだら…きっと真姫ちゃんは、自分の事を責めちゃう」

真姫「…」

穂乃果「真姫ちゃんの気持ち、すごく嬉しいけど、辛い」

穂乃果「真姫ちゃんの優しさに、私は応える事ができるかわからないんだもん」

穂乃果「私が真姫ちゃんの気持ちや時間を…無駄にしちゃうかもしれないんだもん」

穂乃果「もういいんだ…私、今まで好き勝手に生きてきたし、後悔なんてない」

穂乃果「痛いし、苦しいし、自分の身体が弱っていくの、見てるのが辛い…いっそのこともう、早く氏にたいって…」

真姫「っ…!」バチンッ

穂乃果「……」

真姫「貴女、今、自分がなんて言ったか、わかってるの…!?」

穂乃果「…もう充分だよ、真姫ちゃん…ありがとう」

穂乃果「私はもういいから…本当にもう、充分だから……」

真姫「やめてよ…私の知ってる、高坂穂乃果って人は…そんなこと、言わない…!」

穂乃果「…私は、元からこんなだよ」

真姫「……」

穂乃果「ごめんね……ごめん、なさい…」

65: 2015/04/05(日) 20:37:16.47 ID:8+TL8KYm.net
――――――――――――――

真姫「……」


真姫「……」


真姫(…あんなこと、考えてるなんて…全然わかってあげられなかった…私、なにも…)


真姫(確かに、穂乃果の手術が失敗して……そしたら私は…でも)


真姫(イヤ…イヤよ…このまま、穂乃果が氏ぬのを待つだけなんて…穂乃果がいない未来なんて…)


真姫(でも、穂乃果が手術を受けるのを望まないと、なにも…)


真姫(なにか、なにかないの…私が、穂乃果に…)


真姫「あ…そういえば、明日って…」


真姫「……」

94: 2015/04/14(火) 16:21:29.85 ID:0CnjviHD.net
――――――――――――――


穂乃果「院内ピアノリサイタル?」


看護師「西木野先生が弾くのよ」


穂乃果「あ、そういえば前にそんなこと言ってたような…今日なんだ」


看護師「それで、西木野先生が高坂さんのことを連れてきてって」


穂乃果「え…」


看護師「高坂さんに聴いてほしいそうよ?」


穂乃果「私に…?」


看護師「これから始まるから、行きましょうか」


穂乃果「は、はい」

95: 2015/04/14(火) 16:22:18.10 ID:0CnjviHD.net
――――――――――――――





♪―――♪♪――――



穂乃果「わぁ…」


穂乃果(やっぱり上手いなぁ…真姫ちゃん)


穂乃果(なんの曲かはわからないけど…うん)


穂乃果(私の好きな、真姫ちゃんのピアノだ…)



真姫「――――…ふぅ」


穂乃果(あ…終わっちゃった…)

96: 2015/04/14(火) 16:23:28.31 ID:0CnjviHD.net
パチパチパチパチパチパチパチ...



真姫『ありがとうございます。今日のこの――――』


穂乃果「……」




真姫『――――それでは、次で最後の曲…なのですが』チラ


穂乃果「?」


看護師「うふふ」カラカラ


穂乃果「あれ?看護師さん、なんで押して…え?え?」




穂乃果「え…なんで、真姫ちゃんの隣に…」


真姫『次の曲では私と一緒に彼女にも歌ってもらおうと思います』


パチパチパチパチパチ


穂乃果「!?ま、真姫ちゃん、私そんなの」


真姫「はい、マイク…いくわよ?」


穂乃果「ちょっ」

97: 2015/04/14(火) 16:23:59.56 ID:0CnjviHD.net
”愛してるばんざーい ここでよかった―――― ”

98: 2015/04/14(火) 16:25:11.73 ID:0CnjviHD.net
穂乃果「!」


♪――♪―――


穂乃果(これ…)


真姫「――…」ニコ


穂乃果「……」


穂乃果「っ…」





” …――――――

99: 2015/04/14(火) 16:28:23.73 ID:0CnjviHD.net
――――――――――――――――


穂乃果「もう!いきなりすぎ!」


真姫「ふふ、どうだった?」


穂乃果「ん…聴いてくれた人達もすごい拍手してくれたし…楽しかったけど…」


真姫「そう、よかった」


穂乃果「でも」


真姫「穂乃果」


穂乃果「…なに?」


真姫「…ごめんなさい」


穂乃果「…なにがかな?」


真姫「私…穂乃果が苦しんでるの、ちゃんとわかってあげられなかった…貴女があんなこと考えてたなんて…」


穂乃果「……」

117: 2015/04/15(水) 01:30:08.72 ID:iBBIuGRv.net
真姫「…でも、穂乃果も私のこと、全然わかってないわ」


穂乃果「え?」


真姫「でも、そうよね…わからないわよね…だから、今から言うこと…ちゃんと聞いて」


穂乃果「……」


真姫「すぅ……穂乃果がもし氏んだら、私も氏ぬから」


穂乃果「え"…あの、真姫ちゃ」


真姫「私が…貴女に氏にたいって言われて、どれだけショックだったかわかる!?」


穂乃果「っ、……」


真姫「穂乃果は私を、私の人生を変えてくれた、恩人で、仲間で…大切な人で」


真姫「わ、私には、貴女のいないこれからの人生なんて考えられない…ずっと隣にいてほしいのに」

118: 2015/04/15(水) 01:30:31.51 ID:iBBIuGRv.net
真姫「貴女が氏んだら、生きている意味なんてないわ!私も氏ぬ!」


穂乃果「ま、待ってよ!なんなのそれ!?」


真姫「脅しよっ!」


穂乃果「えぇ…」


真姫「諦めないでよ…生きて、生きて一緒にいてよ…私には貴女が必要なの!」


穂乃果「……」


真姫「だから――」


穂乃果「…ふふっ」


真姫「!?」


穂乃果「くっ、ふふ、あははは!」


穂乃果「なに、ふっ、今の?告白?ふっ、ふふ…」プルプル


真姫「~~~ッ!ひ、人が真面目な話してるのに!」


穂乃果「ご、ごめん、くふ…」


穂乃果「ふふ……ふ…っ、うっ…う゛~~~っっ」ポロポロ

119: 2015/04/15(水) 01:31:03.19 ID:iBBIuGRv.net
真姫「あ…」


穂乃果「…っ、わた、わだしだって、まきちゃんと、ずっと、いっしょにいたいよ…ほんとうはしにたくなんてないよ…ひっ…でもぉ…っ」ポロポロ


真姫「っ…手術、受けて…お願い…」ギュ


穂乃果「ひっ、ずるいよ、そんなのぉ…」ポロポロ


真姫「うん…ごめん」


穂乃果「ひぐ…手術、うけるぅ…うけるしかないじゃんこんなのぉ…っ」ポロポロ


真姫「…ありがとう」ギュウ


穂乃果「ゔう~~~っっっ」ポロポロ


真姫「っ……」グス

120: 2015/04/15(水) 01:31:54.21 ID:iBBIuGRv.net
――――――――――――――――




穂乃果「いよいよ今日かぁ…緊張する…」


真姫「…そうね」


穂乃果「……」


真姫「……」


穂乃果「…真姫ちゃん」


真姫「…なに?」


穂乃果「真姫ちゃんって私のこと好きなの?」


真姫「はぁ!?」カァァ


穂乃果「どうなの?」


真姫「ど、どうって…」


穂乃果「……」


真姫「…私は、穂乃果のこと」


穂乃果「あ、やっぱり言わなくていいや」


真姫「」


穂乃果「治って、無事に退院できたら聞かせてもらうことにしよっかな」


真姫「そ、そう…」


穂乃果「だから、絶対に治してね?」


真姫「…任せなさい」


穂乃果「えへへ…よろしくね、西木野先生!」

121: 2015/04/15(水) 01:32:30.35 ID:iBBIuGRv.net
――――――――――――――
――――――――――
―――――



真姫「……」







真姫「……」







真姫「……」

122: 2015/04/15(水) 01:39:18.93 ID:iBBIuGRv.net
 


「…あ、西木野先生」


真姫「!?」ビク


穂乃果「じゃなくて、真姫ちゃん」

真姫「あ、う、うん」

真姫「…その、退院おめでとう」

穂乃果「うん!ありがとう。真姫ちゃんのお陰だよー」

真姫「それで、その…」

穂乃果「ん?」

真姫「……」

穂乃果「なぁに?」

真姫「えっと、ほら…手術の前に話した…あれ…」

穂乃果「……なんだっけ?」

真姫「……」

穂乃果「あは、嘘嘘!覚えてるよ」

真姫「~~~っ!」

穂乃果「ごめんごめん…それじゃ、聞かせて?」

真姫「……」

穂乃果「真姫ちゃんは私のこと、どう思ってるの?」

真姫「…い、言うわよ?」

穂乃果「うん」

真姫「……」

穂乃果「……頑張って」

真姫「っ…穂乃果、私…私ね」




真姫「…私、貴女のことが――――」

123: 2015/04/15(水) 01:41:21.59 ID:iBBIuGRv.net
 
穂乃果「あ、西木野先生」

おわり

131: 2015/04/15(水) 05:30:01.30 ID:YYBoeykH.net

凄くよかった

引用元: 穂乃果「あ、西木野先生」