1: 2011/02/12(土) 17:53:52.83 ID:ymFAIlmM0
~~~~2010年 10月20日~~~~
GACKT「けいおん??」
西川貴教「うん。絶対おもしろいから観てみてよ。DVD貸すから」
GACKT(…音楽のアニメかな? おもしろいって言ってるし……一回観てみようかな。)
GACKT「うん。どんなのか気になるし一回貸してちょうだい」
GACKT「けいおん??」
西川貴教「うん。絶対おもしろいから観てみてよ。DVD貸すから」
GACKT(…音楽のアニメかな? おもしろいって言ってるし……一回観てみようかな。)
GACKT「うん。どんなのか気になるし一回貸してちょうだい」
2: 2011/02/12(土) 17:54:51.58 ID:ymFAIlmM0
~~~~GACKT自宅!!~~~~
GACKT「今日はもう仕事もひと段落したし・・・西川くんから借りたDVDでも観てみようかな」
ウィーン…ガシャン ピッ(再生)
GACKT(あっ…急に睡魔が…)
・・・・・・
GACKT「Zzzz....」
TV「ジリリリリリリ!! 『おねえちゃーん?そろそろ起きないと~。・・・おねえちゃ』『えっ!8時?!』」
GACKT「Zzzz....」
GACKT「今日はもう仕事もひと段落したし・・・西川くんから借りたDVDでも観てみようかな」
ウィーン…ガシャン ピッ(再生)
GACKT(あっ…急に睡魔が…)
・・・・・・
GACKT「Zzzz....」
TV「ジリリリリリリ!! 『おねえちゃーん?そろそろ起きないと~。・・・おねえちゃ』『えっ!8時?!』」
GACKT「Zzzz....」
3: 2011/02/12(土) 17:55:37.67 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
GACKT「ハッ!!『きゃあっ!!』 ・・・寝てた」
さわ子「………」
GACKT「…ん? ここ…どこだろ?」
さわ子「………」
GACKT(学校かな? 確か家にいたはずなのに。どうしてこんな所に・・・)
さわ子「………」
GACKT「…じっとしてる訳にもいかないな。 とにかく帰らないと」
さわ子「無視かよ」
5: 2011/02/12(土) 17:56:58.58 ID:ymFAIlmM0
GACKT「…どちら様ですか?」
さわ子(っ!!)「あっ。申し遅れました。私、音楽教師の山中さわ子と申します。
新任の神威(かむい)先生ですよね? 校長から校内の案内を頼まれて来たのですが…
お眠りになられていたのでびっくりしましたわ、うふふ」
さわ子(超~~イケメンじゃないのぉ~~!!職場恋愛…ありね!!
今日一日で距離を縮めて、一気にゲットしちゃうわよぉ~!ウヒャヒャ。)
GACKT「先生… 僕が…ですか?」
さわ子「?? そうですよ? 先生、まだ寝ぼけてらっしゃるんじゃないですか? ふふっ」
GACKT(TVか何かの企画かな? こんな仕事受けた覚えはないけど…とりあえず合わせておこう)
GACKT「そういえばそんな気がしてきました」
さわ子「気がしてきたって…意外とおちゃめなんですね、先生。
同じ音楽教師として、これからよろしくお願いします。
それでは、校内を案内しますので着いてきてください」
6: 2011/02/12(土) 17:57:58.68 ID:ymFAIlmM0
山中先生の話によると、ここは桜ヶ丘高校。女子高らしい。
パラダイスだな、うん。
TVにしては画が地味すぎるし、特にカメラも見当たらない。
ひょっとしたらTVじゃないのかもしれないけど、だとするとこの状況は…
考えてもわからない。これはきっと神様が僕にくれたプレゼントだ。
普通37歳の男が我が物顔で入れる場所じゃあない。この状況を楽しもう。
さわ子「ここが、保健室です。 生徒だけでなく、教師も利用できるので『さ~わちゃん!!』」
さわ子「あら、あなたたち。どうかしたの?」
律「別になんにも~。 今から部室行くところなんだ。ってあれ? その人は?」
澪「そんな聞き方しちゃ失礼だろ? どうもすみません」
音楽系の部活だろうか。楽器を持った女の子が4人、こちらへやってきた。
見たところ、かなり山中先生を慕っているみたいだ。
GACKT「気にしなくていいよ」
さわ子「まったく…こちらは新任の音楽教師の神威先生よ。 いま校内を案内してる所なの」
GACKT「よろしくね」
律・澪・唯・紬「よろしくおねがいしま~す」
律「それにしても、中々のイケメンさんですなぁ~。さわちゃん、この機会に距離を縮めてお持ち帰りしようなんて考えんなよ~?」
澪「なっ/// 律っ!! 何をいってるんだ!!///」
唯「澪ちゃん、顔真っ赤だよぉ~?」
紬「あらあら」
さわ子「バカなこと言ってないで、早く音楽室に行きなさい」(なんでりっちゃんにばれてるのよ~、もう。)
律・唯・紬「は~い」
律「ほら澪~。 ボーッとしてるとおいてくぞぉ~?」
唯「あっ。さわちゃん、案内が終わったら神威先生も音楽室に連れてきて~」
律「おっ。いいこというなあ~、唯隊員!! 音楽の先生だもんな!! あたしらの演奏、きいてもらおうぜぇ~!!」
紬「お~!」
澪「お持ち帰り・・・///」プシュー
GACKT「ハハハ」(元気だなあ~)
7: 2011/02/12(土) 17:59:25.45 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
さわ子「とりあえず、これで一通り案内は終了ですね。それじゃあ・・・これからお茶でも飲みにいきましょうか」
校内の案内がひと段落したころ、山中先生にデートに誘われた。
この先生は若いし、綺麗だと思う。 気立ても良く、短い時間でかなり仲良くもなった。
しかし…
GACKT「ゴメン、エOチした子としかデートしないんだ」
さわ子「」
--------------
さわ子「とりあえず、これで一通り案内は終了ですね。それじゃあ・・・これからお茶でも飲みにいきましょうか」
校内の案内がひと段落したころ、山中先生にデートに誘われた。
この先生は若いし、綺麗だと思う。 気立ても良く、短い時間でかなり仲良くもなった。
しかし…
GACKT「ゴメン、エOチした子としかデートしないんだ」
さわ子「」
8: 2011/02/12(土) 18:01:35.93 ID:ymFAIlmM0
さわ子「やだなあ。 音楽室ですよ。」
さわ子「さっきの子たち、軽音楽部で練習前には必ずお茶してるんです。
私が顧問ですし、あの子たちも先生に来て欲しがっていたので」
GACKT「あぁ~。 約束したもんね。」
GACKT「そっかあ~。 楽器を持ってたけど、軽音部だったんですね」
さわ子「ロクに練習してないですけどね。 ふふっ。それじゃあ、こちらです」
9: 2011/02/12(土) 18:02:21.38 ID:ymFAIlmM0
~~~~部室!!~~~~
律「おっ。さわちゃん、やっときたかー」
唯「あ~っ!! 神威先生もホントにきてくれたんだあ~」
紬「わざわざありがとうございます~」
梓「こちらがさっき言ってた新任の先生ですか?」
唯「そうだよぉ~。あずにゃん」ギュー
梓「!! 唯先輩、いきなり抱きつかないでください」
紬「あらあら」
澪「緊張してるの… 私だけなのかな…」
10: 2011/02/12(土) 18:03:14.10 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
その後、一人ひとり自己紹介をしてもらい、今 彼女たちは演奏の準備をしている。
こういう姿を見ていると、若いころを思い出すなあ…
律「それじゃ、みんな。準備はいいか? …よーし、いくぞ!! ワン、ツー」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
澪「どう…ですか?」
GACKT「技術的なことを言うと、まだまだ直すところはたくさんあるけど…
すごくよかったよ」
--------------
その後、一人ひとり自己紹介をしてもらい、今 彼女たちは演奏の準備をしている。
こういう姿を見ていると、若いころを思い出すなあ…
律「それじゃ、みんな。準備はいいか? …よーし、いくぞ!! ワン、ツー」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
澪「どう…ですか?」
GACKT「技術的なことを言うと、まだまだ直すところはたくさんあるけど…
すごくよかったよ」
11: 2011/02/12(土) 18:03:45.49 ID:ymFAIlmM0
そう言うと、澪ちゃんは演奏中のモジモジした態度とは一変、パァっととてもいい笑顔を浮かべた。
きっと、演奏中は緊張してたんだな。
この子は上手なんだから、もっと堂々としていいのに…
唯「よかったね、澪ちゃん」
律「おおっ! あたしらの演奏はがくちゃんのお墨入りだぜー! このまま一気に武道館だあ~!!」
紬「お~!!」
きっと、演奏中は緊張してたんだな。
この子は上手なんだから、もっと堂々としていいのに…
唯「よかったね、澪ちゃん」
律「おおっ! あたしらの演奏はがくちゃんのお墨入りだぜー! このまま一気に武道館だあ~!!」
紬「お~!!」
12: 2011/02/12(土) 18:04:54.36 ID:ymFAIlmM0
ホントにこの子たちは楽しそうに演奏をする。
技術的にはまだまだでも、どこか心揺さぶられる理由はそこにあるのだろう。
最近は、凄いと思う若いバンドをほとんど見ないけど…この子達なら、期待できるかもな
律「よーし! それじゃムギ、ティータイムだあ~!!」
……多分
13: 2011/02/12(土) 18:05:51.30 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
紬「先生も、紅茶で良かったですか?」
GACKT「うん。 ありがとう」
そういって、ムギちゃんは紅茶とケーキを用意してくれた。 物腰は柔らかく、とてもいい子だ。
大人びていて、とても高2には見えない。
唯「んまぁ~い。 やっぱりムギちゃんのケーキはおいしいね~」
唯ちゃんは、一見ぽわぽわしていて、だらけてそうに見えるけど…いや、だらけてはいるんだろうけど。
でも、頑張らないといけないときは、しっかりと自分の力で頑張れる子なんだろうな。きっと。
この子がギターを初めて約1年とは、驚きだ。
--------------
紬「先生も、紅茶で良かったですか?」
GACKT「うん。 ありがとう」
そういって、ムギちゃんは紅茶とケーキを用意してくれた。 物腰は柔らかく、とてもいい子だ。
大人びていて、とても高2には見えない。
唯「んまぁ~い。 やっぱりムギちゃんのケーキはおいしいね~」
唯ちゃんは、一見ぽわぽわしていて、だらけてそうに見えるけど…いや、だらけてはいるんだろうけど。
でも、頑張らないといけないときは、しっかりと自分の力で頑張れる子なんだろうな。きっと。
この子がギターを初めて約1年とは、驚きだ。
14: 2011/02/12(土) 18:06:31.67 ID:ymFAIlmM0
梓「これが終わったら、また練習しましょうね。 まだ一回合わせただけじゃないですか・・・」
唯「え~。 あずにゃん、折角がくちんが来てるんだし、もっとゆっくりしようよ~」
梓「先生が来てくれてるからこそ練習しましょうよ…」
梓ちゃんは、まだ入部して2か月程ということもあり、少しぎこちなさはあるものの…
しっかりと自分の意見も言えているし、この子なら大丈夫だろう。
ギターの腕も申し分ないし。
…ていうか、がくちんて何だ。 さっきもがくちゃんって呼ばれたし…
でも、何故か悪い気はしない。 不思議だ。
15: 2011/02/12(土) 18:08:29.13 ID:ymFAIlmM0
澪「そういえば、先生は主にどんな楽器を演奏されるんですか?」
澪ちゃんは、繊細だけど礼儀正しくて、いい子だ。
ベースも上手いし、頭も良さそう。 まさに優等生って感じだ。
GACKT「一応ピアノと、バイオリンと…金管楽器と木管楽器全般…
あと、バンドのパートは全部できるよ」
GACKT「父親がトランペット奏者でね、幼いころからたくさんやらされたんだ」
律「おほぉ~!! サラブレッド!! じゃあさ、ちょっと何か演奏してみてよ!!」
りっちゃんは…デコがキレイだよね。
元気でいい子だと思う。 意外と周りへの気遣いもできそうだし。
軽音部を立て直したっていう行動力はすごいと思う。
GACKT「いいよ。 じゃあとりあえず、ドラムから…」
16: 2011/02/12(土) 18:09:19.57 ID:ymFAIlmM0
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
律「すげえ~。 プロ並みじゃんか」
唯「ギターもすごい上手だしね」
梓「ホント…スゴイです」
紬「キーボードもすごく綺麗な音色だった~」
澪(ジーッ)ワクワク
GACKT「……」
澪「……」(ジーッ)
GACKT「ごめん、レフティは…ちょっと」
澪「」
17: 2011/02/12(土) 18:10:04.91 ID:ymFAIlmM0
澪「ああわかってたよ! どうせそうなる気はしてたんだ」ウワーン
GACKT「まあまあ…明日、僕のベース持って来るからさ…」
澪「ホント…?」ジワッ
GACKT「ホントホント」
一同(かわいい…)
18: 2011/02/12(土) 18:10:40.43 ID:ymFAIlmM0
梓「そういえば、先生は左利きなのに楽器は右利き用を使うんですね」
GACKT「レフティは少ないからね。 左利きって不便なことも多いし、
両方の手を使えるようにしてるから、初めて右利き用を触っても、困らなかったよ」
律(スゲーなこの人)
澪(私も右手を使う練習しようかな…)
唯(ケーキおいしー)
さわ子(私…一気に空気……グスッ)
19: 2011/02/12(土) 18:12:24.44 ID:ymFAIlmM0
-----------------
--------------
その後、談笑を続けた後、軽く練習を見て、今日はおしまい。
自宅へ帰ろうと、マネージャーに連絡をする。
…?
あれ? おかしいな…
電話が繋がらない…
再度電話をかけ直すものの、やっぱり繋がらない。
その後も、スタッフ・バンドメンバーなどに電話をかけてみたものの、全く繋がらず。
GACKT「どういう事だ…」
--------------
その後、談笑を続けた後、軽く練習を見て、今日はおしまい。
自宅へ帰ろうと、マネージャーに連絡をする。
…?
あれ? おかしいな…
電話が繋がらない…
再度電話をかけ直すものの、やっぱり繋がらない。
その後も、スタッフ・バンドメンバーなどに電話をかけてみたものの、全く繋がらず。
GACKT「どういう事だ…」
20: 2011/02/12(土) 18:12:52.84 ID:ymFAIlmM0
全く見当がつかない。 電話が壊れているのかとも思ったが、さっき山中先生からメールが届いていたので、その可能性は薄いだろう。
GACKT「あっ。 僕の車だ」
とりあえず、まずはカーナビを使って、家まで帰ろう。
21: 2011/02/12(土) 18:13:40.23 ID:ymFAIlmM0
GACKT「ただいま~」
泉(シェフ)「お疲れ様です。ガクさん」
GACKT「ただいま。 今、マネージャーはどうしてるか知ってる?」
泉「いえ、見てないです。それどころか、今日はスタッフも一人も見なかったですよ」
GACKT(? 誰も…見てない?)
GACKT「泉、今 携帯持ってるか?」
泉「持ってますけど…それがどうしたんですか?」
GACKT「今からお前に電話かけるから」
泉「?」
プルルルル・・・ プルルルル・・・
GACKT(繋がった… スタッフもメンバーもいなくて、電話も繋がらなかったのに…
…っ!?)
22: 2011/02/12(土) 18:14:17.98 ID:ymFAIlmM0
ふと、携帯電話の画面の片隅が目に入った。
『2009年 6月10日』
2009年だって?
思えば、今日の周囲の反応は普段と何か違っていた。
自分で言うのもなんだが、有名人を目にしたといった反応をする者は皆無だった。
それに加えて、この日付…
泉「ガクさん? どうしたんですか?」
GACKT「いや…何でもない。 ご飯にしようか…」
信じたくはないけど、パラレルワールドってやつか?
23: 2011/02/12(土) 18:15:14.95 ID:ymFAIlmM0
食事中、泉に今日起こったこと、自分がさっき考えたことを話した。
もちろん最初は信じてはくれなかったが、結局彼も僕と同じ結論に達したようだ。
ネットで『GACKT』と検索してみたのだ。
すると、ヒットするサイトが全くなかった。
ファンサイトならともかく、公式サイトまでヒットしないのはあり得ない。
レンタルショップにも行ってみた。
しかし、『GACKT』というアーティストのCDはなく、変装もしないで出かけたというのに、周囲の反応もゼロ。
もちろん最初は信じてはくれなかったが、結局彼も僕と同じ結論に達したようだ。
ネットで『GACKT』と検索してみたのだ。
すると、ヒットするサイトが全くなかった。
ファンサイトならともかく、公式サイトまでヒットしないのはあり得ない。
レンタルショップにも行ってみた。
しかし、『GACKT』というアーティストのCDはなく、変装もしないで出かけたというのに、周囲の反応もゼロ。
24: 2011/02/12(土) 18:16:07.73 ID:ymFAIlmM0
泉「おかしいですね…やっぱり異世界に…」
GACKT「信じたくはないけどね。 とりあえず、家ごと違う世界に飛んで行ったと考えたほうがいいんじゃないかな。」
GACKT「つまり、もといた世界での知り合いも異世界にワープした瞬間に家にいた僕と、お前だけ…」
泉「そんな…」
SP1・SP2「ボス!! どこにいっていたんですか!?」
GACKT「お前らもいたのか…」
でもよかった。 これで僕が学校にいる時も、泉は寂しくないだろう。
この状況をどうするかだけど…考えても仕方ない。 原因がわからないんだから。
とりあえず今はこの状況を楽しもう。 分からないことは分からない。
考えても無駄だ。
口座も家にあるものも変わっていないみたいだし、生活には困らないだろう。
とりあえず明日、ベースを持っていかないと。
25: 2011/02/12(土) 18:17:27.50 ID:ymFAIlmM0
~~~~~~~ぶしつ!!~~~~~~~~
律「おおー!! ガクちゃん!! 今日も来てくれたのか~」
GACKT「約束したからね」
澪「あっ。ベースっ!」
紬「よかったわね~。澪ちゃん」
GACKT「まだみんな来てないみたいだし、今から弾いてあげるよ」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
26: 2011/02/12(土) 18:18:05.11 ID:ymFAIlmM0
澪 ポヘー
唯「へー。やっぱりがくちん、ベースも上手だったんだー」
澪「うん!!ベースの上手な先生が来てくれてよかった」エヘヘ
梓「澪先輩、嬉しそうですね」
律「今まで、澪にはベースの先生っていなかったからな~」
律「そうだ!!」ピーン!
27: 2011/02/12(土) 18:18:48.61 ID:ymFAIlmM0
律「ガクちゃん、軽音部の顧問になってよ!!
律「さわちゃんができるのってギターとキーボードくらいだしさ、さわちゃんの補佐って感じで!!」
唯「おっ。いいねー、りっちゃん。わたしもがくちんが顧問なら、うれしいよー」
澪「私も…ベースとか、教えてもらいたい」
律「ガクちゃん、お願げえします!!」
GACKT「いいよ」
この子達といると楽しそうだし…
この子達がどこまで行けるか、興味もあるしね。
唯・律・澪「やったー!」
梓「唯先輩には厳しくするようにお願いします、先生」
唯「あずにゃん先輩、厳しいっす」
紬「あらあら」
いろいろ不安はあるけど、これから楽しくなりそうだ。
28: 2011/02/12(土) 18:19:23.00 ID:ymFAIlmM0
律「じゃあ今日はもう下校時間だしさ、帰りに名前掘ってこうぜ!
グラウンドにある桜の木でいいや!!」
唯「おぉ~! 新生軽音部、誕生祝いだね。りっちゃん!」
梓「ちょっ…勝手にそんなことしていいんですか!?」
紬「私、木に名前を彫るのが夢だったの~」キラキラ
澪「ムギまで何言ってるんだ!? あぁ~もう!」
『ゆい・りつ・みお・ムギ・あずにゃん・さわこ・がくと
けいおんぶ!! めざせブドウカン!!!』
29: 2011/02/12(土) 18:19:59.13 ID:ymFAIlmM0
以下、GACKTのことは『ガク』と表記します。
30: 2011/02/12(土) 18:20:53.57 ID:ymFAIlmM0
~~~~にかげつご!! GACKTの車窓から!~~~~
僕が軽音部の顧問になって、もう約2か月、ついに夏休みがやってきました。
容赦なく降り注ぐ朝の陽ざしは、僕のお尻をペシペシと叩いているようです…あーイタタタ
というのも、いま、軽音部の合宿の引率として、ムギちゃんの別荘に電車で向かっている最中なんだけど…
ガク「あっつい!!」
梓「そんな窓際に座ってるからじゃないですか…」
ガク「あのね、あずにゃんよ、わかってない」
梓「あずにゃんって呼ばないでください…何がですか?」
ガク「窓際じゃないと海がみえないだろ?」
梓「もう勝手にしてください」
31: 2011/02/12(土) 18:21:48.38 ID:ymFAIlmM0
唯・律・ガク「わーーーーー!!! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーー!!」
唯・律・ガク「うぉぉおおおおおーーーーっっっりゃああああああーーーーー!!!!!」
澪「勝手にしすぎだ!!」ゴチン
律「なんであたしだけ…」プクゥー
紬「ゲル状がいいの…」スヤスヤ
暑いんだこれが…もうアタマがおかしくなりそうだ。
32: 2011/02/12(土) 18:22:40.99 ID:ymFAIlmM0
~~~~べっそう!!~~~~
一同「ついたーーー!!」
暑さに耐えること数時間、やっと別荘に到着した。
なかなか立派な別荘で、スタジオも設備が整っていて、びっくりだ。
さて、合宿に来たんだし、やることはもちろん…
律「よーし!! 遊っぶぞー!!」
澪「う゛おーいっ!! 遊ぶのは練習してからー!!」
唯「えー。遊びたーい!!」プクー
若者はそうじゃなくちゃな。
33: 2011/02/12(土) 18:23:14.66 ID:ymFAIlmM0
澪「それじゃ多数決にしよう。 私は練習が先」
唯・律「遊ぶ!!」
梓「練習がいいです」
紬「遊びたいでーす」
澪・梓「まさかの裏切りー」ガーン
澪・梓(でも先生ならっ!!)バッ
ガク「よーし、それじゃあ遊ぶぞー!!」
澪・梓「先生までっ!?」アァァァ
34: 2011/02/12(土) 18:24:01.19 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
唯・律「アハハハハハ」
梓(ちゃんと練習できるのかなー…)
ガク「ふくれてたってしょうがないだろ? ちゃんと練習もさせるから、今のうちに楽しんでないと損するぞ?」
梓「…そうですよね! そのかわり、ちゃんと練習させてくださいよ。」
梓「よーし、やってやるです!!」
…意外と単純な子だな
紬「梓ちゃんもすっかりみんなと仲良くなったねー」
澪「そうかな…?」パシャ!
ガク「僕はちょっと遠泳してくるから、みんな遊んでて。 あんまり遠くに行かないようにね」
紬・澪「はーい」
36: 2011/02/12(土) 18:29:06.77 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
梓「澪先輩、フジツボの話って知ってます? むかし足を切った少年が…」
澪「うわあぁぁぁーーーー」
律<GJ!
梓「?」
律「そういえばがくちゃんはー?」
紬「遠泳するって言ってたわー。ほら、あそこ」
--------------
梓「澪先輩、フジツボの話って知ってます? むかし足を切った少年が…」
澪「うわあぁぁぁーーーー」
律<GJ!
梓「?」
律「そういえばがくちゃんはー?」
紬「遠泳するって言ってたわー。ほら、あそこ」
37: 2011/02/12(土) 18:29:53.60 ID:ymFAIlmM0
ガク「」バシャバシャ
律「おぉー。ほんとだ、あんなとこに。ガクちゃんすげえー」
唯「すっごい遠くにいるね」
ガク「」バシャバシャ
律「どこまで行くんだろう」
唯「ねー」
ガク「!?」ザッパーン
律「……」
唯「……」
-----------------------------------------
----------------ザザァ---------------
----------------------------------------
律・唯「沈んだー!!」
38: 2011/02/12(土) 18:31:28.23 ID:ymFAIlmM0
紬「たいへんっ!! 助けをよばなきゃ!」
梓「きゅっ、救急車とか呼んだほうがいいですかね?」アセアセ
梓「えっと…イチ・イチ・ゼロ…っと」ピッピッ
紬「梓ちゃん落ち着いて! それ警察!!」
澪「」ミエナイキコエナイ
39: 2011/02/12(土) 18:33:00.73 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
ガク(光が…小さくなっていく
ああ…僕、ここで氏ぬのかなあ…
もう手も足も動かない…
ごめんね、もとの世界のみんな。
ごめんね、学校の…軽音部のみんな。
僕はここで氏んじゃうけど…みんな、元気でね。)
40: 2011/02/12(土) 18:33:34.85 ID:ymFAIlmM0
・・・・・・・・・
ガク(いつエOチしたっけ?)ソウイエバ
・・・・・・
ガク「氏ぬならしてからだろ?!」
その時だった。 海水を飲み、手も足も動かない、そんな極限状態の中、彼の第3の脚が動きだしたのだ!
ガク「ぉぉぉおおおおお!!」プルプルプル…
41: 2011/02/12(土) 18:34:32.61 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
執事A「おそらくこの辺りで波に飲まれたと思われます」
斎藤「よしっ! 捜索チーム、この周辺を捜索しろ!」
捜索チーム隊員たち「はっ!!」
--------------
執事A「おそらくこの辺りで波に飲まれたと思われます」
斎藤「よしっ! 捜索チーム、この周辺を捜索しろ!」
捜索チーム隊員たち「はっ!!」
42: 2011/02/12(土) 18:35:02.41 ID:ymFAIlmM0
執事B「なっ…なんだこれは!?」
執事C「なっ、何かの生物がものすごいスピードで海底から上がってきます!!」
斎藤「いったい何だというのだ!? 警戒を怠るな!!」
捜索チーム隊員「うわあっ!?」
ザッパーーン!!
ガク「」プルプルプルプル…
隊員A「何だこれは!?」
隊員B「うわあっ」
43: 2011/02/12(土) 18:35:44.53 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
唯「がくちん、大丈夫かなー」
紬「だ、大丈夫よきっと…」ソワソワ
律「そうだぞー。がくちゃんがそんなに簡単に氏ぬはずないって…ってうわあ!?」
律「何かでたーー!」
--------------------------------------------
---------------ザッパーーン!--------------
--------------------------------------------
44: 2011/02/12(土) 18:36:14.05 ID:ymFAIlmM0
プルプルプルプル…
プルプルプルプル…
プルプルプルプル!!!
律・唯・梓「こっちきたあーーー!?」ウワー
紬「むぎぎぃーーっ?!」
ザパァーー!!
45: 2011/02/12(土) 18:36:47.70 ID:ymFAIlmM0
ガク「ふうっ。危ないところだった」プルプルプル…
律「がくちゃん?!無事だったのか!?」
律「…っていうか」
ガク「いや、ほんと危なかったんだけどね、長い間エOチしてないことに気づいてさ…」
ガク「急に力が湧いてきたんだ」プルプル…
律・唯・梓「変態だーー!!」
紬「まあまあまあまあ!」
ガク「」プルプル…
澪「」バタッ
梓「おまわりさんあいつです」
ガク(止まらない…)プルプル…
51: 2011/02/12(土) 19:34:33.92 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
律「肝試しをやろう!」
あの後、駆け付けた警察と琴吹家の執事たちを総動員して、なんとか僕のマグナムの動きを止めることに成功した。
そして、軽く練習を見てあげて、夕食を取り、花火をしている最中にりっちゃんがそう高らかに宣言した。
相変わらずよく分かってるじゃないか。
唯「おー!」
澪「次から次へと…」
律「いいじゃーん!」プクー
律「やっぱり夏で合宿といえば」
律・ガク「肝試しだよね!」キュピーン
澪「私はやらないぞ!」
律「アハー!そっかぁー! 澪は怖いの苦手だもんねー」
澪「!?全っ然余裕だよ! やってやろうじゃないか!!」
律・ガク「…フッ」
52: 2011/02/12(土) 19:35:25.15 ID:ymFAIlmM0
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--------------
私の名前は山中さわ子。
その類まれな美貌と、品性あふれる立ち振る舞い、
そしてその超一流の演奏技術と歌声から生徒からの人気は高く、さながら桜ヶ丘高校のヴィーナスのような存在…
のはずなんだけど…
唯・律『失礼しまーす』
律『夏休みなのに大変ですねー』
さわ子『研修とかいろいろあってね…なにか用?』
律『軽音部で合宿するんだけどー』
唯『先生もくるかなぁ?って思って』
さわ子『合宿ねぇ…』
律『うわぁ…めんどくさそうな顔』
唯『じゃあいいよ。がくちん先生に来てもらうから』
律『声かけなかったら怒るのに、声かけたらこれだ』
唯『泳いだり、BBQしたりできるのにねー』
さわ子『えっ!?』
どうしてこんなことになってるのよ…グスッ
…ん? あの後ろ姿は…
53: 2011/02/12(土) 19:36:07.96 ID:ymFAIlmM0
澪「こっ、高校生にもなって肝試しも無いよなー」ギュー
梓「あの…手が痛いんですけど」
『ヴア゛ァ・・・』
『ア゛ァ゛…』
梓「な、何でしょうか?」
澪「き…きき、きっと律のしわざだよぉ」プルプル
???『ミオ゛ヂァーアン』
澪「いやーーーあぁぁ!!」
澪「」プクプク
54: 2011/02/12(土) 19:36:42.33 ID:ymFAIlmM0
梓「先生!? どうしたんですか?」
さわ子「うぅ…やっと会えた…」
唯「あれぇ~? さわちゃん先生!?」
唯「どうしたの? …っていうか何でいるの?」
さわ子「…あとから合流して、みんなを驚かせようと思ったんだけど…」
さわ子「道に迷っちゃって…」
梓「驚かせようって目標は達成できたみたいですけど…」
澪「」プクプク
律・ガク「誰もこねー」
55: 2011/02/12(土) 19:40:21.12 ID:ymFAIlmM0
~就寝後!!~
Zzzz…
ガチャ… ジャー!!
梓「んー…」
梓「……」トテトテ
梓「あれ?」
56: 2011/02/12(土) 19:41:39.52 ID:ymFAIlmM0
唯「ごめんね。 私の練習に付き合わせて」
梓「全然気にしないでください。 私も唯先輩と、もっと練習したかったんです」
唯「ありがとう」
梓「えっと…」
チャン チャン チャッチャ チャラチャラチャ~ チャチャー チャラッチャチャー!!
唯「わぁ~。あずにゃんうまいね~」
唯「じゃあ次、私ね」
57: 2011/02/12(土) 19:42:21.73 ID:ymFAIlmM0
梓「最初はスローテンポで弾いてみるといいですよ」
唯「むぅ…」
チャン… チャン… チャッチャ チャラチャラチャ~ チャチャー… チャラッチャチャー!
唯「で…できたー!」
唯「私、あずにゃんに出会えてよかったよ~!」
唯「ありがと~あずにゃーん!!」ギュッ
ガク「うわー!! びっくりした!!!」
梓「先生!? ここで寝てたんですか!?」ビクッ
58: 2011/02/12(土) 19:44:10.99 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
こんにちは。平沢憂です。
今日は、梓ちゃんとお出かけです。
憂「そっかぁ~。 あんまり練習できなかったんだ」
梓「うん…。 でもね、やっぱり行ってよかった」
梓「先輩たちのいろんなことが分かったもん」
憂「へぇ~。 どんな風に?」
梓「澪先輩は、意外と怖がりだった」
憂「そうなんだ~。律さんは?」
梓「やっぱ大ざっぱだったけど…澪先輩とは、いい感じだった」
59: 2011/02/12(土) 19:44:43.34 ID:ymFAIlmM0
憂「へぇ~。 紬さんは?」
梓「ムギ先輩はね~」
梓「みんなのことを思いやってて優しいけど、案外子供っぽいところもあって、可愛い人だったよ」
憂「ふ~ん。 で、お姉ちゃんは?」
梓「唯先輩はね…」
梓「ちゃんと練習してた!」
憂「でしょ~?」
60: 2011/02/12(土) 19:45:45.22 ID:ymFAIlmM0
憂「あっ、そうそう。神威先生は? あの人、なんか謎の多い人だから…」
梓「ガクト先生は…」
(ガク「」プルプル…)
梓「……」
憂「?」
梓「」パタン
憂「あ、梓ちゃん!?」
梓ちゃん、いったい合宿でナニがあったんでしょう…?
61: 2011/02/12(土) 19:46:46.56 ID:ymFAIlmM0
~2009年10月某日~
『あぁカミサマお願い二人~だけの~』
梓「それにしても…」
梓「ライブの時だけはみなさん、凄い演奏しますよね」
律「ほーう? 言うようになったなこのー!」グリグリ
梓「きゃー!」
和「盛り上がってるところ悪いんだけど」ガラッ
62: 2011/02/12(土) 19:47:16.93 ID:ymFAIlmM0
律「おお、和。どうしたの?」
和「どうしたのじゃないわよ。…これ!」ピラッ
和「学祭の講堂使用届、まだ出してないでしょ」
和「明日までによろしくね。それじゃ」バタン
澪「去年にもこんな事あったな…?」
律「あぁ~、あれは部活申請…」
澪「」ゴォォォォ…
律「いたいっ」ゴチン!
63: 2011/02/12(土) 19:47:42.73 ID:ymFAIlmM0
律「あー、じゃあ梓、書記な」
梓「私ですか?まぁいいですけど…」
梓「えっと、『使用者』は“軽音部”っと…」
梓「あのっ、『名称』って…?」
律「バンド名でいいんじゃない?」
梓「はい。 …そういえば、バンド名って何でしたっけ?」
律・唯・澪「『恩那組だろ?』『スイーツスマイル!』『ちょこれーと☆めろでぃだよ?』」
梓(バラバラだ!!)
紬「決めてなかったね」
64: 2011/02/12(土) 19:48:21.30 ID:ymFAIlmM0
律「それじゃあいい機会だから、今決めるか」
唯「『平沢唯とずっこけシスターズ』ってどうかな?」
律「私らはオマケかい!」
澪「『ぴゅあ☆ぴゅあ』とかどうかな?」
律「もうネタはいいから真面目に考えようぜ」
澪「割と本気だったのに…」シュン
律「ムギ、何かいいのない?」
紬「『充電期間』とかどうかしら~?」
律「縁起わりー!!」
65: 2011/02/12(土) 19:48:48.86 ID:ymFAIlmM0
唯「『タンスの角に薬指』は?」
律「なんでそんな変な…って薬指!? 器用だなおい!?」
ガク「…わかった! もう僕が決める!!」カキカキ…
『セッ○スジャパン』
律・澪・唯・紬・梓「もう少しみんなで考えよー」
ガク「団結したっ!?」ガビーン
66: 2011/02/12(土) 19:54:35.63 ID:ymFAIlmM0
澪「やっぱり『ぴゅあ☆ぴゅあ』よくない?」
律「却下」
唯「『にぎりこぶし』は?」
律「何か演歌っぽい…」
さわ子「……」イライラ
澪「じゃあ『ぽっぷこーん☆はねむーん』は?」
律「何でそんな甘々のばっかなんだよ!?」
さわ子「貸しやがれー!!」ブチッ
律「今度はあんたかー!?」
さわ子「ゆっくりお茶もできやしない! こんなの適当に決めりゃあいいのよ!!」カキカキ…
『放課後ティータイム』
律・澪・唯・紬・梓「…まぁいっか」
ガク「……」
67: 2011/02/12(土) 19:55:27.42 ID:ymFAIlmM0
~すうじつご!!~
律・澪・梓「ええっ!? 唯(先輩)が風邪を引いた!?」
憂「そうなんです…お姉ちゃん、学祭で着る衣装が気に入ったみたいで、昨日一日中それ着てて…」
律「マジかよ…こんな時期に」
澪「梓…今日からリードの練習もしておいてくれ」
梓「えっ…」
澪「万が一を考えてな…」
梓「嫌…です」
澪「えっ?」
梓「唯先輩が出られないなら、辞退した方がマシです!!」
律・澪・紬「梓(ちゃん)…」
68: 2011/02/12(土) 19:56:13.69 ID:ymFAIlmM0
ガク「……」
ガク「梓。……やっておけ」
梓「っ!? そんな…!?」
ガク「別に辞退することを止めてるんじゃない。
ただ…今後の為にもな」
梓「…はい」
ガク「澪も、ボーカルの練習をしておくように」
澪「え゛っ…?」
ガク「当然だろ? 唯が出られたとしても、歌えるような喉の状態じゃなかったら、誰がボーカルをするんだ」
澪「…わかりました」
本番前のアクシデント…この子達がこれをどう乗り越えるか楽しみだ。
乗り越えたときには、きっと一回り成長してるんだろうな。
69: 2011/02/12(土) 19:57:13.46 ID:ymFAIlmM0
~学祭当日~
紬「唯ちゃん…来ないね」
梓「携帯は…」
紬「『絶対間に合わせる』ってメールは来てたんだけど…」
澪「12時半か…」
律「おさらいしておくか? 唯抜きの演奏も…」
梓「嫌です! このまま唯先輩抜きで演奏しても、意味ないです!!」
ガク「唯なら大丈夫だよ。 きっと間に合う」
律・澪・紬・梓「先生…」
ガチャ!
律・澪・紬・梓「!?」
70: 2011/02/12(土) 19:57:54.00 ID:ymFAIlmM0
さわ子「チョリーッス」
律・澪・紬・梓・ガク「空気読めよ!!」
律「っていうか今まで何してたんだよ? みんな大変だったのに」
さわ子「もちろん今までボーッと過ごしてた訳じゃないわよ。」
さわ子「あの浴衣の防寒バージョンを作っていたのです!! そして…」
さわ子「カモン!!」
71: 2011/02/12(土) 19:58:35.36 ID:ymFAIlmM0
唯「失礼しまーす…」
律・澪・紬・梓「唯(先輩)!?」
澪「来てたんなら真っ先にここに来い!」
梓「…最低です。こんなにみんな心配してたのに…」グスッ
律「まぁとにかくこれで無事に、全員揃ってライブできそうだな!」
澪「だな」クスッ
紬「うふふ」
唯「…ってあれ!? ギー太は!?」
一同「何ぃー!?」
72: 2011/02/12(土) 19:59:10.10 ID:ymFAIlmM0
ガク「仕方ない! 今すぐ僕が家まで車で送ってあげるから…」
さわ子「もし間に合わなかったら、到着するまで私が代わりに演奏しておくわ」
唯「先生…ありがとぉ…」
73: 2011/02/12(土) 20:02:02.43 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
『これより軽音楽部、“放課後ティータイム”による、ライブを開始します』
ワァァァ…!!
パチパチパチ…
憂「お姉ちゃん…」
74: 2011/02/12(土) 20:03:33.65 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
ガク「ほら、急いで取って来い!!」
唯「はいっ!!」
タタタタ…
ガチャッ!
唯「…あった!」
ガク「持ってきたか?」
唯「はい!」
ガク「じゃあ飛ばすからな! シートベルト閉めとけ!!」
75: 2011/02/12(土) 20:05:54.61 ID:ymFAIlmM0
唯(そういえば、入学式の日もこの道を走ってた)
唯(あの時は、何をすればいいんだろうって思いながら…
このまま、大人になっちゃうのかなって思いながら…
一人で走ってたよね…)
唯(ねえ、私。 あの頃の私。
心配しなくていいよ。
すぐ見つかるから。
私にもできることが。
夢中になれることが。
こんなに私を支えてくれる人たちが。)
76: 2011/02/12(土) 20:06:31.28 ID:ymFAIlmM0
唯(大切な…
大切な…
大切な場所が!!)
唯「がくちん先生! ホントにありがとう!!」
ガク「あぁ…頑張って来いよ」
唯「もちろんです!」フンス!
77: 2011/02/12(土) 20:07:08.37 ID:ymFAIlmM0
ガチャッ!
憂「あっ! お姉ちゃん!!」
唯「あぁ憂! ピース!!」
憂「お姉ちゃん頑張って!」
律・澪・紬・梓(あっ…)
唯「……」ハァッ…ハァッ
唯「よいしょ…わわっ」
唯「……」
唯「さわちゃん先生、ありがとう」
さわ子「クスッ… じゃあ、あと頑張りなさい」
78: 2011/02/12(土) 20:07:38.25 ID:ymFAIlmM0
唯「みんな、本当にごめんなさい」
唯「よく考えたら、いつもいつも…
こんな…大事なときに…」グスッ
澪「…タイくらいちゃんと結べ?」クスッ
律「みんな唯が大好きだよ」
ガンバレー!
ユイー!!
79: 2011/02/12(土) 20:08:06.02 ID:ymFAIlmM0
唯「えっと、改めまして、放課後ティータイムです」
唯「今日は私がギターを忘れちゃったせいで、こんなに遅れてしまいました」
唯「ギー太も、忘れちゃってごめんね」
唯「それじゃあ、最後に思いっきり歌います!」
唯「『ふわふわ時間』!!」
------------------
--------------
80: 2011/02/12(土) 20:08:36.05 ID:ymFAIlmM0
ガク(散々な演奏だったけど…みんなの絆は深まったみたいだな。)
『セッ○スジャパン』
ガク(僕の心には深い傷ができたけど…)
ガク(男のゴールデンタイムでもいってくるか…)
ガク「……」カシュッ…ゴクゴク
ガク「フゥ…」
校長「……」ポンッ
ガク「校長…」
81: 2011/02/12(土) 20:12:41.36 ID:ymFAIlmM0
唯「はいりっちゃん! トス!!」トンッ
律「よっしゃあー!! うけてみよ! りっちゃんアターーック!!」バシーン!!
ヒューーーン
ボンッ!!
律「あ…やばっ。 人に…」
校長「!?」ボンッ!!
校長「」バタッ
ガク「校長っ!?」
82: 2011/02/12(土) 20:13:30.00 ID:ymFAIlmM0
ガク「……」
ガク「今のうちに、コイツの車でも壁に立てかけておくか」
ガク「薄給すぎるんだよ、まったく。 他の先生たちはよくやってるよ、ホント」ヨイショ
ガク「……こんなもんかな」
車(ギブギブ!!)
律「なにやってんだあいつ」
梓「せっかく今日はビシッと決めたのに…」
83: 2011/02/12(土) 20:19:52.24 ID:ymFAIlmM0
~2009年 2学期終業式後!~
澪「よ~し。 冬休みだ~」
律「また今年もクリスマス会やろうぜ!」
唯「いいね! やろうやろう!」
梓「あの…私クリスマスには予定が…」
律「彼氏ですよ奥さん」
唯「若い子はいいわねえ…」
梓「違いますっ!!」
唯「それじゃ年末パーティーは?」
梓「あっ、年末なら私も大丈夫です」
唯・律「よし決定!!」
84: 2011/02/12(土) 20:20:35.38 ID:ymFAIlmM0
澪「でも場所はどうするんだ?」
律「ムギん家は?」
紬「ごめんなさい…今からだとちょっと予約を取れそうにないわ…」
律「そっかあ…仕方ないな」
律「あとデカそうな家っていったら…」
律(がくちゃん…いい車に乗ってたよな?)
ガク「?」
律「あのー、がくちゃん? がくちゃんの家でパーティーとかは…?」
ガク「いいよ?」
85: 2011/02/12(土) 20:23:13.65 ID:ymFAIlmM0
唯・律「やったー!!」
唯「がくちんの私生活ってどんなのか気になってたんだー」
澪「こらっ! 迷惑かけるようなことしちゃダメだぞ!?」
澪「そりゃ私もちょっと気になるけど…」ソワソワ
紬「あらあら」
律「それじゃー12月31日、場所はがくちゃんの家で!!」
律「プレゼント交換もしようぜー!」
梓「大晦日にっ!?」
ガク「いいね。 それじゃみんなで年越しジャンプもしよっか」
紬「年越しジャンプ? いったい何なのかしら?」キラキラ
86: 2011/02/12(土) 20:23:49.33 ID:ymFAIlmM0
~2009年 12月31日~
律・唯・澪・梓「」ポカーン
律「ここが…がくちゃんの家」
唯「おっきな黒人さんがいたね!!」
澪「な…何かにぶつかって落としちゃわないかな…?」ブルブル
梓「すごく広いです…」
ガク「みんな、こっちのバーでパーティーするからね?」
律「バーまであるのかよ!?」
紬「しゃらんらしゃらんら~♪」
紬(年越しジャンプ、楽しみだわ~♪)
87: 2011/02/12(土) 20:29:59.79 ID:ymFAIlmM0
律「」プルプル…
律「がくちゃん! 探検していい!?」
澪「なっ…やめておけ律!? いったいどんな危険が潜んでるかわからないぞ~!?(金銭的な意味で)」
ガク「いいよ。 パーティーまでまだ時間もあるし…案内してあげる」
唯「やったねりっちゃん!」
唯・律「イェーイ!!」
88: 2011/02/12(土) 20:31:22.71 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
律「すげー! 瀧だ!!」
ガク「ここは寝室でね…加湿器替わりに滝を作ったんだ」
澪「今度は道場!?」
ガク「毎朝、ここでトレーニングしてるんだけど…」
紬「まあ~」キラキラ
ガク「…ムギ? サンドバッグ、叩いてみる?」
紬「まあ! いいんですか?」
ガク「いいよ。 このグローブをつけて、ここを叩いて?」
紬「えーい!」
ドゴォォオオ!!
律・唯・澪・梓・ガク「何…だと…?」
89: 2011/02/12(土) 20:32:16.00 ID:ymFAIlmM0
梓「わぁ~、すごい!!」
梓「これ、スタジオですよね?」
ガク「そうだよ。 レコーディングとかもできるんだ」
梓「すごいです! どうやって使うんですか?」
ガク「ここをこうするとね…」
------------------
--------------
90: 2011/02/12(土) 20:35:43.48 ID:ymFAIlmM0
律「うおー! 飯だぁ~!!」
唯「おいしそ~」
ガク「ウチのシェフの手作りだからね」
梓「シェフまでいるんですか…」
SP1・2「Hey, boss」
澪「ひぃっ!?」
ガク「どうした?」
SP1「不審な人物が・・・ボスの知り合いだと」ヒョイ
さわ子「……」チョーン
91: 2011/02/12(土) 20:36:18.30 ID:ymFAIlmM0
ガク「…ああ、知り合いだ。 離してやってくれ…」
唯「ダメだよぉ~さわちゃん。人の家に勝手に忍び込んじゃ」
さわ子「だって…SPがいるなんて知らなかったんだもん…グスッ」
律「そういう問題か」
ガク(…頭が痛い)
92: 2011/02/12(土) 20:41:28.81 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
さわ子「よーし! それじゃあご飯も食べたし、次は楽しい楽しいプレゼント交換ね!!」ウィー!!
律「さわちゃん飲みすぎだろ…」
さわ子「細かい事言ってんじゃないわよー!!」
ガク「そのことなんだけど…ゴメンね。
僕は一応、みんなの分のプレゼントを用意したから、僕抜きでやって」
律「さっすがガクちゃん!! さわちゃんもちょっとは見習えよ~」
さわ子「ああん!?」
律「ごめんなさい」
93: 2011/02/12(土) 20:42:50.80 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
ガク「これが唯で、こっちが澪。 律の分に梓の分。
これがさわちゃんで… はい、これが紬の分ね」
唯「うわぁ~」キラキラ
澪「すごい綺麗…」
梓「これ、先生とお揃いのやつですよね?」
律「こっちのやつは一人ひとり違うのか~」
紬「素敵だわ~」
94: 2011/02/12(土) 20:44:29.92 ID:ymFAIlmM0
僕はこの日、軽音部のメンバーに、2つのプレゼントを渡した。
一つは僕がいつも着けているオニキスのブレスレット。
もう一つは、水晶を基調として、そこへ一つずつ、彼女たち一人一人をイメージしたカラーの石をあしらったブレスレット。
律には黄色、唯には赤、澪には青、紬には紫、梓には緑の石をそれぞれあしらい、
さわちゃんには水晶をドクロ型に加工したものを選択した。
それにしても…
さわ子「私の分も用意してくれてたのね~」
用意しててよかった。 さわちゃんの分。
律・唯・澪・紬・梓「どうもありがとうございます、先生!!」
95: 2011/02/12(土) 20:45:05.56 ID:ymFAIlmM0
ガク「これをつけてる限り、僕たちはずっと仲間だからな?」
ガク「離れてても、ずっと側にいるから」
律「なーにくさいこと言ってんだよ~」
唯「がくちんきも~い」プッ
ガク「おいお前らそれ返せ!」
唯・律「きゃー!」
96: 2011/02/12(土) 20:45:42.77 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
プレゼント交換も終わり、今年のイベントもあとひとつ、僕が19年続けてきた、年越しジャンプのみとなった。
紬「ついにきましわ~!」キラキラ
澪「なんか、いざジャンプするってなると、ワクワクしてくるな」
唯「私たち空中で新年を迎えるんだよ? すごいね、あずにゃん!!」
梓「唯先輩、落ち着いてください」
梓(言えない…私も毎年、年越しジャンプしてるなんて言えない…)
さわ子「しゃー!! 私が一番高く飛んでやらぁー!!」
律「うわっ!? さわちゃんうっさ!」
ワイワイ…
97: 2011/02/12(土) 20:46:37.05 ID:ymFAIlmM0
ガク「みんな静かにして~。 時報聞こえないだろ?」
律「こんなときくらい、うるさくたっていいだろー!?」
唯「そうだそうだー!!」
ガク「わかったわかった。 それじゃ、僕がスピーカーから音を聞いて、時間をみんなに伝えるから」
ガク「えーっと、…10秒、……20秒、……午前0時30秒」
ガク「…は? いま、12時って言ったぞ?」
一同「え゛~~~~!!!!」
一同「……………………」
ガク「それじゃ、来年まで待つか……」
一同「おめでとうございました……」
紬「」シュン…
梓(終わった…私の人生、今までずっと年越しジャンプしてきたのに…)シュン
98: 2011/02/12(土) 20:48:00.49 ID:ymFAIlmM0
~2010年 4月 ~
律「それにしてもみんな同じクラスなんてな~」
澪「誰かが仕組んだみたいに揃ったな」
紬「すごい偶然ね~」
律「もしかして生徒会長パワーを使ったとか?」
和「ないない。そんなことできる人いるわけ…」
さわ子「みんなー、席についてくださーい」
一同「いたー!!」
さわ子「教師になってはじめて担任になったので、至らぬところがあると思いますので、
副担任として、神威先生にサポートしてもらうことになりました」
ガク「よろしくね」
一同「絶対こいつらだー!!」
99: 2011/02/12(土) 20:48:50.25 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
律「せんせー! ちょっとちょっと」
律「このクラス分け、もしかして先生たちが何かしたの?」
さわ子「そうよ、みんな一緒にしてあげたの」
律「いいのかよ?職権乱用じゃん?」
ガク「乱用して何が悪い?」
律「ダメだこいつ」
100: 2011/02/12(土) 20:49:42.53 ID:ymFAIlmM0
~すうじつご!~
梓「新入部員、来ませんね~」
澪「まだまだ時間あるし…」
律「がくちゃ~ん、何とかしてよ~」
ガク「…それはやっぱり自分たちで頑張ってみないと」
ガク「それにほら、衣装は貸しただろ?」
律「あの着ぐるみをか!? 逆効果だったわ!!」
101: 2011/02/12(土) 20:50:13.85 ID:ymFAIlmM0
梓「……」
唯「あずにゃん…」
紬「とりあえず今日はもう遅いし…帰ろっか?」
梓「あ…あのっ、私今日は用事あるんで、先に帰っててください」
律「そっか。 じゃあ先に帰ってるな」
澪「また明日な」
バタン!
102: 2011/02/12(土) 20:50:55.66 ID:ymFAIlmM0
梓「あのっ…」
ガク「何か相談事か?」
梓「はい…。」
梓「私、自分がどうしたいのか分からなくなって…」
梓「確かに部の存続のためには新入部員が必要ですし、私にだって後輩がほしいという気持ちはあります。」
梓「でも、それよりも私っ、今のメンバーと…先輩たちとずっとバンドをしてたくて…」
ガク「…それだけ自分の気持ちがわかってたら、もう答えは出てるんじゃないか?」
103: 2011/02/12(土) 20:51:26.59 ID:ymFAIlmM0
ガク「別に部活だけが一緒にバンドをやっていく方法ではないしさ。
もちろん、部を存続させたいのなら、新入部員を入れても全然いいと思う」
ガク「でも、あの子たちが卒業するまで、まだ一年あるんだし、無理に新入部員を入れて今の形をつぶす必要もないんじゃないかな?」
ガク「もう一度、自分でよく考えてごらん?
きっと、自分の中で答えはもうでてるから」
ガク「大丈夫。 あの子たちはみんな、卒業しても梓のことを見捨てたりなんてしないから」
梓「…そうですよね。 もう一度、よく考えてみます…」
104: 2011/02/12(土) 20:51:57.65 ID:ymFAIlmM0
~翌日~
梓(先生はああ言ってくれたけど…ホントに先輩たちはみんな、ずっと一緒にいてくれるのかな…)
梓(やっぱり不安だよ…)ガチャ…
「私、しばらくこのままでもいいな」
梓(…?)
唯「今はこのままでいいよ」
唯「こうやって、みんなと部室に集まって、 …今あずにゃんはいないけど、」
唯「お茶飲んで、練習して、演奏して」
唯『ずっと5人で』
梓(唯先輩…)
律「…そうだな。 あと一年でなんとかしようぜ」
105: 2011/02/12(土) 20:52:31.00 ID:ymFAIlmM0
ガチャッ!
梓「こんにちは」
唯「ああああずにゃん! ごめんね! 今ビラ配りに行くから!」
梓「ムギ先輩、私ミルクティーください」
唯「えっ?」
梓「私、今年まではこの5人だけでやりたくなりました」
唯「あずにゃん…」
106: 2011/02/12(土) 20:56:50.32 ID:ymFAIlmM0
紬「実は、私たちから梓ちゃんにプレゼントがあるの」
律「昨日、先に帰ってから、さわちゃんが買ってくれたんだぜ」
ガチャ!
澪「来たみたいだな」
ガク「おまたせ~」
唯「新入部員のトンちゃんです!」
紬「梓ちゃんの後輩よ~」
トンちゃん(やあっ!)
ガク「いいカメだね。 僕のトンちゃんには敵わないけど」
律「お前は黙ってろ」
梓「クスッ…へんな顔」
この先輩たちとなら…ずっとやっていけそうな気がする。
107: 2011/02/12(土) 20:57:25.56 ID:ymFAIlmM0
~2010年 夏休み!~
早いもので、僕がこっちの世界に来てから2回目の夏休みがやってきました。
今日は5人と1匹の軽音部員のうち、受験生の4人は、みんな部室に集まって勉強しているようです。
律「全っ然わかんね~」
唯「あずにゃん分が足りない…」
2人は既に集中力が切れてるけど。
澪「仕方ないだろ。家の用事なんだから」
紬「まあまあ、もうちょっと勉強したら、休憩にしましょ?
今日はカキ氷機をもってきたの~」
唯「フンス!」カキカキ!!
相変わらずだな、唯は。
108: 2011/02/12(土) 20:58:26.60 ID:ymFAIlmM0
一見、いつもと変わらない部室。
だが、そこにどこかもの悲しさを感じるのは、いつかの梓と同じ理由からだろうか?
そんな空気を読み取ったかのように、律がぽつんと呟いた。
律「私たち、ホントにずっと一緒にいられるのかなぁ?」
律「なあがくちゃん? 私、今まではさ…
みんな同じ大学に進んで、バンドも続けていって…
一年たったらまた梓が同じ大学に入ってきて…
ずっと…ずっと今のようにみんなで笑いあえると思ってたんだ。」
律「根拠もないのにさ」
律「でも、本当にそんなことってできるのかなぁ…?」
ガク「お前たち次第だな。 僕には何も言えないよ」
ガク「まずはお前たち4人が同じ大学に進学できないとどうしようもない」
ガク「特に律と唯は合格できるか分からないんだから、勉強をがんばれ」
律「なんだよ、それ…。 ちょっとくらい『大丈夫』とか言ってくれても…」
ガク(大丈夫さ…お前たちにその気持ちがあるなら)
109: 2011/02/12(土) 21:01:14.82 ID:ymFAIlmM0
唯「も~勉強つかれたぁ~」
唯「ねえがくちん、何か歌ってよ!! 私たちの為に応援ソングを!!」
期待していた励ましの言葉を貰えなくて落ち込んでいる律を見かねてか、唯がそう口にした。
…さっきの言葉は訂正。 この子も成長したな。
こんなに周りへ気配りができるようになるなんて。
ガク「そうだな… お前たちが全員無事に、同じ大学に進学できたら、曲を作って歌ってやるよ」
ガク「最高の応援歌をな」
唯「えぇ~。 合格してからじゃ応援歌なんて意味ないよ~」プクー
この子たちにはまだ分からないか。
ガク「ほら、唯に…律も! いつまでもすねてないで、頑張れ!」
唯・律「は~い…」
110: 2011/02/12(土) 21:01:45.70 ID:ymFAIlmM0
~2010年 10月13日 ~
律「ほら唯、早く行くぞ~」
唯「ちょっと待って~ …おまたせ~!」
律「それじゃあ部室行くか」
さわ子「その部室なんだけど…」
さわ子「しばらく使えないの」
律「…何が?」
さわ子「部室」
律・唯・澪・紬「えっ」
111: 2011/02/12(土) 21:02:24.05 ID:ymFAIlmM0
唯「ホントだ… 音楽室も使えなくなってる」
律「一体なにがっ!?」
さわ子「実は部室の下にある教室の天井から水漏れしてたみたいで…」
さわ子「排水管を取り換えるみたいなんだけど、それが部室にも通ってるから、
立ち入り禁止になっちゃうんですって」
律「このタイミングでか…」
紬「文化祭まで、あと1週間しかないのに…」
澪「文化祭までに、間に合うんですか?」
さわ子「厳しいかもね…」
澪「そんなっ!?」
112: 2011/02/12(土) 21:02:54.27 ID:ymFAIlmM0
律「となると、練習場所はあそこしかないな…」
紬「?」
律「がくちゃん家!」
紬「そっかぁ~! 先生のお家なら、設備も整ってるし」
唯「お手柄だね、りっちゃん!」
さわ子「それじゃあ、私は先生の家で練習していいか学校に確認を取ってくるから、
みんなは先生にスタジオを使わせてもらうよう、お願いしてきてくれる?」
113: 2011/02/12(土) 21:03:58.00 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
唯「…という訳なんだよがくちん!!
どうか、いたいけな軽音部を助けてくだせぇ…!!」
澪「お願いします」
ガク「いいよ。それくらいなら」
律「ホントに!? やったぁ~!」
紬「ありがとうございます~」
ガク「いいよいいよ」
さわ子「学校側も、理由が理由だから、先生の家で練習していいって」
ガク「それじゃあ僕は仕事があるから一緒には行けないけど、SPに連絡しとくから、早速家に行ってもらっていいよ」
114: 2011/02/12(土) 21:04:37.28 ID:ymFAIlmM0
この子たちの顧問として、これくらいはしてやらないとな。
…今月に入った辺りから、感じるんだ。
徐々に…僕の意識がこの世界から離れて行くのを。
この長い長い夢が、覚めてしまおうとしてるのを。
おそらく僕が向こうの世界から旅立った日…
10月20日に、僕はもとの世界に帰るのだろう
文化祭は10月20日。
あっちの世界を離れたのは確か夕方だったから、この子たちの高校最後のライブは見届けられるだろうか…
115: 2011/02/12(土) 21:05:39.46 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
律「ぷはぁ~!」
澪「この一週間、先生の家で充実した練習ができたな」
唯「そうだね~」
唯「疲れたらおっきなソファーでまったりできるし、もうここを部室にしたいくらいだよ~」
紬「あらあら」
梓「それにしても、先生方にはいつもお世話になりっぱなしですよね…」
律「そうだなぁ~。 何か恩返しできる方法はないものか…」
紬「そうねぇ…」
唯「あっ! そうだあずにゃん!!」
唯「ここってレコーディングできるんだよね!?」
梓「はい、そうみたいですけど…」
唯「使い方わかる!?」
梓「この前教えてもらったので一応…」
梓「…もしかして!?」
--------------
律「ぷはぁ~!」
澪「この一週間、先生の家で充実した練習ができたな」
唯「そうだね~」
唯「疲れたらおっきなソファーでまったりできるし、もうここを部室にしたいくらいだよ~」
紬「あらあら」
梓「それにしても、先生方にはいつもお世話になりっぱなしですよね…」
律「そうだなぁ~。 何か恩返しできる方法はないものか…」
紬「そうねぇ…」
唯「あっ! そうだあずにゃん!!」
唯「ここってレコーディングできるんだよね!?」
梓「はい、そうみたいですけど…」
唯「使い方わかる!?」
梓「この前教えてもらったので一応…」
梓「…もしかして!?」
116: 2011/02/12(土) 21:06:20.90 ID:ymFAIlmM0
唯「そうだよ! 日頃の感謝を演奏に込めて! だよ!!」
律「おぉ~! 唯にしてはいいアイデアだな!!」
澪「私もすごくいいと思う」
紬「素敵だわ~」
唯「それじゃあ早速!」
梓「はい! 準備してきます!!」
澪「それにしてもよく思いついたな」
唯「エヘヘ、それほどでも~」
梓「」カチャ、カチャ
唯「…どう? あずにゃん?」
梓「……はい、準備オッケーです!」
律「よーし、それじゃ…」
117: 2011/02/12(土) 21:07:16.79 ID:ymFAIlmM0
~文化祭当日~
律「よーし! そろそろ行くか!」
澪「……」ドキドキ
唯「大丈夫だよ澪ちゃん」
紬「ちゃんと練習もしたし」
梓「いつも通りやりましょう!」
澪「そうだな…」
律「よーし! それじゃやるぞ!」
律・唯・澪・紬・梓「おー!」
梓「…そういえば唯先輩、CDはちゃんと持ってきてますか?」
唯「あっ! がくちゃん家に忘れたままだ!!」
澪「全く…」クスッ
律「まぁ、別に渡すのは今日じゃなくていっか…」
118: 2011/02/12(土) 21:09:38.79 ID:ymFAIlmM0
ガチャッ!
さわ子「みんなー! ライブの衣装できたわよー!」
律・唯・澪・紬・梓「おお!」
紬「すごーい!」
梓「かわいい…」
唯「さわちゃんやるぅー!」
律「グッジョブさわちゃん!!」
さわ子「これ…これなのぉー!」
さわ子「もっと言って!」
唯「グッジョブさわちゃーん!」
さわ子「もっともっと!!」
律「グッジョブさわ子ー!!」
さわ子「もっとよー!!!」
119: 2011/02/12(土) 21:10:08.50 ID:ymFAIlmM0
梓「それにしてもいい生地使ってますねこれ…」
さわ子「あぁ、それはガクト先生がお金を出してくれたの」
さわ子「『僕には服を作ることはできないから、せめて最高の生地を使わせてあげて』って」
紬「結局、最後までお世話になっちゃったね」
律「そうだな…このライブを最高のものにして、恩返ししてやろうぜー!!」
唯・澪・紬・梓「おおー!!」
120: 2011/02/12(土) 21:10:59.19 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
和「さあみなさんお待ちかね!
桜高祭の目玉イベント、『放課後ティータイムに』よる演奏です!!」
ワーワー!
キャー!!
唯「わあ… なにこれ…?」
梓「みんな私たちと同じTシャツ着てる…」
和「さあみなさん、盛大な拍手を!」
唯「和ちゃん!?」
澪「ちょっと和! 何やってるんだよ!?」
和「何かなし崩しにだけど、澪ファンクラブ会長を引き継いじゃったし…」
唯「じゃあじゃあ!」
梓「みんなが着てるTシャツは…!?」
和「落ち着いて」
和「Tシャツは山中先生と神威先生が用意してくれて、ライブ前に一緒にみんなに配ったの」
唯「先生…ありがとう…」グスン
梓「ありがとうございます!」ウルッ
--------------
和「さあみなさんお待ちかね!
桜高祭の目玉イベント、『放課後ティータイムに』よる演奏です!!」
ワーワー!
キャー!!
唯「わあ… なにこれ…?」
梓「みんな私たちと同じTシャツ着てる…」
和「さあみなさん、盛大な拍手を!」
唯「和ちゃん!?」
澪「ちょっと和! 何やってるんだよ!?」
和「何かなし崩しにだけど、澪ファンクラブ会長を引き継いじゃったし…」
唯「じゃあじゃあ!」
梓「みんなが着てるTシャツは…!?」
和「落ち着いて」
和「Tシャツは山中先生と神威先生が用意してくれて、ライブ前に一緒にみんなに配ったの」
唯「先生…ありがとう…」グスン
梓「ありがとうございます!」ウルッ
121: 2011/02/12(土) 21:12:41.69 ID:ymFAIlmM0
唯「えーっと… 放課後…ティータイムです…グスッ…」
『頑張れ唯ー!』
『頑張れー!』
唯「みんなありがとう…私たちの方がみんなにいろいろしてもらって…」
唯「なんだか涙が出そうです…グスッ」
律「もう泣いてるじゃねーか…」
『アハハハ』
『部長ナイス!』
『澪も何か言ってー!』
澪「あ…ありがとう…」
『キャー!』
唯「それじゃ一曲目…」
------------------
--------------
122: 2011/02/12(土) 21:13:33.33 ID:ymFAIlmM0
唯『それじゃあ、ここら辺でメンバー紹介を!』
『まずは顧問のがくちんです!』
『がくちんはまずいだろ!?』
『あっ…神威がくちんです!』
『それでもダメ!』
クスクス…
『がくちんはいつも優しくて、私たちを応援してくれています!』
ガク「おまえらー! 愛してるぞー!!」
キャー!
123: 2011/02/12(土) 21:14:07.89 ID:ymFAIlmM0
…この子たちの最後の学園祭ライブは、今までで最高のライブだった。
『それじゃあ最後の曲…U&I!』
相変わらず律のリズムキープはバラバラで…
でも澪と組むとしっかりとした土台になって…
唯の自信に満ちたギターの音はパワフルだけれどもどこか荒削りで…
けれどもそれをカバーするような梓の丁寧なプレーと合わさったギターサウンドはとても心地よくて…
紬のキーボードの音色がそれら全てを優しく包み込んでいるようなこの子たちの演奏は…
でこぼこな5人が助け合って…
引き出しあって奏でるバンドミュージックは、他のどんなにテクニックのあるバンドよりも胸に響き…
とても美しかった。
124: 2011/02/12(土) 21:14:40.31 ID:ymFAIlmM0
もう…僕はこっちにはいられないけど…
この子達なら大丈夫。
必ず行けるさ、武道館。
だから、絶対に諦めるなよ!
『みんな、ありがとー!』
------------------
--------------
125: 2011/02/12(土) 21:15:28.70 ID:ymFAIlmM0
律「なぁ和~! がくちゃん知らない?」
和「…? がくちゃん?」
唯「がくちんだよぉ~。 神威楽斗先生!」
和「神威ガクト… あぁ、GACKTのこと?」
和「…そんな噂、どこで聞いたかは知らないけど、
たかが私立高校の学園祭に、そんな大物アーティストが来る訳ないでしょ?」
和「それじゃあ私、生徒会の仕事があるから行くわね」
澪「ガク…ト?」
梓「そんな…すっごく有名じゃないですか」
紬「なんで今まで分からなかったんだろう…」
律「それよりどういう事だよ!?」
律「さっきの和の反応じゃあ、私たちの…
ガクちゃんと過ごした1年半は、夢だったみたいじゃないか!?」
唯「りっちゃん…」
紬「…とりあえず、部室に行きましょう …もう使えるみたいだから」
126: 2011/02/12(土) 21:16:01.80 ID:ymFAIlmM0
いつもと同じ部室…
いつもと同じ紅茶とケーキ…
何もかも、いつもと同じなのに… 先生がいないだけで、こんなに寂しくなるものなのか…?
なあ…帰ってきてくれよ…
ガクちゃん…
律「……」
唯「……」
澪「……」
紬「……」
梓「……」
127: 2011/02/12(土) 21:16:39.30 ID:ymFAIlmM0
唯「…?」
唯が、何かに気づいて机の中を漁っている…
こんなときくらい大人しくしてくれよ…
唯「ねえみんな」
一体何だっていうんだよ…
唯「これ、見て」カタンッ
唯「たぶんみんなの机にも入ってると思う」
澪「CDと…手紙?」
紬「これって…」
梓「もしかして」
律「ガクちゃんの字じゃねーか…」
128: 2011/02/12(土) 21:17:06.43 ID:ymFAIlmM0
唯の言った通り、私たち全員の机に、私たち一人ひとりへ向けた手紙とCDが入っていた…
さすが顧問、私たちと発想が同じか…ハハッ
唯「それじゃあ、再生するね」
澪「あぁ…」
CDプレイヤーから流れてきたその曲は、軽快でいて、私たちの思い出を走馬灯のように思い起させるような曲だった…
130: 2011/02/12(土) 21:17:39.21 ID:ymFAIlmM0
『振り返ればほら、当たり前になっていた君の笑顔が』
『いつの間にかほら 優しい思い出になってしまった現実』
『目を閉じれば、今でも笑った君がいて』
『いつも、誰よりも勇気を僕にくれたこと』
『BLACK STONE』
『突然現れて、ふざけて馬鹿をやったりした そんな何でもないことが』
『かけがえのない程の宝物になっていた あの日の現実』
『目を閉じれば、今でも笑った君がいて』
『いつも傷ついた僕を癒してくれる』
131: 2011/02/12(土) 21:18:12.26 ID:ymFAIlmM0
『寂しい時も 笑っているから』
『僕の側にはそう、君が… 君がいるから』
『ただ寂しがりの君をいつも憎めなくて…』
『目を閉じれば、今でも笑った君がいて』
『いつかまた必ず逢えると 信じているから』
『約束したから』
『BLACK STONE』
GACKT 『BLACK STONE』
http://www.youtube.com/watch?v=23qTT2_vW8s
132: 2011/02/12(土) 21:19:11.40 ID:ymFAIlmM0
梓「夢なんかじゃ…ありませんよ」
曲を聴き終わったとき、私たちの目からは涙が溢れていた。
紬「そうね…それに、悲しむことなんてないわ」
澪「ああ… 先生、言ってたもんな」
唯「『必ずまた会える』って」
だけど、その涙は悲しい涙なんかじゃ決してない。
だって約束したもんな?
私たちの為に、歌ってくれるって…
律「そうだな。 いつまでも泣いてたら、ガクちゃんに笑われるよな」
律「次に会ったときに」
そして、私たちはあの日に貰った黒い石のブレスレットを…
仲間の印の、あのブレスレットをそっと撫でた…
133: 2011/02/12(土) 21:21:06.98 ID:ymFAIlmM0
『夢は見るものじゃない。 夢は叶えるもの』
『夢を叶えること。 それは、強い意志を貫くこと』
『お前たちの未来に期待しているからな!』
『必ず行けよ? 武道館!』
『by 神威楽斗』
134: 2011/02/12(土) 21:21:52.22 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
スタッフ「GACKTさん、お疲れ様です!」
GACKT「お疲れさま~」
今日もいつものように慌ただしい現場が終わった…
今日は音楽番組の収録だったんだけど…
何故か、いつもより疲れた。
最近、若手アーティストの曲を聴いていても、『いいな』と思うことがない。
もちろん、以前からそういう若手が出てくることが少なくなってきたっていうのはあるんだけど…
以前は多少はそう思う事はあった筈だ。
彼らがいい曲を出していないから?
いいや、むしろ最近の彼らはよくやっている方だろう。
じゃあ何故?
135: 2011/02/12(土) 21:22:25.36 ID:ymFAIlmM0
5か月ほど前からだろうか、そう思うことがめっきりと減ってしまった。
若手の曲を聴いていると、何かを忘れているような感覚に陥ってしまうようになっていた。
思えばその感覚を初めて感じた前日、何か長い夢を見ていたような気がするんだけど…
ダメだ。 思い出せない。
136: 2011/02/12(土) 21:23:28.64 ID:ymFAIlmM0
スタッフ「西川さん、お疲れさまです!」
西川「お疲れ~」
あっ、西川君だ。
そういえば、彼に長いことDVDを借りてたな。
まだ観てないや。
…最近、モノ忘れが激しいのかなあ?
GACKT「お疲れ、西川君」
西川「おぉ~! お疲れ、ガクちゃん!」
ガクちゃん…?
いつも通りの呼び方なのに、どうしてこんなにむず痒いんだろうか…
GACKT「結構前に借りたDVDなんだけどさ、まだ観てないんだ。ゴメンね」
GACKT「もし見るんならすぐ返すけど…」
西川「DVD? 何それ?」
137: 2011/02/12(土) 21:24:08.87 ID:ymFAIlmM0
GACKT「?」
西川「そんなの貸してないよ?」
GACKT「いやいや、借りたよ! ほらアニメの…」
…? なんだっけな… タイトルが出てこない。
西川「アニメ? ガンダム?」
GACKT「いや違うんだけど…」
西川「絶対貸してないって! ガクちゃんボケてるんじゃないの~?」
GACKT(そう…なのかな。
でもこの胸のモヤモヤは一体…)
138: 2011/02/12(土) 21:24:56.60 ID:ymFAIlmM0
家に帰ってすぐ、僕は家中のDVDを漁り始めた。
この長く続く違和感の答えが、そこにあるような気がする。
そこで見つけた一枚のCD
GACKT(こんなのあったかな…?)
手書きのそのジャケットが何故か気になり、気づいた時には僕はそのCDを手に取っていた。
GACKT(なになに…)
GACKT(放課後…ティータイム?)
その名前を見た瞬間、体中に電撃が走るような衝撃を覚えた。
これは聞かなくてはと、本能が僕に呼びかけた。
このCDこそが、長きに渡る違和感を払拭するものだと、そう呼びかけた。
GACKT(再生…してみよう)
139: 2011/02/12(土) 21:26:03.30 ID:ymFAIlmM0
------------------
--------------
律『やっほーガクちゃん! アタシだよん☆』
唯『今日はいつもお世話になってるがくちんの為に、感謝の気持ちを伝えたいと思います!』
澪『先生にはいつも迷惑をかけてばかりで… どう言葉にしていいのか分からないくらい感謝しています』
紬『だから今日はそんな私たちの気持ちを、演奏に込めて贈りたいと思います』
梓『その方法が一番、私たち軽音部の為に尽くしてくれてる先生に伝わると思うから』
律『…せーのっ』
律・唯・澪・紬・梓『先生! ホントにありがとー!!』
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
--------------
律『やっほーガクちゃん! アタシだよん☆』
唯『今日はいつもお世話になってるがくちんの為に、感謝の気持ちを伝えたいと思います!』
澪『先生にはいつも迷惑をかけてばかりで… どう言葉にしていいのか分からないくらい感謝しています』
紬『だから今日はそんな私たちの気持ちを、演奏に込めて贈りたいと思います』
梓『その方法が一番、私たち軽音部の為に尽くしてくれてる先生に伝わると思うから』
律『…せーのっ』
律・唯・澪・紬・梓『先生! ホントにありがとー!!』
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪
140: 2011/02/12(土) 21:26:48.48 ID:ymFAIlmM0
懐かしい彼女達の声を聞いたとき、僕の目からは自然と涙がこぼれていた。
そして、懐かしい彼女達の曲を聴いていくにつれて、徐々に失われていた記憶が甦っていき…
最後の曲が終わった時には、僕は全てを思い出していた。
あぁ…なんで忘れていたんだろうか?
こんなにも大切な教え子たちのことを。
141: 2011/02/12(土) 21:27:17.54 ID:ymFAIlmM0
…そうだ。
あの子たちとの約束を果たさないと。
…あの子たちなら大丈夫。
きっとみんな同じ大学に合格してる。
僕の自慢の教え子だからな。
今日の日付は、3月12日。
確か卒業式は3月15日だったはずだから、あと3日か。
普通ならこんな日数で曲を作れるものじゃないけど、今回は大丈夫。
あの子たちへの思いを素直に曲にするだけだから。
142: 2011/02/12(土) 21:27:51.86 ID:ymFAIlmM0
~2011年 3月15日~
ガクちゃんが消えたあの日から、5か月が過ぎた。
あれから何度か不安になることはあったけど、それでも私たちは泣いたりはしなかった。
だって約束したもんな?
また会えるって…
なあガクちゃん?
私たち、みんな同じ大学に合格したんだぜ?
しかも第一志望だ。
すごいだろ?
だから、ガクちゃんも約束を守ってくれるよな?
また、会いに来てくれるよな?
143: 2011/02/12(土) 21:28:20.55 ID:ymFAIlmM0
校長「え~続きまして、プログラムにはないのですが…」
校長「みなさんの卒業式に、是非お祝いを言いたいと、ある方が駆け付けてくれました」
校長「では、どうぞ。 ご入場ください」
校長の呼びかけと共に現れた姿を見て、生徒・保護者から歓声が上がった。
ほら見ろ、私たちの顧問はすごいんだぜ?
こんな小さな約束だって、絶対に守ってくれるんだ。
144: 2011/02/12(土) 21:32:20.69 ID:ymFAIlmM0
GACKT「え~…みなさん、ご卒業おめでとうございます。
今日は、この桜ヶ丘高校をご卒業されるみなさんに、お祝いの言葉を言いたく、訪問させていただきました。」
GACKT「卒業…おめでとう」
GACKT「…君たちの、ほんの少し前を歩く先輩として、今から…この曲を送ります」
GACKT「これから先…君たちが」
GACKT「道に迷ったり、つまずいたり、立ち止まったりしたら、
この曲を聴いて、今日というこの日を思い出してください」
GACKT「それじゃあ…僕と、君たちのことを本当に、心から愛した先生たちから」
GACKT「君たちに、この曲を送ります」
GACKT『野に咲く花のように』
今日は、この桜ヶ丘高校をご卒業されるみなさんに、お祝いの言葉を言いたく、訪問させていただきました。」
GACKT「卒業…おめでとう」
GACKT「…君たちの、ほんの少し前を歩く先輩として、今から…この曲を送ります」
GACKT「これから先…君たちが」
GACKT「道に迷ったり、つまずいたり、立ち止まったりしたら、
この曲を聴いて、今日というこの日を思い出してください」
GACKT「それじゃあ…僕と、君たちのことを本当に、心から愛した先生たちから」
GACKT「君たちに、この曲を送ります」
GACKT『野に咲く花のように』
145: 2011/02/12(土) 21:33:31.66 ID:ymFAIlmM0
『誰もいないグラウンドの 名前刻んだ桜の下』
『いつか君ともう一度ここに来ることを約束しよう』
『チャイムの響く校庭の 片隅に咲く花のように』
『優しく笑ってくれた君だけに伝えたい』
『ただ「ありがとう」と…』
『僕たちはいつの日にか またこの場所で出逢うその日まで』
『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』
146: 2011/02/12(土) 21:34:03.24 ID:ymFAIlmM0
『通いなれたこの道も 教室から見える景色も』
『「いつまでも忘れないよ…」と涙浮かべた 君の笑顔も』
『いつも見慣れた夕暮れが 桜並木を染めてゆく』
『僕たちはそれぞれの思い出を胸に抱いて 歩き始める』
『いつか見た夢の場所へ たどり着くまであきらめないで』
『まだ名もない花だけれど 決して負けずに強く咲きたい』
『いつの日か歩いてきた 道を振り返るときが来るまで』
『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』
『僕たちはいつの日にか またこの場所で出逢うその日まで』
『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』
『決して負けずに強く咲きたい』
『咲きたい…』
147: 2011/02/12(土) 21:34:51.72 ID:ymFAIlmM0
GACKT「君たちの未来は、希望に満ち溢れているからな!」
その言葉は、先の見えない未来に怯えている私たちに向けたもののように感じられた。
律「おせぇよ…バカ」グスッ
律「どれだけ待ったと思ってるんだ…」
泣きながらそう強がって言ったとき、ガクちゃんと目が合った。
久しぶりに見たその顔は、とても優しい表情をしていた。
GACKT「律、唯、澪、紬、梓」
GACKT「立ってみろよ」
その言葉につられるように、私たち5人は立ち上がる。
4人の顔を見れば、みんな私と同じように涙を流していた。
GACKT「約束は守ったからな!」
GACKT「今度はお前らが…ここまで上がって来い!」
GACKT 『野に咲く花のように』
http://www.youtube.com/watch?v=ULUtMKKHSYU
148: 2011/02/12(土) 21:37:15.82 ID:ymFAIlmM0
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紬「ごめんなさい、今度は私が遅れちゃった」
澪「唯はちょっと早かったぞ?」
唯「そうかなあ?」
さわ子「次こそ決めてよ? もう職員室に行かなきゃいけないんだから」
唯「は~い。 じゃあ、せーのでジャンプね?」
梓「はいっ」
紬「せーの! せーの!」ピョン!ピョン!
律「澪~? お前も練習しといたほうがいいんじゃないのか?」
澪「私は一回も失敗してないから大丈夫」
149: 2011/02/12(土) 21:37:44.31 ID:ymFAIlmM0
唯「そうだ! せっかくだし、がくちんも入ってよ!」
GACKT「…そうだな。 そうするか」
さわ子「じゃあいくわよ~?」
さわ子「よーい!」
唯「せーの!」
パシャ!
150: 2011/02/12(土) 21:38:58.82 ID:ymFAIlmM0
澪「あっ…飛び遅れた…って先生!? なんて恰好してるんですか!?」
唯「あははは! がくちんルパン三世みた~い!」
梓「笑い事じゃないです! …先生も早く服着てください!」
GACKT「」プルプルプル…
律「変態だー!!」
紬「まあまあまあまあ!」キラキラ
さわ子「」パシャ!パシャ!
澪「ちょっ…!? 人のカメラで変なもの取らないでください!?」
おしまい
154: 2011/02/12(土) 22:23:09.44 ID:NCGh9Jcqo
ありがとう!面白かった!
155: 2011/02/12(土) 22:23:58.92 ID:XjZkHJtAO
おもしろかった!>>1乙!
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