1: 2017/05/02(火) 21:07:04.867 ID:g7syIh+l0.net
-街中-
サァァァァッ
タプリス(最近、雨が多いですね……)
タプリス(こう湿気が多いと、髪がゴワゴワしてしまって)
タプリス(まとまらなくて困ってしまいます)
タプリス(いつもサラサラな髪の方に憧れちゃいますね)
タプリス(あの頃の天真先輩のような……)
タプリス(まぁ、お手入れしなさすぎだと)
タプリス(今のような先輩みたいになってしまうんですけど)
タプリス(……いけない、もうこんな時間。そろそろ家に帰りましょうか)
タプリス(あ、こっちの方が近道かな)
タプリス(通ったことはありませんけど……)
タプリス(探検のつもりで行ってみましょう!)
2: 2017/05/02(火) 21:10:21.979 ID:g7syIh+l0.net
-路地裏-
タプリス(うっ、雨は止みましたが、思った以上に暗くて怖いです)
タプリス(ひ、引き返そうかな……)
老婆「……そこのお嬢さん」
タプリス「ひっ!」
タプリス(び、びっくりしたぁ……お、お婆さん?)
老婆「そう、驚きなさるな。取って食ったりはせんよ」
タプリス「は、はぁ」
タプリス(な、何でしょう。何やら、いろんな物を並べているみたいですけど)
タプリス(露店? ってやつでしょうか)
老婆「あんた、何かに悩んでいる相が出てるね」
タプリス「え、えっと……」
老婆「例えば……髪のこととか」
タプリス「えっ、どうしてわかるんですか!?」
老婆「わたしゃ占いもやってるからね。そのくらいお茶の子さいさいさ」
タプリス「す、すごいです!」
老婆「ふぁふぁふぁ、よかったら悩みを聞いてあげるよ」
タプリス「じ、実は……」
5: 2017/05/02(火) 21:13:17.848 ID:g7syIh+l0.net
老婆「つまりあんたは、さらさらの髪に憧れている、ということかい?」
タプリス「は、はい」
老婆「それなら良い物があるよ」
タプリス「本当ですか!?」
老婆「これさ」
タプリス「……せ、世界が嫉妬する髪になれるシャンプー?」
老婆「今ならお安くしとくよ」
タプリス「ちなみに……お、おいくらですか?」
老婆「100円ぽっきりさ」
タプリス「や、安いですね……」
タプリス(かなり怪しいですけど……)
タプリス(どうせ100円なら、髪に合わなくても捨てれば良いだけですし)
タプリス「わかりました、買います!」
老婆「ひひっ、お買上げどうも」
タプリス「それでは、ありがとうございました、お婆さん!」
老婆「ふぇふぇふぇ、またのお越しを」
13: 2017/05/02(火) 21:16:16.962 ID:g7syIh+l0.net
-下界のタプリスの家 お風呂場-
タプリス「さっそく、買ったシャンプーを試してみましょうか」
タプリス「匂いは……そんなにしませんね、仄かに石鹸の香りがします」
スッスッスッ
タプリス「あ、でもなんか、髪に馴染んでいく気がしますね」
タプリス「良い感じかもしれません」
ちゃぷん
タプリス「はぁ……いいお湯。生き返りますぅ……」
タプリス「このシャンプーが100円だなんて、かなりお買い得ですね」
タプリス「でも、あのお婆さん……」
タプリス「あんな路地裏で商売していて、儲かっているんでしょうか」
タプリス「人もほとんど来ないでしょうし」
タプリス「もしかすると、知る人ぞ知る名店なのかもしれませんね」
タプリス「でもまあ髪にだって、すぐ効果が出るものでもないでしょうし」
タプリス「少しずつ様子を見ながら、使っていきましょうか」
14: 2017/05/02(火) 21:19:22.381 ID:g7syIh+l0.net
-翌朝 タプリスの家-
サラサラッ
タプリス「……」パクパク
タプリス(……な、なんということでしょう)
タプリス(わたしの、あのくせっ毛が、こんなにもサラサラヘアーに……)
タプリス(しかも今日、雨予報ですよね。湿気も多いはずなのに)
スッスッ サラッ
タプリス(ゆ、指通りが気持ちいい……こんなの初めてです)
タプリス(まさかこれが、あのシャンプーの効果なんでしょうか)
タプリス(すごいです、すごすぎます!)
タプリス(良い買い物をしてしまいました! お婆さんありがとう!)
タプリス(こんなにサラサラだったら……)
タプリス(せっかくなので、もっと伸ばしてみようかな)
タプリス「えへへ」
タプリス「ん?」
タプリス(あれ? 何か違和感が……)
タプリス(まぁ気のせいですかね)
15: 2017/05/02(火) 21:22:38.752 ID:g7syIh+l0.net
-ガヴリールの家-
タプリス「ふぅ……やっと掃除が終わりました」
ガヴリール「おつかれさん」
タプリス「もう! 少しは自分でやってくださいよ」
ガヴリール「ほら、私タプリスに全幅の信頼を置いてるからさ」
ガヴリール「邪魔しちゃ悪いと思って」
タプリス「要は、面倒くさいだけじゃないですか……」
ガヴリール「そうともいう」
タプリス「仕方がない先輩です……、それよりも」
ガヴリール「ん?」
タプリス「何か、気づきません?」
ガヴリール「何かって?」
タプリス「ほら」
サラッサラッ
ガヴリール「ああ、首振りダンス? 今流行ってるの?」
タプリス「そんなわけないじゃないですか!」
タプリス「もう知りませんっ! 失礼します!」
バタンッ
ガヴリール「なんだあいつ……」
17: 2017/05/02(火) 21:25:24.753 ID:g7syIh+l0.net
-その日の夜 タプリスの家 お風呂場-
タプリス「もう、先輩ったらひどいです」
タプリス「この髪に全く気づいてくれないなんて」
タプリス「……こうなったら、髪をもっと伸ばして」
タプリス「絶対に気づかせてみせるんですから!」
タプリス「そのためにも、この髪質をキープしないといけませんね」
タプリス「今日は少し多めに使いましょう……」
-翌朝 タプリスの家-
タプリス「……」パクパク
タプリス(……な、なんということでしょう)
タプリス(これは夢では……ないですよね)
タプリス(絶対、髪が10cmくらい伸びてます……)
タプリス(まさかあのシャンプーには、髪を伸ばす効果もあるんでしょうか)
タプリス(昨日の違和感は、これだったんですね……)
タプリス(す、すごすぎて、震えが止まりません)
タプリス(でもこれならすぐに……)
タプリス(あの頃の天真先輩のようなロングヘアーになれます!)
タプリス(カット代はちょっと高くついちゃいそうですが……)
タプリス(やるしかありません!)
19: 2017/05/02(火) 21:28:21.992 ID:g7syIh+l0.net
- 一週間後 タプリスの家 -
ファサッ サラサラッ
タプリス「ふふっ、うふふっ」クルクルー
タプリス「ついにわたしは、やったんです」
タプリス「憧れのサラサラロングヘアーを、手に入れました!」
タプリス「なんだか自分が自分でないみたいですね」
タプリス「おほんっ」
タプリス「タプリス、タイが曲がっていてよ」
タプリス「な、なんちゃって……えへへ」
タプリス(冗談は置いておきまして)
タプリス(あれから先輩たちには、なるべく会わないようにして)
タプリス(やっと、この日を迎えることができました)
タプリス(いざ、リベンジです!)
20: 2017/05/02(火) 21:31:17.282 ID:g7syIh+l0.net
-ガヴリールの家-
タプリス「お、お邪魔します……」
ヴィーネ「あら、えっと……」
タプリス「あ、月乃瀬先輩もいらっしゃったんですね」
ヴィーネ「えっ、タプちゃん? か……」
タプリス「か?」
ヴィーネ「かわいい! かわいいかわいいかわいい!!」
ぎゅぅぅ
タプリス「つ、月乃瀬先輩!?」
ヴィーネ「どうしたの、この髪!? お人形さんみたい!」
ガヴリール「おーおー、これはまた随分変わったな」
ガヴリール「ウィッグってやつか?」
タプリス「いえ、これはその……自毛です」
ヴィーネ「えっ? でも前にあった時から、そんなに経ってないわよね」
タプリス「実は……」
21: 2017/05/02(火) 21:34:16.628 ID:g7syIh+l0.net
ヴィーネ「へぇ、そんなものがあるのね……」
ガヴリール「ふーん」
タプリス「それでその……天真先輩、どうでしょうか」
ガヴリール「なんか昔の私を思い出すから、むずむずする」
タプリス「そ、そうですか……」
ヴィーネ「こら、ガヴ! タプちゃんはそういうこと聞きたいんじゃ……」
ガヴリール「……まぁ、良いんじゃないか」
タプリス「えっ」
ガヴリール「あの頃の私の後釜として、これから頑張ってくれ」
タプリス「天真先輩……」
ヴィーネ「もう素直じゃないんだから。かわいいって言ってあげればいいのに」
ガヴリール「それ言ったら、なんか自分のこともかわいいって」
ガヴリール「言ってるみたいで嫌なんだよ」
ヴィーネ「なるほど。つまり、かわいいとは思ってるわけね」
ガヴリール「なっ!? ……そ、そうだよ、悪いか!」
ガヴリール「ああ、かわいいよ! かわいい! タプリスかわいい!」
タプリス「えへへ、本当にうれしいです……」
タプリス「ありがとうございます、天真先輩っ」
22: 2017/05/02(火) 21:37:16.428 ID:g7syIh+l0.net
-その日の晩 タプリスの家-
タプリス(天真先輩に、かわいいって言ってもらえちゃった)
タプリス(しかも、あんなに顔を真っ赤にして、何度も……)
タプリス「……」
タプリス(きゃー)
ゴロゴロッ
タプリス(本当に、あのシャンプー様様です)
タプリス(お婆さんには足を向けて寝られませんね)
タプリス(これからもがんばって、この髪を維持していかないと!)
23: 2017/05/02(火) 21:40:17.899 ID:g7syIh+l0.net
-数日後 タプリスの家-
タプリス(あ、前髪少しだけ長いかな?)
タプリス(ちょっとなら、自分ででも……)
チョキッ ガチッ
タプリス「えっ? 嘘……切れない?」
チョキッ ガチッ
タプリス「そ、そんなに髪が硬いはずないのに……」
タプリス「指で触ってもサラサラだし」
タプリス「う、後ろは……」
チョキッ ガチッ
タプリス「こっちも切れない……ど、どうして?」
タプリス(まさか……そんな……)
タプリス(もしかして、あのシャンプーのせい?)
25: 2017/05/02(火) 21:43:18.330 ID:g7syIh+l0.net
-さらに数日後 タプリスの家-
タプリス(あのシャンプーを使うのやめて、数日……)
タプリス(切れないのが直るどころか、さらに髪が伸びています……)
タプリス(シャンプーの容器には、それらしい記載は何もないですし)
タプリス(どうしましょう……)
タプリス(そ、そうだ! あのお婆さんのところに!)
-路地裏-
タッタッタッ
タプリス(あ、あれ、いない!?)
タプリス(今日はお休みなんでしょうか……)
タプリス「お婆さん! おばあさーん!」
タプリス(どうしよう、このままじゃ……)
タプリス(後ろ髪はもう、太ももまで伸びてますし……)
タプリス(と、とりあえず、明日も来てみましょう)
26: 2017/05/02(火) 21:46:15.537 ID:g7syIh+l0.net
-さらに数日後 タプリスの家-
タプリス(……あれから毎日、路地裏に通いましたが)
タプリス(結局、お婆さんに会うことはできませんでした)
タプリス(後ろ髪はそろそろ、地面まで届きそうです……)
タプリス(前髪も長すぎて、オバケみたいですし)
タプリス(どうしてこんなことになったんでしょう)
タプリス(わたしはただ、綺麗な髪になって)
タプリス(天真先輩に褒めてもらいたかっただけなのに……)
タプリス(努力もせずに、欲に目がくらんで)
タプリス(調子に乗りすぎてしまったせい、でしょうか)
タプリス(こんな姿じゃ、先輩たちに顔向けできません……)
しゅるしゅる
タプリス(ん? 何か今、髪が……動いたような)
タプリス(……気のせいですよね)
27: 2017/05/02(火) 21:49:19.518 ID:g7syIh+l0.net
-さらに数日後 タプリスの家-
ピンポーン
ヴィーネ『タプちゃん、家にいるのかしら』
サターニャ『そういえば最近、会ってなかったわね』
タプリス「せ、先輩たち!? 駄目です! 中に入っちゃ!!」
しゅるしゅる
ヴィーネ『えっ、今のタプちゃんの声じゃない!?』
しゅるしゅる カチャ
サターニャ『あ、鍵があいたみたいだけど』
タプリス「ドアを開けちゃだめぇぇぇ!!」
ガチャ
ヴィーネ「お邪魔しま……って!?」
しゅるしゅるしゅる うねうねうね
サターニャ「な、なによこれ!? 毛? 毛が部屋中に広がってる!?」
28: 2017/05/02(火) 21:52:17.453 ID:g7syIh+l0.net
ヴィーネ「この金色の毛は……まさか!?」
タッタッタッ
バタンッ
ヴィーネ「タプちゃん!? って、何これ! 毛の塊!?」
タプリス「月乃瀬先輩ぃ……き、来ちゃダメですぅ……」
ヴィーネ「ま、まさか、その中にいるの!? タプちゃん!?」
タプリス「は、はいぃ……」
サターニャ「うえ、気持ち悪い……毛が壁中に這ってて蠢いてるわ」
ヴィーネ「だ、大丈夫!? 怪我はない!?」
タプリス「怪我はしてませんが、身動きが全く取れないです……」
ヴィーネ「この毛って、まさか、タプちゃんの髪の毛?」
タプリス「はい、そうですぅ……」
サターニャ「何がどうなったら、こんなに伸びるのよ!」
タプリス「あ、あのですね……」
29: 2017/05/02(火) 21:55:19.329 ID:g7syIh+l0.net
ヴィーネ「つまり、そのシャンプーを使い続けたら髪がどんどん伸びて」
ヴィーネ「おまけに切ることもできず、さらには勝手に動くようになったと……」
サターニャ「おかしいでしょ、そんなの!」
タプリス「でも、本当なんですぅ……」
ヴィーネ「とりあえず、タプちゃんを助けるわよ、サターニャ」
サターニャ「そ、そうね」
ぐいっ ぐいっ
サターニャ「なによこれ! 全然ほどけないじゃない!!」
タプリス「あっ! 駄目です! 近づくとみなさんにも!」
ヴィーネ「えっ!?」
しゅるしゅるしゅる ガシッ
サターニャ「な!? 毛が手足に絡まって……」
ヴィーネ「う、動けない……ッ」
ぐわんっ ぷらーん
ヴィーネ「きゃぁぁぁぁっ!!」
タプリス「先輩!? 大丈夫ですか!?」
サターニャ「このっ! 離しなさいよ!! 降ろしなさいぃ!!」
30: 2017/05/02(火) 21:58:18.715 ID:g7syIh+l0.net
しゅるしゅるしゅる うねうねうね
ヴィーネ「ひゃっ!? ど、どこ触って!?」
サターニャ「だ、だめっ! くすぐったい! くすぐったいじゃないっ!!」
タプリス「先輩、ごめんなさいごめんなさいぃ……」
ヴィーネ「やめっ、やめて……そこは絶対ダメ!!」
サターニャ「足の裏っ、だめっ……だめだったらっ! し、氏ぬぅ!」
タッタッタッ
ガヴリール「おい、どうした!? って、なんだよこれ……」
タプリス「天真先輩ですか!? と、とりあえず、近づかないでください!」
ガヴリール「タプリス!? その毛玉の中か!?」
ラフィエル「サターニャさんたちが、触手プレイを……」パシャパシャ
サターニャ「撮らなくていいから、助けなさいよバカ!」
31: 2017/05/02(火) 22:01:22.126 ID:g7syIh+l0.net
ガヴリール「なるほど、髪が自我を持って、人を襲っているのか……」
ラフィエル「厄介ですね。どうやらタプちゃんの生命力を吸いあげて」
ラフィエル「それをエネルギーにして活動しているようです」
ラフィエル「よく見ますと、髪の中から、さらに新しい髪が伸びているので」
ラフィエル「頭皮から、直接伸びてきているわけではないみたいですね」
ガヴリール「……仕方がない、燃やすか」
ラフィエル「ガヴちゃん、それはさすがに……髪は女の命ですよ」
ガヴリール「いやいや、これもう、化け物の命じゃん……」
ラフィエル「要は、タプちゃんからのエネルギー供給が止まれば」
ラフィエル「次第に、髪も大人しくなる、ということですよね」
ガヴリール「おいおい、供給を止めるって、まさか……」
ラフィエル「そのまさかです。それしか方法はありません」
ガヴリール「でも、具体的にはどうやって?」
ラフィエル「まずは、髪にまんべんなく水をかけるのを手伝ってください!」
ガヴリール「そういうことか、わかった」
32: 2017/05/02(火) 22:04:24.864 ID:g7syIh+l0.net
バシャァ
ヴィーネ「冷たっ!」
サターニャ「何するのよ!?」
ラフィエル「みなさん! 少しだけ我慢していてくださいね」
ラフィエル「きついのは、一瞬ですから!」
タプリス「白羽先輩、いったいなにを……」
ラフィエル「タプちゃん。必ず助けますから、私たちを信じてください」
タプリス「わ、わかりました!」
ガヴリール「よし、こっちは終わったぞ!」
ラフィエル「では準備に移りましょう」
ガヴリール「これは……二人がかりだな」
ラフィエル「ええ、こうやって二人で協力するのも久しぶりですね」
ガヴリール「そうだったっけ、まぁいいや」
ガヴリール「じゃあ行くぞ!」
ラフィエル「せーのっ!」
『神足通!!』
33: 2017/05/02(火) 22:07:54.270 ID:g7syIh+l0.net
-南極のどこか-
シュンッ
カチカチカチッ
タプリス「ひえぇぇぇぇっ!」
ヴィーネ「な、なによこれぇぇぇぇ!」
サターニャ「うぎゃぁぁぁぁっ!」
ガヴリール『タプリスの家に宇宙服があって助かったな』シュコー
ラフィエル『ええ、そうですね』シュコー
コチコチコチッ
タプリス「」
ヴィーネ「」
サターニャ「」
ガヴリール『よし、みんな仮氏状態になったみたいだ』
ラフィエル『化け髪の活動も停止して、色も白くなってますね』
ガヴリール『じゃあ、天真流彫刻術のお披露目といこうか』
ラフィエル『よっ、ガヴちゃん、天界一!』
ガヴリール『匠の技を見せてやんよ!』
カンカンカンッ
34: 2017/05/02(火) 22:10:30.447 ID:g7syIh+l0.net
ガヴリール『ふぅ……これで髪とみんなの分離は終わったか』
ラフィエル『素晴らしいですね、タプちゃんの以前の髪の長さ』
ラフィエル『覚えていたんですか?』
ガヴリール『……まぁな』
ラフィエル『あ、切り離した方の化け髪は全て、氷の中に埋めておきました』
ガヴリール『サンキュー、よし、じゃあ帰るぞ』
ラフィエル『はいっ』
-タプリスの家-
シュンッ
タプリス「」
ヴィーネ「」
サターニャ「」
ガヴリール『あとはこいつらを……温めるか』
ラフィエル『あ、私サターニャさんやります』
ぎゅぅぅぅ
ヴィーネ「はっ!?」
サターニャ「なはっ!?」
ガヴリール「おう、気づいたみたいだな」
ヴィーネ「ここは……あ、髪の毛が解けたのね」
ラフィエル「ガヴちゃん! タ、タプちゃんが蘇りません!」
ガヴリール「な、なんだって!?」
35: 2017/05/02(火) 22:13:33.051 ID:g7syIh+l0.net
タプリス「」
ガヴリール「おい、しっかりしろ!」
ラフィエル「おそらく、化け髪に生命力を多く吸われていたせいで……」
ガヴリール「くそっ、こうなったら最終手段だ」
ラフィエル「ガヴちゃん、いったい何を!?」
ガヴリール「私の命を、こいつに分けてやる! とりあえず風呂場に運ぶぞ!」
ラフィエル「は、はい!」
-タプリスの家 お風呂場-
ガヴリール「タプリスの服を脱がしてくれ」
ラフィエル「えっ? あ、なるほど……わかりました!」
ガヴリール「私も脱いで……」ポイポイッ
ガヴリール「よし、準備OKだ。お、お前はちょっと外に出ててくれ」
ラフィエル「え?」
ガヴリール「え? じゃない! 恥ずかしいだろ!」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
ガヴリール「い、い、か、ら! 早く出ろ!」
ラフィエル「うふふ、あとはお二人でお楽しみをー」
36: 2017/05/02(火) 22:16:31.979 ID:g7syIh+l0.net
タプリス「」
ぴとっ
ガヴリール「はぁ、こんなに体冷たくして」
ぎゅぅ
ガヴリール「お前はどれだけ、私に心配をかけたら気が済むんだよ」
ガヴリール「ほら……私の命、もっていけ」
ぎゅぅぅ パァァッ
タプリス「」
ガヴリール「……くそっ、まだ足りないのか!」
ガヴリール「こうなったら……私の本気を見せてやるッ!」
ぎゅぅぅぅぅ
ガヴリール「はぁぁぁぁぁっ!!」
ゴゴゴゴゴゴッ
ガヴリール「燃え上がれぇぇぇ、私の小宇宙ぉぉぉぉ!!」
ガヴリール「帰ってこいぃぃぃっ!! タプリスゥゥゥッ!!!」
ピカァァァァァァッ
37: 2017/05/02(火) 22:19:29.782 ID:g7syIh+l0.net
タプリス「……んっ」
ガヴリール「気づいたか」
タプリス「天真……先輩?」
ガヴリール「ああ、私だ」
タプリス「ここは……お風呂場? って!?」
タプリス「あわっ、あわわわわっ!!」
タプリス「な、ななななな、なんでわたしたち裸で抱き合って!!??」
ガヴリール「えっ? あ、これにはワケがだな……」
タプリス「せ、先輩のぉ……えOちぃぃぃっ!!!!」
パシンッ
ガヴリール「へぶっ!!」
――
タプリス「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃ!!」
ガヴリール「いいってもう。とりあえず一件落着なんだし」
タプリス「で、でも……」
ガヴリール「今後は怪しい奴の言うことは、聞かないように、な」
タプリス「は、はい……すみませんでした」
ガヴリール「それと、私は……い、一回しか言わないぞ」
タプリス「はい?」
ガヴリール「前の髪型だって……お、お前らしくて似合ってると思う」
タプリス「せ、先輩……」
ぎゅぅぅ
タプリス「ありがとうございます、先輩……」
38: 2017/05/02(火) 22:22:29.934 ID:g7syIh+l0.net
-タプリスの家-
サターニャ「結局、私たち悪魔組は氏に損じゃない!」
タプリス「す、すみません、本当にすみません!」
ヴィーネ「タプちゃんが気にすることはないのよ」
ヴィーネ「気にするのは……そこの先輩天使ども!」
ヴィーネ「もうちょっと、穏便な方法はなかったのかしら!?」
ラフィエル「燃やす……よりはだいぶ穏便だったかと」ニコッ
ガヴリール「お前たち、悪魔の生命力は大したものだな、見直したぞ」
サターニャ「そ、そう? わ、わかればいいのよ、わかれば!」
ヴィーネ「はぁ……もうあんなのこりごり……」
――
ラフィエル「それでは、私たちはこれで失礼しますね」
タプリス「は、はい! みなさん、今日は本当にありがとうございました!」
バタンッ
タプリス「あれ、天真先輩?」
ガヴリール「ああ、今日ここに泊まってくわ」
タプリス「あ……」
ガヴリール「いいだろ?」
タプリス「はい、先輩っ」
39: 2017/05/02(火) 22:25:44.833 ID:g7syIh+l0.net
ガヴリール「とりあえず、風呂借りるぞー」
タプリス「あ、はい、どうぞ!」
――
タプリス「じゃあ、もう電気消しますね」
ガヴリール「ああ」
パチッ
タプリス「先輩……わたしが寂しそうにしてたから、残ってくれたんですか?」
ガヴリール「ちげーよ、帰るのがめんどかっただけ」
タプリス「そ、そうですか……えへへ、ありがとうございます」
ガヴリール「……もう寝るぞ。おやすみ」
タプリス「はいっ、おやすみなさい、先輩」
-翌朝-
タプリス「ふわぁぁ……、おはようございます」
ガヴリール「おはよう」
タプリス「先輩? ど、どこですか? って!?」
ガヴリール「お前なぁ……、シャンプーちゃんと捨てとけよ」
しゅるしゅるしゅる
タプリス「はわ、はわわわわ……先輩の髪が……」
うねうねうね うねうねうね
タプリス「もう勘弁してくださいぃぃぃぃっっ!!!」
おしまい
40: 2017/05/02(火) 22:34:21.899 ID:xC82GEwk0.net
いい話だった乙
41: 2017/05/02(火) 22:35:01.218 ID:YER81GR3a.net
千咲ちゃんシリーズ好きなんだぎゅーってしたいんだ
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります