1: 2015/03/24(火) 00:02:29.11 ID:4jBBhqP+.net
真姫×海未短編SS
少しずつ投下します

少しだけ暖かくなって、ちょっとずつではあるけれど花達も綺麗に蕾を膨らませ始めた春の昼下がり――。

昼休みに、忘れてしまった楽譜を取りに来ると、そこには気持ち良さそうに眠っている少女が…というより、海未が眠ってた。

いつもはキリッと、本当に武士のようにお堅い海未が、こうやって口元を少しだけ緩めて気持ちよさそうに眠っているのを見ると、ふふっ…意地悪したくなっちゃう♪

「海未…ちゃん…♪」

いつもは海未『ちゃん』なんて呼ばないんだけれど…。そんな意地悪をしながら、さらに、ちょっと赤い頬を突いてみたりしちゃって。

「んっ…んんっ…」

あーあ…顔を背けちゃった。これは完全に熟睡してるパターン…。差し詰め、穂乃果かことりを待っていたら、予想以上に来るのが遅くて…この春の陽気に負けちゃったのね。

―――――このまま、寝かせておいてあげようかな…。なんて、一瞬思ったけれど。

「ラブアロー…シュート♪」

今日の私って…何か変。

海未の寝顔は…絶大な力を持っているのね。

またもや頬に襲来してきた私の人差し指。流石のぐっすり海未ちゃんでも、耐え切れなくなったらしく、スッと起き上がって―。

「………っ!?み、見ましたか…」

外にちょっとだけ咲き始めてる桜の花の可愛らしい桃色…そんな桃色と、海未の頬の色はまさにマッチしてて―

「私は見てないわよ?海未ちゃんの可愛らしーい寝顔な・ん・て♪」

口をパクパクさせて、桃色どころか真っ赤ーに顔を染めちゃって。ほんとうに可愛い♡

「まあたまにはいいじゃない…。穂乃果とかことりには内緒にしておくから…たまには海未もゆっくりしなさいよ」

4: 2015/03/24(火) 00:13:14.32 ID:4jBBhqP+.net
海未はー。

堅すぎる。

いっつもニコちゃんとかと一緒にいることが多い私は、ついニコちゃんと海未を比較してしまうことが多くて。

ふんわりふわふわ、海未と比べてしまったら「綿」って言ってもいいくらい軽いニコちゃんと…対する海未。

でも、そんなニコちゃんの軽さなんかよりも、どうしても海未が…自分自身で堅いってイメージを板に付けてしまってるんじゃないかって…心配な時もある。

だから、こういう海未を見てると、なんかこう…落ち着く。

どれが本当の海未の「素」なのかは…分からない。きっと、海未にも分かっていないんだと思う。

でも…それでいいの。時々こんな海未も見せてくれれば―。

…って、私ったら…海未の保護者でもないのに。

「真姫ー…?ぼぅーっとして…どうしたのですか?」

海未にしては珍しく…机に顔を横たわらせて、スローペースな口調でそんなことを聞いてくるもんだから…。

「ふふっ…。何でもないわ。」

不意に笑いが出てしまった私に、「おかしな真姫…」とでも思っているかのような表情をして、また目をつぶって眠ろうとする海未…。

7: 2015/03/24(火) 00:26:30.95 ID:4jBBhqP+.net
ーあ、そうだ。

さっき、自販機でりんごジュースを押したのに…多分業者の人が入れ違えてしまったのか…私に対する嫌がらせのように出てきたオレンジジュース。

もう、私…みかんは嫌いなのに。

寝ちゃった…?微動だにせず、すーすー…と小さくてかわいい寝息を立ててる海未のおでこに…冷えきったオレンジジュースの缶を当てると…。

「ひゃぁっ!?」

おっとりモードの海未ちゃんも、さすがにこの急襲には驚いたのか、ビクッと体を起こして。そんな海未に、オレンジジュースをあげたんだけど…。

カチッ…カチッ…缶のプルタブに苦戦している様子の海未に、横からスッと取ってプルタブを開けてあげる…。

「もう…海未のウリは、お姉さん要素じゃなかったの?」

何ですか、その「おねえさん要素」とは…ってやっぱりまたちょっと頬を赤らめて缶を受け取る。

お姉さん要素…そういえば海未は、年の離れたお姉さんがいるんだったわよね。その影響で…お姉さんキャラ?まあ、今のこのシチュエーションを見た人は誰しもが…お姉さん要素が欠片くらいしか残っていない、というより、妹要素の方が強いこの海未を見て唖然とするわよね…。

特に穂乃果とことりに見られたら…。面子なんてあったもんじゃないわね。

海未のお姉ちゃん……悪く無いわ…♪

11: 2015/03/24(火) 00:40:04.14 ID:4jBBhqP+.net
――おとうさん、「ひとりっこ」って…さびしい子のことを言うの…?

いつかはもう覚えてないけれど…

昔…本当に覚えてないくらい昔に、同じクラスの子に、「一人っ子で、寂しくないの…?」って聞かれて。

それで、家に帰るなり、お父さんの膝の上に座りながら聞いてみた。

「そんなことないよ」ってお父さんは言ったの。

事実、16年間の私の人生の中で、「一人っ子で寂しい。」なんて思ったことは無かった。でも……。


私の眼の前にいるこの子が…私の妹だったら…。

なんてふと想像してしまった。

「海未、そんなところで寝てると…顔に跡がつくわよ」

なーんて…お姉ちゃんキャラで言いたかったな…って願望を抑えて。

14: 2015/03/24(火) 00:49:36.36 ID:4jBBhqP+.net
多分…何も考えていないだろう海未がまた横たわって…。私も喋らないせいでまた部室に静寂が戻った。

そして、しばらくしてからー

「私だって…いつもお堅い(?)キャラなわけではありません。
剣道、日舞、弓道、古武道、確かにどれもこれも、自分を律しなければならないものばかりです。
ですが…たまに……本当に誰も見てない時だけ…こうやって力を抜くんです。
……今日は…ついに真姫に見られてしまいましたね。真姫、何度も言うようですがこの事はーー」

「内緒。でしょ♪」

もちろん、内緒にするわよ。だって、こんなに可愛い海未を見られたことを誰かに言ったりしたら…


『プレミアム感』、が無くなっちゃうじゃない♡

「海未、今度、公園にでも一緒に出かけて…またその可愛いぐったり海未ちゃんを見せてちょうだい♡」

「なっ…」

そうしてまた、チャイムが鳴る。

海未はすっと立ち上がって。



「真姫、授業に遅れてしまいますよ。さあ、行きましょう。」

ふふっ…いつもの海未ね。

おしまい

16: 2015/03/24(火) 00:57:34.87 ID:4jBBhqP+.net
いつもは下を書いているのですが…今回は短編で真姫×海未SSを書いてみました

見てくださった方々、ありがとうございました

17: 2015/03/24(火) 01:40:54.75 ID:uEZvGbkY.net

なかなか

引用元: 真姫「海未…ちゃん♪」ツンツン