1: 2013/01/13(日) 23:49:08.18 ID:XBHi9MXt0
執務室。
コンクリートの壁は、冬の寒さをより際立たせる。
あいにく、暖炉という存在のおかげで
私は何も問題なくペンを動かすことができていた。

まどをふと見てみると、雪がはらはらと舞っていた。
ネウロイは昨日現れたから、きっと今日は大丈夫。
けれど、やはりここ最近は日中もよく冷える。寒い中で出撃となると、心配なのは風邪。
体調管理には気を付けるように、今度のミーティングで言っておかなければならないわね。

窓から紙面へと目線を戻すと、コンコン、という音が聞こえた。
そして、間をあけてもう一度リズムが刻まれる。
このノックの仕方は――――――――

「失礼する」

雪のように白い軍服を着た黒髪が、私が応答する前に室内に入ってくる。
何度も「人が応える前に入るなんて」と小言を漏らしたものだが

「もう、美緒」
「人が返事をする前に入ってこないでって、何度言ったらわかるのよ」

いつだって…今回だってやっぱり、私の頬は緩んでしまっていた。
会いたい人に会えることは、嬉しいもの。

4: 2013/01/13(日) 23:54:40.88 ID:XBHi9MXt0
坂本「おぉ、すまんな」
   「許してくれ、ミーナ」

ミーナ「許される気もないくせに」

坂本「まぁ、それはそうだが」

美緒は軽く笑った。

ミーナ「全く、困った人だわ」

本当に、困った人。その笑顔だけで許してしまう。
勿論、勝手に入ったことを本気で咎めるようなことはしないけれど。
彼女は、執務室のソファに腰掛ける。

ミーナ「で、何か用かしら?」

坂本「ん?いや」
   「書類がずいぶんたまっているのではないかと思ってな」

ミーナ「手伝いならいいわよ」
    「あなたは、可愛い宮藤さんやペリーヌさんの面倒でも見ていたらどう?」

ちょっと、含みを持たせて意地悪に言う。
美緒は小さく苦笑いした。

9: 2013/01/14(月) 00:01:04.90 ID:YHbotCwW0
坂本「まぁ、訓練も良いがな」
   「最近は寒いから、たまには休息を取らねば体調を崩すだろうと思ったんだ」
   「だから今日は訓練は休みだ」

ミーナ「あら、それが訓練大好きなあなたのセリフなの?」

坂本「訓練するにも、やはり体を壊してしまっては元も子もない」

ミーナ「どうせ自分は訓練をしていたんでしょう?」

坂本「私は風邪をひくようなヤワな作りはしていないからな」

ミーナ「もう、それで風邪をひいたらどうするの?」

坂本「その時には1日で治すさ」

ミーナ「無理でしょ…」
    「とにかく、手伝いは良いの」

ミーナ「でもまぁ…その代わりに私の話相手をしていてくれる?」

坂本「お安い御用だ」

と、その時、またドアを叩く音がする。
丁寧だけれど、どこか力強いこの音は…。

13: 2013/01/14(月) 00:07:30.39 ID:YHbotCwW0
ミーナ「どうぞ」

ガチャン。扉が開かれるとそこには
私の戦友であり親友である、トゥルーデがいた。
彼女のきびきびとした動きには、普段の真面目さがよく表れていると思う。

バルクホルン「失礼」

ミーナ「どうかしたの?」

バルクホルン「いや、大したことではないんだが」

坂本「何か異変でもあったか?」

バルクホルン「そういうことでもないんだ」
        「…最近、書類が忙しいそうだな」

ミーナ「えぇ、まぁ書類の整理が忙しいのはいつものことだけれどね…」

バルクホルン「そうか」
         「まぁ、そこでだ。私が手伝おうかと思ってな」

この隊はお人よしばかりね。まぁ、そこが良いところなのかもしれないけれど。

14: 2013/01/14(月) 00:12:19.03 ID:YHbotCwW0
ミーナ「大丈夫よ、これくらいならすぐ終わるわ」

バルクホルン「と言っても、ここ最近は働きづめじゃないか」

ミーナ「ちゃんと寝てるわよ?」

バルクホルン「それでもな、隊長であるミーナが体調を崩してしまっては」
        「この隊全体に支障が出るんだぞ」

ミーナ「まぁ、それもそうかもしれないけれど…」

バルクホルン「私だって大尉という地位にある身だ」
        「そのような仕事を任せるべきだろう」

ミーナ「でも…」

バルクホルン「まったく、こういうところは頑固だな」

それはあなたには言われたくないわ…。

17: 2013/01/14(月) 00:21:22.81 ID:YHbotCwW0
バルクホルン「しかし私もな、そこまでは予想できていたぞ」
         「だから今日は私だけではない」

バルクホルン「私たちが、仕事をする」

ミーナ「え?」

コンコン、というノックの後、再びドアが開かれる。

シャーリー「失礼するよ、っと」

ミーナ「…シャーリーさんまで」

バルクホルン「そうだ、私が呼んでおいた」
         「どうせ私ひとりだと任せてはくれないと思ったからな」

シャーリー「まったく、この堅物、ミーナが心配だってうるさいからさ~」

バルクホルン「隊の心配をするのは軍人としては当然のことだろう!」

シャーリー「はいはい…」
       「まぁ、ともかくさ、今日は私らが仕事するって」

シャーリー「たまには1日くらい休んでも罰は当たらないぜ?」

ミーナ「うぅん…」

19: 2013/01/14(月) 00:28:12.65 ID:YHbotCwW0
坂本「うむ…」
   「では、私も手伝おう」

坂本「それならば、ミーナも仕事を安心して預けられるだろう?」

ミーナ「美緒まで…そんな…」

シャーリー「おっと、それには及ばないぜ!」

私がまた遠慮しようとすると、シャーリーさんがそれを遮った。
そして、立ち上がっていた私と美緒の背中を押す。

シャーリー「今日は中佐だけじゃなく、少佐も休みの日だ!」
       「あんたら二人だけで、隊の仕事を抱え込みすぎだって!」

ミーナ「えっ、ちょ、ちょっと」

美緒「お、おい…」

シャーリー「だーいじょうぶだって、私だって、あの堅物だってさ、大尉だぜ?」
       「無駄に場数は踏んでないってさ!」

私たちは二人とも、あっけにとられたまま執務室の外に押し出された。

シャーリー「それじゃ、Have a naice holiday♪」

バタン。扉の音が廊下に響いた。

20: 2013/01/14(月) 00:35:10.89 ID:YHbotCwW0
坂本「…」

ミーナ「…」

私たちはしばらく顔を見合わせた後、だんだん可笑しくなってきてしまって
互いに笑い合った。

坂本「はぁ、まったく、この部隊はお人よしばかりだな」

ミーナ「フフ、それを貴女が言う?」

坂本「いや、それもこれも隊長殿の影響じゃないか?」

ミーナ「そ、そんなことないわよ…」


坂本「…まぁ、なんだ」
   「釈然としないが、私たちには休暇が与えられたようだな」

ミーナ「そうみたいね」
    「なんだか、二人には悪いけれど…私たちが言ったところで聞くような人達でもないかも」

坂本「それもそうだ」
   「どうせならこの休暇はありがたくいただいておこう」

ミーナ「今度、彼女たちにもちゃんと休みをあげなきゃね」

21: 2013/01/14(月) 00:41:12.00 ID:YHbotCwW0
そこまで話した後、私はふと気が付いた。
今日は、珍しい、美緒とそろっての休日。
愛しい彼女との時間は限られてばかりだったけれど
今回はあと半日以上ある。

そう思うと、気持ちが自然と高揚してきて
ドキドキという音も早まってきた…気がする。

ミーナ「…美緒、これからどうする?」

美緒「ん…ミーナはどうしたい?」

ミーナ「…」

隊長がこんなで良いのかしら。
そう思った時には、もうすでに彼女の袖に手を伸ばしていた。

美緒「…」

美緒は優しく微笑むと、
私の腕をとって

美緒「私は、二人きりで過ごしたい」

23: 2013/01/14(月) 00:44:31.09 ID:YHbotCwW0
ミーナ「…」
    「私も」

1日くらいなら…
許される…かしらね。

もし許されないとしても、
書類が倍増するとか、お堅い上層部に愚痴を垂れ流されるとか
それくらいの罰なら甘んじて受けるわ。

坂本「ん…それなら」

坂本「ちょっと、出かけようか」

24: 2013/01/14(月) 00:53:26.06 ID:YHbotCwW0
――――――――――――――――――――――――――
シャーリー「はぁ、やっと行ったか」
       「まったく、真面目な人達だな」

バルクホルン「当然だ。少佐、中佐という階級が与えられるということはそういうことだ」

シャーリー「と言うくせに、休ませたいっていうんだもんなー」
       「バルクホルンったら、優し~」

バルクホルン「茶化すな!」
        「…」

バルクホルン「家族を気にかけるのは、家族の役目だろう」ボソッ

シャーリー「へ…へぇ」ニヤニヤ

シャーリー「く、くっ…」

バルクホルン「お前…!」

バルクホルン「さ、さっさと仕事を始めるぞ!!」

シャーリー「ハイハイ…くくく…」

25: 2013/01/14(月) 00:59:35.36 ID:YHbotCwW0
――――――――――――――――――――――――――――
私は久しぶりに自室に戻ると、衣服がしまってあるところからコートを取り出した。
いつから着ていないのかしら…着られるかしら。

軽く埃をつまみとると、そのコートに袖を通す。
軍服にコートなんて、不格好。色気も何もないわね。

しばらくすると、美緒もコートを着てやってきた。
美緒も同じで、軍服にコート。
本当にこれはデートなの?

美緒「それじゃあ、行こうか」

ミーナ「…そうね」

それでも、やっぱり
美緒のいつもとは違う優しい声を聞くだけで
私の心はすぐに温かく、熱くなってしまう。

私って単純ね。

28: 2013/01/14(月) 01:04:28.79 ID:YHbotCwW0
基地を出ると、外は一面銀世界だった。
さっきはあまり雪は降っていないと思っていたけれど
いつの間にか雪は強くなって、そのおかげでどんどんと積もっていったらしい。
冷たい風が露出した手に当たって、痛い。

私が手に息をかけて、擦り合わせていると、
美緒は静かに手を重ねてきて

坂本「寒いな」

なんて一言。

ミーナ「本当」

私は、その手に指を
そして彼女の腕に自分の腕をからめた。

坂本「少し歩きにくいぞ」

苦笑いしていたけれど、それでも嫌がるそぶりを全く見せなかったので
私は無視して腕と指を絡めたままでいた。

29: 2013/01/14(月) 01:10:12.01 ID:YHbotCwW0
しばらく歩いていると、

坂本「そうだ、今日はちょうど買いたいものがあったんだ」

と美緒が言った。

ミーナ「そうなの?」

坂本「あぁ、売っているかはわからんが…」
   「だから、ちょっと食品が売られているところに行ってもいいか?」

ミーナ「えぇ?…デートなのに?」

私は本当に意地悪だと思う。
美緒とだったら、どこへ行っても楽しいのに。

坂本「駄目だったか?」

少しだけ寂しそうに言う。
美緒は二人きりの時、いつもと変わらないように見えるけれど
本当はちょっと甘えん坊になる。
私だけが知っている美緒。
…私って独占欲強いのかしら。

ミーナ「冗談よ、行きましょう?」

坂本「ありがとう、ミーナ」

32: 2013/01/14(月) 01:16:46.91 ID:YHbotCwW0
雪がだんだんと強まってくる。
私たちが商店に入った理由は、もはや雪宿りと言ってもおかしくないほどだった。
雪をかるく落としてから、中に入っていく。

お店の中は、少しだけ温かい。
客の姿もちらほらと見えるが、店主は暇そうにしていた。
きっと、お客さんがあまり来ていないのね…。

坂本「お、あった」

美緒は、お目当てのものを見つけたらしく、
何個か手に取っていた。

ミーナ「それは…」

坂本「生姜だ」

ミーナ「…知っているわよ」

坂本「…生姜は体を温めるからな」
   「冬の風邪予防にはもってこいなんだ」
   「それで作った生姜湯を、アイツらに飲ませてやろうと思ってな」

ミーナ「へぇ…そうなの」

ミーナ「って、美緒ったら、やっぱり隊の皆のことを心配しているのね」クスクス

33: 2013/01/14(月) 01:24:00.01 ID:YHbotCwW0
坂本「あぁ…せっかくミーナと二人きりだというのに」
   「501のことも頭から離れないとは」

坂本「すまんな…ミーナ」

ミーナ「いいのよ、それなら許すわ」
    「だって、私たちは家族でしょう?」

坂本「…フフ、そうか」

ミーナ「それに、私たちがお父さん、お母さんだなんて言われているのも悪くないって、思うのよ」

坂本「…う、うむ」

美緒が少しだけ顔を赤らめる。
こういう反応をされると、ちょっとだけいじめたくなっちゃう。

ミーナ「でも…」
    「ペリーヌさんに優しくしすぎると、嫉妬しちゃうかも…」ボソ

坂本「なぜだ?」

ミーナ「…」

私の思いは伝わったけれど、やっぱり扶桑の魔女は扶桑の魔女ね…

37: 2013/01/14(月) 01:29:04.92 ID:YHbotCwW0
ミーナ「買うのはそれだけでいいの?」

坂本「あぁ、あと酒粕があればいいんだが…」
   「さすがに売っていないか…」

ミーナ「お、お酒!?」

坂本「ん?どうしたミーナ」

ミーナ「い、いや、なんでもないわ」
    
あの時の経験はいつだって忘れたことはないわ。
私のファーストキスを、ロマンチックでもなんでもない形で…

ミーナ「とりあえず、お酒はやめておいた方が…」

坂本「そうか?」

39: 2013/01/14(月) 01:36:40.94 ID:YHbotCwW0
生姜だけを買うという、何とも不思議な買い物を済ませた私たちは
袋を抱えて、店を出た。
雪は弱まっていたものの、積もった雪は先ほどよりも高くなっていた。

坂本「…酷いな」

ミーナ「どうする?」

坂本「これだけを買って帰るというのもなんだが…」
   「帰れなくなっても仕方がない、ゆっくりと基地に向かおうか」

ミーナ「そうね、私もそれが良いと思うわ」

また、腕を組んだ私たちは、来た道を引き返した。
もはやデートと言うよりは買い出しに来ただけみたい。
それでも、私にとっては十分幸せだった。

帰り道は、それほど会話はなかったけれど
その沈黙はとても心地よかった。

41: 2013/01/14(月) 01:41:56.42 ID:YHbotCwW0
基地に着くと美緒は食堂に生姜を置きに行った。
夕食の後、就寝前に作るらしい。

なんだか、おにぎりを作るのもあまり得意でない彼女が
生姜湯とやらをふるまうのはちょっと不安な気がするけれど…
(かくいう私もお料理の評判はあまりよくないのだけれど…)
いざとなったら宮藤さんが助けてくれるかしら。

私は、雪でほんのり濡れてしまったコートを椅子に掛けて
自室のベッドに腰掛けた。

荷物を置いたらミーナの部屋に行く

なんて言っていたけれど


…ちょっと、ドキドキしてしまう。

42: 2013/01/14(月) 01:47:48.90 ID:YHbotCwW0
落ち着かない体をベッドに横たえると、
小さくドアを叩く音がする。

顔だけをそちらに向けると、美緒がいた。
美緒は、ティーセットが置かれたプレートを持っていて
それをテーブルの上においてから、ベッドの縁に座った。

坂本「ちょうど、私がキッチンに行ったら、宮藤とリーネがいたんだ」
   「紅茶の準備をしていたようだったから、二人分をいただいてきた」

ほのかに香るよい紅茶の香り。
なぜだか、私の身体の芯は温まって…熱くなっていたけれど
それでも、体の末端は冷たいままだったから、ありがたい。

身体を起こすと、美緒は私にソーサーとティーカップを手渡した。
細かな気遣いがとても嬉しい。

坂本「ん…おいしいな」
   「冷えた体にはもってこいだ」

ミーナ「そうね、とても落ち着くわ」

44: 2013/01/14(月) 01:54:43.25 ID:YHbotCwW0
一口、二口と口に含んでいると、
美緒が静かに体をもたれかけてきた。

少しだけドキ、としたけれど
私は動じていないふりをした。

美緒は、いつもと同じ、余裕ある表情を浮かべていた。
ちょっと、悔しい。

美緒は、強いと思う。
辛いことがあっても、悲しいことがあっても
人前には決して出さないし
いつも誰かを気にかけている。

だからこそ、時々私に見せてくれる弱いところが
私にとってはとても愛おしいのだけれど。


美緒は、ティーカップをテーブルの上に置いた。
私も同じく、カップをテーブルの上へ。

45: 2013/01/14(月) 02:03:04.94 ID:YHbotCwW0
と、突然私の世界は反転した。
私の目の前には、妖しい笑みを浮かべた美緒。

私は、ティーカップを置く隙を狙われたのだ。
このドーベルマンに。

ミーナ「ちょ、ちょっと、美緒」

坂本「ん?何だ?」

美緒は、素知らぬ顔で、尋ねる。

ミーナ「…びっくり…するじゃない」

坂本「そうか?」

ミーナ「突然…だもの」

坂本「…そうか?」

ミーナ「…そうよ」

坂本「嘘だろう?」
   「本当は、期待していたんじゃないか?」

「襲われることを」

美緒は―――ぼそりと
耳―――もとで――つぶやいた
ドキドキが――はやくなる――思考が…

48: 2013/01/14(月) 02:08:01.91 ID:YHbotCwW0
――――――――――――――――――――――

ミーナ「そんな…ことっ」

坂本「否定できるのか?」

ミーナ「…っ」

坂本「…私にはできない」

坂本「お前と、今日を過ごせると知った時から」

坂本「おまえの肌に触れたくて仕方なかった」

ミーナ「は…っ」

坂本「お前は、どうなんだ?」

坂本は、ミーナの耳に舌を這わせる。

ミーナ「あっぁ…」

坂本「触れられたくないのか?」

ミーナ「ぁ…ぁぁ…」

ミーナの身体が小さく震えた。

49: 2013/01/14(月) 02:13:55.79 ID:YHbotCwW0
坂本「フフ」

坂本は、執拗に耳を責めた。
わざとらしく音を立てて、舌を耳の外側から内側へと滑らせていく。

ミーナ「はっ…はぁ―――っ」

坂本「沈黙は…」
   「肯定と判断する…」

舌を耳から離した坂本は、
ミーナの頬に手を添えて、こちらを向かせる。

ミーナがとろけた表情でこちらを見ているのを確認した後で
唇にかみつく。





60: 2013/01/14(月) 02:54:58.95 ID:YHbotCwW0
――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――

はっ、と目が覚めた。

あれから、どれくらいの時間がたったのかしら。

気付けば、灯りのつけていないこの部屋が薄暗くなっている。



…体が重い。
頭がボーっとする。
下腹部がジンジンする。
ついでに胸も…なんだか変な感じがする。

久しぶりだったからかしら。
とても、気持ちが昂ってしまって
美緒を思い切り求めてしまった気がする。

…恥ずかしい。


目の前には、私を襲った…というと、なんだか私が一方的な被害者みたいだけれど
そんな、張本人が静かに寝息を立てていた。

61: 2013/01/14(月) 03:05:04.95 ID:YHbotCwW0
いつもの精悍な顔つきからは想像もできない、無防備な姿。

あんなに求めていたけれど、
今は、ただただ愛おしく、抱きしめたくなるような気持ちだ。

…同時に、私と言う存在がひどく脆いものに感じられる。
もし、貴女がまた…
この戦争が終わって、自分の国に帰ってしまったら…
私は、いったいどうなってしまうのかしら…。

「ずっと…いっしょにいたい…」

その言葉は、きっと近くにいる彼女の耳にも届かないで、
この空間に溶けて消えてしまったでしょう。

瞳からは、自然と涙がこぼれていった。
もし、この時代に生まれなかったら
ずっと一緒にいられたかしら。
なんて、どうしようもないことを考えてしまう。


いっそ、この雪のように
貴女の白に、溶けてしまいたい――――――


そうしたら、ずっと一緒にいられるのに…

「私も…愛しているわ、美緒…」

                                   (おわり)

62: 2013/01/14(月) 03:09:05.83 ID:YHbotCwW0
支援ありがとうございました。

いろいろ悩んだ結果今日はストパン、もっミーナ。
シャッキーニもエイラーニャも書きたい。

ストパンライブに行った奴は永遠の眠りについとけ。
あと、こんな時間まで起きると脳が腐るから支援するなら寝ろ。

63: 2013/01/14(月) 03:11:45.54 ID:AD75Xkq60

64: 2013/01/14(月) 03:40:15.10 ID:vtM6BIas0
乙ナンダナ

引用元: 坂本「それなら出かけようか」ミーナ「いいのかしら」