1: 2016/02/06(土) 13:38:08.28 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……」カタカタ





……サァー……



にこ「……雨、ね」


にこ「……」カタカタ


にこ「……」カタ…



にこ「……はぁ」





穂乃果「にこちゃーん!!」バターン!!

2: 2016/02/06(土) 13:39:16.87 ID:6W0/zMWB.net
にこ「うるさいっ!!思いっきり扉を開けて入ってくるんじゃないわよ!」

穂乃果「あははー……ごめんごめん」

にこ「……ったく。次から気をつけなさい」

穂乃果「はーい」


にこ「……で、何?なんか用?今日は練習、雨で休みのはずでしょ?」


穂乃果「うん、そうなんだけどね。ほら、癖?っていうのかな?授業が終わったら自然と足

が部室に向かっちゃうんだー」

にこ「あっ、そ……」

穂乃果「むぅ……にこちゃんがつめたいー!」

にこ「どこがよ。とーぜんの反応よ」

穂乃果「まぁ……そうなんだけどさ……」ブツブツ

にこ「……用がないんだったら帰ればいいんじゃないの?」

穂乃果「……うーん、せっかく部室まで来ちゃったし?おじゃましまーす!」

にこ「はぁ……?何なのよ一体……」

3: 2016/02/06(土) 13:40:32.02 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「にーこちゃーん!!」ギュー


にこ「ちょ!?いきなり抱きつくんじゃないわよ!」

穂乃果「いやー、冬だし、雨降ってるし、今日も寒いからー!」

にこ「理由になってないわよ!このあほのか!」

穂乃果「だってにこちゃんあったかいんだもんー!ずーっと抱いていたいくらいだよー」スリス



にこ「っ……///」

穂乃果「あれ?にこちゃんの動きが止まった……?」

にこ「ああもう!!はーなーれーなーさーいーよぉー!!!」グググ

穂乃果「わぁ!!」ドサッ


穂乃果「あたた……もー、にこちゃんひどいよー!」サスサス

にこ「どこがよ!急に羽交い締めにするアンタが悪い!」

穂乃果「むぅ……」

にこ「ったく……!」

4: 2016/02/06(土) 13:41:29.87 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……で!?本当にあんたは何なのよ!?にこの邪魔しにきたの!?」

穂乃果「うーん、そんなつもりはないんだけど……」

にこ「やかましい音立てて、急に抱きついてきて、邪魔じゃないとでも思ってるの!?」


穂乃果「……ごめん」シュン


にこ「あぅ……い、いや、その……」アセアセ

穂乃果「……」

にこ「……わ、わかればいいのよ!」フン

穂乃果「……」

にこ「は、早く帰ったら?ここにいても暇なだけでしょ?」

穂乃果「……うん」


ガタガタ……ガチャ……バタン


にこ「……」ポカン

にこ「い、意外と素直に帰ったわね……」



……サァー……。



にこ「……はぁ」

にこ「……」カタカタ

にこ「……」カタ…


……サァー……。


にこ「……なんか、気分が乗んないわね。私も帰ろうかな」

にこ「……」

にこ「……雨、やまないのかな」ギュ…

5: 2016/02/06(土) 13:44:31.08 ID:6W0/zMWB.net
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

校門前



ザァァァァ……。




にこ「……」



穂乃果「……あ、にこちゃん」



にこ「……」



ザァァァァ……。



にこ「……何してるの?」

穂乃果「あはは……待ちぼうけ?してるのかも」



にこ「誰を……?」

穂乃果「……にこちゃん、かな」


にこ「……」


ザァァァァ……。

7: 2016/02/06(土) 13:47:46.36 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「……えっと」


にこ「一つ、聞いていい?」


穂乃果「うん、いいよ」


にこ「……なんで、今日は私に構うの?」



穂乃果「……うんと」

にこ「ことりは?海未は?……凛は?希は?」

穂乃果「……その」

にこ「別に、あんたには私以外に構う人間がいくらでもいるでしょ?」

穂乃果「……そんなこと」

にこ「なんで、今日は私なの……?」



穂乃果「……」

にこ「……」



ザァァァァ……。

8: 2016/02/06(土) 13:50:02.22 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「……雨」



にこ「え……?」



穂乃果「雨、だから……」

にこ「雨……?」



ザァァァ……。



穂乃果「雨が降ってるから……ほのかは来たんだ」

にこ「……意味、わかんないし」

穂乃果「あはは……まきちゃんみたいだね」

にこ「意味分かんないって言ってんのよ!」

穂乃果「っ……」ビク


にこ「なんなのよ、雨が降ってるからって!理由になってないじゃない!」





穂乃果「……だって、雨が降ってる時……」


穂乃果「にこちゃんは、いつも寂しそうにしてるから……」




ザァァァ……。

9: 2016/02/06(土) 13:52:06.43 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……え?」



穂乃果「雨の日のにこちゃんの目は、遠くを見てる」


にこ「……そんなこと」


穂乃果「雨の日のにこちゃんは、辛そうにしてる」


にこ「……やめてよ」


穂乃果「にこちゃんの雨は……一体何を映し出してるのかな?」


にこ「やめてって言ってるでしょ!!」



穂乃果「……」




ザァァァ……。




穂乃果「……ごめんね」

にこ「……」

穂乃果「……」




ザァァァァーーーー。

11: 2016/02/06(土) 13:55:33.88 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……そんなところに突っ立ってたら、濡れるでしょ」

穂乃果「え……?」


にこ「待つんだったら……せめて、校舎の中で待ってなさいよ」


穂乃果「……だって、ほのかは追い出されて出てきたようなものだから」

穂乃果「学校の外で、にこちゃんを待つしか無かったんだ……」


にこ「……何よそれ。本当に意味わからないし」

穂乃果「あはは……。うん、私もよくわかんないや」


にこ「……」

穂乃果「……」ギュ



にこ「……はぁ」



にこ「ほら、帰るわよ」



穂乃果「えっと……一緒に帰っても、いいの……?」

にこ「……どうせ断ったって、アンタは後ろからついてくるでしょ?」

穂乃果「う……」

にこ「だったら、私の目の届く範囲にいた方が安心だわ」

穂乃果「……にこちゃん」

にこ「……と、とにかく、行くわよ」

穂乃果「うんっ……!」


ザァァァァーーー―。

12: 2016/02/06(土) 13:59:08.07 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……」



穂乃果「……にこちゃん、怒ってないの?」

にこ「……怒ってるわよ」

穂乃果「あぅ……そ、そうだよね」


にこ「勝手に飛び出して、勝手に待ってたことに対してね」


穂乃果「勝手にって……」

にこ「べ、別に私は……一緒に帰るのが嫌だなんて一言も言ってないし、あ、アンタが不必

要に近づいてくるから、それを振り払っただけ!」

穂乃果「ご、ごめんなさい……」

にこ「だから!謝るなっての!……その、嫌じゃないんだから」

穂乃果「む、難しいよぉ……」

にこ「フツーにしてればいいだけの話でしょ!そうすれば……お互いに一緒に帰りましょう

って、なるでしょ?」

穂乃果「……うん。そうだね。あはは、やっぱりごめん」

にこ「何がよ」

穂乃果「変に、ほのかが気を使っちゃったから、だよね」


にこ「……そうね」


穂乃果「いつも通りのほのかが、いつも通りににこちゃんと接していれば……良かったんだ

よね」

にこ「……そうよ」

穂乃果「……だから、ごめんなさい」

にこ「……」



ザァァァァーーー―。

13: 2016/02/06(土) 14:00:38.45 ID:6W0/zMWB.net
にこ「……雨の日は」



穂乃果「え……?」



にこ「嫌な思い出が沢山詰まってるのよ」

穂乃果「……」

にこ「誰だって、雨の日にいい思い出なんてそうはないんだろうけど、ね」



にこ「家に一人で親の帰りを待っていた時、雨が降っていたーーー」


にこ「教室で一人ぼっちだった時、雨が降っていたーーー」


にこ「アイドルの夢を諦めかけそうになった時、雨が降っていたーーー」



ザァァァァァァーーーー!

14: 2016/02/06(土) 14:05:42.64 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「……」


にこ「私にとっての雨の音は、辛い過去を呼び覚ます音」


にこ「だから雨の日は……遠くを見ちゃうのかもしれないわね」


にこ「……辛かった日々の、景色が見えてしまうから」




穂乃果「ーーそんなこと、ないんじゃないかな」



にこ「……?」

穂乃果「私は……雨も、好きだよ」


にこ「……そう。良かったわね」

穂乃果「ううん。にこちゃんだって、そうだよ」

にこ「……さっきの私の話、聞いてた?」

穂乃果「うん。聞いてた」

にこ「なら……っ!」




穂乃果「にこちゃんが感じてきた景色は、ほのかには分からない……」

穂乃果「きっと、ほのかには想像もできないような辛さがあるんだと思う」



にこ「……」

15: 2016/02/06(土) 14:06:30.89 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「でもね、そんなにこちゃんの景色が見えなくてもーーー」






穂乃果「私はにこちゃんの雨が好き」






にこ「す、好きって……///」


穂乃果「だって、にこちゃんと仲良くなれた日も、こんな雨の日だったから!」

にこ「あ……」


ザァァァァァーーーー。

16: 2016/02/06(土) 14:08:12.16 ID:6W0/zMWB.net
穂乃果「って、こんなにどしゃぶりじゃなかったけどね、あはは」


にこ「……」


穂乃果「雨が降ってると練習できなかったり、気分が憂鬱になったりもするけど……」


穂乃果「そんな大切な思い出の景色を見せてくれるのも、雨だったりするんじゃないかな」


にこ「……」

穂乃果「……にこちゃん」



にこ「……アンタに似つかわしくないセリフね」

穂乃果「うぐ……で、でも確かに」



にこ「……」




ザァァァァァーーーーー。

19: 2016/02/06(土) 14:10:01.36 ID:6W0/zMWB.net
にこ「確かに、ね……。アンタとの景色も、雨の中、か……」


穂乃果「ほのかは……少しでもにこちゃんの雨を、優しい景色にしてあげたいな」

にこ「……っ///」

穂乃果「あ、あれ!?にこちゃん顔が真っ赤だよ!?もしかして、風邪引いちゃった!?」



にこ「ば、バカじゃないの!よくそんなセリフを恥ずかしげもなく言えるわね!大したもん

だわこのあほのか!!」タタタ…

穂乃果「ば、バカにあほって……にこちゃんひどいよー!!」タタタ…

にこ「当たり前でしょ!!付いて来るな!」タッタッタ…

穂乃果「い、一緒に帰るって言ったじゃん!にこちゃーん!!」タッタッタ…




にこ(も、もう……これじゃ、雨の景色が……ほのか色になっちゃうじゃないのよ……!///






終わり

26: 2016/02/06(土) 22:13:39.27 ID:Ea1BvyKI.net
乙ほのにこ

引用元: 穂乃果「にこちゃんの雨」