1: 2015/04/19(日) 21:20:39.27 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「まぁ、もう6月も終わってるし今更の話だけどね」

ことり「うそ…もうとっくに過ぎちゃってる…どうしよう、何もお祝いしてないよ」

真姫「お祝いって、別に良いわよ。たかが誕生日、気にすることじゃないでしょ」

ことり「もっと早くに言ってくれれば、皆に言って用意とか出来たのに」

真姫「早く言ったって、私たちが顔馴染みになったの4月も後半だったじゃない。結局遅かったってこと」

ことり「それは、そうだけど…この間は希ちゃんの誕生日皆でお祝いしたのに、真姫ちゃんの分はやってないし…それに…」

真姫「別にことり達に祝って貰わなくても、一応人並みには親とかに祝ってもらってるから。気にしなくたっていいわよ」

ことり「ううん、それだけじゃなくて…うぅ、どうしよう…」

真姫「だったら、何にそんなに悩んでるのよ。他に何か理由があるわけ?」

ことり「それは、その…」

真姫「まったく、ハッキリしないわね」

ことり「……だって、真姫ちゃんのことお祝いしたいのに」ゴニョゴニョ

真姫「? 何一人でつぶやいてるのよ」

2: 2015/04/19(日) 21:22:39.40 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「…何か別の方法ないかな…あっ、そうだ! ねぇ、真姫ちゃんの誕生日って4月の何日?」

真姫「19日だけど」

ことり「19日だね? えっと、確かここに…あ、あった! じゃーん!」

真姫「じゃーんって、単に手帳取り出しただけじゃない…スケジュール?」

ことり「うん♪ えへへ、真姫ちゃんは真ん中バースデーって知ってる?」

真姫「真ん中バースデー? んー、聞いたこと無いわね」

ことり「小学校のころに流行ったんだけどね、友達同士の誕生日から数えて、真ん中に当たる日を記念日にしてお祝いしたりするの」

真姫「ふーん、初耳だわ。やったこともないし。それで?」

ことり「折角だからどうかなって思ったの。真姫ちゃんの誕生日が4月19日で、ことりが9月12日だから…えっと、いちにぃ…」

真姫「……」

ことり「7月の…あれ? 何日になるのかな…ここがこうなって…」ペラペラ

真姫「7月の1日ね」

ことり「あ、本当だ! わぁ、真姫ちゃんすごい! 頭の中で考えちゃったの?」

真姫「こ、これくらい簡単な計算じゃない」

ことり「それじゃあ、真姫ちゃんとことりの真ん中バースデーは7月1…日……あれ?」

真姫「今日ね」

ことり「今日なのっ!?」ガタッ

3: 2015/04/19(日) 21:23:45.17 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「ちょ、ちょっと! いきなり立ちあがらないでよ、びっくりするじゃない」

ことり「ど、どうしよう、真姫ちゃん…」

真姫「何で今度は泣きそうな顔になってるのよ…」

ことり「えっと、えっと…!」

真姫「落ち着きなさいよ、ことりらしくもない。ちゃんと座り直したら?」

ことり「それどころじゃないよ、だって! うん、真姫ちゃん!」

真姫「な、何よ」

ことり「これから行こう」ガシッ

真姫「何処によ…って、ちょっことり!、引っ張らないでって!」

ことり「だって、早くしないと今日が終わっちゃう!」

海未「すみません、少し遅くなりまし…どうかしましたか、ことり?」

ことり「海未ちゃん! 今日はことりと真姫ちゃん、練習休むねっ!」ダッ

海未「…どうかしたのですか、真姫?」

真姫「どうもこうも知らないっ! ことりに聞い…ああん、もう急ぎすぎよっ!」

ことり「ごめんね、海未ちゃん!」タッタッタッ

海未「はぁ、分かりました…って、行ってしまいましたね。何だったのでしょう?」

4: 2015/04/19(日) 21:25:49.73 ID:Hzkr1jCI.net
――

真姫「で?」

ことり「……」

真姫「訳の分からないうちに急いで学校を飛び出したはいいけど、結局行く先失って立ち止まっていると…ことりは何がしたい訳?」

ことり「だって、どうしたらいいか分からなくて…」

真姫「どしたらいいか分からないのは私の方よ、全く」

ことり「うぅ…ごめんね真姫ちゃん?」

真姫「ことりって、おっとりしてるようで時々強引よね」

ことり「そう、かな…」

真姫「穂乃果っぽいって言うか、アレは何時も強引だけど…いっつも一緒にいるから影響受けてるんじゃないの?」

ことり「気にはしてなかったけど…嫌だったよね」

真姫「嫌って言うか、まぁどっちでもいいわよ。とりあえず、無為無策に歩いてるんじゃなくて、一時的でも目的地を決めない?」

ことり「そ、そうだよね…えっと…どうしよっか?」

真姫「強引な割りにパニックに弱いし…喫茶店にでも行って一旦落ち着きましょ。それでいいかしら?」

ことり「うん…いいよ」

真姫「それじゃことり、私あんまりこの辺り知らないから、案内して。ことりのオススメのお店とかあるの?」

ことり「オススメ…そっか、そこもいいかも。うん、案内するね」

8: 2015/04/19(日) 21:28:26.95 ID:Hzkr1jCI.net
――

ことり「じゃーん、ここがことりのオススメする喫茶店です♪」

真姫「…へぇ、結構いい雰囲気のお店じゃない」

ことり「えへへ、とっておきのお店なんだ。前に偶然見つけたんだけど、特にここのチーズケーキが絶品でね、その中でも…」

真姫「とりあえず御託はいいから入りましょ。ずっと歩きっぱなしで疲れたわ」

ことり「あ、真姫ちゃん! まだ話の途中…」

真姫「はいはい」

イラッシャイマセー

ことり「もう少し話聞いてくれてもよかったのに…」

真姫「チーズケーキが美味しいんでしょ? 分かったわよ」

ことり「ただ美味しいだけじゃなくて…」

真姫「だから、御託はいいわよ。μ'sのスイーツ担当が美味しいって言ったらそれだけで十分伝わるわ、でしょ? すみません二人で。はい」

ことり「そう言ってもらえるのは嬉しいけど…もう少し伝えたいなって…。真姫ちゃんって、先立って行動しないわりに少し強引だよね…」

真姫「何よ、さっきの仕返し? とりあえず、座る座る」

10: 2015/04/19(日) 21:32:36.70 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「うん…それじゃ、真姫ちゃんは何にする?」

真姫「私はことりと一緒でいいわよ」

ことり「いいの?」

真姫「ことりのオススメなら、今日はそれに従っておくわ。間違いなく美味しいんでしょ?」

ことり「もちろんだよ。…すみません、注文いいですか? はい、厳選素材のチーズケーキを二つ。飲み物は、えっと…真姫ちゃんどうする?」

真姫「そうね、私は、紅……ん?」

ことり「? どうかしたの?」

真姫「…すみません、この季節限定フレッシュトマトジュースってまだありますか? あ、だったらそれで、はい」

ことり「……」

真姫「…ことりはどうするのよ?」

ことり「じゃあ、私もそれで。同じものを二つで…お願いします。はい、以上で」

真姫「……」

ことり「ふふっ♪」

真姫「…何よ?」

ことり「真姫ちゃんってトマトジュース好きなんだね」

真姫「子供っぽいとか笑いたいわけ?」

ことり「だって、真姫ちゃんがケーキっていうと、庭先で紅茶と一緒に優雅なティータイムってイメージがあるから」

真姫「いいでしょ、私はトマトが好きなの! 折角なんだからいいじゃない」

11: 2015/04/19(日) 21:34:28.76 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「むしろ可愛いなって♪」

真姫「か、かわっ! 何言ってるのよ全く…それより、ことりこそトマトジュースでよかったわけ?」

ことり「うん、ことりがチーズケーキをオススメしたから、飲み物は真姫ちゃんの好きなトマトジュースでもいいかなって」

真姫「無理にあわせる必要ないじゃない…別にいいけど。…それで?」

ことり「えっ?」

真姫「えっ、じゃないわよ。これからどうすのかって話。まさかケーキ食べて今日はおしまいじゃないんでしょ」

ことり「えっと…まだ考えてついていないの。というか、真姫ちゃん付き合ってくれるの?」

真姫「付き合ってくれるって言うか、強引に誘ったのはことりでしょ。今更何を言っているのよ」

ことり「それじゃあ…どうしよっか?」

真姫「…食べ終わるまでに決めればいいわよ」

ことり「うん、そうするね」

12: 2015/04/19(日) 21:37:33.00 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「それともうひとつ、聞いてもいいかしら?」

ことり「…うん」

真姫「どうしていきなりこんな行動に出たのかって。さっきも言ったけど、ことりってこんな強引に誘ったりする人じゃなかったわよね」

ことり「言わないとダメ、かな?」

真姫「ダメじゃないけど、聞きたいわね。どうしてもって言うならいいわ」

ことり「それは、その…やっぱり今日じゃなきゃダメだって思って」

真姫「理由は?」

ことり「だって、真姫ちゃんの誕生日が過ぎちゃって、真ん中の日も過ぎちゃったら何も出来なくなっちゃうって…」

真姫「要領を得ないわね」

ことり「だってことり、真姫ちゃんに何もあげられてないから。誕生日の時くらいはしっかりとお礼がしたいからて思ってて」

真姫「今一イミが分からないんだけど…お礼って私ことりに何かしてあげたかしら? 心当たりないんだけど」

ことり「そんなことない、何時もしてもらってるよ、いっぱいもらってるよ!」

真姫「ことり、声大きすぎよ」

ことり「あっ…ごめんね」

真姫「まったく、やっぱりことりらしくない。感情的になるなんて珍しいじゃない」

13: 2015/04/19(日) 21:39:46.89 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「だって、その…今のμ'sがあるのって、真姫ちゃんのおかげだから」

真姫「は、はぁ? いきなり何を言ってるのよ。私のおかげって、みんなで作ったものでしょ?」

ことり「確かに、穂乃果ちゃんが先頭に立って引っ張ってくれて、海未ちゃんがまとめてくれて。花陽ちゃんと凛ちゃん、にこちゃんが繋いでくれて。
希ちゃんと絵里ちゃんが支えてくれて広げてくれて…誰か一人が欠けたらμ'sは無いんだなって思ってるよ」

真姫「だったら、私もその中の一人じゃない。誰かのおかげじゃなくて」

ことり「そうだけど…でも、真姫ちゃんが居なかったら、μ'sは始まってなかったから。真姫ちゃんが作ってくれた曲があったから、ことり達は舞台に立てて」

真姫「……」

ことり「だから、真姫ちゃんにはすっごく感謝してるの。それはことりだけじゃなくて、穂乃果ちゃんと海未ちゃんも一緒だと思う」

真姫「買いかぶりすぎよ。私が居なくたって、曲作らなくたって、たぶん他の選択肢があっただろうし。別に初ライブだって既存曲でやろうと思えばできたでしょ?」

ことり「それは分からないよ。だって今は今しかないから…別の世界があったなんて考えられないし…真姫ちゃんがいないって考えたくない。それに…」

真姫「それに?」

ことり「……」

真姫「他に理由でもあるわけ?」

14: 2015/04/19(日) 21:43:15.78 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「えっとね、今のも真姫ちゃんにお礼がしたいって理由のひとつだけど…一番じゃないの」

真姫「……」

ことり「本当はね、えへへっ、今の理由は二番目。一番目は、真姫ちゃんがことりの側に居てくれるってこと」

真姫「側にって、どういう意味よ」

ことり「ことりね、衣装を作るとき、どんなのがいいかなって目を閉じて考えるとと、自然と真姫ちゃんの作った曲が頭の中で流れてくるの。
曲の中で皆が好きに踊って歌って…そうすると『あ、こんな服に合うんじゃないな、可愛いんじゃないかな』ってどんどんイメージが沸いてきて」

真姫「それは普通じゃないの? 曲と合わせようってすれば、自ずとそうなるでしょ」

ことり「イメージだけじゃないよ。本当言うとね、最初のときはただ可愛い服を作れてたらいいなって思ってた。可愛いって言われたら嬉しいなって考えてた。
でもそれだけじゃダメなんだなって、今は思うようになってるの。それはね、自分で言うのもちょっと恥ずかしいんだけど…すっごく成長したなって思ってる」

真姫「……」

ことり「だからね、真姫ちゃんにはすごく感謝してるの。今だって真姫ちゃんの曲を聴くたびにね、新しい扉がどんどんと開いてくの。
そしたら出来ないことも出来るようになって、もっともっとみんなを輝かせてあげれるようになって」

真姫「…大げさよ」

ことり「大げさななんかじゃ、絶対ないよ。ことりは、真姫ちゃんが側に居てくれて、ココロの中で支えてくれて。いっぱい与えてくれて。
だから…だから、貰ってばっかりだから、何か真姫ちゃんにお返ししなきゃって、ずっと考えてたんだけど…」

真姫「それで、誕生日が来ればって、こと?」

ことり「うん…普通にお礼が出来ればって思ったけど、何か言い出せなくて…それでも誕生日なら自然に言えるかなって思ったんだけど…」

真姫「全く…それで私は意味も分からないまま振り回されるってわけね」

ことり「誕生日がもう過ぎちゃってるって聞いて、どうしようって思って。考えた結果も今日で。居ても立っても居られなくて。ごめんね、真姫ちゃん」

真姫「謝るんだったら最初からしないの」

ことり「うぅ…どうしたらいいのかなって、一生懸命考えたけど…やっぱり迷惑だったよね?」

15: 2015/04/19(日) 21:45:13.15 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「それと、迷惑とか言わないこと」ピンッ

ことり「あいたっ…ふぇ?」

真姫「迷惑かな、なんて思って与えられる好意が一番迷惑よ。だってほら、その…素直に喜べないじゃない」

ことり「え…真姫ちゃん?」

真姫「う、嬉しいって言ってるの! ことりの気持ち。こんなに考えてくれるなんて…嬉しくないわけないじゃない。だから迷惑とか…」

ことり「真姫ちゃん…そうだよね、うん。しっかりと伝えないとダメだよね。 ありがとう、真姫ちゃん!」

真姫「も、もう! 改めて言わないでよ…恥ずかしいじゃない」

ことり「真姫ちゃん顔真っ赤だよ?」

真姫「指摘しないのっ!」

ことり「えへへっ、可愛い♪」

真姫「もうっ! ほ、ほら、ケーキ、ケーキ届いたわよ! 全く…美味しくなかったら承知しないんだからね」

ことり「うん、それはことりが保障しちゃいます♪ …の前に乾杯かな?」

真姫「乾杯って何によ…っていうかお酒じゃないし」

ことり「二人の記念日に、とか?」

真姫「イミ分からないわよ…普通に食べればいいじゃない」

ことり「そうだね、いただき…」

17: 2015/04/19(日) 21:49:59.29 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「っとその前に、ことり」

ことり「ん? どうしたの?」

真姫「えっと、その…ことりが気持ちを伝えてくれたんだから、私からも、ことりに伝えなきゃ不公平よね」

ことり「?」

真姫「本当は、その、私もことりと一緒の思い。隣に居てくれて、あり…感謝してる」

ことり「真姫ちゃん…」

真姫「私だって同じ。曲を作ってると、次はどんな衣装着れるんだろうって、ちょっと楽しみに…ううん、すごく楽しみしてる。
するとね、ココロが軽くなって、自然と指が動くようになるのよ」

ことり「……」

真姫「それに私の作るものが、形になって、つながって広がって、認められて…たぶん一人の時じゃ絶対に有り得なかったこと…。
だから…ことりには、感謝してるの…あ、ありがとう」

ことり「はー…真姫ちゃんが素直、珍しいね」

真姫「茶化さないのっ! こっちは真面目なんだから…」

ことり「だって、こんなに素直な真姫ちゃんはじめてみたから、何だか得した気分♪ ありがとう、真姫ちゃん」

真姫「も、もう…!」

19: 2015/04/19(日) 21:54:15.66 ID:Hzkr1jCI.net
ことり「でも考えれば、えへへっ、真ん中誕生日ってことり達に妙に合ってるんじゃないかな? 
真姫ちゃんがことりに与えてくれて、ことりが真姫ちゃんに与えてあげて。それは二人にしかできないことで、二人が居なければ今日は無くて」

真姫「確かにね。二人が二人の生まれたこと祝うなんて、ふふっ、面白いじゃない」

ことり「このチーズケーキにトマトジュースってヘンテコな組み合わせだって、一人じゃ絶対に頼まないもんね」

真姫「やっぱりトマトジュースをおかしいと思ってるでしょ?」

ことり「あっ! そ、そんなことは…」

真姫「いいわよ、正直私だって無いって思っているもの。でもことりと私、二人がいるからこそ面白い組み合わせになる。これは、二人の記念日の象徴」

ことり「うん、二人だけの特別」

21: 2015/04/19(日) 21:57:42.65 ID:Hzkr1jCI.net
真姫「改めて…どうするの、本当に乾杯する?」

ことり「そうだね、折角だからそうしよっか」

真姫「トマトジュースで、しかも喫茶店でって、本当にヘンテコね。でもま、それも記念かしら」

ことり「それじゃあ…もう過ぎちゃったけど、真姫ちゃんの誕生日と」

真姫「これから迎えることりの誕生日と」

ことり「それと、二人の今日の記念日に」

真姫「……」

ことり「? 真姫ちゃん?」

真姫「ううん、なんでもない…ありがとう、ことり」

ことり「こちらこそ、ありがとう、真姫ちゃん」


乾杯

24: 2015/04/19(日) 22:00:33.38 ID:Hzkr1jCI.net



誕生日おめでとう、真姫ちゃん!

25: 2015/04/19(日) 22:01:01.45 ID:pqjFu7Nk.net
おつ
面白かったね

引用元: ことり「えっ、真姫ちゃんの誕生日って4月だったの!?」 真姫「そうよ」