結衣「えっと、手繋いだままじっとしてるのも、なんかな……」

綾乃「あ……じゃあ、ちょっと歩いてみる？」

結衣「う、うん」

綾乃「……」ﾃｸﾃｸ

結衣「……」ﾃｸﾃｸ

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

結衣「あー……まわり、カップルだらけだね」

綾乃「そ、そうね……私たちも、カップルに見えてるのかしら？」

結衣「さあ、どうかな……女同士だし……」

綾乃「そ……そうよね……」

結衣「……」ﾃｸﾃｸ

綾乃「……」ﾃｸﾃｸ

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

結衣「えっと、このままだと公園出ちゃうけど……どこ行こうか……？」

綾乃「ええと、そうね……もうすぐお昼だし、なにか食べに行きましょうか……？」

結衣「そ、そうだね」

綾乃「……」ﾃｸﾃｸ

結衣「……」ﾃｸﾃｸ

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

結衣「えっと、おいしかったね？」

綾乃「そ、そうね」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「デザートとか、食べる？」

綾乃「あー、そうね……食べようかしら……」

結衣「私は、どうしようかな……」

綾乃「半分ことか、する……？いちおう、デートだし……」

結衣「う、うん。そうだね、そうしようか」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

「おまたせしましたー、ジャンボフルーツパフェになります」


結衣「お、おおきいね」

綾乃「そ、そうね」

結衣「先、食べていいよ……」

綾乃「そう？えっと、ありがとう……」

結衣「……」

綾乃「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


（（なに、この空気……））

綾乃「あ、あーん」

結衣「へ？」

綾乃「あ、いやほら、スプーン一つしかないし、デートだし？」

結衣「そ、そっか」

綾乃「え、ええ。……あーん」

結衣「……あーん」

綾乃「……」

結衣「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

綾乃「ど、どう？」

結衣「え？えっと、おいしいよ」

綾乃「そ、そう」

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

結衣「えっと、割り勘でいいよね？」

綾乃「え？悪いわよ、私のほうが高いの頼んじゃったし、勝手にデザートまで……」

結衣「まあまあ、そんなに大した額じゃないし、パフェおいしかったから……」

綾乃「そ、そう？ごめんなさい」

結衣「思い切って『私のオゴリだー』、なんてやってもよかったんだけどね、ほら、デートだから……？」

綾乃「いやいや、さすがにそれは船見さんに悪いわよ」

結衣「えっと、だからこれくらいはね？気にしないでよ」

綾乃「ええと、ありがとう」

結衣「べ、別に……」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

「ありがとーございましたー」


結衣「これからどうしようか……？」

綾乃「うーん……」

結衣「まだ時間あるし……」

綾乃「カ、カップルって普段どんなとこいくのかしらね？」

結衣「え、ええと、それは私にはわからないかな……」

綾乃「そ、そうよね……」

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

綾乃「じゃ、じゃあカップルらしいことでもする？」

結衣「カップルらしいことって言われても、ええと、どんなのがあるかな……」

綾乃「手のつなぎ方、変えてみるとか……？」

結衣「あ、恋人つなぎってやつ……」

綾乃「え、ええ」

結衣「そ、そうだね」

綾乃「……」ｷﾞｭ

結衣「……」ｷﾞｭ

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

綾乃「えーっと、このままただ立ってるだけっていうのも変よね」

結衣「じゃ、どこ行こうか……」

綾乃「カップルらしいところと言えば……あ、ゲームセンターとか？」

結衣「カップルっぽいかなあ、そこ……」

綾乃「ほら、プリクラとかもあるじゃない」

結衣「あー……そうだね、行こうか」

綾乃「え、ええ」

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

綾乃「ちょっとうるさいわね……」

結衣「そうだね……あ、プリクラあった」

綾乃「えっと……私から誘っておいてあれなんだけど、プリクラってあんまり……」

結衣「あ、私も……」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「ま、まあなんとかなるわよね？」

結衣「そ、そうだね」



（（なに、この空気……））

～♪♪

綾乃「あ、一枚目撮れたみたい」

結衣「なんにもポーズとかしなかったから……学校の集合写真みたいな感じかも」

綾乃「カ、カップルのプリクラってどういうの撮るのかしら……？」

結衣「さ、さあ……」

綾乃「も、もうちょっと近付いてみる？」

結衣「ただでさえ狭いのに、これ以上近づくって……」

綾乃「顔寄せてみるとか……？」

結衣「こ、こうかな」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

～♪♪

結衣「これ二枚目か……次で最後だっけ？」

綾乃「ど、どうする？」

結衣「え、ええと……」

綾乃「だ、抱き合ってみるとか」

結衣「そ、そうだね」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「画面じゃなくて、お互い向き合ってみるとか……？」

結衣「い、いいかもね」

綾乃「……」

結衣「……」



（（なに、この空気……））

～♪♪

結衣「これで終わりかな……」

綾乃「あ、写真にラクガキとか出来るのよね」

結衣「ああ、そうだったっけ」

綾乃「一枚目は……なんかただの写真みたいね」

結衣「なんか妙にスペース空いてるし……ここになにか描く？」

綾乃「ええと……相合傘とか？」

結衣「あ、ちょうどいいかも……カップルっぽいし」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

結衣「二枚目は……わ、こんなに頭くっつくほどだったっけ？」

綾乃「あんまりスペースないし……文字とか書く？」

結衣「なに書けばいいのかな……」

綾乃「……浮かばないわね……普通に『LOVE』、とか？」

結衣「なんかこれだけじゃ寂しいような……ハートで頭囲ってみるとか……？」

綾乃「あ、いいわね……」

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

結衣「三枚目……これは……」

綾乃「……普通に恥ずかしいわね、キスする直前みたいで……」

結衣「このままでもいいような気がするけど、なんか……」

綾乃「顔隠してみる……？」

結衣「確かにちょっと恥ずかしいし……頭の上半分塗りつぶしてみよう」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「これは……逆に……」

結衣「うん……」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

結衣「次、どこいこうか……？」

綾乃「なんだか、中途半端に時間開いちゃったわね……」

結衣「……先に公園帰って、待ってようか……」

綾乃「……それもいいかもしれないわね……」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「……ずっと手握りっぱなしで、疲れない？」

綾乃「いや、私は別に……あ、ごめんなさい、船見さんが」

結衣「いや、変な聞き方しちゃったけど、私はこのままでも……」

綾乃「そ、そう」

結衣「う、うん」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

綾乃「やっぱり、誰もいないわね……」

結衣「それどころか、さっきまでいたカップルもみんなどこか行ったみたいだ」

綾乃「なんか、二人っきりみたいね……」

結衣「う、うん……」

綾乃「……ぼーっとしてるだけでも、いいかもしれないわね……」

結衣「……そうだね……」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「……カップルっぽいこと、他になにかやりたいとか……」

結衣「そうだね……」

綾乃「……」

結衣「……やっぱり、アレとか……？」

綾乃「ああ、アレね……」

結衣「……他の組はどうしてるかな」

綾乃「うーん、千鶴と赤座さんのとことか想像できないわねー……」

結衣「うん……」

綾乃「……」

結衣「……」

結衣「あ、もうすぐみんな来る頃かな……」

綾乃「そうね……」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「えっと、今日はありがとうね？」

綾乃「ううん、こちらこそ……楽しかったわ」

結衣「そう、よかった」

綾乃「え、ええ」

結衣「……」

綾乃「……」


（（なに、この空気……））

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「やっぱり、アレはやっておくべきかな……カップルだし」

綾乃「でもこれって、ただの遊びじゃなかったのかしら……」

結衣「そっか……じゃあやめとく？」

綾乃「うーん、それはそれでもったいない気がするのよね……カップルだし」

結衣「どうしようか……カップルでもほら、たぶんこういうのは合意がいるんだと思うよ」

綾乃「合意ねえ……別にいいような気はするんだけど」

結衣「けど？」

綾乃「初めてだから……」

結衣「……あ、私もだ」

綾乃「そ、そうなの……」



（（なに？この展開……））

綾乃「ええと……どんな感じなのかしらね」

結衣「さあ……よくわからないけど、目は瞑るんじゃないかな」

綾乃「じゃあ、目を瞑って……」

結衣「うん……」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「見えないわね……」

結衣「そうだね……」

綾乃「このまま顔を近づけても、絶対失敗すると思うわ……」

結衣「だろうね……」

綾乃「……」

結衣「……」


（（なに、この空気……））

結衣「あ、だったらこう、片手で顔を掴めばいいんじゃないかな」

綾乃「へ、あご掴むの？」

結衣「あれ、ダメだった？」

綾乃「いや、そういうわけじゃないけど……なんかあれよね、手慣れてる感じがするわ」

結衣「うーん？なんか複雑だけど……まあいいか」

綾乃「……ええと、いつまで目を閉じてればいいのかしら」

結衣「あ、こういうのはささっとやっちゃうほうがいいのかな……」

綾乃「……ん」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「……」



（（…………））

後日　ごらく部部室


綾乃「歳納京子ーっ！あんた私のプリンまーた勝手に食べたわね！？」

京子「あれっ、バレちったか」

結衣「お前なあ……」

京子「いやあごめんねー？ほいっ、代わりに私特製ちなつちゃん人形あげるから！」

ちなつ「わーっ、また作ったんですか！？やめてくださいよもおおおお」


――――――

綾乃「じゃあ私は生徒会室に戻るけど……今度勝手に冷蔵庫漁ったら罰金バッキンガムだからねっ！」

結衣「ぶふっ」

京子「はいほーい、じゃーねー」

千歳「お邪魔しました～」

綾乃「……あ、そうだ……船見さん」

結衣「？……ああ、わかったよ」

綾乃「ん、じゃあ後でね」

結衣「うん」

京子「え、なに、なんのハナシ？」

結衣「お前はまず宿題をやれっ」

京子「ちぇー」

ちなつ（なに？あの雰囲気……）


オワリン
仮に結衣と綾乃がくっついたらゆるゆりとかがちゆりとかじゃなくて普通にビアンのカップルっぽいよね
デートの終りにラブホ行って終電がなくなったとか文句言ってそうだよねとかをｓｓに書こうとしたらまだ中学生だったのでやめたんだよね

大人だな
色々と激しそうだけど
乙