107: 2019/07/02(火) 21:39:15.54 ID:aNN5XuEfo

108: 2019/07/02(火) 21:44:35.98 ID:aNN5XuEfo
ありす「はい、一緒に考えて貰えませんか?」

武内P「私が、ですか?」

ありす「はい、そうです。お願い出来ますか?」

武内P「それは、構いませんが……」


ありす「ありがとうございます」

ありす「プロデューサーという立場の人の意見は、大事ですから」

ありす「それを聞けば、文香さんの自信にも繋がると思います」


武内P「成る程……そういう事でしたか」

109: 2019/07/02(火) 21:48:55.58 ID:aNN5XuEfo
武内P「橘さんは、鷺沢さんのために?」

ありす「それもありますが……私自身のためでもあります」

武内P「橘さん自身の?」

ありす「はい」


ありす「私は、文香さんの事をよく見ているつもりです」

ありす「でも、どうしても見えない部分というものがあると思います」

ありす「貴方の意見で、それに気付ければきっと今後のプラスになる、と」


武内P「成る程……」

武内P「本当に……よく、考えていらっしゃいますね」

110: 2019/07/02(火) 21:53:34.31 ID:aNN5XuEfo
武内P「では、その方向性で話を進めていきましょう」

ありす「ありがとうございます」

武内P「そう、ですね……では、少し質問させてください」

ありす「質問ですか? 私に?」


武内P「橘さんから見て、鷺沢さんはどういった方でしょうか?」

武内P「まず、貴女の考えを聞かせて頂き……」

武内P「その意見の中には無い部分を挙げていこう、と」

武内P「……そう思うのですが、どうでしょうか?」


ありす「成る程……!」

ありす「確かに、それなら効率が良いですね!」

111: 2019/07/02(火) 21:59:07.85 ID:aNN5XuEfo
武内P「では……橘さんから見た鷺沢さん、とは?」

ありす「それは、女性としてですか? アイドルとしてですか?」

武内P「どちらでも構いませんし、どちらも、でも」

ありす「そうですね……では、まず女性として」


ありす「文香さんは、落ち着いた大人の女性です」

ありす「そして、儚げで繊細なようでいて、しっかりと自分を持っている」

ありす「本を読んでいる時の文香さんは……ステキです」

ありす「私も、大人になったら‘ああ’なれればと思っています」


武内P「……成る程」

112: 2019/07/02(火) 22:05:40.73 ID:aNN5XuEfo
武内P「落ち着いている、というのは橘さんとの共通点でもありますね」

ありす「いえ、私は……文香さんに比べれば、まだまだ子供です」

武内P「その点を考慮しても、十分かと」

ありす「そんな……」


武内P「ここまでのお話の中でも、十分にそれは感じられました」

武内P「一つ一つ理由を挙げると、長くなってしまいますが……」

武内P「私は、橘さんとお話している時、『子供と話している』とは思いませんでした」

武内P「立派なアイドルの一人として……堂々とした振る舞いが出来ています」


ありす「そ、そんな……えと……」

ありす「……ありがとう、ございます///」

113: 2019/07/02(火) 22:11:57.51 ID:aNN5XuEfo
武内P「そう、ですね……他には?」

ありす「えっ? ええ、と……」

武内P「ゆっくりでも構いませんので」

ありす「そうですね……」


ありす「とても、真面目な所です」

ありす「レッスンに真剣に取り組む姿勢は、言うまでもありません」

ありす「他の人が悪ふざけをしている時も、決してそれに流されません」

ありす「それは、ノリが悪いとか、そういうのじゃなくて……」


武内P「美徳、ですね」


ありす「! そう! 私は、それは美徳だと思っています!」

114: 2019/07/02(火) 22:17:24.42 ID:aNN5XuEfo
ありす「……なのに、文香さんはそれを」

武内P「それを?」

ありす「……『つまらない人間』って言うんです」

武内P「成る程」


武内P「私個人としましては……」

武内P「先程も言った様に、それは鷺沢さんの美徳だと考えています」

武内P「そう、ですね……」

武内P「視点を変えてみる、というのはどうでしょうか?」


ありす「視点を……?」

115: 2019/07/02(火) 22:26:10.27 ID:aNN5XuEfo
武内P「鷺沢さんは、悪い部分だと思っているのに対して」

武内P「橘さんは、良い部分だと思っている訳です」

ありす「はい、そうですね……」

武内P「これは、お二人の視点が違うからに他なりません」


武内P「鷺沢さんは――面白い・つまらない」

武内P「橘さんは――正しい・正しくない」

武内P「……この、全く違った視点からの考え方」

武内P「それでは、意見が割れてしまうのも仕方ない事かと」


ありす「! 成る程……!」

116: 2019/07/02(火) 22:32:43.24 ID:aNN5XuEfo
武内P「ふざけてしまうのは、人間である以上仕方の無い事もあります」

ありす「それはっ……そう、かも知れません」

武内P「しかし、橘さんは『悪ふざけ』と言われましたね?」

ありす「はい……」


武内P「鷺沢さんは、橘さんから見たら大人の女性でしょう」

武内P「ですが、私から見ればまだ十代と、年若い方でもあります」

武内P「……若い方の中には、『少し悪いこと』に憧れる方も珍しくありません」

武内P「彼女のネガティブな発言は……そういった所から来るのかと」


ありす「! 成る程、確かにそうかも知れません!」

117: 2019/07/02(火) 22:41:35.84 ID:aNN5XuEfo
ありす「でも、それじゃあ……仕方無いんでしょうか」

武内P「いえ、そんな事は……決して」

ありす「えっ?」

武内P「『悪い事』は、あくまでも『悪い事』ですから」


武内P「……私は、鷺沢さんの担当ではなく、見え方は遠いと言えます」

武内P「しかし、橘さんは同じクローネに所属し、ユニットも組まれています」

武内P「遠くから……そして、近くから見て」

武内P「正しい振る舞いをしている、それは美徳だ、と……そう思われる」

武内P「……これは、自信を持っても良いのではないでしょうか?」


ありす「……!」

118: 2019/07/02(火) 22:50:12.81 ID:aNN5XuEfo
ありす「その通りです! 文香さんは、もっと自信を持って良いんです!」

武内P「はい、私もそう思います」

ありす「でも、何度言っても……困った様な顔で笑われちゃって」

武内P「……」


武内P「橘さんの意見だけでなく、私の意見も含めたら……」

武内P「……二対一、ですね」


ありす「え、ええっ?」

ありす「それは……なんだか、ズルい様な気がします」


武内P「すみません……私も、もうこの歳ですから」

武内P「……どうしても、悪い部分は出てきてしまって」


ありす「……」

ありす「ふ、ふふっ! それなら、仕方ありませんね!」クスクスッ!

119: 2019/07/02(火) 22:59:21.20 ID:aNN5XuEfo
武内P「正しい事を正しい、と……真っ直ぐ、素敵だと思える」

武内P「それは、橘さんの美徳だと思います」

ありす「えっ? それって、当たり前の事だと思いますけど」

武内P「はい、当たり前の事です」


武内P「……ですが、そうではない方も居らっしゃいます」

武内P「今の橘さんの様に、当たり前だと思えない方も、少なくありません」

武内P「……正しい事を当たり前に、真っ直ぐ素敵だと思う」

武内P「そして、自身も‘そう’であろう、‘そう’なりたいと考えるのは……」

武内P「……橘さん、貴女の大きな魅力の一つでもあります」


ありす「えっ、その……///」

ありす「あぅ、ありがとう……ございます……///」

120: 2019/07/02(火) 23:08:03.81 ID:aNN5XuEfo
ありす「……でも」

武内P「? どうかしましたか?」

ありす「同級生の男子には、真面目でつまらない……って言われます」

武内P「そう、ですか……」

ありす「……」


武内P「私は、橘さんとお話させて頂いて……はい」

武内P「……楽しい、と」

武内P「思っていたのですが……」


ありす「っ……!?///」

121: 2019/07/02(火) 23:11:53.94 ID:aNN5XuEfo
武内P「すみません……同級生の方の意見は、私には……」

ありす「あっ、も、もう良いです!///」

武内P「えっ?」

ありす「えっと……もう、大丈夫です!///」

武内P「いえ、しかし……」


ありす「いっ、今は!/// 私の事よりも文香さんの話をしましょう!///」

ありす「私の方はもう……えっと……兎に角、大丈夫ですから!///」


武内P「は、はあ……そう、ですか」

122: 2019/07/02(火) 23:18:55.48 ID:aNN5XuEfo
ありす「すぅ……ふぅ……!」

武内P「橘さん?」

ありす「……はい、もう平気です。クールタチバナです」

武内P「は、はあ……」


ありす「……ひとまず、私の意見はこれ位で」

ありす「ここまでで、何か気づいたことはありますか?」

ありす「あれば、遠慮なく言って下さい」


武内P「……」

武内P「はい、わかりました」

123: 2019/07/02(火) 23:25:05.24 ID:aNN5XuEfo
武内P「恐らく、橘さんが気づいていない……鷺沢さんの良い所」

ありす「! 今の話だけで、わかったんですか!?」

武内P「貴女だからこそ、気付けない事……ですね」

ありす「なっ、何ですか!? 教えて下さい!」


武内P「――橘さんです」


ありす「えっ?」


武内P「年下の友人に憧れられる……」

武内P「……そして、力になりたいと思われる事」

武内P「それは、とてもキラキラした、かけがえのないものだと思います」


ありす「……」

ありす「っ……!///」

124: 2019/07/02(火) 23:31:44.19 ID:aNN5XuEfo
武内P「ん、そう言えば……時間は大丈夫ですか?」

ありす「ふぇっ!? じ、時間……?」

武内P「確か、レッスンがこの後ある、と」

ありす「あっ、そうですね……そろそろ、行かないと」

武内P「何か、参考になりましたか?」

ありす「……えっ、と」


ありす「……もう少し、お話を聞いてみたいと思いました」

ありす「だから……また来ても、良いですか?」


武内P「はい、勿論です」ニコリ


ありす「……!」パアッ!

ありす「はい、ありがとうございます!」ニコッ!

125: 2019/07/02(火) 23:38:37.01 ID:aNN5XuEfo
  ・  ・  ・

武内P「――最近、ため息をついている?」


文香「――はい、とても心配で……」


武内P「ええ、確かにそれは……」

文香「私みたいな子供じゃ、と……呟いていたのです」

武内P「……成る程」

文香「何があったのか聞いてみても……答えてはくれなくて」

武内P「……」


文香「……なので、少しでも元気付けられる様に」

文香「私と一緒に……考えては貰えないでしょうか?」



武内P「橘さんの良い所、ですか」




おわり

126: 2019/07/02(火) 23:43:20.63 ID:VPSMiSS30
以下無限ループ

127: 2019/07/03(水) 00:09:18.53 ID:2LVEDKgNo
ありすと文香が互いに気持ちに気づいてひと悶着起きるだろうね

引用元: 武内P「ラッキースケベです」