1: 2016/06/04(土) 02:35:20.210 ID:3hUtFIy10.net
毎朝の光景

男「じゃあ会社行ってくる。
 夕飯の支度頼むな」

少女「ん。言われなくてもやっておくわよ。
 …あ、ちょっと」

男「なんだ?」

少女「はあ。ネクタイ曲がってるわよ。
 だらしないなあ。そんなんで会社に行くつもり?」

男「ホントか?きちんと鏡で確認したつもりなんだけどな」ゴソゴソ

少女「あー!余計おかしくなってるってば。
 いいから私に任せなさいよ」

男「お、おう」

少女「…はい。これでばっちり。
 不愛想で口下手なあんたも少しはマシになったんじゃないの?」

男「褒めてるのか貶してるのかどっちなんだ」

少女「うるさいなあ。さっさと仕事行けば?
 それとも遅刻したいの?いっそ休む?休んで一日わたしと過ごせばいいじゃん」

男「あのな、お前も学校だからな」
江戸前エルフ(6) (少年マガジンエッジコミックス)

2: 2016/06/04(土) 02:36:36.264 ID:3hUtFIy10.net
男子議論

少女「あーあ、クラスの男子ってなんであんなにバカなんだろ」

男「イタズラでもされたのか?」

少女「そんなもん日常茶飯事だってば。もおホントどうしようもないわ。
 頭にクるってレベルを遥かに超越してるわね」

男「まあ、その年頃の男子は気になる相手にちょっかい出すもんだからな」

少女「ふーん。ずいぶん知った風じゃん」

男「男の経験則ってやつだよ」

少女「へえ…。じゃああんたも昔はいっちょ前に女の尻追っかけまわしてたってわけ?」

男「ずいぶん捻くれた言い回しだな。
 …友達は大体そんな感じだったけど、俺はそういうのはなかった気がするな…」

少女「…そうよねえ!あんたみたいに消極的で不愛想で口下手な男に
 女を口説き落とせる話術があるとは到底思えないわ」

男「あのな、もし俺に彼女がいたらお前ここにいないからな」

少女「なに?そうやって追い出そうってわけ?
 わかったわよ、彼氏でも彼女でも作ればいいじゃない。
 そして朝ごはんもお弁当も晩ごはんも作ってもらえばいいじゃない。
 おはようからおやすみまで見つめられればいいじゃない」

男「いや、まず彼氏はいらないからな。
 ちょっと言ってみただけだからそう拗ねるな」

少女「…ふん」

3: 2016/06/04(土) 02:37:24.031 ID:3hUtFIy10.net
初夏

少女「まだ5月だってのにえらく暑いねぇ…」

男「この微妙な時期に空調をつけたら負けな気がしてならないんだよな」

少女「第一わたし、空調の冷気って体調悪くするから嫌いなのよね。
 文明の利器に頼り過ぎるのも考え物だわ。
 そうして人は利便性を求めていつしか身を滅ぼすのよ」

男「話が飛躍しすぎだからな。
 とはいえ確かに夏場はエアコンの常時稼働が当たり前になってるな。
 地球温暖化を考慮すると一時の快適さを求めすぎるのも良くはないか」

少女「ふふん。唐変木のあんたでも理解できたみたいね。
 そんなわけで我が家は今夏も冷房禁止よ」

男「すでに真夏日がちらほらやってきているのに、耐えられる気がしない。
 …暑い。Tシャツ脱ぐか」ヌギヌギ

少女「ちょっと、な、なにやってんのよ!」

男「暑いから着ている服を脱ぐ。ごく当然のことだけど?」

少女「はあ?はあ!?なにやってんのよ!なにやってんのよ!!」

男「落ち着けよ。頭がオーバーヒートしたのか?」

少女「それはあんたでしょ!?うら若き乙女の前でバカじゃないの!?」

男「この暑さの前に乙女もなにもあるか。暑さの前では人類みな平等なんだよ」

少女「な、なんて言い草…。じゃあ、わたしも脱いでいいってわけ?」

男「好きにしろよ」

少女「言ったわね?脱ぐわよ?良いの?脱ぐわよ?」

男「ああ、脱げよ」

少女「やってやろうじゃない。脱ぐわ。この上なく脱ぐわ…。
 …ぐ…うう…」

男「どうした。早くしろよ」

少女「…おたんちん!!」スタスタ

男「少しからかいすぎたか」

4: 2016/06/04(土) 02:37:42.807 ID:3hUtFIy10.net
ベーグルクッション

男「このベーグルクッション、実に良い座り心地だな」

少女「あんた最近それお気に入りよね。そんなに良いわけ?」

男「ああ。適度に尻にかかる負荷が分散されるんだよな。
 職場でずっと座りっぱなしだから尻が痛くてしかたないんだ」

少女「あんたねえ、うら若き乙女に向かって何回尻って言うのよ。
 慎みなさいよね」

男「尻が痛いのは事実なんだからしかたないだろ。
 それとも俺に尻の痛みを抱えたまま過ごせって言うのか?」

少女「そこまでは言ってないってば…。
 なによ、やけに熱く語るじゃない。
 普段そんなに尻の痛みに悩まされてるってわけ?」

男「まあな…。同僚なんか痔で休みを取るくらいなんだぞ…。
 尻の痛みは侮れないんだ。たかが尻と思って侮るなかれだぞ」

少女「言い直さなくていいわよ。はあ、なんか今日はやりにくいわ…」

5: 2016/06/04(土) 02:38:05.598 ID:3hUtFIy10.net
新調

少女「そろそろ新しい水着がほしいわねえ」

男「去年買ったやつでいいだろ」

少女「はあ?あんたってどうしてそうすっとこどっこいなのよ」

男「非難される理由がわからないんだけど」

少女「うら若き乙女はいつも新しい自分を見せたいわけ。
 少しは察しなさいよね」

男「どこの誰に見せるっていうんだ。
 大体去年だって俺としか海に行ってないだろ」

少女「…あのねえ、察しなさいって言ったばかりなんだけど」

男「どういうことだよ?」

少女「はあ…。あんたホントおたんちんね」

6: 2016/06/04(土) 02:38:49.427 ID:NI0EwQava.net
少女が釘宮で再生される

7: 2016/06/04(土) 02:39:04.872 ID:3hUtFIy10.net
ジョギング

男「ふぅ…ただいまー」

少女「おかえり。…わっ、汗くさっ。…汗くさっ。あんた、この上なく汗くさいわ」

男「どんだけ臭いってんだよ。ジョギングしてきたんだから汗をかくのは当たり前だろ」

少女「なによ、健康志向にでも目覚めたってわけ?」

男「まあな。さすがにデスクワークで何も運動してないと体がなまってしかたなくてな」

少女「ふーん…。見た目は特に変わってないけどねえ」

男「それは誉めてるのか?」

少女「はあ?うぬぼれないでよね。
 いつも通りなまっちょろくて不健康そうなナリだって言ってんのよ。
 それよりちゃっちゃとシャワー浴びてきなさいよ。
 うら若き乙女の傍にいたければまず身を清めなさいよね」

男「まったくひどい言い草だ…」

9: 2016/06/04(土) 02:41:33.672 ID:3hUtFIy10.net


少女「あんたの枕、くっさいわねえ」クンクン

男「そう言いながら嗅いでいる物体が何か教えてやろうか」

少女「あんたの枕以外のなんだってのよ。はあ、くっさいわ」クンクン

男「あのな、臭いものをわざわざ嗅ぎ続ける人間のことを変人と呼ぶんだぞ。
 知ってるか?」

少女「はあ?こんなうら若き乙女を捕まえてなによその言い草。
 うーん、くっさい。くっさいわねえ」クンクン

男「…付き合いきれない」

少女「あ、こら。待ちなさいよ。はあくっさい。くっさいわあ」クンクン

11: 2016/06/04(土) 02:44:15.264 ID:3hUtFIy10.net
パンダ

男「なに見てるんだ?」

少女「パンダの動画よ。はあ、パンダってかわいいわねえ。
 ぬいぐるみみたいにもふもふしてて、
 たどたどしい感じの動きがたまらないわ」

男「確かに見てて癒されるな」

少女「あーあ、一緒に住んでるのが
 こんなに不愛想で口下手なやつじゃなくて
 パンダだったら良かったのに」

男「言ってくれるな。じゃあ誰が生活費を稼いでくるっていうんだ」

少女「パンダよ」

男「なんだと?」

少女「パンダと私の魅力があれば一攫千金が狙えるわ。
 そして一人と一匹は幸せな生活を送るわけ」

男「お、おう」

13: 2016/06/04(土) 02:47:47.078 ID:3hUtFIy10.net
お肉

少女「あんたねえ、お肉だけじゃなくお野菜も食べなさいよね」

男「仕事の疲れを癒すには肉が一番なんだよ」

少女「なによ、その根性論。
 きちんとビタミン摂らないとあられもないニキビ面になるわよ。
 わたし、小汚いやつと一緒は嫌だからね」

男「言っておくけどな、髪はタンパク質を主成分としているんだぞ。
 野菜ばかり食ってハゲた俺と一緒に歩きたいか?」

少女「うわ、想像するにおぞましいわ…。
 ちょっと、近づかないでくれる?」

男「あのな、まだスベスベだしフサフサだからな」

15: 2016/06/04(土) 02:55:22.064 ID:3hUtFIy10.net
家事のこと

少女「あんたさあ」

男「なんだ?」

少女「もしもよ?もしもわたしが家事なんてやりたくないー!…って言ったらどうする?」

男「やりたくないのか?」

少女「だからもしもだってば。…いらないわよねえ。
 お金ばっかりかかって何の役にも立たない小娘なんて置いておく意味がないわ」

男「それはお前の想像に過ぎないだろ。
 家事がやりたくなけりゃ俺がやってやるよ。
 ま、その分平日の晩飯は少し遅れるかもしれないけどな」

少女「…大したお人好しだわ、あんた」

男「その代わり学校を出たらお前にも働いてもらうけどな。
 せいぜい社会の厳しさを味わうことだな」

少女「…ふん。バカみたい。
 ちょっと言ってみただけだってば。家事は楽しいしね」

男「そうか。それならなによりだよ」

16: 2016/06/04(土) 02:59:14.996 ID:3hUtFIy10.net
お酒

男「かーっ、金曜の夜はこれだなぁ」

少女「金曜に限らず毎日飲めばいいじゃん、お酒」

男「いや、たまに飲むから格別なんだよ。
 労働の後の一杯ですべてがチャラになる気がするな」

少女「ふーん…。ね、私にも一口飲ませてよ」

男「なに?まだ早いと思うぞ。苦くて飲めたもんじゃない」

少女「良いから一口!」バッ

男「あ、こら」

少女「……」グビ

男「あーあ…。どうだ?美味いか?」

少女「…お、おえ」

男「ほら言わんこっちゃない」

少女「まずいわ…。あんたよくこんなの美味い美味い言って飲んでるわねえ…」

男「大人の味ってやつだよ。だから早いって言ったんだ」

少女「む。言ってくれる…じゃ…ない…?」クラクラ

男「お、おい」

少女「うーん…」

男「寝たか。まあ初めての飲酒じゃしかたないな。まったく」

17: 2016/06/04(土) 03:08:02.972 ID:3hUtFIy10.net
タバコ

少女「あんたってさあ」

男「なんだ?」

少女「酒はやってもタバコはやらないのねえ。なんで?」

男「酒は飲み会がきっかけだったけど、
 タバコは吸うきっかけがなかったからな」

少女「へえ。ま、正解ね。ヤニ臭い男と四六時中いっしょとか
 副流煙でビタミンCが破壊されることを思えばたまったもんじゃないわ」

男「随分具体的なバッシングだな…」

少女「家の中もヤニで黄色くなるし!」

男「お、おう」

男 女
18: 2016/06/04(土) 03:15:06.173 ID:3hUtFIy10.net


少女「そういえば、今年は桜見てないわねえ」

男「花見しようって言ったのに、お前が人の多いところが嫌だって突っぱねたんだろ」

少女「はあ?人がごった返したところなんて落ち着いてらんないわよ。
 ただ見てないなあって思っただけだってば。深読みしないでよね」

男「めんどくさいやつ…。
 ああ、でも地方じゃまだ咲いてたりするみたいだな」

少女「へえ。いつまでも未練深いわねえ。
 まるであんたみたいね」

男「意味がわからん」

20: 2016/06/04(土) 03:25:30.700 ID:3hUtFIy10.net
男「意味がわからん」

タイピング

男「よっと」カタカタカタ

少女「あんた、ワープロ打つの速いわねえ」

男「キーボードな。お前、平成生まれだろ?
 なに昭和のおっさんみたいなこと言ってるんだ」

少女「う、うるさいわねえ。
 ふん。ちょっとキーボード打つのが速いからって
 調子に乗らないでもらいたいもんね。
 それより最後にターン!ってかっこつけるのみっともないからやめてもらえる?」

男「いや、そんなことをした覚えがないんだけど」

少女「いいからちょっとキーボード貸しなさいよ!
 わたしだってねえ、その気になればこんなの余裕なのよ。
 …あ、あれ?なんでひらがなじゃなくてアルファベットが出てくるの?」

男「ああ、ローマ字入力にしてるからな。
 ほら、キーボードのアルファベットに従って文字を入力するんだ。
 …もしかしてお前、今までずっとかな入力だったのか?」

少女「…はあ?そうよ、なにか文句あるわけ?
 日本人が日本語使っていけないっての?
 そんなに英語が好きならoh my godとか呟きつつ
 部屋の隅で頭を抱えていれば良いじゃない。
 Shake it up babyとか叫びながらリズムに乗れば良いじゃない」

男「あのな、それ完璧にノイローゼの人だからな」

22: 2016/06/04(土) 03:32:34.896 ID:3hUtFIy10.net
ホラー映画

男「ただいま」

少女「おかえり。…ん?その手さげ袋なぁに?」

男「ああ、せっかくの金曜だし映画借りてきたんだ。
 ご飯食べたあとに観ようぜ」

少女「へえ、あんたにしてはなかなか気が利くじゃん。
 それで何の映画を借りてきたわけ?」

男「それは観るまでのお楽しみだ。
 その方がワクワクするだろ?」

少女「もったいぶるわねえ。
 駄作ばっかりだったら承知しないわよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

少女「ちょ、ちょっとちょっと」

男「なんだ?」

少女「なんだってこんな、こんなホラーばっかりなわけ!?
 あんた、脳みそどっかに置き忘れてきたの!?」

男「最近暑くなってきたし、涼むのにちょうど良いかと思って。
 …まさかお前、怖いのか?
 へえぇ。リアリスト気取ってるくせにフィクションは真に受けるんだな」

少女「はああ?ずいぶん舐めた口きいてくれるじゃん。
 いいわよ、観てやろうじゃない。
 どさくさまぎれに抱き着いたりしないでよね」

男「普通それ、立場が逆だからな」

少女「つべこべ言ってないでさっさと観ようじゃないの!」

23: 2016/06/04(土) 03:37:41.983 ID:3hUtFIy10.net
男「まあまあだったな」

少女「…そそ、そうね。ちゅ、中の下って感じね。へ、へへ…」

男「顔色悪いけど大丈夫か?」

少女「馬鹿言わないで。元からこんなもんよ。
 常時もやしのような顔色だわ」

男「いくらなんでも不健康すぎるからな。…あっ」

少女「な、なに!?なんなのよ!なにかいるっての!?どこ!?だれ!?上!?下!?」

男「コーラがもうない。ちょっとコンビニ行って買ってくる」

少女「ちょっと!馬鹿よしなさいよ!
 闇に蠢く残虐な悪魔に襲われたらあんた、ひとたまりもないわよ!」

男「いや、思いっきり映画の話だからなそれ。
 とにかく行ってくるから留守番頼んだぞ」

少女「ま、まって。待ってってば」

男「ん?なんだ?ついてくるのか?」

少女「い、行かないで。…ひとりぼっちは嫌…暗がりもこわいわ…」

男「………」

少女「…ね、ねえ?」

男「ま、コーラのストックはあるし。
 お前の慌てる姿が見られたから良しとするか」

少女「…はあ?…もしかしてあんた、わざと…」

男「さて、じゃあ次の映画を観るとするか。
 実は普通の映画も借りてあるんだ。
 それとももう一度ホラーの方が良いか?」

少女「お、おたんちん!

26: 2016/06/04(土) 03:54:10.859 ID:3hUtFIy10.net
少女「ふんふーん。…いたっ」

男「どうした?」

少女「…なんでもないわ。
 それよりちょっとどけてよね。
 なんとしてでも外せない急用を思い出したわ」

男「なんでもないってことはないだろ。
 包丁で指でも切ったか?ちょっと見せてみろ」

少女「はあ?あんたみたいなぶきっちょと違って
 このわたしがそんなことやらかすわけないでしょ?
 たまたまファニーボーンに肘がぶつかっただけよ」

男「いや、ファニーボーン自体肘にあるからな。
 意地張ってないで見せてみろって。
 …うわ、結構深いな。待ってろ、救急箱取ってくるから」

少女「…ん」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

男「これでよしと。次からはちゃんと言えよな。心配するだろう」

少女「…だから言いたくないんだってば」ボソッ

男「…遅かれ早く気づくんだから同じことだ、まったく」

少女「ふん…」

27: 2016/06/04(土) 04:04:11.243 ID:3hUtFIy10.net
リクエスト

少女「ね」

男「ん?」

少女「今晩なに食べたい?
 慈悲深いわたしが下々のリクエストに応えてあげてもいいわよ」

男「あのな、下々じゃないからな。
 どこをどう取っても対等な関係だからな」

少女「もう、いちいち細かいわねえ。
 そんなあんたは大豆をひとつずつ箸でつまんで食べるのがお似合いね」

男「そんなみみっちいことするつもりないんだけど」

少女「はあ?あんた、食べ物を粗末にするつもり?
 畑のお肉と呼ばれる大豆を残そうってわけ?」

男「そもそもメニューにカウントしなくていいからな。
 うーん、そうだな…。ハンバーグが食べたいかな」

少女「子ども舌ねえ。
 まったく、あんたに外食はもったいないわ。
 同僚が外に食べにいく中ひとり寂しくわたしのお弁当を食べればいいじゃない。
 夜は同僚と盃を交わすこともなく家でわたしの手料理を食べればいいじゃない。
 そうして孤立していくのがお似合いだわ!」

男「なにをどう言葉にすればいいかわからない心境だ」

29: 2016/06/04(土) 04:13:52.367 ID:3hUtFIy10.net
夜更かし

少女「…ちょっと、まだ起きてるわけ?」

男「ああ、帰りがけに買ってきた小説が面白くてなあ。
 眠かったら先に寝て良いんだぞ」

少女「はあ?言われなくてもわかってるってば。
 うら若き乙女にとって睡眠不足は大敵だもん。
 寝るわ、眠るわ。この上なく惰眠を貪るわよ」

男「ああ、明日休みだし好きなだけ寝な。おやすみ」

少女「………」

男「…なんだ、寝ないのか?」

少女「あんた眼球どこについてんの?
 どう見ても寝てるんだけど」

男「いや、どう見ても目を開けて会話の真っ最中なんだけど」

少女「寝言よ寝言。
 わたしほどになれば常時寝言で会話が成立するわけ」

男「あのな、下手なホラーより怖いからなそれ」

少女「良いからさっさとその三流小説を読破すれば?
 そしてとっとと眠ればいいじゃない。
 一週間の疲れを癒すがごとく休息を取ればいいじゃない。
 あんたが起きるまでには食事の支度を済ませてやるわ」

男「あ、ありがとう?」

30: 2016/06/04(土) 04:25:47.845 ID:3hUtFIy10.net
揚げ足取り

男「なあ」

少女「なによ?」

男「お前、その言葉遣いもう少しなんとかできないのか?」

少女「はあ?こんなうら若き乙女を捕まえて
 なに素っ頓狂なことぬかしてるわけ?
 どこをどうとっても完璧な言葉遣いだわ」

男「およそ乙女が取るべき言動からは対極にあるんだけど」

少女「あんたが乙女を知らないだけよ」

男「いや、これが乙女の模範なら男は誰も知りたくないと思うぞ」

少女「はいはい。都合の良い幻想を抱いて生きるがいいわ」

男「ほら、すぐそれだ」

少女「どれだってのよ?」

男「そのすぐ人を揚げ足を取るところだ」

少女「ふん。おあいにくさまね。
 わたしは生まれてこの方揚げ足なんて取ったことないわ。
 せいぜい揚げるのはエビフライくらいのもんよ」

男「あのな、から揚げとかトンカツも揚げてるからな」

31: 2016/06/04(土) 04:37:41.487 ID:3hUtFIy10.net
カーディガンと思い出

男「ん?」

少女「なによ、人のことジロジロ見て」

男「今日はカーディガン着ていくのか」

少女「普段より大分気温が低いみたいだから。
 …なに、あんたカーディガンフェチ?
 ついにあられもない本性を露わにしたわね、このおたんちん」

男「いわれない誤解だからな。
 紺色のカーディガン見てたら学生時代を思い出して懐かしかっただけだ」

少女「氏んだ魚の目をしたあんたにも光り輝く学生時代があったのよねえ…。
 まるで想像がつかないわ。むしろそんなのなかったんじゃない?」

男「あのな、普通に進学したあと就職したから。
 まともな学歴を所持しているから」

少女「その学生時代とは、あなたの想像上の経験に過ぎないのではないでしょうか(キリッ」

男「そうだとしたら二人して食いっぱぐれてるからな」

少女「ふん。しかたないわね、そういうことにしといたげるわ。
 …あんたも学生の頃はカーディガン着てたの?」

男「秋とか冬はさすがになあ。それがどうかしたのか?」

少女「…それ、今もあるわけ?」

男「確か実家から出てくるときに持ってきたと思うけど…」

少女「へえ、あるんだ。…それ、わたしによこしなさいよ」

男「別に構いやしないぞ。なんだ、学校に着ていくのか?」

少女「はあ?あんたのエキスが染みついたカーディガンなんて
 せいぜい雑巾が良いところだわ。うぬぼれないことね」

男「いや、ちゃんと洗濯してるからな」

少女「もう、口答えしないでさっさと持ってきなさいよね」

男「はいはい。…えーと、どこにしまったっけ」スタスタ

少女「へへ…」

34: 2016/06/04(土) 04:50:52.871 ID:3hUtFIy10.net
セーター・カーディガン議論

少女「あんたってさあ」

男「なんだ?」

少女「学生の頃、カーディガンしか着てなかったわけ?
 セーターは?」

男「んー…セーターって、構造上どうしても頭から被ることになるだろ?」

少女「はあ?想像力が不足していると言わざるを得ないわねえ。
 もしかするとまず足を通す人だっているかもしれないじゃん」

男「多分ダルンダルンになるからなそれ。
 …ともかく、少なくとも俺は頭から被ることを一般的だと捉えていたわけだ。
 すると着るときにどうしても髪の毛が引っかかって乱れる。
 それが嫌でセーターは着ていなかったな」

少女「乱れる髪もない男がなにをいっちょ前に能書きたれてるのよ。
 とんだお笑い種だわ」

男「あのな、学生の頃の話だからな。
 そして今もフサフサだからな」

35: 2016/06/04(土) 04:59:01.249 ID:3hUtFIy10.net
セーター・カーディガン議論その2

男「思うんだけどさ」

少女「なによ?」

男「女子ってみんなカーディガンの袖丈長めだよな。なんでだ?」

少女「さあ?流行ってるからじゃないの?」

男「例にもれずお前も長めの袖丈なわけか」

少女「この方があったかいのよ」

男「俺、それ結構好きだな。
 うまく言えないけど、いつもより庇護欲を掻き立てられる気がする」

少女「ふーん…。じゃあ今もわたしに庇護欲を掻き立てられてるってわけ?」

男「はあ?」

少女「はあ?じゃないわよ。だってそういうことでしょ?
 なによ、違うわけ?
 へーえ。あんた平気で口から出まかせを言えるんだ。
 そんなだからおたんちんなのよ」

男「まだ何も言ってないだろ。
 …いつもこの上なく世話焼かされてるんだから
 これ以上面倒を見たいとは思うことはありえないな」

少女「ふん。なにそれ、ホントおたんちん」

36: 2016/06/04(土) 05:10:16.946 ID:3hUtFIy10.net
フェチ議論

男「なあ?」

少女「なによ?」

男「人には自分にないものを好きになる心理があるってよく言うだろ?」

少女「すっとこどっこいのあんたにはそう言ってるように聞こえるかもしれないわね」

男「いや、基本的に誰が聞いても同じだと思うぞ」

少女「ふうん、なるほど。それがあんたの限界ってわけ」

男「神妙な顔して言ってもダメだからな。
 …でだ、よく女性は男の腕の血管が好きだとも言うだろ?
 実際のところどうなんだ?」

少女「はあ?けっかんん?そんなもん興味ないわよ。どういうこと?」

男「力を入れた腕に浮き出る血管が男らしくて好きだという女性がいるらしい。
 …うーむ、これはデマだったのか?」

少女「へーえ。…論より証拠ね、ちょっと見せてみなさいよ。
 ほら、その貧相な腕に力入れて」

男「貧相は余計だ。…ふん!」

少女「わ、ホントだわ。浮き出てきた。
 …うわー…。ね、ちょっと触ってみてもいい?」

男「血管をか?別にいいけど」

少女「それ、それそれ」ブニッブニッ

男「うわ、血管動かすのやめろ。気持ち悪い感覚だ」

少女「あはは!男らしいかどうかはわからないけど、楽しいわねえ」ブニッブニッ

男「バカなこと言い出さなければよかった」

37: 2016/06/04(土) 05:20:31.846 ID:3hUtFIy10.net
5月病

男「5月もあっという間だったけど、
 我が家は5月病とは一切無縁だったな」

少女「このわたしは滅私奉公の塊として、
 あんたは年中5月病みたいなもんだもんねえ」

男「あのな、俺きちんと働いてるからな。
 ちゃんと給料もらってるからな」

少女「まったく、まるで光と影ね。
 わたしの働きぶりにあんた、感謝を忘れるべからずってところだわ」

男「悪し様に言われるのが癪だけど、当たり前の話だろ。助かってる」

少女「…ふん。おたんちん。ホント、おたんちんだわ」

39: 2016/06/04(土) 05:27:06.430 ID:3hUtFIy10.net
制服議論

少女「ね、あんたってさ、Yシャツは半そで派?袖まくり派?」

男「なんだ藪から棒に?」

少女「学校で友達とそういう話題になったの。ねね、あんたはどっち?」

男「学生の頃は半そでだったな。おふくろが半そで買ってくるもんだから」

少女「えー、なんだ半そでかぁ…」

男「不満そうだな」

少女「べつにぃ?あんたにはお似合いじゃないの。
 せいぜい半そでを着こなして暑さに備えなさいよ。
 貧相なもやし男は熱中症で倒れないよう気をつけることね」

男「貶しているのか気遣っているのかはっきりしろ」

40: 2016/06/04(土) 05:39:41.014 ID:3hUtFIy10.net
制服議論その2

男「でも今は暑いときは基本袖をまくってるな」

少女「…ふうん?きちんと三回まくりでしょうね?」

男「え、そうしてるけど…」

少女「三回まくったときの腕の露出具合が絶妙なのよ。
 二回じゃ腕が隠れすぎ。だからって四回はやりすぎなのよねえ。
 あざとくってしかたないって感じ。
 …あんた、なかなかわかっていると褒めたげるわ」

男「珍しく素直に褒められは良いけど喜びどころがまるでわからん」

43: 2016/06/04(土) 05:52:31.083 ID:3hUtFIy10.net
暖房代わり

少女「暑いわねえ」ギューッ

男「なら離れろ。こっちのが暑いっての」

少女「はあ?離れたら今度は寒いのよ。
 あんた暖房代わりにすらならないなんてホントどうしようもないわね」

男「この現代社会で人を暖房扱いするのがまずおかしいんだけどな」

少女「まさかあんた、ちょっと寒いくらいで空調を入れようっての?
 そうやってどんどん無駄な出費が増えて家計が圧迫されるわけね」

男「お前が空調入れると気持ち悪くなるからって冷房も暖房も禁止してるんだけど。
 そうじゃなくて厚着すれば良いだけの話だろ。
 一体どういう思考回路をしているんだ」

少女「はあああ?洗濯の手間を増やすまいとする私の気持ちがわからないとは
 とんだすっとこどっこいね。まったくこれだから」

男「洗濯任せてる身としては何も言えなくなるからなそれ」

少女「ふん。無能のあんたは暖房代わりがお似合いよ、このおたんちん」ギューッ

45: 2016/06/04(土) 06:01:41.335 ID:3hUtFIy10.net
寝坊

少女「スー…スー…。…ふゎあ…」

少女「………」

少女「え゛え゛!!9時40分!?」

少女「ね、寝坊だわ!ちょっと!ねえ起きないと!…って、あれ…?」

少女「あいつがいない…。どこ行ったのかしら…。ん?テーブルに置いてあるのは…書置き?」

男『珍しく寝坊したようだけど、学校の創立記念日で休みだと聞いていたので起こさなかった。
 昼は適当に買った食べるので心配ご無用。
 帰りはいつも通りの時間になる。それでは行ってきます』

少女「う…うう…。朝ごはんもお弁当も作ってあげられなかったわ…」

少女「あいつ、ちゃんと朝食べていったのかしら…。食器を使った様子はないけど…」

少女「大丈夫かなあ。お昼の分のお金、足りるのかしら…」

少女「………よし」

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男「ただいまー」

少女「…お、おかえり」

男「おう。よく眠れたか?お前が寝坊するなんて、疲れが溜まってるんじゃないか?」

少女「ん。…って、私のことは良いんだってば。…ご飯、できてるよ」

男「そっか。じゃあ風呂の前に晩御飯だな。…んん?なんか随分豪勢だな」

少女「その、お詫び。朝ごはんとお弁当。…ごめんね」

男「おいおい、いつになく殊勝だな。
 いつも作ってもらってるのはこっちなんだぞ。
 お前が気に病む必要ないと思うけど。
 それより飯にしようぜ。腹減った」

少女「う、うん。へへへ…」

46: 2016/06/04(土) 06:23:56.561 ID:3hUtFIy10.net
色恋沙汰

少女「はあ…」

男「どうしたんだ?ため息なんてついて」

少女「なんかこう、周りが色恋沙汰で盛り上がってると
 なんとも言えない気持ちになるのよねえ」

男「普通女子って、そういう話が好きなんじゃないのか?」

少女「デートで手を繋いだとか、キスがどうのとか、
 そういう話を聞かされてもてんで興味ないのよねえ」

男「ふーん。ずいぶんひれくれたやつだなあ」

少女「はあ?誰がひねくれてるのよ?
 …大体どのカップルも学校内で出来上がってるのよね。
 同い年なんて論外だし、先輩っていっても高々一個上じゃん。
 ガキんちょには興味ないのよねえ」

男「ふーん…」

少女「やっぱ年上よ、年上」

男「年上ねえ」

少女「ま、そういうこと」

おわり

42: 2016/06/04(土) 05:49:46.501 ID:VqvsKDW3a.net
おたんちんなんて言える奴は少女じゃない

44: 2016/06/04(土) 05:54:04.197 ID:qQx9mGfo0.net
ぎゅーってしてくれる女の子かわいい

引用元: 男「さてと」少女「あ、ちょっと」