1: 2016/06/24(金) 04:11:59.96 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「朝起きたらドーナツになってたんだよね」

時子「……色々と突っ込みたいことはあるけれど、貴方、どうやって喋ってるの?」

ドーナツ(法子)「うーん……どうしてだろう。でも、喋ることと動くことはできるみたいだから問題ないってことで!」

時子「問題しかないわよ……」

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(9) (電撃コミックスEX)

2: 2016/06/24(金) 04:13:36.08 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「そうかなあ?」

時子「逆に何が問題じゃないのか教えてほしいくらいよ」

ドーナツ(法子)「だって、ドーナツになったんだよ?」

時子「それで説明できていると思っているとしたら貴方は本当のバカね」

ドーナツ(法子)「バカなんて……時子さんひどいよー」

時子「ということは本当に思っていたのね……」

ドーナツ(法子)「だって、ドーナツだよ?」

時子「『ドーナツだよ?』と言われてもどう答えろって言うのよ……」

ドーナツ(法子)「『そうね。ドーナツだものね。ドーナツなんだから仕方ないわね』とか?」

時子「ドーナツはそこまで万能じゃないわよ……あなたはドーナツをなんだと思っているの?」

ドーナツ(法子)「ドーナツはドーナツだよ!」

時子「……そう」

3: 2016/06/24(金) 04:14:04.11 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「でも、どうしよう。このままじゃ、アイドルを続けられないよね……」

時子「気にするところはそこじゃないと思うけれど、まあ、そうかもしれないわね」

ドーナツ(法子)「……それは、嫌だなぁ」

時子「……」


4: 2016/06/24(金) 04:14:34.13 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「……あ!」

時子「……どうしたの?」

ドーナツ(法子)「わかった……わかったよ! 時子さん!」

時子「何が?」

ドーナツ(法子)「私、ドーナツアイドルになればいいんだ!」

時子「……ハァ?」


5: 2016/06/24(金) 04:15:11.52 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「だって、私、この状態でも喋れるし、動けるんだよ? 今日も一人で……一ドーナツで事務所まで来たし」

時子「その状態で一人で来るって頭おかしいんじゃないの?」

ドーナツ(法子)「一人じゃなくて一ドーナツだよ! 今の私はドーナツなんだから!」

時子「そこはどうでもいいでしょう……」

ドーナツ(法子)「よくないよ! 時子さんはドーナツをなんだと思ってるの!?」

時子「ドーナツよ……」

ドーナツ(法子)「……正しいね!」

時子「そう……」

6: 2016/06/24(金) 04:15:54.12 ID:NeuiaxB+0
ドーナツ(法子)「それで、ドーナツアイドルのことだけど」

時子「それ、続いてたのね……」

ドーナツ(法子)「続いてたよ! でね? 私、このままでも喋って、動けるじゃない? だから、歌って踊ることもできるんじゃないかなーって」

時子「ドーナツが歌って踊るっていうのが意味わからないわよ」

ドーナツ(法子)「でも、これ、いけると思うんだ。ドーナツがアイドルになるって、たぶん、初めてのことでしょ?」

時子「初めてじゃなかったらこわいわよ」

ドーナツ(法子)「それに……私は、今、ドーナツだから。ドーナツである私だからこそ、伝えられることもあると思うの!」

時子「ないわよ……」

ドーナツ(法子)「見てて、時子さん! 私、世界一のドーナツアイドルになるから!」

時子「他に居ないから既に世界一よ……」


7: 2016/06/24(金) 04:16:44.94 ID:NeuiaxB+0


――それから、ドーナツ(法子)の厳しいレッスンが始まった――


8: 2016/06/24(金) 04:17:23.76 ID:NeuiaxB+0
マストレ「椎名! ステップが甘い! そんなことじゃ観客席からは見えないぞ!」

ドーナツ(法子)「はい!」ピョコピョコ



時子「ステップの問題じゃないわよ……」

9: 2016/06/24(金) 04:18:08.01 ID:NeuiaxB+0
マストレ「椎名! ドーナツならもっとドーナツの魅力を出すんだ! お前のドーナツ愛はそんなものか!」

ドーナツ(法子)「……そうだよね。私、間違ってた。私は、今、ドーナツなんだ。つまり、今の私は、世界で一番魅力的――マストレさん! お願いします!」

マストレ「ふっ……いい目、いや、いいツヤをしている。……いくぞ!」

ドーナツ(法子)「はい!」



時子「……どういうことよ」

10: 2016/06/24(金) 04:19:12.08 ID:NeuiaxB+0


――厳しいレッスンの日々、そして、つかの間の休息――



11: 2016/06/24(金) 04:19:44.28 ID:NeuiaxB+0
かな子「法子ちゃん、これ、新作ドーナツ。作ってきたんだ。食べる?」

ドーナツ(法子)「いいの!? あ、でも、今、私ドーナツだから……共食いにならないかな?」

かな子「おいしかったら大丈夫だよ~」

ドーナツ(法子)「だよね! じゃあ、いただきまーす!」モグモグ

かな子「ドーナツが法子ちゃんの穴の中に消えていく……法子ちゃんの穴って、どこにつながってるの?」

ドーナツ(法子)「うーん……どこなんだろう。わからないや!」

かな子「そっか。わからないんだ。それじゃあ仕方ないね」

ドーナツ(法子)「うん!」


時子「仕方なくないわよ……」


12: 2016/06/24(金) 04:20:59.59 ID:NeuiaxB+0


――そして、月日は流れ――


13: 2016/06/24(金) 04:21:36.40 ID:NeuiaxB+0

――ライブ会場


ドーナツ(法子)「みんなー! 今日は集まってくれてありがとー!」

ワー ワー ノリコチャーン! ドーナツー!

ドーナツ(法子)「えへへ……みんな、ドーナツしてるー?」

ドーナツー! 

ドーナツ(法子)「ありがとー! それじゃあ、一曲目、いっくよー!」

ドーナツ(法子)「」スゥ……


ドーナツ(法子)「『お願い!シンデレラ』!」


14: 2016/06/24(金) 04:23:46.86 ID:NeuiaxB+0

――


ドーナツ(法子)「……それじゃあ、次で最後の曲です」

エー! モットキキターイ!

ドーナツ(法子)「ありがと! ……でも、楽しい時間も、いつか終わりはくるもので……だからこそ、この時間は、大切なんだと思う」

ドーナツ(法子)「それに――心配しないで! 私は、また、みんなの前で歌うから! みんなと離れる時間は、ドーナツの穴みたいなものだけど……穴の向こう側で、待ってるから! 穴も含めて、ドーナツだから!」

ドーナツ(法子)「それじゃあ、みんな、最後まで盛り上がっていくよー!」

ワー! ノリコチャーン! ドーナツー!


15: 2016/06/24(金) 04:27:26.39 ID:NeuiaxB+0

――

ドーナツ(法子)「はぁ……はぁ……」

時子「お疲れ様、法子」水ヒョイ

ドーナツ(法子)「時子さん……ありがと。でも、水はいいや。湿っちゃうから」

時子「そう……」

ドーナツ(法子)「時子さん……私、やったよ。みんな、ドーナツの魅力を……わかってくれたかな」

時子「……それなら、問題ないわ。ステージでのあなたは、魅力的で――そんなあなたは、ドーナツなんだから」

ドーナツ(法子)「そう……かな」

時子「そうよ」

ドーナツ(法子)「時子さんがそんなことを言うなんて……明日、雨でも降るのかな」

時子「それ、どういう意味よ。……でも、この私が認めているんだから、胸を張りなさい」

ドーナツ(法子)「……うん! 時子さん、ありがとう!」

時子「……どういたしまして」


16: 2016/06/24(金) 04:30:30.99 ID:NeuiaxB+0

――


チュンチュン

時子「……」

時子「……」

時子「……なんて夢を見ているのよ、私は」


17: 2016/06/24(金) 04:31:32.57 ID:NeuiaxB+0

――事務所


時子「おはよ――ん? 誰も居ない? ……まったく、私が来ているのに誰も居ないなんて、躾が必要ね」

???「時子さーん!」

時子「……? 今、声が……どこに隠れているの? 出てきなさい」

???「ここだよー! テーブルの上―!」

時子「テーブルの……ドーナツ?」

???「そう!」

18: 2016/06/24(金) 04:31:59.12 ID:NeuiaxB+0



ドーナツ(法子)「時子さん! 私、ドーナツになっちゃった!」







19: 2016/06/24(金) 04:32:28.81 ID:NeuiaxB+0
終わりです。ありがとうございました。

20: 2016/06/24(金) 05:27:39.92 ID:TMI/ybPIo
おつおつ

引用元: 財前時子「法子がドーナツになった……ですって?」ドーナツ(椎名法子)「そう!」