1: 2011/06/18(土) 13:00:24.89 ID:LpKYro6E0


QB「あれは、マミスマイル!」

まどか「マミスマイル!?」

QB「マミスマイル……マミはよほどの実力者と出会った時しかこの笑いを出さないよ!」

マミ「何もかも特訓と同じよ! ピョートルはマミスマイルでよける!」ガブリ

ピョートル「ピギー!?」

マミ(体が軽い……こんな気持ちで戦うのは初めて)

マミ(もう何も怖くない! 一人ぼっちじゃないもの!)

2: 2011/06/18(土) 13:05:44.31 ID:LpKYro6E0
マミ「決めるわ! ティロ・フィナーレ!」カッ

QB「伝家の宝刀ティロ・フィナーレが炸裂だーッ!」

シャルロッテ「フフフ……」

シャルロッテ「巴マミ、覆面レスラーがメインのマスクの上にかぶるオーバーマスクをご存知かな?」

シャルロッテ「私はメインの体の上に、オーバーボディというものを着ているのだ!」ニュルンッ

マミ「!?」

4: 2011/06/18(土) 13:08:13.18 ID:LpKYro6E0
シャルロッテ「巴マミ、あんたにははがすオーバーボディもない!したがって、氏んでもらう!!」
ガパア

マミ「ウギャア 鹿目さーん!!」

まどか「こんなのってないよ……あんまりだよ……!」

カンカンカンカンカーン!!

QB「あーっと、シャルロッテの牙によってマミの首が食いちぎられてしまったーッ!」

QB「さあまどか! マミの仇をとるために僕と契約をーッ!」

ほむら「その必要はないわ」

5: 2011/06/18(土) 13:12:10.81 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん!」

シャルロッテ「このまま二人抜きしてやるわ! シャルロッテ、いきます!」

シャルロッテ「グオゴゴゴ!!」

ほむら「もう勝負はついてるわ」

シャルロッテ「ギャアーーーッ!?」ドカアアアンッ!!

カンカンカンカンカーン!!

QB「あーっと、シャルロッテの体が爆発したーッ! 暁美ほむらの勝利だーッ!」

7: 2011/06/18(土) 13:16:08.16 ID:LpKYro6E0
まどか「うう……マミさんが……」

QB「いや、待つんだまどか! マミはまだ生きてるよ!」

まどか「えっ」

ソウルジェム「タスケテクレー」

QB「(マミ以外は)知っての通り、魔法少女の本体はソウルジェムだ」

QB「たとえ首をもがれようとも、ソウルジェムさえ無事なら生命は維持できる!」

QB「今は首をもがれたショックで意識を失っているけれど、ソウルジェムの中枢へ直接呼びかけることができれば、あるいは」

まどか「でも、そんなのどうやって……」

???「話は聞かせてもらったわ!」

8: 2011/06/18(土) 13:19:23.29 ID:LpKYro6E0
QB「ああっ奴らは! 魔女六騎士の残りの4人!」

ミステリアス魔女1「フフフ、巴マミの体は私たちがいただいたわ」

ミステリアス魔女2「助けたければ追ってくることね!」

スウウ……

まどか「ゲェーッ!? 4人の魔女がマミさんのソウルジェムの中に!」

10: 2011/06/18(土) 13:22:18.94 ID:LpKYro6E0
ボコボコボコッ

まどか「わっ、何この井戸!?」

ミステリアス魔女3「その井戸はリサイクルゾーンといって、巴マミのソウルジェム内へ続いているの」

ミステリアス魔女4「命が惜しくなければ飛び込んでくるがいいわ!」


ほむら「じゃあ私はこれで」ソソクサ

まどか「ほむらちゃん! マミさんを助けてあげて!」

ほむら「……まどかの頼みじゃ仕方ないわね」

???「ちょっと待ったー!」

11: 2011/06/18(土) 13:25:52.06 ID:LpKYro6E0


さやか「転校生ばかりにいい格好はさせないぜ!」

まどか「さやかちゃんに杏子ちゃん、仁美ちゃんまで!」

仁美「まどかさんたちの危機、私だけ黙ってはいられませんわ」

杏子「一人ぼっちは寂しいもんな!」

まどか「みんな……ありがとう!」

14: 2011/06/18(土) 13:29:05.93 ID:LpKYro6E0
QB「さあ、リサイクリゾーンのロープを掴めるのは5人だけだ。間違いなく罠だろうけど……それでも行くのかい?」

さやか「あたしは行くよっ!」バッ

杏子「そうこなくっちゃ!」バッ

仁美「お仲間の命、見捨ててはおけません!」バッ

ほむら「みすみす魔女の罠にはまりに行くなんて……みんな愚かだわ……!」バッ

まどか「……」

ソウルジェム「タスケテクレー」

まどか「マミさんは私の……先輩だーっ!」バッ

17: 2011/06/18(土) 13:33:10.16 ID:LpKYro6E0

杏子「ここがソウルジェムの中か……」

さやか「なんか体の中みたいだね」

仁美「ん……あ、あれは!」

ミステリアス魔女「「「「怯えずによく追ってきたわね!」」」」

ほむら「五重のリング……!」

18: 2011/06/18(土) 13:36:02.83 ID:LpKYro6E0
バサアッ!!

「影の魔女、エルザマリア!」

「薔薇の魔女、ゲルトルート!」

「委員長の魔女、パトリシア!」

「そして箱の魔女、エリー!」

エリー「さあ上ってきなさい! この私の上の5階に立てば、巴マミのソウルジェムの中枢に手が届くわ!」

19: 2011/06/18(土) 13:41:19.19 ID:LpKYro6E0
さやか「よーし、ここはあたしが!」タタッ

エリー「……ただし」ガシッ

さやか「えっ」

エリー「私たち4人の!」ブンッ

パトリシア「鉄壁の守りを!」ドガッ

ゲルトルート「すり抜けることが」ゴスッ

エルザマリア「できたら……ね!」グサアッ!!

杏子「さやかーーーッ!!」

20: 2011/06/18(土) 13:44:42.11 ID:LpKYro6E0
まどか「さやかちゃん!」

さやか「4人の魔女を倒さないと5階にはたどり着けない……五重のリングって、そういう仕組みだったんだね……あたしって、ほんとバカ」ガクッ

杏子「さ、さやかーーーッ!!」



ほむら「はいはい、さっさと起きなさい。あなたは回復力だけが取り得なんだから」

さやか「むー、冷たいなあ転校生」ムクッ

21: 2011/06/18(土) 13:48:53.77 ID:LpKYro6E0
ほむら「私に考えがあるわ」

ほむら「一対一。私たち4人で魔女を止めて、まどかを5階まで送り届ける」

杏子「人間のまどかを戦わせるわけにいかないもんな……いいぜ」

仁美「フフ……みなさん、地獄でお会いしましょう!」

まどか「みんな……!」

さやか「よーし、行くぞーッ!」

24: 2011/06/18(土) 13:52:17.13 ID:LpKYro6E0
1階

エルザマリア「懲りないわね……そう簡単に通すと思っているのかしら?」グオッ

さやか「くっ!」

ほむら「ここは私が引き受けるわ」ドパラタタタッ

エルザマリア「!? 重火器だなんて、物騒なものを持ち込んでくれるじゃない……!」ギギギンッ

暁美ほむら VS エルザマリア

26: 2011/06/18(土) 13:55:01.78 ID:LpKYro6E0
2階

ゲルトルート「フフフ、私のお相手は誰がしてくれるのかしら?」

仁美「あら、通してしまってよろしいんですの?」

ゲルトルート「パトリシアとエリーを突破できるはずがありませんからね」

さやか「よーし、ならさやかちゃんが相手になってやる!」

ゲルトルート「フフッ、楽しませてもらおうかしら」

美樹さやか VS ゲルトルート

27: 2011/06/18(土) 13:57:33.87 ID:LpKYro6E0
3階

パトリシア「そこ、リングの上を多人数で走るのは校則違反よ!」

杏子「悪いけど、私は学生じゃないんでねッ!」ガシイッ

まどか「杏子ちゃん……!」

杏子「行きな! こいつの相手は私がやるよ!」

パトリシア「これだから幼卒は……! 生徒手帳の隅から隅まで空っぽの頭に叩き込んであげるッ!」

佐倉杏子 VS パトリシア

28: 2011/06/18(土) 14:01:39.49 ID:LpKYro6E0
4階

エリー「で、私の相手はあなたたちってわけね」

仁美「相手にとって不足なしですわ……マジカルメリケンサック!」ガキンッ

エリー「おお、こわいこわい。それより先に、戦えないのにリングに上がってる子をどかさないとね」

仁美「なっ、あなたの相手は私が!」

エリー「鹿目まどかをアク禁……と」キイイン

まどか「あ、あれ? 私、なんで1階まで戻って……!?」パッ

志筑仁美 VS エリー

29: 2011/06/18(土) 14:04:36.13 ID:LpKYro6E0
ほむら「くっ、作戦は失敗かしら……まどかに怪我がなくてよかったわ」


杏子「仕方ねーさ、ここからは各個撃破だ!」


さやか「了解! うおおっ! えいっ!」ブンッブンッ

ゲルトルート「きゃっ、野蛮で単調な攻撃……こういうの嫌いだわ!」


仁美「私の目の前で舐めたマネをして下さいましたね。そのお腹のモニター、叩き割って差し上げますわ……!」

エリー「フフ、そううまくいくと思うの?」ピイーッ

30: 2011/06/18(土) 14:09:15.71 ID:LpKYro6E0
ゲルトルート「むむっ、あれはエリーの合図」バッ

さやか「あ、逃げるのか!」

ゲルトルート「適材適所というやつよ」バウーン!

エリー「来た来た……交代よ! ゲルトルート!」

仁美「お待ちなさ……うっ」

ゲルトルート「あら、優雅なお相手。そうこなくっちゃ……楽しみましょうね」


カード変更

2階 美樹さやか VS エリー

4階 志筑仁美 VS ゲルトルート

32: 2011/06/18(土) 14:13:53.03 ID:LpKYro6E0
1階

ほむら「……っ」ドンッドンッ

エルザマリア「何度やっても無駄だとわからないの?」ギンッギンッ

ほむら(くっ、影の針が隙間なく邪魔して、銃がまったく当たらない……遠距離攻撃の防御にここまで特化した魔女がいるなんて)

エルザマリア「大人しく身をゆだねなさい、あなたのために祈ってあげるから」ジャキッジャキッ

ほむら「う……っ!」

ほむら(相手の攻撃はすぐにこっちをとらえてくる……やりづらい相手ね、過去に戦ったことがあればよかったのだけれど)

33: 2011/06/18(土) 14:17:27.92 ID:LpKYro6E0
ほむら「仕方ない……!」キイイン

エルザマリア「」

ほむら「……っ! リングの上と相手が影の針で覆われて、時間を止めても動けない……!?」

キイイン

エルザマリア「フフ、シャルロッテとの戦いは見せてもらったわ。厄介な魔法を使えるようだけれど、その盾に触れないと発動できないんでしょう?」

エルザマリア「時間を止めるタイミングさえわかっていれば、私ならガードを固めることができる!」

エルザマリア「もらったわ」ビュンッ

34: 2011/06/18(土) 14:20:08.28 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「……甘いわ」カリカリッ

エルザマリア「!? 盾で受け流して、距離を詰めてくる……!?」ジャキンッ

ほむら「くっ……でも、今のは惜しかったわね」

ほむら(能力を見破られてしまえば、私は他の魔法少女と比べて身体能力で大きく劣る)

ほむら(でも私には経験に裏付けされた戦術がある……体力の消耗を最小限におさえ、効率よく戦う勝利への方程式)

ほむら「それが私のほむほむ戦法よ……!」

35: 2011/06/18(土) 14:23:38.10 ID:LpKYro6E0
エルザマリア「無駄なあがきを……!」ビシュッ

ほむら「くっ」キンッ

まどか「盾で弾いた針を掴んだ!?」

ほむら「ほむほむ戦法ナンバー1! 獲物は逃がすな!」パキンッ!

エルザマリア「うぐっ!?」

まどか「うまい! 腕ひしぎの要領で針をへし折ったよ!」

36: 2011/06/18(土) 14:27:51.36 ID:LpKYro6E0
エルザマリア「なるほど……能力が通用しなくても一筋縄ではいかない相手ね」

ほむら「ええ、全ての針をへし折ってあげてもいいわ。そろそろコーナーに引きこもってないで出てきたらどうかしら?」

エルザマリア「面白いお誘いね……いいでしょう、中央で戦ってあげようじゃない」ズズズ…

ほむら「……」

ほむら(あんなに分析してきたタイプが簡単に誘いに乗る……? 何かあるのか)

エルザマリア「さ、ガードも緩めてあげるわよ。存分に打ち込んでいらっしゃいな」

ほむら「……ほむほむ戦法ナンバー2、敵の誘いには乗るな」

37: 2011/06/18(土) 14:30:59.47 ID:LpKYro6E0
ほむら(今のうちに時間を止めて懐に飛び込んでしまえば……いえ、私の身体能力ではつかまってしまえば終わり)

ほむら(細心の注意を払わないと……)

エルザマリア「あら、大口を叩いていたわりには大人しいのね? 臆病なだけ?」

エルザマリア「フフ……そんなあなたのために祈ってあげるわ」スッ

ほむら(手を組んで頭も下げた……敵の目の前で)

ほむら(馬鹿にして……!)

39: 2011/06/18(土) 14:34:53.56 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん、チャンスだよ! 今のうち!」

ほむら(まどか……)

ほむら(そうね、ここで攻めなければ私に勝機はない)

キイイン!!

ほむら(時間を止めて背後にまわって……ここからなら、このランチャー一発で決着がつくはず)ジャコッ

ほむら「そして、時は動き出す」

グサグサグサッ

ほむら「……えっ?」ゲホッ…

40: 2011/06/18(土) 14:38:14.82 ID:LpKYro6E0
エルザマリア「フフフ、慎重なあなたのことだから、きっと後ろにまわると思っていたわ」

ほむら「くっ、どうして……」

エルザマリア「魔技ダブルフェイス!」バサッ

まどか「ゲェーッ!? エルザマリアの後頭部にも顔があるよ!?」

エルザマリア「元より私に氏角はなかったのよ。素直に正面から攻めた方がいい結果になったかもしれないわね」

ほむら「う、ああ……」ドクドク

41: 2011/06/18(土) 14:42:05.40 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん! 凄い血……!」

エルザマリア「私の針に刺し貫かれたものは全身の血を抜かれ、その血肉は私の祈りの供物となる」

エルザマリア「これがロベルタのトリ地獄、シャルロッテのお菓子地獄に続く、地獄巡りナンバー3! 血の海地獄よーッ!」

ほむら「く、ぐっ……」ドサッ

エルザマリア「さ、今楽にしてあげるわ……一思いに全身を貫いてあげる。あなたのことも、未来永劫祈ってあげるから」

ほむら(考えるのよ……私が、力に劣る私でも、この魔女を倒せる方法を……!)

ほむら(……そうか!)

43: 2011/06/18(土) 14:44:55.25 ID:LpKYro6E0
ほむら「うう……」ヨロッ

エルザマリア「フラフラじゃない……抵抗すると、余計に苦しいわよ!」ジャキキッ

ほむら「……今よ!」タタタッ

ほむら「あぐっ……!」ザクッ ドサッ

まどか「ほむらちゃんどうしたの!? そんな体で走ったら、余計に血が!」

ほむら(駄目、体が重い……せっかく思いついた攻略法が、私の足がもう少し、速かったら……!)

まどか「やめて! ほむらちゃんを殺さないで! ほむらちゃんの命を助けてくれるなら、私何もいらないから!」

エルザマリア「涙ぐましい祈りね……大丈夫、あなたの分も祈ってあげるから」ジャキッ

ほむら(……何も、いらない?)

44: 2011/06/18(土) 14:49:10.62 ID:LpKYro6E0
ほむら「そう、よ……何もいらない」ヨロヨロッ

ほむら「私が、軽くなればいいんだ……!」

エルザマリア「大人しく楽になりなさい!」ビュンッ

ほむら「体を軽くするのよ……!」ダダダッ

ガシャッ ドサッ バサッ ガチャンッ

まどか「わわわっ!? ほむらちゃんの盾の中から、武器がいっぱい……!?」

エルザマリア「う、くっ……!? チョロチョロと……!」

ほむら「ほむほむ戦法ナンバー3! 円は線を包む!」

45: 2011/06/18(土) 14:52:06.10 ID:LpKYro6E0
ガシャガシャッ ドチャッ ドゴッ ドササッ

まどか「凄い、どんどんスピードが上がってく……!」

エルザマリア「は、速すぎて刺し貫けない……ッ!」

バササッ ハラリッ ドサッ ファサッ

まどか「え? これ、なくしたと思ってた下着……うわ、タオルにお箸、体操着に運動靴まで……!?」

エルザマリア「ううっ、だんだん近付いてくる……このままじゃ危ない……!」

エルザマリア「そ、そこよ!」

ジャキッ! ジャキキッ!! ジャキキキッ!!!

エルザマリア「あぐっ!?」グサアッ!

まどか「やった! ほむらちゃんを狙った針が自分を刺したよ!」

46: 2011/06/18(土) 14:54:56.01 ID:LpKYro6E0
エルザマリア「はあっ……! やられたわ。でも、少し遅かったみたいね……」

まどか「えっ」

ほむら「……っ」ハアハア

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら(なんで、寝てるの、私……走らなきゃいけないのに、あと少しなのに)

ほむら(血を流しすぎた……意識が遠く……)

ほむら(……?)ハラッ

ほむら(盾の中に、まだ何か、残って……)

ほむら「これは……!」

47: 2011/06/18(土) 14:58:30.24 ID:LpKYro6E0
ほむら『鹿目さん……私、時間を越えて戻ってきたよ』

ほむら『絶対に、絶対に鹿目さんを氏なせない』

ほむら『私、強くなるから……絶対に守ってみせるから……!』

ほむら『あれ? ベランダから、何か落ちて……』

ほむら『こっ、これは!』

ほむら『薄いピンク色、柔らかい手触り、ワンポイントの小さなリボン!』

ほむら『これが、これが鹿目さんのパンツ……! かなパン、いえ! まどパン!』

ほむら『ほむううううううううう!!!』

48: 2011/06/18(土) 15:01:08.69 ID:LpKYro6E0
ほむら(そうだ……これは、始まりのまどパン)

ほむら(いつの間にか、やり直せるようになって、あの時の決意が薄れていた)

ほむら(ここで私が倒れたら)

ほむら「あああああああッ!」ググッ

ほむら(誰がまどかを守るっていうの!?)

エルザマリア「そんな……どこにそんな力が……!?」

ほむら「おおおおおおおッ!」ダッ!

52: 2011/06/18(土) 15:05:18.75 ID:LpKYro6E0
エルザマリア(動きが直線的すぎる……大丈夫、私の勝利は揺るがない!)

ほむら「ッ!!」

ヌルッ…!!

エルザマリア(そんな!? 血で滑っ……)

ほむら「今よ! まどパンクラッチ!!」ギュウウッ

53: 2011/06/18(土) 15:08:50.14 ID:LpKYro6E0
まどか「ぱ、パンツで首を絞めてる……こんなの絶対おかしいよ……」

エルザマリア「そんな薄布で、私がっ、ああっ……!」

ほむら「離さない……これは、始まりのまどパン」ギリギリ

ほむら「これは、私のまどかへの想いの結晶」ギリリッ

ほむら「絶対に破れない! 絶対に離さない!」

57: 2011/06/18(土) 15:11:30.62 ID:LpKYro6E0
エルザマリア「み、見事だわ……」

ほむら「……」ギリギリ

エルザマリア「私の祈りより、あなたの想いが強かったのね……」

エルザマリア「最後に、こんな奇跡を見られて、悪くなかっ……」

エルザマリア「……」ドサッ

ほむら「エルザマリア……あなたにも、祈る自分以上に大事な人がいれば、違っていたかもしれないわね」

カンカンカンカンカーン!!

○暁美ほむら VS エルザマリア●
(20分46秒 まどパンクラッチ)

58: 2011/06/18(土) 15:15:25.53 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん……!」タタッ

ほむら「まどか……」

まどか「大丈夫? ああ、血がこんなにいっぱい……」

ほむら「大丈夫、魔法少女は伊達じゃないわ……少し休めば、すぐに追いつけるから」

ほむら「……その時には、その微妙な距離感もなんとかしてもらえると助かるわ」

ほむら「というか、許してください、お願いします……」

まどか「うん……私にもちょっと気持ちの整理が必要だよ、これは」ドチャア…

まどか「じゃあ、先に行ってるからね?」タタタッ


ほむら(始まりのまどパン……伸びてしまったけど、これは私の最高の守り神だわ)

60: 2011/06/18(土) 15:19:25.85 ID:LpKYro6E0
2階

まどか「さやかちゃん!」

さやか「ああ、まどか……じゃあ転校生は勝ったんだね」ゼエゼエ…

まどか(さやかちゃん、ボロボロだ……! でも相手はほとんど無傷!?)

さやか「こうしちゃいられないや、早くあたしも片付けちゃわないと……!」

さやか「えええいッ!」ブオンッ

エリー「順逆自在の術!」ビシイッ

さやか「きゃんっ!」ドサッ

61: 2011/06/18(土) 15:21:50.48 ID:LpKYro6E0
まどか(えっ? さやかちゃんの剣が当たったと思ったのに、相手のチョップが先に当たってる……?)

さやか「く、くっそー、おっかしいなー」

エリー「何度やっても一緒よ。というかあんた、異常に打たれ強いわね」

さやか「お母さんありがとう! 頑丈だけが取り得です!」ムクッ

さやか(でもなー、なんで当たらないんだろ? 当たる瞬間まで相手は全然動いてないのになー?)

62: 2011/06/18(土) 15:26:11.17 ID:LpKYro6E0
ほむら「苦戦しているようね」

まどか「ほむらちゃん!? 1階からでもわかるの?」

ほむら「ええ、ずっとワンパターンな音が聞こえるし、それに心当たりがあるのよ」

ほむら「美樹さやか! よく聞きなさい、そのエリーという魔女……!ninjaの使い手よ!」

まどか・さやか「!ninja?」

64: 2011/06/18(土) 15:29:54.61 ID:LpKYro6E0
エリー「へえ、魔法少女にも少しは2chに詳しい奴がいたんだ?」

エリー「その通り! ●、複数回線レベル40は当たり前、もう規制も怖くない!」

エリー「順逆自在の術は!ninjaの初歩的な応用の術よ」

さやか「ええいッ!」ブンッ

エリー「ちょっ……今説明中でしょ!? 空気読んでよ!?」

65: 2011/06/18(土) 15:32:18.41 ID:LpKYro6E0
さやか「戦いの最中におしゃべりする方が悪いのだー!」ブンッブンッ

エリー「くっ、これだから脳筋は……まあいいわ」スッ

まどか(動きが止まった!?)

さやか「よーし、今度こそもらったー!」ブンッ

エリー「こうして、攻撃が当たる瞬間をあぼーんしてしまえば……」

さやか「ぐえっ!?」ドサッ

エリー「あとは反撃し放題というわけよ」ドヤア

さやか「うう~、なんで? なんで当たらないのよ!」ムクリ

66: 2011/06/18(土) 15:35:49.95 ID:LpKYro6E0
エリー「それにしても、あまりにワンパターンすぎて飽きてきたわね……そろそろ片付けてあげようかしら」

さやか「このー! さやかちゃんを舐めおって……当たれば痛いのよ!」

エリー「当たらなければどうということはないのよ」タタッ

まどか「ロープに飛んだ!?」

エリー「これも!ninjaの力……とくとご覧なさい!」バウーンバウーン

さやか「え、何? 速……痛っきつっ!」

まどか「さやかちゃんにロープがどんどん絡み付いてく……!?」

67: 2011/06/18(土) 15:39:14.78 ID:LpKYro6E0
さやか「ぐ、ぐえええ」ギシギシ

エリー「フフ、脳筋なその体の動きを水遁させてもらったわ。これぞ忍法・蜘蛛糸縛り!」

まどか「つ、強い……!」

ほむら「1階にいてもわかるわ……美樹さやかに勝ち目は万に一つもないわね」

まどか「そんな! ほむらちゃんひどいよ!」

ほむら「もしも勝ち目があるとしたら、それは……」

69: 2011/06/18(土) 15:44:27.42 ID:LpKYro6E0

さやか「あああっ、体、ちぎれそ……」ギシシ

エリー「あははっ、脳筋のそういう姿って気分いいわ! ねえねえ、今どんな気持ち? どんな気持ち?」スターンスターンスタタターン

さやか「さ、最悪だわ……後悔してる……」

さやか「もうあたし、ここまでね……ねえ、最後にさ、あたしの忍術、見てくれない?」ギチギチ

エリー「ふうん? 携帯端末もろくに使いこなせそうにないあんたが!ninja? いいわ、やってごらんなさいよ!」

さやか「……ありがと」タッチ

さやか「順逆自在の術!」

68: 2011/06/18(土) 15:42:22.38 ID:LpKYro6E0
ほむら「技術とは繊細なもの……」

ほむら「美樹さやかの、あの図太いまでの空気の読めなさでペースがつかめれば、あるいは……」


さやか「ふう……見よう見まねでやったけど、うまくいったわ」

エリー「ちょっ……おま! !ninjaは一日にしてならずでしょ!? レベル1がなんで……空気読みなさいよッ!」ギシギシ

さやか「ちょっと何言ってるかわかんないんだけど、頭大丈夫?」

エリー「ムキーーーッ!!」

70: 2011/06/18(土) 15:47:07.24 ID:LpKYro6E0
さやか「さーて、さすがにその体勢じゃ避けられないよね?」チャキッ

エリー「えっ……いやほら、これ、このままでも結構な拷問技なんだけど。この状態に攻撃とか、正直ありえな」

さやか「でええいっ!!」ブンブンブンブンッ!

エリー「ギャアアアアア!?」ズバババッ

ドサドサドサドサッ

さやか「やったね! さやかちゃん大・勝・利!」ドヤア

71: 2011/06/18(土) 15:51:54.24 ID:LpKYro6E0
まどか「さやかちゃんっ」

さやか「いやー、まどかお待たせ! さやかちゃんともあろうものが、苦戦しちゃって……」

まどか「さやかちゃんまだっ! 後ろー!」

さやか「えっ?」

バキッ ガキイッ

エリー「身体操りの術……バラバラの手足に背骨を極められる気分はどうかしら?」

さやか「痛……あああ、うああっ」グキグキグキ

72: 2011/06/18(土) 15:55:17.35 ID:LpKYro6E0
さやか「この……! ええいっ!」ブンッ

ズバッ ボトッ

まどか「あ……この手足、機械仕掛け……!?」

さやか「くっそー、そうとわかれば!」

さやか「見滝原の赤い雨ーッ!」ズバババッ!!

74: 2011/06/18(土) 15:59:09.09 ID:LpKYro6E0
ドサドサドサドサッ

さやか「はあっ……はあっ……! 背中痛あ……」

まどか「さやかちゃん、今のって何?」

さやか「え? ああ、あたしの必殺技よ! 抜群の威力でしょ?」

まどか(普通に斬ってた時と何が違うんだろ……)

杏子(「赤」い雨だって!? さやかのヤツもしかして……)ドキドキ

76: 2011/06/18(土) 16:02:38.63 ID:LpKYro6E0
さやか「さあっ! そこにいるんでしょ、出てきなさいよ! エリー!」

エリー(胴体)「……」

エリー(胴体)「……」ズボッズボッ

まどか「うわわ、体の中から新しい手足が……!」

エリー「よく見破ったわね。そう、今までの手足は私がこの中からリモコンで遠隔操作していたもの」

エリー「あんたのこと、ただの脳筋と思って見くびってたわ。私の全力で始末してあげる……!」

さやか「やっと認められたってわけ……ふふん、このさやかちゃん相手に手加減なんて、身の程知らずね!」

78: 2011/06/18(土) 16:06:04.75 ID:LpKYro6E0
エリー「この、本当に口の減らない……! 転所自在の術!」

さやか「うわっ!?」バシャッ

まどか「リングが池になった……!? わ、本当に水だ」

エリー「画像キャプチャーの力を借りればこんなもの……それに、ただの池ではないわ!」

さやか「う……臭っ!? これ、ガソリンだ……!」

エリー「その通り! そしてこれが火種よ!」バチイッ ボッ

ゴオオオオオオオオオオッ

さやか「うわ、うわあああああッ!!」

79: 2011/06/18(土) 16:09:33.42 ID:LpKYro6E0
エリー「これでわかったかしら? !ninjaに始まり、複数回線、画像編集なんでもござれ!」

エリー「ここは現代科学の粋、地獄巡りナンバー4! 電脳地獄よーッ!」

さやか「あああああっ、熱い! 熱い熱い!!」

まどか「さやかちゃん! 早く池から出ないと!」

さやか(火! 火怖いよ! 熱いよ!)

さやか(火ってどうすれば消えるの!? 水……駄目だ、あたし青いけど水は出せない! 風……そうだ、風!)

80: 2011/06/18(土) 16:12:21.54 ID:LpKYro6E0
さやか「えーいッ」ビュッ

ガシャンッ パリーンッ

エリー「ちょ、自分で仲間のソウルジェム傷つけて、正気!?」

まどか「あの位置ってたしか……」

ほむら「肺ね」


その頃の外

マミ「……」ゴロゴロッ

QB「ま、マミの体が急にのた打ち回り始めた……」

81: 2011/06/18(土) 16:15:33.52 ID:LpKYro6E0
ビュウウウウウウッ

まどか「熱っ! 風で火が煽られて……!」

ゴオオオオオオオオオオ

エリー「キャアアアアア!?」

さやか「なんで!? 風はちゃんと起こしたのに、火が消えない……熱い熱いッ!」

ほむら「結果はオーライのようね」

82: 2011/06/18(土) 16:17:46.52 ID:LpKYro6E0
エリー「くっ……転所自在の術!」

まどか「うわ、熱、熱い! 今度は火山……!?」

エリー「よくもやってくれたじゃない……」グオッ

さやか「熱……ってあれ? あたし、持ち上げられて」

ドゴオッ

エリー「はあっ……岩盤へのブレーンバスターは、さすがに効いたでしょ……ッ」

83: 2011/06/18(土) 16:21:46.92 ID:LpKYro6E0
さやか(痛……体が、動かない……)

さやか(目の前もぼやけてきた……いくら回復力が取り得でも、そろそろ限界……)

さやか(ん……? これ、エリーの箱の底、何か書いてある……?)

さやか「きる、す……てぃん?」

エリー「ッ!? み、見たなッ!?」

84: 2011/06/18(土) 16:25:09.71 ID:LpKYro6E0
まどか「何? 何が起きたんだろ、エリーって魔女、凄く慌ててる?」

ほむら「そういえば聞いたことがあるわ。『エリー』という名前は本当の名前じゃない」

ほむら「箱の魔女エリーは別名『引きこもりの魔女』、その本名が『キルスティン』なのよ」

ほむら「引きこもりでネット依存症なら、個人情報の流出はなんとしも避けたい事態」

ほむら「今のエリーの精神的ダメージの大きさは計り知れないわ」


エリー「このッ! 落ちろ! 落ちて氏ね! 氏んじゃえッ!!」ゴスッドガッゲシゲシッ

85: 2011/06/18(土) 16:28:51.64 ID:LpKYro6E0

さやか「……」ピクッピクッ

エリー「ふう……しかし、この私の素性がそんなに割れてるなんてね」

エリー「……いいことを思いついたわ」スッ

まどか「これ以上さやかちゃんに何を……!」

エリー「私、なりきりも好きなのよ」

86: 2011/06/18(土) 16:31:46.75 ID:LpKYro6E0
エリー「……」

エリか「……」ズズズ

エやか「……」ズズ

さやか「……」ズ…

     ジサクジエン
さやか「姿写しの術……これで今日からあたしが美樹さやかよ」

87: 2011/06/18(土) 16:35:51.34 ID:LpKYro6E0
さやか「さあ、この世に美樹さやかは二人も必要ないわ。火口に放り込んで処分してあげる……」

ガシッ

さやか「なッ!? この空気の読めなさは……!」

さやか「空気が読めなくて、悪かったね……!」

まどか「さやかちゃんっ!」

さやか×2「「心配しないでまどか!」」

まどか「うえっ!?」ビクッ

88: 2011/06/18(土) 16:39:00.61 ID:LpKYro6E0
さやか「水臭いじゃない……同じさやかならさ、ほら、一緒に行こう……!」グイ

さやか「何するのよ! 偽者は一人で落ちなさいよ!」ゲシッ

さやか「仕方ないでしょ……こうでもしなきゃ、勝てそうもないんだからさ……!」グラッ

さやか「ちょ、やめ……イヤアアアア!?」ズルッ

まどか「さ、さやかちゃーんッ!」

89: 2011/06/18(土) 16:42:50.62 ID:LpKYro6E0
さやか「何よこれ……さっきの火に比べたら全然熱くない。偽者だったのね!」

さやか「偽者なんかじゃない! この先に本当の地獄が待ってるのよ!」

さやか「へえ……見せてもらおうじゃない!」

さやか「嫌よ! そんなの一人で見て……あたしはまだ氏にたくないの!!」


1階

「この壁を抜けたら本当の地獄よーッ!!」

ほむら「……もしかして」

ほむら「地獄の正体って、このエルザマリアの氏体のことかしら?」

90: 2011/06/18(土) 16:46:53.81 ID:LpKYro6E0
まどか「ほむらちゃん! さやかちゃんのこと、受け止めてあげて!」

ほむら「まどか……ええ、任せて頂戴!」

バリッ

さやか×2「うわあああああッ!!」

ほむら(本物は……よし、こっちよ!)バッ


スカッ


ほむら「えっ」

さやか「えっ」

グサアアッ

まどか「さやかちゃああああん!?」

92: 2011/06/18(土) 16:50:46.52 ID:LpKYro6E0
ほむら「……」

さやか×2「……」グッサリ

ほむら(やってしまった)

ほむら(取り返しのつかないことをやってしまった……!)

ほむら(まどかの方を見れない……いったい、何て言えばいいの、この状況……!)

さやか×2「……」

さやか「……」ピクッ

93: 2011/06/18(土) 16:53:39.93 ID:LpKYro6E0
さやか「転、校生……さすがにあれは、あたしより空気読めてないんじゃないの……?」ググッ

ほむら「ほむうっ!?」ビクッ

さやか「いや本当、今回は本当に氏ぬかと思ったよ」

ほむら「……私が言うのも何だけど、生きてる方がおかしいわよ」

さやか「うん、その気になれば痛みって消しちゃえるんだね。気付かなかったらショック氏してたかも」

94: 2011/06/18(土) 16:56:30.76 ID:LpKYro6E0
さやか「とにかく、疲れたあ……さすがに限界だわ」ヘタッ…

ほむら「……」

ほむら(本当に無茶苦茶だけど、私が美樹さやかと同じ戦い方をしたら、何度氏んでるかしら……)

さやか「ね、転校生」

ほむら「何かしら」

さやか「あたし、これで一人前の魔法少女になれたかな?」

ほむら「……」

ほむら「……危なっかしくて見てられないわ」

ほむら「でも、今だけは認めてあげる」

さやか「……えへへ」

○美樹さやか VS エリー●
(30分38秒 道連れ地獄)

95: 2011/06/18(土) 17:01:33.20 ID:LpKYro6E0
3階

まどか「さやかちゃんが無事でよかった……」

まどか「杏子ちゃんはベテランだし、安心して見てられるよね」


パトリシア「何度言ったらわかるの! 猫背にならない! 脚を開かない!」ビシッビシッ

杏子「ち、ちくしょおっ! 馬鹿にしやがって……!」エグッグスッ

まどか「え……何、これ……」

119: 2011/06/18(土) 19:35:14.53 ID:2Pp6JHCZ0
QB「やあみんな、宇宙に羽ばたくインキュベーターのキュゥべえだよ! きゅっぷい!」

QB「魔女六騎士の第2の刺客シャルロッテによって、首をかじり取られてしまったマミ」

ソウルジェム「ウギャア カナメサーン!!」

QB「さらに六騎士の残りの4人は、マミのソウルジェムを戦いの場に選んでしまったんだ!」

QB「途方にくれるまどかのもと、立ち上がったのは暁美ほむらをはじめとする魔法少女たち」

QB「ほむらはエルザマリアを、さやかはエリーを、苦戦の末になんとか倒すことができたのさ。きゅっぷい!」

121: 2011/06/18(土) 19:38:08.99 ID:2Pp6JHCZ0
QB「3階に控えるパトリシアに挑むのは佐倉杏子!」

QB「でも戦いの中、杏子の様子が……!?」

QB「マミは、まどかたちの運命やいかに!?」

QB「モニターの前のみんなも、僕と契約してマミたちを助けてよ!」

ソウルジェム「タスケテクレー」


魔法逆転ファイター キン肉☆マギカ
『この世にひとつだけ、完璧なもの』

125: 2011/06/18(土) 19:41:53.56 ID:2Pp6JHCZ0
まどか「杏子ちゃんっ! 何やってるの!? 相手は魔女だよ、なんでされるがままなの!?」

杏子「まどか……ハッ、あたしは何を!?」

パトリシア「あら、正気に戻ったのね。ようやく指導も行き届いてきたのに」

杏子「くそっ、お前! あたしに何をしやがった!?」

パトリシア「簡単なことよ……いくら幼卒とはいえ、あなたたち魔法少女はまだ中学生」

パトリシア「学校に行っていなくても『義務教育』からは逃れられない! そして学生である限り『委員長』には逆らえない!」

パトリシア「私は魔女の委員長、パトリシア! ここは地獄巡りナンバー5! 校則地獄よーッ!」

126: 2011/06/18(土) 19:46:10.64 ID:2Pp6JHCZ0
まどか「そんな……中学生だったら逆らえないなんて、そんなの無理だよ! 勝てっこないよ!」

杏子「なあに、大丈夫さまどか……言っただろ? 幼卒のあたしに校則なんか通用するもんか!」

パトリシア「さっきまで手も足も出なかったくせに、よく言うわ……もう一度思い出しなさい!」

     クラスリーダーコスチューム
パトリシア「委員長の制服……風紀委員長!」

128: 2011/06/18(土) 19:50:22.57 ID:2Pp6JHCZ0
杏子「ひっ」

まどか「ど、どうしたの杏子ちゃん!? ちょっと制服が変わっただけじゃ……」

パトリシア「佐倉杏子、何? その髪の色は!」

杏子「これはその、地毛だって言ってんだろ……」

まどか「きょ、杏子ちゃん? どうしてそんなに弱腰なの?」

パトリシア「そこッ、外野がうるさい! あなたも何、その狂った髪の色は!? そんな友達と付き合ってるから素行が悪いんです!」

杏子「な、なんだよ! あたし一人の問題だ! まどかは関係ねーだろ!?」

パトリシア「あなたがそういう風に、周りを駄目にしてるように見られてるのがどうしてわからないの!?」

杏子「う、あ……!? あうう……」

132: 2011/06/18(土) 19:54:14.38 ID:2Pp6JHCZ0
まどか「杏子ちゃん! 杏子ちゃんったら! しっかり!!」

杏子「ん、ああ……まどか? あ、あたし、また……」

まどか(なんて弱々しい目……これがあの杏子ちゃんなの!?)

パトリシア「委員長の力、わかってもらえたかしら?」シュウウ

杏子「くそ……ッ、あたし、どうしちまったんだよ……!」

133: 2011/06/18(土) 19:57:52.31 ID:2Pp6JHCZ0
パトリシア「幼卒だから、学生じゃないから効かないと言ったわね? それは違うわ、佐倉杏子」

パトリシア「好きで学校に行かなくなったわけじゃない……委員長の魔女の私にはわかるわ」

パトリシア「あなたはむしろ、普通の学生よりも強く、学校に憧れを抱いている!」

パトリシア「言うなれば、私の校則地獄はあなたの天敵なのよッ!」

杏子「あ……ああ~~~ッ!!」

136: 2011/06/18(土) 20:01:41.92 ID:2Pp6JHCZ0
まどか「杏子ちゃん! そんなのに耳を貸しちゃ駄目だよ! おかしいよ!」

杏子(お……おかしくなんかない)

杏子(確かに、心のどっかで……みんなのことが羨ましかった)

杏子(さやかや……みんなと同じ学校に通えたら、どんなに素敵だろうって)

杏子(そんな生活への未練なんて、断ち切ったはずだったのに……!)

137: 2011/06/18(土) 20:04:28.18 ID:2Pp6JHCZ0
                   クラスリーダーコスチューム
パトリシア「さあ、手加減無用でいくわ……委員長の制服、美化委員長!」

まどか「杏子ちゃん、前! 前!」

杏子「……!」ハッ

パトリシア「土足で神聖なリングの上に上がるとは何事か~ッ!」ドガッ

杏子「……ぐあっ!?」

パトリシア「リングの上ではリングシューズ! みんなで使うものは決まりを守って大切に! 中学生にもなって、そんなことも理解できないの!?」ドゴッボカッ

杏子「う……うう……」

杏子(なんでだよ……なんで反撃できねーんだ……!?)

139: 2011/06/18(土) 20:07:52.42 ID:2Pp6JHCZ0
パトリシア「次、いくわよ」シュウウ

     クラスリーダーコスチューム
パトリシア「委員長の制服……保健委員長!」

杏子「う……」

パトリシア「佐倉さん、健康診断……再検査ですってよ。日ごろの食生活に問題があるんじゃない?」

パトリシア「……ああ、仕方ないか。魔法少女だもの、ゾンビに健康診断なんて必要なかったわねえ?」

杏子「……ッ!」

140: 2011/06/18(土) 20:11:24.69 ID:2Pp6JHCZ0
ほむら「まずいわね」ヌッ

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「だいぶ回復したからここまで上ってこれたわ」

ほむら「それにしても……佐倉杏子はどうやら、自分が学校に行っていないことに負い目を感じているようね」

まどか「だから、委員長に逆らえないの?」

ほむら「ええ……これを杏子自身が乗り越えられないと勝ち目はないわね」

ほむら「いえ、最悪の可能性も覚悟しなくちゃならないかも……」

141: 2011/06/18(土) 20:14:28.92 ID:2Pp6JHCZ0
    クラスリーダーコスチューム
パトリシア「委員長の制服……図書委員長!」

パトリシア「佐倉さん……本の一冊もまともに読んだことないんですって?」

パトリシア「駄目よ、そんなの……本は知識の源。あなたのお父様のお話だって、まず聖書を理解しないと話にならないわ」

杏子「だ、だってあたし……漢字とかも、難しい字は読めねーんだもん……」

143: 2011/06/18(土) 20:19:18.33 ID:2Pp6JHCZ0
パトリシア「佐倉さん……最初から読めた人なんていないわ。恥ずかしいことじゃないのよ」

パトリシア「むしろ、本を読むことで字も覚えていくの……学校は学ぶところだもの。何も引け目を感じることなんてないのよ」

杏子「え……そうかな……」

パトリシア「そうよ。あなたに学ぶ意思があるなら本なんていくらでも読めるし、学校に通う資格も十分あるわ。私もついてる」

パトリシア「だからほら……魔法少女なんてやめて、こっちにいらっしゃい……」

杏子「……」

杏子「あ、あたし……あたしは……」

144: 2011/06/18(土) 20:24:21.09 ID:2Pp6JHCZ0
ほむら「いけないわ……恐れていた事態に……!」

まどか「杏子ちゃん、なんだか嬉しそう……どうして?」

ほむら「さすがは委員長の魔女……まるで不登校のクラスメートを説得しているようだわ」

ほむら「このままだと、佐倉杏子は私たちの敵になる……!」

まどか「そ、そんなの駄目だよ! 杏子ちゃ……」

さやか「ちょっと! 杏子ーーーッ!」バッ

145: 2011/06/18(土) 20:27:33.14 ID:2Pp6JHCZ0
杏子「あ……さやか?」

パトリシア「図書室では静かに!!」バシッ

さやか「うぎっ」ドサッ

杏子「さやか……さやか! おい、さやかに何すんだよ!?」

パトリシア「周りの迷惑になるでしょう? 図書室で大声を上げない。あなたもそのくらいの常識、身につけないと恥ずかしいわよ」

杏子「え……は、恥ずかしいのか……そっか……」

147: 2011/06/18(土) 20:33:03.48 ID:VupHpvd20
ほむら「まったく、回復しきっていないくせに無茶をして……! 掴まりなさい!」グイ

さやか「う……杏子! そんな奴の言うことに耳を貸す必要ないよ!」

さやか「杏子は確かに学校に行ってない……だから何!?」

さやか「あんた、今まで魔法少女として生きてきて、つらいこともいっぱいあって、学んだんでしょう? 経験したんでしょう!?」

さやか「あたしにだって……魔法少女のこと、生き方のこと、教えてくれたじゃない!」

さやか「食べ物を粗末にしない! あんたがあたしに教えてくれたんでしょ!?」

148: 2011/06/18(土) 20:37:30.08 ID:VupHpvd20
杏子「さやか……あたしが、こんな馬鹿なあたしが、教えた……?」

パトリシア「あと一押しなのに、とんだ邪魔が入ったわね」シュウウ

              クラスリーダーコスチューム
パトリシア「これでとどめよ……委員長の制服、給食委員長!」

杏子「あ……」

パトリシア「佐倉さん、今月分の給食費まだ? 先月も出せてなかったわよね?」

パトリシア「給食だってタダじゃないの。みんな、頑張って用意してくれたものをいただいてるのよ」

パトリシア「このまま滞納を続けたら、用意してくれる人たちに失礼だと思わない?」

杏子(給、食費……?)

杏子(確か、まだ小学校に通えてたころ……)

149: 2011/06/18(土) 20:42:04.83 ID:VupHpvd20
杏子『なあ親父ぃ……なんであたしだけ、給食食べちゃいけないの?』

父『給食費が払えてないからな……ごめんな。お弁当で我慢してくれよ』

杏子『……やだ! もうやだよ! 給食の方が美味そうだもん!』

杏子『あたしの弁当、ご飯ばっかりだし、茶色っぽくてかっこ悪いし……!』

杏子『こんなの、みんなと一緒に食べるの恥ずかしいもん!』ガチャンッ

父『……』

パンッ

151: 2011/06/18(土) 20:47:13.67 ID:VupHpvd20
杏子『あ……?』

杏子『痛……!』ジワッ

杏子『ぶった! お父さんがぶった!』グスッグスッ

父『ごめんな……杏子を叩いたのは、これが初めてだね。ごめん』

父『でもな、杏子。どうして叩かれたのか、わかるかい?』

杏子『……』…フルフル

父『杏子が、食べ物を粗末にしたからだよ』

152: 2011/06/18(土) 20:52:56.32 ID:VupHpvd20
父『お米がどうやってできるか、知ってるかい?』

父『お肉は? 野菜は? みんな、農家の人たちが一生懸命育ててくれたものなんだ』

父『それはみんな生きていたもので、食べた杏子を体の中から助けてくれるんだ』

父『お母さんも、杏子の体を食べ物がたくさん助けてくれるようにって、料理してくれたんだよ』

父『床に落ちたお弁当、見てみなさい』

父『杏子の力になりたかったのに、美味しく食べてほしかったのにって……泣いてるよ』

154: 2011/06/18(土) 20:55:26.61 ID:VupHpvd20
杏子『……』グスッグスン…

杏子『……うん』

杏子『ごめんなさい……もう食べ物さん、泣かさないよ』

父『うん、偉いぞ』

父『食べ物を粗末にしない。食べ物に貴賎なし。忘れちゃいけないよ』

杏子『きせん?』

父『ああ、杏子にはまだ難しかったかな?』

155: 2011/06/18(土) 20:57:49.77 ID:VupHpvd20
杏子(……)

杏子(わかる……わかるよ親父)

杏子(食べ物を粗末にしない。食べ物に貴賎なし)

杏子(ううん、それ以外に教わったことも、わかる)

杏子(大事なこと……あたし、父さんにたくさん教わってたよ)

156: 2011/06/18(土) 21:00:34.46 ID:VupHpvd20

杏子「なあ、あんた」

パトリシア「あら、どうしたの?」

杏子「例えば給食費を払えない子が、一人お弁当を食べてたとして……あんたはどう思うんだい?」

パトリシア「もちろん、自分一人だけ好きなものを食べて、全体を乱しているわ」

パトリシア「ちゃんと給食費を払って、同じ給食を食べるべきよ」

杏子「……そうかい」キイイン

158: 2011/06/18(土) 21:03:50.44 ID:VupHpvd20
バキイッ!!

パトリシア「グッ……!?」

杏子「やっぱりね……あんたの言うのが学校なら、そんな所、今さら行かなくてもいいや」

杏子「あたし、他の先生に必要なことはだいたい教わってたからね……!」

さやか「杏子!」

杏子「さやか……ありがとう。あんたのおかげであたし、大事なことを思い出せたよ」

159: 2011/06/18(土) 21:07:00.02 ID:VupHpvd20

パトリシア「なるほど……所詮幼卒は幼卒なのね。社会不適合者め……」

パトリシア「学友になれるかと思ったから手荒なことはしたくなかったけど、仕方ないわ」シュウウ

     クラスリーダーコスチューム
パトリシア「委員長の制服……クラス委員長!」ゴオッ

杏子「……ッ!?」

パトリシア「今まで小手先であしらってごめんなさいね……これが私の戦闘装束」

パトリシア「私がなぜ魔女六騎士なのか……見せてあげるわ!」

160: 2011/06/18(土) 21:13:26.77 ID:VupHpvd20
杏子「くっ、ん! くあっ!?」ガンッギンッキインッ

さやか「あの杏子が、防ぐだけで精一杯……!?」

ほむら「6本の腕の手数が上まってるわね。それに、自分の距離で戦えていないわ」

さやか「自分の距離?」

ほむら「杏子は槍を使った中距離での戦いが得意なのよ。あんなに近付かれると、槍のリーチを生かせないわ」

161: 2011/06/18(土) 21:16:08.76 ID:VupHpvd20
杏子(クソッ、すげえ圧力だ……! こいつ、戦い慣れてやがる!)

杏子「……てえいッ!!」ビュッ

パトリシア「とったわ」バシッ

杏子「う……!?」

杏子(槍を掴まれたら三節にして近距離で戦ってやるのがあたしの戦法……でも、こう腕が多いと隙が)

パトリシア「武器にこだわった結果がこれよ」ガシッ

杏子「うわっ!?」

162: 2011/06/18(土) 21:20:56.85 ID:VupHpvd20
まどか「杏子ちゃん、持ち上げられちゃったよ!?」

さやか「なーに、杏子ならあの体勢からだって反撃できるって……」

ほむら「いえ……あの体勢はまずいわ!」

パトリシア「ティロ・フィナーレだの、見滝原の赤い雨だの……必殺技とも呼べないような、ただの名前つきの攻撃とはわけが違う!」ダンッ

さやか「跳んだ!?」

パトリシア「見ておきなさい! これが真の必殺技というものよ!」

杏子(両手両脚が掴まれてて、身動きがとれねえ……ッ!)


パトリシア「パトリシアバスターッ!!」

164: 2011/06/18(土) 21:26:09.28 ID:VupHpvd20
ドゴオオオオオオンッ

杏子「あ、くは……ッ」

杏子(痛ッ……両手両脚が……それに、背骨や股も砕けそうだ……!!)

パトリシア「……余計な真似を」

杏子「……えっ?」

まどか「……」ゴフッ

ほむら「まどかーーーッ!!」

167: 2011/06/18(土) 21:32:06.82 ID:VupHpvd20

ほむら「生身で魔法少女を守ろうなんて、なんて無茶を……! 美樹さやか、治療よ!!」

さやか「ガッテンしょーち!!」

パトリシア「運がよかったわね……あの子が下敷きにならなかったら、一撃で全身を砕いてあげたのに」

杏子(嘘だろ、こんなに効いたのに……)

杏子「ま……まどか! ごめんよ、あたし……!」

まどか「杏子、ちゃん……」

168: 2011/06/18(土) 21:36:39.20 ID:VupHpvd20
まどか「私、人間だから……役に立てないけど……」

まどか「これで杏子ちゃんの役に立てたんなら、それはとっても嬉しいなって……!」ゲフッゴボッ

ほむら「まどか! 今はそれ以上しゃべらないで!」

さやか「頑張れまどか……! 他人にやるのは苦手なんだけど、あたしの魔力が続く限り、治療してあげるから……!」

杏子「……ッ!」

170: 2011/06/18(土) 21:40:59.83 ID:VupHpvd20
杏子「あたしの生き方をおちょくって……まどかまで……!」

杏子「絶対に許さねえッ!」

パトリシア「ククク……カーッカッカッカ!! それで? パトリシアバスターがあなたにかわせるのかしら?」

杏子「あたしの槍を舐めるなよ……掴まれさえしなけりゃ、そんな攻撃!」

パトリシア「あら怖い……じゃあ、もう一つの能力を使わせてもらおうかしら」

1: 2011/06/18(土) 22:37:54.47 ID:VupHpvd20
QB「ソウルジェム内五重のリング3階、杏子はパトリシアと対戦」

QB「パトリシアの委員長戦法の前に苦戦する杏子……それを救ったのはさやかの声と父親の教えだった」

QB「なんとか委員長戦法を克服した杏子の前に、必殺技が襲いくる。その名はパトリシアバスター!」

QB「まどかの身を挺した行動で一命をとりとめた杏子……しかし、パトリシアにはまだ隠された能力があった!」

QB「校則地獄の真髄とは!? マミやまどかたちの運命は!?」

QB「女房を質に入れてでも見ないといけないね。きゅっぷい!」

ソウルジェム「タスケテクレー」

※dat落ちした マミ「ウギャア 鹿目さーん!!」 の続きです。

3: 2011/06/18(土) 22:40:27.30 ID:VupHpvd20
杏子「あたしの生き方をおちょくって……まどかまで……!」

杏子「絶対に許さねえッ!」

パトリシア「ククク……カーッカッカッカ!! それで? パトリシアバスターがあなたにかわせるのかしら?」

杏子「あたしの槍を舐めるなよ……掴まれさえしなけりゃ、そんな攻撃!」

パトリシア「あら怖い……じゃあ、もう一つの能力を使わせてもらおうかしら」

5: 2011/06/18(土) 22:42:51.91 ID:VupHpvd20
パトリシア「ねえ、どうして私がこんなにたくさんの腕を持ってるか、わかる?」

パトリシア「本当はね……もともと私自身の腕は一本もないの」

パトリシア「校則違反をした悪い子の腕をね、『没収』してるのよ」ズズズ

ほむら「あ……あれは、エルザマリアの腕!」

さやか「エリーの腕まで……!」

パトリシア「あの二人は、あなたたちに負けたわ。リングという神聖な場所で、魔法少女に敗北する……これって校則違反よねえ?」

パトリシア「さて……あなたはいくつ校則を破ったかしら?」

杏子「ま、まさか……!?」

6: 2011/06/18(土) 22:47:12.73 ID:VupHpvd20
パトリシア「校則地獄!!」ズズズ

ほむら「新しく生えてきた2本の腕……あれは」

さやか「杏子の腕……!」

杏子「あ、ああ~~~ッ、あたしの腕が、消える……!?」

スウッ ガランガラン

パトリシア「さあ、これで自慢の槍も使えなくなったわねえ?」

7: 2011/06/18(土) 22:50:17.38 ID:VupHpvd20
杏子「うっ……くっ……!」タタッ

パトリシア「あらあら、狭いのリングの中、どこに逃げようというのかしら?」

パトリシア「大人しく、罰を受けることね……!」ガシッ

杏子「う、うあ……!」

パトリシア「今まで二度パトリシアバスターを受けて、生きていた魔法少女はいないわ!」ダンッ

杏子「うわあああああッ!」

パトリシア「パトリシアバスターッ!!」

9: 2011/06/18(土) 22:54:27.82 ID:VupHpvd20
ズガアアアアアンッ!!

杏子「クハッ……」

杏子(全身が、砕ける……ッ!)

杏子(でも、まだ生きてる……?)

パトリシア「ああーっもう! 慣れない腕を一気に使いすぎたわ! 着地点がずれちゃったじゃない!」

杏子(この柔らかいの、マミのソウルジェムの一部か……)

杏子(助けにきたはずのマミにまで助けられちまって……)


その頃の外

マミ「……」ビクンビクンッ

QB「ソウルジェムの中で何が起きてるんだい? わけがわからないよ」

10: 2011/06/18(土) 22:56:51.33 ID:VupHpvd20
杏子(あたしが弱いから、まどかやマミが傷ついてく……)

杏子(このままじゃ……)

杏子(……)

杏子「オイ、委員長……パトリシアバスターできな……ッ!」

パトリシア「へえ……自分で氏を選ぶとはね。それなら学友の誘いを受けておけばよかったのに」

杏子「何勘違いしてるんだ? あたしがそのヘッポコバスターを破ってやるって言ってるんだよ」

パトリシア「……面白い冗談ね」

11: 2011/06/18(土) 22:59:37.18 ID:VupHpvd20
パトリシア「まあいいわ……パトリシアバスターは完璧な技なんだから!」ガシッ

パトリシア「その身の程知らずな物言いを、あの世の教室の隅っこで悔いなさい!!」ダンッ

さやか「ねえ、転校生。杏子のバスター破りって、どんなのかな……?」

ほむら「……」

杏子「……」ジッ

ほむら「美樹さやか、よく見ておきなさい」

ほむら「あれは、私たちに後を託して氏ぬつもりの目だわ」

12: 2011/06/18(土) 23:02:24.96 ID:VupHpvd20
4階

仁美「佐倉さん……!」

仁美「逝かせはしない! あなたを一人で逝かせはしません……!」

仁美「こうなれば、私もこのナイフで喉を一突きにして……」

ピカッ

仁美「!? ま、眩し……」ポロッ グサッ

仁美「あっ、キャンバスに刺さってしまいましたわ……」

13: 2011/06/18(土) 23:05:33.36 ID:VupHpvd20


QB「ふう……ようやくマミも落ち着いたようだね……」

ピカッ ゴロゴロ…

QB「天気もよくないなあ……嫌な感じだよ」

マミ「……」ムクリ

QB「きゅっぷい!?」ビクッ

マミ「……」スゥー…

QB「マミの腕が、消える……!?」

15: 2011/06/18(土) 23:08:39.01 ID:VupHpvd20
3階

杏子(これで……これでよかったんだ)

杏子(あたしがこれ以上生き残っても、足手まといになるだけ)

杏子(ほむらは頭が切れるし、さやかは強い)

杏子(きっと、あたしの戦いから攻略の糸口を見つけてくれるさ……)

杏子(……)

杏子(……クソッ!)

杏子(せめてもう一撃……ッ! このままじゃ氏んでも氏にきれねえよ……!)

16: 2011/06/18(土) 23:12:48.90 ID:VupHpvd20
パトリシア「さあ、神様にお祈りは済んだかしら?」

パトリシア「パトリシアバスターッ! ……あ?」ガクンッ

杏子「えっ」

パトリシア「な、何……ッ!? どうして落下が止まるのよ!?」

ほむら「あの腕は……!」

ミシリ…

杏子(指2本だけで、ナイフの出っ張りを摘むだけで、あたしとパトリシアの体重を支えてやがる……)

杏子(この腕……)

杏子「マミの腕だ……ッ!」

17: 2011/06/18(土) 23:15:25.85 ID:VupHpvd20
さやか「何あれ……どういう指の力してんの?」

ほむら「あれは巴マミの指……だとすれば、納得がいくわ」

さやか「どういうこと?」

ほむら「同じ銃使いの私にはわかる……銃の引き金って案外重いものなのよ」

ほむら「魔女と戦うたびに何十、何百というマスケット銃を早撃ちする巴マミ……その指の力は計り知れないものがあるわ」

ほむら「彼女の指なら、あんな芸当ができても不思議ではない……!」

まどか(そんなの絶対おかしいよ……)ゼエゼエ

19: 2011/06/18(土) 23:20:04.61 ID:VupHpvd20
杏子「マミ……あんた、あたしを助けてくれるのか……?」

杏子「力を、貸してくれるのか……?」

パトリシア「まだよ! パトリシアバスターの体勢は崩れていない! このままマットに激突させれば、私の勝ちは揺るがない!」

杏子「クッ……支えてられるのも、もう限界か」グラッ

杏子(マミ……ッ)

20: 2011/06/18(土) 23:24:20.55 ID:VupHpvd20
マミ『どうやら私の勝ちのようね』チャキッ

杏子『クソッ、なんで負けたんだ……仕方ねえ、殺せよ』

マミ『それを決めるのは勝者の権利よ』

マミ『そして、私はあなたを殺さない』

杏子『何ぃ……!?』

マミ『同じ魔法少女だもの……狩り場さえ守るのなら、敵対する必要はないわ』

杏子『その甘さ……いつか後悔するぜ?』

マミ『ええ、肝に銘じておくわ……それと』


マミ『最後の大振りで左手の握りが甘くなる癖、直した方がいいわよ』

21: 2011/06/18(土) 23:28:00.01 ID:VupHpvd20
ズルッ ゴオッ

パトリシア「落下が始まった……! パトリシアバスターに敗北はないわ!」

杏子(……)

杏子(左手の握りが、甘くなる癖……)

杏子「ここだあッ!」スルッ!!

パトリシア「なッ!? 脚のクラッチが、外れ……!?」

ゴシャアッ!!

22: 2011/06/18(土) 23:31:23.60 ID:VupHpvd20
ほむら「ほぼ同時に落ちたわ! ここしかない……!」

パトリシア「くっ……まさか、パトリシアバスターが外されるなんて……」

杏子「あたしの……いや、あたしたちの勝ちだ」チャキッ

パトリシア「!?」

さやか「マミさんの銃だ!」

23: 2011/06/18(土) 23:34:42.34 ID:VupHpvd20
杏子「そうだよな、マミ……ソウルジェムの中いじくり回されて、頭にきてるよな」

杏子「いいぜ、あたしが今出せる魔力、全部くれてやる……ッ!」

ほむら「銃身が、どんどん成長していく……」

さやか「あれだ! あれをやる気だ!」

パトリシア「や、やめなさい! 危険物の持ち込みは校則違は……」

杏子「掟破りのッ! ティロ・フィナーレッ!!!」カッ

ゴオオオオオオオオオオッ!!!!

パトリシア「ああああーーーーーーーーーッ……」

24: 2011/06/18(土) 23:37:43.03 ID:VupHpvd20
シュウウ…プスプス…

ほむら「跡形も残らなかったわね……」

さやか「凄い威力……」

杏子「はあっ……はあっ……!」

杏子「……あ」

杏子「あたしの腕が、戻ってきた……」

杏子「……」ガクッ ドサッ

さやか「杏子!? ちょっと、大丈夫なの!? 杏子ーッ!」

ほむら「私が見るから、まどかの治療を続けなさい!」

杏子(ありがとう、マミ……)

○佐倉杏子 VS パトリシア●
(40分55秒 掟破りのティロ・フィナーレ)

27: 2011/06/18(土) 23:44:25.11 ID:FMt7rBCL0
4階

仁美「どうやら、杏子さんは勝ったようですわね……」

仁美「これは、私だけ負けるわけにはいきません……!」

ゲルトルート「それはこちらも同じことよ」

仁美「ふふっ、なぜでしょうか……あなたと戦っていると、憎らしいという気持ちが起こりませんの」

ゲルトルート「奇遇ね……私も、できることなら時間の許す限りあなたと戦っていたいのに」

仁美「……」

ゲルトルート「……」

仁美「もっと違う場所で会っていたなら、私たち……いいお友達になれたかもしれませんわね」

ゲルトルート「……ええ、そうね」

28: 2011/06/18(土) 23:49:03.12 ID:FMt7rBCL0
まどか「仁美ちゃん……!」

さやか「ふう……まどかもようやく動けるようになったわ……クラクラする」

ほむら「志筑仁美……」

仁美「ふふっ、先輩たちの目の前とあれば、余計に負けられませんわ!」ガキンッ トントンッ

ほむら(ボクシングのステップ……武器は魔法のメリケンサック、ね……)

29: 2011/06/18(土) 23:51:33.69 ID:FMt7rBCL0
ビッビビッ!

ほむら(飛び込んでから左右のジャブの牽制)

仁美「ふんっ!!」ドボオッ

ゲルトルート「……ッ!」メリ…

ほむら(そのまま懐に飛び込んでボディブローか……)

30: 2011/06/18(土) 23:57:22.84 ID:FMt7rBCL0
ゲルトルート「フ、フフ……やっぱり、やっぱり素晴らしい……!」

ゲルトルート「どこかの振り回すだけの単調な攻撃とは違う……狙いは単純でも洗練された動き」

ゲルトルート「美しいわ、志筑仁美……あなたの戦いを見ていると心が躍るの!」

仁美「そう……嗜み程度の拳闘ですけど、そう言っていただけると幸いですわ」タンッタンッ


さやか「ねえ、何か馬鹿にされたような気がしたんだけど」

ほむら「されてるわ」

さやか「やっぱり!? こんのー、言いたい放題言ってくれちゃってさあ!」

ほむら(……志筑仁美、やっぱりどこかおかしい)

31: 2011/06/19(日) 00:05:16.02 ID:NohkoHpJ0
ゲルトルート「さあっ! 華麗なステップを見せて頂戴!」シュル…ピシイッパシイッ

仁美「クッ……ハッ……ふんっ!」ササッ ズンッ

ほむら(つるの鞭をかわしてステップイン、カウンター)

仁美「……っ」トーン…ササッ

ほむら(ここだわ! 一撃入れたらすぐに退がってしまう)

ほむら(一気に攻めるチャンスがありながら、わざとそれを逃してしまっているように見える)

32: 2011/06/19(日) 00:10:34.05 ID:NohkoHpJ0
さやか「……なんかさ、地味だね。仁美の戦い方」

まどか「ちょっ……そういう言い方ってないよ!」

さやか「うーん……上手く言えないんだけどさ、なんか魔法少女らしくないっていうか」

まどか「……さやかちゃんもよっぽどだと思うけど」

さやか「だから上手く言えないんだってば!」

さやか「なんていうかさ、攻めても疲れてるのは仁美だけっていうか……」

ほむら「……!」

33: 2011/06/19(日) 00:15:06.25 ID:NohkoHpJ0
杏子「う……ここまできたか……」

さやか「杏子! 寝てなくて平気なの!?」

杏子「しんどいけどな……仲間の戦いで寝てなんかいられるかよ」


ほむら「志筑仁美……あなた、生身の人間なんじゃないの!?」

仁美「!?」

まどか・さやか・杏子「!?」

35: 2011/06/19(日) 00:19:54.68 ID:NohkoHpJ0
まどか「ほ……本当なの!?」

杏子「いや……確かに魔力は弱いけど、あの両手のメリケンサックは魔法で作られた物だよ」

さやか「じゃあ、転校生の勘違い? なーんだ、びっくりしたあ……」

ほむら「……」

仁美「……暁美さん」

37: 2011/06/19(日) 00:24:35.56 ID:NohkoHpJ0

仁美「いくら私の魔力が弱いからといって、人間扱いはあんまりですわ!」タタンッ!!

ゲルトルート「……!!」ドゴオッ

ほむら(! 今度は退かない……!)

ドゴッ ドガッ ズンッ

仁美「ハッ……ハッ……」ゼエゼエ

ほむら(ペースを崩した……!? やっぱり、体力が続いていない!)

ゲルトルート「……醜い」

仁美「……っ」

39: 2011/06/19(日) 00:32:55.80 ID:NohkoHpJ0
ゲルトルート「さっきまでの緻密な動きはどこへいったの……? そんな戦い方をされたら……」

ゲルトルート「つまらないじゃない!」グサグサッ!!

仁美「あぐ……ッ!?」

ゲルトルート「いいわ……あなたがもう美しく舞えないのなら、せめて綺麗に葬ってあげるから」サワサワ

まどか「何あれ……体から花びらが出てる」

ビュンッビュンッ ズバババババッ

仁美「あああああっ!?」

ゲルトルート「この花びらの一枚一枚が私の分身にして、鋭い刃……あなたの血を浴びて、深く赤く染まるの」

ゲルトルート「ここは地獄巡りナンバー6! 薔薇地獄!」

40: 2011/06/19(日) 00:36:46.91 ID:NohkoHpJ0
ほむら「いけない……!」

ほむら(彼女が人間だとしたら、もう血を流しすぎている……!)

仁美「待って!」

ほむら「!?」

仁美「魔法少女にとってこの程度、蚊に刺されたようなものですわ。いざとなったら、痛覚も遮断できる……そうでしょう?」

ほむら「……あなたは」

41: 2011/06/19(日) 00:43:40.21 ID:NohkoHpJ0
ゲルトルート「フフ、なかなかいいわ! 志筑仁美、動きは鈍ったけれど、血に染まるあなたは美しい!」

仁美「そう……なら今度は私がそのとろけた顔を整形して差し上げますわ!」

杏子「すげえ根性じゃねーか、さやか並みだな!」

ほむら(ええ……それでも)

仁美「……フッ! やあッ!」ブンブンッ

ゲルトルート「フフ、私の体は花びらの集合体……美しくないあなたの攻撃なんて、受けてあげる義理はないわ」スカッスカッ

仁美「く……ッ!」ブシュウウ…!

ほむら(相性が悪い……悪すぎる!)

42: 2011/06/19(日) 00:49:07.60 ID:NohkoHpJ0
まどか「ねえ、なんとかならないの? このままじゃ仁美ちゃんの攻撃、ひとつも当たらないよ……!」

杏子「花びらか……なんとか固められたりするといいんだけど」

さやか「仁美はパンチ以外の魔法は使えないの!?」

まどか「仁美ちゃん! もう無理だよ、降参していいよ!」

仁美(まどかさん……残念ですけれど、それは聞けませんの!)

43: 2011/06/19(日) 00:56:38.68 ID:NohkoHpJ0
QB『……駄目だね、志筑仁美。君には才能がない。かなえられる願いも限定されるし、たいした魔法少女にはなれないだろう』

仁美『そ、そんな……!?』

仁美『それじゃあ、上条君の腕を治すことはできますの!?』

QB『君の素質では……無理だね』

仁美『……』

QB『志筑仁美……君程度の素質だと、こうして僕にたどり着いたことこそが奇跡さ』

QB『言ってしまえば、それ以上の奇跡が見込めないような一般人さ。それでも契約するのなら、僕は止めないけどね』

仁美『……』

仁美『それでも、私は……』

44: 2011/06/19(日) 01:01:39.19 ID:NohkoHpJ0
仁美「……ふんっ!」ドスッ!!

ゲルトルート「うぐ……!?」メリ…ッ

さやか「当たった!」

仁美「お遊びが過ぎましたわね……私の血をたぷり吸って、花びらが固まってきましたわよ……!」ドゴッ ドカッ

ゲルトルード「この……調子にッ!」ザワッ

仁美「えええいッ!」ガコオンッ!!

ゲルトルード「……!!」ガクンッ

杏子「押してる! 押してるぞ!!」

46: 2011/06/19(日) 01:09:39.49 ID:NohkoHpJ0
さやか『あー……ごめん、仁美! こっちの話』

まどか『う、うん! 全然、何でもないから!』

仁美『……変なお二人』



さやか『でさ、昨日のテレビがね』

まどか『さやかちゃん、ちょっと顔色悪いよ?』

さやか『え? や、やだなあ……疲れ溜まっちゃってるのかな?』

仁美『……』

47: 2011/06/19(日) 01:13:32.64 ID:NohkoHpJ0
ほむら『○○△……』

杏子『×××△■!』

まどか『○○■△、○』

さやか『■■■、△○○!』

マミ『○○~?』



仁美『……』

48: 2011/06/19(日) 01:17:42.17 ID:NohkoHpJ0
仁美「ほら、どうしましたの? 攻撃の手が止まってるんじゃありませんこと?」パンッ ドゴッ

ゲルトルート「クッ……調子に乗ってえ……!」


さやか「なんか仁美、さきまでと比べて急に強くなってない?」

杏子「ああ……傷も治ってきてるな」

ほむら(思い過ごし、だったのかしら……?)

49: 2011/06/19(日) 01:21:37.25 ID:NohkoHpJ0
マミ『魔力を込めてほしい?』

仁美『ええ……美樹さんの時は、それで魔法のバットを作ったとお聞きしました』

マミ『確かにそういう魔法は使えるけど……たいした武器にはならないわよ?』

マミ『もしそれで魔法少女のように戦おうというのなら、自殺行為よ。協力はできないわ』

仁美『大丈夫ですわ……私も、これでも魔法少女ですから』

マミ『えっ?』

50: 2011/06/19(日) 01:25:53.17 ID:NohkoHpJ0
QB『君は一般人でいた方が幸せだと僕は思うんだけどね。僕がこんな忠告をするのは初めてのことだよ?』

QB『まあいいさ……志筑仁美。君はその魂と引き換えに、何を望むんだい?』

仁美『私は……』



仁美『一度だけの変身でいい。それっきりで、氏んでしまっても構わない』

仁美『私に、みんなと並んで戦えるだけの力を持たせてください……!』

52: 2011/06/19(日) 01:33:25.36 ID:NohkoHpJ0
ほむら(強い魔力を感じる……! これが、さっきの彼女と同一人物?)

ほむら(さっきまでの彼女はいったい何だったというのかしら)

ほむら(それに何か、ソウルジェムとは別の場所から魔力が出ているような……)

ゲルトルート「はあッ……! 何があったのか知らないけれど、さっきまでとは別人じゃない……!」

仁美「ふふっ、褒め言葉として受け取っておきますわ」

仁美(保って……あとどのくらいですの? 10分? 5分? もっと少ないのかしら)

53: 2011/06/19(日) 01:42:50.17 ID:NohkoHpJ0
仁美(暁美さん……心配をかけてしまってごめんなさい)

仁美(佐倉さん……こんな私を何も言わずに戦力に数えてくれてありがとう)

仁美(マミさん……あなたともう一度会ってお礼が言えないのが残念……でも、あなたのために使えてよかった)

仁美(さやかさん……こんな戦いをいつも黙ってされてましたのね。尊敬しますわ……上条君によろしく)

仁美(まどかさん……私は、あなたが羨ましい)

仁美(まどかさんになりたかった……魔法少女じゃないのに、素質だけでみんなの中心にいるあなたが……眩しくて、憎かった)

仁美(でも、もうわかりました)

仁美(力になれないもどかしさ、悲しさ……よくわかりましたから。契約しないでいることが、守られるだけの立場でいることが、どれだけ辛いか)

仁美(今の私には、よくわかる)

54: 2011/06/19(日) 01:48:17.64 ID:NohkoHpJ0
ゲルトルート「見せてあげるわ……薔薇地獄の真髄、その美しさを!!」ジャキンッ

杏子「あいつ、自分がデカい薔薇の花になりやがった!」

さやか「あの花びら、全部刃になってるよ!」

仁美「まあ、こわい……」

仁美(でも本当は……もう何も怖くない)

仁美(みんなが、私を応援してくださっている。見守ってくださっている)

仁美(それだけで、胸が一杯ですもの……!!)

56: 2011/06/19(日) 01:53:44.05 ID:NohkoHpJ0
仁美「えええええいッ!!」

ドゴッ ザクザクザクッ!!

ゲルトルート「な……この花の中に、手を突っ込んでくるなんて……!?」

仁美「根競べを致しましょう? あなたの体と私の命、どちらが燃え尽きるのが先か……!」

ボッ ボゴゴゴゴッ

ゲルトルート「あ、熱い……ッ!? 体が、中から焼ける! 燃える……ッ!?」

仁美「これが、一般人の意地の一撃ですわ……ッ!!」ゴオオオッ

ゲルトルート「あ、あああ、ああッ……!!」ジュウウウウウ……

57: 2011/06/19(日) 01:57:25.17 ID:NohkoHpJ0
さやか「凄い、魔女が焼け爛れてく……」

まどか「ね、みんな」

まどか「こんなこと言うの、なんだかおかしいんだけど」

まどか「血だらけで、あんなに痛そうなのに……」

まどか「今の仁美ちゃん、なんだかとっても綺麗だなって」

杏子「ああ……」

ほむら「そうね……」

ほむら(佐倉杏子も気付いたようね……おそらく、志筑仁美はもう……)

60: 2011/06/19(日) 02:04:35.37 ID:NohkoHpJ0
さやか「仁美ー! もう無茶ばっかりして! ほら、すぐに治療してあげるからね!」

仁美「さやかさんにだけは、言われたくありませんわ」イタタ…

まどか「でもよかった……仁美ちゃんが無事に帰ってきて! ね、みんな」

さやか「もっちろん!」


杏子・ほむら「……」

仁美「お二人とも、最後まで見守ってくださって、ありがとうございました」

杏子「おう……」

ほむら「……礼には及ばないわ」

仁美「ふふっ、種明かしはもう少し待ってくださいましね」

仁美「今はまだ、みなさんの隣にいたいんですもの……」

○志筑仁美 VS ゲルトルート●
(50分44秒 友情の涙雨)

62: 2011/06/19(日) 02:09:52.88 ID:NohkoHpJ0
5階

まどか「ここが、リングの最上階……あれが、マミさんのソウルジェムの中枢なんだね」

さやか「ここまで来たのはいいけど……どうやって呼びかけるのかな?」

杏子「とりあえず、呼びかけてみたらどうだい?」

まどか「じゃあ……マミさ~~~~~んっ!!!」

シーン…

さやか「マミさーーーーん!! 朝ですよーッ!!」

シーン…

63: 2011/06/19(日) 02:12:50.97 ID:NohkoHpJ0
ほむら「これを使ってみたらどうかしら」

まどか「グリーフシード?」

ほむら「ソウルジェムに作用するものといったら、やっぱりこれを置いて他にないわ」

さやか「用意がいいじゃん」

ほむら「ここで倒した魔女たちのものよ」

杏子「あっ、どうも見つからないと思ったらてめえ!!」

ほむら「独占するつもりはないわ」

64: 2011/06/19(日) 02:19:04.60 ID:NohkoHpJ0
まどか「じゃあ、これを……えいっ!!」ヒュンッ

プス

さやか「あ、刺さった」

…………

マミ≪イタタタタタタッ!?≫

66: 2011/06/19(日) 02:21:26.75 ID:NohkoHpJ0
まどか「マミさん! よかった……」

マミ≪あら、あなたたち……地上ではもうそんなに時間が経ったの? あなたたちが円環の理に導かれるまで、どれだけの月日が経ったのかしら?≫

杏子「絶好調だな」

ほむら「ある意味で救われるわ」

さやか「マミさーん、あたしたちちゃんと生きてて、マミさんも生きてるんですよー!」

68: 2011/06/19(日) 02:27:19.25 ID:NohkoHpJ0
マミ≪そう、そんな事情があったのね……まさか首がなくなっても生きてられるとは思わなかったわ≫

さやか「それはみんなだと思います」

ほむら「とにかくあなたは首の回復に専念しなさい」

マミ≪わかったわ≫

杏子「ところで、ここからはどうやって出るんだ?」

ほむら「おそらく、リサイクルゾーンに繋がる出口が……あったわ」

まどか「やっと帰れるんだね!」

さやか「ほら、仁美……立てる?」

仁美「ええ、すみません……肩、お借りしますわ……」

杏子「あれ? 出口に誰か立ってるな」

70: 2011/06/19(日) 02:32:10.49 ID:NohkoHpJ0
QB「やあみんな、無事に魔女たちを倒してマミを起こすこともできたみたいだね! 素晴らしいよ!」

まどか「キュゥべえ!」

さやか「おー、出迎えとは気が利くねえ?」

杏子「なんかあんまり見たくねー顔と会っちまたなあ……ん? ほむら……どうした?」

ほむら「キュゥべえ……その隣にいるのは」

QB「彼女かい? 紹介するよ……彼女はね」

???「部下たちの不始末を片付けに来た」

まどか「部下……?」

71: 2011/06/19(日) 02:37:08.68 ID:NohkoHpJ0
???「そう……エルザマリア、エリー、パトリシア、ゲルトルートは私の部下だ」

まどか「え? じゃあ、この人は」

ほむら「まどか! 逃げてーーーッ!!」

まどか「えっ」

ドシュッ

まどか「え……」ブシュウウウ…

72: 2011/06/19(日) 02:40:47.31 ID:NohkoHpJ0
まどか「こんな、え? お腹の中、手が通り抜けてるよ?」

まどか「血が、血がこんなに……!」

まどか「やだ、氏なないで……ッ、仁美ちゃん!!」

仁美「はあっ……はあっ……」

QB「うーん、残念。君がこんなに邪魔してくれるとは思わなかったよ……仁美」

73: 2011/06/19(日) 02:50:28.28 ID:NohkoHpJ0
まどか「何これ……どういうことなの? おかしいよ……!」

ほむら「説明してもらおうかしら、インキュベーター」ジャコッ

QB「そうだね……この戦いは、魔女と魔法少女の戦力バランスのテストだったのさ」

QB「魔女と魔法少女の戦力は拮抗していた方が望ましい。どちらかに偏りすぎるとエネルギーの回収効率がひどく悪くなってしまうんだ」

QB「だから、今回のケースでは魔女と魔法少女の勝ち負けは半々になってもらうのが理想だった」

QB「ところが君たちは実力差をひっくり返して全勝してしまった……これは危険なんだ」

QB「そうだろう? 格上に勝ってしまうんじゃ勝敗の予想がつきづらい。君たちは実力以上に勝ちすぎ、生き残りすぎた」

QB「だからね、そういう不確定要素の強い危険分子は排除しておこうってことなんだ」

77: 2011/06/19(日) 02:56:45.08 ID:NohkoHpJ0
ほむら「まどかも排除の対象だというの……!?」

QB「むしろ最優先のターゲットさ。確かに鹿目まどかの魔力は魅力だが、あまりにも大きすぎる。まどかからエネルギーを採取したが最後、その宇宙は永遠に不毛の地になるだろう」

QB「それに、まどかの周りには君たちのような強い魔法少女が集まる……」

QB「人間でも魔法少女でも都合が悪いなら、処分するしかないじゃないか」

杏子「てめえ、どこまで腐ってやがる……!」

79: 2011/06/19(日) 03:03:45.64 ID:NohkoHpJ0
QB「なあに、順番の違いだよ。まどか以外もみんな排除対象さ。だからここで待ってたんだ……仁美以外をね」

さやか「え……?」

QB「こんな計画、魔法少女側に協力者がいないと思ったかい?」

QB「仁美は弱い。そして素質のあるまどかを羨み、憎んでいた。だから見滝原エリアの次期担当者の地位を約束して、計画に参加してもらったんだ」

QB「ずいぶん派手に裏切ってくれたけどね。やっぱり感情は不確かなものだ。わけがわからないよ」

まどか「ひ、仁美ちゃん……?」

仁美「ええ、本当のことですのよ……」

80: 2011/06/19(日) 03:11:18.91 ID:NohkoHpJ0
仁美「まどかさん……私、あなたのことが大嫌いでしたの」

仁美「素質があるのに魔法少女にならず、そのくせみんなの中心にいて……」

仁美「けれど、愚かだったのは私の方」

仁美「みなさんと対等になりたいと願っていたのに、いざ駆けつけた私を見下す人なんて、一人もいない」

仁美「私が勝手に、みなさんから離れていただけでしたのにね」

仁美「だから……ここにインキュベーターたちが来てくれたのは幸運でした……私にもう一度、償いの機会を与えてくれたのだから……!!」ボッ

82: 2011/06/19(日) 03:19:18.47 ID:NohkoHpJ0
仁美「友情の涙雨ーーーッ!!!」ザクッ!! ゴオオオッ

QB「ああ、彼女の紹介がまだだったね。彼女は……」

???「こんなチンケな技で、この私を倒そうとするとは……10年早い」ガシッ

ブンッ ブンッ ブーン ブーンッ

まどか「仁美ちゃんの体が、まっすぐに伸びてく……」

さやか「あいつの足、歯車みたいな……!」

ブンッ!!! ダンッ

杏子「放り投げた体の首に、歯車がの足が……!!」

???「ワルプルギスの断頭台ーーーッ!!!」ドゴオオオオオンッ

まどか「仁美ちゃーーーーーんッ!!」

QB「彼女こそ最強の魔女にして計画の統括者、『ワルプルギスの夜』だよ」

84: 2011/06/19(日) 03:26:25.92 ID:NohkoHpJ0
ワルプルギスの夜「魔法少女どもよ、この私直々に処刑される栄誉をやろう。有難く思うがいい」

QB「ん……マミが治療を終えそうだね。ここもいづらくなる」

QB「処刑の日取りは改めて教えてあげるよ。楽しみに待っているといい」タタタッ

ワルプルギスの夜「今のうちに、せいぜい生を謳歌しておくがいい」ズズズ

85: 2011/06/19(日) 03:31:03.72 ID:NohkoHpJ0


仁美「……」

まどか「仁美ちゃん……」

仁美「みなさん、そこにいらっしゃるんですの……? もう、よく見えなくて」

まどか「……」

まどか「そうだ、グリーフシード! 魔法少女だもん! ありったけのグリーフシードがあったら、元気になるよね? ね?」

さやか「……ッ」

ほむら「……まどか、残念だけど、もう」

86: 2011/06/19(日) 03:33:41.86 ID:NohkoHpJ0
まどか「ほむらちゃん、持ってるでしょ! 貸して!」バッ

ほむら「あっ……」

まどか「ほら、仁美ちゃんグリーフシードだよ! ソウルジェム出して! ねえ!」

仁美「ふふっ……そんなもの、ないんですよ」

仁美「だって私、人間ですもの……」

88: 2011/06/19(日) 03:38:50.33 ID:NohkoHpJ0
まどか「え……?」

仁美「正確に言えば、人間の形をした抜け殻でしょうか」

仁美「契約の願いで……私のような素質でも戦えるようにしてもらう代わりの代償……一度でも変身したら、私のソウルジェムは消滅してしまうんです」

仁美「だから、今の私はエネルギーの燃えかすで動いているだけの、人間の抜け殻」

仁美「最初から、手遅れなんですのよ」

90: 2011/06/19(日) 03:44:32.38 ID:NohkoHpJ0
仁美「でもね、まどかさん……私、今幸せです……そんな権利、ないのにね……」

仁美「ね、まどかさん」

仁美「インキュベーターはね、契約を持ちかけられたら、拒否権を持ちません」

仁美「どうせ命を狙われるなら、インキュベーターを捕まえて契約してしまうんです」

仁美「そして……私の分まで存分に戦ってくれたら……」

仁美「それは……とても……嬉しいなって……」

仁美「……」

92: 2011/06/19(日) 03:47:32.01 ID:NohkoHpJ0
まどか「みんな、準備はいい?」

ほむら「ええ、弾薬の手入れは万全よ」

マミ「照準のぶれはもうないわ」

さやか「あたしはいつでも準備万端!」

杏子「いつでもいけるよ、まどか」

まどか「……うん」

94: 2011/06/19(日) 03:50:39.68 ID:NohkoHpJ0
まどか「みんな、協力してくれてありがとう」

まどか「何としてもキュゥべえを捕まえて、私は契約する」

まどか「そして……魔法少女も、魔女も……そんなもの存在しなかったことにしてやる」

まどか「この手で、絶対に」

まどか「みんな、私に力を貸してね!!」

「「「「おおおおッ!!!!」」」」

96: 2011/06/19(日) 03:55:04.25 ID:NohkoHpJ0
……かくして。

魔女と魔法少女の長い戦いの歴史は終結し、
新しい真っ白な年表に取り替えられた。

まどかはもう存在しない。

彼女の存在は全ての時間に、空間に、因果に溶け、
いつでもそこにある。

新しい世界には魔女も魔法少女も存在しない。

代わりに、世界の中心にはリングがあった。

98: 2011/06/19(日) 04:00:34.40 ID:NohkoHpJ0
    イッテ          リング
マミ「故障してしまったのね……円環の理に導かれて……」

さやか「あはは……表現が壮大すぎて何が何だかわかりませんよ?」

杏子「しかし、さやかも引退か……膝の故障ってのはきついもんだな」

仁美「マットの上も寂しくなりますわね……」

さやか「ちょ……ちょっとちょっと! 何しんみりしてるかなあ!」

さやか「せっかくの引退式なんだからさ、パーッといかせてよ!」

さやか「そりゃプロの選手じゃなくなるけど、裏方とか、スパーリングパートナーくらいはやるんだからさ!」

100: 2011/06/19(日) 04:08:10.61 ID:NohkoHpJ0
杏子「あれ、そうなのか? なーんだ、残念がって損したな。もうさやかのこと投げられないと思うと寂しくてさあ」

仁美「打撃パートナーとしても優秀ですのよ? 拳を押し返す筋肉と脂肪の張り……まだ味わえるんですのね」

マミ「膝の故障だから……腕とか、腰なら極めていいのよね? 首も大丈夫かしら」

さやか「……あんたたちの愛情はよーくわかりました。引退でまとまったお金が入ったから今日は奢ろうと思ったけどやーめたっ! もう1円も払わないっ」

杏子「げっ? 機嫌直してくれよさやかぁー」

マミ「今日は美樹さんをあてにしてきたのよー、ごめんなさいって!」

仁美「さやかさん、私に奢れる機会なんてそうそうありませんことよ? 後悔しますわよ?」


ほむら「……」

ほむら「……まどか」

102: 2011/06/19(日) 04:11:37.70 ID:NohkoHpJ0
さやか「ほむら……今、なんて?」

ほむら「……? 私、何か言ったかしら」

仁美「ええ。確か『まどか』と。誰かしら……なんだか、懐かしいような」

杏子「んー、聞き覚えはあるんだよなあ」

   リング
マミ「円環の神様の名前かしら?」

「「「「それはない」」」」

104: 2011/06/19(日) 04:14:54.34 ID:NohkoHpJ0
まどか「……」

まどか「てぃひひっ」

まどか「案外間違ってなかったりして」

まどか「みんなの試合、いつも特等席で見てるよ。アリーナS席なんか目じゃないんだよ」

まどか「……」

まどか「リングの上にはね、奇跡も魔法も、あるんだよ?」


≪おしまい≫

105: 2011/06/19(日) 04:16:16.22 ID:10gwnG6t0

あんまりキン肉マン知らないけど面白かった

107: 2011/06/19(日) 04:41:20.46 ID:aIifRE290
乙!

引用元: マミ「ウギャア 鹿目さーん!!」