1: 2015/05/04(月) 13:51:50.54 ID:MmaBX+1Q.net
にこ「珍しいじゃない。あんたがスクールアイドルのオススメ動画を教えてほしいだなんて」パソコンポチー

絵里「私だって今はスクールアイドルなのよ。やるからには他のアイドルからも学んで技術を吸収していかないとね」

にこ「ふふん、良い心がけじゃない。じゃあまずはどんな感じの動画が見たい? ダンスパフォーマンスが中心のもの? それとも歌唱力に優れたグループ?」

絵里「……? この動画の子達は何をしているの?」

にこ「うん? ああ、これはアイドル同士でゲームをして、それを動画で流しているのね」

にこ「このスクールアイドルは他にもスポーツで競い合ったり、クイズを出し合って遊んだり……所謂バラエティ番組のようなノリの動画を投稿しているのよね」

絵里「へぇ、ダンスや歌以外にもそんな活動があるなんて……面白いわね! ねぇにこ、このアイドルの動画でオススメはないの?」

にこ(なんだか嫌な予感がしてきた)

10: 2015/05/04(月) 14:02:27.44 ID:MmaBX+1Q.net

――翌日放課後

にこ(結局昨日はバラエティ系の動画しか見なかったわね……今日こそ歌やダンスの動画を紹介しよっと)ガチャッ

穂乃果「あ! にこちゃん!」

花陽「お疲れ様~。お茶飲む?」

にこ「あれ、みんなまだいたの? 今日は屋上でダンスレッスンでしょ?」

希「それがなぁ、なんや絵里ちが話があるっていうて」

絵里「来たわね。にこ! これでμ's九人集結よ!」

にこ「うわ、うざいテンション」

凛「でもでも、クールなお姉さんよりも、こっちの方が素の絵里ちゃんっぽいにゃ~」

12: 2015/05/04(月) 14:04:59.25 ID:MmaBX+1Q.net
ことり「あのぉ、それで話って?」

絵里「よくぞ聞いてくれたわ! 歌やダンス……勿論素晴らしいものだし、それを突き詰めるのが私達の目標よ。
   でもね、それだけじゃあどうしても世界は狭まる。だからこそ私達は今までの枠に当てはまらない新しいチャレンジもしていくべきだと思うの!」

海未「言っている事は分かりますが、具体的には何を?」

絵里「バラエティ動画よ! 体を張ったゲームにチャレンジしていくこともアイドルの責務なんじゃないかしら!?」

海未「体を張ったゲーム、ですか? また随分唐突ですね……」

真姫「まぁエリーが突然突飛な事を言い出すのは今に始まった事じゃないけど」カミノケクルクル

にこ(うわー……めんどくさいことになっちゃったなー)

16: 2015/05/04(月) 14:06:44.19 ID:MmaBX+1Q.net
穂乃果「でも、面白そうだよ!」

希「それでそのゲームに関してえりちにアイデアはあるん?」

絵里「勿論よ、希。なんの戦略も勝算もなく、こんなことを言い出す私じゃないわ……私達がこれから行うゲーム、それはこれよ!」ホワイトボードクルン

にこ「24時間鬼ごっこ……?」

絵里「名案でしょう?」

にこ「馬鹿じゃないの!?」バンッ

絵里「うわっ」

20: 2015/05/04(月) 14:10:59.27 ID:MmaBX+1Q.net
にこ「アイドル関係なくなってるじゃない! あの後、家でどんな動画見てきたの!? 大体24時間だなんて丸一日拘束されるゲームが本当にできると思った!?」

絵里「じゃ、じゃあ12時間で」

凛「案外あっさり折れちゃうんだね」

にこ「それでもまだ長い! それになんでよりにもよってあの番組でも一番きついって言われる企画を選んだの?
   どうせだったら年末大晦日のあの企画にしなさいよ!」

絵里「さすがじゃないわね、にこ」

にこ「あん?」

絵里「笑いをこらえるような面白いネタが一介の女子高生に考えられると思う?」ドヤァ

にこ(あんたのポンコツ言動は割といい線行ってるわよ)

23: 2015/05/04(月) 14:15:43.29 ID:MmaBX+1Q.net
凛「続きまして生徒会長挨拶。生徒会長、よろしくお願いします」

凛「……」パチパチパチ

希「デデーン、穂乃果ちゃん、アウトー」

穂乃果「えへへ……なんだかツボなんだよねー、アレ。間違えて立っちゃったみたいで」

凛「合宿よぉぉぉぉぉ!」

希「デデーン、真姫ちゃん、アウトー」

真姫「嘘! 今のは私じゃなくて花陽よ!」

絵里「……」ギロッ

凛「……」メヲソラス

希「……」メヲソラス

26: 2015/05/04(月) 14:23:31.21 ID:MmaBX+1Q.net
絵里「とにかく! これは決定事項よ! すでに体育館も借りているし、理事長の許可もとっているんだから!」

にこ「馬鹿言わないで! こんなことつきあってらんないわよ!
   第一にこはバラドルじゃなくて歌って踊れて可愛いアイドルなのよ!?」

穂乃果「えー、でも面白そうだし、穂乃果はやってみたいなぁ」

にこ「穂乃果……!?」

ことり「私は穂乃果ちゃんがやるのなら……」

希「とりあえず一回だけ挑戦してみるのもいいんちゃう?」

凛「凛も賛成~!」

花陽「バラドルの世界……やりがいがあります!」

海未「何も頭ごなしに否定せず、ルールを全員で把握してから考えてもよいのでは?」

真姫「そうね、まずは話だけでも聞いてみましょ」

にこ(まずいわね……この子たち元ネタの企画を見てないのかしら)

31: 2015/05/04(月) 14:28:28.04 ID:MmaBX+1Q.net
絵里「ルールは基本は鬼ごっこよ。ただし鬼に捕まっても鬼と交代するわけじゃない。
   鬼は全身タイツを着ているのだけど、そのタイツの胴体に罰ゲームの内容が書いてあるの」

希「つかまった人間はその罰ゲームを受ける……という事やね?」

絵里「ハラショーよ、希。一定時間逃げ切ると、鬼は裏へと引っ込むわ。そして鬼はまた不定期に現れて人間を追いかける。
   それを24時間……じゃなくて12時間繰り返すわけね」

ことり「よかったぁ、12時間ずっと走り続けるわけじゃないんだね」

絵里「そうね、追いかけられる時間より休憩時間の方がずっと長いわよ」

花陽「うん、12時間は確かに長いけど……想像していたものよりかはだいぶ楽かも……!」

凛「え~、かよちん自信満々だね~。12時間だよ~?」

花陽「い、いや、思っていたのよりはというだけで、決して本当に楽だと思っているわけじゃ……」

キャッキャッ

にこ(駄目だ、この子たち、全然事を深刻にとらえてない……)

32: 2015/05/04(月) 14:41:12.62 ID:MmaBX+1Q.net
海未「体力トレーニングも兼ねることができそうですね」

真姫「ま、いいんじゃない?」クルクル

にこ「いやいや、あんた達はこのゲームの真の恐ろしさが――」

凛「凛は追いかけるのも追いかけられるのも好きだから、楽しみにゃー!」

にこ(! ……追いかける方……!? そうだ!)

にこ「ねぇ、このゲーム、誰が鬼をするの? 何人が追いかけられる側なの?」

絵里「そうね……有志の生徒にも手伝ってもらうけど、鬼も基本はμ'sメンバーでするつもりよ。
   あまり追いかけられるメンバーが多すぎてもカメラや動画編集も大変だし……追いかけられる方が四人、鬼や裏方が五人といったところね」

にこ(そうよね、逃げるのが辛いんなら鬼役に回ればいいじゃない! 鬼役の方が人数も多いし、絶対にそっちにまわって見せる!
   ふふふ……このゲームを舐めたのはあんた達なんだからね……! 誰が追いかけられる側になるかはわからないけど精々痛い目を見るがいいわ!)

絵里「じゃあ、皆、このくじを引いて。赤が四本、白が五本。赤が追いかけられる方で、白が鬼役よ」

33: 2015/05/04(月) 14:43:14.28 ID:MmaBX+1Q.net
穂乃果「ぅおっしゃー!」白

花陽「うう……」赤

ことり「あはは……ごめんね?」白

凛「絶対捕まらないよー!」赤

海未「いえ、捕まえてみせます」白

真姫「……はぁ……」赤

絵里「ハラショー!」白

希「スピリチュアルやね」白

にこ「……」赤

34: 2015/05/04(月) 14:57:54.30 ID:MmaBX+1Q.net
――日曜日

AM06:45

にこ「ふぅ……」

凛「にこちゃん元気ないにゃー!」ガバッ

にこ「うわ!? いきなり飛びつくのはやめなさいよ!」

花陽「おはよう、にこちゃん」

にこ「おはよー……」

真姫「どうしたの、にこちゃん。PVの撮影とかだと人一倍はりきるのに」

にこ「PVじゃなくて12時間の鬼ごっこでしょ……テンションを保てるあんた達がおかしいのよ……」

35: 2015/05/04(月) 15:11:06.33 ID:MmaBX+1Q.net
ポンポンポン

希「乳、よせまっせー!」

にこ「うわ!?」

真姫「……何をしてるの、希」

希「えりちがやりなさいって」

にこ「断りなさいよ……」

希「それはさておき、皆お揃いのようやね」

凛「希ちゃんも鬼をやるの?」

希「人出が足らんようになったらするかもしれんけど……基本的には進行役やね」

花陽「進行役?」

希「ルールの解説をしたりとか、あとはえりちからの連絡事項を伝えたりとか。あ、そうそう言い忘れ取ったけどこのゲームの指揮官はえりちやから」

にこ「うへぇ」

花陽「なんだかすごいやる気だよね、絵里ちゃん……」

希「自分発案やしなぁ」

36: 2015/05/04(月) 15:17:12.66 ID:MmaBX+1Q.net
希「この体育館が舞台やからね。ここから外には出たらアカンよ」

花陽「こたつに座布団……軽食に水も」

真姫「へぇ、準備いいのね」

凛「楽しいイベントになりそうにゃ~」

にこ「どうだか……」

希「にこっち、もうカメラ回ってるよ?」

にこ「やだぁ~、これから何が起こるのぉ~? にこ楽しみ~!」

希「まぁ、嘘やねんけどな」

にこ「ちょっと!」

ヒョコッ 

穂乃果「希ちゃーん! ヒデコがそろそろカメラ動かしてもいいですかってー!」

希「オッケーやでー!」

にこ「やぁん、にこ頑張っちゃう~!」

真姫「……その生き方疲れない?」

にこ「……大きなお世話よ」

37: 2015/05/04(月) 15:22:19.23 ID:MmaBX+1Q.net
希「ルールは前にえりちが言うたとおりや。鬼が不定期に出てきて、その鬼に捕まったらその鬼の罰ゲームを受ける」

真姫「一体私達が何を罰せられるような事をしたって言うのかしらね」

希「まぁまぁそれは置いていて。7時開始やからもうそろそろスタートやで」

凛「たっのしみにゃ~!」

花陽「がんばってバラエティの空気を出さないと……!」

にこ「……ふうっ、よし! あんたたち気合入れなさいよ!」

真姫「やっとにこちゃんもやる気を出したみたいね」

凛「ちょっと気合入れすぎな気もするけどねー」

希「ほな鬼ごっこが始まったらうちは裏へひっこむからね。さぁ始まるよー、3、2、1、スタート!」

38: 2015/05/04(月) 15:29:37.34 ID:MmaBX+1Q.net
AM07:00

プワーン! プシュー!

鬼(超音速枕)「……!」ダダダダダダ

凛「なんか真っ黒な人が出てきたにゃあ!」

花陽「え!? な、何? 枕?」

真姫「か、体に超音速枕って書いてあるけど、どういうこと?」

にこ「説明されたでしょ! あれが鬼で、捕まったら超音速枕をぶつけられるってことよ! 早く逃げなさい!」ダダダ

花陽「ええ!?」ダダダ

真姫「あ、あれが罰って事!? 想像より厳しいんだけど!?」ダダダ

鬼(超音速枕)「……!」ダダダダダタ

にこ「ちょっとぉ! なんでこっちにくるのよ!? あっ!」

花陽「ああ! にこちゃんが捕まっちゃった……!」

鬼(超音速枕)「……!」グググッ……ブゥン!

にこ「ンギャア!?」

凛「にこちゃーーーーん!」

39: 2015/05/04(月) 15:33:44.71 ID:MmaBX+1Q.net
プワーン! プシュー!

鬼(腕相撲)「……!」ダダダダダダ

真姫「鬼って一人じゃないの!? わあ!」

凛「今度は真姫ちゃんが捕まったにゃあ!」

真姫「う、腕相撲って何よ。そのまま腕相撲をするの? イミワカンナイ!」

ガシッ

鬼(腕相撲)「……!」レディーゴッ

メキッ

真姫「グエッ」

花陽「真姫ちゃーーーーーん!?」

凛「うわぁ!? 真姫ちゃんの腕が!」

プワーン! プシュー!

花陽「モウデチャウノォ!?」ダダダ

凛「ちょっとペース早すぎない!?」ダダダ

鬼(米)「……!」ダダダダダダ

花陽「お米ぇ!?」

40: 2015/05/04(月) 15:41:57.69 ID:MmaBX+1Q.net
にこ「あ、今度は花陽がつかまったのね」ヨロヨロ

真姫「米って何よ……」ヨロヨロ

凛「お米を食べさせてくれるのかな?」

にこ「それだったら罰にならないでしょ……」

真姫「あ、花陽を捕まえた鬼の他にもう一人鬼が出て来たわね。あれは……炊飯器?」

パカッ
ホカホカ

鬼1(米)「……」モグモグモグ

花陽「うぐぐ……」ゴクリ

鬼2(米)「……!」グイッ

花陽「うぅ……うぅ……」

にこ「ちゃんとお米を食べているところを見てないと怒られるのね……」

凛「あれはあんまりにゃあ」

プワーン! プシュー!

にこ「げっ!? 出た!」ダダダ

41: 2015/05/04(月) 15:51:44.36 ID:MmaBX+1Q.net
鬼(昇竜拳)「……!」ハッズッサッ!
にこ「ニゴォ!?」

プワーン! プシュー!
鬼(ラブアローシュート)「……!」バーン!
真姫「ヴェエエ!?」

プワーン! プシュー!
鬼(・8・)「……!」チュンチュン
花陽「ダレカタスケテー!!」


真姫「ちょ……ハァ……ちょっと……厳し、ハァッ、厳しすぎない……?」

にこ「だから……言ったでしょ……オェッ」

花陽「フゥ……フゥ……」

凛「でもスリルがあって、ちょっと楽しいにゃ~」

にこ「……あんたは、ゼェ、平気そうね……?」

真姫「……そういえば凛、ハァ、あなたまだ、ハァ、罰を一度も受けてないんじゃない……?」

凛「うん!」

花陽「ええ……!? フゥ、凛ちゃん、フゥ、すごい……!」

真姫「ハァ……やっぱり体力と、ハァ……足の速さは頭一つ抜けてるわね」

にこ「くぅぅ……」

42: 2015/05/04(月) 16:06:39.28 ID:MmaBX+1Q.net
プワーン! プシュー!

鬼(ビンタ)「……!」ダダダダ

凛「うわー、ビンタ? あれは食らいたくないにゃー。退避ー」スタコラサッサ

にこ「このっ……!」ガシィッ

凛「に、にこちゃん!?」

にこ「ゼェ、ゼェ……凛ちゃん、にこ怖いの~……! ゼェ……たすけてほしい……なァー!」グググ

凛「うわっ、すごい力……!」グググ

鬼(ビンタ)「……!」ダダダダ

凛「や、やだ! 鬼が近づいてくるよ! にこちゃん離して!」グググ

鬼(ビンタ)「貴女は――」グワッ

凛「ヒッ……!」

鬼(ビンタ)「最低です!」ペシーン

凛「にゃーーーー!?」

鬼(ビンタ)「最低です!」ペシーン

にこ「ニコォーーー!?」

44: 2015/05/04(月) 16:14:21.29 ID:MmaBX+1Q.net
凛「聞いてよ二人とも! にこちゃんがひどいんだよ! 凛の事、盾にしたんだから!」

花陽「にこちゃん、私達はちゃんと協力し合わないと……」

真姫「サイッテー」カミノケクルクル

にこ「結局私だって罰受けたし……それになんだか不公平じゃない! この子は足が速いから逃げられて私達ばっかり罰を受けるのよ!?」

花陽「それはでも……まぁ……ううん……」

真姫「……」

凛「ちょっと待って!? 言いくるめられないで! だって鬼ごっこってそういうものでしょ!?」

にこ「ちょっとぐらいは私たちの代わりになってくれてもバチはあたらないんじゃない?」

凛「バチがあたらなくても罰を受けるなら意味がないにゃあ!」

真姫(にこちゃん……地が出てるけどいいのかしら……これ撮影されてて公開されるのよね……)

45: 2015/05/04(月) 16:20:02.29 ID:MmaBX+1Q.net
絵里「うーん……」

希「どうしたん、えりち?」

絵里「いや、凛の事なんだけどね。足が速いから鬼がなかなか追いつけないのよ。だからって凛だけ罰が与えられないっていうのはちょっとね」

希「鬼が数人がかりでいったらええんちゃう?」

絵里「それでも大分粘るのよ……さすがは凛ね。捕まえられないわけじゃないんだけど鬼側の疲労が強くて……そうだわ!」

希「ん?」

絵里「いいことを思いついたの。これから言うものを用意できない?」ゴニョゴニョ

46: 2015/05/04(月) 16:28:39.21 ID:MmaBX+1Q.net
プシュー!

にこ「き、来た! 来たわよ!」

凛「逃げろー! おっと、にこちゃんに盾にされないように気を付けないといけないねー」ダダダ

にこ「ふん!」ダダダ

鬼1(???)「……!」ダダダダダダダ
鬼2(???)「……!」ダダダダダダダ
鬼3(???)「……!」ダダダダダダダ
鬼4(???)「……!」ダダダダダダダ

真姫「4人!? 私たち全員を一網打尽にする気……!?」

花陽「あ……ううん、違うみたい。4人全員凛ちゃんを追ってる」

凛「えーーーー!?」

真姫「でもこれで大分鬼の体力も削られるわね」

花陽「え?」

真姫「ほら、見てみなさい」

凛「よっ! ほっ! はっ!」ヒョイヒョイヒョイ

鬼(???)「……!」ブンブン

真姫「凛の身体能力についていくのは、相当厳しいもの」

花陽「なるほど~、凛ちゃんを追って鬼の人が疲れれば、私達もちょっとは楽になるかもね」

にこ「ねえ、ところであの鬼の罰ゲーム、なんて書いてあるか見えた?」

花陽「んん? そういえば何だろう……凛ちゃんが遠くまで逃げちゃったからよく見えないね……」

47: 2015/05/04(月) 16:41:09.54 ID:MmaBX+1Q.net
ガシッ

凛「あーん、捕まっちゃったぁ。そういえば罰ゲームは何なんだろう…………え……?」

ガラガラガラ

花陽「あれ、なんだろう。鬼の人が何か運んできたけど」

真姫「……簡易更衣室?」

凛「えっ、えっ………」

シャッ

花陽「凛ちゃん……押しこめられちゃったね」

にこ「更衣室って言うからには何かに着替えさせられてるのよね」

凛「えっ、これを着るの? 凛が? む、無理だよー!」

48: 2015/05/04(月) 16:44:03.74 ID:MmaBX+1Q.net
シャッ

凛「うう……」

鬼(超ミニスカート)「……」グッ

花陽「わぁ、凛ちゃんすごく可愛いよ!」

真姫「ほんとにね」


――舞台裏

絵里「……」フフフッ

海未「趣味ですか?」

絵里「違うわよ!」

50: 2015/05/04(月) 16:52:57.81 ID:MmaBX+1Q.net
凛「いくらなんでも短すぎるよぉ!」

にこ「これじゃあ走れば中が丸見えよね」

凛「いやーーー! にこちゃんのジャージ貸してよ!」

にこ「い、や、よ! あんた私にパンツ丸出しで走れって言うの?」

凛「このままじゃ凛が丸出しになっちゃうにゃーーー!」

にこ「ああ、それからね」

凛「え?」

にこ「すごく可愛いわよ、凛。これは嘘でもなんでもなくて私の本当の気持ち」

凛「にこちゃん……」

プシュー!

にこ「でも走ればパンツ丸見えだけどねー!」ダダダ

凛「うわーん! にこちゃんの馬鹿ー!」ダダダ

鬼(おしり)「……!」ダダダダダダ

にこ「え!? 私!? ここは凛を追う流れでしょうが!」

52: 2015/05/04(月) 16:58:13.07 ID:MmaBX+1Q.net
ガシッ

にこ「いやぁぁぁ!」

真姫「……おしり?」

花陽「なんなんだろう?」

凛「きっとおしりペンペンにゃあ」

花陽「うーん、でもにこちゃん、仰向けにされたよ。あれじゃあお尻は叩けないよ」

にこ「え? なんなの? え?」

絵里(ジャージ)「……」タッタッタッ

にこ「え? ま、まさかっ!」

絵里「私だってやりたくないのよ」ヌギッ

真姫「えっ」

花陽「えっ」

凛「えっ」

にこ「え、ちょっ、まさか本当に!? いや、顔だけは、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

54: 2015/05/04(月) 17:07:15.55 ID:MmaBX+1Q.net
にこ「……」

花陽「にこちゃん……もう30分も顔にウェットティッシュを押し付けたまま固まって……」

凛「無理もないよ……絵里ちゃんのおしりが顔に……」

真姫「辛いわよね、同性の同級生のお尻を顔に押し付けられて喜ぶ人はμ'sにはいないもの」

――舞台裏

海未「クシュン!」

ことり「海未ちゃん、風邪?」

海未「いえ、そういうわけではないのですが……そんなことよりもこの鬼の衣装ですよ」

ことり「衣装?」

海未「ええ、この衣装、意外に薄手でかつボディラインがぴっちりと浮き出て……破廉恥です」

穂乃果「考えすぎだよー」

海未「何を言っているのですか、穂乃果! 穂乃果こそ破廉恥の極み! 胸もお尻もまるで見てくれと強調せんばかりで……」ジロジロ

穂乃果「ちょ、ちょっと海未ちゃん、そんなに見ないで……」

海未「写真にとりましょうか? そうすれば自分の姿を客観視できるはず……!」

穂乃果「い、いいよ、鏡があるから……」

55: 2015/05/04(月) 17:16:24.43 ID:MmaBX+1Q.net
プシュー!

花陽「ひゃああ!?」

プシュー!

凛「う、うまく走れないよー!」

プシュー!

真姫「ちょ、ちょっと、もう限界……」

プシュー!

にこ「おしりはイヤァァァァァァ!」


にこ「……」

花陽「に、にこちゃん、大丈夫?」

にこ「……」

凛「あんなに目が虚ろなにこちゃん、初めて見たにゃあ」

真姫「結局あれからおしりを三度受けたんだもの。しょうがないわ」

にこ「……」スクッ

真姫「わっ、どうしたのよ、急に立ち上がって」

にこ「………トイレ………」

花陽「い、いってらっしゃい」

スタスタスタ

真姫「それにしてもこんなに辛いゲームだったなんてね」

花陽「走った距離自体はそうでもないし、休憩時間も長いけど……気が休まらないよね……」

凛「いつ鬼が来るかわかんないもんねー。今ならにこちゃんがこのゲームを拒否してた気持ちがわかるにゃあ」

57: 2015/05/04(月) 17:19:49.29 ID:MmaBX+1Q.net
――女子トイレ

にこ「…………」





鬼1(チーズケーキ鍋)「……」
鬼2(チーズケーキ鍋)「……」
鬼3(チーズケーキ鍋)「……」





ベチャッ ニゴォ!?
ベチャッ ニゴォ!!
ベチャッ ニゴォ!!





にこ「もう嫌!」

58: 2015/05/04(月) 17:23:18.25 ID:MmaBX+1Q.net
にこ「うわあああああああん!」ダダダダダ

凛「にこちゃん!? にこちゃんの見た目がなんだかすごいことに……ってうわっくっさいにゃあ!」

花陽「に、にこちゃん大丈夫!?」

真姫「何があったっていうのよ一体……」

にこ「もぉぉぉぉぉぉ限界よぉ! やってらんないわ!」


※チーズケーキ鍋は撮影後スタッフがおいしくいただきました

66: 2015/05/05(火) 19:51:41.40 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「仕掛け人、見てるんでしょう!? 私達はもう無理よ! 撮れ高も十分だし、鬼ごっこはもう終わりにして!」

真姫「ちょっとにこちゃん、落ち着きなさいよ」

花陽「そ、そうだよ……それに一応これだってμ'sの活動なんだし……」

にこ「何呑気なこと言ってるのよ! 時計見てみなさい!」

花陽「時計? ……ピャァ!?」

凛「ま、まだ10時ちょっと!?」

にこ「あと9時間よ、9時間。この鬼ごっこをあと9時間もやる自信がある!? ギブアーップ!」

花陽「う、うぅーん……ギ、ギブアーップ!」

凛「ギバーーーーー!」

真姫「……ギブアーップ」

ポンポンポン

四人「!?」ビクッ

にこ「……お、落ち着きなさいよ。鬼が出てくるときはプシューで、あれは希が出てくるときの音なんだから」

67: 2015/05/05(火) 19:52:25.31 ID:SDR6m7Kf.net
希「乳、よせまっせー!」

にこ「それはもういいから!」

希「皆ようがんばっとるね。皆の活躍にえりちはご満悦や」

真姫「で、そのまま満足して私達を帰してくれたりはしないのかしら?」

希「きついなー、ウチはもうええと思うとるんやけど、えりちはこの後の仕掛けを思い起こして目キラキラさせてるんよ」

凛「ま、まだいっぱい仕掛けあるのー……?」

希「せやな。えりちはああなったらもう周りの言う事なんて耳に入れへん。ウチでも止められへんね」

花陽「希ちゃんのいう事を聞き入れないなら、確かに誰にも止められそうにないね……」

にこ「よーするに……鬼ごっこ続行ってわけね」

希「せやね。ほら、これあげるから元気出し」

にこ「なにこれ」

希「飴ちゃん」

にこ「いらないわよ!」ガリゴリ

凛「噛み砕きながら言う事じゃないにゃー」レロレロ

69: 2015/05/05(火) 19:58:22.38 ID:SDR6m7Kf.net
希「ほなね」スタスタスタ

にこ「くぅー……こうなったら……!」

ズイッ

にこ「ねぇ……逃げない?」ボソッ

凛「逃げるって言っても……」ボソボソ

真姫「どうやって逃げるの? 私達の脚力じゃすぐに追いつかれることはもう嫌ってほど証明されてるじゃない」ボソボソ

花陽「撮影カメラを通して見られているから、こっそりっていうわけにもいかないしね……」ボソボソ

にこ「それは……えーと……そうだ、タクシー、タクシーを使いましょう。いくらなんでも車を追って来やしないでしょう。
   なんとか外まで逃げてタクシー乗り場までたどりつければ逃げ切れるわよね」ボソボソ

花陽「今私達お金持ってないよ?」ボソボソ

にこ「誰かの家についてからお金を持ってくればいいでしょ……!」ボソボソ

真姫「そもそもタクシーまで辿り着けないでしょ。そこまで逃げられるなら鬼からももうちょっと逃げられてるわよ」ボソボソ

凛「そうだよ。タクシー乗り場なんてそう近くにないんだし、凛ならともかく3人がそこまで逃げ切れないんじゃない?」ボソボソ

にこ「そっこであんたの出番よぉ。凛、あなたはしばらく体育館に残って鬼達を攪乱してちょうだい」ボソボソ

凛「えーーーー!?」

にこ「私達3人は鬼から逃げきれない、だったら鬼の動きをなんとかして止めなきゃいけない。
   鬼の追走を妨害しつつ、なおかつそれを振り切れる身体能力の持ち主は凛、あなたしかいないのよ」ボソボソ

70: 2015/05/05(火) 20:02:31.12 ID:SDR6m7Kf.net
凛「でも妨害ってどうするの? 凛一人で鬼の皆を抑えるなんてできないよ」

にこ「抑えることはできなくとも、混乱させることならできるはずよ。うーん……そうね、あの消火器を使いましょう」チラッ

真姫「ま、まさか……」

にこ「そのまさかよ。粉末消火器だから、視界を遮るのに役立つはずよ。あ、人に向けるのは良くないみたいだから気を付けてね」

凛「でもそんなことして怒られない?」

にこ「怒られるでしょうけど……全部私のせいにしていいわ! とにかくここから少しでも早く逃げ出したいの……!」

凛「にこちゃんがそこまで言うなら……でもじゃあ、代わりといったらなんだけど、凛のお願い、一つ聞いてもらっていい?」

にこ「なによ?」

71: 2015/05/05(火) 20:06:32.36 ID:SDR6m7Kf.net
凛「このミニスカートで全力疾走はできないから、誰かのジャージと交換してほしいんだけど」

にこ「しかたないわねー」ヌギヌギ

凛「にこちゃんのジャージ、なんかチーズケーキっぽいのがべったりだから真姫ちゃんかかよちんの方がいいんだけど……」

にこ「我慢しなさい。私が一番ミニスカートでの運動に慣れてるんだから」

花陽「凛ちゃん、本当に大丈夫? ちゃんと逃げ出せそう?」

凛「大丈夫だよー。凛も逃げ出したいのは確かだし……それににこちゃんがこれ以上お尻を押し付けられるのはみてられないからね」

にこ「悪いわね……」

凛「きっと成功させて皆と一緒に脱出するからね!」

72: 2015/05/05(火) 20:10:05.34 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「じゃあいい? 私達3人は不審に思われない程度に出入り口に近づく。そして凛は消火器へ」

花陽「き、緊張する……」

にこ「私が合図したら、すぐに出入り口から外へ、そこからはタクシー乗り場まで走る。
   凛はある程度時間を稼いだら、すぐにタクシー乗り場まで来るのよ?」

凛「うん!」

にこ「じゃあ行くわよ、行動開始……!」テクテクテク

真姫「す、座ってばかりだと肩がこるわねー」テクテクテク

花陽「ちょ、ちょっとおトイレに……」テクテクテク

凛「…………」テクテクテク


絵里「ハラショー! 希がくれたこの飴おいしいわ!」

希(なんか動きが妙やね……ひょっとして逃げ出すんかな?)

73: 2015/05/05(火) 20:15:09.49 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「3、2、1……ゴー!」ダダダ

真姫「……!」ダダダ

花陽「……!」ダダダ

ガチャッ ダダダダダダ


絵里「んん!? 脱走よ! 鬼達は捕獲に向かって!」

鬼1「!!」ダダダ

鬼2「!!」ダダダ

凛「いっくよーーーー!」ショウカキブシュー

鬼1「!?」

鬼2「!?」

74: 2015/05/05(火) 20:18:38.37 ID:SDR6m7Kf.net
花陽「ハァ、ハァ、あ、あったぁ! タクシー!」

にこ「ハァハァ、凛は、ハァ、上手くやってくれてるみたいね、鬼は追いかけてきてないわ!」

真姫「ゼェ、凛……大丈夫かしら……ゼェ」

にこ「乗せてください! あ、友達がもう一人来るんで、少し待ってもらっていいですか!?」

運転手「はい、はい」

にこ「凛……!」

花陽「……」

真姫「……」



花陽「来ない……! 凛ちゃん来ないよ!」

真姫「助けに行った方が!」

花陽「うん!」

にこ「待って!」

真姫「にこちゃん!?」

75: 2015/05/05(火) 20:23:30.04 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「今私達が行ったって、何もできる事はないでしょう!?」

花陽「で、でも!」

にこ「あの子は絶対に来る!」

花陽「!」

にこ「凛は絶対にやるって言ったらやる子なの! 今私達が行っても足を引っ張るだけ……信じましょう……あの子は絶対に来る!」

花陽「うん……うん!」

真姫「そうね……あの子は絶対にやり遂げるわ……!」


ニャーーーーーー


真姫「!? あの声!」

にこ「間違いないわ! 飯田里穂さんっぽいあの声!」

花陽「凛ちゃーーーーーん!」

76: 2015/05/05(火) 20:24:35.16 ID:SDR6m7Kf.net
凛「ハァ、ハァ、ハァ!」ダダダ

真姫「凛! よく頑張ったわね!」

にこ「あ、ダメ、急いで! ラブアローシュートと腕相撲が追いかけてくる!」

鬼(ラブアローシュート)「……!」ダダダダダダ

鬼(腕相撲)「……!」ダダダダダダ

花陽「凛ちゃん、急いでぇ!」

凛「ハッ、ハッ、ハァッ!」ダダダ

にこ「ちょっと、あんたらしくないじゃない! 振り切れるはずでしょ!? もっと速く走れるはずじゃない!」

凛「さ、さすがに、ハァッ、走りすぎて、ハァッ、疲れたにゃ……!」ダダダ

鬼(ラブアローシュート)「!」ダダダダダダ

鬼(腕相撲)「!」ダダダダダダ

真姫「まずい! 追いつかれるわ!」

77: 2015/05/05(火) 20:46:00.83 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「りーーーーーん!」

花陽「あわわわ、凛ちゃん追いつかれちゃうよ!」

真姫「……凛! 無事に逃げ切ったらラーメンおごってあげるわよ!」

凛「ら、らぁめん……?」ダダダ

真姫「トッピングも好きなだけのせていいわ!」

凛「ラーメン……トッピング自由……ぬあぁぁぁぁぁぁ!」ダダダダダダ

鬼(ラブアローシュート)「!?」ダダダダダダ

鬼(腕相撲)「!?」ダダダダダダ

にこ「真姫ちゃん、ナイスにこ!」

凛「てりゃ!」ピョイン

花陽「凛ちゃん、乗り込んだよ!」

真姫「運転手さん! 出して!」

運転手「はい、はい」

ブロロロロロー

鬼(ラブアローシュート)「……!」

鬼(腕相撲)「……!」

79: 2015/05/05(火) 20:56:23.86 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「やったぁ、脱出成功よ! 今回のMVPは凛に間違いなしね!」

凛「えへへ……ねぇ、真姫ちゃん。ラーメンなんだけど……大盛りでもいい?」

真姫「ふふ、好きにしなさい。なんなら特盛でも構わないわよ」

凛「ありがとう!」

運転手「お客さんたち、なんだか随分慌てていましたね。何かあったんですか?」

花陽「ずっと黒ずくめの鬼達に追いかけられていたんです。本当に大変でしたぁ……」

運転手「へぇ、その黒ずくめの鬼って……」

運転手(鬼)「こんな感じでした?」

花陽「キャアアアアアアアアア!?」

80: 2015/05/05(火) 21:01:35.34 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「な!? ちょっ……どういう事!?」

鬼(強制送還)「実は事前に絢瀬絵里さんよりご依頼いただいていまして。μ'sメンバーが来ることがあったらこの格好で音ノ木坂学院まで送ってほしいと」

にこ「あ、ん、の、ポンコツ~……!」

鬼(強制送還)「以前からμ'sのファンだったんですが、いやー、こんな形で関われるなんて嬉しいなー。PVの撮影か何かですか?」

にこ「あ、まぁ、はい……そんなところです……」

真姫「にこちゃん……」

にこ「しょうがないわよ……ファンって言ってくれる人に、企画に反発して逃げてきましたなんて言えないわ……」

カッチカッチカッチ
ブロロロロー
キィッ

希「おかえりー。まぁ、なんや、災難やったな」

にこ「結局逃げられないってことね。なら一言だけあんた達に言わせてもらうわ」

希「ん?」

81: 2015/05/05(火) 21:07:38.32 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「お願いします! おしりだけは勘弁してください!」ドゲザー

希「にこっち!?」

にこ「超音速枕もチーズケーキ鍋もかまいません! でもおしりだけは、おしりだけは勘弁してください!」

凛「り、凛からもお願いするよ! あれはにこちゃんが可哀想にゃー!」ドゲザー

花陽「わ、私も……!」ドゲザー

真姫「もう、しょうがないわね」ドゲザー

にこ「あ、あんたたち……!」ジーン


絵里「そ、それは罰ゲームだから好かれはしないだろうけど……何もそこまで嫌がらなくても……」ズーン

ことり(やっぱりいやだよねぇ……)

穂乃果(絵里ちゃんって頭いいけど、ちょっとずれてるところがあるんだよね……)

海未(あそこまで嫌がるものなのですか……!?)ガーン


希「ま、まぁそろそろ立ちぃな。きっと仕掛け人側にも伝わっとるから。ほな、うちは引っ込むで」

希(えりち、落ち込んどるかもなぁ)

82: 2015/05/05(火) 21:10:04.01 ID:SDR6m7Kf.net
屈辱の土下座
しかしそれは逃走失敗による絶望や諦念からうまれたものではない
それは生き延びるため
たとえどのような過程を経ようと最後にはこのゲームの首謀者に報復するためである

――結束

にこ「悪かったわね、あんた達。私の見通しが甘かったせいで……」

花陽「ううん、にこちゃんは悪くないよ!」

凛「そうだよ! まさかタクシーにまで手が回ってるとは思わないもん!」

真姫「今は責任のなすりつけあいより、どうこの鬼ごっこを乗り越えるか、でしょう?」

にこ「そうね……この苦難、きっとこの四人なら乗り越えられるわ! 力を合わせていきましょう!」

まきりんぱな「おう!」

83: 2015/05/05(火) 21:12:24.36 ID:SDR6m7Kf.net
――不和

ポンポンポン

希「皆ぁ、えりちから差し入れやよ。ほんまえりちの優しさは、五大陸に響き渡るでー」

にこ「っておにぎり一個だけじゃない!」

真姫「四人いるのに、なんで一個だけなのよ!」

花陽「…………」

凛「か、かよちん! 目が怖いにゃあ!」

――友情

花陽「み、みみみみみみ皆で、わ、分け、わわわわわわ分けあいまままま」

凛「かよちん無理しないでぇ! ものすごい震えだよ!」

真姫「禁断症状が出てるわよ!?」

にこ「もういいからあんた一人で食べちゃいなさい!」

84: 2015/05/05(火) 21:20:06.32 ID:SDR6m7Kf.net
――数多の試練を乗り越え

鬼(ロケットパンチ)「……!」ドゴォ

花陽「ダレカタスケテー!」

鬼(フルハウス)「……!」ボイン

真姫「ヴェエエ!?」

鬼(デコフラッシュ)「……!」ピカッ

にこ「うおっまぶしっ」

凛「皆がんばって! あともう少しだよ!」


――ついにその時は訪れる

PM06:59

希「皆、ようがんばったね!」

真姫「ゼー……ゼー……」

花陽「ヒィ……ヒィ……」

にこ「…………」ピクピクピク

凛「最初の予定通り24時間だったらと思うとゾッとするにゃあ」

86: 2015/05/05(火) 21:25:47.29 ID:SDR6m7Kf.net
希「そろそろ鬼ごっこも終わりやし、最後に何か言う事はある?」

花陽「……体力と根性が鍛えられたのは間違いないと思います……」

凛「もう鬼ごっこはこりごりだよ」

真姫「……本当に最悪の鬼ごっこだった……でも――」

希「でも?」

真姫「――私達1年生組4人の絆は深まった。それだけは間違いないわ」

花陽「真姫ちゃん……」

凛「真姫ちゃん……」

にこ「……にこは3年だっての……」

希「ほな、カウント始めるでー、5」

真姫「4」

凛「3!」

花陽「2!」

にこ「1!」

全員「0!」

PM07:00

にこ「いやぁぁぁったぁぁ! 終わったぁ!」

87: 2015/05/05(火) 21:30:59.86 ID:SDR6m7Kf.net
穂乃果「お疲れ様、みんな!」

ことり「すごかったよー! 12時間も大変だったね!」

海未「ですが花陽が言ったように、この12時間は確実にあなた達を成長させてくれたはずです」

四人「……」ジロリ

穂乃果「ひぃ……怖い……」

ことり「ご、ごめんね? ちょっと厳しくしすぎたかな……」

海未「で、ですが、そういう企画なので……」

希「まぁまぁ、みんな、終了祝いに焼肉でも行こうよ! 全部うちらのおごりやからね!」

穂乃果「うん、そうだね! 好きなだけ食べていいよ!」

にこ「もーーーー……そういうことならしょうがないわねー!」

花陽「お米一杯食べちゃいます……!」

凛「焼肉もラーメンもいっぱい食べるよー!」

真姫「疲れた分、たくさんスタミナをつけないとね」


絵里「ハラショー!」

88: 2015/05/05(火) 21:35:03.43 ID:SDR6m7Kf.net
四人「……」

絵里「素晴らしいわ4人とも! まさかこんなに素晴らしい動画が完成するなんて……今から公開が楽しみだわ!」

にこ「…………そうね!」

希「に、にこっち?」

絵里「本当によく頑張ってくれたわね! 大変だったでしょう!?」

凛「…………そうでもないにゃあ!」

穂乃果「り、凛ちゃん?」

絵里「これなら第二弾、第三弾と続けられそうね……!」

花陽「…………すぐに第二弾にとりかかろうね!」

ことり「花陽ちゃん……?」

絵里「μ'sが天下を取る日もそう遠くないわね!」

凛「…………そうねー、九人で頑張りましょうー?」

海未「ま……真姫?」

にこ「ねぇ、ところで絵里、私達から提案があるんだけど」

絵里「? 何かしら?」




にこ「合宿、しない?」

89: 2015/05/05(火) 21:37:42.30 ID:SDR6m7Kf.net
にこ「絵里、こっちよ!」

絵里「ああ、ごめんなさい。遅くなったかしら?」

花陽「ううん、そんなことないよ」

真姫「私達が早く来すぎただけよ」

にこ「じゃあ、そろそろ出発しましょうか」

絵里「あら? 穂乃果たちは?」

凛「後から合流するよっ。とりあえずは私達だけで向かうんだー」

絵里「そうなの……」

にこ「どうしたのよ、なんだか元気ないじゃない」

91: 2015/05/05(火) 21:45:24.32 ID:SDR6m7Kf.net
絵里「……ごめんね、みんな」

にこ「ん?」

絵里「鬼ごっこのことよ……強引に事を進めて、みんなに辛い思いをさせてしまったわ……
   μ'sのこれからの事で頭がいっぱいになって……周りが見えてなかったのよね。
   昔、穂乃果も周りが見えなくなっていた時期があったけど……その時の穂乃果はあくまで自分で全てを背負った。
   でも私は違う……私が背負わなければいけない苦労を、みんなに背負わせてしまった……ポンコツで、最低の先輩よね」

にこ「…………」

花陽「…………」

凛「…………」

真姫「いいえ、違うわ」

絵里「えっ?」

真姫「確かにエリーはよくわからないことを唐突に始めるわ。そのことは確かに困ることもあるけど……
   でも私達はそうした部分も含めてエリーが好きなの。
   それに覚えているでしょう? あの先輩禁止。あれも急に始められたことだけど……だからこそ私達はより仲良くなることができた。
   私も……より皆と、エリーと仲良くなれた」

絵里「真姫……」

花陽「そうだよ、絵里ちゃんは優しくて、賢くて、それでとても綺麗で、歌もダンスも上手な最高の先輩……そして私にとって自慢の、最高の友達なの……!」

絵里「花陽……」

凛「えへへ、凛も絵里ちゃんの事、大好きだよ!」

絵里「凛……」

にこ「そういうことよ。だから胸を張りなさい。誰もあんたの事をポンコツだなんて言わない、私達が絶対に言わせない!
   あんたはかしこくてかわいいμ'sの大黒柱で……もう一人のリーダーみたいなものなんだから!」

絵里「にこ……!」ブワワッ

92: 2015/05/05(火) 21:49:04.31 ID:SDR6m7Kf.net
絵里「みんなぁ……ありがとう……!」グスッ

凛「絵里ちゃん泣き虫にゃあ!」

花陽「ウフフ……ほら、泣き止んで絵里ちゃん。もう目的地に着いたよ」

絵里「うん……わぁ、今回は真姫の別荘じゃなくて、旅館なのね。宿泊費は大丈夫なの?」

真姫「問題ないわ。超格安だもの。それに貸切だから練習もし放題よ」

絵里「格安? いい旅館に見えるけど……それに貸切だなんてすごいわね」

にこ「そりゃあ格安よ。だってここ廃旅館だもの」

絵里「えっ」

93: 2015/05/05(火) 21:51:41.88 ID:SDR6m7Kf.net
真姫「この旅館はね……前に従業員の人が首を吊った事があるの……それで……出るようになったらしいわよ?」

にこ「そうそう、とても営業もできなくなって手放されたのよね……無理もないわ、出るんだもの」

凛「今じゃ周囲の霊も集めてとんでもないことになってるらしいよ」

花陽「一度霊媒師の方がお祓いに来たそうですが、手に負えなくて結局そのままだとか……」

絵里「えっ」

94: 2015/05/05(火) 21:56:46.66 ID:SDR6m7Kf.net
凛「それじゃあ、凛たちはおいとまするにゃあ。絵里ちゃん、がんばってね」スタスタスタ

花陽「はい、これ合宿のしおりだよ」スタスタスタ

にこ「また明日あいましょう。穂乃果たちも明日になったら合流するから」スタスタスタ

真姫「良い動画を期待してるわ」スタスタスタ

絵里「えっ」

しおり『μ'sバラエティ企画第2弾 エリーチカ一人ぼっちの廃旅館一泊二日の合宿』

絵里「えっ」



絵里「…………」


シーーーーーーン



バンッ!!

絵里「ひっ!?」

絵里「……」

絵里「エ、エリチカおうちに帰る!」


ちなみに鬼ごっこの動画は絵里が尻を出し過ぎたため、
女子高生の尻をネット上のアップするのは駄目だろうと判断した理事長の手によりお蔵入りになったそうです。

終わり

95: 2015/05/05(火) 21:58:42.70 ID:SDR6m7Kf.net
終わりです
本来のスレタイは、にこ「24時間鬼ごっご……?」だったんですが恥ずかしながらご覧の有様です
励ましてくれて見ていてくれて本当にありがとう

96: 2015/05/05(火) 21:59:39.44 ID:7uG1gJXp.net
面白かったです!
乙です!!

98: 2015/05/05(火) 22:06:25.73 ID:TRr7H7Fo.net
よかったよかった

引用元: にこ「