420: 2011/05/29(日) 17:45:47.89 ID:pPPmwFsv0
やってやろうじゃないか


男 「花~、花はいらないかい?きれいな花だよ~」

少女「お花?」

男 「嬢ちゃん、いらっしゃい。どんな花が好きだい?」

少女「花って?鉢植えしか並んでないよ?」

男 「種は植えてあるよ。嬢ちゃんが水をやって、咲かせておくれ」

少女「私、すーっごくきれいな花がいいな!おっきくて、可愛い花が咲くの」

男 「ふぅん……ちょっと、そういうのはないなぁ。ただ、東の森に、大きな花があるという話は聞いたことがある」

男 「その花の種からなら、嬢ちゃんのいう花が咲くと思うよ」

少女「東のもりかぁ。じゃあ、鉢植えだけちょうだい」

男 「まいどありぃ」
ゆるキャン△ 15巻 (まんがタイムKRコミックス)
423: 2011/05/29(日) 17:49:23.90 ID:pPPmwFsv0
東の森


少女「大きな花……大きな花……ないなぁ」

少女「枯れちゃったのかな?」

少女「花……花……」

少女「あった!」

少女「すごい……おっきい。でも」

少女「枯れちゃってるや」

424: 2011/05/29(日) 17:55:25.01 ID:pPPmwFsv0
少女「種はあるかも!」

少女「………」

少女「これかな?緑色の、豆みたいなの」

少女「大切に育てますから、もらっていきます」

少女「絶対に、きれいなお花に育てます!」

少女「それじゃ……」タタタ




枯れた大きな花「…………」ボロボロボロ
枯れた大きな花「………」ボロボロ
折れた大きな花「……」ボロ
枯れた大きな花「」

425: 2011/05/29(日) 18:02:38.07 ID:pPPmwFsv0
少女「ただいま!」

父 「おかえり、どうしたんだ?その鉢植え」

少女「花の種を植えたの!花が咲くまで育てるんだ」

父 「へえ、可愛いじゃないか」

少女「まだ咲いてないよ?」

父 「はは、花を育てる優しい少女が可愛いってことさ」

母 「あなた、何娘を口説いてるのよ」

母 「花を育てるのはいいことよ。やさしい言葉をたくさんかけてあげなさい。きれいに咲くから」

少女「うん、早く芽が出ないかな」

母 「さ、ごはんよ。手を洗ってきなさい」

少女「はーい」

426: 2011/05/29(日) 18:08:22.84 ID:pPPmwFsv0
少女「早く芽が出るといいな」

少女「今日は月がきれいだよ」

鉢植「…」

少女「星もキラキラしてる」

少女「きれいな花を咲かせてね」

少女「おやすみ」

鉢植「……」



431: 2011/05/29(日) 18:45:01.62 ID:pPPmwFsv0
少女「ん、おはよう」

少女「今日もいい天気だよ」

少女「あったかくて、気持ちのいい朝だよ」



少女「犬が走ってるね」

少女「ちゃんと鉢植持ってるから大丈夫だよ」

少女「落としたりしないよ」


少女「お水の時間だよ」

少女「いっぱい飲んで大きくなってね」

少女「がんばって、芽を出そうね」



父 「少女、鉢植にかかりっきりだな」

母 「ええ。朝から夢中よ。どこへ行くにも鉢植えを抱えてる」

父 「はは、女の子らしくていいじゃないか」

母 「きれいな花が咲くといいわね」

432: 2011/05/29(日) 18:52:05.29 ID:pPPmwFsv0
優しい声が聞こえていた

ボロボロの私に、優しくしてくれてうれしかった

この子は私のことが好きなんだ

優しく土に埋めて、きれいな水を飲ませてくれた

暖かい日の下で、楽しく話してくれた

いつも一緒

ずっと一緒

わたしは、この子のために、早く大きくなって

きれいな花を咲かせたい

それで、静かな森の中で、2人きりで過ごしたい

433: 2011/05/29(日) 18:59:18.49 ID:pPPmwFsv0
少女「あさ……」

少女「!」

少女「芽が出てる!可愛い!」

少女「うわあ、やったぁ!」

少女「おかーさーん!芽が出たよ!」

少女「この調子で、早く大きくなってね!」



鉢植「……」

434: 2011/05/29(日) 19:05:25.99 ID:pPPmwFsv0
父 「そういえば、少女」

少女「なに、お父さん」

父 「何の花を植えたんだい?」

少女「わからない。でも、大きな花から、種をもらったの。それ」

母 「大きな花?」

少女「うん、東の森の、大きな花」

父 「東の森の花か。少女、東の森は化け物がたまにうろついてるから、あんまり行っちゃだめだぞ」

父 「ちょっと前、大きなものが動く影を見たという人もいた」

母 「そうね。行くなとは言わないけど、一人で行かずにみんなと行って、夕方には帰ってくるのよ」

少女「はーい」

435: 2011/05/29(日) 19:11:17.93 ID:pPPmwFsv0


少女「東の森は危ないんだって」

少女「あのままあそこにいたら、大変だったかもしれないよ」

少女「でも、私がちゃんと守ってあげる」

少女「だから、安心して大きくなってね」

少女「おやすみ」


437: 2011/05/29(日) 19:21:01.97 ID:pPPmwFsv0
「あさだよ」

少女「ん……おかーさん?」

「いい天気だよ」

少女「ふぁ……」

「おはよう」

少女「あれ?お母さん?」

「おはよう」

少女「え、鉢植?」

アルラウネ「あさだよ」

少女「わあ!お、女の子!?」

アルラウネ「いい天気だよ」

アルラウネ「犬がきもちいいあったか」

少女「???」

アルラウネ「東の森は守ってあげる危険な森」

438: 2011/05/29(日) 19:30:22.24 ID:pPPmwFsv0
父 「あれ、今日は鉢植持っていかないのかい?」

少女「!」ビク

少女「あ、あんまり振り回すと、壊れちゃうから……」

父 「そうだな、焼き物だからパ林、といっちゃうしな」

少女「う、うん……それじゃ、」

バタン

少女「村長さんが、生き物の図鑑を持ってたよね」



少女「村長さーん」

村長「少女ちゃんか。何かようかい?」

少女「図鑑を見せてほしいの」

村長「私が持っているのはモンスター図鑑で、植物図鑑じゃないのだが」

少女「うん、その図鑑を見せて」

村長「うん……ま、持ってきてあげよう。待ってなさい」

439: 2011/05/29(日) 19:41:10.56 ID:pPPmwFsv0
アルラウネ 植物属

いくつかの種類があり、種類によって咲かせる花や形態が異なる

人を能動的に襲うことは少ない

人語を習得することができる

外見は女だが、性別は不明


少女「アルラウネ……っていうんだ」

少女「そういえば、朝話してた言葉って、私が話しかけたことばかりだった」

少女「人を襲わないみたいだし、優しい子なのかな?」

少女「可愛いなぁ」

442: 2011/05/29(日) 20:03:05.39 ID:pPPmwFsv0

少女「わ、村長さん!?」

村長「驚かせてしまったかい。ごめんね」

少女「いいえ、あ。図鑑、ありがとうございました」

村長「いいえ、どういたしまして」

少女「それじゃあ、さよなら!」

村長「東の森の、大きな影のうわさでも聞いたのかな」
村長「あれは、アルルーナらしいんだが……」ペラペラ



444: 2011/05/29(日) 20:08:13.06 ID:pPPmwFsv0
アルルーナ モリビト属固有種

モリビトの突然変異体で、世界に一体のみの種族である
アルラウネにも似ているが、別の種族

大きく傷ついたり、寿命によって枯れると、その時点で自らのタネを残す
アルルーナを頃すには、そのタネを砕かないと意味がないと言えるだろう

人語を習得でき、心のようなものもあると思われるが、人間に対し好戦的
頃したという報告はいまだなく、世界のどこかに今も存在する
懸賞金がかけられている


村長「はやく、なんとかしなくてはな」

村長「火でもはなつか?」

446: 2011/05/29(日) 20:18:38.52 ID:pPPmwFsv0
少女「ただいまー」

アルラウネ「ただいまー」

少女「だめだめ。おかえりーっていうの」

アルラ「おかへり」

少女「おかえり」

アルラ「おかえり」

少女「そう、よく言えたね。えらい、えらい」

アルラ「よく言えるとえらい」

少女「可愛いなぁ。アルラウネっていうんだって、あなた」

アルラ「あるるーな!」

少女「え?」

アルラ「アルルーナ!」

少女「アルルーナっていうの?」

アルルーナ「あるるーな……」

少女「わかったよ、アルルーナ」

450: 2011/05/29(日) 20:24:19.12 ID:pPPmwFsv0

アルナ「可愛い……あなた、かわいい」

少女「え?や、やだ、何言ってるの?」

アルナ「あったかい、可愛い。あたな、かわいい」

少女「……適当に言ってるだけ?」

アルナ「甘い!お水!」

少女「のどかわいたの?」

アルナ「かわいた」

少女「砂糖水持ってくるね」

アルナ「さとーみず」



アルナ「あまい。かわいい」

少女「可愛いじゃなくて、おいしい」

アルナ「おいしい。少女、おいしい!」

少女「……食べられないよね?」

451: 2011/05/29(日) 20:28:46.69 ID:pPPmwFsv0
父 「今日は部屋で何してたんだい?」

少女「お話……かなぁ?」

母 「芽が出たのよね?」

少女「芽っていうか……うん」

父 「どうかしたのかい?」

少女「ううん、何も」

父 「そうか。そういえば、東の森の大きな影の正体は、やっぱり化け物だそうだ」

母 「まあ、怖い」

父 「そのうち村長から説明があるだろうが、それまで東の森に近づくなよ」

少女「はーい」

453: 2011/05/29(日) 20:33:00.12 ID:pPPmwFsv0
名前欄ミスッた。バカ

何日か後

アルナ「あさだよ、少女。起きて!」

少女「う~ん……おはよう、アルルーナ」

アルナ「おはよう!」

少女「わ、おっきくなってる」

アルナ「うん、私はおっきく育つ種族だから。ちょっと、この植木鉢じゃ狭いかも」

少女「わ、言葉もペラペラだ」

アルナ「前の花の時の知識があるからね。えへへ、少女がここまで育ててくれたおかげだよ」

アルナ「ありがとう、少女!」

少女「ううん、お礼なんていらないよ~」

454: 2011/05/29(日) 20:37:58.35 ID:pPPmwFsv0
アルナ「おなかすいた……」

少女「お水?」

アルナ「ううん、食べ物が食べたい」

少女「えっと……パンでいいかな?」

アルナ「うん、ありがとう」モグモグ

少女「よく噛んでね?」

アルナ「うん」モグモグ

アルナ「ごちそうさま。そうだ、お礼にいいものあげる!」

少女「いいもの?」

アルナ「うん、こっち来て。植木鉢もって、私の顔の前に、顔を近づけて?」

少女「こう?」

458: 2011/05/29(日) 20:47:58.83 ID:pPPmwFsv0
アルナ「ちゅっ」

少女「わ、んっ」

アルナ「ん、……蜜、あげる」

少女「え?んんんっ」

少女(なんか、口移しで……蜜?甘い、おいしい……)

アルナ「あはっ、おいしかった?」

少女「うん……もっと、もっと欲しいな……」

アルナ「へへへ、少女は私のこと、好き?」

少女「うん……スキ」

アルナ「じゃあ、あげるね……」チュ

少女「ん・・・・・ちょうだい……ちゅぷ、んん……」コクン、コクン

アルナ「ぷは、もう、私の口の中まで舌入れて……」

アルナ「少女のえOちー」

少女「はぁ、ふぅ、はぁ、はぁ……」トローン

少女(なんか、体が熱いよぅ……)

460: 2011/05/29(日) 21:06:58.55 ID:6vQ6qoSg0

少女「おかあさーん!」

母 「なあに?」

少女「おっきい植木鉢ない?」

母 「ん……外の倉庫にあるけど……」

少女「ありがとう!」


倉庫

少女「ん、あった!」

男の子「おーい、少女!」

少女「あ、なあに?」

男の子「ん、何もってんだ?」

少女「大きな鉢植。植え替えをしないといけないの」

男の子「ああ、前もってたあれか」

461: 2011/05/29(日) 21:11:46.35 ID:6vQ6qoSg0
男の子「手伝ってやるよ!」

少女「ありがとう」

男の子「運び終わったらさ、俺と遊ぼうぜ」

少女「うーん……」

男の子「いいだろ?遊ぼうぜ」

少女「ん……いいよ」

男の子「やった」



少女「あ、ここまででいいよ」

男の子「部屋まで運ぶんだろ?」

少女「いいの。あとは私が運ぶ」

男の子「………」

男の子「まあ、いいけど……」

少女「外で待ってて」

464: 2011/05/29(日) 21:27:15.06 ID:6vQ6qoSg0
アルナ「………」

少女「おっきい植木鉢、あったよ」

アルナ「………」

少女「アルルーナ?」

アルナ「……」プイ

少女「どうして怒ってるの?何かあった?」

アルナ「……知らない!」

少女「ア、アルルーナ?え、私、何かしたかな?」

アルナ「知らないよ!少女のバカ!」

少女「え?え?ご、ごめんね?」

少女「ごめんね?何か悪いことしちゃったみたい……ごめんなさい!」

バタン

アルナ「なんで、私を置いてあんな男に……」ギリ

アルナ「許さない……あの男!」

465: 2011/05/29(日) 21:35:01.24 ID:6vQ6qoSg0
少女(アルルーナ……どうしちゃったんだろう)

男の子「最近鉢植ばっかりかまって遊んでなかったからなー」

男の子「植物なんて、いつもいつも見ている必要ないだろー」

少女「う、うん……」

少女(アルルーナは……ただ植物じゃないけど)

男の子「とにかく、今日はいっぱい遊ぼうぜ!」

少女「うん!」

467: 2011/05/29(日) 21:41:08.12 ID:6vQ6qoSg0
少女「ただいま、アルルーナ」

アルナ「おかえり、少女」ニコ

少女(あれ?)
少女「怒ってない?」

アルナ「ごめんなさい……少女にひどい態度とっちゃった」

アルナ「少女のこと大好きなのに。ごめんね」

少女「ううん、いいよ。私も、ごめんね?」

アルナ「少女が謝る必要なんてないよ」

アルナ「お詫びに……あげる」

少女「うん、蜜……」

アルナ「ちゅ、んん」

少女「はぁ、ん……」

アルナ「少女の唇、気持ちいいよぉ……」

少女「アルナぁ、蜜……ん、んんっ」

アルナ「あげる……私の、蜜」

少女「ちゅ、ん、ふぅっ……おいしいよぉ……」コクンコクン

468: 2011/05/29(日) 21:49:59.98 ID:6vQ6qoSg0

母 「少女、お使いに行ってくれるかしら?」

少女「はーい。どこまで?」

母 「東の森にいるお父さんに、この籠を渡してほしいの」

母 「入口にいるはずだからね」

少女「わかった!行ってきます!」

バタン



男の子「こんにちはー、少女ー!」

母 「あら。少女は今お使いにいっちゃってるのよ」

男の子「そっか、いないのか」

母 「あの子の部屋で待ってるといいわ」

男の子「それじゃ、お邪魔しまーす」

470: 2011/05/29(日) 21:54:14.38 ID:6vQ6qoSg0
男の子「少女の部屋……」

アルナ「………」ギロリ

男の子「うわあ!」

男の子「な、なんだこれ!?」

アルナ「うるさい……汚い声を、出すな!」シュルル

男の子「ツタ、んんん、むぐぐぐぐぅっ!」

アルナ「私の少女に、手を出したな……」

アルナ「人間めぇ……私と少女の世界に……」

アルナ「入って、来るんじゃ、ない!」

ゴギリ

アルナ「野蛮な人間が……」

アルナ「………」

アルナ「肉……」

ガツガツガツ………

473: 2011/05/29(日) 22:06:01.00 ID:6vQ6qoSg0
少女「お父さん、これ、お母さんから!」

父 「ああ、少女。ありがとう」

村長「おや、少女ちゃん。こんにちは」

少女「村長さん、こんにちは!何やってるんですか?」

父 「東の森の、大きな動く影の正体を探しに来たのさ」

村長「大きな影の正体はアルルーナといってね。人を襲うモンスターだ」

父 「大丈夫さ。枯れたアルルーナの残骸を見つけたんだ。もういないよ」


475: 2011/05/29(日) 22:09:09.04 ID:6vQ6qoSg0
村長「だが、アルルーナは氏にぎわに種を残すという。その種は見当たらない」

父 「大方、鳥にでも食われたんでしょう。少女、アルルーナの残骸でも見ていくといい」

少女「うん……」(アルルーナって……まさか……

大きな枯れた花「…」

少女「!?」

少女(やっぱり、私が種をもらった大きな花だ……)

少女(アルルーナが、人を襲う、恐ろしいモンスター?)

少女(……違う。ちゃんと優しい子に育ててるもの。人を襲ったり、しないもん)


アルナ「……ガツガツ」

母 「男の子?ジュースでも……え?」

アルナ「……」ギロリ

母 「ひ、ひぃっ!」

母 「きゃあっ!むぐっ!むぐううううっ!?」シュルルル

478: 2011/05/29(日) 22:17:59.53 ID:6vQ6qoSg0
アルナ「少女に似てる……」

母 「んー!んんんー!」ジタバタ

アルナ「でも、少女じゃない」

ゴギリ

ドシャ

アルナ「汚らわしい人間が」

アルナ「……肉が増えた」

アルナ「…………ガツガツガツガツ」

アルナ「どうして人間は、こうして肉だけは旨いのか」

アルナ「少女と一緒に食べたら、もっとおいしくなるかな」

アルナ「そういえば……少女もお肉が好きとか言っていた。はんばーぐとか」

アルナ「はんばーぐが何かは知らないけど。肉の種類?部位?」

アルナ「少女も食べたいだろうし、一番おいしい頭だけ残しておこう。一緒に食べるんだ」

アルナ「残りは………ジュル」

ガツガツガツガツガツガツ………

480: 2011/05/29(日) 22:30:18.79 ID:6vQ6qoSg0
村長「もともと、傷ついていたようだな」

父 「そうみたいですね。焼けたような跡がある」

村長「このやけどがもとで枯れたみたいだな……」

少女「ひどい……」

大きな枯れた花「…」

父 「だがな、少女。アルルーナは人を襲うんだよ」

少女「……」ムッ

482: 2011/05/29(日) 22:37:26.71 ID:6vQ6qoSg0
村長「それに……アルルーナは、襲った人を喰らうのだ」

村長「恐ろしいモンスターなんだよ」

父 「花粉は毒。いばらのツタにも別の毒がある。一定の大きさになれば移動もする」

村長「蜜にも特別な成分があると聞く。見た目はきれいな花だが、危険だ」

少女「ちがうもん……」

村長「そうだ、今図鑑を持ってきている。見せてあげよう」

少女(やっぱり、アルルーナだ。でも、アルルーナは優しいもん。村長さんも、お父さんも分かってない)

少女(優しくするれば、アルルーナだって優しくなるもん)




アルナ「……骨は堅いな」ガリガリガリガリ

女の子「しょーうじょちゃーん!あそびましょー!」

女の子「男の子も来てるよね……あっそびーましょー!」

アルナ「今日は、運がいいなぁ」ジュルリ

483: 2011/05/29(日) 22:45:48.22 ID:6vQ6qoSg0
村長「さて、帰るとしようか」

父 「そうですね。少女、一緒に帰ろう」

少女「うん」

村長「懸賞金の申請をしておこう」

父 「懸賞金で粉ひき所を新しくしましょう。母が使いにくいと文句を言っていました」

村長「私の妻もだよ。そうしようか」

少女(アルルーナ……今何してる?)


アルナ「生きたまま、もたまにはいい」パクリ

アルナ「モグモグ……声が聴きたいけど、さすがに危ない」ガブリ

アルナ「モグモグ……かみつくたび、ツタがすごい力でかまれる」ガリ

アルナ「こういう反応も、たまには面白い」

女の子「あ……もうやだ……」

アルナ「ふふ、私は人間に焼かれたりしたんだよ?」

485: 2011/05/29(日) 22:50:03.66 ID:6vQ6qoSg0
父 「村長さんところによってから帰るから」

少女「わかった」



少女「ただいまー!」

シーン

少女「お母さん?」

少女「出かけたのかな?」

少女「アルルーナ、ただいま!」

アルナ「ん?モグモグ……ゴクン。おかえり、少女!」ニコ

少女「………え?」

少女「何……食べてるの?」

アルナ「お肉だよ」

アルナ「人間の」

少女「ひ、うそ」

アルナ「おいしいよ?」

488: 2011/05/29(日) 23:00:05.89 ID:6vQ6qoSg0
アルルーナの体は、血で汚れていた。
ところどころ固まった血がひび割れを作っていた。

アルナ「少女もお肉好きだって言ってたから」

アルナ「ほら!一番おいしい頭を残しておいたよ!一緒に食べようよ!」

少女「お母さん!男の子に、女の子も!」

少女「ひどい……ひどいよ……こんなの……なんでぇ……?」

アルナ「あ、あれ?」オロオロ

アルナ「あ、頭は嫌いだった?心臓とかのほうが好き?」

アルナ「肝臓ならまだあるけど……」

アルナ「うわ、ごめんね?ごめんね?」

アルナ「そうだ、だったら、また狩ってくるよ。そうすれば、少女が好きなところ食べれるし」

少女「うっ、ううっ……お母さん……」

アルナ「………もしかして」

489: 2011/05/29(日) 23:08:25.81 ID:6vQ6qoSg0
アルナ「もしかして………」

アルナ「好きなお肉がないから泣いているんじゃなくて」

アルナ「そいつらが氏んだから泣いてるの?」

少女「ぐすっ、そうだよ……何でこんなことしたの?」

アルナ「人間なんていらないでしょ!?」

アルナ「私と少女の世界を邪魔する奴らなんていらないでしょ!」

少女「いや!いや!いや!」

少女「私はいるもん!お母さんも女の子も男の子もいるの!」

アルナ「なっ、嘘をついたの!?私のこと可愛いって!好きだって言ったのに!」

少女「みんなを頃しちゃったアルルーナなんて嫌い!嫌い!大っ嫌い!」

少女「育てなきゃよかった!」

アルナ「!」ギリリリリ

493: 2011/05/29(日) 23:23:41.96 ID:6vQ6qoSg0
アルナ「何か吹き込まれたんだよね。じゃなきゃ、そんなこと言うはずないもん」

少女「アルルーナは、優しい子だと思ってたのに……」

コンコン

父 「少女?お母さんどこにいるか知らないかい?」

少女「お父さん!?」

ガチャ

父 「さっきから探して……!?」

父 「アルルーナ!?」

アルナ「吹き込んだのはおまえだろ!!!!頃してやる!」シュルルルル

少女「だめぇ!」バッ

少女「きゃあっ」シュルル

父 「少女!くそっ、後で必ず助ける!」ダッ

アルナ「ふふ……少女、つーかまえた」ニコ

少女「離してよ!」ジタバタ

アルナ「あっちは逃げちゃったか」

499: 2011/05/29(日) 23:38:20.51 ID:6vQ6qoSg0

少女「離してよ!」

アルナ「なんで?これからはずっと一緒に暮らすのに」

少女「やだぁ!やだよ!」

アルナ「少女が育ててくれたおかげで、ほとんど成体にもなれた」

アルナ「私、歩けるんだよ?すごいでしょ」

アルナ「外に行こうよ、ね?」

少女「助けて!誰か助けて!」

501: 2011/05/29(日) 23:44:06.20 ID:6vQ6qoSg0
村長「出てきたぞ!」

父 「ああ、少女!化け物め、少女を離せ!」

アルナ「うるさいなぁ……」

少女「ダメ!殺さないで!」

アルナ「どうして?ツタでキュッってするだけで終わっちゃうよ?」

少女「だめ!ダメなの!」

アルナ「うーん。少女がそう言うなら……」ファァァァ……

村長「しまった、風下、だ……」

父 「う、あ……少女……」

アルナ「眠りの花粉だよ。毒の花粉もあるんだけどね」

少女「お父さん……村長さん……ごめんなさい……ごめんなさい……」

504: 2011/05/29(日) 23:49:55.75 ID:6vQ6qoSg0
深い森の奥


アルナ「ようやく、二人っきりになれたね」

少女「帰して……お家に帰して……」

アルナ「ふふ、今日からここがお家だよ……ね、服なんて、脱いじゃおうよ」ビリビリ

少女「やだ……もうやめて……」

アルナ「ふふ、可愛いよ」チュ

少女「や、だ、ん、むむっ」コクンコクン

アルナ「ふふ、私の蜜、おいしいでしょ?」

少女「あ、あうう……」

少女「なんだか、体が熱い……」

アルナ「あは、少女のここ、とろとろだ……やっぱり、期待してたんでしょ」

少女「やだ……もうやだ……帰りたいよぉ……」

517: 2011/05/30(月) 00:16:42.60 ID:M2w2DmB80
アルナ「はぁ、はぁ、はぁ………」

少女「えへへ……ふふ……えへへへ……」

アルナ「すごく気持ちよかったね……」

少女「すきぃ……アルルーナのこと、すきぃ……」

アルナ「なんだか、ずいぶん甘えんぼになっちゃったね」

少女「えへへ……アルルーナぁ……アルルーナぁ……」

アルナ「ふふ、大好き……愛してるよ、少女」




アルナ「もう絶対に、離さない」




おわり

引用元: 人外娘「ずっと一緒にいようね…」少女「離してよお!」