371: 2019/08/31(土) 22:38:18.34 ID:08Y+rhH5o

372: 2019/08/31(土) 22:41:17.73 ID:08Y+rhH5o
武内P「……少し、寄って行くか」


ガチャッ―カランカランカラーン♪


メイドセイバー「い、いらっしゃいませ」


武内P「――!」

武内P「あ、あの……」


セイバー「お一人様でしょうか?」


武内P「アイドルに……興味はありませんか?」


セイバー「……」

セイバー「はい?」

373: 2019/08/31(土) 22:45:18.05 ID:08Y+rhH5o
セイバー「貴方は、何を言っているのですか?」

武内P「す、すみません」

セイバー「此処は喫茶店、アイドルは取り扱っていません」


武内P「自分は、こういう者で……!」

ゴソゴソッ!


セイバー「!」

ヒュッ―


―ピタッ!

セイバー「……貴様、やはりアサシンか」

セイバー「この騎士王の不意をつけると思ったか」


武内P「……!?」

武内P(見えないが……何か、首筋に当てられている……!?)

374: 2019/08/31(土) 22:51:09.58 ID:08Y+rhH5o
ネコアルク「待つにゃセイバーさん!」

ネコ・カオス「剣をお納め下さい、騎士王」


セイバー「いえ、ですが店長……」

武内P「……!?」


ネコアルク「その人は顔が怖いだけにゃ!」

ネコアルク「アタシのレーダーを信じて欲しいにゃ!」

ネコ・カオス「店長の言う通りです、騎士王よ」

ネコ・カオス「彼は、礼儀正しく歌が上手い青年なのです」

ネコ・カオス「決して、我らの創造主の様な男ではありません」


セイバー「……わかりました」

セイバー「ですが、貴方を完全に信じた訳ではない」

セイバー「その事は、肝に銘じておくことです」


武内P「は、はい……」

375: 2019/08/31(土) 22:56:15.63 ID:08Y+rhH5o
セイバー「席に案内します」

武内P「わ、わかりました……」


コツコツコツコツ…


セイバー「では、注文が決まり次第声をかけてください」

セイバー「……ただし、おかしな真似をすれば」

武内P「その様な事は、決して……!」コクコクコクコク!

セイバー「良い心がけです」


コツコツコツコツ…


武内P「……!」

武内P(この喫茶店は……一体!?)

武内P(店長と呼ばれていた、あの人の様な猫のような……不思議なナマモノも)

武内P(……)

武内P(席に通されてしまった以上、注文をするしかない……!)

376: 2019/08/31(土) 23:04:22.74 ID:08Y+rhH5o
セイバー「……」ジーッ!


武内P「……!」

武内P(他に客が居ないからからか、はたまた……疑われているからか)

武内P(彼女から、突き刺すような視線が……!)

武内P(気を抜けば、ひれ伏してしまいそうな……カリスマすら感じる!)

武内P(だが……何と切り出せば……!)


ガチャッ、カランカラーンッ♪


セイバー「いらっしゃいま――」

セイバー「――ああ、リンでしたか」


武内P「!?」

武内P(この空間に……渋谷さんが!?)


遠坂凛「って、セイバー!?」

凛「何!? アンタ、またここでバイトしてるの!?」


武内P「……!」ホッ!

武内P(良かった……別人だったようだ)

377: 2019/08/31(土) 23:11:21.97 ID:08Y+rhH5o
セイバー「夏バテで人手が足りない、と」

セイバー「助けを求められれば、応じない訳にはいきませんから」

凛「……なんか、この前もそんな事言ってたわよね」

セイバー「騎士たる者、当然です」

凛「とかなんとか言って、バイト代で衛宮くんに圧力鍋買ってたじゃない」

セイバー「なっ!? 何故それを!?」

凛「衛宮くん本人に聞いたのよ」

セイバー「シロウが……私を裏切るはずがない!」

凛「自慢されたの! この鍋、セイバーが買ってきてくれたんだー、って!」

セイバー「それは……悪い気はしませんね///」


凛「で? 今回は、何を買ってあげるつもりなの?」


セイバー「石窯スチームオーブンです!」

セイバー「その宝具があれば、シロウのゴハンがもっと美味しくなると聞きました!」ペカー!


武内P「……」

武内P(……どうやら、優しい方の様だ)

378: 2019/08/31(土) 23:18:07.63 ID:08Y+rhH5o
武内P「……」

武内P(シロウ、という方は……彼女の大切な方なのだろう)

武内P(それに、彼女から漂う気品)

武内P(……スカウトは、難しいかも知れない)

武内P(一先ず注文をして……様子を見てみよう)


武内P「――すみません」


凛「ほら、お客さんが呼んでるわよ」

セイバー「はい、只今」

セイバー「――注文は?」


武内P「コーヒーをお願いします」


セイバー「ホットですか? アイスですか?」


武内P「では……アイスで」


セイバー「お食事は?」


武内P「いえ、大丈夫です」



セイバー「正体を表したな、アサシン!!」



武内P「何故!?」

379: 2019/08/31(土) 23:27:58.84 ID:08Y+rhH5o
セイバー「お腹が空いては、戦は出来ません!」

セイバー「空腹時の襲撃を想定していないのは、アサシンである証!」


武内P「いっ、いえ!」

武内P「私は、あっ、アサシン? ではなく!」

武内P「――プロデューサーです!」


セイバー「プロデューサーだと!?」

セイバー「リン! そんなエクストラ・クラスが存在していたのですか!?」

セイバー「何故、もっと早く教えてくれなかったのですか!」


凛「そんなクラス無いわよ!」

凛「この人、明らかに普通の人じゃない!」


セイバー「ならば、この体格にも関わらず食事を注文しない理由は!?」

セイバー「サラリーマンを装っているようですが、私の目は誤魔化せません!」


武内P「ハンバーグ! ハンバーグをお願いします!」

380: 2019/08/31(土) 23:33:42.19 ID:08Y+rhH5o
セイバー「ハンバーグ? まさか、それだけですか?」

武内P「では……な、ナポリタンを!」

セイバー「貴様、やはり……」

武内P「カレーもお願いします!」

セイバー「……良いでしょう」

武内P「……!」ホッ!


セイバー「デザートは?」


武内P「クレープを」

武内P「味は……そうですね、チョコとイチゴ」

武内P「ケーキは、チーズケーキとミルクレープをお願いします」


セイバー「……今までの非礼を許して下さい」

セイバー「アサシンは、闇に潜み相手の生命を刈り取る者」

セイバー「貴方の様に、ウキウキ顔で甘いものを注文する者ではありません」


武内P「は……はあ……」

381: 2019/08/31(土) 23:38:43.93 ID:08Y+rhH5o
武内P「……」


凛「――なんだかすみません」

凛「あの子、ちょ~っと世間からズレてる所があって」


武内P「あ、いえ……」

武内P「……貴女は、彼女のお知り合いですか?」


凛「あはは……まあ、そんな所です」

凛「貴方は……プロデューサー、って言ってましたけど」


武内P「はい。自分は、346プロダクションに所属している……」

武内P「……こういう者です」

スッ…


凛「あ、名刺は受け取りませんよ」

凛「受け取ったら、こっちも名乗らなきゃいけなくなりますから」クスッ!


武内P「……良い、笑顔です」

382: 2019/08/31(土) 23:45:09.12 ID:08Y+rhH5o
武内P「……アイドルに、興味はありませんか?」

凛「ありません」

武内P「……」

凛「申し訳ないけど、色々とやることが山積みで」

武内P「……そう、ですか」


ガチャッ、カランカラーンッ♪


セイバー「! 何度来ても同じ事です!」

セイバー「ここは喫茶店、ジャンプは置いていな――」


バーサーカー「■■■■■■■■■■■――!!」

ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ!


セイバー「――サンデー!? もっと置いていません!」

セイバー「暴れないで下さい、お客様! お客様っ!」


凛「ああいうのの対処とか……!」ワタワタ!


武内P「は、はあ……」

383: 2019/08/31(土) 23:54:50.73 ID:08Y+rhH5o
  ・  ・  ・

武内P「……良い、焼き加減でした」

武内P「!」

武内P「いつの間にか、人が……」



シエル「カレー……パスタ……カレー……パスタ……」ブツブツ…!


ネロ「……666匹分、おかわりだ」

ガッツガツガツムシャムシャガツガツ!


セイバー「はい、只今参ります!……お待たせしました!」


アルクェイド「忙しそうだし、仕方ないって。急ぐ理由も無いしね」


シエル「カレー……パスタ……カレーパスタ? カレーパスタ! カレー!」パアッ!


ガヤガヤ…


武内P「……」

武内P(この店は……客層が、変わっていますね)

384: 2019/09/01(日) 00:04:23.85 ID:JooYg9V1o
ガチャッ、カランカラーンッ♪


武内P「……」

武内P(……また)


セイバー「いらっしゃいま――」


ギルガメッシュ「ハッハッハッハッ!」

ギルガメッシュ「我が何も言わずとも出迎えるとはな!」

ギルガメッシュ「セイバー、愛い奴よ!」


セイバー「――……英雄王!」

セイバー「何故、ここへ現れた!?」


ギルガメッシュ「店主よ! 我に知らせた褒美をやろう!」

ギルガメッシュ「そしてセイバー! 貴様を――ご指名だ!」ビシッ!

…ゴトンッ!


セイバー「断る!」


武内P「!?」

武内P(き……金塊!?)

385: 2019/09/01(日) 00:11:13.03 ID:JooYg9V1o
ネコアルク「ははーっ!」ドゲザー!

セイバー「何故、こんな奴に知らせたのですか!?」

ネコ・カオス「申し訳ありません騎士王よ……財の前に屈してしまいました」

ネコ・カオス「バイト代は弾みますので、どうか剣をお納めください……!」

セイバー「ぬ、ぐっ……!?」


ギルガメッシュ「――そういう事だ、セイバー!」

みょんみょんみょんみょんっ

ギルガメッシュ「貴様のアホ毛も、我の思うがままよ!」

みょんみょんみょんみょんっ

セイバー「ぬ……ぐぐぐっ……!?」

ギルガメッシュ「ハッハッハッハッ、アハハッ、ハッハハッ!」

みょんみょんみょんみょんっ


武内P「……」

386: 2019/09/01(日) 00:17:51.92 ID:JooYg9V1o
ギルガメッシュ「――ようし! 先ずは歌と舞だ!」

ギルガメッシュ「この我を存分に楽しませてみよ!」


セイバー「ここは喫茶店です……!」


ギルガメッシュ「何? お客様は神様と言うではないか」

ギルガメッシュ「そして、英雄王である我の言うことが聞けぬと?」

ギルガメッシュ「この店ごと吹き飛ばしても良いのだぞ?」


セイバー「……!」


ギルガメッシュ「ハッハッハッ、そう怒るなセイバー!」

ギルガメッシュ「手が震えて居ては、注文は取れんぞ?」

ギルガメッシュ「英雄王ジョークだ! 笑え、許す!」

ギルガメッシュ「ハッハッハッハッハッ!」


ネコアルク、ネコ・カオス「にゃっはっはっはっはっ!」


セイバー「……!」プルプル…!



武内P「……」

387: 2019/09/01(日) 00:25:04.35 ID:JooYg9V1o
ギルガメッシュ「さあ、ランチセットを持ってくるが良い!」

ギルガメッシュ「あとスマイル」


セイバー「っ……!」ニ、ニゴォッ!


ギルガメッシュ「ん? 聞こえなかったか?」

ギルガメッシュ「我は、スマイルと言ったぞ」


セイバー「っ……!」…ニゴッ!


ギルガメッシュ「んん~? んんん~っ?」

ギルガメッシュ「どうしたセイバー? それが騎士王スマイルか~?」


セイバー「……!」イラッ!

セイバー「いいえ……!?」ニ…コ…オォッ…!


ギルガメッシュ「この店、超楽しい」



武内P「……」

388: 2019/09/01(日) 00:36:20.87 ID:JooYg9V1o
  ・  ・  ・

言峰綺礼「では、麻婆丼を頂こうか――当然、山盛りでな」


セイバー「そんなものは、メニューにありません!」


臓硯「カレーとパスタ……どちらも頼むしかあるまいなぁ!」

桜「お爺様、もうゴハンは食べ終わったでしょう!?」

慎二「おい! どうして僕は海藻サラダの海藻のみなんだよ!」


セイバー「私に聞くな! ワカメが似合うのだから、仕方ないだろう!」


ギルガメッシュ「セイバー! 酌をしろ!」


セイバー「水だけで、いつまでも粘るな!」


セイバー「……!」イライラ…!



武内P「……」

389: 2019/09/01(日) 00:41:54.61 ID:JooYg9V1o
武内P「――すみません」

武内P「注文をお願いできますか?」


セイバー「はい、只今……!」イライラ…!


武内P「……」


セイバー「ご注文は?」イライラ…!


武内P「――笑顔です」


セイバー「何?」イラァッ!

セイバー「貴様! この私を騎士王と知っての言葉か!」


武内P「すみません……私は、王としての貴女を知りません」

武内P「ですが、もしも見られるのならば」

武内P「……私は、見てみたいと思いました」

武内P「貴女が民に向ける――」


武内P「――騎士王としての、笑顔が」


セイバー「……!」

390: 2019/09/01(日) 00:46:31.36 ID:JooYg9V1o
武内P「その注文を最後に……お会計をお願いします」


セイバー「……良いでしょう」

セイバー「しかし、今の私は――バイト中の身」

セイバー「ならば、それに相応しい笑顔をするのが――道理というもの」

セイバー「……違いますか?」


武内P「はい、私もそう思います」


セイバー「ならば――モップをここへ!」


ネコアルク「はいにゃ!」


セイバー「!」

…ドンッ!

セイバー「――ありがとうございました」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

391: 2019/09/01(日) 00:53:00.98 ID:JooYg9V1o
  ・  ・  ・

武内P「やはり……アイドル、に……」


志貴「――あ、気が付きましたか?」

レン「………………」


武内P「……」

武内P「っ!?」

ガバッ!


志貴「っとと! 急に起き上がると危ないですよ!」

レン「………………」


武内P「自分は……倒れていた、のでしょうか……?」


志貴「ええ、アヤシイお薬を飲んだからだとか何とか……」

レン「………………」


武内P「……」

392: 2019/09/01(日) 00:58:20.12 ID:JooYg9V1o
志貴「一緒に居た子達、慌ててたみたいで」

志貴「全員で、助けを呼びに行っちゃったんです」

レン「………………」


武内P「そう、でしたか……」

武内P「貴方が、見ていてくれたのですね」


志貴「あ、あはは……!」

志貴「アヤシイおクスリって聞いて、知り合いが関係してるのかと思いまして!」

志貴「違ったみたいですが、成り行きで……」

レン「………………」


武内P「すみません……お手数をおかけしました」

武内P「……どうも、ありがとうございます」


志貴「いえいえ、お礼だったら俺じゃなく……レンに言って下さい」

志貴「危ない所に気づけたのは、レンのおかげですから」

ナデナデ…

黒猫「………………」


武内P「……?」

武内P(今まで居たのは、確かに少女だったはず……)

393: 2019/09/01(日) 01:05:51.82 ID:JooYg9V1o
志貴「もう大丈夫そうなので、俺は失礼しますね」

志貴「他の女の子と話してたりすると……」

志貴「……何故か、たまに殺されそうになったりするんで」


武内P「は、はあ……」

武内P「っ!」

武内P「あの、待ってください! お礼を――」


志貴「良いんですよ」

志貴「――俺は、正義の味方じゃないんで」

志貴「それじゃ、俺達はこれで……」ヒラヒラ!

レン「………………」バイバイ!


武内P「っ!?」


志貴「ケーキの匂いがしたから?」

志貴「それじゃ、今日は偉かったから買って帰ろうか」

黒猫「………………!」


武内P「……」

394: 2019/09/01(日) 01:12:43.32 ID:JooYg9V1o
  ・  ・  ・

武内P「……」

ちひろ「プロデューサーさん?」

武内P「っ!?」

ちひろ「どうしたんですか? ボーッとして」

武内P「ああ、いえ……」

ちひろ「まさか、どこか体調が!?」

武内P「いえ、そうではなく……」


武内P「……メイドは、やはり良いものだと思いまして」


ちひろ「……」

ちひろ「……はい?」




おわり

395: 2019/09/01(日) 01:40:41.69 ID:80jpVcd4O
乙です。
アーネンエルベとは…まあ公式のごちゃ混ぜ空間だしなんでもアリか

引用元: 武内P「キスします」