322: 2010/08/23(月) 17:30:54.24 ID:05phwhOw0
古来より、人間と悪魔はいつ終わるともしれぬ闘いを繰り広げてきた。
そして21世紀になった今でも人知れず、それは続いている。

ここ日本でも、現代科学では説明不可能な邪悪な霊体、すなわち悪魔に闘いを挑む少女たちがいた。

日本版エクソシストと呼べるであろう、彼女たちの名は――
永水女子、神代一族である!
咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

323: 2010/08/23(月) 17:35:36.86 ID:05phwhOw0
CASE1 清澄高校 Mさん

薄墨「ここが今回の依頼ですか―」

神代「ええ、なんでもここの麻雀部の部員に悪魔がとり憑いたとか」

薄墨「ここはもの凄いド田舎ですー。こんな所にいる悪魔なんて、
どうせ下級クラスに決まってますよー。さっさと終わらせて帰るです」

神代「油断してはいけませんよ。相手がどんなに下級の悪魔であれ、
危険なことに変わりはありません」

薄墨「それに、今回はもろもろの事情で私たち二人だけしかいないですしねー」

神代「その通りです。二人で力を合わせて頑張りましょう」

324: 2010/08/23(月) 17:39:20.40 ID:05phwhOw0
清澄麻雀部部室

久「あなたたちが噂のエクソシストね」

神代「はい。それで悪魔にとり憑かれた方はどこに……」

久「今部室のベットに拘束しているわ」

ガタ、ガタガタッ

まこ「ウガァァァァァァァァッ!!! ハナセーッ!!!」ジタバタ

神代「まあ…これはひどい」

327: 2010/08/23(月) 17:43:59.40 ID:05phwhOw0
久「さあみんな、神の使いの方々が来てくれたからにはもう安心よ」

まこ「キリストノセフレドモガキタダトッ!? アノヨデ、ファックシテヤロウカ?」

神代「いいえ、私たちはただの巫女です」

まこ「グゥゥゥゥゥ……」ギロッ

薄墨「ひどい顔ですねー。これは確実に悪魔にとり憑かれてますよー」

久「えっ……彼女は元々ああいう顔なんだけど……」

神代「それで、彼女はいつからこうなったんですか?」

優希「私が説明するじぇ!」

薄墨「使い魔みたいな子が現れましたよー」

328: 2010/08/23(月) 17:45:59.94 ID:7cWqX/SI0
>薄墨「使い魔みたいな子が現れましたよー」

誰に説明してんだよwwwwwww

329: 2010/08/23(月) 17:52:26.72 ID:05phwhOw0
優希「昨日染谷先輩と、最近出番が少ないな―って話してたら、急に苦しみ始めてそれで…」

京太郎「なんつーことを話してるんだお前らは」

優希「話をしながら、二人でタコスを食べてたんだじぇ。もしかしたらそのタコスの中に、
悪魔が潜んでたのかもしれないじぇ……」

まこ「ウガーッ!! デバンフヤセーッ! デバンフヤセーッ!!」ジタバタ

咲「いや……原因は別のところにあるんじゃないかなー?」

331: 2010/08/23(月) 17:57:21.50 ID:05phwhOw0
神代「おおよその事情は把握しました……恐らく彼女にとり憑いてるのはマイナーデビルの類でしょう」

京太郎「なんですかそれ?」

神代「悪魔の中でも下級中の下級、そしてマイナーな故、
いつしか仲間にすらその存在を忘れ去られてしまった、可哀そうな悪魔たちです。
今となっては名前すら分からぬため、俗にこう呼ばれています」

まこ「マイナーッテ、イウナ―!! 」ジタバタジタバタ

薄墨「さて、正体もわかったところで、さっそく悪魔払いといきますかー」

神代「そうですね。初美、聖水の用意を」

薄墨「はいはいー」

優希「おっ、なんだかそれっぽくなってきたじぇー」

333: 2010/08/23(月) 18:06:30.82 ID:05phwhOw0
十分後、部室にタライに入った大量の聖水が運び込まれた。
神代が持ってきた聖水の量があまりにも多いため、清澄麻雀部員が全員で搬入を手伝った。

京太郎「これで最後か…」ドカッ

神代「すみませんね。手伝ってもらって…」

和「ふぅ…凄い量です」

久「で、これをどうするの?」

薄墨「今からこれを彼女にぶっかけるのですよ―」

335: 2010/08/23(月) 18:12:12.39 ID:05phwhOw0
薄墨「えいやっ」

ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ブフッ!」

神代「そーれ」

ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ゲホッ!」

薄墨「さぁ皆さんも御一緒に!」

咲「は、はい…」

言われるがまま、咲たちも、タライ一杯の水をまこにぶっかけ始めた。

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

まこ「ガハッ…ヤメ……」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

久(なんかドリフのコントでこういうの見た気がするなぁ…)

336: 2010/08/23(月) 18:18:12.65 ID:05phwhOw0
ビチャビチャ…

優希「部室が水浸しだじぇ…」

まこ「ウガッー! クソッタレガァァァァァッ!!」ジタバタ

咲「全然きいてないみたいなんですケド……」

久「あのー、今のはどんな効果があったんです?」

薄墨「うーん、もしこれが彼女の悪ふざけだった場合、今ので正気にかえるんですけどね―」

神代「これでもやめないとなると、本物がとり憑いてましたか……」

久「……あなたたち、疑ってたの?」

338: 2010/08/23(月) 18:31:09.22 ID:05phwhOw0
神代「こういうのは9割方、本人の自作自演ですから」

薄墨「難しい年頃なのですよー」

まこ「ナメヤッガッテ……」

全員「?」

まこ「オレハホンモノノアクマダーッ!!」

ブチブチブチッ

和「あれだけ厳重な拘束を、いとも簡単に……」

まこ「ゲハハハハハハハハハッ!!!」シュタッ

まこはベットから飛び降りて四つん這いになると、そのままの姿勢で天井に張り付いた。

339: 2010/08/23(月) 18:37:48.37 ID:05phwhOw0
京太郎「うわっ、んなバカな…」

まこ「グハハハッ!! ニンゲンフゼイニ、コンナコトガデキルカ?」

シャカシャカシャカシャカ……

まこはそのまま、天井をゴキブリのように素早く移動し始めた。

咲「うわっ、気食悪っ!!」

和「SOA! SOA!」

神代「このまま外にでも出たら大変です……初美、十字架を!」

薄墨「はいですー」バッ

優希「出たっ!エクソシスト御用達のアイテムだじぇ!」

久「っていうかあなたたち、巫女よね……」

340: 2010/08/23(月) 18:40:33.75 ID:05phwhOw0
薄墨「くらうがいいです! 邪悪な悪魔め!!」ブンッ

初美は鉛でできた十字架を、まこに向かってぶん投げた。

和「そういう使い方ですか?」ガーン

ゴツンッ

まこ「グハッ…」

京太郎「よっしゃ、クリーンヒット!」

十字架を額にもろにくらったまこは、天井から落下した。

神代「今です! みんなで押さえつけましょう!」

342: 2010/08/23(月) 19:05:34.25 ID:05phwhOw0
神代の二人に咲たち五人の、総勢七人がかりでまこを押さえつけた。

まこ「ガァァァァッ、クソッタレドモォォォォッ!!!」ジタバタ

和「凄い力です!押さえつけらえませんよ!」

久「頑張るのよ!」

まこ「ブゥッ!」

押さえつけに抵抗してか、まこが口から緑色の液体を吐き出した。

咲「うわっ、汚っ!!」

優希「うげぇぇ…ワカメの腐った匂いがするじぇ……」

344: 2010/08/23(月) 19:14:43.66 ID:05phwhOw0
神代「皆さんそのまま押さえつけてください。今から悪魔祓いの呪文を詠唱します」

久「もはや何でもありね…」

神代「エコエコアザラク、エコエコザメラク…」ブツブツ…

まこ「チックショォォォォ、ハナセーッ!!!」

京太郎「みんな、絶対離すなよ!」

咲「う、うん!」

まこ「クソガァァァッ!!!」

グルッ

突如として、まこの首が180度回転した。

咲「き、きゃっ…」

京太郎「うわああああああああああっ!!!」

あまりの出来事に、その場にいた全員が、思わずまこを押さえつけていた手を離してしまった。

345: 2010/08/23(月) 19:22:43.83 ID:05phwhOw0
まこ「ゲハハハハハッハッ、バカドモメ! テヲハナシタラ、コッチノモノ……」

神代「ふんっ!」

バキバキッ

まこ「ぎゃああっ!」

まこの180度回転した首を、神代が力ずくでさらに180度回転させ、もとの位置にもどした。

まこ「………」バタッ

神代「ふぅ……これくらいのことで動揺してはいけませんよ」

全員「………」ポカーン

薄墨「今回も凄絶な戦いだったですねー」

346: 2010/08/23(月) 19:29:34.81 ID:05phwhOw0
優希「染谷先輩は気絶しているみたいだじぇ……多分」

和「心なしか、首が変な方向に曲がっているような……」

薄墨「さあ、これで悪魔は去りました―。もう二度とこの人にとり憑こうとは思わないでしょう」

神代「もしとり憑いたとしても、その時はまた私たちが来て退治します」

久「はぁ……もう来ないでほしいわ…」

神代「それで、少し気になることがあるんですが……」

348: 2010/08/23(月) 19:38:48.14 ID:05phwhOw0
CASE2 清澄高校 Yさん

優希「えっ? 私!?」

神代「染谷さんはこの子のタコスを食べた後におかしくなった……
つまり、この子にも悪魔がとり憑いている恐れがあります」

優希「そんな……私はこの通りフツーだじょ? 悪魔なんて……」

薄墨「そうやって嘘をついて惑わすのが、悪魔の常套手段ですー。
みんな騙されてはいけませんよー? この子にはやっぱり悪魔がとり憑いてますねー」

久「そ、そうなの……?」

神代「さあ、みなさん聖水の準備を」

薄墨「第二ラウンド開始なのです―」

349: 2010/08/23(月) 19:48:27.80 ID:05phwhOw0
ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「きゃっ…」

神代「悪霊退散…悪霊退散…」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「ちょ…待っ……」

咲「ごめんね優希ちゃん…」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

優希「みんな…やめて……」

ザッバァァァァァァァァァン ザッバァァァァァァァァァン

和「これもゆーきのためです…」

352: 2010/08/23(月) 19:59:56.09 ID:05phwhOw0
ビチャビチャ…

優希「ううっ……寒い……寒いよぉ……」ブルブル

薄墨「今回は大分ききめがあったみたいですねー」

神代「しかし油断はできません。全ての悪魔に殺意をもってあたらねば…」ゴゴゴゴゴゴゴ

久「ちょ、ちょっと…」

神代「初美、ありったけの十字架を」

薄墨「持て来たもの全部使っちゃいましょう」

353: 2010/08/23(月) 20:10:21.43 ID:05phwhOw0
神代たちは、自分たち持ってきた袋の中から十字架や護符に五寸釘、
通販で売っているようなパワーストーンや得体のしれないペンダントなど、
古今東西ありとあらゆるオカルトグッズを取り出すと、優希に投げつけ始めた。

薄墨「そーれ! そーれ!」ヒュンヒュン

バシッバシッ

優希「いたっ…痛いじぇ……やめて……」

ゴンッ!

優希「ぎゃうっ…!」

特大サイズの十字架が優希の頭部に命中し、彼女は動かなくなった。

神代「まだ氏んだふりかもしれません。もっと投げましょう」


356: 2010/08/23(月) 20:20:40.50 ID:05phwhOw0
小一時間後

優希「ピクッ……ピクッ……」

薄墨「ふぅー、なんとか成敗したです」

神代「聞けば彼女は毎日狂ったようにタコスを食べていたとか。これは間違いなく悪魔の仕業ですね」

久「は、はぁ…よく分かりましたから、もう帰って…」

神代「まだです。まだ終わってません」

久「はい!?」

357: 2010/08/23(月) 20:25:42.92 ID:05phwhOw0
CASE3 その他全員

咲「カン……嶺上開花!」

神代「カンした後に必ず嶺上開花であがるなんて……これはどう考えても異常です」

咲「えっ…そんな……」

薄墨「悪魔の仕業と考えるのが妥当ですねー。彼女も悪魔祓いの必要がありますよ―」

咲「や、やめてー!!」

358: 2010/08/23(月) 20:31:42.85 ID:05phwhOw0
薄墨「それからあなたもですー」

和「わ、私ですか?」

薄墨「聞けばあなたは私よりふたつも年下だとか……それなのに、そのおっOいはなんですかー!?」

和「え、ええええっ!?」

薄墨「間違いないです、その双丘には悪魔が潜んでいる……今すぐ退散させるのです!!」

和「い、いやあああああああああっ!!!」

360: 2010/08/23(月) 20:40:43.57 ID:05phwhOw0
神代「ついでにあなたも……年の割に老けていませんか?
老化を促進させる悪魔がとり憑いている可能性が……」

久「よ、余計なお世話……」

薄墨「とりあえず、ここにいる全員をまとめて祓っちゃいましょう」

京太郎「ちょ…オレは関係な……」

神代「覚悟はよろしいですか? それでは始めます」

全員「ぎゃああああああああああああああ!!!」

四人の悲鳴は、それから一日中、清澄に響き渡っていたという。

362: 2010/08/23(月) 20:55:24.67 ID:05phwhOw0
12月にはクリスマス。かと思いきや、正月は神社に初詣。
教会で結婚式をあげ、氏んだら寺の墓に入る。
様々な宗教がごった煮状態で混在している不思議な国、それが日本。

そのどさくさに紛れて、神の仕事を(有償で)代行する少女たち――
神代一族の闘いは、これからも続く!


      エクソシスト神代  完

次回  一「もともと特別なオンリーワン~♪」

364: 2010/08/23(月) 21:18:16.84 ID:i/JFBzrN0


引用元: 咲「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」