453: 2010/08/24(火) 17:55:23.83 ID:xrMCxg510
福与「テレビの前の皆さまご覧ください!! たった今から、風越女子高校の生徒たちが
人類初の恒星間飛行に出発しようとしています!!」

ワーワー キャーッ

コーチ「おうっ、しっかり引率してきてやるぞ!」

福路「コーチ、頼りにしてます」

文堂「お父さーん、お母さーん、行ってまいりまーす!」

未春「だ、大丈夫かなぁ……とっても不安だ……」

深堀「宇宙でも焼き鳥食べたいなあ…」

福与「この五人が一体どんなものを発見して帰ってくるのか、今から私も楽しみで…」

池田「ちょ…ちょっと待つし!!!」
咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

456: 2010/08/24(火) 18:07:49.92 ID:xrMCxg510
福与「おおっとォ!? ここで同じ風越女子生徒の池田選手が乱入だァッ!」

池田「なんで華菜ちゃんじゃなくてコーチなんだし!? フツー風越の五人といったら…」

コーチ「うるせえっ、私は引率なんだよ! 子供だけで行かせられるかァ!」

池田「で、でも……華菜ちゃんも恒星間旅行に行きたいし! 連れて行ってくれだし!」

福路「ごめんなさい華菜。このロケットは5人乗りなの……」

未春「カナちゃんの分もお土産持ってくるから、今回は諦めてよ」

池田「いやだっ、嫌だし!! 華菜ちゃんも連れていくしぃぃぃぃ!!!」ジタバタジタバタ

福与「おおっと池田選手、高校二年生にもなって駄々をこね始めたァァァッ! これは見苦しいッ!!」

458: 2010/08/24(火) 18:17:03.09 ID:xrMCxg510
コーチ「うるせえっつってんだろうが!」バシッ

池田「ぎゃっ!?」ビターン

福与「決ィまったァァァッ! 久保コーチ得意の平手打ちだァァァッ! 池田選手大丈夫か!?」

コーチ「団体戦で負けた罰だ。てめえは地球に残ってろ」

池田「そ、そんな……」

コーチ「おいてめえら、さっさと出発するぞ」

一同「は、はいっ!!」

池田「ま、待って……」

コーチ「ロケット点火! 発進だァァァァッ!!!」

ズゴォォォォォォォォォォォォ

池田「待って……私も……華菜ちゃんも……」フラフラ…

福与「とうとう池田選手は乗せてもらえぬまま、ロケットは地球を出発しました!!
彼らが帰還するのは今から十年後です。以上、ケネディ宇宙センターからの中継でしたッ!!」

460: 2010/08/24(火) 18:33:17.44 ID:xrMCxg510
こうして池田を地球に置き去りにしたまま、風越の五人は星間飛行へと出発した。
そして様々な発見をし、それらを採取、記録した。

予定では地球への帰還は十年後だったが、そのほとんどは移動時間に費やされ、
彼女たちの実質活動時間は一年にも満たなかった。
宇宙空間を移動している間はコールドスリープに入って眠ったため、
彼女たちは地球を出発してからほとんど年をとらないままだった。

そして、とうとう地球に帰還する日が来た。


461: 2010/08/24(火) 18:52:49.70 ID:xrMCxg510
文堂「はぁ…短いようで長かった。やっと帰れるんですね」

深堀「焼き鳥食べたい……宇宙食はもう飽きた」

未春「カナちゃん元気にしてるかなぁ」

コーチ「お前ら最後まで気を抜くなよ。宇宙旅行は、家に帰るまでが宇宙旅行だ!!」

福路「間もなく大気圏に突入します」

462: 2010/08/24(火) 19:12:33.68 ID:xrMCxg510
コーチ「ヒューストン、こちら風越だ。たった今大気圏に突入した。着陸の誘導を頼む」

『ガーガー、ピー、ガガー』

コーチ「ヒューストンどうした? 応答を求む、こちら風越」

『ガガー、ピー、ブツッ』

コーチ「なに!?」

福路「どうしたんですか?」

コーチ「どういうわけかヒューストンが応答しねえ。このままだとマズイぞ」

463: 2010/08/24(火) 19:18:01.83 ID:xrMCxg510
未春「そうか、着陸の時は宇宙センターのコンピューター制御で
安全に着陸する手はずだったから……」

文堂「このままサポートなしじゃ、地上に激突しますよ!!」

コーチ「落ち着け、手動操縦に切り替えろ! 私たちだけで何とかするぞ!!」

文堂「そんなムチャな! 私たちそんな訓練受けてないですよ!!」

コーチ「なにもしねえよりはマシだろうがッ!!」

465: 2010/08/24(火) 19:47:18.52 ID:xrMCxg510
ゴォォォォォォォォォッ

福路「地上まで、あと10秒……9…8…」

ガタガタガタッ

未春「うわわわわっ、操縦桿があばれて…」

コーチ「氏んでも離すなァァァッ!!」

深堀「ふんぬおおおおおおおっ」ガッ

文堂「ち、地上です!!」

ドグシャァァァァァァァァァァン!!

全員「うわああああああああぁっ」

466: 2010/08/24(火) 20:00:51.22 ID:xrMCxg510
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

未春「う…ううううっ……」

コーチ「お、おい……お前ら生きてるか…?」

文堂「な、なんとか…」ヨロヨロ…

深堀「かろうじて…」

未春「私も……ってきゃあああああああっ!?」

コーチ「何だァ!? 一体どうしたっ!!」

未春「福路先輩が……」

467: 2010/08/24(火) 20:09:45.29 ID:xrMCxg510
福路「………」ガックリ

深堀「氏んでる…」

文堂「恐らく激突の衝撃で……」

コーチ「こいつ……墜落しても一人だけ操縦桿を離さなかったのか……」

未春「キャプテンのお陰ですよ……こうしてなんとか着陸できたのは」

コーチ「そうだな……大したやつだったよ福路は……」

全員「………」

コーチ「よしっ、いつまでもウジウジしてられねえ。 外に出るぞ!!」

470: 2010/08/24(火) 20:19:54.50 ID:xrMCxg510
ドン! ドン! ガシャン!

未春「ハッチが開きました!」

文堂「ぷっはあ! やっと新鮮な空気を吸える……ってなんですかこれは!?」

外に出た四人の目に飛び込んできたのは、荒廃してすっかり荒れ果てた街の風景だった。
目に見える限りほとんどの建物が倒壊しており、いたる所に瓦礫がうず高く積み上げられている。
まるで核戦争でもした跡のようだった。

コーチ「来る星を間違えたか?」

文堂「でもこの澄んだ空気……ここは間違いなく地球ですよ!」

コーチ「とりあえず街へ探索に行ってみるか」

471: 2010/08/24(火) 20:30:51.81 ID:xrMCxg510
四人は廃墟と化した街を歩いた。
ここはまさにゴーストタウンという言葉がぴったりで、人の気配が全くなかった。

深堀「あっ、あそこにコンビニが!」

深堀の指差した先には、もうどこの系列か判別出来ないほど色あせたコンビニがあった。

コーチ「入ってみるか。食料があるかもしれん」


472: 2010/08/24(火) 20:37:37.39 ID:xrMCxg510
文堂「これ……全部腐ってますよ」

深堀「………」ガーン

コーチ「賞味期限が、軒並み10年前のモンばっかじゃねえか」

未春「置いてある新聞とかも、全部10年前の日付ですね……」

コーチ「ということはつまり、私たちが出発した後に何かがあったってことか……」

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!

474: 2010/08/24(火) 21:01:54.53 ID:xrMCxg510
未春「なに…? この音……」

文堂「外から聞こえます! きっと誰かいるんですよ!」

四人はコンビニの外へ出た。

文堂「あっ、あれ見てください! あっちに人がいますよ!!」

未春「ホントだ、三人くらいいますね……しかも馬に乗ってる……」

コーチ「なんだアレは?」

482: 2010/08/24(火) 23:44:31.55 ID:xrMCxg510
四人が発見した人間たちは、奇妙な風体をしていた。
中世の鎧のようなものを身にまとい、頭からは猫耳が、お尻からはしっぽが生えている。
三人とも馬に跨っており、手にはライフルや捕獲用の網などを持っている。
まるでこれから狩りでも始めるかのような格好だ。

文堂「コスプレってやつですかね…?」

コーチ「ちっ…まだそんなふざけた文化が残ってやがったか」

未春「っていうかあの顔見覚えが……」

その時、三人のうちの一人が、手にしたブブゼラを吹き鳴らした。

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!

483: 2010/08/24(火) 23:49:21.20 ID:xrMCxg510
それが合図だった。

パーン! パーン!

深堀「えっ…?」ポタポタ…

文堂「ふ、深堀先輩……」

パーン! パーン!

深堀「うぐっ…」

ドシャッ

484: 2010/08/24(火) 23:59:38.73 ID:xrMCxg510
文堂「うわあああっ!!!」

コーチ「あいつら、本物撃ってきやがった!!」

未春「ひいいいいいっ」ヘナヘナ~

ブブブブオォォォン!!! ブオォォォォォォ!!

イケダA「かかれだしっ!」

イケダB&C「おおっ!!」

文堂「こ、こっちに向かってきますよ!!」

コーチ「お前ら逃げろォォォッ!」

485: 2010/08/25(水) 00:09:08.78 ID:SNqXtlOg0
腰を抜かした未春を強引に引っ張り、久保は走り出した。
しかし相手は馬に乗っているのである。逃げ切れるわけがない。

イケダA「待てだしっ!!」

パーン!

コーチ「うわっ!」ドタッ

弾丸が足元をかすめ、バランスを崩した久保と未春は転倒した。

イケダA「命が惜しくば、おとなしくするし」ガチャッ

コーチ「お前…池田か……?」

486: 2010/08/25(水) 00:16:51.03 ID:SNqXtlOg0
馬上からライフルを構え、こちらに近付いてくるその人物は、
久保の記憶にある池田そのものだった。

イケダA「旧人類の分際で、我々新人類に逆らうなだし」

コーチ「はあっ!? 何言ってんだお前?」

イケダA「生意気なやつだし。やっぱり生け捕りじゃなくて、射頃するし」スチャッ

コーチ「て、てめえ……私を忘れたのか?」

イケダA「はっ? カナちゃんはお前のことなんて知らな……」

コーチ「ふざけるんじゃねえぞ、イケダァァァァァァッ!!!」

イケダA「ひっ!?」ビクッ

488: 2010/08/25(水) 00:29:35.04 ID:SNqXtlOg0
イケダA(な、なんだし…? 体が勝手に反応して震えてるし…)ガタガタ…

コーチ(何だァ? こいつ急に……)

文堂「うわああああっ、助けてえええええええ!!」

コーチ「文堂ォ!?」

見れば文堂は、残り二人のイケダによって捕獲用ネットで捕らえられていた。
二人のイケダは文堂の入った網を引きずりながら、街の中心部へと帰って行く。

イケダA「おーいっ、待ってくれだしー!!」

久保にライフルを向けていたイケダが、慌ててその後を追っていった。
あとには、茫然とした様子の久保と未春が残された。

コーチ「なんだったんだ今のは……?」

489: 2010/08/25(水) 00:36:40.86 ID:SNqXtlOg0
「驚いたわ。あいつらに、捕まりも殺されもしないなんて……」

コーチ「だ、誰だ!?」バッ

背後から急に声を掛けられ、久保は驚いて振り返った。

そこには久保と同じくらいの年齢の女性が立っていた。

久「私は竹井久。旧人類の生き残りよ」

未春「旧人類……?」

久「とりあえずここは危険よ。地下に潜りましょう」

492: 2010/08/25(水) 00:43:34.14 ID:SNqXtlOg0
地下

まこ「お帰り、リーダー。そいつらは?」

久「地上で保護したの。私たちの仲間よ」

コーチ「なあ、お前リーダーとか言われてるが…」

久「私はここで生き残った旧人類たちをまとめてるのよ」

未春「その旧人類ってのはどういうことなんですか?」

久「えっ? あなたたち知らないの?」

未春「実は私たち、かくかくしかじかで…」

494: 2010/08/25(水) 00:47:21.27 ID:1dxyCUA00
猿の惑星みたいになっとるwww

495: 2010/08/25(水) 00:51:05.40 ID:SNqXtlOg0
久「なるほど、それじゃあ知らなくても無理ないわね」

コーチ「どういうことか説明してくれるか?」

久「あなたたちが出発した直後だったかしら。世界中で突如、イケダと呼ばれる新人類が
出現したのよ。彼女たちは恐ろしい勢いで増えていったわ…」

久の説明によると、そのイケダという新人類は無性生殖によって生み出され、
まるで雨の後のタケノコのように、ボコボコボコボコと増えていったらしい。

久「あとはお決まりのパターンよ。旧人類は圧倒的な数のイケダ軍を前に、
成すすべもなく敗れ去った……今はこうして地下に追いやられてるわ」

未春「そんなことが起きてたなんて……」

496: 2010/08/25(水) 00:59:04.98 ID:SNqXtlOg0
久「やつらは旧人類を狩って楽しんでいるのよ……もう何人殺されたことか…」

コーチ「クソがっ……池田の分際で……」ゴゴゴゴゴゴ

久「やつらに見つかって無事逃げおおせた人はいないわ。でもさっきあなたちは…」

未春「あっ、そういえばコーチが叫んだ瞬間、カナちゃん怯んでましたよね」

コーチ「あいつ、昔から私のコト恐れてたからな」

久「なるほど、もしかすると……」

497: 2010/08/25(水) 01:08:44.23 ID:SNqXtlOg0
コーチ「どうした?」

久「実はね、さっきの無性生殖で生み出されたイケダたちには繁殖能力はないの」

未春「えっ、だったらどうやって増えたんですか?」

久「繁殖能力を持っているのはただ一人……オリジナルの池田華菜よ」

コーチ「なんだと!? やっぱりアイツが…!」

久「イケダたちは、いわば彼女のクローンみたいなものなのよ。
つまり、オリジナルの趣向や苦手なものをそのまま受け継いでいるてわけね」

未春「なるほど、それでコーチの罵声に反応したわけですね」

コーチ「そのオリジナルは今どこにいるんだ?」

498: 2010/08/25(水) 01:18:40.20 ID:SNqXtlOg0
久「彼女は現在、世界大統領としてホワイトハウスにいるわ。厳重な警備の元にね」

コーチ「だったらやつを殺せば……」

久「ええ、やつらの繁殖は止まる……旧人類にも希望が見えてくるわ」

未春「でも、そんなことが可能なんでしょうか…?」

久「もうすぐ2月22日よ。この日はイケダたちが人類に勝利した、いわゆる独立記念日なの。
この日は世界中で盛大なパーティーが催されるの。当然、警備もいつもより手薄になるわ」

コーチ「その日に奇襲を仕掛けるわけか」

久「そうよ。そこであなたちにも手伝ってほしいの。池田と親交があったあなた達なら、
やつらに対して有効な戦力になるかもしれないから…」

499: 2010/08/25(水) 01:25:46.05 ID:SNqXtlOg0
未春「………」

久「決めるのはあなたたちよ。ただ、旧人類が勝つチャンスは今しかないと私は考えるわ」

未春「わたし……わたしやります! いくらカナちゃんでも、これはやりすぎだと思うから」

コーチ「よく言った吉留、当然私も参加だ。世界大統領だかなんだか知らねえが、
あの野郎を一発ぶん殴らねえと気が済まねえ」

久「ありがとう二人とも。じゃあ早速作戦を練りましょう」

500: 2010/08/25(水) 01:32:32.01 ID:SNqXtlOg0
そして2月22日、ホワイトハウス前

コーチ「ホントにあっさりここまでたどり着いたな。警備は何やってんだ?」

久「今日は一年に一度、世界中のイケダがバカ騒ぎする日なのよ。
警備も、必要最小限しかいないわ」

コーチ「のん気な奴らだ……それでこそ池田か」

マホ「リーダー、今なら警備の数が少ないようです!」

久「チャンスね……全員突撃よ!!」

全員「おおっ!!」

502: 2010/08/25(水) 01:42:51.02 ID:SNqXtlOg0
タッタッタッタッタッタッ…

イケダA「ん? なんだし……」

全員「うおおおおおっ!!」

イケダA「きゅ、旧人類どもだしっ! 奴らが攻めて……」

パーン!

イケダA「き……たっ……」ドサッ

パーン! パーン!

イケダB「ぎゃあっ!」

イケダC「やられたし……」バタッ

503: 2010/08/25(水) 01:49:37.48 ID:SNqXtlOg0
イケダD「マズイし……はやく大統領に報告しないと」ピッピッ

久「やつらに報告されちゃマズイわっ!! 誰か止めて!!」

イケダD「へへっ、もう遅……」

コーチ「イケダァァァァァァッ!!!!」

イケダD「ヒィッ!!」ビクゥッ

パーン!

イケダD「ぐはっ…」

504: 2010/08/25(水) 02:01:40.02 ID:SNqXtlOg0
久「思ったとおりね。久保さんの声は、イケダたちに戦意喪失させる効果がある。
これなら大統領の所にも辿り着けるわ!!!」

マホ「おおっ、やってやるです!!」

久「建物に突入するわよ!」

ドカーン!

正面入り口をぶち破り、久に率いられた旧人類軍がホワイトハウスに突入した。
中にいたイケダたちは突然の奇襲に不意を打たれ、成すすべもなく制圧された。

京太郎「メインハウスは制圧完了。ただし大統領が見当たらねえ。ここにはいないみたいだ」

久「了解。ここはもういいから、あなたたちは他のところを捜索して」

505: 2010/08/25(水) 02:06:22.44 ID:SNqXtlOg0
他の者を捜索に行かせ、制圧が完了したメインハウスに久と未春に久保の三人だけが残った。

コーチ「なんだこの碑文は……池田の池田による池田のための政治だとォ?」

久「それが彼女のモットーよ。彼女は旧人類をモルモット程度にしか見てないの」

コーチ「ちっ、ふざけた世の中になったもんだ」

久「ここワシントンにはイケダ像を祀ったイケダ記念館が。
ニューヨークに行けば、自由のイケダ像とかもあるわよ」

コーチ「それを聞いて、ますますやつをぶん殴りたくなってきたよ」

久「頼りにしてるわよ。池田を倒すカギは、あなたなんだから……」


ザザザザザザザザッ!

「動くなだしっ!!!」

506: 2010/08/25(水) 02:12:33.15 ID:SNqXtlOg0
ズドン!

久「ぐっ……」ドサッ

未春「竹井さん!」

池田「にゃはははははっ、まんまと引っ掛かったし!
旧人類抵抗軍のリーダーが、自分からのこのこやってくるとは……」

久「罠……だったの……」

コーチ「おいっ、もう喋るな!」

久「久保さん、お願い……人類を……」ガクッ

コーチ「竹井……くっ、池田てめええええええええっ!!!!」

508: 2010/08/25(水) 02:21:56.86 ID:SNqXtlOg0
池田「おっと動くなだし。お前たちは今、100人のイケダ軍に囲まれてるんだぞ」

池田の言うとおり、久保と未春の周囲を大勢の量産イケダが囲んでいた。
今までどこかで待ち伏せしていたのだろう。
始めから警備は手薄などではなかったのだ。

コーチ「ふん、何人いようが怖くねえぞ。私の一声でこいつらは…」

池田「だったら試してみるか…?」

コーチ「いいだろう……イケダァァァァァァッ!!!!」

509: 2010/08/25(水) 02:34:36.93 ID:SNqXtlOg0
イケダ軍「………」シーン

イケダ軍は特に慌てふためく様子も見せず、銃を構えたまま微動だにしなかった。
要するに、何も起こらなかったのだ。

コーチ「そんなバカな……」

未春「一体どうして? さっきはちゃんときいたのに……」

池田「バカな二人のために教えてやるし。こいつらは脳を操作して、
余計な情報は遮断するように造られた、完全な私の操り人形なんだし!!」

コーチ「なにィ!?」

511: 2010/08/25(水) 02:39:11.68 ID:SNqXtlOg0
コーチ「こいつら仮にもお前の仲間だろうが! そんな非人道的なことが許されると思ってるのかァ!?」

池田「ここでは私が王なんだし! だから好き放題しても許されるんだし!!」

コーチ「てめえ……」

池田「そうだ、二人に面白いものを見せてやるし」

未春「面白いもの……?」

池田「私のペットを紹介するし……ブンドー、こっち来るし!!」

コーチ「なん…だと…?」

512: 2010/08/25(水) 02:43:57.35 ID:SNqXtlOg0
ペタペタペタ…

文堂「にゃあ」

池田「ブンドー、お手」

文堂「……」パシッ

池田「よーしよく出来たし」ナデナデ

コーチ「なん…なんだ……アレは……」

未春(文堂さんの目……完全に生気を失ってる……)

コーチ「池田、てめえまさか…」

池田「連れてきた当初はあんまり言うコト聞かなかったから、こいつも脳を手術したし。
ホラ、今じゃすっかり命令を聞くように……」

513: 2010/08/25(水) 02:48:59.69 ID:SNqXtlOg0
未春「そんなのってないよカナちゃん!!!」

池田「にゅあっ?」

未春「よくも同じ人間に……あまつさえ昔の友達にそんなことが出来るね!?
カナちゃんは……お前は、人間じゃない!!!」

コーチ「吉留……」

未春「お前の……てめえらの血は何色だぁぁぁぁぁぁっ!!」

池田「うるさい、氏ねだし」

バーン!

515: 2010/08/25(水) 02:56:13.33 ID:SNqXtlOg0
未春「かはっ…」

ドサッ

コーチ「イケダァァァァッッ!! お前昔の親友をあっさりと……」

池田「ふん、笑わせるし! あの時一人だけ宇宙に連れて行ってくれなくて、何が親友だし」

コーチ「てめえやっぱり、あの時のことを…」

池田「さぁコーチ、あんたもそろそろ終わりだし。この華菜ちゃんが直々に処刑してやるし」

その一声で、量産イケダが久保コーチを拘束し、床に押し倒した。

コーチ「チ、チクショオオオオオオッ!! 許さねえぞイケダァァァァッ!!!」ジタバタ

池田「己の無力さを思い知るがいいし! ここでは華菜ちゃんが王なのだから……
にゃははははははははははははははっ!!!」

516: 2010/08/25(水) 02:59:35.14 ID:SNqXtlOg0
池田「にゃはははははっ……うーんむにゃむにゃ……」

コーチ「イケダァァァァッ!!! いつまで寝てんだァ!!!」

池田「うーん…うっさいし……華菜ちゃんに逆らうと処刑するぞ……」

コーチ「ンだとォォォッ!? この野郎ッ!!」ギリギリギリギリ

池田「い、いだだだだだだだだっ……や、やめて……」

コーチ「目は覚めたかァ? 池田ァァァッ!!」

池田「ん………は、はい!コーチ!!」

コーチ「もう勤務時間なんだよ! さっさと行ってこい!!」

池田「はいっ!!」ピュー

517: 2010/08/25(水) 03:04:46.41 ID:SNqXtlOg0

コーチ「ふぅ……それにしても、私たちがいない間に妙なことになってたんだな」


池田の見た夢は、途中までは本当だった。

久保たちが地球を出発後、池田から生み出された新人類イケダは、
瞬く間にその数を爆発的に増やしていった。

しかしイケダが束になったところで人類全体に勝てるわけがなく、反乱は失敗。

その後はコントロールのし易さと、量産が容易で耐久性が高いことなどに目を付けられ、
イケダは世界各地に奴隷労働者として駆り出されたいった。

519: 2010/08/25(水) 03:15:39.47 ID:SNqXtlOg0
この十年間で、世界各地の発展途上国は軒並みGDPが上昇し、
労働力不足問題は解決へと向かっていった。
他にも映画のスタントや、人間には危険な現場での作業などにもイケダは利用され、
高い成果を上げていた。

最近では戦闘力を向上させ、どうにか軍事利用できないかという研究もなされているらしいが、
久保から見ればそれは金の無駄にしか思えなかった。

コーチ「だって元が池田だしなぁ……」

そんな中、最近社会問題となっているのが、用済みになったイケダを路上に放置する、
捨て猫ならぬ捨てイケダの増加だった。

このままでは近い将来、本当に地球がイケダで埋め尽くされる日が来るかもしれない…


     池田の惑星/PLANET OF THE IKEDAS  完

次回  ゆみ「そばにいてくれ…」

523: 2010/08/25(水) 03:26:52.32 ID:SsuS7aHW0
いまさらだがヘルカイザーにワロタ
乙だぜ

524: 2010/08/25(水) 03:27:33.37 ID:NRjKklCC0

引用元: 咲「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」