900: 2010/08/27(金) 14:00:16.53 ID:RUQzi06L0

20××年 東京

福与『決ィまったァァァッ!!! 麻雀界を巻き込んだ注目の一戦、
因縁の姉妹対決を制したのは、妹の宮永咲だァァァッ!!」


照「私が……負けた……?」

咲「お姉ちゃん、やっと決着が付いたね……私たちの長きにわたる戦いに」

照「う、嘘だっ…」

咲(昔は麻雀を通してお姉ちゃんと仲直りするのが夢だった。でも、それはもう……)

照「う…うわあああああああっ!!!」
咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
901: 2010/08/27(金) 14:05:31.89 ID:RUQzi06L0
200×年 東京 インターハイ会場

福与『決ィまったァァァッ!!! 清澄高校竹井久、副将にまわすことなく一回戦突破だ―ッ!!』


京太郎「すっげーな、うちの部長は」

咲「うん、でもちょっと残念だな。私も打ちたかっ…」ブルッ

京太郎「どした?」

咲「ちょっとおトイレに…」

京太郎「あ、俺も行こう」

902: 2010/08/27(金) 14:10:17.84 ID:RUQzi06L0
トコトコトコトコ…

京太郎「なあ咲……もうお姉さんには会ったのか?」

咲「いや、まだ会ってないけど」

京太郎「今白糸台の試合やってるけど…見に行かなくていいのか?」

咲「いいの。お姉ちゃんとは、決勝に行くまで会わない」

京太郎「何故だ? 昔はあんなに仲が良かったのに……」

咲「前会った時も一言も口きいてくれなかったもん。きっとお姉ちゃんは私のこと嫌ってるんだと思う」

903: 2010/08/27(金) 14:17:41.30 ID:RUQzi06L0
京太郎(そんな……二人の間に一体なにがあったんだ?)

咲「私、麻雀を通してならお姉ちゃんと話せる気がするんだ」

京太郎「咲…」

咲「だからそれまではお姉ちゃんに……」

ザッ…ザッ…ザッ…

京太郎「!! お、おいアレって……」

照「………」

咲「お姉ちゃん?」

904: 2010/08/27(金) 14:23:53.60 ID:RUQzi06L0
京太郎(何でこんなところに? 白糸台は今試合中のはずだろ?)

照「………」

咲「あっ……えっと…」

照「…咲」

咲「は…はいっ!」

照「やっと見つけた…」

905: 2010/08/27(金) 14:30:50.21 ID:RUQzi06L0
咲「えっ?」

照「私はお前に会いたかった…」

咲「えっ…ホ、ホントに? お姉ちゃん…」

照「さあ、こっちへいらっしゃい…」

咲「お姉ちゃん…」ジワッ

京太郎「何だかよく分からないけど……ともかく良かったな、咲!」

咲「う、うん!」

照「……」ニヤリ

906: 2010/08/27(金) 14:38:57.51 ID:RUQzi06L0
バァァァァン!

咲「!?」

京太郎「ぐふっ…」

照「………」ガチャッ

咲「お、お姉ちゃん……なんで鉄砲なんか持ってるの……」

京太郎「照さん…どうして…」

ドシャッ

咲「京ちゃん!」

907: 2010/08/27(金) 14:44:11.03 ID:RUQzi06L0
咲「どうして…どうして…」

照「あははははははっ!!!」

咲「!!」

照「嘘だよ!! お前と仲直りなんてするわけないだろ!?」

咲「そんな…」

照「お前を許すもんか……私をこんな体にしやがって…」

咲「な、何を言ってるの…?」

照「氏ね」ジャキッ

咲(ひっ……殺される)


「伏せろ!」

908: 2010/08/27(金) 14:52:44.24 ID:RUQzi06L0
ズドォォォン!

照「ぐがっ?」

咲「!?」

ズドォォン! ズドォォン!

照「ぐふっ…ぐはっ…」

ズドォォン! ズドォォン! ズドォォン!

照「ぐぁぁっ!」

ドサッ

咲「だ、誰…?」

咲は後ろを振り返った。


京太郎「大丈夫か?」

そこにはショットガンを構えた京太郎が仁王立ちしていた――全裸で。

909: 2010/08/27(金) 14:57:52.79 ID:RUQzi06L0
咲(京ちゃん?というかなんで服着てないの?)

京太郎「何とか間に合ったみたいだな。立てるか?」

咲「あれ…でも…」

相変わらず全裸で直立不動の京太郎の横には、先程照に射殺された京太郎が
血まみれで横たわっていた。


咲「京ちゃんが……二人?」

京太郎「話はあとだ。逃げるぞ」

910: 2010/08/27(金) 15:01:40.65 ID:RUQzi06L0
咲「逃げるってどこに…」

照「あーびっくりした」ムクッ

咲「!!」

照「しかし全然痛くないな…」

京太郎に撃たれたはずの照はゆっくりと起き上がると、
そのまま咲の方へと向かってきた。

咲「なんで生きてるの…? あんなに撃たれたのに…」

京太郎「会場の外まで走れ! 俺が足止めする」

911: 2010/08/27(金) 15:10:49.18 ID:RUQzi06L0
駐車場

タッタッタッタッ…

咲「ハァ…ハァ…さっきのは一体…」

京太郎「おーい、咲!」

会場の入り口から、京太郎が下半身をぶらぶらさせながら走ってきた。

咲「京ちゃん、いいかげん服着てよ!」カァァ

京太郎「今はそんな暇はない」

言うなり、京太郎は近くに停めてあった車の窓ガラスを素手でぶち破った。

京太郎「乗れ」

912: 2010/08/27(金) 15:17:00.93 ID:RUQzi06L0
ブロロロロロ…

京太郎「それで、何か聞きたいことはあるか?」

咲「山ほどあるよ。多すぎて、どれから聞けばいいのか分からないくらい」

京太郎「では順を追って話そう。どうしてこんなことになったのかを」

咲「」コクッ

京太郎「今から数年後、麻雀界に怪物が誕生する。名前は宮永照、お前の姉だ」

913: 2010/08/27(金) 15:22:56.14 ID:RUQzi06L0
京太郎「宮永照は圧倒的な強さを誇った。誰も彼女に勝てない。
このままでは麻雀界のバランスが崩れてしまうところだった」

京太郎「そこでプロ団体の理事たちは一つの策を思いついた。
毒を持って毒を制す。宮永照に、妹である咲をぶつけることだった」

咲「………」

京太郎「理事たちは二人を対決させるため、あらゆる手を尽くした。
いたずらに確執を煽り立て、互いに憎しみ合うよう仕向けた。
元々関係が良好でなかった二人は、対立を深めていった」

咲「そんな…そんなことって…」

914: 2010/08/27(金) 15:30:34.60 ID:RUQzi06L0
京太郎「理事たちの思惑通り、二人は激突した。そして咲、お前が勝った」

京太郎「しかしそこで皆が気付いた。咲は、宮永照をさらに上回る怪物だったことに」

京太郎「今度は咲を止められる者がいなくなった。
途方に暮れた理事たちは、とうとう手段を選ばなくなった。それは…」

咲「もしかして……タイムマシン?」

京太郎「ご名答。過去に戻って、まだ有名になる前の咲を頃す計画だ」

915: 2010/08/27(金) 15:37:08.11 ID:RUQzi06L0
咲「それで、私を頃す役をお姉ちゃんが引き受けたの?」

京太郎「宮永照はお前に敗れた後、自殺未遂をしていた。
一命は取り留めたものの体はボロボロで、一生寝たきりになるのは確実だった」

京太郎「そこで宮永照は体を改造され、サイボーグとして生まれ変わった。
あれは宮永照の形をした化け物だ」

咲「ひどい……そんな安っぽいSFみたいな話が……」

京太郎「事実は小説よりも奇なり。俺もサイボーグだ」

916: 2010/08/27(金) 15:42:22.29 ID:RUQzi06L0
咲「あっ…そういえば京ちゃんは……」

京太郎「そう。俺は今日確かに氏んだ。だが未来で改造手術を受け、新しい命を吹き込まれた」

咲「えっ…」

京太郎「お前を頃すことに反対する一派もいるってことだ。俺の使命はお前の護衛だ」

咲「そう……なんだ」

京太郎「さすが文学少女。飲み込みが早くて助かる」

咲「なんか…ごめんなさい。私たち姉妹の争いに巻き込んじゃって…」

京太郎「いや、気にするな」

917: 2010/08/27(金) 15:51:01.02 ID:RUQzi06L0
京太郎「さて、長ったらしい説明タイムは以上だ。そろそろ退屈してきたトコだろう?
今度は咲の方から質問したいことはあるか?」

咲「じゃあさ……なんで全裸?」

京太郎「タイムマシンは生身しか転送できない。ゆえに、来るときは裸だ」

咲「理屈は分かったけど、私一応女の子なんだからね? 少しは気を使ってよ!」

京太郎「何故だ? 俺と咲は幼馴染だ。俺に内蔵されたwikiによれば、
幼馴染というのはお互い気の置けない間柄だと……」

咲「もう!サイボーグになってからの京ちゃん変だよ。 恥ずかしくないの?」

京太郎「俺には感情がない」

咲「………」

918: 2010/08/27(金) 15:56:47.94 ID:RUQzi06L0
咲「……あれっ? でもお姉ちゃんは、私に敵意むき出しで襲ってきたよね?」

京太郎「やつは生きたまま改造されたからな。一方、俺は氏者だ。その違いだろう」

咲「でも、昔の記憶は残ってるんでしょ?」

京太郎「ああ。咲がトイレに行った回数から和のスリーサイズまで、全て記憶している」

咲「えOちいことばっかじゃん……」

京太郎「それだけではない。優希が食ったタコスの数、部長のシワの本数から、
染谷先輩がみんなに無視された回数まで……」

咲「もういいです」

920: 2010/08/27(金) 16:00:04.52 ID:RUQzi06L0
ファンファン ファンファン

咲「!?」

パトカー『そこの車両、止まりなさい。その車は盗難届が出ている』

咲「あっ、マズイよ京ちゃん。ここはいったん止めて…」

京太郎「」グッ

ブォォォォォォォン!

咲「ちょ…止まるどころか加速するなんて……警察にも追われるよ!?」

バァァァァン!

咲「きゃっ…」

921: 2010/08/27(金) 16:08:50.00 ID:RUQzi06L0
咲「いきなり撃ってきた!?」

京太郎「運転席をよく見ろ」

咲「えっ……あ!」

パトカーからは、満面の笑みを浮かべた照が、ショットガンでこちらを狙っていた。

照「さーきーちゃん、あっそびましょー」ガチャッ

バァァァン! バァァァン!

咲「ひぅ…」

京太郎「運転を代われ」

923: 2010/08/27(金) 16:12:52.72 ID:RUQzi06L0
咲「えっ、ちょっ…ムリだよぅ…」

京太郎「ハンドルを握ってるだけでいい」

そう言って京太郎はショットガンを構え、車の窓から身を乗り出した。

照「銃撃戦か…おもしろい」

バァァァン! バァァァン!

京太郎「食らえ」

ズドォォン! ズドォォン! ズドォォン!

照「ひゃははははっ!!!」

925: 2010/08/27(金) 16:18:30.55 ID:RUQzi06L0
ズドォォン! ズドォォン!

京太郎(お互い銃弾ごときでは氏なない身体……しかしこちらには咲がいる)

京太郎「咲、ブレーキを踏め」

咲「ええっ、どうして?」

京太郎「戦いは攻める方が有利だ。ならばこちらから仕掛ける」

咲「でも…危険だよ!」

京太郎「どけっ、俺がやる」ガサッ

咲「きゃっ、変なモノあてないで!」

京太郎「」グィッ

キキィィィィィィ!!

927: 2010/08/27(金) 16:22:01.44 ID:RUQzi06L0
照「!!」

ガシャァァァァン!!

咲「きゃああっ!」

京太郎「今だ、アクセルを踏み込め」

グィッ

ブォォォォォォン!!

咲「ハァ…ハァ…」ドキドキ

京太郎「このまま加速して振り切るぞ」

928: 2010/08/27(金) 16:30:12.95 ID:RUQzi06L0
一時間後

咲「もう…追ってこないかな?」

京太郎「恐らくやつはこちらを見失っただろう」

ブロロロロロロ…

咲「車がガタガタだよ。なんか変な音してるし」

京太郎「この車は捨てるか……それに今夜泊まるところを探さないとな。
お前は人間だ。色々と疲れただろう」

咲「あっ…うん。でもまずはその格好をなんとかしないと…」

京太郎「むぅ……では多少荒っぽい方法になるが…」

929: 2010/08/27(金) 16:36:03.08 ID:RUQzi06L0
京太郎「おい、そこのお前」

池田「にゃっ!?」

京太郎「お前の服をよこせ。今すぐに」

池田「きゃあああっ!! ここにフルチンの変態がいるし!! おまわりさーん!!」

京太郎「黙れ」ドゴォ

池田「ぐぼぉっ…」ガクッ

――――――――

京太郎「どうだ?」

咲「着替え直して! 一秒でも早く!!」

930: 2010/08/27(金) 16:41:35.58 ID:RUQzi06L0
京太郎「君の着ている服と靴と車が欲しい」

ホスト「ああっ? 舐めたコト言ってんじゃねえぞガキが…」

ドガッ バキィ

――――――――

京太郎「どうだ?」

咲(わっ……スーツ姿の京ちゃんってカッコいい……)

咲「う、うん……けっこう似合ってると思うよ…」ドキドキ


京太郎「ではお姫様。どうぞお乗りください」ガチャッ

咲「………」

京太郎「昔の記憶を頼りに言ってみたが、気に障ったか?」

咲「いや、なんだか昔の京ちゃんみたいだなって思ってね」

京太郎「このままホテルに行くぞ」

931: 2010/08/27(金) 16:46:23.75 ID:RUQzi06L0
ホテル

咲「ふー、疲れた」ドサッ

京太郎「咲、寝転がる前にちょっと手伝ってくれないか?」

咲「何を?」

京太郎「」バサッ

咲「きゃっ…いきなり脱ぐなんて何考えてるの京ちゃん!」カァァ

京太郎「お前こそ何を考えてるんだ。ここを見てくれ」

933: 2010/08/27(金) 16:50:40.47 ID:RUQzi06L0
咲「お姉ちゃんに撃たれたところ…?」

京太郎「俺は二つの水素電池を動力源にしている。さっきの戦闘で一個が故障した」

プシュゥゥゥゥ

咲「お腹が開いた…」

京太郎「壊れてる方ほうを取り出してくれ…慎重にな」

咲「これはどういうものなの?」

京太郎「見た目は小さいが、膨大なエネルギーを蓄積している。
不安定なると爆発するんだ。この部屋くらいなら、軽く吹っ飛ばせるぞ」

咲「そ、そんなに危険なの?」

京太郎「もう手を触れるなよ。これは俺が管理しておく」

934: 2010/08/27(金) 17:00:16.80 ID:RUQzi06L0
京太郎「あとは撃たれたところの治療をする」

咲「痛むの?」

京太郎「痛みはないが、血を流しっぱなしはマズイ。手伝ってくれ」

咲「う、うん…」

咲は京太郎が自分の身体を治療するのを手伝った。
彼の身体は無数の弾痕だらけだった。

咲「京ちゃん…こんなになるまで私のことを……」ジワッ

京太郎「さっきも言った通り、お前は気にしなくていい」

咲「で、でも……」グスッ

京太郎「お前は昔から本当に泣き虫だな……」

咲「う…うぅ……グスッ」

京太郎「俺は何があってもお前のことを守る」

咲「京ちゃん……///」

936: 2010/08/27(金) 17:05:20.41 ID:RUQzi06L0
ぐぅぅぅぅぅ~

咲「あっ……」

京太郎「腹が減ったのか。仕方ない、俺が何か買ってくる」

咲「私も行くよ」

京太郎「ダメだ、お前はこの部屋から出るな」

咲「むぅ…」

京太郎「すぐ戻る」

ガチャッ…バタン

咲「……シャワーでも浴びようかな」

938: 2010/08/27(金) 17:10:47.06 ID:RUQzi06L0
咲「ふぅ……やっと一息つけたよ」

ブー ブー

咲「!!」

咲(部長から非常用に渡されたケータイが鳴ってる…)

ピッ

咲「はい、もしもし…」

『咲? よかった、無事なのね』

咲「部長ですか?」

『もうどこ行ってたのよ? 会場で須賀君が殺されて、あなたまで行方不明になって……
とっても心配したんだからね?』

939: 2010/08/27(金) 17:16:04.40 ID:RUQzi06L0
咲「すいません心配かけて……でも私は大丈夫ですから」

『一体何があったの? あなた今どこにいるのよ?』

咲「それはちょっと言えないんです…」

『……なんか怪しいわね。ひょっとして、何かやっかい事に巻き込まれてるんじゃない?』

咲「ち、違いますってば! 全然問題ないですよ」

『もう夜中なのに、あなた家に帰ってないそうじゃない。どこに泊まる気よ』

咲「今、○○ホテルに……あっ、もちろん一人でですよ!?」

『ふーん…』

咲「?」



照『それを聞いて安心したわ。またね、咲』ガチャッ

940: 2010/08/27(金) 17:23:14.99 ID:RUQzi06L0
ガチャッ

京太郎「戻ったぞ」

咲「あ、お帰り…」

京太郎「俺がいない間に何か変わったことはなかったか?」

咲「えっと…そういえば部長から電話があったんだけど…」

ブー ブー

咲「…また電話?」

京太郎「待て、俺が出る」

ピッ

京太郎『はい、宮永咲です』

『もしもし、私てるてる。今、ホテルのフロントにいるの』

京太郎「……」ピッ

京太郎「やつに居場所がばれた」

942: 2010/08/27(金) 17:30:13.71 ID:RUQzi06L0
咲「そんな…どうして?」

京太郎「今して見せたように、俺たちサイボーグは声帯模写が出来る。お前は騙されたんだ」

ブー ブー

京太郎「」ピッ

『もしもし、私てるてる。今、エレベーターに乗ってるの』

京太郎「マズイな…」

943: 2010/08/27(金) 17:35:34.27 ID:RUQzi06L0
ブー ブー

『もしもし、私てるてる。今、扉の前に…』

京太郎「さっさと失せろ、ベイビー」

ズドォォン!

照「うぐぉぉっ!」ドカッ

至近距離から撃たれて、照は部屋のドアごと吹っ飛んだ。

京太郎「さ、今のうちだ。逃げるぞ」

咲「う、うん…」

944: 2010/08/27(金) 17:41:47.28 ID:RUQzi06L0
駐車場

京太郎「早く乗れ!」

咲「は、はい」ガチャッ

ブォォォン!

京太郎「いいか? 出発するぞ…」

ズドドドドドドドッ!

咲「きゃっ!」

照「まぁ~て~」チャキッ

京太郎「出すぞ!」グィッ

キキィィィィ…ブロロロロロロ…

945: 2010/08/27(金) 17:47:52.20 ID:RUQzi06L0
ブォォォォォン…

京太郎「ケガはないか?」

咲「うん、大丈夫だよ」

京太郎「後ろを見ろ。車が追いかけてきてないか?」

咲「ううん…」

京太郎「妙だな」

ブー ブー

京太郎「また電話か…」

ピッ

『もしもし、私てるてる。今お空を飛んでるの』

咲「!!」

バラバラバラバラバラバラ…

京太郎「上か!」

947: 2010/08/27(金) 18:00:13.18 ID:RUQzi06L0
咲たちを乗せた車の上空にヘリが飛来した。
操縦席にはもちろん、邪悪な笑みを浮かべた照の姿が――

咲「まさか…ヘリまで使って追ってくるなんて……」

『咲…今からとっておきのプレゼントあげる……』

咲「えっ?」

ヒュルルルルルル……ドゴォォォン!

咲「うわぁっ!!」ガタガタッ

京太郎「爆弾だと…? どこで手に入れたか知らんが、やっかいな……」

948: 2010/08/27(金) 18:06:16.30 ID:RUQzi06L0
咲「きょ…京ちゃん、どうしよう?」

京太郎「落ち着け、なんとか回避してみる」

京太郎(とは言ったものの、車とヘリではこちらが圧倒的に不利だ…)

照『あはははははははっ!!!』

ヒュルルルルルル……ドゴォォン! ドゴォォン!

京太郎「くっ…」

京太郎(こうして避け続けるのにも限界がある……なんとかしなければ)

949: 2010/08/27(金) 18:13:46.15 ID:RUQzi06L0
京太郎(爆弾……そうだ、いい手がある……)

京太郎「咲、運転を代われ」

咲「またっ? 一体何する気なの!?」

京太郎「やつが爆弾を落としてくるところを狙い撃つ」ガチャッ

京太郎はショットガンを引っ掴み、窓から身を乗り出した

その瞬間――

ドゴォォォン!

京太郎「うぉっ!?」

車の至近距離で爆発が起きた。

咲「!! 京ちゃん! 大丈夫!?」

京太郎「くそっ…身体のあちこちをやられた……」

照『あっははははははっ!!! バーカ、最初からこれを狙ってたんだよ!!』

951: 2010/08/27(金) 18:19:04.21 ID:RUQzi06L0
バラバラバラバラバラ……

咲「!?」

ヘリのローター音がさっきより近付いてきている。
見ればヘリはみるみる高度を落とし、車の真横に接近してきていた。

照『もう反撃を恐れる必要もない……今頃しに行くからね咲……』

咲「ひっ…」

そして、とうとう車とヘリが横並びになった。

照「バイバイ咲」チャキッ

ヘリの窓から突き出された銃口が鈍く光った。

咲「……っ」

952: 2010/08/27(金) 18:25:17.86 ID:RUQzi06L0
京太郎「伏せてろ」ガバッ

咲「えっ?」

ヒュッ

京太郎がヘリに向かって何かを投げつけた、次の瞬間――

ズドォォォォォォン!!!

咲「きゃああっ!!」

京太郎「ぐっ!!」

今までにない猛烈な衝撃が二人を襲った。

953: 2010/08/27(金) 18:31:03.71 ID:RUQzi06L0
シュゥゥゥゥゥゥ…

咲「う…うぅ……」

京太郎「…大…丈夫か…?」

咲「う……痛ッ…!」ズキッ

京太郎「足に金属の破片が刺さってる。あまり動かさない方がいい」

咲「い…一体何がどうなったの…?」

京太郎「やつを油断させ、こっちに接近させるのが俺の狙いだった。
そしてやつに、水素電池をプレゼントしてやったのだが……」

咲と京太郎は、横転した車の中にいた。

京太郎「威力が強すぎて、俺たちも巻き添えを食らってしまった」

咲「お姉ちゃんは…」

京太郎「とりあえずここから這い出せ」

954: 2010/08/27(金) 18:39:32.29 ID:RUQzi06L0
咲「うぅ、足が痛いよぅ……」ズルズル

苦労して車から這い出ると、墜落して炎上しているヘリの残骸が目に入った。

咲「お姉ちゃん…」

京太郎「どうやら倒せたみたいだな…」ガクッ

咲「京ちゃん、しっかりして!」

京太郎「さっきので大分派手にやられたようだ…」

バキン!

955: 2010/08/27(金) 18:45:38.51 ID:RUQzi06L0
京太郎「!!」

咲「なに、今の音?」

京太郎「あいつだ…」


照「さぁぁぁきぃぃぃぃ…」

ヘリの残骸を押しのけ、照が姿を現した。
身体のあちこちの皮膚が削げ落ち、金属骨格のフレームがむき出しになっている。

照「頃す頃す頃す頃すコロス…」

956: 2010/08/27(金) 18:52:01.36 ID:RUQzi06L0
咲「い、いや…」

京太郎「……咲、お前は一人で逃げろ」

咲「そんな…一緒じゃなきゃ嫌だよ!」

京太郎「俺にお前を守る力は残されてない。ただ…」

プシュゥゥゥ…

京太郎「水素電池はもう一個ある。これで俺もろともやつを…」

咲「ダメだよ! 京ちゃんが氏ぬなんてそんな…」

京太郎「咲、俺は機械だ。人間だった須賀京太郎はもう氏んだ」

咲「………」

京太郎「だが、俺はお前を氏なせたくない。これは俺の本心だ」

咲「京ちゃん…」

957: 2010/08/27(金) 18:57:08.83 ID:RUQzi06L0
京太郎「咲、最後に一つだけ言っておく」

咲「…なに? 京ちゃん…」

京太郎「恐れるな。未来は変えられる」

咲「!!」

京太郎「行け!」

958: 2010/08/27(金) 19:00:27.86 ID:RUQzi06L0
咲「……うん」

タッタッタッタッ…

咲は痛む足を引きずりながら精一杯走った。

照「逃がすか…」

京太郎「おっと、お前はこっちだ」

ガシッ

照「!!」

京太郎「ふん……」メキメキメキ…

照「くそっ…離せえええええええ、モガッ…」

京太郎は照の口に水素電池を突っ込んだ。

京太郎「アイルビーバック…」


ズドォォォォォォォォォン!!!

959: 2010/08/27(金) 19:06:57.95 ID:RUQzi06L0

20××年

咲「京ちゃん…」

あれから数年後、私は京ちゃんのお墓を訪れていた。
もちろん、ここに眠ってるのはインターハイの日に、未来のお姉ちゃんに殺された方の京ちゃんだ。

咲「京ちゃん……私ね、今日お姉ちゃんと仲直り出来たんだ」

私は冷たい墓石を優しくなぞった。

咲「あの日から…少しずつ、ゆっくり時間をかけて」

咲「私、もう麻雀を通してしかお姉ちゃんと話せないと思ってたけど、そんなことはなかったよ…」

960: 2010/08/27(金) 19:09:59.35 ID:NxGjrBMa0
I'll be back...

961: 2010/08/27(金) 19:12:18.80 ID:RUQzi06L0
咲「未来は変えられる……京ちゃんの言った通りだったよ」

私はとっくに、競技麻雀の表舞台からは去っていた。
姉もこの仲直りを機に、引退を考えているらしい。

咲「これで、もうあんな悲劇は起きずに済むんだよ……」

咲「だから、安心して眠ってね……」グスッ


「咲、何でなにもないところに向かって喋ってんだ?」

962: 2010/08/27(金) 19:13:29.96 ID:lrFKuBuX0
ホヮ・・・ッツ・・・?

963: 2010/08/27(金) 19:18:01.79 ID:RUQzi06L0
咲「えっ?」

ついさっきまで私の目の前にあったはずの墓石が消失していた。

いや――それよりも驚いたのは、背後から聞こえた懐かしい声。

咲「京ちゃん?」

京太郎「よっ」

振り向くとそこにはあの人が立っていた。
まるで何事もなかったかのように、けろっとした様子で。

京太郎「戻ってくるって言っただろ?まあ、お前のおかげなんだけどな」

咲「京ちゃん!」


私はあの人の胸に飛び込んだ――大好きなあの人に

そう、未来は変わったんだ――


     ターミ姉ちゃん  完

ラスト  咲「声が聞こえる…」

引用元: 咲「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」