1: 2015/05/09(土)21:31:13 ID:TCh
盗賊「ちっ……」
女騎士「最後の1人だ。観念しろ」
盗賊「……仲間の仇、討たせてもらうっ!」ダッ
女騎士「ふっ!」ザシュッ
盗賊「グフッ……無念……!」バタッ
女騎士「……さぞや結束のある組織だったのだろう。だが、お前たちの所業は目に余る」
盗賊「……ああ、そうさ、盗賊だからな……だからこそ……」
盗賊B「」ダッ
女騎士「っ、新手か!?」
盗賊B「氏ねっ!」
副隊長「危ない!」ビュッ
盗賊B「なっ、弓兵……!」ドサッ
女騎士「……絶命したか。すまない、副隊長。油断した」
副隊長「いえ、ケガがないようでなによりです!」
2: 2015/05/09(土)21:32:17 ID:TCh
副隊長「ーーと、ここのアジトは制圧できましたが……」
女騎士「ああ、分かっている。リストよりも敵の数が少ない」
副隊長「首領は捕らえ、アジトは制圧。盗んだ金品は押収、監禁されていた女性は保護したとはいえ、これは……」
女騎士「……取り逃がしたか。首領を見捨てて逃亡とは。やはり悪党か」
副隊長「追撃の部隊を出しますか?」
女騎士「イヤ、そこまでこちらの人員もいないだろう。敵の首領や女性たちを奪還される方が怖い。1度城へ戻ろう」
副隊長「分かりました。指示を出しておきます」
女騎士「ああ、頼む。私は城に一報を入れよう。凱旋だ」
3: 2015/05/09(土)21:33:07 ID:TCh
ーー城内、謁見の間
国王「おお、女騎士、戻ったか。此度の討伐任務、ご苦労であった」
女騎士「労いの言葉、痛み入ります」
国王「まさに古今無双の騎士隊よ。此度の任務においても氏者は0。お主の統率力と指揮の賜物であろう」
女騎士「恐れながら、国王様。それは兵たちが日々鍛錬を欠かしていない証拠。賞賛の言葉は彼らにこそかけられるべきです」
国王「はっはっは! 人の上に立つ者の鑑よなぁ! わしも見習わねばな。よし、騎士隊には褒美を取らす」
女騎士「有り難き幸せ」
国王「これからも頼むぞ、女騎士」
4: 2015/05/09(土)21:33:55 ID:TCh
ーー城内、廊下
副隊長「隊長、謁見は終わりましたか?」
女騎士「ああ。喜べ、国王様より褒美が出るそうだ」
副隊長「お、おお、それはみんなも喜ぶでしょう」
女騎士「? ああ、そうだな」
副隊長「……? な、なにか?」
女騎士「イヤなに、キミがそれほど嬉しそうでもなかったのでな。普段なら小躍りして喜ぶだろう?」
副隊長「えっ!? いやいや、喜んでますよ」アセッ
女騎士「そうか? ……そう言えば、昨日は危ないところを救われた。借りができたな」
副隊長「そんな、それで言ったら自分なんて隊長に借りっぱなしですよ」
女騎士「ふふ、謙遜するな。当代一の弓の名手に貸しを作った覚えはない」
副隊長「……ど、どうも……」
女騎士「なにかしらの形で返してやりたいが、さて、どうしたものか」
副隊長「……あー、その、それなら……」
6: 2015/05/09(土)21:34:33 ID:TCh
貴族「おや、女騎士どの!」
副隊長「!」
女騎士「む、貴族どの。お久しぶりです」
貴族「久しぶりですな! 凱旋の様子は見ておりましたよ! 騎士隊にあっては相変わらずの人気ぶりで!」
女騎士「おかげさまで。守るべき民に支持を得られるとは嬉しいものです」
貴族「人とは強きものに憧れ、羨望の眼差しを向けるものです! なれば、騎士隊に人気が出るのもまた道理!」
女騎士「ふふ、痛み入いります」
貴族「どうです? 此度の凱旋を記念し、これから晩餐でも!」
副隊長「!」
7: 2015/05/09(土)21:35:05 ID:TCh
女騎士「申し出はありがたいですが、討伐から帰ってきたばかりの身。 さすがに疲れておりますので」
貴族「おっと、私としたことが! 気が回らず申し訳ない!」
女騎士「いえ。ですが、また機会があれば」
貴族「もちろんですとも! 容姿端麗なる貴女が席に加われば晩餐の彩りも増すというもの!」
女騎士「ふふ、相変わらずお上手だ」
貴族「それでは今日はここで失礼するとしましょう! 晩餐の件、楽しみにしておりますよ!」
女騎士「ええ、それでは」
8: 2015/05/09(土)21:36:10 ID:TCh
女騎士「……ふう、悪い人ではないのだが、いかんせん濃い性格の方だ」
副隊長「嵐のような方ですね……」
女騎士「最初は戸惑いもしたが、付き合っていくうちに尊敬もできるようになった。アレがあの方の生き方なんだよ」
副隊長「はあ……えっ?」
女騎士「うん? どうかしたか?」
副隊長「……その、隊長は、貴族どのとお付き合いを?」
女騎士「? ……ち、違う! 男女の付き合いではなく、いち貴族といち騎士隊長としての付き合いだ!///」
副隊長「あ、ああなるほど。で、でも、先ほど食事の席に招かれて」
女騎士「貴族どのが開かれる晩餐会の席だ! 立場上、何度か招かれたことがある! それだけだ!」
副隊長「そ、そうだったんですか」
女騎士「まったく……。んん! そ、それで、なんの話だったか」
副隊長「あ」
女騎士「ああ、そうだ。キミに借りを返すという話だったな。先ほど何か言いかけていたが、何が望みだ?」
9: 2015/05/09(土)21:37:05 ID:TCh
副隊長「え、えーと、ですね。明日は騎士隊に休みが出ましたが、隊長にご予定は?」
女騎士「? 特に決まっていないが?」
副隊長「……そ、それなら、その、自分と付き合っていただきたく……」
女騎士「訓練か? 向上心は立派だが、休むことも」
副隊長「訓練じゃなくて! 普通にデートです!」
女騎士「デ!?///」
副隊長「あ、イヤ、ちがっ! か、買い物とか食事とかそういう……!」
女騎士「……世間ではそれをデートというのではないか?」
副隊長「うっ……」
女騎士「……わ、分かった。明日だな?」
副隊長「! は、はい!」
女騎士「その、なんだ。私といて楽しく思えるかは分からんが……よろしく頼む///」
副隊長「い、いえ、こちらこそ」
10: 2015/05/09(土)21:37:53 ID:TCh
ーー翌日、繁華街
副隊長「ちょっと早かったかな」
副隊長「イヤ、でも遅いよりマシだよな。うん」
女騎士「や、やあ」
副隊長「! 」
女騎士「……な、なんだ。おかしければ笑え。私服などあまり持ち合わせていないんだ」
副隊長「いえ、美しくて……」
女騎士「!」ボカッ
副隊長「いたっ」
女騎士「か、からかうな! い、いい行くぞ!///」
副隊長「は、はい!」
11: 2015/05/09(土)21:38:30 ID:TCh
ーー繁華街、雑貨屋
女騎士「お、おお」キラキラ
副隊長「ちょっとした雑貨屋ですが、なかなか評判で」
女騎士「う、うむ。これならばうなずける」
副隊長「! よかった、お気に召しましたか!」
女騎士「ああ、うん」ジー
副隊長「……自分としては、アクセサリーの類いを見て回ろうと思ってたんですが」
女騎士「?」
副隊長「……隊長、意外とぬいぐるみの方が好きなんですね」
女騎士「! な、なんでそう思う!?///」
副隊長「さっきからクマのぬいぐるみの方見すぎですよ」
女騎士「う……///」
副隊長「せっかくだから買っていきますか」
女騎士「わ、私がそんなものに興味など! 猛獣だぞ! クマは!」
副隊長「あはは、もう遅いですよ」
12: 2015/05/09(土)21:39:16 ID:TCh
ーー繁華街、喫茶店
副隊長「……一応、部下の評判がよかった店なのですが」
女騎士「パクッ……ふわぁ……」
副隊長「ふふっ」
女騎士「はっ! ん、んん! ん、美味しいな、このケーキは」
副隊長「隊長」
女騎士「うん? なんだ?」
副隊長「あんな声初めて聞きました」
女騎士「……~~~~!!///」スチャ
副隊長「わ! ストップストップ! そんなナイフでも隊長が使ったら!」
女騎士「……誰かに漏らしてみろ。両の耳を削ぎ落とす」
副隊長「ええ。自分の心の中に永久保存しときます」
13: 2015/05/09(土)21:40:09 ID:TCh
女騎士「~~~~~~! ダメだ、ちょっと気を落ち着かせてくる」ガタッ
副隊長「え? ちょ、ちょっと!」
女騎士「心配するな。すぐ戻る。どうも今日はキミに狂わされっぱなしなのでな。私の気が持たない」
副隊長「す、すいません」
女騎士「い、いや、謝ることはない。その、なんだ、私も楽しくて……」
副隊長「え?」
女騎士「……ああ、こういうところがダメなんだ今日は! 少し席を外すぞ!///」
副隊長「は、はい」
副隊長「……はは、この調子なら」
副隊長「……上手く、告白できるかな」
15: 2015/05/09(土)21:40:44 ID:TCh
ーー繁華街、大通り
女騎士「ふう………ダメだな。今日はどこかおかしい」
女騎士「なんだこの高揚感は。ああ、変だな」
女騎士「楽しい……いや、楽しいよりも別の感情が大きい、のか?」
女騎士「……もしや、コレが……」
16: 2015/05/09(土)21:41:23 ID:TCh
女騎士「! アレは……」
???「……」キョロキョロ
女騎士(昨日の盗賊の残党!? 間違いない、リストに載っていた人物だ)
???「……」キョロキョロ
女騎士(やたらと周りを見渡している……首領奪還の下見というところか? 昨日の今日でよくも)
???「……」スタスタ
女騎士(移動する……当然だが、どうする? 副隊長と1度連絡を……)
女騎士(……イヤ、今ヤツを逃すのはマズい。警備兵の目をかいくぐれるなら、今夜にでもここが火の海なる可能性も……)
女騎士(……後を尾け、潜伏先を突き止める。その後、城に戻り、騎士団を召集。人員が集まり次第、ヤツらを一網打尽にする)
女騎士(コレが最善策、か。……すまない、副隊長)
18: 2015/05/09(土)21:42:10 ID:TCh
ーー繁華街、喫茶店
副隊長「………遅いなあ、隊長」
副隊長「からかいすぎたのかな」
副隊長「手荷物置いていってるし、帰ったってことはないと思うんだけど……」
副隊長「……」
副隊長「……やらかしたかなあ……」
副隊長「……探しに行こうかな、さすがに遅すぎる」ガタッ
副隊長「もしご立腹だったら、氏ぬほど頭下げればいいや」
19: 2015/05/09(土)21:43:04 ID:TCh
ーー裏町
???「……」キョロキョロ
女騎士(繁華街から離れたな……。ここでも周りを気にしている)
女騎士(この辺に宿屋などなかったはずだ。となれば……仲間を侵入させる経路を探っているのか?)
女騎士(でなければ放火場所……この時期、繁華街から見ればここは風上。人目のつかない場所で火を付け、延焼させるつもりか)
女騎士(なんにせよ、あれだけ周囲を気にしているのであれば、注意が必要。気づかれないようにしなければ)
???「5週目でようやくか。もっと早くかかるとおもったが」
20: 2015/05/09(土)21:43:46 ID:TCh
女騎士「!?」サッ
???「ちっ、外したか。相変わらず、女の動きじゃねえ」
女騎士「……私としたことが、後ろを取られるとはな。残党どもが……!」
残党1「盗賊だからな。気配断つのは得意なんだ」
残党2「そして盗賊だから戦闘はからきしなんだ。コレで外してるようじゃな」
残党3「おいおい、 決めろよお前ら。俺が引きつけてお前らがヤるんだろうが」
女騎士「なるほど、まんまと釣られてしまったようだ」
残党1「そういうことだ。いくら天下に名高き女騎士とて、丸腰で囲まれては敵うまい」
残党2「首領の無念! 仲間の仇! 取らせてもらう!」
残党3「あいにく盗賊なんで正々堂々なんて言葉は持ち合わせてねえ! 3人まとめていかせてもらうぞ!」
21: 2015/05/09(土)21:44:34 ID:TCh
ーー騎士隊宿舎
副隊長「え? 帰ってきてない?」
騎士A「ええ、まだ戻られておりませんが」
副隊長「……」
騎士B「それよか、隊長の姿見ました? スカート履いて薄化粧して!」
騎士C「どうも給仕の女に頭下げてやってもらったみたいッスよ? ありゃ間違いない、オトコだな」
騎士A「普段スッピンだもんな。それでもレベル高いのに、あの薄化粧だ。破壊力がヤバい。一発で落ちるね」
騎士B「となると、相手はだれだ? 貴族様?」
副隊長「自分だよ」
騎士C「へ?」
副隊長「すまん、また外出する。それと、矢を何本か頼む」
22: 2015/05/09(土)21:46:14 ID:TCh
ーー裏町
残党1「……ちっ」
残党2「~~~ってえ! なんであんな妙なナイフが折れねえ! こっちは剣だぞ!」
残党3「誰だ3人ならいけるっつったの!」
女騎士「ふん、生憎こちらは戦場で生きている身だ。敵に囲まれたことなど数えきれん 」
残党1「……」
女騎士「もっと言えば、鎧を着けていない時に襲撃したのも失敗だな。身軽な分、貴様らの動きにもついていける」
残党2「クソ……」
女騎士「そして私を丸腰と言っていたが、これでも敵国では賞金首でな。平時でも武具の携帯を許されている。許可証が見たければ見せようか?」
残党3「……」
23: 2015/05/09(土)21:47:34 ID:TCh
残党1「………コダチ、か。その武器」
女騎士「! ほう、知っているのか」
残党1「盗賊なんでな。値打ちモンは大体頭に入ってる。はるか東国の短刀で、折れず曲がらずが売りの武器だ」
女騎士「いかにも。中でもこれは我が一族に代々受け継がれている名刀だ」
残党1「その名刀に加え、天下の女騎士が使い手。戦闘の腕が立たない盗賊じゃあ束になっても敵わねえ」
女騎士「実力差が分かったか。ならば大人しく投獄されろ」
残党1「実力差は分かったが、分からねえことが他にある。学のない盗賊には到底理解できないことがな」
女騎士「ほう?」
残党1「細身の女がそれだけの動きと力をしてることさ。これでアンタがゴリゴリの男だってんなら分かるが」
女騎士「ふん、貴様らと違い、日々の鍛錬を欠かしていないからだ」
残党1「いーや、それだけじゃないな。その本当の理由は……」
24: 2015/05/09(土)21:48:23 ID:TCh
バチッ!!
女騎士「!? なっ!?」
残党4「っしゃあ! 成功だ!」
残党2「きたか!」
残党3「でかした!」
残党1「やっぱりな。お前、自分の身体能力を魔法で底上げしてたな?」
女騎士「クソっ、まだいたのか!」
残党4「魔法解除の法大成功! 学のねえ盗賊に魔法使わせんじゃねえぞこの野郎!」
残党2「時間かかりすぎだ馬鹿野郎!」
残党3「危うく氏ぬところだろうが!」
残党1「不意打ちに乱戦、問答。すべては伏兵の動きを察知されないためだ」
女騎士「くっ……」
残党1「さ、弱体化した女騎士相手に4人がかりだ。これで少しはこっちにも勝機があるかね」
25: 2015/05/09(土)21:49:10 ID:TCh
ーー繁華街、大通り
副隊長「ハッ、ハッ、くそ、全然見つからない!」
副隊長「人に聞いてもまるで手がかりなしか。そりゃ普段の隊長の姿と全然イメージ違うから分からないよな」
副隊長「いったいどこに行ったんだ……」
副隊長「まてまて、考えをまとめろ……」
副隊長「……隊長は真面目な人だ。どんなに俺が無礼を働いたとはいえ、何も言わずに去る人ではない」
副隊長「となれば、どこかに何も告げずに行く必要があった」
副隊長「何も告げずにってことは……急を要する状況だったってこと」
副隊長「そう考えると……何かを見つけた」
副隊長「何を……? 傷病人? 迷子? 犯罪者? もしくは……」
副隊長「あ~~~絶対ここでつまずく! いったいどこ行ったんだ!」
???「おや」
副隊長「! あ、あなたは!」
???「おお、これはこれは! 女騎士どのの! 物々しい出立ちでいかがなされた!」
26: 2015/05/09(土)21:50:04 ID:TCh
ーー裏町
女騎士「くっ……卑怯者めぇ……」
残党1「ってえ、生身でも騎士は騎士か」
残党2「あのままやってりゃやられてたな。だが残念!こっちの剣にはシビレ薬が塗ってあったのだ!」
残党3「その昔、賢者の蔵からくすねてきた秘薬だ! 天下の女騎士もこうなりゃひとたまりもねえな!」
残党4「おいうるせえよ! 気が散る! 回復できねえだろうが!」
女騎士「貴様ら、ただで済むと思うな……!」
残党1「どのみち極刑だろ。盗賊だしな。っし、治った」
残党2「さあて、どうしてやろうか! 仇を取るために惨頃するに1票!」
残党3「いきなり頃しちゃもったいねえ! 存分に楽しむに1票!」
残党4「なぶりすぎちゃいけねえ! ある程度楽しんでお頭との捕虜交換に使うに1票!」
残党1「馬鹿言え。天下の女騎士だぞ。がっつりマワしてから仲間全員と金品付きで捕虜交換に1票」
残党234「「「採用! ギャハハハハ!」」」
27: 2015/05/09(土)21:51:08 ID:TCh
女騎士「ふん……私ごときにそこまでの価値があるものか……」
残党1「あるだろうよ。大陸最強の女騎士様だ。さて、まずはカラダを拝見。動くと切れるから気をつけろよ」
ビリビリッ! ビッ!
女騎士「っ!」
残党2「っひゅー! 騎士だってえからキズだらけかと思いきや!」
残党3「メチャメチャいいカラダじゃねえか!」
残党4「今までの女なんかの比じゃねえぜ!」
女騎士「ゲスめ……!」キッ
残党1「へっ、盗賊だからな」
女騎士(せっかく……普段はしないような服装をしてきたのに……! こんなヤツらに肢体まで見られて……!)
残党2「こりゃ楽しめそうだなおい!」ボロン
女騎士「ひっ……!」ビクッ
残党3「おっ!? あの女騎士が!? オトコの見て怯えてんのか!?」
女騎士「なっ、違う! そんなもので!」
残党4「ギャハハハハ!! よかったなあ!! 敵将の名刀よりもおめえのイチモツのが怖えってよ!!」
残党1「天下に名高き名刀じゃねえか」
残党2「おうよ! 折れず曲がらずってな!」
残党3「ギャハハハハハハ!!」
女騎士「貴様らっ、私だけでは飽き足らず、我が一族の宝刀をも穢すか!」
残党4「馬鹿言ってんじゃねえや! お前は今から犯すんだよ!」
28: 2015/05/09(土)21:52:18 ID:TCh
残党1「さ、そんだけしゃべれるなら口も使えんな?」ボロン
女騎士「っ!」
残党2「おうおう、いい顔すんじゃねえか。たまんねえな」
残党3「天下の女騎士が、ひん剥かれて怖気ずく。俺らだけだな、こんな顔見れるのは」
残党4「永久保存モンだな。へへっ」
女騎士「くっ、来るな! やめろ!」
残党1「やなこった」
残党2「普段から鍛えてんならさぞ名器だろうよ」
女騎士(ああ……、いやだ……副隊長……!)
30: 2015/05/09(土)21:53:57 ID:TCh
???「そこまでだぁ!」
残党3「!?」
残党4「な、なんだ!?」
女騎士「あ、アレは……」
???「やあやあ遠き者は音に聞け! 私こそは伝説の戦士の流れを汲む誇り高き一族!」
貴族「貴族なり!」バーン??
31: 2015/05/09(土)21:54:54 ID:TCh
女騎士「き、貴族どの!?」
残党1「……アレ、貴族なのか?」
残党2「……自分で名乗ってっからなあ」
貴族「そこな悪党ども! 無抵抗の淑女に4人がかりとは! それでも紳士か!」
残党3「ああ!? 無抵抗どころか殺されかけたっつーの!」
残党4「なんなんだてめえは! ぶっ殺されてえのか!」
貴族「貴様ら下賤の者に殺されるほど落ちぶれてはおらぬ! しばしお待ちを! 女騎士どの!」ダッ
残党1「ちっ、やるぞお前ら!」
残党2「人質対象が増えたぜ! 半頃しにしていたぶってやらあ!」
女騎士「き、貴族どの、そいつら、武器に」
32: 2015/05/09(土)21:55:32 ID:TCh
ドドドドッ!
残党1234「「「「ぎゃあああああ!?」」」」
女騎士「え……? 弓矢……?」
副隊長「隊長! ご無事ですか!?」
女騎士「ふ、副隊長!? いつから……」
貴族「私が名乗り上げているときにです! いやはや、さすがは当代一の弓の名手!」
副隊長「ど、どうも。それより、隊長、自分の上着ですけど」ファサッ
女騎士「! す、すまない……///」
33: 2015/05/09(土)21:56:22 ID:TCh
残党1「ちっ……くしょう!」
残党2「いてえ! いてえよ!」
残党3「腕が! ああ!」
残党4「クソがあああ!」
貴族「こやつらは私が連行しましょう! すでに手配済みです故!」
女騎士「貴族どの、すまない」
副隊長「ありがとうございました! 自分だけなら隊長を見つけられたかどうか……」
貴族「なに、昨日の晩餐にて不穏な情報を聞いていただけのこと! 貴殿から話を聞かなければ、このようなところに寄ろうとも思いませなんだ!」
女騎士「そうか……副隊長が……///」
34: 2015/05/09(土)21:57:04 ID:TCh
残党1「くそっ、覚えてろ女騎士! 貴族! 絶対ぶっ頃して」
貴族「だまらっしゃい!」バチコーン??
残党1「へぶ!?」
貴族「法を犯し! 淑女を犯し! それで一味が捕まれば逆恨みでまた法を犯して淑女を犯す! 貴様ら盗賊は万氏に値する! 」
残党1「くそが……てめえみてえに毎日豪遊してるヤツにゃあ俺らのコトなんか分からねえだろうよ!」
貴族「なれば! 私に節制をしろと!? 金持ちがカネを使わねば経済は滞るばかり! 私の蔵に金銀財宝を蓄え、民は飢えて氏ねと!?」
残党1「……極論すぎんだろ、クソが」
貴族「さて、副隊長どの! こやつら馬車に詰め込むので、もうひと働きしてもらいましょう!」
副隊長「ええ、当然です。……それと貴族どの、あつかましいお願いですが、もう1台馬車をお願いします」
貴族「?………おお! 私としたことが! 気が回らず申し訳ない! いやはや紳士失格ですな!」
女騎士「す、すまない……///」
35: 2015/05/09(土)21:58:21 ID:TCh
ーー馬車内
副隊長「……隊長、無事でなによりです」
女騎士「ああ……すまないな、副隊長。せっかく誘ってくれたのに台無しになってしまった」
副隊長「いえ、隊長の判断は正しかったと思います。それでこそ隊長だと、自分は思います」
女騎士「そう言ってもらえると気が楽だが……その結果がこれではな」
副隊長「……」
女騎士「すまないが、このまま続きとはいかなそうだ。まだシビレが取れないし、なにより服がこれでは」
副隊長「……じゃ、また付き合ってください。デートに」
女騎士「……ふふ、こんな私でも、また誘ってくれるのか?」
副隊長「そんな隊長だからこそ、自分は惚れたんです」
女騎士「そうか………え?」
副隊長「そうです。惚れてます。自分は、隊長に、惚れてます」
女騎士「………ふふ、私も恋愛の機微については詳しくないが、こういう場で告白するのはどうかと思うぞ?」
副隊長「関係ないです。今言っておかないと、また隊長どっか行っちゃいそうなんで」
女騎士「どうやら、この一件で随分信用をなくしてしまったようだ……」コトン
副隊長「……隊長?」
女騎士「先ほど、私が窮地に陥ったとき、キミの顔が真っ先に浮かんだ。キミを求めた。私も惚れてしまったようだ……」
副隊長「……隊長、カラダ、震えてます」
女騎士「シビレが取れなくてな……」
副隊長「……抱きしめれば、少しは良くなりますかね」ギュ
女騎士「ああ、きっと……」
36: 2015/05/09(土)21:59:38 ID:TCh
ーー数日後、城内謁見の間
国王「貴族、女騎士、副隊長。此度の功績、まこと見事である」
貴族「貴族たる者紳士たれ! 紳士たる者雄々しくあれ! それが我が一族の家訓ですので!」
女騎士「恐れながら、私は何もしておりません。すべての功は貴族どのと副隊長のもの」
副隊長「自分も、貴族どのがいなければ何もできませんでしたので」
国王「謙遜するでない。すべての報告は聞いている。女騎士、災難であったな」
女騎士「はっ……栄えある騎士団の名に泥を塗ったと思っております」
国王「自分を責めるでない。対魔の鎧を外したときの出来事だ。お主に責はない」
女騎士「ですが……」
国王「お主は栄えある騎士隊の誉れよ。今までの功績を考えればそう評するより他ない」
女騎士「……身に余る光栄です」
国王「うむ。副隊長も、同じくだ。貴殿の腕前もあってこそ、今の騎士隊は勇猛を欲しいままにしていると思っている」
副隊長「はっ、お褒めに預かりまして、まこと光栄であります」
国王「うむ。そして、言わずもがな、貴族よ。さすがだな」
貴族「当然です! 私こそは万夫不当の英傑ですので!」
国王「その豪胆さ、他の貴族にも見習わせたいものよ。此度の功績を讃え、褒美を取らす」
貴族「恐れ多くも王よ! 私は紳士として当然のことをしたまで! この程度で褒美を与えては世の紳士みなに褒美取らせねばなりませぬぞ! 」
国王「……はっはっは!まっこと、さすがは貴族よなぁ」
37: 2015/05/09(土)22:00:33 ID:TCh
ーー城内、廊下
貴族「さて、女騎士どの! その後の体調はいかがですかな!?」
女騎士「おかげさまで全快した。貴族どの、今回は本当にすまなかった」
副隊長「自分からも、ありがとうございました」
貴族「先ほども言いましたが、私は紳士として当然のことをしたまで! そこまで礼を言われることではありません!」
女騎士「しかし、貴族どのにも借りができた。いずれかの形で返さねば」
副隊長「!」(こ、この流れは)
38: 2015/05/09(土)22:01:33 ID:TCh
貴族「おお! で、あれば、次の休暇に私の別荘にーーと思いましたがやめておきましょう」
女騎士「え?」
貴族「ときに、副隊長どの! 私は貴殿にも貸しを作ったと考えるが、その認識に間違いありませんな!」
副隊長「え? は、はい! もちろんです!」
貴族「うむ! なれば! この借りは貴殿らの婚儀に呼んでもらうことで返してもらいましょう!」
女騎士「なっ!?///」
副隊長「ぶっ!? な、知ってたんですか!?」
貴族「貴族たる者、情報には敏いものです! さすがは当代一の弓の名手! 女騎士どのの心も見事射抜いてみせましたか!」
女騎士「……ぁぅ……///」
副隊長「いや、その……はぃ」
貴族「貴殿らであれば国民や王はもちろん! 神々とて祝福しましょう! なれば! ぜひともその場に立ち会わせていただきたい!」
女騎士「……承知した。必ずや招待しよう」
副隊長「ええ、絶対!」
貴殿「なればよし! では、そろそろ失礼しましょう! 今日は舞踏会に招待されてますので!」
39: 2015/05/09(土)22:02:09 ID:TCh
女騎士「……」
副隊長「……」
女騎士「行ってしまわれたな」
副隊長「はい」
女騎士「さて、と。部隊に合流するまで少々時間があるな」
副隊長「ええ、どうしますか?」
女騎士「……キミはどうしたい?」
副隊長「……自分の部屋、あの日行ったお店で買った、紅茶の葉があるんですが」
女騎士「ふふ、馳走になろう。……あの日の続きか」
副隊長「ええ。これから先もずっと、お付き合い願います」
40: 2015/05/09(土)22:03:15 ID:TCh
貴族「……貴族たる者紳士たれ。紳士たる者雄々しくあれ」
貴族「人の恋路の邪魔はしません。女々しい泣き言も言いません」
貴族「ですが、失恋とはかくも悲しいものです……」
貴族「だが、胸を張って! 堂々と生きましょう!」
貴族「我が行いに恥はない! なれば臆することはなにもない!」
貴族「 私は貴族であると気高く!雄々しく! 次の出会いを! 次の恋を求め!」
貴族「いざゆかん! 栄光の道は常に我が前にあり!」
~KIZOKU END~
42: 2015/05/09(土)22:07:54 ID:QZJ
乙
貴族イケメンだな
おもしろかったわ
貴族イケメンだな
おもしろかったわ
44: 2015/05/09(土)22:19:50 ID:TCh
ちなみに、好きな貴族はマルフォイ家
引用元: 女騎士「最後の1人だ。観念しろ」
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