1: 2017/06/24(土) 13:26:16.66 ID:f8tbdNzz.net
─放課後、一年生教室


ワイワイガヤガヤ


善子「やっと終わったわね…」ノビー

ルビィ「うん…今日の授業はなんだか長かった気がするねぇ」

善子「ええ本当に、かなり窮屈だったわ」フワァー

花丸「善子ちゃんだらしないよ」

善子「いいじゃない別に、もう終わったんだし」

花丸「それはそうだけど」

2: 2017/06/24(土) 13:27:13.67 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「あっそうだ、ねえ二人はこの後どうするの?今日は練習もお休みだけど」

ルビィ「特に何もなかったらルビィ、二人と一緒に帰りたいなぁ」

花丸「いいよ、マル今日は委員会のお仕事もないし…久々にルビィちゃんと一緒に帰れるずら!」ニコッ

善子(いや、久々って…たった二日の間一緒にいなかっただけじゃない……)

ルビィ「そっかぁ…えへへっ、やった」

ルビィ「ねえねえ善子ちゃんは?」

3: 2017/06/24(土) 13:27:40.41 ID:f8tbdNzz.net
善子「ああ、それなら私パスね」

ルビィ「え?どうして?」

善子「近くのお店に新しいチョコレートスイーツが出たらしいのよ」

善子「それがちょっと気になってね」

4: 2017/06/24(土) 13:28:26.00 ID:f8tbdNzz.net
花丸「またチョコレートずら?善子ちゃん本当に好きだね」

善子「そうかしら?」

ルビィ「うん、いつもたくさん食べてるよね」

善子「ふーん、自分ではあんまりそんな感じしないんだけど」

花丸「そんなことないよ、食べ過ぎて虫歯にならないか心配になるくらいずら」

善子「ならないわよ大袈裟ね……とにかく」

善子「そういうわけだから悪いけど先に帰らせてもらうわ、またね二人とも」タッ

5: 2017/06/24(土) 13:29:54.75 ID:f8tbdNzz.net
花丸「うん、また明日」テヲフリ

ルビィ「バイバイ善子ちゃん」フリフリ



花丸「行っちゃったね」

ルビィ「そうだね」

花丸「でもあんなに急いで行くなんて、善子ちゃんよっぽど好きみたいずら」

ルビィ「きっと、早く食べたかったんだろうねぇ」

6: 2017/06/24(土) 13:30:35.35 ID:f8tbdNzz.net
花丸「そんなにいいのかなあ?美味しいのは分かるんだけど」

ルビィ「花丸ちゃんにとってののっぽパンみたいなものじゃないかなぁ?」

花丸「そう考えると……分からなくもないずら」ウーン

ルビィ「誰にでもそれくらい好きなものがあるってことなんだと思うよ」

ルビィ「善子ちゃんはそれがチョコレートってだけで─」


ルビィ「……」

7: 2017/06/24(土) 13:31:20.15 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「……だからなのかな」ボソッ


花丸「…ルビィちゃん?」

ルビィ「……えっ?」

花丸「どうしたの?何か考えごと?」

ルビィ「あっ…ううん、何でもないよ」

花丸「…?そっか、それなら別にいいんだけど」

8: 2017/06/24(土) 13:32:10.98 ID:f8tbdNzz.net
花丸「それじゃあマルたちもそろそろ帰ろっか」

ルビィ「そうだね、花丸ちゃん」


ルビィ「……」

ルビィ「好きなもの、かぁ……」スタスタ


……


11: 2017/06/24(土) 13:35:43.82 ID:f8tbdNzz.net
─翌日、一年生教室


善子「ふわぁー…眠たいわねえ……ってあら?」

ルビィ「…」モグモグ

善子「…ちょっとルビィ」

ルビィ「あっ、善子ちゃんおはよう」

善子「おはよう、ねえどうしたのそれ?」

12: 2017/06/24(土) 13:37:30.65 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「これ?今日新商品って出てたから気になって買ってみたんだぁ」

善子「ふーん、そうなのね」

ルビィ「…善子ちゃんも食べる?」

善子「え、いいの?なら頂くわ」

ルビィ「はいどうぞ」スッ

善子「ありがと……ん、おいしいわね」パクッ

ルビィ「良かったぁ、気に入ったみたいで」

13: 2017/06/24(土) 13:38:08.48 ID:f8tbdNzz.net
善子「それにしても珍しいわね、ルビィがチョコレートを食べてるなんて」

ルビィ「そうかな?」

善子「ええ、私がたまたま見かけてないだけかもしれないけど」

ルビィ「ルビィだって食べるときはあるよ」

善子「まあ、それもそうよね」

14: 2017/06/24(土) 13:38:42.04 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「それに……」チラッ

善子「……なによ?」


ルビィ「クスッ…何でもないよ」ニコ

善子「?」

15: 2017/06/24(土) 13:39:52.23 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「そうだ…ねえ善子ちゃん、そういえば昨日のスイーツはどうだったの?美味しかった?」

善子「……」

ルビィ「善子ちゃん?」

善子「……売り切れてたわ」タメイキ

ルビィ「……ぁー、うん…そーゆうこともあるよ」

善子「きっとこれも堕天使ヨハネへの試練なのね……そう、古き理を忘れぬための……」

ルビィ「善子ちゃん、次はあるといいね」

善子「最後まで聞きなさいよ…でもまあそうね、あればいいとは思うわよ」

16: 2017/06/24(土) 13:40:37.30 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「じゃあ今日も行くんだね」

善子「ええ」

ルビィ「そっか、ねえ…それなら善子ちゃんさ」

善子「なに?」

ルビィ「ルビィも一緒に行ってもいいかなぁ?」

17: 2017/06/24(土) 13:41:37.96 ID:f8tbdNzz.net
善子「ルビィが?別にいいけど、そんなに気になるの?」

ルビィ「うん、どっちも」

善子「え?どっちもって?」

ルビィ「それは内緒だよ」

18: 2017/06/24(土) 13:42:33.76 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「それじゃあ約束ね、善子ちゃん」

善子「あっ、ちょっと……行っちゃったわね」


善子「…」

善子「……どっちもねえ、一体どういう意味なのかしら…」ウーン


……


19: 2017/06/24(土) 13:43:26.69 ID:f8tbdNzz.net



カランカランッ


ルビィ「善子ちゃん、今日は買うことが出来て良かったね」

善子「そうね……でも」

ルビィ「?」

善子「その…一個しかなかったから……ねえルビィ、本当にいいの?」

ルビィ「別にいいよ、だって善子ちゃんが食べたかったんでしょ?」

善子「そうだけど……」

ルビィ「そんなに気にしなくてもいいのに」

21: 2017/06/24(土) 13:44:11.27 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「……うーん…あっ、そうだ」

ルビィ「善子ちゃん、ちょっとそれルビィに渡してくれる?」

善子「いいけど…何よ、やっぱりルビィも食べたかったんじゃないの」

ルビィ「ううん、そうじゃないよ……善子ちゃん」

善子「なに?」

ルビィ「はい、あーんして」スッ


善子「…………は?」

22: 2017/06/24(土) 13:45:06.10 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「あーん」ニコニコ

善子「……なんで?」

ルビィ「あのね、ルビィはこうやって善子ちゃんに食べさせてあげられたらそれで満足するから」

ルビィ「ね?それなら善子ちゃんも気にしないで食べられるでしょ?」

善子「いや、それとは別に気にするところが増えたんだけど……///」

23: 2017/06/24(土) 13:46:07.17 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「もしかして、善子ちゃんこういうの嫌だった?」

善子「そういうわけじゃ……ないけど…」

ルビィ「……」ジーッ


善子「……ああもう、分かったわよ!///」

24: 2017/06/24(土) 13:47:04.65 ID:f8tbdNzz.net
善子「あーん///」パクッ

ルビィ「…えへへっ、どう?美味しい?」

善子「まあ…美味しいんじゃないの?」モグモグ

ルビィ「そっか、良かった」


善子「…………そぅね///」メソラシ

善子(すっごく恥ずかしかったけど……)

25: 2017/06/24(土) 13:48:03.43 ID:f8tbdNzz.net



ルビィ「あー、今日も楽しかったなあ…善子ちゃん、また一緒に行こうね?」

善子「……そうね、今度はずら丸も誘ってね」

ルビィ「うん、次は三人一緒に……だけど」

善子「ん?」

ルビィ「たまには二人だけで行きたいなぁ」ジッ

善子「っ…///どうして?」

ルビィ「うーん、どうしてだろうね?」ニコ

26: 2017/06/24(土) 13:49:00.98 ID:f8tbdNzz.net
善子「またそういう返しかたして……あのね私は…」

ルビィ「えへへっ…また明日ね、善子ちゃん」

善子「ちょっとルビィ、まだ肝心なところを聞いて……ってもう見えないし」


善子「……はあ」

善子「あの子またはぐらかして、何なのかしら…最近のルビィの考えてることはよく分からないわね…」


……


27: 2017/06/24(土) 13:49:47.60 ID:f8tbdNzz.net
それから数日後

─学校、中庭


善子「あっ…ルビィ、こんなところにいたのね」

ルビィ「……」モグモグ


善子(あれ?また食べてる…)

善子「ちょっと、ルビィってば」チョンチョン

ルビィ「あっ、善子ちゃん」フリムキ

善子「…ふーん、今日は板チョコなのね」

ルビィ「うん」

28: 2017/06/24(土) 13:51:30.06 ID:f8tbdNzz.net
善子(この頃よくルビィがチョコレート食べてるのを見るけどハマっているのかしら?)

善子「……うーん」ジーッ


ルビィ「……今日はあげないよ?」

善子「いや、そういうわけじゃ…」

善子「というか何よ、その私がいつも貰ってるみたいな言い方…まあ事実だけど」

ルビィ「えへへっ、ごめんね善子ちゃん」

善子「…別に気にしてないからいいわよ」

ルビィ「そっか、ありがとう」

29: 2017/06/24(土) 13:52:32.45 ID:f8tbdNzz.net
善子(むしろ気になるのは…)

ルビィ「♪」モグモグ


善子「……」

善子「ねえ、そういえばさ──」

ルビィ「ん?」

31: 2017/06/24(土) 13:53:17.83 ID:f8tbdNzz.net
善子「ルビィ、あんた最近よくチョコレート食べてるわよね?」

ルビィ「…うん、そうかも」

善子「……好きなの?」

ルビィ「…」クスッ


ルビィ「好きだよ、だってチョコレートは黒くって…でも甘いでしょ?」

32: 2017/06/24(土) 13:54:04.23 ID:f8tbdNzz.net
善子「…何言ってるのよ、そんなの当たり前じゃない」

ルビィ「そうだね…でも、そこがいいんだってルビィは思うんだぁ」

善子「?…よく分からないんだけど?」

ルビィ「ほら、チョコレートって色んな種類のものが出てるでしょ?味も、色も、形も」

善子「……まあ」

33: 2017/06/24(土) 13:55:03.17 ID:f8tbdNzz.net
ルビィ「それでその中で流行ったものがあったとして…その時はみんなそっちの方に目がいっちゃうんだけど」

ルビィ「でもね」

ルビィ「たとえ色々違うものが出てきても、流されても…最後には黒くて四角いチョコレートに戻っちゃうんだ」

善子「……」

ルビィ「みんなね結局いつも通りなのが一番好きなの」

ルビィ「変わっているようで変わらないから、愛されているんだよねって話」

善子「……ああ、確かにそんな感じあるわよねチョコレートって」

34: 2017/06/24(土) 13:55:56.15 ID:f8tbdNzz.net
善子「……」

善子「……ねえ、だから食べてるの?」

ルビィ「うん、だってルビィはもう知っちゃったから」

ルビィ「チョコレートは黒くて、甘くて、優しい味だって…だからいつでも欲しくなっちゃうんだよ」

ルビィ「でもね、それだけじゃないんだ」

善子「え?」

ルビィ「…人でも同じなの、そうでしょ?善子ちゃん」ニコッ


善子「……?」

35: 2017/06/24(土) 13:56:57.98 ID:f8tbdNzz.net
善子「同じ?……私が?」

ルビィ「うん…あのね、自分のことを黒だって言っても、心の中はそうじゃないんだって分かってるから……」

ルビィ(そんな善子ちゃんだから、たとえ真っ黒な堕天使でもね…ただ貴女の傍にいる、たったそれだけのことなのに)

ルビィ(ルビィは凄く、凄く安心するんだぁ……ねえ善子ちゃん?これもきっと─)



黒の魔法なのかもしれないね。

36: 2017/06/24(土) 13:57:56.95 ID:f8tbdNzz.net
終わりです。ありがとうございました

37: 2017/06/24(土) 14:53:03.19 ID:skFCx2if.net
おつ

38: 2017/06/24(土) 15:31:55.97 ID:NC8IGJ1O.net
黒に染まれ

引用元: ルビィ「ルビィの知ってる黒は甘い」