1: 2015/05/14(木) 20:39:25.312 ID:8qtyl2JT0.net
あかり「偏差値は下だよぉ」

9: 2015/05/14(木) 20:45:02.475 ID:8qtyl2JT0.net
あかりちゃんは中学を卒業して

幼馴染や親友の子達と

全然違う高校にいってしまいました

何故ならあかりちゃんは皆より

お勉強ができなかったからです
ゆるゆり: 22【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)
10: 2015/05/14(木) 20:46:47.354 ID:8qtyl2JT0.net
あかりちゃんは最初は悲しみました

悲しくて涙をこぼした夜も

ありました

だけど高校が違うからって

もう会えなくなるわけじゃありません

あかりちゃんは自分を元気づけて

みんなに笑顔で会うようにしようと

頑張って笑顔を作りました

12: 2015/05/14(木) 20:49:29.640 ID:8qtyl2JT0.net
あかりちゃんの初登校の日になりました

なれない制服を着ました

成長するのを見越して少し大きいサイズでした

あかりちゃんは笑顔の練習をしてから

家を出ました

あかりちゃんは高校の門まで着きました

校内には色とりどりの髪色の人達がいました

みんな怖そうな目つきで

なにに対して威嚇してるのか

ポケットの手を突っ込んで

野生の肉食獣のように周囲に目を配らせてました

あかり「ひえええまさに動物園だよぉ」

そこは、あかりちゃんも思わずそう言ってしまう

知性の欠片もない場所でした

14: 2015/05/14(木) 20:53:45.354 ID:8qtyl2JT0.net
あかり「あかりはこんな政府公認の隔離エリアで」

あかり「アニマルプラネットのような日々を過ごすんだね」

あかりちゃんはディスカバリーチャンネルを見る子でした

あかり「oh my ga!」

あかりちゃんは唯一知ってる英語を口に出してから

ワニに近づくナレーターのように

周囲の人間が近づくと用心深く距離を取って

おそるおそる校内に入りました

15: 2015/05/14(木) 20:56:34.742 ID:8qtyl2JT0.net
あかり「結衣ちゃん・・・京子ちゃん・・・」

あかり「ちなつちゃん・・・」

思わず弱音が出て友達の名前を口にします

ここでやっていけるのか

本格的にあかりちゃんはわからなくなってきました

あの日あの時過ごした娯楽部が

あかりちゃんの脳裏をよぎります

16: 2015/05/14(木) 20:58:17.966 ID:8qtyl2JT0.net
あの日過ごした娯楽部がもうないこと

皆別の道をあるんでしまう事

あかりちゃんは悲しみます

ここにはあかりちゃんの存在の痕跡が

なにもありません

あかりちゃんのお友達の痕跡など

在るはずがない場所です

あかりちゃんは少し目元に涙を

浮かべてしまいました

18: 2015/05/14(木) 21:01:18.174 ID:8qtyl2JT0.net
あかりちゃんは知っています

この悲しみを

あの日小学校を卒業していった

結衣ちゃんと京子ちゃんの

後ろ姿を見送ったからです

あかりちゃんは一人

小学校で取り残されてしまいました

机や黒板や教室に残った

残り香のような結衣ちゃんたちの痕跡を

指でなぞった記憶

だからあかりちゃんは知っています

20: 2015/05/14(木) 21:02:51.084 ID:8qtyl2JT0.net
だけどここには

結衣ちゃんも京子ちゃんも

あの中学一年で親友になったちなつちゃんの

残り香も痕跡もありません

ここはあかりを置いて

何もない場所です

自分の存在が高校という大きな社会性の中で

一つ浮き出ているだけです

あかりちゃんは全くの

一人でした

21: 2015/05/14(木) 21:06:01.919 ID:8qtyl2JT0.net
あかり「心細いよぉ」

あかりちゃんは小さな体を守るように

胸を抑えて体を丸め

目をぎゅっと閉じました

あかりちゃんの席は

最後尾の一番端にありました

この小さな存在が悲しみに溢れているのを

あかりちゃんは誰にも見られずに済みました

23: 2015/05/14(木) 21:11:16.782 ID:8qtyl2JT0.net
社会性という大きな枠組みの中にある

個人という小さな存在を考えた時

その関係性は個人の枠組みでは

補足できないほどの大きなものの中にあることになります

習俗習慣を見た時にそれは

大きな全体集合を構成する一といえるけど

あかりちゃん個人からの視点では

捉えられない無数の要素の中の

数個をピックアップされた集合の中の一の存在にすぎないために

あかりちゃんはその他の部分で全くの一人でした

24: 2015/05/14(木) 21:12:58.480 ID:8qtyl2JT0.net
だからあかりちゃんは一人なのです

あまりにかけ離れたアニマルワールドの中にいるあかりちゃんは

静かに厳格に確かに命題的に厳かに一人でした

だからあかりちゃんは泣きました

あかりちゃんに救いは

この集合体の中にはないからです

25: 2015/05/14(木) 21:17:05.941 ID:8qtyl2JT0.net
ただただ一人で

荒野の中立ちつくすのと変わりません

他の人はあかりちゃんを襲う猛威の

要素でしかありません

彼らは砂です

そこに在る限り何も悪さはしませんが

一たび風が吹き荒れると砂塵となってあかりちゃんを襲います

それは空気です

夜になればあかりちゃんを襲う極寒の冷気となります

それは太陽です

夏になればあかりちゃんを焼き尽くす熱波となります

26: 2015/05/14(木) 21:17:17.460 ID:8qtyl2JT0.net
そこにある要素でしかないもの

それがあかりちゃんを取り巻く隠れた牙です

あかりちゃんはここで

なにを信じどうふるまえばいいのか

あかりちゃんはわかりませんでした

27: 2015/05/14(木) 21:19:02.985 ID:8qtyl2JT0.net
櫻子「あかりちゃん!」

あかり「!!」

櫻子ちゃん「おはよう!」






あかり「櫻子ちゃん!!!!」

29: 2015/05/14(木) 21:22:47.514 ID:8qtyl2JT0.net
櫻子「あかりちゃんもこの高校なんだ!」

あかり「そうだよぉ!」

櫻子「私もこの高校なんだよ!」

あかり「見たらわかるよぉ!」

櫻子「やったぁ!あかりちゃんと同じだ!」

あかり「あかりも嬉しいよぉ!」

櫻子「これからもよろしくね、あかりちゃん!」

あかり「こちらこそだよぉ!」

30: 2015/05/14(木) 21:27:30.295 ID:8qtyl2JT0.net
周囲と僅かばかりの

共通点をピックアップされて

ある集合体にまとめあげられてしまうこと

その他の部分は全く違うのに

その集合の意にそぐわなければ

排斥されてしまう

物事の裏側の集合的無意識

そこに救いがあるとすれば

すこしでも似通った人を探し

近くに固まるという方法だけ

熱に寄り解かれたDNAが復元する時

同じ塩基同士固まろうとするように

そうやって人は己に近いものを集める事で

自分の居場所を何とか作っていく

31: 2015/05/14(木) 21:30:52.107 ID:8qtyl2JT0.net
櫻子「踊ろうよ!」

あかり「わかったよぉ!」

他の周囲がアニマルでもいい

ここは所詮

勉強の数字で集められただけの全体集合だから

他の部分は全く違う人間なんだ

それならあかりは

櫻子ちゃんや

あかりに近い人だけと

周囲を気にせず踊るだけだよぉ

あかりちゃんは櫻子ちゃんの手をとる

ワルツを踊る

周囲なんて無視して

むしろ周囲を跳ねのけて

32: 2015/05/14(木) 21:34:32.401 ID:8qtyl2JT0.net
そうやって

一つの舞台で踊ること

どこにいるかじゃなく

何を踊るのかが重要だという事

誰かの踊りに無理に合わせるだけなのがつまらないということ

――そして自分の好きな人と一緒に踊るということ

そうやってワルツは人を繋いで

ワルツによって人は溶け合っていく

櫻子「あかりちゃんがいるから安心したなぁ」

あかり「あかりも櫻子ちゃんがいて安心だよぉ」

櫻子「これからもお友達でいようね」

きっと二人ならワルツを上手く踊れるから



おわり

33: 2015/05/14(木) 21:39:13.830 ID:MOOsSDiKd.net
安定のワルツエンド

17: 2015/05/14(木) 20:58:48.470 ID:X1Jaa1zBx.net
つらい

22: 2015/05/14(木) 21:07:37.906 ID:X1Jaa1zBx.net
救いは無いんですか

引用元: あかり「高校に上がったよぉ」