1: 2015/04/26(日) 18:33:24.23 ID:JCVMsnQW.net
 親鳥「ええ、幸い技術研究用のネクスト機体が残っているのでAMS適正のあるあなたに傭兵になっていただこうと考えています」

 親鳥「私の夫が亡くなった時にネクスト技術が漏洩してしまって、唯一の商品だった専門性を失ってコロニー音ノ木坂は深刻な経済危機に陥っています」

 親鳥「この状態を打開するには最早あなたに頼るしかありません。やってくれますか?」

 海未「わかりました。今オトノキに残っているのは私とことりしかいないのですから。ことりにそんな役目を負わせる訳にはいきません」

 親鳥「ありがとう。ことりにはあなたのオペレーターになってもらうことになります。これはことりからの要望でもあるの」

 海未「ことりがついてくれるならこれほど心強いものはありません。そうと決まれば出撃が決まるまで訓練をしておきますね。失礼します」ウィーン




 親鳥(結局私は誰かを利用することしかできないのね。海未さんを利用して、その為に娘であることりを利用して)

 親鳥(あの二人以外のみんなは適正が高かったからオトノキの為に企業で稼ぐと言ってここを去っていってしまった)

 親鳥(だけど、企業がリンクスを手放すはずもなくみんなが帰ってくることはなかった)

 親鳥(それに穂乃果ちゃんとあの子が今どうしているのか)

 親鳥(特にAMS適正の高かったあの二人を差し出して、お金の為とはいえことりの大切な友達を売り渡したのも事実)

 親鳥(赦されないのは判っているつもり。だけどなりふり構ってなんかもいられない)

 親鳥(オトノキにはもう海未さんしかいないのだから)

2: 2015/04/26(日) 18:34:35.73 ID:JCVMsnQW.net
 海未「フレームはレイレナード製のアリーヤベースですか。内装も同じ企業のものですね」

ことり「負荷が大きいから扱うのが難しいけどその分機動性は高いしプライマルアーマーも厚い機体だよ」

 海未「しかしみんなと比べて私の適正は"一応ネクストには乗れる"ぐらいの低さですし、果たして私に乗りこなせるでしょうか」

ことり「大丈夫だよ。生身なら海未ちゃんには誰にも敵わないぐらい強かったんだし、AMSで繋がってるから似たようなものだよ」

 海未「そうですね。今から弱気になっていても仕方ありません。ではことり、サポートのほうお願いしますね」

ことり「まかせてください!」




 海未「まずはシミュレーターで動かす訓練を始めましょうか」

 海未「コネクターを繋いで……うぅ、やはりこの感覚は慣れませんね」

ことり『海未ちゃん大丈夫?』

 海未「問題ありません。でははじめましょう。ことり、最初のプログラムを起動してください」

ことり『了解です』ポチ


 海未「頭でイメージして、機体を手足と同じように……動きました!」

ことり『すごいよ海未ちゃん!」

 海未「まだまだです。ブーストで移動して……おぉ、ネクストはこんなに速く動けるんですね」ゴー

ことり『ネクストはそんなもんじゃないよ? 瞬間的にブースターの出力をあげるクイックブーストとか巡行用のオーバードブーストもあるんだから』

 海未「確か前に見た映像でネクストが一瞬で回り込むような動きをしていましたね。あれがそうなんですか?」

ことり『うん、相手との距離を詰めたり弾を避けたりするのに必要になってくるからちゃんと練習しておいたほうがいいよ』

 海未「わかりました。まずは前方へクイックブーストをかけてみましょう」ドヒャア


 海未「っ!? 視界が一瞬で流れていきました。それに軽いですが頭痛も少し……しかし戦うのであれば多少の身体の負担は仕方ないことです」

 海未「もう少し続けてみましょう」ドヒャアドヒャア

 海未「随分慣れてきました。頭痛もこの程度なら問題ないでしょう」

3: 2015/04/26(日) 18:35:17.21 ID:JCVMsnQW.net
 海未「移動制御はこんなものでしょうか。それなりに動かせるようにはなりましたが後は実践に出ないとわかりませんね」

ことり「海未ちゃんお疲れ様。少し休憩したら次は兵装のシミュレーションもしてみよ?」

ことり「なにか希望の武器とあるかな? あ、でもオトノキに残ってる武器はそんなに多くないからあんまり選べないけど……」

 海未「今は動かすだけで大変ですからね。武装はシンプルなほうがいいのかもしれません」

ことり「弓道と剣道をやっていた海未ちゃんならスナイパーライフルかブレードがいいんだろうけど、適正距離が真逆なんだよね」

 海未「両方を持つということは不可能なんですか?」

ことり「出来なくはないけど、火器管制システムが遠距離用と近距離用に分かれるから適正距離から外れちゃうとロックが遅くなったり出来なくなったりするの」

 海未「そうなんですか。では部活でやっていたことですし、弓道とは少し違いますが遠距離用の武装にしてみましょうか」

ことり「うん、じゃあシミュレーションの設定しておくね。ネクストにはヒデコちゃんたちに調整してもらうから」

 海未「お願いします。では訓練の続きをはじめましょうか」





ことり『BFF製のスナイパーライフルがひとつだけあったからそれを装備させて、あとはローゼンタール製の突撃ライフルだね』

 海未「距離をあけて戦うのはいささか卑怯のような気がしますが……」

ことり『そういう戦い方もあるってことだよ。じゃあシミュレーションをはじめるね。まずはそこに配置したMTを攻撃してください』

 海未「了解しました」




 海未「対象を真ん中に捉えて……」ピッ

 海未「ロックしました。これでトリガーですね」ドゴォ

ことり『対象の破壊を確認しました。海未ちゃんどう? なにか不具合なところとかない?』

 海未「いえ、問題ありません。このまま続けましょう。あともう少しレベルを上げてもらって構いませんよ」

ことり『ほんと? じゃあMT14機にノーマル3機を配置して……初めてでこれは海未ちゃんでもきついかな?』

 海未「少しと言いましたのに……いえ、これぐらいやってのけなければ音ノ木坂を守ることなんて出来ません」

ことり『頑張ってね!』

 海未「いきますっ!」

6: 2015/04/26(日) 18:41:05.96 ID:JCVMsnQW.net
海未「とりあえずシミュレーションはこんなところでしょう」

ことり「海未ちゃんお疲れ様。シミュレーションのデータが出たよ」

ことり「AMSの適正は高くないけど、海未ちゃんの戦闘適正はすごく高いんだね。初めてでこんな結果が出るなんて」

海未「シミュレーションだけではわかりませんが、とりあえずは及第点といったところでしょうか」

ことり「これからどう変わっていくかわからないけど、今は充分満足できるレベルだと思うよ」

ことり「これなら下位のランカーオリジナルにも負けないと思うし」



海未「人と戦うことになるんですよね……」

ことり「そうだね……だけど戦わないとこの先生きのこれないから……」

海未「わかっています。ですが、もしも万が一みんなと……」

ことり「海未ちゃん……」


海未「いえ、なんでもありません……」




ことり「穂乃果ちゃん、どうしてるかな……」

海未「そうですね。もう一度会いたいです」

ことり「うん……」

7: 2015/04/26(日) 18:46:30.08 ID:JCVMsnQW.net
ことり「お母さんから出撃依頼が来たよ」

海未「ついに初陣ですね。まるで初めて弓道の大会に出たときのように緊張します」

海未「私は機体に乗って待機しておきます。ことりは輸送機のほうへ」

ことり「はいっ! じゃあこの後は通信でお話するね」トテトテ



ことり『海未ちゃん聞こえる?』

海未「はい、聞こえていますよ」

ことり『じゃあミッションの概要を説明するね』


ことり『今回の依頼はGAからのもので、独立計画都市グリフォンを占拠するテ口リストを排除することです』

ことり『グリフォンは再開発の計画があるんだけど定期的に襲撃されているみたい』

ことり『それで手が回らなくなったGAが依頼してきたわけなんだけど、GAもネクスト技術が遅れているほうだからオトノキを売り込むにはこれがチャンスだってお母さんも言ってたんだ』

海未「なるほど。しかし定期的に襲撃するほどテ口リストはグリフォンになにか拘りがあるのでしょうか」

海未「毎度撤退するのならその分資金も資材もかかるわけですし……」

ことり『お母さんは何か知っているような感じだったけどなにも教えてくれなかったな』

海未「わからないのであれば仕方ありません。任務を果たすだけです」

ことり『うん。そろそろ目的地に到着するよ。無理しないでね海未ちゃん』

海未「はいっ! では参ります!」

8: 2015/04/26(日) 18:47:40.28 ID:JCVMsnQW.net
海未「この橋の向こうがグリフォンですね。高いビルも多く立ち並んでて大きな街ですね」

ことり『ミッション開始。独立計画都市グリフォンを占拠する敵勢力を排除してください』

ことり『向こうは多数のMTとノーマルが数機だけだね。橋を使うと狙い撃ちにされるから水上を渡って』

海未「了解しました」


海未「MTは数だけでネクストの脅威には遠く及びませんね。突撃ライフルで流し打ちするだけで簡単に沈んでいきます」

海未「しかし……コジマ粒子の影響でしょうか。シミュレーションのときとは全然違って頭痛も、それに吐き気も止まりません」

海未「リンクスはみんなこんな状態で戦っているというのでしょうか。それとも私の適正が低いせい?」

ことり『海未ちゃん大丈夫? AMSで実際にネクストを動かすと身体に違和感が出るはずなんだ』

ことり『適正が高くない海未ちゃんはそれがかなり酷くあらわれるから無理しないで。それにコジマも……」

海未「ええ、ですがオトノキの為です。これぐらい耐えてみせますよ」

9: 2015/04/26(日) 18:48:38.70 ID:JCVMsnQW.net
海未「ノーマルもMTより機動性が少し高いだけでネクストの足元にも及びませんね」

海未「国家解体戦争がわずか一ヶ月で終結したのも頷けるというものです」

ことり『海未ちゃん、あと1機だよ!』

海未「ええ、これで……っ?」ピロ

海未「遮蔽物に入られるとロックが途切れてしまいますね」

海未「それにここは見晴らしの悪い街の中でこちらは長距離用の兵装」

海未「もう少し接敵してから仕掛けてみましょうか」ドヒャア


海未「捕捉はできますがFCSのロックが間に合いません! これが適正距離から外れるということでしょうか」

海未「しかしノーマル程度の動きなら一次ロックでもあたるでしょう」ピッ

海未「終わりです」バスバス



海未「なんとか終わりましたね」

海未「しかし初めての出撃とは云え、この程度で身体に影響が出るとは」

海未「AMS適正の低さはどうにかしないと。今後の課題が山積みですね」

ことり『お疲れ様。お母さん大喜びだったよ』

ことり『これで海未ちゃんも戦争することになるんだよね』

海未「ことり……」

ことり『ううん、これもオトノキの為だもん。私も一緒に戦うから、オトノキがあればいつかみんなだって……」

海未「そうですね。とりあえず今は帰りましょう」

ことり『うん』

10: 2015/04/26(日) 18:49:01.50 ID:JCVMsnQW.net
親鳥「パックスエコノミカ。国家解体戦争から始まる企業による全体管理」

親鳥「限りある資源の節度ある再分配。賢明な経済主体たる企業が資源と市場を独占して、人々はコロニーに押し込まれ糧食をえるためだけの労働に従事していました」

親鳥「企業の力の象徴たるネクスト。その開発に降り遅れたGAは時代遅れの巨人であり、だからこそ私たちを受け入れました」

親鳥「ネクストを駆る傭兵は低俗な政治的駆け引きから生まれたのです」

親鳥「古い戦士。政治的な利用価値しかない非力なネクスト」

親鳥「このときはまだ誰もがそう思っていました」



親鳥「……私を含めて」

11: 2015/04/26(日) 18:49:50.94 ID:JCVMsnQW.net
ことり「ロックオンが遅い?」

海未「ええ、ロック距離が長いFCSを積んでいるのですから当然なんですが、その隙にロックを外されてしまって」

ことり「そっかぁ」

海未「私が未熟なのが原因ではあるのですが、もう少しこう……」

ことり「じゃあ中距離用のFCSに換えてみよっか。GAからの報酬で新しい部品も買えるし」

海未「いいんですか?」

ことり「もちろんだよ。海未ちゃんがベストの状態で戦えるならそれが一番いいよ」

ことり「こんなことでお金をケチってもし海未ちゃんの見に何かあったなんてことになれば……」

海未「ことり……」

ことり「海未ちゃんには絶対に氏んでほしくないからいろいろ試してみよ?」

海未「ありがとうございます」






海未「ロック距離は縮みましたが速度は随分早くなりましたね」ピッ

ことり『これから先ネクストと戦うこともあるだろうからパーツ選びは慎重にね』

海未「ええ。これならロックが途切れる前に狙撃できるはずです」

ことり『だけど無理だけはしちゃダメだよ?』

海未「はい、ことりに心配をかけないように心がけます」

ことり『いいお返事です。大変よろし……ん?』ビービー

海未「どうしました?」



ことり『海未ちゃん、新しい依頼がきたよ』

12: 2015/04/26(日) 18:50:17.03 ID:JCVMsnQW.net
ことり『作戦を確認します。イオシーン発射場に所属不明の潜水艦隊が接近しています』

ことり『確認された航跡の特徴から艦種はオーメル社、サフィ級特殊潜水艦です』

ことり『同社製自爆兵器の大量使用が想定されます』

ことり『このまま半島部で待機し、沖合いから発射場に向かい自爆兵器をすべて迎撃してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』


海未「自爆兵器ですか……」

ことり『今回は数が多いみたいだからスナイパーライフルじゃなくて両方突撃ライフルにしてみたよ』

海未「リロードが長いと撃ち漏らしが出るかもしれませんしね。ありがとうございます」

ことり『どういたしまして。それより、そろそろ見えてくるころだと思うけど、どうかな?』

海未「いえ、まだ夕陽が沈んでいく景色しか見えませんが……ん? 夕陽?」

海未「この時間ならとっくに陽は沈んでいるはず。ならもしかしてあれが……」

ことり『うそ……あんなにたくさん……」

海未「これをすべて撃ち落さないといけないんですか……」

ことり『少しぐらいなら大丈夫だと思うけどなるべく発射場に被害が出ないように出来るだけ迎撃して』

海未「いえ、1機もここを通しません」ドヒャア

13: 2015/04/26(日) 18:54:01.14 ID:JCVMsnQW.net
海未「次から次へと……」

海未「いったいどれだけの自爆兵器を搭載していたんでしょうか」

ことり『海未ちゃんっ、反対側面が抜けられそう!』

海未「了解です!」





海未「弾切れの心配はなさそうですが、どちらを向いても赤い目に睨まれているようですね」

ことり『潜水艦からの自爆兵器の射出が終わったみたい。これ以上増えることはないよ』

海未「そうは言ってもまだまだ残っていますね。幸い飛行速度はそれほど速いことはありませんしリロードの隙に抜けられては目も当てられません」

海未「自爆兵器の耐久は無いに等しいですから右手を撃ち切ってリロードの際に左手にシフトしましょう」パスパス

14: 2015/04/26(日) 18:54:24.10 ID:JCVMsnQW.net
ことり『いいペースだよ海未ちゃん。もう少し!』

海未「……ハァ……ハァ……」

海未「かなりの集中力を要しますね。今のところ漏れはありませんが……」ガション

海未「右手の弾薬が切れてしまいました! 少し偏り過ぎましたね……」

ことり『海未ちゃん最後の集団がきたよこれで終わりだからっ!』

海未「はいっ! あと少し、リロードのタイミングを見極めて……」



海未「これで終わり……っ!」パスパス





    ガション……



海未「まさか、こんなところでリロードに!?」

ことり『海未ちゃん落ち着いてっ!』

海未「わかっています! 早く、早くリロードをっ!」

海未「自爆兵器が作戦エリアを抜けようとしています! どうしてリロードにこんな時間がかかるんですかっ!」


    カシャン!




海未「来ました! 間に合ってください!」バスン

15: 2015/04/26(日) 18:54:52.40 ID:JCVMsnQW.net
ことり『自爆兵器、すべて撃破しました』

ことり『発射場に被害は発生していません。作戦は成功、完璧な結果です』

ことり『お疲れ様海未ちゃん、帰還しよ』


海未「ええ……」ハァハァ







海未「まさかリロードのタイミングを間違えるなんて……」

ことり「あの1機ぐらい漏れても大した被害じゃなかったと思うけど?」

海未「それはそうですが、オトノキの名前を背負っている以上完璧な仕事をしなくてはいけません」

ことり「海未ちゃんは真面目だね。だからお母さんも海未ちゃんを推してたのかな」

海未「単に私しかネクストに乗れる人がいなかったからではありませんか?」

ことり「うん、私はまったく適正がなかったからもう海未ちゃんしかいなかったし……」

ことり「ほんとは海未ちゃんにこんな危ないことをさせたくないけど、こんな時代だから……」

海未「それは仕方のないことです。ですがみんながいなくなってしまって寂しくはありますね」

ことり「そうだね。絵里ちゃんなんかはたまに名前は聞くけど、もうオトノキのことはどうでもよくなったのかなぁ」

海未「そんなことないと思います。ですが企業に属している以上それぞれ事情があるんでしょう」

ことり「うん……」

海未「そんな顔をしないでください。オトノキとことりは私が命に代えても守りますから」

ことり「えへへ、ありがとう。だけど海未ちゃんは氏んじゃダメだからね」

海未「もちろんです」

16: 2015/04/26(日) 18:55:24.69 ID:JCVMsnQW.net
海未(とはいえ、穂乃果がここにいればことりも少しは元気になれるのですが)

海未(穂乃果、あなたたちは私たちを置いてどこに行ったというんです)

海未(他のみんなは各企業で活躍していると聞きましたが、あなたたち二人の情報だけはまったく掴めません)

海未(なにも言わず去ってしまって、本当に昔から迷惑ばかりかけるんですから)









ことり「GAでも随分海未ちゃんの評価が上がってるみたいだよ」

海未「まだ簡単な作戦しか請け負っていないはずですが?」

ことり「簡単なことないよ。確かに通常戦力が相手だけどそれでも難しい仕事が多かったよ?」

海未「よくわかりませんね。とにかく必氏でしたから」

海未「それに今の私の力で同じネクストに乗るリンクスに敵うのでしょうか。まだAMSには慣れないですし」

ことり「AMS適正がすべてじゃないよ。各企業のオリジナルは国家解体戦争のときはほとんど戦争経験があったわけじゃないけど、今の海未ちゃんならあの人たちに引けを取らないと思う」

海未「ことりにそこまで期待されると頑張るほかはありませんね」


ことり「だけどやっぱり無理はダメだよ? 少し前に致命的な精神負荷をかけて機体の性能を限界近くまで引き上げて戦っている人がいたけど、ついこの間氏んじゃったってニュースでやってたから」

海未「そんな方法で適正の低さをカバー出来るのですか? それなら――」

ことり「ダメだよ。海未ちゃん、それは絶対にダメ」

海未「ことり?」

ことり「言ったでしょう? そんなことをしたら人の身体は耐えられないんだよ」

ことり「もしも海未ちゃんがその方法を取るならことりは起動中の海未ちゃんのネクストの隣でお昼寝するからね」

海未「そんなことをすればコジマ汚染で大変なことになってしまいますっ!」

ことり「それだけ本気ってことだよ。海未ちゃんは自分の力だけでも充分強いんだから」

海未「わかりました……」

17: 2015/04/26(日) 18:55:50.87 ID:JCVMsnQW.net
海未「GAの他にも依頼はそれなりに来るようになってきましたね」

ことり「海未ちゃんなにかやってみたい任務ってある?」

海未「そんな気軽に決めることではないでしょう。それに依頼を受けるのはことりのお母上なのですから私に選ぶ権利はありませんよ」

ことり「たまには簡単な依頼でも受けていいと思うけど……えっ?」


海未「ことり?」

ことり「え? この人って氏んだはずじゃ……」

海未「なにを見ているんですか?」ヒョイ

海未「砂漠の狼の撃破ですか。二つ名があるということは恐らくリンクスなのでしょうが」



ことり「この人だよ」

海未「なにがですか?」

ことり「さっきこの前氏んじゃったって言ってた人。反体制勢力マグリブ解放戦線の英雄、砂漠の狼ことアマジーグ」

ことり「仲間を汚染させない為にたった独りで戦い続けて、その所為で汚染と精神負荷で氏んでしまった人」

海未「しかしそれならこの依頼は……」

ことり「なにかの間違いなのかな。だけど依頼はごく最近のものだし……もしかして二代目?」

海未「アマジーグに後継がいたということですか?」

ことり「そうかもしれない。彼のネクスト、バルバロイを今は別の誰かが引き継いでいると考えれば……」

prrrrrrr

ことり「お母さんからだ。ちょっと待ってね」

18: 2015/04/26(日) 18:56:15.70 ID:JCVMsnQW.net
海未「それでお母上はなんと?」

ことり「次の任務が決まったみたい」

海未「浮かない顔をしているのは危ない仕事ということですね? 件の砂漠の狼の撃破といったところでしょうか?」

ことり「うん……」

海未「ついにネクスト戦ですか」

海未「作戦前にもう一度アセンブルをしないといけませんね」

海未「砂漠で戦うことになるでしょうからスナイパーライフルも充分真価を発揮することが出来るでしょう」




ことり「海未ちゃん」

海未「なんですかことり?」

ことり「今度の相手はアマジーグとは違うけど、資料によれば先代と同じかそれ以上の実力を持っているかもしれないって」

海未「先代のアマジーグはどれほど強かったんですか?」

ことり「何度も企業からの攻撃を受けて、たった独りでそれを撃退し続けた人だよ。強いってレベルじゃない」

海未「そして今のバルバロイのリンクスはアマジーグと同等かそれ以上ですか……一体誰が乗っているんでしょうか」

ことり「わからない……だけど絶対に海未ちゃんを氏なせないように作戦を考えるから」

海未「私はそう簡単に氏にません。あなたがいるかぎりね」

ことり「生きのころう、二人で……」

22: 2015/04/26(日) 21:24:32.44 ID:JCVMsnQW.net
海未「ここが旧ピースシティですか」

海未「ビルの残骸が少しあるだけであとは見渡す限り砂漠ですね」

ことり『準備はいい?』

海未「ええ、いつでも構いません」



ことり『まだ時間があるからもう一度ミッションの概要を説明するね』

ことり『目標は砂漠の狼こと、今は誰が乗っているかわからないバルバロイです』

ことり『入手した情報によるとバルバロイは間もなくここを輸送機で通過する予定にあります』

ことり『先代のアマジーグよりも強いというのならまともに相手をするとリスクが高すぎる相手です』

ことり『ネクスト・バルバロイはイクバール標準型の軽量機体です。機体の防御性能は決して高くありません』

ことり『起動前に一気に叩いてください』


海未「起動前のプライマルアーマーを張る前に倒すとはなんとも卑怯な作戦ですね」

ことり『仕方ないよ。いくら海未ちゃんでも砂漠の狼と戦って氏なない保証はないもん』

海未「すみません、責めているつもりではなくてですね……」

海未「せっかくことりが作戦立案してくれたのですから全力を出すだけですね」

ことり『うん。相手には気の毒だけど、これが一番安全で確実だよ』ピッ


ことり『海未ちゃん、きたよ!』

23: 2015/04/26(日) 21:24:56.59 ID:JCVMsnQW.net
海未「いよいよですね」

海未「起動前にスナイパーライフルで固めればそのまま墜とすことができるはずです」カション


ことり『目標作戦エリア内……あっ!』

海未「どうしました?」

ことり『も、目標すでに起動していますっ!』

海未「バカなっ!」



???『奇襲ね……』


ことり『そんな気付かれていた……? それにこの声』

???『無駄な策だったようね。不意打ちなんて狗に相応しいことだわ』

???『容赦はしないって言いたいところだけど、今回の相手があんたたちなんてね』

海未「にこなんですかっ!? なぜこんなところに。それにその機体は――」

にこ『私が二代目の砂漠の狼よ。今の私はマグリブ解放戦線の矢澤にこなの』

24: 2015/04/26(日) 21:25:22.92 ID:JCVMsnQW.net
海未「あなたも他のみんなと同じように企業に入ったではなかったのですか?」

にこ『ええ、最初はインテリオルにいたわよ。だけどここでの作戦中に後ろから撃たれてね』

海未「私たちのような奇襲にやられたのですか?」

にこ『そうじゃないわ。他にもレオーネのリンクスがいたもの』

にこ『私は最前線にいて後ろには味方しかいなかった。だけど撃たれたのは後ろから』

ことり『それって……』

にこ『そうよ、裏切られたの。大体見当がついてるけど、私も悪目立ちしてたから』

にこ『機体が大破して氏を待つだけだった私を助けたのがアマジーグだったってわけ』

にこ『彼は敵だったはずの私を助けて手当てもしてくれたわ』

にこ『味方に裏切られて、敵に助けられてもう正義なんてものがわからなくなってしまってね』

にこ『そうしてここで過ごしているうちにここの人たちも必氏に生きているのがわかってね』

にこ『なんにもなくなってしまった私はあの人と一緒に戦うことを決めたの』

にこ『そしてあの人が亡くなったときにこの機体を託されたから、私が今のバルバロイのリンクスよ』

25: 2015/04/26(日) 21:26:01.20 ID:JCVMsnQW.net
海未「どうしてオトノキに帰ってこなかったんですか!?」

にこ『なにもない私が帰ってもオトノキの為にならないわ』

ことり『そんなことない!』

にこ『裏切られた時点で私は戦氏扱い。もうどの企業も雇ってくれない』

にこ『そんな私がおめおめとオトノキに帰ってあなたたちに養ってもらえっていうの?』

海未「そうです! たとえすべて失ったとしてもあなたは私たちの仲間ではありませんか」


にこ『だからイヤだったのよ』

海未「え?」

にこ『あんたたちならそう言ってくれるって思ってたわよ』

にこ『だけど私にだってプライドがあるの。あんたたちに守られてなにも出来ないなら氏んだほうがマシよ』

海未「そんな……」

ことり『……』

26: 2015/04/26(日) 21:26:26.82 ID:JCVMsnQW.net
にこ『話は終わりよ。撤退するなら昔のよしみで見逃してあげる』

海未「そんなわけにはいきません。私もオトノキを背負っているのですから」

にこ『そう……なら宣言通り容赦しないから』

海未「私も手加減しません。あなたを倒してオトノキに連れ帰ります」


にこ『舐められたものね、私も……いくわよ!』ドヒャア



海未「速いっ!?」

27: 2015/04/26(日) 21:26:55.91 ID:JCVMsnQW.net
にこ『どうしたの? あんたの持っているライフルじゃあもっと距離をあけないと苦しいんじゃない?』

海未「くっ!」

海未(にこの機体は軽量機とはいえあまりにも速すぎます)

海未(私のアリーヤは中量機ですがそれでも高機動に特化している機体です)

海未(なのに捕捉はおろか振り切ることさえままなりません)


ことり『あれは……二段クイックブースト……?』

海未「ことり? なんですかそれは?」

ことり『あぁ……うん、クイックブーストの爆発的な出力をコンマ何秒か圧縮して溜めて一気に解放するの』

ことり『そうやって通常のクイックブーストよりも何倍もの瞬間推力を得られるんだけど、それはあくまで理論上の話だよ』

ことり『本当に出来る人がいるなんて……』

にこ『アマジーグから教えてもらった技術よ。精神負荷をかけていたとはいえ、あの人は天才だったわ』

ことり『教わってできるようなことじゃないよ。海未ちゃん、にこちゃんと戦うのは危険すぎるよ!』

にこ『ことりの言う通りよ。私だってあんたたちとは戦いたくない。今からでも見逃してあげるから退きなさい』


海未「それはできません」

28: 2015/04/26(日) 21:27:18.98 ID:JCVMsnQW.net
にこ『あんたねぇ……』

にこ『いいわ、そこまで氏にたいのなら私の手で頃してあげる』ズガァン


海未「くぅっ! 一瞬で距離を詰められてしまうとは……」

海未「それにショットガンで一気にプライマルアーマーを削られました」

にこ『そんな動きでよくこれまで生きのこれたわね』パスパス

海未「装甲が! プライマルアーマーが厚い分装甲は弱いんですね……」

海未「APはまだ大丈夫です。落ち着いてにこの攻撃を回避して、動きを読んで捕捉を……」ピッ

にこ『甘いわ』ピロ……


海未「速すぎて二次ロックが間に合いません。もっと距離を離さないと!」

にこ『いいわ、あんたの得意な距離でやってあげる』

にこ『私の兵装は近距離用だしそれぐらいのハンデがないと勝負にならないかもね』フフン

海未「バカにして……」


にこ『距離が欲しいんでしょ? ほら』ドヒャア

海未「なっ? 自分から後退するなんて……」

29: 2015/04/26(日) 21:27:46.80 ID:JCVMsnQW.net
にこ『こんなものかしら。私の武器は豆鉄砲同然になっちゃうけど、ちくちく削るのも楽しいかもね』

海未「そんな真似をして負けてから言い訳なんてしないでくださいね」

にこ『自惚れないでちょうだい。今のあんたに全力を出す価値なんてないわ』

海未「にこぉぉぉぉっ!」ドゴォ



にこ『BFF製のライフルなだけあってかなりの弾速ね。だけど……』ドヒャア

海未「!?」

にこ『これだけ離れれば見てからでも避けられるわ』

海未「まだまだです!」ドゴォパスパス

にこ『だからあたらないって』ドヒャア


海未「くっ、このっ!」ドゴォドゴォ

にこ『避けるだけなら簡単ね。でもそれじゃあつまんないから』バシュゥ

ことり『海未ちゃん避けて!』

海未「え? がぁっ!?」ズガァ

30: 2015/04/26(日) 21:28:11.03 ID:JCVMsnQW.net
にこ『バルバロイはライフルとショットガンだけじゃないの』

海未「今のは……小型のミサイル……?」

ことり『気をつけて海未ちゃん。追尾性能は低いけどまとまってあたればプライマルアーマーごと装甲を持っていかれるよ!』

海未「にこの攻撃手段がないと油断していました……」

海未「ですがこちらの攻撃があたらない以上ジリ貧なのには変わりありません」

海未「あと少し近づけば……」ドゴォ


にこ『惜しかったわね。だけどまだまだ余裕よ』

海未「ダメですか……ならばもう少し」ドゴォ

にこ『残念、ハズレよ』ドヒャア

海未「もう少し……もう少しで……」ドゴォ


にこ『フフフ』ドヒャアドヒャア


海未「あと少しであたりそうなんです……!」

31: 2015/04/26(日) 21:28:50.50 ID:JCVMsnQW.net
にこ『そうね。だけどいいの……?』




ことり『海未ちゃんダメ!』


海未「え?」




にこ『そんなに近づいて、そこはもう私の距離よ?』バシュゥ


海未「うぁあああああっ!」バチバチ



にこ『せっかくだから苦しまずに一気に楽にしてあげる』ズガァン

海未「うぁぁっ……このままでは装甲がもちません……」

海未「なんとかしなくては……」

32: 2015/04/26(日) 21:29:21.40 ID:JCVMsnQW.net
――致命的な精神負荷をかけて



海未「それですっ!」

ことり『海未ちゃん……? 海未ちゃんっ!?」

海未(ことり、ごめんなさい。早速約束を破ってしまいますね)

海未(ですがこの方法以外ににこを止める手段がありません)

海未(リミッターの制御装置はこれですね……)ポチ

     ヴゥゥゥゥゥン

海未「がっ……! あ……!」

ことり『海未ちゃんダメだよ! 今すぐリミッターを戻して!』





海未(ものすごい頭痛です……頭が割れてしまいそう……)

海未(ですが機体の隅々まで自分の身体と同じになっているような感覚です)

海未(これならっ!)

33: 2015/04/26(日) 21:31:02.33 ID:JCVMsnQW.net
にこ(動きが変わった? まさかね……)キュイーン


にこ(え……? 掠った……? まさか見えてるの……?)

にこ(この近距離でスナイパーライフルのロックが出来るはずがない)

にこ(だけど今の海未は確実に私に中てにきている)

にこ(直撃はまだないけど、あんまり舐めているとやられかねないわ。私も本気を出すわよ!)




海未(にこの動きがまた速くなりました)

海未(ここにきてさらに速くなるというのですか……)

海未(リミッターを外してなんとか互角に渡り合えると思ったのに……)

海未(早く勝負を決めないと身体が……)






???『コチ……ワイ……リント……キュ……エン……モチコタエテ……!』

34: 2015/04/26(日) 21:31:35.18 ID:JCVMsnQW.net
―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――
――――――――
――――



海未(声が聞こえます……)

海未(とても懐かしい……いつも傍にいたあの笑顔を……)

海未(困ったときはいつも泣きついてきて私とことりが助けてあげていたのに……)

海未(あなたが救援にかけつけてくれるなんてきっと幻聴ですね……)

海未(ほの……)







にこ『どうやら限界のようね……』

海未「まだ……です……」ゼェゼェ

にこ『このまま続けたらあんた本当に氏ぬわよ』

海未「あなた……を倒して連れ……帰るまでは……」

にこ『もういいわよ。私のことなんか忘れてことりと一緒に暮らしなさい』

にこ『それがあんたの為よ……』

海未「お断りします……」ガシャン

にこ『どうしてもやる気みたいね』ガシャン

にこ『いいわ……気の済むまで付き合ってあげる……ん?』ピピピ

35: 2015/04/26(日) 21:32:11.80 ID:JCVMsnQW.net
にこ『この戦域に高速で近づいてくる機影が?』

にこ『まさか増援が来るというの? だけど音ノ木坂に加勢するリンクスなんて……』


海未「まだ……新手が来ると……いうんですか……?」

海未「もうこれ以上は……」ガク……

ことり『海未ちゃんっ!』

にこ『気絶したようね……』

にこ『増援かどうかわからないけど、ここで戦闘を始めたら海未を巻き込んでしまうわ』

にこ『ことり、少し離れるから海未を回収しなさい!』


ことり『はいっ!』


ことり(ものすごい速さで近づいてくる機体がある……)

ことり(なんだろう……それにさっきの通信の声……)

ことり(ノイズが酷くてはっきり聞き取れなかったけど、だけど私と海未ちゃんが聞き間違えるはずない)

36: 2015/04/26(日) 21:57:54.06 ID:JCVMsnQW.net
  ウィィィィン

ことり「海未ちゃんしっかりして……」

海未「こと……り……」

ことり「よかった! 生きててくれてよかった!」

海未「ことり……ほの……かが……」

ことり「うん……穂乃果ちゃんの声だったね」

海未「……」スゥ

ことり「今はゆっくり休んで……」



ピピピピ


ことり「あの真っ白い機体に乗っているのが穂乃果ちゃんなの?」

ことり「通信が切られてる。二人とも動かないから何か話しているんだろうけど……」


     ドドヒャア


ことり「二人同時に動いた!」


ことり「すごい……二人とも常に二段クイックブーストを使ってる……」

37: 2015/04/26(日) 21:58:42.95 ID:JCVMsnQW.net
    パスパスフォォン

    ドヒャア

ことり「あんなに強かったにこちゃんを圧倒するなんて……」

???『……ちゃん……こえる……?』

ことり「穂乃果ちゃんなの!?」

穂乃果『うん、穂乃果だよ! 久しぶりだね』

ことり「久しぶりじゃないよ! 急にいなくなっちゃたりして連絡もしないで!

ことり「それに穂乃果ちゃんと一緒に行った――」



???『私もいるわよ』

ことり「真姫ちゃん? やっぱり穂乃果ちゃんと一緒だったの?」

真姫『ごめんなさい。事情があって話せなかったのよ』

ことり「だからって……」

穂乃果『ごめんねことりちゃん、真姫ちゃんは穂乃果のオペレーターをしてくれているの』

真姫『今は話せないけどいずれまた会うことになるわ』

穂乃果『後のことは穂乃果たちに任せてオトノキに帰ってて』

ことり「だけど……」

38: 2015/04/26(日) 21:59:06.09 ID:JCVMsnQW.net
ことり「海未ちゃんになにも言わなくていいの?」

穂乃果『また会えるから……それじゃあ』プツ


ことり「切れちゃった……」

ことり「せっかく穂乃果ちゃんと真姫ちゃんに会えたのに」

ことり「それににこちゃんは大丈夫なのかな……穂乃果ちゃんのあの様子だと命まで奪うことはないだろうけど……」

ことり「穂乃果ちゃんたちがああ言っているこれ以上ここにいても仕方ないし、とにかく海未ちゃんの手当てをしないと」



    ウィィィィンゴー




海未「……ほ……のか……」

39: 2015/04/26(日) 22:07:54.98 ID:JCVMsnQW.net
親鳥「事実と異なるとはいえ、ホワイトアフリカでの戦い、特に反体制の英雄たるバルバロイの撃破は園田海未の価値を一気に押し上げました」

親鳥「ですが我々が単純な成功を享受する一方で、パックスには深刻な対立の火種が生じていました」


親鳥「コジマ技術の主導権争い」

親鳥「アクアビットを擁する新興のレイレナードグループとローゼンタール傘下、オーメル・サイエンスによるこの争いは」

親鳥「次第に他企業に波及して、潜在的な対立を顕在化させていきます」

親鳥「世界の欺瞞に満ちた安定は失われつつありました」

親鳥「私はそれを音ノ木坂のチャンスだと考えていました」

48: 2015/04/29(水) 01:27:30.23 ID:/KnKLxz+.net
海未「……」パチ



海未「ここは……」


海未「そうでした……私はにこに敗れたのですね……」

海未「しかしなぜ私は生きているのでしょうか……」


海未「あのとき……通信が聞こえて……」



    ウィィィン


ことり「海未ちゃん気がついたのっ!?」




海未「ことり……」


ことり「よかったよぉ……! 全然目を覚まさないからすごく心配したんだよ……」


海未「すみません……私はどれくらい眠っていたのでしょうか?」


ことり「あれから5日も経ってるんだよ」

49: 2015/04/29(水) 01:28:22.27 ID:/KnKLxz+.net
海未「5日ですか……心配をかけたようですね」

海未「ごめんなさい……」

ことり「ううん、海未ちゃんが生きていてくれただけで嬉しいよ」

ことり「でも……」

海未「?」

ことり「ことりの言うことを聞かずにネクストのリミッターを切った海未ちゃんには罰としてしばらく安静にしてもらいます!」

ことり「ダメって言ったでしょ? どうしてお願いを聞いてくれなかったの?」

海未「すみません……ですがああでもしないとにこには――!」

ことり「言い訳なんか聞きたくありませんっ!」


海未「ことり……」


ことり「お願いだから無理しないで……あのままだったらにこちゃんの言う通り本当に氏んじゃうところだったんだよ?」


海未「はい……」

50: 2015/04/29(水) 01:29:02.78 ID:/KnKLxz+.net
ことり「もう無茶なことしないって約束してくれる?」

海未「出来る限りは……」

ことり「ちゃんと約束してくれないと赦しません!」

海未「無理をしなくて済む戦いばかりならいいですが、にこのような強いリンクスが相手となると――」




海未「そういえばにこはどうして私にとどめを刺さなかったんですか?」


ことり「海未ちゃん憶えてないの……?」




海未「確か気を失う前、新手の機影が接近しているのを確認して、そのとき聞こえてきた通信が……」



海未「穂乃果っ!」


海未「そうですっ! あのとき穂乃果の声が聞こえて――!」

ことり「うん、穂乃果ちゃんが助けにきてくれたんだよ」

海未「穂乃果と話したんですか?」

ことり「少しだけだけど……それと穂乃果ちゃんと一緒に行方がわからなくなっていた真姫ちゃんもいたよ」

海未「真姫もですか?」

51: 2015/04/29(水) 01:30:04.19 ID:/KnKLxz+.net
ことり「うん、穂乃果ちゃんが真っ白な機体に乗っていて真姫ちゃんが穂乃果ちゃんのオペレーターをしていたの」

海未「穂乃果もリンクスになっていたんですね」

海未「しかし音ノ木坂で行われた適性検査では真姫のほうが適正値は高かったはずですが……」

ことり「私たちの中では真姫ちゃんが一番高かったよね。その次ににこちゃんと絵里ちゃん」

ことり「穂乃果ちゃんはその次だったかな」

海未「ええ。穂乃果の値は低くはありませんでしたが、上位三人との差はそれなりにあったはずです」


ことり「だけど穂乃果ちゃんがネクストに乗っていて、真姫ちゃんがオペレーターをしていた」



ことり「それに……」



ことり「海未ちゃんが倒れた後穂乃果ちゃんとにこちゃんが戦ったんだけど、穂乃果ちゃんがにこちゃんを圧倒していたんだ」

海未「あのにこに穂乃果がですか?」

ことり「うん、にこちゃんは海未ちゃんからの連戦とはいえ、穂乃果ちゃんに手も足も出なかった……」


海未「私がリミッターを外してようやく戦えたにこに……」

52: 2015/04/29(水) 01:31:14.91 ID:/KnKLxz+.net
海未「それで穂乃果はにこを頃してしまったんでしょうか?」

ことり「わからない……多分それはないと思うけど」

ことり「通信が切られていて聞こえなかったけどなにか話しているみたいだったし」

ことり「そのあと穂乃果ちゃんが"ここは任せて"って言っていたから……」


海未「そうですか……」

海未(穂乃果、今まで連絡も寄越さず姿も見せないで、それなのにどうして今になって私の前に顕れたのですか……)


ことり「お母さんはなにか知ってるはずだよね」


海未「話を伺ってみましょう」




ことり「ダメです」グイ


海未「なぜですか?」



ことり「しばらく安静にって言ったでしょ?」

ことり「海未ちゃんはまず身体をなおすこと! 話を聞くのはそれからです」

53: 2015/04/29(水) 01:31:47.44 ID:/KnKLxz+.net
海未「しかし穂乃果に関する手がかりがっ――!」

ことり「なんと言おうとダメなものはダメだよ」

ことり「まずはしっかり休んで、それからお母さんに話を聞いてみよ?」



海未「わかりました……」



ことり「いいお返事です」

ことり「ことりがずっと見張ってるから逃げ出そうなんて考えないでね」


海未「穂乃果じゃあるまいし、そんなことしませんよ」


海未「ですが――」

海未「ことりがついていてくれるなら安心して眠れそうです……」

海未「……」スヤァ



ことり「寝ちゃった……」



ことり「寝る間際にそんなこと言うなんて海未ちゃんはずるいよ……」


ことり「でも……生きていてくれてありがとう……」

55: 2015/04/29(水) 12:13:25.07 ID:/KnKLxz+.net
海未「このタイミングでしょうか」ドヒャァ!


    ウィーン

ことり「調子が戻ってからずっとシミュレーションルームに篭ってるね」

海未「ことりが記録してくれていた穂乃果のにこの戦闘を見たらじっとしていられなくて……」

ことり「二段クイックブーストの練習?」

海未「ええ、一応出来るようにはなったのですが――」

ことり「できるのっ!?」


海未「狙って出せるようになりましたが成功率もそれほど高くありません」

海未「これでは実用レベルというには程遠いです」

ことり「だけど二段クイックブーストが出来るだけでもすごいんだよ?」

ことり「それにあの技術は適正の高い二人だから使いこなせるっていうところもあるし……」

海未「それでもです。あの二人のように戦えるようになるにはまだまだ訓練が必要ですね」

ことり「ふふ、海未ちゃんは相変わらず頑張り屋さんだね」



海未(適正の高さですか……)

56: 2015/04/29(水) 12:15:22.08 ID:/KnKLxz+.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『極海を航行中のBFF社砕氷タンカーが所属不明の潜水艦隊に追跡されています』

ことり『これを排除し、タンカーの安全を確保します』

ことり『哨戒機からの情報によると、潜水艦隊は比較的大規模であり』

ことり『艦種はオーメル社、アカディール級戦闘潜水艦です』

ことり『砕氷タンカーの護衛が最優先です』

ことり『多連装の大型垂直ミサイルに注意し、敵潜水艦をすべて撃沈してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「リハビリに護衛任務ですか。通常戦力が相手ならちょうどいいのかもしれませんね」

ことり『にこちゃんとの戦い以降、オトノキにたくさん依頼が来てね、ちょっと難しそうなのを選んでみたよ』

ことり『お母さんも忙しいみたいだし、依頼の選択はことりにさせてもらうことになったんだ』

海未「にこを倒したのは穂乃果で、私は敗れたというのに……」

ことり『穂乃果ちゃんの存在はなかったことにされているみたいだよ。企業の間では砂漠の狼を撃破したのは海未ちゃんってことになってるね』

57: 2015/04/29(水) 12:15:51.14 ID:/KnKLxz+.net
海未「事実と違いすぎます」

ことり『だけど、最後は海未ちゃんもにこちゃんと互角に戦えてたもん。それはほんとにすごいよ』

海未「ですが……」

ことり『オトノキに依頼がたくさん来るようになってお母さんも喜んでたし、それにシミュレーションのデータを見る限り海未ちゃんはずっと強くなってるよ』



海未「実戦で試してみないとわかりません」

ことり『すぐにわかると思うよ。海未ちゃんは強い。ことりが保証します』

海未「ことりにそう言われると頑張るしかありませんね」

ことり『頼りにしてます。あ、反応がでたよ!』ピ


海未「了解しました。作戦を開始します!」ヴゥゥンフォォン

58: 2015/04/29(水) 12:17:21.47 ID:/KnKLxz+.net
ことり『今回の作戦用に有澤製のグレネードを用意してみたよ』

海未「ミサイルを撃たれる前に叩かないといけませんし、これは助かります」

ことり『海未ちゃん、敵潜水艦浮上するよ! ポイントに先行して出てきたところを攻撃して!』

海未「了解!」


海未「潜水艦の鼻が見えました。ミサイルハッチが開く前に攻撃しないと」

海未「……」ピ

海未「遅いですね……」ドヒュウ

ことり『敵潜水艦の撃沈を確認。次が来るよ』

海未「了解です」ドヒャア





海未「ことりのオペレートのおかげで問題なく遂行出来ていますね」

ことり『レーダーを積めば索敵も楽になるんだけどね。その機体は負荷が高いから余計なものを積むと動きにくくなっちゃうから』

ことり『それに私の役目がなくなっちゃうしね』

海未「レーダーなんかよりもことりのほうが遥かに信頼できますよ」

ことり『えへへ』

59: 2015/04/29(水) 12:18:33.21 ID:/KnKLxz+.net
ことり『敵潜水艦の反応残り4つだよ』

海未「これで残り3」ドヒュウ

ことり『海未ちゃん、離れた地点に2つ同時に浮上してくる!』

ことり『ひとつはその近く、もうひとつは……タンカーのすぐそばだよ!』

海未「まずはこちらから叩きます!」ドヒュウ

海未「残り2、急がないとタンカーが!」ドヒャア

ことり『ミサイルハッチが開く!』

海未「任せてください!」ドヒュウ

ことり『敵潜水艦残り1、あと一隻はどこに……あっ!」ピピピ


ことり『海未ちゃん、タンカーの後方にもう出てきてる!』


  バヒュウ!


ことり『そんな……ミサイルがもう発射されてる……』

海未「間に合いません、機体を盾にします」

ことり『危ないよ海未ちゃんっ!』

海未「大丈夫です」ドヒャア


   ヒュウゥズガァン

海未「プライマルアーマーのおかげでそこまでダメージはありませんでしたが今のでプライマルアーマーも吹き飛びましたね」バチバチ

60: 2015/04/29(水) 12:19:54.65 ID:/KnKLxz+.net
海未「すぐに潜水艦を叩かなくては!」ピ


   バヒュウ

ことり『どうしよう! またミサイルが……』

海未「ことり、落ち着いてください! まずは潜水艦を墜として……」ドヒュウ

海未「ここからミサイルを追いかけても間に合いません」

海未「狙撃するしかありませんね……」


    ガシャン


海未「冷静に……確実に……」ピピピ


海未「……」ピ


海未「やはり遅いです……」ドゴォ




ことり『し、射出されたミサイル、誘爆ですべて撃墜されました……』

ことり『タンカーに被害はありません』


海未「ふぅ、なんとかなりましたね」

海未「なかなかハードなリハビリでした」

ことり『また無茶なことするんだから』

海未「だけど今回はそこまで損傷は出ていません。それに私自身は無傷ですよ?」

ことり『私のオペレートが遅かった所為もあるし、今回だけは大目に見てあげます』

海未「ありがとうございます」

ことり「それじゃあ帰ろっか。お疲れ様海未ちゃん」

海未「そうですね、帰りましょう」

62: 2015/04/29(水) 13:12:06.35 ID:/KnKLxz+.net
原作知らない人もいるかもなので用語だけ説明入れます

ネクスト→ロボ

ノーマル→ネクストの前の世代のロボ

MT→武装を積んだ作業用ロボみたいなもん

コジマ粒子→放射能みたいなもの、人や環境に害悪だけど綺麗なエメラルド色をしてる

リンクス→ネクストのパイロット

AMS→リンクスとネクストを繋ぐシステム、どうやってネクストを動かすのかはフロム脳

プライマルアーマー→コジマを使ったネクストのバリア

また書き溜めて夜に投下します

63: 2015/04/29(水) 18:49:58.56 ID:/KnKLxz+.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

親鳥「穂乃果さんと西木野さんに遭遇したようですね」

ことり「なにがあったか教えてよ、お母さん」

海未「私からもお願いします」

親鳥「音ノ木坂の経済危機は今に始まったことではありません。それは前に説明しましたね?」

海未「南教授が亡くなられてからネクスト技術が漏洩したと……」

親鳥「その通りです。絢瀬さん、東條さん、矢澤さん、小泉さん、星空さんの5人は各企業のグループにスカウトされて音ノ木坂の為に報酬を稼ぐと言ってここを離れましたが」

親鳥「一番適性の高い西木野さんはあるコロニーに取引を持ちかけられました」



海未「真姫を売り渡したんですか……?」

親鳥「そうなります。あなたたちに恨まれても仕方ありませんね……」

海未「わかりません……もし真姫が望んだことなら私たちに理事長を責めることは出来ません」

海未「それに私たちが他のコロニーに比べて穏やかに暮らせていたのもみんなと理事長のおかげなんですから」

海未「ですがなぜ穂乃果も一緒に?」



親鳥「それは私にもわかりません。当初、先方の要請は適性の高い西木野さんだけのはずでした」

親鳥「西木野さんだけでも対価は充分すぎるものでしたが、あちらは突如穂乃果さんの身柄も要求してきたのです」

親鳥「検査結果を見ても西木野さん、矢澤さん、絢瀬さんの3人に劣る穂乃果さんをなぜ欲しがったのか」

親鳥「穂乃果さん自身は西木野さんを独りで行かせるよりは一緒のほうが良いと言って安堵していた様子でしたが」

親鳥「ただ、穂乃果さんを上乗せすると報酬が西木野さん一人に比べて5倍もの金額になったんです」

64: 2015/04/29(水) 18:51:05.31 ID:/KnKLxz+.net
ことり「そんなに……?」

海未「相手は穂乃果のなにに価値を見出したのでしょうか……」

親鳥「わかりません。ただ事実として穂乃果さんはネクストに乗り、圧倒的な力を持ったリンクスになっています」

ことり「そうだね……」

親鳥「あなたたちの大切な仲間と幼馴染を売り渡したことは本当に申し訳ないと思っています」

親鳥「ですが、ああでもしないと音ノ木坂は――」

海未「わかっています」

ことり「大丈夫だよお母さん」

親鳥「あなたたち……」


海未「穂乃果も真姫も生きていたんです。今はそれだけで充分喜ばしいことです」

ことり「二人ともまた会えるって言ってくれたから。きっとまたみんなで会えるよ」

海未「そうですね……それで理事長、二人を要請してきたコロニーというのは?」



親鳥「アスピナです。穂乃果さんは今アスピナの傭兵としてホワイトグリントのリンクスになっています」

ことり「あの真っ白な機体……」


海未「ホワイトグリント……白き閃光ですか……」

65: 2015/04/29(水) 18:52:03.47 ID:/KnKLxz+.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『ここハイダ工廠に所属不明の大部隊が接近しています』

ことり『これを迎撃し、建造ドッグへの侵入を阻止してください』

ことり『先の襲撃から予測する限り、敵部隊は相当数のノーマルを中心に編成されており』

ことり『確固たる指揮系統と高い錬度を有しています』

ことり『質量共に、単純な武装勢力ではあり得ません』

ことり『慎重な戦術判断をお願いします』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「今回はGAの子会社、GAE(GAヨーロッパ)の依頼ですか」

ことり『うん、仲介を通さずに直接オトノキに依頼が来たんだよ』

海未「それだけクライアントも切迫しているということでしょうか……」

ことり『本当にそれだけなのかな……』

海未「ことり……?」

ことり『ううんっ! なんでもない!」

66: 2015/04/29(水) 18:53:15.62 ID:/KnKLxz+.net
ことり『今回は閉所で戦うということで近接用にチューンアップしてみたよ』

海未「兵装はローゼンタール製の突撃ライフルにオーメル製のレーザーブレードですか」

ことり『うん、ブレードを使うのは初めてだよね』

海未「そうですね。しかし剣道もやっていたおかげかライフルよりもしっくりきます」

ことり『ほんと? もしかしたら海未ちゃんは近接のほうが向いてるのかな』

海未「それはやってみないとどうにも……」

海未「しかし剣で斬り合うほうが遠くから狙撃するよりも潔くて性に合ってるかもしれませんね」

ことり『確かに海未ちゃんはそっちのほうが似合ってるかもしれないね』

ことり『だけど海未ちゃんみたいに機体を換装して戦う人って少ないんだよ?』

海未「そうなんですか?」

ことり『うん、自分で提案して色んな戦い方をさせちゃってるけど、ほんとはすごく難しいことなの』

ことり『実際に企業のオリジナルの人とかは機体の名前も決まってて武装も固定してるでしょ?』

海未「確かに……」

ことり『だけど海未ちゃんは様々な武器を使って、対応出来ている』

ことり『もしかしたらAMS適性が高いことよりもすごいことなのかもしれないね』

海未「そうでしょうか……自分ではよくわかりません……」ピピピ

ことり『敵部隊が来たみたいだね。海未ちゃんいける?』



海未「ええ、ミッションをはじめましょう!」ドヒャア

67: 2015/04/29(水) 18:54:24.92 ID:/KnKLxz+.net
ことり『敵部隊の侵入を確認したよ。迎撃して海未ちゃん』

海未「了解」ズバァ

海未「ドッグは三箇所、侵入経路は上からですか……」

ことり『数が多い上に波状攻撃を仕掛けてくるみたいだね』ピピピ

ことり『敵第二波、工廠内に侵入しました。侵入箇所を表示するからレーダーで確認してね』

海未「ありがとうございます!」


海未「侵入箇所が複数になると対処が忙しなくなりますね」

海未「蟻の巣のような形状の施設もなかなか不便ですし……」ゴォォ




海未「捉えました」ピピ

海未「ノーマルがこんなに……それにこの機体は……」


海未「いえ、余計なことを考えている暇はありません」ピ

海未「この速度……いいですね……」ズバァ



海未「さあ、次は反対側です。急がなくては!」ヴゥゥンフォォオン

68: 2015/04/29(水) 18:55:21.60 ID:/KnKLxz+.net
海未「やはりブレードを持ってきたのは正解だったようです。ことりに感謝ですね」

ことり『お礼を言うにはまだ早いよ。敵第三波侵入、直ちに迎撃、ドッグ侵入を阻止して!』

海未「まるでもぐらたたきですね……」ドヒャア





ことり『敵第四波侵入、迅速に迎撃してください』

海未「きりがありませんね……それにノーマルとは云え被弾は免れませんし」

海未「情報通りかなりの手練れのパイロットばかりのようです……」ズバァ



ことり『作戦進行、順調です。このまま集中していこう』

海未「ことりのサポートのおかげです」

ことり『海未ちゃんもかっこいいよ♪』

海未「ふふ」ズバァ

69: 2015/04/29(水) 18:56:29.35 ID:/KnKLxz+.net
海未「一体あとどれだけやって来るのでしょうか……」

海未「ブレードを使っている以上弾薬が切れる心配はありませんがこれ以上はさすがに……」

ことり『敵部隊規模、想定を上回っています』

ことり『速度と効率を最重視して』

海未「はい!」




ことり『敵ノーマルの数が想定より大きく上回ってる……』

海未「そのようですね……」ズバァ

ことり『厳しい状況だけど無理は禁物だよ? 冷静に行動して……って海未ちゃんのほうが私なんかより冷静だよね』

海未「そんなことありませんよ。ですが、そうですね、焦らないということは大事なことです」





海未「はぁっ!」ズバァ

海未「かなりの数を倒したはずですが……」

ことり『敵反応がまだあるよ。集中を切らさないで、頑張って!』

海未「もうひと踏ん張りですね」ドヒャァ

70: 2015/04/29(水) 18:57:09.94 ID:/KnKLxz+.net
    ズバァ!

海未「……ハァ……ハァ……」

海未「さすがにこれだけ集中していると疲れますね……」

海未「AMSの影響もあるんでしょうが……まだまだ修行不足のようです……」

ことり『海未ちゃん……もう少しだから……』

海未「心配しないでください……少し疲れただけです」

ことり『うん……あっ!』ピピ


海未「どうしました?」


ことり『て、敵侵入を確認! 捕捉遅れました……ごめんなさい……!』

海未「すぐに向かいます!」


ことり(海未ちゃんが気掛かりでサポートを怠るなんて……)

ことり(私……なにやってるんだろう……)


海未「大丈夫ですよ」

ことり『海未ちゃん……?』



海未「ことりは最高のパートナーです」

71: 2015/04/29(水) 18:58:23.55 ID:/KnKLxz+.net
海未「ふっ!」ズバァ

海未「これで……終わりでしょうか……」ハァハァ

ことり『敵反応、すべてなくなりました。作戦は成功です』


海未「ふぅ……さすがに今回は疲れました……」

ことり『ごめんね海未ちゃん……ことりのミスの所為で……』


海未「気にすることはありません。私も幾度となくことりに助けられているのですから」

ことり『え……?』

海未「作戦立案も、アセンブルもあなたが考えてくれているではありませんか」

海未「あなたがいなければ私はとっくに氏んでいましたよ」

ことり『海未ちゃん……』


海未「さあ帰りましょう」

ことり『うん……!』







海未(それにしても先ほどのノーマル、すべてGA社のものでした……)

海未(襲撃した部隊がたまたまGAの機体を調達したのでしょうか……)

海未(しかしあの部隊の錬度は並のものではありませんでした……)

海未(子会社であるGAEに親会社が攻撃するなど……)

海未(まさか……ね……)

76: 2015/04/29(水) 23:01:29.15 ID:/KnKLxz+.net
海未「思いのほか近接戦闘のほうが戦いやすかったですね」ポチポチ

   ウィィィン

ヒデコ「あれ? 海未ちゃんひとりでアセンブルしてるの?」

海未「はい。先の作戦でブレードを使ってみたのですが可能性を感じましたので」

海未「ことりは理事長とお話があるようなのでたまには自分で機体を構築してみようかと……」

ヒデコ「そうなんだ……ちょっと見せてみて」ヒョイ

海未「お願いします」



ヒデコ「ふむふむ……」

ヒデコ「なにこれ……?」

海未「今あるパーツで過去の作戦の戦果を考慮してみたのですが……」

ヒデコ「まず腕部武器にスナイパーライフルとブレードは同時に持てないよ?」

海未「そうなのですか?」

ヒデコ「いや、持てることは持てるけどFCS、火器管制システムが共有できないよ」

海未「そういえばことりも言ってましたね」

77: 2015/04/29(水) 23:02:58.98 ID:/KnKLxz+.net
ヒデコ「単純にFCSには2つのカテゴリがあって、遠距離と近距離に分類される」

海未「それはことりに教わりました」

ヒデコ「じゃあある程度説明を省くね。長距離用はロック可能距離が長いけどロックするまでの時間が長い」

海未「はい。最近それに少し苛立ちをおぼえます」

ヒデコ「そうなんだ……そして近距離用はロックするまでの時間が早い代わりにロック可能距離が短い」

海未「ええ、こちらのほうが快適でした」

ヒデコ「武器にもそういうのがあってね、スナイパーライフルはどうしてもロックに時間がかかるの」

ヒデコ「だからブレードで戦うレンジでスナイパーライフルは使えないってこと」

海未「なるほど……」

ヒデコ「一応FCSをカットする方法、マニュアルでサイティングする方法もあるけど――」

海未「マニュアルですか……?」

ヒデコ「それ専用の武器もあるよ。ロケットはロック機構がないからマニュアルで発射しないといけないんだけど」

ヒデコ「オブジェクトを破壊するのには向いてるけどネクスト戦で使うには向いてないかもね」

ヒデコ「だってネクストって速いし」

海未「確かにあの速さで動く機体をロケットで狙うのは難しいですね」

78: 2015/04/29(水) 23:13:04.22 ID:/KnKLxz+.net
ヒデコ「とにかく海未ちゃんはどっちのスタイルでも戦えるんだから遠近で武装を使い分ければいいよ」

ヒデコ「遠距離なら突撃ライフルとスナイパー、近接ならブレードとマシンガンとかショットガン」

海未「そうですね……ミッションに合わせて使い分けることにします」

ヒデコ「うん、それが出来るならそうしたほうがいい。あと他の内装にも拘ってみるのもいいかもしれないね」

海未「内装ですか……」

ヒデコ「外装フレームもそうだけどブースターもアリーヤってかなりエネルギー管理難しくない?」

海未「背中に武器を積んでいないのでそれほど気になりませんが?」

ヒデコ「はぇぇ……すごいね……アリーヤのジェネレーターは優秀だけどブースターは扱いづらいって有名なんだけどなぁ」

海未「そうなんですか? 出力が高くて素早く動けて快適ですが……」

ヒデコ「だからその分燃費が悪くてエネルギー切れになりやすいんだよ」

ヒデコ「レイレナードのリンクスたちも苦労してるって噂だし、ランク1のベルリオーズだって他社のパーツ使ってるのは作戦成功率を上げる為って公言してるしね」

ヒデコ「それって逆に言えば自社の製品は使い難いってことでしょ?」

海未「それは極論かと思いますが……現に私だっていろんな企業の製品を使っているわけですし……」

ヒデコ「海未ちゃんは傭兵だからいいんだよ。企業の、それもランク1が言うのとはわけがちがうよ」

ヒデコ「っとまあこんなことで熱くなっても仕方ないね。今のところはアリーヤブースターでも問題はなし、と……」

ヒデコ「前回のデータを見ても海未ちゃんはスピードタイプのリンクスだね」

海未「スピードですか?」

79: 2015/04/29(水) 23:14:45.21 ID:/KnKLxz+.net
ヒデコ「うん、相手との距離を詰めて張り付いて戦うほうが向いてる感じ」

海未「自分でもそう思います。敵との彼我が近い分リスクは大きいですが戦っていてストレスを感じません」

ヒデコ「ならメインのスタイルは近接用に考えてみよ。ブースターも色々試してみよっか」

海未「よろしくお願いします」

ヒデコ「ふふふ、オトノキのアーキテクトにお任せあれ!」






シミュレーションチュウ


ヒデコ「どうだった?」

海未「ブースターを変えればこんなに違いが出るものなんですね」

ヒデコ「当然だよ。戦うスタイルが変わればパーツはほとんど見直さないと」

ヒデコ「海未ちゃんのおかげで資金も資材も揃ってきたし、また要望があれば言ってね」

海未「ええ、ではこのアセンでお願いできますか?」

ヒデコ「そういうと思ってやっといたよ。フミコ、ミカ進捗はどう?」

フミコ『あとは接続テストするだけだよ。そんなに時間かからないと思う』

海未「相変わらず仕事が早いですね」

ヒデコ「まあこれぐらいしか出来ることないからね。あとは二人に任せて休憩しよっか」

80: 2015/04/29(水) 23:16:32.26 ID:/KnKLxz+.net
海未「まったく、自分の機体だというのにほとんど人まかせとは情けないものです……」

ヒデコ「そんなことないよ。ネクストは乗れる人を選ぶから、適性のない私たちは戦えないから海未ちゃんのサポートをする」

ヒデコ「役割分担っていうのかな。ことりちゃんが作戦を考えてオペレートとアセンブルをして私たちが構成した機体で海未ちゃんが戦う」

ヒデコ「こうやってるとさ、みんなで戦っているみたいでなんかいいかなって――」

ヒデコ「まあ実際に危ない目に会うのは海未ちゃんだけだから私の言葉なんて軽いんだけどさ……」

海未「そんなことありません!」

ヒデコ「へ?」

海未「私だけではなにも出来ないんです。ことりやみんながいるから私は、私も戦えるんです」

海未「みんなで戦う……いいですね、それ……」


ヒデコ「ありがとっ♪」







   ウーウー



海未「警報音?」

81: 2015/04/29(水) 23:19:05.41 ID:/KnKLxz+.net
ヒデコ「なんだろう……」

海未「避難勧告が出ています。ヒデコ、早くシェルターへ!」

       ピピピ

海未「ことりですか?」

ことり『海未ちゃん聞こえる?』

海未「なにがあったというんです? それにそちらは大丈夫なのですか?」

ことり『大丈夫だよ。今こっちのレーダーに見えたんだけど、不明部隊が音ノ木坂に接近しているの』

海未「なんですって!?」

ことり『数は多くないけど、もうかなり近い。海未ちゃんすぐに出られる?』

海未「ヒデコ、機体のほうは?」

ヒデコ「調整は終わってるよ」

海未「助かります。ことり、すぐに出ますのでサポートをお願いします。ヒデコはみんなを連れて避難してください!」




海未「調整後のテストがこんな形になるとは……ですがこれは幸運だったのかもしれませんね」

海未「ヒデコたちが最高の仕事をしてくれたのです。これ以上は望めません」

海未「ではいきますよっ!」ドヒャア

87: 2015/05/01(金) 22:17:20.93 ID:xdPtjt2y.net
海未「すでに部隊が展開されています……」ギリ

ことり『ダメ……敵部隊が近すぎるよ……作戦エリアを生活圏内に重ねるしかない……』

ことり『プライマルアーマーは展開できないから被弾回避を最優先に。無理はしないでね……』

海未「了解しました!」ドヒャア



海未(ことりは私の身を案じて言ってくれているのでしょうけど、オトノキの被害を拡大するわけにはいきません)

海未(殲滅を最優先に、ヒデコの調整のおかげで機体は随分軽く感じますし……これならいけますっ!)ズバァ


  ドヒャア! ズガァン



海未「お互い裸とはいえネクストであるこちらのほうが機動性は圧倒的に有利です」

海未「このままブレードとショットガンで早めに叩いていけば被害も少なく済むはずです」




海未「次っ!」ズバァ




    ピピピ



ことり『海未ちゃん止まって!』


海未「……え?」ガァン

88: 2015/05/01(金) 22:18:28.12 ID:xdPtjt2y.net
海未「……タンク型ノーマルが隊列を組んで……」

海未「待ち伏せ……?」


  ドゴォドゴォ


海未「くっ!」ドヒャア


海未(油断しました……まさか軽量機を盾にしてタンクが一斉にバズーカを撃ち込んでくるなんて……)

海未(プライマルアーマーがないと装甲はノーマルと同じですからね……少しネクストの戦い方に慣れすぎていました……)


海未「このぉっ!」ズバァ

海未「まずはこのタンクの群れをどうにかしないと」

海未「タンクは耐久が高い分旋回が遅いですから回り込んで……」ドヒャア


   ズバァ

海未「正対しなければタンクはそれほど脅威になりませんね」

海未「この調子で確実に急いで殲滅しましょう」ピピピ


ことり『海未ちゃん、今度は上からっ!』


海未「ちぃっ!」ドヒャア


海未「飛行型ノーマルまで!?」

89: 2015/05/01(金) 22:19:09.37 ID:xdPtjt2y.net
海未「バズーカの衝撃で動きを止められたら一瞬でやられてしまいます」

海未「やはりまずはタンクからどうにかしないと……多少の被弾は仕方ありません!」


    ドヒャア  ズバァ


海未「飛行型のレーザーライフルが煩わしいです……少しずつですが確実に装甲を削られて……」



ことり『このままじゃもたないよ! プライマルアーマーを――』

海未「ダメですっ! オトノキを汚染するつもりですか!?」

ことり『だけどこのままじゃ海未ちゃんが……』


海未「絶対に私がなんとかしてみますから! お願いです、私を信じてください」

ことり『……わかった。だけど焦らなくていいから被弾を抑えるように戦って……』

海未「了解」

90: 2015/05/01(金) 22:21:04.61 ID:xdPtjt2y.net
海未(とはいえ、少し弾を食らいすぎたようですね)

海未(せっかくヒデコたちが組んでくれたというのに、プライマルアーマーがなければこんなにも脆い……)

海未(いえ……私の慢心が隙を生んだのでしょう……やはりまだまだ未熟です……気を引き締めなければ……)ドヒャア






海未「……」ズバァ


ことり『敵反応残り僅かです。もう少しだから慎重に……』ピピピ

ことり『え? これは……』

海未「どうしました?」

ことり『うそ……て、敵援軍を確認……! 移動要塞? ここにきてあんなものまで……火力が高いから避けるしかないよ!』

海未「やってみますっ!」



   ドヒャア ドヒャア


海未「あの巨大兵器の主砲を回避しながら残りのノーマルを相手にするのは難しいですね……」

海未「思い切ってあの巨大兵器から叩いてみましょうか」ピピピ

海未「おっと、ロックされましたね」ドヒャア








     ガクン



海未「え……?」ドゴォ




海未「痛ぅ……」バチバチ

91: 2015/05/01(金) 22:22:00.36 ID:xdPtjt2y.net
海未(集中を切らした途端もらってしまいました……)

海未(クイックブーストの際に大きな倒木に引っかかったようですね……)


海未(考えている暇はありません……すぐに機体を立て直さないと……)ドゴォ!

海未(体勢を整える前に追撃が!)ドゴォ

海未(まずいです……このままでは……!)ドゴォドゴォ




海未「うあああああああああああっ!!!」バチバチ







ことり『海未ちゃん……っ!』スゥ



   ブンッフォォ



海未「ことり!?」

ことり『プライマルアーマーを展開します! 海未ちゃんの命が最優先だよ!』

ことり『責任は私が持つから……だけど時間はかけられない。急いで終わらせよう』


海未「了解……しました……!」

92: 2015/05/01(金) 22:22:41.03 ID:xdPtjt2y.net
    ズバァ

海未(情けない……汚染をせずにオトノキを護れないなんて……)

海未(それどころかことりにもオトノキにも庇われて……)

海未(護るべき者の為に私は戦っていたんではないのですか……?)

海未(それがどうしてこんな……)





海未(わたしは……)






   ドヒャア


海未「はぁぁあああっ!」ズバァ


ことり『敵ノーマル、全部倒したよ。あとは移動要塞クェーサーだけ」

ことり『懐に入ればブレードで一気に破壊できるはずだから、主砲とミサイルに注意して!』

海未「いきますっ!」ドヒャア

93: 2015/05/01(金) 22:23:35.92 ID:xdPtjt2y.net
海未「これで終わりです!」ズバァ




ことり『敵反応全部なくなったよ。プライマルアーマーを解除します』

ことり『汚染の被害も致命的じゃないみたい。とにかく成功だよ』

海未「そうですか……」

ことり『無理をさせてごめんなさい……海未ちゃんが無事でよかった。ありがとう……』




海未「お礼を言われる謂れはありません……」ボソ


ことり『それにしてもあの人たちなんだったんだろう……』

ことり『どうしてオトノキを……』

94: 2015/05/01(金) 22:25:08.36 ID:xdPtjt2y.net
   ウィィィン

ことり「機体はボロボロになっちゃったけど海未ちゃんに大したケガがなくてよかったよ」

海未「ことり……」

ことり「あのあと調べてわかったんだけど、音ノ木坂を襲撃したの、マグリブ解放戦線の生き残りの人たちだったんだって」

海未「なるほど……私たちは憎き仇ということでしょうか……」

海未「私はにこに敗れたというのに……はは……」

ことり「海未ちゃん……」


ことり「戦うことで生きるのなら、受け入れなきゃいけない」

ことり「それはわかっているのだけど……」


海未「私は……あなたとオトノキを護りたいです……」


ことり「そうやって海未ちゃんは当たり前のように私たちを護ろうとしてくれる」



ことり「私は海未ちゃんの為になにも出来ないのに……」ボソ


海未「ことり……?」


ことり「ううん、やっぱり海未ちゃんはすごいな」





海未「そんなことありませんよ……」

95: 2015/05/01(金) 22:26:13.15 ID:xdPtjt2y.net
海未(私たちがにこの仇として恨まれて、私はにこと戦いたかったわけではないのに……)

海未(にこを失って彼らの怒りの矛先が私たちに向くのは仕方がないのかもしれません)

海未(それだけにこが彼らに愛されていたということでしょう)

海未(ですがそれは私たちも同じなんです)


海未(オトノキを愛して、オトノキの仲間であったにこにも変わらぬ情愛を抱いていました)

海未(それなのにどうしてこんなことになってしまうんでしょう……)

海未(こんな時代だからですか?)


海未(わかりません……ですが)



海未(ことり、あなただけは私のすべてで守りとおしたかった……)



海未(もっと強くならなければいけません……)

103: 2015/05/03(日) 14:43:46.27 ID:9SnXFJsd.net
海未「はっ……はっ……」タッタッタ

海未「朝のランニングは気持ちいいですね」

海未「身体を鍛えることでAMSの適性があがるわけではありませんが、身体を動かしていないと落ち着きません」

海未「……」タッタッタ



海未「……あ」ピタ



海未「ここから先は立入禁止区域になっているんですね」

海未「私がオトノキを汚染してしまったせいで……」



海未「もっと……もっと強くならなくては……」

104: 2015/05/03(日) 14:44:54.68 ID:9SnXFJsd.net
ことり「今日もシミュレーションルームでトレーニングしてるの?」

海未「ええ、新しいFCSをもう少し慣らしておきたくて」

ことり「お疲れ様。少し休憩しない? お菓子持って来たよ」

海未「ありがとうございます。篭りっぱなしだったのでちょうど甘いものが欲しかったんです」

ことり「えへへ、じゃあお茶淹れてくるね」

海未「すみません」




ことり「ふむふむ……」

海未「いかがでしょうか?」

ことり「今のアセンのほうが海未ちゃんには合っているみたいだね」

ことり「サイドブースターもオーメル製に変えて燃費もあがったみたいだし、二段クイックブーストも安定してるね」

海未「少しコツが掴めてきました。ですが意識すると逆に不発になることが多いです」

ことり「そっかぁ。でもいずれは海未ちゃんも穂乃果ちゃんやにこちゃんみたいにバンバン噴かして戦うんじゃないかな」

海未「あんなには無理です」

105: 2015/05/03(日) 14:46:02.10 ID:9SnXFJsd.net
ことり「遠距離戦のほうはどうなの?」

海未「出来なくはないんです。むしろ弓道をやっていたぶん狙うこと自体は得意なんですが……」

ことり「FCSの問題?」

海未「はい。モニターで見えているのにロックオンサイトがふらふらしてて、それが気になって仕方がないです」

ことり「二次ロックまでしっかり固定するの?」

海未「場合によります。軽量機の素早い機体でしたら引き気味に二次ロックまでしますが
   自分と同じような機体ですと一次ロックのままで撃つときもあります」

ことり「その感覚って海未ちゃんの中ではどんな感じ?」

海未「そうですね、ロックオンするときの感覚は射場で弓を構えているときに近いです」

海未「昔から馴染みのある……まあ今はライフルなんですが……」


ことり「ふうん、じゃあやっぱり遠距離戦が苦手ってわけじゃないんだね」カキカキ

海未「そうですね、狙うのはむしろ得意です」

ことり(海未ちゃんの中ではサイティングは終わってるけどFCSがついてこないってことなのかな)

ことり(アリーヤのカメラ性能は標準ぐらいだけどヘッドパーツを変えたらもう少しかわるのかも?)

ことり(だけどそれと海未ちゃんの言いたいこととはなんか違う気がするなぁ……)

106: 2015/05/03(日) 14:47:10.62 ID:9SnXFJsd.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『ハイダ工廠を強襲し、建造中の新型巨大兵器をすべて破壊してください』

ことり『ハイダ工廠はGAからの離脱を宣言しており、本作戦はグループの内部粛清です』

ことり『施設内には元GAEの正規防衛部隊が配備されていますが、作戦の障害となるようなら排除して構わないとのことです』

ことり『なお、ハイダ工廠と提携関係にあったアクアビットが何らかの支援をしている可能性もあります。留意してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』


海未「前回護ったものを今回は破壊するんですか」

ことり『なんだかほんとに傭兵って感じになってきたね』

海未「戦争なんですね、これが……ですがオトノキがこの先生きのこる為には仕方のないことです」

ことり『そうだね……ごめんね海未ちゃんばかりに押し付けて……』

海未「謝ることはありません。これが私の役目なんですから」

ことり『うん……じゃあミッションを開始するよ』

ことり『概要は今言った通りだけど、情報が少ないから慎重にね』

海未「了解しました、いきますっ!」ドヒャア

107: 2015/05/03(日) 14:48:38.84 ID:9SnXFJsd.net
ことり『目標は建造中の巨大兵器、全部で3機だよ。位置はこっちから伝えるね』

海未「よろしくお願いします。まずは1機目、こっちですね」ゴォォ



敵通信『工場内に侵入者! 敵襲です、総員迎撃態勢!』


ことり『GAE社が部隊の展開をはじめたよ。許可が出てるから必要があれば撃破して』

海未「はい」ズバァ

海未「思いのほか部隊の展開が早いですね。予測されていたということでしょうか……」


ことり『そうかもしれないね。前方に敵防衛部隊、大規模だよ。突破して』

海未「どきなさい!」ズバァ

海未(数はそこそこですが前回のここの襲撃部隊と違ってそこまで脅威ではありません)

海未(研究のほうに力を入れているからでしょうか……それとも……)

ことり『ドックに侵入、正面、破壊目標です。防衛部隊がここにも展開してるから気をつけて』

海未「待ち伏せですか。理に適ってはいますが、まだまだです」ズガァンズバァ


海未「これが目標……? なんて大きさ……」



海未「っと、見とれている場合ではありませんね」ドヒャア

海未「丸い胴体というかこの頭のようなものを攻撃すればいいのでしょうか……」ズバァ

108: 2015/05/03(日) 14:50:03.49 ID:9SnXFJsd.net
ことり『巨大兵器破壊、目標残り2機だよ』

海未「球体に足をつけていて、まるで蛸のようですね」

ことり『うん、ちょっとカワイイかも♪』

海未「ことりのセンスがイマイチわかりません……」ドヒャア


敵通信『非戦闘員すべて退避! 拘るな、ここだけじゃない!』


海未(やはりGAEはGAからの攻撃を予想していたようですね)

海未(しかしそれでもここでの建造を逃げずに続行するというのはどういうことなんでしょう)

海未(前回の私のような傭兵に護衛してもらおうと考えていたのでしょうか)

海未(それとも提携先のアクアビットが……?)

ことり『建造ドック侵入、破壊目標、左です。敵反応多数だよ、注意して』

海未「数だけではどうにもなりません」ズバァ

海未(集中して、最後まで気を抜かずに……そうすればノーマルのタンクなどただの置物に過ぎません)ズガァン

海未(私は二度と……)ズバァ


ことり『目標破壊を確認、残り1機だよ』

海未「最後ですね。すぐに向かいます」ドヒャア

109: 2015/05/03(日) 14:51:56.54 ID:9SnXFJsd.net
ことり『今のところアクアビット戦力は確認してないよ』

ことり『チャンスだよ、今のうちに一気に作戦をすすめよう』

海未「了解しました」ゴォォ


敵通信『ネクストだと……? 本社のやつら潰す気か……』


ことり『ここが最後の建造ドック。正面、破壊目標』

海未「これで終わりですね」ズバァ


海未「ふぅ……簡単な任務でしたが社内の粛清に私たちが関わってよかったのでしょうか……」

ことり『GAもあんまりリンクスを抱えてるわけじゃないし……』

ことり『あんまり良くない言い方だけどその……GAはリンクスのランクも高くないから……』

海未「まあそのおかげで私たち傭兵は助かっているんですけどね」フフ


ことり『そうだね、とにかく全目標の破壊を確認――』ピピピ

ことり『ちょっと待って! これはネクスト!?』


ことり『未確認のネクストが接近してる……もしかしてアクアビット……』

海未「今更ですか……しかしやるしかありませんね」

110: 2015/05/03(日) 14:53:18.89 ID:9SnXFJsd.net
海未「見えてきました……あれは……」

ことり『GAのサンシャインシリーズ……? あのエンブレムは……』

ことり『GAの聖女、プリミティブライトだね。少し前にGAに入って今じゃGAの最高戦力みたいだけど』

海未「ってことは味方ですか。驚かさないでください」

海未「それにしても増援を寄越すなんて、私は信頼されていないのでしょうか」

ことり『そんなことないと思うよ。やっぱりグループ内のことだし一応自社のネクストを派遣しておかないと体裁が――』




    ピピ





海未「……え?」


海未「ロックオンされましたよ!?」

ことり『うそ……!?』


   バヒュウ

海未「撃ってきました!」

111: 2015/05/03(日) 14:54:51.21 ID:9SnXFJsd.net
ことり『大型ミサイル? あたっちゃダメ! プライマルアーマーごと機体が吹き飛んじゃうよ!』

海未「撃墜してみます!」ズガァン

海未「ふぅ……どういうことですか……」

海未「依頼はGAからなんですよね? それなのにどうして私たちがGAから攻撃を受けているんです?」

ことり『わからない……アクアビットならまだしも……』

 ドヒャア パラララ


海未「きますっ!」ドヒャア



  ズガァン ズバァ ドゴォ



海未「重量機なのになんて機動性ですか……」

海未「まるで動きに無駄が無い上に火力が高く多彩な攻撃……強いです……」


???『単機でウチの子会社を襲撃してくるだけあって確かに強いやん』

海未「子会社? GAEは独立を宣言してGAに粛清されることになったのでは? それにこの声……」

???『ん? 久しぶりに聞くね……もしかして海未ちゃん?』

海未「希ですか!?」

112: 2015/05/03(日) 14:55:56.88 ID:9SnXFJsd.net
希『久しぶりやね。最近よく音ノ木坂の傭兵の名前は聞くんよ』

希『だけどどうしてこの作戦にオトノキが?』

海未「それはこっちの台詞です! 私たちに依頼してきたのはGAなのにどうして希が攻撃してくるんですか?」

希『ウチの任務は子会社のGAEが所属不明のネクストに襲撃されてるから撃破してこいって……』

希『……どゆこと?』

海未「さあ……?」


ことり『海未ちゃん、なんだかおかしいよ』

海未「ええ、私にもなにがなんだか……」

希『ことりちゃんも久しぶり! 元気しとったん?』

ことり『久しぶり! 希ちゃんがGAの聖女だったんだね。ずっと秘匿されてたから知らなかったよ』

希『聖女なんてウチの柄じゃないんやけどなぁ』

海未「二人とも呑気に挨拶している場合ですか!」

希『おっと、そうやったね……だけど海未ちゃん、さっきの話……』

海未「?」

希『GAがオトノキにここの襲撃を依頼したってホンマなん?』

113: 2015/05/03(日) 14:57:28.28 ID:9SnXFJsd.net
海未「ええ、前回はここを護るようにGAEに依頼されて、今回は皮肉にもここを破壊するようにGAに依頼されました」

希『それがホンマやとすると……』

希『なるほど……』

海未「希?」

希『そう……全部嘘やったんやね……』


海未「どういうことですか?」


希『うん、GAはGAEを粛清する、これだけが目的やのに実行はオトノキに依頼したん』

希『そこで出てきたんが海未ちゃんや』

海未「はい……」

希『そして粛清の本来の理由、それはGAEの独立。ウチは疎いから噂でしか聞いてないけどGAEはアクアビットと繋がってるんやってね?』

海未「それは確かだと思います」

希『オーメル陣営であるGAの子会社が対立するレイレナード傘下のアクアビットに下る……それはGAにとって赦されないことや』

希『だけどGAが直接手を下すと提携先のアクアビットからなにを言われるからわからん。そこで海未ちゃんの登場や』

114: 2015/05/03(日) 14:58:59.87 ID:9SnXFJsd.net
希『使い勝手の良いオトノキの海未ちゃんにGAEを壊滅してもらう。それが海未たちにきた依頼やね』

海未「なるほど、そういうことですね。ですが依頼元がGAであることは隠しようがないのでは?」

希『そこで事情に疎いウチの出番ってわけなんよ』

海未「話が見えません……」


希『ウチの任務をもう一度言うと、子会社のGAEが"所属不明のネクスト"に襲撃されている為これを撃破せよ、やん?』

海未「それは……!」


希『GAは海未ちゃんにGAEを壊滅させた後、ウチに海未ちゃんを始末させて粛清の事実を隠蔽しようとしたん』

希『GAEは謎の襲撃者に襲われて壊滅、GAは子会社の為にウチがその襲撃者を仇討ちする』


希『そうすれば非オーメル陣営にも言い訳ができる。GAEが壊滅したのは謎の襲撃者のせいやって』


ことり『そんな……』

海未「騙されていたというわけですか……私たちは……」

希『そういうことやね』

115: 2015/05/03(日) 15:00:22.60 ID:9SnXFJsd.net
海未「こんな話があっていいはずがありません!」

希『そうやね……だけどな海未ちゃん、これが戦争なんよ……』

海未「希……」

希『こうなった以上二人とも無事にこの工場から出たらどうなるかわからん』

希『ウチはともかく真実を知るオトノキに対してGAやオーメルがどう出るか……』

海未「……」

希『もうウチか海未ちゃん、どっちかしか生き残られへん。どうする?』

海未「戦えと言うんですか……? ですが……」

希『そうやね、ウチやってオトノキの仲間と戦いたくない。にこっちも海未ちゃんも辛かったはずやろ?』

海未「知っていたんですか……」

希『にこっちとは隠れてこっそり連絡取り合ってたからね。海未ちゃんが砂漠の狼を撃破したって聞いたときは居た堪れなかったな』

希『海未ちゃんとにこっちが一番辛かったはずなんやけどね……ごめんな……』


海未「いえ……」


海未(希も穂乃果の存在は知らないようですね……)

海未(穂乃果……にこ……)

116: 2015/05/03(日) 15:01:42.13 ID:9SnXFJsd.net
希『うん、やっぱりウチは海未ちゃんと戦いとうない』

希『だから海未ちゃんが生き残って』

海未「希……」

希『ほんと言うとな、ウチもちょっと疲れたんよ。GAの聖女だなんて祀り上げられて、ただの戦争の道具やのにな』

希『だから今もオトノキの為に戦い続ける海未ちゃんに生きて欲しい』

海未「オトノキを想う気持ちはみんな同じはずです……」

希『ありがとうな、そう言ってくれるだけで充分なんよ』

希『どんな理由があったにせよウチらはオトノキを離れたんやからオトノキの為なんて言う資格はない』

海未「ですがそれも――!」

希『それでもや……海未ちゃんがそうしているように、ほんとはウチらの誰かがオトノキの傭兵になっておけばよかったんかもしれん』

希『それも全部言い訳……だからな、ウチはええから海未ちゃんが生きて』

海未「厭ですっ! 希を見捨てるなんて!」

希『海未ちゃんは優しいな。でも今回だけは聞き分けて? どうしてもって言うんなら……』ガシャン

    ピピピ

海未「希……?」

希『戦うしかないやん?』


海未「本気なんですね……」

海未「わかりました……」

希『ごめんな……』

海未「謝るのは私のほうです。ごめんなさい……」


        ウーウー


希『どうやらここを完全に放棄するみたいや。自爆するつもりなんかな』

117: 2015/05/03(日) 15:02:26.85 ID:9SnXFJsd.net
海未「希!」

希『海未ちゃん、もう時間はあらへん! 早よ行き!』

海未「希……ありがとうございます……あなたのことは一生忘れません……」ヴゥゥンフォォォォン







希(ウチも忘れへんよ……って言ってももうすぐやけどね)

希(海未ちゃん間に合えばいいけど……ウチもこんなところで終わりかぁ……)

希(だけど最後にオトノキの仲間に会えて嬉しかったなぁ……)

希(にこっちも独りで寂しいやろうから、ウチもそっちにいくね……)



希「ごめんな……みんな……」








       ヴゥゥゥンゴォォォ

118: 2015/05/03(日) 15:03:10.11 ID:9SnXFJsd.net
ことり『本当に自爆するみたい。爆発までの時間がわからないから急いで!』

海未「希が助けてくれたんです。こんなところで氏ねません!」ゴォォォォ

ことり『もうすぐ出口だよ!』

海未「見えました!」ヴゥゥゥンフォォォォン



海未「なんとか脱出できましたが、工場は倒壊寸前ですね……」

ことり『希ちゃん……』

海未「希は本当に聖女でした……私は……」

ことり『うん……』フォォォン



ことり(あれは……? ううん見間違えかな……)


海未「ことり? どうしました?」

ことり『ううん、なんでもないよ。海未ちゃんが生きててくれて良かった』

海未「希のおかげです……」

ことり『そうだね……帰ろう海未ちゃん……』

海未「はい……」

119: 2015/05/03(日) 15:04:11.51 ID:9SnXFJsd.net
ことり「どこもGAのニュースになってるね」

海未「私が生還したことでGAの粛清した事実が露呈しましたからね」

海未「しかしGAEはある程度GAの襲撃を予見していたようなところが見受けられました」

ことり「防衛部隊も多かったもんね」

海未「ええ、ですが巨大兵器の建造を中止しなかったのはなぜでしょう……」

ことり「ハイダ工廠は、GAの異端と言われた技術者集団だったみたい」

ことり「企業の利害とか政治なんて関係なく、ただ自分たちの研究が愛おしかったのかもしれないね……」

ことり「それがどんなに危険なものでも……」

ことり「なんとなくだけど、そう思うんだ……」



ことり「私のお父さんも同じだったから……」


海未「ことり……」


ことり「これからどうなっちゃうのかな……」

120: 2015/05/03(日) 15:05:24.44 ID:9SnXFJsd.net
親鳥「テ口リストの名を借りた企業尖兵の代理戦争はGAEハイダ工廠の粛清により、ひとつの転機を迎えます」

親鳥「すなわち、ハイダの提携先であったアクアビットが、この粛清が"アクアビットへの直接攻撃"にあたると難癖をつけ」

親鳥「GAに対し報復攻撃を行ったのでした」

親鳥「パックスではじめての企業間直接戦闘……」

親鳥「この動きは対立を深めつつあった他企業にも瞬時に拡大し、世界は理念なき戦乱に突入していきます」

親鳥「そしてこの戦乱から音ノ木坂の傭兵、園田海未の名はオリジナルに匹敵するネクスト戦力として認知されるようになります」

親鳥「ことりはそれを危惧していました……」

親鳥「私にも娘の心配する気持ちがわからなくはありません……」

親鳥「それでも私には他に術はありませんでした……」

121: 2015/05/03(日) 15:15:30.82 ID:9SnXFJsd.net
各陣営について設定捕捉します

オーメル陣営                    非オーメル陣営
ローゼンタール                   レイレナード
オーメル                       アクアビット
GA                           BFF
イクバール                      インテリオルグループ
etc                           ・レオーネメカニカ 
                             ・メリエス
                             ・アルドラ


基本はふたつの陣営に分かれて戦争してるけどACの世界で「騙して悪いが・・・」は基本なんで味方はあまりいません

124: 2015/05/04(月) 02:14:20.40 ID:wEc/Nw7x.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

穂乃果「――えへへ、真姫ちゃんと一緒だね」




真姫(理事長がアスピナとの取引に応じて、当初は私だけの予定だったのになぜか穂乃果もついてきて)

真姫(彼女はそうやって嬉しそうに安堵したように笑っていた)

真姫(私も心の中では不安だったけれど、穂乃果が一緒に来てくれたおかげで安心できたことは憶えている)



真姫「なによ、アスピナってコロニーというより研究施設しかないじゃない」

穂乃果「オトノキとは随分雰囲気が違うねぇ」


真姫(9人の中で一番AMS適性が高かった私がどうしてアスピナに売られたのか)

真姫(ここに来て理解できたような気がする)

真姫(単純にネクスト戦力が欲しいと思っていたけど、おそらく研究や実験に私を利用しようとしていたのね)



真姫(だけど私の予想は裏切られることになる……)

125: 2015/05/04(月) 02:14:45.73 ID:wEc/Nw7x.net
真姫(私と穂乃果の希望で二人用の大きな部屋を用意してもらえて、二人で過ごす生活が始まったんだけど)

真姫(私はすぐに実験体になるものだと思っていた)

真姫(だけど、私に与えられたのは簡単なシミュレーションと訓練だけ)

真姫(そして穂乃果は私とは別の研究棟に連れて行かれて夜まで帰ってこなかった)



真姫(はじめての訓練が終わって、私は穂乃果の帰りを部屋で待っていたけれど、次第に不安が胸に広がってしまって)

真姫(ようやく帰ってきた穂乃果はいつものように笑っていたけれど、私は見えてしまった)

真姫(彼女の頬にいくつもの涙を流した痕が残っていて、腕を見れば注射の痕もたくさん浮かんでいた)


真姫(そして私は気付いてしまった)

真姫(アスピナが本当に欲しがっていたのは穂乃果だったんだって……)

126: 2015/05/04(月) 02:15:11.72 ID:wEc/Nw7x.net
真姫(研究員の目を盗んで穂乃果の実験資料を閲覧して私は息を呑んだ)

真姫(そこにはオトノキのみんなのデータが載っていて適性のパラメータを見ても一番高いのが私)

真姫(それより下はかつて見た結果と同じ、だけど穂乃果のパラメータに違和感があった)



真姫(平均値は私やにこちゃん、エリーよりも随分低いけどどういう条件なのかわからないけど、瞬間的な値の高さは私よりも2倍以上も高かった)

真姫(もしかしたらこのデータになにか秘密があるのかもしれない)

真姫(私の前では穂乃果はいつも笑顔でいるけれど、最近だんだんやつれていってるように見えるのは気のせいじゃないはず)

真姫(私に気を使っている以上問い質してもこたえてくれるはずもないし、だけど私は穂乃果がなにをされているのか知っておきたかった)



真姫(そして……)

127: 2015/05/04(月) 02:15:43.28 ID:wEc/Nw7x.net
真姫(リンクスの由来は山猫のほかにAMSでネクストとリンク(繋がる)という意味も含まれているみたい)

真姫(私もみんなも当然AMSのソケットをマウントする手術は受けている)

真姫(それはネクストに乗るためだけど、なにもコネクターで繋ぐのはネクストだけに限らないはず)

真姫(やってみたことはないけれど、リンクス同士で繋いだらどうなるのか……)


真姫(私は穂乃果が夜眠っている隙に穂乃果のソケットにコネクターを差し込んで彼女と繋がった……)


真姫(その瞬間穂乃果の記憶や感情のすべてが流れ込んできて、私は穂乃果のすべてを知ることが出来たの)

真姫(フラッシュバックされたように穂乃果の視点で映像が流れ出す)

真姫(それはあまりに酷くて終わりの無い地獄だった)

真姫(強制的に精神負荷をかけて適正値を高め、それを何時間も維持し続ける)

真姫(どんな成分かわからない薬品を注射器で何回も打たれて、毎日毎日朝から晩までそれを繰り返す)

真姫(穂乃果のすべての感覚を共有していた私は一瞬で頭がおかしくなりそうになって、慌ててコネクターを引っこ抜いた)

真姫(そこで視点は私のものに戻ったけれど、さっきの映像が頭に焼き付いて離れない)

真姫(頭は割れるように痛くて、気付けば涙まで流していた)


穂乃果「人の頭の中を勝手に覗くなんてダメだよ……」

真姫「起こしちゃった……?」

穂乃果「そりゃ自分の身体の中に真姫ちゃんが入ってきたら起きちゃうよ」

真姫「ごめんなさい……私、心配で……」

128: 2015/05/04(月) 02:16:07.37 ID:wEc/Nw7x.net
穂乃果「うん、真姫ちゃんの気持ちも穂乃果に流れてきたからわかるよ」

穂乃果「心配かけてごめんね……」

真姫「私のことはいいの……それより穂乃果、あなた毎日あんなことを……?」

穂乃果「うん……だけど穂乃果は平気だよ。大丈夫だから」

真姫「そんなはずないでしょ!」



穂乃果「ううん、大丈夫だよ。ひとりじゃないから……」

真姫「穂乃果……」

穂乃果「ここには真姫ちゃんがいて、それにみんなだって――」

穂乃果「またみんなに会えたらいいね」

真姫「ええ……」

穂乃果「だから頑張るから……真姫ちゃんも応援してくれる?」

真姫「もちろんよ……私がついてるから……」

真姫「だけど苦しくなったり辛くなったりしたらちゃんと言うのよ?」

真姫「絶対に無理して強がらないで。約束してちょうだい」

穂乃果「うん、ありがとうね……」

129: 2015/05/04(月) 02:16:56.14 ID:wEc/Nw7x.net
真姫(それからも過酷な実験は続いて、ようやく少し前に穂乃果を被検体とした実験はひとつの成果をあげていた)

真姫(穂乃果のAMS適正値をそれほど負荷のかからない状態で最大値に固定することに成功したみたい)

真姫(その結果、穂乃果の適性は私よりも遥かに高くなってアスピナの傭兵としてホワイトグリントを駆っている)

真姫(そして穂乃果の思いつきで、私も穂乃果の新しい夢を一緒に追いかけているわ)

真姫(最近は協力してくれているあの人ともよく会っているみたい)

真姫(穂乃果との約束のひとつで隠し事はしないということで何日かに1回は二人でリンクしているの)


真姫(私が想うように、穂乃果も私を大事に想ってくれている)

真姫(心の内を隠すことが出来ないこの行為は恥ずかしいけれど心地よかった)

真姫(そして穂乃果の新しい夢、私はそれが実現されるのが楽しみで仕方がない)

真姫(彼女が次に連れていこうとしてくれる場所に本当の秩序があるのかもしれない……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

130: 2015/05/04(月) 02:18:06.20 ID:wEc/Nw7x.net
    ウィィィン

ヒデコ「海未ちゃんどうしたの?」

海未「頼みがあります」

ヒデコ「どうしたの? アセンブルの相談とか?」

海未「シミュレーションでリミッターを切ることは可能ですか?」

ヒデコ「……本気?」


ヒデコ「ことりちゃんはこのこと知ってるの?」

海未「ことりには内緒です。どうなんですか?」

ヒデコ「出来なくはないけど、オススメはしないよ? 危険だし……」

海未「にこと戦ったときのように完全に切らなくていいんです」

海未「少しだけ精神負荷をかけて適性が上がるのであれば……」

ヒデコ「あのね海未ちゃん、負荷をかけるってことは一時的なものじゃないんだよ?」

ヒデコ「少しずつでもそれは身体を蝕んでいくものなんだ」

ヒデコ「いずれは海未ちゃんが壊れてしまうかもしれないんだよ?」

ヒデコ「適性が高いのであればまだしも、海未ちゃんの適性はそんなに高くない」

海未「それでもです。このままでは私はことりもオトノキも護ることは出来ません」

海未「お願いします。機体をもう少しだけうまく扱えるだけでいいんです」



ヒデコ「わかった……だけどほんの少しだけだよ?」

海未「ありがとうございます!」

131: 2015/05/04(月) 02:18:51.22 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ『じゃあはじめるよ』ポチポチ

ヒデコ『頭痛とか吐き気がするだろうけど、無理だと思ったらすぐに言ってね』ヴゥゥン


海未「わかりました」

海未(っ!? 機体が手足のような感覚になってきます)

海未(ですがヒデコの言う通り頭痛が酷いですね……ですがまだまだ我慢できます)


海未「まだ平気です。もう少し強くかけてください」

ヒデコ『わかった』

海未(くっ! これはなかなか堪えますね……まだ耐えられそうですがこれ以上は継戦能力が落ちそうです)

ヒデコ『これぐらいが戦える限界だね』

海未「……はい」

ヒデコ『じゃあシミュレーションプログラムを起動するよ』

海未「お願いします」

ヒデコ『まずはGAのリンクスからいってみようか』ポチポチ

132: 2015/05/04(月) 02:19:51.64 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ『今までと見違えるほど動けていたけどどうだった?』

ヒデコ『正直に言ってね』

海未「機体を制御するのは快適ですが頭痛がかなり激しいです」

ヒデコ『ふむふむ……少し負荷を下げてみるよ』ポチポチ

海未(あ、随分楽になりました)

ヒデコ『AMSの調子はどう? さっきより少し違和感があると思うけど』

海未「先ほどのようにはいきませんがこれでもかなり動かしやすいですね」

ヒデコ『うーん、じゃあ一旦この辺で固定するけど、きつくなったらちゃんと言ってね?』

海未「はい、ではシミュレーションの続きをお願いします」

ヒデコ『オーケー。じゃあ今度はレオーネのリンクスに挑戦してみよっか』ポチポチ

海未「はい、状況開始します」

133: 2015/05/04(月) 02:20:51.79 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ「データを取ってみたけど、リミッターがかかった状態に比べて信じられないぐらいすべてのパラメーターが上がってるね」

ヒデコ「操縦した感じはどうだった? 体調は大丈夫?」

海未「だいぶ感覚通りに動かせるようになりました。頭痛もそれほど苦しくはありません」

ヒデコ「うん、とりあえずこの段階の負荷なら身体は大丈夫そうだね」

ヒデコ「AMSもリスク以上の結果は出てるみたいだし」

ヒデコ「だけどこまめに検診は受けること! 調子が悪くなったらすぐに言ってね」

ヒデコ「じゃないとことりちゃんにバラしちゃうからね?」

海未「それは困ります……」

ヒデコ「だったら海未ちゃんは自分を大事にすることだよ。本当は私だって反対なんだから……」

海未「すみません……」

ヒデコ「ううん、それじゃ今度は機体の構成も考えてみよっか」

海未「はい、次の作戦では久しぶりに遠距離戦をしようと思いまして――」

ヒデコ「ふふふ、任せて!」


海未(これで……もう誰も……)

136: 2015/05/04(月) 11:39:52.98 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『ここ、ゼクステクス世界空港にイクバール社空挺部隊が接近しています』

ことり『速やかに迎撃してください』

ことり『敵主力は多数のノーマルです』

ことり『イクバール社最高のノーマル戦力、バーラット部隊の姿も確認されています』

ことり『なお、第二滑走路で離陸準備中の大型ステルス機にはGA社の重要人物が搭乗しています』

ことり『同機の安全を最優先に確保してください』

ことり『離陸まではプライマルアーマーの使用を禁ずるとの通達もありました』

ことり『同機へのコジマ汚染リスクを抑えるため、とのことです。留意してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』


ことり『オトノキがGAE粛清に手を貸したことで完全にオーメル陣営になっちゃったね』

海未「希が助けてくれたというのに、戦争は激化してしまいました」

海未「私が氏ぬべきだったんでしょうか……」

ことり『そんなこと言っちゃダメ……!』

137: 2015/05/04(月) 11:41:02.67 ID:wEc/Nw7x.net
海未「ことり……」

ことり『希ちゃんは全部海未ちゃんに託したんだよ。その希ちゃんの想いに報いるなら海未ちゃんは生きないと』

海未「そうですね……すみません……」


海未(なにを弱気になっているんですか……)

海未(少し精神負荷を強くした影響もあるのかもしれません)

海未(ですがこれでもっと戦える、強くなれるはずです……)



海未(それにしても……今回もGAですか……)

海未(私と、事情に疎い希を騙して戦わせようとするなんて……)ギリ

海未(そんなことを仕向けておきながら何食わぬ顔で護衛依頼ですか……)

海未(ここでプライマルアーマーを発生させるだけであなたたちは氏んでしまうかもしれないというのに……)ニヤ


ことり『海未ちゃん……?』

海未「はい?」

ことり『思うところはあるだろうけど仕方ないよ』

ことり『私だって希ちゃんがあんなことになってGAの依頼なんて受けたくなかった……』

海未「ことり……大丈夫です。少しナーバスになっていたようです」

ことり『うん、一緒に頑張ろう』

海未「はい、では作戦を開始します」ドヒャア

138: 2015/05/04(月) 11:42:11.33 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『敵第一波、第二滑走路正面だよ。迎撃して』

海未「輸送ヘリで1機ずつノーマルを運んできますね」ピピ

海未(AMS適性が上がったおかげか遠距離FCSなのにロックが速くなりました)パスパス

ことり『ノーマルは水上を走れないから上陸前に撃墜すれば無力化できるね』

海未「なるほど。迎撃の手を速めればそれだけ楽になるということですね」

ことり『そういうこと。敵第二波来るよ、倉庫方面です』



海未「倉庫方面に機影は見えませんが……」

ことり『ごめん、間違えちゃった……10時方向です』

海未「まったくことりは……」フフ

ことり『ごめんね、海未ちゃん……』

海未「いいえ、ミスぐらい誰にでもあることです」

ことり『そうだけど……これからはちゃんとするね』

海未「よろしく頼みます」パスパス

ことり『これも上陸前に墜とせたね』

海未「この調子ならプライマルアーマーがなくても大丈夫そうですね」

ことり『うん、だけど気を抜いちゃダメだよ?』

海未「もちろんです」

139: 2015/05/04(月) 11:43:09.42 ID:wEc/Nw7x.net
海未「こんなに間隔が空いてしまっては波状攻撃とは言えませんね……」

ことり『イクバールもネクストが護衛についてるとは想定していなかったんじゃないかな』

海未「なるほど。護衛戦力がノーマルでしたら上陸と同時に部隊を展開できますからね」

ことり『向こうにとって計算外だったかもしれないね』ピ

ことり『次くるよ。正面にノーマル輸送機複数、迎撃して』

海未「了解です」ドヒャア



海未(快適に機体を動かせるようにはなりましたが身体への負担はやはり大きいですね)

海未(それにしてもステルス機の離陸はまだなんでしょうか……)

海未(近くにGAの要人がいるというだけで苛立ってしまうというのに……)



ことり『緊急事態だよ海未ちゃん!』

海未「どうしました?」

ことり『ステルス機がエンジントラブルで離陸が出来なくなっちゃったみたい』

海未「なんですって!?」

140: 2015/05/04(月) 11:44:54.67 ID:wEc/Nw7x.net
海未「このまま戦うしかないということですか……」ギリ

ことり『うん……プライマルアーマーも展開できないから慎重にね……』

海未「了解しました」







ことり『敵援軍を確認、これは……ネクスト!?』

海未「この状況でですか……イクバールも対ネクスト用に戦力を投入したということですね」

ことり『多分そうだと思う。オーバードブーストで接近してくる、速い……』

ことり『迎撃、準備してください! 来るよ!』



???「音ノ木坂の傭兵、面白い素材と聞いている。期待するぞ」


ことり『敵機体判明しました! ランク2、イクバールの魔術師、サーダナです』

海未「ランク2がこんなところに!?」

ことり『最高クラスのリンクスだよ……心して!』


海未「にこのバルバロイと機体構成が似ていますね。こちらは逆間接ですか」

ことり『向こうのプライマルアーマーのコジマ汚染が懸念されるから早急に撃破しろってGAが……』

海未「なんですかそれ!」

141: 2015/05/04(月) 11:46:02.56 ID:wEc/Nw7x.net
海未「こちらは丸裸だというのに……ですが……」

海未「……」ピ

海未「逆間接でジャンプ性能は高いですがにこの速さには及びません」

ことり『逆間接特有の3次元戦闘に気をつけて!』

海未「了解です!」

海未(サーダナはステルス機に目もくれず私に目標を定めていますね)

海未「ならば!」ドヒャア

サーダナ(後退した? いいだろう乗ってやる)

海未(距離を取ってしまえば3次元戦闘など遠くでジャンプしているようにしか見えません)

海未(それに武装もショットガンと近距離ライフル。離れれば問題ありません。あとは……)

    バヒュウ

海未(バルバロイと同じ小型の散布ミサイルですね)

海未(今度は油断しません)ドヒャア


サーダナ(冷静なものだな……だが……)

142: 2015/05/04(月) 11:47:28.66 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『海未ちゃん、敵部隊が総攻撃をはじめたよ! 上陸しようとしてる』

海未「まだいたんですか!」

ことり『あれは……バーラット・アサドだよ!』

ことり『サーダナのアートマンと同じ逆間接の特殊部隊、グレネードも積んでる……』

海未「ステルス機を叩くには打ってつけですね……」

海未「サーダナを回避しつつ先にアサドを殲滅します」

ことり『どちらも簡単な相手じゃないから気をつけて……』


海未「スナイパーライフルならノーマルぐらいすぐに墜とせるはずです……」ピピ



海未「む……これは……」


     バヒュウ


海未「ちぃっ!」ドヒャア

海未「やはりランク2を簡単に振り切ることは出来ませんね。それに……」ピピピ


海未「アサドの集団の数が多すぎてロックが定まりません……」

143: 2015/05/04(月) 11:49:42.70 ID:wEc/Nw7x.net
海未「適性があがったことでこんなことになるとは……」

海未「ロックは速いのですが標的が多すぎて……」ピピピピピ

海未「くっ!」ドゴォ

海未「1機やりました……次……」ガァァァン


海未「がぁっ!?」バチバチ

海未「さすがに背中を向けるのは危険です……」ギリ

海未「プライマルアーマーもありませんし、何度ももちませんね……」

海未「ですが……」ピピピピピピピ


海未「なんなんですかこれはっ!」


ことり『海未ちゃん落ち着いて……』


海未「わかってます! 少し黙っていてください!」ピピピピ




ことり『ごめんね……』


サーダナ『やりすぎる……隙だらけだぞ……』ズガァン





海未「チッ……」

144: 2015/05/04(月) 11:50:46.81 ID:wEc/Nw7x.net
海未(このロック音がイラつきます)ピピピピピピピピピピピピ

海未(隙だらけですって? 挟み撃ちをしてよく言います)ピピピピピピピピピピピピ

海未(ランク2のくせに自社の特殊部隊まで投入しておいて、おまけにこちらはプライマルアーマーも使えないというのに……)


      ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ


海未(あなたたちのせいでことりに辛くあたってしまったではないですか!)ピピピピピピピピピピピピピ

海未(見えてるのに……)ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

海未(うるさいんですよ!)ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピp
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
ピピピピピピピピピピピppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppp……




    ガン!



    バヒュウ……



ことり『バーラットからグレネードがっ!』

海未「……」

ことり『ステルス機にあたっちゃう……!』



      ドゴォ……


サーダナ『なっ……!?』

ことり『発射されたグレネードを横から狙撃したの……?』

145: 2015/05/04(月) 11:51:40.70 ID:wEc/Nw7x.net
海未「……」ガション

サーダナ『ライフルをパージした? 予備兵装か……しかし……』

サーダナ『スナイパーライフルとブレードとはどういうつもりだ……?』


海未「……」ドヒャア

サーダナ『こちらに向かってきたか……だが……』ズガァン


海未「……」ドヒャア ズバァ


サーダナ『速い!?』ドヒャア

海未「……」ドヒャア

   ドゴォ


サーダナ『なに……?』



サーダナ(追撃の為のクイックターン中にバーラットを狙撃しただと……?)

サーダナ(それもこちらに白兵戦を挑みながら……)



サーダナ『狙ったというのか……』

サーダナ『いや……できるはずが……』

146: 2015/05/04(月) 11:52:40.55 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『FCSを切ってる……』

ことり(海未ちゃんは今手動でバーラットを狙撃しながらサーダナと格闘戦をしてるんだ……)

ことり『すごい……』



海未「……」ズバァ ドゴォ ドゴォ


ことり『バーラット・アサド残り僅かです』

海未「……」ドゴォ ドヒャア ドゴォ


   ズバァ


サーダナ『遠近同時に戦闘をしながらまったく隙がない……』



ことり『敵ノーマル部隊すべて撃破しました! 残るはネクストのみです!』

海未「……」ドヒャア ズバァ ドゴォ


サーダナ『この距離で追撃にスナイパーライフルを使うだと……?』

海未「……」ドヒャア ドゴォ




サーダナ『新しい……惹かれるな……』

147: 2015/05/04(月) 11:53:29.75 ID:wEc/Nw7x.net
   ドヒャア ドゴォ ドヒャア ズバァ

海未「……」

サーダナ『くっ……!』ドヒャア





海未「そこです……」ドゴォ




   ガァァァァン




サーダナ『ハァ……ハァ……ハァ……』


サーダナ『道半ば、か……』ガク



ことり『サーダナの撃破確認しました! 作戦目標をすべて撃破、作戦は成功です!』


海未「はぁ……はぁ……」

海未「ことり……」

148: 2015/05/04(月) 11:54:38.89 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『海未ちゃん……』

海未「さきほどは酷い言葉を返してすみませんでした……」

ことり『ううん、あんな状況だもん。ことりも悪かったから……』

海未「あなたは務めを果たしていただけです。私がイラついていたから……」

ことり『せっかく海未ちゃんが無事だったんだからもうやめよ?』

海未「はい……」


ことり『それより途中でFCSを切って完全に手動で操縦してたけど?』

海未「ロック音がうるさくて集中出来なかったんです……」

海未「それに見えているんですから自分で狙ったほうが速いと思いまして……」


ことり『そ、そうなんだ……』


ことり(だからってあんなこと誰も思いつかないよ……)

ことり(これが海未ちゃんの戦闘適性……)

ことり(AMS適性よりも海未ちゃん自身の戦闘能力のほうが上だったってこと?)

ことり(ランク2と1対1で戦って圧倒していたということがなによりの証拠)

ことり(海未ちゃん……あなたは一体……)

149: 2015/05/04(月) 11:55:44.09 ID:wEc/Nw7x.net
海未「とにかくこれ以上GAの近くにいたくありません。帰りましょう」

ことり『そうだね、お疲れ様海未ちゃん』



ことり(ううん、海未ちゃんは海未ちゃんだよ)

ことり(ことりが心配するのはもっと別のところ)


ことり『海未ちゃんが無事でよかったよ』


海未「ご心配をおかけしました……」

ことり『心配といえば海未ちゃん……AMSのパラメーターが前よりも高くなってるけど……?』


海未「うぇっ!? えぇぁああ……そ、そうですっ! ネクストに乗り慣れてきたということでしょうか!」


ことり『怪しい……』

海未「怪しくなんかありません! ことりは心配性なんですから!」

ことり『海未ちゃんがそう言うなら信用すけど……無理はしちゃダメだよ?』


海未「ぜ、善処します……」

152: 2015/05/04(月) 17:17:56.00 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ「この間の作戦でFCSをカットしたんだって?」

海未「はい。最初からそうしておけばよかったのかもしれません」

ヒデコ「いやいやいや。長射程狙撃を手動でやろうなんて誰も思いつかないから……」

海未「そうでしょうか? 人間には火器管制システムなんてありませんよ?」

ヒデコ「ネクストだからね? 人間よりも何百倍も速く動くからね?」

海未「狙ってあてるのですから基本は同じです」


ヒデコ「うーむ、海未ちゃんと話していると常識がわからなくなってくるよ」

海未「ところで相談なんですが……」

ヒデコ「なになに?」

海未「狙撃は手動ということで解決しましたがブレードのほうが……」

ヒデコ「手動で解決しちゃうんだ……それでブレードがどうしたの?」

海未「はい、さすがに軽量機のように素早い相手ですとブレードの制御が難しいです」

ヒデコ「FCSの中でもちょっと複雑なパラメーターだからね」

海未「距離以外にもまだ分類があるんですか?」

ヒデコ「距離はどのFCSでも大事だよ。ただもう少し詳しく説明すると射撃以外にもカテゴリがあってね」

海未「はぁ……」

153: 2015/05/04(月) 17:19:38.41 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ「射撃のカテゴリとブレードとミサイルのカテゴリは別系統なんだ」

海未「そうなんですか……」

ヒデコ「海未ちゃんはミサイルを使う予定はある?」

海未「今のところありませんね。剣や射撃は多少の心得はありますがミサイルは未知の領域です」

ヒデコ「まあ慣れないものを積んでもエネルギー負荷がかかるだけだしミサイルは除外しようか」カキカキ

海未「はい」

ヒデコ「それで海未ちゃんの要望アセンだけど、海未ちゃんの最初の構想通りブレードとスナイパーライフルでいいんだね?」

海未「それでお願いします。やはり一撃入魂、一撃必殺のほうが私には向いているようなので」

ヒデコ「オーケー。それで本題だけど、射撃は手動でいいとしてブレード用にFCSを調整したいってことだよね?」

海未「そうなりますね。接敵は根性でどうにかするのでブレードの制御だけは機械に頼りたいのです」

ヒデコ「いや、普通はみんな機械に頼るものなんだけど……」

ヒデコ「まあいいや。じゃあFCSはブレードに特化したものを用意しないとね」

ヒデコ「今のオトノキにはないから買わなきゃいけないけど、ことりちゃんに予算通してもらえるか相談できる?」

海未「ええ、ことりならそろそろ――」

    ウィーン

ことり「こんにちは、海未ちゃんお待たせ」

海未「ちょうどいいところに。ことり新しいパーツを購入しようと思うのですが」

ことり「いいよー」

海未「そんな簡単に許可してもよろしいんですか?」

ことり「海未ちゃんが一番戦いやすい機体になるならそれが最優先だよ」

ことり「それに今の海未ちゃんへの依頼ってかなり高額なんだよ。財政はそこそこ潤ってるってお母さんも言ってたし」

154: 2015/05/04(月) 17:20:55.62 ID:wEc/Nw7x.net
海未「は、はぁ……」

ことり「それでどのパーツを買うの? フレーム一式でも大丈夫だと思うけど」

ヒデコ「FCSだけなんだけどね。検討してるのはこれかなぁ」ポチポチ

ことり「どれどれ……?」

ことり「オーメル製のロック速度特化型かぁ……なかなかいいお値段だね」

ヒデコ「ブレード用ならレイレナード製かアクアビット製にいいのがあるんだけどね……」

ことり「今のオトノキには卸してもらえそうにないね……」

ヒデコ「だけどこれも高性能なパーツだから充分期待できると思う」

ことり「そうだね。うん、じゃあ発注しちゃおっか。オーメルに連絡してみるね」

海未「ありがとうございます」

ことり「これで海未ちゃんが戦いやすくなるなら安い買い物だよ」

ヒデコ「じゃあとりあえずサンプルデータでもう少しシミュレーションしてみよっか」

海未「よろしくお願いします」



ヒデコ『スナイパーライフルのロックオンマーカーがふらふらすると思うけど手動であてるなら無視してね』

海未「その分ブレードのロックが速くて助かります」

ヒデコ『まあ慣れれば問題ないと思うよ。海未ちゃんなら1時ロックが終わる前に撃てるはずだし』

海未「やってみます」

ヒデコ『じゃあシミュレーションプログラム開始するね』ポチ

海未「よろしくお願いします」

155: 2015/05/04(月) 17:22:08.80 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『独立計画都市グリフォンを武力制圧しているインテリオル正規部隊を急襲します』

ことり『敵部隊の中心はノーマルのようですがそれ以外にも多くの戦力が確認されています』

ことり『なかでも飛行要塞フェルミはメリエス社の大型レーザー砲とプライマルアーマー機構を備えたインテリオルの最新兵器です。注意してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「なるほど、かつてからグリフォンを占拠していたテ口リストはインテリオルだったというわけですね」

ことり『企業間で直接戦闘が行われてる今、もう隠す必要はなくなったってことかな』

海未「随分な開き直りですね」

ことり『これからも色んなことが見えてくるかもしれないね』

海未「そうですね。それより、急襲ということで夜襲になるのはわかりますが、なにも見えませんね」

ことり『カメラモニターからはほとんど映らないと思うからレーダーをよく確認して』

ことり『私も出来るだけサポートするから」

海未「ことりのサポートのほうが安心できます」

海未「まあ前回は間違えていましたが……」ニヤニヤ

ことり『もう海未ちゃんのイジワル!』

海未「冗談です。信頼していますよ」

ことり『任せてください、じゃあ作戦開始するよ』

海未「はい!」ドヒャア

156: 2015/05/04(月) 17:23:13.88 ID:wEc/Nw7x.net
海未「最初のミッションもここ、グリフォンでしたね……」ゴォォ

ことり『そうだね……まだ少ししか経っていないのに何年も前な気がするよ』

海未「そうですね。思えば遠くまで来てしまった気がします」

ことり『海未ちゃんおばあちゃんみたいだよ』

海未「なっ……?」ピピ


ことり『前方に敵ノーマル複数、見える?』

海未「ブースターの光がほのかに見えます。ノーマル程度なら問題ありません」ドゴォ

ことり『ビルの隙間に入った!』

海未「任せてください、見えました!」ドヒャア

海未「沈みなさい!」ズバァ


ことり『レーダー上にはまだいるみたいだけど、ここからじゃなにも見えないね……』

ことり『あっ! そこの車両撃ってみて!』

海未「これですか?」ドゴォ


海未「これは……」


ことり『コジマタンク車両だよ。コジマの光で少しは光量が確保できるはず』

海未「しかし汚染が……言ってる場合ではありませんね。今回は使わせてもらいましょう」ズバァ

157: 2015/05/04(月) 17:23:57.98 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『これで地上は随分明るくなったけど……』

海未「ええ、随分視界も確保できました。しかしこのコジマ粒子は……」

ことり『キレイだよね……』

海未「はい、こんなに美しい翡翠色の光を発しているというのに私たちには猛毒なんですよね……」

ことり『戦争が続くほど世界は汚染されていくんだね』

ことり『ネクストってなんなのかな……』

海未「ことり?」

ことり『ううん、ごめんね! えっと敵ノーマル残り僅かだよ。レーダーを更新するね』

海未「捉えました。残り3機ですね。すぐに向かいます」ドヒャア






海未「はぁっ!」ズバァ

ことり『敵ノーマルすべて撃破しました』

海未「さて残りは……」

158: 2015/05/04(月) 17:25:12.37 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『さすがに上空は真っ暗だね……これじゃ光学ロックは役に立たないけど海未ちゃんには関係ないか……』ピピピ

ことり『海未ちゃん! フェルミの射程圏内に入ったよ、熱量確認、撃ってくるよ』


     シュバァ


海未「おっと!」ドヒャア

海未「なんて太さのレーザーですか……あんなのをまともにくらえばひとたまりもありません」

ことり『連発は出来ないみたいだけどその代わり……』


     バシュウ


海未「ミサイルですか……しかもなんて数です……」ドヒャア ドヒャア

ことり『ASミサイルだね、ロックせずに射出して熱源をオートで追いかけるタイプだよ』

海未「ふぅ……ネクスト用にもあるのですか?」

ことり『あるけど……弾薬が高いんだ……』

海未「ならこの機体には積めませんね」フフ

ことり『フェルミの移動速度はかなりゆっくりだよ。さっきの位置からほとんど動いてない』

海未「なら……ここらへんでしょうか……」


海未「……」ドゴォ



   キィィィン


ことり『プライマルアーマーの光が見えたね。位置はあそこだよ』

159: 2015/05/04(月) 17:26:06.98 ID:wEc/Nw7x.net
海未「貫通力の高いスナイパーライフルといえどもあの装甲を削るのはなかなか骨が折れますね」

海未「ですが今はとにかく撃ち続けましょうか……」ドゴォ



ことり『フェルミ砲門内部の熱量を感知、次弾くるよ!』

海未「了解です!」トン ゴォォォォ

ことり『跳んだ……?』


      シュバァ

海未「ここです!」ドヒャア

海未「レーザー砲の光で見えました。あそこですね」ドヒャア

ことり『海未ちゃん、ミサイルが来るよ!』

海未「問題ありません!」ドヒャア


   ゴォォォ


海未「これがフェルミですか……移動要塞というだけあって大きいですね」

海未「ですがこれならどうです?」ズバァ


    ズバァ ズバァ



ことり『直接ブレードで斬りに行ったの……?』

160: 2015/05/04(月) 17:26:37.25 ID:wEc/Nw7x.net
海未「終わりです」ズバァ


ことり『ひ、飛行要塞フェルミ、沈黙しました……作戦は成功だよ』

海未「少し硬かったですがブレードがあれば問題ありませんね」

海未「1機だけならどうとでもなります」

ことり『海未ちゃんはほんとに強くなったよね。すごいな』

海未「まだまだです。さすがに複数で出てこられたら苦戦するでしょうし……」

ことり『それでも海未ちゃんなら大丈夫だよ』

ことり『それじゃあ帰ろっか。お疲れ様、海未ちゃん』

海未「はい」

161: 2015/05/04(月) 17:27:31.28 ID:wEc/Nw7x.net
海未「せっかくパーツを新調したというのにあまり実感できませんでしたね」

ことり「今回は夜襲だったから仕方ないよ」

ヒデコ「だけどロック速度が速い分ストレスはあまりなかったでしょ?」

海未「地上戦のときは快適でした。あれぐらいの速さならブレードのほうはFCSに任せられます」

ヒデコ「あれぐらいって言ってもオーメルの最新型なんだけどね……」

海未「シミュレーションのほうでは問題ありませんでしたし、夜戦であれだけ戦えれば充分だと思います」



ヒデコ「いくらAMS適性を上げてるからっていきなり強くなりすぎだよ――」

海未「ヒデコっ!」

ヒデコ「あっ!」



ことり「えっと……AMS適性を上げてるってどういうこと……?」

海未「なんでもありませんよ……」ハハ


ことり「なんでもないわけないでしょっ!」バン

162: 2015/05/04(月) 17:28:37.64 ID:wEc/Nw7x.net
ことり「ふうん、私に内緒で負荷をかけてAMS適性を上げてたんだ……」

海未「ことり……? その……少しだけですよ? ほんの少し……」

ことり「そんな大事なことを黙っていたなんて、私はパートナーとして信頼されてなかったのかなぁ……」

海未「違うんです! そうではなくて、ことりに心配をかけてしまうのではないかと――」

ことり「そんなこと言ってるんじゃないよ!」

ことり「海未ちゃん、ことりがどうして怒ってるかわからないの?」

ことり「精神負荷をかけて機体を動かすのは危険だって言ったでしょ? 氏んじゃうかもしれないんだよ?」

海未「それはわかっています……ですが」

ことり「ですがもなにもないよ! 海未ちゃんが氏んじゃったら私……」

海未「ことり……」



ヒデコ「私も一応止めたんだけどね、海未ちゃんは聞いてくれなくてさ……」

ことり「ヒデコちゃん……」

ヒデコ「私だって海未ちゃんを説得したんだけどね、だけどどうしてもことりちゃんやオトノキを守る為に力が必要なんだって」

ことり「え……?」

ヒデコ「だからほんの少しだけ、後遺症が残らないぐらいの負荷で試してみることにしたんだ」

ヒデコ「それだけで海未ちゃんはとても強くなれた」

163: 2015/05/04(月) 17:29:33.50 ID:wEc/Nw7x.net
ヒデコ「確かに前に比べてネクストに乗っているときは辛いと思う」

ヒデコ「だけどそれも海未ちゃんは覚悟したんだよ」

ヒデコ「それに今のところ身体にそこまで影響は出ていない。ことりちゃんも気付かなかったでしょ?」

ことり「うん……」

ヒデコ「私が条件として定期的にメディカルセンターで検診を受けさせるようにしてるし、今のままなら問題ないはずだよ」

ことり「そっか……」

海未「すみません、ことり……あなたに相談もなく勝手に決めていたことは謝ります」

ことり「ううん、海未ちゃんはいつもことりやみんなの為に戦ってくれるんだもん」

ことり「ことりこそ、怒鳴っちゃったりしてごめんね」

海未「ことり……」

ことり「でも……」

海未「?」

ことり「ヒデコちゃんにだけ相談してたのは悔しいです!」

ことり「それは赦しません!」

海未「そんな……」

167: 2015/05/04(月) 18:43:26.91 ID:wEc/Nw7x.net
原作の主人公はもっと負荷をかけて戦ってるっぽいです
最後は精神負荷とコジマ汚染で身体はボロボロになってると思う

169: 2015/05/04(月) 18:49:14.03 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『インテリオルの大部隊がローベルト・マイヤー大橋を占拠しています』

ことり『敵部隊はノーマルを中心に構成されており、かなりの数が配備されています』

ことり『また先行した味方部隊の警告によると実弾兵器に極めて高い効果を発揮する特殊バリケードを各所に配置しているようです』

ことり『それ以外にもなんらかの実験兵器が投入されている可能性があります。慎重に行動してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「もう最近は専らGAの依頼ばかりですね」

ことり『GAにはもうネクスト戦力が残っていないからね」

海未「希の代替といったところでしょうか……」

ことり『多分そういうことなんだと思う……』

海未「嫌気が差しますね、まったく……」

ことり『うん……ごめんね……』

海未「ことりが謝ることではありません。私のほうこそ悪態をついて気を使わせてしまいましたね」

ことり『ううん、海未ちゃんが一番苦しいはずだから……』

海未「いえ……それではミッションを始めましょう。よろしく頼みます」ドヒャア



ことり「……うん!」

170: 2015/05/04(月) 18:50:17.02 ID:wEc/Nw7x.net
海未「MTもノーマルも数が多いですね」ピピ

海未「それにこれが言っていた特殊バリケードですか……」

海未「実弾は通らないと言っていましたが……」ズバァ

海未「ブレードなら紙と変わりませんね」ドヒャア



ことり『飛行型ノーマルとジャイロ機もいるから注意して。それに……え?』ピピピ

海未「どうしました?」


ことり『あれは……フェルミ?』


海未「前回の飛行要塞ですか。なるほどあんな形状をしていたんですね」

ことり『敵の数が多いから先にMTとノーマルを排除して』


海未「了解しました」ズバァ

ことり『フェルミの主砲を撃つタイミングはこっちから言うからそのときは注意して』

海未「助かります!」ドヒャア

171: 2015/05/04(月) 18:51:32.07 ID:wEc/Nw7x.net
海未「飛行型ノーマルもネクストに比べたら止まってるも同然ですね」ドゴォ

ことり『敵ノーマルすべて撃破しました! あとはフェルミだけ……待って!』

ことり『敵増援を確認しました! この速度は、ネクストです!』


海未「もう今更驚きません」

海未「とはいえ、インテリオルのネクストとは初めてですね。集中集中……」


ことり『きます!』



???『貴様が音ノ木坂の傭兵か。教えてやるよ、格ってやつを!』


ことり『機体照合終わりました。レオーネ社ランク9、サー・マウロスクです』

海未「レオーネですか……もしかして……」

サー『まぐれでサーダナを倒したようだが、この俺はそうはいかんぞ』

サー『FCSもまともに操れないそうじゃないか』シュゥン


海未「やはりレーザーライフルの弾速は速いですね……」ドヒャア


    ドゴォ

サー『バカめ。どこを狙っている』シュゥン

海未「見えなくはありませんが少し厳しいです」ドゴォ

サー『やはりFCSを扱いきれていないようだな』

サー『貴様にはノーマルがお似合いだ!』シュゥン

172: 2015/05/04(月) 18:52:14.68 ID:wEc/Nw7x.net
海未「機体自体は速くはありませんね……」ドゴォ

サー『さっきからどこを狙っている。まともに照準できないのか?』


海未「……」ドゴォ

海未(もう少しのようですが、その前に……)

海未「あなたに訊きたいことがあります」


サー『あぁ?』

海未「元レオーネのリンクス、矢澤にこをご存知ですか?」



サー『矢澤にこ……音ノ木坂……あぁなるほど』

サー『貴様ら知り合いだったのか』

海未「答えていただけないでしょうか?」


サー『知ってるもなにもあいつを作戦中に頃したのは俺だ』


海未「あなたが……」

173: 2015/05/04(月) 18:53:23.21 ID:wEc/Nw7x.net
サー『レオーネは女を優遇しすぎなんだよ』

サー『不遇だった俺の考えに賛同するやつらが多くてな、ホワイトアフリカでの作戦でそいつらを連れていったのさ』

サー『思い出しただけでも可笑しくなる。味方だと思ってた俺たちに後ろから撃たれたときのあいつの顔、最高だったぜ』

海未「そうですか……」

サー『結局大破した機体ごとホワイトアフリカに置き去りにしてきたがあのまま氏んだか』

サー『運が良くてマグリブの奴らの慰み者にでもなったんじゃないか?』

海未「……」ギリ



海未「後ろから撃つような卑怯な手段でないとにこには勝てなかったということですね」


サー『なんだと?』

海未「あなたはその程度だと言ったのです」

サー『黙れ! 矢澤にこも霞スミカもレオーネの中でデカイ顔しやがって! だから矢澤にこは頃したんだ』

サー『なにがレオーネ最高のネクスト戦力だ! 矢澤にこが氏んで俺がナンバー1だ! 霞スミカじゃない!』

サー『遊びは終わりだ! 俺を怒らせたことを後悔させてやる』

海未「ええ、遊びは終わりです……」ドゴォ

174: 2015/05/04(月) 18:54:01.59 ID:wEc/Nw7x.net
サー『そんなサイティングであたるわけ――』ドォォォン

サー『なにっ?』




ことり『飛行要塞フェルミ、沈黙しました』



海未「そうですね、私も怒っているんです。後悔させてあげますね」ドヒャア

サー『同じ中量機なのに速い!?』


     ドヒャア!


サー『二段クイックブーストだと?』


海未「驚きましたか? ですがにこは私よりも上手でしたよ」ドヒャア!



サー『チ……貴様如きに……俺は認めんよ……』


海未「それはあなたの勝手です。ですが」ズバァ


サー『くっ!』ドヒャア

海未「……」ドゴォ

サー『バカな! 避けているはずだ!』

175: 2015/05/04(月) 18:54:46.87 ID:wEc/Nw7x.net
海未「遅いです……」ズバァ

サー『ぐぁっ……!』


  ドゴォ ドゴォ ズバァ


サー『私がこんな……なぜ……なぜだ……』


海未「あなたが弱いからです。これまで私が戦ってきた誰よりも、あなたは弱い……」ドゴォ



サー『ああああああああああああっ!』ガァァァン




ことり『さ、サー・マウロスク撃破しました』


海未(にこ……)


ことり『海未ちゃん……』

海未「なんです、ことり?」

ことり『う、ううん……お疲れ様。帰還しよ?』


海未「ええ、お疲れ様でした。帰りましょう」





ことり(海未ちゃん……)

181: 2015/05/04(月) 23:23:25.47 ID:wEc/Nw7x.net
ことり「海未ちゃん……」

海未「にこの無念を少しは晴らせたでしょうか……」

ことり「うん……」

海未「にこ……希……」



海未「この戦争に勝ったとして、果たして世界は平和になるんでしょうか……」

海未「私がもっと強ければ二人を救えたのではないかと……」

ことり「自分を責めるのはよくないよ」

ことり「なんでも自分で出来ると思うのは傲慢だよ。にこちゃんも希ちゃんもとっても強かった」

ことり「だけど世界の動きにはどうしようも出来なかったんだよ」


ことり「海未ちゃんが悪いわけじゃない……」


海未「ですが……それでも私は……」


海未「穂乃果ならこんなときどうするんでしょう……」

海未「きっと穂乃果なら……」


ことり「海未ちゃん……」

182: 2015/05/04(月) 23:24:37.38 ID:wEc/Nw7x.net
海未「どちらにしましょうか……」ポチポチ

ことり「どうしたの? アセンブルで悩んでる?」

海未「はい、レイレナード製のレーザーブレードがオークションに出ていまして。入札しようか検討しているんです」

ことり「レイレナードの? どれどれ?」

海未「これです」ポチ

ことり「これドラゴンスレイヤーだね」

海未「はい。出力が高いので単純な火力が上がると思ったのですが……」

ことり「だけどこれってエネルギーの密度を上げたことで刀身が随分短くなってるんだよ」

海未「そこで悩んでいるんです。今のブレードレンジが18でこれが6ですよね」

ことり「さすがに3倍も違えば使い勝手は変わるだろうし……」

ことり「だけど海未ちゃんが試してみたいなら入札してみる?」

海未「うーむ、いえ、今回は見送ります」

海未「レイレナードのパーツを買うのは難しいですがやはり勝手が違いすぎるのは考え物ですね」

ことり「そっかぁ。パーツのことで相談があるならいつでも言ってね」

海未「ありがとうございます。あ、それとアセンとは別にお尋ねしたいことがあるのですが……」

ことり「なに?」

183: 2015/05/04(月) 23:25:54.36 ID:wEc/Nw7x.net
海未「サー・マウロスクが言っていた霞スミカというリンクスはどういった方なんですか?」

海未「少し気になってしまって……」

ことり「あぁ、スミちゃんね」

海未「知り合いなんですか?」

ことり「ううん、だけどインテリオルの内外問わずみんなからスミちゃんって愛称で呼ばれてるよ。本人が知ってるかはわからないけど」

海未「結構有名な方なんですね」

ことり「そうだね。あの人は自分がナンバー1だって言ってたけど、にこちゃんがいなくなって実質スミちゃんがレオーネのトップだよ」

ことり「新開発の武器のテストもやってるし、なによりレオーネの箱入り娘って言われてるぐらい大事にされてるから」

海未「出撃させて戦氏させたくないということですか?」

ことり「そういうことだろうね。人気があるのはまだ理由があってね、オリジナルの中でもスミちゃんは割と良識派なんだ」

ことり「今回の戦争にもあんまり賛同していないみたいだよ」

海未「なるほど、オリジナルのリンクスでもそういう方がいるんですね」

ことり「インテリオルのリンクスは結構そういう人たちが多い気がする」

海未「それでも戦争は起きてしまうものなんですね……」

ことり「ヒトって難しいね……」

海未「はい……」

184: 2015/05/04(月) 23:27:39.96 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『レイレナード社、レヴァンティール基地地下で新型ネクストの実験が行われているようです』

ことり『詳細は不明ですが極めて危険な機体であるとの情報があります』

ことり『基地に侵入し、新型機を破壊してください』

ことり『先立って派遣されたGA社のネクスト、『タイラント』はいまだ帰還していません』

ことり『十分に注意してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「新型ネクストですか……一体どんな実験を……」

ことり『……』

海未「ことり? どうしました?」

ことり『あ、うん……海未ちゃん、なんだか嫌な感じがする……気をつけて』

海未「え、ええ……了解しました。いきます」ドヒャア

185: 2015/05/04(月) 23:28:21.46 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『そのままエレベーターレールを下降して』

海未「わかりました」

海未「かなり深いですね……それに……」

ことり『コジマ濃度もちょっと高いね。プライマルアーマーには影響でないレベルだけど』

海未「そろそろ最下層でしょうか」ピピピ

ことり『敵部隊展開してるよ。突破して!』

海未「了解!」ドヒャア



海未「これは……パワードスーツですか……」

海未「こんなコジマ濃度の中で、まさか氏ぬつもりなんじゃ……」

ことり『多分最低限の戦力しか残していないんだと思う』

海未「放棄するつもりではなさそうですが果たして……」

ことり『嫌な予感がするよ……』

186: 2015/05/04(月) 23:29:10.39 ID:wEc/Nw7x.net
海未「ルートはほぼ一本道ですね。ここを曲がれば――」ピピピ

ことり『敵ノーマルを確認、狙撃されてるよ! 被弾しないように気をつけて』

海未「了解!」

海未「とはいえこんな狭い通路での狙撃を避わすのは無理がありますね……」


海未「ならば……」ガシャン


海未「こちらも狙撃するとしましょう」ドゴォ


海未「先手を取れば勝てます! あと1機!」ドゴォ


ことり『敵ノーマルの撃破を確認、この奥が実験場だよ……』


海未「コジマがどんどん濃くなりますね……」ゴォォォ




ことり『この先敵反応を確認! 新型ネクスト……!? 起動している?』


海未「ある程度想定はしていましたが……」ドヒャア

187: 2015/05/04(月) 23:30:18.21 ID:wEc/Nw7x.net
海未「地下にこんな広い空間が……」

海未「まるでコジマのプラネタリウムですね……」

ことり『敵機体確認、新型ネクスト3機です! 敵戦力、未知数だから気をつけて!』

海未「いきます!」ドヒャア


    ドゴォ


海未「一体どれほどのリンクスなんでしょうか……」

海未「しかし動きが単調ですね。クイックブーストも使わないとは……」

海未「逆に不気味です……」ドヒャア


海未「ですが相手の動きが緩慢なら一気にカタをつけて――」ドヒャア


          ズシャア

ことり『海未ちゃんダメ! 止まって!』

海未「ことり?」キィィィ ドヒャア

ことり『あの展開されたブレードの刀身、コジマ粒子だよ』

海未「まさか……コジマをブレードに流用しているんですか……」

ことり『少しでも触れたら機体がもたないよ……絶対に触られちゃダメ!』

海未「難しいことになりましたね」

188: 2015/05/04(月) 23:31:54.85 ID:wEc/Nw7x.net
海未「ずっと距離を詰めるだけですね……」

海未「あのブレードがある限りそれだけでも脅威ですが……」

ことり『海未ちゃん別の機体から熱源反応、避けて!』

海未「なっ!?」ドヒャア


海未「今のは……コジマキャノンですか……」


海未「戦場から機体までコジマをかき集めたようなミッションですね……」

海未「それにあまり長居をしては私もコジマ粒子の影響が出るかもしれません」


海未「とはいえ、3機を同時に相手にするとなると……」



  シュウゥゥ……


海未「ブレードの展開を解いたのですか……?」

ことり『さすがにコジマブレードをずっと展開しつづけるのは無理みたいだね』

海未「ならば今が好機ということですね」ドヒャア

ことり『リロードがどれぐらいかかるかわからないから不用意に飛び込んじゃダメだよ!』

海未「心得ています!」ドゴォ

189: 2015/05/04(月) 23:32:38.47 ID:wEc/Nw7x.net
海未「コジマブレードは自身のプライマルアーマーにも干渉するようですね」ドゴォ

海未「装甲が露出している今なら……」ズバァ


ことり『敵機体の撃破を確認! 残り2機だよ!』


海未「2機になれば少しは楽かと思いますが……」


      フォォン


海未「あのコジマキャノンは厄介ですね……」


海未「それにしても、こんなにコジマに塗れた機体に乗ってリンクスは大丈夫なんでしょうか……」




ことり『多分あれは無人ネクストだよ……』

海未「なんですって?」

190: 2015/05/04(月) 23:33:45.74 ID:wEc/Nw7x.net
ことり『クイックブーストを使用しない単純な挙動』

ことり『安定しない制御、AIで動いていると考えて間違いはないと思う』

海未「それが本当なら恐ろしい実験ですね……」

海未「こんなものが量産されたら世界のパワーバランスはあっという間に崩れてしまいます」

海未「単純な思考の機械人形とはいえ、この武装が脅威であることには変わりません」


ことり『そうだね……絶対に破壊して……!』


海未「ことり……? 了解しました!」ドヒャア




海未「引き撃ちをするのは久しぶりですが、バックブースターを出力の高いものにしておけばよかったですね」

海未「アリーヤは高負荷だからとヒデコが消費の少ないオーギルに変えたんですよね……」

海未「仕方ありません……」


  ドヒャア! ドヒャヒャヒャア!

ことり『連続クイックブースト? いつの間にできるようになったの?』

191: 2015/05/04(月) 23:34:31.60 ID:wEc/Nw7x.net
海未「たまたまですよ。シミュレーションルームに篭ってるときに偶然出来たんです」

海未「方向を変えることで連続してクイックブーストを噴かすことができるんですね」

海未「私はまだ5段階しかできませんが……」


ことり『5段階も曲がれるならすごいよ……』

海未「これでブレードの展開が終わるまで凌いでみます」ドヒャヒャヒャア


海未(5段階も出来たのは1度しかないんですが……)

海未(後方、右、後方の3段階でなんとかしましょう……)ドヒャヒャヒャア





海未「それにしても……」ドゴォ

海未「さきほどから頭痛と吐き気が止まりません……」

海未「コジマ粒子の影響でしょうか……」ドヒャヒャヒャア


ことり『海未ちゃん大丈夫? かなりきつそうだけど……』

海未「だ、大丈夫です……」ドヒャヒャア

192: 2015/05/04(月) 23:35:31.28 ID:wEc/Nw7x.net
海未「おかしいです……」

海未「さっきよりもブレードをたたむまでの時間が長い……?」

ことり『もしかして……成長している……?』


海未「どういうことですか?」

ことり『さっきブレードを解除した瞬間に海未ちゃんに攻撃されたからそれを学習したのかも……』

ことり『そのデータを機体同士のネットワークで共有しているとしたら……』


海未「先ほどよりも制御が安定している気がするのは錯覚ではなかったのですね」

海未「このまま成長すればクイックブーストまで使いだすやもしれません……」


海未「まずいですね……」


ことり『海未ちゃん来るよ!』


     フォォォン

海未「そっちですか!」ドヒャア

海未「コジマキャノンも警戒しつつブレードを攻略するには……」


ことり『海未ちゃん!』

193: 2015/05/04(月) 23:36:30.27 ID:wEc/Nw7x.net
海未「どうしました?」

ことり『今もう1機がコジマを撃っている間にブレードを解除してたよ』

海未「本当ですか!?」


海未「やはりコジマブレードを永続的に展開しつづけることは不可能なんですね」

海未「しかし2機がお互いの隙をカバーし合っています……」

海未「成長するコンピューターですか……」

海未「ならばっ!」ドヒャア



海未「これならどうです?」ズバァ ドゴォ

ことり『コジマキャノンをチャージしているほうに斬りつけた?』

ことり『それにブレードのほうは狙撃……サーダナとバーラットのときのように遠近同時攻撃だね!』

海未「これならいけそうですが……」


    フォォォォォ!


海未「このコジマキャノンのチャージしている光は恐ろしいですね……」

海未「こんな至近距離であたれば即氏してしまいます……」

海未「撃たれる前に衝撃でチャージを中断させないと……!」ズバァ

194: 2015/05/04(月) 23:37:19.15 ID:wEc/Nw7x.net
海未「これなら!」ズバァ

海未「いけます!」ズバァ


ことり『敵ネクスト撃破! あと1機だよ!』



海未「1対1ならもう隙をカバーすることは出来ませんね」

海未「これで……なっ!?」


ことり『うそ……ブレードを展開しながらコジマキャノンをチャージしている……』

海未「そんな……」

ことり『ありえないよ! 2種類のコジマ兵装を同時に使うなんて……!』

海未「しかし現に目の前で起こっています」

海未「なんとかするしかありませんね……」

     ズシャア

海未「いきますっ!」

195: 2015/05/04(月) 23:38:18.66 ID:wEc/Nw7x.net
海未「敵ネクストのAPもそれほど残っていないはずです」

海未「このまま狙撃で削りきれればいいんですが……」ドゴォ

海未「残弾がもうほとんどありません……」ドゴォ


      ガション

海未「弾切れですか……少し届きませんでしたね……」


      ズシャア

海未「さて、ここからが本番です」ドヒャア


海未「もうこちらはブレードしか残っていませんがリーチはあちらのブレードのほうが圧倒的に長いですね」

海未「あんなに大きなコジマの刀身で斬られたら果たして形は残るんでしょうか……」

海未「少し様子見をしてみましょう」


ことり『海未ちゃんそろそろコジマキャノンのチャージが終わるよ!』

海未「勝負するならこのタイミングなんでしょうが、まだです……」


      フォォォン

海未「来ました!」ドヒャア


      ズシャア


海未「やはり1機だけで隙を無くしていますね……」

196: 2015/05/04(月) 23:39:14.61 ID:wEc/Nw7x.net
海未「ならばもうこれしかありません」

ことり『海未ちゃん、何する気なの……?』

海未「ブレードで斬ります」


ことり『無茶だよ! あのブレードに触れるだけでダメなんだよ?』

海未「ですがこれしか手はありません」


海未「信じてください」

ことり『海未ちゃん……』


海未「今度こそ自分の言葉を裏切りません!」

ことり『わかった……絶対勝ってね……』


海未「了解しました!」


    ズシャア


海未「いきます!」

197: 2015/05/04(月) 23:40:11.28 ID:wEc/Nw7x.net
海未「あのネクストはブレードの制御自体はまだ甘いんです」

海未「そこに勝機があるはず……」


海未(思い出すのです、園田海未!)

海未(毎日の稽古を……こんな時の為にあなたは鍛えていたのではありませんか?)


海未(もう少し……)

海未(もう少し引きつけて……)





      カッ!




海未「ここです!」ズバァ










ことり『抜き胴……海未ちゃんの得意な技……』

198: 2015/05/04(月) 23:41:06.87 ID:wEc/Nw7x.net
海未「はぁ……はぁ……」

ことり『て、敵ネクスト撃破を確認! 作戦成功です!』




海未「ふぅっ、危なかったです」


ことり『すごいよ海未ちゃん! まさかあそこで剣道の技が出るなんて!』



海未「さすがにコジマの光が目の前を掠めていくのを見たときは肝が冷えました……」


ことり『お疲れ様! 本当にお疲れ様! あ、急いで戻ってきて! ネクストの爆発でコジマ濃度が!』

海未「やれやれ、ひと息つくのはもう少し先のようですね」


ことり『待ってるからね』



海未「ことり……」

ことり『ん?』



海未「私を信じてくれてありがとうございます」

ことり『海未ちゃんこそ、約束を守ってくれてありがとう』


海未「ふふ、帰りましょうか」

ことり『うん!』

202: 2015/05/05(火) 12:53:04.76 ID:H65jPX8N.net
海未「こんなところにいたのですか」ガチャ

ことり「うん、この間の新型ネクストのことが気になって……」

ことり「お父さんの資料で似た機体を見たことがあるような気がして……」

海未「それでなにかわかりましたか?」

ことり「これ……」スッ




海未「プロトタイプ・ネクスト?」

ことり「うん、人間の限界を遥かに超える精神負荷と致命的な環境汚染を引き起こす悪魔の機体」

ことり「とてもじゃないけど人の操れるものじゃない」

海未「それで、これはどうなったのですか?」

ことり「開発初期にすべて廃棄されたはずなんだけど……」

ことり「レイレナードはそれを甦らそうとしてるのかな……」


海未「もしもこれが無人で動かせるとしたら……」

203: 2015/05/05(火) 12:53:55.71 ID:H65jPX8N.net
ことり「それは出来ないと思う」

海未「どうしてですか?」

ことり「戦った無人ネクストの挙動を見たでしょ?」

ことり「成長していたとは言っても、コジマ兵装がなければまだまだノーマルに近い部類だった」

海未「それは確かに……」

ことり「今のAIだとあれが限界なんだと思う。それに――」

ことり「この機体の設計図を見ればわかるよ」


海未「これは……」


ことり「うん……この機体のリンクスはパイロットじゃなく生体パーツなんだ……」

ことり「乗れば氏んでしまうか、運が良くて廃人。だけど動かす為にはヒトの意思であるAMSが必要になる」

ことり「こんなもの絶対完成させちゃいけない……」

海未「はい……」

204: 2015/05/05(火) 12:54:49.02 ID:H65jPX8N.net
ことり「それで海未ちゃんのほうはどうだったの?」

海未「一応検査してもらった結果深刻なほど汚染されていませんでした」

海未「精神負荷のほうもまだ許容レベルでしたし、少し休めば快復すると思うのですがそうも言ってられませんよね」

ことり「ううん、今はゆっくり休むほうが先決だよ」

ことり「最近はネクスト戦も多かったし、前回の作戦だってかなり危険だったんだから」

ことり「少しは休まないと海未ちゃんが壊れちゃうよ」

海未「ですが……」

ことり「口答えは赦しません。せめて半月ぐらいはゆっくりしてもらわないと」

海未「そんなにですか? 依頼のほうもそれなりに来てるんでしょう?」

ことり「GAなんて人を都合の良い駒としてしか見ていないから少しぐらい放っておいてもいいの!」

ことり「それより海未ちゃんがお休みするほうが大事だから! 決定ね!」

海未「クスクス……まるで穂乃果のようですね」

ことり「もう、穂乃果ちゃんでも同じこと言うよ。きっと……」

海未「そうですね……」ピピ

205: 2015/05/05(火) 12:55:34.16 ID:H65jPX8N.net
海未「おや? 依頼のメールが来ましたね」

ことり「何度も言うけど依頼は全部断って――」

海未「どうやらそういうわけにもいかないようですね」



ことり「どうしてこんなときに重要度の高い依頼が来るのかな……」

海未「かなり戦争も激しくなってきましたからね」

海未「使えるものはなんでも使いたいのでしょう」

海未「しかしやはりGAにいい様に使われるのだけは腹立たしいです」

海未「ですが今回の作戦はそうも言っていられませんね」


ことり「うぅ……これから仕度するけど海未ちゃんは輸送中に少しでも休んでおくこと!」

ことり「いいですか!?」

海未「わかりました」フフ

206: 2015/05/05(火) 12:56:18.66 ID:H65jPX8N.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『BFF社のネクスト、プロメシュースを捕捉しました』

ことり『プロメシュースのリンクス、メアリー・シェリーは
   「彼女の戦闘スタイルがBFF社の兵器設計思想を決定した」とさえ言われる、極めて優秀な狙撃主です』

ことり『ナンバーは5、オリジナルの中でも、最も危険な相手の1人です』

ことり『心して戦闘に臨んでください』

ことり『また戦闘エリアとなる、サイオン湾定着氷は高濃度のコジマ粒子の流出が大気中に確認されており』

ことり『粒子干渉による、プライマルアーマーの自然減衰が予想されます』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



海未「BFFの狙撃主ですか。自社の方向性を担うほどの相手なら厳しい戦いになりそうですね」

ことり『海未ちゃんは遠近どちらも戦えるけどこの人は遠距離特化だから同じ土俵で戦うのは危険かもしれない』

ことり『だから出来るだけ接敵して近距離戦に持ち込めばきっと勝てるよ』

海未「同じ土俵ですか……」ウズ

ことり『海未ちゃん?』

海未「いえ、なんでもありません。いきます!」ドヒャア

207: 2015/05/05(火) 12:56:59.39 ID:H65jPX8N.net
ことり『ミッション開始、敵ネクスト確認! プロメシュースです』

ことり『逃げる気配はないみたいだね。撃破して!』

海未「了解!」



メアリー『へぇ、調子に乗って殺されにきたのね……野良犬が、氏になさい!』ドゴォ


ことり『来るよ!』

海未「くっ」ドヒャア

海未「流石にBFFのトップなだけはありますね。私と違ってロックが正確です……それに……」


メアリー『さぁ、私はどこかしら?』


海未「グリフォンの時同様、暗くてよく見えませんね……」


メアリー『いい的よ、あなた』ドゴォ


海未「ちぃっ!」ドヒャア

208: 2015/05/05(火) 12:57:47.87 ID:H65jPX8N.net
ことり『BFFの機体はカメラ性能も索敵性能も高いから向こうから見えてるのかもしれない』

海未「こちらから見えない以上、向こうのほうが有利ということですね」



海未「ですが……」スッ……



海未「そこです!」ドゴォ


メアリー『バカな!』キィィィン


メアリー『ミス……? 私が……? なんなの……』

メアリー『それに今ロックされなかった……噂は本当だと言うの……?』


海未(ノーマルに比べてブースターの噴射光が大きい。これならなんとか見えます)ドゴォ


メアリー『この暗闇の中で手動で狙撃している……ありえない……』ドヒャア

209: 2015/05/05(火) 12:58:30.81 ID:H65jPX8N.net
ことり(圧倒的に不利なのにメアリーと互角に撃ち合ってる……)

ことり(まさか……海未ちゃんがここまでなんて……)

ことり『すごい……』

ことり『って、海未ちゃん、相手の距離で戦う必要はないよ! 自分の距離で戦って!』


海未「これも私の距離なのですが……」


メアリー『ここまで虚仮にされるとは思わなかったわ』

メアリー『どちらが狙撃主として上なのかはっきりさせましょう』


海未「臨むところです!」


メアリー『いつまでそんな余裕でいられるかしら』ドヒャア


ことり『後退した?』


海未「当然でしょうね……」



海未(さすがにこれだけ離れたらブースターの光も見えません)


     ドゴォ


海未「くるっ!」ドヒャア

210: 2015/05/05(火) 12:59:48.20 ID:H65jPX8N.net
ことり『海未ちゃん、試合じゃないんだよ!』

海未「すみません、ですが試してみたいのです」

海未「最高の狙撃主に対して私がどれほどのものなのか……」ドゴォ


海未(見えなければあたらない……それは当然ですが……)


     ドヒャア


海未(クイックブーストの噴射光はさすがにここからでも見えますよ)ドゴォ



メアリー『なっ……ここまで……!? いいえ、やれるわ!』ドゴォ


ことり『プロメシュースに着弾!? クイックブーストの噴射を見てから移動推力を予測して狙撃したの……』

海未「やはり強いです……」ドヒャア ドゴォ

海未「それにこのままでは勝てませんね」ドヒャア


メアリー(落ち着けばこのまま勝てる。とはいえ、狙撃主としてどちらが上かと問われれば……)ドヒャア


      ドゴォ

メアリー(園田海未、なんてヤツなの……)

211: 2015/05/05(火) 13:00:49.80 ID:H65jPX8N.net
海未「この勝負、私の負けですね」

ことり『海未ちゃん!?』

海未「私は射線とクイックブーストを見てからでないと狙撃出来ません」

海未「メアリーがクイックブーストを使わなければ私に勝機はないのです」

ことり『だからってこのまま負けるなんて……』


海未「狙撃主としての勝負には負けただけです」

海未「戦いでは負けません!」ドヒャア



海未「ことりの言う通り先ほどまでは試合の感覚だったのかもしれませんね」ゴォォォ


メアリー『なんだと?』ドヒャア


海未「見えました!」ドゴォ


メアリー『チ……』ドヒャア


海未「だいぶ近くなりましたね」トゴォ


ことり『プロメシュース被弾! 海未ちゃん、こっちの距離だよ!』


海未「はい、ここからは私だけの距離です」

海未「いきますっ!」ズバァ

212: 2015/05/05(火) 13:01:42.75 ID:H65jPX8N.net
メアリー『速い……!』

メアリー『もう一度距離を取らないと!』ドヒャア


ことり『海未ちゃん、そのまま離れないで!』

海未「逃がしません!」ドヒャア


    ズバァ


メアリー『なんなのよ……!』ドヒャア

メアリー『この距離じゃロックが……』ピロ


海未「……」ズバァ


メアリー『離れられない……嘘……でしょう……』ドヒャア


海未「……」ズバァ ドゴォ

メアリー『スナイパーライフルをそんな使い方するなんて……』ギリ

メアリー『狙撃には狙撃の美学があるのよ! あなたはそれをわかっていない!』


海未「わかっていないのはあなたです」ドゴォ

海未「競技じゃないんですよ。戦争をしているんです……」

213: 2015/05/05(火) 13:02:23.49 ID:H65jPX8N.net
海未「そこです……」ドゴォ


メアリー『なんで……私の優勢は……!?』



ことり『プロメシュース停止しました……! 作戦は成功だよ!』


海未「恐ろしい相手でした……」

ことり『海未ちゃん、自分の言葉にたくさん矛盾があったけど……』

ことり『競技じゃないって? 「スナイパー対決です」って盛り上がってたよね?』

海未「そんなこと言ってません!」

海未「自分の狙撃の腕を少し試したかっただけです……」


ことり『同じだよ! まあ海未ちゃんが私が思ってたよりずっと強いってわかったから』

海未「ことり……ありがとうございます」



ことり『それじゃ帰還しよっか。お疲れ様、海未ちゃん』

海未「はい、お疲れ様でした」

215: 2015/05/05(火) 15:30:22.73 ID:H65jPX8N.net
ことり「イクバールに続いてBFFの主力ネクストを撃破か……」

ことり「海未ちゃんはやっぱり特別なのかもしれない……」

海未「特別ですか……」

海未「自分ではよくわかりませんね」

海未「それに少し前まではノーマルの編隊にすら苦戦していましたのに」


ことり「だからこそだよ。戦い方を変えただけであっという間にこんなに強くなって」

ことり「それにその戦い方だって、誰にも出来ることじゃない」


ことり「海未ちゃんが強くなるのはいいことだけど……ちょっと心配なんだ」

海未「なにがですか?」


ことり「海未ちゃん……最近戦うことを楽しんでない……?」

海未「そんなことありませんよ。ただ、もっと強くなってオトノキを護りたいとは考えていますが」


ことり「じゃあどうしてメアリーとあんな勝負をしたの?」

海未「それは彼女が名高い狙撃主だったからです。私の実力が如何なるものか、それを量らせてもらおうと」

海未「それだけです。他意はありませんよ」

ことり「そっか……」

216: 2015/05/05(火) 15:31:09.83 ID:H65jPX8N.net
ことり(海未ちゃんは自分で気付いていないのかもしれない)

ことり(こんなときこそことりがなんとかしなくっちゃ)

ことり(しばらくはネクスト戦を避けたいけれど、こんな戦況じゃ難しそうだし……)ピピ


ことり「メール? GAからの依頼だ……」


海未「どういった内容ですか?」


ことり「えっとね……BFF本社への攻撃依頼……!?」


海未「メアリー・シェリーを失った今が好機だと判断したんでしょう」

ことり「だけど本社を攻撃するなんて……」


海未「それだけこの戦争が大きくなってしまったということですね」

海未「こうなった以上引き返せません。いきましょう……!」


ことり「うん……」


ことり(海未ちゃん、どうしてそんなに冷静でいられるの……?)

217: 2015/05/05(火) 15:32:10.60 ID:H65jPX8N.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『BFF本社への攻撃作戦を実行します……』

ことり『目標は同社の本社機能を有する特別艦、クイーンズランスの破壊です』

ことり『クイーンズランスの周辺には大規模な護衛艦隊が展開しています』

ことり『激しい戦闘は避けられません』

ことり『目標はクイーンズランスのみです』

ことり『それ以外の敵は相手にする必要はありません』

ことり『確実に目的を達成してください……』

ことり『極端な中央集権構造で知られるBFFです』

ことり『この作戦が成功すれば壊滅的な打撃を与えることができるでしょう』

ことり『大きな意味を持つ作戦であること、忘れないでください……』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



ことり『もう後戻りできないんだね……』


海未「大丈夫です。この先なにがあろうと必ず生きのこってみせますから」

ことり『うん……』

ことり(しっかりしなきゃ……)

218: 2015/05/05(火) 15:33:37.25 ID:H65jPX8N.net
ことり『ミッションを開始します』

ことり『目標、クイーンズランス特別艦だよ』

海未「ここからは見えませんね……しかしなんて数の艦隊ですか」

ことり『空母からイージス艦まで、恐らくすべての残存戦力を護衛に回してるんだと思う』

海未「ネクストが来る可能性は?」

ことり『恐らくないと思うよ。BFFのネクストは今レイレナードに派遣されているみたいだし』


海未「それは妙ですね。本社が攻撃を受けているというのに」ゴォォォ


ことり『噂ではBFFには裏の顔があるって……』

海未「どういう意味ですか?」

ことり『本社とは別に、実質的に実権を握っている人物がいるって聞いたことがあるの』

ことり『もしかしたらこの作戦は……』

海未「ことり?」

ことり『ううん……とにかくここでBFFを叩けばどちらにしても大きな打撃になるはず』

ことり『クイーンズランスが作戦エリアを抜ける前に撃破して』

海未「了解です!」ヴゥゥゥン フォォォォン

219: 2015/05/05(火) 15:34:24.92 ID:H65jPX8N.net
海未「普段はオーバードブーストは使いませんがこういうときは必須ですね」


     バヒュウ


海未「とはいえ……」ピピピ

海未「コジマを使うのでその分プライマルアーマーが減衰するので注意しなくてはいけませんが」ドヒャア



     シュゥゥ……


海未「コジマ粒子が切れましたね」

海未「ジェネレーターからの出力はそれなりに強いですからしばらく通常推力で距離を埋めましょう」ドヒャア


海未「しかしミサイルが雨のように降ってきますね……」ピピピピピ

ことり『海未ちゃん、まだだいぶ先だよ。ミサイルと砲撃に気をつけながら急いで』


海未「なかなか難しい注文ですね」フフ


      ギン


海未「コジマが溜まりました。ではもう一度」ヴゥゥゥン フォォォォン

220: 2015/05/05(火) 15:35:24.09 ID:H65jPX8N.net
海未「あと少し……」ピ

海未「見えました! 目標捕捉、いきます!」ドヒャア

ことり『あんまり時間がないよ。急いで!』


海未「了解です。まずは……」ズバァ


ことり『クイーンズランスの機関部に損傷、推力が落ちたよ』


海未「こうして見るとまるで豪華客船のようですね……」ズバァ


海未「非戦闘員がほとんどのようですが……」ズバァ

海未「戦争なんです……」ズバァ


ことり『クイーンズランスの被害拡大、あと少しだよ』


海未「さようなら……」ズバァ


ことり『クイーンズランス、撃破しました』

ことり『作戦は成功です』


海未「……」

221: 2015/05/05(火) 15:36:17.61 ID:H65jPX8N.net
ことり『私たちの手で6大企業の1つが実質的に崩壊する』

ことり『こんなことになるなんて想像してなかった……』

海未「ことりは関係ありません」

ことり『え?』

海未「これは私だけで行った作戦、私だけの責任です」

ことり『海未ちゃん……』


海未(窓から覗くBFF社員の方たちのあの怯えた顔……)

海未(リンクスやノーマルのパイロットが戦氏するのとは違います……)

海未(戦争だから……)



海未(果たしていつまで言い訳できるのでしょうか……)





ことり『みんなでいた頃はあんなに楽しかったのに……』


ことり『懐かしいね……』


海未「ええ、帰りましょう……」

ことり『うん……』ピピ

ことり『メール? 送信元は匿名になってる……』

222: 2015/05/05(火) 15:37:16.55 ID:H65jPX8N.net
海未「どうしました?」

ことり『うん、差出人不明のメールが届いてね。えっと……内容は……うそ……』

海未「ことり? どうしました?」

ことり『メールを海未ちゃんのほうに転送するね!』ポチ

海未「来ました、これですね」ポチ

海未「な、なんですかこれは!」




『――今スグ音ノ木坂ニ戻レ。蹂躙兵器ガ音ノ木坂ニ向カッテイル』


ことり『蹂躙兵器って……』


海未「考えている暇はありません! すぐに回収を!」

ことり『は、はい!』

海未「このメールの信憑性はわかりませんがオトノキが狙われてるというのなら看過できません!」

海未「ヒデコ、輸送中に可能な限りで構いません、補給と修理をお願いします」

ヒデコ『了解!』


海未(一体なにが起きているんです……)

224: 2015/05/05(火) 18:57:03.40 ID:H65jPX8N.net
海未「なんとか間に合ったようですね……ですが本当に蹂躙兵器がこちらに向かっているのでしょうか」

ことり『確認したよ。このギア・トンネルに所属不明の兵器が移動してる』

ことり『高速で音ノ木坂に向かっているよ』


海未「情報通りでしたか……一体誰が知らせてくれたんでしょう……」

海未「いえ、おかげでこうして迎撃態勢をとることが出来たんです。感謝しなくては」


ことり『もうすぐその隔壁に到達するはず。準備して!』

海未「了解です!」

海未(ここで食い止めなければオトノキが……)



    ガタン ガタン



海未(近いですね……ん?)

海未(隔壁が熱で溶けている……?)


     ズガァン



ことり『巨大兵器確認! 迎撃して!』

海未「参ります!」ドヒャア

225: 2015/05/05(火) 18:58:04.41 ID:H65jPX8N.net
ことり『後退しながら攻撃するしかないけど……あれは……』

ことり『プライマルアーマーを持ってる……それに厚い……』

ことり『海未ちゃん、実弾兵器では装甲にダメージを与えられないよ。まずはプライマルアーマーの整波装置を破壊して!』

海未「整波装置ですか……どれでしょう……」ピ

ことり『手の部分と耳みたいなところだと思う。あのでっぱりを攻撃してみて』

海未「心得ました」ドゴォ

       ヴゥゥゥン

ことり『少しだけどプライマルアーマーが揺らいだよ。そこであってる!』


海未「しかしこんな巨大なものがこんなスピードでオトノキに突っ込めばどうなってしまうか……」


海未「なんとしてでも止めるしかありませんね」ドゴォ


       ドゴォ ドゴォ


ことり『防衛限界ラインまで隔壁が6枚あるけどそれを超えたら終わりだよ』

海未「了解」ドゴォ

226: 2015/05/05(火) 18:59:21.80 ID:H65jPX8N.net
ことり『敵整波装置破壊、残り3基だよ』

海未「ようやくひとつですか……」

海未(スナイパーライフルの弾薬が半分しか残っていません……)

海未(単純に計算して、2基分の弾薬が足りませんね)

海未(しかしプライマルアーマーを張っている以上近づくのは危険です……)

海未(先の作戦でのコジマブレードを避よけるのとはわけが違いますからね……)


海未「とにかく反対の耳を破壊しましょう」ドゴォ



海未「バックモニターになにか……これが隔壁ですか」ドヒャア


ことり『隔壁に引っかかって減速してる。今がチャンスだよ、攻撃集中して!』


海未「はい!」 ドゴォ ドゴォ


ことり『隔壁突破されました、残り隔壁5です』


海未「もう少しで、壊れそうですね……」ドゴォ

227: 2015/05/05(火) 19:00:24.08 ID:H65jPX8N.net
ことり『敵整波装置破壊、残り2基』



      ガション


ことり『海未ちゃん? どうしてライフルをパージして……』


海未「困りました……弾切れです……」


ことり『そんな……なにか予備ハンガーに武器はないの?』

海未「ヒデコと相談して余計な負荷になるので背中も予備ハンガーもなにも積んでいません」

海未「打つ手なしです……」ギリ


海未(いえ、一応まだ手はありますが……)


ことり『隔壁突破……残り4……』

ことり『このままじゃオトノキが……』

ことり『ヒデコちゃん、ギア・トンネル上に武器を落とすことは出来ないの?』

ヒデコ『出来なくはないけど……』


海未「それは危険です! この速度で迫るこの兵器から逃げられるかどうか」

海未「それにコジマ濃度もかなり高いです」

ことり『だけどこのままじゃみんなが……!』

228: 2015/05/05(火) 19:01:43.29 ID:H65jPX8N.net
海未「やるしかないようですね……」



ことり『海未ちゃん……何する気……?』


海未「ブレードで直接整波装置を破壊します」

海未「幸い残りの2基は下部に並んでいますからうまくいけば同時に破壊出来るかもしれません」

ことり『ダメだよ! そんなことしたらプライマルアーマーの干渉で海未ちゃんの機体が壊れちゃう』

海未「ですがこれしかみんなを救う方法がありません」


ことり『ダメだって! お願いだからやめて!』

海未「……」



ことり『お願いだからことりの言うことを聞いて! ヒデコちゃん、トンネルに火力の高い武器を置いて!』



海未「いけませんっ!」


ことり『っ!?』ビク

海未「私が必ず止めてみせます」


ことり『海未ちゃん……海未ちゃん……』ポロポロ


海未「いきますよっ!」ドヒャア

229: 2015/05/05(火) 19:02:46.85 ID:H65jPX8N.net
海未「近づいただけで一瞬でプライマルアーマーが消えました」ズバァ


      ジリジリ


ことり『コジマ粒子が機体を侵蝕してる……』


海未「ぐっ……」ズバァ


海未(にことの戦い以上にきついですね……)ハァハァ

海未(頭痛も吐き気もあの時以上です……)

海未(それに身体が熱い……まるで皮膚が溶けているような感覚です……)

海未(これがコジマ汚染ですか……)ズバァ


ことり『海未ちゃん、装甲がもたないよ! 今すぐ離れて!』


海未「もう……少しです……」ズバァ


海未「うぷっ……」ズバァ



ことり『もういいから! 海未ちゃん離れて!』


海未「これ……で……」ズバァ


     フォォォォン……

230: 2015/05/05(火) 19:03:35.02 ID:H65jPX8N.net
ことり『プライマルアーマーが消えた……』グス

ことり『せ、整波装置すべて破壊しました……』


海未「やりました……あとは……」ガシャン



海未「はぁぁあああああああああっっ!」ズバァ


  ズバァ ズバァ


海未「とまれぇぇぇぇえええええええええ!!!」ズバァ





      ズバァ




      ガタン……




ことり『止まった……?』


海未「や、やりました……」ハァハァ

ことり『成功だよ海未ちゃん! すぐに回収するから――』ピピピ

ことり『――え?』ピピピピピ

231: 2015/05/05(火) 19:04:26.11 ID:H65jPX8N.net
ことり『き、巨大兵器内部から高エネルギー反応……?』

ことり『まさか……』


ことり『海未ちゃん、巨大兵器が爆発するよ! すぐに離脱して!』


海未「……」


ことり『海未ちゃん、聞こえてるの!? 返事をして!』

海未「……み……ません……」


ことり『海未ちゃん! お願い動いて! そこから離れて、海未ちゃん!』




海未(……もう機体も私も動きません……)

海未(ことりを護れたなら私はそれで満足です……)

海未(ですが最後まで護ってあげたかったですね……)



海未(にこ……希……)


ことり『海未ちゃん! 海未ちゃあああああああん!』






      ズガァァァァァン!!

232: 2015/05/05(火) 19:07:13.42 ID:H65jPX8N.net
親鳥「クイーンズランス攻撃、パックスの崩壊はこの作戦により決定付けられたと言ってよいでしょう」

親鳥「巨大企業BFFの軍事インフラを失い、新興ゆえの脆弱さを露わにしたレイレナードグループが
    きわめて直接的でリスクの高い戦術を採ったのでした」

親鳥「ネクストを中心とした、敵中枢の直接攻撃」

親鳥「レイレナードとその盟友たるアクアビットはすべてのネクスト戦力と危険な巨大兵器を投入し、
    予告なく大規模な同時奇襲作戦を敢行します」

親鳥「巨大コロニーがあっけなく消滅し、コジマ汚染は無秩序に拡大する」


親鳥「俗に言うリンクス戦争です」

親鳥「最初期の奇襲により壊滅的な打撃を被り」

親鳥「一方的な防戦に追い込まれた、オーメル陣営の切り札となったのが」

親鳥「アスピナの傭兵、高坂穂乃果と我らが音ノ木坂の園田海未でした」


親鳥「この戦争における二人はまさに圧倒的でした」

親鳥「時に幼い頃より二人を知る私でさえ、不安と恐怖を抱くほどに……」

235: 2015/05/05(火) 22:46:44.58 ID:H65jPX8N.net
海未「……」パチ


海未「ここは……オトノキのメディカルセンターですか……」

海未「私は生きているんですね……」


    ウィーン


ことり「海未ちゃん、目が覚めたんだね!」

海未「ことり……私は……」

ことり「これで2回目だよ! 今度は1週間も眠ったままだったんだよ!」


海未「そうですか……よく生きていられましたね……」

ことり「それは……」


ことり「う、海未ちゃんのアリーヤのプライマルアーマーが展開できてね、
    装甲もボロボロになっちゃったけどギリギリ耐えたんだよ」

海未「なるほど……悪運が強かったというわけですね……」


ことり「……」

236: 2015/05/05(火) 22:47:47.53 ID:H65jPX8N.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ことり『海未ちゃん! 海未ちゃああああああああんっ!』




『こちらホワイトグリント、そっちに向かってるよ!』


ことり『穂乃果ちゃんっ!?』

穂乃果『ウルスラグナが爆発するまで時間がない!』

穂乃果『ことりちゃん、ヒデコ、すぐに海未ちゃんを回収する準備をして!』


ことり『う……うん! だけど穂乃果ちゃん……』

穂乃果『私のことは後だよ、今は海未ちゃんを助けないと!』

真姫『穂乃果、海未の機体まで500m先よ!』

穂乃果『見えた! ことりちゃん、海未ちゃんのバイタルは?』

ことり『弱いけどまだ生きてる……!』


穂乃果『よし……海未ちゃん、ひとりで無茶しすぎだよ……』ガシ

真姫『ウルスラグナが爆発する! 穂乃果、海未を連れてすぐに離脱して!』

穂乃果『了解!』ドヒャア ヴゥゥゥン フォォォォン



    ズガァァァァン!!

237: 2015/05/05(火) 22:48:38.04 ID:H65jPX8N.net
穂乃果「真姫ちゃん、海未ちゃんの具合はどう?」

真姫「診ただけじゃ詳しいことまでわからないけど、かなり汚染されてるわね」

真姫「もしかしたらなんらかの後遺症が出るかもしれない」

ことり「そんな……」

真姫「とにかく今はすぐに治療して、もしかしたら間に合うかもしれない」

ことり「わ、わかった!」





穂乃果「お医者さんが言うには身体を動かしたりネクストに乗る分には後遺症は出ないって話だったけど……」

真姫「身体の内側はそうもいかなかったみたいね……」

真姫「生殖機能に障害が出るかもしれないって……」

ことり「海未ちゃん……」

238: 2015/05/05(火) 22:50:04.26 ID:H65jPX8N.net
真姫「だけど、海未を生きて救い出せたことは喜ぶべきよね」

ことり「うん、ありがとう、穂乃果ちゃん! 真姫ちゃん!」

ことり「だけど、どうして二人ともオトノキに戻ってきたの?」

穂乃果「誰からかわからないメールが来てね」ポチ


ことり「これ、ことりたちにも届いたよ! 穂乃果ちゃんたちにも来てたんだね」

真姫「一体誰が知らせてくれたのかしら……」

真姫「それにあの蹂躙兵器、ウルスラグナってメリエスが開発したものよね」

真姫「非オーメル陣営の兵器がオーメル陣営の味方をするオトノキへの攻撃にいち早く気付くなんて……」

穂乃果「誰かわからないけど、おかげでオトノキも海未ちゃんも助けられてよかったよ」

穂乃果「だけど、もっと速く到着していれば海未ちゃんはケガをせずに済んだかもしれない……」

穂乃果「ごめんね……海未ちゃん……」


ことり「ううん、穂乃果ちゃんも真姫ちゃんも助けにきてくれてありがとう!」


穂乃果「それじゃあ穂乃果たちは帰るね」

ことり「え? また海未ちゃんに会わずに帰っちゃうの?」

真姫「また会えるわよ。今度こそ海未も一緒にね」

穂乃果「それまで穂乃果たちが来たことは内緒にしておいて」

ことり「絶対だよ! 今度こそ絶対みんなで会おうね!」

穂乃果「うん、約束だよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

239: 2015/05/05(火) 22:50:42.61 ID:H65jPX8N.net
ことり(穂乃果ちゃん……真姫ちゃん……)

ことり(またみんなで会いたいよ……)

ことり(にこちゃん……希ちゃん……)




――――――――――――――――――――
――――――――――――――
―――――――――
―――――




穂乃果「約束か……叶うといいな……」

真姫『なに言ってるの! その為に頑張ってるんでしょ?』

穂乃果「真姫ちゃん……うん……!」

真姫『私も応援してあげてるんだから、しっかりしなさいよね』

穂乃果「はぁ~い、頑張るよ!」

真姫『まったく……じゃあそろそろ準備はいい?』

穂乃果「うん、いつでもいいよ」

240: 2015/05/05(火) 22:52:25.38 ID:H65jPX8N.net
真姫『作戦を確認するわ』

真姫『レイレナード社の衛生破壊砲、エーレンベルクをGA社観測衛星を狙撃する前に破壊して』

真姫『大規模な防衛戦力が予想されるけどもっとも留意するべきはエーレンベルクの心臓部を守る高濃度プライマルアーマーよ』

真姫『GA社観測衛星がエーレンベルクの有効射程距離に近づいてるからあまり時間はないようね』

真姫『速やかに目標を達成するように』

真姫『以上、作戦の確認を終了するわ』


真姫『っていうのがGA、というよりオーメル陣営の建前ね』

穂乃果「情報通りならレイレナードの狙いはもっと別なんだよね」

真姫『私たちアスピナもオーメル側に寄っているし、今更なところもあるけど今はあの人を信じるしかないわ』

穂乃果「そうだね。まだ海未ちゃんたちよりも穂乃果たちのほうが自由に動ける分今のうちに出来ることはやっておかないと」

真姫『そうね。じゃあまずはあのバカデカい塔を壊しましょうか』

穂乃果「了解!」ブゥゥゥンフォォォォン

241: 2015/05/06(水) 00:46:02.53 ID:UGhXSHxI.net
真姫『破壊目標はエーレンベルク、一応時間制限があるからモタモタ出来ないわよ』

穂乃果「うーん、やっぱりこれって撃っていいんじゃないかな?」

真姫『何度も言わせないで。そんなことになったら後々ややこしくなるんだから』

真姫『目先のことだけで判断してると大きなことは成し遂げられないわ』

穂乃果「そっか。うん、やっぱり穂乃果には真姫ちゃんがついていてくれないとダメだねぇ」

真姫『な、なに言ってんのよ///』

真姫『とにかく作戦を遂行するわよ!』

穂乃果「はぁーい」ドヒャア




穂乃果「根元のあれが心臓部なんだよね……」

真姫『そうよ……だけど……』

穂乃果「うん……」シュバァ



穂乃果「レーザーキャノンでどうにか貫通できるぐらいだね」

242: 2015/05/06(水) 00:47:07.80 ID:UGhXSHxI.net
穂乃果「ブレードならどうにかなりそうだけど……」

真姫『どちらにしても効率が悪いわ。それじゃ発射まで間に合わない』

真姫『どこかにあれの整波装置があるはず』

真姫『少し探ってみるから穂乃果は目標の周りにいる護衛戦力を排除して』

穂乃果「わかった!」パスパス ズバァ



真姫『あれだけ高濃度のプライマルアーマーですもの、どこか外部に整波装置が……』ピピ

真姫『あった! 穂乃果、後方の足場の下に整波装置があるわ。まずそれを破壊して』

穂乃果「見つけるの速いね! 了解!」ドヒャア



穂乃果「このまるっこいのがそう?」

真姫『そう、その半球型のオブジェクトが整波装置よ』

真姫『それを破壊すればプライマルアーマーは消滅するはず』

穂乃果「おっけー!」ズバァ

243: 2015/05/06(水) 00:48:23.36 ID:UGhXSHxI.net
真姫『エーレンベルクのプライマルアーマー減衰を確認』

真姫『発射まであまり時間がないわ。急いで破壊して!』

穂乃果「忙しいなぁ……!」ドヒャア

真姫『文句を言わない!』

穂乃果「はぁーい……」ドヒャア



穂乃果「ほんとだ、プライマルアーマーが消えてる」

真姫『ボケっとしてないでさっさと破壊しなさい!』

穂乃果「もう、真姫ちゃんはすぐ怒るんだから……」

真姫『なんですって!? 帰ったらおぼえておきなさいよ!』

穂乃果「ひぃっ! ほんとに恐いんだから……」ズバァ



真姫『ハァ……もう少し真面目に任務にあたってよね……』

穂乃果「これで終わりだよ!」ズバァ

244: 2015/05/06(水) 00:49:11.77 ID:UGhXSHxI.net
真姫『エーレンベルクの充填停止を確認』

真姫『地下核部に大規模コジマ反応? 穂乃果、爆発するわ! すぐに離脱して!』

穂乃果「了解!」ドヒャア


真姫『エーレンベルが倒壊する。巻き込まれないようにね』

穂乃果「これだけ離れれば大丈夫だよ」



真姫『とにかく作戦は成功よ。お疲れ様』

穂乃果「毎度ながら真姫ちゃんのサポートが的確だからねぇ」

穂乃果「ついつい気が緩んじゃうよ」

真姫『そうね。さっき言ったことも忘れるぐらい抜けてるようね』

穂乃果「あっ!」

真姫『あなたが戻ってくるのを楽しみに待っているわ』


穂乃果「ひぃっ! ごめんなさーい!」

245: 2015/05/06(水) 00:50:41.33 ID:UGhXSHxI.net
真姫「穂乃果、そろそろお薬の時間よ」

穂乃果「はーい」トテトテ

真姫「最近身体の調子はどう?」

穂乃果「んぐ……痛いところもないし元気だよ」

穂乃果「真姫ちゃんがいつも面倒みてくれてるし!」ダキ

真姫「わ、私は穂乃果が作戦中に倒れて報酬がなくなってしまうのが困るだけよ///」


穂乃果「えへへ……真姫ちゃんのほうは?」

真姫「AMSのほうは穂乃果に次ぐ高さだけど、最近はジェラルドも伸びてきてるわね」

穂乃果「あぁ、あの人真面目だもんね……」

真姫「まぁ、私が穂乃果以外に負けることなんてないけど」

穂乃果「うんうん、穂乃果がズルしなきゃ真姫ちゃんはすっごく優秀だもんね」

真姫「ズルって、あなたは……」ピピピ

穂乃果「あ、来たみたいだよ」

246: 2015/05/06(水) 00:52:31.19 ID:UGhXSHxI.net
    ウィーン

「こんにちは」

穂乃果「いらっしゃい、あがってあがって」

真姫「わざわざ来てもらって悪いわね、エリー」

絵里「今のところあなたたちと海未たちが頑張ってくれてるから私の出番は少ないわね」

真姫「今のオーメルは様子はどう?」

絵里「BFFが崩壊して、インテリオルもこの戦争から手を引くみたいだから社内は戦勝気分よ」

絵里「どうやら戦争に勝ったあとのことも考えているようね」

真姫「気が早い連中ね。全部オトノキや私たちに押し付けているくせに」

絵里「そうね。それに敵の報復の矛先までオトノキに向いている。この間のウルスラグナの件は私もかなり焦ったわ」


穂乃果「結局あのメールは誰が送ってくれたんだろうね」

絵里「恐らくだけど、レオーネの霞スミカでしょうね」

穂乃果「スミちゃん?」

絵里「穂乃果も知ってるのね」

穂乃果「うん、キレイでかっこいいよね」

真姫「ふうん……」

247: 2015/05/06(水) 00:54:30.71 ID:UGhXSHxI.net
絵里「もともと彼女はこの戦争には反対気味だったし、それににことはそれなりに仲が良かったみたい」

穂乃果「にこちゃんと?」

絵里「にこがオトノキ出身だからメリエスがオトノキにウルスラグナを仕向けたことを知らせてくれたんでしょう」

穂乃果「そっか、スミちゃんっていい人なんだね」

真姫「そうやってよくわかりもしない内に人を判断するのはよくないわ」

絵里「真姫の言う通りね。本当に霞スミカが情報を提供してくれたとして、私の憶測通りの意図じゃないかもしれない」

絵里「もしかしたら別のなんらかの意図があってオトノキを陥れるためである可能性も否定できないわ」

穂乃果「そうかなぁ。普通にいい人そうなんだけどなぁ……」

絵里「まあ、穂乃果はそれでいいのかもしれないわね」

真姫「そうね。こんな時代だもの。穂乃果のようなお気楽な人がひとりぐらいいたほうがちょうどいいわよ」

穂乃果「あ、二人で穂乃果のことバカにしたでしょ!」


穂乃果「それで絵里ちゃん、今のところどんな感じ?」

絵里「順調と行ったところね。私もオーメルに所属している以上大きな動きは出来ないけど少しでも海未たちを誘導できると思うわ」

穂乃果「そうなんだ。それとさ、エーレンベルクは本当に壊してよかったの?」

絵里「今の情勢を鑑みるにまずはこの戦争をどうにかするのが先決よ」

絵里「衛生破壊砲ならツテもありそうだし、それはまだ先の話」

穂乃果「そっか。それで穂乃果たちはどうすればいい?」

絵里「今まで通り海未とことりをマークしてサポートしてあげて」

絵里「海未は強くなったけどどこか危なっかしいところがあるし」

真姫「まあそれは穂乃果も同じだけどね」

248: 2015/05/06(水) 00:56:52.88 ID:UGhXSHxI.net
絵里「ただ、凛と花陽が問題ね。あの二人は思っていたよりも企業に縛られている」

穂乃果「でも二人がいる企業って……」

絵里「あそこも一枚岩じゃないってことね。恐らくまだなんらかの動きがあるはずよ」

絵里「私は表立って動けないから結局穂乃果に頼ることになっちゃうんだけど……」

穂乃果「ううん、私にできることがあるならなんでもやるよ」

絵里「ふふ、頼りになるオペレーターさんもいるものね」チラ

真姫「ち、ちょっとエリー!」

穂乃果「えへへ……///」



絵里「とにかく今はあの二人が心配なの。お願い、二人を救ってあげて」

穂乃果「任せてよ!」

真姫「私の親友ですもの。絶対に救ってみせるわ」


絵里「それじゃあまたね」

穂乃果「もう帰っちゃうの?」

絵里「あまり私がここにいるのを見られると後々面倒くさいことになるのよ」

絵里「次に会うときにいい結果を期待してるわね」ウィーン

249: 2015/05/06(水) 00:58:08.36 ID:UGhXSHxI.net
穂乃果「行っちゃった……」

真姫「ああは言ってたけどエリーも出撃は少ないだろうけど
   今じゃオーメルのナンバー1リンクスなんだしそれなりに忙しいはずよ」

穂乃果「早くまたみんなで暮らせる日がくるといいね」

真姫「そうね。その為にはたくさんやることがあるわよ」

穂乃果「うん、穂乃果頑張っちゃう! ファイトだよっ!」

真姫「ええ、頑張りましょう」





真姫(みんなで過ごす毎日か……)

真姫(この戦争が終わっても恐らく私たちが望む平和なんてやってこない)

真姫(穂乃果とエリーが描く未来だけが、私たちの希望……)

真姫(凛、花陽……待っててね……)





真姫(それよりも……海未は大丈夫かしら……)

254: 2015/05/06(水) 13:13:31.03 ID:UGhXSHxI.net
海未(戦って……戦って……そして誰かに恨まれて……)

海未(この戦争に勝てば本当に平和が訪れるのでしょうか……)

海未(パックスが崩壊した今、世界はまた混乱に陥ろうとしています……)

海未(オトノキはオーメルに与していますが、オーメル陣営は果たしてオトノキの味方なんでしょうか……)

海未(それも考えられません……オトノキに、私たちに味方なんて存在しないのかもしれません)

海未(なら敵とは? 私たちの敵は一体誰なんでしょう……)

海未(敵も味方もはっきりしないこんな世界で私は……誰と戦っているんでしょうね……)



海未(ことり……あなただけは私の味方になってくれますか?)

海未(私があなたの味方であるように……)

海未(そうです、私にとってことりさえ傍にいてくれたらそれでいい)

海未(ならば迷うことはありません)

海未(オトノキ……いえ、ことり以外のすべてが私の敵です……!)

255: 2015/05/06(水) 13:14:34.19 ID:UGhXSHxI.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『旧BFF社のコジマエネルギー施設スフィアで、抵抗を続ける守備部隊、サイレント・アバランチを排除してください』

ことり『BFF社が威信をかけて開発したスフィアは同種の施設の中で最大の規模を誇る最先端コジマテクノロジーの結晶です』

ことり『過去多くの企業がこの施設の奪取を目論見ましたが、すべてサイレント・アバランチによって退けられています』

ことり『彼らの機体は氷原戦闘に特化したノーマルで、スナイパーキャノンによる遠距離攻撃を得意とします』

ことり『降雪にまぎれた狙撃に注意してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』



ことり『海未ちゃん、快復して間もないけど調子はどう?』

海未「特に問題はありませんよ。心配してくださってありがとうございます」

ことり『そんな、お礼を言われることなんてないよ』

ことり『だけどあんまり無理しないでね』

海未「はい! では参ります」ドヒャア

256: 2015/05/06(水) 13:15:50.45 ID:UGhXSHxI.net
ことり(最近の海未ちゃん、なんだかことりにすごく優しくしてくれてる気がする……)

ことり(もともと海未ちゃんは優しい人だったけど、なんだか過剰に私を気にかけてくれて)

ことり(あの巨大兵器の一件以降、目覚めてからずっとなにか思い詰めたような感じだったし……)

ことり(海未ちゃん……いつもの海未ちゃんだよね……大丈夫だよね……?)


ことり『作戦目標、サイレント・アバランチ、遠距離からの狙撃を十分警戒して』

海未「ECMが撒かれていますね。レーダーが役に立ちません」

海未「とはいえ、索敵はいつもことり任せでしたね」

ことり『こっちのほうはECM耐性が高いからなんとか位置は捕捉できるよ』

海未「では今回もことりに頼るしかありませんね。お手数をかけます」

ことり『ううん、海未ちゃんのサポートは私の役目だから。それにしても……』

ことり『BFFが崩壊した今、独立した抵抗になんの意味があるのかな』

海未「それはわかりません。ですが、いずれは彼らも世界の流れに飲みこまれてしまう」

海未「もしかしたら、この抵抗はその表れなのかもしれません」

海未「私も同じ……」

ことり『海未ちゃん……?』ピピピ

257: 2015/05/06(水) 13:16:45.41 ID:UGhXSHxI.net
ことり『敵部隊の狙撃範囲にはいったよ! 集中して』

海未「了解……」



   ドゴォ


海未「見えました!」ドヒャア

海未「さすがはBFFと言ったところでしょうか。ノーマルと言って侮れませんね」

ことり『かなり正確な狙撃をしてくるね。確かにこれじゃネクストでも敵わないかもしれない』

海未「ええ、ですが……」ドゴォ



海未「私の射程圏内でもあるんです」ドゴォ


ことり『海未ちゃん、そのままそこの左手の集団を殲滅して』

海未「了解しました!」ドゴォ ドゴォ



ことり『敵機体の撃破を確認、次は正面を叩いて』

海未「……」ドヒャア

258: 2015/05/06(水) 13:17:33.42 ID:UGhXSHxI.net
海未「さっきのグループは壁に阻まれて孤立した状態でしたが、ここは2つのグループが並んでいるので弾幕が激しいですね」ドヒャア

ことり『被弾すると衝撃で固められちゃうから回避を優先して!』

海未「大丈夫です!」ドヒャア ドゴォ


ことり『回避と狙撃を同時に……それに前よりも精度があがってる……』


海未「……」ドゴォ ドヒャア


ことり『海未ちゃん……また強くなってる……』

ことり(だけどどうして……海未ちゃんが強くなるたびに不安になっちゃうんだろう……)


海未「残りはあの集団だけですね」ドヒャア

海未「接敵してしまえばスナイパーキャノンも文字通り無用の長物です」ズバァ


ことり『敵機体撃破、残り3だよ』

海未「了解です!」ズバァ

259: 2015/05/06(水) 13:18:41.38 ID:UGhXSHxI.net
海未「サイレント・アバランチも近づいてしまえば只のノーマルですね」ズバァ

ことり『敵機体残り1』

海未「はぁっ!」ズバァ


ことり『サイレント・アバランチの撃破を確認……』ピピピ



ことり『待って! 敵増援を確認……これは、ネクスト2機!?』

海未「ネクスト2機を同時に相手ですか……ですがやるしかありません」

ことり『機体照合出来たよ。旧BFFへリックスⅠ、およびへリックスⅡです』



ことり『搭乗リンクスは…………そんな!?』



???『あれが海未ちゃんの機体だね……凛ちゃん援護をお願いできる?』

???『了解にゃ! でも無理しちゃダメだよ、かよちん』


ことり『かよちゃんに凛ちゃん……』

海未「……」

260: 2015/05/06(水) 13:20:53.44 ID:UGhXSHxI.net
ことり『かよちゃん、凛ちゃん! 二人ともBFFは壊滅したんだよ、戦う必要なんてないよ!』

花陽『二人とも久しぶりだね。こんな再会じゃなかったらゆっくりお話したかったんだけどな……』

凛『えへへ……だけど二人に会えて嬉しいにゃ』

ことり『だったら戦うのをやめて! オトノキに帰ってきてよ!』

花陽『ごめんねことりちゃん、それは出来ないんだ……』

凛『BFFは表向き崩壊したけどあの人がいるかぎり完全に消えることはないのかも』

ことり『あの人って……?』


花陽『王小龍だよ。あの人はまだなにか裏で画策してるみたい』

凛『それに蹂躙兵器をオトノキに仕向けたのもあの人の指示なんだ……』

ことり『BFFがインテリオルにそんな指示ができるの?』

花陽『あの人の恐ろしさはリンクスとしてよりもその政治力だよ』

花陽『いろんな企業にあの人の息がかかった人がいる』

凛『凛とかよちんもオトノキを攻撃するって脅されてこの作戦に参加させられたんだ……』

ことり『なら余計に戦う理由なんてないよ! 凛ちゃんもかよちゃんも私たちと一緒にオトノキを守ろう?』


花陽『言ったでしょう? 色んな企業にあの人の手先がいるって』

凛『凛はあんまり賢くないけど、それぐらいわかるよ』

凛『世界の全部を敵にまわしてオトノキを護るなんて出来っこない……』

ことり『だけど……』

海未「……」ガシャン

261: 2015/05/06(水) 13:21:39.03 ID:UGhXSHxI.net
ことり『海未ちゃん……?』

海未「ことり……もう話すことはありません……」

海未「凛も花陽も自分の信念でここにいるんです」

ことり『違う! あの二人は王小龍って人に脅されて――』

海未「違いません。いえ、だからこそです……」

海未「オトノキを守る為……それが私たちの唯一共通すること……」

ことり『だけど……』

海未「私たちはオトノキ、彼女たちはBFFです。ならば私たちの敵です」

ことり『海未ちゃん、本気で言ってるの!?』


海未「はい」ドヒャア


花陽『来るよ!』ドヒャア

凛『うん!』

262: 2015/05/06(水) 13:22:49.11 ID:UGhXSHxI.net
花陽『凛ちゃん、さっき言ったとおり援護をお願い!』パスパス

凛『了解! だけど海未ちゃんってすごいね……』ドヒャア

凛(凛は無理矢理戦わされてるって思ってるけど、海未ちゃんは自分の意思で凛たちと戦うんだ……)

凛(すごい……けど……哀しいな……)


海未「BFFの機体なだけあって命中精度は高いですね」

海未「いえ、単に花陽の腕がいいということでしょうか」ドゴォ

花陽『わっ!』ドヒャア

花陽『ロックされてないのにいきなり撃ってくるからタイミングがわからないよ……』パスパス


海未「緑色の光……? 凛のほうはコジマキャノンを積んでいますね……」

海未「花陽は中距離を維持した引き撃ちですか……」

海未「なるほど……理に適っています……ですが……」ドヒャア

花陽『きた!?』ドヒャア


海未「逃がしませんよ」ズバァ

花陽『あぅっ……!』


ことり『海未ちゃん……やめて……』

263: 2015/05/06(水) 13:23:59.23 ID:UGhXSHxI.net
花陽『さすがはメアリーさんを圧倒しただけはあるね……強い……』

花陽『凛ちゃんが牽制してくれているけど、海未ちゃんは私たちを同時に相手にしている……』

花陽『二人掛かりでどうにか戦えるレベルだよ』ガァァン


花陽『痛いっ……!』


ことり『かよちゃんっ! 海未ちゃんもうやめて!』

海未「……」ズバァ

花陽『くっ!』ドヒャア

   ドゴォ

花陽『うぁぁぁっ!』バチバチ


凛『まずいにゃ! 完全に読まれてる……かよちん下がって!』

凛『凛がやる。かよちんは見てて』ドヒャア

花陽『うん……』ドヒャア


海未「……甘いです」ドゴォ


凛『ひっ!?』キィィィン

凛『あそこから……見えてるの……?』

264: 2015/05/06(水) 13:25:26.56 ID:UGhXSHxI.net
海未「……」ドゴォ

凛『がぁっ!』ガァァァァン


海未「……」ドゴォ ドゴォ


凛『あああああああっ!』バチバチ


凛『痛いよ……』


ことり『凛ちゃんっ! 海未ちゃん、もういいでしょ!? 二人とももう戦えないよ!』


海未「……」ドゴォ ドゴォ


凛『がはっ!』バチチチチ




凛『どんなに避けても全部読まれてる……』

凛『ロックもなしにあんな遠くから……勝てるわけないにゃ……』


花陽『凛ちゃん下がって!』


海未「無駄です……」ドゴォ


凛『あぁ……かよちん……やっぱり海未ちゃんは強いよ……』

凛『逃げて……』ガク

265: 2015/05/06(水) 13:26:49.25 ID:UGhXSHxI.net
ことり『凛ちゃんっ!』


花陽『凛ちゃんっ!……うそ……?』


海未「……」ズバァ ドゴォ

花陽『うぅ……』ドヒャア パスパス ズゴォ


海未「……」ドゴォ



花陽『やっぱり……ダメか……』


花陽『そうだよね……』



花陽『凛ちゃんが敵わないのに……』


花陽『凛ちゃん……』ガク


ことり『かよちゃんっ!』


海未「……終わりです」ガシャン


ことり『もうやめてよっ!』

266: 2015/05/06(水) 13:27:38.06 ID:UGhXSHxI.net
海未「ことり……?」

ことり『海未ちゃん、どうしちゃったの……?』

ことり『相手はかよちゃんと凛ちゃんだったんだよ?』

海未「ですが――」


ことり『ですがじゃないよっ! 仲間だったんだよ』

ことり『海未ちゃんはあの二人の友達じゃないのっ!?』


海未「とも……だち……」


ことり『友達と戦うなんて、絶対におかしい!』

ことり『どんな理由があったって間違ってるよ!』

ことり『っ――!』ウィーン


海未「ことり!? なにを!?」

ことり『今からそっちに行って海未ちゃんを引っ叩くの!』

ことり『ことりが目を覚まさせてあげる!』

海未「いけません! そんなことをすればコジマ汚染がっ!」


ことり『知らない!』

海未「っ――」ガクン

267: 2015/05/06(水) 13:28:14.04 ID:UGhXSHxI.net
ことり(濃度は高くないけど、戦闘の直後だし凛ちゃんのコジマキャノンの所為かな)

ことり(吐き気がすごい……)ウプ

ことり(海未ちゃんはこんな中で戦ってるんだね……)

ことり(辛かったよね……苦しかったよね……)

ことり(ことりが今助けてあげるから……)フラ


海未「ことりっ!」ダキ


ことり「海未ちゃん……」

海未「氏ぬ気ですかっ! こんな無茶をして……」



海未(とはいえ慣れているとはいっても私も危険ですね)

海未「輸送機に運びます」


ことり「海未ちゃん……かよちゃんたちが……」

268: 2015/05/06(水) 13:29:26.77 ID:UGhXSHxI.net
    ウィーン

海未「大丈夫ですか……?」

ことり「うん……だけど海未ちゃん……」





海未「オトノキが襲われて、すべてが敵だと考えていました」

海未「あなたさえ護れたらそれでいいと……」

海未「私は間違っていたのでしょうか……」

ことり「わからない……だけど友達と戦うのは間違ってるよ」

ことり「それだけははっきりわかる」

ことり「だってね……」ギュ


海未「ことり?」


ことり「海未ちゃんの手がこんなに震えてるんだもん……」

海未「はい……」


海未「私は……花陽と凛を……」ガク

ことり「……帰ろう」


    ヴゥゥゥンゴォォォォ












     フォォォォン……

273: 2015/05/07(木) 11:51:22.08 ID:Psc4/xvO.net
ことり(あれからずっと海未ちゃんは塞ぎこんでいる)

ことり(友達を手にかけてしまったんだもん。当たり前だよね……)

ことり(海未ちゃんの様子がおかしいことにもっと早く気付いていたならこんなことには……)

ことり(ううん、こんな戦争をしているんだもん……)

ことり(海未ちゃんの心が追い詰められてしまうのは無理ないよ……)

ことり(それなのに私はなにもできないなんて……)

ことり(いつも海未ちゃんに守ってもらってばかりで私は……)


     ウィーン

ことり「海未ちゃん……」

海未「ことり……眠れないんです……」

海未「夢ににこたち4人が出てきて……」

海未「にこたちが氏んだのは私の所為だって……」


海未「私はそれを否定できなくて……」

海未「凛と花陽はもちろん、希もにこも私がもっと強ければ救えたのかもしれない……」

海未「すべて私の責任です……」

274: 2015/05/07(木) 11:52:36.74 ID:Psc4/xvO.net
ことり「そんなことない!」

ことり「海未ちゃんだってたくさん傷ついてるんだもん!」

ことり「仕方なかったんだよ……こんな世界だもの……」

海未「仕方のないことで済ましていいのでしょうか……」

ことり「え?」

海未「私が言えることではありません。それはわかっています」

海未「私もこの戦争で戦いながら心の中で仕方がないと言い訳していました」

海未「ですが、友達を救えなかったことに言い訳していいのでしょうか……」


海未「私が今更赦されるべきではないこと、それもわかっています」

海未「それでももっと私が強ければ……」


ことり「海未ちゃん……」


ことり(正しいことなんてあるはずがない)

ことり(海未ちゃんはずっと戦い続けてきたんだからそれを誰かに責められる謂れはない)

275: 2015/05/07(木) 11:53:24.91 ID:Psc4/xvO.net
ことり(だけど海未ちゃん自身が赦せないんだろう……)

ことり(私が海未ちゃんのすべてを赦してあげたい)

ことり(それで海未ちゃんの心が少しでも救われるなら……)ギュ


海未「ことり?」

ことり「海未ちゃんは間違ってないよ」

ことり「ことりをずっと守ってくれてたんだもん……」

ことり「私はそれだけで海未ちゃんはすごいって思う」

ことり「だから独りだけで抱え込まないで」

ことり「私も一緒にいるから……私にもわけてほしい……」

海未「ですが……」

ことり「……」

海未「はい……ありがとうございます、ことり……」ギュ


ことり(穂乃果ちゃんならもっと元気づけてあげられるのかな……)

ことり(穂乃果ちゃん……)

276: 2015/05/07(木) 11:55:14.29 ID:Psc4/xvO.net
真姫「これで下準備は終了、後は戦争を終わらせるだけね」

穂乃果「うん、長かったよ。もうすぐなんだね」

真姫「ええ、レイレナードもすべての戦力を投入している」

真姫「オーメル陣営にとっては脅威だけど、逆にこれをすべて叩けばレイレナードは終わりね」

穂乃果「私と海未ちゃんで全部終わらせるよ」

真姫「海未……凛たちとあんなことになって大丈夫かしら……」

穂乃果「あれは仕方なかったからね。だけど海未ちゃんは本当に強い子だよ」

穂乃果「産まれる前からずっと一緒に育ってきた私にはわかる」

穂乃果「海未ちゃんは強い。この戦争で戦っている誰よりもね」

真姫「そうよね、こんなぐーたらな穂乃果のお世話を小さい頃からしてきたんだもの」

穂乃果「もう、せっかく穂乃果が良いこと言ってるのに……」

真姫「フン……」プイ

真姫(なにが産まれる前から一緒よ。今一緒にいるのは私なのに)ピピピ

真姫「依頼がきたわ。ふうん、今度は共闘になるみたいよ」

穂乃果「一緒に戦えるの?」

真姫「そうみたいね。海未のほうにも同じ依頼がいっているはずだし」

穂乃果「そっかぁ、楽しみだなぁ」

真姫(結局これは完成しちゃったわけね……)

真姫(まあこの二人なら問題ないでしょう)

277: 2015/05/07(木) 12:01:51.07 ID:Psc4/xvO.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『アクアビット社の新型巨大兵器、ソルディオスがアジア圏最大のコロニー、シングに接近しています』

ことり『これを迎撃します』

ことり『ソルディオスは元GAEハイダ工廠で開発されていた巨大兵器の完成形と言われ』

ことり『既に相当数の同型機の存在が確認されており』

ことり『周辺のコロニーを蹂躙しつつシングに向けて集結しているようです』

ことり『コロニー・アスピナも同様の依頼を受けネクスト傭兵、ホワイト・グリントを派遣しました』

ことり『可能であれば連携して対処してください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』

ことり『勝てるよ、海未ちゃんと穂乃果ちゃんなら』


海未「穂乃果と共闘になるんですね」

ことり「うん、もうそろそろ来るはずだけど……」

ことり(海未ちゃん、ちょっとだけだけど元気になったみたい)

ことり(穂乃果ちゃんに会えるならこの作戦はちょうど良かったのかもしれない)

海未「遅いですね……」イライラ

278: 2015/05/07(木) 12:02:37.03 ID:Psc4/xvO.net
穂乃果『おまたせー!』ゴォォォ

海未「遅いです! 相変わらずですが任務にまで遅刻しないでください!」

穂乃果『ごめんごめん。海未ちゃん久しぶりだね』

海未「はい、お久しぶりです」

穂乃果『ずっと会えなかったけど元気だった?』

海未「ええ……」

穂乃果『あんまり元気ないみたいだね』

海未「まあ……はい……」


穂乃果『うん……でも大丈夫だよ』

海未「穂乃果?」

穂乃果『大丈夫! 海未ちゃんなら大丈夫だから!』

海未「穂乃果……」

真姫『ちょっと、私のことも忘れてもらっちゃ困るんだけど?』

海未「真姫もお久しぶりです」

真姫『再会に喜ぶのはいいけどあんまりイチャイチャしないでよね』

海未「い、イチャイチャなんてしてません!」

279: 2015/05/07(木) 12:09:43.22 ID:Psc4/xvO.net
ことり(穂乃果ちゃんたちに会って少し明るくなれたかな)

ことり(ことりが元気にしてあげたかったけど、だけどありがとう穂乃果ちゃん)ピピピ

ことり『きたよ!』

真姫『ソルディオス、確認したわ! 2方向からシング方面に進行中よ』

ことり『二人で西と東で受け持って迎撃して』

海未「了解しました」

穂乃果『それじゃあいっくよ~!』ドヒャア



穂乃果『あいむしんか~とぅ~とぅ~とぅ~とぅとぅ~♪』

海未「なんですかその唄?」

穂乃果『真姫ちゃんが新しく作った歌だよ』

海未「いい歌ですね……」

穂乃果『歌詞が最初しか出来てないから、今度海未ちゃんに作詞してほしいな』

海未「作詞ですか……懐かしいですね……」

海未「その曲にあった詞を考えておきます」ピ



海未「これはハイダで破壊した巨大兵器ですね。完成していたのですか」

ことり『動いてるともっとカワイイよね』

海未「やはりことりのセンスは理解できません……」ゴォォォ



真姫『ソルディオス、プライマルアーマーを展開してるわ。それに外殻も厚い』

ことり『あの防壁の上からじゃ攻撃は通りそうにないね』ピピピ

真姫『高エネルギー反応! ソルディオスの防壁が開くわ!』

真姫『キャノン発射前にむき出しの砲身を攻撃して! あの眼の部分よ!』

海未「了解」ドゴォ

280: 2015/05/07(木) 12:11:38.38 ID:Psc4/xvO.net
穂乃果『ほんとにノーロックで狙撃してるよ……すごいね……』

真姫『感心している場合? 穂乃果のほうもコジマキャノンのチャージに入ってるわよ!』

穂乃果『あ、ほんとだ!』パスパス シュバァ

穂乃果『うーん……』ピロ

真姫『ちゃんと狙いなさいよ!』

穂乃果『狙ってるんだけどね、砲門が開いた途端に他の熱源が出始めて……デコイかな』

真姫『砲門にロックが固定出来ないってこと?』

穂乃果『うん……あっ』ドヒャア


    フォォォォン


真姫『なんて高密度のコジマキャノンなの……あんなの掠っただけでもアウトじゃない……』

穂乃果『発射される前に撃破しないといけないね。よーし……』

穂乃果『海未ちゃん、どっちが先に全部壊せるか競争ね』

海未「は? 遊びじゃないんですよ!」ドゴォ

穂乃果『海未ちゃん負けるのが恐いんだぁ?』

海未「なっ……? いいでしょう、受けて立ちます!」ドゴォ

穂乃果『負けたら報酬の半分は勝ったほうにあげるってことで』

281: 2015/05/07(木) 12:12:37.41 ID:Psc4/xvO.net
真姫『ちょっと穂乃果!?』

海未「ことり、今夜は美味しいものでも食べにいきましょうか」

穂乃果『気がはやいねぇ海未ちゃんは。そんなんじゃ勝てるものも勝てないよ?』

海未「私が穂乃果に負けるなどありえません」

真姫『穂乃果……そんな約束して、負けたらわかってるんでしょうね……』

穂乃果『うっ……大丈夫だよ……』

穂乃果『じゃあ勝負開始だよ』シュバァ

穂乃果『集中して真ん中で捉えれば……』ピ


      ドゴォ


穂乃果『ふぇ……?』

ことり『海未ちゃん、ソルディオス撃破だよ』

海未「ふっ……」ニヤ

穂乃果『むむむ……』シュバァ パスパス

真姫『こちらも1機撃破! ん?』ピピピ

ことり『……ソルディオスが爆発する? 二人とも離れて!』

    ズガァァァァン


真姫『これは……コジマ爆発……?』

真姫『爆発圏内のプライマルアーマー、一時的に無効化されるわ。注意して!』

282: 2015/05/07(木) 12:14:05.18 ID:Psc4/xvO.net
穂乃果『プライマルアーマーがあってもあのコジマキャノンにあたればただじゃすまないけどね』

真姫『返事は?』

穂乃果『り、了解……それにしても穂乃果から勝負しようって言ったけど海未ちゃんの狙撃は速過ぎるよ』

真姫『今更勝てないって言っても赦さないわよ』

穂乃果『は、はい……』




海未「敵の動きも遅いですし、これなら楽勝ですね。フフ」ドゴォ


穂乃果『もうめんどくさくなっちゃった。これで――!』ズバァ


真姫『ソルディオス撃破、爆発する。離れて!』


海未「なっ!?」

海未「ずるいですよ穂乃果!」

穂乃果『勝負にずるいもないよ。勝てばいいの』ズバァ

海未「私に本気を出させるつもりですね……」ガシャン

海未「いいでしょう……」ドヒャア

    ズバァ

穂乃果『海未ちゃんずるい!』

海未「自分からはじめたんでしょう!」

穂乃果『海未ちゃんは剣道もやってたんだからブレード使うのは禁止だよ!』

海未「知りません。それなら狙撃も同じではありませんか」

穂乃果『スナイパーライフルは連射できないもん!』

海未「まったく……」フフ


ことり(よかった……海未ちゃん楽しそう……)

283: 2015/05/07(木) 12:15:02.85 ID:Psc4/xvO.net
ことり『ソルディオス撃破! 海未ちゃんのほうはこれで終わりだよ』

穂乃果『ああっ!?』

真姫『ほ~の~かぁ~!?』


海未「どうやら私の勝ちのようですね」

海未「同じブレードを使っているのですから条件は同じはずです」


穂乃果『うぅ……』ズバァ


真姫『ソルディオスすべて撃破……負けたけど……』

穂乃果『真姫ちゃぁん……』

真姫『……』

穂乃果『む、無視しないで……』

真姫『先に帰るからあなたはネクストで帰ってきなさい』

真姫『それじゃあね、海未、ことり、また会いましょう』

海未「ええ、また必ず」

ことり『またね』

穂乃果『うわあああん! 真姫ちゃん、置いてかないで!』ブゥゥゥンフォォォォン

284: 2015/05/07(木) 12:19:26.16 ID:Psc4/xvO.net
海未「まったく……慌しいですね」

海未「久しぶりに会ったというのに、不思議とそんな感じがしませんでした」

ことり『うん、穂乃果ちゃんはずっと変わらないね』

海未「はい……」

ことり『海未ちゃん、大丈夫?』

海未「私は凛と花陽に赦されないことをしました……」

海未「これからどう償っていけばいいのか、今の私にはわかりません」

海未「まずはこの戦争を終わらせて、それから考えていこうと思います」

ことり『うん……ことりも一緒に考える』

ことり『だから海未ちゃんは生きないとダメ……』

ことり『あの二人のためを思うなら、それににこちゃんや希ちゃんのためにも……』


海未「はい。必ずこの戦争を終わらせて見せます」

海未「ことり、ありがとうございました」

ことり『じゃあ帰ろう』

海未「はい、約束通り美味しいものでも食べに行きましょう」ブゥゥゥンフォォォォン




海未(I'm Thinkerですか……)

288: 2015/05/07(木) 22:43:14.30 ID:Psc4/xvO.net
思いのほかそれなりに元ネタをご存知ない方が読んでいただいてるようなので宣伝を少し・・・

元ネタはアーマードコア4というフロムソフトウェアのロボゲーです
主人公の設定はこのスレの海未ちゃんとほぼ同じですが原作はもっと渋い設定があります
PS3 箱○で1500円ぐらいで売ってるので興味があればオススメです
買って損はしないと思います

289: 2015/05/07(木) 22:45:26.79 ID:Psc4/xvO.net
海未「久しぶりにアセンブルをしてみようかと思いましたが」ポチポチ

海未「さすがに今さら他を弄っても違和感しかありませんね……」

ことり「新しいパーツも買ってみる?」

海未「サンプルデータを色々試してはいるのですがどれももうひとつですね……」

ことり「じゃあメモリを買ってみるとか?」

海未「メモリ……ですか……?」

ことり「FRSメモリ、専用制御システムのメモリチップだよ」

海未「そんなものがあるんですか」

ことり「結構高いものなんだけどね、海未ちゃんほとんどパーツを買わないし」

ことり「それに武装もブレードとスナイパーライフルだけで弾薬費もかからないからね」

ことり「ネクストにかける予算がかなり余ってるんだよ」

海未「なるほど、それでどれぐらい購入出来そうなんですか?」

ことり「ちょっと待ってね……えっと、200ぐらいは買えそうだよ」

海未「それでどれぐらいの効果が出るのかわかりませんが……」

ことり「とりあえずヒデコちゃんも呼んでシミュレートしてみよう」

海未「はい」

290: 2015/05/07(木) 22:46:43.75 ID:Psc4/xvO.net
ヒデコ「メモリ買うことにしたんだ」

ことり「とりあえず200は買えるからどうしようかと思って」

海未「あの、すみません……まだよく分かっていないのですがメモリを使うとどうなるのでしょうか……」

ヒデコ「各パーツにはそれぞれパラメーターがあるでしょ?」

海未「はい」

ヒデコ「例えば脚部なら移動性能や旋回性能」

ヒデコ「腕部なら運動性能や照準精度など、それらのパラメータを個別に上げることができるんだよ」

海未「そんなものがあるんですか!?」

ことり「まあ誰でも買えるわけじゃないし、値段もそれだけ高いんだけどね」

ことり「海未ちゃんは音ノ木坂の傭兵として今じゃ名実ともにトップクラスだからオーメル側の企業が売ってくれるの」

海未「私はそんな……ですがそれはありがたい話です」

ヒデコ「もう発注はしてあるの?」

ことり「うん。だから届くまでメモリの振り分けをシミュレートしてみようと思って」

ヒデコ「オッケー。じゃあ海未ちゃん、色々質問するから答えてね」

海未「は、はぁ……」

291: 2015/05/07(木) 22:48:28.90 ID:Psc4/xvO.net
ヒデコ「まずは近距離戦でのことね、海未ちゃんのスタイル的に敵に張り付いて戦うことが多いよね」

海未「そうですね。ブレードホーミングも使いますし、振り切られないのに必氏です」

ヒデコ「うん、ブレードで斬った後のことだけど追撃の際に旋回することになるよね」

ヒデコ「そういう時って窮屈に感じることはない?」

海未「一応相手の動きを読むようにしてはいますが、旋回が速くなればもっと楽になりますね」

ヒデコ「ふむふむ……」カキカキ

ヒデコ「じゃあ今度は狙撃のほうね。長距離狙撃って当たってる?」

海未「正直狙ったところに飛ばないことも少なくありません」

海未「500m以下なら必中出来なくはありませんがそれ以上になると自信がありませんね」

ヒデコ「500m以下をノーロックで必中って……ネクスト戦だよね……?」

海未「はい」

ヒデコ「……」

ヒデコ「あ、アリーヤはどちらかといえば近距離用のフレームだから長距離狙撃には向いてないんだよ」

海未「そうだったんですか? しかし今更ですね……」

ことり「最初はこのフレームしかなかったからね」

292: 2015/05/07(木) 22:49:47.82 ID:Psc4/xvO.net
ヒデコ「パーツを変える予定もないならこれもメモリでなんとかしてみよう」

海未「可能なんですか?」

ヒデコ「BFFのように狙撃特化にするのは無理だけど、狙撃も十分可能なパーツには出来ると思うよ」

海未「それはありがたいですね」

ヒデコ「正直海未ちゃんの生身のスペックが高すぎて機体の弄るところがあんまりないね」

ヒデコ「あと移動制御や速度なんかはどう?」

海未「さきほど申した旋回性能以外は特に問題ありませんよ」

海未「これ以上速くなれば射撃が出来ません……」

ヒデコ「なるほどね。確かに海未ちゃんの動きは速いもんね」カキカキ

ことり「どんな感じになりそう?」

ヒデコ「とりあえずだけど、脚部の旋回性能と腕部の射撃安定、それにエネルギー適性も上げてみよう」

海未「エネルギー適性ですか?」

ヒデコ「海未ちゃんの主兵装のレーザーブレードの威力を上げようと思って」

ヒデコ「アリーヤは射撃安定が高くないけどエネルギー適性は高いからそこをチューンしてあげればかなり火力もあがるよ」

海未「それはもの凄く助かります!」

ヒデコ「じゃあとりあえずシミュレーションやってみよう!」

293: 2015/05/07(木) 22:51:09.08 ID:Psc4/xvO.net
      シミュレーションチュウ


海未「こ、これは……」

ことり「どうだった?」

海未「今までの戦闘が過去になるレベルでした……」

海未「特に旋回性が上がったのは大きいです!」

海未「これならどんな相手でも振り切られることはないでしょう」

海未「それに狙撃の精度も随分上がりました」

海未「800mほどなら狙った通りあてられそうです」

ヒデコ「800mって……普通は照準精度も関係してくるはずなんだけど海未ちゃんには関係ないよね……」

ことり「だけどこれでもメモリが50ぐらい余っちゃうんだよね」

ヒデコ「それならコアの整波性能に振ってみようか」

ヒデコ「それで防御性能も上がるだろうし」

ことり「そうだね、アリーヤはもともとプライマルアーマーに頼った機体だしそれがいいかも」

ヒデコ「じゃあメモリチップが届いたらすぐに作業に入るね」

海未「よろしくお願いします」

294: 2015/05/07(木) 22:52:17.01 ID:Psc4/xvO.net
ことり「これで随分戦闘が楽になるね」

海未「はい、ことりにはいつも心配をかけていますからね」

海未「私が強くなれた分だけあなたを守れることに繋がります」

ことり「海未ちゃん……」


ことり(海未ちゃんはやっぱり強いな……)

ことり(本当はまだ苦しいはずなのに、私は自分の感情をぶつけるだけで……)

ことり(なにも出来ないのに、友達と戦うことは間違ってるなんて……)

ことり(あのときは偉そうに言ったけれど、じゃあ私にあの時どうにか出来たかなんて聞かれたらどうすることも出来なかった)

ことり(海未ちゃんがあの時の選択に悩まないことなんてあるはずがないのに……)

ことり(そんな海未ちゃんに守られているんだから、私がしっかり海未ちゃんを支えなきゃ……!)ピピピ


海未「メールですか? 最近多いですね」ポチ

ことり「これ……レイレナードからだよ……!」

海未「敵の企業からですか!? どういうことでしょうか……」

ことり「待ってね、読んでみる……」

295: 2015/05/07(木) 22:54:02.73 ID:Psc4/xvO.net
海未「なるほど、これは果たし状ですね……」

ことり「ランク3のリンクスが直接海未ちゃんに決闘を申し込んでくるなんて……」

海未「場所はGA社のハーゼン工場ですか……敵地を決戦場所に指定するなんて、余程自信があると見えます」

ことり「海未ちゃんどうするの?」

海未「武道家の娘として決闘を申し込まれた以上逃げるわけには参りません」

海未「受けて立ちます」

ことり「海未ちゃんならそう言うと思ったけど、罠かもしれないから気をつけて」

海未「用心はしておきますが、恐らくそれはないでしょう」

ことり「どうして?」

海未「確信があるわけではありませんが、なぜだかわかります……」

海未「この相手は私と1対1の勝負を望んでいる。そんな気がします」


ことり「わかった。とりあえずチップが届いてチューニングが終わったら準備しよう」

海未「はい、どんな相手でも勝ってみせますよ」

301: 2015/05/09(土) 02:28:02.09 ID:FZEoColq.net
ことり『レイレナード社のネクスト、オルレアを撃破してください』

ことり『搭乗リンクスはアンジェ、彼女は国家解体戦争で最も戦果をあげたと言われ』

ことり『この戦いでも既に複数のネクストを撃破しています』

ことり『現在は遊撃隊として単独で動いているようですがその行動には明確な規則性があります』

ことり『おそらく敵対するネクストを誘い出す意図があるのでしょう』

ことり『オルレアの主兵装は高出力の専用ブレードです』

ことり『接近戦では細心の注意を払ってください』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』


海未「今回は誘き出さずに直接私に決闘を挑んできたということですね」

ことり『それだけレイレナードも海未ちゃんが脅威になると判断したんだと思う』

ことり『なんとかかき集めたデータで戦績を見てみたけど、この人1対1はもちろん複数を相手にしても何度も勝っている』

ことり『本当に強い人なんだと思う……負けないでね』

海未「同じ剣士として、負けるわけにはいきません」

海未「そろそろですね……」ゴォォォン

ことり『エレベーターが目的の階層に到着……』ピピピ

ことり『熱源反応! エレベーターゲートのすぐ裏だよ!』

302: 2015/05/09(土) 02:29:11.38 ID:FZEoColq.net
海未「決闘だと思っていましたが待ち伏せですか……!」ガシャン



アンジェ『音ノ木坂の傭兵、出来ると聞いている』


アンジェ『期待するぞ』ズバァ

ことり『ゲートが真っ二つに!?』

海未「ここで仕切るということですか。粋な演出ですね」ドヒャア


ことり『オルレアの兵装が情報と違う……?』

ことり『海未ちゃん、専用ブレード、ムーンライトを両手に装備してるよ!』

ことり『射撃武器は背中のプラズマキャノンだけ。近づかなければ有利だよ!』


アンジェ『パートナーの言う通りだ。だがお前の選択は……?』ドヒャア


海未「問われるまでもありません」ガシャン


アンジェ『私の睨んだとおりの女のようだな』ドヒャア ズバァ

海未「ふっ!」ドヒャア


アンジェ『初撃ぐらいは避けてもらわないとこちらが困る』

アンジェ『あまり失望させないでくれ』ドヒャア

303: 2015/05/09(土) 02:30:52.70 ID:FZEoColq.net
海未(あの大型ブレード、ムーンライトと言いましたか……)

海未(あの発光度合……もの凄い出力なんでしょうね……)

海未(あれと斬り合うとすればこちらもただでは済みません)

海未(ですが……っ!)ドヒャア


ことり『正面から向かっていくなんて! 海未ちゃんっ!』



海未「前を向かなければ勝利はありません!」ズバァ

アンジェ『そうこなくてはっ!』ズバァ




海未「浅かったようですね……」

アンジェ『フフ、面白い……これほど高揚する相手は久しぶりね……』

アンジェ『この感覚……いくぞ……!』ドヒャア

海未「はぁっ!」ドヒャア


          ズバァ

304: 2015/05/09(土) 02:32:11.92 ID:FZEoColq.net
ことり(ネクスト同士でずっと斬り合うなんて……)

ことり(こんな戦い見たことがないよ……)

ことり(あの人、ほんとに強い……だけど海未ちゃんも負けてない……)

ことり(それなのに……)

ことり『機体損傷50%! 海未ちゃん、相手の戦い方に合わせる必要はないよ』

ことり『狭い工場内だけど距離を取れば十分安全に戦えるはず――』


     ガション


ことり『――え?』


ことり(ライフルをパージした? 蹂躙兵器のときは弾切れだったけど、今回はまだ一度も撃っていないのに……?)


アンジェ『武器の性能に差はあれど、お前の腕は確かのようだな』

アンジェ『同じブレード使いとして私もお前に応えよう』ガション


ことり『向こうもプラズマキャノンをパージした!?』


海未「……」

305: 2015/05/09(土) 02:33:10.37 ID:FZEoColq.net
海未(少しずつですがようやく見えてきました……)

海未(あの高出力ブレード、威力は私のブレードより遥かに高いようですが……)

海未(試してみるほかはありませんね……)



海未「参ります……」ドヒャア


アンジェ『フフ……』ドヒャア




        ズバァ






アンジェ『な……に……?』



ことり『え……今……?』


ことり(同時に斬ったのにどうして海未ちゃんだけが無傷なの……?)


アンジェ『ブレードレンジの差か……』

306: 2015/05/09(土) 02:34:38.62 ID:FZEoColq.net
海未「あなたのムーンライトは高い出力を有しており、かなりの脅威です」

海未「ですが私のブレードのほうが僅かに長い……」


アンジェ『剣先だけを掠めるとは……』

アンジェ『私の剣筋を見切ったというの……まさか……』


海未「……」ドヒャア

アンジェ『くっ!』ドヒャア





      ズバァ


アンジェ(二度も続くとは……)

アンジェ『どうやら狙ってやってのけているようね……』


アンジェ『なるほど……強い……これが本物か……!』


アンジェ『だが……』ドヒャア

アンジェ『これで勝負が決まったわけではない!』ドヒャア

307: 2015/05/09(土) 02:36:54.46 ID:FZEoColq.net
海未(なんとか成功はしましたが、かなり危険な賭けです)

海未(ですがあのブレードに対抗するにはこの方法しか……)ズバァ


海未「ぐっ……」


アンジェ『今度は相撃ちね……』

アンジェ『フフフ……やはり戦いはこうでなくては……』ドヒャア


海未(相撃ちではダメージ差でこちらが負けてしまいます)

海未(それに二刀流による連撃を完全に回避するのは難しいです……)

海未(もっと集中して、完全に見切らなくては……)


アンジェ『どうした? もっと攻めてこい』ドヒャア

海未「……」ズバァ


ことり『やったっ! 海未ちゃんが競り勝った!』



アンジェ『……ハハッ!』

308: 2015/05/09(土) 02:37:43.62 ID:FZEoColq.net
ことり(完全に斬り負けたのに、楽しそうに笑ってる……)

ことり(あの人……一体……)


アンジェ『過程は関係ない……最後に立っていれば……!』ドヒャア


海未「……」ドヒャア

海未(恐ろしく強い相手です……)

海未(リンクスとしても、剣士としても……)

海未(無人ネクストとは比べ物にならないほど気を抜けば一瞬でやられてしまう)

海未(これほどの使い手がいたとは……)


海未(ですが……)




      ズバァ




海未「私も……負けられないんです……」



アンジェ『強いな……園田海未……』


アンジェ『お前のような相手なら……悔いはない……』





アンジェ『誇ってくれ……それが手向けだ……』

309: 2015/05/09(土) 02:38:51.15 ID:FZEoColq.net
ことり『オルレア、沈黙しました……! 作戦は成功です!』

海未「なんとか勝てましたね」

ことり『ずいぶんやられちゃったけど海未ちゃん大丈夫?』

海未「斬られる度にプライマルアーマーが吹き飛んでました」

海未「恐ろしい剣ですね……それに使い手も……」


海未「私も少しは強くなったと調子付いていましたが考えを改めなければなりません」

海未「まだまだ上がいる……そのことを忘れてはいけませんね……」

ことり『海未ちゃんはとっても強いと思うけどな』

海未「ありがとうございます。ですがもう一度鍛えなおさないといけませんね」

ことり『ほんとに海未ちゃんは頑張り屋さんだね……』

ことり『お疲れ様。それじゃあ帰ろう?』

海未「はい、さすがに今日は疲れました」




ことり(あの人、戦いを楽しんでいるみたいだった……)

ことり(戦いを見ているとすごく不安で……海未ちゃんが前みたくおかしくなってしまうんじゃないかって……)

ことり(だけど、海未ちゃんはいつもの私が大好きな海未ちゃんのままでほっとした……)

ことり(私はなにもできないけど、海未ちゃんのことはいつも……)

ことり(海未ちゃん……)

326: 2015/05/10(日) 02:19:02.81 ID:oDzprjuo.net
海未「メモリで機体の性能を上げていないとオルレアには勝てませんでしたね」

ことり「レイレナードの主力のひとりだもんね」

ことり「だけどレイレナードもオルレアを失って一気に形勢が苦しくなってきたみたいだよ」ポチポチ

海未「オーメル陣営のほうにも大きな動きがありそうですね……」

ことり「海未ちゃんの予想通りかもしれないね」ポチ


海未「これは……両陣営の総力戦ですか……」ピピピ


ことり「GAからの依頼もきたね……」

海未「依頼というより要請ですね。私たちもこの作戦に参加しなくてはなりません」

ことり「ローゼンタールも最高戦力を投入するみたいだし、激しい戦いになりそうだよ」

海未「ですがこの作戦がうまくいけば私たちの勝利です」

ことり「うん、海未ちゃんなら勝てるよ」

327: 2015/05/10(日) 02:19:59.47 ID:oDzprjuo.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『旧ピース・シティエリアで敵最精鋭ネクスト部隊と交戦している味方の支援に向かいます』

ことり『敵ネクストは4機、リンクスはいずれもナンバー上位ですが特に警戒すべきはナンバー1のベルリオーズです』

ことり『ベルリオーズの戦績は完璧です』

ことり『オリジナルには珍しい、極めて柔軟な思考の持ち主で、必要とあれば躊躇いなく他企業の武装を使用し』

ことり『確実に勝利することでそれを認めさせています』

ことり『複数ネクストを相手にする極めて危険な任務です』

ことり『これまでで最も過酷な戦闘になることは間違いありません』

ことり『以上、作戦の確認を終了します』

ことり『氏なないで……』


海未(もうすぐ到着ですね……)ゴォォォ

海未(この戦いですべてが終わりになるはずです……)

海未(私の弱さの所為で失ったものたちの為にこの戦争は終わらせなければ……)


ことり『海未ちゃん、そろそろ作戦エリアに到着するよ』

海未「はい、いきます……」

ことり『降下するね』ガシャン

328: 2015/05/10(日) 02:20:47.98 ID:oDzprjuo.net
海未「少し移動に手間取りましたね……」

海未「急いで味方の加勢をしなくては……!」ピピピ

海未「ん? これは……」


ことり『味方機、反応ありません! 全滅……そんな……』

ことり『4対1だなんて……』


ことり『作戦放棄を提案します! 海未ちゃん、すぐに離脱して!』


親鳥『作戦、続行します』

親鳥『敵も無傷ではありません。海未さん、あなたならやれます』

親鳥『幸運を』

ことり『お母さん! ダメだよ、海未ちゃん。逃げて!』


海未「それは出来ません」

海未「オーメルの主力が全滅したということは今倒しておかなければ私たちの負けです」

ことり『海未ちゃん……』

海未「大丈夫、今までも生き延びたんです」

海未「今回も私を信じてください」

ことり『うん、じゃあいくよ……! ミッション開始!』

海未「はい!」ドヒャア

329: 2015/05/10(日) 02:21:55.11 ID:oDzprjuo.net
ことり『敵戦力確認するね』

ことり『ランク1、ベルリーズのシュープリス、ザンニのラフカット、P.ダムのヒラリエスにアンシールのレッドキャップの4機だよ』

海未「レイレナードとアクアビット、それにBFFの混成部隊ですか……」

海未「理事長の言う通り向こうは連戦になるわけですからね確実に各個撃破したいところですが……」



ベルリオーズ『敵増援を確認、音ノ木坂の傭兵だ』

アンシール『音ノ木坂? ああ、まともにFCSも操れない例の時代遅れか』

ベルリオーズ『侮るな、優秀な戦士と聞いている。潰すぞ』ドヒャア



ことり『くるよ!』

海未「アクアビットのあの機体……あの武器腕パーツはコジマキャノンですか!」


P.ダム『いけるぞ、ベルリオーズ』

海未「コジマは恐ろしいですがあれに気を取られていては……」

    ドゴォ


海未「メアリーほどではないにしろ、BFFの狙撃は十分に脅威ですね」ドヒャア


海未「相手の連携に翻弄されてはいけません……」

海未「まずは……」

330: 2015/05/10(日) 02:22:48.18 ID:oDzprjuo.net
海未「あなたです!」ズバァ

P.ダム『やはりこちらにきたか……』

海未「見たところコジマキャノンしか搭載していないようですし、先にあなたを潰しておけば……」ズバァ

P.ダム『くっ!』ドヒャア


P.ダム『速すぎる……避けきれないか……』


海未「あなたを先に撃墜すれば数的不利は少しは緩和されます……」ズバァ


P.ダム『ぁあああああ!』バチバチ


海未「まずは1機!」ピピピ


ことり『海未ちゃん避けて!』


      バシュウ


海未「っ!」ドヒャア


ことり『シュープリスの空対地グレネードに気をつけて。爆風でプライマルアーマーが剥がれちゃう』

海未「危なかったです……」

331: 2015/05/10(日) 02:23:50.32 ID:oDzprjuo.net
ベルリオーズ『大丈夫か?』

P.ダム『戦場、こういうものだ……』

P.ダム『だがまだやれるぞ……』

ベルリオーズ『敵は1機だがアンジェを倒したほどの腕だ。ザンニ、アンシール、ダムのカバーに入ってやれ』

ザンニ『了解』

アンシール『へいへい……』



海未「なるほど、柔軟な思考ですか……」

海未「ネクストで編隊を組み連携をとるなど、凛と花陽を除けば初めてですね」

海未「それに今回は他企業も混ざった部隊……」

海未「それを統率できるなんて、リンクスの腕だけではないようですね……」

海未「これがランク1……」ドヒャア


ベルリオーズ『いくぞ、作戦に変更はない。予定通りオーメル側のネクストを叩く』


P.ダム『そこだ……』フォォォォン

海未「コジマがっ!?」ドヒャア

332: 2015/05/10(日) 02:24:24.20 ID:oDzprjuo.net
アンシール『隙だらけだ』ドゴォ


    ガァァァン

海未「ぐぅ……」


ザンニ『捉えられんよ、貴様には』シュゥン

海未「がはっ! レーザーライフル……? プライマルアーマーを貫通して……」


ベルリオーズ『足が止まっているぞ』バシュウ


海未「しまっ――!」


    ドガァァァン



海未「うぁああああああっ!」バチバチ


ことり『海未ちゃんっ!』


ことり『4機からの連携攻撃で一気に装甲が……』

333: 2015/05/10(日) 02:25:14.70 ID:oDzprjuo.net
ザンニ『こんなものか……』

アンシール『弱すぎるぜ』

ベルリオーズ『無謀だったな、音ノ木坂の傭兵。他の奴らと同じだと思ったか?』

ベルリオーズ『世界は私たちが変える……』



海未(油断はしていたつもりはありません……)

海未(ですがこの連携のとれた攻撃を避けることは難しすぎます……)


ことり『海未ちゃん、コジマキャノンの弾数は多くないはずだよ!』

ことり『まずは回避に専念して、弾が切れたところを狙って!』


海未「回避ですか……」

海未(ですが逃げ回っているだけでは勝てません)

海未(ことりの言う通り相手の弾切れを狙うのは有効だと思いますがそれまで他の3機の攻撃を避わし続けられる保証もありません)

海未(回避しながらなんとか攻撃を……)ハッ




海未(ふふ、なにを弱気になっているんでしょう……)

海未(敵の数が多いというだけで見失っていたようですね)

海未(そうです……)

海未「それこそが私のっ……!」ドヒャア

334: 2015/05/10(日) 02:26:28.60 ID:oDzprjuo.net
海未「まずはこの状況で一番の脅威になるのは……」ドヒャア


ザンニ『標的を変えたか!』ドヒャア


海未(サーダナと同じ逆関節……ですがイクバールの機体より遅いです!)ズバァ


ザンニ『跳躍に斬撃を合わせてきただと……?』


P.ダム『まさか最初にラフカットを狙うとは……まだチャージが……』

ベルリオーズ『雰囲気が変わった……? アンシール!』


アンシール『はいよ!』ピピピピ


アンシール『速えぇ……ラフカットの機体にうまく隠れやがる……!』

アンシール『クソ……』ピ

アンシール『動きを止めやがったな! 食らえ!』ドゴォ

海未「……」ドヒャア


        ガァァァァン

ザンニ『ぐぁああっ! わ、私を盾にしただと……?』

海未「……」ズバァ ドゴォ

ザンニ『がはっ!』

アンシール『なっ!? どうなってんだ、おい!?』

アンシール『ザンニのやろうを斬りながらこっちに狙撃してきたぞ!』

335: 2015/05/10(日) 02:27:28.83 ID:oDzprjuo.net
P.ダム『噂には聞いていたが、まさかこれほどとは……』

海未「今度こそっ!」ズバァ



ザンニ『ぐ……なるほど……強い……』


ことり『敵ネクスト、ラフカット撃破しました! 残り3機だよ!』


海未「次っ!」ドヒャア ドゴォ

アンシール『今度はこっちかっ?』ドヒャア

ベルリオーズ『いや……』

P.ダム『これが音ノ木坂の傭兵……遠近同時攻撃か……』ドヒャア


ベルリオーズ『離れろ! 援護する』バヒュウ

P.ダム『すまん……』ドヒャア



海未「……」ドゴォ



アンシール『飛んできたグレネードの榴弾を狙撃しただと……?』


海未「バーラットのものよりは弾速が速いですが射線上で狙撃するのはまだ簡単ですね」ドヒャア

海未「おまけに射撃安定も上げてもらいましたから外す気がしません」ドゴォ


アンシール『メアリーをやったのはマグレだと思っていたが……』

ベルリーズ『どうやら本物のようだな……』

336: 2015/05/10(日) 02:28:16.61 ID:oDzprjuo.net
海未「……」ドゴォ ズバァ

アンシール『近接戦をしながらだってのになんて命中精度だ……!』

アンシール『ほんとにノーロックで撃ってるのかよ!』ガァァァン

アンシール『装甲がもたねぇ……』


海未「……」ズバァ


P.ダム『これまでか……戦場だ……覚悟は出来ている……』


海未「……」ドゴォ

アンシール『クソがっ! 俺のせいかよ……』



ことり『ヒラリエスおよび、レッドキャップ、撃破しました! あと1機だよ!』

ことり『海未ちゃんの機体も損傷が70%を超えてるから気をつけて!』


海未「後がありませんね……ですがそれは相手も同じはずです……」ドヒャア


ベルリオーズ『いくぞ……』ドヒャア

337: 2015/05/10(日) 02:29:13.95 ID:oDzprjuo.net
海未(まず注意すべきはあのグレネード……)

海未(レイレナードに属していながら敵である有澤のものを使うなんて……)

海未(まぁ、私もレイレナードの機体に乗っているわけですが……)

海未(とにかくあれがあるかぎり不用意に接敵することはできませんね)


ベルリオーズ『ここにきてまだ冷静でいられるようだな』ドヒャア

ベルリオーズ『だが……』パスパス バスン


海未「ライフルの射撃精度も高い!」ドヒャア

海未「このままではプライマルアーマーが持ちません……」


海未(このまま削りきるつもりでしょうか……)

海未(BFFのライフルはもちろん、レイレナードの突撃ライフルの火力が凄まじいです……)


ベルリオーズ『お前は危険すぎる……』

ベルリオーズ『このまま堅実に倒させてもらうぞ……』パスパス バスン


海未「まずいですね……」ドヒャア

海未「この状況を覆すことができるのはやはり……」ガシャン

海未「これしかありません!」ドヒャア

ことり『ブレードで斬りにいった!? ダメだよ、グレネードで迎撃されちゃう!』

338: 2015/05/10(日) 02:29:53.34 ID:oDzprjuo.net
ベルリオーズ『こらえ切れなかったか……』ガシャン

ベルリオーズ『終わりだ……音ノ木坂の傭兵……』ピ

ことり『海未ちゃんっ!』

海未「……」ガシャン




         ドゴォ……









ことり『え……?』


ベルリオーズ『グレネードの発射前に銃口を狙撃しただと……?』

ベルリオーズ『銃身が爆発する……!』ガション


    ズガァァァァン


海未「……」ドヒャア

ベルリオーズ『くっ!』ドヒャア

339: 2015/05/10(日) 02:30:44.58 ID:oDzprjuo.net
海未「グレネードを失った今、あなたに脅威は感じません」

ベルリオーズ『ちぃっ!』パスパス


海未「遅いです」ドヒャア



ベルリオーズ『噂以上だ……貴様のような女がいるとは……世界は広い……』


海未「終わりです……」ズバァ


ベルリオーズ『良い戦士だ……感傷だが別の形で出会いたかったぞ……』ガク



ことり『て、敵ネクスト、シュープリス撃破しました……』


親鳥『敵ネクスト全滅、作戦成功よ』

親鳥『底が知れませんね、あなたは』

親鳥『そのまま帰還してください。ことりも待っています』


海未「了解……」ハァハァ


海未(私も同意しましたが、思い返してみれば理事長の命令はメチャクチャでしたね)

海未(4対1、それも敵の主力ばかりを集めた部隊と交戦するなど)

海未(でもまぁ……)

ことり『お母さんってば、海未ちゃんにあんな無茶させてまったく――』

海未(生きのこれたわけですし、ことりが代わりに怒ってくれているようですからよしとしましょう……)

340: 2015/05/10(日) 02:31:16.52 ID:oDzprjuo.net
       ウィーン

ことり「海未ちゃん、どこかケガはない?」

海未「機体の損傷は激しかったですが私自身は大丈夫です」

ことり「お母さんにはいっぱい怒っておいたからね!」

海未「ははは……ありがとうございます……」

ことり「ううん、でもすごかった、海未ちゃんの戦い……まだ信じられないぐらい……」

ことり「今までたくさん無理させてきたよね?」

ことり「もうすぐ戦争も終わるはずだから……もうやめよ?」

海未「ことり……?」


ことり「勝手なことを言っているのはわかってる」

ことり「だけど、海未ちゃんはいっぱい傷ついてきたからそろそろ休んでもいいはずだよ」

海未「ありがとうございます」

海未「もうすぐなんですね……この戦争の終わりも……」


海未(みんな……)

341: 2015/05/10(日) 02:35:12.27 ID:oDzprjuo.net
絵里「海未のほうがレイレナードの主力ネクストを倒したそうよ」

真姫「こっちも粗方掃討出来たわね……」

穂乃果「絵里ちゃんのほうは?」

絵里「こっちも順調よ。なんとかオーメルのほうにも気付かれていない様子だけど……」

真姫「まさか海未があそこまで本気を出すとは思わなかったわ……」

穂乃果「ねぇ、絵里ちゃん、海未ちゃんたちにほんとのことを伝えなくていいの?」

絵里「もうすぐこの戦争も終わりを迎えるわ」

絵里「それまでなんとしても企業の目を欺いておかないと気付かれたらすべて終わりになってしまう」

絵里「リスクは最小限に留めておきたいの」

絵里「だからあともう少しよ……」

絵里「もう少しで私たちの夢が叶う……」

絵里「だから穂乃果たちも最後まで気を抜かないでね……」

穂乃果「うん、頑張るよ!」

真姫「私がついてるから安心して」

絵里「そうね。それじゃあまた……今度会うときは戦争が終わった後かしら」




絵里(かなり危ない橋だったけど、今のところすべてうまくいっている)

絵里(だけど社内でなにか不穏な動きが出てきてる……)

絵里(用心しておかないといけないわね……)

342: 2015/05/10(日) 02:36:16.60 ID:oDzprjuo.net
ことり『作戦を確認します』

ことり『レイレナード社本社施設、エグザウィルを破壊します』

ことり『エグザウィルには極めて特殊な建築手法が用いられています』

ことり『扇状に配置されている支柱を破壊していけば全体のバランスが失われ、施設は崩壊するはずです』

ことり『レイレナード社のネクスト部隊はすでに壊滅していますが、エグザウィルにはまだ多くの戦力が残っているでしょう』

ことり『油断は禁物です。以上、作戦の確認を終了します』

ことり『これで最後だね』


海未「最後だというのになぜ今更ミサイルの実用を?」

ことり『施設を壊すだけならブレードがあれば十分だけど、通常戦力が多いと手間取ると思って』

海未「はぁ……」

ことり『今回使ってみるのは近接信管ミサイルだよ』

ことり『対象にあたらなくても近づくだけで爆発するし、威力も高くて使いやすいの』

ことり『最初は慣れないと思うけど試してみて』

海未「わかりましたやってみます……」


海未「では最後の作戦に参りましょう」ドヒャア

343: 2015/05/10(日) 02:37:15.81 ID:oDzprjuo.net
ことり『目標、エグザウィル、目の前だよ!』

海未「確かに特殊な構造ですね……」

海未「まるで巨大なヨットのようですが、海の上であんな建築物を建てて今まで大丈夫だったんでしょうか」

ことり『あの支柱はかなり剛性の高い材質で出来ているみたいで、台風や津波が来ても大丈夫なんだって』


海未「とても大丈夫そうには見えませんが……」ピピピ

ことり『海未ちゃん、新型の無人ネクストだよ!』


海未「やはりまだありましたか」ドヒャア



海未「近接戦を仕掛けるのはリスクが高いですからね」

海未「せっかくですのでことりが用意してくれたこれを使いましょう」ガシャン


海未「トリガーは引きっぱなしにしてロックを合わせればいいのですね」ピッピッピッ


        バシュウ……


海未「ほう……これはなかなか便利ですね……」ピッピッピッ

        バシュウ

344: 2015/05/10(日) 02:38:03.58 ID:oDzprjuo.net
ことり『新型ネクスト1機撃破! あと1機だよ』

海未「今まで使ってこなかったのを後悔してしまいそうです……」ピッピッピッ


       バシュウ  ドゴォ


海未「慣れれば狙撃も同時に出来ますね」

海未「しかしミサイルのロックマーカーが気になって精度が少し落ちてしまいます」ピッピッピッ



海未「っと、今更研究してももう使うことはないんですよね……」


海未「これで最後です……」ドゴォ


ことり『敵新型ネクスト撃破! あとは通常戦力だけだから無視しても大丈夫だよ』


海未「支柱を破壊することに専念します」ズバァ


海未「いくら災害に耐えられると言ってもレーザーで斬られることには耐えられないでしょう」ズバァ

ことり『エグザウィルの支柱を破壊! 本体のバランス崩れ始めたよ! 他の支柱も攻撃して!』

海未「了解!」ズバァ

345: 2015/05/10(日) 02:38:49.81 ID:oDzprjuo.net
ことり『さらに支柱を破壊。本体の限界間近だよ。そのまま続けて!』

海未「はい!」ズバァ




海未(これまで、本当に長かったです……)

海未(色んなものを失って、私自身が手にかけたものも……)

海未(凛、花陽、希……私の所為であなたたちは……)

海未(そしてにこを止めることが出来なかった……)

海未(すべて私が弱かった為に……)

海未(私が……ん?)



海未(そういえばあの3人はともかく、にこはどうなったのでしょうか……)

海未(私が敗れて、ことりの話を聞けば穂乃果と戦って穂乃果が圧勝したと言っていましたが……)

海未(穂乃果と再会したとき彼女はにこのことになにも言及していませんでしたね……)

海未(もしかしてにこは……)



海未(いえ、今は任務に集中すべきです)

海未(すべてが終わったらことりにも伺ってみましょう)ズバァ


ことり『支柱が完全に崩壊。エグザウィル本体に衝撃!』

346: 2015/05/10(日) 02:39:41.01 ID:oDzprjuo.net
ことり『倒壊がはじまる、離脱して!』


      ズゥゥゥゥン……

ことり『エグザウィル、倒壊していきます』

ことり『作戦は成功、レイレナード社、壊滅……』


ことり『いつからこんなことになったんだろうね……』


ことり『だけどこれですべてお終い。本当にお疲れ様』


海未「ええ、ありがとうございます。お疲れ様でした」






ことり『お母さんから連絡があったよ』

ことり『穂乃果ちゃんのほうもアクアビット壊滅に成功したみたい』

海未「本当ですか!? やりましたね、穂乃果」

ことり『うん、これでリンクス戦争も終わり……』

ことり『勝手な理由でたくさんの人が亡くなって、汚染ばかりが拡がって……』

ことり『海未ちゃんがいなければ、まだ続いていたかもしれない』

海未「そんなこと……」

ことり『ううん、本当にご苦労様』

ことり『帰ろう、音ノ木坂に……』

海未「はい、帰りましょう」

347: 2015/05/10(日) 02:40:18.41 ID:oDzprjuo.net
親鳥「レイレナードとアクアビットは共に倒れました」

親鳥「最悪の戦争は終わり、汚染された世界だけが残りました」

親鳥「企業は崩壊した秩序の回復に追われ、戦争をする余裕などないように見えていました」


親鳥「音ノ木坂は既に十分な報酬を得ており、ことりは海未さんに休息を求め、私はそれを了承しました」



親鳥「……甘かった、と言えばそれまでです」




親鳥「都合のよい恐怖は、世界の常であるというのに……」

348: 2015/05/10(日) 02:40:52.95 ID:oDzprjuo.net
海未「痛いです! もう少し優しくしてください」


ことり「ダーメ……海未ちゃんが大人しくしてたらすぐ終わるからね……」







          ペタ



ことり「はいおしまい!」

海未「治療してくれるのはありがたいのですが、ことりは心配しすぎです」

ことり「海未ちゃんはいつも平気なフリをしてたけど身体はもう限界だったんだよ?」

ことり「戦争は終わったんだから海未ちゃんは身体を大事にしないと」

ことり「ずっと守ってくれたんだもん。今度はことりが海未ちゃんを守らないと……」

海未「ことり……」

海未「その私のことを考えてくれるのは嬉しいのですが、少し恥ずかしいです……」

ことり「海未ちゃん……」ジー

349: 2015/05/10(日) 02:41:55.12 ID:oDzprjuo.net
海未(まずいです……ことりのこの視線、今までの戦いよりも遥かに危険を感じますね……)

海未(なにか別の話題で意識を逸らさないと……あっ)


海未「ことり、そういえばあなたに尋ねたいことがあったんです」

ことり「もう……尋ねたいことって?」

海未「にことの戦いで私が敗れて倒れた後、穂乃果が助けてくれたんですよね?」

ことり「そうだよ。その後穂乃果ちゃんとにこちゃんが戦い始めてたんだけど通信が切られててね」

ことり「戦う前になにか話している様子だったんだけど聞こえなかったんだ」

海未「そうだったんですか……それで、穂乃果が勝利したようですが、その時穂乃果はにこを殺めてしまったのでしょうか?」

ことり「それがわからないの……」

海未「わからないとは……?」

ことり「あの後穂乃果ちゃんたちに先に帰っててって言われて、だけどあの様子じゃにこちゃんはまだ生きていたと思う」

ことり「それに、穂乃果ちゃんが言ったの……『ここは任せて』って……


海未「どういうことなんでしょうか……」

ことり「ことりは思うんだけど、にこちゃんは生きてるんじゃないかなって……」

350: 2015/05/10(日) 02:42:46.63 ID:oDzprjuo.net
海未「ことりもですか……」

ことり「うん、あの時穂乃果ちゃんと最後に会話した限り、にこちゃんを手に掛けることはしなさそうだったし」

ことり「それに穂乃果ちゃんがオトノキの仲間を倒すなんて想像出来ないから……」

海未「……」

ことり「海未ちゃんのことを悪く言ってるわけじゃないよ?」

海未「ええ……ごめんなさい、大丈夫ですよ」

ことり「ソルディオスのときもそうだった、穂乃果ちゃん、海未ちゃんを元気づけるときなにか知っているみたいで……」

海未「思い返してみれば確かに、穂乃果はなにか私たちに隠し事をしているようでしたね」

海未「大丈夫だと、穂乃果は私にそう言ってくれましたが……」

ことり「また会えたら訊いてみようよ」

海未「そうですね、穂乃果と真姫、それに絵里もオトノキに帰ってきていただきたいものです」

ことり「うん……みんなで……ね……」

海未「はい……」

ことり「じゃあちょっとお母さんのところに行ってくるね」

ことり「海未ちゃんはまだ安静にしていないとダメだよ」

海未「わかってますよ。いってらっしゃい」

ことり「いってきます」ウィーン

351: 2015/05/10(日) 02:43:34.15 ID:oDzprjuo.net
海未(にこが生きているかもしれない……)

海未(もしもの話だとして、ですがそこにほんの少しの希望が見えてしまいました)

海未(戦争も終わり、パックスが崩壊した今こそみんなでオトノキに帰ってこられれば……)

海未(そう願うことは傲慢でしょうか……)

海未(希、花陽、凛……私はあなたたちにどうやっても赦されませんが、みんなといることだけは望んでもよろしいでしょうか)

海未(あなたたちにどう償えばいいのかまだわかりません……)

海未(ですが――)



         ウーウー



海未「緊急警報?」

海未「戦争は終わったはずなのに……なにが起きているんです……」


       ピピピ

海未「ことりですか!?」

ことり『海未ちゃん、音ノ木坂に接近している所属不明機体を捕捉したの!』

海未『なんですって!?』

352: 2015/05/10(日) 02:44:07.07 ID:oDzprjuo.net
海未「戦争は終わったのに、一体どこの企業が……」

ことり『待って、もうすぐ映像が出るから……え?』ポチ


ことり『あれは……!?』

海未「どうしました!?」


ことり『何故、あの機体が……!』


海未「すぐに出ます!」

ことり『来てはダメ!』

海未「ことり!?」

ことり『なにかおかしいの……!』


海未「ごめんなさい……」タッタッタ


ことり『海未ちゃんっ!』

353: 2015/05/10(日) 02:45:19.03 ID:oDzprjuo.net
       ウィーン

海未「機体の整備は出来ているようですね」

海未「戦うことがないので不安でしたが、ヒデコたちに感謝ですね」

海未「武装はいつものブレードとスナイパーライフル……」

海未「くっ……」ズキ

海未「大丈夫です……やれます……」


海未「いきますよ……」ドヒャア




        ゴォォォォ



海未「オトノキが……汚染されて……」

海未「こんな短時間で……一体誰なんですか……」ギリ



???『遅かったね……もう終わっちゃったよ……?』



海未「っ!?」

海未「まさか……そんな……」


???『言葉は要らないかな……?』



海未「ほの……か……? それにその機体は……?」



穂乃果『赦してもらおうなんて思わないから……恨んでくれていいよ……』ドヒャア

354: 2015/05/10(日) 02:46:24.47 ID:oDzprjuo.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

真姫「どうしてよ! どうして穂乃果がっ……!」

穂乃果「ごめんね……オーメルがオトノキを攻撃対象にしてしまったから……」

真姫「今まで散々、オトノキを利用して、要らなくなったらお払い箱どころか潰そうって言うのっ!?」

真姫「エリーは一体なにをしていたって言うのよ!」

穂乃果「絵里ちゃんでもどうしようもないよ……」

真姫「これからだって言うのに……やっと私たちの夢が叶うってところだったのに……」

穂乃果「真姫ちゃん……」


真姫「お願いよ! いかないで! あなたがいなくなったら私……」

穂乃果「大丈夫だよ……オトノキはなくなっちゃうけど、海未ちゃんたちも避難できるようにするから……」

穂乃果「オトノキのみんなが避難したのを確認すれば帰ってくるから……ね……?」

真姫「嘘よ……この作戦用に届いたあの機体……プロトタイプ・ネクストでしょ……」

穂乃果「知ってたんだ……」

穂乃果「うん、ことりちゃんのお父さんが開発した機体でね……」

真姫「乗れば氏んでしまうぐらいの精神負荷とコジマ汚染に曝されるんでしょ……?」

穂乃果「それも知ってたんだね……」

355: 2015/05/10(日) 02:47:06.99 ID:oDzprjuo.net
真姫「企業は力を持ちすぎた海未と穂乃果を脅威だと感じたんでしょう?」

真姫「穂乃果にこの機体、アレサに乗せてオトノキを襲撃させる……」

真姫「穂乃果が海未を倒してもアレサに搭乗した穂乃果は助からない……」

真姫「これが企業の描いたシナリオね……」

穂乃果「うん、真姫ちゃんはやっぱり頭がいいね……」

真姫「どうしてこんな……」



真姫「あなたが企業の命令を聞くことはないわ!」

真姫「そうよ! ここから逃げましょう!」

真姫「そしてエリーと海未たちと合流してもう一度企業と戦うの!」

穂乃果「それは無理だよ……」

真姫「どうして!? 穂乃果と海未とエリーなら、なんなら私だって戦える!」

真姫「それにまだ――!」



     ギュ


穂乃果「ごめんね……」

356: 2015/05/10(日) 02:47:42.80 ID:oDzprjuo.net
真姫「いや……いやよ……」フルフル

穂乃果「穂乃果はずっと我儘ばかり言っていたけど、これが最後の我儘だから……」

真姫「いやよ……そんな我儘は聞けないんだから……」ポロポロ


穂乃果「真姫ちゃんは生きて……お願い……」



      チュッ……


真姫「穂乃果……ほの……」


穂乃果「ごめんね、今までありがとう……大好きだよ!」


穂乃果「真姫ちゃん……愛してる……」ダッ


真姫「穂乃果……」




真姫「ほのかぁあああっ!!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

357: 2015/05/10(日) 02:48:29.03 ID:oDzprjuo.net
海未「応えなさい穂乃果! どうしてオトノキを!?」

穂乃果『言葉は要らないっていったはずだよ……』


海未「いいえ、あなたには応える義務があります」

海未「オトノキを一番愛していたあなたがなぜこのような……」


穂乃果『好きだから……オトノキが……だけど選んじゃったから……』

海未「選ぶ? なにをですか……?」

穂乃果『穂乃果にとって大事なものだよ……』

穂乃果『もうおしゃべりはおしまい……』

穂乃果『いくよ……海未ちゃん……!』フォォン



海未「コジマキャノン……!?」ドヒャア


海未「どうやら本気のようですね……」


ことり『ほんとうに穂乃果ちゃんなの……? どうして……』

海未「わかりません……ですが穂乃果の意志は本物のようです」ドヒャア

358: 2015/05/10(日) 02:49:07.12 ID:oDzprjuo.net
ことり『プロトタイプ・ネクスト、アレサの主兵装は大口径のガトリングとコジマキャノンだよ』

海未「攻撃は至ってシンプルですが……」ドヒャア


      ドヒャアア!


海未「っ!?」

海未「なんて機動性ですか……」

海未「目の前から一瞬で消えました……」


ことり『海未ちゃん右! 捕捉されてるよ! すぐに旋回して!』


海未「あれがアレサの性能ですか……」

海未「確かにあんなものに乗ればリンクスへの身体の負担は相当なはずです……」

海未「穂乃果……」


        ズバァ


海未「捉えきれません……」

359: 2015/05/10(日) 02:50:00.58 ID:oDzprjuo.net
穂乃果「……」バラララララ


海未「くっ!」ドヒャア


穂乃果「……」ドヒャアア!


海未「またっ……!」ドヒャア

海未「あのクイックブーストは速すぎます……攻撃をあてることすらままなりません……」

ことり『普通のネクストのブースターは2基だけど、アレサはその5倍の10基も搭載されてるの……』

海未「10基ですかっ?」

ことり『うん……あれを動かすだけでも負担はすごいはずなのに……』

ことり『10基ものブースターでクイックブーストを使うとなると負荷と強烈なGで激痛が伴うはず……』

海未「なるほど、まさに悪魔の機体ですね……」



海未「穂乃果……なぜそうまでして……」


海未「もう穂乃果を救う方法はないのですか……?」

ことり『……うん。こうしてる間にも穂乃果ちゃんの身体はコジマに蝕まれている……』

ことり『もう穂乃果ちゃんを助けることは……』


海未「……」

360: 2015/05/10(日) 02:50:35.86 ID:oDzprjuo.net
海未「わかりました……」

ことり『海未ちゃん……?』

海未「穂乃果を助けることが出来ないのであれば戦うしかありません……」

ことり『海未ちゃん……まさか……』

海未「あの時とは違います……仕方がないとは思いません……」

海未「ですが穂乃果が選んだのです……ならば私もそれに応えなくては……」ドヒャア


海未(まずはあの機動についていかなくては……)

海未(まずは離れてよく見てから……)


     ドヒャアア!


海未(一度のクイックブーストであれだけの距離を移動していたのですか……)ドゴォ

海未(連続クイックブーストも穂乃果ならお手の物ですね……)

海未(ですが……)ズバァ


ことり『あたった……』


海未「なんとか見えてきました……」


穂乃果(すごいね……海未ちゃんは……)ハァハァ

361: 2015/05/10(日) 02:51:35.14 ID:oDzprjuo.net
      ドヒャア ズバァ ドゴォ  ドヒャアア!


海未「それでも……なかなかあたりませんね……」

海未「はぁ……はぁ……」ズバァ


    ドヒャアア!


海未「浅いですね……」

海未「もう少しなんです……穂乃果の機体もそれなりにダメージを負っているはず……」


          ゴォォォォ ガクン……


海未「動きが止まった……」

海未「どういうことでしょうか……」


ことり『海未ちゃん穂乃果ちゃんから離れて!』


        ヴゥゥゥンフォアアアア


海未「これはっ!?」ドヒャア


海未「今のはなんですか!? アレサを中心に光が拡がるような……」

ことり『あれはプライマルアーマーのコジマ粒子を攻撃用に一気に解放したの……』

ことり『まともにあたれば機体が吹っ飛んでいたよ……』

海未「プライマルアーマーをこんな形に流用するとは……」

362: 2015/05/10(日) 02:52:24.83 ID:oDzprjuo.net
ことり『だけど、プライマルアーマーを解放したってことは今は丸裸だよ』

海未「なるほど……では今しか勝機はないということですね」

海未「穂乃果……いきます!」ドヒャア





海未(穂乃果……あなたと私はもうずっと、それこそ産まれる前からの親友で……)

海未(私もことりもあなたには散々迷惑をかけられて……)

海未(ですが……あなたと過ごしたあの日々はかけがえのないものでした)


        ズバァ


ことり『穂乃果ちゃんの動きが鈍くなってきてる……』

ことり『やっぱりヒトの身体では限界なんだ……』


ことり『穂乃果ちゃん……っ!』ポロポロ


海未(あなたとことりと、ずっと3人で……)


海未(もう一度……)


海未(穂乃果――!)ズバァ



         ガクン……


海未「え……?」

363: 2015/05/10(日) 02:53:06.43 ID:oDzprjuo.net
穂乃果『えへへ……どうやらここまでみたい……』


海未「穂乃果……あなた、今わざと……」



穂乃果『ううん、海未ちゃんは強かったよ……とっても……』

穂乃果『昔からよく知ってる……ことりちゃんと穂乃果が大好きな……』

穂乃果『強くてかっこいい海未ちゃん……』


海未「穂乃果……!」


穂乃果『これでよかったんだよ……』

穂乃果『だから穂乃果からのお願い……』



穂乃果『生きて……みんな……』





海未「穂乃果っ!」

ことり『穂乃果ちゃんっ!』



       ズガァァァァン






       ゴォォォォォ



絵里『終わったようね……』

364: 2015/05/10(日) 02:53:55.28 ID:oDzprjuo.net
海未「絵里っ? どうしてここに……」

絵里『穂乃果との約束だったから……最後まで見届けるって……』

海未「絵里は知っていたのですか……穂乃果がオトノキを襲撃すると……」


絵里『ええ、うちからの依頼……いえ、脅迫だったもの』

海未「どういうことですか……オーメルが穂乃果に……?」


絵里『戦争に勝ったオーメルはこれからの秩序と政治主導権を握るために躍起になっていた』

絵里『だけど、懸念事項があったのよ』

絵里『企業を単機で壊滅するリンクスが二人もいる……』

海未「私と穂乃果ですか……」

絵里『そうよ……味方であるときは心強いけれど、企業に縛ることが出来ない』

絵里『それはあなたたちが傭兵であるから……お金次第で敵にも味方にもなる』

絵里『そんな曖昧な戦力が強大な力を個人で持っている、オーメルはそれを恐れたの』

海未「それで私と穂乃果を戦わせたというのですか……」

絵里『ええ、その通りよ……』

365: 2015/05/10(日) 02:55:06.65 ID:oDzprjuo.net
海未「ですが、私たちオトノキはともかく穂乃果も企業の言うことを聞く義理はないはずです!」

絵里『だから言ったでしょう……脅迫されたって……』

絵里『オーメルは穂乃果に取引を持ちかけたのよ』

海未「取引ですか……」

絵里『ええ、選択の余地もない一方的な取引』

絵里『オトノキを襲撃すればアスピナには攻撃しない……それがオーメルが提示した取引よ……』

海未「そんな……逆に言えば穂乃果が断ればアスピナが……」

絵里『そう……穂乃果はオトノキよりもアスピナを……』



絵里『いいえ……真姫を選んだのよ』



絵里『あなたなら自分を絶対に倒してくれると信じて……』


海未「そんな……穂乃果……」

絵里『これで穂乃果との約束は果たしたわ……』

絵里『海未、あなたは生きて……そしてまた会いましょう……必ず……』

絵里『穂乃果と私が夢みた秩序を目指して……それにはあなたの力が必要になる……』

366: 2015/05/10(日) 02:55:54.10 ID:oDzprjuo.net
海未「穂乃果が夢見た……」

絵里『そう……私たちみんなの新しい夢……それを実現させるのが穂乃果との約束……』

海未「私はどうすれば……」

絵里『まずはことりと生き延びて……いつか私から訪ねる日が来るはずだから……』

絵里『穂乃果の夢を……クローズ・プラン……憶えておいて……』

海未「クローズ……プラン……」

絵里『また会いましょう……海未、ことりによろしく……』


       ヴゥゥゥンフォォォォン


ことり『絵里ちゃんはなんて……?』グス

海未「通常回線では話せません……一度戻ってからお話します……」

ことり『うん……穂乃果ちゃん……』


海未「穂乃果……」



海未「あなたの夢は……私が……」

367: 2015/05/10(日) 02:56:25.20 ID:oDzprjuo.net
「なんとかしなきゃって足掻いていたの」


「誰かがやらなきゃいけないって、そう思ってたから」


「そうすれば煩わしいものはすべて消えてなくなる」


「ゆっくり休むのはそれからでもいいかなって」




「そう思って走り続けてきたの」


「そう思って走り続けてきたのにな――」

















「ごめんね……真姫ちゃん……」

368: 2015/05/10(日) 02:57:06.84 ID:oDzprjuo.net
海未「あれから何年も経ちましたが結局戦争は終わりませんね……」

海未「ここラインアークも何度も企業から攻撃を受けて、いつまでもつものかわかりません……」

ことり「最近は海未ちゃんの出撃の隙を狙って襲撃してくることも多いしね」

海未「そうですね……ことりと静かに暮らせたらと思いここへ流れ着きましたが、現実は甘くありません」

ことり「クレイドルに移住する?」

海未「どこも大して変わりませんよ。それにクレイドルでなにかあっても空の上では逃げることも出来ません」

海未「ここなら最悪、ことりだけ連れてどこへでもいけますから……」

ことり「だけど世界はどこも汚染だらけだよ……」

海未「そうですね……ん?」



           ザッ



絵里「久しぶりね、海未、ことり」

海未「絵里!」

ことり「絵里ちゃん!」

369: 2015/05/10(日) 02:57:48.56 ID:oDzprjuo.net
海未「オーメルのランク1リンクスがここにいてはまずくないですか?」

絵里「あまり人目につくのはよくないわね。私についてきて」

ことり「う、うん……」






海未「ここへ来たのはあの時の言葉通りということでしょうか?」

絵里「ええ、クローズ・プラン、その概要をあなたたちに伝えにきたの」

ことり「クローズ・プラン……?」

絵里「私と穂乃果はリンクス戦争が始まる前からこの計画を立てていた」

海未「そんなに前からですか?」

絵里「ええ、そして今すべての準備が整ったところ、そして仲間も揃ったわ」

海未「仲間ですか……」

絵里「ええ、みんな来て……」



海未「あ……そんな……」


「やっ! 久しぶり! 元気しとったん?」

370: 2015/05/10(日) 02:58:36.20 ID:oDzprjuo.net
海未「希! 生きていたんですか! ですがどうやって!」

希「ウチだけやないんよ。他のみんなもほらっ!」


「ちょっと強くなったみたいだけどあんまり調子に乗らないでよね。私に負けたくせに」

ことり「にこちゃんっ! やっぱり生きてたんだね!」




「凛たちもいるにゃー!」

「お久しぶりです……」




海未「あ……ああ……凛……花陽……」


海未「私は……あなたたちになんてことを……」


凛「あぁっ! 海未ちゃん泣かないで!」

花陽「そうです! 私たち生きてますから……!」


海未「それで赦されることではありません……」

海未「凛……花陽……ごめんなさい……」

海未「ごめんなさい……」


凛「どうしよう……」

花陽「あはは……」

371: 2015/05/10(日) 02:59:46.17 ID:oDzprjuo.net
ことり「だけどにこちゃんはともかく希ちゃんとかよちゃんと凛ちゃんはどうやって生き延びれたの?」

希「えりちがずっとウチらをマークしてくれてたんよ」

希「ウチは同じオーメル陣営やったからよかったけど、凛ちゃんたちとにこっちはなかなか難しかったみたいやね」

にこ「私は海未と戦った後に穂乃果から直接この計画を聞いたわ」

にこ「私にはマグリブのみんながいるから断ったけど、穂乃果のやつ、力ずくで私を連れていくんだから……」

絵里「凛と花陽は敵陣営だったし注意深く見張ってたんだけどね……」

海未「私の所為ですね……」


凛「ううん……あの時は仕方なかったよ……」

花陽「そうだよ。凛ちゃんも花陽も命令で、海未ちゃんたちも任務だったから……」


海未「ことりが止めてくれなければ本当に二人を頃していたかもしれません」

絵里「そうね。だけどなんとかぎりぎり間に合った」

希「ウチも凛ちゃんも花陽ちゃんも、穂乃果ちゃんに助けられてな」

希「ウチはハイダ工廠が崩れる中、穂乃果ちゃんが来てくれてん」

ことり「あのとき工場に入っていく機体が見えた気がしたけど見間違いじゃなかったんだ」

凛「凛たちも穂乃果ちゃんが迎えに来てくれたおかげで助かったにゃー!」

花陽「まあ意識はなかったんだけどね……」

372: 2015/05/10(日) 03:00:38.42 ID:oDzprjuo.net
海未「どうして教えてくれなかったのですか?」

絵里「企業に散らばったオトノキの仲間を集めていることを企業に知られるわけにはいかなかったの」

絵里「穂乃果がいたアスピナはまだ中立だったし傭兵としての自由度は高かったから」

絵里「だけどあなたたちは完全にオーメル陣営として組み込まれていた」

絵里「自分の企業に騙された希に敵側の凛と花陽、それに反体制勢力のにこ」

絵里「この5人を匿うためにリスクはかけたくなかったの」

絵里「結果的にあなたを苦悩させたことは悪いと思ってるわ」


海未「いえ、そんなつもりでは……」

海未「それに私の責任でもありますから……」


凛「まあまあ。みんなこうして生きていたから海未ちゃんはもう自分を責めないで」


海未「凛……ありがとうございます……」


絵里「それと新たに私たちに協力してくれる人がいてね」

絵里「どうぞ……」

373: 2015/05/10(日) 03:01:18.05 ID:oDzprjuo.net
にこ「あんた……」

???「矢澤にこか……生きていたのか」

にこ「霞スミカじゃない! どうしてあんたがここに?」

???「セレン・ヘイズだ。霞スミカではない……」

希「セレン・ヘイズって霞スミカを英訳しただけやん……」

セレン「聞こえているぞ」ギロ

希「ひっ……」


絵里「大丈夫よ、セレンはこう見えてお人好しなんだから」

絵里「匿名で敵に襲撃の情報を知らせるぐらい、ね?」

セレン「貴様っ……!」


ことり「あなただったんですか……オトノキが襲われるって教えてくれたの……」


セレン「ふんっ!」


絵里「セレン、あなたのリンクスは?」

セレン「メカニックと一緒にショッピングに行ってしまってな」

セレン「先に話をすすめてくれて構わん」

絵里「わかったわ。では本題だけど……」



絵里「アサルト・セルって聞いたことある?」

374: 2015/05/10(日) 03:02:39.58 ID:oDzprjuo.net
海未「いえ、初耳です……」

ことり「私も聞いたことない……」

絵里「セレンは直接見たことあるのよね?」

セレン「ああ。クレイドル防衛任務中に攻撃されたことがある……」

セレン「自立兵器が空を埋め尽くしていた……」


海未「そんなものがあるんですか……」


絵里「国家解体戦争よりもずっと前の話よ」

絵里「当時宇宙開発に進出した各企業が他勢力より優位に立つ手段として無差別攻撃をする自立兵器を投入したの」

絵里「それがアサルト・セルよ」

絵里「その後宇宙開発競争は激化し、各企業はアサルト・セルの数を増やしていった」

絵里「その結果、増えすぎたアサルト・セルは手が付けられなくなってしまい人は地球に閉じ込められたの」


海未「まったく知りませんでした」


絵里「そしてそのアサルト・セルを排除するものをある企業が開発した」

絵里「それが衛生破壊砲、エーレンベルク」

海未「それって、レイレナードの……」

ことり「穂乃果ちゃんが破壊したものだよね……」

375: 2015/05/10(日) 03:03:50.96 ID:oDzprjuo.net
絵里「そう、レイレナードは閉じ込められた人類を解放するために衛生破壊砲を開発したの」

絵里「だけどアサルト・セルの存在を公にされるのを恐れた企業がそれを阻止しようとした」

海未「まさか……リンクス戦争というのは……」

絵里「そう、企業が隠していた真実をレイレナードごと闇に葬る、それがリンクス戦争の真相よ」


ことり「そんな……そんなことのために……穂乃果ちゃんは……」


絵里「穂乃果も私もその真実を知って動き出していたの」

絵里「あのとき衛生破壊砲が撃たれていたらアサルト・セルは排除されていたかもしれない」

絵里「だけどあの時そうしていたなら、戦争が長引くだけ……」

絵里「それで私はもう一度考えたの……」


絵里「企業を相手にしても絶対に負けない仲間、そしてその先の秩序……」


絵里「本当の私たちにとっての平和な世界をね……」


海未「平和な世界ですか……」


ことり「それが穂乃果ちゃんが描いた夢……」


絵里「ええ……」


???「ごめんなさい、遅くなりました!」

376: 2015/05/10(日) 03:04:56.73 ID:oDzprjuo.net
絵里「遅いわよ。みんなもう集まってたんだから」

セレン「話は私が聞いていたんだからあまり責めないでやってくれ」

絵里「もう……自分のリンクスには甘いんだから……」


海未「雪穂に亜里沙ですか……」


雪穂「はい、みなさんお久しぶりです!」

亜里沙「お元気そうで」

絵里「雪穂の名前、最近よく聞くわよ」


セレン「さすがは高坂穂乃果の妹といったところか。お前より強いかもしれんぞ」

セレン「私が育てたのだからな……」


海未「亜里沙がアーキテクトをしているのですか?」

亜里沙「アーキテクトはセレンさんです。私はメカニック担当で」


絵里「話を進めていいかしら?」

ことり「どうぞ……」


絵里「それで海未に協力してほしいことなんだけど……」

絵里「ここ、ラインアークを私が襲撃することが決定したわ」


海未「なんですって!」

377: 2015/05/10(日) 03:05:39.56 ID:oDzprjuo.net
絵里「その作戦中に私は戦氏したことにして、企業を抜ける」

絵里「海未は雪穂と協力して私を撃破して欲しいの」

セレン「企業のランク1が攻撃をしかけるということでな、ここの代表が昨日依頼を申し込んできた」

セレン「園田海未、お前のほうにもじきに連絡が来るはずだ」


海未「なるほど……」


絵里「そして私はみんなと合流して、クローズ・プラン発動する」

絵里「もちろんあなたたちもね」


海未「……わかりました。ことりも一緒にいいですか?」

ことり「もちろんだよ。みんなと一緒ならどこへでもいける」

絵里「決まりね」


絵里「それと海未にはもうひとつお願いがあるのだけど……」


海未「お願いですか? なんでしょう?」


絵里「ええ、それは――」

378: 2015/05/10(日) 03:06:25.42 ID:oDzprjuo.net
雪穂『海未さんと一緒に戦うのってなんだか緊張する……』

セレン『そんなに気張ることはない。どうせ茶番に過ぎないのだからな……』


海未「……」


ことり『海未ちゃん大丈夫……?』


海未「はい……大丈夫です……」

海未「いきましょう……!」ヴゥゥゥンフォォォォン


セレン『ミッション開始、ホワイト・グリントと協力して企業のネクストを撃破する』

雪穂『了解』ヴゥゥゥンフォォォォン





絵里(向こうも動いたようね……)

絵里『じゃあ、そろそろ私たちも行きましょうか……』

絵里『いけるわね……?』





絵里『真姫……』






真姫『ええ……』

379: 2015/05/10(日) 03:07:59.90 ID:oDzprjuo.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

絵里「私のパートナーを倒してあげて欲しいの」

海未「絵里のパートナーとは? 一体誰なんです?」



絵里「真姫よ……」


海未「真姫を殺せというのですか……」


絵里「ええ……彼女は穂乃果が亡くなってから壊れてしまった……」

絵里「穂乃果を失ったアスピナで過酷な実験を受け続けて、もう以前の彼女ではなくなっているわ……」

絵里「海未を恨んでいたわけじゃないの。ただ、穂乃果がいなくなって、自分が人質になっていた真実を知ってしまった彼女は生きる希望を失ってしまったの」

絵里「私の声もまるで届かなかったわ」

絵里「来る日も来る日も実験に使われて、もう彼女の目には穂乃果しか映っていない……」

絵里「ならせめて楽にしてあげたいと思うのは傲慢なのかしら……」

海未「わかりません……ですが、穂乃果が最後に選んだという真姫がこれ以上苦しまないようにと思うのは賛同できます……」

絵里「辛いことを押し付けていることはわかってる……だけど……」


海未「はい……仲間を手に掛けるのは辛いです……ですが……」



海未(穂乃果……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)

380: 2015/05/10(日) 03:08:45.61 ID:oDzprjuo.net
海未(真姫……私の所為であなたを苦しめてしまったのですね……)

海未(今……私が……)ドヒャア


ことり『海未ちゃん、予定通りまずは絵里ちゃんを攻撃して!』

海未「了解です! 雪穂、援護をお願いします!」パスパス ピッピッピ

雪穂『はい!』


          バシュウ


絵里『これが海未の機体専用に開発された分裂ミサイルね……』

絵里『速い巡行速度となんて旋回性能なの……』ズガガ


絵里『私のステイシスでもすべてを避けきるのは無理ね……』

絵里『って、つい本気になってしまったわ……』


絵里『それよりも真姫……』




真姫『ホワイト・グリント……』ギリ

       ドヒャア

381: 2015/05/10(日) 03:09:28.05 ID:oDzprjuo.net
ことり『真姫ちゃんのフラジールが動いたよ!』

ことり『限界まで切り詰めたフレームはもの凄い速度だけど精神負荷もかなり強いって聞いたことがある』

ことり『真姫ちゃん……』


海未「いきます……」ドヒャア




セレン『雪穂、予想通りフラジールはホワイト・グリント狙っている』

セレン『そのままステイシスを受け持ちながら可能であれば援護してやれ』

雪穂『了解……』




真姫『海未……』

海未「真姫……」


真姫『どうして……』

海未「え……?」

真姫『どうしてあなたがホワイト・グリントに乗っているの……!』ドヒャア バララララ

382: 2015/05/10(日) 03:10:36.16 ID:oDzprjuo.net
海未「速い……?」

真姫『ホワイト・グリントは穂乃果の機体よ!』

真姫『どうしてあなたがっ! 穂乃果を頃したあなたがその機体に乗っているの!』バラララ


海未「……」


ことり(穂乃果ちゃんのアーキテクトだったっていうあの人……)

ことり(どうして海未ちゃんに新しいホワイト・グリントを与えたんだろう……)


海未「真姫……」バスン ピッピッピ バシュウ……



真姫『うああああああああああっ!』バララララ


     ズガァァン



ことり『海未ちゃんの攻撃を避けようとしていない……』

ことり『真姫ちゃんはもう……』




真姫『うぅううみぃぃいいいいいいい!!』バラララ



海未「……ごめんなさい」ユラ

383: 2015/05/10(日) 03:11:23.42 ID:oDzprjuo.net
絵里『ホワイト・グリントのプライマルアーマーが揺らいだ……』

絵里『これで終わり…………真姫……』



         シュバァァァァン!!




雪穂「アサルトアーマー……あんな至近距離でまともにくらえば……」











真姫『はぁ……まぶ……しい……』



真姫『AMSから光が逆流して……あぁ……』



『真姫ちゃん――』



真姫『穂乃果……迎えに来てくれたのね……』

384: 2015/05/10(日) 03:12:33.74 ID:oDzprjuo.net
ことり『ふ、フラジールの撃破を確認……』グス


海未「……」


セレン『雪穂、あとはステイシスだけだ。撃破しろ』


雪穂『はい!』パスパス




絵里『真姫……お疲れ様、穂乃果と一緒にゆっくり休んで……』ガァァァン


絵里『ここまでね……』ガクン  バシャァン

絵里(海未……ごめんなさい……ありがとう……)



セレン『ステイシス戦線離脱、作戦は成功だ』

セレン『とはいえ、茶番に付き合っただけだがな』


雪穂『……』


セレン『西木野真姫のことは残念だったがああしてやるのが彼女の為だ』

セレン『少しずつでいい……受け入れろ……』

雪穂『はい……』

385: 2015/05/10(日) 03:13:52.60 ID:oDzprjuo.net
ことり『海未ちゃん……』

海未「ことり……覚悟していたつもりなんです……」

海未「穂乃果の描いた夢の為に……だけど私は穂乃果を頃してしまいました……」

海未「そして穂乃果の愛した真姫さえも……」

海未「できることなら、穂乃果の夢見た世界にみんなで行きたかった……」


海未「穂乃果の夢を一番近くで見ていた真姫が誰よりも望んでいたはずです……」


ことり『うん……』グス


海未「我儘を言ってもいいですか……?」

ことり『うん……』


海未「今日のことを受け入れる前に……後で抱きしめてください……」ポロポロ


ことり『うん……一緒に強くなろう……』



海未「はい……」

386: 2015/05/10(日) 03:16:06.18 ID:oDzprjuo.net
「もう、どうして真姫ちゃんまでこっちに来たの? 穂乃果がお願いしたのに」

「穂乃果がひとりだと寂しいって泣いてるんじゃないかと思ってね」


「そんなことないもん。生きてって言ったのに」

「そんなに膨れないの。私が一緒じゃイヤなの?」

「そんなことないけど……」

「じゃあいいじゃない」


「むぅ……まあ、もう仕方ないか」

「そ、仕方ないの」


「うん、だけどほんとはちょっとだけ寂しかったから嬉しかったんだ……」


「もう穂乃果ったら……」

「えへへ……」


「あっ! 見て見て! みんなが空に昇っていくよ!」

「これでみんな幸せになれたらいいわね」


「じゃあ穂乃果たちもいこっか」

「ええ、今度こそずっと一緒よ」


「うん! さぁ、痛み超えてCOSMOSを目指そうよ――!」

387: 2015/05/10(日) 03:19:35.33 ID:oDzprjuo.net
中途半端ですがこれで終わりです

某ハイスピードスクールアイドルメカアクション動画のCOSMOSの意訳歌詞を見て思いついたので
そのまま引用させてもらいました
すみません

ト書きのSSは初めてだったのですがレスくれた方々、駄文に最後までお付き合いいただきありがとうございました

388: 2015/05/10(日) 03:24:30.22 ID:2Ld041Tq.net

面白かったACはLRしかやってないけと

389: 2015/05/10(日) 03:37:53.02 ID:WAVmvBTy.net

今度はVDで書いてくれ

393: 2015/05/10(日) 10:13:09.63 ID:TXb/+6/i.net
虐殺ルート…(´・ω・`)

394: 2015/05/10(日) 10:34:49.10 ID:5i3q9gJ2.net
fAはじまったとおもったらおわってた


引用元: 海未「音ノ木坂の傭兵・・・ですか?」