1:◆cgcCmk1QIM 21/06/28(月)17:57:50 ID:r0Oh
スタッフ「では、お2人の控え室はこちらになります」
宮本フレデリカ「ワオ! 結構ひろーい!!」
岡崎泰葉「本当。これ、普段大御所さんが入る部屋じゃないですか?」
スタッフ「こちらの手違いで、かなりお待たせすることになってしまいますし、せめてものお詫びということで、ひとつ」
泰葉「夢見さんは別コーナーの撮影で1時間後の到着でしたっけ」
フレデリカ「シンウチは遅れて来るって奴だね!」
泰葉「言葉としては解るんですが、それ真打ちで合ってましたっけ」
フレデリカ「ううん、知らない!」
泰葉「そうだろうと思いました」
宮本フレデリカ「ワオ! 結構ひろーい!!」
岡崎泰葉「本当。これ、普段大御所さんが入る部屋じゃないですか?」
スタッフ「こちらの手違いで、かなりお待たせすることになってしまいますし、せめてものお詫びということで、ひとつ」
泰葉「夢見さんは別コーナーの撮影で1時間後の到着でしたっけ」
フレデリカ「シンウチは遅れて来るって奴だね!」
泰葉「言葉としては解るんですが、それ真打ちで合ってましたっけ」
フレデリカ「ううん、知らない!」
泰葉「そうだろうと思いました」
2: 21/06/28(月)17:58:41 ID:r0Oh
スタッフ「ではごゆっくり。夢見さんは到着次第ご案内しますので(退室)」
フレデリカ「行っちゃった」
泰葉「まあ、ずっと居られても困りますしね」
フレデリカ「みてみて泰葉ちゃん! テーブルにすごいケーキが置いてあるよ」
泰葉「うわ、これ銀座の有名な店の奴ですよ」
フレデリカ「食べちゃっていいのかな(カチャカチャ)」
泰葉「とか言いつつもうお皿出してるし……まあお詫びの印だと思いますから、食べちゃいますか」
フレデリカ「控え室といいお菓子といい、大盤振る舞いだね(モグモグ)」
泰葉「自分のところの撮影の調整ミスで1時間も待たせるなんて、ふつう無いですからね。こっちのスケジュールも押しちゃうし、噂になったらまずいと思ってるんでしょう(モグモグ)」
フレデリカ「フレちゃんの怒りはこのぐらいでは収まりませんことよ? パトリックロジェのプラリネを持てい!」
泰葉「ここぞとばかりに高いものを! というかさっきまで別に怒ってなかったじゃないですか」
フレデリカ「そだね。泰葉ちゃんとのお仕事はバレンタイン以来だし、のんびりお話するのもいいかなーって」
3: 21/06/28(月)17:59:02 ID:r0Oh
泰葉「もう一年近く経つんですね……あ、そういえばハロウィンではうちの裕美ちゃんがお世話になりました(ペコリ)」
フレデリカ「うちの裕美ちゃん。聞きましたかねえ奥様。うちの裕美ちゃんですって!」
泰葉「そ、そこに絡まなくてもいいでしょう!?」
フレデリカ「泰葉ちゃんはすっかりGBNSのお姉さんなんだねー。もっとこう、等身大の可愛いを見せて欲しいのになあ」
泰葉「なかなか、そうも行かないですよ。先輩として厳しくもしなきゃいけないし」
フレデリカ「でもGBNSの4人でいるときは結構油断してるって裕美ちゃんが」
泰葉「裕美ちゃん!?」
フレデリカ「休憩時間に泰葉ちゃんの可愛いエピソードをたっぷり教えてもらっちゃった! たとえばねー」
泰葉「あ! あんなところに雑誌がたくさん!!」
フレデリカ「あからさまに話題をそらされた!?」
4: 21/06/28(月)17:59:26 ID:r0Oh
泰葉「あーすごいこんなにたくさん雑誌があるどれも最新号で……えっ、季刊ドールハウスの友の最新号!?」
フレデリカ「この食いつき方、いつも読んでる本と見た」
泰葉「はい。すてきな写真が多くてすごく参考になるんだけど都内でも取り扱いの書店が少ないし記事が充実してるから仕方ないんですけどちょっと不定期刊行気味で、ほらこんなに可愛いドールハウスの写真がこんなに、こんなに(キラキラ)……あ、ごめんなさい、一方的にぺらぺらと」
フレデリカ「(無邪気可愛い泰葉ちゃんが見られたから)かまわないよ?」
泰葉「何か言外に前置きがありませんでした?」
フレデリカ「いえいえお気になさらないでくださいまし。せっかく時間もあるんだからその本をゆっくり読んでしるぶぷれ」
泰葉「そうさせてもらって構いませんか(ワクワク)」
フレデリカ「(フレちゃんは本を読む可愛い泰葉ちゃんを堪能するから)いいよ?」
泰葉「言外!!」
5: 21/06/28(月)18:00:40 ID:r0Oh
フレデリカ「まあまあ。フレちゃんも何か雑誌読んでるから! これとかよさそう!」
泰葉「ざわざわ……? えっ何の本なんですかそれ。ざわざわがタイトルなんですか」
フレデリカ「んー。児童文学の本みたいだね(パラパラ)」
泰葉「えっ何色々な意味で気になる……」
フレデリカ「後で取り替えっこして読もう!」
泰葉「お願いします。じゃあ、こっちも早く読んじゃいますね?」
フレデリカ「(泰葉ちゃんの可愛い顔を楽しみたいから)ゆっくりでいいです」
泰葉「だから言外!! ……じゃあ、失礼して(パラパラ)うわあ……うわあ……」
フレデリカ(ヤスハちゃんの瞳がキラキラと輝いている……)
泰葉「へえ……なるほど……こんなやり方が……」
フレデリカ(おっと解説のフレちゃんさん、これはもう本に集中してフレちゃん見えてないっぽくないですか? どうやらそのようですね実況のフレちゃんさん。後は眺め放題、愛で放題ですね)
泰葉「……あっ」
フレデリカ(?)
6: 21/06/28(月)18:02:21 ID:r0Oh
泰葉「……」
フレデリカ「ヤスハちゃん?」
泰葉「……あ。聞こえちゃいましたか」
フレデリカ「(ヤスハちゃんをじーっと観察してたから)もちろんだよ?」
泰葉「繰り返しになるけど言外! ……いえその。いつか買おうと思ってたキットが取り扱い終了になっちゃったんですよ、ほら(ペラッ)」
フレデリカ「このムッシュ・クマサーンとマドマゼル・ウサギチャーンが可愛い奴だね?」
泰葉「うさぎさんとくまさんが購入したい理由というわけではないんですが、まあそうです」
フレデリカ「ふーん。可愛いのにどうしてだろ」
泰葉「海外のキットみたいですから、輸入してた業者さんが仕入れをやめたのかもしれないですね。思ったより売れなかったのか、何か問題があったのか……あーあ。こういう事があるから、欲しいと思ったものはサッと買っておかないとだめなんですよねえ」
フレデリカ「フレちゃん知ってる。それ積んじゃう人のセリフだ!」
泰葉「いいじゃないですか、いつでも組める状態で手元にあるっていうだけで心が豊かになるんですよう!!」
7: 21/06/28(月)18:02:45 ID:r0Oh
フレデリカ「ところでよろしいですかヤスハさん」
泰葉「え、急にさん付けで気持ち悪い」
フレデリカ「ところでよろしいですかヤスハさん」
泰葉「聞いてくれない方向なんですねわかりました」
フレデリカ「ヤスハさんはこのスタジオ何回か来てましたよね?」
泰葉「はい、子役時代も入れたら何回か」
フレデリカ「ではちょっとご教授いただきたいのですが!」
泰葉「あ、はい。なんでもどうぞ。ここのことならだいたい解りますから(フンス)」
フレデリカ「どやふんすヤスハちゃんだヤッター! まあそれはそれとしてプチコワンの場所教えて!」
泰葉「ぷちこわん?」
フレデリカ「おフランスの言葉でト○レって意味らしいよ!!」
泰葉「アイドルが○イレとか叫んじゃだめぇ!!」
8: 21/06/28(月)18:04:14 ID:r0Oh
フレデリカ「いいじゃない。別に誰が聞いてるわけでもカメラが回ってるわけでもないんだからー」
泰葉「そ、それはまあそうなんですけど(キョロキョロ)」
フレデリカ「やっぱりかー」
泰葉「えっ?」
フレデリカ「なんでもなーい! さあヤスハ先輩、新人のフレちゃんを案内してください。さあ、さあ(グイグイ)」
泰葉「いや引っ張らなくても行きますしそもそも案内がいるほど入り組んだところにあるわけじゃ、ああああ力がつよいー!!(ズルズル)」
フレデリカ「ホホホ、短大でデザインの勉強をしているおフレさんの腕力、お舐めにならないことね(グイグイ)」
泰葉「その情報と腕力、なんの関係もないですよね。待ってちょっとせめて本を置かせてー!?(ズルズル)」
◇◇◇
9: 21/06/28(月)18:04:50 ID:r0Oh
◇◇◇
泰葉「というわけで、ここがお手洗いです」
フレデリカ「なるほどなるほど(グイグイ)」
泰葉「えっなんでまだ手を引くんですかこわい」
フレデリカ「いえいえ、別に怖いことはありません。まずこうして一番奥の個室に2人で入りまして」
泰葉「待ってまってなにごと」
フレデリカ「で、こう(ガチャ)」
泰葉「なんで鍵閉めちゃうんですかー!?」
泰葉「というわけで、ここがお手洗いです」
フレデリカ「なるほどなるほど(グイグイ)」
泰葉「えっなんでまだ手を引くんですかこわい」
フレデリカ「いえいえ、別に怖いことはありません。まずこうして一番奥の個室に2人で入りまして」
泰葉「待ってまってなにごと」
フレデリカ「で、こう(ガチャ)」
泰葉「なんで鍵閉めちゃうんですかー!?」
10: 21/06/28(月)18:06:17 ID:r0Oh
フレデリカ「あらヤスハちゃん、お手洗いを使う時に鍵をかけないなんてエチケット違反ですことよ?」
泰葉「いやもちろんお手洗い使うときは鍵閉めますけど、聞きたいのはどうして2人で個室に……あ、お手洗いに来たかったって、こうするための口実?」
フレデリカ「ふふふ大した名推理だね探偵さん」
泰葉「誰が名探偵ですか……それで、どうしたって言うんですか、もう」
フレデリカ「あの本、本当は何が書いてあったの?」
泰葉「えっ」
フレデリカ「季刊ドールハウスの友最新号」
泰葉「何の話ですか」
フレデリカ「読んでて、表情が変わってたから」
泰葉「それは買おうと思ってたドールハウスが……」
フレデリカ「そういうときはフレちゃんならまず声に出しちゃうなー。『えーっ信じらんないセ・パ・ヴレ!?』って」
泰葉「セ・パ・ヴレってなんですか」
フレデリカ「たぶん信じらんないとかそういう感じ!」
泰葉「2カ国語で叫ぶ必要あります?」
11: 21/06/28(月)18:06:32 ID:r0Oh
フレデリカ「でも、ヤスハちゃんの顔は『びっくりした! セパ両リーグ!』って感じじゃなかったなーって」
泰葉「どういう驚き方なんですかそれ」
フレデリカ「なんだか、ギクッとしたって顔だったかな。ギクッとして、それからもう一度見返して、何かつらいこと思い出したような顔をする。パッと驚いただけじゃなく、考え込んじゃったんだねー」
泰葉「よ、よく見てますね……」
フレデリカ「それはもちろん。ドールハウスの本に目を輝かせるかわいいヤスハちゃんをじっくり鑑賞してたからね!!」
泰葉「ついに言外に隠しすらしなくなった!?」
フレデリカ「でもでもフレちゃんは思いました。欲しかったものの売り切れひとつで、子役時代に巨万の富を築き上げたヤスハちゃんがそんな顔するかなーって」
泰葉「……いえ別に巨万の富というほどではありませんが」
フレデリカ「とかいって実はー?」
泰葉「ノーコメント。お金の話はノーコメントです」
フレデリカ「で、どうだったの?」
泰葉「……」
フレデリカ「……」
12: 21/06/28(月)18:08:46 ID:r0Oh
泰葉「ちゃんと演技でごまかせたと思ってたんですが」
フレデリカ「演技って意識してやるものじゃない。不意打ちされた瞬間までは難しいのかもね!」
泰葉「今度から気をつけます……実は、仕込みが入ってたんですよ。ほら(パラッ)」
フレデリカ「あ、本当だ。ページが差し替えてあるー……これはあれ? ドッキリの台本?」
泰葉「はい。私が仕掛け人で、フレデリカさんに」
フレデリカ「実は私、アイドルやめて演劇に戻ろうと思ってるんです、と切り出してフレちゃんの反応をみる。あーやっぱりカメラ回ってたんだねあの部屋」
泰葉「それも気がついてましたか」
フレデリカ「ヤスハちゃん、フレちゃんがト○レって言ったとき、慌てて部屋を見回すんだもん」
泰葉「しまった思わず……!!」
フレデリカ「しかしドッキリの脅かされ役にフレちゃんを抜擢するとは、ここのスタッフは度胸あるよね……おおー、なんて充実した想定問答集。これならあのフレデリカさんが相手でも安心じゃないかしら?」
泰葉「もうその物言いからして不安しかないですけどね」
フレデリカ「テヘッ☆」
13: 21/06/28(月)18:10:06 ID:r0Oh
泰葉「まあ最悪フレデリカさんがコントロールできなくても後で夢見さんが合流しますから、そっちがわかりやすい感じで大騒ぎしてくれるだろうってことみたいですね。こういう知らされかたは初めてだから、私もちょっと驚いちゃって……」
フレデリカ「なるほどー。で、本当のところは?」
泰葉「え?」
フレデリカ「ギクッてした理由」
泰葉「だから、ドッキリの台本が」
フレデリカ「ドッキリなんか慣れっこの海千山千のヤスハ先輩が仕込みひとつでギクッてするかなあ」
泰葉「それは」
フレデリカ「正直に言わないと、秘密のトワレしちゃうぞ?」
泰葉「なんですかその脅し文句」
フレデリカ「知ってる? ト○レとトワレって実は親子丼と他人丼ぐらい近い親戚なんだよ」
泰葉「何言ってるかさっぱり解らないけど秘密のトワレって脅し文句がなんだか不穏な感じに!」
フレデリカ「なるほどー。で、本当のところは?」
泰葉「え?」
フレデリカ「ギクッてした理由」
泰葉「だから、ドッキリの台本が」
フレデリカ「ドッキリなんか慣れっこの海千山千のヤスハ先輩が仕込みひとつでギクッてするかなあ」
泰葉「それは」
フレデリカ「正直に言わないと、秘密のトワレしちゃうぞ?」
泰葉「なんですかその脅し文句」
フレデリカ「知ってる? ト○レとトワレって実は親子丼と他人丼ぐらい近い親戚なんだよ」
泰葉「何言ってるかさっぱり解らないけど秘密のトワレって脅し文句がなんだか不穏な感じに!」
14: 21/06/28(月)18:11:33 ID:r0Oh
フレデリカ「さあ、観念してフレちゃんと秘密のトワレするか、白状するか選ぶがよい」
泰葉「……」
フレデリカ「……」
泰葉「……あの人たちは、こんな風に答えて欲しかったのかなあ、って」
フレデリカ「あの人たちってどの人たち?」
泰葉「私がアイドルになるって決めたとき、反対したひとたち」
フレデリカ「オー。いわゆるムカシノシガラミって奴だね」
泰葉「茶化さないでくださいよ。ほら、台本にそこそこ想定問答が乗ってるでしょう」
フレデリカ「たしかに。がんばっていろいろ書いてありマース」
泰葉「これってつまり、どうして岡崎泰葉が子役に戻る事にしたかって話をする台本なんですよね」
フレデリカ「『やっぱり、長く打ち込んできたことだから、続けなきゃって』『向こうの世界にはお世話になった人も多いんです』『やっぱり演技の世界には、深い奥行きがあると気付いたんです』」
『役者の私を待っててくれるファンの人が、こんなにたくさんいるんだって気がついて……』いろいろあるねー」
泰葉「わあすてき。もし本当に役者に戻りたくなったら、私、こんな風に言うんでしょうね」
フレデリカ「すごい。こんな心にもないこと言ってる感じのヤスハちゃん初めて見た……」
15: 21/06/28(月)18:11:55 ID:r0Oh
泰葉「あはは……偶然だと思うんだけど、これね、私を引き留めようとした人たちも言ったことなんですよ」
フレデリカ「むむむ?」
泰葉「子役やめてアイドル目指します! って言ったとき、怒った人も頭ごなしに反対した人もいたんですけどね。そうじゃなくて、『貴方の為に』って言った人も結構いたんです」
フレデリカ「ふむふむむ」
泰葉「せっかく長く打ち込んで結果を出してきたことだから。たくさんお世話になった人もいるし、そういうつながりは大事にした方がいいよ。ここで踏ん張って続けていく事が、きっと君の力になるから。君を待ってくれてるファンがたくさんいるんだよ……色々いたなあ」
フレデリカ「ふーん」
泰葉「何かもの言いたげですね?」
フレデリカ「ううん、まずは続けて続けて」
泰葉「……まあ結局はそういう風に『親切』に引き留めてくれる人にもごめんなさいしてこっちの世界に飛び込んできちゃったわけなんですけど、私を説得した人は、こういう風に答えて欲しかったんだろうなあ、って」
フレデリカ「……」
16: 21/06/28(月)18:12:20 ID:r0Oh
泰葉「だから、ちょっと。不意を打たれて、かんがえちゃったんです」
フレデリカ「うん」
泰葉「お世話になってる人に不義理するのも悪いから。たくさんのファンの事を思うとわがまま言えないし。辛抱するのも大事ですよね……『親切に』言ってくれる人の台本に乗ってそんな風に頷いて、留まってたら。また今とは違った、案外明るい未来もあったりしたのかなあ、って」
フレデリカ「……」
泰葉「フレデリカさんはどう思いますか?」
フレデリカ「フレちゃんが?」
泰葉「はい。その人たちの親切を聞いて踏ん張ってたら、その親切な人たちと一緒に、あの世界に留まってたら。私には、明るい未来が待っていたりしたと、思いますか?」
フレデリカ「……ヤスハちゃん」
泰葉「はい」
フレデリカ「自分で聞いておきながら『でもこういう聞き方したら、うんそうだね、そういう未来も幸せだったかも! とは答えづらいだろうなあ』とか考えてない?」
泰葉「……ふふ、言われてみればそうですよね」
17: 21/06/28(月)18:13:55 ID:r0Oh
フレデリカ「だから、そういう大事なことはりあむちゃんに聞いてみよう!!」
泰葉「えっ?」
夢見りあむ「呼んだ?」
泰葉「えっりあむさん!?」
りあむ「アッ泰葉ちゃんだ! はいぼくです! いま来ました!!」
フレデリカ「ワオ! 噂をすればウンブロ! ちょっと語感がト○レっぽいね?」
りあむ「わあフレデリカちゃんもいるぅ! 推しが2人が薄い扉1枚隔てた向こう側にぃ……いやそっちの問題じゃないよね? どうしていっこの個室からふたりの声がするの?」
泰葉「えっえっ、なんでいきなりこのタイミングでりあむさんが突然ト○レに現れるんですかこわい」
りあむ「いやひどくない!? どうしてって言うと前の現場で時子サマと共演だったぼくは緊張のあまりバカみたいに水飲んだからで」
フレデリカ「芸能人格付けだっけ」
りあむ「ぼくをそういうのに呼ぶとかばかじゃないかな、ねえ!? まあそれで夢見ダムの貯水率が100パー越えそうなわけでト○レにくるのはむしろ当然というかー」
フレデリカ「それはおじゃましてすみません。どうぞ速やかにしるぶぷれ」
りあむ「居ると解っててできるかァ! というかだからどうしてフレデリカちゃんと泰葉ちゃんの声がいっこの個室から聞こえてくるのさ。あっ、これって居合わせちゃいけないふたりの秘密の場面だったりした? ぼくウマが蹴りにくる前に退散したほうがいい流れ?」
18: 21/06/28(月)18:14:28 ID:r0Oh
フレデリカ「いえいえリアムちゃんには別の流れがありましてよ?」
りあむ「えっそれは一体」
フレデリカ「(ガチャ)秘密の隠れ家にご招待だー♪(グイー)」
りあむ「わああ引っ張り込まれたァ!?」
泰葉「ごめんなさい、フレデリカさんは悪気は無いけど唐突なんです」
りあむ「謝らないでよ泰葉ちゃーん。フレデリカちゃんのそういうところも推せるから!」
フレデリカ「秘密の隠れ家にようこそ!」
りあむ「ふおおおお、すぐ近くに! ほんとに息がかかる距離に顔のいいアイドルふたりが!! ここがトイレの個室じゃなきゃ天国なのにぃ! あれっ、というかどうしてぼくもひっぱり込まれたの? ヤキ入れ? ウザい後輩に焼き入れっスかぁ!?」
泰葉「あっという間に騒々しい……」
19: 21/06/28(月)18:16:22 ID:r0Oh
フレデリカ「ともかくリアムちゃんにはこれを読んで欲しいのです(グイグイ)」
りあむ「えっなんで(グイグイ)ぼくが(グイグイ)そんなヘンな(グイグイ)人形の本なんか(グイグイ)って待って押しつけないでェ」
フレデリカ「これはね、ドッキリの台本!!」
りあむ「えっ?」
泰葉「私がお2人をだます用の台本ですね」
りあむ「待ってまってなんでそれ読ませようとするの? ねえ? ぼくリアクション担当なんじゃないの」
フレデリカ「読まないと、ここから出してあげないぞー?」
りあむ「うわあそんなことになったら2人の前で夢見ダムが!」
フレデリカ「決壊しちゃうかも!?」
泰葉「こんなひどい脅し文句初めて聞きました……」
りあむ「うう、読みます。読ませていただきますう! えーと(パラパラ)」
20: 21/06/28(月)18:16:44 ID:r0Oh
泰葉「……」
フレデリカ「……」
りあむ「えっなにこれクソじゃん」
泰葉「 」
フレデリカ「あはは」
りあむ「つまんな! クッソつまんな!!」
泰葉「うわあ」
りあむ「やらせていいことと悪いことがあるよね? オタクは推しが健やかにがんばってくれるのがいちばん見たいに決まってるじゃん。演技でも誰も見たくないよこんなの」
泰葉「うわあ、うわあ、言いたい放題だ」
りあむ「だいたいなんで泰葉ちゃんにこういうネタやらせようとするのさ。絶対言わないでしょこんなの。そりゃ言われたら驚いただろうけどさー、アイドルへの転向ってそんな軽い話題じゃないだろ? これ書いたの誰だよう。絶対泰葉ちゃんのことよく知らないだろ!」
泰葉「ど、どうどう。どうどう」
りあむ「だいたい泰葉ちゃんのセリフがいちいち気に入らないんだよなー」
フレデリカ「へえ、どゆトコ?」
りあむ「お世話になった人がいるからーとかファンに悪いからーとか長年やってきたから続けなきゃーとかきれい風味だけど、しがらみで縛ってガマンさせるのってブラックのやり口じゃん。こういうこときれいな風に言わせたがるって、これ書いたの絶対ろくな奴じゃないよ、ねえ」
泰葉「 」
21: 21/06/28(月)18:17:30 ID:r0Oh
りあむ「あなたのためにーとか言うんだったらもっとこじれる前に助けに来いってんだ。いつだってそういう奴はぼくが『もうらめぇ』って言わないと出てこないんだ、やむ……」
泰葉「……ふふ、あははは」
フレデリカ「あはははははは」
りあむ「えっなに2人ともなんで笑うの」
泰葉「うんそうだよね知ってた!!」
りあむ「えっえっなにが」
フレデリカ「とりあえず台本がダメダメなのはフレちゃんも大賛成です!」
泰葉「私も!」
りあむ「そ、そっスか。なんで突然テンション高いの2人とも……?」
泰葉「……ふふ、あははは」
フレデリカ「あはははははは」
りあむ「えっなに2人ともなんで笑うの」
泰葉「うんそうだよね知ってた!!」
りあむ「えっえっなにが」
フレデリカ「とりあえず台本がダメダメなのはフレちゃんも大賛成です!」
泰葉「私も!」
りあむ「そ、そっスか。なんで突然テンション高いの2人とも……?」
22: 21/06/28(月)18:18:17 ID:r0Oh
フレデリカ「だからもっとおもしろいドッキリにして、この台本考えた人もドッキリさせてあげよう!」
泰葉「おー!!」
フレデリカ「というわけで作戦会議です」
りあむ「いや確かにクソなのはほんとだけどそれいいの? だいじょばなくない? というか作戦会議はいいけど先にぼく夢見ダムをどうにかしてきていい?」
フレデリカ「言いたかったことリアムちゃんに全部言ってもらったけど、きっとみんなもこう言うよ。そしてもちろんフレちゃも」
泰葉「フレデリカさん」
フレデリカ「ここがいいよ。今がいいよね?」
りあむ「ト○レが?」
泰葉「……はい!」
りあむ「はい!?」
フレデリカ「ふふふー。ヤスハちゃんのそういう笑顔好きー!」
りあむ「なんか状況が飲み込めないんだけど、とりあえず行って来ていい? いいよねー!?」
◇◇◇
23: 21/06/28(月)18:18:38 ID:r0Oh
◇◇◇
泰葉『フレデリカさん、りあむさん。私、2人にどうしても言わなくちゃいけないことがあるんです』
フレデリカ『あら突然どうしたのかしらヤスハさん。改まって私たちにいいたいことってなあに?』
泰葉『実は私……アイドルをやめることにしたんです!!』
フレデリカ『ええっ!? アイドルをやめるですって!?』
泰葉『はい。アイドル活動を休止して、ウサミン星人を目指します!!』
りあむ『待ってまってちょっと待って?』
泰葉『なんですか』
りあむ『えっなに? ウサミン星人?』
泰葉『りあむさんもよくご存じと思いますが』
りあむ『うんもちろん知ってるけど? ウサミン最推しだしな? でもほら、ウサミンはアイドルじゃん?』
泰葉『ええもちろん』
りあむ「それが解っててなんでウサミン星人とアイドルを別カウントにしてるのさ。ヘンじゃない』
泰葉『ヘンじゃないですよ。ウサミン星人はほら、人種ですから』
りあむ『人種』
24: 21/06/28(月)18:19:36 ID:r0Oh
泰葉『ウサミンは尊い。ウサミンはすてき。でもウサミン星人で居るのは並大抵のことではありませんからね』
りあむ『そもそもなろうとしてなれるもんなのそれ』
泰葉『難しいらしいですが、前例のない話ではないそうです』
りあむ『前例があっちゃうのかー……』
泰葉『私、アイドルが大好きです』
りあむ『あ、よかった。アイドルがイヤになったからどうこうって話じゃないんだ』
泰葉『だから長くアイドルを続けるために、まずウサミン星人になる。そういうことです』
りあむ『いや全然そういうことじゃないし。ちっとも意味が解らないし』
泰葉『そうですか?』
りあむ『え、だってウサミン体力持つの1時間だし、腰も大変みたいだし』
泰葉『でも、ちょうかわいいですからね!』
りあむ『それは確かにな!!』
泰葉『永遠の17歳でちっとも歳とらないし!!』
りあむ『何言ってるんだよう! ウサミンはちゃんと17歳だぞう!!』
25: 21/06/28(月)18:20:03 ID:r0Oh
泰葉『とにかくウサミンパワーを獲得してウサミミ装着。私はアイドルとしてさらなる高みを目指すのです! だからアイドル活動は一時おやすみ!!』
フレデリカ『待ちなさいヤスハちゃん!』
泰葉『フレデリカさん!?』
フレデリカ『貴女ひとりだけをウサミンの道に行かせはしなくってよ!(シャキーン!)』
りあむ『フレデリカちゃんがウサミミを!?』
泰葉『フレデリカさん、まさかフレデリカさんも一緒に……?』
フレデリカ『ええヤスハちゃん。2人でウサミンを目指しましょう!』
りあむ『うわー、これどうすればいいんだろ』
フレデリカ『何他人事みたいな顔してるんですかリアムサーン。ほら(ジャジャーン)』
りあむ『それは……ウサミミ!!』
26: 21/06/28(月)18:20:19 ID:r0Oh
フレデリカ『リアムちゃんもこれつけて、一緒にウサミンを目指そう!』
泰葉『そうそう、一緒にがんばりましょう』
りあむ『だ、ダメだよ、推しアイドルとキャラ被りねらって行くなんて……ぼくにはできないよう!!』
泰葉『ふふふ、抵抗しても無駄ですよ(ジリジリ)』
フレデリカ『一緒にウサミンになーるーのーだー(ジリジリ)』
りあむ『く、来るな。くるなー!!』
◇◇◇
27: 21/06/28(月)18:21:29 ID:r0Oh
◇◇◇
フレデリカ「いやあ怒られた怒られた」
泰葉「なぜかりあむさんだけ集中的に怒られてましたね」
りあむ「あれだけ好き勝手やったから怒られるのはあたりまえだけどなんでぼくだけなのか説明をもとめたいよう!!」
フレデリカ「よしよし(ナデナデ)」
りあむ「ふああフレデリカちゃんの綺麗な手がぼくの頭を撫でてるう!? だめ! こんなピンク頭撫でちゃらめぇ!!」
泰葉「嬉しいんですかイヤなんですか」
りあむ「心臓止まりそうに嬉しいけどおそれおおい!!」
フレデリカ「フクザツなオトメゴコロって奴なのかなー(ナデナデ)」
りあむ「とけちゃううう」
泰葉「……今回は、ご迷惑おかけしました」
フレデリカ「向こうのDさんも最後は笑ってたし、いいんじゃないかなー(ナデナデ)」
溶けつつあるりあむ「うあ……うあ……」
28: 21/06/28(月)18:21:42 ID:r0Oh
泰葉「だけど結局、私があんな顔したのがきっかけで大騒ぎになっちゃったし」
フレデリカ「フレちゃんは思うのですが!」
泰葉「はい」
フレデリカ「ヤスハちゃんがその『あんな顔』をガマンしなきゃいけない場所は、前いたところと変わらないんじゃない?」
泰葉「……」
フレデリカ「それはここじゃないし、今じゃないし、私たちじゃないんだよ。たぶん」
泰葉「……はい」
りあむ「ねえねえ、そろそろぼくにもわかるように話してくれたら嬉しいななんてうそですおそれおおいことをもうしました」
泰葉「……じゃあ、聞いてくれますか?」
りあむ「え、いいの?」
泰葉「はい。今回のきっかけ。私の、ほんのささいな昔話を」
泰葉(そして私は感謝をこめて、りあむさんに事の次第を説明しはじめました)
泰葉(あの時、仕込みの台本をみたときに胸に浮かんだ暗さは、もうありません)
泰葉(私はもう、ここにいるんだから。はっきりと、それでよかったって思えたんだから……)
(おしまい)
29: 21/06/28(月)21:42:40 ID:l6JX
おつでした
この三人の組み合わせは珍しい
別の業界で結果を出していながらアイドルの世界に飛び込んできた人間
あらゆる事に自由でたまたまアイドルの世界に来た人間
アイドルを応援する立場からアイドルの立場に引きずり込まれた人間
色々違いはあるけど、「アイドル」に対する愛情はみんな強いんですよね
この三人の組み合わせは珍しい
別の業界で結果を出していながらアイドルの世界に飛び込んできた人間
あらゆる事に自由でたまたまアイドルの世界に来た人間
アイドルを応援する立場からアイドルの立場に引きずり込まれた人間
色々違いはあるけど、「アイドル」に対する愛情はみんな強いんですよね
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