419: 2011/07/14(木) 19:37:13.39 ID:0R+V5+NC0


420: 2011/07/14(木) 19:37:49.49 ID:0R+V5+NC0
--- 天の柱 ---

マミ「”天使の翼”って本当に便利ね」

杏子「歩かずに意地悪なダンジョンまで戻れたからな」

ほむら「それにしても居なくなってるわね、意地悪なQB」

杏子「ちぇっ、”サンダー”で丸焼きにしてやろうと思ってたんだけどな」

まどか「さすがにインキュベーターを食べたりしないよね・・・?」

杏子「食えそうだったら食うよ?」

ほむら「そう・・・」



杏子「お、次の世界のドアが見えたぞ」

ほむら「ここで行き止まりになっているようね」

マミ「次の世界で最後の世界なのかしら?」

まどか「ソウルジェムが全部そろうんだね!」



 少女達は皆がドアに手を差し出し、一斉にそれを開く。
暗い場所から明るい所へ出た時の目の眩み。
視界に広がるものは、一面の雲と青空であった。
サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY NDS版 PERFECT BIBLE スクウェア・エニックス公式攻略本 (Vジャンプブックス)
421: 2011/07/14(木) 19:38:16.93 ID:0R+V5+NC0
--- 雲の世界 ---

ほむら「雲・・・?」

杏子「どうなってんだ?」

マミ「空の上ってこんな景色なのね。ソウルジェムの数は・・・」

- この世界に残るソウルジェムはあと 8 -

マミ「みたいよ。あと1つで77個が揃うのにね」

ほむら「それにしても、こんな所にソウルジェムがあるなんて」

杏子「ここをどう歩くんだ?まさか雲に乗れなんて言わないよな」



まどか「えいっ」ピョン

ほむら「まどか!」



まどか「見てみて!雲の上に乗れたよ!」

ほむら「・・・心臓が止まるかと思ったわ」

杏子「高所恐怖症のくせに無茶すんなよ」

まどか「だってキレイだったんだもん、この世界!」

マミ「でも足元が一面ずっと雲のおかげで、確かに怖いとは感じないわね」

ほむら「雲の上を歩けるのなら、先へ進んでみましょうか」

422: 2011/07/14(木) 19:38:42.51 ID:0R+V5+NC0
 空の散歩を楽しむ少女達の目に入ったものは、
おそらくは大理石で作られているであろう宮殿。
そしてさらに奥には、彼女達が通ってきたものとは違う
もう1本の天の柱であった。



まどか「わぁ、この宮殿もきれいだね」

ほむら「雲の上に建てられているだけあって、荘厳な空気を感じるわ」

マミ「でも、こういう宮殿に居た人達って・・・」

杏子「どこの世界でも、新しき神々だったな」

まどか「どうしようか。あっちの天の柱に行ってみる?」

ほむら「いえ、先にこの宮殿から行きましょう。
 中に居るのがどのような人物なのか、見極めなければ」

マミ「例によってソウルジェムを集めて悪い事をしている人だと困るしね」

杏子「そうだったら、いつも通りにぶっ飛ばしちまえばいいんだよ!」

まどか「悪い人でなければいいんだけどなぁ・・・」

423: 2011/07/14(木) 19:39:10.71 ID:0R+V5+NC0

--- ヴァルハラ宮殿 ---

マミ「あれ、ここ見た事があるような」

ほむら「奇遇ね、私もそう思っていたところなの」

まどか「なんでだろう。不思議な感じがする」

杏子「アポロンやビーナスの宮殿に似ているから、そう感じるのかね」



まどか「見てよみんな、何か浮いてるよ」

マミ「キレイな水晶球ね」

杏子「なんなんだろうな、コレ。結構硬いよ」コンコン

ほむら「一体どういう理屈で浮いているのかしら」

まどか「お土産に1つ持って帰りたいね」

杏子「そうかぁ?こんなの置いてあったらちょっと引くぞ」

マミ「暁美さんのお家なら違和感ないんじゃない?」

ほむら「どういう意味よ」

まどか「ほむらちゃんのお部屋、歯車とか振り子時計とかあったし
 この水晶を置いてても似合いそうだよね」

杏子「自慢のほむホームとか言ってたもんな」

ほむら「・・・昔の事よ。忘れてちょうだい」

424: 2011/07/14(木) 19:39:37.18 ID:0R+V5+NC0
マミ「それにしても、ここの宮殿は今までと変わっているわね」

ほむら「ここまでは新しき神々が居ただけって印象だけど・・・」

杏子「ぽつぽつ魔物の姿も見えるな」

まどか「こんな場所に魔物が居るなんて、
 ここに住んでいた人達はどうなったんだろう?」

ほむら「そもそも人なんて住んでいなかったのかもしれないわ」

マミ「神様が住んでいた宮殿だったとか!」

杏子「カミサマは魔物を飼っているって言うのかい?」

まどか「それもヘンだよね」

ほむら「雰囲気こそ違えど、アシュラの塔のような場所なのではないかしら」

杏子「ってーと、奥にはソウルジェムを集めた悪人が居るっての?」

ほむら「憶測に過ぎないけれどね」

マミ「そうは思えないのよね。こう、悪人の趣味でこんな建物にはならないと思うの」

まどか「でも、ビーナスの宮殿もこんな風にキレイに作られてましたよ?」

マミ「うまく言えないんだけれど・・・ビーナスとはちょっと違うような」

ほむら「さっきのような発言をしておきながらだけれど、
 私も本音は巴マミと同感ね。ここは何か懐かしい感じがするわ」

425: 2011/07/14(木) 19:40:05.46 ID:0R+V5+NC0
まどか「ホッケーマスクを被った男の人がいるよ!」

杏子「どう見ても危険人物じゃねえか」

ほむら「人のように見えるけれどあれは魔物よ。”殺人鬼”ね」

マミ「ちょ、ちょっと。すごい物騒な物を持ってるわよ」

まどか「あれは山でお仕事してる人が使う・・・」

杏子「チェーンソーだな・・・」

ほむら「私達では耐えられないわ。あなたの装甲に頼るしかないの」

マミ「よーし、ドンと来なさい!」

 さつじんきは チェーンソーで
 マミさんを こうげき

マミ「ちょ、やっぱ怖い!怖い!」

杏子「頑張れマミ!」

マミ「わあああぁぁ・・・」ガキン

 チェーンソーでは かたくてきれない



ほむら「マミさんは バラバラになった」ファサッ

マミ「なってない!ピンピンしているわ!」

まどか「チェーンソーが壊れて回らなくなったよ・・・マミさんすごいなぁ」

マミ「本当に怖かったんだから!」

 マミさんは よいちのゆみで
 さつじんきを こうげき
 さつじんきに 777のダメージ
 さつじんきは たおれた

ほむら「ラッキーセブンじゃない」

マミ「ちっともツイてないわよ!」

426: 2011/07/14(木) 19:40:39.04 ID:0R+V5+NC0
まどか「マミさんごめんなさい・・・」グスッ

マミ「鹿目さん・・・ううん、もう怒っていないわ」

杏子「調子に乗りすぎたよ、ごめんな」

ほむら「・・・あら、もう次の魔物が来たわよ」

マミ「”ハンマーヘッド”が2匹と”アンサラー”が1匹ね」

杏子「アタシの能力はアンサラーには効かないから、
 まどかはアンサラーを頼むよ」

まどか「うん、わかった。マミさんの分も頑張りますね!」

マミ「それじゃあ弓は温存して”ビームライフル”で攻撃するわね」

 ハンマーヘッドは ずつきで
 まどかを こうげき
 まどかに 91のダメージ

 ハンマーヘッドは ずつきで
 まどかを こうげき
 まどかに 87のダメージ

ほむら「まどか、大丈夫?」

まどか「意地悪なダンジョンの敵に比べればへっちゃらだよっ!」

 アンサラーは
 こうげきを まちかまえている

杏子「まどかっ、危な・・・」

 まどかは ネコのツメで
 アンサラーを こうげき
 アンサラーに 412のダメージ

 アンサラーは 
 カウンターで はんげき
 まどかに 832のダメージ
 まどかは たおれた

まどか「」ドサッ

427: 2011/07/14(木) 19:41:05.74 ID:0R+V5+NC0
ほむら「まどか!」

マミ「まずいわ!佐倉さん、速攻で片付けるわよ!」

杏子「分かってる!」

 マミさんは ビームライフルで
 アンサラーを こうげき
 アンサラーに 401のダメージ
 アンサラーは たおれた

 きょうこは サンダーで
 ハンマーヘッドたちを こうげき
 ハンマーヘッドたちは サンダーによわい
 ハンマーヘッドたちに 560のダメージ
 2たい たおした

ほむら「まどか、大丈夫?ケアル!」キュイーン

まどか「いたたた、油断しちゃった。みんなごめんね」

マミ「いくら体が軽くても、浮かれて油断しちゃダメよ」

杏子(何だろう、説得力がないなぁ)

428: 2011/07/14(木) 19:41:37.67 ID:0R+V5+NC0
 水晶球の並びと大理石の壁面は、さながら迷路のようであった。
それを抜けて歩いて行った先に、
装飾の施された大きなドアが彼女達の視界に入る。



杏子「いかにも、何かが居ますって感じの部屋だな」

まどか「でも他に道があったわけでもないし・・・」

ほむら「覚悟を決めて行くしかないわね」

マミ「準備はいい?開けるわよ・・・」



 戸を開いた先に、調度品も何もない広く大きな一室。
その部屋の中央に、白い鎧を身にまとったインキュベーター。
彼は右手に大きなヤリを持ち、少女達をじっと見ていた。



 その光景を目の当たりにして、全てを思い出す。
自分達が倒れた時には、ここに来ていた事を。

 目の前にいるオーディンに、生き返らせて貰っていた事を。

429: 2011/07/14(木) 19:42:07.13 ID:0R+V5+NC0
オーディン「ついにここまで辿りついたね、勇者達」

まどか「あなたは・・・」

ほむら「オーディン・・・」

オーディン「その顔なら、僕との約束を覚えているよね?」



オーディン「さあ、僕と戦うんだ」

マミ「なぜあなたと戦わなくてはならないの。教えて」

オーディン「僕に勝てたらそれを話してあげよう」

杏子「アンタをやっちまったら生き返れなくなるじゃないか」

まどか「そんなバカな事できないよ!」

オーディン「ふふふ。もう僕に勝てる気でいるのかい?」

430: 2011/07/14(木) 19:42:37.89 ID:0R+V5+NC0


「てかげんは しないよ!」

no title


431: 2011/07/14(木) 19:43:04.97 ID:0R+V5+NC0
 オーディンはその右手に持つヤリを高く掲げる。
彼の周囲には白い魔力の塊が集まりだし、
それはやがて2匹の鳥と1匹の馬の形を取っていた。



オーディン「1対4では不利だからね。数合わせはさせてもらうよ」

杏子「案外セコい奴だね、アンタ」

オーディン「何とでも言ってくれ。さあ、始めようか」

ほむら「ザコから片付けましょう」



 暁美ほむらが”フレアの書”を手に取り、
パラパラとページを捲り出す。

 その能力が発動するまでの時間を稼ぐため、
鹿目まどかが馬型の魔物”スレOプニル”を、
巴マミが鳥形の魔物”オーディン烏”に狙いを付ける。

432: 2011/07/14(木) 19:43:40.98 ID:0R+V5+NC0
オーディン「こう見えても可愛いしもべなんだ。やらせたくはないね」



 オーディンは自らの背丈ほどもあるヤリを構え、
先頭に立っていた巴マミを突き刺す。
そのままヤリを引き抜き、自分の与えたダメージを観察していた。

 崩れ落ちる彼女を見て、彼は満足げに頷くと
次の獲物を定めるべく少女達に視線を投げる。



マミ「ぐぅっ・・・」

杏子「オイ、しっかりしろ!ケアル!」キュイーン

マミ「助かったわ、佐倉さん。今度はこっちの番よ!」



 すでに鹿目まどかは”スレOプニル”を斬り付けていた。
動ける程度には傷を治してもらった巴マミが、手に持つ弓を
”オーディン烏”の群れに向けて放つ。

 その矢とすれ違うように"スレOプニル”が吐き出した
”ほのお”の能力が迫り来る。

 敵にとって残念だったのは、少女達の全員が
装備や能力によって”ほのお”のダメージを
受け付けなくなっていた事であった。

433: 2011/07/14(木) 19:44:14.30 ID:0R+V5+NC0
 やがて暁美ほむらの作り出していた魔力の塊が
敵の中心で”フレア”の能力となり、目も眩むような
閃光と大きな爆発を残す。

 キーンと残り続ける耳鳴り。
爆発の効果は”フレア”を発動させた本人から見ても
効果が薄く、敵の群れは全員が立っていたままであった。



ほむら「仕留め切れなかったわ」

杏子「あのヤリは危険すぎるよ。回復が追いつかねえ」

マミ「攻めるべきか、守るべきか・・・」



まどか「いい考えがあるの。ほむらちゃんは”イージスの盾”をお願い」

434: 2011/07/14(木) 19:44:41.85 ID:0R+V5+NC0
 そう告げた鹿目まどかは、背負っていた”波動砲”を
敵に向けて構える。

 彼女の意図を理解した3人は、それぞれが守りの態勢を固める。



まどか「いっけぇー!」



 銃身に白い光の粒が吸い込まれてゆく。
それはほんの少しのタメの時間をおいて、
敵の群れに向けて青白い光の柱を作り出していた。

 

オーディン「そんな危険な武器を持っていたなんてね。
 僕のしもべ達が丸焼けになってしまったよ」



 その言葉を話すオーディンは無傷で立っていたものの、
オーディンの側に立っていた3匹の魔物は
彼の言う通りに立ったまま黒く焦げて動かなくなっていた。

435: 2011/07/14(木) 19:45:08.91 ID:0R+V5+NC0
 その仇を取ろうと言うかのように、
オーディンは攻撃の対象を鹿目まどかに切り替える。

 ”波動砲”を肩に乗せたままの鹿目まどかは、
それを避け切る事が出来なかった。



まどか「っ!」

 

 ただし、今回のヤリは彼女の体を貫く事が出来ない。
”イージスの盾”が作り出した光の防御壁によって、
オーディンの攻撃の勢いは殺されてしまっていたのだ。



オーディン「イージスの盾・・・厄介なものだね」

ほむら「いつまでも好きなようにはさせない」

杏子「まどか、すぐ治すよ。ケアル!」キュイーン

436: 2011/07/14(木) 19:45:39.45 ID:0R+V5+NC0
 彼には他に使える能力があったのかもしれない。それでも、
オーディンは、そのヤリを使っての攻撃しか行わなかった。

 ”イージスの盾”が作り上げる光の壁は、あらゆる能力を防ぐ。
それを知っていたからこそ、そのような単調な攻撃を行わざるを
得なかったのかもしれない。



 威力の減衰したその物理攻撃を受けては、佐倉杏子は
”ケアル”の能力を使って回復を済ませる。

 残りの3人は、ただひたすらオーディンに攻撃を加える。

 もはや勝敗は誰の目にも明らかであった。

437: 2011/07/14(木) 19:46:05.71 ID:0R+V5+NC0
まどか「・・・もうやめませんか?」

ほむら「もはやどちらが勝つのか、あなたにも分かっているはずよ」

オーディン「生憎だけど、戦いを辞めるつもりはないね」

杏子「聞き分けのないヤツだな」

マミ「どうしてそこまでして戦うの?」

オーディン「僕が倒れてしまったら、話す事も出来ないね」



 そう告げたオーディンは、ヤリの矛先を天に向けて地面を叩く。
一時的なものかもしれないが、攻撃を止めるという合図。
それを見た少女達も、それぞれの武器を向けるのを止める。



オーディン「少し長い話になる。まずはソウルジェムの秘密を教えてあげよう」

まどか「秘密って・・・?」

438: 2011/07/14(木) 19:46:39.57 ID:0R+V5+NC0
オーディン「ソウルジェムのもたらす力。それを君達は
 ここまでの冒険の中で、いくつも目にして来たことだろう」

オーディン「世界中に居た新しき神々。そして、今の君達が
 使っている力の増幅装置」

オーディン「ソウルジェムはまさに、奇跡を生み出す力の象徴なんだ」

ほむら「そんな事は知っているわ」

オーディン「では質問をしようか。ソウルジェムの力が
 無尽蔵に生まれるものなのだと、君達は思い込んではいないかい?」



杏子「どういう事だ?」

オーディン「いかに古き神々と言えど、そのような奇跡を作り出す事は出来なかった。
 ソウルジェムの奇跡を生み出すには、少なからず代償が支払われているんだよ」

マミ「・・・代償?」

オーディン「そう、代償さ」

439: 2011/07/14(木) 19:47:09.22 ID:0R+V5+NC0
オーディン「ソウルジェムはその力を発揮する度に、
 人の世に溢れる負の感情を吸い取っている」

オーディン「怒り、憎しみ、悲しみ、恨み。それらの呪いの力を、穢れとでも呼ぼうか」

まどか「このソウルジェムが・・・穢れを溜め込んでいるって言うの?」

オーディン「そうは見えないだろう?けれど君達の持っているソウルジェムは、
 もう許容量を越えて呪いを溜め込んでいる」

オーディン「それらは古き神々に言わせれば、ソウルジェムと呼べる物ではないらしい。
 じゃあ何と呼べばいいのか、それは古き神々にしか分からないけれどね」

ほむら「穢れを溜め込んでいたとして・・・
 そんな物を使い続けていたら危険ではないのかしら」

マミ「知らなかったとはいえ、これまで使い続けて来たけれど何ともないわよ?」

オーディン「そのあたりは君達が心配する事はない。
 宝石が溜めきれなくなった穢れは、天の柱の世界に吸い込まれる事になっているんだ」

杏子「そんな事をして何になるってんだ?」

オーディン「神々の世界が身代わりとなって、人の世界に呪いが振り撒かれないように。
 僕を創った古き神々は、そう言っていたよ」

まどか「創った・・・?」

オーディン「そうさ。僕達インキュベーターは、古き神々に創られたモノなんだ」

440: 2011/07/14(木) 19:47:35.41 ID:0R+V5+NC0
オーディン「古き神々の都合は分からない。けれど、彼らもまた
 自分達の世界に呪いが集まる事を良しとは思っていなかったんだ」

オーディン「それが、僕達の創られた理由さ。
 僕達はソウルジェムに集まった穢れを”食べる”ためだけに存在していたんだよ」

マミ「・・・・・・」

杏子「・・・どれだけの間、そうして来たんだ?」

オーディン「さてね。この世界に人間が創られたのと同時に、
 少なくても僕という個体は創りだされていた」

オーディン「人間がほら穴の中で生活をしていた頃から、
 僕はこの世界にずっと居たのさ」

まどか「そんなに長い間・・・」

オーディン「それを苦痛だとは思わなかった。僕達には、感情がなかったんだよ」

オーディン「ただただソウルジェムの穢れを食らい続け、古き神々から
 与えられた仕事をする機械。それが僕達インキュベーターだった」

441: 2011/07/14(木) 19:48:02.47 ID:0R+V5+NC0
ほむら「辻褄が合わないわ。あなたの話が真実なのであれば、
 ソウルジェムに穢れが溜まるなんて事はないのではないかしら?」

オーディン「その通りだね。僕達が仕事をしてさえいれば、
 そんな事にはならなかった。だが、僕達は仕事を辞めてしまったんだ」

マミ「どうして?」

オーディン「個体差はあったけれど、機械に過ぎない僕達に感情が生まれたんだよ」

オーディン「感情が生まれた理由は分からない。あまりにも長すぎた年月が、
 古き神々の生んだ機械にさえも故障を起こしたのかもしれないね」



オーディン「勿論、今でも仕事を続けているインキュベーターも居るだろう。
 だが、多くのインキュベーターは自身の存在価値に疑問を抱いてしまったんだ」

オーディン「何のためにこんな事をしているんだろう、ってね。
 虚しくなってしまったんだよ」



オーディン「・・・君達がこれまでに見てきたインキュベーターを思い出して欲しい。
 そのほとんどが、何かしらの感情を持っていたのではないかい?」

442: 2011/07/14(木) 19:48:30.59 ID:0R+V5+NC0
オーディン「長々と話したけれど、話を最初に戻すね」

オーディン「あまり大きな声で言えたものでもないけれど、
 僕に生まれた感情。それは、ただ面倒臭いという事だけなんだ」

杏子「散々と語っておいてそれかよ」

オーディン「そう言われると思ったよ。僕はこう見えて、仕事熱心なタイプでね。
 ソウルジェムを8個も集めて、穢れを食べていたんだ」

オーディン「それだけのソウルジェムのおかげで、僕には強靭な肉体が備わった。
 僕は誰かに頃して貰わない限り、このヴァルハラ宮殿で生き続けるだろう」

マミ「・・・何て事を言うの」

オーディン「言っただろう、虚しくなったって。
 君達のような勇者と戦い、その中で氏ぬ。それが僕の本望なんだ」



ほむら「虚しくなったから、そんな理由で戦って欲しい?頃して欲しい?
 冗談でも済まされる言葉ではないわよ」

まどか「あの、もっと生きていれば・・・きっと楽しいって思える感情も・・・」

オーディン「それは何千年後の話だい?何万年後になるんだい?」



オーディン「そこまで生き続けろと言うのは、僕にはとても耐えられそうにないよ」

443: 2011/07/14(木) 19:48:58.03 ID:0R+V5+NC0
まどか「でもっ!」



 言葉を遮るように、オーディンはヤリで床を叩く。
そしてゆっくりとその矛先を少女達に向けて言葉を続ける。



オーディン「僕は自害できないように創られている。
 君達という強敵が現われたチャンスを逃しはしない」

オーディン「君達が僕を頃すか。僕が君達を頃すのか」



オーディン「ここで朽ち果てたくなければ、僕に最期を与えてくれ」

444: 2011/07/14(木) 19:50:01.26 ID:0R+V5+NC0
 オーディンがヤリを振り、少女達に攻撃を加える。
受けた傷の回復は、先ほどまでと同じように佐倉杏子が担当する。
だが、彼女達は攻撃をするのを躊躇していた。

 

杏子「・・・”ケアル”を使えるのも、あと何回もないぞ」

マミ「けど・・・!」



オーディン「君達が手を抜くと言うのなら、僕にも考えがある」



 そう告げたオーディンは、左手に1つのソウルジェムを取り出す。
それは”イージスの盾”と同じように光を放ちながら変形し、
長身の光の刀となっていた。



オーディン「ソウルジェム”マサムネ”さ。
 古き神々の創ったこの刀、人間に対して振るのは初めてだよ」



 そのきらめく刃を見ながら、少女達は戦慄する。
古き神々が創った”イージスの盾”の防御能力には、
これまでに何度も助けられて来たのだ。

 では、同じソウルジェムであるその刀の威力はどのようなものであるのか。

 それを身をもって味わおうなどとは、誰もが考えていなかった。

445: 2011/07/14(木) 19:50:30.98 ID:0R+V5+NC0
 暁美ほむらが”フレアの書”を手に取る。

 巴マミが”ビームライフル”の銃口を敵に向ける。

 佐倉杏子はその両手に”サンダー”の魔力を集め始める。



まどか「駄目だよ、こんなの絶対におかしいよ!」



 その叫びの主に向けて、オーディンが歩み寄る。
光の刀を大きく天に掲げながら。



 ”フレア”の起こした爆発が、少女とインキュベーターを吹き飛ばす。

 さらにオーディンに2発の追撃が与えられ、
少女達はその巨体がゆっくりと地面に倒れていく様を目にする。

446: 2011/07/14(木) 19:51:00.60 ID:0R+V5+NC0

オーディン「よくやってくれた・・・」



オーディン「これから先、君達が倒れても助けてくれる者はいない。
 気をつけて進むんだよ・・・」

まどか「オーディン!」

オーディン「・・・言い忘れていたね」



オーディン「ありがとう」



 その体は光につつまれ、ぽろぽろと崩れ落ちてゆく。

 消えゆく肉体の代わりにソウルジェムが1つずつ、床に落ちて転がる。



 それを拾う事が出来ず。

 少女達はしばらくの間、じっとその宝石を見つめ続けていた。

447: 2011/07/14(木) 19:51:31.26 ID:0R+V5+NC0
 - 力のソウルジェムを手に入れた -

 - 素早さのソウルジェムを手に入れた -

 - 魔力のソウルジェムを手に入れた -

 - 炎のソウルジェムを手に入れた -

 - 氷のソウルジェムを手に入れた -

 - 稲妻のソウルジェムを手に入れた -

 - 毒のソウルジェムを手に入れた -

 - ソウルジェム マサムネを手に入れた -

455: 2011/07/16(土) 15:59:30.33 ID:KNuYvr830
--- 天の柱 ---

 ヴァルハラ宮殿を脱出し、そこに入る前に
見えていた天の柱へと少女達は歩いていた。

 先ほど起きた出来事から、じっと黙り込んだままで。



杏子「・・・・・・」

マミ「鹿目さん・・・その・・・」

ほむら「ごめんなさい。あなたのために・・・」

まどか「ううん、私の方こそごめんね。
 オーディンがどうしたら幸せになれるかなんて、私達には分からないよね」

杏子「アイツ、消えて行きながら笑ってるように見えたよ。
 きっとこれで良かったんだよ」

マミ「そうね。そう思いましょう」

456: 2011/07/16(土) 15:59:56.76 ID:KNuYvr830
ほむら「提案があるのだけれど、いいかしら?」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん」

ほむら「あのようなソウルジェムの秘密を聞かされて、
 正直このまま使い続けるのは気が引けるわ」

杏子「言いたい事はなんとなく分かるよ」

マミ「穢れが溜り続けてどうなるのかも分からないけれど、
 いいイメージは持たないものね」

まどか「うん、これを使うのはもうやめよう」

ほむら「あと1つで、77個のソウルジェムが揃うのね」

まどか「そうしたら、ガーディアンに預かってもらおうよ。
 誰も悪事に使ったり出来ないようにね!」

杏子「きっと次の世界に、最後の1つがあるんだろうな」

マミ「そうなると、次の世界が最後の世界という事になるわね」



 話しながら歩いて行くうちに見えていたドア。
こうして開くのも最後になるかもしれないと考えながら
少女達は全員がそのドアに手をかけ、そして押し出す。

457: 2011/07/16(土) 16:00:36.76 ID:KNuYvr830
--- 最後の世界 ---

 そこにはごつごつした岩場と、いくつかの木々が立っている世界。
先の世界に比べると平凡と形容できるその世界ではあったが
さらにもう1本の天の柱が視界の先にそびえ立っていた。



杏子「見ろよ、また天の柱があるぞ」

マミ「あら、ここが最後の世界ではないのかしら?」

まどか「どうしよう、精霊の鏡を1回だけ使ってみる?」

ほむら「もうちょっとこの世界を歩いてからでも遅くはないわ。
 まずは街でもないか、探してみましょう」

杏子「どっちにしろ周りは岩場だらけで、あそこの天の柱の近くまで
 行かねーとだめだな」

マミ「特に急いでいるわけでもないし、のんびりと行きましょうか」



 もう片方の天の柱に近づくにつれて、柱のドアの前に
人の姿があるのが少女達には見えていた。

 誰から見ても、何かを待っている様子のその姿。

 それは以前に見た新しき神々の1人、アポロンであった。

458: 2011/07/16(土) 16:01:16.89 ID:KNuYvr830


アポロン「やあ。久しぶりだね」

マミ「アポロン?」

ほむら「また会ったわね。レース会場以来かしら」

アポロン「君達を待っていたんだ。オーディンを倒せるかどうか、
 ちょっと心配していたよ」

まどか「私達を待っていたの?」

アポロン「そうだとも。僕の調べが正しければ、
 君達は76個のソウルジェムを持っているはずだね?」

杏子「・・・テメェ、何が言いたい」

アポロン「そして、僕が残りの1つを持っている。
 君達か私か、どちらかが全てのソウルジェムを手に入れる事になるわけだ」



アポロン「さあ、勝負をしようか」

459: 2011/07/16(土) 16:01:42.63 ID:KNuYvr830
まどか「あなたがなんで気が変わったのかは知らないけれど、
 ソウルジェムは渡さないよ!」

アポロン「それで結構さ。元より、力尽くで奪うつもりだったのだから」



 そう告げたアポロンは魔力を集中させ、
少女達の周囲に魔物の影を作り出す。

 オーディンが使った魔力と同じものではあったが、
魔物は数え切れないほどの群れとなり彼女達を囲んでいた。



マミ「こんなので私達を止められると思っているの?」

アポロン「君達が消耗さえしてくれればそれでいいさ」

杏子「っざけやがって・・・!」

アポロン「勝つためには手段を選ばないよ。さあ、頑張っておくれ」



詢子「伏せろ!」

460: 2011/07/16(土) 16:02:31.54 ID:KNuYvr830
 その声が聞こえると同時に”バルカン砲”があげる
けたたましい銃声が少女達の耳に聞こえだす。
何が起きつつあるのか理解した彼女達は、一斉に地面に身を投げる。

 そうして音の出所に目を向ける。
そこには、腰に構えた大型の機関銃から火を噴かせ
左右に弾をばら撒き続ける鹿目詢子の姿。



まどか「ママ!」



 やがて機関銃の弾が切れ、それを地面に無造作に投げる。
少女達を取り囲んでいた魔物は、全て倒れて動かなくなっていた。
それを確認した鹿目詢子は、娘の顔を見てニヤリと笑う。



詢子「アタシは不氏身だよ!」

461: 2011/07/16(土) 16:03:05.13 ID:KNuYvr830
アポロン「まさか大佐が現われるなんてね。
 まったくしぶとい人間だよ、君は」

詢子「テメェの思い通りにはさせねぇよ。残念だったね」

アポロン「ふっ、さすがにお強い。だが、そこまでだよ」



 アポロンはパチンと指を鳴らす。
その仕草と共に、空間に灰色の魔力が集まる。

 それは魔力で作られた牢獄。
そこには、彼女達のよく知る人間達が囚われていた。



まどか「たっくん!」

タツヤ「マドカァ・・・」

杏子「ゆま!」

ゆま「キョーコ・・・怖いよ・・・」

ほむら「美樹さやか・・・!」

さやか「ごめん、捕まっちゃった・・・」

マミ「織莉子さん、キリカさんまで・・・」

織莉子「・・・申し訳ございません」

キリカ「私じゃ勝てなかったんだ・・・」

462: 2011/07/16(土) 16:03:37.04 ID:KNuYvr830
詢子「この下種野郎が・・・!」

アポロン「それは人間にとっては罵倒の言葉なのかな?
 さあ、僕が何を言いたいかは理解してくれるよね」



詢子「・・・・・・」

まどか「ママ・・・」



 長い沈黙。

 やがて鹿目詢子は、娘の目を見て頷く。
そうするしかないのだと、全員が理解していた。

 ソウルジェムを袋に集め、それをアポロンへと手渡す鹿目まどか。
母親は、自分の娘の悔し涙というものを初めて目にしていた。

463: 2011/07/16(土) 16:04:11.05 ID:KNuYvr830
アポロン「約束通り、命は助けよう。
 君達はこれから、唯一の神アポロンのしもべとなるのだからね」

詢子「待ちな。それだけのソウルジェムの力を使えば、
 きっとこの世界は持たずにバラバラになっちまうぞ」

アポロン「それが君達ガーディアンの研究結果かい?
 実にお粗末な嘘を吐くんだね」

詢子「そうなったら困るから本音で言ってるんだよ」

アポロン「くだらない。この77個のソウルジェムの力で、僕は真の神になるんだ。
 もしも世界がバラバラになったら、僕が救ってあげよう」

詢子「テメェ・・・!」

アポロン「笑いが止まらないよ。ふっふっふっふ・・・」



 アポロンは背を向けて、そこにそびえ立つ天の柱へと消えてゆく。
その姿が見えなくなると同時に、皆を閉じ込めていた魔力の牢獄も消える。

 解放されたとはいえ、その場に居た全員の顔は曇ったままであった。



マミ「おしまいね・・・」

杏子「ここまで来たのにな」

ゆま「ごめんね、キョーコ・・・」



詢子「まだ望みはあるよ」

464: 2011/07/16(土) 16:04:40.65 ID:KNuYvr830


まどか「ママ?」

詢子「この世界で精霊の鏡を使ったか?」

ほむら「いえ、使っていませんけれど」

詢子「そっか。実はこの世界には、あと1つのソウルジェムが眠っている事を
 ガーディアンは突き止めているのさ」

杏子「ってなると、ソウルジェムは78個あるって事になるけど・・・」

詢子「ソウルジェムが全部で77個ってのは、ガーディアンの流した嘘だ!」

マミ「えーウソー!」

詢子「アポロンのヤツは全てのソウルジェムを手にしたワケじゃない。
 だから、アイツが真の神になるなんて事は出来ないのさ」

まどか「それなら・・・!」

詢子「アポロンがそれに気付く前に、アタシ達が最後の1つを回収する。
 そしてヤツをぶちのめして、全てを回収すれば万事めでたしさ」

465: 2011/07/16(土) 16:05:22.58 ID:KNuYvr830
ゆま「キョーコ、負けないでね」

杏子「あんなのに負けるワケねえだろ。アタシらに任せておけって!」

ゆま「おいしいお店、探しておくからね。絶対戻ってきてね」

杏子「おう!」



さやか「・・・あの時のお礼、まだアンタには言ってなかったよね」

ほむら「礼を言われるような事をした覚えはないわ」ファサッ

さやか「アンタが忘れても、あたしは忘れないから。絶対帰ってきてよ!」

ほむら「・・・貰えるものなら頂いておくわ。それまで待っていてちょうだい」



織莉子「あれから江戸を離れましたが、幸いにも追手はいないようです」

マミ「良かったわね。またじきに江戸へ帰れるわよ」

織莉子「私もそう思います。皆さんは恩人です。世界のため、頑張ってください」

マミ「そんなキリカさんみたいな呼び方しないでよ・・・なんだかむずむずするわ」



マミ(キリカさんと言えば・・・)

466: 2011/07/16(土) 16:05:58.18 ID:KNuYvr830
詢子「キリカ、その・・・」

キリカ「よして欲しいな。会いに来なかったなんて理由で
 私は詢子に怒ってなんかいないよ。むしろ感謝しているくらいさ」

キリカ「謝りたいのは私の方なんだよ」

キリカ「自分の事ばかり考えて、詢子のソウルジェムを守るという志を
 すっかり忘れてしまっていた。ガーディアン失格なんだよ、私」

キリカ「それに、今回の件もそうだよ。織莉子を守りきる事すら出来なかった。
 私は・・・」

詢子「アタシの言えた事でもないけどさ」

詢子「よしてくれよ、そんな顔すんの。織莉子をここまで守って来たんだろう」



詢子「今のアンタは、誰よりも立派なガーディアンだよ」

キリカ「っ」

467: 2011/07/16(土) 16:06:34.96 ID:KNuYvr830
詢子「アンタは私の一番弟子だ。だから胸を張れよ」



詢子「・・・ここに居る皆を、それぞれの世界へ連れてやってくれるか」



 立ったまま震える呉キリカは、頷く事でその質問に返答をする。
そんな彼女の服の袖を、タツヤがぐいぐいと引っ張っていた。



タツヤ「キリカァ、キリカァ」



キリカ「・・・全員、無事に送り届けるよ。詢子も頑張って」

詢子「ああ」



詢子「さあアタシ達も行くぞ。アポロンに抜かれるな!」

468: 2011/07/16(土) 16:07:07.85 ID:KNuYvr830
 その場に居た人間が、二つの塊に分かれて移動を始める。
それぞれの世界に戻ろうとする者達と。
最後のソウルジェムを探しに向かう者達と。



ほむら「これからどこに向かうのですか?」

詢子「ここから西に街がある。まずはそこで準備からだ」

杏子「準備?」

詢子「最後のソウルジェムはかなり長いダンジョンの奥にあるようだ。
 そこでソウルジェムを守っている戦闘メカも、かなりの強さを持っている」

詢子「だから、私達ガーディアンはそのソウルジェムに手が出せなかったのさ」

マミ「それなら、準備はきちんとしておかなければね」

まどか「皆で戦えばきっと勝てるよ!」

469: 2011/07/16(土) 16:07:49.09 ID:KNuYvr830
--- 最後の街 ---

詢子「よし、それじゃあ準備にかかるか。
 アタシは武器を見に行くよ」

まどか「それじゃあ私も!」

ほむら「それなら私も行くわ」ファサッ

杏子「じゃ、アタシとマミは道具屋を見に行くよ」

マミ「私達はとくに欲しい武器もないから、気にせずお買い物をして来てね」

詢子「ああ、”コテージ”を3つくらい買っておいてな。
 長丁場になるだろうからね」

マミ「はい、行ってきます」



マミ「防具・・・もあまり必要ないわね」

杏子「持ってる物ばかりだしな。これなんかどうだい、”いやしの杖”」

マミ「なんだろうこれ」

店員「それは仲間達の体力をいっぺんに回復させる事が出来る杖だよ」

杏子「へー、便利だなぁ。これも何本か買っておこう」

店員「まいどあり!」
 
マミ「あとは買う物もないわよね」

杏子「それじゃ宿に行くか。先に向こうも着いてるかもな」

470: 2011/07/16(土) 16:08:18.65 ID:KNuYvr830
まどか「せんしゃ!」

店員「お、目の付け所が違うね。これは当店自慢の”レオパルト2”さ!」

ほむら「こんなモン武器屋で売るんじゃないわよ・・・!」

詢子「アンタら随分と金もってたんだねぇ。”フレアの書”を何冊か買っておくか」

ほむら「はい、そうしてくれると私は助かります」

まどか「ママ!せんしゃも買おうよ!」

詢子「ああん、アンタ免許持ってねえだろ?」

まどか「けど・・・」

詢子「駄目だね。まだアンタをそれに乗せるわけには行かない」

ほむら(常識人で良かった)



詢子「だからアタシが乗る!まどか、アンタは装甲の上に乗ってな!」

まどか「せんしゃ!せんしゃ!」

ほむら(駄目だコイツら・・・)

471: 2011/07/16(土) 16:08:56.07 ID:KNuYvr830
マミ「何か外から特徴的な音がするわ」キュラキュラ

杏子「・・・おい、外を見てみろよ」キュラキュラ

マミ「・・・どうしてアレがここに・・・」キュラキュラ



ほむら「ごめんなさい。止められなかった」

杏子「でも広いところでなら頼りになるし、いいんじゃないか?」

マミ「とはいえ、これから向かう所はダンジョンのはずよね・・・」



詢子「いやー新しい愛車は違うね!」

まどか「せんしゃ!ママのせんしゃ!」

詢子「おっ、そっちにも泥が付いてるよ。まどか、そっちも磨いてくれ」

まどか「うん!」



マミ「これぞ一家の団欒(だんらん)ね」

杏子「いや、ほのぼのとしているけどさぁ」

ほむら「まどか!行かないで!」



詢子「?」

まどか「?」

472: 2011/07/16(土) 16:10:03.36 ID:KNuYvr830

マミ「くかー」

杏子「くかー」

まどか「・・・・・・」

詢子「・・・・・・」



まどか「・・・ママ、起きてる?」

詢子「起きてるよ。どうした?」

まどか「あのね・・・」



まどか「えっと・・・」



詢子「ほら、こっち来なよ」

まどか「えっ、違・・・」

詢子「まどかはいつまでも甘えん坊さんだな」



まどか「・・・うん」

473: 2011/07/16(土) 16:10:44.67 ID:KNuYvr830
 自分の枕を抱きかかえ、娘は母のベッドへと潜り込む。
鹿目まどかがずっと幼かった頃から、久しぶりに見る母の肌着姿。

 その体には、当時にはなかった傷痕がいくつも作られていた。
目に見える両腕に1つずつ残る弾痕と。
そして今の位置からは見えない、背中に刻まれているだろう傷痕。

 それらは、鹿目まどかの目の前で作られたものに違いがなかった。



まどか「ママ、その・・・」



まどか(面と向かって謝れないよぉ・・・)



詢子「言いにくい事ならいいさ」



 ぐい、と頭を寄せられ、娘は母の胸元に顔をうずめる。



詢子「話したくなったら、その時に言ってくれりゃいいよ」



 胸元が濡れてゆくのを感じる母。
彼女はその原因である娘の頭を、いつまでも優しく撫でていた。



ほむら(イイハナシダナー)グスッ

ほむら(今日はパンツ職人を見逃してあげるわ、まどか)

474: 2011/07/16(土) 16:11:18.95 ID:KNuYvr830

--- 最後のダンジョン ---

 そこは最後の街から南に歩くと、すぐに見つかった。
ぽっかりと地表に口を広げるその迷宮の入り口は当然の事ながら、
少女達の乗り物が進入できるほどの大きさではなかった。



詢子「駄目だなぁ。やっぱ戦車じゃ入れそうにないや」キュラキュラ

マミ「そうだ。砲撃で入り口を広げてしまうのはどうかしら?」

まどか「やってみようよ!」

杏子「煽るんじゃねえよバカ・・・」

詢子「そんな事したら入り口が崩れちまうかもしれないだろ?」

マミ「そうでしたね・・・ごめんなさい」

ほむら(常識があるの?ないの?)

まどか「せんしゃ・・・」

詢子「ほら、まどかも行くぞ。急がなきゃな」

475: 2011/07/16(土) 16:11:48.87 ID:KNuYvr830
ほむら「詢子さん、歩きながらでいいので質問に答えてくれますか?」

詢子「なんだい?」

ほむら「私達はオーディンから、ソウルジェムが何か危険なものだと
 教えられました。ガーディアンではそのような認識を持っていますか?」

詢子「それはソウルジェムの力を使う事が危険だと言いたいのかい?」

ほむら「はい。オーディンは、この宝石が世界中の穢れを溜め込んでいると・・・」

詢子「そういう仕組みだとは知らなかった。けど、この力を利用する事が
 危険なものだと言う事は、なんとなく想像はしていたよ」

マミ「というと?」

詢子「奇跡には代償が付き物だろ」

まどか「・・・・・・」

詢子「アタシはなんとなく、そう思っていたんだ。
 ガーディアンの石頭連中は聞こえなかった振りをしていたけどね」

476: 2011/07/16(土) 16:12:18.02 ID:KNuYvr830
杏子「穢れは天の柱の世界に集まっているって聞いたけど、
 それがどういう事なのかは?」

詢子「そこまでは分からないね。たださ・・・」



詢子「普通に考えれば、穢れを吸い取る宝石がこの世界中に
 散らばっているって事は、穢れというものが蔓延すると良くないって事だろう?」

詢子「それが天の柱に集まるってなると、
 そのうちに天の柱に何か異常が起きるんじゃないかな」

まどか「異常って・・・」

詢子「そこまではアタシの憶測の話さ。
 ただ、最近になってガーディアンにも新しい研究の成果が見えたんだ」

477: 2011/07/16(土) 16:12:47.39 ID:KNuYvr830
マミ「それは?」

詢子「過去にこの世界は、1度バラバラになっていたらしい。
 色々な歴史の書物から、それが私達には分かったんだ」

詢子「そしてその時期のあらゆる世界の記録を見ると、
 その時期だけすっぽりとソウルジェムに関する記述がない」

詢子「ソウルジェムと世界がバラバラになっていた事実は、
 どう考えても関係がある事なんだ。アポロンに話した事はウソじゃないんだよ」



ほむら「そんな・・・」

詢子「心配すんなよ」



詢子「アタシ達がソウルジェムを全部集めて、誰も触れないようにしておけば
 そんな心配も必要なくなるだろ。みんな、頑張ろうよ!」



4人「「はい!」」

478: 2011/07/16(土) 16:13:23.07 ID:KNuYvr830
マミ「あら、何かしら」

杏子「どうした?」

マミ「ほら、ここの壁・・・何か変よ」

詢子「どれどれ・・・」グイッ

ほむら「開いた?」パタン

まどか「隠し通路っていうのかな」

詢子「行ってみるか・・・」



杏子「宝箱があるよ」

マミ「こんな隠し部屋にある宝・・・きっと凄いものだわ!」

まどか「開けてみるね!」

 - エクスカリバーを 手に入れた -

詢子「なんだよ、ネタでも仕込んであれば面白かったのに」

ほむら「これは本当にすごいお宝ね。一振りで敵グループを一度に斬れるわ」

詢子「しかも絶対に折れない剣だ。この面子でなら・・・」

まどか「私、それ使ってもいいかな?」

マミ「そうね、ずっと鹿目さんは範囲攻撃の手段がなかったものね」

杏子「アタシは装備も出来ないし、好きにしなよ」

ほむら「私も構わないわ。お金が有り余っているせいで
 ”フレアの書”を使い放題よ」

詢子「ほら、大事に使えよ」

まどか「ありがとう、みんな!」

479: 2011/07/16(土) 16:13:56.54 ID:KNuYvr830
詢子「ほら、さっそく魔物が来たぞ」

ほむら「”ニンフ”が4匹ね」

マミ「試しに使ってみましょうよ」

まどか「うん!」

 ニンフは うずしおで
 てきぜんいんを こうげき
 マミさんに 561ダメージ
 まどかに 514ダメージ
 ほむらに 405ダメージ
 きょうこに 349ダメージ
 じゅんこに 377ダメージ

杏子「この能力、結構痛いぞ!」

詢子「何度も食らうとまずいな。早くやっちゃいな!」

 まどかは エクスカリバーで
 ニンフたちを こうげき
 ニンフたちに 764ダメージ
 4たい たおした

まどか「ふう、お待たせ、みんな」

マミ「さすがに強いわね」

ほむら「まどかは力系の武器を使ってこなかったから、
 この手の武器の扱いには慣れていないはずなのに」

詢子「この剣は特別なんだ。非力な者が扱っても、それなりに力を発揮するのさ」

杏子「じゃあ腕力を育てても何もいい事ねーの?」

詢子「そこまでは言わないさ。鍛えれば鍛えるだけ”エクスカリバー”も強くなるよ」

まどか「今からそんなに鍛えられるかなぁ・・・」

マミ「今のままでも十分に強いし、あまり気にする事もないわよ」

480: 2011/07/16(土) 16:14:32.02 ID:KNuYvr830
ほむら「また宝箱があるわ」

- パワードスーツを 手に入れた -

マミ「誰か着ない?」

まどか「私は”ドラゴンアーマー”の方がいいかなぁ・・・」

詢子「アタシも”バトルスーツ”着ているから、それは装備できないね」



マミ「それじゃあ・・・」ゴソゴソ

杏子「オイ、マミはもう”ドラゴンアーマー”と”関羽の鎧”を重ね着してるだろ!」

まどか「もう無茶ですよ!」

マミ「案外こういうのも着れるものよ」モコモコ

ほむら「本当に着たわね・・・」

詢子「マミちゃん・・・?そこまでやるとデ・・・」
マミ「それ以上は言わないで下さい。私の眠りし右腕が暴れ出します」

詢子「・・・うん」



まどか「鎧3つを重ね着なんて・・・マミさんすごいなぁ」マドマド

杏子「んな事で感心すんなよな・・・」

詢子「いいかい。大人になる前に、間違え方をちゃんと勉強しときな」

まどか「・・・はい」

481: 2011/07/16(土) 16:15:28.70 ID:KNuYvr830
まどか「あれは!」

杏子「・・・またかよ。大きな宝箱・・・」

ほむら「何度繰り返しても戦車が出てくる。これは因果・・・?」

マミ「はぁ・・・開けるわね」

 - 核爆弾を 手に入れた -

まどか「この宝箱もハズレかぁ」ガッカリ

詢子「ハズレってアンタねぇ・・・」

杏子「まぁ・・・アタリでもないよな・・・」

マミ「どれだけ核爆弾好きな世界なんでしょうね。まさか2つも手に入るなんて」

ほむら「時期が時期だけにネタにし辛いものね。
 あの時の手帳、まだ持っているけど続きを読みましょうか?」

マミ「いらないわ。というよりやめて」

482: 2011/07/16(土) 16:15:58.97 ID:KNuYvr830
詢子「見えて来たぞ。最後のソウルジェムを守る”デスマシーン”だ」

杏子「なんだあれ、ダセェ」

マミ「お世辞にも格好よくないメカね」

ほむら「いくら言葉が通じないとはいえ、そこまで真実を告げてはかわいそうよ」

まどか「よーし、いくぞ~!」



デスマシーン「・・・・・・」

 デスマシーンは ミサイルで
 てきぜんいんを こうげき
 マミさんに 262ダメージ
 まどかに 262ダメージ
 ほむらに 262ダメージ
 きょうこに 262ダメージ
 じゅんこに 262ダメージ

杏子「いきなりかよ!」

ほむら「”いやしの杖”を使うわ。こんな攻撃、なんともないわよ」キュイーン

マミ「醜い、卑怯、弱い。いいとこなしね」

デスマシーン「!!!」ガランガラン

まどか「メカが何か落としたよ!」



詢子「あれは・・・」

483: 2011/07/16(土) 16:16:31.29 ID:KNuYvr830
詢子「”核爆弾”じゃねえか!」

マミ「ちょっ!」

杏子「どどどうすんだ!」

ほむら「シェルターあったわよね!早く組み立てを!」

まどか「ええとええと。あった!これだよ!」

詢子「急げ!間に合わなくなっても知らんぞー!」



 どう見てもプレハブ小屋です。本当にありがとうございました。
彼女達は半ば諦めの表情を浮かべ、組み立てたシェルターへと入り込む。

 ドアを閉めて数秒後に、激しい爆音と衝撃が小屋を包み込む。
驚くべき事に、そのシェルターは完全な防御力を持って
5人を守りきって見せていた。

484: 2011/07/16(土) 16:17:09.55 ID:KNuYvr830
まどか「すごい音がしたね・・・」

ほむら「こんな小屋で防げる爆発だったの・・・」

杏子「おい、窓を見てみろよ。アイツ爆発の衝撃で足が折れてるぜ」

マミ「自爆なんて救いようがないメカね。私を見習って欲しいわ」

詢子「しかしどうしたもんかな。外で核爆発を起こされたんじゃ、
 アタシら外に出れねえぞ」

まどか「ママ、あれ見て・・・」



 鹿目まどかの指差す先に、シェルターの壁面に張られた貼り紙。

 ─── この世界の核爆弾は綺麗な核爆弾です。放射能汚染とかありません ───



杏子「こんなんでいいのか、オイ!」

マミ「セシウムなんて怖くない」

まどか「じゃあ、後はあのメカをやっつけるだけだね」

詢子「ちょうどいいじゃん。アタシらの”核爆弾”、アイツにぶつけちゃおうぜ」

ほむら「目上の人に対してだけど言わせてもらうわ。あなたはどこまで愚かなの」

マミ「あら、いいアイディアじゃない。使っちゃいましょうよ、”核爆弾”」

485: 2011/07/16(土) 16:17:41.17 ID:KNuYvr830
 そしてシェルターの床に、ごろりと2つの”核爆弾”が置かれる。



詢子「2つもありゃ、いくらあのメカでも吹き飛ぶだろ!」

杏子「それはいいんだけどさ・・・これを外に持ち出して、誰が起爆させるっての?」

まどか「・・・・・・」

ほむら「・・・・・・」

マミ「・・・それは・・・ジャンケンよ!」

詢子「ああ、そうね。ジャンケンで決めよう」

杏子「もうどうにでもな~れ」



5人「「さいしょはグー。じゃんけんぽん」」

486: 2011/07/16(土) 16:18:20.54 ID:KNuYvr830
マミ「・・・やり直しは・・・」

杏子「無理に決まってんだろ」

マミ「・・・それじゃあ、行ってくるわ」

詢子「ファイトー」

まどか「マミさん、頑張って!」



ほむら「待ちなさい、巴マミ」

マミ「暁美さん・・・」ウルッ



ほむら「まさかとは思うけど、あなた頭突きで爆弾を起爆させようとしていない?」

マミ「え、どうしてそれを」ギクッ

ほむら「あなた昨晩”北斗の拳”を読んでいたじゃない」ファサッ

マミ「天帝軍に囲まれていたのよ!起爆させなきゃみんな氏ぬしかないじゃない!」

ほむら「そっちの話はどうでもいいわ。ほら、これを使いなさい」

マミ「これは・・・懐かしい手榴弾」

杏子「爆弾を置く→シェルターに戻る→入り口からぽいっと、てワケだな」

まどか「さすがほむらちゃん!」

詢子「これで若い命を無駄に散らさず済むな!」

マミ「・・・行ってきます」

487: 2011/07/16(土) 16:19:06.80 ID:KNuYvr830
マミ「・・・・・・」ゴトン

デスマシーン「・・・・・・」

マミ「・・・・・・」ゴトン

デスマシーン「・・・ゴメンナサイ」

マミ「あら、喋れるのね」



デスマシーン「モウコロシマセン。ウマレカワリマス」

マミ「なんだか、かわいそうになってきたわ」

デスマシーン「エンカンノコトワリニミチビカレテ」

マミ「・・・?」ピクッ



デスマシーン「キャハハ!キモーイ!」

マミ「・・・・・・」

デスマシーン「エンカンノコトワリガユルサレルノハチュウガクセイマデヨネー」

マミ「中学生だよチックショー!」ダッ

488: 2011/07/16(土) 16:19:53.61 ID:KNuYvr830
マミ「ちょっと、閉めないでよ!入れないわよ!」ガチャガチャ

ほむら「ごめんなさい。もうこのシェルターには詰めても1人・・・いえ2人までしか」

マミ「2人も入れるなら入れなさいよ!」ドンドン

杏子「トキィィー!」

まどか「兄さぁぁん!じゃなかったっけ?」

マミ「早く開けないとシェルターごとティロ・フィナるわよ!」

詢子「はいはい、悪ふざけはここまでにしときな」ガチャ

マミ「詢子さぁぁん・・・」グスッ



マミ「それじゃ手榴弾、投げるわよ~」

杏子「すぐ閉めてなー」

マミ「そ~れ」ポイッ



 即座にバタンとドアが閉められる。
続けてシェルターに襲い掛かる爆風と振動。

 次にシェルターの窓の外を見た時には、
”デスマシーン”の姿は跡形も無く消えてしまっていた。

489: 2011/07/16(土) 16:20:23.50 ID:KNuYvr830
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9531436

詢子「いやーすごいな”核爆弾”!」

ほむら「すごいのは、崩れてすらいないこの迷宮だと思います」

杏子「あと、あそこにある壊れていない宝箱もな」

 - ソウルジェム 女神の心臓を手に入れた -

マミ「これでアポロンの目的を阻止できるわね・・・」キリッ

まどか「ううん。アポロンを倒すまでは、まだ終わらない」キリッ

詢子「うっし、これで準備は出来た。あとはアポロンだけだな」

杏子「ソウルジェムはどっかに隠した方がいいんじゃない?」

詢子「いや、これはこのままアタシが持っていく。
 そうしないと、77個のソウルジェムを集めたアポロンには勝てないかもしれない」

ほむら「それだけの力が”女神の心臓”には秘められているのですか?」

詢子「まあな。さ、ここから出るぞ」

490: 2011/07/16(土) 16:20:58.95 ID:KNuYvr830
まどか「せんしゃ、せんしゃ!」

ほむら(そういえば外に置いたままだった・・・)

詢子「さ、みんな乗りな。このまま天の柱まで殴りこむぞ」

杏子「いよいよ最後なんだな」

マミ「そうね。これで冒険が終わると思うと少し寂しいわね」

詢子「そういう台詞はアポロンに勝ってから言うんだね。行くよ!」

まどか「おー!」



 土煙を上げながら、少女達を乗せた”レオパルト2”は荒野を走る。
目指す先は天の柱。そこは巴マミの言う通り、この旅の最後の目的地であった。

491: 2011/07/16(土) 16:21:41.01 ID:KNuYvr830


492: 2011/07/16(土) 16:24:09.09 ID:KNuYvr830
本日はここまで。ほのぼの(?)パートはきっと終わり。
あと2回くらいの投下でSaGa2も最後になると思います。

デスマシーン撃破後のステータス
no title

ほむほむいやしの杖の回復量が200~400。どうなることやら。

496: 2011/07/17(日) 14:40:42.43 ID:f5n0l+A50
--- 天の柱 ---

 最後の天の柱のドアを開く。
目に入るものは、ひたすら長く続く上り階段と。

 そのはるか先に見える、水晶で作られた宮殿であった。



マミ「あれは・・・?」

詢子「中央神殿。古き神々が住んでいたと言われる場所さ」

杏子「カミサマってのはどうしてああいう所に住みたがるのかね」

ほむら「アポロンを神様になんてさせない」

まどか「行こう、みんな」



 そうして彼女達は、ひたすら長い階段を歩き出す。

 緊張のために誰もが口を開かない。

 待ち受けるものは、77個のソウルジェムを持った敵。
そして、おそらくは最後の敵となるであろう。

 誰もがそう考えていた。

497: 2011/07/17(日) 14:41:28.58 ID:f5n0l+A50

--- 中央神殿 ---

 ただただ広い一室でしかない、その神殿。
天井を支える柱と、周囲の星空が見える壁のないその神殿。
中央にエレベータと思われる設備と、奥にはもう1つのドアが見えるその神殿。



 そして、そのドアの前でこちらから背を向けているアポロンの姿。



詢子「アポロン!」

アポロン「大佐、君もしつこい人間だね。何をしに来た?」

詢子「そのソウルジェムを使うな。危険すぎる」

アポロン「やれやれ、そんな事を言うために来たのかい?」

詢子「それを使えば何が起きるか分からねえ。アンタのために言っているんだ」

アポロン「僕のため?君達ガーディアンには昔から騙され続けて来たからね。
 その手は食わないよ」



アポロン「それにもう遅い。ソウルジェムは使い終わった後だ」

詢子「テメェ・・・!」

アポロン「さあ、これから効果があらわれる。君達もそこで眺めているといい」



アポロン「新しき真の神の誕生をね」

498: 2011/07/17(日) 14:41:59.49 ID:f5n0l+A50


「「それじゃ そのまえに あんたをたおす!」」

no title


499: 2011/07/17(日) 14:42:37.29 ID:f5n0l+A50
アポロン「そう簡単に僕が倒せるかな?」



 佐倉杏子は意識を集中させ、水色の魔力を両手に集める。
それは”ブリザド”の能力となり、アポロンの頭上に氷塊を作り出していた。

 アポロンを氷の魔力が襲い掛かる。
敵に衝突し、粉々に砕け散る氷を見て、佐倉杏子は満足げに呟く。



杏子「へっ、どんなもんだい」



 敵の周囲に輝く光の壁を見て、その笑みは消えてゆく。
中に立っている敵の表情からも、ダメージを与えられなかった事が理解できる。

 アポロンの左手には、ソウルジェム”イージスの盾”が握られていたのだ。



 マミさんは ビームライフルで
 アポロンを こうげき
 アポロンに 387のダメージ

500: 2011/07/17(日) 14:43:17.77 ID:f5n0l+A50
アポロン「このイージスの盾で、君らの攻撃を防ぐよ」



 鹿目詢子が”ディフェンダー”の剣を右手に握り締め
光の壁へと向けて斬りかかる。

 だが、その盾の防御効果は誰もが知っていた。
激しい金属音と飛び散る火花からも、
決して鹿目詢子が非力なのではない事が分かる。

 それでも、その剣は光の壁を貫く事が出来なかったのだ。



詢子「くっそ、どうすりゃいいんだ・・・」



 マミさんは ビームライフルで
 アポロンを こうげき
 アポロンに 349のダメージ

501: 2011/07/17(日) 14:43:45.83 ID:f5n0l+A50
アポロン「僕には比類なき魔力が身についた」



 暁美ほむらが”フレアの書”を手に取り
パラパラとページをめくり出す。

 ただ光の壁の奥で話を続け、
自分達を見下しているこの敵に一泡吹かせてやろう。

 そう考えていた彼女は、敵が攻撃をしてこないのをいい事に
たっぷりと時間をかけて魔力を集中させ、そして能力を発動させる。

 光の壁の前方に集まる、赤色の魔力。
ベストの位置で”フレア”を発動させられた事に、彼女はふっと微笑む。



 そして続く轟音と爆発。

 炎の渦がイージスの光を呑み込む。



 消えてゆく炎を眺めながら、
暁美ほむらは自身の非力さを思い知る事になる。

自らの生み出した炎は、
光の壁の表面をなでるように奥へと消えて行ったのだ。



ほむら「化け物・・・!」



 マミさんは ビームライフルで
 アポロンを こうげき
 アポロンに 351のダメージ

502: 2011/07/17(日) 14:44:17.30 ID:f5n0l+A50
 鹿目まどかが”エクスカリバー”を右手に構え、
アポロンに向けて突進する。

 その剣は光の壁を貫通し、切っ先をアポロンの顔に向けていた。

 惜しむべきは、剣をより光の奥へと突き立てる事が出来なかった事。



まどか「あと少しなのに・・・!」



 そう呟いた瞬間、光の壁はぐんとその大きさを増す。
それに押し出されるように、鹿目まどかは後方へ吹き飛ばされていた。



 光の壁はそれを持って消滅する。

 中に立っていたアポロンの額から、真っ赤な血が流れ出していた。

 そのダメージを意に介す事もなく、彼は両手に1つずつのソウルジェムを握りしめ。

 

 それを天に向けながら叫ぶ。



アポロン「マサムネの切れ味を君らの体で味わうといい!」



 その叫びと共に、アポロンの体が痙攣を起こし始める。
やがて彼の体は、眩い輝きに包まれて・・・

503: 2011/07/17(日) 14:45:14.38 ID:f5n0l+A50


「きたぞ きたぞ!」

no title


504: 2011/07/17(日) 14:45:47.77 ID:f5n0l+A50
マミ「なんて姿なの・・・」

ほむら「あんなものが、アイツの望んだ結末だと言うの?」

杏子「何であれ、ぶっ飛ばすだけさ!」

まどか「みんな・・・!」

詢子「あれを止められるのはアタシ達だけだ!氏んでも倒れるなよ!」



 イージスの光は消えたままであった。

先陣を切って攻撃を加えた鹿目まどかは、
アポロンを何事もなく切りつける。

それを見た残りの4人も、
それぞれが自身の持つ最高の攻撃手段をアポロンへと向ける。



 ”竜巻”の能力がアポロンを切り刻む。

 ”ビームライフル”の光線がアポロンを貫く。

 ”フレア”の爆発がアポロンを包み込む。

 ”ディフェンダー”の刃がアポロンの腕を切断する。



 攻撃が届く。そしてダメージを与えている。
その事実に彼女達は希望を持つ。

 腕を落とした事で、敵は”イージスの盾”を
取り落としていたからだ。

505: 2011/07/17(日) 14:46:25.67 ID:f5n0l+A50
 しかし、刻まれた傷が消える。空けられた風穴が塞がってゆく。
切断された腕が体内から再生してゆく。

 全員がそれを見て、持ち始めた希望がぬか喜びだった事を知る。



アポロン「では、そろそろいくか!」



 その動きを目で追う事が出来なかった。
気付いた時には、光の刀は何重にも着込んだ鎧を易々と貫き、
巴マミの体を串刺しにしていた。



まどか「マミさん!」

アポロン「いかがかな?」



 血を流している事からも、彼女の口の中には鉄の味が広がっているだろう。
それでも、不敵に笑う巴マミはこうやり返す。



マミ「こんなもの・・・オーディンの攻撃の方が・・・」

506: 2011/07/17(日) 14:46:52.37 ID:f5n0l+A50
アポロン「それならこれも付けてあげよう。よく味わうといいよ」



 ”マサムネ”を握るその両手に、赤色の魔力の光が集まりだす。
それが何を意味するのか、その能力の使い手である少女は叫ぶ。



ほむら「伏せて!」



 時はすでに遅く。”フレア”の能力は発動され、
焼けるような熱と、彼女達を軽々と吹き飛ばす爆風が全員を襲い掛かっていた。

 幸か不幸か、その爆風によって吹き飛ばされた巴マミは
体から光の刀身を抜かれ、神殿の柱へと叩き付けられる。

 その場に血の池が作られる。

 そして彼女が立ち上がる事はなかった。

507: 2011/07/17(日) 14:47:18.65 ID:f5n0l+A50
 残された4人も”フレア”のダメージのために
なかなか立ち上がる事が出来ない。

そんな彼女達を見下ろしながら、アポロンは満足げに話す。



アポロン「素晴らしい力だね。素晴らしいが、これでは拍子抜けだよ」

詢子「ほむら、”いやしの杖”を!」

ほむら「はい・・・!」



 鹿目詢子と暁美ほむら、2本ぶんの”いやしの杖”の回復の光に包まれ
彼女達は再び立ち上がる。



アポロン「いいね。力をもっと試したいから、その調子で頑張って欲しいな」

杏子「ナメてんじゃねぇぞ!」

アポロン「僕はこれから”マサムネ”と”フレア”を順番に使うと宣言してあげるよ」

まどか「いい加減にして!」

508: 2011/07/17(日) 14:47:50.13 ID:f5n0l+A50
 宣言通りに、アポロンは”マサムネ”の刃を
2番目に立っていた鹿目まどかに向ける。

 大きく振り上げられた光の刀を受け止めるべく、
”エクスカリバー”を横向きにして腕を突き出す。

 常識的に考えれば”エクスカリバー”の刃は
”マサムネ”とぶつかり合うはずであった。

 光の刃は鈍く輝く”エクスカリバー”をすり抜け、
彼女の着ている鎧さえもすり抜けてその身を刻む。



まどか「・・・ったい・・・」

ほむら「まどか!」

杏子「倒れるんじゃねえぞ!」



 2人が同時に”ケアル”の発動のために、魔力を集中させる。



 そのような初歩の能力の発動さえ、
アポロンの次の行動の隙に割り込む事は出来なかった。

509: 2011/07/17(日) 14:48:16.54 ID:f5n0l+A50
 続けて鹿目まどかの目前に集まる赤色の魔力。
それを見続けながら、自分が助からないであろう事を感じて
ぐっと歯を食いしばる。



 目に映るものが白一色の世界に。

 それを最後に見た鹿目まどかも、くるくると漫画のように
体を回転させながら宙を舞う。

 彼女が叩き落された地点には、やはり赤い水溜りが生まれる。
”マサムネ”に刻まれたものは、それだけ深い傷痕となっていた。



 残りの3人もまた、爆風に吹き飛ばされて
地面に這い蹲りながら、その鹿目まどかを見つめていた。



ほむら「まどかっ!!」

詢子「落ち着け!自分の傷を治す事に集中しろ!」

杏子「どうしろってんだよ、こんなの・・・!」

510: 2011/07/17(日) 14:48:47.59 ID:f5n0l+A50
アポロン「もう降参するかい?」



 鹿目詢子は、ぺっ、と血の混じった唾を吐く。

 残りの2名もそのような下品な表現こそしなかったが、
徹底抗戦の意思をその瞳に込め続けている。



アポロン「どちらにしろ、君達の短い人生はここで終わりだけどね」



詢子「何にしろ、攻めなきゃ勝てねぇ。杏子ちゃん、アンタは”ケアル”の準備を」

杏子「ああ」

詢子「ほむらちゃん、アンタは”いやしの杖”に魔力を込め続けて。
 いつでも発動できるように」

ほむら「分かりました」

511: 2011/07/17(日) 14:49:19.23 ID:f5n0l+A50
 次の標的は、やはり3番目に立っていた暁美ほむら。
彼女はアポロンと目があった瞬間に、覚悟を決める。


 避けられるものではない。

 ならば、仲間の回復を信じる。

 そう考えた瞬間には、自身に焼け付く痛みが残されていた。
腹のあたりを貫く光の刀。

 カラン、と音を立て、手に持っていた”いやしの杖”が床に落ちる。


詢子「ッラァ!」



 その動きの止まった瞬間を逃さず、”ディフェンダー”の刃は
アポロンの胸に横一文字の傷を作り出す。

 そのダメージに驚いたためか、よろめきながら後ずさるアポロン。



杏子「待ってろ、ケアル!」キュイーン

ほむら「・・・全く、何度も受けたくないものね」

512: 2011/07/17(日) 14:49:49.60 ID:f5n0l+A50
アポロン「なかなか痛いなぁ。さすがは大佐だよ」



 その声からは、動揺などは全く感じられなかった。

 最初の攻撃の時と同じように、胸に作られた傷は
煙を上げながら自動的に修復されていたのだ。



詢子「ほむら、グズグズすんな!」



 言われるまでもなく、取り落とした”いやしの杖”を拾う暁美ほむら。
その回復能力の発動を待つ事なく、彼女達の立ち位置の中央に
赤色の魔力が集まりだしていた。



ほむら(間に合って・・・!)



 願いは虚しく、続けて襲い掛かる爆発音に掻き消される。

 またこれか、と嫌になりながらも彼女達の体は宙を舞う。
”ケアル”を受けて体力を回復させていた暁美ほむらと
他の少女達より体力のあった鹿目詢子には意識が残されていた。

 

 だが、その前に受けた”フレア”のダメージを治療できていなかった
佐倉杏子が、今度は倒れたまま動かなくなってしまう。

513: 2011/07/17(日) 14:50:20.52 ID:f5n0l+A50
ほむら「佐倉・・・」

 言葉は終わりまで告げることが出来ない。
再び暁美ほむらの目の前に現われるアポロン。

 そうと気付いた頃には、視界は暗闇に覆われる。
”マサムネ”の刃は、彼女の意識を完全に断ち切っていた。



 その光の刀が暁美ほむらの体から抜かれる。
崩れ落ちる彼女を見て、アポロンが笑う。



アポロン「ふっふふふふ。本当に愉快だよ」

詢子「こんなガキ共を蹴散らして愉快だ?笑わせんな!」

アポロン「そんな次元の話はしていないさ。見ておくれよ」



アポロン「これが真の神の力だよ!笑わずにいられるかい!」

514: 2011/07/17(日) 14:51:11.15 ID:f5n0l+A50
 唯一人、残された鹿目詢子の目の前に赤い光が集まる。

 最後に残された敵に終焉を与えるべく、
アポロンは”フレア”の詠唱を始めていた。



アポロン「さようなら、大佐」



詢子(頼むよ・・・!)



 78個目のソウルジェムが、彼女の手の中で輝く。

 その手の平を開くと共に、宝石から天井へと向かう光。



 その様子を見ていたアポロンは”フレア”の詠唱を止める。



アポロン「大佐・・・それはまさか・・・!」



 光が生まれたのは”女神の心臓”からだけではなかった。
その神殿の地面、それも一箇所や二箇所だけではない。

 数え切れないほどの光の筋が、床から天へと向かっていた。

515: 2011/07/17(日) 14:51:42.98 ID:f5n0l+A50
 中央神殿の床に横たわっていた少女達が、
その光に体を貫かれる。



 アポロンはその様子を見ながら目を丸くしていた。

 自らが氏の淵に追いやった4人の敵が、
ゆっくりと体を起こしてゆくのを見ていたからであった。



アポロン「その力・・・ソウルジェムのものだね」

詢子「答える必要はねえ」



 起き上がり、武器を構えなおした少女達が
鹿目詢子のもとへ集まる。

 そんな彼女達の目には、怯えの色が映っていた。

 倒れていた全員が、真の神となりつつある敵の力を
その身に叩き込まれていたのだ。

516: 2011/07/17(日) 14:52:10.08 ID:f5n0l+A50
 その様子を見逃さず、アポロンは続ける。



アポロン「78個目のソウルジェムが存在するなんて、本当に知らなかった」

詢子「そりゃそうさ。アタシらガーディアンのトップシークレットだからね」

アポロン「その存在を教えてくれた事に感謝をしよう」



アポロン「どうだい。そのソウルジェムを渡してくれれば、君達の無礼を忘れよう」

マミ「どういう事・・・?」

アポロン「見逃してあげよう、そう言っているのさ」

ほむら「・・・・・・」

アポロン「君達だって長生きしたいだろう?」

杏子「・・・チクショウ」

アポロン「僕という神の治める世界で、平穏に暮らすのも悪くないんじゃないかな」

まどか「そんなの・・・!」

517: 2011/07/17(日) 14:52:41.22 ID:f5n0l+A50
詢子「アイツの嘘に踊らされてんじゃねえぞ!!」



まどか「ママ・・・」

詢子「アイツが平穏な世界を作り出すだと!そんなもの信じられるか!」



詢子「アイツの言う事を聞こうと考えた奴はこっちに来な!
 アタシが気合を入れなおしてやる!!」



アポロン「そうして君は娘達の命をも危険に晒すつもりかい?」

詢子「テメェの考えなんてお見通しなんだよ・・・!」



 アポロンはそこで自分の作戦が失敗に終わった事を理解する。
鹿目詢子に気合を入れられるまでもなく。

 その場の全員の目からは、恐怖の色など無くなっていたのだ。

518: 2011/07/17(日) 14:53:15.67 ID:f5n0l+A50
アポロン「・・・さすがは大佐だね。そう、最初から頃して奪い取るつもりさ」

詢子「こっちは何年もテメェの事を調べて来たんだ」

アポロン「それは光栄だよ。このやり方なら人心を掌握できるかと思ったんだけど・・・」



アポロン「まだまだ考える余地があるようだね」

詢子「んなもんねえよ。テメェはここで終わりだ!」

アポロン「これだけの差を見せ付けられて、まだ勝てるとでも?ふっふふふふ」



 笑いながら、アポロンは中断していた”フレア”の詠唱を始める。

 鹿目詢子の眼前に集まる赤色の魔力は、これまでと同じように
熱と光と風を5人に向けて送り出す。

 

 しかし、今回は全員がそれに耐える事が出来た。

 ソウルジェム”女神の心臓”は、全員の体力を一時的にとはいえ
戦闘を始める前の元気な状態に戻していたのだ。

519: 2011/07/17(日) 14:54:01.60 ID:f5n0l+A50
詢子「ほむら、杏子!アンタらはさっき言った通り回復の手を休めるな!」

詢子「残りはアタシに続け!攻撃を続けろ!」

4人「「はい!」」



 ”いやしの杖”の光が、全員を包み込む。

 最前列に立っている巴マミを包む光だけは、佐倉杏子の
”ケアル”の能力によって一層と強くなっていた。

 続けて”ディフェンダー”を構えた鹿目詢子が
アポロンの体を右肩口から斜めに切り裂く。

 その逆方向、左肩口から振り下ろされる
鹿目まどかの”エクスカリバー”がアポロンの体に十字を描く。



マミ「行くわよ・・・」

マミ「ティロ・フィナーレ!」



 その十字の中心を狙い”ビームライフル”の光が放たれる。
アポロンには大きな空洞を空けられ、そこから勢いよく血液が噴き出す。

520: 2011/07/17(日) 14:54:27.56 ID:f5n0l+A50
 傷は修復を始めていたものの、先ほどまでとは違い
なかなかその穴が塞がる事はなかった。



アポロン「やってくれるね。今度こそ黄泉の世界に送り届けるよ」



 先ほどの状況の再現を行うかのように、アポロンは姿を消す。
それが現われた瞬間には、すでに巴マミの鎧を貫く”マサムネ”。



ほむら「させないっ!」



 暁美ほむらは”いやしの杖”に魔力を込める。



 その杖は回復の光を生み出す事なく、粉々に砕け散ってしまう。

 度重なる連続使用に、”いやしの杖”は耐える事が出来なかったのだ。

521: 2011/07/17(日) 14:55:00.10 ID:f5n0l+A50
 その様子を見ていた鹿目詢子は、手に持つ剣を捨て
”いやしの杖”を取り出す。



 最後の全体回復役が倒れないようにすべく、
佐倉杏子は”ケアル”の能力を鹿目詢子に向け。

 そして暁美ほむらは”ケアル”の能力を巴マミに向けていた。



 ”フレア”を一撃受けただけの鹿目詢子はそれで全快していたが
”フレア”と”マサムネ”を続けて受けた巴マミはそうではなかった。


 
 鹿目詢子は”いやしの杖”を握りながら、心の中で祈り続ける。



詢子(早くしろ、早く・・・!)



 祈りは届かず。

 次なる赤色の魔力は、すでに彼女達の中心に生み出されていた。

522: 2011/07/17(日) 14:55:28.86 ID:f5n0l+A50
 爆風に吹き飛ばされないよう、足に力を込めながら
鹿目詢子は”いやしの杖”の能力を発動させる。



 その光が包み込めたのは、杖を使用した本人と
かろうじて”フレア”に耐える事が出来た鹿目まどかの2人。

 残りの3人は、再び中央神殿の床を舐めていた。



アポロン「ここまでのようだね。そろそろおしまいにしようか」



詢子「まどか・・・」

まどか「・・・何?」

詢子「まだヤツの傷は塞がっていない。アンタ、”ガラスの剣”を持ってるだろ」



 母の意図を理解し、娘は頷く。

 母はそれを見て頷き返す。

523: 2011/07/17(日) 14:55:59.14 ID:f5n0l+A50
 これが最後の攻撃になるのかもしれない。

 そう考えながら、”ガラスの剣”を握り締めて
鹿目まどかは走り出す。



 その攻撃を待ち構えていたかのように、
”マサムネ”の刃は輝きながら振り下ろされる。

 そうと気付いた時には、彼女は自身の勢いを止められなかった。



まどか「お願い!」



 願いは届き。

 ”ビームライフル”によってアポロンに空けられた空洞に
”ガラスの剣”は突き刺さる。

 剣を握る鹿目まどかの隣に、
”マサムネ”の刃をその身で受け止める鹿目詢子。

 その姿を見て、自分の攻撃が成功した原因を知る鹿目まどか。



 やがて”ガラスの剣”は、アポロンの体内で粉々に砕け散る。

 そうしてアポロンの肉体には、より大きな空洞が生まれていた。
もはや体を支える骨格しか残っていないと思えるほどの。

524: 2011/07/17(日) 14:56:31.48 ID:f5n0l+A50
まどか「ママ!」

詢子「やった・・・な・・・」



アポロン「ふっふふふふ」



 それだけの傷を受けながら、なお笑い続けるアポロン。

 その声を聞いた2人の顔には、ハッキリと絶望の色が浮かび上がっていた。



アポロン「ここまでやったご褒美をあげようか」



 アポロンの左手に白色の魔力が集まる。

 出来上がったものは、大きな手。



アポロン「古き神々が使っていたと言われる能力。受け取るといい」

525: 2011/07/17(日) 14:57:28.85 ID:f5n0l+A50
 白く大きな神の手は大きく開かれて。
その手のひらに鹿目まどかの体は吸い込まれてゆく。



詢子「まどかっ!!」

まどか「ママ、ママ!」



 ゴキン───



 能力、と呼ぶにはあまりにも荒々しいその力。



 神の手に握りつぶされた鹿目まどかは、
その白い魔力が消えると同時に床に崩れ落ちる。



詢子「まどか!!」



 血を吐きながら娘の名を叫ぶ。

 その問いかけに、少女は答える事が出来なかった。

526: 2011/07/17(日) 14:58:16.29 ID:f5n0l+A50
アポロン「今度こそさようならだね。君の事は憎かったが、
 今となってはいい思い出になってくれそうだよ」

詢子「・・・チクショウ・・・」



 再び白色の魔力を集めながら、アポロンは続ける。



アポロン「娘と同じ末路を辿るといい。
 君達人間の価値観からすれば、それは本望だろう?」



 神の手は大きく開かれる。



詢子(ここまで、か・・・)



 ゆっくりと手の中に吸い込まれてゆく鹿目詢子。



 だが、彼女を吸い込もうとする力は急に途絶え、
鹿目詢子の体は床に力なく落とされる。



 そこで彼女が目にした爆発。
それはこれまでに散々見せ付けられた”フレア”の爆発ではなかった。

527: 2011/07/17(日) 14:58:55.48 ID:f5n0l+A50
no title


アポロン「な、何だこれは!」



 小さく爆発を起こしながら、崩れ落ちるアポロンの肉体。



アポロン「僕の体が!何が起こったんだい!」

詢子「1つ足りないソウルジェムで神になろうとしたからさ。
 テメェもこれで終わりだな」



 そうと知っていたわけではないが、鹿目詢子はそう答える。
そうとしか、目の前で起きている現象の説明が付かなかったからだ。



アポロン「くそ・・・謀ったな、大佐・・・!」

528: 2011/07/17(日) 14:59:34.80 ID:f5n0l+A50
no title


アポロン「から・・・だ・・・が・・・くず・・・れ・・・る・・・」



 アポロンの体内に赤色の魔力が集まり続ける。
彼の得意とする”フレア”の能力が、暴走を始めていたのだ。



詢子「ゲボッ・・・」



 血を吐きながら、鹿目詢子は周囲を見渡す。
先の”フレア”の爆風で吹き飛ばされていた3人は、
遠くで横たわっていたままであった。

 だが、娘はアポロンのすぐ側にいる。

 今にも爆発を起こしそうなアポロンのすぐ側に。



詢子(・・・まどか・・・)



 そして部屋は一面の光に包まれる。

 身を焼く熱と耳に残る轟音。



 それは鹿目詢子が最後に感じ取ったものであった。

529: 2011/07/17(日) 15:00:11.14 ID:f5n0l+A50


530: 2011/07/17(日) 15:01:00.15 ID:f5n0l+A50


まどか「う・・・ん・・・」



 体に揺れを感じて、鹿目まどかが目を覚ます。
ビーナスの世界に居た時に味わったような、長く続く地震。

 しばらくの間は、それが止まらないかと願いながら
言う事を聞かない体を懸命に動かそうとしていた。



 やがて、彼女は自分が起き上がれない理由に気が付く。

 自身の体に覆いかぶさっている何か。



 アポロンの最後の爆発から娘を守ったもの。



 それは鹿目詢子の体、そのものであった。

531: 2011/07/17(日) 15:01:29.29 ID:f5n0l+A50
 そして母の体は、ゆっくりと光に包まれる。



まどか「ママ!」



 光の中で、その肉体は足から少しずつ消えてゆく。
さらさらとこぼれ落ちる砂のように。



まどか「行かないで!」



まどか「私、まだママに謝ってないんだよ!!」



 その叫びを聞いて、倒れていた3人も目を覚ます。
彼女達が目にしたものは、もう胸元までしか残っていない鹿目詢子。



まどか「パパと約束したんだよ!必ずママと一緒に・・・」



 両手に抱いていた母の顔。
それは砂の欠片となって鹿目まどかの手からこぼれ落ちてゆく。



まどか「・・・一緒に帰るって・・・」

532: 2011/07/17(日) 15:02:05.89 ID:f5n0l+A50
 残されたものは何もなかった。



 肩を震わせる鹿目まどかの後ろ姿。

 残された3人がそれを見つめているうちに、
中央神殿の床に光が生まれ出す。



 アポロンの持っていたものと、鹿目詢子の持っていたもの。

 光はソウルジェムの形を取り、78個全てが綺麗に整列して並べられていた。



ほむら「何とか出来ないの?これじゃ酷過ぎる・・・」

杏子「ソウルジェム・・・」



杏子「ソウルジェムの力を使えば、何とかなるんじゃないか?」

マミ「・・・でも、この揺れを見て。
 アポロンがソウルジェムを使ったのと、きっと何か関係があるんだわ」

533: 2011/07/17(日) 15:02:40.71 ID:f5n0l+A50
杏子「仕方ないだろ。そうするしかねえんだよ!」

ほむら「・・・やりましょう」

まどか「みんな・・・」

マミ「・・・鹿目さん、ここまであなたについて来たんですもの。
 あなたに任せるわ」



まどか「・・・うん」



まどか「ごめんね、ママ」



まどか「・・・私はソウルジェムの力を使う」

534: 2011/07/17(日) 15:03:23.05 ID:f5n0l+A50



 整列されたソウルジェムの前に立ち、
鹿目まどかは目を瞑り祈りだす。



 残された3人もそれぞれの場所に立ち、
ソウルジェムを四方から囲うように祈りだす。



 奇跡が起きる事を信じて。

535: 2011/07/17(日) 15:04:02.04 ID:f5n0l+A50



 ソウルジェムの1つから光が漏れ出す。
それに続いて、次々と光を生み出す宝石達。



 中央神殿の中には、ただ一面の光しかなかった。



 それに包まれる少女達は、心の中に語りかける声を感じ取る。

536: 2011/07/17(日) 15:04:36.45 ID:f5n0l+A50
女神「私の声が聞こえますか?」

まどか「あなたは・・・?」

女神「私は古き神々の1人です。人間達よ、聞いて下さい。
 とうとう、穢れはこの世界を飲み込むほどになりました」

ほむら「穢れが・・・?」

女神「あなた達がこの中央神殿で感じている揺れ。
 これは今、この世界の全てを巻き込んでバラバラにしようとしています」

マミ「・・・ソウルジェムを使ってきた私達、人間のせいなの?」

女神「そうでもありますし、そうではないとも言えます。
 全ては私の創りだしたモノが、己の役目を忘れたりはしなければ・・・」

杏子「・・・インキュベーターの事かよ・・・気分悪ぃ」

女神「あなた達の価値観など、私には理解も出来ません。ですが・・・」



女神「この事態を招いた責任の一端がある事を、私は承知しています。
 あなた達が世界を救いたいと願うのであれば、手を貸しましょう」

537: 2011/07/17(日) 15:05:04.12 ID:f5n0l+A50
まどか「あの・・・」



まどか「神様なら、私のママを助けて!」

女神「失われた命の結末を捻じ曲げる。
 それがどれだけ不条理な事か、あなたには理解できますか?」

まどか「けど・・・!」

女神「そのような奇跡を起こす力は、残念ながら私は持ち合わせていません」

まどか「・・・そんな・・・」



まどか「そんなのってないよ・・・」

538: 2011/07/17(日) 15:05:33.07 ID:f5n0l+A50
 光の中で、うずくまる鹿目まどか。

 

 残された少女達はただ、そんな彼女を見ている事しか出来なかった。



 長い沈黙の末に、女神が語りかける。



女神「私にとっては、世界が滅びようと創り直すだけ。
 あなた達がこの世界を救おうと思わないのであれば、私はこのまま消えます」

杏子「テメェ!そんなんでカミサマを気取ろうってのかよ!」

ほむら「落ち着きなさい、佐倉杏子」

マミ「気持ちは分かるけれど・・・」



マミ「・・・今の私達には、やるべき事があるはずよ」



 その声をひときわ大きく上げる巴マミ。
その言葉は、鹿目まどかに向けられたものでもあった。

539: 2011/07/17(日) 15:06:03.12 ID:f5n0l+A50
ほむら「・・・その通りよ。私達には残された義務があるわ」

マミ「ソウルジェムを使ってこの事態を起こしたのは私達なんですもの」

杏子「・・・オイ」



 佐倉杏子は鹿目まどかの肩を両手で掴み、立ち上がらせる。

 そして言葉を続ける。俯いて涙を流す彼女に向けて。



杏子「いつまでもショボくれてんじゃねえぞ」



杏子「行くしかねえんだよ。世界を守れるのはアタシ達だけなんだよ」



杏子「・・・鹿目詢子が守ろうとした、この世界をさ」

540: 2011/07/17(日) 15:06:31.57 ID:f5n0l+A50
 少女達の意思は固まっていた。

 それでも鹿目まどかが動こうとしないのであれば、
その頬でも張ってやろう。そう佐倉杏子は考えていた。



 鹿目まどかの顔が上がる。



 両目は真っ赤に腫れていたが、揺ぎ無い意思を込めて。



杏子「・・・よし」

マミ「行きましょう。全ての決着を付けるために」

ほむら「女神様」



ほむら「これが私達の意志です。どうか手を貸して下さい」

541: 2011/07/17(日) 15:07:02.97 ID:f5n0l+A50
女神「それがあなた達の出した答えであるのなら、手を貸しましょう」

女神「ただし、現在の私は概念としての存在に過ぎません」

ほむら「それは?」

女神「あなた達の世界に、物理的に干渉するための肉体を持っていないのです」

杏子「じゃあ手を貸すってのはウソかよ」

女神「肉体がないのであれば、それを用意すればいい事」

マミ「・・・どういう事?」



女神「あなた達が信頼する人間。あなた達が、世界を任せてもいいと思える人間」

女神「その姿を頭の中に浮かべて下さい」



女神「そうすれば、その人間に私の持つ力の全てを与えましょう」

542: 2011/07/17(日) 15:08:09.18 ID:f5n0l+A50
*************************

最後の安価。

女神の力を受け継ぐに値する人物の姿、
それは誰の姿を思い浮かべたでしょうか。
(人格などは元の人物ベースのまま。元々持っていた力は女神の力で上書きされます)

参考に女神ステータス
no title


1 早乙女先生
2 ゆま 
3 たっくん
4 さやか
5 織莉子
6 キリカ

 誰か1人に3票集まったら決定、決まらなければ3日後に一番票の多かった人物で。
↓安価の多数決、3日後に同数票のままであれば再安価。同一ID票無効。

*************************

548: 2011/07/18(月) 12:57:27.75 ID:60YeZIDN0
さやか

549: 2011/07/18(月) 19:48:02.76 ID:+TdFno2c0


550: 2011/07/18(月) 19:49:01.60 ID:+TdFno2c0

 女神の声は聞こえなくなり。

 中央神殿から光が消えてゆく。

 少女達の視界には、遠くに見える星空と
地震に揺れ続ける中央神殿。



 そこに並べて置いてあるソウルジェムは、
激しい揺れの中でも動かずにそのままの位置を保っていた。

 

マミ「見て!」

杏子「ソウルジェムが・・・?」



 やがてソウルジェムは一つ一つが光の粒となり、
中央神殿の床から浮かび上がる。



 光は一箇所に集う。

 そして人の影を作り出し・・・

551: 2011/07/18(月) 19:49:32.60 ID:+TdFno2c0
ほむら「美樹さやか・・・!」

さやか「・・・事情は全部、女神様が教えてくれたよ」



さやか「というわけで、さやかちゃん参上!」

さやか「世界の平和はこの女神さやかちゃんが、
 ガンガン守りまくっちゃいますからねー!」



杏子「・・・・・・」

マミ「・・・・・・」



さやか「え・・・と・・・」

ほむら「・・・あなたって人は・・・」

552: 2011/07/18(月) 19:50:05.10 ID:+TdFno2c0
まどか「・・・・・・」グスッ

さやか「ご、ゴメン、その・・・落ち込んでるだろうと思ってさ・・・」

まどか「・・・ううん、違うの」



まどか「嬉しいの」

まどか「こうしてみんなが、私とママのために頑張ってくれるのが」

まどか「すごく嬉しい」



まどか「みんなは私の、最高の友達だったんだね」



さやか「あったりまえじゃん!」

ほむら「言われるまでもないわ」ファサッ

マミ「鹿目さん、次にそんな事を言ったら怒るわよ?」

杏子「ったく、超ウゼェ。そういうのは口に出すなよな・・・へへっ」

553: 2011/07/18(月) 19:50:38.32 ID:+TdFno2c0
まどか「でも、さやかちゃんは良かったの?こんな・・・」

さやか「おっと、その先は言わないでくれたまえ」



さやか「どの道、放っておいたら世界はバラバラになっちゃうんだし」

さやか「あたし、みんなに何も恩返しをしてないもん。
 このくらい、どうって事ないよ!」

ほむら「それを聞いて安心したわ。
 あの弱虫の美樹さやかは、もう居ないのね」

さやか「何だとー!」


 
 逃げる暁美ほむらと、それを追いかける美樹さやか。

 その姿を見て、鹿目まどかの顔には笑顔が戻っていた。



杏子「おいおい、これからやろうとしている事が分かってんのかアイツら?」

マミ「全くもう・・・はしゃいでいないで戻ってらっしゃい!」

さやか「ゴメンゴメン、今行くよ!」

554: 2011/07/18(月) 19:51:29.32 ID:+TdFno2c0

さやか「このドアの先が、神々の世界の非常階段だよ。
 この先に、世界の穢れは集まり続けてる」

杏子「ハラはくくったさ」

マミ「何が待っていようと怖くない」

ほむら「そんな事で怖気づく者なんて居ないわ」



まどか「最後までありがとう」



まどか「・・・そしてよろしく、みんな!」



 全員が顔を合わせ、頷く。
美樹さやかが手を触れたそのドアは光り輝き、
そして消滅していった。

 中から漏れ出す暗闇。

 その中へと足を踏み入れた少女達は、
ひたすら下へと続く階段を目にしていた。

555: 2011/07/18(月) 19:52:04.52 ID:+TdFno2c0
--- 非常階段 ---

 その広い通路には、壁がなかった。

 ただ眼下の暗闇へ延び続ける階段と、その両端を囲う
一歩間違えれば奈落へと落ちて行きそうな星空。

 幸いだったのは、少女達が手を広げて横に並んだとしても
まだまだ余裕がある階段の横幅。



 ひたすら続く道を、少女達は駆け下りていた。

 どこまで走っても底が見えない、奈落への道。



 いつしか周囲の星空はその姿を見せなくなり、
変わりに夜空よりも黒く輝く光の粒が
大量に下方へ向けて降り注いでいるのが見えた。

556: 2011/07/18(月) 19:52:31.94 ID:+TdFno2c0
マミ「まるで雪みたいね・・・」

さやか「それがソウルジェムに溜まっていた穢れなんだよ」

まどか「まるでどこかに集まっているようだね」

さやか「実際にその通りだよ。ある程度の穢れが集まると、
 それは形をなして世界を破壊しようとするんだ」

杏子「なんだってそんな事を?」

さやか「理由なんてないんだよ。集まった穢れにとってはさ」

ほむら「何も考えずに、世界を壊そうと言うの?」

さやか「世界中の恨み、呪い、憎しみ。それが集まりきって、
 出来上がったものにとってはする事は一つしかないんだ」



さやか「ほむらの言う通り、ヤツは何も考えてはいない。
 そうするために生まれるようなものなのだから」

557: 2011/07/18(月) 19:53:34.46 ID:+TdFno2c0
さやか「みんなは魔物が生まれる理由を知っていた?」

ほむら「そんなこと、考えた事もないわ」

さやか「あれだって、世の中の穢れが形となったものなんだよ」

マミ「美樹さんはそれを知っていたの?」

さやか「さっき女神様の力を受けた時にね。
 神様の知っている事が全部、頭の中に入ってきたんだ」

まどか「さやかちゃんは、なんでも見えるようになったんだね」

さやか「そうでもなかったりね。
 神様といっても、全てを見ているわけじゃなかったり」

杏子「・・・お出ましだよ。穢れの塊とやらがさ」



 長い階段の終着点。そこに待ち受ける魔物は
”ティエンルン”と”フェンリスウルフ”。

 魔物達は降り注ぐ黒い雪を受けて、
その姿を大きくしているようにも見えていた。

558: 2011/07/18(月) 19:54:24.61 ID:+TdFno2c0
マミ「こんな所で・・・」

杏子「足止めされるワケにゃいかねーな!」



 佐倉杏子が、”竜巻”の能力を発動させる。

 その威力に耐えている魔物に対し、
鹿目まどかは”ティエンルン”を切りつけて。

 巴マミは”フェンリスウルフ”に対して射撃を行っていた。



ほむら「決めるわよ。”フレア”のパワーを最大に!」

さやか「それをあたしに言わせる?・・・いいですとも!」



 二人分の魔力が、それぞれの魔物の眼前に集まる。
そうして起きた2つの爆発。

 魔物の群れはこんがりと焦げ目を付けて、
そのまま動きを止めていた。

559: 2011/07/18(月) 19:55:09.07 ID:+TdFno2c0
ほむら「ちょっと・・・今じゃなくてもいいじゃないの」

杏子「しょうがないじゃん。こうしないと力が出ないんだよ」モグモグ

さやか「・・・おいしいの?」

杏子「けっこうイケるよ。食うかい?」

さやか「・・・いいや」



 階段の終着点には、そのまま奥へと真っ直ぐに伸びる通路。

 星空の照明と黒い雪が打ち消しあい、
ちらちらとその通路は瞬いていた。



 そこに見えたものは、4つの黒い人影。

 それは笑いながら、少女達を待ち受けているかのようであった。

560: 2011/07/18(月) 19:55:47.23 ID:+TdFno2c0
まどか「あの影は・・・」

マミ「私達?」

さやか「最後にソウルジェムを使ったのがみんなだからね。
 穢れがそれを覚えているだけだよ」

杏子「アタシ達はアレを倒せばいいのか?」

さやか「ううん。あれは使い魔に過ぎない。
 親玉はこの奥に作られつつあるよ」



 笑い声を上げる使い魔は、襲い掛かって来る事はなかった。
少女達が歩いたのと同じ分だけ、使い魔は離れて行く。



ほむら「まるで案内されているようね」

さやか「そうなんだろうね。あいつらが欲しいのは、
 あたしが持っているソウルジェムだろうから」



さやか「いざ戦いになれば、あの使い魔の影は
 あたしの”マサムネ”じゃないと斬れないんだ」

さやか「だから、使い魔はあたしに任せて。
 みんなは穢れの本体を叩いて欲しい」



 その言葉を終える頃には、通路の終点が見えていた。
その一室には、黒い雪が降り続いているのが遠くからでも見える。

 その場所への案内役をしていた使い魔達も、
その部屋の奥で少女達を笑いながら待ち受けていた。

562: 2011/07/18(月) 19:57:02.08 ID:+TdFno2c0



 その部屋に足を踏み入れた少女達は
体中に突き刺さるような悪寒に戦慄する。

 これまで幾千、幾万年もの間に溜め込まれた穢れが
この小さな一室に集まりつつあったのだ。



マミ「なんて魔力なの!体を貫かれるような・・・」



杏子「勝てるのか私達で、こんな奴に・・・くそっ、やるしかねえな!」



ほむら「美樹さやか、あなたを信じていいの?」



さやか「アタシは・・・みんなを信じているよ!」



563: 2011/07/18(月) 19:57:29.95 ID:+TdFno2c0


まどか「さやかちゃん、みんな!負けないで!」



 鹿目まどかは拳を握り、その右腕を突き出す。

 そして全員が、その仕草を真似する。



 全員の拳がコツン、と中央でぶつかる。



 それが少女達の意思であった。



564: 2011/07/18(月) 19:58:09.43 ID:+TdFno2c0


「「しょうしんしょうめい さいごのたたかいだ!みんな やるぞ!」」


565: 2011/07/18(月) 19:58:44.14 ID:+TdFno2c0


 - とてつもなく大量の穢れが集まってくる! -

no title

566: 2011/07/18(月) 19:59:15.78 ID:+TdFno2c0

 美樹さやかは”マサムネ”の光の刃を
使い魔に向けて振り下ろす。

 使い魔の笑い声が、少しだけ歪む。

 それがダメージを与えている証拠なのだと、
残りの4人は理解していた。



 敵の本体を叩くのは自分達だ。

 そうとも理解していた彼女達は、それぞれの武器を構える。



 だが、攻撃を受けてなお使い魔達は
その手に武器の影を作り出し、少女達に襲い掛かって来ていた。

 つかいま1の こうげき
 つかいま2の こうげき
 つかいま3の こうげき
 つかいま4の こうげき

 まどかに 200ダメージ
 マミさんに 200ダメージ
 ほむらに 200ダメージ
 きょうこに 200ダメージ
 さやかに 200ダメージ

567: 2011/07/18(月) 19:59:44.13 ID:+TdFno2c0

ほむら「美樹さやか、そいつらを抑えておきなさい!」



 そう告げながら、”いやしの杖”を構える暁美ほむら。



さやか「しょうがないじゃん。敵はこっちの都合で動いてくれないんだから!」

マミ「気にする事ないわよ。ダメージは大したものじゃないわ」

杏子「今のうちに本体への攻撃をしておくよ!」

まどか「うん!」



 彼女達の目前に存在する、穢れの結晶。

 それは高笑いを上げ続け、
少しだけ地面から浮いたその場所から少女達を見下ろす。



 その姿は、まさに魔女と呼べるものであった。

568: 2011/07/18(月) 20:00:11.14 ID:+TdFno2c0

 ”いやしの杖”に意識を集中させる暁美ほむらを除いて、
残りの3人が攻撃を加える。

 佐倉杏子が新たに習得した”フレア”を発動させる。

 その爆発の中を”ビームライフル”の光が貫く。

 爆発が収まったところで、鹿目まどかが”エクスカリバー”を
天高く振り上げ、そして魔女へ向けて下ろす。



 ガキン、と響く金属音。

 切りつけた鹿目まどかの手がじーんと痺れる。

 見た目とは裏腹に、魔女の防御力は鋼鉄の鎧のようであった。

569: 2011/07/18(月) 20:00:41.01 ID:+TdFno2c0

まどか「・・・手が痺れちゃうよ」

マミ「見た目よりも頑丈ね・・・」

杏子「でも、見てみろ。少しだけど、ヤツの体が欠けているぞ」



 鹿目まどかが攻撃を加えたその魔女の頭部は、
言われた通りに少しだけ欠けていた。

 アポロンのように修復されないそれを見て
少女達は希望を持つ。



さやか「一丁あがり!」

ほむら「私の影から倒したわね」

さやか「もう・・・どうすりゃ良かったのさ!」



 そんな軽口を交わす2人。

 最初には4つ見えていたその影が、
今ではその姿を1つ減らしているのが全員の目に見て取れた。

570: 2011/07/18(月) 20:01:07.81 ID:+TdFno2c0


 - とてつもなく大量の穢れが集まってくる! -


571: 2011/07/18(月) 20:01:38.92 ID:+TdFno2c0

さやか「くそ、また・・・!」

まどか「気をつけて!来るよ!」

 つかいま2の こうげき
 つかいま3の こうげき
 つかいま4の こうげき

 まどかに 161ダメージ
 マミさんに 161ダメージ
 ほむらに 161ダメージ
 きょうこに 161ダメージ
 さやかに 161ダメージ

マミ「さっきより攻撃が軽いわ」

杏子「数を減らしただけあるな!さやか、その調子で頑張れ!」

さやか「おうよ!」

572: 2011/07/18(月) 20:02:23.79 ID:+TdFno2c0

 再び先ほどと同じ役割分担で、攻撃を加えようとする少女達。

 先ほどと違ったのは、その攻撃の前に
魔女の手がゆっくりと少女達に向かって行った事。



 魔女の右手から”メガスマッシュ”の能力が発動される。
黒く細い矢のようなその能力は、狙われた鹿目まどかに小さな傷を作る。

 その程度の能力。大した威力ではなかった。



ほむら「まどか、大丈夫?」

まどか「うん!マサムネに斬られた時に比べれば、へっちゃらだよっ!」

マミ「美樹さんとマサムネが味方に回って良かったわね・・・」



 そう眺める視線の先に、次なる使い魔を切り倒す美樹さやか。

 残る使い魔の数は、最初の時から半分となっていた。

573: 2011/07/18(月) 20:03:02.68 ID:+TdFno2c0


 - とてつもなく大量の穢れが集まってくる! -


574: 2011/07/18(月) 20:03:31.60 ID:+TdFno2c0

 それでも、美樹さやかの事など眼中にないかのように
使い魔達は攻撃を続ける。



さやか「またかよ!あたしを置いていくなー!」

 つかいま3の こうげき
 つかいま4の こうげき

 まどかに 119ダメージ
 マミさんに 119ダメージ
 ほむらに 119ダメージ
 きょうこに 119ダメージ
 さやかに 119ダメージ

まどか「大丈夫!軽いよっ!」

ほむら「こっちの事は気にしないで。早く自分の仕事を終わらせなさい」

さやか「もう、ほむらの言ってる事、矛盾してるよ!」

杏子「なんだかわかんないけど、アンタを信用してるって事さ!」

575: 2011/07/18(月) 20:04:00.26 ID:+TdFno2c0

 巴マミの放つ”ビームライフル”の光が
魔女の歯車へと突き刺さる。

 確かに堅い。

 それでも、攻撃を加えるたびにこぼれ落ちる魔女の欠片。



 それに反撃をするかのように、魔女の体に一瞬だけ黒い光が集まる。

 その光は天から矢の形となって降り注ぎ、
その第一撃を追うように青白い矢が続けて巴マミへと向かう。

 先ほどの”メガスマッシュ”よりは大きなダメージであったが、
その”シューティングスター”の能力も少女に致命打を与えるには至らない。



杏子「マミ、大丈夫か?ケアルを・・・」

マミ「ううん、暁美さんのいやしの杖だけで十分。
 鹿目さんの言う通り、大した攻撃力ではないわ」



 私達は勝てる。

 2人は同時に、そう考えていた。

576: 2011/07/18(月) 20:04:33.12 ID:+TdFno2c0

さやか「たあぁっ!」



 光の刀に貫かれた黒い使い魔の影は、
光に飲み込まれるようにその姿を散らしてゆく。

 

さやか(あと1つ・・・!)



まどか「さやかちゃん!」

ほむら「美樹さやか」

さやか「?」



 二人は握り拳を突き出し、ビッと親指を天に伸ばす。

 

 それを見て、彼女は微笑む。

 そして同じ仕草を相手に向け返す。



 私達は勝てる。

 3人は同時に、そう考えていた。

577: 2011/07/18(月) 20:05:00.87 ID:+TdFno2c0


 - とてつもなく大量の穢れが集まってくる! -


578: 2011/07/18(月) 20:05:27.47 ID:+TdFno2c0

さやか「最後くらい・・・ムキー!」



 使い魔は笑い声を上げながら、
またも美樹さやかを無視して攻撃を続ける。

 しかしながら、その攻撃の威力は
これまでの激戦を潜り抜けてきた少女達にとっては
涼しい顔をしていられるものであった。

 つかいま4の こうげき

 まどかに 83ダメージ
 マミさんに 83ダメージ
 ほむらに 83ダメージ
 きょうこに 83ダメージ
 さやかに 83ダメージ

さやか「いつまでもあたしを無視して・・・!」

まどか「私達は大丈夫!最後の1つ、頑張ってね!」

マミ「そちらが終わったら、こっちの手伝いをお願いね」

さやか「分かってますよっ!」

579: 2011/07/18(月) 20:05:56.43 ID:+TdFno2c0

 美樹さやかは”マサムネ”を振り回すが、
ひらりひらりと舞う使い魔に刃が届かない。



さやか「この・・・ちょこまかと!」



 使い魔の逃避行は、自身を生み出した親玉にぶつかり
その動きを止めていた。



さやか「これで・・・トドメだぁっ!」



 一閃。

 使い魔を横一文字に切り裂き、さらに奥に居た魔女にも
ダメージを与える光の刀。



 その反対側では・・・

580: 2011/07/18(月) 20:06:29.06 ID:+TdFno2c0
 
 魔女に集まる黒い光。
”シューティングスター”の発動の合図であるそれは、
2連続で行われていた。

 天に向けて伸びる2本の流星。

 それは黒い矢を暁美ほむらと佐倉杏子に落とし、
続けて青い流れ星が彼女達を貫く。



 攻撃を受けながら、彼女達は”いやしの杖”と
”ケアル”の能力を同時に発動させる。

 少し深いダメージを負った暁美ほむらには
回復の光が厚く注がれ、そのまま全員の体を淡い光が包み込む。

581: 2011/07/18(月) 20:07:15.83 ID:+TdFno2c0

 ”ビームライフル”の射撃を終えた巴マミが叫ぶ。



マミ「鹿目さん、あと少しよ!」

まどか「はいっ!」



 魔女に向けて、”エクスカリバー”を振り上げた
鹿目まどかが突き進む。

 その反対側には、同じように”マサムネ”を構えて
攻撃を加える美樹さやかの姿が見えていた。



 鹿目まどかの手に届く強い衝撃。

 その頑丈な敵に対して、”エクスカリバー”の刃は
根負けしてしまっていた。

 ばらばらと砕け散る剣。



 しかし、鹿目まどかが切りつけたその箇所。

 魔女の体も同じようにばらばらと砕けていた。

582: 2011/07/18(月) 20:07:57.63 ID:+TdFno2c0

 美樹さやかに切られた部分、鹿目まどかが切りつけた部分。
魔女はその体の左右に作られた傷から、黒い光を放出させていた。



杏子「やったのか!」



 勢い良く飛び出る黒い光。

 それを埋めようとするべく、天から降り注ぐ黒い雪。



 それは急に激しさを増し、雹の嵐となってこの部屋に降り注いでいた。



ほむら「いえ・・・まだ終わらないわ」

さやか「急速に穢れを集めている・・・!」

まどか「マミさん、弓を・・・」

マミ「ええ。これを使いなさい」



 剣の折れた鹿目まどかは、巴マミの装備していた
”与一の弓”を借り受ける。

 そうして目の前の光景を、じっと見据えていた。

583: 2011/07/18(月) 20:08:30.28 ID:+TdFno2c0


 - とてつもなく大量の穢れが集まってくる! -


585: 2011/07/18(月) 20:10:18.73 ID:+TdFno2c0

 やがて降り注ぐ黒い雪は見えなくなる。

 全ての穢れを飲み込み終えた魔女は、
その姿を時計周りにゆっくりと反転させる。



 歯車が下に、頭部が上に。

 より一層強くなる非常階段の揺れと、
魔女が高らかに上げ続ける笑い声。

 美樹さやかはそれの意味するところを仲間に伝える。



さやか「もっと早く倒せていれば・・・気をつけて、これからが本番だよ!」

マミ「早くですって?」

杏子「どうなるってんだ?」

さやか「あれは穢れを全て飲み込んでしまった。だから・・・」



ほむら「どうであれ、私達のする事は変わらないわ」ファサッ

まどか「これでみんな終わるんだね・・・!」



 鹿目まどかは、受け取ったばかりの弓の弦を引く。

 そうして放たれた矢は、魔女の顔面と思われる部分に突き刺さる。

586: 2011/07/18(月) 20:10:53.42 ID:+TdFno2c0

 突き刺さった矢から漏れ出す黒い光の球。

 それはいくつもいくつも生まれ出し、
少女達を目掛けて回転しながら迫る。

 ”スターバスター”の能力は少女達を攻撃する。

 漆黒の流星は、散弾のように少女達へと向かって来ていた。
遠くから見ていれば綺麗だと思えるような、星屑を残しながら。



マミ「・・・いったぁ・・・」

ほむら「急に強くなったわね」

杏子「飲み込まれるなよ!」



 その弾幕の密度が濃い場所に立っていた巴マミと鹿目まどかは
無視できない大きさのダメージを受ける事になる。

 しかし残りの3人は大きなダメージを受けているわけではなく、
即座に回復能力を使用する構えを見せていた。

587: 2011/07/18(月) 20:11:28.10 ID:+TdFno2c0

 魔女の砕けた箇所から、先ほどと同じ黒い光の球が飛び出る。
大量に生み出されたそれは、今度は少女達を襲わずに
はるか天空へと消えてゆく。



ほむら「・・・何?」



 次なる攻撃に対して身構える少女達。

 いつまで待っても何も変化が起きないその魔女の行動。
その間に”いやしの杖”と”ケアル”による仲間の回復は終わっていた。



 その行動を阻害するわけでもなく、魔女は笑い続ける。

 少女達は、その姿を見て疑念を抱き始めていた。

588: 2011/07/18(月) 20:12:00.59 ID:+TdFno2c0

まどか「まだ余裕があるの・・・?」

さやか「アレを気にしてちゃだめだ。攻撃して来ないならチャンスだよ・・・!」



 美樹さやかは”フレア”の詠唱を始め出す。
それを見た佐倉杏子が続き、暁美ほむらも”フレアの書”を取り出す。



マミ「続いてっ!」



 ”ビームライフル”の光が魔女の頭部を貫く。

 ぱらぱらと舞う魔女の破片を逆流するように、
赤色の魔力が”ビームライフル”の光の刺さった場所へと集まりだす。



3人「「フレア!」」



 暁美ほむらの持つ”フレアの書”が魔力の耐久回数を超えて
その手の中でさらさらと灰になる。

 コンマ数秒の差を置いて、次々と爆発が魔女を揺るがす。
ガラガラと砕け散る魔女の歯車。

 もはや敵の姿はいたる箇所が欠けており、
最初に見た時に比べて一回り小さくなっていた。

589: 2011/07/18(月) 20:12:37.23 ID:+TdFno2c0

 あと少し。

 全員がそう考えていた。

 笑い続ける魔女に向けて、弓を構える鹿目まどか。



 魔女を見据える視線の先に、
星空の中で浮いた存在に見える赤い流星。



まどか「あれ・・・!」

杏子「こっちに向かってるんじゃねえか!」

さやか(マズい・・・!)



 遠近感のせいで最初は小さく見えたその星は、
今や少女達を押しつぶすほどの大きさの隕石となって
この部屋へと迫っていた。

 魔女の奥の手、”ゼノサイド”の能力。



 それの威力を感じ取っていた美樹さやかは、
自らの胸に両手を当てる。

590: 2011/07/18(月) 20:13:09.58 ID:+TdFno2c0

 遥か天空から落下する灼熱の弾丸。

 この部屋を埋め尽くすほどの大きさであったそれは
轟音と共に非常階段の地面に着弾する。

 爆音と衝撃。

 その場に居た少女達と魔女をも巻き込み、
砕けた隕石の欠片が黒く輝く花火を散らす。



 漆黒の炎の中で高笑いを続ける魔女。



 そして、その闇を切り裂く光。

 美樹さやかを中心として、その光は数え切れないほどの筋を
地面から天へと向けて伸ばしていた。



 ソウルジェム”女神の心臓”は”ゼノサイド”の着弾と
同時に発動し、少女達へのダメージを取り除いてた。

591: 2011/07/18(月) 20:13:42.71 ID:+TdFno2c0

ほむら「助かったわ、美樹さやか」

さやか「けど、今の力を使えるのはこれっきりだよ」

杏子「続けてあの能力を使われるとまずいな・・・」

まどか「その前に倒さないと・・・」



 そんな少女達の声が聞こえているかのように、
次弾の装填をすべく黒い光を集め出す魔女。



マミ「・・・それなら・・・」



マミ「みんなで必殺技を使いましょうよ」



4人「え?」



592: 2011/07/18(月) 20:14:14.10 ID:+TdFno2c0

ほむら「巴マミ、こんな時に冗談なんて・・・」

マミ「あら、私は冗談なんて言ってるつもりはないわよ?」

まどか「けど、私に必殺技なんて・・・」

マミ「どんな攻撃だっていいの」



マミ「目の前の敵を倒すんだって。その想いが込められた攻撃は・・・」

マミ「自然と必殺技になるものよ」



ほむら「そんな事を言われても・・・」

さやか「いいじゃん、必殺技!」

杏子「そうだな、最後くらい悪くないかもな」

ほむら「あなた達まで・・・!」

593: 2011/07/18(月) 20:14:45.78 ID:+TdFno2c0

杏子「そういうもんじゃん?最後に愛と勇気が勝つストーリーってのはさ!」

さやか「アタシ、密かにマミさんの必殺技に憧れてたんですよ!」

マミ「あらあら、それは光栄だわ」

ほむら「あなた達、本当にやるの・・・?」



まどか「・・・うーん」

マミ「いいネーミングが決まらないかしら、鹿目さん」



まどか「・・・みんなのおかげ。
 みんなのおかげで、わたしはここまで来れた」



 魔女から黒く輝く矢弾が打ち出される。
先ほどと同じだけの量が、先ほどと同じように天へと向けて。



 その魔女に向けて弓を引き絞りながら。

 鹿目まどかは最初の言葉を叫ぶ。



まどか「だから。私の必殺技は・・・!」



594: 2011/07/18(月) 20:15:28.25 ID:+TdFno2c0

まどか「 絆の一鏃!! 」



さやか「 蒼勇の刃!! 」



杏子「 紅蓮の槍!! 」



ほむら「・・・88式SSM・・・」ボソッ



マミ「 ティロ・フィナーレ!! 」



 少女達の流れるような攻撃の動作は・・・



595: 2011/07/18(月) 20:15:55.76 ID:+TdFno2c0

      << 連携 >>

     一つの目標に対して
    攻撃を連続させることで
      単発の攻撃よりも
はるかに高い効果を上げる事ができる

     これを【連携】と呼ぶ!

596: 2011/07/18(月) 20:16:26.51 ID:+TdFno2c0


「「 絆の蒼勇紅蓮SSM・フィナーレ!! 」」


597: 2011/07/18(月) 20:16:54.69 ID:+TdFno2c0
 
 暁美ほむらは魔力を掻き集め、
”ミサイル”の発射台となる車両をこの場に呼び出していた。

 それが炎の筋を伸ばしながら
ミサイルを発射すると同時に、鹿目まどかの手から離れた
音速の矢弾が魔女へと向かう。

 ミサイルは魔女を通り過ぎて星空を旋回し、
鹿目まどかの放った矢はそのまま魔女へと突き刺さる。

 その矢を追いかけるように地を蹴る佐倉杏子と美樹さやか。

 二人の持つ”グングニルのヤリ”と”マサムネ”が
魔女の体を削り取り、より強くなる魔女の高笑い。

 ダメージを与えた事で二人は目を合わせて頷き、
その場から素早く跳ね上がる。

 二人が距離を取った時点で、上空を旋回していたミサイルは
天から魔女へと襲い掛かり。

 そのまま魔女を床へと押し付けて、その弾頭を炸裂させていた。

 爆炎の中へと照準を定め続け、大きな光芒はそれを貫く。

 

 そして・・・



598: 2011/07/18(月) 20:17:32.54 ID:+TdFno2c0


599: 2011/07/18(月) 20:18:16.51 ID:+TdFno2c0

 目も眩むような攻撃を終えて、少女達の視界に入って来たもの。

 それは、がらがらと音を立てて崩れ落ちる魔女。



 天空から近づいてくる赤い流星は、
いつまで経ってもその大きさが変わる事はなかった。

 それが自分達に近づいて来た頃に、少女達は
その理由を知る事になる。

 流星は自らの熱で燃え尽きつつあった。



 やがて、小さく炎を上げる流れ星が
カツン、と魔女の体に当たる。



 そうして、その笑い声と共に魔女は消えてゆく。

 その体の破片を砂の欠片へと変えていきながら・・・


600: 2011/07/18(月) 20:19:11.43 ID:+TdFno2c0


 いつしか、この非常階段を揺るがしていた地震は止まっていた。

 その事実から、少女達は全てが終わった事を理解する。



マミ「終わったの・・・?」

さやか「うん。これで世界の穢れは、全て消滅したんだよ」



杏子「勝てたんだな、アタシ達」

ほむら「そうね。これから・・・」



 そこで暁美ほむらは口をつぐむ。



 戦いが終わった少女達を待っていたものは、いくらかの高揚感と。

 そして大きな喪失感。



 特に鹿目まどかにとっては。

601: 2011/07/18(月) 20:19:41.52 ID:+TdFno2c0

まどか「みんなお願い。そのままお話をしてて・・・」



ほむら「まどか・・・」



まどか「静かになると・・・思い出し・・・て・・・」



まどか「・・・だか・・・ら・・・」



 鹿目まどかの願いは叶わない。

 どれだけ考えを巡らせても、彼女にかける言葉を
残された4人は持ち合わせてはいなかった。



 嗚咽だけが響く非常階段。



 ただそこに立ち尽くすだけ。
それが少女達に出来る全てであった。

602: 2011/07/18(月) 20:20:11.12 ID:+TdFno2c0

さやか「うぐっ・・・」



 前触れもなく胸を押さえ、膝を折る美樹さやか。



ほむら「美樹さやか?」



さやか「ど、どうしちゃった・・・んだ・・・ろ・・・」



マミ「どうしたの?美樹さん!」

杏子「おい、どうしたってんだよ!」

まどか「さやかちゃん!」



 そのまま彼女は横たわり、動かなくなる。

 美樹さやかは呼ばれていた。

 自らに力を貸し与えていた存在に。

603: 2011/07/18(月) 20:20:44.43 ID:+TdFno2c0




604: 2011/07/18(月) 20:21:11.69 ID:+TdFno2c0

女神「ご苦労様でした、人間よ」

さやか「・・・・・・」

女神「さあ、あなたの力を返してもらいます。
 あなた達が救ったこの世界で、平和に暮らして下さい」

さやか「・・・何となく分かっちゃったんだ」


さやか「女神様が嘘つきだって事」



女神「それを理解しているのであれば、お話をしなければなりませんね」

女神「神とはいえ、条理を越える力を行使するには・・・
 ソウルジェムの力を借りねばなりません」

女神「しかし、あなた達が穢れの結晶を打ち倒してくれたおかげで
 この世界の穢れはほぼ消え去った状態となっています」



女神「いわば、ソウルジェムを巡る因果がリセットされた状態と言えます」



さやか「だからって・・・」

605: 2011/07/18(月) 20:21:47.26 ID:+TdFno2c0

さやか「みんなはこの世界を救ったんだよ!あんたの創ったこの世界を!」

女神「あなたも知っているでしょう。私はこの世界を救う事に固執など・・・」

さやか「そんなのはあんたの勝手な言い分だ!」



さやか「みんなには・・・一つくらい願いを叶える権利がある!!」



女神「・・・たかが数十年しか生きる事の出来ない存在。
 その終わりが少しばかり早くなろうと、変わりはないでしょう」

さやか「私達はね・・・そのたかが数十年を必氏に生きているんだよ!」

女神「・・・・・・」



女神「・・・これも生き物のサガ、ですか・・・」



606: 2011/07/18(月) 20:22:26.48 ID:+TdFno2c0

さやか「・・・っ!」



さやか「あぐぁぁぁ・・・!」

女神「あなたにソウルジェムを使わせるつもりはありません。
 さあ、私の力を返してもらいますよ」

さやか「ふざ・・・けるな・・・!」



さやか「まだ・・・」

さやか「まだやる事があるんだ・・・!」



さやか「それまで・・・絶対にこの力を返さない・・・!」

女神「私の力に固執し続ければ、より苦しむだけだと言うのに・・・」



さやか「あ・・・あ・・・」



さやか「まどか・・・みんな・・・!」



607: 2011/07/18(月) 20:22:59.32 ID:+TdFno2c0




608: 2011/07/18(月) 20:23:34.81 ID:+TdFno2c0


 ───奇跡も、魔法も、あるんだよ───


609: 2011/07/18(月) 20:24:13.72 ID:+TdFno2c0




610: 2011/07/18(月) 20:24:45.56 ID:+TdFno2c0

杏子「オイ、起きろよ!」

ほむら「起きなさい、美樹さやか!」



さやか「・・・うーん・・・」



まどか「さやかちゃん!良かったぁ・・・」

マミ「本当に・・・円環の理に導かれてしまったかと・・・」

さやか「うん・・・ごめんね、みんな。神様とケンカしてた」

杏子「は?」

ほむら「とうとう頭をやられてしまったのね」



さやか「あとで殴るからね・・・そんな事よりさ!」

611: 2011/07/18(月) 20:25:17.74 ID:+TdFno2c0
 元気よく立ち上がった美樹さやかは、
鹿目まどかの手を引いて走り出す。



まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん?」

さやか「こっちにエレベーターがあるから、帰り道は楽だよ!」

杏子「おい、待てよ!」

マミ「なんであんなに嬉しそうな顔をしているのかしら?」

ほむら「・・・なるほど、神様とケンカした、ね」



 5人は息を切らしながら、来るときには漆黒の雪のせいで
見えなかったそのエレベーターに乗り込む。

 初めこそ困惑の表情を浮かべていた少女達は、
美樹さやかの笑顔が伝染したかのように笑い出す。

 最後まで戸惑っていた鹿目まどかも、
それを見て微笑みを作り出していた。



 きっと何かがあるのだ。

 このエレベーターの終着点に。

612: 2011/07/18(月) 20:25:54.72 ID:+TdFno2c0


613: 2011/07/18(月) 20:26:43.10 ID:+TdFno2c0
--- 中央神殿 ---

詢子「お疲れ様、まどか」

まどか「ママ!!」



詢子「ソウルジェムがあんな物だったなんてね。アタシの考えも甘かったよ」

まどか「そうだね。世界中のすべての人が知っている事より・・・」

まどか「たくさんの事を知ったような気分だよ!」



詢子「ふふっ、世界はそんなに狭くはないよ!」

詢子「もっと色んな所を見て回らないとな」

まどか「ママ、その前に・・・」



詢子「ああ、分かってる。パパのところへ戻ろう!」

614: 2011/07/18(月) 20:27:21.68 ID:+TdFno2c0




615: 2011/07/18(月) 20:27:50.99 ID:+TdFno2c0
 


 ───あれから3ヶ月くらい過ぎました。
  今日、私とママはたっくんの所へ遊びに行って
  おじさんにご飯をご馳走してもらいました。
  マミさんは今、江戸に遊びに行ってます。



616: 2011/07/18(月) 20:28:17.70 ID:+TdFno2c0

キリカ「ここだよ。この小屋の中で違法な取引が・・・」

マミ「御用だ御用だ!」バンッ

キリカ「・・・最後まで聞こうよ、恩人」



悪人「何モンだテメェ!」

マミ「悪党に名乗る名なんてないわ!巴マミ、ここに見・参!」ビー

悪人「ひぇー、命だけはー」

マミ「またつまらぬものを斬ってしまった・・・」

キリカ「恩人、君の事を変人と呼ぶべきか迷うよ」



織莉子「キリカ、またあなたは一人で・・・!」

マミ「織莉子さん、こんにちは」

織莉子「巴さん・・・?そ、その覆面・・・」

キリカ「恩人のお気に入りみたいだよ」

マミ「大佐をリスペクトするなら当たり前でしょう!」

マミ「さ、キリカさんも・・・」ゴソゴソ

キリカ「・・・いらないよ、恩人」

マミ「そう?残念ね」

617: 2011/07/18(月) 20:28:46.29 ID:+TdFno2c0
 


 ───マミさんは私の尊敬するお姉さんです。
  でも、ときどき走り出すと止まらなくなります。
  キリカさんと織莉子さんが止めてくれればいいけどなぁ・・・
  ほむらちゃんは、さやかちゃんに会いに行きました。



618: 2011/07/18(月) 20:29:18.74 ID:+TdFno2c0

ほむら「あの大都会の壁もなくなったのね」

さやか「みんな少しずつ気付いたんだよ」

さやか「差別のない自由な世界が、どれだけ素晴らしいかってね」

ほむら「そうね。あなたは最近、上条恭介とどうなの?」

さやか「どうってもう・・・」



恭介「おーい、さやか~」

さやか「恭介~!みてみて、あたしお弁当作ってきたよ!」

恭介「わあ、いつも美味しそうなお弁当だね。食べさせてよ」

さやか「もう、恭介ったら甘えん坊さんなんだから。あ~ん」



ほむら(人前で・・・ぶち頃すわよ・・・!)

さやか「で、あんたはどうなのさ。あたしみたいに恋は成就したの?」

ほむら(・・・リア充砕け散れ)

仁美(・・・リア充爆ぜろ、ですわ)



ほむら「・・・・・・」

仁美「・・・・・・」

 ガシッ!

619: 2011/07/18(月) 20:29:46.90 ID:+TdFno2c0
 


 ───ほむらちゃんは私の大事な友達です。
  私がわがままを言った時でさえ、いつも私の事を考えてくれてました。
  あとは私にいたずらをしなければ、何も言う事はないのにな。
  杏子ちゃんは、ゆまちゃんと一緒にイシス神殿にいます。



620: 2011/07/18(月) 20:30:24.58 ID:+TdFno2c0

女「神官様、助けてっ!うちの子が息をしてないの!」

ゆま「たいへん!キョーコ、キョーコ!」

杏子「なんだよ、メシ食ってるのに・・・」モゴモゴ



杏子「おっと、それどころじゃなかったな。待ってろよ!」キュイーン

女「ああ、うちの子が息をし始めたわ!ありがとう、神官様!」

杏子「良かったね、あとアタシを神官様とかゆーな」

ゆま「えー、キョーコは立派な神官様だよ?」

杏子「苦手なんだよ、褒められるのが。アタシはメシに戻るよ」



男「神官様、いてぇよお・・・!」

杏子「またアンタかい。今度はどんな悪さをしたんだ」

男「その・・・爺さんから種モミをな・・・」

杏子「バッカヤロウ、食い物を粗末にするんじゃねえ!」

ゆま「キョーコ、怒る所が違うと思うな・・・」



杏子「おら、もう盗賊なんて辞めるって誓え。そうしないと治してやらねーぞ」

男「カミサマなんて信じねーけど、神官様に誓うよ」

杏子「ほらよ。次やったら、もう治さねぇからな」キュイーン

男「杏子ちゃんマジ聖女」

杏子「うるせぇ、どっか行けよ!アタシにメシを食わせろ!」

621: 2011/07/18(月) 20:30:56.61 ID:+TdFno2c0
 


 ───杏子ちゃんはちょっと怖い私のお姉さんです。
  でも誤解しないでね。その怖さは、私が道を踏み外しそうな時に
  私を正しい方向に導いてくれました。
  そんな杏子ちゃんは今ではなんと、イシス神殿の神官様です。
  本当にビックリしたけど、けっこう似合ってるのかも。

  明日になったら、私もみんなの所へ遊びにいくつもりです。
  ゆまちゃん、さやかちゃん、仁美ちゃん、元気かな。
  織莉子さんとキリカさんがどこにいるのかわからないけれど・・・
  たぶん街の人に聞けば、マミさんの行方はすぐに分かると思います。



622: 2011/07/18(月) 20:31:27.19 ID:+TdFno2c0

まどか「これでよしっ」



 パタン、と日記を閉じて鹿目まどかはベッドに潜り込む。

 部屋の電気を消して、明日という日を楽しみに目を瞑る。

 みんな元気かな。早く会いたいな。

 

 そう考えていた彼女は、なかなか寝付く事が出来なかった。

623: 2011/07/18(月) 20:31:53.83 ID:+TdFno2c0


624: 2011/07/18(月) 20:32:20.96 ID:+TdFno2c0


「・・・まどか!・・・まどか!」


625: 2011/07/18(月) 20:32:50.72 ID:+TdFno2c0
まどか「・・・ん・・・ママ・・・?」

詢子「まどか、アタシは旅に出るよ」

まどか「またぁ・・・?今度は何を探しに?」

詢子「ふっ、三種の神器だよ!」

まどか「え、待ってよ!一緒に行くよ!」

詢子「言うようになったね!よし、行くか!」

まどか「あ、ちょっとだけ待ってて、ママ」サラサラ

詢子「なんだいそれ、日記?」


和久「待っておくれよ」

まどか「パパ?」



和久「僕も行くよ。もう二人を待つのはこりごりさ」

詢子「アンタ・・・」

まどか「いいじゃない!みんなで行こうよ!」

626: 2011/07/18(月) 20:33:18.56 ID:+TdFno2c0
 
 もう誰からも隠れる必要はないのに。

 部屋の窓から、全員が外の暗闇へと飛び出る。

 

 真っ暗な部屋に残されたもの。

 それはページが開かれたままの一冊の日記。

627: 2011/07/18(月) 20:34:18.46 ID:+TdFno2c0



 ───そのつもりだったけれど、急なことで
  ママと一緒に行くことになりました。
  でも、私はこの村に必ず帰ってくるから・・・



628: 2011/07/18(月) 20:34:52.11 ID:+TdFno2c0



 ───みんなでまた一緒に冒険しようね!───




629: 2011/07/18(月) 20:35:36.58 ID:+TdFno2c0



   ”SaGa2 秘宝伝説”×”魔法少女まどか☆マギカ”

QB「マサムネのきれあじをきみらのからだであじわうといい!」


            ~ The End ~




630: 2011/07/18(月) 20:36:07.53 ID:+TdFno2c0


631: 2011/07/18(月) 20:37:35.74 ID:+TdFno2c0
以上で完結!

BGM動画を上げた方達、ありがとう!
談義スレでまどかの必殺技を考えてくれた方達、ありがとう!
流れ止めたくなかったからレス無視したけど、gif動いたよありがとう!
何より最後までお付き合い頂いた読者の皆様、本当にありがとう!

もう誰も見なくなったかな、て頃合でhtml依頼出しに行きます。

あと、SS内で分からなかったトコとかありましたら質問もお待ちしております。

632: 2011/07/18(月) 20:47:11.73 ID:dg7uvvq90

とても面白かったよ
特に連携の件は感動した
連携名を最後に叫ぶのは由緒正しき仕来りだよな

637: 2011/07/19(火) 12:11:55.91 ID:0zqMbFjSO
お疲れ様です!

639: 2011/07/23(土) 12:51:47.84 ID:IYM2IhUL0
乙!

最高だった・・・・・・俺も頑張らないと

引用元: QB「マサムネのきれあじをきみらのからだであじわうといい!」