1: 2012/07/24(火) 02:12:15.20 ID:fHtxmD8N0
怜「そうか、準決勝の先鋒戦が終わって倒れたんやったか、ウチ。……ってなんでチャンピオンがおんねん!?」

照「ツッコミができるようなら大丈夫そうだな。一応先生を呼んでくるから、大人しくしていろよ」

怜「……どうなってんねん」

咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
4: 2012/07/24(火) 02:16:16.44 ID:fHtxmD8N0
医者「……」

照「どうですか? 先生」オロオロ

医者「もう問題はなさそうですね。明日には退院できるでしょう。でも今日一日は大事をとって安静にしていてください」

照「そうですか、それはよかった」パァ

医者「学校の方には私から連絡をしておきます。それではお大事に」

照「ありがとうございます」ペコリ

怜「……なんでアンタがウチの保護者みたいになっとるん?
  てか外面はええなぁアンタ。いや、それ以前になんでチャンピオンがここにおんねん。竜華達は?」

照「質問が多いな。まあ混乱するのも判るが……」

7: 2012/07/24(火) 02:21:26.04 ID:fHtxmD8N0
照「取り合えず、貴女のチームメイト達はホテルに帰したよ。
  試合の疲れが残っているのに、一晩中貴女に付き添っていて、体力も精神力も限界みたいだったから」

怜「竜華達には心配かけっぱなしやなあ。しかし一晩、試合から一日経ったんか……」

照「結果、気になる?」

怜「いや。ウチは全力を尽くしたつもりやし、チームのみんなの事も信じてる。せやからどんな結果でも後悔はないわ」

照「……千里山」

怜「あ、ゴメン。今のはちょっとウソやな。負けてたら流石に……悔しい」

照「なら私の口から言うべきではないな」

怜「せやな。喜びでも悔しさでも、みんなと分かち合いたい」

11: 2012/07/24(火) 02:27:22.63 ID:fHtxmD8N0
怜「で、なんでチャンピオンがここにおるん?」

照「……お見舞い」

怜「お見舞い? なんや、知り合いでも入院しとるんか?」

照「……ボケているのか?」

怜「なんでやねん!」

照「それは私のセリフだ」

12: 2012/07/24(火) 02:30:09.40 ID:fHtxmD8N0
怜「なんや、ウチのお見舞いに来てくれたんか、それはおおきに。でもなんでウチなんかのために?」

照「なんでって、対局相手が目の前で倒れたんだ。心配するのは当たり前だろう」

怜「常識外の強さを持つチャンピオンが当たり前を語りますか」

照「私は麻雀マシーンかなにかか……。私だって人の子だぞ」

怜「ふふふ、冗談やて。これでも結構喜んでるんよ?」

照「……釈然としない」

14: 2012/07/24(火) 02:35:01.93 ID:fHtxmD8N0
照「それと、一つ言っておきたい事がある」

怜「なんや?」

照「……昨日は、申し訳ありませんでした」ペコリ

怜「チャンピオン……?」

照「昨日、私と対局して貴女は倒れた。だから……」

怜「ええんよ、そんな事は。そもそもウチが倒れたのはアンタのせいやないし。
  だから顔上げてーなチャンピオン。それに、むしろウチは嬉しいんよ」

照「嬉しい?」

怜「本人に直接言うんはちと恥ずかしいけど……ウチ、アンタのファンなんやで?」

15: 2012/07/24(火) 02:38:55.96 ID:fHtxmD8N0
照「私の?」

怜「せやで。まあ、アンタにしてみればぎょーさんおるファンの一人でしかないかもしれんけどな」

照「そんな事ない。それ以前に、面と向かってファンだなんて言われたのは初めてだ……」

怜「そ、そうなんか……」

照「ああ……」

怜「……」

照「……」

16: 2012/07/24(火) 02:42:47.61 ID:fHtxmD8N0
照「そ、それで、どうして私なんかのファンになったんだ?」

怜「本人に面と向かって訊くか、普通」

照「最初に面と向かって言ってきたのはそっちだ」

怜「せ、せやけど……」

照「……」ジィー

怜「わ、判った、話すわ」

20: 2012/07/24(火) 02:46:49.21 ID:fHtxmD8N0
怜「ちゅーてもそんな大した話しとちゃうんやけど……」

照「構わない」

怜「……アンタの事を知ったんは、一昨年のインハイの時や」

怜「そん時ウチはまだ三軍選手で応援だけやったけど、セーラみたいに一年生なのにもうベンチ入りしているのもおって、ちょっとブルーになってたんよ」

怜「『あ~、やっぱウチって才能ないのかな~』って。そん時に出会ったんが、アンタや。びっくりしたで~」

怜「ウチと同じ一年生なのにレギュラーで大将。そんでもって団体戦でも個人戦でも優勝。それを聞いた時、嫉妬とかそういうんなしに、素直に尊敬できたんや」

怜「『ウチもいつかあんな風になりたい』ってな。それが原動力やった」

23: 2012/07/24(火) 02:52:39.49 ID:fHtxmD8N0
怜「それからはいつにもまして努力した。努力しすぎてこんな身体になってしまったけどな」

怜「でもおかげさんで一巡先が見えるようになって、レギュラー入るする事もできた」

怜「レギュラー入りできた時はホンマに嬉しかったで。『やっとウチも同じ舞台に上がれる』『あの人と戦える』てな」

怜「だから、全力のアンタと戦えて、ウチは幸せやった。だから、チャンピオンが謝る必要なんてないんよ」

照「……」

怜「どないしたん? チャンピオン」

照「いや、さすがに恥ずかしいなあ……と///」

怜「う、ウチもや……///」

26: 2012/07/24(火) 02:57:45.67 ID:fHtxmD8N0
照「でも、私も貴女と対局できて楽しかった」

怜「……ホンマかぁ?」ジトー

照「本当だ。久しぶりに苦戦させられたよ」

怜「軽く嫌味やなぁ。まあ、ほとんど新道寺と阿知賀のおかげやけどな。特に新道寺がおらんかったらとっくに誰かが飛ばさとった」

照「彼女は二回戦でも私の連続和了を何度も止めにきた。本当に強い心を持った選手だよ」

怜「せやな。今度アイツとも話してみたいなぁ。友達になれそうな気がするわ」

30: 2012/07/24(火) 03:04:31.55 ID:fHtxmD8N0
照「そろそろ私は失礼するよ」

怜「なんでや、まだいたらええやん。もう少ししたら竜華達も来るやろうし、紹介すんで?」

照「だからだよ。今、貴女のチームメイトに会うワケにはいかない。邪魔者になるのもゴメンだしね」

怜「邪魔者だなんて事はないで? むしろウチはいてほしい」

照「私がイヤなんだ。感動の再会を端から見る者の身にもなってくれ」

怜「……それもそうやな」

照「それじゃあ……」

怜「な、なあチャンピオン」

照「まだなにかあるのか?」

怜「……明日、時間あるか?」

33: 2012/07/24(火) 03:09:48.85 ID:fHtxmD8N0
照「明日は試合もないし、他に用事も入っていないが……」

怜「なら明日、ウチに付き合ってくれへんか?」

照「え……?」

怜「いやならええんやけど……ほらウチ明日には退院できるみたいやし、東京見物したいなぁ~、と思うてな」

照「私は構わないが、チームメイトと一緒の方がいいんじゃないか?」

怜「ええやないか、せっかく友達になれたんやし」

照「とも……だち……」

怜「それに多分、明日は竜華達とはいたくないから……」

37: 2012/07/24(火) 03:13:40.64 ID:fHtxmD8N0
怜「判っとるよ。負けたんやろ、千里山は」

照「……ああ」

怜「やっぱりなぁ……。せやから頼むで、チャンピオン」

照「さっきは『喜びでも悔しさでも、みんなと分かち合いたい』とか言っていたクセに」

怜「分かち合いはするで? でも気持ちの切り替えは個々人の問題や。な、チャンピオン」

照「……はぁ、判ったよ。友達のよしみで引き受けてやる」

怜「さすがチャンピオンや!」

41: 2012/07/24(火) 03:22:06.12 ID:fHtxmD8N0
照「チャンピオンは関係ないと思うが……。行きたい場所の要望はあるか?」

怜「う~ん、特にはないけど……せや、場所以外の要望も聞いてくれるか?」

照「なんだ?」

怜「新道寺と阿知賀の先鋒も呼んでもらえんやろか。あの子らとも少し話してみたいし」

照「判った、連絡してみる。しかし向こうにも用事があるだろうから、あまり期待しないでくれよ?」

怜「おおきにな、チャンピオン」

照「明日のお昼頃に迎えに来る。それと、私からも一つ要望を出してもいいだろうか?」

怜「なんや?」

照「チャンピオンはやめてくれ。友達なら名前で呼び合うものだろ? 怜」

カン!

47: 2012/07/24(火) 03:28:29.87 ID:fHtxmD8N0
取り合えずは今日はここで終わりです
一応東京見物編も書こうとは思っていますが、今日は寝させてくだしや
こんなssに付き合ってくれてありがとうございました

48: 2012/07/24(火) 03:31:42.04 ID:nqAgkCtd0
乙乙

引用元: 怜「……ん? ここは……?」照「病院だ」