1: 2011/08/11(木) 21:32:28.32 ID:rNmpbpnx0
次郎丸「緒花ちゃんこそ……まだ5時なのに」
緒花「私はいっつもこれくらいの時間に起きてますよー」
次郎丸「へえ、そうなんだ。感心感心」
緒花「みんちなんてもっと早いですよ」
次郎丸「はぁー、若いのにスゴイねえ、
僕が高校の頃は当たり前のように昼まで寝てたよ」
緒花「私もきっすいそうに来るまではそんな感じでしたけどねー」
緒花「私はいっつもこれくらいの時間に起きてますよー」
次郎丸「へえ、そうなんだ。感心感心」
緒花「みんちなんてもっと早いですよ」
次郎丸「はぁー、若いのにスゴイねえ、
僕が高校の頃は当たり前のように昼まで寝てたよ」
緒花「私もきっすいそうに来るまではそんな感じでしたけどねー」
4: 2011/08/11(木) 21:38:35.35 ID:rNmpbpnx0
次郎丸「ところでこんな早くに起きて何するんだい?
まあか仕事があるわけじゃ無し」
緒花「残念ながら仕事です。玄関先のお掃除するんですよ」
次郎丸「ふうん……あのさ」
緒花「なんですか?」
次郎丸「僕も手伝わせてもらっていいかな」
緒花「えー、まあいいですけど……
ほんとに珍しいですね、早起きした上に率先して仕事だなんて」
次郎丸「いやあ、ちょっと体を動かしたくてね。ダメかな」
緒花「いえいえ、もちろんOKですよ」
まあか仕事があるわけじゃ無し」
緒花「残念ながら仕事です。玄関先のお掃除するんですよ」
次郎丸「ふうん……あのさ」
緒花「なんですか?」
次郎丸「僕も手伝わせてもらっていいかな」
緒花「えー、まあいいですけど……
ほんとに珍しいですね、早起きした上に率先して仕事だなんて」
次郎丸「いやあ、ちょっと体を動かしたくてね。ダメかな」
緒花「いえいえ、もちろんOKですよ」
9: 2011/08/11(木) 21:47:31.95 ID:rNmpbpnx0
緒花「はい、箒どうぞ」
次郎丸「ありがとう……ふぁあ」
緒花「む……次郎丸さん」
次郎丸「ん、何かな?」
緒花「次郎丸さんはもしかして早起きをしたわけじゃないんですね?
目の下にくっきりクマが出来てますよ?」
次郎丸「ああ、そうだよ。昨日実は徹夜して新作を書いていてね……」
緒花「なんだ、そうだったんですか?感心して損しました……」
次郎丸「いや昨日はすごく筆が乗っちゃってね!
もう止めどきが分からないくらいだったんだよ、
あんなにすらすら書けたのは久々だ、まさに会心の……」
緒花「はいはい、そんなのどうでもいいですから。
掃除しますよ掃除」
次郎丸「ちょ、ちょっと緒花ちゃん、聞いてくれよぉ」
次郎丸「ありがとう……ふぁあ」
緒花「む……次郎丸さん」
次郎丸「ん、何かな?」
緒花「次郎丸さんはもしかして早起きをしたわけじゃないんですね?
目の下にくっきりクマが出来てますよ?」
次郎丸「ああ、そうだよ。昨日実は徹夜して新作を書いていてね……」
緒花「なんだ、そうだったんですか?感心して損しました……」
次郎丸「いや昨日はすごく筆が乗っちゃってね!
もう止めどきが分からないくらいだったんだよ、
あんなにすらすら書けたのは久々だ、まさに会心の……」
緒花「はいはい、そんなのどうでもいいですから。
掃除しますよ掃除」
次郎丸「ちょ、ちょっと緒花ちゃん、聞いてくれよぉ」
11: 2011/08/11(木) 21:53:26.15 ID:rNmpbpnx0
緒花「もー、なんですか」
次郎丸「いや、もうほんとにすごい作品なんだよ今回のは。
誰に見せても恥ずかしくないくらいの」
緒花「どーせ工口小説なんでしょ」
次郎丸「工口じゃない工口じゃない!
正真正銘の正統派の文芸作品だよ。
そう、現代日本が抱える問題に切り込んだ社会派の……」
緒花「そんなにご立派な作品なら
さっさとどこぞの新人賞にでも送ったらいいじゃないですか」
次郎丸「わかってる、もちろんそのつもりだよ。
ただその前に読者の生の声が聞きたくてね」
緒花「はあ」
次郎丸「いや、もうほんとにすごい作品なんだよ今回のは。
誰に見せても恥ずかしくないくらいの」
緒花「どーせ工口小説なんでしょ」
次郎丸「工口じゃない工口じゃない!
正真正銘の正統派の文芸作品だよ。
そう、現代日本が抱える問題に切り込んだ社会派の……」
緒花「そんなにご立派な作品なら
さっさとどこぞの新人賞にでも送ったらいいじゃないですか」
次郎丸「わかってる、もちろんそのつもりだよ。
ただその前に読者の生の声が聞きたくてね」
緒花「はあ」
15: 2011/08/11(木) 22:01:13.77 ID:rNmpbpnx0
次郎丸「で、あとで読んでもらえないかな」
緒花「まあいいですけど」
次郎丸「ああ読んでくれる?
いやあ、ありがたいな、
やっぱり読者の声を聞かないと独りよがりな作品になってしまうからねえ」
緒花「ああ、そんなだからいつまでも
小説家として大成しなかったんですね……」
次郎丸「うんまあ……否定はしないかな……はは……」
緒花「ま、小説くらいならいつでも読んであげますよ。
専門的なことはわかんないですけど」
次郎丸「いやいやそれでいいんだ、
普通の読者の率直な反応が大事だからさ」
緒花「そういうもんですかね。
じゃああとで読ませてください」
緒花「まあいいですけど」
次郎丸「ああ読んでくれる?
いやあ、ありがたいな、
やっぱり読者の声を聞かないと独りよがりな作品になってしまうからねえ」
緒花「ああ、そんなだからいつまでも
小説家として大成しなかったんですね……」
次郎丸「うんまあ……否定はしないかな……はは……」
緒花「ま、小説くらいならいつでも読んであげますよ。
専門的なことはわかんないですけど」
次郎丸「いやいやそれでいいんだ、
普通の読者の率直な反応が大事だからさ」
緒花「そういうもんですかね。
じゃああとで読ませてください」
16: 2011/08/11(木) 22:09:38.59 ID:rNmpbpnx0
スイ「おはよう、緒花」
緒花「あっ、おはようございます女将さん」
次郎丸「おはようございます」
スイ「あら次郎丸さん。珍しいね早起きなんて」
次郎丸「あ、そうですか? 恐れ入りますぅ」
緒花「騙されちゃダメですよー、早起きじゃなくて徹夜してただけなんですから」
スイ「なんだ、そうなのかい?」
次郎丸「ちょっと緒花ちゃん言っちゃだめじゃん、珍しく褒められたのに」
緒花「えへへ」
スイ「ま、なんであれ朝早くから働くのはいいことさね」
緒花「そうだ、次郎丸さんすごい小説書いたらしくって、
新人賞で大賞とって宿泊費全部払うって言ってましたよー」
次郎丸「ちょ、ちょっと緒花ちゃん!」
スイ「あら、それは期待せずに楽しみにしておこうかね」
緒花「よかったですね、期待されてますよ」
次郎丸「こっちはプレッシャーでしかないよ」
緒花「あっ、おはようございます女将さん」
次郎丸「おはようございます」
スイ「あら次郎丸さん。珍しいね早起きなんて」
次郎丸「あ、そうですか? 恐れ入りますぅ」
緒花「騙されちゃダメですよー、早起きじゃなくて徹夜してただけなんですから」
スイ「なんだ、そうなのかい?」
次郎丸「ちょっと緒花ちゃん言っちゃだめじゃん、珍しく褒められたのに」
緒花「えへへ」
スイ「ま、なんであれ朝早くから働くのはいいことさね」
緒花「そうだ、次郎丸さんすごい小説書いたらしくって、
新人賞で大賞とって宿泊費全部払うって言ってましたよー」
次郎丸「ちょ、ちょっと緒花ちゃん!」
スイ「あら、それは期待せずに楽しみにしておこうかね」
緒花「よかったですね、期待されてますよ」
次郎丸「こっちはプレッシャーでしかないよ」
19: 2011/08/11(木) 22:19:42.98 ID:rNmpbpnx0
その後
次郎丸「緒花ちゃん、今ちょっといいかな」
緒花「はい?」
次郎丸「今朝言ってた小説なんだけど、
ちょっと読んでもらえるかなあ」
緒花「ああいいですよ、ちょうど休憩入るとこだったんで」
次郎丸「それは良かった……で、これなんだけど」どさっ
緒花「うっ、多いですね……」
次郎丸「ざっと200枚はあるかな、
もうほんとに調子よく書けてね」
緒花「ぜ、全部は読み切れないと思いますけどいいですか」
次郎丸「ああ、もちろん読めることまでで構わない。
忌憚のない意見を聞かせて欲しい」
緒花「はあ」ぺらり
次郎丸「緒花ちゃん、今ちょっといいかな」
緒花「はい?」
次郎丸「今朝言ってた小説なんだけど、
ちょっと読んでもらえるかなあ」
緒花「ああいいですよ、ちょうど休憩入るとこだったんで」
次郎丸「それは良かった……で、これなんだけど」どさっ
緒花「うっ、多いですね……」
次郎丸「ざっと200枚はあるかな、
もうほんとに調子よく書けてね」
緒花「ぜ、全部は読み切れないと思いますけどいいですか」
次郎丸「ああ、もちろん読めることまでで構わない。
忌憚のない意見を聞かせて欲しい」
緒花「はあ」ぺらり
20: 2011/08/11(木) 22:27:15.03 ID:rNmpbpnx0
緒花「……」
次郎丸「……」
緒花「……」
次郎丸「どうかな?どこまで読んだ?」
緒花「……」
次郎丸「もう主人公の友達出てきた?」
緒花「……」
次郎丸「漢字とか言葉遣い間違ってるとこない?」
緒花「……」
次郎丸「どう、面白い?つまらない?ねえねえ」
緒花「……もう、ちょっと黙っててくださいよ!
今読んでるんですからっ!」
次郎丸「ああ、す、済まない……で、どうかな?」
緒花「え、あー……1章の終わりまで読みましたけどー」
次郎丸「うん」
次郎丸「……」
緒花「……」
次郎丸「どうかな?どこまで読んだ?」
緒花「……」
次郎丸「もう主人公の友達出てきた?」
緒花「……」
次郎丸「漢字とか言葉遣い間違ってるとこない?」
緒花「……」
次郎丸「どう、面白い?つまらない?ねえねえ」
緒花「……もう、ちょっと黙っててくださいよ!
今読んでるんですからっ!」
次郎丸「ああ、す、済まない……で、どうかな?」
緒花「え、あー……1章の終わりまで読みましたけどー」
次郎丸「うん」
21: 2011/08/11(木) 22:37:28.57 ID:rNmpbpnx0
緒花「もしかしてこの話にはモデルがいるんじゃないですか?」
次郎丸「ん、どうしてそう思う?」
緒花「いやなんか……主人公が」
次郎丸「うん」
緒花「なこちに似てるなって」
次郎丸「ああー、やっぱり気づいたか。
緒花ちゃんするどいねえ」
緒花「えっ、ほんとになこちをモデルにしたんですか?」
次郎丸「ああ、そうだよ。
でも勝手にってわけじゃないよもちろん、
本人に許可を得たからね」
緒花「ふうん……そうなんですか」
次郎丸「ん、どうしてそう思う?」
緒花「いやなんか……主人公が」
次郎丸「うん」
緒花「なこちに似てるなって」
次郎丸「ああー、やっぱり気づいたか。
緒花ちゃんするどいねえ」
緒花「えっ、ほんとになこちをモデルにしたんですか?」
次郎丸「ああ、そうだよ。
でも勝手にってわけじゃないよもちろん、
本人に許可を得たからね」
緒花「ふうん……そうなんですか」
23: 2011/08/11(木) 22:49:22.46 ID:rNmpbpnx0
次郎丸「ん、どうしたの?緒花ちゃん」
緒花「いえ……べつに」
次郎丸「ん?」
緒花「あのー、もしかしてこの主人公の設定って」
次郎丸「ああ、菜子ちゃんのことだよ」
緒花「弟や妹が多くて、面倒をみるのがタイヘンで
でも学校だと内気で……」
次郎丸「そう、小説のモデルにさせてくれって言ったら
いろいろ話してくれてね、
それで僕もインスピレーションが湧いて湧いて」
緒花「……」
次郎丸「出、どうだった?面白かったかな」
緒花「いえ……べつに」
次郎丸「ん?」
緒花「あのー、もしかしてこの主人公の設定って」
次郎丸「ああ、菜子ちゃんのことだよ」
緒花「弟や妹が多くて、面倒をみるのがタイヘンで
でも学校だと内気で……」
次郎丸「そう、小説のモデルにさせてくれって言ったら
いろいろ話してくれてね、
それで僕もインスピレーションが湧いて湧いて」
緒花「……」
次郎丸「出、どうだった?面白かったかな」
24: 2011/08/11(木) 22:59:06.88 ID:rNmpbpnx0
緒花「まあ……そうですね、面白かったです」
次郎丸「おお、そうかそうだろう、良かった良かった、
やはり現代の社会問題の根幹である家族に関することを
テーマに持ってきたのは大正解だったなぁうん、
これは出版されたらベストセラーまちがいなしだぞ」
緒花「出版って……まだ受賞もしてないのに」
次郎丸「受賞するに決まってるさ、
僕の人生で最高の小説だよこれは。
まだ完結はしてないけどもし書き上げられたら
もう文学史に名を残す名作に」
緒花「あのー、そろそろ仕事戻りますね私」
次郎丸「ああ、後で続きも読んでくれ」
緒花「いえ、もういいです」
次郎丸「え?そうかい?」
緒花「私よりなこちに読んでもらったらどうですか?
なこちがモデルなんですし」
次郎丸「そう……かな」
緒花「そのほうが絶対いいですよ。それじゃ仕事戻るんで」
次郎丸「ああ」
次郎丸「おお、そうかそうだろう、良かった良かった、
やはり現代の社会問題の根幹である家族に関することを
テーマに持ってきたのは大正解だったなぁうん、
これは出版されたらベストセラーまちがいなしだぞ」
緒花「出版って……まだ受賞もしてないのに」
次郎丸「受賞するに決まってるさ、
僕の人生で最高の小説だよこれは。
まだ完結はしてないけどもし書き上げられたら
もう文学史に名を残す名作に」
緒花「あのー、そろそろ仕事戻りますね私」
次郎丸「ああ、後で続きも読んでくれ」
緒花「いえ、もういいです」
次郎丸「え?そうかい?」
緒花「私よりなこちに読んでもらったらどうですか?
なこちがモデルなんですし」
次郎丸「そう……かな」
緒花「そのほうが絶対いいですよ。それじゃ仕事戻るんで」
次郎丸「ああ」
25: 2011/08/11(木) 23:09:50.49 ID:rNmpbpnx0
緒花(次郎丸さん、なこちモデルに小説書いてたなんて……)
緒花(なこちもなこちだよ……)
緒花(はーあ……)
民子「どしたの?溜息なんかついて」
緒花「なんでもありません」
民子「そう?」
緒花「そうだ、みんちさあ」
民子「何」
緒花「次郎丸さんのことどう思う?」
緒花(なこちもなこちだよ……)
緒花(はーあ……)
民子「どしたの?溜息なんかついて」
緒花「なんでもありません」
民子「そう?」
緒花「そうだ、みんちさあ」
民子「何」
緒花「次郎丸さんのことどう思う?」
27: 2011/08/11(木) 23:20:37.04 ID:rNmpbpnx0
民子「屑だと思うけど」
緒花「ばっさりだね……」
民子「だってそうだし」
緒花「まあたしかにそうかも知れないけどさ」
民子「ああいう男、ほんとに嫌い。氏ねばいいのに」
緒花「きついな~」
民子「何あんた、まさか次郎丸さんのこと」
緒花「なっ、ななななんあに言ってるんですか!
そんな意味で話してるんじゃないですよ」
民子「ふーん……」
緒花「ばっさりだね……」
民子「だってそうだし」
緒花「まあたしかにそうかも知れないけどさ」
民子「ああいう男、ほんとに嫌い。氏ねばいいのに」
緒花「きついな~」
民子「何あんた、まさか次郎丸さんのこと」
緒花「なっ、ななななんあに言ってるんですか!
そんな意味で話してるんじゃないですよ」
民子「ふーん……」
31: 2011/08/11(木) 23:29:52.21 ID:rNmpbpnx0
緒花「いやでもみんちが言うほどクズじゃないとは思うよ」
民子「そう?具体的にどのへんが?」
緒花「えっとー……小説書くのが上手いとか」
民子「オゲレツ小説でしょ」
緒花「ち、違うもん!
たまに真面目な話書いたりしてるんだよ、ほんとに」
民子「ふーん……他には?」
緒花「うんとー、なんだかんだ言ってちゃんと仕事やってるとことか」
民子「仕事なんてやって当然」
緒花「あとなんていうか、守ってあげたくなるっていうか、
支えてあげたくなるっていうかそういう感じあるよね」
民子「…………」
緒花「ん、どしたのみんち」
民子「もう一回、もう一回だけ聞くけど……アンタほんとに次郎丸さんのこと」
緒花「だからそんなんじゃないってば」
民子(嘘つけ……)
民子「そう?具体的にどのへんが?」
緒花「えっとー……小説書くのが上手いとか」
民子「オゲレツ小説でしょ」
緒花「ち、違うもん!
たまに真面目な話書いたりしてるんだよ、ほんとに」
民子「ふーん……他には?」
緒花「うんとー、なんだかんだ言ってちゃんと仕事やってるとことか」
民子「仕事なんてやって当然」
緒花「あとなんていうか、守ってあげたくなるっていうか、
支えてあげたくなるっていうかそういう感じあるよね」
民子「…………」
緒花「ん、どしたのみんち」
民子「もう一回、もう一回だけ聞くけど……アンタほんとに次郎丸さんのこと」
緒花「だからそんなんじゃないってば」
民子(嘘つけ……)
33: 2011/08/11(木) 23:39:28.06 ID:rNmpbpnx0
民子(東京の彼氏は吹っ切ったのかな)
緒花「まあそれはおいといて」
民子「うん」
緒花「さっき次郎丸さんの新作小説読ませてもらったんだよね」
民子「ああ、あのやたらいっぱい量あるやつ」
緒花「みんちも読んだの?」
民子「読むわけないじゃん」
緒花「ああ、そうですか」
民子「で、小説がどうかしたの?」
緒花「まあそれはおいといて」
民子「うん」
緒花「さっき次郎丸さんの新作小説読ませてもらったんだよね」
民子「ああ、あのやたらいっぱい量あるやつ」
緒花「みんちも読んだの?」
民子「読むわけないじゃん」
緒花「ああ、そうですか」
民子「で、小説がどうかしたの?」
34: 2011/08/11(木) 23:46:43.78 ID:rNmpbpnx0
緒花「実はさあ、なこちをモデルに書かれてたの」
民子「はあ?あのオッサン、菜子を勝手に……」
緒花「あ、違うの。無断で使ったとかじゃなくて
なこちに許可もらってインタビューしたんだって」
民子「ああ、そう……ならいい……
いやよくない、やっぱキモイ」
緒花「内容自体はまともだったんだけどね」
民子「それでもキモイ」
緒花「あはは……」
民子「……」
緒花「……」
民子「それで?」
緒花「え?」
民子「いや、話はそれで終わり?」
緒花「あー……」
民子「はあ?あのオッサン、菜子を勝手に……」
緒花「あ、違うの。無断で使ったとかじゃなくて
なこちに許可もらってインタビューしたんだって」
民子「ああ、そう……ならいい……
いやよくない、やっぱキモイ」
緒花「内容自体はまともだったんだけどね」
民子「それでもキモイ」
緒花「あはは……」
民子「……」
緒花「……」
民子「それで?」
緒花「え?」
民子「いや、話はそれで終わり?」
緒花「あー……」
36: 2011/08/11(木) 23:55:34.67 ID:rNmpbpnx0
緒花「あー、うーん、なんだろ……
言いたいことはあるはずなんだけど……」
民子「……」
緒花「なんかこう胸の奥がもやもやしてる感じなんだけど
うまく言葉に出来ないっていうか」
民子「……」
緒花「なんなんだろう、これ」
民子「菜子に嫉妬してるんじゃないの」
緒花「え、何?」
民子「なんでもない」
緒花「えー何、教えてよおーみんちー」
民子「イヤ。私仕事戻るから」
緒花「ぶー、いけずー」
民子「いけずで結構」
言いたいことはあるはずなんだけど……」
民子「……」
緒花「なんかこう胸の奥がもやもやしてる感じなんだけど
うまく言葉に出来ないっていうか」
民子「……」
緒花「なんなんだろう、これ」
民子「菜子に嫉妬してるんじゃないの」
緒花「え、何?」
民子「なんでもない」
緒花「えー何、教えてよおーみんちー」
民子「イヤ。私仕事戻るから」
緒花「ぶー、いけずー」
民子「いけずで結構」
39: 2011/08/12(金) 00:06:58.58 ID:LrCLR6rE0
緒花(なんだろう、このもやもや)
緒花(前にも感じたことがある)
緒花(そうだ、あれはこうちゃんの……)
巴「緒花ちゃーん、いつまで休憩してるの。はやく仕事戻ってー」
緒花「あっはい、ごめんなさーい」
巴「とりあえずお風呂の掃除お願いねっ」
緒花「はーい……」
菜子「あ、緒花ちゃん」
緒花「なこち、今から休憩?」
菜子「うん、次郎丸さんも一緒に」
緒花「えっ」
次郎丸「やあ緒花ちゃん、今朝はありがとう」
緒花「一緒に休憩って……」
緒花(前にも感じたことがある)
緒花(そうだ、あれはこうちゃんの……)
巴「緒花ちゃーん、いつまで休憩してるの。はやく仕事戻ってー」
緒花「あっはい、ごめんなさーい」
巴「とりあえずお風呂の掃除お願いねっ」
緒花「はーい……」
菜子「あ、緒花ちゃん」
緒花「なこち、今から休憩?」
菜子「うん、次郎丸さんも一緒に」
緒花「えっ」
次郎丸「やあ緒花ちゃん、今朝はありがとう」
緒花「一緒に休憩って……」
40: 2011/08/12(金) 00:15:38.31 ID:LrCLR6rE0
次郎丸「菜子ちゃんを小説のモデルにしたって言ったでしょ。
それで、小説の完成に向けて
菜子ちゃんにさらに突っ込んだ取材をしようと」
菜子「えへへ」
緒花「へ、へぇー……」
次郎丸「菜子ちゃん悪いねえ、
昨日今日と取材に付き合ってもらっちゃって」
緒花「いえいえいいんです、私も楽しいですから。
それに私をモデルにした小説なんて夢みたいで」
次郎丸「そう言ってもらえるとこっちも嬉しいよ。
いやー菜子ちゃんには感謝してもしきれないなあ」
菜子「もう、やめてくださいよぉ、次郎丸さん」
緒花「……」
菜子「あれ、緒花ちゃんお仕事じゃないの?」
緒花「あ、……あ、そっか、そうだったよあはは……じゃあまたあとでね」
菜子「うん」
次郎丸「じゃあ菜子ちゃん、さっそく質問なんだけど……」
緒花「……」
それで、小説の完成に向けて
菜子ちゃんにさらに突っ込んだ取材をしようと」
菜子「えへへ」
緒花「へ、へぇー……」
次郎丸「菜子ちゃん悪いねえ、
昨日今日と取材に付き合ってもらっちゃって」
緒花「いえいえいいんです、私も楽しいですから。
それに私をモデルにした小説なんて夢みたいで」
次郎丸「そう言ってもらえるとこっちも嬉しいよ。
いやー菜子ちゃんには感謝してもしきれないなあ」
菜子「もう、やめてくださいよぉ、次郎丸さん」
緒花「……」
菜子「あれ、緒花ちゃんお仕事じゃないの?」
緒花「あ、……あ、そっか、そうだったよあはは……じゃあまたあとでね」
菜子「うん」
次郎丸「じゃあ菜子ちゃん、さっそく質問なんだけど……」
緒花「……」
43: 2011/08/12(金) 00:25:55.17 ID:LrCLR6rE0
その後。
巴「ちょっとちょっと緒花ちゃーん!!」
緒花「はい……」
巴「お風呂ぜんぜん綺麗になってないじゃなーい!
お夕飯の配膳も乱れてたし」
緒花「はい……」
巴「ちゃんとやってくれないと困るわよ」
緒花「はい……」
巴「……どうしたの緒花ちゃん」
緒花「自分でもよくわかんないんですけど……
なんかもやもやした気分が抜けなくて」
巴「あらそう……風邪の引き始めかしらね。
他に具合悪いとこはない?」
緒花「ない、です……」
巴「ふうん……ならまあいいわ、今日はもう休みなさい。
あとは私がやっとくから」
緒花「あっはい、すみません、よろしくお願いします……」
巴「ちょっとちょっと緒花ちゃーん!!」
緒花「はい……」
巴「お風呂ぜんぜん綺麗になってないじゃなーい!
お夕飯の配膳も乱れてたし」
緒花「はい……」
巴「ちゃんとやってくれないと困るわよ」
緒花「はい……」
巴「……どうしたの緒花ちゃん」
緒花「自分でもよくわかんないんですけど……
なんかもやもやした気分が抜けなくて」
巴「あらそう……風邪の引き始めかしらね。
他に具合悪いとこはない?」
緒花「ない、です……」
巴「ふうん……ならまあいいわ、今日はもう休みなさい。
あとは私がやっとくから」
緒花「あっはい、すみません、よろしくお願いします……」
44: 2011/08/12(金) 00:33:36.98 ID:LrCLR6rE0
更衣室。
緒花(はあ……なんかダメダメだなあ私)
緒花(なんでこんなに仕事に集中できなくなっちゃったんだろ)
緒花(あの時からだ、次郎丸さんがなこちと……)
緒花(なこちと……)
菜子「あれ、緒花ちゃんもう上がり?」
緒花「な、ななななんあなななななこち!?」
菜子「わっ、ごめん驚かせちゃったかな……」
緒花「いっいやそう」いうわけでも……
な、なこちは上がりなの?」
菜子「ううん、私はまだ」
緒花「……それは、何?」
菜子「これ?次郎丸さんの小説!
仕事そっちのけでラストまで書き終えたから読んで欲しいって」
緒花「へ、へえ」
菜子「さすがに仕事中には読めないから、
ロッカーに置きに来たの」
緒花(はあ……なんかダメダメだなあ私)
緒花(なんでこんなに仕事に集中できなくなっちゃったんだろ)
緒花(あの時からだ、次郎丸さんがなこちと……)
緒花(なこちと……)
菜子「あれ、緒花ちゃんもう上がり?」
緒花「な、ななななんあなななななこち!?」
菜子「わっ、ごめん驚かせちゃったかな……」
緒花「いっいやそう」いうわけでも……
な、なこちは上がりなの?」
菜子「ううん、私はまだ」
緒花「……それは、何?」
菜子「これ?次郎丸さんの小説!
仕事そっちのけでラストまで書き終えたから読んで欲しいって」
緒花「へ、へえ」
菜子「さすがに仕事中には読めないから、
ロッカーに置きに来たの」
45: 2011/08/12(金) 00:40:43.34 ID:LrCLR6rE0
緒花「あ、そうなんだ……」
菜子「500ページくらいあるよねこれ。
一晩で読めるかなぁ~」
緒花「……」
菜子「それじゃ私まだ仕事あるから」
緒花「うん、頑張ってね」
緒花「……」
緒花「……」
緒花(次郎丸さんが書いた小説……)
緒花(なこちをモデルに……)
緒花(なこちと二人きりで取材して)
『昨日今日と取材に付き合ってもらっちゃって』
『そう言ってもらえるとこっちも嬉しいよ』
『いやー菜子ちゃんには感謝してもしきれないなあ』
緒花(次郎丸さんのあんな嬉しそうな顔……
私みたことなかった)
菜子「500ページくらいあるよねこれ。
一晩で読めるかなぁ~」
緒花「……」
菜子「それじゃ私まだ仕事あるから」
緒花「うん、頑張ってね」
緒花「……」
緒花「……」
緒花(次郎丸さんが書いた小説……)
緒花(なこちをモデルに……)
緒花(なこちと二人きりで取材して)
『昨日今日と取材に付き合ってもらっちゃって』
『そう言ってもらえるとこっちも嬉しいよ』
『いやー菜子ちゃんには感謝してもしきれないなあ』
緒花(次郎丸さんのあんな嬉しそうな顔……
私みたことなかった)
48: 2011/08/12(金) 00:50:32.73 ID:LrCLR6rE0
緒花(なんで私じゃなくてなこちなんだろう)
緒花(なんで私じゃないんだろ)
緒花(どうしてなこちばっかり……)
緒花(次郎丸さん……なこちをモデルにして)
緒花(なこちのことばっかり考えながらこの小説を……)
緒花(いやだよ……こんな……)
緒花(こんな小説……!)
緒花(こんな小説、なくなっちゃえば……!!)
民子「やめときな」
緒花「!?」
緒花(なんで私じゃないんだろ)
緒花(どうしてなこちばっかり……)
緒花(次郎丸さん……なこちをモデルにして)
緒花(なこちのことばっかり考えながらこの小説を……)
緒花(いやだよ……こんな……)
緒花(こんな小説……!)
緒花(こんな小説、なくなっちゃえば……!!)
民子「やめときな」
緒花「!?」
50: 2011/08/12(金) 00:58:19.86 ID:LrCLR6rE0
民子「あんた今何しようとしてた?」
緒花「何って……あ……」
民子「呆れた。無意識で原稿用紙を破こうとするなんて」
緒花「ちっ、違うの、これは……」
民子「いいよ、分かってるから」
緒花「え……」
民子「私も自分で自分のこと不器用な方だと思ってたけど……
あんたも相当だね」
緒花「ど、そういうこと……?」
民子「ほんとに自覚してないの?」
緒花「何を……」
民子「あんた次郎丸さんのこと好きなんだよ」
緒花「うえっ……!?」
緒花「何って……あ……」
民子「呆れた。無意識で原稿用紙を破こうとするなんて」
緒花「ちっ、違うの、これは……」
民子「いいよ、分かってるから」
緒花「え……」
民子「私も自分で自分のこと不器用な方だと思ってたけど……
あんたも相当だね」
緒花「ど、そういうこと……?」
民子「ほんとに自覚してないの?」
緒花「何を……」
民子「あんた次郎丸さんのこと好きなんだよ」
緒花「うえっ……!?」
53: 2011/08/12(金) 01:09:22.45 ID:LrCLR6rE0
緒花「なっ、なに言ってるんですか、
私があんな人のこと、す、好きだなんて……」
民子「そうとしか思えないんだけど」
緒花「そんな、わけ……だいたい私こうちゃんが……」
民子「昔の男でしょ」
緒花「それにあんなダメな人……」
民子「守ってあげたくなるとか言ってたじゃん」
緒花「……」
民子「顔真っ赤だけど」
緒花「……」
民子「……」
緒花「わ、わた、わたわた……私が次郎丸さんのことを? 好きィ? はああああ?」
民子「うわっ、壊れた」
緒花「じょじょじょ冗談もほどほどにしてほしいよ、
次郎丸さんオジサンだよ?私ぴっちぴっちの女子高生だよ?
そんなわけないじゃーん!」
民子「落ち着きなよ外に聞こえるよ」
私があんな人のこと、す、好きだなんて……」
民子「そうとしか思えないんだけど」
緒花「そんな、わけ……だいたい私こうちゃんが……」
民子「昔の男でしょ」
緒花「それにあんなダメな人……」
民子「守ってあげたくなるとか言ってたじゃん」
緒花「……」
民子「顔真っ赤だけど」
緒花「……」
民子「……」
緒花「わ、わた、わたわた……私が次郎丸さんのことを? 好きィ? はああああ?」
民子「うわっ、壊れた」
緒花「じょじょじょ冗談もほどほどにしてほしいよ、
次郎丸さんオジサンだよ?私ぴっちぴっちの女子高生だよ?
そんなわけないじゃーん!」
民子「落ち着きなよ外に聞こえるよ」
56: 2011/08/12(金) 01:14:07.11 ID:LrCLR6rE0
緒花「わ、わた、わた、しが……」
民子「……」
緒花「次郎丸さんのこと……好き……」
民子「やっと自覚したか」
緒花「えっじゃあずっと胸がモヤモヤしてたのは……」
民子「菜子と次郎丸さんが一緒にいたのがイヤだったんでしょ」
緒花「そ、そうだったのか……」
民子「菜子に嫉妬してるんだよ、アンタ。
だから今だって、その小説を破こうとしてた」
緒花「……」
民子「分かってるよね、ホントに破ったりしたらどうなるか」
緒花「うん……分かってるけど……
でも、嫌なの……
次郎丸さんが、なこちの小説書いたなんて……」
民子「……」
民子「……」
緒花「次郎丸さんのこと……好き……」
民子「やっと自覚したか」
緒花「えっじゃあずっと胸がモヤモヤしてたのは……」
民子「菜子と次郎丸さんが一緒にいたのがイヤだったんでしょ」
緒花「そ、そうだったのか……」
民子「菜子に嫉妬してるんだよ、アンタ。
だから今だって、その小説を破こうとしてた」
緒花「……」
民子「分かってるよね、ホントに破ったりしたらどうなるか」
緒花「うん……分かってるけど……
でも、嫌なの……
次郎丸さんが、なこちの小説書いたなんて……」
民子「……」
58: 2011/08/12(金) 01:20:39.93 ID:LrCLR6rE0
緒花「ねえ、どうしたらいいのかな……」
民子「コクれば」
緒花「そっ、そんなの無理に決まってるじゃん」
民子「じゃあ何もしない」
緒花「そしたら、いつかなこちが次郎丸さんと……」
民子「絶対ないと思う」
緒花「うう……どうしよう……
どうしたらいいんだろうこの気持ち……
ぜんぜんわかんないよ」
民子「東京に彼氏いたんでしょ。
初めて恋愛するわけじゃなし」
緒花「でもそういう感じじゃなかったし、こうちゃんとは……」
民子「ああ、そう」
緒花「ううう……なんか頭の中ぐるぐるしてる……」
民子「とりあえず今日はもう寝な。そんなんじゃ明日の仕事にも響く」
緒花「うん……」
民子「コクれば」
緒花「そっ、そんなの無理に決まってるじゃん」
民子「じゃあ何もしない」
緒花「そしたら、いつかなこちが次郎丸さんと……」
民子「絶対ないと思う」
緒花「うう……どうしよう……
どうしたらいいんだろうこの気持ち……
ぜんぜんわかんないよ」
民子「東京に彼氏いたんでしょ。
初めて恋愛するわけじゃなし」
緒花「でもそういう感じじゃなかったし、こうちゃんとは……」
民子「ああ、そう」
緒花「ううう……なんか頭の中ぐるぐるしてる……」
民子「とりあえず今日はもう寝な。そんなんじゃ明日の仕事にも響く」
緒花「うん……」
60: 2011/08/12(金) 01:31:42.19 ID:LrCLR6rE0
翌日
菜子「次郎丸さん、ゆうべ全部読んじゃいました!
もうとってもいい話ですごく感動しちゃいましたよー」
次郎丸「あ、そうかい?
いやあーこれも全部菜子ちゃんのおかげだよ」
菜子「そんなことないですよおー、
次郎丸さんの文才の力ですって!」
次郎丸「いやあ、そんなことないこともないけどね!」
菜子「もー、次郎丸さんったら~」
次郎丸「あははは」
緒花「…………」
次郎丸「ああ、緒花ちゃんおはよう、
昨日見せた小説完成したんだ、また読んで……」
緒花「……」
次郎丸「緒花ちゃん?」
菜子「次郎丸さん、ゆうべ全部読んじゃいました!
もうとってもいい話ですごく感動しちゃいましたよー」
次郎丸「あ、そうかい?
いやあーこれも全部菜子ちゃんのおかげだよ」
菜子「そんなことないですよおー、
次郎丸さんの文才の力ですって!」
次郎丸「いやあ、そんなことないこともないけどね!」
菜子「もー、次郎丸さんったら~」
次郎丸「あははは」
緒花「…………」
次郎丸「ああ、緒花ちゃんおはよう、
昨日見せた小説完成したんだ、また読んで……」
緒花「……」
次郎丸「緒花ちゃん?」
61: 2011/08/12(金) 01:35:53.61 ID:LrCLR6rE0
次郎丸「おーい、緒花ちゃん」
緒花「……」
次郎丸「どしたの、ねえ緒花ちゃんってば」
緒花「……」
次郎丸「小説かけたから読んでってば」
緒花「……」
次郎丸「なあ、緒花ちゃん」
緒花「……」
次郎丸「なんで無視するの、なんか怒ってる?」
緒花「……」
次郎丸「僕なんか悪いことしたかな?」
緒花「……」
次郎丸「緒花ちゃーん」
緒花「…………」
民子「やれやれ」
緒花「……」
次郎丸「どしたの、ねえ緒花ちゃんってば」
緒花「……」
次郎丸「小説かけたから読んでってば」
緒花「……」
次郎丸「なあ、緒花ちゃん」
緒花「……」
次郎丸「なんで無視するの、なんか怒ってる?」
緒花「……」
次郎丸「僕なんか悪いことしたかな?」
緒花「……」
次郎丸「緒花ちゃーん」
緒花「…………」
民子「やれやれ」
62: 2011/08/12(金) 01:43:51.71 ID:LrCLR6rE0
次郎丸「ねえ緒花ちゃん、どうしたのさあ」
緒花「……」
次郎丸「読んでくださいよ、昨日みたいにさ」
緒花「……」
次郎丸「あ、読んでくれる?」
緒花「……」ぺらぺら
次郎丸「ページ多いから今じゃなくても……」
緒花「つまんないです」
次郎丸「えっ」
緒花「この小説つまんないです」
次郎丸「な、なに言ってるんだい緒花ちゃん……」
緒花「こんなの最低です、賞なんて取れる訳ありません!
一次選考でボツに決まってますよっ!」たたたっ
次郎丸「お、緒花ちゃーん!?」
民子「あーあ、やっちゃった」
徹「なにやってんだ仕事しろ民子」
緒花「……」
次郎丸「読んでくださいよ、昨日みたいにさ」
緒花「……」
次郎丸「あ、読んでくれる?」
緒花「……」ぺらぺら
次郎丸「ページ多いから今じゃなくても……」
緒花「つまんないです」
次郎丸「えっ」
緒花「この小説つまんないです」
次郎丸「な、なに言ってるんだい緒花ちゃん……」
緒花「こんなの最低です、賞なんて取れる訳ありません!
一次選考でボツに決まってますよっ!」たたたっ
次郎丸「お、緒花ちゃーん!?」
民子「あーあ、やっちゃった」
徹「なにやってんだ仕事しろ民子」
64: 2011/08/12(金) 01:56:22.85 ID:LrCLR6rE0
緒花「ど、どうしようみんちぃぃい……」
民子「知らん知らん泣くな鬱陶しい」
緒花「私、次郎丸さんのこと好きって自覚してから
全然まともに次郎丸さんの顔見られなくなっちゃって」
民子「あんた意外と純情だね」
緒花「なこちがモデルの小説にもなんかムカついちゃって」
民子「あっそう」
徹「おい民子、サボってんじゃねえぞー」
民子「はい、すみません」
緒花「……」
民子「ほら、あんたもとっとと仕事に戻りな」
緒花「みんちは無いの?
徹さんの顔まともに見られなくなったりとか」
民子「ぶへぁ!?」
徹「俺がどうかしたか?」
民子「な、なんでもありませんっ!!」
民子「知らん知らん泣くな鬱陶しい」
緒花「私、次郎丸さんのこと好きって自覚してから
全然まともに次郎丸さんの顔見られなくなっちゃって」
民子「あんた意外と純情だね」
緒花「なこちがモデルの小説にもなんかムカついちゃって」
民子「あっそう」
徹「おい民子、サボってんじゃねえぞー」
民子「はい、すみません」
緒花「……」
民子「ほら、あんたもとっとと仕事に戻りな」
緒花「みんちは無いの?
徹さんの顔まともに見られなくなったりとか」
民子「ぶへぁ!?」
徹「俺がどうかしたか?」
民子「な、なんでもありませんっ!!」
65: 2011/08/12(金) 02:07:17.42 ID:LrCLR6rE0
民子「ちょっと何馬鹿なこと言ってんのよこのホビロン!」
緒花「ごめんごめん、つい気になって……
で、どうしたらいいかなあ……」
民子「ああもう分かったわよ、
私が取り持ってあげるから」
緒花「え、ほんとに?
ありがとうみんちー!」
民子「そのかわり……分かってるよね」
緒花「うん、みんちと徹さんの……」
徹「俺がどうかしたか?」
民子「なんでもありません!!!」
緒花「あ、私が厨房手伝いますよ!」
徹「はあ? 何いってんだ」
緒花「前からやりたいなーって思ってたんですよねー」
徹「どうします、蓮さん」
蓮「まあいいだろう、今は暇だし」
民子(よし、じゃあ私はこのスキに……)
緒花「ごめんごめん、つい気になって……
で、どうしたらいいかなあ……」
民子「ああもう分かったわよ、
私が取り持ってあげるから」
緒花「え、ほんとに?
ありがとうみんちー!」
民子「そのかわり……分かってるよね」
緒花「うん、みんちと徹さんの……」
徹「俺がどうかしたか?」
民子「なんでもありません!!!」
緒花「あ、私が厨房手伝いますよ!」
徹「はあ? 何いってんだ」
緒花「前からやりたいなーって思ってたんですよねー」
徹「どうします、蓮さん」
蓮「まあいいだろう、今は暇だし」
民子(よし、じゃあ私はこのスキに……)
67: 2011/08/12(金) 02:18:27.11 ID:LrCLR6rE0
次郎丸「はぁー……」
民子(あっ、いた)
巴「どうしたのー、次郎丸さん」
次郎丸「ああ、巴さん……」
民子(おっとと……)こそっ
次郎丸「いやあ、実は緒花ちゃんに嫌われてしまったみたいで」
巴「そうなの? 何やったの」
次郎丸「何やったっていうか……小説を書いただけなんだけど」
巴「またいやらしい内容なんでしょう、あーフケツ」
次郎丸「違いますよお、今回は本当に正統派の文芸作品なんですってば……
ああ、もしかしてアレがバレちゃったのかなあ」
巴「アレって?」
次郎丸「実は緒花ちゃんをモデルにしたキャラを出したんですよね」
巴「はあ、勝手に? そりゃ怒られるわ」
民子(ん?)
民子(あっ、いた)
巴「どうしたのー、次郎丸さん」
次郎丸「ああ、巴さん……」
民子(おっとと……)こそっ
次郎丸「いやあ、実は緒花ちゃんに嫌われてしまったみたいで」
巴「そうなの? 何やったの」
次郎丸「何やったっていうか……小説を書いただけなんだけど」
巴「またいやらしい内容なんでしょう、あーフケツ」
次郎丸「違いますよお、今回は本当に正統派の文芸作品なんですってば……
ああ、もしかしてアレがバレちゃったのかなあ」
巴「アレって?」
次郎丸「実は緒花ちゃんをモデルにしたキャラを出したんですよね」
巴「はあ、勝手に? そりゃ怒られるわ」
民子(ん?)
70: 2011/08/12(金) 02:28:11.42 ID:LrCLR6rE0
民子「あのっ」
巴「! 民子ちゃん、どうしたの」
民子「さっきの話、ほんとですか?」
次郎丸「え、ああ。緒花ちゃんを勝手にモデルにしてね、小説を書いたんだ」
民子「でも菜子をモデルにしたんじゃ……」
次郎丸「それは前半だけだよ。後半から主人公が変わるんだ」
民子「……なんで菜子には許可をとって、緒花には」
次郎丸「許可をとったっていうか取材しただけだよ。
緒花ちゃんのことはよく知ってるから、そのまま小説に出した」
巴「あら、よく知ってるだなんて。そんな間柄だったわけ?」
次郎丸「彼女はよく僕の小説を読んでくれるからね。
僕の部屋を掃除してくれるのは彼女だけだし
暇なときはよく一緒に喋ったりする……」
民子「……」
次郎丸「というか緒花ちゃんだけなんだよ、
この旅館で僕にまともに接してくれるのは!
おかしいと思わないか巴さん!」
巴「無賃宿泊者に優しくするほどこの旅館は甘くないのよ」
巴「! 民子ちゃん、どうしたの」
民子「さっきの話、ほんとですか?」
次郎丸「え、ああ。緒花ちゃんを勝手にモデルにしてね、小説を書いたんだ」
民子「でも菜子をモデルにしたんじゃ……」
次郎丸「それは前半だけだよ。後半から主人公が変わるんだ」
民子「……なんで菜子には許可をとって、緒花には」
次郎丸「許可をとったっていうか取材しただけだよ。
緒花ちゃんのことはよく知ってるから、そのまま小説に出した」
巴「あら、よく知ってるだなんて。そんな間柄だったわけ?」
次郎丸「彼女はよく僕の小説を読んでくれるからね。
僕の部屋を掃除してくれるのは彼女だけだし
暇なときはよく一緒に喋ったりする……」
民子「……」
次郎丸「というか緒花ちゃんだけなんだよ、
この旅館で僕にまともに接してくれるのは!
おかしいと思わないか巴さん!」
巴「無賃宿泊者に優しくするほどこの旅館は甘くないのよ」
72: 2011/08/12(金) 02:37:36.60 ID:LrCLR6rE0
次郎丸「はーあ、緒花ちゃんに嫌われちゃったら
僕はこの旅館でどうやって生きていけばいいんだ」
民子「……」
次郎丸「僕の部屋の掃除も頼もうと思ってたのに」
巴「自分でやりなさいよ」
民子「次郎丸さん」
次郎丸「ん、何?もしかして民子ちゃんが掃除してくれる?
あーでも緒花ちゃんの掃除の上手さにかなうかなあ」
民子「いや、そうじゃなくて、
小説に出したのって菜子と緒花だけですか?」
次郎丸「ああ、そうだよ。それがどうかした?」
民子「いえ、なんでも……」
徹「おーい民子、そろそろ戻ってこーい」
民子「あっ、はーい!」
巴「さっ、次郎丸さんもおしごとしなきゃね」
次郎丸「はぁい……」
僕はこの旅館でどうやって生きていけばいいんだ」
民子「……」
次郎丸「僕の部屋の掃除も頼もうと思ってたのに」
巴「自分でやりなさいよ」
民子「次郎丸さん」
次郎丸「ん、何?もしかして民子ちゃんが掃除してくれる?
あーでも緒花ちゃんの掃除の上手さにかなうかなあ」
民子「いや、そうじゃなくて、
小説に出したのって菜子と緒花だけですか?」
次郎丸「ああ、そうだよ。それがどうかした?」
民子「いえ、なんでも……」
徹「おーい民子、そろそろ戻ってこーい」
民子「あっ、はーい!」
巴「さっ、次郎丸さんもおしごとしなきゃね」
次郎丸「はぁい……」
75: 2011/08/12(金) 02:47:03.34 ID:LrCLR6rE0
厨房。
緒花「ごめんみんち……
みんちが使ってた包丁こんなに欠けちゃった」
民子「ちょっ、何したらこうなんのよ……
それで蓮さんはなんで頭に包帯を」
蓮「気にしないでくれ……」
緒花「で、どうだった?どうにかなった?」
民子「ん、まあね。とりあえず」
緒花「とりあえず?」
民子「次郎丸さんの部屋の掃除しにいってあげな」
緒花「ええっ、む、無理だよあんなひどいこと言っちゃったのに」
民子「大丈夫。それから、あの小説も最後まで読みなよ」
緒花「えっ……」
民子「後半だけでもいいからさ。
そうしたらわかるから。
あんたが悩んでることなんて下らないことだって」
緒花「え、どういうこと?」
緒花「ごめんみんち……
みんちが使ってた包丁こんなに欠けちゃった」
民子「ちょっ、何したらこうなんのよ……
それで蓮さんはなんで頭に包帯を」
蓮「気にしないでくれ……」
緒花「で、どうだった?どうにかなった?」
民子「ん、まあね。とりあえず」
緒花「とりあえず?」
民子「次郎丸さんの部屋の掃除しにいってあげな」
緒花「ええっ、む、無理だよあんなひどいこと言っちゃったのに」
民子「大丈夫。それから、あの小説も最後まで読みなよ」
緒花「えっ……」
民子「後半だけでもいいからさ。
そうしたらわかるから。
あんたが悩んでることなんて下らないことだって」
緒花「え、どういうこと?」
77: 2011/08/12(金) 02:54:27.15 ID:LrCLR6rE0
民子「それは内緒。行けばわかるよ」
緒花「あ、う、うん……」
民子「ほら、行きなよ。好きな人が待ってるよ」
緒花「う、うん!ありがとうみんち、私行ってくるね」
民子(ふふ……顔赤くしちゃって)
民子(でも次郎丸さんと緒花か……)
民子(結構お似合いなんじゃないかな)
民子(緒花ってダメ男好き?)
菜子「あ、みんち……ちょっといいかな」
民子「菜子、どうしたの?」
菜子「実はちょっと相談に乗ってもらいたいことがあって……」
民子「何、相談って」
菜子「実は……私、次郎丸さんのこと好きになっちゃったのっ」
民子「ホ……ホビローン!」
お わ り
緒花「あ、う、うん……」
民子「ほら、行きなよ。好きな人が待ってるよ」
緒花「う、うん!ありがとうみんち、私行ってくるね」
民子(ふふ……顔赤くしちゃって)
民子(でも次郎丸さんと緒花か……)
民子(結構お似合いなんじゃないかな)
民子(緒花ってダメ男好き?)
菜子「あ、みんち……ちょっといいかな」
民子「菜子、どうしたの?」
菜子「実はちょっと相談に乗ってもらいたいことがあって……」
民子「何、相談って」
菜子「実は……私、次郎丸さんのこと好きになっちゃったのっ」
民子「ホ……ホビローン!」
お わ り
78: 2011/08/12(金) 02:54:59.77 ID:LrCLR6rE0
もう無理
氏ぬ
氏ぬ
79: 2011/08/12(金) 02:56:54.57 ID:KLQn/ix40
まだいけるって!
おまえならやれる!
おまえならやれる!
81: 2011/08/12(金) 02:58:04.47 ID:XQs48I2w0
最後の行が見えない
82: 2011/08/12(金) 03:03:46.88 ID:Kp26LhQvO
乙
でも続けてもいいのよ?
でも続けてもいいのよ?
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります