1: 2015/06/16(火) 23:12:32.99 ID:Cu4M/SNO.net
花陽「……え……それでうちに来たの?」

凛「うん!」

花陽「凛ちゃん、それはムリかな…………」

凛「なんで!?」

花陽「なんでって……そもそも、どうしてペットになりたいの?」

凛「かよちんと、いつでも一緒がいいニャ!」

花陽「今でも十分一緒にいると思うよ?泊まったりだってするし……」

凛「もっともっと、一緒がいい」

花陽「凛ちゃん……やっぱり変だよ……」

凛「変じゃないよ?」

3: 2015/06/16(火) 23:18:30.83 ID:Cu4M/SNO.net
凛「ほら、ちゃんと尻尾と耳もあるニャ!」

花陽「あ、あのね、そういうことじゃなくて……」

凛「大丈夫、噛んだりしないよ?」

花陽「凛ちゃん…………今、テスト期間だよ……」

凛「ペットは勉強しなくてもいいの」

花陽「赤点とったら、部活動停止なんだよ?」

凛「に、ニャーニャー!」

花陽「ごまかさないで」

5: 2015/06/16(火) 23:21:27.33 ID:Cu4M/SNO.net
凛「まあ見てて!あまりのペットぶりに、かよちんも納得すると思うよ」

花陽「ええっ…………」

凛「ねえ、撫でてみて!」

花陽「う、うん…………」ナデナデ

凛「ごろニャーン♡」

花陽「………………」

凛「どう?どう!?」

花陽「……部活休みなぶん、ちゃんと勉強しよう?」

6: 2015/06/16(火) 23:24:32.93 ID:Cu4M/SNO.net
凛「ま、まってかよちん!もう一度凛にチャンスをください」

花陽「え、いいけど…………」

凛「ニャー♡」ペロペロ

花陽「や……く、くすぐったいよ凛ちゃん!」

凛「…………」ペロペロ

花陽「ほっぺた舐めないでよぉ…………」

凛「……とこのように、愛らしく舐めるニャ」

花陽「…………勉強しよ?この机で一緒に。ね?」

凛「なんでそうなるの…………」

7: 2015/06/16(火) 23:27:07.42 ID:Cu4M/SNO.net
凛「り、凛は賢いペットだよ!かよちんの指示ちゃんと聞くよ!?」

花陽「テスト勉強を……」

凛「ペットができる範囲のことだけニャ……」

花陽「なんでも言うこと聞く?」

凛「うん!」

花陽「そっか……じゃあついてきて」

凛「わかったニャ、ご主人様♡」

8: 2015/06/16(火) 23:30:02.36 ID:Cu4M/SNO.net
花陽「さて、ここが玄関だよ。いいね?凛ちゃん」

凛「凛、知ってるよ」

花陽「指示を出すね。ええと――――」

花陽「凛ちゃん、ここから出て自分のうちに帰ろう?」

凛「うん!」

花陽「バイバイ凛ちゃん」

凛「じゃあねかよちん!」バタン

花陽「………………」カチャンカチャン



凛「あー!違う、違うのかよちん!閉めないで!」ドンドン

9: 2015/06/16(火) 23:32:41.23 ID:Cu4M/SNO.net
凛「昨日はかよちんに、見事にしてやられた……」

凛「でもあのあとかよちんは、凛を再び家にあげてくれて――」

凛「一緒に勉強会をしてくれたニャ!」

凛「やっぱりかよちんって、とーっても優しいの!」

凛「かよちんにペットとして、撫でまわされたいニャ♡」

凛「かよちん♡かよちん♡」

10: 2015/06/16(火) 23:35:55.32 ID:Cu4M/SNO.net
花陽「………………」

凛「小泉凛にしてほしいニャ」

花陽「凛ちゃん……またなんだね……」

凛「かーよちん♪」

花陽「そろそろ私も怒るよ?」

凛「うん。しっかりしつけて♡」

花陽「………………」

凛「ニャー♪」スリスリ

花陽「お願いだから、目を覚ましてよぉ…………」

12: 2015/06/16(火) 23:39:08.75 ID:Cu4M/SNO.net
凛「ほら、ちゃんとペットらしく四足歩行で――」シュバッ

凛「こんなふうに、俊敏に動くよ!」

花陽「だからなんなのかなぁ…………」

凛「ここぞというときに、飼い主を守ることもできるニャ!」

花陽「そ、そうなんだ……」

凛「こんな凛が、今ならタダ!」

花陽「たとえお金がもらえても、飼わないよ……」

凛「なんで…………なにが足りないの?」

花陽「え、ええとね……常識かなぁ…………」

13: 2015/06/16(火) 23:42:37.49 ID:Cu4M/SNO.net
凛「フー………………」

花陽「え、突然どうしたの……?」

凛「………………」ギュ

花陽「いっ……痛いよ凛ちゃん!おなかつままないで!」

凛「こういう時に、しつけが必要になるニャ」

花陽「…………え?」

凛「さあかよちん!凛をしつけて!」

花陽「あ、えっと…………だ、ダメだよーおなかつまんじゃ……」

凛「ニャー…………」シュン

凛「完璧なしつけだよ!さすがかよちんニャ!」

花陽「ええっ…………」

14: 2015/06/16(火) 23:44:54.29 ID:Cu4M/SNO.net
凛「かよちん、何かしてほしいことある?」

花陽「勉強……かな」

凛「それ以外で」

花陽「じゃあ……あの勉強机の上から、数学の教科書持ってきてくれるかな?」

凛「まかせて!」

凛「――――よっと……」

凛「……はい、かよちん」

花陽「ありがとう、凛ちゃん」

凛「……このようになにかいいことをしたら、頭を撫でてほしいニャ」

花陽「え……あ、うん…………」ナデナデ

凛「かよちーん♡」

花陽「………………」

15: 2015/06/16(火) 23:47:15.23 ID:Cu4M/SNO.net
花陽「ね、ねえ凛ちゃん。もう一つお願いがあるんだけど」

凛「どんとこいニャ!」

花陽「あのね、外の郵便受けから新聞を取ってきてほしいの」

凛「新聞?」

花陽「うん。イヌとかはね、とってきてくれるんだって」

花陽「凛ちゃんもできるよね?」

凛「まかせてよ!行ってくるね」

花陽「うん」

16: 2015/06/16(火) 23:50:18.16 ID:Cu4M/SNO.net
凛「郵便受けは、門の近くの――これかな?」

凛「あ、あった!」



凛「よし、新聞も取ったしかよちんの部屋に――――」ガチャガチャ

凛「玄関が締まってるニャ……」

凛「…………かよちん!あーけーてー!」ドンドン

17: 2015/06/16(火) 23:54:17.61 ID:Cu4M/SNO.net
凛「昨日も締め出されたニャ……」

凛「でもまたもや、凛を再び家にあげてくれて――」

凛「一緒に勉強会をしてくれたニャ!」

凛「やっぱりかよちんって、とってもとーっても優しいの!」

凛「かよちんにペットとして、しつけられたい♡」

凛「かよちん♡かよちん♡」

18: 2015/06/16(火) 23:55:57.55 ID:Cu4M/SNO.net
花陽「…………それで、また来たんだね」

凛「うん。凛をペットとして迎え入れよう?」

花陽「だからね……それはムリなの」

凛「なんで?なんで!?」

花陽「ヒトをペットにはできないよね?」

凛「それなら、凛はヒトをやめるニャ」

花陽「え、ええぇ………………」

凛「ねえ……いいでしょ?かよちん!」

花陽「なにが凛ちゃんをここまでさせるの……」

19: 2015/06/17(水) 00:00:08.81 ID:rgBGc4vN.net
凛「今日はペットらしく、首輪も持ってきたの」

花陽「そ、そうなんだぁ……」

凛「凛に着けて!」

花陽「ええと……着けなくてもいんじゃないかな?」

凛「ダメだよ!もし迷子になったときは、首輪が頼りになるんだよ!?」

凛「ほら、見てこの首輪。ちゃんと、迷子のときのために、連絡先が書いてあるの」



『名前:リン 飼い主:かよちん♡』

花陽「………………

21: 2015/06/17(水) 00:02:41.11 ID:rgBGc4vN.net
凛「さらにね……このリードをつければカンペキだよ?」

花陽「………………」

凛「これで、おさんぽもばっちり!」

花陽「あ、あのね…………凛ちゃんは、ネコなの?イヌなの?」

凛「………………」

花陽「………………」

凛「…………ニャー」

花陽「ネコなの?ネコだね!?」

23: 2015/06/17(水) 00:06:52.30 ID:rgBGc4vN.net
凛「さあかよちん、おさんぽに連れってて!」

花陽「え……まさかこのリード、着けたまま外行くの?」

凛「もちろん」

花陽「………………」

凛「……いやなら、かよちんの家の庭だけでもいいよ」

花陽「に、庭も……うーん…………」

凛「大丈夫。凛が制服着たまま、四つんばいで歩くから――」

凛「かよちんは、リードもってるだけでいいニャ」

花陽「それ、ヘタしたら私の方がやばい人扱いだよ?」

24: 2015/06/17(水) 00:11:31.40 ID:rgBGc4vN.net
凛「行っくニャー!」

花陽「待って!」

凛「どうしたのかよちん」

花陽「ネコは……おさんぽしないよね?」

凛「………………」

花陽「………………」

凛「…………凛はイヌニャ」

花陽「……ニャ?」

凛「イヌワン」

花陽「…………もうちょっと、設定をしっかりと練ろう?」

26: 2015/06/17(水) 00:13:26.01 ID:rgBGc4vN.net
凛「――意外と四本足で歩くのって難しいね……」

花陽「やらなくていいんだよ……?」

凛「凛、ペットとして妥協はしないつもりなの」

花陽「そこは妥協してほしいな……」

凛「がんばるよ、かよちん!」

花陽「………………」

27: 2015/06/17(水) 00:15:14.25 ID:rgBGc4vN.net
花陽「…………あ、ごめん凛ちゃん。湯を沸かしたままだったよ……」

花陽「火を消しに行ってくるね」

凛「うん、早く戻ってきてね!」

花陽「…………」スタスタ

花陽「………………」バタン



凛「かよちん、戻ってこないニャ…………」

凛「――まさか…………」ガチャガチャ

凛「かよちんヒドイ!ペット虐待だよ!」ドンドン

28: 2015/06/17(水) 00:19:38.60 ID:rgBGc4vN.net
凛「かよちんってばひどいニャ……」

凛「でもやっぱり、凛を再び家にあげてくれて――」

凛「一緒に勉強会をしてくれたニャ!」

凛「やっぱりかよちんって、とってもとってもとーっても優しいの!」

凛「かよちんと一緒に、もっとおさんぽしたいニャ♡」

凛「かよちん♡かよちん♡」

29: 2015/06/17(水) 00:22:46.09 ID:rgBGc4vN.net
花陽「………………凛ちゃん」

凛「ニャー!」

花陽「土曜の朝から来て、なんの用事かなぁ…………?」

凛「決まってるよ。そろそろ正式にペットにしてほしくって」

花陽「ホントに怒るよ…………」

凛「凛、怒り顔のかよちんも好きニャ♡」

花陽「………………」

凛「かよちん♡かよちーん♡」ペロペロ

花陽「やめ……やめて…………」

30: 2015/06/17(水) 00:25:42.61 ID:rgBGc4vN.net
花陽「凛ちゃん、ちょっと早いけどお昼ご飯食べよ?」

凛「うん!ありがとね、かよちん」

花陽「お母さんたち、今日はいないの。だから私がおにぎり作るね」

凛「凛はおとなしく待ってる」

花陽「うん」

凛「……やっぱり、かよちんがおにぎり作ってるところを見てるニャ」

花陽「…………う、うん」

31: 2015/06/17(水) 00:27:32.92 ID:rgBGc4vN.net
花陽「………………」ニギニギ

凛(かよちんかよちんかよちん♡)ジー

花陽「………………」

凛(かよちんかよちんかよちん♡)ジー

花陽「あ、あの凛ちゃん?」

凛「なあに?あ、手伝うことある?」

花陽「いや……その……見られてるとやりにくいなあって……」

凛「でも……ペットだもん……」

花陽「…………うん?全く意味わかんないよ?」

32: 2015/06/17(水) 00:29:13.39 ID:rgBGc4vN.net
花陽「いただきます」

凛「いただきます!」ガツガツ

花陽「り、凛ちゃん!ちゃんと手を使って食べてよぉ……」

凛「…………ん」ゴクン

凛「ペットは手を使わず食事するニャ」

花陽「なんで妙に律儀なの?」

凛「それだけ本気なの!だから…………ペットにしてほしいな……」

花陽「凛ちゃん…………」

花陽「でもダメ」

凛「なんで!?なんでよ!?おかしいよ!?」

46: 2015/06/17(水) 22:59:37.43 ID:rgBGc4vN.net
花陽「それなら……とことんこだわってほしいなぁ……」

凛「とことん?」

花陽「うん。例えば、しゃべらないとか…………」

凛「わかったニャ!これからしゃべらないようにするね!」

花陽「え……ホントにしゃべらないの?」

凛「もちろんだよ。言いたいことは体を使って表現するね」

花陽「体を使って……?」

凛「…………ニャー♡」ペロペロ

花陽「ひゃっ!それはやめてよぉ…………」

47: 2015/06/17(水) 23:03:26.38 ID:rgBGc4vN.net
凛「ニャ!」

花陽「…………手に持ってるの、なあに?」

凛「ニャー」

花陽「ネコじゃらしみたいな、おもちゃだね…………」

凛「…………」サッ

花陽「えっと、渡されたけど……これでどうすればいいの?」

凛「…………ニャー!」フリフリ

花陽「凛ちゃん……腕を振ってるけど、意味がよくわかんないよ……」

花陽「あ、ええと、これを振ればいいのかな?」

凛「…………」コクコク

花陽「…………こ、こう?」フリフリ

凛「ニャッ!ニャー♡」

花陽「…………うん」

48: 2015/06/17(水) 23:05:02.93 ID:rgBGc4vN.net
凛「ニャー♡」スリスリ

花陽「ちょっともう!凛ちゃん!」

凛「…………♡」スリスリ

花陽「体をすりすりと、こすりつけないでっ…………」

凛「ニャーン♡ニャー♡」ペロペロ

花陽「な、舐めるのもダメ!」

凛「ニャ♡ニャ♡ニャー♡」ガブガブ

花陽「やぁっ……噛まないでよぉ……」

凛「…………ニャー」

花陽「……凛ちゃん、鳴き声のレパートリー、もうちょっと増やそう?」

49: 2015/06/17(水) 23:07:48.81 ID:rgBGc4vN.net
花陽「………………」

花陽「………………あっ」

花陽「ご、ごめんね凛ちゃん……ちょっとお手洗い行ってくるね……」

花陽「今日も、家に誰もいないから……誰か来たら出てくれる?」

凛「…………」コクン

花陽「お願いね凛ちゃん……」バタン



凛「………………」

51: 2015/06/17(水) 23:11:48.34 ID:rgBGc4vN.net
―ピンポーン

凛「!」

凛「かよちーん……?」

凛「まだトイレにゃ…………」」

凛「……凛が出ないと」

凛「…………まず部屋から出て――」バタン

凛「階段を四つんばい――――は怖いから普通に降りるニャ」トテトテ



凛「はいはーい、今行きます!」ガチャ

52: 2015/06/17(水) 23:16:00.10 ID:rgBGc4vN.net
真姫「――凛。あなたを回収しに来たわ」

凛「ええっ?真姫ちゃん!?なんで?」

真姫「なんでじゃなくて」グイ

凛「ああっ!腕引っ張らないでよ真姫ちゃん……」

真姫「花陽からちょっと前に連絡があったのよ。凛を引き取ってくれって」

凛「ウソニャ。かよちんが凛を捨てるわけないよ!」

真姫「本当よ」

凛「…………ウ、ウソだよ」

真姫「ほら!行くわよ、凛」

凛「かよちん……なんでよ……」

真姫「歩きなさいよ……リードもって引きずるわよ?」

凛「かよちーん…………」ズルズル

53: 2015/06/17(水) 23:19:03.30 ID:rgBGc4vN.net
凛「かよちんに捨てられたニャ……」

凛「おかしいよ…………おかしいよ…………」

凛「かよちんが、小泉家公式ペットの凛のことを捨てるはずないよ!」

凛「だってだって――」

凛「凛のかよちんって、とってもとってもとってもとーっても優しいの!」

凛「かよちん♡かよちん♡」

凛「………………」

54: 2015/06/17(水) 23:22:35.54 ID:rgBGc4vN.net
花陽「………………」

凛「………………」

花陽「…………今日もなんだね」

凛「かよちん……なんで凛のこと捨てたの」

花陽「捨てたんじゃなくて、真姫ちゃんに連れ帰ってもらったの」

凛「凛の家はここだよ!?」

花陽「ここは私の家なの…………」

花陽「――そもそも私、凛ちゃんをペットって認めてないよ?」

凛「…………じゃあ、認めてよ。凛のことペットにしてよ!」

55: 2015/06/17(水) 23:25:21.41 ID:rgBGc4vN.net
凛「お願いっ!かよちんさま!」

花陽「……認めないよ」

凛「お願いです、かよちん……」

花陽「………………」

凛「お願いします…………」

花陽「…………わかった、いいよ」

凛「ホント!?ホントにいいの!?」

花陽「うん。凛ちゃんがそれでいいって言うならば――だけど」

凛「もちろんいいに決まってるニャ!」

花陽「…………そっか。じゃあ今日から凛ちゃんはペットだね」

56: 2015/06/17(水) 23:28:31.43 ID:rgBGc4vN.net
凛「ありがとかよちん!」ギュー

花陽「…………触らないで」

凛「……えっ」

花陽「離れてほしいな」

凛「…………か、かよちん?」

花陽「あと、その……しゃべらないでね」

花陽「ペットだもんね?」

凛「………………」

57: 2015/06/17(水) 23:31:21.84 ID:rgBGc4vN.net
凛(ど、どうしちゃったのかよちん…………)



花陽「いいかな凛ちゃん。私がいいって言うまで、そこから動かないでね」

花陽「一歩もだよ?じゃないと――――捨てちゃうから」

凛「…………」コクコク

花陽「お利口さんなペット、私は好きだよ」

凛(かよちん♡凛もかよちんのこと大好きニャ!)

凛(ちがうちがう、そうじゃなくて……かよちんが…………)

花陽「…………勉強の続きしないと」

58: 2015/06/17(水) 23:34:00.86 ID:rgBGc4vN.net
花陽「………………」カリカリ

凛「………………」

凛(つまんないニャ)

凛(少しくらい遊んでくれないと、退屈すぎるよ)

凛「ニャー!」

花陽「……凛ちゃん。静かにしてね?」

凛「ニャー……」

花陽「音出さないで欲しいなぁ。私は勉強してるんだよ?」

凛(かよちーん…………)

59: 2015/06/17(水) 23:36:23.60 ID:rgBGc4vN.net
凛(かまってよ……凛にかまってよ、かよちん…………)

凛(…………)

凛(も、もうガマンできない!ひっそり近づいて、おなかをつっついてやるニャ!)

凛「…………」ソー

花陽「…………凛ちゃん、なにしてるの」

凛「え……な、なにもしてないよ……」

花陽「動かないでって……言ったよね?」

凛「…………ごめんなさい」

花陽「しゃべらないでとも言ったよね。何でいいつけを守ってくれないの……?」

花陽「……ホ、ホントに捨てちゃうからね?」

60: 2015/06/17(水) 23:38:54.18 ID:rgBGc4vN.net
凛(…………)

花陽「ふぅ……そろそろお昼にしようかな」

花陽「凛ちゃん、ちょっと待っててね」

凛「…………」コクコク



凛「かよちん行っちゃった……」

凛「でも、お昼ごはんを用意してくれるかよちん。やっぱり優しいニャ!」



―バタン

花陽「――――おまたせ、凛ちゃん」

花陽「はい、ごはんだよ」コトン

凛「………………え」

61: 2015/06/17(水) 23:41:41.63 ID:rgBGc4vN.net
花陽「凛ちゃんのために買っておいたんだ、ネコ缶」

花陽「中身だけをお皿に盛りつけたから、食べやすいよね?いっぱい食べてね」

凛「…………」フルフル

花陽「いらないの?じゃあごはん抜きになっちゃうよ?」

凛「…………」フルフル

花陽「好き嫌いしちゃダメだよ、凛ちゃん」

花陽「大丈夫、お魚だけど骨は入ってないの」

凛(かよちん……こんなのヒドイよ…………)

62: 2015/06/17(水) 23:44:22.74 ID:rgBGc4vN.net
凛「……ねえかよちん」

花陽「…………」

凛「も、もうペットやめる…………

花陽「ええと……それは……ダメ」

凛「………………」

凛「凛が悪かったから……」

凛「ごめんかよちん……ごめん!」ユサユサ

花陽「私の体、ゆすらないでよぉ……」

63: 2015/06/17(水) 23:46:41.65 ID:rgBGc4vN.net
花陽「しゃべらないでって言ってるのに……」

花陽「動かないでって言ってるのに……」

花陽「どうして守れないの、凛ちゃん」

凛「だから、凛はペットやめるからぁ……」

花陽「しょうがない……ケージに入ってもらうね」

凛「え……ま、まってよ、かよちん。ケージって……」

花陽「ほら、用意したの。折り畳み式のケージ」

凛「ま、まさか凛を中に入れるわけじゃないよね……?」

花陽「え?凛ちゃんのおうちだよ?」

凛「…………え」

64: 2015/06/17(水) 23:49:19.17 ID:rgBGc4vN.net
凛「こんなのヤダ!かよちん!ごめんって!」

花陽「おとなしく入っててね」

凛「ムリだよ!こんなのムリ!」

花陽「凛ちゃんが悠々と入れる大きさだよ?」

凛「そういうことじゃないニャ!凛は人間で――」

花陽「えっと……ペットだよね?ヒトをやめたんだよね?」

凛「冗談!冗談なの!」

65: 2015/06/17(水) 23:52:59.83 ID:rgBGc4vN.net
―ガチャン

凛「…………」

凛(本当にケージの中に入れられたニャ…………)

凛「か、かよちん…………凛、まじめに勉強するからぁ……」

凛「かよちーん…………」



花陽「………………」カリカリ

花陽「……ちょっと休憩しようかな」

花陽「………………」チラッ



凛「………………」

66: 2015/06/17(水) 23:55:19.38 ID:rgBGc4vN.net
凛「だーしーてー!かーよーちーん!」ガタンガタン

花陽「凛ちゃん、静かにしてって言ってるでしょ」

凛「だ、だって…………こんなのって……」ガタン

花陽「暴れちゃダメだよ?」

凛「………………許してください」

花陽「………………」

凛「ごめんなさい、かよちん」

68: 2015/06/17(水) 23:58:24.61 ID:rgBGc4vN.net
凛(あれからずっと閉じ込められたまま…………)

凛(かよちんは……ずっと勉強してる…………)

凛(凛がペットにして、なんて言わなければ――いっしょに勉強できたのかな)



凛(………………)

凛(まずい……トイレに行きたくなってきたニャ……)

凛(ど、どうしよう…………かよちんに言うしかないよね……)

71: 2015/06/18(木) 00:00:43.93 ID:MJJ2zceT.net
凛「あ、あの……トイレに行かせてください……」

花陽「……トイレ?」

凛「う、うん……」

花陽「ええっと…………」

花陽「……それなら、ちゃんと用意してあるよ。足元にトイレシートが敷いてあるの」

凛「……ま、まさかここでするの?」

花陽「…………凛ちゃんは、ペットなんだよね?」

凛「も、もうペットはクビでいいです…………」

花陽「……凛ちゃんから言い出したのに」

72: 2015/06/18(木) 00:03:12.12 ID:MJJ2zceT.net
凛「…………ぐすっ……ごめん……ひぐっ……」

花陽「………………」

凛「……もう……イヤ……だよ……ぅう……」ポロポロ

花陽「………………」

凛「ごめんな……さい…………」ポロポロ

73: 2015/06/18(木) 00:06:45.28 ID:MJJ2zceT.net
花陽「………………」カシャン

凛「……っ……う……かよ……ちん?」

花陽「ケージから出て、凛ちゃん」

凛「…………」

花陽「……トイレに行っていいよ」

凛「………………うん」

74: 2015/06/18(木) 00:09:52.86 ID:MJJ2zceT.net
凛「ふぅ…………」

花陽「トイレがどこにあるか、わかった?」

凛「うん。もうかよちん家には何十回……ううん何百回も来てるから」

花陽「……そうだね」



花陽「凛ちゃん、私の横に座って」

凛「………………」

花陽「お願い、凛ちゃん」

凛「………………」

凛「………………」ポフッ

75: 2015/06/18(木) 00:11:37.51 ID:MJJ2zceT.net
花陽「………………」ギュー

凛「か、かよちん……?どしたのいきなり抱きついて……」

花陽「ごめんね……ごめんね凛ちゃん…………ヒドイことしてごめん……」

凛「………………かよちん」

花陽「ひぐ…………うぅ……ごめんね……りんちゃん……」

凛「な、泣かないでかよちん……悪いのは凛なの!」

花陽「りん……ちゃん……ぐすっ…………」

凛「ほら、泣かないで……凛は気にしてないよ」ギュー

76: 2015/06/18(木) 00:15:00.18 ID:MJJ2zceT.net
――――――――
―――――

花陽「――というわけだったの。ホントにごめんね……」

凛「そっか、真姫ちゃんが考えた作戦かぁ……」

花陽「うん……こうすれば凛も絶対あきらめるわ、って」

花陽「このケージも貸してくれて。本当は、作戦はまだまだあったんだけど――」

花陽「凛ちゃんが泣いちゃったのを見て、もうムリってなって…………」

凛「……やめてくれてありがとね」

花陽「凛ちゃんも、許してくれてありがと」

凛「………………」

77: 2015/06/18(木) 00:16:52.09 ID:MJJ2zceT.net
凛「もう、ペットにしてほしいなんて言わないニャ」

凛「かよちんを泣かせたくないもん」

花陽「………………」

花陽「そうだ、凛ちゃん。おなかすいてるでしょ?」

凛「うん。結局ネコ缶は食べなかったし……」

花陽「あ、あれは人用の普通のツナ缶なの」

凛「そうなの?」

花陽「凛ちゃんにペットフードなんて、食べさせられないよ……」

凛「えへへ!やっぱりかよちんは、とっても優しいニャ!」

花陽「そ、そんなことないと思うよ…………」

凛「ううん。かよちんは世界一やさしいよ!」

78: 2015/06/18(木) 00:18:17.92 ID:MJJ2zceT.net
~♪

花陽「――あ……ごめん、ちょっと電話に出るね」

凛「うん」

花陽「もしもし……」

真姫『あ、花陽?作戦はどこまでいった?』

花陽「えっと…………ごめん、途中でやめちゃった……」

花陽「せっかくいろいろ考えてくれて、ケージも貸してくれたのに……」

79: 2015/06/18(木) 00:20:21.51 ID:MJJ2zceT.net
真姫『…………それで、凛とはどうなの?』

花陽「うまくいったよ!」

真姫『そう……ならいいじゃない』

花陽「そうだね…………」

真姫『ええ…………それじゃあ切るわよ』

花陽「うん。ありがとう、真姫ちゃん」



真姫(やさしい花陽のことだから――)

真姫(そもそも最後までやるなんて思ってなかったのよね……)

80: 2015/06/18(木) 00:22:32.87 ID:MJJ2zceT.net
花陽「お昼ご飯、ラーメン作るね」

凛「ホント!?凛も手伝うニャ!」

花陽「ありがとう、凛ちゃん」



凛「……ねえ、かよちん」

花陽「なにかな?」

凛「食べ終わったら、一緒にテスト勉強してくれる?」

花陽「うん。もちろんだよ!」



そのあと、真姫ちゃんも呼んで三人で勉強したニャ。

凛にも勉強を教えてくれて――やっぱりかよちんって、とーってもやさしいの!

おわり

81: 2015/06/18(木) 00:23:11.04 ID:9GWoWvQo.net
ありがとう
本当にありがとう
本当にお疲れさま

引用元: 凛「凛をペットにしてほしいの!」