海未「困りましたね、暑くて寝れる気がしません」

海未「冷房をつけるにはまだ早いですし…」

海未「窓は網戸になっていますよね…」

海未「うーん、去年の今頃はどうやって寝ていたのでしょう…」

海未「とりあえず冷たいお茶でも飲んで体を冷やしましょう」

ｶﾞﾁｬｯ

海未（あ、冷蔵庫の冷気が気持ちいい）

ﾄｸﾄｸﾄｸﾄｸ…

海未「んっ…」ｺｸｯｺｸｯ…

海未「ふぅ…」

海未「少し落ち着きましたね」

海未ママ「あら、海未さんどうしたのですか？」

海未「お母様、実は暑くて中々寝つけなくて…」

海未ママ「最近暑いから大変ですよね」

海未ママ「まだ抱き枕は使っているのですか？」

海未「はい、なんだか抱いて寝ると凄く落ち着くんです…」

海未ママ「私も試してみたけどあれは良いものですね」

海未ママ「お父さんは気に入らないみたいだけど」

海未「それは嫉妬とかでは？」

海未ママ「あら、なんだか嬉しいわね」

海未ママ「今日は一緒のお布団に入ろうかしら」ﾌﾌﾌ…

海未（それはそれで恥ずかしがって嫌がりそうですね）

海未ママ「話しは逸れちゃいましたけど、抱き枕を抱いちゃうと熱がこもりそうだから遠慮したらどうかしら」

海未「そうですね、汗が移って毎日洗わなければいけませんし…」

海未ママ「それと掛け布団の代わりにタオルケットがありますから持っていっていいですよ」

海未「ありがとうございます」

海未ママ「じゃあ、お母さんもそろそろ寝るわね、おやすみなさい」

海未「はい、おやすみなさい」

海未「少し寂しいですが抱き枕をやめて掛け布団もタオルケットにして…」ｺﾞｿｺﾞｿ

海未「これでかなりスッキリしましたね」

海未「後は寝るだけです」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

海未「…」

海未（明日は早朝稽古にμ'sの一日練習がありますから早く寝ないと…）

海未「…」

…

海未「意識すればするほど眠れません…」

海未「普段私はどうやって寝ているんでしょうか」

海未「そういえば最近ことりから『寝る時とかに聞いてね♪』と何かしらのデータをスマホに入れてもらいましたね」

海未「所謂ヒーリングミュージックというやつだと思いますが横になって聞いてみましょう」

『ことりの耳かき♪』

海未「たぶんこのデータですね、それにしても耳かきとは？」

海未「一応イヤホンをして…と」

再生

ことり『あ、海未ちゃん！聞いてくれてありがとう♪』

ことり『ことりがたっぷり癒してあげるから明日にでも感想を聞かせてね』

海未（ん？やはり音楽ではないのですか？）

ことり『これはね、耳かきボイスっていうんだけど一度やってみたかったの』

海未（耳かきボイス…）

ことり『バイノーラル録音っていうんだけど耳元でリアルに囁いているみたいでしょ？』

海未（確かにすぐそこにことりがいるような気がしますね）

ことり『じゃあ今から海未ちゃんを骨抜きにします♪』

ことり『右耳からお掃除するから左耳のイヤホンを外して左を向いてね』

海未（こうでしょうか）ｺﾞﾛﾝ

ことり『ことりに膝枕をされているって思いながら聞いてね』

海未（ことりの膝枕…）

ことり『はい、お耳に綿棒入れるよー』

ｸﾞｸﾞｯ…ｿﾘｿﾘ

海未「んっ…！」

海未（なんですかコレ！本当に耳の中に綿棒が入ってるような…！）

ことり『お耳の中で綿棒回すよー』ｸﾙｸﾙｰ

ｿﾞﾘｿﾞﾘ…

海未「んあっ…！」

ことり『えへへ、気持ちいい？今度は綿棒じゃなく耳かきで…えいっ♪』ｽｯ

ｶﾘｶﾘ…

海未「ううっ…//」

ことり『耳かきしながら頭もなでなでしてあげるね』ｻﾜｻﾜ

海未（なんですか、一体どうなってるんですか！）ｱﾜﾜ…

ことり『仕上げは梵天だよー』

海未「ぼんてん？」

ことり『一応説明しておくと、耳かきの後ろについてるポンポンみたいな白い毛のことだよ』

海未「そういえばそんなのありま…」ｽﾎﾟｯ

海未「ふぁん…」

ことり『これ気持ちいいよね、今度実際にやらせてほしいかも』ｸﾘｸﾘ

海未「だ、ダメです…これ以上耐えられ…」

ことり『はい、おしまい♪最後は耳元で…』

ﾌｩｰｯ

海未「」ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ

海未「…」

ことり『はい、じゃあ反対のお耳を…』

海未「ダメです！」ﾊﾞｯ

海未「な、なんだか興奮して余計に眠れなくなってしまいました…」

海未「ことり式耳かき…実に凶悪です」

海未（今度お昼寝の時にゆっくり聞きましょう…）

海未「それにしてもどうしましょう、また体が火照ってしまいました…」

海未「なんとか気持ちを落ち着かせないと…」

海未「穂乃果に連絡をしてみましょうか」

海未「寝ているかもしれませんし一応メールを入れておきましょう」ﾋﾟﾋﾟｯ

ﾋｲﾀﾘｰﾐﾁﾀﾘｰｺｺﾛｰﾉｰﾅﾐｰｶﾞｰ♪

海未「おや、穂乃果から着信です」

海未「もしもし」

穂乃果『海未ちゃん！どうしたの？』

海未「良かった、まだ起きていたのですね」

穂乃果『まだ10時だよ？あっ、海未ちゃんいつも寝るの早いもんね』

海未「ええ、朝が早い分いつも早めに寝るのですが…今日は暑すぎて中々寝つけないのです」

穂乃果『へぇ、あんなに寝付きが良い海未ちゃんでも寝れないことなんてあるんだ』

穂乃果『でも分かるよ！最近暑いもんね、私もさっきこっそり冷房つけたら部屋に入ってきたお母さんに怒られちゃった』

海未「やっぱり冷房はまだ早いですよね…」

穂乃果『そうだ！海未ちゃん、今から海未ちゃん家にお泊まりに行ってもいい？』

海未「え？えええ！？」

穂乃果『ほら、二人なら起きててもお話し出来るし眠たくなったら一緒に寝れるし…』

海未「でも、もうこんな時間ですよ？」

穂乃果『ちょっと待ってて…』

ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ…ｵﾄｰｻｰﾝ!ｵｶｰｻｰﾝ!

…

ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ…

穂乃果『海未ちゃん家がいいならお父さんが送ってくれるって！』

海未「もう、本当にいつも急なんですから…」

海未「お母様に確認してきますのでまた連絡してもいいですか？」

穂乃果『うん！楽しみだね！そうだ、ことりちゃんも…』

海未「ほ、穂乃果、今日は穂乃果と二人がいいです…」

海未（あれを聞いた直後にことりとどんな顔をして会えば…）

穂乃果『お、もしかして海未ちゃん穂乃果に惚れてる？』

海未「馬鹿なこと言わないでください！また連絡します！」ﾋﾟｯ

海未「もう…//」

海未（しばらくことりには耳かきの件は聞いてないことにしましょう…）

海未「お母様起きてますか？」ｺﾝｺﾝ

…ﾝｯ…ﾝｯ……

海未（小さいですが返事が聞こえましたね）

海未「失礼します」ｶﾞﾗｯ

海未ママ「キャッ！」

海未「お母様…どうしたのですか寝巻きが乱れていますが…」

海未「って本当にお父様のお布団に入っていたのですか」

海未ママ「ななな何かしら？」ｶﾞﾊﾞｯ

海未（？）

海未「はい、今から穂乃果がお泊まりに来ると言ってるのですがその許可をいただきたく…」

海未ママ「うん！いいわよ！穂乃果ちゃんがきても私たちに挨拶は大丈夫だから！」

海未ママ「明日の朝御飯一緒に食べましょうって伝えておいてね！」

海未ママ「冷房も少しならつけていいから！」

海未「はい…ありがとうございます。おやすみなさい」ﾋﾟｼｬﾝｯ

海未（チラッと見えたお父様もパジャマが乱れていましたが二人とも何をしていたのでしょうか…）

海未（まぁ、暑いですし寝巻きも脱ぎたくなりますよね）

海未（とりあえず穂乃果に連絡しましょう）

…

穂乃果「うーみちゃん♪」

海未「穂乃果、来てくれてありがとうございます」

穂乃果「海未ちゃんの話しを聞いてたらなんだか穂乃果も寝れる自信がなくなっちゃって…」ｴﾍﾍ

穂乃果「でも海未ちゃんの部屋涼しいね！」

海未「はい、先ほどお母様から少しだけなら冷房をつけても良いと言われまして」

穂乃果「いいなー」

海未「せっかく来ていただきましたが、タイマー設定になっていますしお布団に入りませんか？」

穂乃果「うん！」

穂乃果「あー、お布団から海未ちゃんの匂いがする…」ｽﾝｽﾝ

海未「やめてください！変態さんですか！恥ずかしいです！」

穂乃果「ぐふふっ…よいではないか…」

海未「もう…」

穂乃果「ゴメンゴメン…」

穂乃果「でもね、穂乃果実は海未ちゃんが眠れない理由が何となく分かるんだ」

海未「え？」

海未「だから眠れないのは暑いからだと…」

穂乃果「それもあるかもしれないけど」

穂乃果「海未ちゃんはみんなと違ってダンスの練習以外にも作詞や絵里ちゃんと振付の指導、弓道とかお稽古もあるよね」

穂乃果「生徒会だって、学校の成績だって良いしすごいよね、穂乃果だったらそんなに一度に出来ないもん」

穂乃果「しかも海未ちゃん絶対弱音吐かないし」

海未「穂乃果…」

穂乃果「ことりちゃんだってずっと心配してたんだよ」

穂乃果「海未ちゃん無理してるんじゃないかって」

海未（それであの耳かきだったのですか…）

穂乃果「ずっと張りつめてて大変だったよね」

穂乃果「だからね、今日は穂乃果が癒してあげるよ？」ﾆｺｯ

海未「ズルイですよ、穂乃果もことりも」

海未「全く…見ていないようでしっかり私のことを見てくれているんですから」

海未「ありがとう…ございます」

穂乃果「ふふふっ…だから今夜は寝かせないよ！」ｶﾞﾊﾞｯ!

海未「い、癒してくれるのではないのですか！」

穂乃果「えーい！」ｷﾞｭｯ

海未「！」

海未「…」

穂乃果「暑苦しかったら言ってね？」

海未「いえ、凄く気持ちが良いです…」

穂乃果「穂乃果も凄く落ち着く…」

穂乃果「おやすみ、海未ちゃん」

海未「はい、おやすみなさい…」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ…

穂乃果「ん…っ」

海未「あ、起きましたか？」

穂乃果「…んみちゃんおはよう…」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

海未「ちゃんと起きなさい」ﾊﾟｼｯ

穂乃果「はうっ」

穂乃果「あれ？海未ちゃん…パジャマじゃない？」

海未「朝のお稽古がありましたからね」

穂乃果「ほえー、やっぱり凄いなぁ」

海未「穂乃果の言う通り最近色々と張り切り過ぎていたのかもしれません」

海未「今朝、目が覚めてから寝ている貴方を見て思ったんです」

穂乃果「穂乃果を見ながら？」

海未「はい、昨日穂乃果が私は色んなことを頑張っていると言ってくれて…」

海未「私を認めてくれていると思って凄く嬉しくて…安心しました」

海未「でも当たり前なんですよね、私だけじゃない。みんながみんなやるべきことを必氏でやっているんですから」

海未「穂乃果だって何時でも私に甘えてくれていいんですよ？」

穂乃果「穂乃果は昨日海未ちゃん成分たっぷり補給したから大丈夫だよ！」

海未「いつもなら呆れるところですが、私も穂乃果分をたくさん頂いたので言いたいことは分かりますよ」

穂乃果「ねぇ、今日はことりちゃんの家でお泊まりしない？」

海未「良いですね、今日は二人でことりを癒してあげましょう」

穂乃果「三人でお泊まりなんていつ以来だろう…」ﾜｸﾜｸ

海未「でもまずは朝御飯をしっかりと食べて練習頑張りましょう！」

穂乃果「うん！海未ちゃん家の料理美味しいんだよねー！」


おしまい

乙

おつおつ！

おつ！