1: 2023/07/08(土) 19:27:19.74 ID:xtg0knIS.net
かすみ「…って歌詞があるけどさ、どれくらい強いの?」

璃奈「暴風雨の中でもへっちゃら」

しずく「そんなに?」

かすみ「そんなこと言って~誇張してるんじゃないの~?」

璃奈「技術屋は噓をつかない、嘘をつくのは営業」

しずく「多分営業の人にも言い分はあるんじゃないかな…わからないけど」

2: 2023/07/08(土) 19:29:04.29 ID:xtg0knIS.net
~中庭にて~

栞子「む、かすみさんにしずくさん、それに璃奈さんも…お三方集まって何をされてるんでしょう」

かすみ「しず子~、準備オッケ~?」

しずく「もう少し…今スクールアイドル力を高めてるから…」

璃奈「璃奈ちゃんボード『ファイト!』」

栞子「みなさん、自主練ですか?」

かすみ「あ、しお子! 今ね、りな子のアナログハートの耐久テストしてるの!」

栞子「はぁ」

3: 2023/07/08(土) 19:30:34.28 ID:xtg0knIS.net
かすみ「ところでしお子、傘持ってる?」

栞子「え? いえ…今日は一日晴天の予報でしたし…」

かすみ「じゃあ貸してあげるよ、入って入って!」バッ

栞子「えっ、えっ?」

しずく「大丈夫…私は大女優…」

璃奈「今私たちすごく変な目で見られてる気がする」

5: 2023/07/08(土) 19:32:35.33 ID:xtg0knIS.net
しずく「よし…かすみさん、音楽をお願い」

かすみ「オッケー、りな子も準備いい?」

璃奈「璃奈ちゃんボード『どんと来い!』」

栞子「一体何が始まるんでしょう…」

かすみ「じゃあ行くよ、ミュージックスタート!」ポチッ

6: 2023/07/08(土) 19:33:41.11 ID:xtg0knIS.net
かすみんスマホ『~♪』

栞子「これは…『Solitude Rain』?」

しずく『雷鳴が胸に鳴り響いて──』

「ねぇ、なんか雲すごくない?」「ホントだ、ひと雨降りそうだね」

栞子「雲…雨? おかしいです、さっきまで雲一つない晴天だったはず…」ポツ…ポツ…

かすみ「驚くのはまだ早いよ! こっからどんどん凄くなるんだから!」ポタポタポタ…

栞子「驚くも何も…な、なんだか雨がどんどん強くなっていっているような…」サーーッ

7: 2023/07/08(土) 19:35:26.82 ID:xtg0knIS.net
しずく『天から舞い落ちる雨粒が~♪』ザーッ!

かすみ「イントロ明けでもうこの雨量! しず子、演劇祭のときから腕を上げたね!」ザーーッ!!

栞子「この雨はしずくさんによるものなんですか!?」ザーーーッ!!!

かすみ「あーそっか、あのときしお子いなかったもんね」ザーーーーッ!!!!

栞子「それに璃奈さんは大丈夫なんですか!? この雨の中傘もささずに!」ザーーーーーッ!!!!!

かすみ「だから言ってるじゃん、アナログハートの耐久テストだって」ザーーーーーーッ!!!!!!

栞子「だからなんなんですそれ!」ザーーーーーーーッ!!!!!!!

8: 2023/07/08(土) 19:38:03.40 ID:xtg0knIS.net
しずく『胸の奥 変わらない~♪』ザァーッ!

栞子(雨の勢いがとどまるところを知らない…雨音のせいですぐ近くのスマートフォンから流れている曲すら聴こえません…)ザァーーッ!!

栞子(…ですが、不思議です。まるで心に響いてくるかのように、しずくさんの歌声だけははっきりと聴こえる──)ザァーーーッ!!!

しずく(さっきから璃奈さんの表情が全く変わってない…私もずいぶん成長したと思ってたけど、まだまだみたい)ザァーーーーッ!!!!

しずく(もうすぐサビが来る…ここが潮時かな)ザッ…

栞子「…? 雨音が…」

しずく『目覚めてく 強く!』バッ!

栞子「!?」

10: 2023/07/08(土) 19:41:03.12 ID:xtg0knIS.net
栞子「なっ、あ、雨粒が止まった…!?」

かすみ「どう? これがしず子の『Solitude Rain』の神髄だよ!」

璃奈「あれ舞台演出じゃなかったんだ」

遠くからの声「なんかクロックアップみたいになってます!!!!!!!」

栞子「これ、本当にどうなっているんでしょう…スクールアイドル力というのは物理法則をも超越するのですか…?」

12: 2023/07/08(土) 19:43:38.72 ID:xtg0knIS.net
~屋根のある場所~

しずく「ふぅ…」

かすみ「お疲れ様、しず子!」

しずく「ありがと、かすみさん」

栞子「璃奈さん大丈夫ですか? 服までびしょ濡れです」フキフキ

璃奈「平気だよ、ありがとう栞子ちゃん」

栞子「しかし、なぜしずくさんは全く濡れていないのですか? あれだけの雨の中…」

しずく「やだなぁ栞子さん、自分の領域でダメージを受ける術者なんて三流だよ?」フフッ

栞子「はぁ…」

13: 2023/07/08(土) 19:45:29.82 ID:xtg0knIS.net
かすみ「あそうだ! りな子、アナログハートの調子は?」

しずく「私の『Solitude Rain』も全力だったよ、耐えられた?」

璃奈「ふっふっふ。璃奈ちゃんボード『余裕』」
从[´・֊・]从

かすみ「むぅ、あの雨を直に受けてもまだ涼しい顔を…」

しずく「うーん、私もまだまだかぁ…」

璃奈「攻者が防者を破るには3倍の戦力が必要と言われてる。単純なパワーは私のアナログハートと互角かそれ以上だったと思うよ」

しずく「ありがとう璃奈さん、でも精進が必要なのは本当だから」

栞子「なんの話なのでしょう…」

14: 2023/07/08(土) 19:46:47.69 ID:xtg0knIS.net
サーーーーー……

かすみ「しっかし、雨止まないねー」

しずく「最後まで歌わないと雨止まないんだよね…」

栞子「このままではみなさんが濡れて帰ることになってしまいます…」

?「お任せあれっ!」タッ!

璃奈「この声は…」

かすみ「あれ、急に雨が弱まった…?」ピチョン ピチョン

栞子「! 見てください、分厚い雲の隙間から太陽が!」

15: 2023/07/08(土) 19:47:54.11 ID:xtg0knIS.net
愛『朝が来て~♪』パァァァァ…!

かすしずりなしお「愛 さん/先輩 …!」

16: 2023/07/08(土) 19:49:45.75 ID:xtg0knIS.net
ニジダー キレイー

愛「じゃ、愛さん助っ人行ってくるから~!」タッタッタッ

璃奈「ばいばーい」

かすみ「さて! 雨も上がったことだし、次は風だね!」

栞子「まだなにかするんですか?」

しずく「風、といっても…私たちの中で風を吹かせられる人なんていたっけ?」

璃奈「うーん…」

18: 2023/07/08(土) 19:54:33.64 ID:xtg0knIS.net
かすみ「あそうだ、しお子『決意の光』で風がどうとかって歌ってなかった?」

栞子「一応"僅かでも風を起こして"というフレーズはありますが…」(ラスサビ前)

璃奈「丁度いい、それで行こう」

栞子「ええっ、これでいいんですか?」

しずく「大丈夫だよ栞子さん、大事なのは歌詞じゃなくてイメージ力、それとスクールアイドル力だから!」

栞子「そのスクールアイドル力というのはなんなのですか…?」

19: 2023/07/08(土) 19:56:13.14 ID:xtg0knIS.net
璃奈「もちろん、栞子ちゃんが嫌なら無理強いはしない」

栞子(…正直、できるか不安です。先ほどのしずくさんや愛さんのような力が、私にあるとは思えない…)

栞子(ですが、このまま立ち止まっているだけでいいのでしょうか? 適性を恐れて踏み出せなかった、あの頃と同じように──)

かすみ「しお子?」

栞子「…やります、やらせてください! 私はもう、自分を縛りつけるようなことはしません!」

しずく「栞子さん…!」

璃奈「その調子! 璃奈ちゃんボード『ファイト!』」

20: 2023/07/08(土) 19:57:32.78 ID:xtg0knIS.net
かすみんスマホ『~♪』

栞子『私が望む遥かな世界 どこにあるんだろう~♪』

栞子(スクールアイドル力、というのはよくわかりませんが…集中しイメージを練るのは得意です。とにかくやってみましょう)

(中略)

栞子『一歩前に踏み出してみれば明日は変わる~♪』

しずく「そろそろだね…」

栞子(風…私の背中を押してくれたみなさんと同じように、私にも見ていてくれるみなさんの背を押す風を起こせたら…)

21: 2023/07/08(土) 20:00:10.70 ID:xtg0knIS.net
栞子『ひらひらり空を舞う蝶のように 僅かでも風を起こして~♪』ビュウッ!

かすみ「うわっ! 歌詞のわりに強い風!」

しずく「栞子さん、いつの間にこんな力を!?」

璃奈(でも、これじゃまだまだ)

栞子(…この程度の風では、璃奈さんのアナログハートに立ち向かう資格すらありません…)

栞子(こんなものが私の限界なのですか…? 私の適性は…)

栞子(限界…適性…? この想いが…姉さんから受け継ぎ、みなさんと育んだこの想いが…そんな言葉で定義されていいはずがありません…!)

栞子(私は、もっと…もっと…!)

22: 2023/07/08(土) 20:00:58.92 ID:xtg0knIS.net
栞子『輝ける!』

璃奈「…!」

24: 2023/07/08(土) 20:12:06.28 ID:xtg0knIS.net
栞子『髪飾り強く結び直して!』ビュオオオオッ!

かすみ「な、なに!? さっきと全然違う威力の風!」

しずく「吹き飛ばされそう…!」

栞子『翡翠色の光放って!』ビュオオオオオオッ!

スパーン! ズシャァァ!

かすみ「ひぃっ! 木の枝が!」

しずく「これって、かまいたち…?」

25: 2023/07/08(土) 20:16:13.64 ID:xtg0knIS.net
かすみ「しかし、この風の中でも涼しい顔のりな子は流石だね…!」

しずく「いや、よく見てかすみさん!」

シュッ! シュゥ! スパッ!

しずく「かまいたちで璃奈さんの服やボードがどんどん傷付いていってる!」

かすみ「ホ、ホントだ! まだりな子自身にダメージはないみたいだけど…」

栞子(このまま続けていれば、いずれ璃奈さんに当たってしまいます…!)

璃奈ちゃんボード『大丈夫』

26: 2023/07/08(土) 20:18:04.51 ID:xtg0knIS.net
栞子「…!」

璃奈ちゃんボード『私は大丈夫だから、栞子ちゃんの全力をぶつけてほしい』

栞子(璃奈さん…)

栞子(…ここまで言われて、手を抜く方が失礼というものでしょう)ザッ

栞子『そうここから!』

栞子(私の全力、受け止めてください! 璃奈さん!)

栞子『輝き紡いでゆけ!』

28: 2023/07/08(土) 20:27:04.19 ID:xtg0knIS.net
~部室~

かすみ「さぁりな子、あの二人の力を受けてもアナログハートを歌い切れるかな?」

璃奈「頑張る! 璃奈ちゃんボード『きりりっ』」

しずく「楽しみだね、栞子さん!」

栞子「どういったモチベーションで楽しめばいいのでしょう…」

29: 2023/07/08(土) 20:30:42.11 ID:xtg0knIS.net
かすみんスマホ『~♪』

璃奈『ピピピピピピ ピポパポ♪ アナログハー……』

かすみ「…ハ?」

しずく「ハ…?」

栞子「璃奈さん、いったい…」

璃奈「ハ…ハ…は……」

30: 2023/07/08(土) 20:31:28.95 ID:xtg0knIS.net
璃奈「はぇっくしゅ!!!」

31: 2023/07/08(土) 20:37:31.02 ID:xtg0knIS.net
果林「…で、風邪をひいたと」

璃奈「ハートは強くても、身体はついてこれなかったみたい…」

栞子「私がついていながらこのような事態に…本当に申し訳ありません…」

しずく「い、一応言い出しっぺはかすみさんだよ?」

かすみ「ちょ、しず子もノリノリだったじゃん!?」

愛「りなりー大丈夫!? 梅干し巻く!?」

璃奈「愛さん…混ざってる…」

32: 2023/07/08(土) 20:40:52.47 ID:xtg0knIS.net
終わりです
ニジガク一年生、LOVE

33: 2023/07/08(土) 20:41:30.77 ID:7UBAzK97.net
かわいい

34: 2023/07/08(土) 21:01:35.66 ID:mkirEfWp.net
面白かった
よくわからんけどなんか熱い感じ

引用元: 璃奈「雨にも風にも強いんだ アナログハート」