1: 2019/04/28(日) 23:33:37.463 ID:XwPQ+1Ad0.net
────────

上条「遅ぇんだよっ!!」ソゲブッ

エイワス『全く、こんな雑兵ごときを相手せねばならんとは』バサッ


いくつもの、世界を見た。


火野「ヒッヒヒッヒッ…エンゼルさまは…誰にも止められないんだッ!!」グサッ

垣根「レベル5を、あまり甘く見るんじゃない」パキパキパキ


いくつもの、終わりを見た。


アックア「そんな優先で大丈夫であるか?」ブンッ

一方通行「出ろ、クリファパズル545」パンッ


いくつもの、絶望を見た。


心に形などはないが、それが明確に壊れていくのをテッラは如実に感じていた。

その中でも男は、少しずつ、本当に少しずつ、思考を重ねていった。

当然、パッと完璧な勝利方法など浮かぶことはなかった。

しかし、そこに至るまでの積み重ねを、一つ一つ、血まみれの手で築いていく。

世界にたった一人でも。たとえそれが、神の気まぐれで意図も簡単に壊されてしまうものだとしても。
それでもこの魔術師は、そんな幻想を守りたかったのだ。

次の相手>>4
とある魔術の禁書目録 5巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
4: 2019/04/28(日) 23:34:54.488 ID:ZNYep7qJ0.net
アレイスター

8: 2019/04/28(日) 23:40:51.833 ID:XwPQ+1Ad0.net
──────────

テッラはそこで目を覚ました。

アレイスター「理解はしたかね」

テッラ「………」

アレイスター「君は、勝てない。主人公にはなれない。あの右手の少年のようになど」

テッラ「…わかっています。ですが」

テッラ「私にも、意地があります」

アレイスター「魔術師故か。酷なものだな」

テッラ「ご託はもう結構です。行きますよ」

9: 2019/04/28(日) 23:52:09.419 ID:XwPQ+1Ad0.net
アレイスターの指が数字を刻む。

テッラ(霊的蹴たぐり)

テッラ「優先する。──魔術を下位に、小麦粉を上位に」ブンッ

具現化した拳銃から放たれる弾丸を打ち消していく。

幾千億の時を刻んだテッラは理解している。かの最悪の魔術師の技の数々であっても。

アレイスター「これは君のイメージが作り出した幻想の一撃。わかっているな。弾丸を『優先』したら君はとっくに氏んでいた。だが」

アレイスター「飛沫」パンッ

アレイスターは己の魔術に限り幸運と不幸、運命そのものを操れる。それは、100年前に作られていれば、友も家族も何も失わず、たった一人の赤子の命を救うことができた、不器用で優しい父親の術式。

テッラ「優先する。──外壁を下位に、人体を上位に」スッ

しかしそれも正確な『優先』で回避していく。今のテッラにはゲームのレベリング程度の遊戯に過ぎない。

10: 2019/04/29(月) 00:05:38.037 ID:upjvrP8k0.net
さらにアレイスターの指が数字を刻む。
13、5、32。続けて、28、4、29。

テッラ(レイピア、それに衝撃の杖『ブラスティングロッド』)

アレイスター「衝撃の杖…技の射程と威力を、君の想像の10倍にする」

テッラ「優先する。──魔術を下位に、小麦粉を上位に」ブンッ

パリーン

アレイスター「うぐっ…」

白い小麦粉が、幻想の刀身ごとアレイスターの体を横殴りにする。

しかし同時に、いつのまにかテッラの脇腹に黒い短剣が突き刺さっていた。

アレイスター「業(カルマ)」パチン

テッラ「…このアミュレットは風を司るものではない。退け誘導する守護の象徴。我が肉体は罪を持たぬ天使のアバターなり。不遜なる呪詛の象徴はどこへなりとも消えよ」パンッ

しかし攻撃してはいけない罪の象徴も、正しく対処し送り返す。

アレイスター「くっ…」

11: 2019/04/29(月) 00:14:29.844 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「ふざけているのですか」

アレイスター「君の軌跡を確かめているだけだ。ここからは真面目にやるとも」

ここまで無傷なだけでもテッラとしては称賛ものだが、安価で数億回ボコられた緑の魔術師はこんなものでは止まらない。

アレイスター「君はA.A.Aというものを知っているか」ガシャン

虚空より無数の兵器が飛来し、アレイスターが文を紡ぐと瞬く間に砲身が完成する。

テッラ(えぇ…)

アレイスター「──全ての男女は星である」ゴゴゴゴ

テッラ(知っていますとも)

12: 2019/04/29(月) 00:25:20.547 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「優先する。──地盤を下位に、A.A.Aを上位に!」

アレイスター「っ!!」ガコン

テッラ「当たれば魔神であろうとも必殺の兵器、ならば足場を破壊するまでです」

A.A.Aの群れと共にアレイスターの落下が始まる。

アレイスター「だが自由落下などで私を頃すことなどできはしない!」

即座に文を紡ぎ宙に留まる。

アレイスター「さてどうすr」スパーン

突如ギロチンが振り下ろされ、かの魔術師の胴体が切断される。

テッラ「自由落下など空を飛べる魔術師に効くはずがありません。私が欲しかったのは、あなたの目を眩ます隙と移動時間」

テッラ「床、壁、大気、そして小麦粉…『優先』する隙さえ作ることができれば、素の実力差などは関係ないのですよ」スタッ

テッラ「私の術式は、強さの優先順位そのものを入れ換えるものですから」

アレイスター「」ドサッ

13: 2019/04/29(月) 00:27:59.604 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「今更アレイスターごときで左方のテッラは止まりませんよ」

テッラ「さて、次の相手は>>15です」


アレイスター(……ウェストコットの半不氏術式と可能性の分化については黙っておいた方が良さそうだな、空気的に)

16: 2019/04/29(月) 00:38:55.250 ID:upjvrP8k0.net
ダイアン「クロウリーの氏体が転がっている…?まさか、あなたが…?」

テッラ「えぇ、えぇそうですこの左方のテッラですねー」

アレイスター(起き上がるタイミング逃したわ…これも黄金の呪いか…)

ダイアン「へぇ…面白いじゃない」

ふわふわドレスの少女は黒い箱をテッラに向ける。

テッラ(正直経験がものを言わない運ゲーは苦手なんですがねー)

テッラ(ふっ…いいでしょう、かかって来なさい、『黄金』の魔術師)

ダイアン「いっくわよぉぉぉぉ!!!!左方のテッラぁぁああああ!!!!」

カッ

少女の黒い箱が光を放つ。
自己情報無限循環霊装『アーキタイププロセッサー』。この術式は、ダイアン本人にも何が起こるのかわからない、そんな術式だ。
よって、

何が起きるか>>18

18: 2019/04/29(月) 00:44:18.673 ID:N+dvvwQnd.net
テッラが自動的に負ける

19: 2019/04/29(月) 00:47:25.056 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「うっ…!?く…意識が…」ドサッ

ダイアン「まあこんなところかしら」

アレイスター「チート乙」

ダイアン「あら、まだ生きてるんじゃない」

────────

20: 2019/04/29(月) 00:49:27.394 ID:upjvrP8k0.net
──────────
テッラ「ハッ⋯⋯!?」

テッラはそこで目を覚ました。

テッラ「これは酷いですねー」

テッラ「私が鍛えたかどうか関係ないとは…どうするのが正解だったのでしょうか」

テッラ「気を取り直して次に行きましょうかねー」

次の相手>>22

22: 2019/04/29(月) 00:51:55.065 ID:xyXtHiLw0.net
警策看取

23: 2019/04/29(月) 01:05:11.160 ID:upjvrP8k0.net
警策看取「初めまして、左方のテッラ」

テッラ「えぇ初めましてですねー」

テッラ(本当にまだ『一度も』会ったことがない相手がいたとは…)

看取「早速だけどここで氏んでもらうわ」

テッラ「まったく初対面でこれですからこの世界も困ったものですねー」

テッラ「優先する。──人体を下位に、小麦粉を上位に」ブンッ

バシャッ

テッラ「な…水…!?」

弾けた液体が再び少女の姿を象る。
ただし、その細い腕をムチのようにしならせて。

テッラ「く…優先する。──純水を下位に、小麦粉を上位に」ブンッ

カキーン

テッラ「な…」スパーン

ギロチンをものともしなかった腕は、その勢いを殺さずテッラの体を両断した。

看取「あー…なるほど、そういう能力か」

看取「私は扱うのはただの水じゃないのよ。これはね、液体金属」

しかしその助言は男には届かない。

24: 2019/04/29(月) 01:08:03.497 ID:upjvrP8k0.net
──────────

テッラ「ハッ⋯⋯!?」

テッラはそこで目を覚ました。

テッラ「まったく、まだ何度戦っても勝てるとは限らない相手もいるというのに…私の知らない相手もまだまだいるようですねー、世界ってヤツは」

テッラ「さて、今更こんなものではめげませんよ、次へ行きましょう」

次の相手>>26

26: 2019/04/29(月) 01:09:07.988 ID:xyXtHiLw0.net
ステファニー=ゴージャスパレス

27: 2019/04/29(月) 01:19:35.117 ID:upjvrP8k0.net
ステファニー「あなたが左方のテッラで間違いないですかー?」

テッラ「えぇ左方のテッラですねー」

テッラ(誰ですかこいつ)

ステファニー「それじゃこいつでぱーッと蜂の巣になっちゃってくださいね」ガシャン

テッラ「何というわかりやすい展開と武器…」

テッラ「優先す──」

ステファニー「」ダッダッ

金髪の美女は銃器を構えテッラの方へ駆ける。

テッラ(ん…?そのまま撃ってこない?)

テッラ(そうかなるほど)

テッラ「優先する。──銃身を下位に、人体を上位に」

ステファニー「何ぶつぶつ言ってんですか?」ダダダダダダ

テッラ「ごっ…がああああああ!?」ドサッ

ステファニー「私が持ってるのは軽機関散弾銃、近距離用の銃器ですよ」

ステファニー「だって遠くから狙い定めるより近づいてパーッとやった方が楽だし早いじゃないですか」

29: 2019/04/29(月) 01:22:55.041 ID:upjvrP8k0.net
──────────

テッラ「ハッ⋯⋯!?」

テッラはそこで目を覚ました。

テッラ「初見頃し」

テッラ「いやー全く誰ですかあいつ…ある程度私の氏後を調べたうえで私が知らないということは、…割と脇役の方ですかねー」

テッラ「さて、そんな連中に連敗している主要人物左方のテッラではありません。さっさと次へ行きましょう」

次の相手>>30

30: 2019/04/29(月) 01:23:11.376 ID:cYxdzDAV0.net
姫神

32: 2019/04/29(月) 01:30:11.321 ID:upjvrP8k0.net
姫神「あなた。誰」

テッラ「……」ブンッ

ゴンッ

姫神「うっ…」ドサッ

テッラ「……」

テッラ「……いや、いやいや手応えがなさすぎでしょう明らかに一般人じゃないですか」

姫神「わ…私。には。『吸血頃し』という力が…」ヨロヨロ

テッラ「何か知りませんが確実に役に立ってないように見えるんですがねー、それ」

姫神「こ…今後。新約最新刊では。あの悪魔を越える。吸血鬼が出るから。…私の。独壇場」ドサッ

テッラ「それは私が復活するくらいありえませんねー」

33: 2019/04/29(月) 01:31:59.602 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「肩慣らしにもなりませんが、とりあえず連敗はストップしましたねー」

テッラ「この調子で全ての禁書キャラに敗北の歴史を刻んであげましょう」

次の相手>>35

35: 2019/04/29(月) 01:32:37.553 ID:N+dvvwQnd.net
軍覇

37: 2019/04/29(月) 01:41:30.256 ID:upjvrP8k0.net
軍覇「ん…?お前は一体誰なんだ?」

テッラ「それはこっちの台詞なんですがねー、私は左方のテッラ、神の右席の魔術師ですねー」

軍覇「魔術…?まぁいいや。俺は削板軍覇、学園都市の誇るレベル5の第七位、ナンバーセブンの削板軍覇とは俺のことだー!」バンッ

テッラ「れ…レベル5、ですって…?」

軍覇「ふっ、魔術とかいうよくわからんこと言う割にはこの肩書きの凄さがわかるらしいな!」

テッラ「えぇ…わかりますとも」

テッラ(1~4位のレベル5全員と戦ったことがあるのですから…)

テッラ「そんな相手なら情けは無用ですねー、それではいk」ブーッ

軍覇「すいませんオナラ出ましたー!」

テッラ「もう本当にレベル5なんですかこのh」

軍覇「すごいパーンチ」ゴッ

テッラ「うわらば!?」ガシャーン

38: 2019/04/29(月) 01:55:25.187 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「うっ…この力…は…」ヨロヨロ

軍覇「説明しよう!」

テッラ「結構です!食らって覚えた方が早い気がする!」

軍覇「ほう…?なんだお前、見た目の割に根性あるじゃねぇか」

テッラ(当然です。これまでの無限地獄を思えばこんなものなど…)

テッラ「いきますよ…優先する。──人体を下位に、小麦粉を上位に」ブンッ

軍覇「すごいガード!」バチーン

突如背中から赤、青、黄、3色の爆発が巻き起こり、軍覇の体を包み込む。

テッラ「くっ…刃が通らない…!?」

軍覇「どっこいしょー」ボコッ

テッラ「ぐはっ…」ドサッ

軍覇「どうした?もう終わりなのか」

テッラ「げふっ…っ…」

テッラ「まだ…終わってなどいません…」ザッ

軍覇「体の方は無理そうだけどな…やっぱ根性あるな、お前」

テッラ「私は、『あの世界』で、生きて氏ぬ。だからここで、立ち止まっている暇なd」

軍覇「すごいパーンチ」ゴッ

テッラ「そのまぬけな技では負けたくびぶるちっ!!」ガシャーン

軍覇「結局、魔術ってのは何なんだ…?」

原谷「アンタの能力よりはちゃんとした仕組みがありそうだけどな」

39: 2019/04/29(月) 02:01:05.534 ID:upjvrP8k0.net
────────

カエル医者「君もあの少年並みにここが好きなんだね?」

テッラ「好きでここに来ているわけではありませんがねー」


テッラ「さて、レベル5と言ってはいましたがあの意味不明さや不可思議な爆発…同じ力なのかはわかり兼ねますが見覚えはありますねー」

テッラ「ともあれ気を取り直して次へ行きましょう」

次の相手>>41

41: 2019/04/29(月) 02:05:40.230 ID:qwKsyEFe0.net
ラストオーダー

44: 2019/04/29(月) 02:16:19.617 ID:upjvrP8k0.net
打ち止め「あなたが左方のテッラなの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり!」

テッラ「ほう…よくご存知ですねー、とテッラはテッラは感心してみます」

打ち止め「MNW(ミサカネットワーク)で話題になってるの、神の右席最弱、ってミサカはミサk」

テッラ「とりあえずあなたを頃します、ってテッラはテッラは左の小麦粉を握りしめます!!」グッ

テッラ「優先する。──人体を下位に、小麦粉を上位に!」ブンッ

キーン

一方通行「何してンだオマエ」

テッラ「な…第一位…ですって?一体そのアホ毛とどんな関係が」

打ち止め「アホ毛じゃないもんっ!ってミサカはミサk」

一方通行「うるせェとりあえず向こう行ってろ」

打ち止め「悪いことしちゃダメだよ?ってミサカはミサカは念を押してみる」

一方通行「心配すンな、すぐ終わる」

46: 2019/04/29(月) 02:30:44.453 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「その優しさはどこからくるものなんでしょうかねー」

一方通行「うるせェよ」ピッ

電極のスイッチを入れ、白い怪物が動く。

テッラ(彼の基本能力は、ベクトル操作やその応用の自動反射)

テッラ「優先する。──床を下位に、人体を上位に」スッ

緑の男の体が地面に溶け込んでいく。
ただ無策に突っ込みやられるテッラの時代は終わったのだ。

一方通行「チッ」バキバキバキ

相手を掴み損ねはしたが所在は見えている。そのまま地面を粉砕すればいい。
しかし、

一方通行(いねェだと…?破壊に合わせて別の優先を使って逃げたのか?)


テッラ(……よし、こんなものですかねー)

ザッザッザッ

テッラ「行きますよ第一位!優先する。──人体を下位に、小麦粉を上位に!」ブンッ

一方通行「何度やっても同じだバカ」キーン

魔術への半端な反射を受けた小麦粉が周囲一帯を覆う。

テッラ「ふん」ボッ

一方通行(ライター?…!まさか)

テッラ「粉塵爆発」

ドカーン

47: 2019/04/29(月) 02:35:51.704 ID:upjvrP8k0.net
一方通行(チッ…爆発の火力そのものはどォでもいい、だが酸素を失うわけにゃいかねェ)

一方通行(まァ風をベクトルを操作するだけだが…)

テッラ「優先する。──酸素を下位に、他の大気を上位に」

一方通行(!?何だ…辺りの空気が、重い…!?)

一方通行(く…そォいう…こと…か…)ドサッ

テッラ「ふぅ…全く、面倒くさい能力ですねー」

49: 2019/04/29(月) 02:54:06.187 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「すみませんね…私は、もう負けるわけにはいかないのですよ。何があっても、どんなことがあっても」ザッ

強敵を撃破したテッラは、歩を進める。

その、
直後。

一方通行「よォ」

テッラ「!?」

テッラ「優先する。──人体を下位に、小麦粉を上位に!」ブンッ

キーン

テッラ「くっ…一体、何故…」

一方通行「悪ィな、正直オマエを完全に舐めていた」

…そういえば、先の爆発で散っていた瓦礫や塵は、どこへ消えた?

一方通行「オレ『一人』なら、今ので勝負あったかもしれねェ」

クリファパズル『にひ。にひひひひひ』

テッラ「な…悪魔だと…?バカな!それができるにしても、あなたは意識を失っていたはず…!」

クリファパズル『ご主人様は「最初から一人」だなんて言ってませんけどねぇ』

テッラ「!?」

総体『全く…世話のやける/return』

一方通行「そォいうことだ、オレにも負けられねェ理由ってのがあるンだよ」ツー

魔力の精製反動によってその白い額が赤く染まる。しかし怪物は倒れない。
それが意味のある痛みなら、耐えられる。

バサッ

背中から、黒でも白でも赤でもない、深淵の向こうにある叡知。青く青ざめた白金の翼が現出する。
それは、魔術サイドの人間が見たらこう呼ぶかもしれない。三位一体、あるいは神の子と。
それは、科学サイドの人間が見たらこう呼ぶかもしれない。ドラゴン(エイワス)、あるいはレベル6と。

テッラ「く…」

その翼から槍の一撃が放たれ、男の体を粉砕した。

50: 2019/04/29(月) 03:00:29.051 ID:upjvrP8k0.net
──────────

テッラ「ハッ⋯⋯!?」

テッラはそこで目を覚ました。

テッラ「全く…アレは初見ではないはずなのに、対処法がまるで浮かびませんねー」

テッラ「調べた限りあの魔神の無限分割を無効にして破壊する能力も備わっているようですし…アレを撃破できるものなど世界にあるのでしょうか」

テッラ「さて…次の相手と戦いましょうかね」

次の相手>>52

52: 2019/04/29(月) 03:06:12.348 ID:C5/fGa2zd.net
コロンゾン

53: 2019/04/29(月) 03:12:04.074 ID:upjvrP8k0.net
テッラ「猿芝居は終わりです、コロンゾン。ローラ=スチュアートなんて『最初からいなかった』」

コロンゾン「第一声がそれ?一体何度この世界をループしたのかしら」

テッラ「うるさいですねー、私は私の信じる道を行きます」

コロンゾン「それが破滅の道でありても?」

テッラ「構いません。何億回でも何兆回でも繰り返してみせます」

コロンゾン「なら存分に氏に続けろ、俗物」バサッ

54: 2019/04/29(月) 03:20:18.679 ID:upjvrP8k0.net
ざわり、と大悪魔の長い金髪が空気を引き裂いた。魔術的な意味を持つ動作でもって印をつけた箇所を一筆書きで繋いでいく。

テッラ(コロンゾンの魔術には、いくつかの特徴があった)

そして紡ぐ。古きエノクの言葉を。
髪に浮かぶ禍々しき顔は文字を、美しい面を彩る唇からは肉声を。

コロンゾン「第六の召喚文、すなわちRZIONR、火の中の火よ。同色のタブレットを司る言葉の羅列に従い我が前に不純なき力を表せ!!」

虚空から炎が吹き荒れ、ベージュの修道服を纏う美女の右掌へと集束されていく。

テッラ「優先する。──地面を下位に、人体を上位に」スッ

コロンゾン「その程度で深淵の先の力を防げると思っているのかしら?」

放たれた炎は地面ごと抉り取り、虚空へと消えていった。

コロンゾン「手応えを感じない…逃げたか」

55: 2019/04/29(月) 03:30:48.221 ID:upjvrP8k0.net
テッラ(コロンゾンの18の召喚文は、火力こそ高いがその派手さから標的を見失いやすい)

テッラ(そして、ローラという霊媒によってその強さを高めていますが、その人の身で放つが故にいくらかのインターバルが生じます)

テッラ(あの魔術自体に『優先』が効かなくとも、避けることは難しくありません)

テッラ(そして)

コロンゾン「アエティール・アバター、15なるOXO!」シュルシュル

地中から長い金髪がテッラを襲う。
しかし、

テッラ「優先する。──髪の毛を下位に、小麦粉を上位に」スパーン

コロンゾン「」ピクッ

テッラ(そして、奴の技には強さの強弱があります。全ての技に『優先』が働かないわけではありません)

コロンゾン「そこか」バサッ

A.A.A.を模した一対の金の翼で飛翔し、テッラの居場所へと検討をつける。

56: 2019/04/29(月) 03:42:18.039 ID:upjvrP8k0.net
長い悪魔の金髪に浮かぶ顔が見えない文字盤を弾く。

コロンゾン「第十三の召喚文、すなわちANGPOI、土の中の風よ。元素に元素を注入し、もって扱いやすい現世の素として従わせよ!!」

テッラ「優先する。──大気を下位に、人体を上位に!」

テッラがいるであろう地面の周囲が見えざる力で宙に浮き、風を纏って削れていく。

しかし先に大気を掌握していたテッラは、箒に跨がる魔女のように空を飛び、寸でのところでこれを回避する。

テッラ「まったく…1発1発を凌ぐので精一杯ですよ」

コロンゾン「この大悪魔の技を見て呼吸をしているだけでも称賛ものなりけるわよ」

58: 2019/04/29(月) 03:55:46.114 ID:upjvrP8k0.net
コロンゾン「しかし…結局肝心なことを聞きたいのだけど」

テッラ「えぇ」

コロンゾン「私は世に現出した魔神のような特例を除いてこの表層世界の超常では一切の傷を負わない。それでいて、『勝算』はあるのかしら?」

テッラ「ふっ…」

あるわけがない。テッラは知らないのだから。大悪魔を封印する方法など。
ましてや、倒す方法など。

コロンゾンは樹を登る必要がなかった、最初から上にいた存在。だからいわゆる「存在の次元が違うから無効」というチートがまかり通ってしまう。下の住民であるテッラにはどうしようもないのだ。

でも。
だけど。

テッラ「この私で倒せなくとも、いつか私があなたを倒す方法を見つけます。必ず。絶対に」

そうでなければ、今まで無念の果てに氏んでいった幾千億のテッラ達に示しがつかない。だから、

テッラ「来なさい大悪魔。私はその身に受けた敗北を糧に、前へ進む」バッ

それは、奇しくもあの父親と同じ志なのだった。


コロンゾン「…ふっ」

コロンゾン「…くく。あはは、あっははっはっははははははは!!」

コロンゾン「…いいだろう。一体いつになるやら知らぬが、私もその可能性とやらが見てみたい」

59: 2019/04/29(月) 04:00:23.741 ID:upjvrP8k0.net
コロンゾン「あらゆる数は等価。
我が右の手に蘇生のヌイト、有限の域を越えて広がる数価(かのうせい)を見よ。
我が左の手に復讐のハディト、極小点はあらゆる力を収斂・集束して一つの意味を作り出す。
すなわちここにラ=ホール=クイトの円にて無限の加速から解放されし一撃を現世の表層に顕さん」

ベージュの修道服を纏う美女は、腕に力を溜め込むような構えをとる。
それは、あたかも見えないレイピアを構えるような──

コロンゾン「『Magick:FLAMING-SWORD』。
セフィラの下降により顕現せし力を浴びよ」

その拳から、あの幻想頃しすら一切のラグなく粉砕する力の塊が放出され、テッラの体を粉々に打ち砕いた。

────────

61: 2019/04/29(月) 04:10:01.084 ID:upjvrP8k0.net
──連結ポイントの狭間で──

オティヌス「どうした」

世界のどこでもない場所で、隻眼の少女は語りかける。

オティヌス「『左方のテッラが生きていた世界』はもう終わりか?お前の中のテッラは、そんな程度のものだったのか」

テッラ「いいえ」

テッラ「…ですが、少々疲れてしまいました」

オティヌス(まぁ、あの人間のメンタルが特別おかしいだけで、こいつの反応が正常なのだろう)

オティヌス「そうか」

テッラ「ただ」

オティヌス「?」

テッラ「私は諦めません。テッラのテッラによるテッラのための戦いは、まだ始まったばかりですからねー」

オティヌス「ふっ」

オティヌス「そうだな。ではここで、中断セーブといこうか」

テッラ「えぇ。お願いします」

全身緑の魔術師は、つかの間の休息を楽しむことにした。


終わり

テッラ「ほう…私が禁書キャラと戦うスッドレですか」その3


62: 2019/04/29(月) 04:17:48.874 ID:cYxdzDAV0.net
姫神はやはりポンコツだったのか……(泣)

安価SSで期待できるのはあなただけだ
次回も楽しみにしてるよ乙

64: 2019/04/29(月) 05:28:38.028 ID:qwKsyEFe0.net

面白かった

引用元: テッラ「ほう…私が禁書キャラと戦うスッドレですか」