1:◆ORT4WeHxxkkO 2011/08/18(木) 01:15:40.99 ID:S2zSBVmto
ストパン、地の文あり、今回は真面目に書く

あとすまないが、本スレでも、キャラスレでも、心の中でも、口に出しても言ったんだけど

サーニャ&芳佳誕生日おめでとー! やふー!

2: 2011/08/18(木) 01:17:58.32 ID:S2zSBVmto
サーニャの口から、そんな言葉が飛び出した。夜間哨戒から帰ってきた彼女が、いつもの様に私のベットに潜り込んできた時だった。


エイラ「えっ、さ、サーニャ……今なんて……」


頭を何かで殴られた様な、錯覚に陥った。息が苦しくなって、胸の奥から込み上げてくる気持ち悪さを我慢しながら、私は次の言葉を待った。


サーニャは顔を私とは反対側の方に向けて、それ以来何も言わなくなった。


私も何も言えなかった。

3: 2011/08/18(木) 01:20:58.96 ID:S2zSBVmto
寝てしまったのだろうか? ならさっきの言葉は寝ぼけていて? でも、もしホントだったら……


もう一度聞き返すのは気が引けた。きっと寝ぼけていたんだと、結論づけて私も眠りにつく。しかし夜がふけていくにつれて、私の目は覚めたままだった。


いつもなら、ベットにすっぽり収まっているサーニャが、何だかとても異様な物に感じた。

4: 2011/08/18(木) 01:24:21.18 ID:S2zSBVmto
目を覚ますと体中が重かった。


瞼を擦りながら横を見ると、そこにサーニャはおらず、部屋の中には散らかった服も無く、シーツにはサーニャがいたぬくもりなど残っていなかった。


私も着替えて朝食を摂りにいく。サーニャが私を置いて先に行くなんて初めてのことだった。


芳佳「あ、エイラさんおはようございます。遅かったですね」


食堂に入ると、エプロンを身に付けた宮藤が挨拶してきた。白い布を纏った姿は、家庭的な雰囲気が漂ってくる。


エイラ「あぁ、ちょっと寝れなくてナー……」


適当にあしらいながら、テーブルの方へ目を向ける。501のみんなは既に席に着いていて、私の視線はサーニャへと留まる。





エイラ「サーニャ、おはよう」

5: 2011/08/18(木) 01:28:34.74 ID:S2zSBVmto
朝食を片手にサーニャの隣に座る。彼女はこちらをチラッと見て小さく「おはよう……」と呟き、自分の皿へと戻った。


サーニャは朝に弱いので朝食は静かなことが多い。だからこんな態度もいつも通りだ、と自分に言い聞かす。


ペリーヌ「顔色が優れませんわよエイラさん? どこか具合が悪いのですか?」


向かいの席のペリーヌがそう言った。なるべく自然な態度を装おって、話題をはぐらかす。そうしているうちにサーニャは朝食を終わらせて、食堂から出て行った。


エーリカ「……」


サーニャに置いていかれるのは、これで二度目か。

6: 2011/08/18(木) 01:32:11.71 ID:S2zSBVmto
朝食を済ませて部屋に戻ると、そこにサーニャの姿はなかった。とりあえず昨日のことを聞かないと……








2ヶ月前ーー
私とサーニャは恋人同士になった。

真っ赤になりながら告白した私を、サーニャはクスッ、と笑いながら「私も好きよ、エイラ」と言って返事をしてくれた。


付き合い出したからといっても、私とサーニャの関係はほとんど変化しなかった。一緒に行動して、おしゃべりして、間違えて私のベットに入ってきて。


私が恥ずかしがってたせいもあるかもしれないけど、恋人らしいことは全くしなかった。


付き合うことになった時、一回だけ、お互いの唇を重ねた。私もサーニャも、キスした後は、恥ずかしくて何も言えなかった。





ーーそれが、私の一番大切な思い出。

12: 2011/08/21(日) 00:15:09.34 ID:USashhhto
部屋を出て廊下を歩き出す。だんだんと歩調が早くなっていく。


サーニャと話がしたい。


サーニャに会いたいのだが、会いたくないと思う自分も心の中にいた。彼女の口から本当のことが聞くのが怖かった。


そんな思いを抱えながら、基地内を探し回っていた私の前に、急に角から人影が現れた。


芳佳「わぁっ、エイラさん! ……びっくりしたぁ」

エイラ「なんだヨ……宮藤カ。急に飛び出して来るなよナー。それよりサーニャを見なかったカ?」

13: 2011/08/21(日) 00:18:34.80 ID:USashhhto
芳佳「サーニャちゃんですか? 見てませんけど」

エイラ「そっカ……分かっタ」

芳佳「えっ……あ、はい」


そう告げてサーニャ探しを再開しようとして、宮藤の横を通り過ぎよ


芳佳「待って下さい」


……うとしたら呼び止められた。


エイラ「なんだヨ。悪いけど、私は少し忙しいんダ」


私は少しだけ苛立つ。



芳佳「ごめんなさい、でも聞きたいことがあって……」

エイラ「分かったから、何が聞きたいんだヨ?」

芳佳「もしかしてエイラさん……サーニャちゃんとケンカしました?」

14: 2011/08/21(日) 00:20:29.94 ID:USashhhto
宮藤の質問にキュッと心臓が締め付けられる。なんでこんな時に限って、こいつは勘がいいんだ。


エイラ「……どうして、そう思うんダ?」


あぁ、私の馬鹿……。なんですぐに否定しないんだよ。それじゃあ、「はい」って言ってる様なもんじゃないか。


芳佳「はっきりとは言えないんですけど、なんか……今日のエイラさんとサーニャちゃんは少し、ギスギスしていたって言うか……。二人の間が冷たい感じがしたんです」


そうだ、そうだよ。宮藤、お前の言う通りだ。でも私とサーニャは、いつでも仲良しなんだぞ?


芳佳「多分、あたしの他にも、同じことを思った人はいると思います」

15: 2011/08/21(日) 00:27:07.31 ID:USashhhto
芳佳「あっ、ち、違ったならごめんなさいっ。二人が仲良しなのは知ってるんですけどっ。ほらっ、たまにはケンカでもしちゃうのかなーって! あたしもリーネちゃんと時々ケンカしたりして……」


宮藤がわたわたと言葉を取り繕う。隊のみんなは、私とサーニャが付き合っていることを知っている。付き合い当初は、「やっとか」などと言われて、呆れた顔をされていた。


何も言わない私に気付いて、宮藤は喋るのを止めた。心配そうに私の顔を見上げる。


そんな目で見るなよ、なんでお前が申し訳なさそうな顔するんだよ。


エイラ「悪い、後で話す」


そう告げて私は廊下を走り出した。ごめんな、宮藤。心配かけて。


なぁ、サーニャ、私達はいつだって仲良しだよな?

16: 2011/08/21(日) 00:29:54.54 ID:USashhhto
今日の空は青空が広がっている、いわば快晴だった。


外に出ればこの物寂しさも、晴れるんじゃないかって思ってたら、だだっ広い空間に一人放り出されたみたいで、余計寂しくなった。


でも、大丈夫。しばらくしたら慣れてしまうものーーーー


エーリカ「おっ、さーにゃんはっけーん」


そんな声が聞こえて振り返ると、ハルトマン中尉が何時の間にか後ろに立っていた。

エーリカ「いやー、いい天気だねー」

サーニャ「……そうですね」

エーリカ「……」

エーリカ「はーい、天気は晴れてるけど、さーにゃんの心の中は曇ってまーす」

17: 2011/08/21(日) 00:33:31.42 ID:USashhhto
サーニャ「!」

エーリカ「あ、言ってから気付いたけど、この台詞は私には似合ってないね。可愛くないし、少しクサイなー」


にしし、と笑いながら


エーリカ「んで、一体何があったのかな?」


真っ直ぐ私を向いて、そんな言葉を呟いた。


この人は何か悟ってるのだろう。見かけによらず、勘が鋭い。口にする言葉は前から決めていた。









サーニャ「エイラより、好きな人が出来たんですーーーーハルトマンさん」


そう言って、私は彼女の胸にもたれ掛かった。

28: 2011/09/17(土) 22:59:55.26 ID:PE7I1Idwo
歩いている内に、歩調が早くなってきて、何時の間にか走り出してた。

会いたい人には、まだ会えていない。


そうしてる内に、私は倉庫の中に立っていた。他は大体回った。もう、こんな場所しか思い浮かばなかった。


普段から人があまり来ない所だ。薄暗くて、少し埃っぽい。手探りに奥へと進んで行く。


エイラ「あっ、まだ行けるゾ……」


突然扉が動き出し、倉庫の中がさらに暗くなる。


エイラ「!」

29: 2011/09/17(土) 23:03:00.85 ID:PE7I1Idwo
倉庫の扉が閉じられた。慌てて駆け寄り、扉を開けようと力を込める。


エイラ「くっ、鍵が閉まって……!?」


扉の鍵は外付けだ。誰もいないと思って、閉めちゃったのか?


エイラ「おい! まだ人がいるゾ! ここを開けてくれ!!」


必氏に扉を叩く。反響した音が暗い倉庫の中に寂しく響く。


扉の向こうでは、人の気配が感じられない。くそっ、もう行っちゃったのか……?


エイラ「この! まだ私がいるゾ!誰かいないカー!!」











「エイラ、聞こえてる?」

30: 2011/09/17(土) 23:07:26.06 ID:PE7I1Idwo
聞き逃すハズが無かった。ついさっきまで探し回ってた、1番聞きたい声だったんだから。


エイラ「さ、サーニャ!? サーニャカ!? そこにいるのカ!? よかっタ、今サーニャを探してて……あっ、とりあえずここの鍵開けてくれヨ?」

サーニャ「……ごめんなさい、エイラ」


思考が止まる。


エイラ「ん……え?」

サーニャ「扉を閉めたのは、私なの」

エイラ「えっ、なんでそんな……いや、まぁいいから鍵開けてくれヨ」

サーニャ「ごめんなさい……それは出来ない」

31: 2011/09/17(土) 23:09:36.31 ID:PE7I1Idwo
サーニャが何を言ってるか、よく分からなかった。どうして私を閉じ込めたんだ?


エイラ「サーニャ、どうしたんダ?」


扉の向こうに言葉を投げかける。サーニャは、イタズラなんかでこんな事は、絶対にしない。


サーニャ「こうでもしないと、話す自信がなくて……」

エイラ「……」

サーニャ「エイラ、あのね」

エイラ「……うん」











サーニャ「他に好きな人が出来たの」

32: 2011/09/17(土) 23:11:57.81 ID:PE7I1Idwo
サーニャ「エイラよりも好きな人。だから、別れて下さい。私たちはただの友達に戻ろう」

サーニャ「いや……違うわね。ただの同僚、って言った方がいいかしら。別れるんだもの、きっとお互い、気まずくなるわ」

サーニャ「エイラとずっと一緒にいたから、『好きだ』って勘違いしちゃったみたい」

サーニャ「エイラのことは好きよ? ……友達として。でも今となっては、もうそれにも戻れない」

サーニャ「新しい好きな人は、今度は本当に『好き』な人なの。明るくて太陽みたいに眩しくて、優しい気持ちになれるの」

33: 2011/09/17(土) 23:15:23.30 ID:PE7I1Idwo
サーニャの話は聞いていた。でも私じゃない誰かが聞いていて、私はそれをボーッと見ているような気持ちになった。


まるで、遠い昔の、憶えてるか憶えていないかの記憶をなんとか思い出す様な、実感の掴めないこと。話しを聞いている私はいるが、そこに私はいなかった。


ガチャ


エイラ「!」


ハッと、我に返った。サーニャは話し終え、鍵を開けてくれたらしい。かすかに、去ってゆく足音も聞こえる。


さぁ、追いかけるんだ。

扉を開けて、今すぐ彼女の後を追うんだ。そして、ちゃんと話そうと言って、 一生懸命引き止めないと。


とにかく、たくさん謝ればサーニャも考え直してくれる。うん、きっとそうに違いない。

34: 2011/09/17(土) 23:17:11.39 ID:PE7I1Idwo
ドアノブに手を掛ける。鍵は開いている。サーニャがさっき開けてくれたじゃないか。


なのに……なんで、


なんでこんなに重いんだろ?


手に力が入らない。冷んやりとした感触が、掌を通って、私に伝わってくる。なんだよ、なんで開けることを躊躇うんだよ。


よく見ると、両脚が震えていた。今にもに崩れ落ちてしまいそうな程に。

35: 2011/09/17(土) 23:22:13.12 ID:PE7I1Idwo
エイラ「くそっ!」


太ももを叩いて、喝を入れる。こんな姿、みっともなさ過ぎる。


再び右手に力を込める。サーニャの背中を思い浮かべる。


ドアノブを回して扉を開ける。


エイラ「サー! ……ニャ……」


私の言葉は途中で霞んで消えて行く。


目の前には、誰もいない廊下が広がっていた。

36: 2011/09/17(土) 23:25:43.26 ID:PE7I1Idwo
そりゃそうさ。

すぐに扉を開けなかったら、こうなることは当たり前じゃないか。そうだ、すぐに追いかけなかった私が悪いんだ。


だから、これは仕方なくて……


エイラ「サーニャ……」


そう思いながら、涙が頬を伝う。


エイラ「サーニャぁ……サーニャぁ……」


何度も何度もサーニャの名前を呼ぶ。ただ1人取り残されたこの空間で、彼女の名前を呟く。


ひたすら私は泣きじゃくる。


寄り添って、支えてくれる少女は、もういない。

37: 2011/09/17(土) 23:29:05.58 ID:PE7I1Idwo
ーーー
ーー


泣き腫らした目で私は、基地の外を歩いていた。心地よい風が、ゆるやかに髪をなびかせる。


体中をそっと包み込む風が、まるで私を慰めている様に感じた。


エイラ「……なんてナ」


私はいつからこんなロマンチストになったんだ? と、自嘲気味に笑みをこぼす。


遠く、海を見渡すと、白い鳥が群れになって飛んでいる。

カモメかな? あれ、でも実際は港でカモメは滅多に見ないんじゃなかったっけ……


どうでもいいことが、頭の中を駆け巡る。

38: 2011/09/17(土) 23:32:32.30 ID:PE7I1Idwo
足元の芝生に腰を下ろす。風がサァーッ、と緑の海に波をつくる。私は膝を抱えて、ぼんやりと遠くの景色を眺める。


部屋に帰るの、気まずいなぁ……。どんな顔で、サーニャと会えばいいんだろう。


さっきまでサーニャに会いたい会いたい、って思ってたのに、今はなるべく会いたくない。


あぁー、前の私が聞いたらビックリするだろうな。

39: 2011/09/17(土) 23:38:27.42 ID:PE7I1Idwo
不思議とサーニャの好きな人を、考える気にはならなかった。いや、考える余裕が無かったって方が、正しかったのかもしれない。


今はただひたすらに、サーニャのことを思い出していた。


笑っているサーニャ。

寝ているサーニャ。

どこかボォーっとしているサーニャ。

照れてるサーニャ。

ちょっといじけたサーニャ。

くつろいでるサーニャ。

ネウロイと戦ってるサーニャ。


なんか、考え出したらキリがない。

40: 2011/09/17(土) 23:42:41.02 ID:PE7I1Idwo
私の肩ぐらいに頭がくる、華奢な体の女の子。

天使かと聞き間違えるくらい、綺麗な歌声を持つ女の子。

でもどこか独りぼっちに思える女の子。

暗闇に溶けて、そのまま消えてしまいそうなような儚い女の子。


私はそんな真っ暗な世界にいるサーニャの手を掴んでーー





ビービー! ビービー!


ネウロイの警報。基地内が一斉に、慌ただしくなる。


感傷に浸っている場合ではない。そんなんじゃ、ウイッチという仕事は務まらないだろう。


鈍くなっていた頭を切り替えて、私はストライカーへと駆け出した。

41: 2011/09/17(土) 23:45:15.06 ID:PE7I1Idwo
ーー






ミーナ「西方~km上空に大型ネウロイ発生! ロマーニャに向けて、接近中!」


ミーナ隊長の凛とした声が、スピーカーから耳に伝わる。私は装備を整えながら、出撃の準備をする。


シャーリー「あーあ、今日は出ないと思ってたんだけどなー」

ゲルト「何言っている。ほら、早く用意しろ」


ゾロゾロとみんなが出撃準備にやって来る。みんな遅い、と少し苛立ちながら他の人の準備が終わるのを待つ。


エイラ「まったく、いつもなら……」


言い掛けて、そこで口を閉じる。


いつも遅いのは、私の方じゃないか。

42: 2011/09/17(土) 23:48:20.36 ID:PE7I1Idwo
その時、サーニャが慌ててやって来た。シルバーの髪がサラサラとなびいている。


ほら、サーニャ急げ! サーニャが最後だぞ。大丈夫、私が待っててあげーー





エイラ「……」





ハルトマン中尉が、サーニャと一緒にを入ってくるのが目に入って、私の頭の中はそこで考えるのをブツリと止めた。

49: 2011/09/20(火) 23:27:05.44 ID:0o765n7io
何だよ、何で一緒に来るんだ?
なぁ、サーニャ。今まで一緒にいたのか? たまたまそこで鉢合わせただけだよな。


……サーニャ、何で少し楽しそうなんだ。ハルトマン中尉の方見て、どうしたんだよ。どうして、一体、どういうこ





坂本「ーーラ! エイラ! 出撃するぞ!」

エイラ「!」バッ


気付いたら、頭の中が叩かれた様にクラクラしている。ジワリ、と嫌な汗が首筋を伝う。


エイラ「い、今行くゾ」

50: 2011/09/20(火) 23:31:01.42 ID:0o765n7io
慌ててストライカーに魔力を送る。プロペラが回りだし揚力が生まれ、重力を切り離した私の体は宙へと舞い上がる。


エイラ「……?」


その時、妙な違和感が脚から伝わってくる。どうもエンジンの馬力が弱い。


ノロノロと飛び立ち、みんなの編隊に加わる。両脚に、重りが括り付けられている様な鈍さだ。


みんながとても速く感じた。どんどん引き離されてく。なんとか力を込めて、馬力を出させる。


やっと本来の調子に戻ったように思えたが、やはり、今日の私のストライカーはどことなく、頼りない。

51: 2011/09/20(火) 23:34:23.53 ID:0o765n7io
坂本「見えたぞ、ネウロイだ!」


少佐の声で顔を上げると、やや向こうにネウロイの姿が目に入った。


冷たく黒光りする装甲、血管のように巡らされた赤い筋、生きているのに生命を感じさせない様な風貌。


散開しながら、ネウロイをジッと見る。何の変哲もない大型ネウロイだ。少佐がコアを見つけて、みんなでそれを破壊。いつものパターン。


ネウロイは私たちが散開するのに応じて、鮮やかな赤のビームで出迎えてくれた。

52: 2011/09/20(火) 23:36:58.49 ID:0o765n7io
みんな赤の直線をスルスルとくぐり抜けて行く。私も未来予知を発動させる。


未来のコトを見れるの? と聞かれるけど、正確に言えば見える、じゃなくて感じる、って言った方が近いのかな。


ただ、何となくそうなるような気がするんだ。何て言ったっけ、シックスセンス? うん、多分そんなカンジ。


前、そのことを宮藤に言ったら「すごい直感ですね!」って言われたから、頬をつねってやった。


直感みたいなものだけど、直感言うな。未来予知、って方がカッコいいじゃんか。

53: 2011/09/20(火) 23:39:55.44 ID:0o765n7io
魔力が私の頭の中を満たしてゆく。この眼が冴えわたる様な感覚。そうして私は人よりも、少し先の出来事が分かるんだ。








だが今日は違った。なんだコレ? 何て言えばいいんだろ……。


未来は見えているが、いつもと比べてほんの先のことしか見えない。それよりも未来を予知すると、モヤがかかったかの如くイメージがボヤけ出す。


赤い光が見えた。

54: 2011/09/20(火) 23:43:33.41 ID:0o765n7io
エイラ「!」


ネウロイのビームを右へと回避する。いつもより、ものすごく速いモノに感じた。


なぜか未来予知がいつもより弱い分、今の私は自分の反射神経に頼らなければならない部分が大きくなった。


そう。例えるなら、普通より半分の距離から、ボールを投げられるバッターのような気分。ただし、ピッチャーは私目がけて投げてくる。


その球は文字通り、デッドボールだ。

55: 2011/09/20(火) 23:46:15.75 ID:0o765n7io
距離をとろうとすると、追撃と言わんばかりに赤色の光線が襲いかかる。





怖い……怖い……!


冷水を被ったかのようなゾッとした感覚。久しぶりの、氏の感覚だ。真紅の線が私に迫る。


私はそれを、大きく、無駄に、余計に、臆病に避ける。





新人ウイッチの初陣かと思わせるくらい、みっともない飛び方だった。

56: 2011/09/20(火) 23:48:32.85 ID:0o765n7io
エイラ「ーーッ!」


気が付くと赤いビームが私に放たれていた。予知は出来ていた。出来ていたが


……ただ、それだけだった。


体は動かない。ネウロイのビームがすぐそこまで来ている。なのに私はそれを見ているだけでーー







ガキンッ


芳佳「大丈夫ですかエイラさん!」

57: 2011/09/20(火) 23:51:47.83 ID:0o765n7io
我に返ると、目の前に幾何学模様をしたシールドが、ネウロイのビームを四方八方へと散らせていた。


芳佳「エイラさん! エイラさん!?」

エイラ「……あっ、あぁ。悪いナ、助かったゾ」

芳佳「どうしました!? ストライカーの故障ですか!?」

エイラ「うあ……あぁ、えっと……」




それならどれだけ良かったのだろう……

58: 2011/09/20(火) 23:54:31.78 ID:0o765n7io
エイラ「いや。なんか今日は……調子が悪いみたいダ」

芳佳「そ、そうですか」


宮藤が私の眼を見る。なにか確信のあるかのような視線が、私の中に入り込む。








なんだよ、心配してんのか?

そんな気にすんなって。

今日はたまたま調子が悪いだけで、いつもならもっとすごいんだぞ?




それらの言葉が、私の口から出ることは無かった。

59: 2011/09/20(火) 23:56:37.04 ID:0o765n7io
芳佳「エイラさん、一旦離れましょう」


そう言って宮藤は高度を上げて、ネウロイから距離をとり始める。私はその後を黙って付いて行く。


二流だと思っていた彼女の背中は、ひどく頼もしかった。



何やってんだ。

お前はダイヤのエースだろ?

どうしたら宮藤に守られることになるんだ?


助けてもらったのに、私はそんなことを思ってしまった。

60: 2011/09/20(火) 23:59:42.91 ID:0o765n7io
結局、すぐにネウロイは倒された。


そりゃそうだ。ただのネウロイなんだから。侵食された戦艦大和でも、コアが大気圏にあるようなネウロイでもない、ただのネウロイ。


501のみんなにとっては造作もないこと。


みんなそう思っている。唯一、私だけがそのことを認めたくなかった。


あのネウロイを言い訳に使いたかった。

61: 2011/09/21(水) 00:03:19.17 ID:ffLFQoP1o
基地に戻ると、私は逃げ帰るように部屋へと向かった。


バルクホルン大尉が何か言ってきた気がしたが、私は適当に言葉を発して、さっさとその場を離れた。いや、今思うと、ちゃんと返事出来てたかも疑わしい。


自室に戻り、服も着替えずベッドに倒れこんで、シーツを頭まですっぽり被った。


1人になりたかった。

62: 2011/09/21(水) 00:06:54.56 ID:ffLFQoP1o
さっきの戦闘を思い出す。途端に掌が落ち着かなくなる。


ビームが目の前にまで迫ってくる。私は動けない。宮藤が間に入り、シールドを展開する。私はそれを見てるだけーー






あぁ……。私は確かに怖がっていたんだ。


でも大丈夫、未来予知に頼りすぎていただけだ。元々、使わずに避けれるもんな。


そう言って自分を奮い立たせきる……ことは出来なかった。






みんなの視線が、いつまでも私の中に残っていた。

63: 2011/09/21(水) 00:11:16.68 ID:ffLFQoP1o
私に向けられたあの視線。


邪魔者を見るような視線。

あの時の私の様子を心底見下すような視線。

何をやってるか心底理解出来ないような視線。


本当は、みんなそんなこと微塵も思ってない。私のことを心配して、気にかけて、励まそうかとしていたと思う。


でも帰還の時のみんなの優しい視線も、宮藤の心配している視線も




私にとっては、私自身を辱める何物でもなかった。

74: 2011/10/06(木) 23:08:40.78 ID:2h/7vA+oo
基地に着いて装備を片付ける。ネウロイを倒したのに、あたしの気分はどことなく重い。みんなも同じように口数が少ない。


原因ははっきりしている。今日のエイラさんだ。


ストライカーを脱いだ途端、真っ先に倉庫から出て行ってしまった。バルクホルンさんの声かけにも反応は薄く、あたしが呼び止める暇さえ無かった。


ゲルト「全く……エイラめ。何だあの返事は」

シャーリー「どうしたんだろうなー、あいつ」

少佐「ネウロイと戦ってる時、今日のエイラは明らかにおかしかった」

76: 2011/10/06(木) 23:17:17.67 ID:2h/7vA+oo
ゲルト「それは私も気付いた」

シャーリー「何かあったのかぁ?」

ゲルト「……分からない」

少佐「ふむ……明日になって元に戻ってればいいが……」


年長組の人たちは、心配そうにエイラさんについて話し合っている。いつもの賑やかで騒がしい空気などない。


それを感じ取ってか、あたしやリーネちゃんは、視線を漂わせてオロオロするばかりである。


流石のルッキーニちゃんも大人しくしている。あたしと目が合うと


ルッキーニ「ゴハン食べたら元気になるよね?」


と、力なく笑った。

77: 2011/10/06(木) 23:51:34.61 ID:2h/7vA+oo
何でそんな元気無さそうなんですか。いつものエイラさんらしくありませんよ……


あたしなりに原因について考えを巡らす。


今日のエイラさんの様子、言動、行動、彼女の落ち込むようなこと……


芳佳「サーニャちゃん……」


そう呟いて顔を上げたあたしに、ハルトマンさんと手を繋いで倉庫から出て行くサーニャちゃんの姿が目に入った。

78: 2011/10/07(金) 00:03:53.98 ID:wZZIVxado

目を開けるーー


そこには知らない天井……ではなく、よく見知った二段ベッドの裏側が映っていた。


エイラ「寝ちゃったのカ……」


もっと横になっていたかったが、ノロノロと仕方なく体を起こし、気怠く頭を掻く。そこで瞼が重いことに気付く。


擦ってみるとどうやら腫れているらしかった。枕を触ると、かすかに湿っている。


エイラ「私が泣き寝入りなんて……アホくさ」


そう吐き捨てる。

79: 2011/10/07(金) 00:07:48.14 ID:wZZIVxado
シーツをめくり立ち上がろうとしたら、ふと、あることに気付く。


このベッド、こんなに広かったっけ?


ハッとして、部屋を見渡す。綺麗な床。サーニャの服が散らかっていない。


私はすぐにベッドから出て、上のベッドを見上げる。小さなふくらみがベッドの上に横になっている。


サーニャはちゃんと寝ていた。




それを見て涙が込み上げてくるのを感じた。

80: 2011/10/07(金) 00:09:55.94 ID:wZZIVxado
耐えられなくなった私は、ベッドから目を逸らす。サーニャは起きる様子はない。


風呂だ、風呂に行こう。体がベタベタして気持ち悪い。


急いで着替えを用意して、部屋を後にする。人がいない廊下を私は走り抜けた。

81: 2011/10/07(金) 00:15:10.02 ID:wZZIVxado
ーー



湯船に浸かり、ふぅーっと息を吐き出す。風呂場には私1人。ロマーニャの綺麗な海景色が、太陽の光を反射しながらキラキラと輝いている。


風呂はいい。ごちゃごちゃした頭の中を、ゆっくり整理させてくれる。生み出した扶桑の人を、心から褒めてあげたい。


部屋から出て分かったが、今は昼前らしい。どうやら寝過ごしていたみたいだ。


お湯をすくい、勢い良く顔を洗う。


エイラ「……これは顔を洗ったから、濡れてるんダゾ」


誰が見ている訳でもないのに、私は自分の涙を無かったことにしたかった。

82: 2011/10/07(金) 00:18:27.92 ID:wZZIVxado
何時の間にか、サーニャは私の知らないサーニャになっていた。私がかつて知っていた彼女は、もうどこかずっと遠くの方。


付き合う相手によって女の子は性格が変わる、なんて先輩が言っていた気もする。


サーニャがちゃんと自分のことが出来るようになるのは、例え他のヤツの影響でも、私にとっては嬉しい。


でも本音を言うなら、それは嫌なことでもある。

83: 2011/10/07(金) 00:21:25.05 ID:wZZIVxado
エイラ「はぁ……」


息を吐き出しながら、首元まで深く浸かる。


サーニャが私以外のヤツと付き合うだなんて、虫唾が走る程に嫌だ。でもそんなことはありえない無いと、高を括っていた。


私たちはいつまでも相思相愛。

私たちはずーっといっしょ。


でもそう思ってたのは私だけ。


子供だったのは私で、大人なのはサーニャだった。

86: 2011/10/08(土) 01:17:55.16 ID:gHSxTnYEo
ーー



昼食を済ますと、宮藤がいっしょに街へ行こうと誘ってきた。今はそんな気分じゃないと断ると


芳佳「今から変なこと、聞いていいですか?」

エイラ「……好きにしロヨ」


らしくない、と思った。

87: 2011/10/08(土) 01:19:34.16 ID:gHSxTnYEo
芳佳「あ、でも……エイラさん、聞いたら絶対怒ると思うから……」

エイラ「前置きはいいから、何の話ダ?」

芳佳「……」

エイラ「……」

芳佳「サーニャちゃんと……、別れちゃったんですか?」

エイラ「……」

88: 2011/10/08(土) 01:24:46.79 ID:gHSxTnYEo
ギリっと奥歯を噛み締め拳を固める。なんとか平静を保とうとしたけれど、質問の答えは私を見れば明らかだった。


くそっ、何だよみんなして。私のことはほっといてくれよ。


申し訳なさそうに放たれた言葉は、申し分なく私を動揺させた。


芳佳「あっ……あの、えーっと……」


私は答えない。


芳佳「何だか私の勘違い……だったみたいですね。ははは、ごっ、ごめんなs」

エイラ「……かヨ」

芳佳「はい?」

89: 2011/10/08(土) 01:26:52.15 ID:gHSxTnYEo
エイラ「悪いかヨ……」

芳佳「エ、エイラさん?」

エイラ「あぁそうダヨ! サーニャと別れたヨ、見事にフられたサ! 馬鹿みたいダロ? あんだけサーニャサーニャーなんて言っときながら、捨てられるなんてサ!」

芳佳「エイラさん!」

エイラ「宮藤の言った通りダヨ! 昨日から私はおかしかったんダナ! 別れようって言われたのに、未練たらしくサーニャを追いかけて……笑っちゃうナ、ホント」

90: 2011/10/08(土) 01:29:33.31 ID:gHSxTnYEo
芳佳「落ち着いて下さい! エイラさん!」

エイラ「他に好きなヤツとかふざけんなヨ! 私よりサーニャのこと考えてるヤツは他にいないんダナ! 私なら夜間哨戒だって両親を探すのだって、どこまでもいっしょにいれるし、サーニャを守ることだって……!」

芳佳「エイラさん!!」

エイラ「!」


小さい宮藤の体から似合わぬ程の大声で、私の意識は今の状況へと戻ってきた。


怯えた目で、しかし私をはっきりと見据えているその目を見たとき……


自分のしたことに気付いた。

91: 2011/10/08(土) 01:30:56.44 ID:gHSxTnYEo
エイラ「……くそっ」


自分の存在がみっともなくなる。愚痴を垂れ流したって、現状は変わらない。


芳佳「え……エイラ、さん?」


ましてや、それを他人にぶつけるなんて。


エイラ「悪い、宮藤……悪い……」


彼女の顔を見ることが出来ない。

92: 2011/10/08(土) 01:33:42.22 ID:gHSxTnYEo
芳佳「……」


宮藤が心配そうにしている。顔を見なくても、雰囲気だけで十分伝わってくる。


ひたすらに、居心地が悪い。


エイラ「私……もう、サーニャと……」


消えそうな声で私は呟く。


エイラ「友達ですらないんダ……」


改めて口にすると、その言葉の意味が重くのしかかる。膝が崩れ落ちそうになり、ガタガタと震え出す。


その時宮藤が私を、私の目を、力強く見つめた。


芳佳「大丈夫ですよ!」

93: 2011/10/08(土) 01:35:31.39 ID:gHSxTnYEo
エイラ「はぁ? お前何言って……」

芳佳「扶桑にですね」

芳佳「水魚の交わりって言葉があるんです」

エイラ「?」

芳佳「お魚にとって水は無いと生きていけないし、水にとってもお魚は欠かせない存在なんです。エイラさんとサーニャちゃんも、まさにお魚と水と同じです」

芳佳「2人がお互いに関わり合ってる時が、1番エイラさん、サーニャちゃんらしいんです。相手無しでは生きていけないって訳でですね……」

芳佳「それでやっぱり2人いっしょにいないと変っていうか、2人で1つ……? あ、あれ? 何言いたかったんだっけ私……」


宮藤の目線が、宙を泳ぎ出す。

94: 2011/10/08(土) 01:38:13.79 ID:gHSxTnYEo
芳佳「その……ですね、えっと……とっ、とにかく!」

芳佳「サーニャちゃんはエイラさんのこと大好きだし、エイラさんもサーニャちゃんのこと大好きなんですよ!」


そう宮藤が言い切った。聞いていた私は、ただ何となく


こいつは、強いな……


なんて思ってしまった。多分、今の私と同じようなことが起こっても、彼女にとっては大きな問題じゃないだろう。


きっと宮藤の気持ち、芯の部分は全くブレない。


私みたいに弱々しく、折れそうな物ではないから。

95: 2011/10/08(土) 01:39:46.18 ID:gHSxTnYEo
エイラ「……はぁ」


何時の間にか拍子抜けだ。宮藤を見ていたら、少し楽になった気がした。私はくるっと体の向きを変え、歩き出す。


芳佳「エ、エイラさんっ! どこ行くんですかっ!?」


慌てて駆け寄って来る。


エイラ「どこって、街に遊びに行くんダロ」

芳佳「え……あ、じゃあ!」

エイラ「別に気が変わっただけダゾ。ほら早く」

芳佳「はい!」




別れた今でも、私はサーニャが大好きだ。

100: 2011/10/09(日) 01:40:36.64 ID:hi6c7UUVo
ドアを叩き、乾いた音が鳴る。しばらくすると中から「どうぞ」という声が返ってきてから、ドアノブを回す。


ミーナ「あらサーニャさん。何か御用かしら?」


ミーナ中佐は動かしていた手を止め、私を見てくる。その机には大量の書類の山。


どれたけ忙しいのかが、ヒシヒシと伝わってくる。けど、少しも顔に出さず平然としている中佐を見ると、改めてこの人はすごいなぁ、と実感させられる。

101: 2011/10/09(日) 01:44:12.92 ID:hi6c7UUVo
サーニャ「はい、実は……お願いがあるんですけど……」


我ながら小さい声だな、とつくづく思う。でもミーナ中佐はそんなこと気にしてないようだ。


ミーナ「はい」

サーニャ「その……」

ミーナ「……」

サーニャ「しばらく……夜間哨戒の任務を降りたいんです」

ミーナ「……」

ミーナ「それはまた……どうして?」


少し驚いた様子だったけど、表情を崩さないミーナ中佐。


よかった、頭ごなしに断られなくて。

102: 2011/10/09(日) 01:47:56.88 ID:hi6c7UUVo
サーニャ「最近なぜか体の調子が悪くて……。前まではナイトウイッチとしての生活は、全然問題なかったんです」


ポツリ、ポツリと理由を述べる。


サーニャ「どうしても眠気がとれなくて、体も怠くて頭痛も……断続的にですけど……」

ミーナ「そうでしたか」

ミーナ(元々サーニャさんは、そこまで体が強くない。それに今の年頃は体が大きく成長する、繊細な時期でもある……。長期的な夜型生活に、無理が出たのかしらね……)

ミーナ「分かりました。そういうことなら、しばらくサーニャさんを夜間の担当から外します」

サーニャ「すいません、ありがとうございます」

103: 2011/10/09(日) 01:50:32.52 ID:hi6c7UUVo
ミーナ「けれど夜の警備を絶やすことは出来ませんので、サーニャさんが抜けた穴は……そうね、しばらくならルッキーニさんと宮藤さんにやって貰いましょうか」


ううん、と中佐は考えを巡らしている。


ミーナ「彼女たちにも、いろんな経験をさせた方が、後々の役に立つでしょう」

サーニャ「お願いします」

ミーナ「でも普段慣れているウィッチが抜けるのは痛手ね……」

サーニャ「……」

ミーナ「……そうだ! エイラさんなら勝手が分かっていt」

サーニャ「必要ありません」


私の言葉が中佐の話を遮る。

104: 2011/10/09(日) 01:52:45.01 ID:hi6c7UUVo
ミーナ「でも分からない内は、経験のあるエイラさんに教えてもらって……」

サーニャ「大丈夫です、夜間哨戒なんてすぐ慣れますから。エイラは必要ありません」

ミーナ「……始めのうちの何回かだけでもいるんじゃないかしら?」

サーニャ「いいえ、ルッキーニちゃんと芳佳ちゃんだけで充分です」

ミーナ「ううん……でm」

サーニャ「必要無いんです!」


腹の底から出た怒鳴り声が、部屋全体に響き渡る。空気がビリビリと震える音が聞こえた気がした。

105: 2011/10/09(日) 01:55:07.36 ID:hi6c7UUVo

サーニャ「ッ!」


ハッ、としてミーナ中佐を見ると、優しそうな目を大きく見開いて、某然とした顔で私を見ていた。


サーニャ「すっ、すいません!」


慌てて腰を深く折る。みっともないところを見せてしまった。


ミーナ「い、いえ……そこまで言うなら、エイラさんは今回やめておきます」

サーニャ「……すいません」


再び謝罪の言葉を口にする。とても居た堪れない気持ちで、この部屋にいることが今はきまりが悪い。

106: 2011/10/09(日) 01:57:38.75 ID:hi6c7UUVo
ミーナ「では、この話はもう終わりにしましょう」

サーニャ「はい……」


少しの間。私の口が開かれる。


サーニャ「あのっ」

ミーナ「……え、はい。なんですか?」


完全に終わったと思っていたミーナ中佐は、眺めていた書類から慌てて目を離して、私へと向ける。











サーニャ「ウィッチの定義は、なんだと思いますか?」

107: 2011/10/09(日) 01:59:59.30 ID:hi6c7UUVo
ーーー
ーー



芳佳「エイラさんあれあれ!」


興奮して宮藤が歓声を上げた。目を輝かせて、楽しそうにはしゃいでいる。


私と宮藤は今、広場の噴水の前でパフォーマンスしている大道芸人を見ている。いくつもの玉が、弧を描きながら空中へと放たれ、ピ工口の格好をした男の手の中へと再び戻ってくる。


宮藤の視線は手から玉へ、玉から手へ、上下に忙しく動いて、「あたしだったら速すぎて、手が追い付かないなぁ……」などと、口から漏らしていた。

108: 2011/10/09(日) 02:02:21.12 ID:hi6c7UUVo
ジャグリングを楽しんだ私たちは、その場を後にした(もちろんチップは払っておいた。宮藤は満足そうに財布から紙幣を取り出していた)


つくづく単純なヤツだな、と思う。


けれど、嬉しそうに財布を手の上で転がしている彼女を見ていると、それに救われている私がいる。


芳佳「エイラさん今度はあっちです!」


そう言い出して私の腕を引っ張っていく。いい仲間を持った、としみじみ思う。

109: 2011/10/09(日) 11:34:20.32 ID:hi6c7UUVo
ミーナ「ウイッチの……定義、ですか?」

サーニャ「はい」

ミーナ「……」

サーニャ「どこからですか?」

ミーナ「それは……やはり、魔法に目覚めた時点からウイッチの資格が出てくるのじゃないかしら?」

サーニャ「それだけでウイッチ?」

ミーナ「 軍に入ってストライカーユニットを練習し、射撃訓練もして、部隊へと配属されて初めて一人前のウイッチと言われる……かもしれないわね」

110: 2011/10/09(日) 11:36:17.64 ID:hi6c7UUVo
サーニャ「……中佐」

ミーナ「何でしょう?」

サーニャ「私の思っているウィッチは」

ミーナ「……」




サーニャ「飛べる……ことだと思います」

111: 2011/10/09(日) 11:38:16.64 ID:hi6c7UUVo
ーーー
ーー



宮藤が連れて来たのは露天商だった。金や銀の指輪や、ネックレスなどのアクセサリー、いかにも偽物くさい財布、ブランドもののバッグ……。


見るからに偽物なものと、見たことのない珍しいものが、玉石混交している品揃えだった。宮藤はその中の1つを手に取る。


芳佳「エイラさん……これすごい綺麗な黄色をしてます!」


明らかに偽物だろう……。すると店主が口を開く。


「ソレ、トアルクニノ、トッテモユウメイナ、オタカラ。ワタシ、ツクッタ」

112: 2011/10/09(日) 11:40:03.57 ID:hi6c7UUVo
作った、って! それは偽物だって言っちゃってるじゃないか!


なぜか誇らしそうにしている店主。片言で、自白したことに気付いている様子は無い。


芳佳「お宝だなんて……すごいなぁ~」


などと呟いている宮藤。こちらも偽物ということに、気付いている様子は無い。


こっちには、気付いて欲しかった。


2人の発言に頭を抱える。とりあえずこの状況をどうにかしよう、と考えいると


私の目に、黒猫が描かれているマグカップが映った。

113: 2011/10/09(日) 11:43:28.46 ID:hi6c7UUVo
ミーナ「……」

サーニャ「ストライカーを操り、大空を自由に飛び回る。それがウィッチであるべき最低条件だと思います」

ミーナ「まぁ、間違ってはいないと思いますが」

サーニャ「なら空を飛べなくなった人は、ウィッチであることができますか?」

ミーナ「サーニャさん、それは……」

サーニャ「原因がなんであれ、飛べない人は501にはいらないと思います。ただそれだけです。では……失礼します」









ミーナ「……何があったのかしらねぇ」

119: 2011/10/15(土) 21:57:26.06 ID:UROIQqV6o
今日は珍しく自分で起きれた。私にとっては奇跡にも近いことだ。


起こしに来たトゥルーデも、鳩が豆鉄砲を喰らった顔をしていた。今思い出しても笑えてくる。


空は気持ちよく晴れている。全てにおいて良好。自然とスキップが出てしまう。


その時向こうから人影が一つ。私は駆け出していた。


エーリカ「さーあにゃーーーん!!」

120: 2011/10/15(土) 22:00:28.07 ID:UROIQqV6o
サーニャ「ハルトマンさん」

エーリカ「とうっ!」

サーニャ「きゃっ」

彼女に抱き着いて全体重を任せる。私とさーにゃんは背丈があまり変わらないので、彼女は二、三歩後ずさる。


サーニャ「ど、どうしたんですか? いきなり……」

エーリカ「んーんー? 別にぃ?」


彼女の髪からいい匂いが薫ってくる。香水などでは無い、女の子特有の香り。


エーリカ「さーにゃん」

サーニャ「はい」

エーリカ「おはよう」


優しく、でもギュッと、彼女を抱き締める。

121: 2011/10/15(土) 22:03:51.06 ID:UROIQqV6o
さーにゃんと2人で歩き出す。ここと言う行き先は無いけど、それでも別に構わない。


サーニャ「今日は早いですね。いつもならまだ寝てるのに」

エーリカ「でしょでしょ!? 私もやれば出来るんだねっ」

サーニャ「もうすぐお昼ですけど」


さーにゃんが隣でクスクス微笑む。女の私から見ても、ドキッとしてしまうくらいの可愛さだ。

122: 2011/10/15(土) 22:05:31.95 ID:UROIQqV6o
のらりくらりと気の向くまま歩いていると、何時の間にかブリーフィングルームに来ていた。


……ま、特に問題は無いけどね。


ここには真っ黒のグランドピアノが置いてある。軍の基地にピアノなんて異質かもしれないけど、ロマーニャ作りのここでは不思議と似合ってる。


さーにゃんは足が吸い寄せられるように、椅子に座って鍵盤に手を添える。

123: 2011/10/15(土) 22:07:23.45 ID:UROIQqV6o
ポロン、ポロンと静かに始まる。


さーにゃんの指が流れるように白黒の壇上の上で舞い踊り、きれいな音色を奏で続ける。


私はどこからか引っ張り出してきたイスに腰掛け、ピアノの音に耳を傾ける。


エーリカ「いい曲だね、なんて名前?」

サーニャ「曲名は無いです。……よくお父様が弾いてて」

エーリカ「へぇ……私結構好きだな」


穏やかな時間が流れる。だからだろうか、私はどことなく避けていた言葉を口にしてしまった。


エーリカ「そういえば」

124: 2011/10/15(土) 22:08:53.67 ID:UROIQqV6o
サーニャ「はい?」

エーリカ「さーにゃんとエイラ、何があったの?」

サーニャ「!」


ターンッ、と高い音を鳴らしてさーにゃんの指がピタリと止まった。


私はいきなり大きな音がしたのもあるけど、その時のさーにゃんの顔がとても冷たかったことにびっくりした。


サーニャ「……」


途中で止めた指が動きだし、再び旋律を奏でる。ただしさっきまでの穏やかな曲から、不安に感じさせるような、荒々しい曲へと変化していた。

125: 2011/10/15(土) 22:10:42.21 ID:UROIQqV6o
音の嵐に巻き込まれる。


激しく動き回る指。速まる鼓動。


そして、演奏が終わる。早すぎる程の幕引き、まさに嵐のような曲だった。さーにゃんが鍵盤から指を離す。私へと向き合って


サーニャ「ハルトマンさん」

エーリカ「な、なに?」

サーニャ「私……エイラを、追い出したいの」


そしてさーにゃんの顔が近づいてくる。私は呆気にとられて動けない。


私とさーにゃんの手が重なって、お互い距離が縮んでいき



さーにゃんの唇が私へと……

126: 2011/10/15(土) 22:11:53.78 ID:UROIQqV6o
ーーー
ーー



宮藤とブリーフィングルームのドアを開けると、サーニャとハルトマン中尉がキスをしていた。










私は入ってもない部屋から飛び出した。

127: 2011/10/15(土) 22:13:21.92 ID:UROIQqV6o
ーーー
ーー



芳佳「エイラさん!」


ガチャッ、と背中の背後から物音がして振り返ると、ドアに手を掛けて廊下へ叫んでる芳佳の姿が目に入った。


それにほんの一瞬だが、エイラの後ろ姿も……


しまった!? と咄嗟に感じた私は、あわてて今の状況を整理する。


エイラとさーにゃんが恋人だったこと

さーにゃんの最近の挙動

さっきの言葉

エイラに見られたこと

128: 2011/10/15(土) 22:15:51.08 ID:UROIQqV6o
エーリカ「やっば……!」


慌ててエイラの後を追いかけようとすると、さーにゃんに肩を抑えられて無理矢理座らされた。普段の彼女からは想像も出来ない力だった。


エーリカ「……どういうつもり?」

サーニャ「分かりませんか?」


それだけを言い残して、今だドアの前であたふたしている宮藤を迎えに行く。


サーニャ「芳佳ちゃん、どこ行ってたの?」

芳佳「へっ!? あ、あっ……いやあたし何も見てないよっ! というかいきなり開けちゃって、ホントごめん!」

サーニャ「落ち着いて芳佳ちゃん」

129: 2011/10/15(土) 22:18:00.27 ID:UROIQqV6o
芳佳「えっと……え、あの」

サーニャ「どうしたの? 何かあった?」

芳佳「あったっていうか、見ちゃったっていうか……その……」

サーニャ「よく聞こえないわ」


さーにゃんがクスクス笑っている。宮藤が狐につままれたような顔をしている。


彼女からしてみれば、友達の恋人が他の人とキスしている現場を、その友達と一緒に立ち会ってしまったのだから。


慌てふためくのも無理はないと思う。


けどそれ以上に、さーにゃんが表情を少しも変えず、まるで……我関せず、なんて態度がますます宮藤を混乱させている。

130: 2011/10/15(土) 22:20:20.93 ID:UROIQqV6o
落ち着いてるように見えるが、私も実際のところ酷く混乱している。彼女が何を考えているのか、真意が全く見えてこない。


もしかしたら本当に……







エーリカ「……もうエイラのこと、どうでもいいのか?」

131: 2011/10/15(土) 22:22:06.75 ID:UROIQqV6o
ーーー
ーー



走って


走って、走って


前も見ずにただ一心不乱に走って

自分かどこに向かってるのかも、どこに向かいたいかも分からないまま走って

足が千切れるんじゃないかってぐらい走って






気が付いたら、林の中にいた。

132: 2011/10/15(土) 22:24:49.86 ID:UROIQqV6o
エイラ「はぁ……はぁ……かっ、はぁー……」


手を膝につき、肩で大きく息を吸う。どっ、と身体中から汗が吹き出てくる。


心臓がかつてない程悲鳴を上げて、あまりの苦しさに私は顔を出し上げることが出来ない。そしてふと、右手に何かをずっと持っていたことに気付いた。


プレゼント用にリボンで結ばれたマグカップ。




私はそれを思い切り地面に叩きつけた。

133: 2011/10/15(土) 22:28:20.21 ID:UROIQqV6o
甲高い音がして、一瞬で粉々になり、目の前には陶器の破片が散在している。


エイラ「はぁー……はぁ……」


少し身体が落ち着いてきたが、私の呼吸はまだ荒々しい。胸の中に、とてつもなくドス黒いものがうごめいてるような気がした。


マグカップだったものが散らばっている。その中に偶然、黒猫の絵が描かれた部分が形を保ったままきれいに割れていた。


今度は右足を高く上げて、力の限り踏み潰す。

134: 2011/10/15(土) 22:31:02.43 ID:UROIQqV6o
エイラ「このっ! このっ! このぉ……! 消えロヨ!消えロ!!」


何度も何度も何度も何度も


もはや黒猫は原型を留めていなかった。


エイラ「消えロ! ネコなんカッ! 大嫌いダゾッ! 嫌いダ嫌いダ嫌いダ!!」

エイラ「嫌い! 嫌い、嫌い……嫌い……」


だんだんと足に力が無くなってくる。


エイラ「ぃ……もう……」

エイラ「何で、こんな」

エイラ「もう……いやダァ……」


大粒の涙が止めど無く零れていった。

146: 2011/10/26(水) 01:20:25.60 ID:I61jeJ4zo
>>145それも含めて



段々魔翌力が弱まってくるエイラを心配するミーナたち。サーニャとハルトマン2人が一緒にいるのを見るたびにエイラの心は傷ついていく。憤りが募る日々。そんな中ハルトマンの一言に思わず掴みかかってしまう。

エーリカ「エイラもう飛べないのにまだウィッチやってるの?」

エイラ「!」ガシッ

エイラ「お前さえ……お前さえいなければ! 私とサーニャは……!」ググッ

エーリカ「で? 恋人を奪ったヤツを殴れもしないんだ。ホントエイラはヘタレだねー。だからさーにゃんも私を選んだんだよ」

147: 2011/10/26(水) 01:22:16.14 ID:I61jeJ4zo
ついに魔力が使えなくなる。診断の結果エイラPTSDにかかり、鬱気味に。サーニャはミーナに即刻部隊からの除名を主張。エイラはスオムスへと帰国する。


スオムスではエイラの帰国を手厚く祝福。ニパもハッセも暖かく迎える。久々にのんびりと過ごせて心身の療養する。帰国から翌日、スオムス軍上層部に呼び出され、衝撃的なことを聞かされる。

148: 2011/10/26(水) 01:24:54.21 ID:I61jeJ4zo
最近、オラーシャ軍がスオムスの国境近くまで頻繁にきていること。世界各地のスオムス出身の軍人たちが事故に巻き込まれていること。

実はオラーシャは今のネウロイとの戦いのその先、来るであろう世界大戦に向けて今のうち他国の戦力を削ごうとしていたのだった。そしてオラーシャのウィッチには不慮の事故に見せかけてスオムスのウィッチを抹[ピーーー]る指令が出ていたということ。

ニパはサーシャの図らいで安全な原隊に帰らされていた。

149: 2011/10/26(水) 01:29:38.65 ID:I61jeJ4zo
一方ロマーニャでは、芳佳からエーリカとサーニャの恋仲を聞いたバルクホルンが、怒ってハルトマンに掴みかかる。そしてハルトマンからサーニャの思惑が語られる。

エイラ抹殺の指令が来たこと。それでもエイラを頃したくないこと。ロマーニャ基地にはオラーシャ兵が工作員として潜り込んでいて、エイラを逃がそうにも難しいこと。

ならば[ピーーー]必要を無くせばエイラは生き残れるんじゃないかと考えたこと。スランプという形にすれば自然に見えるのではないかということ。

方法としてエイラに極度のストレスをかけること。

150: 2011/10/26(水) 01:32:03.61 ID:I61jeJ4zo
あ、規制入った。

●ろす必要で

151: 2011/10/26(水) 01:33:50.15 ID:I61jeJ4zo
そのためにハルトマンに偽の恋人役を頼んだこと。エイラにわざと強く当たって欲しいと頼まれたこと。

夜間哨戒を降りたのは、エイラが寝てる間にオラーシャ工作員によって暗殺されるのを防ぐために、夜の間、全方位広域探査で警戒していたから。そしてこれらの事実はエイラが帰国した後に聞かされたこと。

152: 2011/10/26(水) 01:36:23.69 ID:I61jeJ4zo
スオムスでは事実を聞かされたエイラが、サーニャの意図を悟り衝撃を受ける。「サーニャゴメン」と何度も呟きながらすぐに帰国しようとするが、スオムス軍が許可せず。

国のエースが暗殺される可能性がある場所に向かわせる気などなく、手元に置いておきたいというスオムス軍の意図。エイラ抵抗続け、止むなく留置場の中に閉じ込められてしまう。

153: 2011/10/26(水) 01:38:30.19 ID:I61jeJ4zo
深夜、ニパがこっそりと鍵を開けて脱出させてくれる。急いで飛行場に向かうもハッセが立ちはだかる。国のためを思っての行動だった。拳銃を突きつけこのまま留まるように説得するハッセ。

エイラ「私の固有魔法知らないのカ?」

ハッセ「私の射撃精度知らないの?」

何とかハッセを説得し、エイラはロマーニャへと飛び立った。

154: 2011/10/26(水) 01:40:49.89 ID:I61jeJ4zo
ロマーニャではネウロイの出現により、出撃するウィッチたち。だがオラーシャ元帥直々の命令がサーニャに届き、単独で辺りの海域を探査する任務であった。みんなは怪しいと反対するがサーニャは出撃してしまう。

エイラを逃がしたのがバレていたことにサーニャは感づいていた。

任務中に複数の飛行艇がネウロイの巣に近付きネウロイを発生させ、サーニャの方へとおびき寄せる。501のみんなは別のネウロイで手が離せない。1人で複数の大型ネウロイと交戦するサーニャ。勝てるハズもなく氏期を悟ったその時、

エイラ「サーニャは私が守るから」

と、ストライカーに乗ったエイラに助けられる。そこからエイラの怒涛の反撃。ネウロイを全滅する。

155: 2011/10/26(水) 01:42:52.96 ID:I61jeJ4zo
基地に帰ってベットで手当てを受けるサーニャ。ここでエイラとサーニャがお互いの思いをぶつけ、絆を確かめ合う。ミーナがやって来てオラーシャの陰謀を国際的に告発したと言う。それによって各国からオラーシャは非難され、革命が起き、オラーシャの社会主義体制崩壊。

156: 2011/10/26(水) 01:46:04.75 ID:I61jeJ4zo
みんなは気を遣いエイラとサーニャを病室で2人きりにするが、芳佳は空気を読めずそのまま居続ける。

サーニャ「ちょっと喉が渇いちゃった」

エイラ「それなら飲み物を……!」



1 エイラ「私が持ってくるヨ!」
2 エイラ「宮藤! 持って来てくれ!」


ここで分岐。結末決めかねてここでみんなに任せようと思っていた

157: 2011/10/26(水) 01:48:13.38 ID:I61jeJ4zo
1の場合

エイラ「私が持ってくるヨ! ほら宮藤も手伝うんダゾ!」グイッ

芳佳「えぇ、あたしもですかぁ!?」


そして2人が出ていき病室にはサーニャだけ。その時誰かが中に入ってくる。

サーニャ「来るだろうな、とは思っていました。これで終わる訳がないですものね」

工作員「裏切り者には氏、あるのみです」

サーニャ「……」

工作員「美しい花が咲くでしょうね。真っ赤な真っ赤な百合の花が」






エイラが戻ってくるとベットの上にはシーツを血で染めて胸を撃たれたサーニャの姿があった。

158: 2011/10/26(水) 01:51:30.20 ID:I61jeJ4zo
ーー数ヶ月後

ストライカーに乗りエイラは単独でオラーシャ軍部に特攻、上層部との会談を要求する。オラーシャウィッチが迎撃するも、エイラはストライカーだけ破損させる。結局魔力が切れるまで会談を要求し続けるが、最後には銃殺される。


オラーシャ軍 被害報告
負傷者 0名
氏亡者 0名
ストライカー破損 21機


END

159: 2011/10/26(水) 01:54:16.40 ID:I61jeJ4zo
2の場合


エイラ「宮藤! 持ってきてくれ!」

芳佳「えぇ、まぁいいですけど……」シブシブ


病室にはエイラとサーニャ。突如ドアが開き工作員が襲撃してくるがエイラ撃退する。


サーニャ「……エイラ、私ずっとエイラの隣にいたい」

エイラ「私こそ。何があっても私が守ってみせるから、ずっと隣に居てほしいんダゾ」

サーニャ「ありがとうエイラ。ただ……しばらくの間だけ、待って欲しいの」



そうしてサーニャは、崩壊して混乱真っ只中のオラーシャ再建のため故郷に帰ってしまう。以下、エイラ視点。

160: 2011/10/26(水) 01:58:25.78 ID:I61jeJ4zo
ーーー
ーー



広場の噴水の近くで私は暇を持て余している。周りの建物を見渡し、ウィーンの街並みはとてもきれいだな、と感慨ふけっている。


さっきから向こうのベンチに座っている女学生2人組がチラチラと私の方を見てきては、キャーっと騒ぎ立てている。


やはり街中に外国人がいるのは、どうしても目立ってしまうのかな?

161: 2011/10/26(水) 01:59:59.46 ID:I61jeJ4zo
それとも私の着ている服がいけないのか? やはり軍服では一般人に怖いイメージを持たせてしまうかもしれない。


せめて愛想だけは良く、と思い女学生たちに軽く微笑んでみた。










一目散に逃げて行ってしまった。どこでミスをしたのだろう?

162: 2011/10/26(水) 02:02:04.78 ID:I61jeJ4zo
こちらへ小走りに向かってくる人影が目に入った。その途端、私の鼓動が早くなる。


あぁ、なんて言おう。


久しぶり? 元気だったか? いやいやそれとも、会いたかった、かな。数年ぶりだもんな……すごく緊張するぞ。


髪伸ばしたんだね。とっても似合ってるぞ。


そうだ、聞いてくれよ! 私また受賞されたんだ! マンネル……あれ? なんだったっけ……まぁいいか。

163: 2011/10/26(水) 02:06:27.20 ID:I61jeJ4zo
後ろにいるのはお父さん、お母さんかな? ご両親に会えたんだ、本当によかったね。私まで嬉しいぞ。


優しそうなところがそっくりだな。ちゃんと挨拶出来るかな?

あぁ! そんなに走ると転んじゃうぞ!


やっぱり会った瞬間、大好きっ! て言おうかな。それから思いっきり抱きしめて……




そんなことを考えながら、私はサーニャへと駆け出した。



END

164: 2011/10/26(水) 02:11:24.71 ID:I61jeJ4zo
と、こんなかんじにするつもりでした。内容薄っぺらくてすまない。いろいろツッコミたいとこがあると思うが、目をつむってほしい。再会エンドのエイラーニャはifの姿っていうつもりでした。


なんとか完結させたかった。こんなしょうもない話だったが自分的に思い入れが強かった。


それでは本当にしばらく消えます。
また会えたら、春に。ノシ


165: 2011/10/26(水) 07:43:23.21 ID:rNnHoZSSo
乙。また春に新しい話読めるのを待ってるわ

引用元: サーニャ「私達もう別れましょう」エイラ「」