71: 2013/08/19(月) 11:03:30.44 ID:E6nWZ8w80

小梅「肝試し?」 モバP「うん」


72: 2013/08/19(月) 11:06:23.18 ID:E6nWZ8w80

―――事務所―――


P「今度そういう企画に参加してほしいんだが、大丈夫かな? プロフィールを読んで、小梅ちゃんしかないと思ったんだが」

小梅「……だいじょうぶ、です……」

P「そっかそっか、それはよかった」

小梅「……ば、場所は……?」

P「局のディレクターからたくさん候補出されたんだけど、俺こういうの行ったことないからさっぱりなんだ。小梅ちゃんが選んでいいぞ」

小梅「じゃ、じゃあ……ここ」

P「××病院跡、か。なんか雰囲気あるな」

小梅「結構、有名……です」

P「そうなのか。じゃあまず俺が現場の下見に行ってくるよ。危ないところがないかチェックしないとな」

小梅「……1人……で……?」

P「ああ、もちろん。まさかとは思うが、本当に何かいたら困るからな」

小梅「……や、やめたほうが……」

P「?」

小梅「……危ない、です」

P「いやでも、危ない場所なら猶更、アイドルたちを行かせる前に俺がちゃんとチェックしないと」

小梅「……それなら……わ、私も……行きます」

P「え?」

小梅「……そ、そういう場所……慣れて、ますから……」

P「うぅむ……。しかし……」

小梅「行かない方が……良い場所、わかります」

P「絶対に俺から離れないか?」

小梅「……は、はい……」

P「よし。じゃあ、今度のオフに2人で行ってみよう。なにかマズイことになりそうならすぐ帰って、その場所はやめておこう」

小梅「はい……!」

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(9) (電撃コミックスEX)

73: 2013/08/19(月) 11:08:42.17 ID:E6nWZ8w80

―――次のオフ―――


P「お待たせ、小梅ちゃん!」

小梅「!」ビクッ

P(……すげえ怯えられてる。嫌われてる、のか?)

P「やっ。こんばんわ」

小梅「こ、こん、ばんわ……」

P「せっかくのオフなのにごめんな」

小梅「い、いえ……」

P(無理やり付きあわせた形だからな。本気で申し訳ない)

P「今度、何かの形で埋め合わせするよ」

小梅「だ、だいじょうぶ、です……」

P(大丈夫、か。すごい距離を感じる……まあ他の子も最初はこんなもんだったっけ。ありすとかな)

P「じゃあ行こうか。車に乗ってくれ」

小梅「……はい」

P「……」

P(今まで少なからず一緒に仕事をしてきたが……この子の信頼を得ることは、まだ全然できていないらしい)


74: 2013/08/19(月) 11:11:26.11 ID:E6nWZ8w80

―――車内―――


小梅(廃病院……楽しみ……)ワクワク

P「結構時間かかるから、寝ててもいいぞ」

小梅「……は、はい……」

小梅(い、今までの、ホラースポット……は……歩いて行けるとこ、だけ、だったけど……こ、今回は、初めての、遠出……)

小梅(プロデューサーさん……わ、私の、ために……このお仕事……取ってきてくれたの、かな……?)

P「冷房もっと強くした方がいいかな?」

小梅「……だ、だいじょうぶ、です」

小梅(プロデューサーさん……明るくて……苦手なタイプ、だったけど……。すごく、優しくて……あたたかい……。だから『みんな』……引き寄せられる……)

P「ん? どうしたんだ小梅ちゃん、俺の顔なんかジッと見て。なんかついてるか?」

小梅「……3人……くらい」

P「え?」


75: 2013/08/19(月) 11:13:42.52 ID:E6nWZ8w80

―――コンビニ駐車場―――


P「コンビニ着いたけど、小梅ちゃんは降り―――」

小梅「zzz」

P(……寝てる)

P(俺の前だとオドオドしてるけど、さすがに寝顔は無防備で可愛いな)

P「……」

P(あの前髪の下……どうなってるんだろう。気になる)

小梅「zzz」

P(多分、普通の右目があるだけなんだろうけど……ううむ、一度気になると、どうしようもないな)

P「……」ソロー

小梅「zzz」

P(もうちょい……あと、ちょっとで……!)

小梅「」ガシッ

P「うおっ!?」

P(う、腕を掴まれた……! まさか起きて……!?)

小梅「zzz」ギリギリ

P(いや、寝てる……? っていうかすごい力だ、なんだこれ!?)

小梅「zzz」パッ

P「……っ! た、助かった……」

小梅「zzz」

P(な、なんだったんだ、今のは……。いや、触らぬ神に祟りなし……だな)


76: 2013/08/19(月) 11:14:52.41 ID:E6nWZ8w80


小梅「……んっ」

P「起きたか」

小梅「……もう、着いた……?」ゴシゴシ

P「いや、コンビニで休憩してただけだよ。そろそろ出発する」

小梅「……あ」

P「飲み物とかお菓子買っといたよ」

小梅「ご、ごめん、なさい……」

P「そういう時はありがとうって言ってほしいな」

小梅「……あ……あり、がとう、ございます」

P「ん、どういたしまして。目についたのをたくさん買っといたよ。何が好きかよくわからなかったからさ」

小梅「あっ……スプラッター食玩シリーズ……!」キラキラ

P(ほんとに何が好きかよくわかんねぇ……)


77: 2013/08/19(月) 11:16:40.66 ID:E6nWZ8w80

―――車内―――


P「小梅ちゃんは、どうして怖いのが好きなんだ?」

小梅「怖いのは……好きじゃない、です……」

P「え? じゃあホラースポット巡りは?」

小梅「あれは……怖くない、から……」

P「うん、見解の相違だね」

小梅「……?」

P「じゃあ小梅ちゃんの怖いものってなにかな?」

小梅「……よ、酔ってる、お父さん……と、教科書の……音読……」

P(なんか深く掘り下げたくない感じの答えだなぁ……)

小梅「プ、プロデューサーさんも……最初は、苦手……怖かった……けど……。……今は……好き」

P「えっ?」

小梅「……だ、だから、プロデューサーさんと……ホラースポット……た、楽しみ、です……えへ」

P「……」

小梅「……プ、プロデューサーさん……? な、なんで、泣いてる……の……?」

P「これからは、小梅って呼んでもいいかな?」

小梅「え……は、はい……だいじょうぶ、です……」

P「こうめぇぇぇえええっ!!」ダキッ

小梅「ひゃう……!? く……くるしい……です……」ムギュ


78: 2013/08/19(月) 11:17:28.10 ID:E6nWZ8w80


P「なんかもう肝試しとかどうでもよくなってきたわ」

小梅「だ、だめ……です……」

P「あはは、冗談だって。なんならこの後、うちのシアタールームで夜通しホラー上映会したっていいぞ」

小梅「……ほ、ほんと……!?」キラキラ

P「あ、でも寮の管理人さんが心配するからダメだな」

小梅「…………。」シュン

P「でもいつかやろうな」

小梅「は、はい……!」パァッ

P(かわいい)


79: 2013/08/19(月) 11:18:20.53 ID:E6nWZ8w80


P(スプラッターって、要はグロいヤツのことだよな……)

P「小梅、好きな内臓は?」

小梅「腎臓」

P(……そ、即答……!? 冗談のつもりだったのに……)

小梅「プロデューサーさん……は……?」

P「うぇっ!? ……ああ……うん、小腸……かな……?」

小梅「…………」

P「…………」

小梅「……にわか」ボソッ

P「!?」


80: 2013/08/19(月) 11:19:25.47 ID:E6nWZ8w80


小梅「……プロデューサーさん……は、もっと……勉強した方が……いい、です」

P「べ、勉強……? 内臓の?」

小梅「これ……貸して、あげます……」スッ

P「これ、小説か? 『殺人鬼2』……いきなり2でいいのか?」

小梅「いい……です。1も、読みたくなったら……貸してあげます」

P「ありがとう、家に帰ったらさっそく読んでみるよ」

小梅「……しっかり……噛みしめて、ください」

P「俺、本読むときは頭の中で映像が動くタイプだからなぁ。でもバイオハザードとかの映画も見るし、結構耐性あると思うぞ?」

小梅「……ふふ」

P「な、なんだその「片腹痛いぜ」みたいな笑いは……!?」


81: 2013/08/19(月) 11:21:11.10 ID:E6nWZ8w80

―――廃病院 駐車場―――


P「よし、着いたぞー」

小梅「zzz」

P(また寝てる。でもさっきの反省を生かして、普通に起こ……)

P「……」

P(前髪はアウトだけど、ほっぺたはどうだろう?)

小梅「……むにゃ」プニプニ

P(起きない。天使。よし、このやたら長い袖を結んで……と)ギュッ

小梅「zzz」

P(よし、これで腕を掴まれることはない。いざ、前髪を……!)スッ

小梅「……Schauen Sie……nicht zuruck……」ボソ

P「え?」

小梅「……Sie werden……es……bereuen……」ブツブツ

P(どこの言葉!?)ゾクッ

小梅「zzz」

P「こ、小梅……じ、じつは起きてるんだろ……? なぁ?」ユサユサ

小梅「……むにゃ。……プロデューサー、さん……? あれ……袖、が……」

P「つ、着いたぞ。よし、さっそく行ってみよう!」スタスタ

小梅「あ、あの……袖が……ほ、ほどけない、です……待って……あぅぅ……」モゾモゾ


82: 2013/08/19(月) 11:22:50.97 ID:E6nWZ8w80


P「な、なんか……すげえ雰囲気あるな。ところどころ崩れてるし、黒焦げのところもあるし……」

小梅「はい……この、廃病院は……ホラースポット巡リストの……登竜門……」

P「日本語か英語かハッキリしような」

小梅「こ、ここから、生きて帰れたら……一人前の……巡リスト」

P「は……? ちょ、ちょっと待ってくれ。どういう意味だ今の?」

小梅「まずは軽く……霊安室から……」

P「いきなりボス戦!!」

小梅「さ、さ……早く、入ろう……」グイグイ

P「あれー、な、なんか急に腹痛が……」

小梅「だいじょうぶ……ここは、病院……だから。……すぐ、楽になります……」

P「それ楽になったっきり帰ってこれないヤツだろ! いやだ! 俺は入らないぞ!」

小梅「……ふふ、ふふふ。……プロデューサーさん、面白い……」

P「あれぇ!? 小梅には今のが冗談に聞こえたのか!? ここ笑いどころじゃないぞ!?」

小梅「さ……早く、逝こう……」グイグイ

P「いやだぁぁ! 今絶対イントネーションがおかしかったもん!! ちょ、力強い……!? いやだぁぁぁぁ……」ズリズリ


83: 2013/08/19(月) 13:49:46.14 ID:E6nWZ8w80


P「あ、あんなところに!!」

小梅「あ……これ、ピアス……?」

P「よし、いまのうちに逃げ……って、おいおい! こんな場所に落ちてるものを拾うなよ……危ないぞ」

小梅「……これ……かわいい」

P「ねえ聞いてる? ねえねえ」

小梅「プ、プロデューサーさん……似合い、ますか……?」

P「すごく可愛いと思うけどさ。でも捨てような?」

小梅「……褒められた……えへ」

P「ポケットに入れた! 今ポケットに入れただろ! あれ、おっかしいなー、小梅ちゃん耳聞こえなくなっちゃったのかなー?」

小梅「じゃあ……病院に、入ります……」

P「……もういいよ……煮るなり焼くなり好きにしなさいよ」ズルズル


84: 2013/08/19(月) 13:50:46.50 ID:E6nWZ8w80

―――廃病院―――


P「なんかこの病院、夏なのにクソ寒いんだが……」

小梅「……エコロジー……?」

P「違う、そんな地球に優しそうなものじゃない」

小梅「だい、じょうぶ……富士山の……頂上も……さ、寒い、ですし……」

P「えっ、ここってそんな極限環境と同列なのか!? じゃあさっきから息苦しいのは酸素濃度の問題!?」

小梅「ここで……自[ピーーー]る人は、いなそう……だけど」

P「なんで富士山頂の話からいきなり自殺の話になったんだ? 飛躍しすぎだろ」

小梅「富士山といえば……樹海……樹海は自殺の……名所……」

P「ああ一応小梅なりに思考の道順があったんだな。物騒だけど。物騒だけど!」

小梅「懐中電灯……消して、歩きましょうか……?」

P「この状況でどうして縛りプレイに挑戦するんだ!?」


85: 2013/08/19(月) 13:52:14.37 ID:E6nWZ8w80
※失礼しました。やり直し。



―――廃病院―――


P「なんかこの病院、夏なのにクソ寒いんだが……」

小梅「……エコロジー……?」

P「違う、そんな地球に優しそうなものじゃない」

小梅「だい、じょうぶ……富士山の……頂上も……さ、寒い、ですし……」

P「えっ、ここってそんな極限環境と同列なのか!? じゃあさっきから息苦しいのは酸素濃度の問題!?」

小梅「ここで……自[ピーーー]る人は、いなそう……だけど」

P「なんで富士山頂の話からいきなり自殺の話になったんだ? 飛躍しすぎだろ」

小梅「富士山といえば……樹海……樹海は自殺の……名所……」

P「ああ一応小梅なりに思考の道順があったんだな。物騒だけど。物騒だけど!」

小梅「懐中電灯……消して、歩きましょうか……?」

P「この状況でどうして縛りプレイに挑戦するんだ!?」


86: 2013/08/19(月) 13:53:54.47 ID:E6nWZ8w80


P(まあ、なんだかんだでこういう時ってのは、幽霊なんて見ないもんだ。こうやってわいわいやって、話のタネになっていくんだろう)

小梅「つ、次は……こっち……!」

P(いつもは積極性に欠ける小梅が、俺の腕をぐいぐい引っ張って表情を輝かせている。小梅のこんな一面を知れただけでも、収穫はあったってもんだ)

小梅「あ……看護婦さん……」

P(歳相応にはしゃげる場所があるってのはいいもんだ。俺みたいに仕事が趣味の人間にはわからない感覚なんだろうな)

小梅「……あ、枝毛」

P「ちょっと待てさっきなんて言った!?」

小梅「ここ……枝毛になってる……」

P「その前!!」

小梅「あっちから……看護婦さん……じゃなくって……看護師さんが……来てる」

P(うおおおおおおおおおおッ、あのナースさん透けてるッ!!? あれマジなヤツじゃねぇかぁああああ!!)

P「こ、この部屋に隠れるぞ!」グイッ

小梅「……あ」


87: 2013/08/19(月) 13:55:24.19 ID:E6nWZ8w80


小梅「看護師さんに……霊安室まで……案内……してもらいたい……」

P「あのスケスケナースさんにお願いしたら、確実に黄泉の国へ案内されるぞ……!?」

小梅「……消灯時間、だから?」

P「命の灯火を消灯されるからだよ! いいからベッドの下に隠れるぞ!」

小梅「……けほっ……汚い」

P「我慢してくれ!」

P(……って、うおおおおおっ! 出入り口の擦りガラス越しにナースさんの頭がうっすら見えるぅぅぅ!!)ギュゥゥ

小梅(……抱きしめ、られてる……なんか、すごく……あったかい……)ギュッ

P(抱き返してる……さすがの小梅も恐怖を感じているってことか。おおお俺が、ま、守ってやらないと……!!)

小梅(他人の……た、体温……ひさしぶり。……すごく……あ、安心、するかも……えへ)

P(小梅が俺の胸に顔を埋めている……なんて小さな体なんだ。くそ、一刻も早くここを脱出しなければ……!)

小梅(プロデューサーさん……こ、怖いと、ぎゅってしてくれる……のかな……。そ、それなら……もっと、ここにいたい……な)

P(俺が小梅を、絶対に守り抜いてやる……!!)

小梅(プロデューサーさんは……私が、幽霊から、守る……。だから私が、プロデューサーさんを……びっくり、させちゃおう……)


88: 2013/08/19(月) 13:57:37.92 ID:E6nWZ8w80


P「い、行ったか……あのスケスケナース」

小梅「みたい、です……」

P「よし、今のうちに元来た道を引き返すぞ!」

小梅「…………」

P「……小梅?」

小梅「さっきの……看護師さん……あっちに、行ったので……危ない、です……」

P「うっ……確かに、また鉢合わせたら困るな。じゃあ窓から出て帰るか」

小梅「えっと……それだと……氏にます」

P「氏ぬの!? ま、まじでか!? じゃあ、あっちから、こう回って、あそこに行くか」

小梅「幽霊の……いるところ、わかります」

P「ほんとか!」

小梅(嘘……です)

P「じゃあ幽霊のいないところを案内してくれ! 幽霊との遭遇を避けつつ、駐車場に向かうぞ!」

小梅「は、はい……」

小梅(霊安室……ど、どこかな?)


89: 2013/08/19(月) 13:58:36.51 ID:E6nWZ8w80


P「あれ?」

小梅「……ど、どうしました……?」

P「腕時計が壊れたみたいだ。しばらく前から止まってる」

小梅「……そういうのは……よくあること、です……」

P「そうなのか?」

小梅「そのままずっと、止まった時間の中で……生き続ける……そういう予兆、です」

P「そういう怖いことサラっと言わないでくれるかな!?」

小梅「……だ、だいじょうぶ、です。プロデューサーさんは……私が、守ります……」

P「うぅ、情けない話だ……。それなら小梅は俺が、何があっても守ってやるからな」

小梅「……あ、ありがとう、ございます……えへ」


90: 2013/08/19(月) 13:59:50.12 ID:E6nWZ8w80


小梅(暗いところ……ずっと、見てると……視界全部……黒くなる……。この現象……なんなんだろう……)ポケー

P「お、おい小梅? な、なに見てるんだ? さっきから、あっちの方見てるけど……」

小梅「……え? な、なんでも、ない……です」

P「ほ、ほんとにか? なにかいるとかじゃないか?」

小梅(……!)

小梅「……あ」

P「なんだ!?」

小梅「い、、いえ……なんでも……」

P「本当の本当にか!? 変な気遣いは逆効果だぞ!? なんかいるんなら、ちゃんと教えてくれ!!」

小梅「……じゃあ、プロデューサーさん……」

P「…………な、なんだ……?」

小梅「……ぜ、絶対に振り返らないで……走って、ください」

小梅(誰も、いない……けど)

P「しっかり掴まっててくれよ! うおおおおおっ!!」ダッ

小梅(あ……お、お姫様、だっこ…………えへ)



91: 2013/08/19(月) 15:18:05.19 ID:sSvebYsp0


P「ハァ、ハァ……ゼェ……も、もう追ってきてないんだな……!?」

小梅「はい……だ、だいじょうぶ、です」

P「あれ、ここどこだ? 確かあっちからこう来て、あそこで曲がって……。くそ、がむしゃらに走ったから道なんて覚えてないぞ……」

小梅「私……わかってます……。だいじょうぶ……」

P「小梅はほんとに頼りになるなぁ」

小梅(……ごめん……なさい)

P「ふぅ、ちょっと休憩…………うおおおおっ!?」グイッ

小梅「プ、プロデューサーさん……!」

P「病室のドアの隙間に腕が引きずり込まれたぁぁぁ!! ちょ、助けてくれ!! うぎぎぎぎっ……!!」グググ…

小梅「プロデューサーさん……私の目、見て……」

P「いやそんなことやってる場合じゃ……!」グググ…

小梅「いいから……」

P「……あ、ああ」グググ…

小梅「これから手を叩くと……う、腕が、抜けます……」パンッ

P「うわっ! ……ほ、ほんとだ……腕が抜けた」

小梅「……もう大丈夫、です」


92: 2013/08/19(月) 15:19:30.78 ID:sSvebYsp0


P「今、何をしたんだ……?」

小梅「……あっちの人たちは……実体、ありません……だ、だから、よっぽど強い霊じゃないと……人を引きずったり……で、できません」

P「じゃあ、今のヤツは強かったってことか」

小梅「今のは……プロデューサーさんが……操られて、か、勝手に、動いてただけ……催眠術みたいな……もの、です……」

P「催眠術? じゃあ、それを小梅が解いてくれたってことか?」

小梅「……あ、あれくらい、なら……私でも、だ、だいじょうぶです……」

P「こ、小梅がこんなに頼りになるとは……。すまん、侮っていた」

小梅「……怖がって……緊張すると、かかりやすく……なります……。リラックスして……ください」

P「こんな場所でリラックスって言われてもなぁ」

小梅「……またなにか、あっても……わ、私が、守ります、から」

P「ありがとう、小梅……。すまんが腰が抜けたみたいだから、ちょっと待っててくれるか?」

小梅「は、はい……」

P「……それから。手を握ってもらっても……いい、か……?」

小梅「抱き付いても……いい、です……えへ」ギュッ

P(天使や……)

小梅(……や、やっぱり……ぎゅってすると……あったかい)


93: 2013/08/19(月) 15:21:38.18 ID:sSvebYsp0


小梅(霊安室……あそこの地図で、確認……しよう)

P「ん、あれはナースステーションかな。おお、院内マップもあるぞ。半分くらい焦げてて読めないけど」

小梅(……霊安室……あった。……地下に……あるんだ……)

P「よし、こっちからこう行けば帰れそうだな。小梅、どうだ?」

小梅(……それだと……霊安室とは、逆方向……)

小梅「こっちから……行きたい、です」

P「そうか、小梅に全部任せるよ」

小梅(まったく、疑ってない……。ちょっと……心、痛い……かも)

P「とにかく安全に帰ろう! こんなとこで氏んだら、笑えないにも程がある」

小梅「……はい。安全に……」


94: 2013/08/19(月) 15:22:41.21 ID:sSvebYsp0


P「……ところで、小梅。ちょっと困ったことになったんだが……」

小梅「?」

P「その……トイレに行ってもいいかな……? 途中で飲んだコーヒーが効いたらしくって、もうかなり限界なんだ」

小梅「トイレ……そこに、あります……」

P「恥ずかしい話なんだが、そこの入口までついて来てくれないかな」

小梅「……中に、入らなくって……いいん、ですか?」

P「さすがにアイドルにそんなことはさせられないよ。入口にいてくれるだけでいい」

小梅(……プロデューサーさん……やっぱり、変なところで……優しい)


95: 2013/08/19(月) 15:24:05.57 ID:sSvebYsp0


P「小梅ー! いるかー!?」

「は、はい……!」

P「よし、すぐ済ませるからな」

P(うぅ……くそ、後ろがやけに気になる。なんか気配を感じる気がしてならない。さっさと出すもん出してしまおう……)

P(それにしても寒い……なんかトイレに入った辺りから、もっと寒くなった気がする)

P(ほんとに物理的な寒さなのかな、これ……)

P「小梅ー! 変なのは来てないかー!?」

「……」

P「えっ?」

「……」

P「こ、小梅ー!?」

「だいじょうぶ……です」

P「……? ああ、そっか……うっ!?」

P(うぉっ……!? さ、寒い……!! なんだこれ!?)ガタガタ

「……プロデューサー、さん……?」

P「い、いや、なんでもない。もう終わったから、出るよ」ガチャッ


96: 2013/08/19(月) 15:25:37.59 ID:sSvebYsp0

―――森の奥―――


P「…………え?」

P(どこだ、ここ……森の中……? 今出てきたトイレのドアもなくなってる!)

P「小梅……小梅は!?」

P(……あの光は……夕陽? いや違う、火事だ! あっちにある建物が燃えてるんだ)

P「小梅ぇええ!? どこに行ったんだ!?」

P(空に飛んでるあれは……飛行機? いや、あれはまるで、昔の戦争映画で見るような……)


97: 2013/08/19(月) 15:26:39.73 ID:sSvebYsp0


小梅「プロデューサーさん!!」バシッ

P「はっ!?」

P(ここは、さっきの病院……!? 今のは……夢か?)

小梅「……に、逃げます……」グイ

P「え?」

小梅「うしろ、見ちゃダメ……です」

P「うしろ?」クルッ

小梅「……あ」

P「うおおおおおおおっ!?」


98: 2013/08/19(月) 15:29:48.86 ID:sSvebYsp0


P「走るぞ、掴まれ!」グイ

小梅「は、はい……!」ギュッ

P「小梅、アレはどうにかならないのか!?」

小梅「無理……です。……あんなに、強いのが……こんなところに……いる、なんて……」

P「アレはなんなんだ? 黒い煙か!? 黒い津波!?」

小梅「怨念の……塊……だと、思います……。捕まったら……氏ぬ、かも……」

P「ひいいいいッ!!」

小梅(こんなに……強い、霊が……今までずっと……隠れてたなんて……お、おかしい)

小梅(……まるで……)

P「前からも来る!!」

小梅(でも、たしか……そこを曲がると……)

P「突き当り……いや、階段だ! 上に……」

小梅「……だめ、です」

P「くそ、上からも黒いのが……! こうなったら下だ!」

小梅(や、やっぱり……誘い込まれてる……。……この先、には……)


99: 2013/08/19(月) 15:31:02.63 ID:sSvebYsp0

―――霊安室―――


P「はぁ、はぁ……」

小梅「プロデューサー、さん……あれ……」

P「ちょ、ちょっと待ってくれ小梅……もう息も絶え絶えだ。歳は取りたくないな……」

小梅「……もう……歳……取れなくなる……かも」

P「……え? うおっ!?」

小梅「……白骨……氏体」

P「……誰のだ?」

小梅「……ボスキャラ?」

P「……だよなぁ」


100: 2013/08/19(月) 15:32:34.57 ID:sSvebYsp0


?『……』スゥ…

小梅「!」

P「うわあっ!? え、こ、子供……!? 子供がどうしてこんなところに!?」ギュッ

小梅「……あの骨の……本体、だと思います……」ギュッ

?『……』スッ

P「な、なんか手を出してるぞ。お金か? マネーを出せば見逃してくれるのか……?」ガクブル

小梅「……も、もしかして……」スッ

P(病院の外で拾った、ピアス……?)

小梅「こ、これ……あなたの……なの……?」

?『……』

?『』ニコッ

?『……ママの形見……ありがとう』

?『』スゥ…

小梅「……」

P「……き、消えた……」

小梅「気配、消えました……。た、助かった……みたい、です……」

P「…………はぁぁぁ……」ヘタッ


101: 2013/08/19(月) 15:36:36.02 ID:sSvebYsp0


―――車内―――


小梅「た、多分……あの子は……せ、戦争中、この病院で……亡くなった子……みたいです」

P「それは……なんとなくわかってたよ。トイレから出た時、一瞬だけど、戦時中みたいな景色を見たんだ。多分、あのとき燃えてたのはあの病院だったんだろうな」

小梅「……ずっと……ピアス、さ、探してたんだと……お、思います……」

P「ピアスって、戦前からあるものなのか?」

小梅「……古代文明から……あ、あり、ます。……ま、魔除けの……象徴、として……」

P「へぇ、そうなのか。でもあの子の耳には穴開いてなかったし、ほんとにただ受け継いだだけなんだろうな」

小梅「……かも、しれないです……。それは、直接……聞かないと……わからない、です」

P「またあの廃病院に行きたいとは思わないけどな……。それに、満足げに成仏していったじゃないか。この世にはもういないだろう」

小梅「……はい……そう、ですね」

P「ピアスが欲しかったんなら、もっと静かにお願いしてくれればよかったのになぁ。おかげで何度か心臓が止まりかけたよ」

小梅「でも、最後は……廊下の、黒い怨霊たち……ぜ、全部、消してくれました……」

P「あの病院の幽霊が全部、配下だったとはなぁ。ならスケスケナースさんが俺たちを深追いしなかったのも、そのおかげだったのかな」

小梅「……番組は……あ、あの病院に……するんですか……?」

P「いやいやいや、もうこりごりだよ」


102: 2013/08/19(月) 15:39:21.79 ID:sSvebYsp0


小梅「じゃあ、別のところ……ですか?」

P「できることなら企画ごとポシャりたいところだけどなぁ……。もしそうもいかないようなら、幽霊の全くいないところを探してみないとな」

小梅「……お、お手伝い……します」

P「ほんとか? また今日みたいなことにならないとも限らないぞ?」

小梅「……それなら……な、なおさら……プロデューサーさん……1人じゃ、危ない……ですから」

P(天使か)

小梅「それに……今日、みたいなことには……もう、ならない、です……。これが……守ってくれます」

P「おいそれ! あのピアスじゃないか!! 勝手に持ってきたのか!?」

小梅「持って行ってって……言ってました……」

P「そ、そうなのか? っていうか、さっき見た時よりずいぶん汚れてないか?」

小梅「こっちが……本来の、姿……です」

P「……もう何があっても驚かないよ」

小梅「だ、だから……次もまた、連れて行って……くださいね……プロデューサーさん……」

P「ああ、わかったよ」

小梅「……えへ」


103: 2013/08/19(月) 15:42:01.93 ID:sSvebYsp0



P(今日の一件を経て、俺は小梅と仲良くなれたと思う)

P(最初は俺を警戒してビクビクしていた小梅だったが、今では気兼ねなく会話ができている)

P(まだ心を開くってほどじゃあないかもしれんが、それはこれからのホラースポット巡りで頑張ってみるとしよう)

P(それと、これはまだ小梅には言ってないことだが)

P(当初の予定を変更して、肝試しにはあと2人くらい追加してみようと考えている)

P(それは番組的な思惑ももちろんあるが、それ以上に、いつも事務所で所在なさげに縮こまっている小梅のためでもある)

P(うちの子たちは良い子ばかりだから、普通に会話することくらいはあるだろうが……小梅にも、もっと気兼ねなく話せる友達ってのがいてもいいだろう)

P(既に、残る2人のアテは付けてある。いろんな意味で小梅とは正反対の彼女らと打ち解ければ、小梅のためにも、彼女たちのためにもなるはずだ)

P(もしそれが成功すれば、ユニットでも組んでみるのもいいかもしれないな)

P(生きてる友達に囲まれて、小梅が全力で笑える日はきっと来る)

P(今からその時が楽しみでならない)



104: 2013/08/19(月) 15:43:51.61 ID:sSvebYsp0



小梅(……プ、プロデューサーさん……やっぱり……良い人、だった……)

小梅(それに……なんだか……守ってあげたくなる)

小梅(私だけじゃ……まだまだ、ダメだけど……)

小梅(……も、もう……アイドル活動も……ホラーも……1人じゃ、ない……)

小梅(プロデューサーさん、には……言ってない、けど……)

小梅(『あの子』は……まだ、成仏してない……。っていうか……今、私の……膝で……寝てる)

小梅(力が……つ、強くなりすぎて……そう簡単には……成仏、できない……らしいから)

小梅(わ、私が……ピアス、つけて……憑りつかせて……あげてる)

小梅(……プロデューサーさんに……言ったら……こ、怖がっちゃうかも、しれない……から……まだ、内緒だけど)

小梅(いつも……プロデューサーさんに、助けて……もらってるから……。……憑りつかれやすい、体質の……プロデューサーさんは……わ、私たちが……守ります……)

小梅(だ、だから……これからも……ず、ずっと一緒に、いてください)



105: 2013/08/19(月) 15:44:57.15 ID:sSvebYsp0


P「小梅、さっきから俺の顔見て、どうかしたか?」

小梅「……な、なんでも、ないです」

P「ほんとにか? 氏相が見えるとかじゃないよな? な?」

小梅「大丈夫……です。……今は、みんな……遠くから、隙を窺ってる……だけ、ですから……」

P「帰ったらお祓い行こっと!!!!!」


107: 2013/08/19(月) 15:47:03.48 ID:sSvebYsp0



今度こそ おしまい。




110: 2013/08/19(月) 16:47:49.46 ID:OW3wsQxto

引用元: 龍崎薫「肝試し?」 モバP「うん」