133: 2012/08/19(日) 00:17:02.83 ID:kOYXYUPGP
◯唯「夜の街」

いつものように私の部屋に御飯を食べにきた唯ちゃん。
彼女には最近悩みがあるみたいです。

唯「この堅焼きパスタ美味しいねー」パクッ

唯「ほらほら、ムギちゃんも座って一緒に食べようよ」

紬「うん」パクッ

紬「うんっ! 上手にできてる」

唯「最初は焦がしちゃったもんね」

紬「そうだったね」

唯「ねぇ、ムギちゃん」パクッ

紬「…どうかした?」

唯「…うんう。やっぱりなんでもない」

やっぱり悩みはあるみたい。
でも唯ちゃん言いたくないみたいです。
こうなったら……無理矢理でも聞き出しちゃおうかな。
けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

134: 2012/08/19(日) 00:17:29.08 ID:kOYXYUPGP

紬「唯ちゃん。何か悩みあるでしょ?」

唯「えっ…ないない。悩みなんてないよー」

紬「……怪しい。私には話せないことなの?」

唯「そういうわけじゃないけど…」

紬「じゃあ話して!」

唯「いやっ」

紬「そう……」

唯「たいしたことじゃないから、ねっ」

やっぱり言いたくないみたい。
だから今日は切り札を用意みました。

紬「実はデザートを用意してあるの」

唯「デザート!?」

135: 2012/08/19(日) 00:18:58.47 ID:kOYXYUPGP

紬「ええ。ロールケーキを作ってみたの」

唯「ロールケーキ!?」ジュルリ

紬「うん。ロールケーキ。それで…話してくれたら唯ちゃんにもあげようかなって…」

唯「……」

紬「唯ちゃん」

唯「ムギちゃん、どうしても聞きたいの?」

紬「……うん」

おせっかいかもしれないけど、唯ちゃんが悩んでるんなら手伝ってあげたい。
私はそう思いました。

唯「じゃあ話すね。実は……」

唯ちゃんの悩みはとても些細なものでした。

136: 2012/08/19(日) 00:19:26.69 ID:kOYXYUPGP

紬「お金?」

唯「うん。買いたいものがあるの。……それも言わないと駄目かな?」

紬「それは別にいいわ。はい、ロールケーキ」

唯「やった」

唯「もぐもぐ…うーん、デリシャス」

紬「ロールケーキ作るのは初めてだったけど、上手くできたみたいね」

唯「うん。スポンジのフンワリ感としっとりした生クリームがサイコーだよ」パクッ

紬「それはよかったわ。うふふふ」

唯「ほら、ムギちゃんも食べてみなよー」

紬「ええ」パクッ

紬「うん。おいし~」

137: 2012/08/19(日) 00:20:00.86 ID:kOYXYUPGP

唯「そうでしょそうでしょ」

紬「……ねぇ、唯ちゃんってバイトしてたよね」

唯「うん」

紬「あんまりお金に困ってるようには見えなかったんだけど」

唯「あーうん。でもちょっと欲しいものができて…」

紬「ふぅん。それで悩んでたんだ」

唯「うん。それで…ちょっと夜のバイトを初めてみようかなーって」

紬「夜のバイト?」

唯「うん。バイト料も高いみたいだしね」

紬「うーん。危なくないかしら」

唯「私もそう思ってちょっと迷ってたんだー」

138: 2012/08/19(日) 00:20:55.32 ID:kOYXYUPGP

紬「それで……結局どうするの?」

唯「うん。実はもう面接に申し込んであって、今夜行ってみようかなーって」

紬「……」

唯「ムギちゃん?」

紬「…決めたっ。私もついてきます!」

唯「えっ」

紬「やっぱり一人だと危ないと思うの。だから二人で行きましょ」

唯「じゃあ、お願いしちゃおうかな」

紬「あっ、面接に同伴者がいても大丈夫なのかな?」

唯「それなら大丈夫だよ。出来れば可愛い友達連れてきてって言われてるし」

紬「……」

唯「ムギちゃん?」

紬「……わ、私……可愛いかな?」

唯「うんっ!」

139: 2012/08/19(日) 00:21:25.67 ID:kOYXYUPGP

紬「ふむふむ。これが夜の繁華街なのね」

私たちは夜の街に繰り出しました。
なんでも幾つかのお店に面接を申し込んだそうで、色々まわるらしいです。

唯「ぴかぴかしてるねー」

紬「うん」

唯「人が多いねー」

そう言うと唯ちゃんは手を差し出してくれました。
もちろん私は手を握り返します。

紬「えーっと、方向はこっちで合ってるんだっけ?」

唯「うん。そのはずだよ」

紬「じゃあ行きましょうか」

140: 2012/08/19(日) 00:22:01.44 ID:kOYXYUPGP

しばらく歩くと目的のお店に着きました。

紬「…ここ?」

唯「うん」

紬「なんのお店?」

唯「うーんとね。お客さんとお喋りする店だって」

紬「ふぅん。変わったお店ね」

店に入り、スタッフの人にバイトの面接に来た旨を伝えると、店の奥に案内されました。


141: 2012/08/19(日) 00:22:33.61 ID:kOYXYUPGP

店長「昨日電話をくれた子だね」

唯「はい。こっちは友だちのムギちゃんです」

紬「琴吹紬といいます」

店長「ふむふむ。金髪碧眼とは珍しいね。ちょっと眉毛が太いけど、それくらいは後から……」

店長「うん。ふたりとも採用しましょう」

唯「やった!」

紬(勝手に採用されちゃった……)

店長「それでふたりともアフターとか大丈夫?」

唯「あふたー?」

紬「ってなんですか?」

店長「まぁいいか。さっそく明日から働いてくれるかな」

紬「……あの」

店長「どうかした?」

142: 2012/08/19(日) 00:23:25.35 ID:kOYXYUPGP

紬「実は両親にここでバイトをすることを話してないんです」

紬「だから……本当に働くかどうかは明日電話で伝える、ということではだめでしょうか」

紬「唯ちゃんも、ね」

唯「えっ」

店長「うーん。まぁ後々問題になっても面倒だしね」

店長「じゃあ連絡待ってるよ」


それから私たちは店を出ました。


紬「唯ちゃん、あのお店は駄目!」

唯「えっ…なんで? 店長さんも良い人そうだったし」

紬「お酒のラベルが偽物だったの」

唯「ラベル?」

143: 2012/08/19(日) 00:23:51.54 ID:kOYXYUPGP

紬「うん。家で見たやつと違ったから多分偽物だと思う」

唯「にせもの…」

紬「たぶんあんまり良くないお店だからやめておきましょう」

唯「…うん」


ちょっと後の話になりますが、このお店は外国人の不法労働で検挙されたそうです。


唯「じゃあ気を取り直して次のところへ行ってみよー」

紬「次はなんのお店?」

唯「お店じゃないよ。撮影するんだって。しかも1回10万円!」

紬「1回10万円!? 危なくないの?」

唯「ムギちゃんがついてれば大丈夫だよー」

紬「……そうかな」

144: 2012/08/19(日) 00:24:22.79 ID:kOYXYUPGP

また二人で手を繋いで夜の街を歩いていきます。
周りの人がちょっと物珍しそうな顔でこっちを見ています。

唯ちゃんとふたりきりで夜のお散歩。
贅沢を言うなら、もう少し静かなところが良かったな。

唯「ここだよ」

紬「雑居ビル?」

唯「うん。ここの七階だって」

エレベーターを降りてドアをくぐると、オフィスに出ました。

黒服「誰だ?」

唯「あっ、あの……面接にきた平沢唯です」

黒服「あぁ、あの…平沢さんね。横の子は?」

紬「あっ、付き添いで来た友達です」

黒服「そう。じゃあ撮影同意書を書いてくれる?」

唯「どういしょ?」

黒服「あぁ、最近基準局がうるさくてね」

145: 2012/08/19(日) 00:24:58.16 ID:kOYXYUPGP

赤シャツ「はい。これにサインしてね」

唯「あっ、はい」カキカキ

紬「名前を書けばいいのね」カキカキ

赤シャツ「それと烏龍茶どうぞ。最近夜になっても暑いから喉がかわくでしょ」

紬「ありがとうございます」ゴクゴク

唯「どうも」ゴクゴク


紬「あれっ、なんだか眠く」

唯「私も……」

紬「」zzz

唯「」zzz

赤シャツ「ちょろいもんですね」

146: 2012/08/19(日) 00:25:24.37 ID:kOYXYUPGP

赤シャツ「えーっとこっちの子は平沢唯。金髪の子は琴吹紬か」

黒服「琴吹!?」

赤シャツ「どうしやした、旦那?」

黒服「琴吹…しかも天然の金髪…間違いねぇ。琴吹家の令嬢様だ」

赤シャツ「琴吹家? ってあの?」

黒服「あの…だ」

赤シャツ「どうしやしょうか…」

黒服「どうもこうもあるか…起きるのを待って平謝りするしかないだろ」

赤シャツ「だけどもったいなくないっすか?」

黒服「オジキも琴吹家には恩があるんだ」

黒服「琴吹の令嬢に手をかけてみろ。オジキに三枚に下ろされてイワシの餌にされちまうぞ」

赤シャツ「ひぃっ」

黒服「ふぅ…なんてやつがきたもんだ…」

147: 2012/08/19(日) 00:25:50.99 ID:kOYXYUPGP

紬「……あれっ」

黒服「お目覚めになられましたか」

黒服「もうしわけありません!!」ダッ

紬「ひっ…」ダキッ ダッ


目を覚ますと、突然黒服の人が土下座をはじめました。
わけがわかりません。
私は怖くなってしまい、唯ちゃんを担いで逃げました。

とにかく安全なところへ行こう。
幸い、すぐ近くに一件のホテルがありました。
私は迷わず駆け込みました。

148: 2012/08/19(日) 00:26:59.45 ID:kOYXYUPGP

紬「ふぅ……なんだったのかしら」

唯「ぐーーーーぐーーーー」

紬「ふふっ、よく寝てるわね」

唯「ぐーーーーぐーーーー」

紬「可愛いお顔」

唯「ぐーーーーぐーーーー」

紬「よしっ。ちょっとほっぺたで遊んじゃおっ」プニプニ

唯「ぐーーーー、はっ」パチッ

紬「起こしちゃった?」

唯「…もう朝?」


149: 2012/08/19(日) 00:27:31.26 ID:kOYXYUPGP
紬「もう…唯ちゃんったら」

唯「あれ……ここはどこ? 事務所にいたよね」


私は唯ちゃんに事情を掻い摘んで話しました。


紬「ひょっとして、睡眠薬がお茶に入ってたんじゃないかしら」

唯「うーん。考えすぎだと思うけど」

紬「そうかな?」

唯「でも、ムギちゃんがそう言うなら、あのバイトはやめておくよ」

紬「うん。それがいいと思う」

150: 2012/08/19(日) 00:27:59.86 ID:kOYXYUPGP

唯「それにしてもこのベッド変な形だねー。まんまるだなんて」

紬「あっ、このベッド回るのよ」

唯「本当!?」

紬「本当!! そのボタンを押してみて」

唯「えいっ」ポチ

紬「わっ、回ってる」

唯「メリーゴーランドみたい」

紬「どちらかと言えばコマじゃないかな」

唯「どっちでもいいよ。すごいすごーい」

紬「面白いホテルがあるのねー」

唯「あっ……」

紬「どうしたの?」

151: 2012/08/19(日) 00:28:28.49 ID:kOYXYUPGP

唯「たぶんここラOホテルだと思う」

紬「ラOホテル?」

唯「うん。友達から聞いたの。エOチをするためのホテルだって」

紬「エOチをするためのホテル……そういうのもあるんだ」

唯「///」

紬「///」

唯「なんだか照れちゃうね」

紬「うん」

唯「別にエOチするわけじゃないのに」

紬「えっ?」

唯「えっ?」

紬「なーんて!」ダキッ

唯「きゃっ」

152: 2012/08/19(日) 00:29:09.04 ID:kOYXYUPGP

紬「ふふっ、唯ちゃん柔らかい」

唯「もうムギちゃん、くすぐったいよ」

紬「ねぇ、今夜はここに泊まろうか」

唯「うん。いいよ」

紬「えOちなことはしないけど、こうやって」ギュッ

私は唯ちゃんの手を握りました。
唯ちゃんはそっと握り返してくれました。

唯「手、繋いで眠ろっ!」

紬「うんっ!」

153: 2012/08/19(日) 00:29:46.60 ID:kOYXYUPGP

その夜、私は夢を見ました。
とてもエOチで幸せな夢。
だから内容は秘密です。

次の朝起きると、手は繋がったままでした。
私が幸せを噛み締めていると、唯ちゃんが目を覚ましました。
二人で一緒に歯を磨いて、それからホテルを出ました。


あの夜の話を斎藤にしたところ、とても危険な目にあっていたようです。
実家に呼びつけられて叱られました。

唯ちゃんも、憂ちゃんにあの夜の話をしたところ、こっぴどく怒られちゃったみたいです。


唯ちゃんは夜のバイトを諦め、普通にバイトを続けることにしました。



そして二ヶ月後――

154: 2012/08/19(日) 00:30:20.62 ID:kOYXYUPGP

唯「むーぎーちゃん」

紬「あっ、唯ちゃん。今日は焼冷麺に挑戦してみたの」

唯「また? 前々回も前回も大失敗してたのに」

紬「ふふふっ。今回は自信作なの。とりあえず食べてみて」


唯ちゃんは恐る恐る箸を口に近づけ、パクリと一口、そして一言。

唯「……おいしい」

紬「でしょ」

唯「うん。絶対美味しく作るのはムリだと思ってたのに…」

紬「うふふ」

唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「なぁに?」

155: 2012/08/19(日) 00:31:06.09 ID:kOYXYUPGP
唯「じゃじゃーん」

紬「木の箱?」

唯「ムギちゃんにプレゼントします!」

紬「開けていい?」

唯「うんっ!」

箱を開くとそこには一本の包丁が入っていました。
なんとも気品のある、綺麗な包丁でした。
この手の物の値段は分からないけど、とてもよいものなのはわかります。
ひょっとしたら六桁に届くんじゃないかな。

紬「包丁ね」

唯「うん」

紬「とっても高かったんじゃない?」

唯「ちょっとね」

紬「でも、どうして?」

156: 2012/08/19(日) 00:32:06.41 ID:kOYXYUPGP

唯「私、いつもムギちゃんのところで御馳走になってるでしょ」

唯「だからたまには恩返ししたいなーって」

紬「そんな…私がやりたくてやってるだけなのに」

唯「じゃあ私もそうだよ」

紬「えっ」

唯「いつも私のために御飯作ってくれるムギちゃん見てたから」

唯「ムギちゃんのために何かしてあげたいなーって思ったんだ」

紬「唯ちゃん…」

唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「うん」

唯「その包丁で、ずっと私に御飯作ってくれる?」

紬「///」

唯「ムギちゃん?」

紬「……それってプロポーズ?」

唯「えっ?」

紬「えっ?」

おしまいっ!

158: 2012/08/19(日) 00:49:57.56 ID:IgEShdP8o

いいねこう来なくっちゃ

159: 2012/08/19(日) 00:58:20.75 ID:D8tozNOio
よっしゃあ乙

引用元: 紬「私、リクエスト」