京子「どーしたあかり、エサなら持ってないぞ」

あかり「そうじゃなくて、誰か拾ってよお……」

結衣「確かにこのままじゃかわいそうだけど……どうする？」

ちなつ「うち、ペットはちょっと……」

京子「私も家族がダメって言うと思うなー」

あかり「そんなあ……あ、結衣ちゃんは一人暮らしだからあかりがいても大丈夫だよね？」

結衣「あー、でもエサ代とか色々あるしな」

あかり「結衣ちゃんまでぇ～、あかり、こんなところで野宿なんていやだよぉ……」

京子「元気出せ、あかり！　これ食ってしのげ！」つ草

あかり「な、何これ」

京子「薬草！」

結衣「雑草だろ」

あかり「今日1日だけでいいから、誰か拾ってよお～；；」

ちなつ「近くのスーパー行ってみたら？　試食コーナーあるし、段ボール貰ってくれば雨風も……」

あかり「野宿決定！？」

結衣「しょうがないな……今日1日だけでいいならうちに来なよ」

あかり「結衣ちゃん、いいの！？」ﾊﾟｧ

結衣「今日だけだぞ、明日はちゃんと貰ってくれる人探すこと」

あかり「うん、うん、結衣ちゃんありがとう！！」

京子「よーし、じゃあみんなであかりのためにエサのどんぐり拾いながら帰ろー！」

あかり「あ、あかりそんなの食べないよ！？」



・・・

◆結衣の家

結衣「それじゃ適当にくつろいでてよ」

あかり「うん……あ、でも」

結衣「どうした？」

あかり「あかり、お世話になるだけじゃ申し訳ないから、何かお手伝いできないかな」

結衣「別にそこまでしなくても……自分の家だと思ってくれていいよ」

あかり「でもでも、あかりも結衣ちゃんに恩返ししたいもん！」

結衣「恩返しってほどのことじゃないけど、そこまで言うなら」

あかり「結衣ちゃんがしてほしいことあったら言って？　あかりに出来ることなら何でもするから♪」

結衣「それじゃあ……うーん、そうだなぁ」

あかり「わくわく」

結衣「……えと、笑わないで聞いてくれるか？」

あかり「笑ったりしないよ、なんでも言ってみて」

結衣「は、話し相手になって欲しい……」

あかり「話し相手？」

結衣「ずっと一人だと、少し寂しくなったりする、から……」

あかり「……わかった、あかりで良かったら結衣ちゃんの傍にいてあげるね！」

結衣「あ、ありがと///」

あかり「えへへ～♪」

　夕食


あかり「おいしい～♪」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

結衣「そうか、良かった」

あかり「結衣ちゃん、ほんとに料理上手だよね！　毎日でも食べたいよぉ♪」

結衣「お、大げさだよ……あかりもこれくらいすぐ出来るようになるって」

あかり「そうかなぁ？　あかり不器用だから指とか切っちゃいそうで怖いかも」

結衣「まあ、私も最初は失敗ばっかだったし」

あかり「そうなんだぁ。でもきっといっぱい努力したんだよね。あかり、結衣ちゃんのそういうところすごくカッコいいと思う」

結衣「そ、そう？」

あかり「うんっ♪　あかりも結衣ちゃんみたいに頑張れる人になりたいなぁ」

結衣「えと、ありがと……あかり」

・・・


結衣「それじゃ電気消すよ」

あかり「うん」

　ﾊﾟﾁ

結衣「……あのさ、あかり」

あかり「？」

結衣「明日、飼い主見つからなかったら……また、うちに……」

あかり「ありがとう結衣ちゃん。でも大丈夫だよ」

結衣「……」

あかり「あかりを拾ってくれる人、絶対見つけるから。あかりは大丈夫だよ」

結衣「でも……」

あかり「おやすみ、結衣ちゃん。今日一日結衣ちゃんといれて楽しかった」

結衣「…………うん、おやすみ」

結衣（……私も楽しかったよ、あかり）

　次の日・・・

　結衣の家


結衣（結局、ほんとに出ていっちゃったな、あかり）

結衣（……）ﾎﾞｰ

結衣（やっぱ一人でいると静かだな）

結衣（あかり大丈夫かな……ちゃんと拾ってくれる人見つけたかな……）

結衣（野良あかりって言われていじめられてたりしないかな……）

結衣（変な人についていったりとか……）

結衣（……）ﾊｧ

結衣（晩御飯の材料でも買いにいこう）

　ｶﾞﾁｬ

結衣（今日の晩御飯は簡単なのでいっか……）

結衣「……あれ？　あそこにいるの……」



あかり「」ｳﾛｳﾛ....



結衣「あかり……！」



あかり「」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ....



結衣「あ、ちょ、ちょっと待って……！」ﾀｯﾀｯﾀ

結衣「おーい、あかりー！！」

あかり「ふえっ！」ﾋﾞｸ

結衣「やっぱり、あかりだ……どうしたんだ？」

あかり「ゆ、結衣ちゃん！？　あの、別に何でもないの、ちょっと通りかかっただけ……」

結衣「本当？　飼い主が見つからないんじゃないのか？」

あかり「え、えっとぉ」

結衣「……そっか」

あかり「だ、大丈夫！　これからまた拾ってくれる人探してみるから」

結衣「あかり、今日食べたい物とかある？」

あかり「え……？」

結衣「これから晩御飯の買い物行くからさ、一緒に行こう。あかりのリクエスト聞くよ」

あかり「あ、あの、あかり……でも……」

結衣「ほら、置いてくぞあかりー」

あかり「え！？　ああ、待ってぇー！」


　かわいそうなあかりは、結局今日も結衣ちゃんのお世話になるのでした

　結衣ちゃんの作ってくれたおいしいご飯を食べたあと
　あかりと結衣ちゃんはおしゃべりをしたりゲームで遊んだりして
　楽しいひとときを過ごしました


結衣「あかり、お風呂わいたから先に入っていいよ」

あかり「あ、うん。じゃああかり、お風呂入ってくるね」



結衣「……」

結衣「さてと」


　あかりがお風呂に入っているあいだ、結衣ちゃんは誰かに電話をかけ始めました


結衣「……あ、もしもしお母さん？」

結衣「……うん、あの、ちょっと、お願いしたいことがあって」

結衣「ペット……飼いたいんだけど」

結衣「……あ、うん、あかりなんだけど……」

結衣「一人暮らししてそのうえ……ワガママなのは分かってるけど……！」

結衣「……え！？　ま、待ってよ、あかりは本当にいい子だから！　……うん、うん」

結衣「それは……私のお小遣い減らして、ちゃんと食費とか節約するから！　だから……」


　結衣ちゃんは一生懸命に両親を説得しました
　でも……











あかり「……」

　ｶﾁｬ、ﾊﾞﾀﾝ

結衣（あかり、お風呂上がった！？　マズいっ）

結衣「ご、ごめんお母さん、ちょっと切るね、またかけ直すから」ｶﾞﾁｬ


あかり「ふ～いいお湯だったぁ」

結衣「あ、あかり、上がったか」ｱｾ

あかり「うん、結衣ちゃんも冷めないうちに入っておいでよ～」

結衣「そ、そうするよ……あの、あかり」

あかり「なぁに？」

結衣「えっと…………いや、何でもない。お風呂入ってくるよ」

あかり「うん」






あかり「…………ありがとう、結衣ちゃん」

あかり「ごめんね……」

　おふろ


結衣（やっぱり反対されちゃったなぁ）

結衣（でも、何とかＯＫもらわないと）

結衣（……寝る前に、あかりに言おう。あかりのこと引き取りたいって）

結衣（うん、そうしよう。他の人にあかり取られたくないし）

結衣（……今日あかりの飼い主見つからなくて良かった、なんて思ってる私は、嫌な奴かな）

結衣（いや、他の奴にあかりのこと任せられない。私が傍にいて世話してあげるんだ）

結衣（それとも、私があかりに一緒にいて欲しいだけかな）

結衣（……そろそろ上がろう、のぼせそうだ）ｻﾞﾊﾟ



　居間

結衣「ふ～……あれ？　あかり？」ｷｮﾛｷｮﾛ

　ｼｰﾝ...

結衣「トイレかな……？」

結衣「……あれ、テーブルの上に、何か、メモ用紙……？」

結衣「…………！！！」


　それはあかりの置き手紙でした
　これ以上、結衣ちゃんに迷惑をかけたくないあかりは、一人で出て行ってしまったのです
　こんな夜更けに、一人で……


結衣「あ、あの……バカっ！！」ﾊﾞｯ

結衣「くそ、のんきに長風呂なんてしてるんじゃなかった！」


　結衣ちゃんは、あかりを探すために家を飛び出しました

結衣「はぁ、はぁ、」ﾀｯﾀｯﾀ

結衣「あかり、あかりー！」

結衣「どこ行ったんだよ、あかり……！」

結衣「あ、お巡りさーん！」


　結衣ちゃんは通りがかったお巡りさんにあかりを見なかったか聞きました
　お巡りさんは、髪の赤い女の子が一人ぼっちで歩いてるのを見たと言いました
　不審に思ってお巡りさんがその女の子に声をかけると、家に帰る途中なんですと答えたそうでした


結衣「あ、ありがとうございました！」ﾀｯﾀｯﾀ


　女の子を見かけた場所を教えてもらうと、結衣ちゃんはまた走り出しました

結衣「おーい、あかりー！　あかりぃー！」ﾀｯﾀｯﾀ

結衣「はぁ、はぁ、足が……はぁ、はぁ……」

結衣「…………ん？」

結衣「！！！」


　結衣ちゃんはとうとうあかりを見つけました
　周りに田んぼの広がる真っ暗い通学路……その隅っこにあかりが一人でうずくまっていました


結衣「おい、あかり、あかり！　何やってんだよバカ、心配させて……」

あかり「……」

結衣「あかり？　どうした、どっか怪我でもしたのか……！？」

あかり「……っ……ぅ」

結衣「……あかり」

あかり「っぐ……ひぐ……」

結衣「……あかり、私のお願い、覚えてる？」

あかり「……う、ふぇ……えぐ、ひっぐ……」

結衣「あかりがいなくなったら、私、寂しいよ」

あかり「……っゆ、ゆい、ぢゃんﾞ……」

結衣「ほら、一緒に帰ろう、あかり」


　結衣ちゃんは泣きじゃくるあかりをあやしながら、一緒に家に帰りました

　あかりは、ずっと結衣ちゃんのそばにいたいと思いました

　あかりの大切な人、結衣ちゃんに、大好きな気持ちを伝えたくて、あかりは、結衣ちゃんの腕に、ぎゅっとしがみつきました

　結衣ちゃん、だいすき


　おわり

◆結衣の家

あかり「ぎゅっとしがみつきました。結衣ちゃん……だ、だいすき」

結衣「……」

あかり「……紙芝居「あかりのたいせつなひと」、おわり」

結衣「……えっと」

あかり「あ、あのっ」

結衣「う、うん」

あかり「結衣ちゃんの、台詞は、あかりが好き勝手に考えたけど……」

結衣「……うん」

あかり「あ、あかりの台詞は、全部、本当の気持ちだから……」

結衣「……うん」

あかり「……じ、じゃあ、あかり、もう帰るねっ！　ごめんね、いきなり押しかけちゃって。また明日学校でねっ」

結衣「あかり」ｷﾞｭ

あかり「！」

結衣「あかりは、ずっと私のそばにいてくれるんだろ？」

あかり「え……？」

結衣「あかり、私も――――」



　ほんとにおわり

乙
よかったよー